JPWO2010064659A1 - 化成処理用組成物および防錆皮膜を備える部材の製造方法 - Google Patents

化成処理用組成物および防錆皮膜を備える部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

金属表面を有する基材が複雑形状であっても、クロメート処理に匹敵するような外観と耐食性を付与する防錆皮膜を形成することが可能な酸性液状組成物として、硝酸イオンおよび過酸化水素から選ばれた少なくとも一種の酸化性物質;カルボン酸、カルボン酸イオン、カルボン酸塩およびカルボン酸誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種のカルボン酸化合物;少なくとも一種のアルミニウム含有物質;少なくとも一種のジルコニウム含有物質;ならびに硫酸イオンを含有し、有機造膜成分を実質的に含有しない組成物が提供される。この組成物は、V,Fe,Cu,Sn,Mo,W,Ce,Co,Ni,Mg,Ca,Mn,およびLiから選ばれた一種または二種以上の元素を含む、少なくとも一種の水溶性金属含有物質をさらに造膜成分として含有していてもよい。

Description

本発明は、金属表面、特に亜鉛めっきまたは亜鉛合金めっき(以下、これらを総称して「亜鉛含有めっき」という。)をその表面に備える基材の表面上に防錆皮膜を形成するときに使用される反応型化成処理用組成物、その組成物を用いた防錆皮膜を備える部材の製造方法、およびその組成物を製造するための液状組成物に関する。本発明の方法によれば、完全クロムフリーであり、作業環境が良好な反応型化成処理によって、美麗な外観と優れた耐食性を有する防錆皮膜を、亜鉛含有めっきをその表面に備える部材(以下、「亜鉛含有めっき材」という。)の表面などの金属表面に形成することができる。
亜鉛含有めっき材は、その表面に設けられた亜鉛含有めっきの犠牲防食能による優れた耐食性を示す。しかしながら、そのままでは白錆が発生しやすい。このため、特に亜鉛含有めっき材が無塗装である場合には、しばしば、さらに防錆処理が施される。
亜鉛含有めっき材の防錆処理として、従来はクロメート処理で代表されるクロム化合物を用いた化成処理が主に行われてきた。クロメート処理は優れた耐食性を亜鉛含有めっき材に付与する。また、処理液の組成を調整することにより、黒、黄色、銀系干渉色などの美麗な外観を亜鉛含有めっき材に付与することができる。さらに、クロメート処理液には、皮膜形成方法が異なる塗布型、反応型および電解型があり、一般に均一塗布が容易な鋼板には塗布型処理液が適用され、塗布型処理液では均一塗布が難しい加工部品には反応型または電解型の処理液が適用されてきた。
しかし、6価クロムの有害性や環境規制の観点から、近年は6価クロムの使用が制限されるようになった。さらに、6価クロムはもとより、3価クロムも含まない、完全にクロムフリーの化成処理が求められるようになってきた。
3価と6価のいずれのクロムも含まないクロムフリー化成処理に関する提案はこれまでも数多くなされている。しかしながら、その多くが、亜鉛含有めっき鋼板を対象とする塗布型処理、即ち、化成処理液で処理した後に水洗せず、そのまま乾燥する処理方法によるものである。
そのような塗布型のクロムフリー化成処理として、特許文献1に、金属の表面を水性酸性液状組成物から化成する層で被覆する工程および前記水性酸性液状組成物を、濯ぎを行わず乾燥する工程からなる金属の保護皮膜形成方法であって、前記水性酸性液状組成物が、(A)三価クロム、Ti、V、Mn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Wから成る群から選択される少なくとも一種、(B)有機酸及び/又は無機酸及び/又はこれらの塩から成る群から選択される少なくとも一種、(C)Li、Na、K、Be、Co、Mg、Ca、Al、Ni、Siから成る群から選択される少なくとも一種、並びに(D)任意成分としてフッ素を含有するものである金属の保護皮膜形成方法が記載されている。
また、特許文献2には、(A)酸化性物質、(B)珪酸塩及び/又は二酸化珪素、及び(C)Ti、Zr、Ce、Sr、V、W、Moの金属カチオン、それらのオキシ金属アニオン及びフルオロ金属アニオンからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属イオンを含有することを特徴とする液体防錆皮膜組成物が開示されている。
特開2003−171778号公報 特開平9−53192号公報
しかしながら、上記特許文献1に提案されたクロムフリーの皮膜形成方法は、すすぎを行わない塗布型の皮膜形成方法である。以下、塗布型の化成処理液により形成された防錆皮膜を塗布型皮膜ともいう。塗布型皮膜は、塗布型の化成処理液からなる塗布液層が所定の厚さで基材上に形成され、この塗布液層に含まれる媒体が乾燥工程により揮発することにより皮膜形態となる。このため、複雑形状を有する二次加工部品、例えば、自動車用ボルト、ナットなどが基材の場合には、その表面に形成される塗布液層の厚さを均一化することは困難である。塗布液層の厚さが均一化されにくいのであるから、塗布型皮膜の厚さを均一化することは困難である。それゆえ、従来の6価クロメート或いは3価クロム化成処理に匹敵する美麗な外観と白錆耐食性とを実現させることはできなかった。自動用ボルトを処理した場合を例にして説明すれば、ボルトのネジ部分や頭部分などのエッジを含む部位の耐食性が著しく悪くなる。この点に関し、特許文献1では、いずれも亜鉛含有めっき鋼板を試験片として耐食性を評価しており、ネジ部などのエッジ部を含む二次加工部品についての試験は実施されていない。
また、特許文献1に係る皮膜のような塗布型皮膜は、皮膜内部の破壊強度および/または皮膜と基材との界面のせん断強度が、基材内部の破壊強度よりも低い場合が多い。このような皮膜を有する部材は、保管中、組み立て中または使用中に他の部材と衝突することなどによってしばしば皮膜の破損または皮膜の剥離が生じる。この破損部または剥離部は耐食性が著しく低下する。このため、塗布型皮膜自体の耐食性が高いことのみを理由として、現実の部品としての耐食性が高いとは判断できない場合が多い。このことは、塗布型塗膜を有する部品は、部品としての信頼性を把握することが困難であることを意味し、上記の自動車用ボルト、ナットに適用される場合にはこの点は特に重大な問題となる。
ボルトほど形状が複雑でない二次加工品(そのような二次加工品として、事務機器、電気機器、自動車などで使用されるクランプ、クリップ等の留め具、プレート、ハウジング、ヒンジ、パネル等のプレス成形品などが例示される。)に特許文献1に係る皮膜を適用した場合にも次のような問題が発生する可能性がある。すなわち、これらの部材の多くは求められる形状精度が厳しいため、基材(本発明において、防錆皮膜が形成される対象物を「基材」、基材に化成処理がなされたものを「部材」という。)上に形成された防錆皮膜の厚みは薄ければ薄いほど好ましい。ところが、特許文献1に開示されるような塗布型皮膜の場合には膜厚が薄くなると、白錆の発生を抑制する特性(以下、「白錆耐食性」といい、例えば、塩水噴霧試験を用いて計測される白錆が発生するまでの時間により評価することができる。)が低下してしまうため、防錆皮膜にはある程度の厚みが不可欠である。このように、塗布という厚みのばらつきが発生しやすい手段を用いている上に、ある程度の厚みが必要とされるため、形成された防錆皮膜には相当の厚みばらつきが不可避的に発生してしまう。この厚みばらつきが部材の形状精度に与える影響を抑えるためには、基材の二次加工時に許容される誤差を特に少なくしなければならない。つまり、塗布型塗膜を使用する場合には、二次加工に求められる加工精度を高める必要がある。このことが部材の生産性を低下させ、部材のコストを上昇させることは言うまでもない。
さらに、塗布型皮膜は、化成処理後水洗をする反応型皮膜に比べて、塗布液層を乾燥して皮膜を形成するために多くの熱エネルギーを必要とする。このため、乾燥工程に要する時間を長くする、乾燥設備を大型化するなどの対応が必要とされる。これらの対応は生産性の低下やコストの上昇を招く。他の対応として加熱温度を高めることがあるが、この対応は基材が二次加工品の場合には形状変化をもたらすおそれがある。したがって、この対応は二次加工に求められる加工精度を高めることになり、不利益をもたらす。
一方、特許文献2には、反応型の化成処理液が開示され、一次加工品である鋼板に対して処理を行ったところ優れた白錆耐食性が得られたことが示されている。しかしながら、本発明者が追試したところ、化成処理液は作成直後から沈殿を生じ、きわめてポットライフが短いことが明らかとなった。しかも、二次加工品を対象として皮膜を形成したところ、24時間の塩水噴霧試験で白錆が発生してしまい、実質的に白錆耐食性なしと判断された。
本発明の課題は、金属表面を有する基材、特に、ボルト、ナット、プレス品など亜鉛含有めっきが設けられた鋼材の二次加工部品に対して、反応型のクロムフリー化成処理により、クロム化成処理に匹敵するような美麗な外観と白錆耐食性を有する防錆皮膜を、高い生産性を維持しつつ形成することができる化成処理技術を提供することである。
上記課題は、下記に示すクロムフリーの化成処理用組成物(以下、「化成処理液」ともいう。)を用いて反応型の化成処理を行うことにより解決することができる。
本発明は一態様として次の組成物を提供する。すなわち、金属表面への防錆皮膜の形成に使用される反応型化成処理用のクロムフリーの酸性液状組成物であって、硝酸イオンおよび過酸化水素から選ばれた少なくとも一種の酸化性物質;カルボン酸、カルボン酸イオン、カルボン酸塩およびカルボン酸誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種のカルボン酸化合物;少なくとも一種のアルミニウム含有物質;少なくとも一種のジルコニウム含有物質;ならびに硫酸イオンを含有し、有機造膜成分を実質的に含有しない組成物。
ここで、アルミニウム含有物質は、アルミニウムイオンおよびこれを含有する水溶性物質からなる群から選ばれる。また、ジルコニウム含有物質は、ジルコニウムイオンおよびこれを含有する水溶性物質からなる群から選ばれる。
有機造膜成分とはいわゆる有機バインダー成分であって、本発明に係る液状組成物は反応型の化成処理に使用されるため、この有機造膜成分を実質的に含有しない。
上記の組成物におけるカルボン酸化合物が、多価カルボン酸、多価カルボン酸イオン、多価カルボン酸塩および多価カルボン酸誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種の多価カルボン酸化合物を備えてもよい。
上記の組成物におけるカルボン酸化合物が、ヒドロキシ多価カルボン酸、ヒドロキシ多価カルボン酸イオン、ヒドロキシ多価カルボン酸塩およびヒドロキシ多価カルボン酸誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種のヒドロキシ多価カルボン酸化合物を備えてもよい。
上記の組成物におけるカルボン酸化合物が、クエン酸、クエン酸イオン、クエン酸塩およびクエン酸誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種のクエン酸化合物を備え、全組成物に対して、酸化性物質を1.2〜33.0g/L、クエン酸化合物をクエン酸換算で0.6〜33.0g/L、アルミニウム含有物質をアルミニウム換算で0.25〜7.0g/L、ジルコニウム含有物質をジルコニウム換算で0.9〜23.0g/L、および硫酸イオンを0.45〜40.0g/L含有することが好ましい。
上記の組成物は、V,Fe,Cu,Sn,Mo,W,Ce,Co,Ni,Mg,Ca,Mn,およびLiから選ばれた一種または二種以上の元素を含む、少なくとも一種の水溶性金属含有物質をさらに造膜成分として含有してもよい。
本発明は、別の一態様として、金属表面を有する基材の表面上に防錆皮膜を備える部材の製造方法を提供する。その製造方法は、硝酸イオンおよび過酸化水素から選ばれた少なくとも一種の酸化性物質;カルボン酸、カルボン酸イオン、カルボン酸塩およびカルボン酸誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種のカルボン酸化合物;少なくとも一種のアルミニウム含有物質;少なくとも一種のジルコニウム含有物質;ならびに硫酸イオンを含有し、有機化合物からなる造膜成分を実質的に含有しないクロムフリーの酸性水溶液からなる組成物を、基材の金属表面と接触させる化成処理工程、この化成処理工程を経た基材を水洗する水洗工程、この水洗工程を経た基材を乾燥する乾燥工程を備える。
上記の製造方法に係る組成物は、V,Fe,Cu,Sn,Mo,W,Ce,Co,Ni,Mg,Ca,Mn,およびLiから選ばれた一種または二種以上の元素を含む、少なくとも一種の水溶性金属含有物質をさらに造膜成分として含有してもよい。
本発明は、また別の一態様として、上記の製造方法により形成された防錆皮膜を備える部材を提供する。
本発明は、さらに別の一態様として、金属表面への防錆皮膜の形成に使用される反応型化成処理用組成物を製造するためのクロムフリー液状組成物を提供する。その液状組成物は、全組成物に対して、硝酸イオンおよび過酸化水素から選ばれた一種以上の酸化性物質を6.0〜660g/L;クエン酸、クエン酸イオン、クエン酸塩およびクエン酸誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種のクエン酸化合物をクエン酸換算で3.0〜660g/L;少なくとも一種のアルミニウム含有物質をアルミニウム換算で1.25〜140g/L;少なくとも一種のジルコニウム含有物質をジルコニウム換算で4.5〜460g/L;ならびに硫酸イオンを2.25〜800g/L含有する。
本発明の化成処理液(化成処理用組成物)は、アルミニウムイオンおよびジルコニウムイオンのそれぞれを水和イオンまたは配位化合物として含有する酸性溶液であり、クエン酸化合物に代表されるカルボン酸化合物はアルミニウムイオンおよびジルコニウムイオンを安定化させるために配合される。硫酸イオンも上記イオンの安定化に寄与していると推測される。また、酸化性物質は、その酸化性により処理表面の金属、特に亜鉛を溶出させて防錆皮膜の形成を促進する作用を果たしているものと推測される。
形成された防錆皮膜は、アルミニウムおよびジルコニウムの酸化物および/または水酸化物を主成分とする不動態皮膜であって、シルバー系干渉色を有する。その厚みは一般に1μm未満であって、典型的には数nm〜数百nmである。本発明に係る防錆皮膜は、クロムを全く含有しないクロムフリーの反応型化成処理により得られた皮膜でありながら、塩水噴霧試験において3価クロムおよび/または6価クロムを含有する化成処理皮膜に匹敵する、高い白錆耐食性を示す。また、シルバー色3価クロム化成処理、光沢クロメート(ユニクロ)、黄色クロメートなどと同等に、本発明に係る防錆皮膜は美麗な光沢外観を有することができる。
また、本発明に係る防錆皮膜は反応型の化成処理によって形成されるため、一般に形状が複雑な二次加工品が基材であっても、防錆皮膜の膜厚は塗布型皮膜に比べて均一性が高い。このため、本発明に係る防錆皮膜は、塗膜型皮膜に比べて白錆耐食性の部品内均一性に優れる。しかも、膜厚が均一であるがゆえに基材の二次加工精度を塗膜型の防錆皮膜に比べて緩和することができる。このため、本発明に係る防錆皮膜を備えることにより、塗布型皮膜を備える部品に比べて部品全体の生産性を高めることが可能となる。さらに、上記のように本願発明に係る防錆皮膜はアルミニウムやジルコニウムの不動態皮膜からなるので硬度が高い。このため、他の部材との衝突によっても防錆皮膜は破壊されにくい。したがって、発明に係る防錆皮膜を備える部品は、塗膜型皮膜を備える部品に比べて信頼性に優れる。
さらに、化成処理液の主成分であるアルミニウム含有物質の原料、およびジルコニウム含有物質の原料はいずれも比較的安価であるため、低コストで処理を行うことができる。
本発明例3に係る防錆皮膜の組成についてXPSを用いて深さ分析を行った結果を示すグラフである。
以下、本発明の好適態様について説明する。
本発明に係る反応型の化成処理液は、クロムフリーの酸性液状組成物であって、硝酸イオンおよび過酸化水素から選ばれた少なくとも一種の酸化性物質;カルボン酸、カルボン酸イオン、カルボン酸塩およびカルボン酸誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種のカルボン酸化合物;少なくとも一種のアルミニウム含有物質;少なくとも一種のジルコニウム含有物質;ならびに硫酸イオンを含有し、有機造膜成分を実質的に含有しない。
この化成処理液は、カルボン酸化合物が、多価カルボン酸化合物、ヒドロキシ多価カルボン酸化合物、および/またはクエン酸化合物を含有していることが好ましい。
また、全処理液に対して、酸化性物質を1.2〜33.0g/L、クエン酸化合物をクエン酸換算で0.6〜33.0g/L、アルミニウム含有物質をアルミニウム換算で0.25〜7.0g/L、ジルコニウム含有物質をジルコニウム換算で0.9〜23.0g/L、および硫酸イオンを0.45〜40.0g/L含有することが好ましい。
上記化成処理液に金属表面を有する基材を接触させると、基材の表面を構成する金属(例えば亜鉛)の一部が溶出してイオン化し、その対反応として、アルミニウムイオンがアルミニウム水酸化物として金属表面に析出し、さらに、ジルコニウムイオンに基づくジルコニウム化合物も金属表面に同時に析出して、防錆皮膜が形成される。したがって、形成された防錆皮膜は、乾燥後の状態で、アルミニウムおよびジルコニウムの酸化物および/または水酸化物を主成分とする皮膜である。この防錆皮膜は、アルミニウム材の表面に自然に形成される不動態化した酸化皮膜(不動態皮膜)と同じように非常に緻密で、耐食性に優れている。特に塩水噴霧環境での耐食性に優れており、仕上げ処理を施した場合には、6価クロメートと同等以上の優れた耐食性を示すようになる。したがって、有害な6価クロメートを使用することなく、海浜地域や凍結防止剤として塩が散布される寒冷地域においても、部材の長期的な耐食性を確保することが可能な防錆皮膜を提供することが達成される。
また、本発明に係る防錆皮膜は上記のように反応型の化成処理によって形成される。このため、従来技術に係る塗布型の防錆皮膜に比べて、基材が複雑な形状を有していても防錆皮膜の膜厚にばらつきが発生しにくい。したがって、外観も均一で光沢のあるものとなる上に、防錆皮膜を備える部材の寸法が安定し、高い形状精度が求められる部品への適用も可能である。
形成された防錆皮膜の膜厚は1μm未満であって、通常は数nm〜数百nmの範囲内である。この膜厚は従来のクロム化成処理皮膜の膜厚と同程度である。確認のため、後述する実施例における本発明例3に係る防錆皮膜についてXPS(X-ray photoelectron spectroscopy)を用いて深さ分析を行った。この深さ分析における防錆皮膜の単位時間当たりのスパッタ深さは約1nm/sであった。深さ分析結果を図1に示す。本発明に係る防錆皮膜は反応型の皮膜であるから、図1に示されるように濃度傾斜層が存在し、これを含めると本発明例3に係る防錆皮膜の厚さは約150nmであると見積もられる。
この防錆皮膜は、X線回折測定結果から非晶質(アモルファス)であると推定される。上述したように、この皮膜の主成分はアルミニウムおよびジルコニウムの酸化物および/または水酸化物であるが、原子%で数%以下の基材表面を構成する金属(例えば亜鉛)を含有することがある。化成処理液が他の水溶性金属含有物質(詳細は後述する。)を含有する場合には、防錆皮膜はその水溶性金属含有物質、その物質に含有される金属の水酸化物および/またはその金属の酸化物も含有する。
このように、本発明に係る化成処理液により形成された防錆皮膜は、優れた外観と耐食性を有するため、この防錆皮膜を備える部材は無塗装でそのまま使用できるが、所望によりさらに塗装を施すことも可能である。
以下に本発明に係る化成処理液の成分等について詳しく説明する。
1.化成処理液の組成
(1)アルミニウム含有物質
本発明に係る化成処理液は少なくとも一種のアルミニウム含有物質を含有する。アルミニウム含有物質は、アルミニウムイオン(Al3+)およびこれを含有する水溶性物質からなる群から選ばれる。アルミニウムイオンを含有する水溶性物質として、本発明に係る化成処理液は酸性であるから、Al[HO] 3+、アルミニウムイオンとカルボン酸化合物との配位化合物などが例示される。
アルミニウム含有物質を化成処理液に含有させるために配合される物質、つまりアルミニウム含有物質の原料物質として、水中でアルミニウム含有物質を生成することが可能な水溶性化合物(以下「水溶性アルミニウム化合物」という。)を用いることが好ましい。水溶性アルミニウム化合物を例示すれば、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムおよび硝酸アルミニウムが挙げられる。化成処理液に配合される水溶性アルミニウム化合物は一種の化合物のみで構成されていてもよいし、複数種類で構成されていてもよい。
アルミニウムは本発明に係る防錆皮膜における皮膜構成成分の一つであり、皮膜中では酸化物および/または水酸化物となって防錆機能を果たす。したがって、アルミニウム含有物質は皮膜を形成する成分、すなわち造膜成分の一つである。白錆耐食性の観点からはアルミニウム含有物質の含有量は多ければ多いほどよい。ただし、過度に多い場合には、他の成分との関係により沈殿物が形成されたり、他の成分の機能が阻害されたりすることが懸念される。したがって、本発明に係る化成処理液におけるアルミニウム含有物質のアルミニウム換算含有量は0.01〜500g/Lとすることが好ましく、0.2〜190g/Lとすればさらに好ましい。特に、アルミニウム含有物質のアルミニウム換算含有量を0.25〜7.0g/Lとすれば、優れた特性の防錆皮膜を安定的に得ることが実現される。さらに、生産コストを低減するとともに生産性を高める観点も考慮すれば、アルミニウム含有物質のアルミニウム換算含有量を0.8〜3.0g/Lとすることが好ましい。
(2)ジルコニウム含有物質
本発明に係る化成処理液は少なくとも一種のジルコニウム含有物質を含有する。ジルコニウム含有物質は、ジルコニウムイオンおよびこれを含有する水溶性物質からなる群から選ばれる。ジルコニウムイオンを含有する水溶性物質として、ジルコニウムイオンとカルボン酸化合物との配位化合物が例示される。
ジルコニウム含有物質の原料物質として、水中でジルコニウム含有物質を生成することが可能な水溶性化合物(以下「水溶性ジルコニウム化合物」という。)を用いることが好ましい。水溶性ジルコニウム化合物を例示すれば、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウムおよび硝酸ジルコニウムが挙げられる。化成処理液に配合される水溶性ジルコニウム化合物は一種の化合物のみで構成されていてもよいし、複数種類で構成されていてもよい。
ジルコニウムは本発明に係る防錆皮膜における皮膜構成成分の一つであり、皮膜中では酸化物および/または水酸化物となって防錆機能を果たす。したがって、ジルコニウム含有物質は造膜成分の一つである。白錆耐食性の観点からはジルコニウム含有物質の含有量は多ければ多いほどよい。ただし、過度に多い場合には、他の成分との関係により沈殿物が形成されたり、他の成分の機能が阻害されたりすることが懸念される。したがって、本発明に係る化成処理液におけるジルコニウム含有物質のジルコニウム換算含有量は0.01〜600g/Lとすることが好ましく、0.8〜460g/Lとすればさらに好ましい。特に、ジルコニウム含有物質のジルコニウム換算含有量を0.9〜23.0g/Lとすれば、優れた特性の防錆皮膜を安定的に得ることが実現される。さらに、生産コストを低減するとともに生産性を高める観点も考慮すれば、ジルコニウム含有物質のジルコニウム換算含有量を2.5〜8.0g/Lとすることが好ましい。
(3)酸化性物質
本発明に係る化成処理液は、少なくとも一種の酸化性物質を含有する。酸化性物質は硝酸イオンおよび過酸化水素から選ばれる。酸化性物質の機能は明確ではない。その酸化性により処理表面の金属、例えば亜鉛を溶出させて防錆皮膜の形成を促進する作用を果たしているものと考えられる。酸化性物質の含有量は特に限定されない。その含有量が過度に低い場合には上記の機能が現れず皮膜の形成が進行しにくくなる。その含有量が過度に多い場合には処理表面の表面粗さが著しく低下したり化成処理液の安定性が著しく損なわれたりする。したがって、酸化性物質の含有量は0.1〜800g/Lとすることが好ましく、1.0〜635g/Lとすればさらに好ましい。特に、酸化性物質の含有量を1.2〜33.0g/Lとすれば、優れた特性の防錆皮膜を安定的に得ることが実現される。さらに、生産コストを低減するとともに生産性を高める観点も考慮すれば、酸化性物質の含有量を5.0〜15.0g/Lとすることが好ましい。
(4)硫酸イオン
本発明に係る化成処理液は硫酸イオンを含有する。この硫酸イオンは、アルミニウム含有物質およびジルコニウム含有物質を安定化させているものと推測される。硫酸イオンの含有量は特に限定されない。その含有量が過度に低い場合には上記の機能が現れず皮膜の形成が進行しにくくなる。その含有量が過度に多い場合には処理表面の表面粗さが著しく低下したり化成処理液の安定性が著しく損なわれたりする。したがって、硫酸イオンの含有量は0.01〜1000g/Lとすることが好ましく、0.30〜790g/Lとすればさらに好ましい。特に、硫酸イオンの含有量を0.45〜40.0g/Lとすれば、優れた特性の防錆皮膜を安定的に得ることが実現される。さらに、生産コストを低減するとともに生産性を高める観点も考慮すれば、硫酸イオンの含有量を7.0〜12.0g/Lとすることが好ましい。
(5)カルボン酸化合物
本発明に係る化成処理液はカルボン酸化合物を含有する。カルボン酸化合物は、カルボキシル基(−COOH)を有する化合物であるカルボン酸、カルボン酸におけるカルボキシル基からプロトンが脱離したカルボン酸イオン、カルボン酸イオンを含む塩、ならびに加水分解などによりカルボン酸および/またはカルボン酸イオンを生成することが可能な化合物、すなわちカルボン酸誘導体からなる群から選ばれる。カルボン酸誘導体を例示すれば、エステル、酸無水物、アミド、酸ハロゲン化物およびニトリル、ならびに、カルボン酸、カルボン酸イオンおよび/または上記に例示されるカルボン酸誘導体を含む錯体が挙げられる。
カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸;トリカルバミル酸等のトリカルボン酸;グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸等のヒドロキシカルボン酸;およびグリシン、アラニン、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)等のアミノカルボン酸が例示される。
好ましいカルボン酸化合物として、多価カルボン酸化合物、ヒドロキシ多価カルボン酸化合物、およびクエン酸化合物が挙げられる。
多価カルボン酸化合物は、多価カルボン酸、多価カルボン酸イオン、多価カルボン酸塩および多価カルボン酸誘導体からなる群から選ばれる。多価カルボン酸化合物の具体例として、シュウ酸およびトリカルバミル酸が挙げられる。
ヒドロキシ多価カルボン酸化合物は、ヒドロキシ多価カルボン酸、ヒドロキシ多価カルボン酸イオン、ヒドロキシ多価カルボン酸塩およびヒドロキシ多価カルボン酸誘導体からなる群から選ばれる。ヒドロキシ多価カルボン酸化合物の具体例として、リンゴ酸および酒石酸が挙げられる。
クエン酸化合物は、クエン酸、クエン酸イオン、クエン酸塩およびクエン酸誘導体からなる群から選ばれる。
カルボン酸化合物は一種の化合物のみで構成されていてもよいし、複数種類で構成されていてもよい。
カルボン酸化合物はアルミニウム含有物質およびジルコニウム含有物質の構成要素となり、化成処理液中でアルミニウムイオンおよびジルコニウムイオンを安定化させることに寄与していると推測される。したがって、その好ましい含有量は、アルミニウム含有物質およびジルコニウム含有物質の含有量に応じて適宜決定されるべきものであり、典型的には0.01〜800g/Lであり、0.5〜650g/Lとすれば好ましい。特に、カルボン酸化合物の含有量を0.6〜33.0g/Lとすれば、優れた特性の防錆皮膜を安定的に得ることが実現される。さらに、生産コストを低減するとともに生産性を高める観点も考慮すれば、カルボン酸化合物の含有量を5.0〜10.0g/Lとすることが好ましい。
(6)その他の成分
本発明に係る化成処理液は、上記の物質に加え、水溶性金属含有物質を造膜成分として含有してもよい。
水溶性金属含有物質は、V,Fe,Cu,Sn,Mo,W,Ce,Co,Ni,Mg,Ca,Mn,およびLiから選ばれた一種または二種以上の元素を含む物質であって、具体的には、上記の元素の陽イオン、およびこれらの少なくとも一種を含む水溶性物質から選ばれる。この水溶性物質として、バナジン酸イオン、モリブデン酸イオンやタングステン酸イオンのような酸素酸イオン、および上記元素のイオンを含む配位化合物が例示される。化成処理液の安定性、光沢外観、および耐食性をバランスよく向上させるという観点から、水溶性金属含有物質に含有されることが特に好ましい元素はMo,Vである。
上記の例示された元素以外の元素を含有してもよいが、Siおよび/またはTiを含む場合には、これらが水酸化物イオンなどで架橋された重合体を形成し、これらの重合体に起因して化成処理液の経時的安定性が低下する、すなわちポットライフが短くなることがある。したがって、本発明に係る化成処理液はSiおよび/またはTiを含有しないことが望ましい。
上記の水溶性金属含有物質を含有させる場合には、その種類およびその含有量は、求められる防錆皮膜の特性や生産コストなどに応じて決定される。このため、水溶性金属含有物質の含有量の好適範囲は画一的には規定されないが、一般的には、アルミニウム含有物質のアルミニウム換算モル濃度およびジルコニウム含有物質のジルコニウム換算モル濃度の総和と同程度のモル濃度で含有させる場合が多い。
また、本発明はクロムフリー化成処理液であるから、その調製においてCrを含む物質が添加されることはない。ただし、本発明に係る化成処理液が意図せずごく微量のCrを含む物質を含有することは許容される。
本発明に係る化成処理液には、さらにアミンが配合されていてもよい。
アミンとしては、トリエチルアミン(TEA)、N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMEDA)などのモノアミン;エチレンジアミン(EDA)、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンシクロヘキサンジアミンN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン(TMHMDA)などのジアミン;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、テトラプロピレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ノナエチレンデカミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、テトラ(アミノメチル)メタン、テトラキス(2−アミノエチルアミノメチル)メタン、1,3−ビス(2’−アミノエチルアミノ)プロパン、トリエチレン−ビス(トリメチレン)ヘキサミン、ビス(3−アミノエチル)アミン、ビスヘキサメチレントリアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルアミン、4,4’−イソプロピリデンビスシクロヘキシルアミン、ノルボルナジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジプロピレン−トリアミン(PMDPTA)、テトラメチルグアニジン(TMG)などのポリアミン;トリエチレンジアミン(TEDA)、N,N’−ジメチルピペラジン(DMP)、N−メチルモルホリン(NMMO)などの環状アミン;ヒドロキシエチルヒドラジン、ヒドロキシエチルジエチレントリアミン、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール、3−アミノプロパンジオールジメチルアミノエタノール(DMEA)、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン(MHEP)などのアルコールアミンが挙げられる。
これらのアミンは、アルミニウム含有物質、ジルコニウム含有物質および/または水溶性金属含有物質の構成要素となることによって、アルミニウムイオン、ジルコニウムイオン、上記の元素を含むイオンを化成処理液中で安定化させていると考えられる。好ましいアミンは、EDAなどのジアミンである。
アミンは化成処理液の安定性を高める観点で添加されるため、水溶性アルミニウム化合物など他の配合成分の種類およびそれらの含有量、ならびにアミンの機能に応じて、その含有量は適宜決定される。このため、好適な含有量範囲は画一的には規定されないが、一般的には0.1〜1g/Lオーダーで添加される場合が多い。
また、本発明に係る化成処理液は有機インヒビターを含有していてもよい。
有機インヒビターとしては、インヒビターとして公知のもの、例えば、窒素および/またはイオウを含有する複素環式有機化合物、チオカルボニル化合物などを使用することができる。前記複素環式有機化合物の例としては、1,10−フェナントロリン、2,2'−ピピリジル、ジフェニルチオカルバゾン、ピロール−2−カルボキシアルデヒド、ベンゾトリアゾール、8−キシリノール、2−メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール等が挙げられる。チオカルボニル化合物の例としては、チオ尿素、1,3−ジエチルチオ尿素、ジメチルチオカルバミン酸、エチレンチオ尿素、フェニルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、ジメチルキサントゲンスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等が挙げられる。
インヒビターの含有量は特に限定されない。一般に2g/L以下、通常は1g/L以下の濃度で含有される。
インヒビターの添加により、耐食性の向上効果が期待される。
さらに、本発明に係る化成処理液には、上記以外に、金属成分の対アニオンを含有しうるが、化成処理液の安定性の観点から、対アニオンはリン酸イオン以外のものとすることが好ましい。
このほか、化成処理液から得られる防錆皮膜の特性を損なわない範囲で、界面活性剤、消泡剤などが添加されていてもよい。
なお、本発明に係る化成処理液は、有機造膜成分を含有しない。有機造膜成分とはいわゆる有機バインダー成分であって、溶媒に対して溶解性または分散性を有するモノマーおよび/またはポリマーから構成される。有機造膜成分は、これを含有する化成処理液が塗布されてなる塗布液層を有する基材を水洗することなく基材を乾燥させて、その塗布液層の溶媒を揮発させることによって、防錆皮膜の構成成分となる。したがって、有機造膜成分は主として塗布型の化成処理液において含有される成分である。これに対し、反応型の化成処理液の場合には、化成処理液に所定時間接触させた基材は水洗される。このため、有機造膜成分は皮膜を形成する前に水洗工程により基材表面から洗い流されてしまう。したがって、反応型の化成処理液に有機造膜成分を含有させても、その成分が防錆皮膜の構成成分となることは実質的に不可能である。したがって、反応型の化成処理液である本発明に係る化成処理液は、有機造膜成分を実質的に含有しない。
(7)溶媒、pH
本発明に係る化成処理液の溶媒は水を主体とし、含有成分、例えばアミンなどの溶解度を高める観点から、アルコール、エーテル、エステルなど水に対して可溶な有機溶媒を混在させてもよい。有機溶媒の全溶媒に対する比率は特に限定されないが、排水処理のしやすさの観点などから、10質量%以下とすることが好ましい。
本発明に係る化成処理液は酸性の液状体であるから、そのpHは7.0未満となる。化成処理液の安定性の観点からはpHが6.0以下であることが好ましく、生産コストを低減するとともに生産性を高める観点も考慮すればpHは1.0〜5.0であることが好ましく、1.2〜4.0とすることがさらに好ましい。
pHの調整は、適当な濃度に設定した公知の酸やアルカリの水溶液を用いて行えばよい。好ましい酸は上記の必須成分でもある硝酸および硫酸であり、好ましいアルカリは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアである。
2.防錆皮膜の製造方法
本発明に係る防錆皮膜を有する部材を製造するための工程順は次のとおりである(かっこ内は任意工程)。
(活性化処理→水洗)→化成処理→水洗→(仕上げ処理)→乾燥
上記工程順は、従来の反応型クロム化成処理と同様である。また、各処理に用いる処理液は異なるが、処理操作そのものは従来のクロム化成処理と同様である。このため、従来のクロム化成処理のための設備をそのまま用いて実施することができる。なお、活性化処理(およびその後の水洗)と仕上げ処理はいずれも省略可能であるが、いずれも実施することが好ましい。活性化処理は防錆皮膜の均一形成に有効であり、仕上げ処理は耐食性向上に有効である。
以下に各工程について説明する。
(1)活性化処理工程
活性化処理は、基材の金属表面の活性化のための任意の処理液を用いて実施することができる。一般には酸洗により行われる。酸洗は、硝酸、塩酸、硫酸などの無機強酸水溶液を用いて行うことが好ましい。特に好ましいのは、硝酸水溶液である。
金属表面が亜鉛含有めっきからなる場合には、活性化用の無機酸水溶液(以下、「活性化処理液」という。)は、表面調整の目的で、Znより貴な金属イオンとキレート剤とを含有することが好ましい。これらを含有することにより、酸による亜鉛含有めっき表面の活性化(反応を阻害する表面酸化層などの除去)に加えて、活性が高すぎて化成反応が過度に起こり易い部位、例えば基材の端部において、Znが溶解して代わりにZnより貴な金属イオンが析出する置換めっきが生じる。この析出した金属はさらなるZnの溶解を抑制するため、表面調整(レべリング)の作用を有する。したがって、基材が複雑形状であっても、次工程の化成処理が基材の全体にわたって特に均一に発生しやすくなる。
Znより貴な金属イオンの好ましい例としてはFe,In,Co,Ni,Mo,Sn,Cu,Pd,Agなどの金属のイオンが挙げられる。Pb,Cr,Cdのように有害性が指摘されている金属のイオンは避けることが好ましい。金属イオンの供給源は限定されない。無機酸または有機酸との塩でもよい。活性化処理液に可溶であれば水酸化物または酸化物であってもよい。活性化処理液に可溶であれば金属それ自体であってもよい。
キレート剤は、上記の金属イオンに配位して、金属イオンによる置換めっきが過剰に発生することを防止する。それにより、置換めっきが特に活性な部分だけに生じるようにすることが実現される。キレート剤としては従来から公知の各種のキレート剤を使用することができる。好ましいのは多価アミン(例、EDTAおよびその誘導体)およびチオール基含有化合物(例、チオグリコール酸、メルカプトコハク酸)といった、窒素またはイオウを含有する有機化合物である。この種のキレート剤は有機インヒビターとしても機能しうる。
基材の金属表面を清浄化する目的で、界面活性剤を所望により活性化処理液に含有させることができる。界面活性剤の種類は特に制限されず、ノニオン型、カチオン型、アニオン型のいずれでもよい。
活性化処理は、活性化処理液に基材を所定時間接触させることにより行う。接触方法は限定されない。接触方法として、浸漬、噴霧、ロールコートなどが例示される。処理条件(液温、接触時間)は、処理の目的が達成されれば特に制限されず、活性化用無機酸水溶液の組成に応じて適宜設定される。温度は室温〜80℃の範囲が一般的であり、好ましくは20〜50℃である。処理時間は温度に依存し、通常は5〜300秒の範囲内であろう。活性化処理液に接触させた後の基材の水洗は常法により行えばよい。例えば、浸漬または噴霧により行うことができる。
(2)化成処理工程
化成処理は、活性化処理とその後の水洗の後、乾燥させずに直ちに行うことが好ましいが、乾燥してしまっても、経過時間が短ければ、そのまま化成処理を施すことができる。
化成処理は、基材の金属表面に化成処理液を接触させることにより行われる。化成処理液との接触方法は特に限定されない。金属表面を有する基材を本発明に係る化成処理液に浸漬させたり、その基材に化成処理液をスプレー噴霧したり、化成処理液が含浸されたロールを基材に接触させたりすればよい。
処理条件(処理温度、処理時間)は処理の目的に十分な厚みの防錆皮膜が形成されるように、化成処理液の組成を考慮して適宜設定すればよい。化成処理温度は一般に10〜80℃であり、好ましくは20〜50℃である。処理時間は、温度に依存し、通常は5〜300秒の範囲内であろう。ただし次の点を考慮すると、接触時間は生産性を高めるために1分を上限とすることが好ましい。
(i)本発明に係る防錆皮膜は薄膜であっても高い白錆耐食性を有する。
(ii)本発明に係る化成処理は基材表面を構成する金属と置換しつつ化成処理液の成分に基づく物質が基材表面に析出する処理(反応型化成処理)であるため、処理時間を過度に長くしても防錆皮膜の厚みは飽和する。
(3)水洗
上記の化成処理液に接触させた後の基材の水洗は常法により行えばよい。このように本発明に係る防錆皮膜の製造方法においては、化成処理後に水洗を行うことによって防錆皮膜の形成に直接関与せず部材の表面に残留した化成処理液を除去する。このため、この水洗後の部材を乾燥させることによって得られる本発明に係る防錆皮膜の厚みは、従来技術に係る塗布型の防錆皮膜に比べてはるかに薄く、一般には数〜数百nmの範囲である。このように薄膜であることから、防錆皮膜の厚みはばらつきが少ない。また、防錆皮膜が形成された部材同士が衝突しても皮膜が破壊されにくい。
(4)仕上げ処理
上記のように、本発明により基材の表面に形成される防錆皮膜は耐食性に優れているが、その上にさらに仕上げの被覆処理を施してもよい。仕上げ処理は、化成処理後の水洗の後、直ちに行うことが好ましいが、防錆皮膜が乾燥した後に行ってもよい。
この仕上げ処理の種類は特に限定されない。仕上げ処理剤の一例としては、皮膜形成性のケイ素化合物を主成分とする溶液が挙げられる。皮膜形成性のケイ素化合物の例としては、アルキルシリケート(テトラアルコキシシラン、例えばエチルシリケート)、アルカリ金属ケイ酸塩(ケイ酸リチウム、カリウム、ナトリウムなど)、コロイダルシリカ(シリカゾル)、ならびにシランカップリング剤を挙げることができる。
仕上げ処理を行うことにより、白錆耐食性がさらに改善される。なお、仕上げ処理を行っても防錆皮膜全体の厚みは数μm以下程度の薄膜とすることができる。このため、例えば、微小ネジ部を有する微小ボルトといった小型および/または精密な部品に対しても仕上げ処理を適用することが可能である。
(5)乾燥
上記の化成処理後の基材、またはその後にさらに仕上げ処理が行われた場合には、仕上げ処理剤が塗布された基材を、最後に乾燥する。なお、仕上げ処理を行う場合には、化成処理工程後の水洗工程と仕上げ処理工程との間においてさらに乾燥を行ってもよい。
乾燥により、防錆皮膜では、皮膜中の水酸化物が脱水反応により完全または部分的に酸化物(すなわち、酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウム)に変化する。仕上げ処理を行った場合には、仕上げ皮膜において、加水分解性のケイ素化合物など金属化合物が完全に加水分解して金属水酸化物になり、さらに脱水により金属酸化物になる変化が起こる。
乾燥条件は特に限定されない。従来技術に係る塗布型の防錆皮膜に比べると、乾燥させるべき塗布層の厚みが薄いことから、より緩やかな乾燥条件とすることができる。典型的には、基板到達温度として10〜150℃、好ましくは40〜120℃であり、乾燥時間は処理温度にも依存するがおおむね1分〜15分である。このように乾燥条件が比較的緩やかであることから、従来技術に係る塗布型の防錆皮膜の製造設備よりも小規模の設備とすることができ、また生産に要するエネルギー消費も少ない。さらに、乾燥に伴う基材の寸法変化(熱変形)が発生しにくいため、部材が高い加工精度を求められる場合であっても、基材の二次加工精度を塗布型の化成処理に比べて緩和することができる。このため、乾燥工程における不良品の発生も抑制される。したがって、塗布型の化成処理に比べて高い生産性を実現可能である。
3.基材
本発明に係る化成処理が行われる基材は、金属表面を有していれば特に制限されない。好ましい素材は金属材であり、特に、亜鉛含有めっきが施された鋼材が特に好ましい。この亜鉛含有めっきの組成は、純亜鉛でもよいし、亜鉛合金でもよい。亜鉛合金の例としては、これらに限られないが、亜鉛−鉄合金、亜鉛−ニッケル合金、亜鉛−アルミニウム合金めっき等が挙げられる。亜鉛合金の亜鉛含有量は50質量%を下回る量(例、Zn−55%Al合金)であってもかまわない。亜鉛含有めっきの厚みは特に制限されないが、寸法精度を要求される場合には、3〜15μm程度の薄膜とすることが好ましい。めっき方法は電気めっきでも溶融めっきでもよく、溶融めっきの場合には合金化処理がめっき後に施されてもよい。
また、基材の形状も特に限定されず、複雑な凹凸を有する二次加工品であっても優れた特性を有する防錆皮膜を形成可能である。基材の具体例として、例えば、ボルト、ナット、リベット、ワッシャーなどの小物部品、プレス加工品、切断加工品、鍛造品などの各種加工部品などが挙げられる。もちろん、線材、薄板などの一次加工品に対して本発明を適用してもよい。
4.化成処理液を調製するための濃厚組成物
上記の化成処理液の主要成分が5から20倍程度に濃縮された組成を有する液状組成物(以下、「化成処理用濃厚液」という。)を用意すれば、各成分の濃度を個別に調製する手間が省ける上に、保管が容易であるから、好ましい。
この化成処理用濃厚液を調製する場合には、水溶性アルミニウム化合物など化成処理液に配合された化合物の溶解度も考慮してその濃度に上限が設定される。具体的には、全液状組成物に対して、硝酸イオンおよび過酸化水素から選ばれた一種以上の酸化性物質を6.0〜660g/L;クエン酸、クエン酸イオン、クエン酸塩およびクエン酸誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種のクエン酸化合物をクエン酸換算で3.0〜660g/L;少なくとも一種のアルミニウム含有物質をアルミニウム換算で1.25〜140g/L;少なくとも一種のジルコニウム含有物質をジルコニウム換算で4.5〜460g/L;ならびに硫酸イオンを2.25〜800g/L含有する組成物を準備すれば、所定の溶媒、通常は水を用いて5倍以上の適切な倍率でこの液状組成物を希釈する工程を含む調製工程によって、全処理液に対して、酸化性物質を1.2〜33.0g/L、クエン酸化合物をクエン酸換算で0.6〜33.0g/L、アルミニウム含有物質をアルミニウム換算で0.25〜7.0g/L、ジルコニウム含有物質をジルコニウム換算で0.9〜23.0g/L、および硫酸イオンを0.45〜40.0g/L含有する化成処理液を容易に得ることが実現される。
本発明の取りうる態様のいくつかを実施例として以下に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
1.亜鉛含有めっき材の作製
長さが100mm、ネジ部長さ50mmのM10ボルトおよび対応するナット(いずれもSPCCからなる。)に下記のいずれかの亜鉛含有めっきを電気めっきにより形成することにより、基材としての亜鉛含有めっき材を作製した。なお、電気めっきは、いずれの場合も慣用のバレルめっき法により実施した。
(1)亜鉛めっき
酸性亜鉛めっき液を用いて電気亜鉛めっきを8μm厚に施した。めっき作業はユケン工業(株)製メタスMZ−11プロセスに従って実施した。
(2)亜鉛−鉄合金めっき
共析率が0.4%になるように調整したジンケート亜鉛−鉄合金めっき液を用いて、電気亜鉛−鉄合金めっきを8μm厚に施した。めっき作業はユケン工業(株)製メタスAZプロセスに従って実施した。
(3)亜鉛−ニッケル合金めっき
共析率が15%になるように調整した亜鉛−ニッケル合金めっき液を用いて、電気亜鉛−ニッケル合金めっきを8μm厚に施した。めっき作業はユケン工業(株)製メタスANT−28プロセスに従って実施した。
(比較例1〜4)
本比較例は、従来技術に係るクロムフリー化成処理液を用いた化成処理を例示するためのものである。ただし、本発明例との効果の差異を明確にするため、化成処理後の水洗を全ての比較例において行った。
上述した亜鉛めっきが施された亜鉛含有めっき材1kgを、樹脂コーティングを施した金属製バスケットに入れ、常法に従って「活性化→水洗1→化成処理→水洗2→乾燥」の工程順で処理を実施した。各工程の詳細は次のとおりである。
[活性化]
常温の62.5%硝酸1%(10ml/L)の希硝酸溶液を用意し、亜鉛含有めっき材が入ったバスケットを揺動させながらその溶液に10秒間浸漬することにより行った。
[水洗1]
活性化処理後、亜鉛含有めっき材が入ったバスケットを揺動させながら常温の洗浄水に10秒間浸漬することにより亜鉛含有めっき材を水洗した。
[化成処理]
化成処理は、表1に示される化成処理液(処理液1から4)を用いて、表2に示される条件で、亜鉛含有めっき材が入ったバスケットを揺動させながら化成処理液に浸漬することにより実施した。なお、表1に記載される化成処理液の組成における金属成分の濃度は、各金属を含有する化合物の金属換算含有量である。
[水洗2]
化成処理後の水洗工程では、上記水洗1と同様の処理を化成処理後の亜鉛含有めっき材に対して行った。
[乾燥]
水洗工程後の亜鉛含有めっき材をバスケットに入れたまま遠心脱水乾燥器に入れ、設定温度60℃で10分間処理して乾燥を行い、従来技術に係る防錆皮膜を備える部材を得た。
Figure 2010064659
Figure 2010064659
(本発明例1〜39)
表2または4に示されるいずれかの材料からなるめっき層が電気めっきにより形成された亜鉛含有めっき材各1kgを、樹脂コーティングを施した金属製バスケットに入れ、本発明に従って「活性化→水洗1→化成処理→水洗2→乾燥」の工程順で処理を実施した。各工程の詳細は次のとおりである。
[活性化]
常温の62.5%硝酸1%(10ml/L)の希硝酸溶液を用意し、亜鉛含有めっき材が入ったバスケットを揺動させながらその溶液に10秒間浸漬することにより行った。
[水洗1]
活性化処理後、亜鉛含有めっき材が入ったバスケットを揺動させながら常温の洗浄水に10秒間浸漬することにより亜鉛含有めっき材を水洗した。
[化成処理]
化成処理は、表1または3に示される化成処理液(処理液5から17)を用いて、表2または4に示される条件で、亜鉛含有めっき材が入ったバスケットを揺動させながら化成処理液に浸漬することにより実施した。なお、表1および3に記載される化成処理液の組成における金属成分の濃度は、各金属を含有する化合物の金属換算含有量である。
[水洗2]
化成処理後の水洗工程では、上記水洗1と同様の処理を化成処理後の亜鉛含有めっき材に対して行った。
[乾燥]
水洗工程後の亜鉛含有めっき材をバスケットに入れたまま遠心脱水乾燥器に入れ、設定温度60℃で10分間処理して乾燥を行い、本発明に係る防錆皮膜を備える部材を得た。
Figure 2010064659
Figure 2010064659
2.評価方法
こうして処理した亜鉛含有めっき部材について、外観、化成処理液の安定性および耐食性を以下のように評価した。
(1)外観
目視により光沢や色調について観察した。
(2)耐食性
防錆皮膜が形成された部材(ボルトおよびナット)をそのままの状態で塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)に供し、24時間単位で目視により観察し、白さびの発生が認められたときに、その試験部材の累積塩水噴霧時間を白錆発生時間として、その試験部材の耐食性の指標とした。
(3)液の安定性
i)化成処理液を作製直後に沈殿等の発生および透明度の低下の観点で目視により観察した。判定基準は次のとおりである。
A:液は透明であり、沈殿の発生は認められない。
B:液は白濁するが、沈殿の発生は認められない。
C:沈殿の発生が認められる。
ii)作製した処理液を密閉して40℃の環境に1週間保管し、保管後の化成処理液について沈殿等の発生および透明度の低下の観点で目視により観察した。判定基準は次のとおりである。
A:液は透明であり、沈殿の発生は認められない。
B:液は白濁するが、沈殿の発生は認められない。
C:沈殿の発生が認められる。
D:作製直後から存在した沈殿がさらに進行している。
3.評価結果
試験結果を表5および6にまとめて示す。
Figure 2010064659
Figure 2010064659
比較例1〜4に示される従来技術に係る化成処理液を用いた化成処理では、化成処理後に水洗を行っているにもかかわらず、凹凸を有する小物部品であるボルトに対して、光沢のある美麗な色調の防錆皮膜を均一に形成することができなかった。具体的には、白濁であったり、緑っぽかったり、茶色っぽかったりしていた。また、防錆皮膜の耐食性も芳しくなく、白錆発生までの時間は最大でも96時間であった。さらに、化成処理液の安定性も悪く、1週間放置後も高い透明度を保つことができた化成処理液は存在しなかった。
これに対し、本発明例1〜39に示されるように、本発明に係る化成処理液を用いた化成処理では、クロム化成処理に匹敵する光沢ある美麗な色調の防錆皮膜が均一に形成された。また、耐食性については、従来の反応型クロム化成処理に匹敵する良好な結果が得られた。さらに、液の安定性にも優れ、いずれの化成処理液も1週間放置しても白濁や沈殿を生じなかった。なお、本発明例8および17については、光沢の防錆皮膜ではあったものの、その光沢度の程度の面内均一性が若干低下していた。

Claims (10)

  1. 金属表面への防錆皮膜の形成に使用される反応型化成処理用のクロムフリー酸性液状組成物であって、
    硝酸イオンおよび過酸化水素から選ばれた少なくとも一種の酸化性物質;カルボン酸、カルボン酸イオン、カルボン酸塩およびカルボン酸誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種のカルボン酸化合物;少なくとも一種のアルミニウム含有物質;少なくとも一種のジルコニウム含有物質;ならびに硫酸イオンを含有し、有機造膜成分を実質的に含有しない組成物。
  2. 前記カルボン酸化合物が、多価カルボン酸、多価カルボン酸イオン、多価カルボン酸塩および多価カルボン酸誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種の多価カルボン酸化合物を備える、請求項1記載の組成物。
  3. 前記カルボン酸化合物が、ヒドロキシ多価カルボン酸、ヒドロキシ多価カルボン酸イオン、ヒドロキシ多価カルボン酸塩およびヒドロキシ多価カルボン酸誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種のヒドロキシ多価カルボン酸化合物を備える、請求項1記載の組成物。
  4. 前記カルボン酸化合物が、クエン酸、クエン酸イオン、クエン酸塩およびクエン酸誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種のクエン酸化合物を備え、
    全組成物に対して、前記酸化性物質を1.2〜33.0g/L、前記クエン酸化合物をクエン酸換算で0.6〜33.0g/L、前記アルミニウム含有物質をアルミニウム換算で0.25〜7.0g/L、前記ジルコニウム含有物質をジルコニウム換算で0.9〜23.0g/L、および硫酸イオンを0.45〜40.0g/L含有する請求項1記載の組成物。
  5. V,Fe,Cu,Sn,Mo,W,Ce,Co,Ni,Mg,Ca,Mn,およびLiから選ばれた一種または二種以上の元素を含む、少なくとも一種の水溶性金属含有物質をさらに造膜成分として含有する、請求項1記載の組成物。
  6. 基材の表面上に防錆皮膜を備える部材の製造方法であって、
    当該基材は金属表面を有し、
    硝酸イオンおよび過酸化水素から選ばれた少なくとも一種の酸化性物質;カルボン酸、カルボン酸イオン、カルボン酸塩およびカルボン酸誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種のカルボン酸化合物;少なくとも一種のアルミニウム含有物質;少なくと一種のもジルコニウム含有物質;ならびに硫酸イオンを含有し、有機化合物からなる造膜成分を実質的に含有しないクロムフリーの酸性液状体からなる組成物を、前記基材の金属表面と接触させる化成処理工程、
    当該化成処理工程を経た基材を水洗する水洗工程、
    当該水洗工程を経た基材を乾燥する乾燥工程を備える製造方法。
  7. 前記組成物がV,Fe,Cu,Sn,Mo,W,Ce,Co,Ni,Mg,Ca,Mn,およびLiから選ばれた一種または二種以上の元素を含む、少なくとも一種の水溶性金属含有物質をさらに造膜成分として含有する、請求項6記載の組成物。
  8. 前記基材が金属材の二次加工品である請求項6記載の方法。
  9. 請求項6に記載の方法により形成された防錆皮膜を備える部材。
  10. 金属表面への防錆皮膜の形成に使用される反応型化成処理用組成物を製造するためのクロムフリー液状組成物であって、全組成物に対して、硝酸イオンおよび過酸化水素から選ばれた一種以上の酸化性物質を6.0〜660g/L;クエン酸、クエン酸イオン、クエン酸塩およびクエン酸誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種のクエン酸化合物をクエン酸換算で3.0〜660g/L;少なくとも一種のアルミニウム含有物質をアルミニウム換算で1.25〜140g/L;少なくとも一種のジルコニウム含有物質をジルコニウム換算で4.5〜460g/L;ならびに硫酸イオンを2.25〜800g/L含有する液状体。
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