JPWO2010041770A1 - 含炭非焼成ペレットを用いる高炉操業方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、鉄含有原料として焼成ペレットを多量に使用する高炉操業において、含炭非焼成ペレットを焼成ペレットに混合して還元性の劣る焼成ペレットに近接させて装入することで、炉内の融着帯近傍での還元遅延部位をなくし、薄い融着帯構造とすることで、高炉操業時の燃料原単位の低減効果が大幅に発揮される高炉操業方法であって、高炉の炉頂から鉄含有原料とコークスを交互に層状に装入する高炉操業方法において、(i)予め含炭非焼成ペレットと焼成ペレットを混合し、該含炭非焼成ペレットと前記焼成ペレットの混合物を、前記鉄含有原料層の一部と代替するように装入し、かつ、(ii)前記含炭非焼成ペレットの使用原単位R(kg/tp)と焼成ペレットの使用原単位P(kg/tp)の比R(kg/tp)/P(kg/tp)が0.09〜0.31となるように前記含炭非焼成ペレットと前記焼成ペレットの混合割合を調整する。

Description

本発明は、含有カーボンによる自己還元性を高めた含炭非焼成ペレットを製造し、高炉に他の主原料とともに炉頂から装入することにより、炉内の低反応性部位を選択的に改善し、高炉の還元材比を低減させる高炉の操業方法に関する。
一般的な高炉操業においては、鉄含有原料として、焼結鉱、焼成ペレット、塊鉱石が使用されている。国内では焼結鉱使用比率が最も高く、その割合は70〜90%である。一方、焼成ペレットも5〜20%使用されている。これらの鉄含有原料は、鉱石槽から切り出され、高炉の炉頂点から炉内に装入される段階で、粒度や、見掛け比重、形状の違いから偏析作用を受ける。
これらの含鉄装入物は、高炉内で塊コークスと層状になるように、順々に、炉頂部から装入される。また、この際、炉内での鉄含有原料の還元を促進し、かつ、高温融着状態での通気抵抗を低減する目的で、小粒又は中粒の小塊コークスを鉄含有原料と混合することも一般的に行われている。
鉄含有原料の高炉内の還元過程において、還元速度が最も遅いのは、ウスタイト(FeO)から鉄(Fe)への還元段階であり、この反応は、高炉シャフト部の800℃以上の温度領域で起こる。この反応は、ガス組成の影響が大きく、1000℃付近の温度で起こるコークスのガス化反応(ソルーションロス反応)の大小によって、速度が律速されている。
微粒のカーボン原料と酸化鉄が近接している含炭非焼成ペレットは、その含炭ペレット自身の還元性に優れるばかりでなく、カーボン含有量を、ある一定量以上含有するので、その高いコークス反応性によって、含鉄含有原料の還元性が飛躍的に向上することが知られている。
高炉用鉄含有原料は、約2〜3mmの平均粒度の粉状鉄鉱石を主要な鉄含有原料とし、これに、石灰石、珪石などの副原料、粉コークス、無煙炭などの炭材を配合し、さらに、水分を添加して混合、造粒して擬似粒子とし、その後、焼結機で原料中の炭材を熱源として、加熱、焼結して得られる焼結鉱が主流を占めている。
この方法における焼結原料の擬似粒子は、主として、粒径が約1mm以上の粗粒子を核として、この周囲に、粒径が約0.5〜1mm未満の微粉粒子が付着した造粒物となる。この擬似粒子は、焼結機内の焼結原料充填層の通気性を維持し、焼結反応を良好に進行させるために、焼結原料の装入時や、さらに、加熱・乾燥され、焼結されるまでの間に崩壊しないだけの冷間強度が要求される。
通常、焼結原料を擬似粒子に造粒するためには、ドラムミキサーを用いて、焼結原料の混合とともに、造粒を行うことが多い。
一方、製鉄プロセスにおいて多量に発生する焼結ダスト、高炉ダストなどを集塵機などで回収した含鉄ダスト、さらに、スラッジ、スケール粉等の微粉のダスト(これらは、一般に、製鉄ダストと称する)や、ペレットフィード(ペレット用原料)などの微粉状原料も、鉄含有原料として用いられる。
しかし、これらの微粉原料は、粒径0.25mm以下の微粉粒子が全体の80%以上を占めるため、これらを焼結原料として用いる場合には、微粉粒子による原料充填層の通気性悪化、生産性低下などの問題が生じ易い。
このような微粉状原料を、主要な鉄含有原料として焼結する場合には、予め、混合機を用いて鉄含有原料と副原料に水分を添加し混合した後、さらに、ドラムミキサーに比べて造粒強度が高いディスクペレタイザーなどの造粒機を用いて、粒径0.25mm以下の微粉粒子を主体する球状の生ペレットを製造し、その後、燃焼ガスなどを熱源とする外部加熱型焼結機を用いて焼結を行い、焼成ペレットを製造する。
一方、微粉状原料は、造粒して生ペレットにした後、養生(生石灰などの水和反応や炭酸塩化処理)により造粒物の強度を高めた後、焼結せずに、そのまま、高炉用鉄原料として使用する非焼成ペレットも古くから知られている。
非焼成ペレットの製造方法としては、高炉2次灰、転炉ダスト、焼結ダスト、スラリーなどの製鉄所で発生する製鉄ダストを生ペレットに造粒する際に、ダストの粒度分布を適正範囲に調整し、生石灰、セメントなどの結合材(バインダー)と5〜15%の水分を添加し、ディスクペレタイザー等により造粒し生ペレットを製造した後、ヤード堆積等により数日間養生(CaO系バインダーの水和反応、炭酸塩化反応の促進)して硬化させるコールドボンドペレットの製造方法が知られている(例えば、特許文献1、参照)。
また、近年、高炉操業における還元材比の低減を目的とし、上記非焼成ペレットプロセスを利用して、炭素含有量の高い非焼成ペレットを製造する方法も提案されている(例えば、特許文献2〜5、参照)。
例えば、含酸化鉄原料とカーボン系炭材を配合しバインダーを加えて混錬、成型、養生してなるカーボン内装非焼成ペレットにおいて、鉄鉱石類の酸化鉄を還元し金属鉄とするために必要な理論炭素量の80〜120%のカーボンを含有し、かつ、常温での圧潰強度7850kN/m(80kg/cm)以上となるようにバインダーを選択して混合、成型、養生してなることを特徴とする高炉用のカーボン内装非焼成ペレット及びその製造方法が提案されている(例えば、特許文献2、参照)。
この方法によれば、一般に還元ガスの温度とガス組成(ηCO=CO/(CO+CO))との関係から、酸化鉄の還元反応の進行が制約される高炉シャフト部の熱保存帯と還元反応平衡帯においても、900〜1100℃の温度領域で、非焼成ペレット中の酸化鉄は、内装するカーボンにより還元反応を起こす結果、還元率が向上するため、高炉操業時の還元材比の低減効果が期待できる。
しかしながら、これらの方法では、非焼成ペレットに内装するC含有量は、酸化鉱を還元し金属鉄とするために必要な理論炭素量(以下、C当量ということがある)で120%以下(全カーボン含有量(T.C)は、約15質量%以下に相当する)に制限され、これ以上C含有量を増加すると、非焼成ペレットの冷間圧潰強度および熱間強度が損なわれるという問題があった。
さらに、これらの方法では、炭材を内装した非焼成ペレットの冷間圧潰強度を維持するために、生石灰に代えて、早強ポルトランドセメントなどのセメント系のバインダーを使用するため、バインダーの添加量を増加させると吸熱反応であるセメントの脱水反応により高炉内のシャフト部での昇温速度が低下するだけでなく、低温での還元停滞域(低温熱保存帯)を発生させ、高炉用鉄原料として装入する焼結鉱の高炉内の還元粉化を助長させてしまう点が問題であった。
また、炭材と鉄鉱石からなる炭材内装非焼成ペレットであって、炭材の軟化溶融時の最高流動度と鉄鉱石の10μm以下の酸化鉄粒子の割合との関係を規定した、還元性と還元後の強度に優れた炭材内装非焼成ペレットが提案されている(例えば、特許文献3、参照)。
この方法によれば、炭材内装非焼成ペレット中の炭材が260〜550℃の温度域で軟化溶融、固化することを利用し、酸化鉄粒子間の空隙に溶融した炭材を侵入、固化させ、炭材と酸化鉄の接触面積を大きくし、熱伝導性を改善して還元効率を高めるとともに、酸化鉄粒子同士の結合を強めることにより、還元後の強度(熱間強度)も向上させることができる。
しかし、この方法により、炭材内装非焼成ペレットの被還元性と還元後の強度(熱間強度)を向上させるためには、最高流動度の高い石炭類を炭材として利用しなければならないため、省エネルギー、省資源を前提とした高炉操業時の還元材比の低減という目的の点から好ましい方法とは言い難い。
また、粉鉱石と、揮発分が16%以上、ギーセラー流動度が20DDPM以上の粘結炭(炭材)を混合し、260〜550℃の温度域で、成形圧20〜150MPaで熱間成形した後、成形温度範囲で5分間以上の脱ガス処理を行うことを特徴とする、見掛け密度が2.3g/cm以上の還元鉄用塊成化物も提案されている(例えば、特許文献4、参照)。
この方法によれば、炭材が軟化溶融、固化する260〜550℃の温度域で熱間成形して、酸化鉄粒子どうしを炭材で強固に連結し、見掛け密度が2.3g/cm以上の塊成化物とした後、脱ガス処理により炭材からの揮発分を抜くことにより、塊成化物の強度を高め、還元中の塊成化物の膨れによる割れを防止するものである。
しかし、この方法は、熱間ブリケット成型や、脱ガス処理を必要とするため、製造時のエネルギー消費が高く、製造コストが高くなる点で経済的に不利な方法であり、また、造粒法に比べて塊成物の密度が高くなるため、塊成物中の炭材のガス化や酸化鉄の還元反応で発生するCO、COガスによる爆裂(バーステイング)が発生し易い。
また、粒径が3〜25mmの炭材を核とし、核を内包する外周層を粒径が1mm以下の鉄原料と炭材との混合物とし、核としての炭材の体積分率がペレット全体の0.2〜30vol%で、外周層中の炭材の含有率が5〜25wt%であり、ペレット全体の全カーボン含有量が25〜35質量%と高い、2重構造の炭材内装非焼成ペレットが提案されている(例えば、特許文献5、参照)。
この技術によれば、外周層中に含有する粒径が1mm以下の炭材により酸化鉄を還元し、外周層が融液化した場合に、核としての炭材を浸炭源として機能させることにより、高炉内での被還元性を改善する他、浸炭作用による溶銑の滴下挙動を改善し、高炉操業時の燃料比低減と融着帯部の通気抵抗を低減することができる。
しかし、この粒径および炭材と酸化物の組成が異なる2重構造からなり、全カーボン含有量が25質量%以上と高いペレットは、冷間の磨耗強度が低くなるという問題がある。また、このような特殊な2重構造を有するペレットを製造するためには、製造工程が複雑となり、強度維持のために多量のバインダーが必要となるなど、製造時の生産性やコストの点から不利な方法であった。
以上のように、従来の含炭非焼成ペレットは、高炉用原料として要求される冷間圧潰強度50kg/cm以上を維持するために、炭素含有量を15質量%(炭素当量で1.2に相当)に制限せざるを得なかったため、上記含炭非焼成ペレット中の酸化鉄の直接還元は十分に促進できても、上記含炭非焼成ペレット以外の焼結鉱などの主要な高炉用鉄含有原料の還元を十分に促進することはできなかった。
また、従来法によりポルトランドセメントなどの水硬性バインダーを多量に添加することで、含炭非焼成ペレットの冷間圧潰強度は、ある程度まで向上できるが、高炉内の還元温度域で、上記バインダーは脱水反応を起こすため、十分な熱間強度を維持することはできなかった。
したがって、比較的安価でかつ単純な製造方法を用いて、含炭非焼成ペレットと高炉用鉄含有原料の被還元率を向上し、高炉操業時の還元材比を大幅に低減するために、十分な炭素含有量を有し、かつ、冷間強度とともに還元温度域での熱間強度(還元時の強度)にも優れた炭材内装非焼成ペレットの製造方法の開発が望まれている。
一方、高炉用鉄含有原料の中でも、焼成ペレットは、還元過程において、還元ガスによりペレット表面から還元が進行する強いトポケミカル反応によるメタルシェル(表面の還元鉄が焼結してできた緻密な鉄の層)を形成するため、焼結鉱と比較して、1000℃以上の高温域で難還元性となり、融着開始時に多量の融液を排出する。
さらに、その形状(球体)から、焼結鉱や鉄鉱石に比べて、炉内への装入時に偏析し易く、特に、還元負荷の高い周辺部に多量に偏析した場合は、部分的な還元遅れが発生し、焼結鉱と焼成ペレットから構成される高炉融着帯の厚みが増し、炉内の通気性が悪化する他、未還元融着物の滴下も起こるため、還元材比が上昇することが知られている。
現状の一般的な高炉操業では焼結鉱が主体であり、70〜90%の範囲であり、焼成ペレット配合は5〜20%程度である。しかし、鉱床の枯渇により鉄鉱石の低品位化が進んでおり、選鉱処理に伴う鉄鉱石の微粉化が進行し、微粉鉄鉱石を用いて焼結鉱を製造する際の通気性低下に起因する成品歩留及び生産性の低下が問題となっている。
そこで、焼結鉱に比べて成品歩留及び生産性を低下させずに、微粉鉱石を含む鉄含有原料を用いて製造可能な焼成ペレットを、高炉で利用するための技術の重要性が高まっている。そして、焼成ペレットの一部に代えて、含炭非焼成ペレットを使用する方法が、いくつか提案されている(例えば、特許文献6〜7、参照)。
含炭非焼成ペレットを、焼成ペレットを多量に含む鉄含有原料層に混合して高炉で使用する場合には、鉄含有原料層の主原料である焼結鉱の還元促進は図れても、鉄含有原料層において焼成ペレットが偏析して多く存在する部位の還元反応を選択的に促進することはできず、最終的には、当該部位の還元遅れが発生し、十分な還元材比低減効果を享受することができなかった。
このような方法で鉄含有原料層における焼成ペレット集中部位の還元促進を十分に図るには、多量の含炭非焼成ペレット使用が必要となっていた。多量の含炭非焼成ペレットを多量に使用する場合には、含炭非焼成ペレットに含有されるバインダーの脱水反応により、高炉内のシャフト部での昇温速度が低下するだけでなく、低温での還元停滞域(低温熱保存帯)を発生させ、高炉用鉄含有原料層内の焼結鉱の高炉内の還元粉化を助長させてしまう点が問題であった。
また、含炭非焼成ペレットによる焼成ペレットの還元促進の効果は低く、含有非焼成ペレットの使用量が必要以上に多いため、上述した、焼結鉱の高炉内の還元粉化を招くおそれがあった(例えば、特許文献7、参照)。
したがって、鉄含有原料として焼成ペレットを多量に使用する高炉操業において、含炭非焼成ペレットによる焼成ペレットの還元促進の効果を効率よく発揮し、大幅な還元材比削減効果が期待できる、含炭非焼成ペレットの高炉使用方法の開発が望まれている。
特開昭53−130202号公報 特開2003−342646号公報 特開2000−160219号公報 特開平11−92833号公報 特開平8−199249号公報 特開2003−301205号公報 特開平6−145729号公報
本発明は、上記従来技術の現況に鑑み、鉄含有原料として焼成ペレットを多量に使用する高炉操業において、含炭非焼成ペレットを焼成ペレットに混合して、還元性の劣る焼成ペレットに近接させて装入することで、炉内の融着帯近傍での還元遅延部位をなくし、薄い融着帯構造とすることで、高炉操業時の燃料原単位の低減効果が大幅に発揮される高炉操業方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、高炉用鉄含有原料を構成する焼結鉱、焼成ペレット、塊鉱石の高温挙動を測定し、さらに、これらに含炭非焼成ペレットを所定量配合した場合の高温挙動の変化について、実験などにより鋭意検討した。
その結果、高炉用鉄含有原料を構成する焼結鉱、焼成ペレット、塊鉱石のうちで、特に、焼成ペレットと含炭非焼成ペレットを混合したときに、高温被還元性向上効果が、特に大きいことを見出した。
そして、焼成ペレットと含炭非焼成ペレットの使用量の関係から、含炭非焼成ペレット使用量の最適化を図ることで、含炭非焼成ペレットによる焼成ペレットの還元改善効果を最大限に発揮できることが解った。
本発明は、この知見に基づき上記課題を解決するためになされたものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)高炉の炉頂から鉄含有原料とコークスを交互に層状に装入する高炉操業方法において、
(i)予め含炭非焼成ペレットと焼成ペレットを混合し、該含炭非焼成ペレットと前記焼成ペレットの混合物を、前記鉄含有原料層の一部と代替するように装入し、かつ、
(ii)前記含炭非焼成ペレットの使用原単位R(kg/tp)と、前記焼成ペレットの使用原単位P(kg/tp)の比R(kg/tp)/P(kg/tp)が0.09〜0.31となるように、前記含炭非焼成ペレットと前記焼成ペレットの混合割合を調整する
ことを特徴とする含炭非焼成ペレットを用いる高炉操業方法。
(2)前記焼成ペレットの使用原単位Pが150kg/tp以上、650kg/tp以下であることを特徴とする前記(1)記載の含炭非焼成ペレットを用いる高炉操業方法。
本発明によれば、焼成ペレットを多く配合した鉄含有原料を使用する高炉操業において、従来に比べて小量の含炭非焼成ペレット使用量で大幅な還元材比の改善を得ることができる。
したがって、本発明の適用により、安価であるものの劣質の粉状鉄鉱石を原料として効率的に焼成ペレットを製造し、かつ、焼成ペレットを使用した場合の高炉操業時の還元材比(コークス比)を、大幅に低減することができ、資源の有効利用とともに、省エネルギー化、低CO化が可能となる。
図1は、各種高炉装入物の還元性状を測定する荷重軟化試験装置を模式的に示す図である。
図2は、焼結鉱と焼成ペレットの、含炭非焼成ペレットとの均一混合による1200℃還元率の変化を示す図である。
図3は、焼成ペレットの還元過程において、近接する含炭非焼成ペレットの所要量を算出するための消費C/Oを示す図である。
図4は、含炭非焼成ペレット使用原単位Rと、含炭非焼成ペレットのC含有量C、焼成ペレット使用原単位Pの関係を示す図である。
図5は、含炭非焼成ペレットのC含有量と反応後強度の関係を示す図である。
図6は、含炭非焼成ペレットの使用原単位Rと焼成ペレットの使用原単位Pの比A(=R/P)と、高炉の還元材比との関係を示した図である。
本発明の詳細について説明する。
まず、高炉内反応を模擬できる、荷重軟化試験装置を用いて、各種含鉄装入物の還元特性の含炭非焼成ペレット配合による変化を検討した。
荷重軟化試験装置を用いた還元率の測定方法について、以下に説明する。図1は、荷重軟化試験装置の断面図である。下段電気炉6と上段電気炉5は、フランジにより接合されており、一体構造をなしている。
下段電気炉6は、還元ガスの予熱をするために設置され、上段電気炉5は、試料3の加熱に用いられる。鉄鉱石などの試料3は、ルツボに装入された後、反応管内に設置される。試料3は、ルツボ内で、上下のコークス層に挟んで装入される。
予め、所定の組成及び流量に調整された還元ガスは、還元ガス入口7から、反応管内に導入され、下段電気炉6で予熱された後、ルツボ内の試料3へ導入される。反応後のガスは、反応ガス出口2から排出され、この排出ガスの一部を採取して、ガス分析計で、その成分を分析する。この排ガスの分析値から、還元率が算出される。
同時に、熱電対4で、試料3の直上部の温度を測定し、還元ガス入口7と反応ガス出口2におけるガス圧力を測定する。この圧力の差から、試料3の通気抵抗を計測する。また、試料3が昇温及び還元される過程において、荷重印加装置1により試料3に任意の荷重を与え、実炉での荷重条件を模擬する。その結果得られる試料3の収縮挙動を測定する。なお、図中、8は液滴収容部、9は液滴検知器である。
図2に、測定結果を示す。実炉で用いる焼結鉱、及び、焼成ペレットを、平均粒径10〜15mmに整粒し、それぞれに、含炭非焼成ペレットを均一混合したものを試料として用いた。
含炭非焼成ペレットは、含鉄ダスト、含カーボンダスト、早強ポルトランドセメントを所定量配合した後、パンペレタイザーで造粒し、その後、2週間天日養生させて製造した。含炭非焼成ペレットの成分は、カーボン25%、T.Fe45%であり、炭素当量は、2.0である。
含炭非焼成ペレットの配合によって、焼結鉱、及び、焼成ペレットの1200℃時点の到達還元率が向上した。両者を比較すると、まず、焼成ペレットの方が、還元率が低い。
これは、以下の理由による。焼成ペレットの場合、気孔径分布が均一であるため、還元がトポケミカル反応で進行し、低温域で強固なメタルシェルが形成されて、内部へのガス拡散が抑制される。その結果、焼成ペレット内部に、未還元FeOを多く含む融液が多量に内在することになり、それが、高温域で、一気に外部に流失するため、高温域で、気孔閉塞による還元停滞が顕著になる。
一方、焼結鉱は、不均一な気孔構造をもつため、速やかに内部まで均一に還元が進行し、メタル化するので、未還元FeOを多く含む融液量は相対的に少なく、高温域でも還元が進行する。
含炭非焼成ペレットの効果を比較すると、焼成ペレットに含炭非焼成ペレットを均一に混合させた方が、還元率の向上効果が大きいことが解る。これは、含炭非焼成ペレット自身の還元率が極めて高いことに加えて、前述のメタルシェル形成までに、含炭非焼成ペレットのガス化によるCOガスによる還元が促進されるので、内部に留まる融液量が減少し、高温域での還元停滞が軽減されるためである。
以上の結果から、含炭非焼成ペレットは、焼結鉱近傍よりも、焼成ペレットと混合し、含炭非焼成ペレットを焼成ペレット近傍に存在させた方が、その効果を大きく発揮できるとの着想を得た。
さらに、本発明者らは、高炉操業時の燃料原単位を低減するための焼成ペレットに対する含炭非焼成ペレットの混合割合について鋭意検討した。
それに先立ち、焼成ペレットの還元に必要な近接する含炭非焼成ペレット由来のカーボン当量(mol)を算出した。鉄含有原料層の一部として高炉内に装入した焼成ペレットと、含炭非焼成ペレットの還元段階は、概ね、以下の3段階((1)〜(3))に区分され、それぞれの段階での消費C/Oが算出される。
ここで、Oは、焼成ペレット及び含炭非焼成ペレットの被還元酸素量の合計(mol)、Cは、含炭非焼成ペレット由来のC量(mol)であり、C/Oは、還元される焼成ペレット由来の酸素量に対する還元に必要な含炭非焼成ペレット由来のカーボン量を表す。
(1)焼成ペレットの還元率<30%(低温領域)
焼成ペレットは、含炭非焼成ペレットに関与せず、通常コークス由来の還元ガスによって還元される。
(2)焼成ペレットの還元率:30〜50%(間接還元領域)
焼成ペレットは、含炭非焼成ペレット由来の還元ガスにより還元される。
C+CO=2CO・・・(1) (含炭非焼成ペレット由来Cのガス化開始)
2CO+2FeO=2Fe+2CO・・・(2) (焼成ペレットの間接還元)
上記(1)式、(2)式から
C+2FeO=2Fe+CO
モル比:C/O=0.5
(3)焼成ペレットの還元率:50〜100%(溶融(直接)還元領域)
焼成ペレットは軟化融着開始し、溶融(直接)還元によって還元される。
C+FeO=Fe+CO・・・(3)
モル比:C/O=1.0
以上の結果は、図3のように図示される。含炭非焼成ペレットによる還元促進効果は、(2)の領域で発揮され、焼成ペレット当りでは、モル比:C/Oは、0.2×0.5=0.1を与えればよい。
一方、含炭非焼成ペレット中の被還元酸素は、含炭非焼成ペレット中のカーボンによって、(2)、(3)の領域で還元されるので、含炭非焼成ペレット当りでは、モル比:C/Oは0.6必要となる。
上記検討結果に基づき、本発明者らは、焼成ペレットの使用原単位:P(kg/tp)に応じた含炭非焼成ペレットの使用原単位:R(kg/tp)を求めた。
例えば、焼成ペレットの使用原単位:P(kg/tp)で、O量:28.1%(T.Fe=65.7%,FeO=0.9%)の焼成ペレットと、被還元酸素量O%を持つ含炭非焼成ペレットとを混合して高炉に装入する場合、該焼成ペレットと含炭非焼成ペレットを還元するための含炭非焼成ペレットの使用原単位:R(kg/tp)は、C:含炭非焼成ペレット中カーボン含有量(%)、O:含炭非焼成ペレット中被還元酸素量を用いて、
R(kg/tp)=12×100/C×(0.1×28.1/
100/16×P+0.6×O/100/
16×R)(kg/tp)・・・(4)
が成り立つ。
ここで、含炭非焼成ペレット中のカーボン含有量、被還元酸素量の関係について説明する。含炭非焼成ペレットは主成分が、カーボンCと酸化鉄Feからなり、含鉄ダストや含カーボンダスト由来の灰分、セメント由来の脈石成分、セメント水和反応による結晶水を合計で20〜30%程度含有する。ここで、含炭非焼成ペレットの成分を、[C/O](モル比)で表す。
今、含炭非焼成ペレットの含有脈石成分を25%とすると、
C+Fe=75(質量%) ・・・(5)
となるので、
被還元酸素:O(mol%)とカーボン含有量:C(質量%)の関係は、
O(mol%)=3×16/(2×55.85+3×16)×
(75−C)/16
=0.3×(75−C)/16 ・・・(6)
となる。
この関係式を(4)式に適用すると、
R(kg/tp)=12/C×100×(0.1×28.1/
100/16×P+0.6×0.3×
(75−C)/16/100×R)
=2.1075×P/(1.135×C−
10.125)・・(7)
となる。
したがって、焼成ペレットの使用原単位:P(kg/tp)及び含炭非焼成ペレットの含有C量に応じて、上記(7)式の関係を基に、含炭非焼成ペレットの使用原単位:R(kg/tp)を設定することにより、近接する焼成ペレットを還元することができる。
この含炭非焼成ペレットの使用原単位R(kg/tp)と焼成ペレットの使用原単位P(kg/tp)の関係を、図4に示す。
また、含炭非焼成ペレットの成分を、C/O(モル比)で表すと、(6)式から
[C/O]=C/12×16/0.3/(75−C)
=4.44×C/(75−C) ・・・(7)
となり、
C=75×[C/O]/(4.44+[C/O]) ・・・(8)
となる。
この関係式から、例えば、[C/O]=1.0、2.0、3.0は、それぞれ、C(質量%)=14%、23%、30%に相当する。
C含有量が多くなると、含炭非焼成ペレットの冷間・熱間の強度が低下するため、C含有量には、上限が存在する。そこで、本発明者らは、含炭非焼成ペレットの反応後強度に及ぼすC含有量の影響を調査した。
種々のC含有量を持つ含炭非焼成ペレットを、900℃、CO/CO=7/3の条件で1時間加熱した後の圧潰強度を調べた。図5に示すように、C含有量Cの上昇によって反応後強度が低下した。非特許文献「鉄と鋼72(1986)、S98.」から、高炉内で含炭ペレットは10kg/Piece以上を保つ必要があるが、C含有量Cが30%よりも大きいと、10kg/Pieceを保てないことが解った。よって、本発明におけるC含有量Cの上限は30%とする。
本発明者らは、次に、還元材比低減のための含炭非焼成ペレット使用原単位R(kg/tp)の最適範囲について鋭意検討した。含炭非焼成ペレットの含有カーボン量Yが15%未満(C/Oが1.0に相当)では、上記(2)式の間接還元及び溶融(直接)還元の反応効率の向上効果は低くなり、その結果、通常コークスを用いた場合に比べて、還元材比を十分に低減することは困難となる。
また、含炭非焼成ペレットの含有カーボン量Cが30%を超える(C/Oが3.0に相当)場合は、圧潰強度が低下し、高炉内の通気性を阻害するため、上記(1)〜(2)式の間接還元反応の進行が妨げられ、その結果、通常コークスを用いた場合に比べて、還元材比を十分に低減することは困難となる。
このため、含炭非焼成ペレットのC含有量Cは15〜30%とするのが好ましい。この含炭非焼成ペレットの好ましいC量C:15〜30%を踏まえ、上記(7)式に基づけば、還元材比低減のための含炭非焼成ペレット使用原単位R(kg/tp)の上下限値は、以下のようになる。
R(kg/tp)=(0.09〜0.31)×P(kg/tp) ・・・(9)
したがって、本発明では、高炉操業時の還元材比低減のために、含炭非焼成ペレットと焼成ペレットの混合割合は、含炭非焼成ペレット使用原単位R(kg/tp)と、焼成ペレットの使用原単位:P(kg/tp)の比:R(kg/tp)/×P(kg/tp)が上記(9)式を満たすように調整する。
次に、本発明者らは、焼成ペレットの使用原単位Pの範囲について鋭意検討した。焼成ペレットの使用原単位Pが150kg/tp未満であると、高炉装入物の主体は、焼結鉱と塊鉱石となり、それらの反応特性で、高炉操業成績が左右されてしまい、装入される焼成ペレットの還元性が、近接装入された含炭非焼成ペレットによって改善されても、全体の操業への寄与は相対的に小さくなってしまう。
また、焼成ペレットの使用原単位Pが650kg/tpを超えると、装入時の焼成ペレットの偏析度合いが大きくなり、含炭非焼成ペレットでも悪影響がカバーできない。
以上から、本発明において、焼成ペレットの使用原単位P(kg/tp)は、150〜650kg/tpとする。これは焼成ペレット比:10〜40%に相当し、含炭非焼成ペレットの使用原単位Rの範囲は、14〜202kg/tpに相当する。
図6に、含炭非焼成ペレットの使用原単位R(kg/tp)と焼成ペレットの使用原単位P(kg/tp)との比:A(=R/P)と、還元材比との関係を示す。
有効容積5500mの高炉において、焼成ペレットと含炭非焼成ペレットの使用量による還元材比の変化を調査した。調査期間中、焼結鉱の品質はほぼ一定であり、出銑比が2.1〜2.2(t/d/m)となるように操業した。含炭非焼成ペレットの配合がない場合、焼成ペレットの使用原単位Pの増加に伴い、還元材比が上昇した。
一方、含炭非焼成ペレットの使用原単位RR(kg/tp)と焼成ペレットの使用原単位P(kg/tp)との比A(=R/P)が0.09〜0.31となるように含炭非焼成ペレットと焼成ペレットを混合した場合は、還元材比は、485(kg/tp)以下に抑えられた。
しかし、焼成ペレットの使用原単位Pが650kg/tpを超えると、含炭非焼成ペレットを使用しても、還元材比485(kg/tp)以下の操業は困難であった。また、焼成ペレットの使用原単位Pが150kg/tpより低い場合でも、含炭非焼成ペレットを使用しても、還元材比485(kg/tp)以下の操業は困難であった。
含炭非焼成ペレットの使用原単位Rと焼成ペレットの使用原単位Pの比:A(=R/P)が0.31を超える場合は、焼成ペレットの使用原単位Pの上昇に伴って、含炭非焼成ペレット使用量が不足して、還元材比は上昇した。
一方、含炭非焼成ペレットの使用原単位Rと焼成ペレットの使用原単位Pの比:A(=R/P)が0.09より低くなる場合も、焼成ペレットの使用原単位Pの上昇に伴って、還元材比は上昇した。
これは、前述したように、焼成ペレットの還元に必要な量以上に含炭非焼成ペレットを配合した結果、焼成ペレットに比べて圧潰強度が低い含炭非焼成ペレットの増加に伴う通気性の低下が顕著となり、また、含炭非焼成ペレットの速いガス化によるCOガスが有効に活用されず、炉頂に逃げてしまったためである。
なお、同様のことを、通常コークス(小塊コークス)に適用しても成り立たない。通常コークスは、ガス化反応(C+CO=2CO)の速度が遅いので、より多量のコークスが必要となる。
また、使用する含炭非焼成ペレットの粒径は、本発明では、特に限定するものではないが、焼成ペレットとの均一な混合を図り、含炭非焼成ペレットの圧潰による通気性の低下を抑制するために、平均粒径20mm以下とすることが望ましい。
また、含炭非焼成ペレットの高炉への装入方法は、高炉の炉頂から鉄含有原料とコークスを交互に層状に装入する際、事前に、焼成ペレットと含炭非焼成ペレットを装入前に混合し、上記含炭非焼成ペレットと上記焼成ペレットの混合物を、上記鉄含有原料層の一部と代替するように装入することが望ましい。
焼成ペレットと含炭非焼成ペレットを装入前に混合する方法として、焼成ペレット槽、含炭非焼成ペレット槽を近接させて切り出しても、同様の効果が得られる。
さらに、本発明の含炭非焼成ペレットは、形状や製造方法が特に限定されないものである。一般的には、パンペレタイザーを用いた生ペレットの造粒方法を用いるが、より圧密成形が可能なブリケット成形を用いても、同様の効果が得られる。
また、本発明の含炭非焼成ペレットは、原料の条件も特に限定されないものである。一般的には、含鉄ダストや含コークスダストなどが主に用いられるが、鉄鉱石やスケール類などを配合しても、成分範囲が本発明範囲内であれば、ほぼ同様の効果を得ることができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、実施例の条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
[実施例1]
含鉄ダスト、含カーボンダスト、早強ポルトランドセメントを原料として、2種類の含炭非焼成ペレット、P1とP2を製造した。P1は、C含有量が23%、C/Oが2.0、脈石成分量が25%である。P2は、C含有量が28%、C/Oが2.8、脈石成分量が25%である。
これらの含炭非焼成ペレットを、有効容積5500mの高炉において、焼成ペレットとともに炉頂部から装入して使用した。使用期間中は、焼結鉱の品質はほぼ一定であり、出銑比が2.1〜2.2(t/d/m)となるように操業した。
表1に、含炭非焼成ペレット、焼成ペレットの使用条件と高炉操業評価結果の一覧を示す。表1から解るように、含炭非焼成ペレットP1を使用した場合、含炭非焼成ペレット使用量が焼成ペレット使用量に対して少ない比較例1は、還元材比が485(kg/tp)以下の操業はできなかった。
比較例2は、逆に、含炭非焼成ペレット使用量が焼成ペレット使用量に対して多過ぎて還元材比が上昇してしまい、やはり、還元材比485(kg/tp)以下の操業はできなかった。
含炭非焼成ペレットP2を使用した場合では、焼成ペレット使用量の多い条件で、検討を行った。比較例3は、含炭非焼成ペレット使用量が45(kg/tp)と、発明例1と同等の使用量であるのに関わらず、焼成ペレット量に対しては不足しており、還元材比を低下させることはできなかった。比較例4は、逆に、過度に含炭非焼成ペレット配合が多いために、やはり、還元材比は高めに推移した。
Figure 2010041770
前述したように、本発明によれば、焼成ペレットを多く配合した鉄含有原料を使用する高炉操業において、従来に比べて小量の含炭非焼成ペレット使用量で大幅な還元材比の改善を得ることができる。
したがって、本発明の適用により、安価であるものの劣質の粉状鉄鉱石を原料として効率的に焼成ペレットを製造し、かつ、焼成ペレットを使用した場合の高炉操業時の還元材比(コークス比)を、大幅に低減することができ、資源の有効利用とともに、省エネルギー化、低CO化が可能となる。よって、本発明は、工業的及び社会的な貢献が多大なものである。
1 荷重印加装置
2 反応ガス出口
3 試料
4 熱電対
5 上段電気炉
6 下段電気炉
7 還元ガス入口
8 液滴収容部
9 液滴検知器
本発明は、含有カーボンによる自己還元性を高めた含炭非焼成ペレットを製造し、高炉に他の主原料とともに炉頂から装入することにより、炉内の低反応性部位を選択的に改善し、高炉の還元材比を低減させる高炉の操業方法に関する。
一般的な高炉操業においては、鉄含有原料として、焼結鉱、焼成ペレット、塊鉱石が使用されている。国内では焼結鉱使用比率が最も高く、その割合は70〜90%である。一方、焼成ペレットも5〜20%使用されている。これらの鉄含有原料は、鉱石槽から切り出され、高炉の炉頂点から炉内に装入される段階で、粒度や、見掛け比重、形状の違いから偏析作用を受ける。
これらの含鉄装入物は、高炉内で塊コークスと層状になるように、順々に、炉頂部から装入される。また、この際、炉内での鉄含有原料の還元を促進し、かつ、高温融着状態での通気抵抗を低減する目的で、小粒又は中粒の小塊コークスを鉄含有原料と混合することも一般的に行われている。
鉄含有原料の高炉内の還元過程において、還元速度が最も遅いのは、ウスタイト(FeO)から鉄(Fe)への還元段階であり、この反応は、高炉シャフト部の800℃以上の温度領域で起こる。この反応は、ガス組成の影響が大きく、1000℃付近の温度で起こるコークスのガス化反応(ソルーションロス反応)の大小によって、速度が律速されている。
微粒のカーボン原料と酸化鉄が近接している含炭非焼成ペレットは、その含炭ペレット自身の還元性に優れるばかりでなく、カーボン含有量を、ある一定量以上含有するので、その高いコークス反応性によって、含鉄含有原料の還元性が飛躍的に向上することが知られている。
高炉用鉄含有原料は、約2〜3mmの平均粒度の粉状鉄鉱石を主要な鉄含有原料とし、これに、石灰石、珪石などの副原料、粉コークス、無煙炭などの炭材を配合し、さらに、水分を添加して混合、造粒して擬似粒子とし、その後、焼結機で原料中の炭材を熱源として、加熱、焼結して得られる焼結鉱が主流を占めている。
この方法における焼結原料の擬似粒子は、主として、粒径が約1mm以上の粗粒子を核として、この周囲に、粒径が約0.5〜1mm未満の微粉粒子が付着した造粒物となる。この擬似粒子は、焼結機内の焼結原料充填層の通気性を維持し、焼結反応を良好に進行させるために、焼結原料の装入時や、さらに、加熱・乾燥され、焼結されるまでの間に崩壊しないだけの冷間強度が要求される。
通常、焼結原料を擬似粒子に造粒するためには、ドラムミキサーを用いて、焼結原料の混合とともに、造粒を行うことが多い。
一方、製鉄プロセスにおいて多量に発生する焼結ダスト、高炉ダストなどを集塵機などで回収した含鉄ダスト、さらに、スラッジ、スケール粉等の微粉のダスト(これらは、一般に、製鉄ダストと称する)や、ペレットフィード(ペレット用原料)などの微粉状原料も、鉄含有原料として用いられる。
しかし、これらの微粉原料は、粒径0.25mm以下の微粉粒子が全体の80%以上を占めるため、これらを焼結原料として用いる場合には、微粉粒子による原料充填層の通気性悪化、生産性低下などの問題が生じ易い。
このような微粉状原料を、主要な鉄含有原料として焼結する場合には、予め、混合機を用いて鉄含有原料と副原料に水分を添加し混合した後、さらに、ドラムミキサーに比べて造粒強度が高いディスクペレタイザーなどの造粒機を用いて、粒径0.25mm以下の微粉粒子を主体する球状の生ペレットを製造し、その後、燃焼ガスなどを熱源とする外部加熱型焼結機を用いて焼結を行い、焼成ペレットを製造する。
一方、微粉状原料は、造粒して生ペレットにした後、養生(生石灰などの水和反応や炭酸塩化処理)により造粒物の強度を高めた後、焼結せずに、そのまま、高炉用鉄原料として使用する非焼成ペレットも古くから知られている。
非焼成ペレットの製造方法としては、高炉2次灰、転炉ダスト、焼結ダスト、スラリーなどの製鉄所で発生する製鉄ダストを生ペレットに造粒する際に、ダストの粒度分布を適正範囲に調整し、生石灰、セメントなどの結合材(バインダー)と5〜15%の水分を添加し、ディスクペレタイザー等により造粒し生ペレットを製造した後、ヤード堆積等により数日間養生(CaO系バインダーの水和反応、炭酸塩化反応の促進)して硬化させるコールドボンドペレットの製造方法が知られている(例えば、特許文献1、参照)。
また、近年、高炉操業における還元材比の低減を目的とし、上記非焼成ペレットプロセスを利用して、炭素含有量の高い非焼成ペレットを製造する方法も提案されている(例えば、特許文献2〜5、参照)。
例えば、含酸化鉄原料とカーボン系炭材を配合しバインダーを加えて混錬、成型、養生してなるカーボン内装非焼成ペレットにおいて、鉄鉱石類の酸化鉄を還元し金属鉄とするために必要な理論炭素量の80〜120%のカーボンを含有し、かつ、常温での圧潰強度7850kN/m2(80kg/cm2)以上となるようにバインダーを選択して混合、成型、養生してなることを特徴とする高炉用のカーボン内装非焼成ペレット及びその製造方法が提案されている(例えば、特許文献2、参照)。
この方法によれば、一般に還元ガスの温度とガス組成(ηCO=CO2/(CO+CO2))との関係から、酸化鉄の還元反応の進行が制約される高炉シャフト部の熱保存帯と還元反応平衡帯においても、900〜1100℃の温度領域で、非焼成ペレット中の酸化鉄は、内装するカーボンにより還元反応を起こす結果、還元率が向上するため、高炉操業時の還元材比の低減効果が期待できる。
しかしながら、これらの方法では、非焼成ペレットに内装するC含有量は、酸化鉱を還元し金属鉄とするために必要な理論炭素量(以下、C当量ということがある)で120%以下(全カーボン含有量(T.C)は、約15質量%以下に相当する)に制限され、これ以上C含有量を増加すると、非焼成ペレットの冷間圧潰強度および熱間強度が損なわれるという問題があった。
さらに、これらの方法では、炭材を内装した非焼成ペレットの冷間圧潰強度を維持するために、生石灰に代えて、早強ポルトランドセメントなどのセメント系のバインダーを使用するため、バインダーの添加量を増加させると吸熱反応であるセメントの脱水反応により高炉内のシャフト部での昇温速度が低下するだけでなく、低温での還元停滞域(低温熱保存帯)を発生させ、高炉用鉄原料として装入する焼結鉱の高炉内の還元粉化を助長させてしまう点が問題であった。
また、炭材と鉄鉱石からなる炭材内装非焼成ペレットであって、炭材の軟化溶融時の最高流動度と鉄鉱石の10μm以下の酸化鉄粒子の割合との関係を規定した、還元性と還元後の強度に優れた炭材内装非焼成ペレットが提案されている(例えば、特許文献3、参照)。
この方法によれば、炭材内装非焼成ペレット中の炭材が260〜550℃の温度域で軟化溶融、固化することを利用し、酸化鉄粒子間の空隙に溶融した炭材を侵入、固化させ、炭材と酸化鉄の接触面積を大きくし、熱伝導性を改善して還元効率を高めるとともに、酸化鉄粒子同士の結合を強めることにより、還元後の強度(熱間強度)も向上させることができる。
しかし、この方法により、炭材内装非焼成ペレットの被還元性と還元後の強度(熱間強度)を向上させるためには、最高流動度の高い石炭類を炭材として利用しなければならないため、省エネルギー、省資源を前提とした高炉操業時の還元材比の低減という目的の点から好ましい方法とは言い難い。
また、粉鉱石と、揮発分が16%以上、ギーセラー流動度が20DDPM以上の粘結炭(炭材)を混合し、260〜550℃の温度域で、成形圧20〜150MPaで熱間成形した後、成形温度範囲で5分間以上の脱ガス処理を行うことを特徴とする、見掛け密度が2.3g/cm3以上の還元鉄用塊成化物も提案されている(例えば、特許文献4、参照)。
この方法によれば、炭材が軟化溶融、固化する260〜550℃の温度域で熱間成形して、酸化鉄粒子どうしを炭材で強固に連結し、見掛け密度が2.3g/cm3以上の塊成化物とした後、脱ガス処理により炭材からの揮発分を抜くことにより、塊成化物の強度を高め、還元中の塊成化物の膨れによる割れを防止するものである。
しかし、この方法は、熱間ブリケット成型や、脱ガス処理を必要とするため、製造時のエネルギー消費が高く、製造コストが高くなる点で経済的に不利な方法であり、また、造粒法に比べて塊成物の密度が高くなるため、塊成物中の炭材のガス化や酸化鉄の還元反応で発生するCO、CO2ガスによる爆裂(バーステイング)が発生し易い。
また、粒径が3〜25mmの炭材を核とし、核を内包する外周層を粒径が1mm以下の鉄原料と炭材との混合物とし、核としての炭材の体積分率がペレット全体の0.2〜30vol%で、外周層中の炭材の含有率が5〜25wt%であり、ペレット全体の全カーボン含有量が25〜35質量%と高い、2重構造の炭材内装非焼成ペレットが提案されている(例えば、特許文献5、参照)。
この技術によれば、外周層中に含有する粒径が1mm以下の炭材により酸化鉄を還元し、外周層が融液化した場合に、核としての炭材を浸炭源として機能させることにより、高炉内での被還元性を改善する他、浸炭作用による溶銑の滴下挙動を改善し、高炉操業時の燃料比低減と融着帯部の通気抵抗を低減することができる。
しかし、この粒径および炭材と酸化物の組成が異なる2重構造からなり、全カーボン含有量が25質量%以上と高いペレットは、冷間の磨耗強度が低くなるという問題がある。また、このような特殊な2重構造を有するペレットを製造するためには、製造工程が複雑となり、強度維持のために多量のバインダーが必要となるなど、製造時の生産性やコストの点から不利な方法であった。
以上のように、従来の含炭非焼成ペレットは、高炉用原料として要求される冷間圧潰強度50kg/cm2以上を維持するために、炭素含有量を15質量%(炭素当量で1.2に相当)に制限せざるを得なかったため、上記含炭非焼成ペレット中の酸化鉄の直接還元は十分に促進できても、上記含炭非焼成ペレット以外の焼結鉱などの主要な高炉用鉄含有原料の還元を十分に促進することはできなかった。
また、従来法によりポルトランドセメントなどの水硬性バインダーを多量に添加することで、含炭非焼成ペレットの冷間圧潰強度は、ある程度まで向上できるが、高炉内の還元温度域で、上記バインダーは脱水反応を起こすため、十分な熱間強度を維持することはできなかった。
したがって、比較的安価でかつ単純な製造方法を用いて、含炭非焼成ペレットと高炉用鉄含有原料の被還元率を向上し、高炉操業時の還元材比を大幅に低減するために、十分な炭素含有量を有し、かつ、冷間強度とともに還元温度域での熱間強度(還元時の強度)にも優れた炭材内装非焼成ペレットの製造方法の開発が望まれている。
一方、高炉用鉄含有原料の中でも、焼成ペレットは、還元過程において、還元ガスによりペレット表面から還元が進行する強いトポケミカル反応によるメタルシェル(表面の還元鉄が焼結してできた緻密な鉄の層)を形成するため、焼結鉱と比較して、1000℃以上の高温域で難還元性となり、融着開始時に多量の融液を排出する。
さらに、その形状(球体)から、焼結鉱や鉄鉱石に比べて、炉内への装入時に偏析し易く、特に、還元負荷の高い周辺部に多量に偏析した場合は、部分的な還元遅れが発生し、焼結鉱と焼成ペレットから構成される高炉融着帯の厚みが増し、炉内の通気性が悪化する他、未還元融着物の滴下も起こるため、還元材比が上昇することが知られている。
現状の一般的な高炉操業では焼結鉱が主体であり、70〜90%の範囲であり、焼成ペレット配合は5〜20%程度である。しかし、鉱床の枯渇により鉄鉱石の低品位化が進んでおり、選鉱処理に伴う鉄鉱石の微粉化が進行し、微粉鉄鉱石を用いて焼結鉱を製造する際の通気性低下に起因する成品歩留及び生産性の低下が問題となっている。
そこで、焼結鉱に比べて成品歩留及び生産性を低下させずに、微粉鉱石を含む鉄含有原料を用いて製造可能な焼成ペレットを、高炉で利用するための技術の重要性が高まっている。そして、焼成ペレットの一部に代えて、含炭非焼成ペレットを使用する方法が、いくつか提案されている(例えば、特許文献6〜7、参照)。
含炭非焼成ペレットを、焼成ペレットを多量に含む鉄含有原料層に混合して高炉で使用する場合には、鉄含有原料層の主原料である焼結鉱の還元促進は図れても、鉄含有原料層において焼成ペレットが偏析して多く存在する部位の還元反応を選択的に促進することはできず、最終的には、当該部位の還元遅れが発生し、十分な還元材比低減効果を享受することができなかった。
このような方法で鉄含有原料層における焼成ペレット集中部位の還元促進を十分に図るには、多量の含炭非焼成ペレット使用が必要となっていた。多量の含炭非焼成ペレットを多量に使用する場合には、含炭非焼成ペレットに含有されるバインダーの脱水反応により、高炉内のシャフト部での昇温速度が低下するだけでなく、低温での還元停滞域(低温熱保存帯)を発生させ、高炉用鉄含有原料層内の焼結鉱の高炉内の還元粉化を助長させてしまう点が問題であった。
また、含炭非焼成ペレットによる焼成ペレットの還元促進の効果は低く、含有非焼成ペレットの使用量が必要以上に多いため、上述した、焼結鉱の高炉内の還元粉化を招くおそれがあった(例えば、特許文献7、参照)。
したがって、鉄含有原料として焼成ペレットを多量に使用する高炉操業において、含炭非焼成ペレットによる焼成ペレットの還元促進の効果を効率よく発揮し、大幅な還元材比削減効果が期待できる、含炭非焼成ペレットの高炉使用方法の開発が望まれている。
特開昭53−130202号公報 特開2003−342646号公報 特開2000−160219号公報 特開平11−92833号公報 特開平8−199249号公報 特開2003−301205号公報 特開平6−145729号公報
本発明は、上記従来技術の現況に鑑み、鉄含有原料として焼成ペレットを多量に使用する高炉操業において、含炭非焼成ペレットを焼成ペレットに混合して、還元性の劣る焼成ペレットに近接させて装入することで、炉内の融着帯近傍での還元遅延部位をなくし、薄い融着帯構造とすることで、高炉操業時の燃料原単位の低減効果が大幅に発揮される高炉操業方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、高炉用鉄含有原料を構成する焼結鉱、焼成ペレット、塊鉱石の高温挙動を測定し、さらに、これらに含炭非焼成ペレットを所定量配合した場合の高温挙動の変化について、実験などにより鋭意検討した。
その結果、高炉用鉄含有原料を構成する焼結鉱、焼成ペレット、塊鉱石のうちで、特に、焼成ペレットと含炭非焼成ペレットを混合したときに、高温被還元性向上効果が、特に大きいことを見出した。
そして、焼成ペレットと含炭非焼成ペレットの使用量の関係から、含炭非焼成ペレット使用量の最適化を図ることで、含炭非焼成ペレットによる焼成ペレットの還元改善効果を最大限に発揮できることが解った。
本発明は、この知見に基づき上記課題を解決するためになされたものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)高炉の炉頂から鉄含有原料とコークスを交互に層状に装入する高炉操業方法において、
(i)予め含炭非焼成ペレットと焼成ペレットを混合し、該含炭非焼成ペレットと前記焼成ペレットの混合物を、前記鉄含有原料層の一部と代替するように装入し、かつ、
(ii)前記焼成ペレットの使用原単位P(kg/tp)を150kg/tp以上、650kg/tp以下とし、
iii)前記含炭非焼成ペレットの使用原単位R(kg/tp)と、前記焼成ペレットの使用原単位P(kg/tp)の比R(kg/tp)/P(kg/tp)が0.09〜0.31となるように、前記含炭非焼成ペレットと前記焼成ペレットの混合割合を調整することを特徴とする含炭非焼成ペレットを用いる高炉操業方法。
本発明によれば、焼成ペレットを多く配合した鉄含有原料を使用する高炉操業において、従来に比べて小量の含炭非焼成ペレット使用量で大幅な還元材比の改善を得ることができる。
したがって、本発明の適用により、安価であるものの劣質の粉状鉄鉱石を原料として効率的に焼成ペレットを製造し、かつ、焼成ペレットを使用した場合の高炉操業時の還元材比(コークス比)を、大幅に低減することができ、資源の有効利用とともに、省エネルギー化、低CO2化が可能となる。
各種高炉装入物の還元性状を測定する荷重軟化試験装置を模式的に示す図である。 焼結鉱と焼成ペレットの、含炭非焼成ペレットとの均一混合による1200℃還元率の変化を示す図である。 焼成ペレットの還元過程において、近接する含炭非焼成ペレットの所要量を算出するための消費C/Oを示す図である。 含炭非焼成ペレット使用原単位Rと、含炭非焼成ペレットのC含有量C、焼成ペレット使用原単位Pの関係を示す図である。 含炭非焼成ペレットのC含有量と反応後強度の関係を示す図である。 含炭非焼成ペレットの使用原単位Rと焼成ペレットの使用原単位Pの比A(=R/P)と、高炉の還元材比との関係を示した図である。
本発明の詳細について説明する。
まず、高炉内反応を模擬できる、荷重軟化試験装置を用いて、各種含鉄装入物の還元特性の含炭非焼成ペレット配合による変化を検討した。
荷重軟化試験装置を用いた還元率の測定方法について、以下に説明する。図1は、荷重軟化試験装置の断面図である。下段電気炉6と上段電気炉5は、フランジにより接合されており、一体構造をなしている。
下段電気炉6は、還元ガスの予熱をするために設置され、上段電気炉5は、試料3の加熱に用いられる。鉄鉱石などの試料3は、ルツボに装入された後、反応管内に設置される。試料3は、ルツボ内で、上下のコークス層に挟んで装入される。
予め、所定の組成及び流量に調整された還元ガスは、還元ガス入口7から、反応管内に導入され、下段電気炉6で予熱された後、ルツボ内の試料3へ導入される。反応後のガスは、反応ガス出口2から排出され、この排出ガスの一部を採取して、ガス分析計で、その成分を分析する。この排ガスの分析値から、還元率が算出される。
同時に、熱電対4で、試料3の直上部の温度を測定し、還元ガス入口7と反応ガス出口2におけるガス圧力を測定する。この圧力の差から、試料3の通気抵抗を計測する。また、試料3が昇温及び還元される過程において、荷重印加装置1により試料3に任意の荷重を与え、実炉での荷重条件を模擬する。その結果得られる試料3の収縮挙動を測定する。なお、図中、8は液滴収容部、9は液滴検知器である。
図2に、測定結果を示す。実炉で用いる焼結鉱、及び、焼成ペレットを、平均粒径10〜15mmに整粒し、それぞれに、含炭非焼成ペレットを均一混合したものを試料として用いた。
含炭非焼成ペレットは、含鉄ダスト、含カーボンダスト、早強ポルトランドセメントを所定量配合した後、パンペレタイザーで造粒し、その後、2週間天日養生させて製造した。含炭非焼成ペレットの成分は、カーボン25%、T.Fe45%であり、炭素当量は、2.0である。
含炭非焼成ペレットの配合によって、焼結鉱、及び、焼成ペレットの1200℃時点の到達還元率が向上した。両者を比較すると、まず、焼成ペレットの方が、還元率が低い。
これは、以下の理由による。焼成ペレットの場合、気孔径分布が均一であるため、還元がトポケミカル反応で進行し、低温域で強固なメタルシェルが形成されて、内部へのガス拡散が抑制される。その結果、焼成ペレット内部に、未還元FeOを多く含む融液が多量に内在することになり、それが、高温域で、一気に外部に流失するため、高温域で、気孔閉塞による還元停滞が顕著になる。
一方、焼結鉱は、不均一な気孔構造をもつため、速やかに内部まで均一に還元が進行し、メタル化するので、未還元FeOを多く含む融液量は相対的に少なく、高温域でも還元が進行する。
含炭非焼成ペレットの効果を比較すると、焼成ペレットに含炭非焼成ペレットを均一に混合させた方が、還元率の向上効果が大きいことが解る。これは、含炭非焼成ペレット自身の還元率が極めて高いことに加えて、前述のメタルシェル形成までに、含炭非焼成ペレットのガス化によるCOガスによる還元が促進されるので、内部に留まる融液量が減少し、高温域での還元停滞が軽減されるためである。
以上の結果から、含炭非焼成ペレットは、焼結鉱近傍よりも、焼成ペレットと混合し、含炭非焼成ペレットを焼成ペレット近傍に存在させた方が、その効果を大きく発揮できるとの着想を得た。
さらに、本発明者らは、高炉操業時の燃料原単位を低減するための焼成ペレットに対する含炭非焼成ペレットの混合割合について鋭意検討した。
それに先立ち、焼成ペレットの還元に必要な近接する含炭非焼成ペレット由来のカーボン当量(mol)を算出した。鉄含有原料層の一部として高炉内に装入した焼成ペレットと、含炭非焼成ペレットの還元段階は、概ね、以下の3段階((1)〜(3))に区分され、それぞれの段階での消費C/Oが算出される。
ここで、Oは、焼成ペレット及び含炭非焼成ペレットの被還元酸素量の合計(mol)、Cは、含炭非焼成ペレット由来のC量(mol)であり、C/Oは、還元される焼成ペレット由来の酸素量に対する還元に必要な含炭非焼成ペレット由来のカーボン量を表す。
(1)焼成ペレットの還元率<30%(低温領域)
焼成ペレットは、含炭非焼成ペレットに関与せず、通常コークス由来の還元ガスによって還元される。
(2)焼成ペレットの還元率:30〜50%(間接還元領域)
焼成ペレットは、含炭非焼成ペレット由来の還元ガスにより還元される。
C+CO2=2CO・・・(1) (含炭非焼成ペレット由来Cのガス化開始)
2CO+2FeO=2Fe+2CO2・・・(2) (焼成ペレットの間接還元)
上記(1)式、(2)式から
C+2FeO=2Fe+CO2
モル比:C/O=0.5
(3)焼成ペレットの還元率:50〜100%(溶融(直接)還元領域)
焼成ペレットは軟化融着開始し、溶融(直接)還元によって還元される。
C+FeO=Fe+CO・・・(3)
モル比:C/O=1.0
以上の結果は、図3のように図示される。含炭非焼成ペレットによる還元促進効果は、(2)の領域で発揮され、焼成ペレット当りでは、モル比:C/Oは、0.2×0.5=0.1を与えればよい。
一方、含炭非焼成ペレット中の被還元酸素は、含炭非焼成ペレット中のカーボンによって、(2)、(3)の領域で還元されるので、含炭非焼成ペレット当りでは、モル比:C/Oは0.6必要となる。
上記検討結果に基づき、本発明者らは、焼成ペレットの使用原単位:P(kg/tp)に応じた含炭非焼成ペレットの使用原単位:R(kg/tp)を求めた。
例えば、焼成ペレットの使用原単位:P(kg/tp)で、O量:28.1%(T.Fe=65.7%,FeO=0.9%)の焼成ペレットと、被還元酸素量O%を持つ含炭非焼成ペレットとを混合して高炉に装入する場合、該焼成ペレットと含炭非焼成ペレットを還元するための含炭非焼成ペレットの使用原単位:R(kg/tp)は、C:含炭非焼成ペレット中カーボン含有量(%)、O:含炭非焼成ペレット中被還元酸素量を用いて、
R(kg/tp)=12×100/C×(0.1×28.1/
100/16×P+0.6×O/100/
16×R)(kg/tp)・・・(4)
が成り立つ。
ここで、含炭非焼成ペレット中のカーボン含有量、被還元酸素量の関係について説明する。含炭非焼成ペレットは主成分が、カーボンCと酸化鉄Fe23からなり、含鉄ダストや含カーボンダスト由来の灰分、セメント由来の脈石成分、セメント水和反応による結晶水を合計で20〜30%程度含有する。ここで、含炭非焼成ペレットの成分を、[C/O](モル比)で表す。
今、含炭非焼成ペレットの含有脈石成分を25%とすると、
C+Fe23=75(質量%) ・・・(5)
となるので、
被還元酸素:O(mol%)とカーボン含有量:C(質量%)の関係は、
O(mol%)=3×16/(2×55.85+3×16)×
(75−C)/16
=0.3×(75−C)/16 ・・・(6)
となる。
この関係式を(4)式に適用すると、
R(kg/tp)=12/C×100×(0.1×28.1/
100/16×P+0.6×0.3×
(75−C)/16/100×R)
=2.1075×P/(1.135×C−
10.125)・・(7)
となる。
したがって、焼成ペレットの使用原単位:P(kg/tp)及び含炭非焼成ペレットの含有C量に応じて、上記(7)式の関係を基に、含炭非焼成ペレットの使用原単位:R(kg/tp)を設定することにより、近接する焼成ペレットを還元することができる。
この含炭非焼成ペレットの使用原単位R(kg/tp)と焼成ペレットの使用原単位P(kg/tp)の関係を、図4に示す。
また、含炭非焼成ペレットの成分を、C/O(モル比)で表すと、(6)式から
[C/O]=C/12×16/0.3/(75−C)
=4.44×C/(75−C) ・・・(7)
となり、
C=75×[C/O]/(4.44+[C/O]) ・・・(8)
となる。
この関係式から、例えば、[C/O]=1.0、2.0、3.0は、それぞれ、C(質量%)=14%、23%、30%に相当する。
C含有量が多くなると、含炭非焼成ペレットの冷間・熱間の強度が低下するため、C含有量には、上限が存在する。そこで、本発明者らは、含炭非焼成ペレットの反応後強度に及ぼすC含有量の影響を調査した。
種々のC含有量を持つ含炭非焼成ペレットを、900℃、CO/CO2=7/3の条件で1時間加熱した後の圧潰強度を調べた。図5に示すように、C含有量Cの上昇によって反応後強度が低下した。非特許文献「鉄と鋼72(1986)、S98.」から、高炉内で含炭ペレットは10kg/Piece以上を保つ必要があるが、C含有量Cが30%よりも大きいと、10kg/Pieceを保てないことが解った。よって、本発明におけるC含有量Cの上限は30%とする。
本発明者らは、次に、還元材比低減のための含炭非焼成ペレット使用原単位R(kg/tp)の最適範囲について鋭意検討した。含炭非焼成ペレットの含有カーボン量Yが15%未満(C/Oが1.0に相当)では、上記(2)式の間接還元及び溶融(直接)還元の反応効率の向上効果は低くなり、その結果、通常コークスを用いた場合に比べて、還元材比を十分に低減することは困難となる。
また、含炭非焼成ペレットの含有カーボン量Cが30%を超える(C/Oが3.0に相当)場合は、圧潰強度が低下し、高炉内の通気性を阻害するため、上記(1)〜(2)式の間接還元反応の進行が妨げられ、その結果、通常コークスを用いた場合に比べて、還元材比を十分に低減することは困難となる。
このため、含炭非焼成ペレットのC含有量Cは15〜30%とするのが好ましい。この含炭非焼成ペレットの好ましいC量C:15〜30%を踏まえ、上記(7)式に基づけば、還元材比低減のための含炭非焼成ペレット使用原単位R(kg/tp)の上下限値は、以下のようになる。
R(kg/tp)=(0.09〜0.31)×P(kg/tp) ・・・(9)
したがって、本発明では、高炉操業時の還元材比低減のために、含炭非焼成ペレットと焼成ペレットの混合割合は、含炭非焼成ペレット使用原単位R(kg/tp)と、焼成ペレットの使用原単位:P(kg/tp)の比:R(kg/tp)/×P(kg/tp)が上記(9)式を満たすように調整する。
次に、本発明者らは、焼成ペレットの使用原単位Pの範囲について鋭意検討した。焼成ペレットの使用原単位Pが150kg/tp未満であると、高炉装入物の主体は、焼結鉱と塊鉱石となり、それらの反応特性で、高炉操業成績が左右されてしまい、装入される焼成ペレットの還元性が、近接装入された含炭非焼成ペレットによって改善されても、全体の操業への寄与は相対的に小さくなってしまう。
また、焼成ペレットの使用原単位Pが650kg/tpを超えると、装入時の焼成ペレットの偏析度合いが大きくなり、含炭非焼成ペレットでも悪影響がカバーできない。
以上から、本発明において、焼成ペレットの使用原単位P(kg/tp)は、150〜650kg/tpとする。これは焼成ペレット比:10〜40%に相当し、含炭非焼成ペレットの使用原単位Rの範囲は、14〜202kg/tpに相当する。
図6に、含炭非焼成ペレットの使用原単位R(kg/tp)と焼成ペレットの使用原単位P(kg/tp)との比:A(=R/P)と、還元材比との関係を示す。
有効容積5500m3の高炉において、焼成ペレットと含炭非焼成ペレットの使用量による還元材比の変化を調査した。調査期間中、焼結鉱の品質はほぼ一定であり、出銑比が2.1〜2.2(t/d/m3)となるように操業した。含炭非焼成ペレットの配合がない場合、焼成ペレットの使用原単位Pの増加に伴い、還元材比が上昇した。
一方、含炭非焼成ペレットの使用原単位R(kg/tp)と焼成ペレットの使用原単位P(kg/tp)との比A(=R/P)が0.09〜0.31となるように含炭非焼成ペレットと焼成ペレットを混合した場合は、還元材比は、485(kg/tp)以下に抑えられた。
しかし、焼成ペレットの使用原単位Pが650kg/tpを超えると、含炭非焼成ペレットを使用しても、還元材比485(kg/tp)以下の操業は困難であった。また、焼成ペレットの使用原単位Pが150kg/tpより低い場合でも、含炭非焼成ペレットを使用しても、還元材比485(kg/tp)以下の操業は困難であった。
含炭非焼成ペレットの使用原単位Rと焼成ペレットの使用原単位Pの比:A(=R/P)が0.31を超える場合は、焼成ペレットの使用原単位Pの上昇に伴って、含炭非焼成ペレット使用量が不足して、還元材比は上昇した。
一方、含炭非焼成ペレットの使用原単位Rと焼成ペレットの使用原単位Pの比:A(=R/P)が0.09より低くなる場合も、焼成ペレットの使用原単位Pの上昇に伴って、還元材比は上昇した。
これは、前述したように、焼成ペレットの還元に必要な量以上に含炭非焼成ペレットを配合した結果、焼成ペレットに比べて圧潰強度が低い含炭非焼成ペレットの増加に伴う通気性の低下が顕著となり、また、含炭非焼成ペレットの速いガス化によるCOガスが有効に活用されず、炉頂に逃げてしまったためである。
なお、同様のことを、通常コークス(小塊コークス)に適用しても成り立たない。通常コークスは、ガス化反応(C+CO2=2CO)の速度が遅いので、より多量のコークスが必要となる。
また、使用する含炭非焼成ペレットの粒径は、本発明では、特に限定するものではないが、焼成ペレットとの均一な混合を図り、含炭非焼成ペレットの圧潰による通気性の低下を抑制するために、平均粒径20mm以下とすることが望ましい。
また、含炭非焼成ペレットの高炉への装入方法は、高炉の炉頂から鉄含有原料とコークスを交互に層状に装入する際、事前に、焼成ペレットと含炭非焼成ペレットを装入前に混合し、上記含炭非焼成ペレットと上記焼成ペレットの混合物を、上記鉄含有原料層の一部と代替するように装入することが望ましい。
焼成ペレットと含炭非焼成ペレットを装入前に混合する方法として、焼成ペレット槽、含炭非焼成ペレット槽を近接させて切り出しても、同様の効果が得られる。
さらに、本発明の含炭非焼成ペレットは、形状や製造方法が特に限定されないものである。一般的には、パンペレタイザーを用いた生ペレットの造粒方法を用いるが、より圧密成形が可能なブリケット成形を用いても、同様の効果が得られる。
また、本発明の含炭非焼成ペレットは、原料の条件も特に限定されないものである。一般的には、含鉄ダストや含コークスダストなどが主に用いられるが、鉄鉱石やスケール類などを配合しても、成分範囲が本発明範囲内であれば、ほぼ同様の効果を得ることができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、実施例の条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例1)
含鉄ダスト、含カーボンダスト、早強ポルトランドセメントを原料として、2種類の含炭非焼成ペレット、P1とP2を製造した。P1は、C含有量が23%、C/Oが2.0、脈石成分量が25%である。P2は、C含有量が28%、C/Oが2.8、脈石成分量が25%である。
これらの含炭非焼成ペレットを、有効容積5500m3の高炉において、焼成ペレットとともに炉頂部から装入して使用した。使用期間中は、焼結鉱の品質はほぼ一定であり、出銑比が2.1〜2.2(t/d/m3)となるように操業した。
表1に、含炭非焼成ペレット、焼成ペレットの使用条件と高炉操業評価結果の一覧を示す。表1から解るように、含炭非焼成ペレットP1を使用した場合、含炭非焼成ペレット使用量が焼成ペレット使用量に対して少ない比較例1は、還元材比が485(kg/tp)以下の操業はできなかった。
比較例2は、逆に、含炭非焼成ペレット使用量が焼成ペレット使用量に対して多過ぎて還元材比が上昇してしまい、やはり、還元材比485(kg/tp)以下の操業はできなかった。
含炭非焼成ペレットP2を使用した場合では、焼成ペレット使用量の多い条件で、検討を行った。比較例3は、含炭非焼成ペレット使用量が45(kg/tp)と、発明例1と同等の使用量であるのに関わらず、焼成ペレット量に対しては不足しており、還元材比を低下させることはできなかった。比較例4は、逆に、過度に含炭非焼成ペレット配合が多いために、やはり、還元材比は高めに推移した。
Figure 2010041770
前述したように、本発明によれば、焼成ペレットを多く配合した鉄含有原料を使用する高炉操業において、従来に比べて小量の含炭非焼成ペレット使用量で大幅な還元材比の改善を得ることができる。
したがって、本発明の適用により、安価であるものの劣質の粉状鉄鉱石を原料として効率的に焼成ペレットを製造し、かつ、焼成ペレットを使用した場合の高炉操業時の還元材比(コークス比)を、大幅に低減することができ、資源の有効利用とともに、省エネルギー化、低CO2化が可能となる。よって、本発明は、工業的及び社会的な貢献が多大なものである。
1 荷重印加装置
2 反応ガス出口
3 試料
4 熱電対
5 上段電気炉
6 下段電気炉
7 還元ガス入口
8 液滴収容部
9 液滴検知器

Claims (2)

  1. 高炉の炉頂から鉄含有原料とコークスを交互に層状に装入する高炉操業方法において、
    (i)予め含炭非焼成ペレットと焼成ペレットを混合し、該含炭非焼成ペレットと前記焼成ペレットの混合物を、前記鉄含有原料層の一部と代替するように装入し、かつ、
    (ii)前記含炭非焼成ペレットの使用原単位R(kg/tp)と、前記焼成ペレットの使用原単位P(kg/tp)の比R(kg/tp)/P(kg/tp)が0.09〜0.31となるように、前記含炭非焼成ペレットと前記焼成ペレットの混合割合を調整する
    ことを特徴とする含炭非焼成ペレットを用いる高炉操業方法。
  2. 前記焼成ペレットの使用原単位Pが150kg/tp以上、650kg/tp以下であることを特徴とする請求項1記載の含炭非焼成ペレットを用いる高炉操業方法。
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