JP6696376B2 - 高炉の操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高炉を安定操業させる技術に関するものである。
高炉操業を安定化させる上で、塊状帯における還元ガスの流れを十分に確保すること、或いは塊状帯の圧力損失が増大することによる高炉原料の瞬間的な吹き上がり(吹き抜け)を抑制するために、塊状帯の通気抵抗を低減させることが重要である。
特許文献1には、焼結鉱を細粒焼結鉱と粗粒焼結鉱とに分別し、前記細粒焼結鉱に小粒コークスをあらかじめ混合しておき、該混合物と前記粗粒焼結鉱とを別々に装入する粒度別装入法を採用している高炉操業方法において、前記細粒焼結鉱の平均粒径が3〜5mmであり、かつ、前記小粒コークスの平均粒径が、前記細粒焼結鉱の平均粒径の1.2〜2.0倍であることを特徴とする高炉操業方法が開示されている。
この特許文献1に記載されている高炉操業方法は、平均粒径が3〜5mmの非常に粒度が小さい細粒焼結鉱を小粒コークスと予め混合した状態で高炉に装入することで、細粒焼結鉱を装入することによる不具合(高炉周辺部の通気性悪化)を起こりにくくしている。
また、高炉塊状帯の通気性を確保するその他の方法として、高炉の炉頂温度を低下させることによって、還元ガスのガスボリュームを小さくして圧力損失を低減することが考えられる。
特開2011−202229号公報 特開2008−95177号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、以下の問題がある。高炉装入物には焼結鉱以外の原料(例えば、石灰石)も含まれているため、高炉装入物全体の粒度分布を考慮した場合、高炉周辺部の通気性が低下することが懸念される。さらに、目的とする粒度の焼結鉱を得るために篩い分けを行ったときに、篩下に落下する細粒焼結鉱の量が多く、高炉で使用する細粒焼結鉱の使用量とバランスしないことも懸念される。
一方、炉頂部の温度を低下させる方法では、還元ガスの利用効率(以下、還元効率と称する)を低下させ、ソリューションロスカーボン量が増加する問題が懸念される。ここで、高炉では、炉下部の羽口から吹き込まれたガスにより微粉炭が燃焼してCOガスが発生し、この発生したCOガスが高炉内を上昇する間に鉱石を還元することによりCOガスが生成され、この生成されたCOガスが炉内のコークスに衝突して再度COガスに戻る現象が見られる。この再度生成されたCOガスは、焼結鉱の還元に寄与することなく高炉から排出される場合があり、本明細書では、このCOガスに含まれるカーボンの量をソリューションロスカーボン量と定義する。ソリューションロスカーボン量の単位は「kg/tp」であり、出銑量1トン当たりのカーボン量で表わされる。
一方、炉頂部の温度が下がりすぎると、結露が生じて炉頂部から排出されるダストの集塵効率が低下する。
そこで、本願発明は高炉の炉頂温度を従来よりも低い所定の温度範囲に維持しながら、ソリューションロスカーボン量の増大を抑制することを目的とする。
(本発明を創作するに至った経緯)
上述したように、本発明者は高炉における塊状帯の通気性を確保するために、高炉の炉頂温度を従来よりも温度低下させ、還元ガスのガスボリュームを小さくすることを検討した。還元ガスのガスボリュームが小さくなることで、圧力損失が小さくなり、塊状帯の通気性が向上する。
一方、炉頂温度が下がると還元効率が低下して、ソリューションロスカーボン量が増大するとともに、炉頂部が結露する問題が懸念された。そこで、炉頂温度を従来の操業温度よりも低い所定の温度範囲に維持しながら、ソリューションロスカーボン量の増大を抑制する方法について鋭意検討し、含炭非焼成塊成鉱を焼結鉱とともに所定の比率で高炉に装入することを知見した。
すなわち、本願発明は、(1)焼結鉱及び含炭非焼成塊成鉱を高炉鉄原料として使用する高炉の操業方法であって、前記高炉鉄原料を100質量%としたとき、前記含炭非焼成塊成鉱の含有量は3質量%以上10質量%以下であり、高炉の炉頂温度を100℃以上120℃以下に温度制御しながら高炉を操業することを特徴とする。
(2)前記焼結鉱として、ヤード焼結鉱を使用することを特徴とする(1)に記載の高炉の操業方法。
(3)前記含炭非焼成塊成鉱は、鉄分を40質量%以上含有する微粉状鉄含有原料と、炭素分を10質量%以上含有する微粉状炭材とに、水硬性バインダーを添加し、水分を調整しつつ混合、造粒した造粒物であり、かつ、冷間圧潰強度が50kg/cm以上、該含炭非焼成塊成鉱中における炭素含有割合(T.C)が15〜25質量%であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の高炉の操業方法。
(4)前記炉頂温度を監視しながら高炉を操業することを特徴とする(1)乃至(3)のうちいずれか一つに記載の高炉の操業方法。
本願発明によれば、高炉の炉頂温度を従来よりも低い所定の温度範囲に維持しながら、ソリューションロスカーボン量の増大を抑制することができる。
高炉の付帯設備を除いた炉体の概略図である。 炉頂温度と塊状帯の圧力損失の関係を示すグラフである。 炉頂温度とソリューションロスカーボン量の関係を示すグラフである。 焼結鉱の温度と炉頂温度との関係を調べたグラフである。
図1は、高炉の付帯設備を除いた炉体の概略図である。炉体100は、炉口部K、炉口部Kの下端部に連設するシャフト部L、シャフト部Lの下端部に連設する炉腹部M、炉腹部Mの下端部に連設する朝顔部N、朝顔部Nの下端部に連設する羽口部O及び羽口部Oの下端部に連設する炉底部Pからなる。シャフト部Lは、上部から下部に向かって徐々に径寸法が拡大する末広がり形状に形成されている。羽口部Oには、羽口101が形成されており、この羽口101を介して、炉体の内部に微粉炭とともに熱風が吹き込まれる。
炉体100の炉頂部102には垂直軸周りに回転する旋回シュート(不図示)が設けられており、この旋回シュートから炉体100の内部に向かって高炉鉄原料及びコークスが交互に層状に装入される。これにより、炉口部K及びシャフト部Lの上部において、高炉鉄原料とコークスとが交互に並ぶ塊状帯103が形成される。ここで、高炉鉄原料は焼結鉱及び含炭非焼成塊成鉱からなるが、詳細については後述する。炉頂部102には、炉頂温度Tを検出するための温度検出部102aが設けられている。温度検出部102aには、例えば、ゾンデを用いることができる。
塊状帯103は、炉内を降下しながら、羽口101から吹き込まれた熱風によって順次昇温され、高炉鉄原料が溶融する。すなわち、コークス燃焼および高炉鉄原料の溶融は、塊状帯103の下部で順次進行し、朝顔部Nからシャフト部Lの下部に向かって略円錐形の融着帯104が形成される。
融着帯104で溶融した鉄分105は、滴下帯106を通過し、炉底部Pに向かって滴下し、溶銑107として炉底部Pに貯留される。コークス等は滴下帯106を通過して降下し、炉底部Pに積み上がり、溶銑107の上に円錐形の炉芯109を形成する。炉底部Pには、出銑口108が形成されており、出銑口108から炉底部Pに溜まった溶銑107が高炉の外部に取り出される。
本発明者は高炉の炉頂温度Tを低下させることにより、塊状帯103における還元ガスの圧力損失を低減させることを検討した。図2は、炉頂温度Tと塊状帯103の圧力損失の関係を示すグラフであり、黒色で塗り潰した丸印のプロットは実測値であり、白抜き丸印のプロットは計算値である。すなわち、下記の式(1)に示すエルガンの公式に高炉操業データを代入して係数αを求めるとともに、炉頂温度Tが変化した際のガス密度及び粘度の変化を考慮して、各炉頂温度Tでの塊状帯103における圧力損失を算出した。
式(1)において、△Pは圧力損失[Pa]であり、△Lは塊状帯の層高[m]であり、eは空隙率[−]であり、dは粒子径[m]であり、rはガス密度[kg/m]であり、mはガス粘度[kg/(m・s)]であり、Uは空塔ガス流速[m/s]であり、0.Cは塊状帯のコークス層を表す記号であり、0.SPは塊状帯の焼結鉱層を表す記号であり、Loは焼結鉱層高[m]であり、Lcはコークス層高[m]である。
図2から明らかなように、炉頂温度Tが高くなるほど塊状帯103における圧力損失が大きくなり、炉頂温度Tが低くなるほど塊状帯103における圧力損失が小さくなる。
また、本発明者は、炉頂温度Tとソリューションロスカーボン量(kg/tp)との関係を調べ、図3の結果を得た。矩形印でプロットしたグラフIは、従来の操業方法、つまり、高炉鉄原料として焼結鉱のみを装入した場合のデータである。グラフIのデータは、高炉内の還元反応を模擬できる試験装置(例えば、BIS炉)により取得した。炉頂温度Tは、BIS炉に導入する還元ガスのガス量を調節することにより温度調節した。また、ソリューションロスカーボン量(kg/tp)は、定常時にBIS炉から排出される排ガスを分析し、炉内に導入したカーボン量と前述の排ガスの分析結果から算出したカーボン量の差分から求めた。
また、LSVは操業実績から得られる基準値であり、ソリューションロスカーボン量(kg/tp)が基準値LSVよりも多くなると、融着帯104の温度が下がり、操業が不安定になる。つまり、ソリューションロスカーボン量(kg/tp)が多くなると、間接還元が進んでいない焼結鉱が融着帯104により多く落下してきて、コークスに衝突することで直接還元されるところ、この直接還元は吸熱反応であるため、融着帯104の温度を大きく低下させる。したがって、塊状帯103における通気抵抗軽減のために炉頂温度Tを低下させることに加えて、ソリューションロスカーボン量(kg/tp)を所定値以下に抑制することも、高炉の操業条件として極めて重要である。
グラフIに示すように、炉頂温度Tが120℃よりも低い温度領域では、ソリューションロスカーボン量(kg/tp)が基準値LSVよりも大きくなるため、操業が不安定になる。この傾向は、炉頂温度Tが低くなるほど顕著になる。なお、基準値LSVは高炉の種類に応じて異なるため一義的に定めることはできないが、本実施形態では操業実績から88(kg/tp)としている。
本実施形態では、高炉鉄原料として焼結鉱とともに所定の含炭非焼成塊成鉱を装入することで、ソリューションロスカーボン量(kg/tp)の増大を抑制して、還元効率を改善している。ここで、含炭非焼成塊成鉱は、微粉状鉄含有原料及び微粉状炭材を造粒し、養生(正石炭などの水和反応や塩化処理)により造粒物の強度を高めた後、焼結せずに、そのまま高炉用鉄原料として使用する非焼成型の塊成鉱であり、公知のものを適宜使用することができる。含炭非焼成塊成鉱を高炉に装入すると約800℃でカーボンがガス化してCOが生成される。このCOは、含炭非焼成塊成鉱に含まれる酸化鉄の近傍で発生するため、酸化鉄が還元されやすくなる。また、酸化鉄を還元することにより生成されたCOはカーボンと反応してCOガスが再び生成され、周辺の焼結鉱を還元する。これにより、高炉鉄原料の間接還元が促進され、融着帯104における温度低下を抑制することができる。
含炭非焼成塊成鉱は、好ましくは、鉄分を40質量%以上含有する微粉状鉄含有原料及び炭素分を10質量%以上含有する微粉状炭材に、水硬性バインダーを添加し、水分を調整しつつ混合、造粒した造粒物である。
微粉状鉄含有原料には、焼結ダスト、および、微粉状鉄鉱石の1種または2種を用いることができる。微粉状炭材には、高炉一次灰、コークスダスト、および、粉コークスのいずれか1種または2種以上を用いることができる。前記微粉状鉄含有原料及び前記微粉状炭材の粒度は、好ましくは、1mm以下であるが、原料の気孔構造、表面形状などの原料性状や成型手法等によりその最適粒度構成は異なる。
水硬性バインダーは、原料中に含まれる水分や添加水分との水和反応により硬化することにより造粒物の冷間圧潰強度を高める機能を有するバインダーのことであり、バインダーの種類は特に限定されない。一例として、本実施形態では、高炉水砕スラグを主成分とする微粉末とアルカリ刺激剤からなる時効性バインダー、ポルトランドセメント、ベントナイトを用いることができる。
微粉状鉄含有原料、微粉状炭材及び水硬性バインダーの総和を100質量%としたとき、水硬性バインダーの添加量は、好ましくは、5〜10質量%である。また、水分は、好ましくは、5〜15質量%となるように調整される。造粒設備は、とくに限定する必要はなく、原料の混錬、加水、造粒、成品篩の機能を有するものであればよく、混錬機、造粒機などは、特に限定されるものではない。また、造粒物はペレット、或いはブリケットであってもよい。ペレットの場合には、例えば、ディスクペレタイザーにより球状に成形することができる。ブリケットの場合には、例えば、くぼみ形状の型を備え相対する一対の成型ロールで成型する左右対称のピロー型ブリケット、アーモンド形ブリケットであってもよい。
また、含炭非焼成塊成鉱の冷間圧潰強度は、好ましくは、50kg/cm以上である。冷間圧潰強度を50kg/cm以上確保することで、搬送時および高炉装入時の衝撃による破壊に十分耐えられる冷間強度が得られるため、製造時のハンドリング、高炉への輸送、装入時に粉化の心配がない。
含炭非焼成塊成鉱中における炭素含有割合(T.C)は、好ましくは、15〜25質量%である。炭素含有割合(T.C)を15質量%以上にすることで、含炭非焼成塊成鉱自身の酸化鉄の直接還元に加えて、余剰炭素のガス化により、含炭非焼成塊成鉱の周囲に位置する焼結鉱の間接還元をより促進することができる。一方、炭素含有割合(T.C)を25質量%以下に制限することで、含炭非焼成塊成鉱に含まれる酸化鉄粒子間の距離が大きくなることによる圧潰強度の低下を抑制することができる。
図3において、三角印でプロットしたグラフIIは、焼結鉱を97質量%、含炭非焼成塊成鉱を3質量%の割合で装入したものであり、丸印でプロットしたグラフIIIは、焼結鉱を90質量%、含炭非焼成塊成鉱を10質量%の割合で装入したものである。使用した含炭非焼成塊成鉱の主たる組成は、T.Feが48.39質量%、M.Feが0.37質量%、FeOが0.43質量%、CaOが2.85質量%、SiOが2.99質量%、Alが1.12質量%、MgOが0.13質量%、T.Cが19.8質量%であり、ペレット状に形成した。なお、T.Feは含炭非焼成ペレットに含まれる全鉄の質量であり、M.Feは含炭非焼成ペレットに含まれる金属鉄の質量であり、T.Cは含炭非焼成ペレットに含まれるカーボンの質量である。これらのデータは、グラフIの場合と同様に、高炉内の還元反応を模擬できる試験装置(例えば、BIS炉)により取得した。含炭非焼成塊成ペレットはBIS炉内の焼結鉱層中に略均一に分散させた。なお、炉頂温度Tの制御方法及びソリューションロスカーボン量(kg/tp)の測定方法は、グラフIと同様である。
グラフIIから、炉頂温度Tを100℃に温度低下させても、含炭非焼成塊成鉱を3質量%装入することで、ソリューションロスカーボン量(kg/tp)を基準値LSV以下に抑制できることがわかった。ここで、グラフIIIから含炭非焼成塊成鉱の含有量を10質量%に増大することで、炉頂温度Tを100℃より低くしても、ソリューションロスカーボン量(kg/tp)を基準値LSV以下に抑制できることがわかった。しかしながら、炉頂温度Tが100℃よりも低くなると、炉上部が結露して、高炉から排出されるダストの集塵効率が低下する。そこで、本発明では、炉頂温度Tの範囲を100℃以上120℃以下に制限している。
ここで、炉頂温度Tは、温度検出部102aの検出結果を用いて、温度制御することができる。温度制御は、焼結鉱の温度を制御する方法であってもよい。焼結機から排出される焼結鉱は無端回動するベルトにより高炉の炉頂部102に運び上げられるが、焼結機から排出された直後の焼結鉱は非常に温度が高いため、通常、焼結機出側に設けられた排熱クーラを用いてベルト移送に適した温度(例えば、150℃)に冷却される。本実施形態では、この排熱クーラの冷却能力を上げることにより、焼結鉱の温度を下げ、炉頂温度Tを100℃以上120℃以下に制御することができる。
また、ヤード焼結鉱を用いることにより、炉頂温度Tを制御する方法であってもよい。焼結鉱は、通常製造直後に装入されるが、高炉への装入タイミングが合わない場合には一時的にヤードに保管されことがあり、この一時的に保管される焼結鉱をヤード焼結鉱という。ヤード焼結鉱は、常温(環境温度にもよるが、25℃を例示できる)まで冷却されているため、高炉鉄原料として用いることで炉頂温度Tを下げることができる。なお、製造直後の温度が高い焼結鉱と冷却されたヤード焼結鉱とを併用してもよい。
ここで、従来、常温まで温度低下したヤード焼結鉱をそのまま高炉に装入すると、高炉の温度低下により還元率が悪化するため、還元材(微粉炭)を増やすことにより還元率の悪化を抑制していた。本実施形態では、ヤード焼結鉱を用いることにより低下する還元率を含炭塊成鉱の使用によって改善しているため、還元材の増大によるコスト高を抑制することができる。
さらに、含炭非焼成塊成鉱の使用量を変更することにより、炉頂温度Tを制御してもよい。含炭非焼成塊成鉱の固化したバインダー中には結晶水が含まれており、この結晶水は高炉装入時の熱を受熱することにより熱分解される。この熱分解反応は、吸熱反応であるため、炉頂温度Tを低下させる。したがって、含炭非焼成塊成鉱の使用量を増やすことで炉頂温度Tを低下させてもよい。なお、含炭非焼成塊成鉱に含まれるバインダーの含有量を変更することで、炉頂温度Tを制御してもよい。
このように、炉頂温度Tを100℃以上及び120℃以下に温度制御しながら、ソリューションロスカーボン量(kg/tp)を基準値LSV以下に抑制する方法には、種々の態様が含まれるため、温度制御の方法及び含炭非焼成塊成鉱の組成については請求項1で限定しない。
ここで、高炉鉄原料を100質量%としたとき、含炭非焼成塊成鉱の含有量は3質量%以上10質量%以下ある。つまり、高炉鉄原料には、焼結鉱が90質量%以上97質量%以下、含炭非焼成塊成鉱が3質量%以上10質量%以下含まれている。
図3のグラフIに示すように、含炭非焼成塊成鉱が3質量%以上含まれていない場合には、炉頂温度Tが100℃のときソリューションロスカーボン量(kg/tp)が基準値LSVを超過する。一方、含炭非焼成塊成鉱の含有量を10質量%以下に制限した理由は以下の通りである。
図4は、焼結鉱の温度と炉頂温度Tとの関係を調べたグラフである。炉頂温度Tは、原料温度、原料比熱、炉頂ガス量、炉頂ガス組成、各ガス組成の比熱、含炭非焼成塊成鉱に含まれるバインダーの分解熱を基に、熱バランス計算によって算出した。矩形印でプロットしたグラフIVは高炉鉄原料として焼結鉱のみを装入した場合であり、三角印でプロットしたグラフVは含炭非焼成塊成鉱が3質量%の割合で装入された場合であり、丸印でプロットしたグラフVIは含炭非焼成塊成鉱が10質量%の割合で装入された場合である。
グラフVIに示すように、焼結鉱温度を25℃まで温度低下させた状態で、含炭非焼成塊成鉱を10質量%添加すると、炉頂温度Tが約100℃に低下する。したがって、含炭非焼成塊成鉱の割合が10質量%を超過し、かつ、ヤード焼結鉱のような常温(本実施形態では25℃)まで冷却された焼結鉱を使用すると、含炭非焼成塊成鉱に含まれる結晶水の分解熱及び焼結鉱を昇温させる際の顕熱による温度低下によって炉頂温度Tが100℃未満に低下するおそれがある。加えて、炉内に装入されるスラグ量が増大することによって、高炉内における融着帯104の層厚が増して、炉下部の圧力損失が増大することが懸念される。以上の理由から、高炉鉄原料に含まれる含炭非焼成塊成鉱の使用割合は、3質量%以上10質量%以下とした。
次に、実施例を示して、本発明についてより具体的に説明する。高炉内容積4000mレベルの高炉において、出銑比:2.1、CR(以下、コークス比という):320(kg/tp)、酸素冨化5%の操業をベースにした。全ての操業において、装入T.C量(つまり、高炉操業時に使用したカーボンの総量)を同じにした。ソリューションロスカーボン量(kg/tp)の基準値LSVを88(kg/tp)に設定し、ソリューションロスカーボン量(kg/tp)が基準値LSVよりも小さい場合には還元効率が良好であるとして○で評価し、ソリューションロスカーボン量(kg/tp)が基準値LSV以上の場合には還元効率が不良であるとして×で評価した。また、塊状帯の圧力損失が645hPa以下である場合には塊状帯の通気性が良好であるとして○で評価し、塊状帯の圧力損失が645hPa超である場合には塊状帯の通気性が不良であるとして×で評価した。炉頂での結露によりダスト排出が不良となった場合には、ダスト排出性が不良として×で評価した。
還元効率、通気性及びダスト排出性の評価が全て○である場合には、総合評価が良好であるとして○で評価した。還元効率、通気性及びダスト排出性のうちいずれかの評価が×の場合には、総合評価が不良であるとして×で評価した。表1は、ベース操業、比較例及び実施例のデータを纏めたものである。
ベース操業1は、含炭非焼成塊成鉱を未使用とした従来の焼結鉱のみの操業であり、炉頂温度Tは130℃であった。炉頂温度Tは高温のままであるため、還元効率の評価は○になったが、通気性の評価は×で、総合評価は×になった。
ベース操業2は、ベース操業1において吹き込まれる微粉炭の一部を含炭非焼成塊成鉱の製造に振り向けたものであり、具体的には、高炉鉄原料の中に含炭非焼成塊成鉱を6質量%含めた。また、ベース操業1よりも焼結鉱の温度を上昇させた。炉頂温度Tは高温のままであるため、還元効率の評価は○になったが、通気性の評価は×であり、総合評価は×になった。ベース操業1及び2を比較して、含炭非焼成塊成鉱を装入することでソリューションロスカーボン量(kg/tp)は低減したが、炉頂温度Tが高温のままであるため通気性は改善しないことがわかった。
比較例1ではベース操業1の焼結鉱をヤード焼結鉱に変更して炉頂温度Tを低下させた。炉頂温度Tが120℃以下に低下したため通気性の評価は○に改善したが、温度低下に起因してソリューションロスカーボン量(kg/tp)が増大したため、総合評価は×になった。そこで、比較例1において吹き込まれる微粉炭の一部を含炭非焼成塊成鉱の製造に振り向けることで、ソリューションロスカーボン量(kg/tp)の低減と通気性の確保とを両立するための最適な含炭非焼成塊成鉱の使用量を検討し、比較例2〜3、実施例1〜3の結果を得た。なお、これらの比較例及び実施例では、比較例1と同様に25℃のヤード焼結鉱を使用することで、炉頂温度Tを低下させた。また、使用した含炭非焼成塊成鉱は、焼結ダスト(微粉状鉄含有原料)を56質量%、高炉一次灰(微粉状炭材)を34質量%配合し、セメント(水硬性バインダー)を10質量%添加した後に、パンペレタイザーによって造粒し、ヤードで2週間養生を行うことにより製造した。
比較例2では、含炭非焼成塊成鉱の含有量が僅か2質量%であるため、還元効率の評価が×のままで、総合評価も×になった。比較例3では、含炭非焼成塊成鉱が10質量%超含まれているため、還元効率の評価は○になったが、含炭非焼成塊成鉱に含まれる結晶水の熱分解熱の増加に起因して、炉頂温度Tが100℃以下に低下した。そのため、ダスト排出性が×になり、総合評価は×になった。
一方、実施例1〜3では、含炭非焼成塊成鉱の使用量が3質量%以上10質量%以下であり、かつ、炉頂温度Tが100℃以上120℃以下に温度制御されているため、還元効率、通気性及びダスト排出性の評価が全て○になり、総合評価が○になった。
100 炉体 101 羽口 102 炉頂部 102a 温度検出部
103 塊状帯 104 融着帯 105 鉄分 106 滴下帯
107 溶銑 108 出銑口 109 炉芯

Claims (4)

  1. 焼結鉱及び含炭非焼成塊成鉱を高炉鉄原料として使用する高炉の操業方法であって、
    前記高炉鉄原料を100質量%としたとき、前記含炭非焼成塊成鉱の含有量は3質量%以上10質量%以下であり、前記含炭非焼成塊成鉱はAl の含有率が2.0質量%未満である微粉状鉄含有原料を用いて製造されたものであり、高炉の炉頂温度を100℃以上120℃以下に温度制御しながら高炉を操業することを特徴とする高炉の操業方法。
  2. 前記焼結鉱として、ヤード焼結鉱を使用することを特徴とする請求項1に記載の高炉の操業方法。
  3. 前記含炭非焼成塊成鉱は、鉄分を40質量%以上含有する微粉状鉄含有原料と、炭素分を10質量%以上含有する微粉状炭材とに、水硬性バインダーを添加し、水分を調整しつつ混合、造粒した造粒物であり、かつ、冷間圧潰強度が50kg/cm以上、該含炭非焼成塊成鉱中における炭素含有割合(T.C)が15〜25質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高炉の操業方法。
  4. 前記炉頂温度及びソリューションロスカーボン量を監視しながら高炉を操業することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の高炉の操業方法。

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