JPWO2010035657A1 - 信号処理方法、信号処理装置、および信号処理プログラム - Google Patents

信号処理方法、信号処理装置、および信号処理プログラム Download PDF

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Abstract

本発明は、複数の受信信号を受信し、複数の受信信号により生成される複数のエコーから、複数の受信信号を入力とする複数の適応フィルタによって生成された擬似エコーを差し引くことによって、複数のエコーを低減する信号処理方法であって、複数の受信信号のうち2以上の受信信号をそれぞれ遅延させて遅延受信信号を生成し、受信信号と前記遅延受信信号とを適応フィルタに入力して擬似エコーを生成することを特徴とする信号処理方法である。

Description

本発明は、信号処理方法、信号処理装置、および信号処理プログラムに関するものである。
複数の受信信号と単数または複数の送信信号を有するシステムにおいて、受信信号が空間音響経路を伝搬することによって生じるエコーを消去する信号処理装置として、線形結合型が非特許文献1に開示されている。チャネル数が2である場合の、すなわちステレオ信号を対象とした、線形結合型多チャネル信号処理装置のブロック図を、図17に示す。特許文献1によれば、線形結合型には、適応フィルタの係数がエコー経路の特性と等しい値(正しい解)以外の不定値に収束する、係数不定性の問題がある。収束したフィルタ係数値は、フィルタ入力信号の相互相関に依存しており、遠端話者の移動などによって相互相関が変化すると、正しい係数値も変化する。相互相関の変化に起因する正しい係数値の変化は、エコー経路の変動がない場合でも、エコー消去能力が低下することを意味する。従って、残留エコーが知覚されることになり、通話品質が劣化する。
この問題を解決するために、1つの受信信号を入力とし、混在信号と1対1に対応する適応フィルタで擬似エコー(エコーレプリカ)を生成することにより、1つの音源から複数の経路を伝搬して生じたエコーをチャネルあたり1つの適応フィルタで推定する信号処理方法が、特許文献1に開示されている。この信号処理方法では、一つのチャネルにおいて生じるエコーを一つの適応フィルタで消去するため、係数不定性の問題は存在しない。従って、適応フィルタの係数は、一意に定まる最適値に収束する。しかしながら非特許文献2には、話者の声を収録するマイクロフォンの配置などの使用環境によって定められるパラメータがある範囲に収まらないときにエコー消去性能が劣化することが、評価結果として開示されている。従って、あらゆる環境で使用できることを前提とすれば、線形結合型の多チャネルエコーキャンセラを使用することが必要となる。
この前提に基づき、線形結合型多チャネルエコーキャンセラの受信信号を遅延させて遅延信号を生成し、この遅延信号を受信信号と相互に連続して切替えて新たな受信信号とすることにより、適応フィルタの係数を一意に定めることができる方法が、特許文献2に開示されている。この信号処理方法では、適応フィルタの係数を算出するために用いる条件式の数が、遅延した受信信号の導入で増加しており、適応フィルタの係数である解が不定となるという問題は起こらない。従って、適応フィルタの係数は、一意に定まる最適値に収束する。しかしながら、特許文献2で提案されている方法では、受信信号と遅延受信信号を切替える際に音像の移動が知覚されることがある。実際には移動していない音像が移動するので、不自然な音として知覚され、受信信号の主観的な音質が劣化する。これを解決するために、受信信号と遅延受信信号の切替えに際して、両チャネルの信号の振幅補正をする方法が、特許文献3に開示されている。
一方、受信信号と遅延受信信号の切替えの代わりに、両チャネルの受信信号に非線形処理を適用することによって、適応フィルタの係数を一意に定めることができる方法が、非特許文献3に開示されている。しかし、特許文献2、特許文献3、及び非特許文献3において開示された3つの方法は、線形結合型多チャネルエコーキャンセラより収束が遅いことが、非特許文献4において明らかにされている。また、非特許文献3において開示された方法は、特許文献2に開示された方法及び特許文献3において開示された方法より、さらに収束が遅いことが、非特許文献4に示されている。
特開平04-284732号公報 特開平11-004183号公報 特開2000-078061号公報
電子情報通信学会技術研究報告Vol. 84、No. 330、 pp. 7-14、CS-84-178 アイイーイーイー・プロシーディングス・オブ・インターナショナルカンファレンス・オン・アクーステイックス・スピーチ・アンド・シグナルプロセシング(IEEE Proceedings of International Conference on Acoustics,Speech and Signal Processing)第2巻、1994年、245〜248ページ アイイーイーイー・プロシーディングス・オブ・インターナショナルカンファレンス・オン・アクースティックス・スピーチ・アンド・シグナルプロセシング(IEEE Proceedings of International Conference on Acoustics,Speech and Signal Processing)第1巻、1997年、303〜306ページ アイイーイーイー・プロシーディングス・オブ・インターナショナルカンファレンス・オン・アクースティックス・スピーチ・アンド・シグナルプロセシング(IEEE Proceedings of International Conference on Acoustics,Speech and Signal Processing)第6巻、1998年、3677〜3680ページ
特許文献3及び非特許文献3で開示されている方法は、線形結合型の信号処理装置と比較して、収束速度が遅い。
そこで、本発明は上記課題に鑑みて発明されたものであって、その目的は、適応フィルタの係数値がエコー経路のインパルス応答によって一意に定められる正しい値に収束し、受信信号の主観音質が高く、収束時間の短い(収束速度の速い)信号処理方法、信号処理装置、信号処理及びプログラムを提供することにある。
本発明は、複数の受信信号を受信し、前記複数の受信信号により生成される複数のエコーから、前記複数の受信信号を入力とする複数の適応フィルタによって生成された擬似エコーを差し引くことによって、前記複数のエコーを低減する信号処理方法であって、前記複数の受信信号のうち2以上の受信信号をそれぞれ遅延させて遅延受信信号を生成し、前記受信信号と前記遅延受信信号とを適応フィルタに入力して擬似エコーを生成することを特徴とする信号処理方法である。
また、本発明は、複数の受信信号を受信し、前記複数の受信信号により生成される複数のエコーから、前記複数の受信信号を入力とする複数の適応フィルタによって生成された擬似エコーを差し引くことによって、前記複数のエコーを低減する信号処理装置であって、前記複数の受信信号のうち2以上の受信信号をそれぞれ遅延させて遅延受信信号を生成する線形処理回路と、前記受信信号と前記遅延受信信号とを受けて擬似エコーを生成する適応フィルタと、前記擬似エコーを前記混在信号から差し引くことによってエコーが低減された信号を生成する複数の減算器を少なくとも具備し、前記複数の減算器の出力を最小とするように前記複数の適応フィルタを制御することを特徴とする信号処理装置である。
また、本発明は、コンピュータに、複数の受信信号を受信する受信する受信処理と、前記複数の受信信号により発生する複数のエコーを低減するエコー低減処理とを実行させる信号処理プログラムであって、前記複数の受信信号のうち2以上の受信信号をそれぞれ遅延させて遅延受信信号を生成する遅延受信信号生成処理と、前記受信信号と前記遅延受信信号とを適応フィルタに入力して擬似エコーを生成する擬似エコー生成処理と、前記複数の受信信号それぞれから前記擬似エコーを差し引く擬似エコー差引き処理と、を実行させることを特徴とする信号処理プログラムである。
本発明の信号処理方法、信号処理装置、及び信号処理プログラムは、2以上の受信信号をそれぞれ遅延させて遅延受信信号を生成し、前記受信信号と前記遅延受信信号を入力として、適応フィルタを動作させる。受信信号と遅延受信信号の双方を用いるために、適応フィルタ係数を求める際の条件式数が増加し、解が不定になるという問題は起こらない。従って、適応フィルタの係数は、一意に定まる最適値に収束する。
また、2以上の遅延受信信号を用いるために、前記条件式の数がさらに増加し、最適値への解の収束時間を短縮することができる。
さらに、中心から最も離れた左右のスピーカによって再生するチャネルの遅延信号の受信信号に対する相対遅延の最大値の左右チャネル間の差が、前記左右のスピーカの配置における左右非対称性による音像の偏りを考慮した状態でゼロとなるように遅延受信信号を生成させることによって、遅延受信信号によって生じる音像定位の左右へのずれ量が等しくなり、主観音質の劣化を少なくすることができる。
本発明の信号処理装置の最良の実施の形態を示すブロック図である。 フィルタ310及び320の構成例を示すブロック図である。 フィルタ310及び320における係数c0(k)の変化例を示す図である。 フィルタ310及び320における係数c0(k)の別の変化例を示す図である。 フィルタ310及び320の第2の構成例を示すブロック図である。 フィルタ310における係数c0(k)、c1(k)及びc2(k)の変化例を示す図である。 フィルタ320における係数c0(k)、c1(k)及びc2(k)の変化例を示す図である。 フィルタ310及び320の第3の構成例を示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態を示すブロック図である。 振幅処理回路410の構成例を示すブロック図である。 本発明の第3の実施の形態を示すブロック図である。 非線形振幅処理回路510の構成例を示すブロック図である。 本発明の第4の実施の形態を示すブロック図である。 線形振幅処理回路530の構成例を示すブロック図である。 本発明の第5の実施の形態を示すブロック図である。 本発明の第6の実施の形態を示すブロック図である。 線形結合型の信号処理装置を示すブロック図である。
図1から図16を用いて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。説明にあたっては、第1及び第2の受信信号と、第1及び第2の混在信号を有する場合、すなわち、2チャネルの場合で、受信信号がスピーカから空間音響経路を伝搬して、マイクで収録されることによって生じる音響エコーを消去するための音響エコーキャンセラの例を用いる。
図1に、本発明の信号処理装置において受信信号及び送信信号の数がそれぞれ2である場合の最良の実施の形態を示す。非特許文献1に開示された線形結合型との違いは、適応フィルタ122、124に供給される受信信号1及び2が、遅延処理回路300によって処理されている点である。
受信信号1及び2は、遅延処理回路300に供給される。遅延処理回路300は、受信信号1と2を遅延させて遅延受信信号を生成し、適応フィルタ121、123、及びディジタル―アナログ(DA)変換器18、並びに適応フィルタ122、124、及びDA変換器19にそれぞれ伝達する。DA変換器18及び19は、ディジタル遅延受信信号をアナログ遅延受信信号に変換して、スピーカ3と4にそれぞれ伝達する。スピーカ3と4は、受けた遅延受信信号を、空間に放射する。マイクロフォン9及び10は、話者11の音声、スピーカ3及び4から空間に放射された遅延受信信号の漏れ込み(エコー)を受けて、アナログ―ディジタル(AD)変換器20及び21に混在信号14及び15として伝達する。AD変換器20及び21は、混在信号14及び15をアナログ信号からディジタル信号に変換して、減算器129及び130に伝達する。一方、前記遅延受信信号を受けた適応フィルタ121及び122、並びに適応フィルタ123及び124は、擬似エコー(エコーレプリカ)を生成して、それぞれ減算器129及び130に伝達する。減算器129及び130は、前記混在信号14及び15からそれぞれ、適応フィルタ121及び122が生成した擬似エコー、及び適応フィルタ123及び124が生成した擬似エコーを減算し、出力信号16及び17として出力する。減算器129及び130における減算によって、エコーが消去され、出力信号16及び17はエコーが含まれない信号となる。
適応フィルタ121、122、123、124の係数更新アルゴリズムとしては、非特許文献4(アダプティブ・シグナル・プロセッシング(Adaptive signal processing),1985年、99〜113ページ,Prentice-Hall Inc., USA)に最小平均二乗(LMS)アルゴリズムが、非特許文献5(アダプティブ・フィルタ(Adaptive filters),1985年、49〜56ページ,Kulwer Academic Publishers, USA)に正規化最小平均二乗(NLMS)アルゴリズムが開示されている。
適応フィルタのアルゴリズムとしては、非特許文献4に記載されているシーケンシャル・リグレッション・アルゴリズム(Sequential Regression Algoritm:SRA)や非特許文献5に記載されているRLSアルゴリズムなども使用できる。
遅延処理回路300における遅延信号の生成は断続的に行われ、遅延受信信号は受信信号1及び2を遅延させた信号に等しいときと受信信号1及び2に等しい、すなわち遅延されていないときとが混在する。これら2種類の状態(受信信号が遅延された状態と遅延されていない状態)では適応フィルタ121及び123と適応フィルタ122及び124に供給される信号の相互相関が異なる。このため、2種類の状態に対応した2種類の条件式(線形結合型よりも多くの条件式)を得ることができ、適応フィルタ121、123、122、124の係数は正しい値に収束する。
遅延処理回路300には、入力端子340を介してクロック信号が供給される。このクロック信号は、遅延処理回路300における遅延信号の生成タイミングを制御するために用いられる。
受信信号と遅延受信信号の相対的な遅延量(相対遅延)は、サンプリング周期の整数倍にとることができる。この場合、最小値はサンプリング周期に等しくなる。相対遅延の量が大きいと、適応フィルタ121及び123と適応フィルタ122及び124に供給される信号の相互相関が大きくなり、収束時間が短縮される。しかし、遅延受信信号がスピーカ3及び4で再生される際の音像移動量が大きくなり、主観音質が劣化する。このため、知覚される音像移動量が許容できる範囲で、大きい相対遅延を適切に選択する。
相対遅延は、サンプリング周期の非整数倍にとることもできる。この場合、許容できる音像移動量とできる限り大きな相対遅延の選択において、微細な調整が可能になるために、より適切な選択が可能となる。
相対遅延は、一種類に限定する必要はなく、複数の値を交互に用いることもできる。例えば、相対遅延がサンプリング周期の0倍(遅延なし)、1倍(1サンプル遅延)、2倍(2サンプル遅延)の3状態(2種類の相対遅延)を切り替えることができる。この場合は、前記条件式が線形結合型の3倍となり、前記適応フィルタをさらに高速に収束させることができる。利用する相対遅延量の数が増えると、前記適応フィルタの収束は高速になる。
遅延処理回路300は、フィルタ310、320、及びクロック変更回路330を含む。フィルタ310は、受信信号1を遅延させて遅延受信信号を生成する。フィルタ320は、受信信号2を遅延させて遅延受信信号を生成する。フィルタ310と320は、まったく等しい構成とすることができる。クロック変更回路330は、入力端子340に供給されたクロック信号を変更して、フィルタ320に供給する。クロック変更回路340の目的は、フィルタ310及び320における遅延受信信号の生成タイミングをずらせることによって、適応フィルタ121及び123と適応フィルタ122及び124に供給される信号の相互相関を時間と共に変動させることにある。クロック信号の変更として最も単純なものは、位相の変更である。すなわち、供給されたクロック信号に遅延を加えて出力する。さらに複雑なクロック信号の変更としては、クロック信号の周期及びその変化パターンの変更がある。このように複雑なクロック信号の変更を実行すると、入力端子340に供給されるクロック信号とフィルタ320に供給されるクロック信号をまったく異なるものにすることも可能である。
図2は、フィルタ310及び320の構成例を示すブロック図である。係数としてc0とc1を有する2タップFIRフィルタとして構成されている。図2の入力端子3100には、図1の受信信号1が供給される。図2の出力端子3104において得られる信号は、遅延受信信号である。
入力端子3100に供給された信号は、遅延素子31011 及び係数乗算器31020 に伝達される。係数乗算器31020は、入力された受信信号サンプルに係数値c0を乗算し、その積を加算器31031に伝達する。遅延素子31011は受信信号サンプルを1サンプル遅延させて、係数乗算器31021に伝達する。
係数乗算器31021は、入力された受信信号サンプルに係数値c1を乗算し、その積を加算器31031に伝達する。加算器31031は、係数乗算器31020及び係数乗算器31021の出力を加算して、その和を遅延受信信号として出力端子3104に出力する。
入力端子3105には図1の入力端子340からクロック信号が供給されており、係数乗算器31020、31021、及び31022に伝達される。係数乗算器31020、31021、及び31022は、入力端子3105から供給されたクロック信号に基づいて、その係数値を変化させる。
係数乗算器31020及び係数乗算器31021の係数c0とc1は、時間とともに変化する。これを明確に表すために、c0とc1をc0(k)とc1(k)と表記する。c1(k)は、
<数1>
1(k)=1−c0(k)
に従って与える。c0(k)の一例を図3(A)に示す。iは任意の自然数とする。M(整数)サンプル毎に、周期的に1と0をとる。また、数1から明らかなように、c1(k)は図3(A)を上下反転した図で表されるように変化する。すなわち、c0(k)とc1(k)は排他的となり、加算器3103のいずれかの入力は0となる。従って、加算器3103の出力は受信信号または遅延受信信号のいずれかと等しくなり、Mサンプル毎に受信信号または遅延受信信号を切り替えることと等価になる。なお、c0(k)の最大値は任意の値に設定することができるが、そのときには振幅の変化を補償してc0(k)の最大値が1のときと同じ出力になるように、出力をスケーリングする必要がある。
図3(B)は、フィルタ310のc0(k)が図3(A)に従って変化する場合の、フィルタ320のc0(k)の変化の一例である。図3(A)及び(B)に従ってフィルタ310及び320のc0(k)をそれぞれ変化させると、片方が受信信号を、他方が遅延受信信号を出力する瞬間が少なくとも存在する。図3の例では、2iMの直前M/2サンプルでは、フィルタ310の出力は受信信号、フィルタ320の出力は遅延受信信号である。これを状態1とする。また、(2i+1)Mの直前M/2サンプルでは反対に、フィルタ310の出力は遅延受信信号、フィルタ320の出力は受信信号である。これを状態2とする。(2i−1)Mの直後M/2サンプルでは、フィルタ310及び320の出力はどちらも受信信号であり、2iMの直後M/2サンプルでは、フィルタ310及び320の出力はどちらも遅延受信信号である。このようにフィルタ310の出力とフィルタ320の出力が等しい状態を状態3とする。状態3における適応フィルタ121及び123と適応フィルタ122及び124に供給される信号の相互相関は、線形結合型における場合と等しい。すなわち、適応フィルタ121及び123と適応フィルタ122及び124に供給される信号の相互相関は、遅延受信信号を利用しないときに等しい。この状態と状態1を切り替えて、2種類の相互相関状態を同時に満足するように適応フィルタの係数を更新することによって、正しい係数に収束させることができる。さらに、状態2を合わせて、状態1、2、3の「3種類の相互相関状態」を同時に満足するように適応フィルタの係数を更新することによって、2種類の相互相関状態を利用するときよりも高速に、適応フィルタの係数を正しい値に収束させることができる。
特に、フィルタ310の出力信号のフィルタ320の出力信号に対する相対遅延の最大値と、フィルタ320の出力信号のフィルタ310の出力信号に対する相対遅延の最大値が等しい場合には、遅延受信信号によって生じる音像定位の左右へのずれ量が等しくなり、音像が時間とともに左右対称に変動しているように知覚される。例えば、上記の状態1と状態2では、フィルタ310の出力信号のフィルタ320の出力信号に対する相対遅延が1、フィルタ320の出力信号のフィルタ310の出力信号に対する相対遅延が1で、相互に等しい。このような左右対称な音像定位の変動は、音像のボケとして知覚されるので、左右いずれかへの非対称な音像移動よりも、主観音質の劣化が少ない。
図3(A)と(B)では、c0(k)の位相が互いにM/2サンプル異なっている。この位相のずれは、M/2サンプル以外の値でもよい。この位相のずれを調整することによって、上記3種類の相互相関状態が等しく出現するときに、理論的な収束時間は最短となる。また、c0(k)の変化周期が常にM/2サンプルに等しい必要はなく、任意の値を選択することができる。
図4(A)と(B)に、図3(A)に対応した2種類のc0(k)の変化パターンを示す。図4では、図3と異なり、c0(k)がゼロと非ゼロの値を変化する際に、急変ではなく、時間をかけて滑らかに変化するように設定されている。滑らかな値の変化によって、受信信号と遅延受信信号を相互に切り替える際に生じる音像が滑らかに移動し、音像移動を知覚されにくくする効果がある。これは、主観音質の改善に有効である。
図4(A)と(B)を比較すると、c0(k)=1とc0(k)=0の時間が相互に異なる。適応フィルタ121及び123と適応フィルタ122及び124に供給される信号の相互相関はc0(k)=1とc0(k)=0のときに線形結合型と最も大きく異なるので、c0(k)=1とc0(k)=0の時間が長いほど適応フィルタ係数の正しい値への収束は短時間で達成される。言い換えれば、前記滑らかな値の変化を生じる区間が短いほど、収束時間は短くなる。一方、前記滑らかな値の変化を生じる区間が短いほど、音像の移動は急激に感じられる。従って、音像移動の知覚と収束時間の双方を考慮して、前記滑らかな値の変化を生じる区間を適切な長さに設定する。図4(A)と(B)では、c0(k)=1からc0(k)=0へ(又はその反対)の変化が時間に比例する例を示してあるが、c0(k)=1とc0(k)=0を接続する任意の滑らかな曲線あるいは直線を用いることができる。
図5は、フィルタ310及び320の第2の構成例を示すブロック図である。係数としてc0、c1、及びc2を有する3タップFIRフィルタとして構成されている。図5の入力端子3100には、図1の受信信号1が供給される。図5の出力端子3104において得られる信号は、遅延受信信号である。
入力端子3100に供給された信号は、遅延素子31011 、係数乗算器31020に伝達される。
係数乗算器31020は、入力された受信信号サンプルに係数値c0を乗算し、その積を加算器31031に伝達する。遅延素子31011は受信信号サンプルを1サンプル遅延させて、係数乗算器31021及び遅延素子31012に伝達する。
係数乗算器31021は、遅延素子31011の出力に係数値c1を乗算し、その積を加算器31031に伝達する。加算器31031は、係数乗算器31020と係数乗算器31021の出力を加算し、その和を加算器31032に伝達する。遅延素子31012は遅延素子31011の出力を1サンプル遅延させて、係数乗算器31022に伝達する。
係数乗算器31022は、遅延素子31012の出力に係数値c2を乗算し、その積を加算器31032に伝達する。加算器31032は、加算器31031及び係数乗算器31022の出力を加算して、その和を遅延受信信号として出力端子3104に出力する。
入力端子3105には図1の入力端子340からクロック信号が供給されており、係数乗算器31020、31021、及び31022に伝達される。係数乗算器31020、31021、及び31022は、入力端子3105から供給されたクロック信号に基づいて、その係数値を変化させる。
図6に、係数乗算器31020、31021、及び31022の係数c0(k)、c1(k)及びc2(k)の例を示す。係数c0(k)、c1(k)及びc2(k)が排他的に1をとることによって、それぞれの係数乗算器に対応した遅延を受けた受信信号が、遅延受信信号として出力端子3104に得られる。図3(A)に対応した図4(A)、(B)のように、図6に示した係数c0(k)、c1(k)及びc2(k)がゼロと非ゼロの値を変化する際に、滑らかに変化するように設定することもできる。滑らかな値の変化によって、受信信号と遅延受信信号を相互に切り替える際に生じる音像が滑らかに移動し、音像移動を知覚されにくくする効果がある。これは、主観音質の改善に有効である。
また、2タップFIRフィルタの場合と同様に、フィルタ310の出力信号のフィルタ320の出力信号に対する相対遅延の最大値と、フィルタ320の出力信号のフィルタ310の出力信号に対する相対遅延の最大値が等しくなるように前記係数値を制御することができる。遅延受信信号によって生じる音像定位の左右へのずれ量が等しくなり、左右いずれかへの非対称な音像移動よりも、主観音質の劣化を少なくすることができる。
図7に、図6に対応したフィルタ320の係数乗算器31020、31021、及び31022の係数c0(k)、c1(k)及びc2(k)の例を示す。図6と図7の関係は、図3(A)と(B)の関係と同様に、対応する係数値の変化位相がずれている。この位相のずれを適切に設定することによって、収束時間を変化させることができる。また、2タップFIRの例で説明したように、係数乗算器31020、31021、及び31022の係数c0(k)、c1(k)及びc2(k)は、非ゼロからゼロへ(又はその反対)の変化が時間に比例するように設定することもできるし、非ゼロとゼロを接続する任意の滑らかな曲線あるいは直線となるように設定することもできる。
図8は、フィルタ310及び320の第3の構成例を示すブロック図である。係数としてc0、c1、…、cL-1を有するLタップFIRフィルタとして構成されている。図8の入力端子3100には、図1の受信信号1が供給される。図8の出力端子3104において得られる信号は、遅延受信信号である。
入力端子3100に供給された信号は、遅延素子31011 、係数乗算器31020に伝達される。
係数乗算器31020は、入力された受信信号サンプルに係数値c0を乗算し、その積を加算器31031に伝達する。遅延素子31011は受信信号サンプルを1サンプル遅延させて、係数乗算器31021及び遅延素子31012に伝達する。
係数乗算器31021は、遅延素子31011の出力に係数値c1を乗算し、その積を加算器31031に伝達する。加算器31031は、係数乗算器31020と係数乗算器31021の出力を加算し、その和を加算器31032に伝達する。遅延素子31012は遅延素子31011の出力を1サンプル遅延させて、係数乗算器31022に伝達する。以下、この処理が係数乗算器3102L-2まで繰り返される。
係数乗算器3102L-1は、遅延素子3101L-1の出力に係数値cL-1を乗算し、その積を加算器3103L-1に伝達する。加算器3103L-1は、加算器3103L-2及び係数乗算器3102L-1の出力を加算して、その和を遅延受信信号として出力端子3104に出力する。
入力端子3105には図1の入力端子340からクロック信号が供給されており、係数乗算器31020、31021、…、3102L-1に伝達される。係数乗算器31020、31021、…、3102L-1は、入力端子3105から供給されたクロック信号に基づいて、その係数値を変化させる。
係数乗算器31020、31021、…、3102L-1の係数c0(k)、c1(k)、…、cL-1(k)は、フィルタ310及び320の各タップが並列接続されていると考えれば良い。すなわち、c0(k)、c1(k) …、cL-1(k)は排他的に非ゼロの値をとり、いずれかが非ゼロのときはその他がゼロとなる。図3(A)及び図6を用いて説明したように、c0(k)、c1(k) …、cL-1(k)が排他的に非ゼロをとることによって、それぞれの係数乗算器に対応した遅延を受けた受信信号が、遅延受信信号として出力端子3104に得られる。図3(A)に対応した図4(A)、(B)、並びに図6に対応した図7のように、係数c0(k)、c1(k) …、cL-1(k)がゼロと非ゼロの値を変化する際に、滑らかに変化するように設定することもできる。滑らかな値の変化によって、受信信号と遅延受信信号を相互に切り替える際に生じる音像が滑らかに移動し、音像移動を知覚されにくくする効果がある。これは、主観音質の改善に有効である。
図8に示したLタップFIRフィルタの場合も、図3(A)と(B)及び図6と7を用いて説明したように、フィルタ310とフィルタ320において、c0(k)の位相は互いに異なる。この位相のずれを適切に設定することによって、収束時間を変化させることができる。また、2タップFIRの例で説明したように、係数乗算器31020、31021、…、 3102L-1の係数c0(k)、c1(k) …、cL-1(k)は、非ゼロからゼロへ(又はその反対)の変化が時間に比例するように設定することもできるし、非ゼロとゼロを接続する任意の滑らかな曲線あるいは直線となるように設定することもできる。さらに、2タップ及び3タップFIRフィルタの場合と同様に、フィルタ310の出力信号のフィルタ320の出力信号に対する相対遅延の最大値と、フィルタ320の出力信号のフィルタ310の出力信号に対する相対遅延の最大値が等しくなるように前記係数値を制御することができる。この条件は、より一般的には、中心から最も離れた左右のスピーカによって再生するチャネルの遅延信号の受信信号に対する相対遅延の最大値が、相互に等しいと表現することができる。この条件は、相対遅延の最大値の左右チャネル間の差がゼロであることに等しい。もしも、前記左右のスピーカが中心に対して非対称に設置されている場合には、前記相対遅延の最大値の差がその非対称性による音像の偏りを考慮した状態でゼロとなる必要がある。
これまでの説明では、遅延素子31011、31011、…、3101L-1の遅延量が1サンプリング周期に等しいという前提で説明をしてきたが、サンプリング周期の整数倍であってもよい。また、それぞれの遅延素子が異なる遅延量を与えるように構成してもよい。各遅延素子の遅延量を1サンプリング周期に限定しないことによって、受信信号の遅延を様々に異なった値で効率よく設定することができる。
また、これまでの説明では、フィルタ310及び320の構成としてFIRフィルタを仮定していたが、時間とともに受信信号と遅延受信信号を切り替えて出力できるような構成であれば、可変遅延回路とスイッチの組み合わせや可変遅延回路と可変重み付け混合回路など、その他の構造であってもよい。複数の可変遅延回路によって受信信号に異なった遅延を与えて複数の遅延受信信号を生成し、これらの複数の遅延受信信号と受信信号をスイッチによって切り替えたり、可変重み付け混合回路で適切に混合したりすることによって、時変係数FIRフィルタと同様の機能を実現できる。
以上、詳細に説明したように、本発明の最良の実施の形態では、2以上の受信信号をそれぞれ遅延させて遅延受信信号を生成し、前記受信信号と前記遅延受信信号を入力として、適応フィルタを動作させる。受信信号と遅延受信信号の双方を用いるために、適応フィルタ係数を求める際の条件式数が増加し、解が不定になるという問題は起こらない。従って、適応フィルタの係数は、一意に定まる最適値に収束する。また、複数の遅延受信信号を用いるために、前記条件式の数がさらに増加し、最適値への解の収束時間を短縮することができる。さらに、中心から最も離れた左右のスピーカによって再生するチャネルの遅延信号の受信信号に対する相対遅延の最大値の左右チャネル間の差が、前記左右のスピーカの配置における左右非対称性による音像の偏りを考慮した状態でゼロとなるように遅延受信信号を生成させることによって、遅延受信信号によって生じる音像定位の左右へのずれ量が等しくなり、主観音質の劣化を少なくすることができる。
図9に、本発明の信号処理装置において受信信号及び送信信号の数がそれぞれ2である場合の第2の実施の形態を示す。図1から8を用いて説明した最良の実施の形態との違いは、遅延処理回路300の出力信号が振幅補正回路400によって処理されてから、適応フィルタ121、123、122、124に供給されている点である。
振幅補正回路400は、遅延処理回路300の出力である遅延受信信号の振幅を補正して振幅補正遅延受信信号を生成し、適応フィルタ121、123、及びディジタル―アナログ(DA)変換器18、並びに適応フィルタ122、124、及びDA変換器19にそれぞれ伝達する。
振幅補正回路400における遅延受信信号の振幅補正は、遅延処理回路300における遅延処理に合わせて断続的に行われる。振幅補正は、遅延受信信号が受信信号1又は2を遅延させた信号に等しいときに行われる。振幅補正によって、複数チャネル間の信号における振幅の相対関係を補正し、受信信号の代わりに遅延受信信号を用いる際に生じる音像定位のずれを打ち消すことができる。振幅補正に際しては、すべてのチャネルにおいて補正を行い、全チャネルの総電力が補正前と等しくなるようにすることもできる。全チャネルの総電力を一定に保つことによって、補正の有無が切り替わる際に、主観的な違和感をなくすことができる。
振幅補正回路400には、入力端子340を介してクロック信号が供給される。このクロック信号は、遅延処理回路300における遅延信号の生成タイミングに合わせて振幅補正を適用するために用いられる。
振幅補正回路400は、振幅処理回路410、420、及びクロック変更回路430を含む。振幅処理回路410は、受信信号1を遅延させて生成した遅延受信信号の振幅を補正して振幅補正遅延受信信号を生成する。振幅処理回路420は、受信信号2を遅延させて生成した遅延受信信号の振幅を補正して振幅補正遅延受信信号を生成する。振幅処理回路410と420は、まったく等しい構成とすることができる。クロック変更回路430は、クロック変更回路340とまったく等しい構成で、等しく動作する。このため、詳細な説明は省略する。
図10は、振幅処理回路410の構成例を示すブロック図である。係数としてg0を有する乗算器4101として構成されている。図10の入力端子4100には、受信信号1を遅延させた遅延受信信号が供給される。乗算器4101は、入力端子4100に供給された信号をg0倍して、出力端子4104に伝達する。図10の出力端子4104において得られる信号は、入力端子4100に供給された遅延受信信号をg0倍した信号となる。
振幅処理回路420は、振幅処理回路410の構成例を示すブロック図である図10において、乗算器4101の係数としてg0の代わりにg1を用いることで得られる構成とすることができる。g0とg1は、振幅処理回路410と420にそれぞれ受信信号1と2が供給されるときに1を、それ以外には1以外の値(g0バーとg1バー)をとる。g0バーとg1バーは、遅延受信信号による音像定位のずれを補償するような値に設定する。また、全チャネルの総電力が補正前と等しくなるように設定することもできる。全チャネルの総電力を一定に保つことによって、補正の有無が切り替わる際に、主観的な違和感をなくすことができる。
振幅処理回路410と420は相補的に動作する。すなわち、g0バーとg1バーによって、音像の移動を補正する。振幅の補正によって遅延量の変化によって生じた音像の移動を補正できる原理は、非特許文献6(メディカル・リサーチ・カウンシル・スペシャル・レポート(Medical Research Council Special Report)第166号、1932年、1〜32ページ)、非特許文献7(ジャーナル・オブ・アクースティカル・ソサイエティ・オブ・アメリカ(Journal of Acoustical Society of America )第32巻、1960年、685〜692ページ)、及び非特許文献8(ジャーナル・オブ・アクースティカル・ソサイエティ・オブ・アメリカ(Journal of Acoustical Society of America)第94巻、1993年、98〜110ページ)に開示されている。
図9の例で、話者11に対してスピーカ3及び4によって再生される音響信号の音像がスピーカ3の方向へ移動するときに、これを補正して元に戻すためには、スピーカ4から音響空間に放射される信号の振幅を増大させ、同時にスピーカ3から音響空間に放射される信号の振幅を減少させる。
非特許文献8によれば、受信信号1と受信信号2の総電力を一定に保ったまま、振幅補正によって音像を移動させるためには、それぞれの電力P1[dB]とP2[dB]の間に、
<数2>
1+P2=C
という関係が成立しなければならない。ここに、Cは正定数である。従って、振幅補正前に、受信信号1と受信信号2の電力がそれぞれP1バー[dB]とP2バー[dB]であるときに、振幅補正後の受信信号1と受信信号2の電力P1[dB]とP2[dB]は、
<数3>
1 =P1バー − ΔP/2
2 =P2バー − ΔP/2
の関係を満足しなければならない。ここに、ΔPは、電力補正量である。このため、乗算器4101の係数g0バーとg1バーの値は、数3から、
<数4>
0バー = 10−ΔPi/40
1バー = 10ΔPi/40
によって決定することができる。但し、ΔPiは、受信信号をiサンプル遅延させたときに、これを補償するために必要になる電力補償係数である。
なお、これまでの説明では、図9に従って、受信信号を遅延処理回路300で処理して遅延受信信号を生成し、遅延受信信号の振幅を振幅補正回路400で補正して振幅補正遅延受信信号を生成し、適応フィルタ121、123、122、124、に供給する構成について説明してきた。一方、受信信号を処理する順序を入れ替えて、受信信号の振幅を振幅補正回路400で補正して振幅補正受信信号を生成し、振幅補正受信信号を遅延処理回路300で処理して振幅補正遅延受信信号を生成し、適応フィルタ121、123、122、124、に供給する構成とすることも可能である。その際の遅延処理回路300及び振幅補正回路400の構成と動作については、既に詳細に説明したので、ここでは省略する。
以上、詳細に説明したように、本発明の第2の実施の形態では、2以上の受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成し、遅延受信信号の振幅を補正して振幅補正遅延受信信号を生成し、前記受信信号と前記振幅補正遅延受信信号を入力として、適応フィルタを動作させる。受信信号と振幅補正遅延受信信号の双方を用いるために、適応フィルタ係数を求める際の条件式数が増加し、解が不定になるという問題は起こらない。従って、適応フィルタの係数は、一意に定まる最適値に収束する。また、複数の遅延受信信号を用いるために、前記条件式の数がさらに増加し、最適値への解の収束時間を短縮することができる。さらに、中心から最も離れた左右のスピーカによって再生するチャネルの遅延信号の受信信号に対する相対遅延の最大値の左右チャネル間の差が、前記左右のスピーカの配置における左右非対称性による音像の偏りを考慮した状態でゼロとなるように遅延受信信号を生成させることによって、遅延受信信号によって生じる音像定位の左右へのずれ量が等しくなり、主観音質の劣化を少なくすることができる。また、遅延受信信号の導入によって生じる音像移動を、入力信号に対する振幅補正処理で相殺するため、直接スピーカに供給されて受聴される受信信号の音質劣化が低減され、良好な音質を保つことができる。
図11に、本発明の信号処理装置において受信信号及び送信信号の数がそれぞれ2である場合の第3の実施の形態を示す。図9及び10を用いて説明した第2の実施の形態との違いは、振幅補正回路400の出力信号が非線形処理回路500によって処理されてから、適応フィルタ121、123、122、124に供給されている点である。
非線形処理回路500は、振幅補正回路400の出力である振幅補正遅延受信信号を非線形処理して非線形振幅補正遅延受信信号を生成し、適応フィルタ121、123、及びディジタル―アナログ(DA)変換器18、並びに適応フィルタ122、124、及びDA変換器19にそれぞれ伝達する。非線形振幅補正遅延受信信号は振幅補正遅延受信信号よりも複数チャネル間で相互相関が小さい。従って、適応フィルタ121、123、122、124の収束をさらに高速化することができる。
非線形処理回路500は、非線形振幅処理回路510及び520を含む。非線形振幅処理回路510は、受信信号1を遅延させてから振幅を補正した振幅補正遅延受信信号の振幅を非線形処理することによって、非線形振幅補正遅延受信信号を生成する。非線形振幅処理回路520は、受信信号2を遅延させてから振幅を補正した振幅補正遅延受信信号の振幅を非線形処理することによって、非線形振幅補正遅延受信信号を生成する。非線形振幅処理回路510と520は、まったく等しい構成とすることができる。
図12は、非線形振幅処理回路510の構成例を示すブロック図である。非線形振幅処理回路510は、係数乗算器512、極性判定回路513、乗算器514、及び加算器515から構成されている。入力端子511には、図11の振幅補正回路400の出力である振幅補正遅延受信信号が供給されている。振幅補正遅延受信信号は、係数乗算器512、極性判定回路513、加算器515に伝達される。係数乗算器512は、その入力信号をα倍して出力する。極性判定回路513は、入力に供給された信号の極性が正のときは1を、負のときは0を出力する。乗算器514には、係数乗算器512と極性判定回路513の出力が供給されており、両者の積を加算器515に伝達する。加算器515の他方の入力端子には、振幅補正遅延受信信号がそのまま供給されている。すなわち、入力端子511における信号サンプルx(k)に対する加算器515 の出力は、入力信号の極性が正のときは(1+α)x(k)、負のときはx(k)となる。この信号が、非線形振幅処理回路510の出力信号となる。すなわち、非線形振幅処理回路510は、半波整流回路を構成している。非線形振幅処理回路520は、非線形振幅処理回路510とまったく同じ構成とすることができる。
なお、これまでの説明では、図11に従って、受信信号を遅延処理回路300で処理して遅延受信信号を生成し、遅延受信信号の振幅を振幅補正回路400で補正して振幅補正遅延受信信号を生成し、振幅補正遅延受信信号を非線形振幅処理回路500で処理して非線形振幅補正遅延受信信号を生成し、適応フィルタ121、123、122、124、に供給する構成について説明してきた。一方、受信信号を処理する順序を入れ替えて、振幅補正、遅延、非線形処理の順序や非線形処理、遅延、振幅補正の順序で受信信号を処理してから、適応フィルタ121、123、122、124、に供給する構成とすることも可能である。その際の遅延処理回路300、振幅補正回路400、及び非線形処理回路500の構成と動作については、既に詳細に説明したので、ここでは省略する。
以上、詳細に説明したように、本発明の第3の実施の形態では、2以上の受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成し、遅延受信信号の振幅を補正して振幅補正遅延受信信号を生成し、振幅補正遅延受信信号を非線形処理して非線形振幅補正遅延受信信号を生成し、前記受信信号と前記非線形振幅補正遅延受信信号を入力として、適応フィルタを動作させる。受信信号と非線形振幅補正遅延受信信号の双方を用いるために、適応フィルタ係数を求める際の条件式数が増加し、解が不定になるという問題は起こらない。従って、適応フィルタの係数は、一意に定まる最適値に収束する。また、複数の遅延受信信号を用いるために、前記条件式の数がさらに増加し、最適値への解の収束時間を短縮することができる。さらに、中心から最も離れた左右のスピーカによって再生するチャネルの遅延信号の受信信号に対する相対遅延の最大値の左右チャネル間の差が、前記左右のスピーカの配置における左右非対称性による音像の偏りを考慮した状態でゼロとなるように遅延受信信号を生成させることによって、遅延受信信号によって生じる音像定位の左右へのずれ量が等しくなり、主観音質の劣化を少なくすることができる。また、遅延受信信号の導入によって生じる音像移動を、入力信号に対する振幅補正処理で相殺するため、直接スピーカに供給されて受聴される受信信号の音質劣化が低減され、良好な音質を保つことができる。さらに、非線形処理と遅延受信信号の導入の相乗効果で、収束時間をより一層短縮することができる。
図13に、本発明の信号処理装置において受信信号及び送信信号の数がそれぞれ2である場合の第4の実施の形態を示す。図11及び12を用いて説明した第3の実施の形態との違いは、非線形処理回路500が非線形処理回路501になっている点である。
非線形処理回路501は、非線形振幅処理回路530及び540を含む。非線形振幅処理回路530は、受信信号1を遅延させてから振幅を補正した振幅補正遅延受信信号を、受信信号2を遅延させてから振幅を補正した振幅補正遅延受信信号を用いて非線形処理することによって、非線形振幅補正遅延受信信号を生成する。非線形振幅処理回路540は、受信信号2を遅延させてから振幅を補正した振幅補正遅延受信信号を、受信信号1を遅延させてから振幅を補正した振幅補正遅延受信信号を用いて非線形処理することによって、非線形振幅補正遅延受信信号を生成する。非線形振幅処理回路530と540は、まったく等しい構成とすることができる。
図14は、非線形振幅処理回路530の構成例を示すブロック図である。非線形振幅処理回路530は、係数乗算器512、極性判定回路513、乗算器514、及び加算器515から構成されている。入力端子531には、図11の振幅補正回路400の出力のうち受信信号1を遅延させてから振幅を補正した振幅補正遅延受信信号が供給されている。入力端子537には、図11の振幅補正回路400の出力のうち受信信号2を遅延させてから振幅を補正した振幅補正遅延受信信号が供給されている。受信信号1から生成された振幅補正遅延受信信号は、極性判定回路513と加算器515に伝達される。受信信号2から生成された振幅補正遅延受信信号は、係数乗算器512に伝達される。係数乗算器512は、その入力信号をα倍して出力する。極性判定回路513は、入力に供給された信号の極性が正のときは1を、負のときは0を出力する。乗算器514には、係数乗算器512と極性判定回路513の出力が供給されており、両者の積を加算器515に伝達する。加算器515の他方の入力端子には、受信信号1から生成された振幅補正遅延受信信号がそのまま供給されている。すなわち、入力端子531における信号サンプルx1(k)と入力端子537における信号サンプルx2(k)に対する加算器515の出力は、入力信号の極性が正のときはx1(k)+αx2(k)、負のときはx1(k)となる。この信号が、非線形振幅処理回路530の出力信号となる。非線形振幅処理回路530は、非線形振幅処理回路510における係数乗算器512の入力を、受信信号1から生成された振幅補正遅延受信信号から受信信号2から生成された振幅補正遅延受信信号に変更した構成となっている。この構成では、非線形処理に別のチャネルの受信信号から生成した信号を用いるため、非線形処理前の信号からの変化量が大きくなり、チャネル間相関の削減効果が大きくなる。非線形振幅処理回路540は、非線形振幅処理回路530とまったく同じ構成とすることができる。
なお、これまでの説明では、図13に従って、受信信号を遅延処理回路300で処理して遅延受信信号を生成し、遅延受信信号の振幅を振幅補正回路400で補正して振幅補正遅延受信信号を生成し、振幅補正遅延受信信号を非線形振幅処理回路501で処理して非線形振幅補正遅延受信信号を生成し、適応フィルタ121、123、122、124、に供給する構成について説明してきた。一方、受信信号を処理する順序を入れ替えて、振幅補正、遅延、非線形処理の順序や非線形処理、遅延、振幅補正の順序で受信信号を処理してから、適応フィルタ121、123、122、124、に供給する構成とすることも可能である。その際の遅延処理回路300、振幅補正回路400、及び非線形処理回路501の構成と動作については、既に詳細に説明したので、ここでは省略する。
以上、詳細に説明したように、本発明の第4の実施の形態では、2以上の受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成し、遅延受信信号の振幅を補正して振幅補正遅延受信信号を生成し、振幅補正遅延受信信号を非線形処理して非線形振幅補正遅延受信信号を生成し、前記受信信号と前記非線形振幅補正遅延受信信号を入力として、適応フィルタを動作させる。受信信号と非線形振幅補正遅延受信信号の双方を用いるために、適応フィルタ係数を求める際の条件式数が増加し、解が不定になるという問題は起こらない。従って、適応フィルタの係数は、一意に定まる最適値に収束する。また、複数の遅延受信信号を用いるために、前記条件式の数がさらに増加し、最適値への解の収束時間を短縮することができる。さらに、中心から最も離れた左右のスピーカによって再生するチャネルの遅延信号の受信信号に対する相対遅延の最大値の左右チャネル間の差が、前記左右のスピーカの配置における左右非対称性による音像の偏りを考慮した状態でゼロとなるように遅延受信信号を生成させることによって、遅延受信信号によって生じる音像定位の左右へのずれ量が等しくなり、主観音質の劣化を少なくすることができる。また、遅延受信信号の導入によって生じる音像移動を、入力信号に対する振幅補正処理で相殺するため、直接スピーカに供給されて受聴される受信信号の音質劣化が低減され、良好な音質を保つことができる。さらに、複数チャネルの受信信号を用いた非線形処理と遅延受信信号の導入の相乗効果で、収束時間をより一層短縮することができる。
図15に、本発明の信号処理装置において受信信号及び送信信号の数がそれぞれ2である場合の第5の実施の形態を示す。図1から8を用いて説明した第1の実施の形態との違いは、遅延処理回路300の前に周波数分析合成回路600が具備されていることと、DA変換器18及び19の前、並びにAD変換器20及び21の後に周波数分析合成回路610が具備されていることである。従って、遅延処理回路300、適応フィルタ121、122、123、124、及び減算器129及び130はすべて、帯域分割された狭帯域信号に対して動作する。周波数分析合成回路600は、受信信号1及び2を帯域分割して、遅延処理回路300に伝達する。周波数分析合成回路600はまた、減算器129及び130の出力を帯域合成して、全帯域出力信号16及び17を構成する。周波数分析合成回路610は遅延処理回路300の出力を帯域合成して、DA変換器18及び19に伝達する。周波数分析合成回路610はまた、AD変換器20及び21の出力を帯域分割して、減算器129及び130に伝達する。遅延処理回路300は、帯域分割された信号に対して遅延を加え、帯域分割遅延受信信号として出力する。第5の実施の形態では、帯域分割された信号に対して、それぞれ最適な遅延を与えることができる。従って、図1を用いて説明した、許容できる音像移動量で、なるべく大きい相対遅延を選択する際の自由度が増し、主観音質の向上につながる。
周波数分析合成回路600及び610における周波数分析機能は、フレームに分割された入力信号サンプルに対して周波数変換を適用することで実現することができる。周波数変換の例としては、フーリエ変換、コサイン変換、KL(カルーネンレーベ)変換などが知られている。これらの変換の具体的な演算に関連する技術及びその性質は、非特許文献9(1990 年、「ディジタル・コーディング・オブ・ウェーブフォームス」、プレンティス・ホール (DIGITAL CODING OF WAVEFORMS, PRINCIPLES AND APPLICATIONS TO SPEECH AND VIDEO, PRENTICE-HALL, 1990.))に開示されている。また、アダマール変換、ハール変換、ウェーブレット変換などの他の変換を用いることができることは広く知られている。
前記周波数分析機能は、当該フレームの入力信号サンプルを窓関数Wで重み付けした結果に対して、前述の変換を適用して実現することもできる。このような窓関数としては、ハミング、ハニング(ハン)、ケイザー、ブラックマンなどの窓関数が知られている。また、さらに複雑な窓関数を用いることもできる。これらの窓関数に関連する技術は、非特許文献10(1975 年、「ディジタル・シグナル・プロセシング」、プレンティス・ホール (DIGITAL SIGNAL PROCESSING, PRENTICE-HALL, 1975.))及び非特許文献11(1993 年、「マルチレートシステムズ・アンド・フィルタバンクス」、プレンティス・ホール (MULTIRATE SYSTEMS AND FILTER BANKS, PRENTICE-HALL, 1993.))に開示されている。さらに、連続する2フレーム以上の一部を重ね合わせ(オーバラップ)て窓がけすることも広く行なわれている。この場合、重ね合わせて窓がけした信号に対して、前述の周波数変換を用いる。オーバラップを有するブロック化と変換に関連する技術は、非特許文献10に開示されている。
さらに周波数分析合成回路600及び610の周波数分析機能は、帯域分割フィルタバンクで構成してもよい。帯域分割フィルタバンクは、複数の帯域通過フィルタから構成される。帯域分割フィルタバンクの各周波数帯域は等間隔であってもよいし、不等間隔であってもよい。不等間隔に帯域分割することによって、低域では狭帯域に分割して時間分解能を低く、高域では広い帯域に分割して時間分解能を高くすることができる。不等間隔分割の代表例には、低域に向かって帯域が逐次半分になるオクターブ分割や人間の聴覚特性に対応した臨界帯域分割などがある。等間隔の周波数帯域に分割した後、低域の周波数帯域の周波数分解能を向上させるために、低域のみをさらに帯域分割するハイブリッドフィルタバンクを用いてもよい。帯域分割フィルタバンクとその設計法に関連する技術は、非特許文献11に開示されている。
周波数分析合成回路600及び610の周波数合成機能は、周波数分析合成回路600及び610の周波数分析機能を実現する周波数変換と対応する逆変換で構成されることが望ましい。周波数分析合成回路600及び610の周波数分析機能が、窓関数Wによる重み付けを含む場合は、周波数合成した信号に、窓関数Wを乗じる。周波数分析合成回路600及び610の周波数分析機能を帯域分割フィルタバンクで構成するときには、周波数分析合成回路600及び610の周波数合成機能を帯域合成フィルタバンクで構成する。帯域合成フィルタバンクとその設計法に関連する技術は、非特許文献11に開示されている。
なお、周波数分析合成回路600及び610と本発明の第2から第4の実施の形態のいずれかを組み合わせて、帯域分割信号に対してこれまで説明したのと同様の処理を行うことができることは、自明である。
以上、詳細に説明したように、本発明の第5の実施の形態では、2以上の受信信号を周波数分析して帯域分割受信信号を生成し、該帯域分割受信信号を遅延させて帯域分割遅延受信信号を生成し、前記帯域分割受信信号と前記帯域分割遅延受信信号を入力として、適応フィルタを動作させる。帯域分割受信信号と帯域分割遅延受信信号の双方を用いるために、適応フィルタ係数を求める際の条件式数が増加し、解が不定になるという問題は起こらない。従って、適応フィルタの係数は、一意に定まる最適値に収束する。また、複数の遅延受信信号を用いるために、前記条件式の数がさらに増加し、最適値への解の収束時間を短縮することができる。さらに、中心から最も離れた左右のスピーカによって再生するチャネルの遅延信号の受信信号に対する相対遅延の最大値の左右チャネル間の差が、前記左右のスピーカの配置における左右非対称性による音像の偏りを考慮した状態でゼロとなるように遅延受信信号を生成させることによって、遅延受信信号によって生じる音像定位の左右へのずれ量が等しくなり、主観音質の劣化を少なくすることができる。また、帯域分割された信号に対して、それぞれ最適な遅延を与えることができるので、許容できる音像移動量で、なるべく大きい相対遅延を選択する際の自由度が増し、主観音質の向上につながる。
以上の最良の実施の形態及び第2から第5の実施の形態では多チャネルテレビ会議システムを対象としたエコー消去について論じてきたが、信号処理の別の応用分野である単一チャネル多地点テレビ会議システムにおいてもまったく同様の議論が成り立つ。単一チャネル多地点テレビ会議システムにおいては、通常、一つのマイクで収録した話者の音声に対して、受信側で使用する複数スピーカの間で希望する位置に話者が定位するような、適度な減衰量と時間遅れを付加する処理を行なう。このような処理を施された信号が、受信側で使用するスピーカの数だけ生成される。受信側で使用するスピーカの数が2に等しい場合は、図1、9、11、13及び15に示した実施の形態において上記の減衰と遅延の補正を加えた2種類の信号が、第1の受信信号1及び第2の受信信号2に相当する。従って、本発明の実施の形態をそのまま適用することができる。
ここでは、第1及び第2の受信信号1、2と、第1及び第2の混在信号14、15を有する場合を例にとって説明したが、本発明は、複数の受信信号と、単数または複数の送信信号が存在する一般的な場合に適用可能である。また、受信信号がスピーカから空間音響経路を伝搬して、マイクで収録される音響エコーを消去する音響エコーを例にとっているが、音響エコー以外のエコー、例えば回線の漏話などによるエコーに対しても適用できる。非巡回型適応フィルタの代わりに、巡回型適応フィルタを用いてもよい。また、サブバンド型適応フィルタや変換領域の適応フィルタを用いてもよい。
続いて、図16を参照して、本発明の第6の実施の形態を詳細に説明する。本発明の第6の実施の形態は、プログラム制御により動作するコンピュータ1000を備える。コンピュータ1000は、入力端子1及び2から受けた受信信号に対し、上述した実施の形態および第2から第5の実施の形態のいずれかに係る処理を行い、出力信号16及び17としてエコーが消去された信号を出力するためのプログラムに基づき動作する。
第1の実施例は、複数の受信信号を受信し、前記複数の受信信号により生成される複数のエコーから、前記複数の受信信号を入力とする複数の適応フィルタによって生成された擬似エコーを差し引くことによって、前記複数のエコーを低減する信号処理方法であって、前記複数の受信信号のうち2以上の受信信号をそれぞれ遅延させて遅延受信信号を生成し、前記受信信号と前記遅延受信信号とを適応フィルタに入力して擬似エコーを生成することを特徴とする信号処理方法である。
第2の実施例は、上記実施例において、前記遅延受信信号のうち少なくとも一つの信号が振幅補正された振幅補正遅延受信信号であることを特徴とする。
第3の実施例は、上記実施例において、前記複数の適応フィルタに入力する信号のうち少なくとも一つの信号が非線形処理された非線形処理信号であることを特徴とする。
第4の実施例は、上記実施例において、前記受信信号を複数の周波数成分に分解し、該複数の周波数成分毎に遅延させて遅延受信信号を生成することを特徴とする。
第5の実施例は、上記実施例において、前記遅延受信信号は、前記遅延受信信号の相対遅延が時間と共に変化する複数の値をとるように生成されることを特徴とする。
第6の実施例は、上記実施例において、前記相対遅延は、サンプリング周期の整数倍であることを特徴とする。
第7の実施例は、上記実施例において、前記遅延受信信号は、ゼロと非ゼロの値を交互にとる複数の時変係数を有するフィルタで受信信号を処理することによって生成されることを特徴とする。
第8の実施例は、上記実施例において、前記複数の時変係数が、相互に排他的にゼロの値をとることを特徴とする。
第9の実施例は、上記実施例において、前記複数の時変係数が、相互に排他的に非ゼロの値をとることを特徴とする。
第10の実施例は、複数の受信信号を受信し、前記複数の受信信号により生成される複数のエコーから、前記複数の受信信号を入力とする複数の適応フィルタによって生成された擬似エコーを差し引くことによって、前記複数のエコーを低減する信号処理装置であって、前記複数の受信信号のうち2以上の受信信号をそれぞれ遅延させて遅延受信信号を生成する線形処理回路と、前記受信信号と前記遅延受信信号とを受けて擬似エコーを生成する適応フィルタと、前記擬似エコーを前記混在信号から差し引くことによってエコーが低減された信号を生成する複数の減算器を少なくとも具備し、前記複数の減算器の出力を最小とするように前記複数の適応フィルタを制御することを特徴とする信号処理装置である。
第11の実施例は、上記実施例において、前記遅延受信信号のうち少なくとも一つの信号を振幅補正して振幅補正遅延受信信号を生成する振幅補正回路を具備することを特徴とする。
第12の実施例は、上記実施例において、前記複数の適応フィルタに入力する信号のうち少なくとも一つの信号を非線形処理して非線形処理信号を生成する非線形処理回路を具備することを特徴とする。
第13の実施例は、上記実施例において、前記受信信号を複数の周波数成分に分解する周波数分析回路と、前記複数の周波数成分毎に遅延させて遅延受信信号を生成する線形処理回路とを具備することを特徴とする。
第14の実施例は、上記実施例において、前記線形処理回路は、前記遅延受信信号の相対遅延が、時間と共に変化する複数の値をとるような処理を行うことを特徴とする。
第15の実施例は、上記実施例において、前記線形処理回路は、前記相対遅延がサンプリング周期の整数倍となるような処理を行うことを特徴とする。
第16の実施例は、上記実施例において、前記線形処理回路は、ゼロと非ゼロの値を交互にとる複数の時変係数を有するフィルタを具備することを特徴とする。
第17の実施例は、上記実施例において、前記複数の時変係数が、相互に排他的にゼロの値をとることを特徴とする。
第18の実施例は、上記実施例において、前記複数の時変係数が、相互に排他的に非ゼロの値をとることを特徴とする。
第19の実施例は、コンピュータに、複数の受信信号を受信する受信する受信処理と、前記複数の受信信号により発生する複数のエコーを低減するエコー低減処理とを実行させる信号処理プログラムであって、前記複数の受信信号のうち2以上の受信信号をそれぞれ遅延させて遅延受信信号を生成する遅延受信信号生成処理と、前記受信信号と前記遅延受信信号とを適応フィルタに入力して擬似エコーを生成する擬似エコー生成処理と、前記複数の受信信号それぞれから前記擬似エコーを差し引く擬似エコー差引き処理と、を実行させることを特徴とする信号処理プログラムである。
第20の実施例は、上記実施例において、前記遅延受信信号のうち少なくとも一つの信号が振幅補正された振幅補正遅延受信信号であることを特徴とする。
第21の実施例は、上記実施例において、前記複数の適応フィルタに入力する信号のうち少なくとも一つの信号が非線形処理された非線形処理信号であることを特徴とする。
第22の実施例は、上記実施例において、前記受信信号を複数の周波数成分に分解し、該複数の周波数成分毎に遅延させて遅延受信信号を生成することを特徴とする。
第23の実施例は、上記実施例において、前記遅延受信信号は、前記遅延受信信号の相対遅延が時間と共に変化する複数の値をとるように生成されることを特徴とする。
第24の実施例は、上記実施例において、前記相対遅延は、サンプリング周期の整数倍であることを特徴とする。
第25の実施例は、上記実施例において、前記遅延受信信号は、ゼロと非ゼロの値を交互にとる複数の時変係数を有するフィルタで受信信号を処理することによって生成されることを特徴とする。
第26の実施例は、上記実施例において、前記複数の時変係数が、相互に排他的にゼロの値をとることを特徴とする。
第27の実施例は、上記実施例において、前記複数の時変係数が、相互に排他的に非ゼロの値をとることを特徴とする。
以上好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形し実施することが出来る。
本出願は、2008年9月26日に出願された日本出願特願2008−247272号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
1,2 受信信号
3,4 スピーカ
5,6,7,8 エコー
9,10 マイクロフォン
11 話者
12,13 送信信号
14,15 混在信号
16,17 信号処理装置の出力信号
18,19 ディジタル・アナログ変換器
20,21 アナログ・ディジタル変換器
121,122,123,124 適応フィルタ
125,126,127,128 擬似エコー
129,130 減算器
300 遅延処理回路
310,320 フィルタ
330,430 クロック変更回路
400 振幅補正回路
410,420 振幅処理回路
500,501 非線形処理回路
510,520,530,540 非線形振幅処理回路
511,531,3100,3105,4100,4105 入力端子
513 極性判定回路
514 乗算器
515,3103 加算器
516,536,3104,4104 出力端子
600,610 周波数分析合成回路
1000 コンピュータ
3101 遅延素子
3102,4101 係数乗算器

Claims (27)

  1. 複数の受信信号を受信し、前記複数の受信信号により生成される複数のエコーから、前記複数の受信信号を入力とする複数の適応フィルタによって生成された擬似エコーを差し引くことによって、前記複数のエコーを低減する信号処理方法であって、
    前記複数の受信信号のうち2以上の受信信号をそれぞれ遅延させて遅延受信信号を生成し、
    前記受信信号と前記遅延受信信号とを適応フィルタに入力して擬似エコーを生成する
    ことを特徴とする信号処理方法。
  2. 前記遅延受信信号のうち少なくとも一つの信号が振幅補正された振幅補正遅延受信信号であることを特徴とする請求項1に記載の信号処理方法。
  3. 前記複数の適応フィルタに入力する信号のうち少なくとも一つの信号が非線形処理された非線形処理信号であることを特徴とする請求項1又は2に記載の信号処理方法。
  4. 前記受信信号を複数の周波数成分に分解し、該複数の周波数成分毎に遅延させて遅延受信信号を生成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の信号処理方法。
  5. 前記遅延受信信号は、前記遅延受信信号の相対遅延が時間と共に変化する複数の値をとるように生成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の信号処理方法。
  6. 前記相対遅延は、サンプリング周期の整数倍であることを特徴とする請求項5に記載の信号処理方法。
  7. 前記遅延受信信号は、ゼロと非ゼロの値を交互にとる複数の時変係数を有するフィルタで受信信号を処理することによって生成されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の信号処理方法。
  8. 前記複数の時変係数が、相互に排他的にゼロの値をとることを特徴とする請求項7記載の信号処理方法。
  9. 前記複数の時変係数が、相互に排他的に非ゼロの値をとることを特徴とする請求項7又は8に記載の信号処理方法。
  10. 複数の受信信号を受信し、前記複数の受信信号により生成される複数のエコーから、前記複数の受信信号を入力とする複数の適応フィルタによって生成された擬似エコーを差し引くことによって、前記複数のエコーを低減する信号処理装置であって、
    前記複数の受信信号のうち2以上の受信信号をそれぞれ遅延させて遅延受信信号を生成する線形処理回路と、
    前記受信信号と前記遅延受信信号とを受けて擬似エコーを生成する適応フィルタと、
    前記擬似エコーを前記混在信号から差し引くことによってエコーが低減された信号を生成する複数の減算器を少なくとも具備し、
    前記複数の減算器の出力を最小とするように前記複数の適応フィルタを制御することを特徴とする信号処理装置。
  11. 前記遅延受信信号のうち少なくとも一つの信号を振幅補正して振幅補正遅延受信信号を生成する振幅補正回路を具備することを特徴とする請求項10に記載の信号処理装置。
  12. 前記複数の適応フィルタに入力する信号のうち少なくとも一つの信号を非線形処理して非線形処理信号を生成する非線形処理回路を具備することを特徴とする請求項10又は11に記載の信号処理装置。
  13. 前記受信信号を複数の周波数成分に分解する周波数分析回路と、
    前記複数の周波数成分毎に遅延させて遅延受信信号を生成する線形処理回路と
    を具備することを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  14. 前記線形処理回路は、前記遅延受信信号の相対遅延が、時間と共に変化する複数の値をとるような処理を行うことを特徴とする請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  15. 前記線形処理回路は、前記相対遅延がサンプリング周期の整数倍となるような処理を行うことを特徴とする請求項14に記載の信号処理装置。
  16. 前記線形処理回路は、ゼロと非ゼロの値を交互にとる複数の時変係数を有するフィルタを具備することを特徴とする請求項10から請求項15のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  17. 前記複数の時変係数が、相互に排他的にゼロの値をとることを特徴とする請求項16記載の信号処理装置。
  18. 前記複数の時変係数が、相互に排他的に非ゼロの値をとることを特徴とする請求項16又は17に記載の信号処理装置。
  19. コンピュータに、複数の受信信号を受信する受信する受信処理と、前記複数の受信信号により発生する複数のエコーを低減するエコー低減処理とを実行させる信号処理プログラムであって、
    前記複数の受信信号のうち2以上の受信信号をそれぞれ遅延させて遅延受信信号を生成する遅延受信信号生成処理と、
    前記受信信号と前記遅延受信信号とを適応フィルタに入力して擬似エコーを生成する擬似エコー生成処理と、
    前記複数の受信信号それぞれから前記擬似エコーを差し引く擬似エコー差引き処理と、を実行させることを特徴とする信号処理プログラム。
  20. 前記遅延受信信号のうち少なくとも一つの信号が振幅補正された振幅補正遅延受信信号であることを特徴とする請求項19に記載の信号処理プログラム。
  21. 前記複数の適応フィルタに入力する信号のうち少なくとも一つの信号が非線形処理された非線形処理信号であることを特徴とする請求項19又は20に記載の信号処理プログラム。
  22. 前記受信信号を複数の周波数成分に分解し、該複数の周波数成分毎に遅延させて遅延受信信号を生成することを特徴とする請求項19から請求項21のいずれか1項に記載の信号処理プログラム。
  23. 前記遅延受信信号は、前記遅延受信信号の相対遅延が時間と共に変化する複数の値をとるように生成されることを特徴とする請求項19から請求項22のいずれか1項に記載の信号処理プログラム。
  24. 前記相対遅延は、サンプリング周期の整数倍であることを特徴とする請求項23に記載の信号処理プログラム。
  25. 前記遅延受信信号は、ゼロと非ゼロの値を交互にとる複数の時変係数を有するフィルタで受信信号を処理することによって生成されることを特徴とする請求項19から請求項24のいずれか1項に記載の信号処理プログラム。
  26. 前記複数の時変係数が、相互に排他的にゼロの値をとることを特徴とする請求項25記載の信号処理プログラム。
  27. 前記複数の時変係数が、相互に排他的に非ゼロの値をとることを特徴とする請求項25又は26に記載の信号処理プログラム。
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