JPWO2010032759A1 - エレクトレット及び静電誘導型変換素子 - Google Patents

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Abstract

保持した電荷の経時安定性及び熱安定性が高く、電荷保持特性に優れたエレクトレット及び該エレクトレットを具備する静電誘導型変換素子の提供。極性官能基を2個以上有する分子量50〜2000の化合物(A)と、前記極性官能基との反応性を有する反応性官能基を有する数平均分子量2000超の重合体(B)とを含有する組成物から得られることを特徴とするエレクトレット。該エレクトレットを具備する静電誘導型変換素子。

Description

本発明は、エレクトレット及び該エレクトレットを具備する静電誘導型変換素子に関する。
従来、絶縁材料に電荷を注入したエレクトレットを使用した、発電装置、マイクロフォン等の静電誘導型変換素子が提案されている。
そのようなエレクトレットの材料としては、主に、ポリテトラフルオロエチレン等の直鎖状の含フッ素樹脂が使用されていた。また、最近、該エレクトレットの材料として、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体を用いることが提案されている(たとえば特許文献1)。
特開2006−180450号公報
しかし、従来のエレクトレットは、注入された電荷を安定的に保持することが難しく、該電荷が経時的に、あるいは高温下において放出されやすい問題がある。かかる問題は、当該エレクトレットの表面電位の低下、ひいては当該エレクトレットを使用した静電誘導型変換素子の静電誘導特性等の劣化の原因となる。そのため、注入された電荷を安定的に保持できる電荷保持特性、特に経時安定性及び熱安定性の改善が求められる。
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、保持した電荷の経時安定性及び熱安定性が高く、電荷保持特性に優れたエレクトレット及び該エレクトレットを具備する静電誘導型変換素子の提供を目的とする。
前記の課題を解決する本発明の第一の態様は、極性官能基を2個以上有する分子量100〜2000の化合物(A)と、前記極性官能基との反応性を有する反応性官能基を有する数平均分子量2000超の重合体(B)とを含有する組成物から得られることを特徴とするエレクトレットである。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様のエレクトレットを具備することを特徴とする静電誘導型変換素子である。
本発明によれば、保持した電荷の経時安定性及び熱安定性が高く、電荷保持特性に優れたエレクトレット及び該エレクトレットを具備する静電誘導型変換素子を提供できる。
電荷の注入に用いたコロナ荷電装置の概略構成図である。 表面電位の測定点の設定位置を示す図である。 熱安定性試験で用いた装置の概略構成図である。 キャスト膜の小角X線散乱結果を示す図である。
以下、本発明をより詳細に説明する。
以下の明細書中においては、重合体を構成する繰り返し単位を「単位」と略記することがある。
また、式(a1)で表される単位を「単位(a1)」とも記す。他の式で表される単位、化合物等についても同様に記し、たとえば式(1)で表される化合物を「化合物(1)」とも記す。
<エレクトレット>
本発明のエレクトレットは、極性官能基を2個以上有する分子量50〜2000の化合物(A)と、前記極性官能基との反応性を有する反応性官能基を有する数平均分子量2000超の重合体(B)とを含有する組成物から得られる。
[化合物(A)]
化合物(A)は、前記極性官能基を2個以上有する。
本明細書及び特許請求の範囲において、「極性官能基」とは、下記の(1a)及び(1b)の何れか一方または両方の特性を有する官能基である。
(1a)電気陰性度の異なる2種類以上の原子を含み、当該官能基中に分極による極性を有する。
(1b)当該官能基と結合した炭素との電気陰性度の差により分極を生じさせる。
上記特性(1a)のみを有する極性官能基の具体例としては、ヒドロキシフェニル基等が挙げられる。
上記特性(1b)のみを有する極性官能基の具体例としては、1級アミノ基(−NH)、2級アミノ基(−NH−)、ヒドロキシ基、チオール基等が挙げられる。
上記特性(1a)及び(1b)の両方を有する極性官能基の具体例としては、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、酸ハライド基、ホルミル基、イソシアナート基、シアノ基、カルボニルオキシ基(−C(O)−O−)、カーボネート基(−O−C(O)−O−)等が挙げられる。
前記アルコキシカルボニル基におけるアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
前記酸ハライド基としては、カルボン酸ハライド基(−C(O)X[Xはハロゲン原子])、スルホン酸ハライド基(−S(O)X[Xはハロゲン原子])、スルフィン酸ハライド基(−S(O)X[Xはハロゲン原子])、リン酸ハライド基(−P(O)X[Xはハロゲン原子])等が挙げられる。酸ハライド基におけるハロゲン原子(前記X)としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
本発明において、化合物(A)は、極性官能基として、1級アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、酸ハライド基、ホルミル基、ヒドロキシフェニル基、イソシアナート基及びシアノ基からなる群から選ばれる1価の極性官能基、及び/又は、2級アミノ基、カルボニルオキシ基及びカーボネート基からなる群から選ばれる2価の極性官能基を有することが、重合体(B)との相溶性の点から好ましい。
本発明において、極性官能基は、重合体(B)に導入する当該極性官能基との反応性を有する反応性官能基との組み合わせを考慮すると、1級アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、ヒドロキシフェニル基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であるか、または、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、酸ハライド基、ホルミル基、ヒドロキシフェニル基、イソシアナート基、シアノ基、カルボニルオキシ基及びカーボネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
中でも、極性の強さ、重合体(B)に当該極性官能基との反応性を有する反応性官能基を導入しやすいこと等の点から、前記極性官能基が、1級アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、ヒドロキシフェニル基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、特に、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基が好ましい。
化合物(A)の分子量は50〜2000の化合物であり、100〜2000が好ましい。化合物(A)の分子量が50未満であると分子量が低いために揮発しやすくなり、製膜後に重合体(B)中に残存させることが困難になる。また、化合物(A)の分子量が2000超であると、重合体(B)と層分離しやすくなり、相溶性に問題が生じ易い。
化合物(A)として、具体的には、下記化合物(A−1)〜(A−3)等が挙げられる。化合物(A−1)は極性官能基を2個有する化合物であり、化合物(A−2)〜(A−3)はそれぞれ極性官能基を3個以上有する化合物である。
Figure 2010032759
[式中、P及びPはそれぞれ独立に1価の極性官能基であり、R15は2価の有機基である。]
Figure 2010032759
[式中、Pは1価の極性官能基であり、R16は2価の有機基であり、Qはn価の連結基であり、nは3以上の整数である。]
Figure 2010032759
[式中、P及びPはそれぞれ独立に1価の極性官能基であり、Pは2価の極性官能基であり、R17及びR18はそれぞれ独立に2価の有機基であり、mは1以上の整数である。]
式(A−1)中、P及びPにおける1価の極性官能基としては、前記極性官能基の説明で挙げた1価の極性官能基と同様のものが挙げられる。
及びPは、それぞれ、同じであってもよく、異なっていてもよい。
15の2価の有機基としては、ヘテロ原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基が好ましく、該2価の炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキレン基、2価の芳香族基等が挙げられる。
該直鎖状のアルキレン基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキレン基の炭素数は、3〜10が好ましく、3〜8がより好ましい。
該環状のアルキレン基の炭素数は、3〜8が好ましく、5または6がより好ましい。
該直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキレン基は、その水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されていてもよい。該ハロゲン原子としては、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
また、該直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキレン基は、その構造中に、エーテル性酸素原子(−O−)またはチオエーテル性硫黄原子(−S−)を含んでもよい。
2価の芳香族基としては、1個以上のアリーレン基を含む基が好ましい。当該芳香族基が2個以上のアリーレン基を含む場合、これらのアリーレン基は、直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。該連結基としては、たとえば上記のようなアルキレン基が挙げられる。
当該芳香族基中に含まれるアリーレン基の数は、1〜10個が好ましい。
該アリーレン基としては、フェニレン基が好ましい。
化合物(A−1)の具体例としては、エタン−1,2−ジアミン、プロパン−1,3−ジアミン、ブタン−1,4−ジアミン、ペンタン−1,5−ジアミン、ヘキサン−1,6−ジアミン、ヘプタン−1,7−ジアミン、オクタン−1,8−ジアミン、3−メチルペンタン−1,5−ジアミン、3,3’−ジメチルペンタン−1,5−ジアミン、3−メチルヘキサン−1,6−ジアミン、3,3’−ジメチルヘキサン−1,6−ジアミン、3−(3−アミノプロポキシ)プロパン−1−アミン、3−(2−アミノエトキシ)プロパン−1−アミン、4−(アミノメトキシ)ブタン−1−アミン、シクロペンタン−1,2−ジアミン、シクロペンタン−1,3−ジアミン、シクロヘキサン−1,2−ジアミン、シクロヘキサン−1,3−ジアミン、シクロヘキサン−1,4−ジアミン、1,2−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン、3,3,4,4−テトラフルオロヘキサン−1,6−ジアミン、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジアミン、3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロオクタン−1,8−ジアミン、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロオクタン−1,8−ジアミン等のジアミン類;
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘプタン−1,7−ジオール、オクタン−1,8−ジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、3,3’−ジメチルペンタン−1,5−ジオール、3−メチルヘキサン−1,6−ジオール、3,3’−ジメチルヘキサン−1,6−ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロペンタン−1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、2−ヒドロキシフェノール、3−ヒドロキシフェノール、4−ヒドロキシフェノール、2,4−ジヒドロキシトルエン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、3,3,4,4−テトラフルオロヘキサン−1,6−ジオール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジオール、3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロオクタン−1,8−ジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロオクタン−1,8−ジオール等のジオール類;
エタン−1,2−ジチオール、プロパン−1,3−ジチオール、ブタン−1,4−ジチオール、ペンタン−1,5−ジチオール、ヘキサン−1,6−ジチオール、ヘプタン−1,7−ジチオール、オクタン−1,8−ジチオール、3−メチルペンタン−1,5−ジチオール、3,3’−ジメチルペンタン−1,5−ジチオール、3−メチルヘキサン−1,6−ジチオール、3,3’−ジメチルヘキサン−1,6−ジチオール、3−(3−メルカプトプロポキシ)プロパン−1−チオール、3−(2−メルカプトエトキシ)プロパン−1−チオール、4−(メルカプトメトキシ)ブタン−1−チオール、シクロペンタン−1,2−ジチオール、シクロペンタン−1,3−ジチオール、シクロヘキサン−1,2−ジチオール、シクロヘキサン−1,3−ジチオール、シクロヘキサン−1,4−ジチオール、2−メルカプトチオフェノール、3−メルカプトチオフェノール、4−メルカプトチオフェノール、2,4−ジメルカプトトルエン、4,4’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプト−ジフェニルメタン、3,3,4,4−テトラフルオロヘキサン−1,6−ジチオール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジチオール、3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロオクタン−1,8−ジチオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロオクタン−1,8−ジチオール等のジチオール類;
2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノール、6−アミノヘキサノール、7−アミノヘプタノール、8−アミノオクタノール、3−メチル−5−アミノ−ペンタン−1−オール、3,3’−ジメチル−5−アミノ−ペンタン−1−オール、3−メチル−6−アミノ−ヘキサン−1−オール、3,3’−ジメチル−6−アミノ−ヘキサン−1−オール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、3−(3−アミノプロポキシ)プロパノール、2−アミノシクロペンタン−1−オール、3−アミノシクロペンタン−1−オール、2−アミノシクロヘキサン−1−オール、3−アミノシクロヘキサン−1−オール、4−アミノシクロヘキサン−1−オール、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノ−4−ヒドロキシトルエン、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシ−ジフェニルメタン、6−アミノ−3,3,4,4−テトラフルオロヘキサン−1−オール、6−アミノ−2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1−オール、8−アミノ−3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロオクタン−1−オール、8−アミノ−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロオクタン−1−オール等のアミノアルコール類;
2−アミノエタンチオール、3−アミノプロパンチオール、4−アミノブタンチオール、5−アミノペンタンチオール、6−アミノヘキサンチオール、7−アミノヘプタンチオール、8−アミノオクタンチオール、3−メチル−5−アミノ−ペンタン−1−チオール、3,3’−ジメチル−5−アミノ−ペンタン−1−チオール、3−メチル−6−アミノ−ヘキサン−1−チオール、3,3’−ジメチル−6−アミノ−ヘキサン−1−チオール、2−(2−アミノエトキシ)エタンチオール、3−(3−アミノプロポキシ)プロパンチオール、2−アミノシクロペンタン−1−チオール、3−アミノシクロペンタン−1−チオール、2−アミノシクロヘキサン−1−チオール、3−アミノシクロヘキサン−1−チオール、4−アミノシクロヘキサン−1−チオール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール、2−アミノ−4−メルカプトトルエン、4−アミノ−4’−メルカプトビフェニル、4−アミノ−4’− メルカプト−ジフェニルメタン、6−アミノ−3,3,4,4−テトラフルオロヘキサン−1−チオール、6−アミノ−2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1−チオール、8−アミノ−3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロオクタン−1−チオール、8−アミノ−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロオクタン−1−チオール等のアミノチオール類;
2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロパノール、4−メルカプトブタノール、5−メルカプトペンタノール、6−メルカプトヘキサノール、7−メルカプトヘプタノール、8−メルカプトオクタノール、3−メチル−5−メルカプト−ペンタン−1−オール、3,3’−ジメチル−5−メルカプト−ペンタン−1−オール、3−メチル−6−メルカプト−ヘキサン−1−オール、3,3’−ジメチル−6−メルカプト−ヘキサン−1−オール、2−(2−メルカプトエトキシ)エタノール、3−(3−メルカプトプロポキシ)プロパノール、2−メルカプトシクロペンタン−1−オール、3−メルカプトシクロペンタン−1−オール、2−メルカプトシクロヘキサン−1−オール、3−メルカプトシクロヘキサン−1−オール、4−メルカプトシクロヘキサン−1−オール、2−メルカプトフェノール、3−メルカプトフェノール、4−メルカプトフェノール、2−メルカプト−4−ヒドロキシトルエン、4−メルカプト−4’−ヒドロキシビフェニル、4−メルカプト−4’−ヒドロキシ−ジフェニルメタン、3,3,4,4−テトラフルオロ−6−メルカプト−ヘキサン−1−オール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−6−メルカプト−ヘキサン−1−オール、3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロ−8−メルカプト−オクタン−1−オール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−8−メルカプト−オクタン−1−オール等のメルカプトアルコール類
等が挙げられる。
化合物(A−1)としては、前述の化合物の中で特にジアミン類を用いるのが好ましく、中でも、重合体(B)との相溶性の観点、及びコーティング用組成物とした場合の揮発性の観点から、ペンタン−1,5−ジアミン、ヘキサン−1,6−ジアミン、ヘプタン−1,7−ジアミン、オクタン−1,8−ジアミン、シクロヘキサン−1,2−ジアミン、シクロヘキサン−1,3−ジアミン、シクロヘキサン−1,4−ジアミン、3,3,4,4−テトラフルオロヘキサン−1,6−ジアミン、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジアミン、3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロオクタン−1,8−ジアミン、または2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロオクタン−1,8−ジアミンを用いるのが好ましく、ヘキサン−1,6−ジアミン、またはシクロヘキサン−1,3−ジアミンを用いるのが特に好ましい。
式(A−2)中、Pとしては、前記Pと同様のものが挙げられる。式中のn個のPは、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
16としては、前記R15と同様のものが挙げられる。式中のn個のR16は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
Qのn価の連結基としては、n価のヘテロ原子、n価の有機基等が挙げられる。
n価のヘテロ原子としては、たとえばn=3の場合、窒素原子、リン原子等が挙げられる。
n価の有機基としては、炭素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよいn価の炭化水素基等が挙げられる。該n価の炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルカンからn個の水素原子を除いた基、n価の芳香族基等が挙げられる。
該アルカンからn個の水素原子を除いた基としては、前記R15において挙げたアルキレン基からさらに(n−2)個の水素原子を除いた基、n個の分岐を有する分岐鎖状の基等が挙げられる。
該アルカンからn個の水素原子を除いた基は、その水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されていてもよい。該ハロゲン原子としては、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
また、該アルカンからn個の水素原子を除いた基は、その構造中に、エーテル性酸素原子(−O−)、チオエーテル性硫黄原子(−S−)または前記n価のヘテロ原子を含んでもよい。
n価の芳香族基としては、前記R15において挙げた芳香族基からさらに(n−2)個の水素原子を除いた基が挙げられる。
nは3以上の整数である。nの上限は、当該化合物の分子量が2000以下となる値であればよい。nとしては、特に、3〜6が好ましく、3または4がより好ましい。
化合物(A−2)の具体例としては、トリアミノメチルアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリス(3−アミノプロピル)アミン、トリス(4−アミノブチル)アミン、2−(アミノメチル)プロパン−1,3−ジアミン、3−(2−アミノエチル)ペンタン−1,5−ジアミン、トリアミノメチルホスフィン、トリス(2−アミノエチル)ホスフィン、トリス(3−アミノプロピル)ホスフィン、トリス(4−アミノブチル)ホスフィン、2,2’−ビス(アミノメチル)プロパン−1,3−ジアミン、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス(2−(アミノメチル)プロパン−1,3−ジアミン)、シクロヘキサン−1,3,5−トリアミン、シクロヘキサン−1,2,4−トリアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、2,4,6−トリアミノトルエン、1,3,5−トリス(アミノメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(アミノメチル)ベンゼン、2,4,6−トリス(アミノメチル)トルエン、1,3,5−トリス(2−アミノエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(2−アミノエチル)ベンゼン、2,4,6−トリス(2−アミノエチル)トルエン等の1級アミノ基を3個以上有する化合物;
トリヒドロキシメチルアミン、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン、トリス(3−ヒドロキシプロピル)アミン、トリス(4−ヒドロキシブチル)アミン、2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール、3−(2−ヒドロキシエチル)ペンタン−1,5−ジオール、トリヒドロキシメチルホスフィン、トリス(2−ヒドロキシエチル)ホスフィン、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィン、トリス(4−ヒドロキシブチル)ホスフィン、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール(慣用名:ペンタエリスリトール)、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス(2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール)(慣用名:ジペンタエリスリトール)、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン、1,2,4−トリヒドロキシシクロヘキサン、3,5−ジヒドロキシフェノール、2,4−ジヒドロキシフェノール、2,4,6−トリヒドロキシトルエン、1,3,5−トリス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、2,4,6−トリス(ヒドロキシメチル)トルエン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシエチル)トルエン等のヒドロキシル基を3個以上有する化合物;
トリス(2−メルカプトエチル)アミン、トリス(3−メルカプトプロピル)アミン、トリス(4−メルカプトブチル)アミン、2−(メルカプトメチル)プロパン−1,3−ジチオール、3−(2−メルカプトエチル)ペンタン−1,5−ジチオール、トリメルカプトメチルホスフィン、トリス(2−メルカプトエチル)ホスフィン、トリス(3−メルカプトプロピル)ホスフィン、トリス(4−ヒメルカプトブチル)ホスフィン、2,2’−ビス(メルカプトメチル)プロパン−1,3−ジチオール、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス(2−(メルカプトメチル)プロパン−1,3−ジチオール)、1,3,5−トリメルカプトシクロヘキサン、1,2,4−トリメルカプトシクロヘキサン、3,5−ジメルカプトチオフェノール、2,4−ジメルカプトチオフェノール、2,4,6−トリメルカプトトルエン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、2,4,6−トリス(メルカプトメチル)トルエン、1,3,5−トリス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、2,4,6−トリス(2−メルカプトエチル)トルエン等のメルカプト基を3個以上有する化合物;
1−(ビス(ヒドロキシメチル)アミノ)メチルアミン、2−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)エチルアミン、3−(ビス(3−ヒドロキシプロピル)アミノ)プロピルアミン、4−(ビス(4−ヒドロキシブチル)アミノ)ブチルアミン、3−(2−アミノエチル)ペンタン−1,5−ジオール、1−(ビス(ヒドロキシメチル)フォスフィノ)メチルアミン、2−(ビス(2−ヒドロキシエチル)フォスフィノ)エチルアミン、3−(ビス(3−ヒドロキシプロピル)フォスフィノ)プロピルアミン、4−(ビス(4−ヒドロキシブチル)フォスフィノ)ブチルアミン、3−アミノ−5−ヒドロキシシクロヘキサノール、2−アミノ−4−ヒドロキシシクロヘキサノール、3−アミノ−5−ヒドロキシフェノール、2−アミノ−4−ヒドロキシフェノール、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシトルエン、等の1級アミノ基を1個とヒドロキシル基を2個有する化合物;
1−(ビス(メルカプトメチル)アミノ)メチルアミン、2−(ビス(2−メルカプトエチル)アミノ)エチルアミン、3−(ビス(3−メルカプトプロピル)アミノ)プロピルアミン、4−(ビス(4−メルカプトブチル)アミノ)ブチルアミン、3−(2−アミノエチル)ペンタン−1,5−ジチオール、1−(ビス(メルカプトメチル)フォスフィノ)メチルアミン、2−(ビス(2−メルカプトエチル)フォスフィノ)エチルアミン、3−(ビス(3−メルカプトプロピル)フォスフィノ)プロピルアミン、4−(ビス(4−メルカプトブチル)フォスフィノ)ブチルアミン、3−アミノ−5−メルカプトシクロヘキサンチオール、2−アミノ−4−メルカプトシクロヘキサンチオール、3−アミノ−5−メルカプトチオフェノール、2−アミノ−4−メルカプトチオフェノール、2−アミノ−4,6−ジメルカプトトルエン、等の1級アミノ基を1個とメルカプト基を2個有する化合物;
1−(ビス(アミノメチル)アミノ)メタノール、2−(ビス(2−アミノエチル)アミノ)エタノール、3−(ビス(3−アミノプロピル)アミノ)プロパノール、4−(ビス(4−アミノブチル)アミノ)ブタノール、3−アミノ−2−(アミノメチル)プロパン−1−オール、5−アミノ−3−(2−アミノエチル)ペンタン−1−オール、2−(アミノメチル)プロパン−1,3−ジオール、1−(ビス(アミノメチル)フォスフィノ)メタノール、2−(ビス(2−アミノエチル)フォスフィノ)エタノール、3−(ビス(3−アミノプロピル)フォスフィノ)プロパノール、4−(ビス(4−アミノブチル)フォスフィノ)ブタノール、2,2’−ビス(アミノメチル)プロパン−1,3−ジオール、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス(2−(アミノメチル)プロパン−1,3−ジオール)、3,5−ジアミノ−シクロヘキサノール、2,4−ジアミノ−シクロヘキサノール、3,5−ジアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、2,4−ジアミノ−6−ヒドロキシトルエン、等の1級アミノ基を2個とヒドロキシル基を1個または2個有する化合物;
1−(ビス(アミノメチル)アミノ)メタンチオール、2−(ビス(2−アミノエチル)アミノ)エタンチオール、3−(ビス(3−アミノプロピル)アミノ)プロパンチオール、4−(ビス(4−アミノブチル)アミノ)ブタンチオール、3−アミノ−2−(アミノメチル)プロパン−1−チオール、5−アミノ−3−(2−アミノエチル)ペンタン−1−チオール、1−(ビス(アミノメチル)フォスフィノ)メタンチオール、2−(ビス(2−アミノエチル)フォスフィノ)エタンチオール、3−(ビス(3−アミノプロピル)フォスフィノ)プロパンチオール、4−(ビス(4−アミノブチル)フォスフィノ)ブタンチオール、2,2’−ビス(アミノメチル)プロパン−1,3−ジチオール、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス(2−(アミノメチル)プロパン−1,3−ジチオール)、3,5−ジアミノ−シクロヘキサンチオール、2,4−ジアミノ−シクロヘキサンチオール、3,5−ジアミノチオフェノール、2,4−ジアミノチオフェノール、2,4−ジアミノ−6−メルカプトトルエン、等の1級アミノ基を2個とメルカプト基を1個または2個有する化合物;
1−(ビス(メルカプトメチル)アミノ)メタノール、2−(ビス(2−メルカプトエチル)アミノ)エタノール、3−(ビス(3−メルカプトプロピル)アミノ)プロパノール、4−(ビス(4−メルカプトブチル)アミノ)ブタノール、3−メルカプト−2−(メルカプトメチル)プロパン−1−オール、5−メルカプト−3−(2−メルカプトエチル)ペンタン−1−オール、1−(ビス(メルカプトメチル)フォスフィノ)メタノール、2−(ビス(2−メルカプトエチル)フォスフィノ)エタノール、3−(ビス(3−メルカプトプロピル)フォスフィノ)プロパノール、4−(ビス(4−メルカプトブチル)フォスフィノ)ブタノール、2,2’−ビス(メルカプトメチル)プロパン−1,3−ジオール、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス(2−(メルカプトメチル)プロパン−1,3−ジオール)、3,5−ジメルカプト−シクロヘキサノール、2,4−ジメルカプト−シクロヘキサノール、3,5−ジメルカプトフェノール、2,4−ジメルカプトフェノール、2,4−ジメルカプト−6−ヒドロキシトルエン、等のメルカプト基を2個とヒドロキシル基を1個または2個有する化合物。
等が挙げられる。
化合物(A−2)としては、前述の化合物の中で特に1級アミノ基を3個以上有する化合物を用いるのが好ましく、中でも、重合体(B)との相溶性の観点、及びコーティング用組成物とした場合の揮発性の観点から、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリス(3−アミノプロピル)アミン、トリス(4−アミノブチル)アミン、2−(アミノメチル)プロパン−1,3−ジアミン、3−(2−アミノエチル)ペンタン−1,5−ジアミン、シクロヘキサン−1,3,5−トリアミン、またはシクロヘキサン−1,2,4−トリアミン、を用いるのが好ましく、トリス(2−アミノエチル)アミン、またはトリス(3−アミノプロピル)アミンを用いるのが特に好ましい。
式(A−3)中、P、Pとしては、それぞれ、前記Pと同様のものが挙げられる。
及びPは、それぞれ、同じであってもよく、異なっていてもよい。
における2価の極性官能基としては、前記極性官能基の説明で挙げた2価の極性官能基と同様のものが挙げられる。mが2以上の整数である場合、式中のm個のPは、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
17、R18としては、それぞれ、前記R15と同様のものが挙げられる。mが2以上の整数である場合、式中のm個のR17は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
mは1以上の整数である。mの上限は、当該化合物の分子量が2000以下となる値であればよい。mとしては、特に、1〜100が好ましく、2〜50がより好ましい。
化合物(A−3)の具体例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン等のエチレンイミン誘導体;
ジ(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、ジ(2−メルカプトエチル)アミン、N,N’−ビス(2−メルカプトエチル)エチレンジアミン等のヒドロキシル基またはメルカプト基を有する2級アミン類等が挙げられる。
化合物(A−3)としては、前述の化合物の中で特にエチレンイミン誘導体を用いるのが好ましく、中でも、重合体(B)との相溶性の観点、及びコーティング用組成物とした場合の揮発性の観点から、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、またはポリエチレンイミンを用いるのが特に好ましい。
本発明において、化合物(A)としては、化合物(A−1)〜(A−3)からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、重合体(B)との相溶性の観点、及びコーティング用組成物とした場合の揮発性の観点から、ペンタン−1,5−ジアミン、ヘキサン−1,6−ジアミン、ヘプタン−1,7−ジアミン、オクタン−1,8−ジアミン、シクロヘキサン−1,2−ジアミン、シクロヘキサン−1,3−ジアミン、シクロヘキサン−1,4−ジアミン、3,3,4,4−テトラフルオロヘキサン−1,6−ジアミン、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジアミン、3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロオクタン−1,8−ジアミン、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロオクタン−1,8−ジアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリス(3−アミノプロピル)アミン、トリス(4−アミノブチル)アミン、2−(アミノメチル)プロパン−1,3−ジアミン、3−(2−アミノエチル)ペンタン−1,5−ジアミン、シクロヘキサン−1,3,5−トリアミン、シクロヘキサン−1,2,4−トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びポリエチレンイミンからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリス(3−アミノプロピル)アミン、シクロヘキサン−1,3−ジアミン、ヘキサン−1,6−ジアミン、ジエチレントリアミン及びポリエチレンイミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が最も好ましい。
本発明において、化合物(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。たとえば、極性官能基を2個有する化合物(たとえば上記化合物(A−1))と、極性官能基を3個以上有する化合物(たとえば上記化合物(A−2)または(A−3))とを混合して用いてもよい。
本発明において、組成物中に含まれる化合物(A)1分子あたりの極性官能基の個数は、2〜100が好ましく、2〜80がより好ましく、2〜50がさらに好ましい。
なお、該極性官能基の個数は、当該組成物中に含まれる化合物(A)が1種の場合は、当該化合物の極性官能基の数であり、化合物(A)として2種以上を併用する場合は平均値である。該平均値は、各化合物の極性官能基の数と、含有量の比(モル比)から求められる。そのため、たとえば極性官能基を2個有する化合物と、極性官能基を3個以上有する化合物とを併用する場合には、該平均値が、2.07、2.16、2.30等の整数ではない数となる場合がある。
本発明における組成物中の化合物(A)の含有量は、重合体(B)の含有量の0.01〜30質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましい。該含有量が0.01質量%以上であると、本発明の効果が充分に得られ、エレクトレットとして充分な電荷の経時安定性、熱安定性等を確保できる。該含有量が30質量%以下であると、重合体(B)との混和性が良好であり、組成物中での分布が均一となる。
[重合体(B)]
重合体(B)は、反応性官能基を有する。
重合体(B)が有する反応性官能基は、前記極性官能基との反応性を有するものであれば特に限定されず、使用する化合物(A)が有する極性官能基に応じ、当該極性官能基と反応性を有するものが適宜選択される。
ここで、「反応性を有する」とは、当該反応性官能基が、前記極性官能基と反応して結合を形成し得ることを意味する。
反応性官能基の具体例としては、たとえば、上述した極性官能基、シラノール基、アルコキシシリル基等が挙げられ、これらの中から、化合物(A)が有する極性官能基の種類に応じて適宜選択できる。
化合物(A)が有する極性官能基との組み合わせについては詳しくは後述するが、たとえば前記極性官能基が、1級アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、ヒドロキシフェニル基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種である場合、該極性官能基との反応性を有する反応性官能基として、具体的には、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、酸ハライド基、ホルミル基、ヒドロキシフェニル基、イソシアナート基、シアノ基、カルボニルオキシ基、カーボネート基、シラノール基、アルコキシシリル基等が挙げられる。また、前記極性官能基が、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、酸ハライド基、ホルミル基、ヒドロキシフェニル基、イソシアナート基、シアノ基、カルボニルオキシ基及びカーボネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種である場合、該極性官能基との反応性を有する反応性官能基として、具体的には、1級アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、ヒドロキシフェニル基、2級アミノ基、シラノール基等が挙げられる。
前記極性官能基との相互作用の強さ、当該重合体中への導入のしやすさを考慮すると、反応性官能基は、カルボキシ基、酸ハライド基、アルコキシカルボニル基、カルボニルオキシ基、カーボネート基、スルホ基、ホスホノ基、ヒドロキシ基、チオール基、シラノール基及びアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明においては、極性官能基と反応性官能基との反応性の組み合わせ等を考慮すると、前記極性官能基及び前記反応性官能基のうちの一方が、1級アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、ヒドロキシフェニル基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、他方が、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、酸ハライド基、ホルミル基、ヒドロキシフェニル基、イソシアナート基、シアノ基、カルボニルオキシ基及びカーボネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
すなわち、前記極性官能基が、1級アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、ヒドロキシフェニル基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種である場合、前記反応性官能基は、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、酸ハライド基、ホルミル基、ヒドロキシフェニル基、イソシアナート基、シアノ基、カルボニルオキシ基及びカーボネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、前記極性官能基が、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、酸ハライド基、ホルミル基、ヒドロキシフェニル基、イソシアナート基、シアノ基、カルボニルオキシ基及びカーボネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種であるである場合、前記反応性官能基は、1級アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、ヒドロキシフェニル基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
上記のなかでも、相互の反応性に優れること、重合体(B)への導入が容易であることから、前記極性官能基及び前記反応性官能基のうちの一方が、1級アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、ヒドロキシフェニル基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、他方が、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、酸ハライド基及びカーボネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
特に、前記極性官能基が、1級アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、ヒドロキシフェニル基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記反応性官能基が、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、酸ハライド基及びカーボネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
重合体(B)中、前記反応性官能基の位置は特に限定されない。本発明の効果、製造しやすさ等を考慮すると、重合体(B)は、前記反応性官能基を、主鎖の末端及び/又は側鎖に有することが好ましく、主鎖の末端に有することが特に好ましい。また、側鎖に反応性官能基を有する場合、該反応性官能基は、側鎖の末端に存在することが好ましい。
重合体(B)の数平均分子量は、2000超であり、3000〜500万が好ましく、1万〜70万がより好ましい。該数平均分子量が小さすぎると、製膜が難しい、膜の耐熱性が低下するため、エレクトレットとしての熱安定性も低下する、等の問題が生じるおそれがある。該数平均分子量が大きすぎると、溶媒に溶けにくくなり、製膜プロセスが制限される等の問題が生じるおそれがある。
重合体(B)の固有粘度は特に限定されず、使用する重合体(B)の種類等に応じて適宜選択すればよい。たとえば重合体(B)が、含フッ素環状重合体である場合には、固有粘度(30℃)が0.1〜0.9dl/gであることが好ましく、0.2〜0.8dl/gであることがより好ましく、0.2〜0.6dl/gであることが最も好ましい。
前記固有粘度は、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)等を溶媒として測定される値であることが好ましい。
重合体(B)は、エレクトレットとしての電荷保持性能を考慮すると、比誘電率が1.8〜8.0であることが好ましく、1.8〜5.0がより好ましく、1.8〜3.0が特に好ましい。該比誘電率は、ASTM D150に準拠し、周波数1MHzにおいて測定される値である。
また、重合体(B)としては、体積固有抵抗が高く、絶縁破壊電圧が大きいものが好ましい。
重合体(B)の体積固有抵抗は、1010〜1020Ωcmが好ましく、1016〜1019Ωcmがより好ましい。該体積固有抵抗は、ASTM D257により測定される。
重合体(B)の絶縁破壊電圧は、10〜25kV/mmが好ましく、15〜22kV/mmがより好ましい。該絶縁破壊電圧は、ASTM D149により測定される。
重合体(B)としては、絶縁性に悪影響を与える水を排除し、高い絶縁性を維持するために、疎水性の高いものが好ましい。
疎水性の高い重合体としては、フッ素原子を含有する重合体、主鎖に環構造を有する重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等が挙げられる。
中でも、フッ素原子を含有するもの、主鎖に環構造を有するもの、またはフッ素原子を含有し且つ主鎖に環構造を有するものが好ましい。
ここで、「環構造」は、脂肪族環構造であってもよく、芳香族環構造であってもよい。
また、「主鎖に環構造を有する」とは、環構造を構成する炭素原子のうち少なくとも1つが該重合体の主鎖を構成する炭素原子であるものをいう。
該主鎖に含まれる環構造は、比誘電率、体積抵抗率を考慮すると、脂肪族環構造であることが好ましい。
「脂肪族環構造」は、芳香族性を有さない環構造を示す。脂肪族環構造としては、たとえば、置換基を有していてもよい飽和または不飽和の炭化水素環構造、該炭化水素環構造における炭素原子の一部が酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された複素環構造、前記炭化水素環構造または複素環構造における水素原子がフッ素原子で置換された含フッ素脂肪族環構造等が挙げられる。
以上の観点から、重合体(B)は、主鎖に脂肪族環構造を有するか、フッ素を含有することが好ましく、前記含フッ素脂肪族環構造を有することがより好ましい。
好ましい重合体(B)としては、下記の(α)〜(γ)が挙げられる。これらの中でも(α)が好ましい。
(α)主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体(以下「含フッ素環状重合体」という。)。
(β)主鎖に脂肪族炭化水素環構造を有する重合体(以下「シクロオレフィンポリマー」という。)。
(γ)主鎖に脂肪族環構造を有しない含フッ素重合体(以下「非環状含フッ素樹脂」という。)。
以下に、「含フッ素環状重合体」、「シクロオレフィンポリマー」、「非環状含フッ素樹脂」の各々について詳述する。
(含フッ素環状重合体)
「含フッ素環状重合体」とは、上記のように、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体であり、含フッ素脂肪族環構造を構成する炭素原子のうち少なくとも1つが該含フッ素重合体の主鎖を構成する炭素原子であるものをいう。
含フッ素脂肪族環構造を構成する炭素原子のうち、主鎖を構成する炭素原子は、該含フッ素重合体を構成する単量体が有する重合性二重結合に由来する。
たとえば含フッ素重合体が、後述するような環状単量体を重合させて得た含フッ素重合体の場合は、該二重結合を構成する2個の炭素原子が主鎖を構成する炭素原子となる。
また、2個の重合性二重結合を有する単量体を環化重合させて得た含フッ素重合体の場合は、2個の重合性二重結合を構成する4個の炭素原子のうちの少なくとも2個が主鎖を構成する炭素原子となる。
含フッ素脂肪族環構造としては、環骨格が炭素原子のみから構成されるものであってもよく、炭素原子以外に、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む複素環構造であってもよい。含フッ素脂肪族環としては、環骨格に1〜2個の酸素原子を有する含フッ素脂肪族環が好ましい。
含フッ素脂肪族環構造の環骨格を構成する原子の数は、4〜7個が好ましい。すなわち、含フッ素脂肪族環構造は4〜7員環であることが好ましい。
好ましい含フッ素環状重合体としては、下記含フッ素環状重合体(I’)、含フッ素環状重合体(II’)が挙げられる。
含フッ素環状重合体(I’):環状含フッ素単量体に基づく単位を有する重合体。
含フッ素環状重合体(II’):ジエン系含フッ素単量体の環化重合により形成される単位を有する重合体。
含フッ素環状重合体(I’)は、「環状含フッ素単量体」に基づく単位を有する。
「環状含フッ素単量体」とは、含フッ素脂肪族環を構成する炭素原子間に重合性二重結合を有する単量体、または、含フッ素脂肪族環を構成する炭素原子と含フッ素脂肪族環外の炭素原子との間に重合性二重結合を有する単量体である。
環状含フッ素単量体としては、下記の化合物(1)または化合物(2)が好ましい。
Figure 2010032759
式中、X11、X12、X13、X14、Y11及びY12は、それぞれ独立に、フッ素原子、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルコキシ基である。
11、X12、X13、X14、Y11及びY12におけるパーフルオロアルキル基としては、炭素数が1〜7であることが好ましく、炭素数1〜4であることがより好ましい。該パーフルオロアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状が好ましく、直鎖状がより好ましい。具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等が挙げられ、特にトリフルオロメチル基が好ましい。
11、X12、X13、X14、Y11及びY12におけるパーフルオロアルコキシ基としては、前記パーフルオロアルキル基に酸素原子(−O−)が結合したものが挙げられる。
11としては、フッ素原子が好ましい。
12としては、フッ素原子、トリフルオロメチル基、または炭素数1〜4のパーフルオロアルコキシ基が好ましく、フッ素原子またはトリフルオロメトキシ基がより好ましい。
13及びX14としては、それぞれ独立に、フッ素原子または炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基が好ましく、フッ素原子またはトリフルオロメチル基がより好ましい。
11及びY12としては、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜4のパーフルオロアルコキシ基が好ましく、フッ素原子またはトリフルオロメチル基がより好ましい。
化合物(1)においては、X13及びX14が相互に結合して、X13及びX14が結合した炭素原子とともに、含フッ素脂肪族環を形成していてもよい。
該含フッ素脂肪族環としては、4〜6員環が好ましい。
該含フッ素脂肪族環は、飽和脂肪族環であることが好ましい。
該含フッ素脂肪族環は、その環骨格中に、エーテル性酸素原子(−O−)を有していてもよい。この場合、含フッ素脂肪族環中のエーテル性酸素原子の数は、1または2が好ましい。
化合物(2)においては、Y11及びY12が相互に結合して、Y11及びY12が結合した炭素原子とともに、含フッ素脂肪族環を形成していてもよい。
該含フッ素脂肪族環としては、4〜6員環が好ましい。
該含フッ素脂肪族環は、飽和脂肪族環であることが好ましい。
該含フッ素脂肪族環は、その環骨格中に、エーテル性酸素原子(−O−)を有していてもよい。この場合、含フッ素脂肪族環中のエーテル性酸素原子の数は、1または2が好ましい。
化合物(1)の好ましい具体例としては、化合物(1−1)〜(1−5)が挙げられる。
化合物(2)の好ましい具体例としては、化合物(2−1)〜(2−2)が挙げられる。
Figure 2010032759
Figure 2010032759
含フッ素環状重合体(I’)は、上記環状含フッ素単量体の単独重合体であってもよく、該環状含フッ素単量体と、それ以外の他の単量体との共重合体であってもよい。
ただし、該含フッ素環状重合体(I’)中、環状含フッ素単量体に基づく単位の割合は、該含フッ素環状重合体(I’)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、100モル%であってもよい。
該他の単量体としては、上記環状含フッ素単量体と共重合可能なものであればよく、特に限定されない。具体的には、後述するジエン系含フッ素単量体、側鎖に前記反応性官能基を有する単量体、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)等が挙げられる。
上記環状含フッ素単量体と共重合可能な、側鎖に前記反応性官能基を有する単量体としては、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−4−(1,2,2−トリフルオロビニロキシ)ブタン酸メチル、2,2,3,3−テトラフルオロ−3−(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2−トリフロオロビニロキシ)プロポキシ)プロパン酸メチル、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2−トリフロオロビニロキシ)プロパン−2−イルオキシ)エタンスルホン酸フルオリド、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(1,2,2−トリフロオロビニロキシ)エタンスルホン酸フルオリド等の含フッ素単量体、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−(2−(ビニロキシ)エトキシ)エタノール、アクリル酸メチル、アクリル酸ヒドロキシエチル等のような炭化水素単量体等が挙げられる。
含フッ素環状重合体(II’)は、「ジエン系含フッ素単量体」の環化重合により形成される単位を有している。
「ジエン系含フッ素単量体」とは、2個の重合性二重結合及びフッ素原子を有する単量体である。該重合性二重結合としては、特に限定されないが、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、またはメタクリロイル基が好ましい。
ジエン系含フッ素単量体としては、下記化合物(3)が好ましい。
CF=CF−Q−CF=CF ・・・(3)。
式中、Qは、エーテル性酸素原子を有していてもよく、フッ素原子の一部がフッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基である。該フッ素以外のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
Qがエーテル性酸素原子を有するパーフルオロアルキレン基である場合、該パーフルオロアルキレン基におけるエーテル性酸素原子は、該基の一方の末端に存在していてもよく、該基の両末端に存在していてもよく、該基の炭素原子間に存在していてもよい。環化重合性の点から、該基の一方の末端に存在していることが好ましい。
化合物(3)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
CF=CFOCFCF=CF
CF=CFOCF(CF)CF=CF
CF=CFOCFCFCF=CF
CF=CFOCFCF(CF)CF=CF
CF=CFOCF(CF)CFCF=CF
CF=CFOCFClCFCF=CF
CF=CFOCClCFCF=CF
CF=CFOCFOCF=CF
CF=CFOC(CFOCF=CF
CF=CFOCFCF(OCF)CF=CF
CF=CFCFCF=CF
CF=CFCFCFCF=CF
CF=CFCFOCFCF=CF
化合物(3)の環化重合により形成される単位としては、下記単位(3−1)〜(3−4)等が挙げられる。
Figure 2010032759
含フッ素環状重合体(II’)は、上記ジエン系含フッ素単量体の環化重合により形成される単位のみから構成されてもよく、該単位と、それ以外の他の単位とを有する共重合体であってもよい。
ただし、該含フッ素環状重合体(II’)中、ジエン系含フッ素単量体の環化重合により形成される単位の割合は、該含フッ素環状重合体(II’)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、50モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、100モル%が最も好ましい。
該他の単量体としては、上記ジエン系含フッ素単量体と共重合可能なものであればよく、特に限定されない。具体的には、上述した化合物(1)、化合物(2)等の環状含フッ素単量体、側鎖に前記反応性官能基を有する単量体、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)等が挙げられる。
上記ジエン系含フッ素単量体と共重合可能な、側鎖に前記反応性官能基を有する単量体としては2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−4−(1,2,2−トリフルオロビニロキシ)ブタン酸メチル、2,2,3,3−テトラフルオロ−3−(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2−トリフロオロビニロキシ)プロポキシ)プロパン酸メチル、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2−トリフロオロビニロキシ)プロパン−2−イルオキシ)エタンスルホン酸フルオリド、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(1,2,2−トリフロオロビニロキシ)エタンスルホン酸フルオリド等の含フッ素単量体、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−(2−(ビニロキシ)エトキシ)エタノール、アクリル酸メチル、アクリル酸ヒドロキシエチル等のような炭化水素単量体等が挙げられる。
(シクロオレフィンポリマー)
「シクロオレフィンポリマー」とは、上記のように、主鎖に脂肪族炭化水素環構造を有するポリマーであり、当該脂肪族炭化水素環構造を構成する炭素原子のうち少なくとも2つが当該ポリマーの主鎖に組み込まれているものをいう。
シクロオレフィンポリマーは、脂肪族炭化水素環構造を有する単位(以下、単位(a1)ということがある。)を有しており、該単位(a1)においては、当該脂肪族炭化水素環構造を構成する炭素原子のうち少なくとも2つが当該ポリマーの主鎖に組み込まれている。
シクロオレフィンポリマーとして、好ましいものとしては、単位(a1−1)を含むものが挙げられる。
Figure 2010032759
[式中、Rは置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、mは0〜10の整数であり、rは0または1であり、sは0または1である。]
式(a1−1)中、Rの炭化水素基が「置換基を有していてもよい」とは、該炭化水素基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていてもよいことを意味する。
該置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、フェニル基等のアリール基、アダマンチル基等の多環式の脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
置換基としてのアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、またはイソプロピル基が好ましく、メチル基、またはエチル基が特に好ましい。
置換基としてのシクロアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、5〜8であることがより好ましい。該シクロアルキル基としては、シクロペンチル基またはシクロヘキシ基が特に好ましい。
置換基としてのアルコキシ基は、前記アルキル基に酸素原子(−O−)が結合したものが挙げられる。
Rの炭化水素基は、鎖状であってもよく、環状であってもよい。また、該炭化水素基は飽和であってもよく、不飽和であってもよく、好ましくは飽和である。
鎖状の炭化水素基としては、置換基を有していてもよい直鎖状のアルキレン基が好ましく、その炭素数は1〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、2が最も好ましい。具体的には、ジメチレン基が挙げられる。
環状の炭化水素基としては、置換基を有していてもよい単環式または多環式のシクロアルカンから水素原子を2つ除いた基が好ましい。単環式のシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式のシクロアルカンとしては、ノルボルナン、アダマンタン等が挙げられる。これらの中でも、シクロペンタンまたはノルボルナンが好ましい。
式(a1−1)中、mは0〜10の整数である。
mが1以上の整数の場合、後述する単位(a1−11)のように、ポリマー主鎖が、脂肪族炭化水素環構造のオルト位ではなく、メチレン鎖1つ以上の間隔をあけて結合することにより当該脂肪族炭化水素環構造がポリマー主鎖に組み込まれている。この場合、mとしては、1〜3が好ましく、1が最も好ましい。
mが0の場合、後述する単位(a1−21)のように、ポリマー主鎖が、脂肪族炭化水素環構造のオルト位に結合することにより当該脂肪族炭化水素環構造がポリマー主鎖に組み込まれている。
r及びsは、それぞれ、0であってもよく、1であってもよい。
特に、mが0の場合はr及びsが0であることが好ましい。また、mが1の場合は、r及びsが1であることが好ましい。
単位(a1−1)として、好ましいものとしては、以下に示す単位(a1−11)、単位(a1−21)が挙げられる。
Figure 2010032759
[式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であり、R及びRが相互に結合して環を形成していてもよい。]
Figure 2010032759
[式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であり、R及びRが相互に結合して環を形成していてもよい。]
式(a1−11)中、R及びRにおけるアルキル基、シクロアルキル基としては、それぞれ、前記置換基としてのアルキル基、シクロアルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
及びRは相互に結合して、R及びRがそれぞれ結合した炭素原子とともに、環を形成していてもよい。この場合に形成される環としては、単環式または多環式のシクロアルカンが好ましい。単環式のシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式のシクロアルカンとしては、ノルボルナン、アダマンタン等が挙げられる。これらの中でも、シクロペンタンまたはノルボルナンが好ましい。
該環は置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記Rの炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
及びRが環を形成している場合の単位(a1−11)の具体例としては、下記単位(a1−11−1)、単位(a1−12−1)等が挙げられる。
Figure 2010032759
[式中、R11は水素原子またはアルキル基である。]
11のアルキル基としては、前記Rの炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、特にメチル基が好ましい。
本発明において、単位(a1−11)としては、R及びRが環を形成しているもの、またはR及びRの少なくとも一方がシクロアルキル基であるものが好ましい。
式(a1−21)中、R及びRは、それぞれ、前記R及びRと同様である。
及びRが環を形成している場合の単位(a1−21)の具体例としては、下記単位(a1−21−1)、単位(a1−21−2)等が挙げられる。
Figure 2010032759
[式中、R13は水素原子またはアルキル基である。]
13のアルキル基としては、前記Rの炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、特にメチル基が好ましい。
シクロオレフィンポリマーは、単位(a1)として、上記のような単位のうちのいずれか1種を含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
シクロオレフィンポリマー中、単位(a1)の割合は、当該シクロオレフィンポリマーを構成する全繰り返し単位の合計に対し、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、100モル%であってもよい。
シクロオレフィンポリマーは、単位(a1)以外の他の単位(以下、単位(a2)ということがある。)を含んでいてもよい。
単位(a2)としては、従来、シクロオレフィンポリマーに用いられている任意の単位が利用でき、特に限定されない。
該単位(a2)としては、置換基を有していてもよいオレフィンに基づく単位が好ましく、該単位としては、たとえば下記単位(a2−1)が挙げられる。
Figure 2010032759
[式中、Rは水素原子、アルキル基またはアリール基である。]
式中、Rのアルキル基としては、前記Rの炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。
アリール基としては、ベンジル基、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、p−フルオロフェニル基、m-フルオロフェニル基、o−フルオロフェニル基、p-トリフルオロフェニル基、m-トリフルオロフェニル基、o−トリフルオロフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
本発明に用いられるシクロオレフィンポリマーとしては、特に、下記シクロオレフィンポリマー(I)、シクロオレフィンポリマー(II)が好ましい。
シクロオレフィンポリマー(I):前記単位(a1−11)を含むシクロオレフィンポリマー。
シクロオレフィンポリマー(II):前記単位(a1−21)及び単位(a2)を含むシクロオレフィンポリマー。
シクロオレフィンポリマー(I)は、単位(a1−11)として、1種を含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
また、シクロオレフィンポリマー(I)は、本発明の効果を損なわない範囲で、単位(a1−11)以外の単位を含んでいてもよい。
シクロオレフィンポリマー(I)中、単位(a1−11)の割合は、当該シクロオレフィンポリマー(I)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。すなわち、シクロオレフィンポリマー(I)としては、単位(a1−11)のみから構成される重合体が特に好ましい。
シクロオレフィンポリマー(II)は、単位(a1−21)、単位(a2)として、それぞれ、1種を含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
また、シクロオレフィンポリマー(II)は、本発明の効果を損なわない範囲で、単位(a1−21)及び単位(a2)以外の単位を含んでいてもよい。
シクロオレフィンポリマー(II)中、単位(a1−21)の割合は、当該シクロオレフィンポリマー(II)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、20〜70モル%が好ましく、30〜50モル%がより好ましい。また、単位(a2)の割合は、当該シクロオレフィンポリマー(II)を構成する全繰り返し単位の合計に対し、30〜80モル%が好ましく、50〜70モル%がより好ましい。
また、シクロオレフィンポリマー(II)中の単位(a1−21)及び単位(a2)の含有量の比(モル比)は、単位(a1−21):単位(a2)= 20:80〜70:30の範囲内が好ましく、30:70〜50:50の範囲内がより好ましい。
シクロオレフィンポリマー(II)の好ましい具体例としては、下記式(II−1)、(II−2)にそれぞれ示す2種の単位を含む共重合体が挙げられる。
Figure 2010032759
[式中、R13、Rはそれぞれ前記と同じである。]
シクロオレフィンポリマーとしては、市販のものを用いてもよく、合成してもよい。
シクロオレフィンポリマーの合成方法としては、下記(1)〜(7)等が知られている。
(1)ノルボルネン類とオレフィンとを付加共重合させる方法(たとえば下記反応式(1’)に示す方法)。
(2)ノルボルネン類の開環メタセシス重合体に対して水素添加する方法(たとえば下記反応式(2’)に示す方法)。
(3)アルキリデンノルボルネンをトランスアニュラー重合する方法(たとえば下記反応式(3’)に示す方法)。
(4)ノルボルネン類を付加重合させる方法(たとえば下記反応式(4’)に示す方法)。
(5)シクロペンタジエンの1,2−及び1,4−付加重合体に対して水素添加する方法(たとえば下記反応式(5’)に示す方法)。
(6)シクロヘキサジエンの1,2−及び1,4−付加重合体に対して水素添加する方法(たとえば下記反応式(6’)に示す方法)。
(7)共役ジエンを環化重合させる方法(たとえば下記反応式(7’)に示す方法)。
Figure 2010032759
各反応式中、R〜Rはそれぞれ前記と同じである。
〜Rはそれぞれ独立にアルキル基であり、該アルキル基としては、前記Rの炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中では、(1)の方法により得られるシクロオレフィンポリマー(ノルボルネン類とオレフィンの付加共重合体)、及び(2)の方法により得られるシクロオレフィンポリマー(ノルボルネン類の開環メタセシス重合体の水素添加ポリマー)が、造膜性に優れる点、合成が容易である点から好ましい。
ノルボルネン類の付加共重合体としては、例えばアペル(登録商標)(三井化学社製)、TOPAS(登録商標)(Ticona社製)の商品名で販売されているものが挙げられる。
また、ノルボルネン類の開環メタセシス重合体の水素添加ポリマーとしては、種々のものがあるが、透明性、低吸湿性、耐熱性を有することから、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン社製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)、アートン(登録商標)(JSR社製)の商品名で販売されているポリマーが好ましい。
(非環状含フッ素樹脂)
「非環状含フッ素樹脂」とは、上記のように、主鎖に脂肪族炭化水素環構造を有しない含フッ素樹脂をいう。
非環状含フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、フルオロオレフィン−アルキルビニルエーテル共重合体等が挙げられ、樹脂単体の非晶質性が高く、極性官能基を2個以上有する化合物との混合し易さの点から、フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体が好ましい。
フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体としては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンから選ばれるフルオロオレフィンに基づく繰り返し単位と、ビニルエーテル類に基づく繰り返し単位と、必要に応じて、フルオロオレフィン及びビニルエーテル類を除く他のモノマー(好ましくは、ビニルエステル類、アリルエーテル類、アリルエステル類、イソプロペニルエーテル類またはイソプロペニルエステル類。)に基づく繰り返し単位とを有する共重合体が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、アルキルビニルエーテル、フルオロアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、シクロアルキルビニルエーテル、ヒドロキシシクロアルキルビニルエーテル等の炭素数10以下のビニルエーテル類が好ましい。
ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、ピバル酸ビニル等の炭素数10以下のビニルエステル類が好ましい。
アリルエーテル類としては、炭素数10以下のアルキルアリルエーテル、またはヒドロキシアルキルアリルエーテルが好ましい。
イソプロペニルエーテル類としては、炭素数10以下のアルキルイソプロペニルエーテル、またはヒドロキシアルキルイソプロペニルエーテルが好ましい。
アリルエステル類としては、酢酸アリル等が好ましい。
イソプロペニルエステル類としては、酢酸イソプロペニルエステル等が好ましい。
重合体(B)は、市販品を用いてもよく、合成してもよい。
重合体(B)の製造方法としては、公知の方法が利用でき、たとえば、重合開始剤として、前記反応性官能基を有するものを用いて重合を行い、主鎖の末端に反応性官能基が導入された重合体を得る方法、重合開始剤として、前記反応性官能基に変換し得る基を有するものを用いて重合を行い、主鎖の末端に該基が導入された重合体を得た後、該基を前記反応性官能基に変換する方法、単量体として、側鎖に前記反応性官能基を有するものを用いて重合を行い、側鎖に反応性官能基が導入された重合体を得る方法、単量体として、側鎖に前記反応性官能基に変換し得る基を有するものを用いて重合体を得た後、該基を反応性官能基に変換して、側鎖に反応性官能基が導入された重合体を得る方法等が挙げられる。
重合体(B)としては、上記含フッ素環状重合体、シクロオレフィンポリマー、非環状含フッ素樹脂の何れか1種または2種以上が好ましい。
主鎖の末端及び/又は側鎖に前記反応性官能基を有する含フッ素環状重合体の市販品としては、サイトップ(登録商標、旭硝子社製)が挙げられる。
主鎖の末端及び/又は側鎖に前記反応性官能基を有する非環状含フッ素樹脂の市販品としては、フレミオン(登録商標、旭硝子社製)、ルミフロン(登録商標、旭硝子社製)等が挙げられる。フレミオンは、側鎖の末端にカルボキシ基を有するフルオロオレフィン共重合体であり、ルミフロンは、側鎖の末端にヒドロキシ基を有するフルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体である。
化合物(A)および重合体(B)の組み合わせとしては、化合物(A−1)または(A−2)と含フッ素重合体の組み合わせが好ましく、特にジアミン類または1級アミノ基を3個以上有する化合物と脂肪族環構造を有する含フッ素重合体の組み合わせが好ましい。
中でも、トリス(2−アミノエチル)アミンまたはトリス(3−アミノプロピル)アミンと脂肪族環構造を有する含フッ素重合体の組み合わせが最も好適である。
本発明において、上記組成物は、化合物(A)および重合体(B)以外に、シランカップリング剤等の任意の成分を含有してもよい。該組成物はシランカップリング剤を含有すると、当該組成物を後述するようにコーティング液としてコーティング膜を形成する場合に、形成されるコーティング膜の基板との密着性が向上する。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、従来より公知または周知のものを含めて広範囲にわたって利用できる。具体的には、以下のものが例示できる。
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシランなどのモノアルコキシシラン類。
γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルメチルジメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシランなどのジアルコキシシラン類。
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのトリまたはテトラアルコキシシラン類。
また、好ましいシランカップリング剤として、芳香族アミン構造を有するシランカップリング剤である芳香族アミン系シランカップリング剤が挙げられる。
芳香族アミン系シランカップリング剤としては、下式(s1)〜(s3)で表される化合物が挙げられる。
ArSi(OR21)(OR22)(OR23) …(s1)
ArSiR24(OR21)(OR22) …(s2)
ArSiR2425(OR21) …(s3)
[式中R21〜R25はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表し、Arはp−、m−またはo−アミノフェニル基を表す。]
式(s1)〜(s3)で表される化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。
アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリプロポキシシラン、アミノフェニルトリイソプロポキシシラン、アミノフェニルメチルジメトキシシラン、アミノフェニルメチルジエトキシシラン、アミノフェニルメチルジプロポキシシラン、アミノフェニルメチルジイソプロポキシシラン、アミノフェニルフェニルジメトキシシラン、アミノフェニルフェニルジエトキシシラン、アミノフェニルフェニルジプロポキシシラン、アミノフェニルフェニルジイソプロポキシシランなど。
これらの化合物におけるアミノ基の水素原子はアルキル基やアリール基で置換されていてもよい。たとえばN,N−ジメチルアミノフェニルトリアルコキシシランやN,N−ジメチルアミノフェニルメチルジアルコキシシランなどが挙げられる。この他にも、たとえば米国特許第3,481,815号明細書に記載されている芳香族アミン系シランカップリング剤などを使用できる。
上記シランカップリング剤は、いずれか1種を単独で使用してもよく、2種以上を組合せてもよい。
また、上記シランカップリング剤の共部分加水分解物を使用することも好ましい。
さらに、上記シランカップリング剤とテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランとの共部分加水分解物を使用することも好ましい。このうちで、重合体(B)に均一に混合でき、接着性を向上させるものとして、アミノ基を有するシランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、アミノフェニルメチルジメトキシシラン、アミノフェニルメチルジエトキシシランなど)、またはエポキシ基を有するシランカップリング剤(γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシランなど)が特に好適なものとして例示される。
シランカップリング剤の含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、0.3〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が最も好ましい。この範囲にあると重合体(B)と均一に混合でき、溶液での相分離を起こしにくい。
シランカップリング剤以外の任意の成分としては、金属酸化物、金属窒化物等の無機物、有機金属化合物、有機金属錯体等が挙げれる。
本発明のエレクトレットは、上記化合物(A)および重合体(B)、並びに任意の成分を含有する組成物を用いてコーティング膜を形成し、該コーティング膜に電荷を注入することにより製造できる。
上記組成物からなるコーティング膜の製膜方法は特に限定されず、使用する材料に応じて従来公知の製膜方法を利用すればよい。たとえば、湿式コーティング法により製膜してもよく、フィルムをプレス成形することにより製膜しても良い。また蒸着、CVD、スパッタリング等のドライプロセスにて製膜しても良い。なかでも、製膜プロセスの観点から湿式コーティング法により製膜することが好ましい。
湿式コーティング法により製膜する場合、上記組成物が溶媒に溶解した溶液(コーティング液)を基板表面にコーティングし、ベーク等により乾燥させることにより、コーティング膜が形成される。
該コーティング液は、各成分を含む組成物を予め調製し、これを溶媒に溶解してもよく、各成分をそれぞれ溶媒に溶解し、各溶液を混合してもよい。
各成分を含む組成物を予め調製する場合の該組成物の製造方法としては、固体と固体、または固体と液体を混練、共融押し出し法等により混合しても良いし、それぞれを可溶な溶媒に溶解した溶液を混合しても良い。製膜上の観点から、溶液で混合することがより好ましい。
本発明のエレクトレットは、例えば、上記化合物(A)及び重合体(B)をそれぞれ溶媒に溶解して混合し、化合物(A)、重合体(B)及び溶媒を含有するコーティング用組成物を調製し、これを用いてコーティング膜を形成(製膜)し、該コーティング膜に電荷を注入することにより製造できる。
前記コーティング液の調製において、溶媒としては、少なくとも重合体(B)を溶解するものが用いられ、好ましくは重合体(B)および化合物(A)の両方を溶解するものが用いられる。該溶媒は、使用する重合体(B)、化合物(A)の種類に応じて、公知の溶剤から適宜選択すればよい。
たとえば、上記「含フッ素環状重合体」及び「非環状含フッ素樹脂」を溶解する溶媒としては、含フッ素有機溶媒を用いることができる。
含フッ素有機溶媒としては、非プロトン性含フッ素溶媒が好ましい。非プロトン性含フッ素溶媒としては、以下の含フッ素化合物を例示できる。
パーフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等のポリフルオロ芳香族化合物、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミン等のポリフルオロトリアルキルアミン化合物、パーフルオロデカリン、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロ(1,3,5−トリメチルシクロヘキサン)等のポリフルオロシクロアルカン化合物、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)等のポリフルオロ環状エーテル化合物、パーフルオロポリエーテル、
パーフルオロヘキサン、パーフルオロオクタン、パーフルオロデカン、パーフルオロドデカン、パーフルオロ(2,7−ジメチルオクタン)、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,1,1−トリクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3−テトラクロロ−2,2,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1,3,4−テトラクロロ−1,2,2,3,4,4−ヘキサフルオロブタン、パーフルオロ(1,2−ジメチルヘキサン)、パーフルオロ(1,3−ジメチルヘキサン)、1,1,2,2,3,3,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘプタデカフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘニコサフルオロデカン、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘプタデカフルオロデカン、1,1,1,2,3,4,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン、1,1,1,2,2,3,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン等のポリフルオロアルカン化合物。
これらの非プロトン性含フッ素溶媒は単独でまたは混合して使用できる。また、これらの他にも広範な化合物を使用できる。例えば、ハイドロフルオロエーテル(HFE)等の含フッ素溶媒が好適である。このような含フッ素溶媒は、一般式R−O−R(Rはエーテル結合を有してもよい炭素数5〜12の直鎖状または分岐状のポリフルオロアルキル基であり、Rは炭素数1〜5の直鎖状または分岐状のアルキル基またはポリフルオロアルキル基である。)で表される含フッ素溶媒が好ましい。
の炭素数が4以下であると含フッ素環構造含有重合体を溶解し難く、Rの炭素数が13以上の場合は工業的に入手困難であるため、Rの炭素数は5〜12の範囲から選定される。Rの炭素数は、6〜10が好ましく、6〜7及び9〜10がより好ましい。
ポリフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基であり、アルキル基の水素原子のすべてがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基、及びアルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換されかつアルキル基の水素原子の1個以上がフッ素原子以外のハロゲン原子に置換された基を含むものである。フッ素原子以外のハロゲン原子としては塩素原子が好ましい。
ポリフルオロアルキル基としては、対応するアルキル基の水素原子の数にして60%以上がフッ素原子に置換された基が好ましく、より好ましくは80%以上である。さらに好ましいポリフルオロアルキル基はパーフルオロアルキル基である。
がエーテル結合を有する場合、エーテル結合の数が多すぎると溶解性を阻害するため、R中のエーテル結合は1〜3個が好ましく、1〜2個がより好ましい。
の炭素数が6以上であると含フッ素環構造含有重合体の溶解性を著しく阻害する。Rの好ましい例は、メチル基、エチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、テトラフルオロプロピル基等である。
含フッ素溶媒の分子量は、大きすぎると含フッ素重合体組成物の粘度を上昇させるだけでなく、含フッ素環構造含有重合体の溶解性も低下するため、1000以下が好ましい。また、含フッ素環構造含有重合体の溶解性を高めるために含フッ素溶媒のフッ素含有量は60〜80重量%が好ましい。好ましい含フッ素溶媒として、下記のものが例示できる。
F(CFOCH、HCFCFOCHCF、HCFCFCHOCHCF、F(CFOCH、F(CFOCH、F(CFOCH、F(CFOCH、F(CFOCH、F(CF10OCH、H(CFOCH、(CFCFCF(OCH)CFCF、F(CFOCF(CF)CFOCH、F(CFOCF(CF)CFOCF(CF)CFOCH、F(CFOCHCHCH、(CFCFCFCFOCH、F(CFO(CFOCHCH
これらの含フッ素溶媒では、特に(CFCFCF(OCH)CFCFが好適である。
溶媒の沸点は、65〜220℃が好ましい。含フッ素有機溶媒の沸点が100℃以上であれば、コーティングの際に均一な膜を形成しやすい。
上記「含フッ素環状重合体」及び「非環状含フッ素樹脂」を溶解する溶媒を用いたコーティング液の具体例としては、主鎖の末端にカルボキシ基等の反応性官能基を有する含フッ素環状重合体のパーフルオロトリブチルアミン溶液、側鎖の末端にカルボキシ基等の反応性官能基を有するフルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体のパーフルオロヘキサン溶液等が挙げられる。
上記「シクロオレフィンポリマー」を溶解する溶媒としては、前記シクロオレフィンポリマーを溶解でき、所望のコーティング方法で所望の膜厚、均一性を有するコーティング膜を形成し得るものであれば特に制限はなく、例えばプロトン性溶媒、非プロトン系溶媒が挙げられる。
プロトン性溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、2−ブタオール、t-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、1−オクタノール、2-オクタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、乳酸メチル等が挙げられる。これらの中でも1-プロパノールが好ましい。
非プロトン性溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、デカリン、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、ジメトキシエタン、モノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジグライム、トリグライム、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート(PGMEA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アニソール、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ヘキサフルオロメタキシレン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、テトラリン、メチルナフタレン等が挙げられる。これらの中でも、炭化水素類が好ましく、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、テトラリン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類がより好ましく、トルエン、またはキシレンがさらに好ましい。
これらの溶媒は、いずれか1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。またこれらの他にも広範な化合物が使用できる。
上記化合物(A)を溶解する溶媒としては、上記「含フッ素環状重合体」及び「非環状含フッ素樹脂」と混合する場合には、プロトン性含フッ素溶媒が好ましい。また、上記「シクロオレフィンポリマー」と混合する場合には、前述のプロトン性溶媒、非プロトン系溶媒と同様の溶媒を用いることができる。
上記プロトン性含フッ素溶媒としては以下のものが例示される。
トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、2−(パーフルオロブチル)エタノール、2−(パーフルオロヘキシル)エタノール、2−(パーフルオロオクチル)エタノール、2−(パーフルオロデシル)エタノール、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1−ヘプタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘキサデカフルオロ−1−ノナノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、1,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブタノールなどの含フッ素アルコール。
トリフルオロ酢酸、パーフルオロプロパン酸、パーフルオロブタン酸、パーフルオロペンタン酸、パーフルオロヘキサン酸、パーフルオロヘプタン酸、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロノナン酸、パーフルオロデカン酸、1,1,2,2−テトラフルオロプロパン酸、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペンタン酸、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−ドデカフルオロヘプタン酸、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ヘキサデカフルオロノナン酸などの含フッ素カルボン酸、これら含フッ素カルボン酸のアミド、トリフルオロメタンスルホン酸、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸などの含フッ素スルホン酸等。
これらのプロトン性含フッ素溶媒は単独でまたは2種以上の混合物とすることもできる。
コーティング液の固形分濃度は、形成しようとする膜厚に応じて適宜設定すればよい。通常、0.1〜30質量%であり、0.5〜20質量%が好ましい。
湿式コーティング法によりコーティング膜を製膜する場合、該製膜は、上記コーティング液を基板表面にコーティングし、ベーク等により乾燥させることにより実施できる。
コーティング方法としては、溶液から膜を形成させる方法として従来公知の方法が利用でき、特に限定されない。かかる方法の具体例としては、ロールコーター法、キャスト法、ディッピング法、スピンコート法、水上キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法、ダイコート法、インクジェット法、スプレーコート法等が挙げられる。また、凸版印刷法、グラビア印刷法、平板印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法などの印刷技術も用いることができる。
コーティング液をコーティングする基板としては、コーティングして得られたコーティング膜に電荷を注入する際にアースに接続できるような基板であれば、材質を選ばずに用いることができる。好ましい材質としては、例えば、金、白金、銅、アルミニウム、クロム、ニッケル等の導電性の金属が挙げられる。また、材質が導電性の金属以外のもの、たとえばシリコン等の半導体材料、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の有機高分子材料等の絶縁性の材料であっても、その表面にスパッタリング、蒸着、ウエットコーティング等の方法で金属膜、またはITO,IZOなどの金属酸化物導電膜、またはポリアニリン、ポリピロール、PEDOT/PSS、カーボンナノチューブなどの有機導電膜などをコーティングしたものであれば用いることができる。
当該基板は表面が平滑な平板でもよく、凹凸を形成したものでもよい。また、様々な形状にパターニングされていても良い。特に上記絶縁性基板を用いる場合に、絶縁性基板そのものに凹凸またはパターンを形成しても良いし、表面にコーティングされた金属膜に凹凸又はパターンを形成しても良い。当該基板に凹凸またはパターンを形成する方法として従来公知の方法が利用でき、特に限定されない。凹凸またはパターンを形成する方法としては、真空プロセス、湿式プロセスのどちらを用いても良い。かかる方法の具体例としては、真空プロセスとして、マスクを介したスパッタリング法、マスクを介した蒸着法、湿式プロセスとして、ロールコーター法、キャスト法、ディッピング法、スピンコート法、水上キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法、ダイコート法、インクジェット法、スプレーコート法等が挙げられる。また、凸版印刷法、グラビア印刷法、平板印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法などの印刷技術も用いることができる。また微細な凹凸またはパターンを形成する方法としてナノインプリント法、フォトリソグラフィ法なども用いることができる。
なお、基板は、電荷注入後に剥離してもよい。
上記コーティング液をコーティング後は、溶媒を、ベーク等により乾燥させることが好ましい。乾燥条件としては、溶媒の沸点以上で行うのが好ましい。
上記コーティング膜からなる層の形状、大きさは、所望のエレクトレットの形状、大きさに応じて適宜設定すればよい。エレクトレットは、一般的に、厚さ1〜200μmの膜として用いられる。特に厚さ10〜20μmの膜として用いることが、エレクトレットしての特性、及び加工する上で有利であることから好ましい。
本発明においては、必要に応じて、上記コーティング膜に、該コーティング膜以外の層が積層されていてもよい。該コーティング膜と積層可能な他の層としては、例えば、保護層、前記重合体(B)のみからなる層、無機物からなる層等が挙げられる。
上記コーティング膜へ電荷を注入する方法としては、一般的に絶縁体を帯電させる方法であれば手段を選ばずに用いることができる。例えば、G.M.Sessler, Electrets Third Edition,pp20,Chapter2.2“Charging and Polarizing Methods”(Laplacian Press, 1998)に記載のコロナ放電法、電子ビーム衝突法、イオンビーム衝突法、放射線照射法、光照射法、接触帯電法、液体接触帯電法などが適用可能である。特に本発明のエレクトレットではコロナ放電法、電子ビーム衝突法を用いることが好ましい。
また、電荷を注入する際の温度条件としては、有機高分子のガラス転移温度以上で行うことが、注入後に保持される電荷の安定性の面から好ましく、特にガラス転移温度+10〜20℃程度の温度条件で行うことが好ましい。さらに、電荷を注入する際の印加電圧としては、複合材料層の絶縁破壊電圧以下であれば、高圧を印加することが好ましい。本発明における複合材料層では、±6〜±30kVの高電圧が適用可能であり、特に±8〜±15kVの電圧印加が好ましい。特に複合材料に用いる有機高分子が含フッ素樹脂である場合には、当該複合材料層では、正電荷より負電荷をより安定に保持可能であることから、−8〜−15kVの電圧印加をすることがさらに好ましい。
本発明のエレクトレットは、電気エネルギと運動エネルギとを変換する静電誘導型変換素子として好適である。
静電誘導型変換素子としては、振動型発電機、アクチュエータ、センサ等が挙げられる。これらの静電誘導型変換素子の構造は、エレクトレットとして本発明のエレクトレットが用いられる以外は公知のものと同様であってよい。
本発明のエレクトレットは、従来のエレクトレットに比べて、保持した電荷の経時安定性及び熱安定性が高く、電荷保持特性に優れたものである。
そのため、該エレクトレットを具備する本発明の静電誘導型変換素子は、特性の劣化が生じにくい、特性の環境依存性が小さい、等の特徴がある。
<作用機構>
極性官能基を2個以上有する分子量50〜2000の化合物(A)と、前記極性官能基との反応性を有する反応性官能基を有する数平均分子量2000超の重合体(B)とを含有する組成物を用いると、製造したエレクトレットの保持電荷の経時安定性及び熱安定性が向上する。
重合体(B)に化合物(A)を含有することにより保持電荷の経時安定性及び熱安定性が向上する理由は、重合体(B)中で化合物(A)がナノ相分離を引き起こし、化合物(A)由来のナノクラスタ構造が形成され、当該ナノクラスタ構造が、エレクトレットにおける電荷を蓄える部位として機能するためであると推察される。
本発明者らは、本発明の効果を最大にするためには、化合物(A)として例えば、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリス(2−アミノプロピル)アミンのような複数のアミノ基を有する化合物が好適であり、重合体(B)として、脂肪族環構造を有する含フッ素樹脂で、重合末端に反応性官能基を有するものが好適であることを見出した。化合物(A)由来のナノクラスタ構造はアミノ基及び重合体(B)の反応性官能基が関与する水素結合により生じると推測される。当該水素結合としては以下の2種類が考えられる。
(1)化合物(A)のアミノ基と重合体(B)の反応性官能基との間の水素結合
(2)化合物(A)のアミノ基同士による水素結合
前述の水素結合を介して生成したナノクラスタ構造はアミノ基を含有するため、+(プラス)に帯電しやすい傾向がある。そのため、−(マイナス)の電荷を打ち込んだ場合に相互作用して、保持電荷を安定化すると推測される。また、当該ナノクラスタ構造は、前述の水素結合を介して重合体(B)の末端基とも相互作用していると考えられる。このため、ナノクラスタの熱運動が抑制され、保持電荷の熱安定性が向上すると推測される。
以下に、上記実施形態の具体例を実施例として説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の各例において、体積固有抵抗は、ASTM D257により測定された値である。
絶縁破壊電圧は、ASTM D149により測定された値である。
比誘電率は、ASTM D150に準拠し、周波数1MHzにおいて測定された値である。
固有粘度[η](30℃)(単位:dl/g)は、30℃で、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)を溶媒として、ウベローデ型粘度計により測定された値である。
数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によりポリメタクリル酸メチル換算により測定された値である。
また、以下の各例で、膜厚の測定は浜松ホトニクス社製光干渉式膜厚測定装置C10178を用いて行った。
[製造例1:重合体溶液P1の調製]
パーフルオロトリブチルアミンに、ポリパーフルオロブテニルビニルエーテルAを15質量%の濃度で溶解させ、重合体溶液P1を得た。
この重合体溶液P1に溶解しているポリマー(ポリパーフルオロブテニルビニルエーテルA)について、該ポリマーの圧縮成形フィルムの赤外線吸収スペクトルを測定した結果、−COOH基に由来する1775、1810cm−1の特性吸収が認められた。また、該ポリマーの数平均分子量は135,000であった。また、該ポリマーの固有粘度[η](30℃)は0.23dl/gであった。体積固有抵抗は>1017Ωcm、絶縁破壊電圧は、19kV/mmであった。比誘電率は、2.1であった。
なお、ポリパーフルオロブテニルビニルエーテルAは、特開平4−189880の実施例中の合成例2〜4に従い、パーフルオロブテニルビニルエーテル(CF=CFOCFCFCF=CF)を、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(((CHCHOCOO))を重合開始剤として環化重合し、得られた重合体に熱処理を行った後、末端基を加水分解して−COOHとしたものである。
[製造例2:重合体溶液P2の調製]
パーフルオロトリブチルアミンに、ポリパーフルオロブテニルビニルエーテルEを9質量%の濃度で溶解させ、重合体溶液P2を得た。
この重合体溶液P2に溶解しているポリマー(ポリパーフルオロブテニルビニルエーテルE)について、該ポリマーの圧縮成形フィルムの赤外線吸収スペクトルを測定した結果、−COOCH基に由来する1795cm−1の特性吸収が認められた。また、該ポリマーの数平均分子量は141,000であった。また、該ポリマーの固有粘度[η](30℃)は0.25dl/gであった。体積固有抵抗は>1017Ωcm、絶縁破壊電圧は、19kV/mmであった。比誘電率は、2.1であった。
なお、ポリパーフルオロブテニルビニルエーテルEは、特開平4−226177の実施例中の合成例3に従い、パーフルオロブテニルビニルエーテルを、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートを重合開始剤として環化重合し、得られた重合体の末端基を、メタノールを用いてエステル化し、−COOCHとしたものである。
[製造例3:重合体溶液P3の調製]
パーフルオロトリブチルアミンに、ポリパーフルオロブテニルビニルエーテルSを9質量%の濃度で溶解させ、重合体溶液P3を得た。
この重合体溶液P3に溶解しているポリマー(ポリパーフルオロブテニルビニルエーテルS)について、該ポリマーの圧縮成形フィルムの赤外線吸収スペクトルを測定した結果、カルボニル基に由来する特性吸収は認められなかった。また、該ポリマーの数平均分子量は128,000であった。また、該ポリマーの固有粘度[η](30℃)は0.22dl/gであった。体積固有抵抗は>1017Ωcm、絶縁破壊電圧は、19kV/mmであった。比誘電率は、2.1であった。
なお、ポリパーフルオロブテニルビニルエーテルSは、特開平4−189802の実施例に従い、パーフルオロブテニルビニルエーテルを、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートを重合開始剤として環化重合し、得られた重合体の中の開始剤由来の不安定末端基を、Fガスを用いてフッ素化し、該不安定末端基を取り除いたものである。
[実施例1:エレクトレットAの製造]
(1)上記重合体溶液P1の44.2gに、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの2.3gと、パーフルオロトリブチルアミンの3.5gとを加え、さらにトリス(2−アミノエチル)アミンの0.15gを加えて混合し、均一な重合体溶液Aを得た。
該重合体溶液Aを、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、スピンコート法によりコーティングした後、200℃でベークすることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Aという。)を得た。
このコーティング膜Aに、コロナ放電にて電荷を注入することによりエレクトレットAとした。電荷の注入は、図1に概略構成図を示すコロナ荷電装置を用い、160℃にて、荷電電圧−8kV、荷電時間3分の条件で、以下の手順により行った。すなわち、銅基板(10)を電極として、直流高圧電源装置(12)(HAR−20R5;松定プレシジョン社製)により、コロナ針(14)と銅基板(10)との間に−8kVの高電圧をかけることにより、銅基板(10)上に形成されたコーティング膜A(11)に電荷を注入した。このコロナ荷電装置においては、コロナ針(14)から放電した負イオンはグリッド(16)で均一化された後、コーティング膜A(11)上に降り注ぎ、電荷が注入される。なお、グリッド(16)には、グリッド用電源(18)から−600Vの電圧が印加されている。
(2)上記重合体溶液AをPTFEシート上にキャスト製膜し,100℃1時間、200℃1時間の条件で乾燥させることにより,膜厚約100μmのキャスト膜Aを作製した。このキャスト膜Aについて後述の条件にて、小角X線散乱測定を行った。
[実施例2:エレクトレットA’の製造]
上記重合体溶液Aを、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、スピンコート法によりコーティングした後、230℃でベークすることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜A’という。)を得た。該コーティング膜A’に、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットA’とした。
[実施例3:エレクトレットBの製造]
上記重合体溶液P2の40gに、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの1.9gを加え、さらにトリス(2−アミノエチル)アミンの0.09gを加えて混合し、均一な重合体溶液Bを得た。
該重合体溶液Bを、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、スピンコート法によりコーティングした後、200℃でベークすることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Bという。)を得た。
該コーティング膜Bに、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットBとした。
[実施例4:エレクトレットCの製造]
上記重合体溶液P1の44.2gに、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの2.3gと、パーフルオロトリブチルアミンの3.5gとを加え、さらにシクロヘキサン−1,3−ジアミンの0.12gを加えて混合し、均一な重合体溶液Cを得た。
該重合体溶液Cを、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、スピンコート法によりコーティングした後、200℃でベークすることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Cという。)を得た。
該コーティング膜Cに、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットCとした。
[実施例5:エレクトレットDの製造]
上記重合体溶液P1の44.2gに、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの2.3gと、パーフルオロトリブチルアミンの3.5gとを加え、さらにヘキサン−1,6−ジアミンの0.12gを加えて混合し、均一な重合体溶液Dを得た。
該重合体溶液Dを、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、スピンコート法によりコーティングした後、200℃でベークすることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Dという。)を得た。
該コーティング膜Dに、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットDとした。
[実施例6:エレクトレットEの製造]
上記重合体溶液P1の44.2gに、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの2.3gと、パーフルオロトリブチルアミンの3.6gとを加え、さらにポリエチレンイミン(分子量1800)の0.08gを加えて混合し、均一な重合体溶液Eを得た。
該重合体溶液Eを、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、スピンコート法によりコーティングした後、200℃でベークすることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Eという。)を得た。
該コーティング膜Eに、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットEとした。
[比較例1:エレクトレットFの製造]
(1)上記重合体溶液P1を、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、スピンコート法によりコーティングした後、200℃でベークすることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Fという。)を得た。
該コーティング膜Fに、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットFとした。
(2)上記重合体溶液P1をPTFEシート上にキャスト製膜し,100℃1時間、200℃1時間の条件で乾燥させることにより,膜厚約100μmのキャスト膜Bを作製した。このキャスト膜Bについて後述の条件にて、小角X線散乱測定を行った。
[比較例2:エレクトレットGの製造]
上記重合体溶液P1の44.2gに、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの2.3gと、パーフルオロトリブチルアミンの3.5gとを加え、さらにn−デシルアミンの0.16gを加えて混合し、均一な重合体溶液Gを得た。
該重合体溶液Fを、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、スピンコート法によりコーティングした後、200℃でベークすることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Gという。)を得た。
該コーティング膜Fに、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットGとした。
[比較例3:エレクトレットHの製造]
上記重合体溶液P3の47.8gに、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの2.4gを加え、さらにトリス(2−アミノエチル)アミンの0.12gを加えて混合し、均一な重合体溶液Hを得た。
該重合体溶液Gを、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、スピンコート法によりコーティングした後、200℃でベークすることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Hという。)を得た。
該コーティング膜Hに、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットHとした。
[実施例7:エレクトレットIの製造]
上記重合体溶液P1の43.3gに、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールの2.6gと、パーフルオロトリブチルアミンの4.4gとを加え、さらにトリス(2−アミノプロピル)アミンの0.22gを加えて混合し、均一な重合体溶液Iを得た。
該重合体溶液Iを、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、スピンコート法によりコーティングした後、200℃でベークすることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜Iという。)を得た。
該コーティング膜Iに、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットIとした。
[実施例8:エレクトレットI’の製造]
上記重合体溶液Iを、3cm角、厚さ350μmの銅基板上に、スピンコート法によりコーティングした後、230℃でベークすることにより、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティング膜I’という。)を得た。該コーティング膜I’に、実施例1と同じ手順により電荷を注入してエレクトレットI’とした。
[試験例1:荷電試験]
上記で得たエレクトレットA〜Hについて、以下の手順により荷電試験を行った。
荷電電圧−8kV、荷電時間3分の条件でのコロナ荷電により電荷を注入した直後のエレクトレットA〜Hを、それぞれ、常温(25℃)に戻してその表面電位(初期表面電位)を測定した。また、各エレクトレットを、20℃,60%RHの条件で200時間保管した後、常温に戻してその表面電位(200時間後表面電位)を測定した。
表面電位(V)は、表面電位計(model279;モンローエレクトロニクス社製)を用い、各エレクトレットの9点の測定点(膜の中心から3mm毎に格子状に設定。図2参照。)の表面電位を測定し、それらの平均値として求めた。
また、初期表面電位および200時間後表面電位から、式:[(初期表面電位−200時間後表面電位)/初期表面電位×100]により、表面電位の減衰率(%)を求めた。
これらの結果を表1に示す。
[試験例2:熱安定性試験]
上記エレクトレットA〜Hについて、図3に概略構成図を示す装置を用い、以下の手順により熱安定性試験を行った。
まず、図3に示すように、基板(銅基板)10上のエレクトレット21(エレクトレットA〜H)に対向して対向電極20を配置した。
次に、図3の破線で示される部分の温度を、ヒーターで加熱することにより一定の速さ(1℃/分)で昇温し、各エレクトレットA〜Hから放出される電荷量を、対向電極20から流れる電流値iとして電流計22(微小電流計(Keithley社製、Model6517A))により測定し、放電開始温度及び放電ピーク温度を求めた。その結果を表1に示す。
ここで、放電ピーク温度とは、放電の際に検出される電流値が最大になる温度を示し、放電開始温度とは、電流計22にて、以下の式で求められる電流値(放電開始時電流値)が検出された時点の温度を示す。
放電開始時電流値={(放電ピーク温度における電流値)−(放電前の電流値)}×0.1+(放電前の電流値)
上記熱安定性試験は、Thermal Stimulated Discharge法(以下、TSD法と称する。)と呼ばれる方法である。この方法では、エレクトレット21と対向電極20とでキャパシタが形成されたことになる。そのため、エレクトレット21を加熱したときに、膜中にトラップされた電荷が不安定となり、拡散などにより表面付近の電荷が消滅すると、対向電極20に蓄えられた電荷も減少する。従って、対向電極20から流れる電流値の大きさを測定することにより、各エレクトレットA〜Hの熱安定性を評価できる。
該TSD法により熱安定性を評価する上では、放電ピーク温度、放電開始温度の両方が重要であるが、特に、放電開始温度が重要である。これらの温度が高いほど、よりエレクトレットの熱安定性が高いと言える。
Figure 2010032759
表1に示す初期及び200時間後の表面電位値ならびに減衰率の結果から、エレクトレットA〜E、Iは、エレクトレットF,Hに比べて、注入された電荷を長期にわたって安定に保持できたと判断できる。また、TSD法による熱安定性試験の結果から、エレクトレットA〜E、Iは、いずれも、比較例のエレクトレットF,G,Hに比べて、放電開始温度が高く、注入された電荷の熱安定性に優れていたと判断できる。なお、化合物(A)がトリス(2−アミノプロピル)アミンであるエレクトレットIは、注入された電荷を長期にわたって安定に保持できたが、化合物(A)がトリス(2−アミノエチル)アミンであるエレクトレットAと比較すると、放電開始温度が低かった。これは化合物(A)の大きさに由来していると推定される。
[試験例3:小角X線散乱分析]
前述のキャスト膜A、Bを用い、Rigaku社製 Nano-viewerにより小角X線散乱測定を行った。測定条件は以下に示した通りとした。
X線波長 0.154nm(Cu Kα線)
カメラ長 500mm
検出器 IP(イメージングプレート)
測定モード 透過測定
測定温度 室温
露光時間 30分
光学系 スリット 1st 0.4mm, 2nd 0.3mm, 3rd 0.5mm
キャスト膜の小角X線散乱測定結果を図4に示した。図4の縦軸は、X線散乱の強度(任意単位)を表し、横軸のqは、次式の値である。次式において、λは波長、θは散乱角である。
q=(4π/λ)sin(θ/2)
図4において、A及びBは、それぞれキャスト膜A及びBの散乱スペクトルである。
この結果からトリス(2−アミノエチル)アミンを混合した重合体溶液Aを用いたキャスト膜Aでは、添加していない重合体溶液P1を用いたキャスト膜Bには見られない散乱ピークが検出された。このことはトリス(2−アミノエチル)アミンがない状態では均一な膜中に、トリス(2−アミノエチル)アミン由来の不均一構造が生成したことを示している。キャスト膜Aでは数十nmオーダーの不均一部分が存在していると推察される。本結果から含フッ素重合体中でトリス(2−アミノエチル)アミンがナノクラスタを形成していると推定され、このナノクラスタがエレクトレットの電荷保持部として働き、前述の電荷保持の経時的安定性の向上及び、熱安定性の向上を引き起こしていると考えられる。
本発明のエレクトレットは、発電装置、マイクロフォン等の静電誘導型変換素子に利用できる。
なお、2008年9月19日に出願された日本特許出願2008−241074号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
10…基板、11…コーティング膜、12…直流高圧電源装置、14…コロナ針、16…グリッド、17…電流計、18…グリッド用電源、19…ホットプレート、20…対向電極、21…エレクトレット、22…電流計。

Claims (13)

  1. 極性官能基を2個以上有する分子量50〜2000の化合物(A)と、前記極性官能基との反応性を有する反応性官能基を有する数平均分子量2000超の重合体(B)とを含有する組成物から得られることを特徴とするエレクトレット。
  2. 前記化合物(A)が、前記極性官能基として、1級アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、酸ハライド基、ホルミル基、ヒドロキシフェニル基、イソシアナート基及びシアノ基からなる群から選ばれる1価の極性官能基、及び/又は、2級アミノ基、カルボニルオキシ基及びカーボネート基からなる群から選ばれる2価の極性官能基を有する請求項1に記載のエレクトレット。
  3. 前記極性官能基及び前記反応性官能基のうちの一方が、1級アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、ヒドロキシフェニル基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、他方が、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、酸ハライド基、ホルミル基、ヒドロキシフェニル基、イソシアナート基、シアノ基、カルボニルオキシ基及びカーボネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載のエレクトレット。
  4. 前記極性官能基が、1級アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、ヒドロキシフェニル基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記反応性官能基が、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、酸ハライド基及びカーボネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項に記載のエレクトレット。
  5. 前記組成物中の前記化合物(A)の含有量が、前記重合体(B)の含有量の0.05〜10質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載のエレクトレット。
  6. 前記重合体(B)が、主鎖に環構造を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のエレクトレット。
  7. 前記環構造が脂肪族環構造である請求項6に記載のエレクトレット。
  8. 前記重合体(B)が、フッ素原子を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のエレクトレット。
  9. 前記重合体(B)の比誘電率が1.8〜8.0である請求項1〜8のいずれか1項に記載のエレクトレット。
  10. 前記重合体(B)が、ジエン系含フッ素単量体の環化重合により形成される単位を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載のエレクトレット。
  11. 前記組成物が、さらに含フッ素有機溶媒を含む請求項1〜10のいずれか1項に記載のエレクトレット。
  12. 前記化合物(A)が、トリス(2−アミノエチル)アミン、シクロヘキサン−1,3−ジアミン、ヘキサン−1,6−ジアミン、ジエチレントリアミン及びポリエチレンイミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜11のいずれか1項に記載のエレクトレット。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載のエレクトレットを具備することを特徴とする静電誘導型変換素子。
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