JPWO2010029765A1 - 無線送信装置およびプレコーディング方法 - Google Patents

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Abstract

FDEにTHPを併用する移動体通信において、データレートを低下させることなく誤り率特性の劣化を防ぐことができる無線送信装置。この装置において、等価チャネル行列演算部(118)は送信ブロックに対するFDEに用いるウェイトおよびチャネルインパルス応答から形成される等価チャネルを示す等価チャネル行列を演算し、分解部(119)は等価チャネル行列をLQ分解することにより、送信ブロックの前方の高いチャネル品質および後方の低いチャネル品質を含む送信ブロックのチャネル品質を示す対角要素と送信ブロックの干渉を示す要素とからなる下三角行列L、および、ユニタリ行列Qを得る。算出部(120)は下三角行列Lおよび平均チャネル品質を用いて、プレコーディング前の送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間の全シンボル合計平均二乗誤差を最小にする行列Bを算出する。プレコーディング部(103)は行列Bを用いて送信ブロックに対してTHPを行う。

Description

本発明は、無線送信装置およびプレコーディング方法に関する。
近年、携帯電話システム等に代表される無線通信システムにおいては、サービス形態が多様化し、音声データのみならず、静止画像データ、動画像データ等の大容量データを高速かつ高品質で無線伝送することが要求される。
高速な無線伝送を移動体通信で行うと、通信チャネルは遅延時間が互いに異なる複数のパスからなる周波数選択性フェージングチャネルになることが知られている。よって、例えば、移動体通信におけるシングルキャリア(SC:Single-Carrier)伝送では、先行するシンボルが後続のシンボルに対して干渉する符号間干渉(ISI:InterSymbol Interference)が発生して誤り率特性が大幅に劣化する(例えば、非特許文献1)。
ISIの影響を除去して誤り率特性を改善するための技術として等化技術がある。例えば、等化技術として、無線受信装置で用いる周波数領域等化(FDE:Frequency Domain Equalization)がある。FDEでは、受信ブロックを高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)によって直交周波数成分に分解し、各周波数成分に対しチャネル伝達関数の逆数に近い等化重み(FDEウェイト)を乗算した後、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)によって時間領域信号に変換する。このFDEにより、受信ブロックのスペクトルの歪みを補償することができ、その結果、ISIが低減されて誤り率特性が改善される。
ここで、携帯電話等の移動通信端末装置では、基本的にバッテリで駆動するため、それに搭載される無線受信装置の消費電力はより低いことが好ましい。また、携帯電話等の移動通信端末装置は小型化されることが好ましいため、それに搭載される無線受信装置のより一層の小型化が望まれる。
そこで、ISIの影響を除去しつつ、簡易な構成からなる無線受信装置を実現する技術として、プレコーディング技術であるTomlinson-Harashima Precoding(以下、THPという)とFDEとを併用するジョイントTHP/送信FDEが検討されている(例えば、非特許文献2)。すなわち、無線送信装置では送信ブロックに対してTHPを行い、さらに、THP後の送信ブロックに対してFDEを行うことが検討されている。THPでは、チャネル情報に基づいて送信ブロックの干渉成分を逐次的に減算する処理を行う。このTHPにより、送信ブロックに対して加算される干渉成分を予めキャンセルでき、ISIが低減されて誤り率特性が改善される。例えば、周波数選択性フェージングの影響により受信レベルが大きく落ち込んだ周波数成分が存在し、FDEを行っても完全には等化されず干渉成分(残留ISI)が残ってしまう場合でも、FDEにTHPを併用することによって残留ISIを予め除去することで誤り率特性の劣化を防ぐことができる。また、無線送信装置がすべての等化処理を行うため、従来よりも低消費電力かつ小型の無線受信装置を搭載する移動通信端末装置を実現することができる。
なお、ISIの影響を除去しつつ、簡易な構成からなる無線受信装置を実現する技術としては、符号分割多元接続通信システムにおいてTHPと受信信号検出とを併用する方法も検討されている(例えば、特許文献1)。
ジョイントTHP/送信FDEをSC伝送に適用した場合、ISIは完全に除去されるものの、FDE後の送信ブロックの末尾付近のシンボルのチャネル品質(例えば、受信信号対雑音電力比(SNR:Signal to Noise power Ratio))が劣悪になるため、誤り率特性が劣化してしまう。この誤り率特性の劣化を防ぐために、従来の無線送信装置では、SNRが劣悪になる送信ブロックの末尾付近にダミーシンボルを挿入している(例えば、非特許文献2)。
特開2007−060662号公報
W.C.Jakes Jr., Ed., Microwave mobile communications, Wiley, New York, 1974. 武田一樹,留場宏道,安達文幸,「シングルキャリア伝送におけるジョイントTHP/送信FDE」,信学技報,社団法人電子情報通信学会,2007年8月,RCS2007-75,pp.129-134(K.Takeda, H.Tomeba, F.Adachi,"Joint THP/pre-FDE for Single-Carrier Transmission",IEICE Technical Report,RCS2007-75,pp.129-134, 2007-8)
上記従来技術のように送信ブロックの末尾付近にダミーシンボルを挿入すると、誤り率特性は改善されるものの、ダミーシンボル長の分だけデータレートが低下してしまう。
本発明の目的は、FDEにプレコーディングを併用する移動体通信において、データレートを低下させることなく誤り率特性の劣化を防ぐことができる無線送信装置およびプレコーディング方法を提供することである。
本発明の無線送信装置は、送信ブロックに対する等化処理に用いるウェイトおよびチャネルインパルス応答(CIR:Channel Impulse Response)から形成される等価チャネルを示す等価チャネル行列を演算する演算部と、前記等価チャネル行列をLQ分解することにより、前記送信ブロックの前方の高いチャネル品質および前記送信ブロックの後方の低いチャネル品質を含む前記送信ブロックのチャネル品質を示す対角要素と前記送信ブロックの干渉を示す要素とからなる下三角行列L、および、ユニタリ行列Qを得る分解部と、前記下三角行列Lおよび平均チャネル品質を用いて、プレコーディング前の前記送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間のシンボル毎の平均二乗誤差の全シンボル合計を最小にする行列Bを算出する算出部と、前記行列Bを用いて前記送信ブロックに対してTomlinson-Harashima Precodingを行うプレコーディング部と、前記ウェイトを用いて前記送信ブロックの等化処理を行う等化部と、を具備する構成を採る。
本発明のプレコーディング方法は、送信ブロックに対する等化処理に用いるウェイトおよびチャネルインパルス応答から形成される等価チャネルを示す等価チャネル行列を演算し、前記等価チャネル行列をLQ分解することにより、前記送信ブロックの前方の高いチャネル品質および前記送信ブロックの後方の低いチャネル品質を含む前記送信ブロックのチャネル品質を示す対角要素と前記送信ブロックの干渉を示す要素とからなる下三角行列L、および、ユニタリ行列Qを得て、前記下三角行列Lおよび平均チャネル品質を用いて、プレコーディング前の前記送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間のシンボル毎の平均二乗誤差の全シンボル合計を最小にする行列Bを算出し、前記行列Bを用いて前記送信ブロックに対してTomlinson-Harashima Precodingを行うようにする。
本発明によれば、FDEにプレコーディングを併用する移動体通信において、データレートを低下させることなく誤り率特性の劣化を防ぐことができる。
本発明の実施の形態1に係る簡略化したチャネルを示す図 本発明の実施の形態1に係るModulo演算の入出力特性を示す図 本発明の実施の形態1に係る下三角行列Lの対角要素を示す図 本発明の実施の形態1に係るMMSE規範において最小化する誤差ベクトルを示す図 本発明の実施の形態1に係る誤り率特性を示す図 本発明の実施の形態1に係る無線送信装置のブロック図 本発明の実施の形態1に係るプレコーディング部の内部構成を示すブロック図 本発明の実施の形態1に係る無線受信装置のブロック図 本発明の実施の形態1に係るその他の無線送信装置のブロック図 本発明の実施の形態2に係る下三角行列Lの対角要素および行列Bの対角要素を示す図 本発明の実施の形態2に係る無線送信装置のブロック図 本発明の実施の形態3に係る無線受信装置のブロック図(通知方法1) 本発明の実施の形態3に係る無線送信装置のブロック図(通知方法1) 本発明の実施の形態3に係る平均SNRと通知間隔との対応関係を示すテーブル 本発明の実施の形態3に係る無線受信装置のブロック図(通知方法2) 本発明の実施の形態3に係る無線送信装置のブロック図(通知方法2) 本発明の実施の形態3に係る平均SNRと通知ビット数との対応関係を示すテーブル
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、無線送信装置はジョイントTHP/送信FDEを行ったSC信号を無線受信装置へ送信する。また、無線送信装置は、THP前の送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間の全シンボル合計平均二乗誤差を最小にする行列Bを用いてTHPを行う。すなわち、本実施の形態では、無線送信装置は、1つの送信ブロックを構成する複数のシンボル毎の平均二乗誤差を全シンボル分合計した値(すなわち、全シンボル合計平均二乗誤差)を最小にするMMSE(Minimum Mean Square Error)規範に基づくTHPを行う。
まず、本実施の形態に係るMMSE規範に基づくジョイントTHP/送信FDEの原理について説明する。
ジョイントTHP/送信FDEでは、無線送信装置がTHPおよびFDEの双方を行う。ジョイントTHP/送信FDEは、N個のシンボルからなる送信ブロックに対するFDEに用いるFDEウェイトおよびチャネルインパルス応答から形成される等価チャネルを示す等価チャネル行列をLQ分割して得られる下三角行列Lおよびユニタリ行列Qと、無線受信装置から通知される平均チャネル品質とを用いる。
具体的には、THPでは、無線送信装置は、下三角行列Lおよび平均チャネル品質を用いて、N個のシンボルからなる送信ブロック、すなわち、送信データを変調して得られるデータシンボルベクトルsに対して、Modulo演算を含む処理を行う。これにより、データシンボルベクトルsが信号ベクトルx=[x(0),x(1),…,x(N−1)]に変換される。ここで、NはFFTポイント数(IFFTポイント数)を示し、上添字Tはベクトルの転置を示す。そして、無線送信装置は、ユニタリ行列Qのエルミート転置行列Q、および、信号ベクトルxの電力を正規化するための電力正規化係数Ωを信号ベクトルxに乗算する。ここで、上添字Hはエルミート転置を示す。
一方、送信FDEでは、無線送信装置は、乗算後の信号ベクトルΩQxにNポイントのFFTを行い、時間領域信号を周波数領域信号に変換する。そして、無線送信装置は、周波数領域信号にFDEウェイトを乗算し、乗算後の周波数領域信号にNポイントのIFFTを行い、周波数領域信号を時間領域信号に再び変換する。また、無線送信装置は、時間領域信号にサイクリックプリフィックス(CP:Cyclic Prefix)を付加して送信する。
すなわち、本実施の形態では、図1上段に示すように、THP後の信号ベクトルxは、ユニタリ行列Qのエルミート転置行列Qおよび等価チャネルを介して無線受信装置に送信される。本実施の形態では、行列Qが乗算された等価チャネルを、簡略化したチャネルとみなす。すなわち、THP後の信号ベクトルxが伝搬するチャネルは、行列Q、FDEに用いるFDEウェイトおよびチャネルインパルス応答から形成される。ここで、行列Qを等価チャネルに乗算すると下三角行列Lになる。つまり、本実施の形態では、図1下段に示すように、THP後の信号ベクトルxは、下三角行列Lにより示されるチャネルを伝搬して無線受信装置に送信される。
無線受信装置は、受信信号からCPを除去した後、受信信号系列に対してModulo演算を含む処理を行い、Modulo演算後の信号を復調する。
<送信信号>
無線送信装置は、等価チャネル行列をLQ分解して得られる下三角行列L、および、平均チャネル品質から算出される行列Bを用いて、データシンボルベクトルsに対してTHPを行い、次式(1)に示すTHP後の信号ベクトルx=[x(0),x(1),…,x(N−1)]を得る。
Figure 2010029765
ここで、diag()は与えられた要素(式(1)では行列B)を対角要素に有し、対角要素以外の要素がすべて0である対角行列を示し、2MzはModulo演算回路を示す。図2にModulo演算回路の入出力特性を示す。Modulo演算では、THPの出力を安定させるためにフィードバックフィルタのループ処理で得られる信号の実部および虚部をそれぞれ[−M,M]の範囲に変換する。なお、2Mzは(N×1)のベクトルであり、zの実部および虚部はそれぞれ整数で表される。
また、THPに用いる行列Bは、次式(2)で与えられる。なお、行列Bの導出については後述する。
Figure 2010029765
ここで、Iは、(N×N)の単位行列であり、E/Nは平均チャネル品質を表す1シンボルあたりの信号エネルギー対雑音電力スペクトル密度比である。また、Lは等価チャネル行列h^をLQ分解することにより得られる下三角行列であり、等価チャネル行列h^、下三角行列Lおよびユニタリ行列Qは次式(3)の関係を満たす。
Figure 2010029765
また、等価チャネルh^は次式(4)で与えられる。
Figure 2010029765
さらに、上式(4)において、要素h^は次式(5)で与えられる。
Figure 2010029765
ここで、H(k) (k=0〜N−1)は第k番目の直交周波数成分におけるチャネル利得であり、w(k) (k=0〜N−1)はFDEウェイトである。なお、FDEウェイトとして、ZF(Zero Forcing)ウェイト、最大比合成(MRC:Maximum Ratio Combining)ウェイト、等利得合成(EGC:Equal Gain Combining)ウェイト、最小平均二乗誤差(MMSE)ウェイト等を用いてもよい。
ここで、図1に示す簡略化したチャネルを示す下三角行列Lにおいて、対角要素lτ,τ (τ=0〜N−1)は、図3に示すように、THP後の信号ベクトルx(つまり、送信ブロック)の受信品質(SNR)を示す。下三角行列Lの対角要素lτ,τは、図3に示すように、送信ブロックの前方の高いSNRおよび送信ブロックの後方の低いSNRを含む送信ブロックのSNRを示す。すなわち、式(3)に示す下三角行列Lで示されるチャネルでは、送信ブロックを構成するシンボルの受信品質(下三角行列Lの対角要素)は一定ではない。
また、上式(3)における下三角行列Lの対角要素以外の下三角要素は、送信ブロックの残留ISI成分を示す。具体的には、上式(3)の下三角行列Lのうち、l1,0が図3に示すシンボル番号1のシンボルの残留ISI成分であり、l2,0,l2,1が図3に示すシンボル番号2のシンボルの残留ISI成分であり、l3,0〜l3,2が図3に示すシンボル番号3のシンボルの残留ISI成分である。同様に、lNc−1,0〜lNc−1,Nc−2が図3に示すシンボル番号N−1のシンボルの残留ISI成分である。シンボル番号4〜N−2のシンボルについても同様である。すなわち、式(3)に示す下三角行列Lで示されるチャネルでは、送信ブロックを構成するシンボルの残留ISI成分は送信ブロックの後方のシンボルほどより多くなる。つまり、残留ISI成分は送信ブロック内に不均一に分布する。
次いで、無線送信装置は、電力正規化係数Ω、および、ユニタリ行列Qのエルミート転置行列Qを信号ベクトルxに乗算する。例えば、電力正規化係数Ωは、THPで用いる行列B(式(2))の対角要素bτ,τ (τ=0〜N−1)を用いて次式(6)で与えられる。ここで、行列Bの対角要素bτ,τは、送信ブロックを構成する各シンボルの受信品質(SNR)を示す。
Figure 2010029765
そして、無線送信装置は、信号ベクトルΩQxにFDEを行う。つまり、無線送信装置は、信号ベクトルΩQxに、NポイントのFFTを施し、FDEウェイトw(k)を乗算し、NポイントのIFFTを施す。ここで、FDE後の送信データシンボルベクトルをs’=[s’(0),s’(1),…,s’(N−1)]とする。そして、無線送信装置は、送信データシンボルベクトルs’にCPを付加して無線受信装置に送信する。
<チャネル>
無線伝搬路はL個の独立なパスから構成され、パスlのパス利得をh、遅延時間をτとすると、チャネルインパルス応答h(τ)は次式(7)で与えられる。ここで、δ(τ)はデルタ関数を示す。
Figure 2010029765
<受信信号>
上式(7)で示される無線伝搬路を伝搬して無線受信装置のアンテナで受信され、CPを除去された受信ブロックである受信信号ベクトルr=[r(0),r(1),…,r(N−1)]は次式(8)で与えられる。
Figure 2010029765
ここで、Eは平均シンボルエネルギーであり、Tはシンボル長であり、n(=[n(0),n(1),…,n(N−1)])は雑音ベクトルである。また、雑音ベクトルnの各要素n(t)は零平均で分散2N/Tの白色複素ガウス雑音である。また、Nは片側雑音電力スペクトル密度である。また、hは(N×N)の巡回チャネルインパルス応答行列であり、次式(9)で与えられる。
Figure 2010029765
そして、無線受信装置は、受信信号ベクトルrをModulo演算回路に入力することで、次式(10)に示す軟判定シンボルベクトルs^を得る。
Figure 2010029765
ここで、2Mzは(N×1)のベクトルであり、zの実部および虚部はそれぞれ整数で表される。
そして、無線受信装置は、軟判定シンボルベクトルs^を復調する。
<MMSE規範に基づくTHPの行列Bの導出>
MMSE規範に基づくTHPでは、THP前の送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間の全シンボル合計平均二乗誤差を最小にする行列Bを用いる。具体的には、次式(11)で定義される、THP前の送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間の誤差ベクトルeを用いる。ただし、無線送信装置でのModulo演算の影響を誤差に含めないようにする補正項(2Mz)を誤差ベクトルeに導入している。
Figure 2010029765
ここで、Cは定数である。
そして、誤差ベクトルeのすべての要素、つまり、全シンボル合計平均二乗誤差e(次式(12))を最小にする行列Bを求める。
Figure 2010029765
ここで、E[]は集合平均、tr[]は行列のトレースを示す。つまり、本実施の形態に係るMMSE規範に基づくTHPでは、図4に示すように、データシンボルベクトルs(THP前の送信データブロック)と、雑音ベクトルnが加えられた下三角行列Lを伝搬した受信信号ベクトルrとの間の誤差である誤差ベクトルeを最小にする。ただし、無線送信装置でのModulo演算の影響を誤差に含めないようにする補正項(2Mz)を誤差ベクトルeに導入している。すなわち、無線送信装置では、下三角行列Lで示されるチャネルにおける残留ISI成分および雑音ベクトルnによるSNR劣化の双方を抑圧する行列Bを算出する。
まず、上式(12)の両辺をB−1で微分することにより、次式(13)が得られる。
Figure 2010029765
そして、上式(13)において、∂e/∂B−1=0を算出することにより、MMSE規範に基づくTHPの行列Bおよび行列Bの逆行列B−1が次式(14)で与えられる。
Figure 2010029765
上式(14)に示すように、平均SNR(または、E/N)が低い場合、B−1は(E/N)Lに漸近する。すなわち、式(1)に示すTHP処理では、行列Bに含まれる平均SNR(E/N)およびLが信号ベクトルxのSNRの改善に寄与するため、下三角行列Lで示されるチャネルのSNR特性を補償することができる。つまり、平均SNR(E/N)が低い場合には、MMSE規範に基づくTHPは、残留ISIの除去よりもSNRの改善を優先的に行うように動作する。一方、平均SNR(E/N)が高い場合、B−1はL−1に漸近する。すなわち、式(1)に示すTHP処理では、行列Bに含まれるL−1が下三角行列Lで示されるチャネルを打ち消すため、下三角行列Lで示されるチャネルに含まれる残留ISIを完全に除去することができる。つまり、平均SNR(E/N)が高い場合には、MMSE規範に基づくTHPは、SNRの改善よりも残留ISIの除去を優先的に行うように動作する。
このように、MMSE規範に基づくTHPでは、残留ISI成分が送信ブロック内で均一ではなく、かつ、送信ブロック内のSNRが一定ではないチャネル(図4に示す下三角行列Lで示されるチャネル)と雑音(図4に示す雑音ベクトルn)とを考慮する。具体的には、送信ブロックと、無線受信装置における受信ブロックとの間の全シンボル合計平均二乗誤差を最小にするMMSE規範に基づいてTHPを行う。これにより、送信ブロック内に不均一に分布する残留ISIを除去しつつ、送信ブロック内のシンボル間で電力を配分することができるため、図3に示す、送信ブロック後方のSNRの劣化を抑えることができる。
本発明者らが行った計算機シミュレーションによれば、送信ブロックの末尾付近にダミーシンボルを挿入しないジョイントTHP/送信FDEの場合の平均ビット誤り率11、および、本実施の形態におけるジョイントTHP/送信FDEの場合の平均ビット誤り率12はそれぞれ図5に示すようになる。ここで、E/Nと1ビットあたりの信号エネルギー対雑音電力スペクトル密度比E/Nとの間の関係は、E/N=10log10(M)+E/N[dB]である。なお、Mは1シンボルあたりのビット数を示す変調多値数(例えば、QPSKではM=2、16QAMではM=4)である。この計算機シミュレーション結果より、E/Nがいずれの場合でも、平均ビット誤り率12は平均ビット誤り率11よりも良い特性であることが分かる。このように、MMSE規範に基づくTHPは、平均SNRが低い場合にはSNRを改善し、平均SNRが高い場合には残留ISIを除去することで、誤り率特性を改善することができる。
次に、本実施の形態に係る無線送信装置および無線受信装置の構成について説明する。図6に本実施の形態に係る無線送信装置100の構成を示し、図8に本実施の形態に係る無線受信装置200の構成を示す。
まず、無線送信装置100について説明する。図6に示す無線送信装置100において、符号化部101は、送信データを符号化し、符号化後の送信データを変調部102へ出力する。
変調部102は、符号化部101から入力される符号化後の送信データを変調してデータシンボル系列を生成する。そして、変調部102は、データシンボル系列をプレコーディング部103へ出力する。
プレコーディング部103は、まず、変調部102から入力されるデータシンボル系列を、後述するFFT部105においてFFTされるシンボル数(FFTブロック長)Nの送信ブロック(データシンボルベクトルs)に分割する。そして、プレコーディング部103は、算出部120から入力される式(14)に示す行列B(および行列B−1)を用いて、送信ブロックに対してMMSE規範に基づくTHP(以下、MMSE−THPという)を行う。
図7はプレコーディング部103の内部構成を示すブロック図である。乗算部131は、算出部120から入力される行列Bを用いて、送信ブロック(データシンボルベクトルs)に{diag(B)}−1を乗算する。
加算器132は、乗算部131から入力される送信ブロックから、フィードバックフィルタ134から入力される信号成分を減算する。この減算により、送信FDE後の残留ISI成分が除去される。
Modulo演算部133は、図2に示す入出力特性のModulo演算を、減算後の送信ブロックに施す。そして、Modulo演算部133は、演算後の送信ブロックをフィードバックフィルタ134へ出力するとともに、乗算部104(図6)へ出力する。
フィードバックフィルタ134は、Modulo演算部133から入力される送信ブロックに{diag(B)}−1(B−diag(B))を乗算する。つまり、フィードバックフィルタ134では、フィルタリング処理を行うことにより、送信ブロックの残留ISI成分のみが残る。そして、フィードバックフィルタ134は、フィルタリング後の信号成分を加算器132へ出力する。
そして、プレコーディング部103は、式(1)に示すTHP後の送信ブロックxを乗算部104へ出力する。
乗算部104は、分解部119から入力されるユニタリ行列Q(式(3))のエルミート転置行列Q、および、算出部120において行列B(式(14))の対角要素を用いて式(5)のように算出される電力正規化係数Ω(式(6))を、プレコーディング部103から入力されるTHP後の送信ブロックxに乗算する。そして、乗算部104は、乗算後の送信ブロックΩQxをFFT部105へ出力する。
FFT部105は、乗算部104から入力される乗算後の送信ブロックΩQxに対してNポイントのFFTを施して、ブロック長Nの時間領域信号をN個の周波数成分からなる周波数領域信号に変換する。そして、FFT部105は、周波数領域信号をFDE部106へ出力する。
FDE部106は、ウェイト演算部117から入力されるFDEウェイトw(k) (k=0〜N−1)を用いて、FFT部105から入力される周波数領域信号のFDEを行う。具体的には、FDE部106は、周波数領域信号の各周波数成分に対してFDEウェイトw(k)を乗算する。そして、FDE部106は、FDE後の周波数領域信号をIFFT部107へ出力する。
IFFT部107は、FDE部106から入力される周波数領域信号に対してブロック単位にIFFT、つまり、NポイントのIFFTを行い時間領域信号である送信ブロックに変換する。そして、IFFT部107は、IFFT後の送信ブロック(送信データシンボルベクトルs’)を多重部108へ出力する。
多重部108は、IFFT部107から入力される送信ブロックとパイロット信号とを多重して、多重後の送信ブロックをCP付加部109へ出力する。
CP付加部109は、多重部108から入力される送信ブロックの先頭にそのブロックの後端部分をCPとして付加する。
無線送信部110は、CP付加後の送信ブロックに対しD/A変換、増幅およびアップコンバート等の無線送信処理を行ってアンテナ111から無線受信装置200(図8)へ送信する。つまり、無線送信部110は、CPを付加したSC信号を無線受信装置200へ送信する。
一方、無線受信部112は、無線受信装置200(図8)から送信された信号をアンテナ111を介して受信し、この受信信号に対してダウンコンバート、A/D変換等の無線受信処理を行う。そして、無線受信部112は、無線受信処理後の信号を復調部113へ出力する。なお、受信信号には、データ信号、および、平均SNRを示すSNR情報およびCIRを示すCIR情報を含む制御信号が含まれる。
復調部113は、無線受信部112から入力される受信信号を復調して、復調後の信号を復号部114へ出力する。
復号部114は、復調部113から入力される信号を復号する。そして、復号部114は、復号後のデータ信号を受信データとして出力し、復号後の制御信号を抽出部115へ出力する。
抽出部115は、復号部114から入力される制御信号からSNR情報およびCIR情報を抽出する。そして、抽出部115は、抽出したSNR情報およびCIR情報を逆量子化部116へ出力する。
逆量子化部116は、抽出部115から入力されるCIR情報およびSNR情報を逆量子化してCIRおよび平均SNRを得る。そして、逆量子化部116は、CIRをウェイト演算部117および等価チャネル行列演算部118へ出力し、平均SNRを算出部120へ出力する。
ウェイト演算部117は、逆量子化部116から入力されるCIRを用いて、送信ブロックに対するFDEに用いるFDEウェイトw(k) (k=0〜N−1)を演算する。そして、ウェイト演算部117は、FDEウェイトw(k)を等価チャネル行列演算部118およびFDE部106へ出力する。
等価チャネル行列演算部118は、ウェイト演算部117から入力されるFDEウェイトおよび逆量子化部116から入力されるCIRから形成される等価チャネルを示す等価チャネル行列を演算する。具体的には、等価チャネル行列演算部118は、式(5)に示すようにして、FDEウェイトw(k)、および、CIRにFFTを施すことにより得られるチャネル利得H(k)を用いて、等価チャネル行列h^の各要素h^を演算して、式(4)に示す等価チャネル行列h^を生成する。そして、等価チャネル行列演算部118は、等価チャネル行列h^を分解部119へ出力する。
分解部119は、式(3)に示すように、等価チャネル行列演算部118から入力される等価チャネル行列h^をLQ分解することにより、下三角行列Lおよびユニタリ行列Qを得る。上述したように、下三角行列Lは、送信ブロックの前方の高いSNRおよび送信ブロックの後方の低いSNRを含む送信ブロックのSNRを示す対角要素と送信ブロックの残留ISIを示す要素とからなる。そして、分解部119は、下三角行列Lを算出部120へ出力し、ユニタリ行列Qを乗算部104へ出力する。
算出部120は、分解部119から入力される下三角行列Lおよび逆量子化部116から入力される平均SNRを用いて、THP前の送信ブロックと無線受信装置200における受信ブロックとの間の全シンボル合計平均二乗誤差を最小にする行列Bおよび行列Bの逆行列B−1を算出する。具体的には、算出部120は、下三角行列Lおよび平均SNR(E/N)を用いて式(14)に示す行列Bおよび行列B−1を算出する。また、算出部120は、算出した行列Bの対角要素bτ,τ (τ=0〜N−1)を用いて、式(6)に示す電力正規化係数Ωを算出する。そして、算出部120は、行列Bおよび行列B−1をプレコーディング部103へ出力し、電力正規化係数Ωを乗算部104へ出力する。
次に、無線受信装置200について説明する。図8に示す無線受信装置200において、無線受信部202は、無線送信装置100(図6)から送信されたSC信号、つまり、ブロック単位のシンボル系列をアンテナ201を介して受信し、このシンボル系列に対してダウンコンバート、A/D変換等の無線受信処理を施す。
CP除去部203は、無線受信処理後のシンボル系列からCPを除去し、CP除去後のシンボル系列(式(8)に示す受信信号ベクトルr)をModulo演算部204、チャネル推定部207およびSNR推定部210へ出力する。
Modulo演算部204は、CP除去部203から入力されるシンボル系列にModulo演算を施し、演算後のシンボル系列(式(10)に示す軟判定シンボルベクトル)を復調部205へ出力する。
復調部205は、Modulo演算部204から入力されるシンボル系列を復調し、復調後のデータ信号を復号部206へ出力する。
復号部206は、復調部205から入力されるデータ信号を復号して受信データを得る。
チャネル推定部207は、CP除去部203から入力されるシンボル系列に多重されたパイロット信号を抽出し、抽出したパイロット信号を用いてCIRを推定する。そして、チャネル推定部207は、推定したCIRを量子化部208およびSNR推定部210へ出力する。
量子化部208は、CIRの通知に要する所定の通知ビット数を用いて、チャネル推定部207から入力されるCIRを量子化し、量子化後のCIR(ビット列)を生成部209へ出力する。
生成部209は、量子化部208から入力される量子化後のCIRを示すCIR情報を生成する。そして、生成部209は、生成したCIR情報を符号化部213へ出力する。
SNR推定部210は、CP除去部203から入力されるシンボル系列に多重されたパイロット信号を抽出し、抽出したパイロット信号およびチャネル推定部207から入力されるCIRを用いて平均SNR(E/N)を推定する。そして、SNR推定部210は、推定した平均SNR(E/N)を量子化部211へ出力する。
量子化部211は、平均SNRの通知に要する所定の通知ビット数を用いて、SNR推定部210から入力される平均SNRを量子化し、量子化後の平均SNR(ビット列)を生成部212へ出力する。
生成部212は、量子化部211から入力される量子化後の平均SNRを示すSNR情報を生成する。そして、生成部212は、生成したSNR情報を符号化部213へ出力する。
符号化部213は、送信データと、生成部209から入力されるCIR情報および生成部212から入力されるSNR情報を含む制御信号とを符号化し、符号化後の信号を変調部214へ出力する。
変調部214は、符号化部213から入力される信号を変調して、変調後の信号を無線送信部215へ出力する。
無線送信部215は、変調部214から入力される信号に対し、D/A変換、増幅およびアップコンバート等の無線送信処理を行ってアンテナ201から無線送信装置100(図6)へ送信する。
このように、下三角行列L(図3)で示されるチャネルを無線通信する移動体通信において、無線送信装置100は、無線受信装置200から通知される平均SNRおよびCIRに基づいて、残留ISIの除去およびSNRの改善するMMSE−THPを行う。具体的には、MMSE−THPは、平均SNRが低い場合にはSNRの改善を優先的に行う。一方、MMSE−THPは、平均SNRが高い場合、つまり、SNRの改善が不要な場合には残留ISI除去を優先的に行う。すなわち、MMSE−THPを用いることにより、平均SNRの変動に応じて、残留ISI抑圧効果およびSNR改善効果の双方を得ることができる。
このように、本実施の形態によれば、無線送信装置は、送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間の全シンボル合計シンボル平均二乗誤差を最小にするMMSE規範に基づくTHPを行う。MMSE−THPを用いることにより、FDE後の残留ISIを除去しつつ、さらに、SNRを改善することで、FDEにTHPを併用することによる送信ブロック後方の誤り率特性の劣化を防止することができる。よって、本実施の形態によれば、FDEにTHPを併用する移動体通信において、データレートを低下させることなく誤り率特性の劣化を防ぐことができる。
また、本実施の形態によれば、無線送信装置は、無線受信装置より通知されるCIRおよび平均SNRを用いて行列Bを算出する。すなわち、無線受信装置は、CIRおよび平均SNRのみを無線送信装置に通知すればよいため、伝送効率を改善することができる。
また、本実施の形態によれば、無線送信装置は、式(6)に示すように、行列Bの対角要素を用いて電力正規化係数を算出する。これにより、無線送信装置は、行列Bを用いてTHPを行った送信ブロックに対して、正確な電力正規化係数Ωを用いて送信電力制御処理を行うことができる。
なお、本実施の形態では、周波数領域で送信等化処理を行うFDEと、MMSE−THPとを併用する場合について説明した。しかし、本発明では、時間領域での送信等化処理とMMSE−THPとを併用する構成を用いてもよい。図9に、時間領域での送信等化処理とMMSE−THPとを併用する無線送信装置300の構成を示す。なお、図9において図6と共通する部分には、図6と同一の符号を付し説明を省略する。図9と図6との間で異なる点は、図6におけるウェイト演算部117に時間領域の送信等化ウェイトを演算する処理を新たに追加した点、および、図6におけるFFT部105、FDE部106およびIFFT部107を巡回畳み込み演算部301に置き換えた点である。具体的には、図9に示す無線送信装置300のウェイト演算部117は、逆量子化部116から入力されるCIR(または、CIRおよび平均SNR)を用いて、送信ブロックに対するFDEに用いるFDEウェイトw(k) (k=0〜N−1)を演算する。さらに、ウェイト演算部117は、FDEウェイトw(k)に対してIFFTを行うことにより、FDEウェイトw(k)を時間領域成分に変換して、時間領域の送信等化ウェイトを算出する。そして、ウェイト演算部117は、時間領域の送信等化ウェイトを巡回畳み込み演算部301に出力し、FDEウェイトw(k)を等価チャネル行列演算部118に出力する。巡回畳み込み演算部301は、乗算部104から入力される乗算後の送信ブロックΩQxと、ウェイト演算部117から入力される時間領域の送信等化ウェイトとの巡回畳み込み演算を行うことにより、送信ブロックを時間領域で等化する。そして、巡回畳み込み演算部301は、巡回畳み込み演算後の送信ブロック(送信データシンボルベクトルs’)を多重部108に出力する。これにより、時間領域での送信等化処理とMMSE−THPとを併用することが可能となり、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、無線送信装置がTHP前の送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間のシンボル毎の平均二乗誤差の全シンボル合計を最小にする行列Bを用いてTHPを行う場合について説明した。しかし、本発明では、無線送信装置は、THP前の送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間のシンボル毎の平均二乗誤差を重み付けし、重み付け後の平均二乗誤差の全シンボル合計を最小にする行列Bを用いてTHPを行ってもよい。例えば、送信ブロック内のシンボル毎の平均二乗誤差に対する重み付け係数α(i=0〜N−1)を用いて、次式(15)に示す全シンボル合計平均二乗誤差eを定義すればよい。
Figure 2010029765
これにより、無線送信装置は、例えば、送信ブロック内のシンボル毎の平均二乗誤差の重要度に応じた重み付け係数α(i=0〜N−1)をシンボル毎の平均二乗誤差に重み付けすることにより、残留ISI抑圧効果およびSNR改善効果の双方をより効果的に得ることができる。
例えば、送信ブロック内のシンボル毎の平均二乗誤差に対する重み付けにおいて、無線送信装置は、重み付け係数α(i=0〜N−1)を下三角行列Lの対角要素の大きさに応じて設定してもよい。例えば、下三角行列Lの対角要素が大きい場合(すなわち、チャネル品質が高い場合)、チャネルにおける誤差が送信ブロック内のシンボルに与える影響が小さいのに対し、下三角行列Lの対角要素が小さい場合(すなわち、チャネル品質が低い場合)、チャネルにおける誤差が送信ブロック内のシンボルに与える影響は大きい。すなわち、下三角行列Lの対角要素が小さいほど(すなわち、チャネル品質が低いほど)、その対角要素に対応するシンボルの平均二乗誤差の重要度がより高くなる。よって、下三角行列Lの対角要素が小さいほど(すなわち、チャネル品質が低いほど)、重み付け係数α(i=0〜N−1)の値を大きくしてもよい。これにより、送信ブロック内のシンボル毎のチャネル品質(例えばSNR)を示す対角要素の影響を、送信ブロック内のシンボル毎の平均二乗誤差に反映させることができるため、SNR改善効果をさらに得ることができる。
また、本実施の形態のように下三角行列Lの対角要素が、送信ブロック前方の高いチャネル品質(例えばSNR)および送信ブロックの後方の低いチャネル品質(例えばSNR)を含む送信ブロックのチャネル品質(SNR)を示す場合には、無線送信装置は、送信ブロックの後方のシンボルに対応する重み付け係数α(i=N−1)ほど、より大きい値を設定してもよい。これにより、下三角行列Lの対角要素の影響を、送信ブロック内のシンボル毎の平均二乗誤差に反映させることができるため、SNR改善効果をさらに得ることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、1対多(point-to-multipoint)の無線通信(例えば、基地局から複数の移動通信端末への下り回線伝送)または多対1(multipoint-to-point)の無線通信(例えば、複数の移動通信端末から基地局への上り回線伝送)を行う場合について説明する。
図10に、本発明に係るMMSE規範に基づくTHPで用いる行列Bの対角要素(実線)および下三角行列Lの対角要素(点線)を示す。図10に示すように、行列Bの対角要素(つまり、送信ブロックを構成する各シンボルの受信品質)は、E/Nに応じて、特性が変動する。例えば、図10に示すように、E/N=0dBの場合、送信ブロックの末尾付近では、行列Bの対角要素の値が急激に大きくなる。また、E/N=5dBの場合、送信ブロック内の行列Bの対角要素がほぼ一定となる。
ここで、E/Nが高い場合(例えば、E/N=20の場合)、すなわち、無線送信装置と無線受信装置との距離が近い場合、無線送信装置は、送信電力制御により、送信電力を小さくして送信ブロックを無線受信装置に送信する。この場合、無線送信装置および無線受信装置を含む複数の無線通信装置で同一周波数を利用する移動体通信システムでも、無線送信装置が送信する送信ブロックが、他の異なる無線通信装置に与える干渉は小さい。一方、E/Nが低い場合(例えば、E/N=0の場合)、すなわち、無線送信装置と無線受信装置との距離が遠い場合、無線送信装置は、送信電力制御により、送信電力を大きくして送信ブロックを無線受信装置に送信する。この場合、複数の無線通信装置で同一周波数を利用する移動体通信システムでは、無線送信装置が送信する送信ブロックが他の異なる無線通信装置(例えば、無線送信装置との距離が無線受信装置よりも近い無線通信装置)に対して干渉を与えてしまう。特に、図10に示すE/N=0の場合、送信ブロックの末尾付近のシンボルの送信電力は、送信ブロック内の末尾付近のシンボル以外のシンボルの送信電力よりもさらに大きくなってしまう。よって、他の異なる無線通信装置は、送信ブロック内のシンボル毎に異なる大きさの干渉を受ける。
各無線通信装置は、受信品質に応じてMCS(Modulation and channel Coding Scheme)セット(すなわち、変調方式および符号化率のセット)を選択する適応変調符号化(AMC:Adaptive Modulation and channel Coding)制御を、受信信号電力のみでなく干渉電力にも基づいて行う。よって、送信ブロック内で大きさが異なる干渉が発生すると、各無線通信装置では最適なMCSセットを選択できなくなるため、正常なAMC制御を行うことができなくなる。そのため、移動体通信システムのシステムスループットが劣化してしまう。ここで、互いに異なる無線通信装置間で干渉の情報をやり取りすることで、同一周波数を利用する複数の無線通信装置が受ける干渉を最小化する制御が考えられる。しかし、このような制御を行う場合には、複雑な制御処理および計算処理を行う必要がある。
そこで、本実施の形態では、無線送信装置は、平均SNR(E/N)にオフセットを与えた平均SNR(E/N)および下三角行列Lを用いて、行列Bを算出する。
以下、具体的に説明する。図11に本実施の形態に係る無線送信装置400の構成を示す。なお、図11において、図6に示した構成部と同一の構成部には同一符号を付し説明を省略する。
図11に示す無線送信装置400の判断部401は、逆量子化部116から入力される平均SNR(E/N)に応じて、平均SNR(E/N)にオフセットを与えるか否かを判断する。例えば、逆量子化部116から入力される平均SNR(E/N)が所定の閾値よりも低く、その平均SNR(E/N)から算出される行列Bの対角要素が送信ブロック内で急激に変動する場合(例えば、図10に示すE/N=0dBの場合)、判断部401は平均SNR(E/N)にオフセットを与えると判断する。そして、判断部401は、算出部120に対して、平均SNR(E/N)にオフセットを与えるように指示する。
算出部120は、判断部401から平均SNR(E/N)にオフセットを与えるように指示された場合、逆量子化部116から入力される平均SNR(E/N)にオフセットを与える。そして、算出部120は、オフセットを与えた平均SNR(E/N)、および、下三角行列Lを用いて、式(14)に示す行列Bを算出する。すなわち、算出部120は、他の無線通信装置に与える干渉が大きく、かつ、送信ブロック内で干渉の大きさが急激に変動する場合には、実際の平均SNRと異なる平均SNRを用いて行列Bを算出する。
具体的には、まず、算出部120は、E/Nのオフセット値Δを設定する。そして、算出部120は、平均SNR(E/N=10log10(M)+E/N[dB])にオフセット値Δを与えた平均SNR(E/N=10log10(M)+E/N+Δ[dB])を用いて、式(14)に示す行列Bを算出する。
例えば、送信ブロック内で行列Bの対角要素が急激に変動するE/N=0dBの場合、算出部120は、オフセット値Δ=5dBに設定する。これにより、算出部120は、平均SNR(E/N=10log10(M)+0[dB])にオフセット値Δ=5dBを与えた平均SNR(E/N=10log10(M)+0+5[dB])を用いて、式(14)に示す行列Bを算出する。すなわち、E/N=0dBの場合、算出部120は、図10に示すE/N=5dBにおける行列Bを算出する。図10に示すように、E/N=5dBにおける行列Bの対角要素は、送信ブロック内で受信品質がほぼ一定となる。
このように、無線送信装置400は、図10に示すE/N=0dBのように、行列Bの対角要素が送信ブロック内で急激に変動する場合でも、平均SNRにオフセットを与えてMMSE−THPを行うことで、送信ブロック内の受信品質の変動を抑えることができる。これにより、他の異なる無線通信装置が受ける干渉の送信ブロック内での急激な変動を抑圧することができるため、他の異なる無線通信装置は、正常にAMC制御を行うことができる。よって、移動体通信システムのシステムスループットの劣化を防止することができる。
なお、本実施の形態では、算出部120は平均SNRにオフセットを与えて、実際の平均SNRとは異なる平均SNRを用いて行列Bを算出する。すなわち、式(14)において、実際の値とは異なるE/Nを用いるため、算出される行列Bを用いるMMSE−THPでは、最適なSNR改善効果を得ることができない。しかし、算出部120が平均SNRにオフセットを与える場合でも、下三角行列Lは実際のCIRを用いて得られるため、ISI抑圧効果が大幅に劣化することはない。
このように、本実施の形態によれば、行列Bの対角要素が送信ブロック内で変動する場合、無線送信装置は、平均SNRにオフセットを与えた平均SNRを用いて行列Bを算出する。これにより、送信ブロック内の受信品質が平滑化される。すなわち、他の異なる無線通信装置が与える干渉は送信ブロック内で急激に変動することがなくなる。よって、本実施の形態によれば、複数の無線通信装置が同一周波数を用いて同時に通信している場合でも、各無線通信装置は、正常にAMC制御を行うことができるため、移動体通信システムのシステムスループットの劣化を防止することができる。
なお、本実施の形態では、算出部120がE/Nのオフセット値Δを用いて、平均SNR(E/N)にオフセットを与える場合について説明した。しかし、本発明では、算出部120は、平均SNRのオフセット値ΔSNRまたはE/Nのオフセット値Δを用いて、平均SNR(E/N)またはE/Nにオフセットを与えてもよい。例えば、算出部120は、平均SNR(E/N)に平均SNRのオフセット値ΔSNRを与えた平均SNR+ΔSNR[dB]と、下三角行列Lとを用いて行列Bを算出してもよく、E/NにE/Nのオフセット値Δを与えたE/N+Δ[dB]と、下三角行列Lとを用いて行列Bを算出してもよい。これにより、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、さらに、AMC制御において選択するMCSセットをオフセット値に基づいて変更してもよい。具体的には、無線通信基地局装置(以下、基地局という)に搭載された無線送信装置が、ある無線通信移動局装置(以下、移動局という)に搭載された無線通信装置に対して、平均SNRにオフセットを与えた平均SNRより算出した行列Bを用いてMMSE−THP送信する場合、基地局は平均SNRに与えたオフセット値の絶対値が増加するほど、データ伝送速度が低いMCSセットをその移動局に対して使用するように変更してもよい。例えば、オフセット値の絶対値が増加した場合、基地局は、(変調方式:16QAM、符号化率1/2)のMCSセットから(変調方式:QPSK、符号化率1/3)のMCSセットに変更してデータ伝送速度を下げてもよい。これにより、本実施の形態と同様の効果を得つつ、実際のチャネルと異なるE/N(または、E/N、平均SNR)を用いて算出された行列Bを用いることにより生じる受信品質の劣化を補償することができる。
また、本実施の形態では、通信システム内の無線通信装置の数(または、トラフィック量)に応じてオフセット値の変動幅を適応的に変化させてもよい。例えば、基地局に搭載された無線送信装置は、通信システム内の無線通信装置(例えば、自装置との通信を確立している無線通信装置)の数(または、トラフィック量)が所定の閾値よりも多いと判断した場合には、オフセット値の変動幅を大きくすることにより、オフセット値の変動幅を適応的に制御してもよい。また、無線送信装置が移動局に搭載される場合、基地局が通信システム内の無線通信装置(例えば、自局との通信を確立している無線通信装置)の数(または、トラフィック量)が所定の閾値よりも少ないと判断した場合には、基地局は、オフセット値の変動幅を小さくするように、移動局に指示することにより、オフセット値の変動幅を適応的に制御してもよい。これにより、通信システム内の無線通信装置の数(または、トラフィック量)が多い場合には、他の無線通信装置に与える干渉の送信ブロック内の変動を低減することができる。また、通信システム内の無線通信装置の数(または、トラフィック量)が少ない場合には、他の無線通信装置が正常にAMC制御できなくても、通信システム全体に与える影響は小さい。よって、無線送信装置は、オフセット値の変動幅を小さくして実際の平均SNRに近い平均SNRを用いることで、自装置のMMSE−THPの性能劣化、すなわち、自装置のSNR改善効果および残留ISI抑圧効果の劣化を抑えることができる。このように、通信システム内の無線通信装置の数(または、トラフィック量)に応じてオフセット値の変動幅を適応的に変化させることで、システムスループットの劣化をさらに抑えることができる。
また、本実施の形態では、さらに、送信電力制御において設定する送信ブロック全体の送信電力をオフセット値に基づいて変更してもよい。例えば、基地局に搭載された無線送信装置が、平均SNR(E/N)にオフセットを与えた平均SNRより算出した行列Bを用いて、ある移動局に搭載された無線通信装置に対してMMSE−THP送信する場合には、基地局は、オフセット値の絶対値が増加するほど、その移動局に対する送信ブロック内の全シンボルに与える送信電力を一定に増加してもよい。これにより、本実施の形態と同様の効果を得つつ、実際のチャネルのE/N(または、E/N、平均SNR)と異なるE/N(または、E/N、平均SNR)を用いて算出された行列Bを用いることにより生じる受信品質の劣化を補償することができる。
(実施の形態3)
式(14)において、平均SNR(E/N)が低い場合、B−1は(E/N)Lに漸近(または、Bは(E/N−1−Hに漸近)し、平均SNR(E/N)が高い場合、B−1はL−1に漸近(または、BはLに漸近)する。すなわち、平均SNR(E/N)が高くなるほど、MMSE−THPでは平均SNR(E/N)の重要度が低くなる。換言すると、平均SNR(E/N)が低くなるほど、MMSE−THPでは、平均SNR(E/N)の重要度が高くなる。
このように、本発明に係るMMSE−THPでは、平均SNRに応じて、ISI抑圧効果またはSNR改善効果を得るように動作するため、無線受信装置より通知される通知情報の重要度も平均SNRに応じて変化する。すなわち、下三角行列Lを得るために必要なCIR情報の重要度および平均SNR(E/N)を得るために必要なSNR情報の重要度は、平均SNRに応じて変化する。
なお、平均SNR(E/N)がいずれの場合でも、下三角行列Lが行列Bの算出に与える影響は大きい。よって、平均SNRに応じた重要度の変化は、下三角行列Lよりも平均SNR(E/N)の方が大きくなる。
そこで、本実施の形態では、平均SNRに応じて、無線受信装置から無線送信装置へ通知される平均SNR(すなわち、SNR情報)の通知方法を切り替える。
以下、本実施の形態における平均SNRの通知方法1および2について説明する。
(通知方法1)
本通知方法では、平均SNRの通知の周期を、平均SNRが高いほどより長くする。
本通知方法に係る無線送信装置および無線受信装置の構成について説明する。図12に本通知方法に係る無線受信装置500の構成を示し、図13に本通知方法に係る無線送信装置600の構成を示す。なお、図12および図13において、図6および図8に示した構成部と同一の構成部には同一符号を付し説明を省略する。
図12に示す無線受信装置500において、制御部501には、平均SNRがSNR推定部210から入力される。制御部501は、平均SNRに基づいて、平均SNRを通知する通知周期を制御する。具体的には、制御部501は、図14に示す平均SNRと平均SNRの通知間隔との対応関係を示すテーブルを参照して、平均SNRの通知間隔を決定する。ここで、図14では、通知間隔TSNR(0)が最も小さく、通知間隔TSNR(9)が最も大きい。また、通知間隔TSNR(0)〜TSNR(9)は、最小の通知間隔から昇順に設定されている。つまり、通知間隔TSNR(0)〜TSNR(9)は、通知間隔TSNR(i)≦通知間隔TSNR(i+1) (i=0〜8)の関係を有する。すなわち、図14に示す平均SNRと平均SNRの通知間隔との対応関係では、平均SNRが高いほど、平均SNRの通知間隔はより大きくなる。つまり、平均SNRの通知周期は、平均SNRが高いほどより長い。そして、制御部501は、決定した通知間隔を生成部212へ出力する。
生成部212は、制御部501から入力される通知間隔でSNR情報を生成し、SNR情報を符号化部213へ出力する。
無線送信部215は、制御部501で決定された通知周期で、平均SNRを示すSNR情報を無線送信装置600に送信する。
一方、図13に示す無線送信装置600の無線受信部112は、無線受信装置500(図12)より平均SNRを示すSNR情報の通知を受信する。ここで、SNR情報の通知の周期は、平均SNRが高いほどより長い。
制御部601は、無線受信装置500の制御部501が保持するテーブル(図14)と同一のテーブルを保持する。そして、制御部601は、例えば、図14のテーブルに示される通知間隔のうち、最小の通知間隔TSNR(0)を抽出部115へ出力する。
抽出部115は、制御部601から入力される通知間隔で、復号部114から入力される制御信号に含まれるSNR情報を抽出する。具体的には、抽出部115は、最小の通知間隔TSNR(0)で制御情報をブラインド判定してSNR情報を抽出する。これにより、抽出部115では、無線受信装置500からのSNR情報の通知間隔がいずれの場合でも確実にSNR情報を抽出することができる。
これにより、平均SNR(E/N)がより低い場合(つまり、行列B−1が(E/N)Lに漸近する場合)、無線送信装置600では、より短い通知周期で平均SNR(E/N)を受信する。このため、無線送信装置600は、より新しい平均SNR(E/N)、つまり、現時点でのチャネルの状態を反映した平均SNR(E/N)を用いて行列Bを算出することで、MMSE−THPの性能を向上させることができる。
これに対し、平均SNR(E/N)がより高い場合(つまり、行列B−1がL−1に漸近する場合)、無線送信装置600では、より長い通知周期で平均SNR(E/N)を受信する。ここで、平均SNR(E/N)がより高い場合には平均SNR(E/N)が行列Bの算出に与える影響は小さくなる。そのため、無線送信装置600では、MMSE−THPの性能を劣化させることなく、平均SNRを通知するための通知量(すなわち、平均SNRを通知するために要するビット数)を削減することができる。
このように、本通知方法によれば、平均SNRが高いほど、平均SNRの通知の周期をより長くする。これにより、無線送信装置は、MMSE−THPの性能を劣化させることなく、無線受信装置より通知される制御情報の情報量を削減することができる。
なお、本通知方法では、平均SNRが高くなるほど、平均SNRの通知周期をより長くする場合について説明した。しかし、本発明では、平均SNRが高くなるほど、平均SNRの通知周期をより長くするとともにCIRの通知周期をより短くしてもよい。これにより、無線送信装置または無線受信装置が高速移動している場合、無線送信装置は、高速に変動するCIRを高い精度で取得することができる。このため、無線送信装置は、高速移動環境下においても、通知情報量を増加させることなく最適なMMSE−THPを行うことができる。
また、本通知方法では、無線受信装置500は、制御部501が決定した通知間隔で平均SNRを示すSNR情報を送信し、無線送信装置600は、複数の通知間隔のうち、最小の通知間隔毎に制御信号をブラインド判定することにより平均SNRを示すSNR情報を抽出する場合について説明した。しかし、本発明では、無線受信装置500は、制御部501が決定した通知間隔を示す通知周期番号(例えば、図14に示す通知周期番号0〜9)を制御情報として無線送信装置600に通知してもよい。これにより、無線送信装置600の制御部601は、受信した通知周期番号に基づいて通知間隔を特定することができる。そして、抽出部115は、制御部601が特定した通知間隔毎に平均SNRを示すSNR情報を抽出する。これにより、無線送信装置600は、ブラインド判定することなく、平均SNRを得ることができる。
(通知方法2)
本通知方法では、平均SNRの通知の情報量を、平均SNRが高いほどより少なくする。
本通知方法に係る無線送信装置および無線受信装置の構成について説明する。図15に本通知方法に係る無線受信装置700の構成を示し、図16に本通知方法に係る無線送信装置800の構成を示す。なお、図15および図16において、図6および図8に示した構成部と同一の構成部には同一符号を付し説明を省略する。
図15に示す無線受信装置700において、制御部701には、平均SNRがSNR推定部210から入力される。制御部701は、平均SNRに基づいて平均SNRの通知の情報量、つまり、平均SNRの通知に要するビット数を制御する。具体的には、制御部701は、図17に示す平均SNRと平均SNRの通知ビット数との対応関係を示すテーブルを参照して、平均SNRの通知ビット数を決定する。ここで、図17では、通知ビット数NSNR(0)が最も多く、通知ビット数NSNR(9)が最も少ない。また、通知ビット数NSNR(0)〜NSNR(9)は、最も多い通知ビット数から降順に設定される。つまり、通知ビット数NSNR(0)〜NSNR(9)は、通知ビット数NSNR(i)≧通知ビット数NSNR(i+1) (i=0〜8)の関係を有する。すなわち、図17に示す平均SNRと平均SNRの通知ビット数との対応関係では、平均SNRの通知ビット数は、平均SNRが高いほどより少なくなる。そして、制御部701は、決定した通知ビット数を量子化部211へ出力する。
量子化部211は、制御部701から入力される通知ビット数を用いて、SNR推定部210から入力される平均SNRを量子化する。
無線送信部215は、制御部701で決定された通知ビット数の平均SNRを示すSNR情報を無線送信装置800に送信する。
一方、図16に示す無線送信装置800の無線受信部112は、無線受信装置700(図15)より平均SNRを示すSNR情報の通知を受信する。ここで、SNR情報に示される平均SNRの情報量(通知ビット数)は、平均SNRが高いほどより少ない。
制御部801は、無線受信装置700の制御部701が保持するテーブル(図17)と同一のテーブルを保持する。そして、制御部801は、例えば、図17のテーブルに示される通知間隔のうち、所定の数またはすべての通知ビット数を逆量子化部116へ出力する。
逆量子化部116は、制御部801から入力される通知ビット数を用いて、SNR情報を逆量子化して平均SNRを得る。具体的には、逆量子化部116は、正常にSNR情報を逆量子化できるまで、異なる通知ビット数を順に用いてSNR情報を逆量子化する。
これにより、平均SNR(E/N)がより低い場合(つまり、行列B−1が(E/N)Lに漸近する場合)、無線送信装置800では、より多い通知ビット数で量子化された平均SNR(E/N)を受信する。これにより、無線送信装置800は、より精度が高い平均SNR(E/N)を用いて行列Bを算出することで、MMSE−THPの性能を向上させることができる。
これに対し、平均SNR(E/N)がより高い場合(つまり、行列B−1がL−1に漸近する場合)、無線送信装置800では、より少ない通知ビット数で量子化された平均SNR(E/N)を受信する。通知方法1と同様、平均SNR(E/N)がより高い場合には平均SNR(E/N)が行列Bの算出に与える影響は小さくなる。よって、無線送信装置800では、MMSE−THPの性能を劣化させることなく、平均SNRを通知するための通知量(すなわち、平均SNRを通知するために要するビット数)を削減することができる。
このように、本通知方法によれば、平均SNRが高いほど、平均SNRの通知の情報量をより少なくする。これにより、通知方法1と同様、無線送信装置は、MMSE−THPの性能を劣化させることなく、無線受信装置より通知される制御情報の情報量を削減することができる。
なお、本通知方法では、平均SNRが高くなるほど、平均SNRの通知ビット数をより少なくする場合について説明した。しかし、本発明では、平均SNRが高くなるほど、平均SNRの通知ビット数をより少なくするとともにCIRの通知ビット数をより多くしてもよい。これにより、無線送信装置は、平均SNR(E/N)がより高い場合(つまり、行列B−1がL−1に漸近する場合)、平均SNR(E/N)よりも重要な情報であるCIRを高い精度で取得することができる。このため、無線送信装置は、通知情報量を増加させることなくMMSE−THPの性能を向上させることができる。
また、本通知方法では、無線受信装置700は、制御部701が決定した通知ビット数で平均SNRを量子化し、無線送信装置800は、複数の通知ビット数のうち、いずれかの通知ビット数から順にSNR情報を逆量子化する場合について説明した。しかし、本発明では、無線受信装置700は、制御部701が決定した通知ビット数を示す通知ビット数番号(例えば、図17に示す通知ビット数番号0〜9)を制御情報として無線送信装置800に通知してもよい。これにより、無線送信装置800の制御部801は、受信した通知ビット数番号に基づいて通知ビット数を特定することができる。そして、逆量子化部116は、制御部801が特定した通知ビット数を用いてSNR情報を逆量子化する。これにより、無線送信装置800は、複数の通知ビット数を順に逆量子化することなく、平均SNRを得ることができる。
以上、本実施の形態における平均SNRの通知方法1および2について説明した。
このようにして、本実施の形態によれば、平均SNRに応じて、平均SNRの通知方法を切り替えることで、実施の形態1と同様の効果を得つつ、無線受信装置から無線送信装置へ通知する制御信号の情報量を削減することができる。
なお、本実施の形態では、平均SNRに応じて、平均SNRの通知方法を切り替える場合について説明したが、本発明では、平均SNRに応じてCIRの通知方法を切り替えてもよい。上述したように、平均SNRが低いほど、MMSE−THPはISI抑圧効果よりもSNR改善効果を得るように動作する。すなわち、平均SNRが低いほど、式(14)に示す行列Bの算出において、平均SNR(E/N)が高い場合の下三角行列Lよりも平均SNR(E/N)が低い場合の下三角行列Lの重要度の方が低くなる。そこで、例えば、平均SNRが低いほど、CIRの通知の周期を長くしてもよい。また、平均SNRが低いほど、CIRの通知ビット数をより少なくしてもよい。これにより、MMSE−THPの性能を劣化させることなく、CIRを通知するための情報量を削減することができる。
また、本実施の形態では、送信FDEとMMSE−THPとを併用する場合について説明したが、MMSE規範の送信信号処理(MMSE規範の送信等化等)を用いる場合においても上記通知方法1および2を適用してもよい。これにより、MMSE規範の送信信号処理の性能を劣化させることなく、無線受信装置から無線送信装置へ通知する制御信号の情報量を削減することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。
なお、本発明の無線送信装置および無線受信装置は、移動体通信システム等で使用される無線通信移動局装置や無線通信基地局装置に用いて好適である。本発明の無線送信装置および無線受信装置を無線通信移動局装置や無線通信基地局装置に搭載することにより、上記同様の作用および効果を有する無線通信移動局装置および無線通信基地局装置を提供することができる。
また、上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
2008年9月12日出願の特願2008−234979の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
本発明は、移動体通信システム等に適用することができる。
本発明は、無線送信装置およびプレコーディング方法に関する。
近年、携帯電話システム等に代表される無線通信システムにおいては、サービス形態が多様化し、音声データのみならず、静止画像データ、動画像データ等の大容量データを高速かつ高品質で無線伝送することが要求される。
高速な無線伝送を移動体通信で行うと、通信チャネルは遅延時間が互いに異なる複数のパスからなる周波数選択性フェージングチャネルになることが知られている。よって、例えば、移動体通信におけるシングルキャリア(SC:Single-Carrier)伝送では、先行するシンボルが後続のシンボルに対して干渉する符号間干渉(ISI:InterSymbol Interference)が発生して誤り率特性が大幅に劣化する(例えば、非特許文献1)。
ISIの影響を除去して誤り率特性を改善するための技術として等化技術がある。例えば、等化技術として、無線受信装置で用いる周波数領域等化(FDE:Frequency Domain
Equalization)がある。FDEでは、受信ブロックを高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)によって直交周波数成分に分解し、各周波数成分に対しチャネル伝達関数の逆数に近い等化重み(FDEウェイト)を乗算した後、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)によって時間領域信号に変換する。このFDEにより、受信ブロックのスペクトルの歪みを補償することができ、その結果、ISIが低減されて誤り率特性が改善される。
ここで、携帯電話等の移動通信端末装置では、基本的にバッテリで駆動するため、それに搭載される無線受信装置の消費電力はより低いことが好ましい。また、携帯電話等の移動通信端末装置は小型化されることが好ましいため、それに搭載される無線受信装置のより一層の小型化が望まれる。
そこで、ISIの影響を除去しつつ、簡易な構成からなる無線受信装置を実現する技術として、プレコーディング技術であるTomlinson-Harashima Precoding(以下、THPという)とFDEとを併用するジョイントTHP/送信FDEが検討されている(例えば、非特許文献2)。すなわち、無線送信装置では送信ブロックに対してTHPを行い、さらに、THP後の送信ブロックに対してFDEを行うことが検討されている。THPでは、チャネル情報に基づいて送信ブロックの干渉成分を逐次的に減算する処理を行う。このTHPにより、送信ブロックに対して加算される干渉成分を予めキャンセルでき、ISIが低減されて誤り率特性が改善される。例えば、周波数選択性フェージングの影響により受信レベルが大きく落ち込んだ周波数成分が存在し、FDEを行っても完全には等化されず干渉成分(残留ISI)が残ってしまう場合でも、FDEにTHPを併用することによって残留ISIを予め除去することで誤り率特性の劣化を防ぐことができる。また、無線送信装置がすべての等化処理を行うため、従来よりも低消費電力かつ小型の無線受信装置を搭載する移動通信端末装置を実現することができる。
なお、ISIの影響を除去しつつ、簡易な構成からなる無線受信装置を実現する技術としては、符号分割多元接続通信システムにおいてTHPと受信信号検出とを併用する方法も検討されている(例えば、特許文献1)。
ジョイントTHP/送信FDEをSC伝送に適用した場合、ISIは完全に除去される
ものの、FDE後の送信ブロックの末尾付近のシンボルのチャネル品質(例えば、受信信号対雑音電力比(SNR:Signal to Noise power Ratio))が劣悪になるため、誤り率特性が劣化してしまう。この誤り率特性の劣化を防ぐために、従来の無線送信装置では、SNRが劣悪になる送信ブロックの末尾付近にダミーシンボルを挿入している(例えば、非特許文献2)。
特開2007−060662号公報
W.C.Jakes Jr., Ed., Microwave mobile communications, Wiley, New York, 1974. 武田一樹,留場宏道,安達文幸,「シングルキャリア伝送におけるジョイントTHP/送信FDE」,信学技報,社団法人電子情報通信学会,2007年8月,RCS2007-75,pp.129-134(K.Takeda, H.Tomeba, F.Adachi,"Joint THP/pre-FDE for Single-Carrier Transmission",IEICE Technical Report,RCS2007-75,pp.129-134, 2007-8)
上記従来技術のように送信ブロックの末尾付近にダミーシンボルを挿入すると、誤り率特性は改善されるものの、ダミーシンボル長の分だけデータレートが低下してしまう。
本発明の目的は、FDEにプレコーディングを併用する移動体通信において、データレートを低下させることなく誤り率特性の劣化を防ぐことができる無線送信装置およびプレコーディング方法を提供することである。
本発明の無線送信装置は、送信ブロックに対する等化処理に用いるウェイトおよびチャネルインパルス応答(CIR:Channel Impulse Response)から形成される等価チャネルを示す等価チャネル行列を演算する演算部と、前記等価チャネル行列をLQ分解することにより、前記送信ブロックの前方の高いチャネル品質および前記送信ブロックの後方の低いチャネル品質を含む前記送信ブロックのチャネル品質を示す対角要素と前記送信ブロックの干渉を示す要素とからなる下三角行列L、および、ユニタリ行列Qを得る分解部と、前記下三角行列Lおよび平均チャネル品質を用いて、プレコーディング前の前記送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間のシンボル毎の平均二乗誤差の全シンボル合計を最小にする行列Bを算出する算出部と、前記行列Bを用いて前記送信ブロックに対してTomlinson-Harashima Precodingを行うプレコーディング部と、前記ウェイトを用いて前記送信ブロックの等化処理を行う等化部と、を具備する構成を採る。
本発明のプレコーディング方法は、送信ブロックに対する等化処理に用いるウェイトおよびチャネルインパルス応答から形成される等価チャネルを示す等価チャネル行列を演算し、前記等価チャネル行列をLQ分解することにより、前記送信ブロックの前方の高いチャネル品質および前記送信ブロックの後方の低いチャネル品質を含む前記送信ブロックのチャネル品質を示す対角要素と前記送信ブロックの干渉を示す要素とからなる下三角行列L、および、ユニタリ行列Qを得て、前記下三角行列Lおよび平均チャネル品質を用いて、プレコーディング前の前記送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間のシンボル毎の平均二乗誤差の全シンボル合計を最小にする行列Bを算出し、前記行列Bを用いて前記送信ブロックに対してTomlinson-Harashima Precodingを行うようにする。
本発明によれば、FDEにプレコーディングを併用する移動体通信において、データレートを低下させることなく誤り率特性の劣化を防ぐことができる。
本発明の実施の形態1に係る簡略化したチャネルを示す図 本発明の実施の形態1に係るModulo演算の入出力特性を示す図 本発明の実施の形態1に係る下三角行列Lの対角要素を示す図 本発明の実施の形態1に係るMMSE規範において最小化する誤差ベクトルを示す図 本発明の実施の形態1に係る誤り率特性を示す図 本発明の実施の形態1に係る無線送信装置のブロック図 本発明の実施の形態1に係るプレコーディング部の内部構成を示すブロック図 本発明の実施の形態1に係る無線受信装置のブロック図 本発明の実施の形態1に係るその他の無線送信装置のブロック図 本発明の実施の形態2に係る下三角行列Lの対角要素および行列Bの対角要素を示す図 本発明の実施の形態2に係る無線送信装置のブロック図 本発明の実施の形態3に係る無線受信装置のブロック図(通知方法1) 本発明の実施の形態3に係る無線送信装置のブロック図(通知方法1) 本発明の実施の形態3に係る平均SNRと通知間隔との対応関係を示すテーブル 本発明の実施の形態3に係る無線受信装置のブロック図(通知方法2) 本発明の実施の形態3に係る無線送信装置のブロック図(通知方法2) 本発明の実施の形態3に係る平均SNRと通知ビット数との対応関係を示すテーブル
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、無線送信装置はジョイントTHP/送信FDEを行ったSC信号を無線受信装置へ送信する。また、無線送信装置は、THP前の送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間の全シンボル合計平均二乗誤差を最小にする行列Bを用いてTHPを行う。すなわち、本実施の形態では、無線送信装置は、1つの送信ブロックを構成する複数のシンボル毎の平均二乗誤差を全シンボル分合計した値(すなわち、全シンボル合計平均二乗誤差)を最小にするMMSE(Minimum Mean Square Error)規範に基づくTHPを行う。
まず、本実施の形態に係るMMSE規範に基づくジョイントTHP/送信FDEの原理について説明する。
ジョイントTHP/送信FDEでは、無線送信装置がTHPおよびFDEの双方を行う。ジョイントTHP/送信FDEは、N個のシンボルからなる送信ブロックに対するFDEに用いるFDEウェイトおよびチャネルインパルス応答から形成される等価チャネルを示す等価チャネル行列をLQ分割して得られる下三角行列Lおよびユニタリ行列Qと、無線受信装置から通知される平均チャネル品質とを用いる。
具体的には、THPでは、無線送信装置は、下三角行列Lおよび平均チャネル品質を用
いて、N個のシンボルからなる送信ブロック、すなわち、送信データを変調して得られるデータシンボルベクトルsに対して、Modulo演算を含む処理を行う。これにより、データシンボルベクトルsが信号ベクトルx=[x(0),x(1),…,x(N−1)]に変換される。ここで、NはFFTポイント数(IFFTポイント数)を示し、上添字Tはベクトルの転置を示す。そして、無線送信装置は、ユニタリ行列Qのエルミート転置行列Q、および、信号ベクトルxの電力を正規化するための電力正規化係数Ωを信号ベクトルxに乗算する。ここで、上添字Hはエルミート転置を示す。
一方、送信FDEでは、無線送信装置は、乗算後の信号ベクトルΩQxにNポイントのFFTを行い、時間領域信号を周波数領域信号に変換する。そして、無線送信装置は、周波数領域信号にFDEウェイトを乗算し、乗算後の周波数領域信号にNポイントのIFFTを行い、周波数領域信号を時間領域信号に再び変換する。また、無線送信装置は、時間領域信号にサイクリックプリフィックス(CP:Cyclic Prefix)を付加して送信する。
すなわち、本実施の形態では、図1上段に示すように、THP後の信号ベクトルxは、ユニタリ行列Qのエルミート転置行列Qおよび等価チャネルを介して無線受信装置に送信される。本実施の形態では、行列Qが乗算された等価チャネルを、簡略化したチャネルとみなす。すなわち、THP後の信号ベクトルxが伝搬するチャネルは、行列Q、FDEに用いるFDEウェイトおよびチャネルインパルス応答から形成される。ここで、行列Qを等価チャネルに乗算すると下三角行列Lになる。つまり、本実施の形態では、図1下段に示すように、THP後の信号ベクトルxは、下三角行列Lにより示されるチャネルを伝搬して無線受信装置に送信される。
無線受信装置は、受信信号からCPを除去した後、受信信号系列に対してModulo演算を含む処理を行い、Modulo演算後の信号を復調する。
<送信信号>
無線送信装置は、等価チャネル行列をLQ分解して得られる下三角行列L、および、平均チャネル品質から算出される行列Bを用いて、データシンボルベクトルsに対してTHPを行い、次式(1)に示すTHP後の信号ベクトルx=[x(0),x(1),…,x(N−1)]を得る。
Figure 2010029765
ここで、diag()は与えられた要素(式(1)では行列B)を対角要素に有し、対角要素以外の要素がすべて0である対角行列を示し、2MzはModulo演算回路を示す。図2にModulo演算回路の入出力特性を示す。Modulo演算では、THPの出力を安定させるためにフィードバックフィルタのループ処理で得られる信号の実部および虚部をそれぞれ[−M,M]の範囲に変換する。なお、2Mzは(N×1)のベクトルであり、zの実部および虚部はそれぞれ整数で表される。
また、THPに用いる行列Bは、次式(2)で与えられる。なお、行列Bの導出については後述する。
Figure 2010029765
ここで、Iは、(N×N)の単位行列であり、E/Nは平均チャネル品質を表す1シンボルあたりの信号エネルギー対雑音電力スペクトル密度比である。また、Lは等価チャネル行列h^をLQ分解することにより得られる下三角行列であり、等価チャネル行列h^、下三角行列Lおよびユニタリ行列Qは次式(3)の関係を満たす。
Figure 2010029765
また、等価チャネルh^は次式(4)で与えられる。
Figure 2010029765
さらに、上式(4)において、要素h^は次式(5)で与えられる。
Figure 2010029765
ここで、H(k) (k=0〜N−1)は第k番目の直交周波数成分におけるチャネル利得であり、w(k) (k=0〜N−1)はFDEウェイトである。なお、FDEウェイトとして、ZF(Zero Forcing)ウェイト、最大比合成(MRC:Maximum Ratio Combining)ウェイト、等利得合成(EGC:Equal Gain Combining)ウェイト、最小平均二乗誤差(MMSE)ウェイト等を用いてもよい。
ここで、図1に示す簡略化したチャネルを示す下三角行列Lにおいて、対角要素lτ,τ (τ=0〜N−1)は、図3に示すように、THP後の信号ベクトルx(つまり、送信ブロック)の受信品質(SNR)を示す。下三角行列Lの対角要素lτ,τは、図3に示すように、送信ブロックの前方の高いSNRおよび送信ブロックの後方の低いSNRを含む送信ブロックのSNRを示す。すなわち、式(3)に示す下三角行列Lで示されるチャネルでは、送信ブロックを構成するシンボルの受信品質(下三角行列Lの対角要素)は一定ではない。
また、上式(3)における下三角行列Lの対角要素以外の下三角要素は、送信ブロック
の残留ISI成分を示す。具体的には、上式(3)の下三角行列Lのうち、l1,0が図3に示すシンボル番号1のシンボルの残留ISI成分であり、l2,0,l2,1が図3に示すシンボル番号2のシンボルの残留ISI成分であり、l3,0〜l3,2が図3に示すシンボル番号3のシンボルの残留ISI成分である。同様に、lNc−1,0〜lNc−1,Nc−2が図3に示すシンボル番号N−1のシンボルの残留ISI成分である。シンボル番号4〜N−2のシンボルについても同様である。すなわち、式(3)に示す下三角行列Lで示されるチャネルでは、送信ブロックを構成するシンボルの残留ISI成分は送信ブロックの後方のシンボルほどより多くなる。つまり、残留ISI成分は送信ブロック内に不均一に分布する。
次いで、無線送信装置は、電力正規化係数Ω、および、ユニタリ行列Qのエルミート転置行列Qを信号ベクトルxに乗算する。例えば、電力正規化係数Ωは、THPで用いる行列B(式(2))の対角要素bτ,τ (τ=0〜N−1)を用いて次式(6)で与えられる。ここで、行列Bの対角要素bτ,τは、送信ブロックを構成する各シンボルの受信品質(SNR)を示す。
Figure 2010029765
そして、無線送信装置は、信号ベクトルΩQxにFDEを行う。つまり、無線送信装置は、信号ベクトルΩQxに、NポイントのFFTを施し、FDEウェイトw(k)を乗算し、NポイントのIFFTを施す。ここで、FDE後の送信データシンボルベクトルをs’=[s’(0),s’(1),…,s’(N−1)]とする。そして、無線送信装置は、送信データシンボルベクトルs’にCPを付加して無線受信装置に送信する。
<チャネル>
無線伝搬路はL個の独立なパスから構成され、パスlのパス利得をh、遅延時間をτとすると、チャネルインパルス応答h(τ)は次式(7)で与えられる。ここで、δ(τ)はデルタ関数を示す。
Figure 2010029765
<受信信号>
上式(7)で示される無線伝搬路を伝搬して無線受信装置のアンテナで受信され、CPを除去された受信ブロックである受信信号ベクトルr=[r(0),r(1),…,r(N−1)]は次式(8)で与えられる。
Figure 2010029765
ここで、Eは平均シンボルエネルギーであり、Tはシンボル長であり、n(=[n(0),n(1),…,n(N−1)])は雑音ベクトルである。また、雑音ベクトルnの各要素n(t)は零平均で分散2N/Tの白色複素ガウス雑音である。また、Nは片側雑音電力スペクトル密度である。また、hは(N×N)の巡回チャネルインパルス応答行列であり、次式(9)で与えられる。
Figure 2010029765
そして、無線受信装置は、受信信号ベクトルrをModulo演算回路に入力することで、次式(10)に示す軟判定シンボルベクトルs^を得る。
Figure 2010029765
ここで、2Mzは(N×1)のベクトルであり、zの実部および虚部はそれぞれ整数で表される。
そして、無線受信装置は、軟判定シンボルベクトルs^を復調する。
<MMSE規範に基づくTHPの行列Bの導出>
MMSE規範に基づくTHPでは、THP前の送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間の全シンボル合計平均二乗誤差を最小にする行列Bを用いる。具体的には、次式(11)で定義される、THP前の送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間の誤差ベクトルeを用いる。ただし、無線送信装置でのModulo演算の影響を誤差に含めないようにする補正項(2Mz)を誤差ベクトルeに導入している。
Figure 2010029765
ここで、Cは定数である。
そして、誤差ベクトルeのすべての要素、つまり、全シンボル合計平均二乗誤差e(次式(12))を最小にする行列Bを求める。
Figure 2010029765
ここで、E[]は集合平均、tr[]は行列のトレースを示す。つまり、本実施の形態に係るMMSE規範に基づくTHPでは、図4に示すように、データシンボルベクトルs(THP前の送信データブロック)と、雑音ベクトルnが加えられた下三角行列Lを伝搬した受信信号ベクトルrとの間の誤差である誤差ベクトルeを最小にする。ただし、無線送信装置でのModulo演算の影響を誤差に含めないようにする補正項(2Mz)を誤差ベクトルeに導入している。すなわち、無線送信装置では、下三角行列Lで示されるチャネルにおける残留ISI成分および雑音ベクトルnによるSNR劣化の双方を抑圧する行列Bを算出する。
まず、上式(12)の両辺をB−1で微分することにより、次式(13)が得られる。
Figure 2010029765
そして、上式(13)において、∂e/∂B−1=0を算出することにより、MMSE規範に基づくTHPの行列Bおよび行列Bの逆行列B−1が次式(14)で与えられる。
Figure 2010029765
上式(14)に示すように、平均SNR(または、E/N)が低い場合、B−1は(E/N)Lに漸近する。すなわち、式(1)に示すTHP処理では、行列Bに含まれる平均SNR(E/N)およびLが信号ベクトルxのSNRの改善に寄与するため、下三角行列Lで示されるチャネルのSNR特性を補償することができる。つまり、平均SNR(E/N)が低い場合には、MMSE規範に基づくTHPは、残留ISIの除去よりもSNRの改善を優先的に行うように動作する。一方、平均SNR(E/N)が高い場合、B−1はL−1に漸近する。すなわち、式(1)に示すTHP処理では、行列Bに含まれるL−1が下三角行列Lで示されるチャネルを打ち消すため、下三角行列Lで示されるチャネルに含まれる残留ISIを完全に除去することができる。つまり、平均SNR(E/N)が高い場合には、MMSE規範に基づくTHPは、SNRの改善よりも残留ISIの除去を優先的に行うように動作する。
このように、MMSE規範に基づくTHPでは、残留ISI成分が送信ブロック内で均一ではなく、かつ、送信ブロック内のSNRが一定ではないチャネル(図4に示す下三角行列Lで示されるチャネル)と雑音(図4に示す雑音ベクトルn)とを考慮する。具体的には、送信ブロックと、無線受信装置における受信ブロックとの間の全シンボル合計平均二乗誤差を最小にするMMSE規範に基づいてTHPを行う。これにより、送信ブロック内に不均一に分布する残留ISIを除去しつつ、送信ブロック内のシンボル間で電力を配分することができるため、図3に示す、送信ブロック後方のSNRの劣化を抑えることができる。
本発明者らが行った計算機シミュレーションによれば、送信ブロックの末尾付近にダミ
ーシンボルを挿入しないジョイントTHP/送信FDEの場合の平均ビット誤り率11、および、本実施の形態におけるジョイントTHP/送信FDEの場合の平均ビット誤り率12はそれぞれ図5に示すようになる。ここで、E/Nと1ビットあたりの信号エネルギー対雑音電力スペクトル密度比E/Nとの間の関係は、E/N=10log10(M)+E/N[dB]である。なお、Mは1シンボルあたりのビット数を示す変調多値数(例えば、QPSKではM=2、16QAMではM=4)である。この計算機シミュレーション結果より、E/Nがいずれの場合でも、平均ビット誤り率12は平均ビット誤り率11よりも良い特性であることが分かる。このように、MMSE規範に基づくTHPは、平均SNRが低い場合にはSNRを改善し、平均SNRが高い場合には残留ISIを除去することで、誤り率特性を改善することができる。
次に、本実施の形態に係る無線送信装置および無線受信装置の構成について説明する。図6に本実施の形態に係る無線送信装置100の構成を示し、図8に本実施の形態に係る無線受信装置200の構成を示す。
まず、無線送信装置100について説明する。図6に示す無線送信装置100において、符号化部101は、送信データを符号化し、符号化後の送信データを変調部102へ出力する。
変調部102は、符号化部101から入力される符号化後の送信データを変調してデータシンボル系列を生成する。そして、変調部102は、データシンボル系列をプレコーディング部103へ出力する。
プレコーディング部103は、まず、変調部102から入力されるデータシンボル系列を、後述するFFT部105においてFFTされるシンボル数(FFTブロック長)Nの送信ブロック(データシンボルベクトルs)に分割する。そして、プレコーディング部103は、算出部120から入力される式(14)に示す行列B(および行列B−1)を用いて、送信ブロックに対してMMSE規範に基づくTHP(以下、MMSE−THPという)を行う。
図7はプレコーディング部103の内部構成を示すブロック図である。乗算部131は、算出部120から入力される行列Bを用いて、送信ブロック(データシンボルベクトルs)に{diag(B)}−1を乗算する。
加算器132は、乗算部131から入力される送信ブロックから、フィードバックフィルタ134から入力される信号成分を減算する。この減算により、送信FDE後の残留ISI成分が除去される。
Modulo演算部133は、図2に示す入出力特性のModulo演算を、減算後の送信ブロックに施す。そして、Modulo演算部133は、演算後の送信ブロックをフィードバックフィルタ134へ出力するとともに、乗算部104(図6)へ出力する。
フィードバックフィルタ134は、Modulo演算部133から入力される送信ブロックに{diag(B)}−1(B−diag(B))を乗算する。つまり、フィードバックフィルタ134では、フィルタリング処理を行うことにより、送信ブロックの残留ISI成分のみが残る。そして、フィードバックフィルタ134は、フィルタリング後の信号成分を加算器132へ出力する。
そして、プレコーディング部103は、式(1)に示すTHP後の送信ブロックxを乗算部104へ出力する。
乗算部104は、分解部119から入力されるユニタリ行列Q(式(3))のエルミート転置行列Q、および、算出部120において行列B(式(14))の対角要素を用いて式(5)のように算出される電力正規化係数Ω(式(6))を、プレコーディング部103から入力されるTHP後の送信ブロックxに乗算する。そして、乗算部104は、乗算後の送信ブロックΩQxをFFT部105へ出力する。
FFT部105は、乗算部104から入力される乗算後の送信ブロックΩQxに対してNポイントのFFTを施して、ブロック長Nの時間領域信号をN個の周波数成分からなる周波数領域信号に変換する。そして、FFT部105は、周波数領域信号をFDE部106へ出力する。
FDE部106は、ウェイト演算部117から入力されるFDEウェイトw(k) (k=0〜N−1)を用いて、FFT部105から入力される周波数領域信号のFDEを行う。具体的には、FDE部106は、周波数領域信号の各周波数成分に対してFDEウェイトw(k)を乗算する。そして、FDE部106は、FDE後の周波数領域信号をIFFT部107へ出力する。
IFFT部107は、FDE部106から入力される周波数領域信号に対してブロック単位にIFFT、つまり、NポイントのIFFTを行い時間領域信号である送信ブロックに変換する。そして、IFFT部107は、IFFT後の送信ブロック(送信データシンボルベクトルs’)を多重部108へ出力する。
多重部108は、IFFT部107から入力される送信ブロックとパイロット信号とを多重して、多重後の送信ブロックをCP付加部109へ出力する。
CP付加部109は、多重部108から入力される送信ブロックの先頭にそのブロックの後端部分をCPとして付加する。
無線送信部110は、CP付加後の送信ブロックに対しD/A変換、増幅およびアップコンバート等の無線送信処理を行ってアンテナ111から無線受信装置200(図8)へ送信する。つまり、無線送信部110は、CPを付加したSC信号を無線受信装置200へ送信する。
一方、無線受信部112は、無線受信装置200(図8)から送信された信号をアンテナ111を介して受信し、この受信信号に対してダウンコンバート、A/D変換等の無線受信処理を行う。そして、無線受信部112は、無線受信処理後の信号を復調部113へ出力する。なお、受信信号には、データ信号、および、平均SNRを示すSNR情報およびCIRを示すCIR情報を含む制御信号が含まれる。
復調部113は、無線受信部112から入力される受信信号を復調して、復調後の信号を復号部114へ出力する。
復号部114は、復調部113から入力される信号を復号する。そして、復号部114は、復号後のデータ信号を受信データとして出力し、復号後の制御信号を抽出部115へ出力する。
抽出部115は、復号部114から入力される制御信号からSNR情報およびCIR情報を抽出する。そして、抽出部115は、抽出したSNR情報およびCIR情報を逆量子化部116へ出力する。
逆量子化部116は、抽出部115から入力されるCIR情報およびSNR情報を逆量子化してCIRおよび平均SNRを得る。そして、逆量子化部116は、CIRをウェイト演算部117および等価チャネル行列演算部118へ出力し、平均SNRを算出部120へ出力する。
ウェイト演算部117は、逆量子化部116から入力されるCIRを用いて、送信ブロックに対するFDEに用いるFDEウェイトw(k) (k=0〜N−1)を演算する。そして、ウェイト演算部117は、FDEウェイトw(k)を等価チャネル行列演算部118およびFDE部106へ出力する。
等価チャネル行列演算部118は、ウェイト演算部117から入力されるFDEウェイトおよび逆量子化部116から入力されるCIRから形成される等価チャネルを示す等価チャネル行列を演算する。具体的には、等価チャネル行列演算部118は、式(5)に示すようにして、FDEウェイトw(k)、および、CIRにFFTを施すことにより得られるチャネル利得H(k)を用いて、等価チャネル行列h^の各要素h^を演算して、式(4)に示す等価チャネル行列h^を生成する。そして、等価チャネル行列演算部118は、等価チャネル行列h^を分解部119へ出力する。
分解部119は、式(3)に示すように、等価チャネル行列演算部118から入力される等価チャネル行列h^をLQ分解することにより、下三角行列Lおよびユニタリ行列Qを得る。上述したように、下三角行列Lは、送信ブロックの前方の高いSNRおよび送信ブロックの後方の低いSNRを含む送信ブロックのSNRを示す対角要素と送信ブロックの残留ISIを示す要素とからなる。そして、分解部119は、下三角行列Lを算出部120へ出力し、ユニタリ行列Qを乗算部104へ出力する。
算出部120は、分解部119から入力される下三角行列Lおよび逆量子化部116から入力される平均SNRを用いて、THP前の送信ブロックと無線受信装置200における受信ブロックとの間の全シンボル合計平均二乗誤差を最小にする行列Bおよび行列Bの逆行列B−1を算出する。具体的には、算出部120は、下三角行列Lおよび平均SNR(E/N)を用いて式(14)に示す行列Bおよび行列B−1を算出する。また、算出部120は、算出した行列Bの対角要素bτ,τ (τ=0〜N−1)を用いて、式(6)に示す電力正規化係数Ωを算出する。そして、算出部120は、行列Bおよび行列B−1をプレコーディング部103へ出力し、電力正規化係数Ωを乗算部104へ出力する。
次に、無線受信装置200について説明する。図8に示す無線受信装置200において、無線受信部202は、無線送信装置100(図6)から送信されたSC信号、つまり、ブロック単位のシンボル系列をアンテナ201を介して受信し、このシンボル系列に対してダウンコンバート、A/D変換等の無線受信処理を施す。
CP除去部203は、無線受信処理後のシンボル系列からCPを除去し、CP除去後のシンボル系列(式(8)に示す受信信号ベクトルr)をModulo演算部204、チャネル推定部207およびSNR推定部210へ出力する。
Modulo演算部204は、CP除去部203から入力されるシンボル系列にModulo演算を施し、演算後のシンボル系列(式(10)に示す軟判定シンボルベクトル)を復調部205へ出力する。
復調部205は、Modulo演算部204から入力されるシンボル系列を復調し、復
調後のデータ信号を復号部206へ出力する。
復号部206は、復調部205から入力されるデータ信号を復号して受信データを得る。
チャネル推定部207は、CP除去部203から入力されるシンボル系列に多重されたパイロット信号を抽出し、抽出したパイロット信号を用いてCIRを推定する。そして、チャネル推定部207は、推定したCIRを量子化部208およびSNR推定部210へ出力する。
量子化部208は、CIRの通知に要する所定の通知ビット数を用いて、チャネル推定部207から入力されるCIRを量子化し、量子化後のCIR(ビット列)を生成部209へ出力する。
生成部209は、量子化部208から入力される量子化後のCIRを示すCIR情報を生成する。そして、生成部209は、生成したCIR情報を符号化部213へ出力する。
SNR推定部210は、CP除去部203から入力されるシンボル系列に多重されたパイロット信号を抽出し、抽出したパイロット信号およびチャネル推定部207から入力されるCIRを用いて平均SNR(E/N)を推定する。そして、SNR推定部210は、推定した平均SNR(E/N)を量子化部211へ出力する。
量子化部211は、平均SNRの通知に要する所定の通知ビット数を用いて、SNR推定部210から入力される平均SNRを量子化し、量子化後の平均SNR(ビット列)を生成部212へ出力する。
生成部212は、量子化部211から入力される量子化後の平均SNRを示すSNR情報を生成する。そして、生成部212は、生成したSNR情報を符号化部213へ出力する。
符号化部213は、送信データと、生成部209から入力されるCIR情報および生成部212から入力されるSNR情報を含む制御信号とを符号化し、符号化後の信号を変調部214へ出力する。
変調部214は、符号化部213から入力される信号を変調して、変調後の信号を無線送信部215へ出力する。
無線送信部215は、変調部214から入力される信号に対し、D/A変換、増幅およびアップコンバート等の無線送信処理を行ってアンテナ201から無線送信装置100(図6)へ送信する。
このように、下三角行列L(図3)で示されるチャネルを無線通信する移動体通信において、無線送信装置100は、無線受信装置200から通知される平均SNRおよびCIRに基づいて、残留ISIの除去およびSNRの改善するMMSE−THPを行う。具体的には、MMSE−THPは、平均SNRが低い場合にはSNRの改善を優先的に行う。一方、MMSE−THPは、平均SNRが高い場合、つまり、SNRの改善が不要な場合には残留ISI除去を優先的に行う。すなわち、MMSE−THPを用いることにより、平均SNRの変動に応じて、残留ISI抑圧効果およびSNR改善効果の双方を得ることができる。
このように、本実施の形態によれば、無線送信装置は、送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間の全シンボル合計シンボル平均二乗誤差を最小にするMMSE規範に基づくTHPを行う。MMSE−THPを用いることにより、FDE後の残留ISIを除去しつつ、さらに、SNRを改善することで、FDEにTHPを併用することによる送信ブロック後方の誤り率特性の劣化を防止することができる。よって、本実施の形態によれば、FDEにTHPを併用する移動体通信において、データレートを低下させることなく誤り率特性の劣化を防ぐことができる。
また、本実施の形態によれば、無線送信装置は、無線受信装置より通知されるCIRおよび平均SNRを用いて行列Bを算出する。すなわち、無線受信装置は、CIRおよび平均SNRのみを無線送信装置に通知すればよいため、伝送効率を改善することができる。
また、本実施の形態によれば、無線送信装置は、式(6)に示すように、行列Bの対角要素を用いて電力正規化係数を算出する。これにより、無線送信装置は、行列Bを用いてTHPを行った送信ブロックに対して、正確な電力正規化係数Ωを用いて送信電力制御処理を行うことができる。
なお、本実施の形態では、周波数領域で送信等化処理を行うFDEと、MMSE−THPとを併用する場合について説明した。しかし、本発明では、時間領域での送信等化処理とMMSE−THPとを併用する構成を用いてもよい。図9に、時間領域での送信等化処理とMMSE−THPとを併用する無線送信装置300の構成を示す。なお、図9において図6と共通する部分には、図6と同一の符号を付し説明を省略する。図9と図6との間で異なる点は、図6におけるウェイト演算部117に時間領域の送信等化ウェイトを演算する処理を新たに追加した点、および、図6におけるFFT部105、FDE部106およびIFFT部107を巡回畳み込み演算部301に置き換えた点である。具体的には、図9に示す無線送信装置300のウェイト演算部117は、逆量子化部116から入力されるCIR(または、CIRおよび平均SNR)を用いて、送信ブロックに対するFDEに用いるFDEウェイトw(k) (k=0〜N−1)を演算する。さらに、ウェイト演算部117は、FDEウェイトw(k)に対してIFFTを行うことにより、FDEウェイトw(k)を時間領域成分に変換して、時間領域の送信等化ウェイトを算出する。そして、ウェイト演算部117は、時間領域の送信等化ウェイトを巡回畳み込み演算部301に出力し、FDEウェイトw(k)を等価チャネル行列演算部118に出力する。巡回畳み込み演算部301は、乗算部104から入力される乗算後の送信ブロックΩQxと、ウェイト演算部117から入力される時間領域の送信等化ウェイトとの巡回畳み込み演算を行うことにより、送信ブロックを時間領域で等化する。そして、巡回畳み込み演算部301は、巡回畳み込み演算後の送信ブロック(送信データシンボルベクトルs’)を多重部108に出力する。これにより、時間領域での送信等化処理とMMSE−THPとを併用することが可能となり、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、無線送信装置がTHP前の送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間のシンボル毎の平均二乗誤差の全シンボル合計を最小にする行列Bを用いてTHPを行う場合について説明した。しかし、本発明では、無線送信装置は、THP前の送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間のシンボル毎の平均二乗誤差を重み付けし、重み付け後の平均二乗誤差の全シンボル合計を最小にする行列Bを用いてTHPを行ってもよい。例えば、送信ブロック内のシンボル毎の平均二乗誤差に対する重み付け係数α(i=0〜N−1)を用いて、次式(15)に示す全シンボル合計平均二乗誤差eを定義すればよい。
Figure 2010029765
これにより、無線送信装置は、例えば、送信ブロック内のシンボル毎の平均二乗誤差の重要度に応じた重み付け係数α(i=0〜N−1)をシンボル毎の平均二乗誤差に重み付けすることにより、残留ISI抑圧効果およびSNR改善効果の双方をより効果的に得ることができる。
例えば、送信ブロック内のシンボル毎の平均二乗誤差に対する重み付けにおいて、無線送信装置は、重み付け係数α(i=0〜N−1)を下三角行列Lの対角要素の大きさに応じて設定してもよい。例えば、下三角行列Lの対角要素が大きい場合(すなわち、チャネル品質が高い場合)、チャネルにおける誤差が送信ブロック内のシンボルに与える影響が小さいのに対し、下三角行列Lの対角要素が小さい場合(すなわち、チャネル品質が低い場合)、チャネルにおける誤差が送信ブロック内のシンボルに与える影響は大きい。すなわち、下三角行列Lの対角要素が小さいほど(すなわち、チャネル品質が低いほど)、その対角要素に対応するシンボルの平均二乗誤差の重要度がより高くなる。よって、下三角行列Lの対角要素が小さいほど(すなわち、チャネル品質が低いほど)、重み付け係数α(i=0〜N−1)の値を大きくしてもよい。これにより、送信ブロック内のシンボル毎のチャネル品質(例えばSNR)を示す対角要素の影響を、送信ブロック内のシンボル毎の平均二乗誤差に反映させることができるため、SNR改善効果をさらに得ることができる。
また、本実施の形態のように下三角行列Lの対角要素が、送信ブロック前方の高いチャネル品質(例えばSNR)および送信ブロックの後方の低いチャネル品質(例えばSNR)を含む送信ブロックのチャネル品質(SNR)を示す場合には、無線送信装置は、送信ブロックの後方のシンボルに対応する重み付け係数α(i=N−1)ほど、より大きい値を設定してもよい。これにより、下三角行列Lの対角要素の影響を、送信ブロック内のシンボル毎の平均二乗誤差に反映させることができるため、SNR改善効果をさらに得ることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、1対多(point-to-multipoint)の無線通信(例えば、基地局から複数の移動通信端末への下り回線伝送)または多対1(multipoint-to-point)の無線通信(例えば、複数の移動通信端末から基地局への上り回線伝送)を行う場合について説明する。
図10に、本発明に係るMMSE規範に基づくTHPで用いる行列Bの対角要素(実線)および下三角行列Lの対角要素(点線)を示す。図10に示すように、行列Bの対角要素(つまり、送信ブロックを構成する各シンボルの受信品質)は、E/Nに応じて、特性が変動する。例えば、図10に示すように、E/N=0dBの場合、送信ブロックの末尾付近では、行列Bの対角要素の値が急激に大きくなる。また、E/N=5dBの場合、送信ブロック内の行列Bの対角要素がほぼ一定となる。
ここで、E/Nが高い場合(例えば、E/N=20の場合)、すなわち、無線送信装置と無線受信装置との距離が近い場合、無線送信装置は、送信電力制御により、送信電力を小さくして送信ブロックを無線受信装置に送信する。この場合、無線送信装置および無線受信装置を含む複数の無線通信装置で同一周波数を利用する移動体通信システムでも、無線送信装置が送信する送信ブロックが、他の異なる無線通信装置に与える干渉は
小さい。一方、E/Nが低い場合(例えば、E/N=0の場合)、すなわち、無線送信装置と無線受信装置との距離が遠い場合、無線送信装置は、送信電力制御により、送信電力を大きくして送信ブロックを無線受信装置に送信する。この場合、複数の無線通信装置で同一周波数を利用する移動体通信システムでは、無線送信装置が送信する送信ブロックが他の異なる無線通信装置(例えば、無線送信装置との距離が無線受信装置よりも近い無線通信装置)に対して干渉を与えてしまう。特に、図10に示すE/N=0の場合、送信ブロックの末尾付近のシンボルの送信電力は、送信ブロック内の末尾付近のシンボル以外のシンボルの送信電力よりもさらに大きくなってしまう。よって、他の異なる無線通信装置は、送信ブロック内のシンボル毎に異なる大きさの干渉を受ける。
各無線通信装置は、受信品質に応じてMCS(Modulation and channel Coding Scheme)セット(すなわち、変調方式および符号化率のセット)を選択する適応変調符号化(AMC:Adaptive Modulation and channel Coding)制御を、受信信号電力のみでなく干渉電力にも基づいて行う。よって、送信ブロック内で大きさが異なる干渉が発生すると、各無線通信装置では最適なMCSセットを選択できなくなるため、正常なAMC制御を行うことができなくなる。そのため、移動体通信システムのシステムスループットが劣化してしまう。ここで、互いに異なる無線通信装置間で干渉の情報をやり取りすることで、同一周波数を利用する複数の無線通信装置が受ける干渉を最小化する制御が考えられる。しかし、このような制御を行う場合には、複雑な制御処理および計算処理を行う必要がある。
そこで、本実施の形態では、無線送信装置は、平均SNR(E/N)にオフセットを与えた平均SNR(E/N)および下三角行列Lを用いて、行列Bを算出する。
以下、具体的に説明する。図11に本実施の形態に係る無線送信装置400の構成を示す。なお、図11において、図6に示した構成部と同一の構成部には同一符号を付し説明を省略する。
図11に示す無線送信装置400の判断部401は、逆量子化部116から入力される平均SNR(E/N)に応じて、平均SNR(E/N)にオフセットを与えるか否かを判断する。例えば、逆量子化部116から入力される平均SNR(E/N)が所定の閾値よりも低く、その平均SNR(E/N)から算出される行列Bの対角要素が送信ブロック内で急激に変動する場合(例えば、図10に示すE/N=0dBの場合)、判断部401は平均SNR(E/N)にオフセットを与えると判断する。そして、判断部401は、算出部120に対して、平均SNR(E/N)にオフセットを与えるように指示する。
算出部120は、判断部401から平均SNR(E/N)にオフセットを与えるように指示された場合、逆量子化部116から入力される平均SNR(E/N)にオフセットを与える。そして、算出部120は、オフセットを与えた平均SNR(E/N)、および、下三角行列Lを用いて、式(14)に示す行列Bを算出する。すなわち、算出部120は、他の無線通信装置に与える干渉が大きく、かつ、送信ブロック内で干渉の大きさが急激に変動する場合には、実際の平均SNRと異なる平均SNRを用いて行列Bを算出する。
具体的には、まず、算出部120は、E/Nのオフセット値Δを設定する。そして、算出部120は、平均SNR(E/N=10log10(M)+E/N[dB])にオフセット値Δを与えた平均SNR(E/N=10log10(M)+E/N+Δ[dB])を用いて、式(14)に示す行列Bを算出する。
例えば、送信ブロック内で行列Bの対角要素が急激に変動するE/N=0dBの場
合、算出部120は、オフセット値Δ=5dBに設定する。これにより、算出部120は、平均SNR(E/N=10log10(M)+0[dB])にオフセット値Δ=5dBを与えた平均SNR(E/N=10log10(M)+0+5[dB])を用いて、式(14)に示す行列Bを算出する。すなわち、E/N=0dBの場合、算出部120は、図10に示すE/N=5dBにおける行列Bを算出する。図10に示すように、E/N=5dBにおける行列Bの対角要素は、送信ブロック内で受信品質がほぼ一定となる。
このように、無線送信装置400は、図10に示すE/N=0dBのように、行列Bの対角要素が送信ブロック内で急激に変動する場合でも、平均SNRにオフセットを与えてMMSE−THPを行うことで、送信ブロック内の受信品質の変動を抑えることができる。これにより、他の異なる無線通信装置が受ける干渉の送信ブロック内での急激な変動を抑圧することができるため、他の異なる無線通信装置は、正常にAMC制御を行うことができる。よって、移動体通信システムのシステムスループットの劣化を防止することができる。
なお、本実施の形態では、算出部120は平均SNRにオフセットを与えて、実際の平均SNRとは異なる平均SNRを用いて行列Bを算出する。すなわち、式(14)において、実際の値とは異なるE/Nを用いるため、算出される行列Bを用いるMMSE−THPでは、最適なSNR改善効果を得ることができない。しかし、算出部120が平均SNRにオフセットを与える場合でも、下三角行列Lは実際のCIRを用いて得られるため、ISI抑圧効果が大幅に劣化することはない。
このように、本実施の形態によれば、行列Bの対角要素が送信ブロック内で変動する場合、無線送信装置は、平均SNRにオフセットを与えた平均SNRを用いて行列Bを算出する。これにより、送信ブロック内の受信品質が平滑化される。すなわち、他の異なる無線通信装置が与える干渉は送信ブロック内で急激に変動することがなくなる。よって、本実施の形態によれば、複数の無線通信装置が同一周波数を用いて同時に通信している場合でも、各無線通信装置は、正常にAMC制御を行うことができるため、移動体通信システムのシステムスループットの劣化を防止することができる。
なお、本実施の形態では、算出部120がE/Nのオフセット値Δを用いて、平均SNR(E/N)にオフセットを与える場合について説明した。しかし、本発明では、算出部120は、平均SNRのオフセット値ΔSNRまたはE/Nのオフセット値Δを用いて、平均SNR(E/N)またはE/Nにオフセットを与えてもよい。例えば、算出部120は、平均SNR(E/N)に平均SNRのオフセット値ΔSNRを与えた平均SNR+ΔSNR[dB]と、下三角行列Lとを用いて行列Bを算出してもよく、E/NにE/Nのオフセット値Δを与えたE/N+Δ[dB]と、下三角行列Lとを用いて行列Bを算出してもよい。これにより、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、さらに、AMC制御において選択するMCSセットをオフセット値に基づいて変更してもよい。具体的には、無線通信基地局装置(以下、基地局という)に搭載された無線送信装置が、ある無線通信移動局装置(以下、移動局という)に搭載された無線通信装置に対して、平均SNRにオフセットを与えた平均SNRより算出した行列Bを用いてMMSE−THP送信する場合、基地局は平均SNRに与えたオフセット値の絶対値が増加するほど、データ伝送速度が低いMCSセットをその移動局に対して使用するように変更してもよい。例えば、オフセット値の絶対値が増加した場合、基地局は、(変調方式:16QAM、符号化率1/2)のMCSセットから(変調方式:QPSK、符号化率1/3)のMCSセットに変更してデータ伝送速度を下げてもよい。これに
より、本実施の形態と同様の効果を得つつ、実際のチャネルと異なるE/N(または、E/N、平均SNR)を用いて算出された行列Bを用いることにより生じる受信品質の劣化を補償することができる。
また、本実施の形態では、通信システム内の無線通信装置の数(または、トラフィック量)に応じてオフセット値の変動幅を適応的に変化させてもよい。例えば、基地局に搭載された無線送信装置は、通信システム内の無線通信装置(例えば、自装置との通信を確立している無線通信装置)の数(または、トラフィック量)が所定の閾値よりも多いと判断した場合には、オフセット値の変動幅を大きくすることにより、オフセット値の変動幅を適応的に制御してもよい。また、無線送信装置が移動局に搭載される場合、基地局が通信システム内の無線通信装置(例えば、自局との通信を確立している無線通信装置)の数(または、トラフィック量)が所定の閾値よりも少ないと判断した場合には、基地局は、オフセット値の変動幅を小さくするように、移動局に指示することにより、オフセット値の変動幅を適応的に制御してもよい。これにより、通信システム内の無線通信装置の数(または、トラフィック量)が多い場合には、他の無線通信装置に与える干渉の送信ブロック内の変動を低減することができる。また、通信システム内の無線通信装置の数(または、トラフィック量)が少ない場合には、他の無線通信装置が正常にAMC制御できなくても、通信システム全体に与える影響は小さい。よって、無線送信装置は、オフセット値の変動幅を小さくして実際の平均SNRに近い平均SNRを用いることで、自装置のMMSE−THPの性能劣化、すなわち、自装置のSNR改善効果および残留ISI抑圧効果の劣化を抑えることができる。このように、通信システム内の無線通信装置の数(または、トラフィック量)に応じてオフセット値の変動幅を適応的に変化させることで、システムスループットの劣化をさらに抑えることができる。
また、本実施の形態では、さらに、送信電力制御において設定する送信ブロック全体の送信電力をオフセット値に基づいて変更してもよい。例えば、基地局に搭載された無線送信装置が、平均SNR(E/N)にオフセットを与えた平均SNRより算出した行列Bを用いて、ある移動局に搭載された無線通信装置に対してMMSE−THP送信する場合には、基地局は、オフセット値の絶対値が増加するほど、その移動局に対する送信ブロック内の全シンボルに与える送信電力を一定に増加してもよい。これにより、本実施の形態と同様の効果を得つつ、実際のチャネルのE/N(または、E/N、平均SNR)と異なるE/N(または、E/N、平均SNR)を用いて算出された行列Bを用いることにより生じる受信品質の劣化を補償することができる。
(実施の形態3)
式(14)において、平均SNR(E/N)が低い場合、B−1は(E/N)Lに漸近(または、Bは(E/N−1−Hに漸近)し、平均SNR(E/N)が高い場合、B−1はL−1に漸近(または、BはLに漸近)する。すなわち、平均SNR(E/N)が高くなるほど、MMSE−THPでは平均SNR(E/N)の重要度が低くなる。換言すると、平均SNR(E/N)が低くなるほど、MMSE−THPでは、平均SNR(E/N)の重要度が高くなる。
このように、本発明に係るMMSE−THPでは、平均SNRに応じて、ISI抑圧効果またはSNR改善効果を得るように動作するため、無線受信装置より通知される通知情報の重要度も平均SNRに応じて変化する。すなわち、下三角行列Lを得るために必要なCIR情報の重要度および平均SNR(E/N)を得るために必要なSNR情報の重要度は、平均SNRに応じて変化する。
なお、平均SNR(E/N)がいずれの場合でも、下三角行列Lが行列Bの算出に与える影響は大きい。よって、平均SNRに応じた重要度の変化は、下三角行列Lよりも
平均SNR(E/N)の方が大きくなる。
そこで、本実施の形態では、平均SNRに応じて、無線受信装置から無線送信装置へ通知される平均SNR(すなわち、SNR情報)の通知方法を切り替える。
以下、本実施の形態における平均SNRの通知方法1および2について説明する。
(通知方法1)
本通知方法では、平均SNRの通知の周期を、平均SNRが高いほどより長くする。
本通知方法に係る無線送信装置および無線受信装置の構成について説明する。図12に本通知方法に係る無線受信装置500の構成を示し、図13に本通知方法に係る無線送信装置600の構成を示す。なお、図12および図13において、図6および図8に示した構成部と同一の構成部には同一符号を付し説明を省略する。
図12に示す無線受信装置500において、制御部501には、平均SNRがSNR推定部210から入力される。制御部501は、平均SNRに基づいて、平均SNRを通知する通知周期を制御する。具体的には、制御部501は、図14に示す平均SNRと平均SNRの通知間隔との対応関係を示すテーブルを参照して、平均SNRの通知間隔を決定する。ここで、図14では、通知間隔TSNR(0)が最も小さく、通知間隔TSNR(9)が最も大きい。また、通知間隔TSNR(0)〜TSNR(9)は、最小の通知間隔から昇順に設定されている。つまり、通知間隔TSNR(0)〜TSNR(9)は、通知間隔TSNR(i)≦通知間隔TSNR(i+1) (i=0〜8)の関係を有する。すなわち、図14に示す平均SNRと平均SNRの通知間隔との対応関係では、平均SNRが高いほど、平均SNRの通知間隔はより大きくなる。つまり、平均SNRの通知周期は、平均SNRが高いほどより長い。そして、制御部501は、決定した通知間隔を生成部212へ出力する。
生成部212は、制御部501から入力される通知間隔でSNR情報を生成し、SNR情報を符号化部213へ出力する。
無線送信部215は、制御部501で決定された通知周期で、平均SNRを示すSNR情報を無線送信装置600に送信する。
一方、図13に示す無線送信装置600の無線受信部112は、無線受信装置500(図12)より平均SNRを示すSNR情報の通知を受信する。ここで、SNR情報の通知の周期は、平均SNRが高いほどより長い。
制御部601は、無線受信装置500の制御部501が保持するテーブル(図14)と同一のテーブルを保持する。そして、制御部601は、例えば、図14のテーブルに示される通知間隔のうち、最小の通知間隔TSNR(0)を抽出部115へ出力する。
抽出部115は、制御部601から入力される通知間隔で、復号部114から入力される制御信号に含まれるSNR情報を抽出する。具体的には、抽出部115は、最小の通知間隔TSNR(0)で制御情報をブラインド判定してSNR情報を抽出する。これにより、抽出部115では、無線受信装置500からのSNR情報の通知間隔がいずれの場合でも確実にSNR情報を抽出することができる。
これにより、平均SNR(E/N)がより低い場合(つまり、行列B−1が(E/N)Lに漸近する場合)、無線送信装置600では、より短い通知周期で平均SN
R(E/N)を受信する。このため、無線送信装置600は、より新しい平均SNR(E/N)、つまり、現時点でのチャネルの状態を反映した平均SNR(E/N)を用いて行列Bを算出することで、MMSE−THPの性能を向上させることができる。
これに対し、平均SNR(E/N)がより高い場合(つまり、行列B−1がL−1に漸近する場合)、無線送信装置600では、より長い通知周期で平均SNR(E/N)を受信する。ここで、平均SNR(E/N)がより高い場合には平均SNR(E/N)が行列Bの算出に与える影響は小さくなる。そのため、無線送信装置600では、MMSE−THPの性能を劣化させることなく、平均SNRを通知するための通知量(すなわち、平均SNRを通知するために要するビット数)を削減することができる。
このように、本通知方法によれば、平均SNRが高いほど、平均SNRの通知の周期をより長くする。これにより、無線送信装置は、MMSE−THPの性能を劣化させることなく、無線受信装置より通知される制御情報の情報量を削減することができる。
なお、本通知方法では、平均SNRが高くなるほど、平均SNRの通知周期をより長くする場合について説明した。しかし、本発明では、平均SNRが高くなるほど、平均SNRの通知周期をより長くするとともにCIRの通知周期をより短くしてもよい。これにより、無線送信装置または無線受信装置が高速移動している場合、無線送信装置は、高速に変動するCIRを高い精度で取得することができる。このため、無線送信装置は、高速移動環境下においても、通知情報量を増加させることなく最適なMMSE−THPを行うことができる。
また、本通知方法では、無線受信装置500は、制御部501が決定した通知間隔で平均SNRを示すSNR情報を送信し、無線送信装置600は、複数の通知間隔のうち、最小の通知間隔毎に制御信号をブラインド判定することにより平均SNRを示すSNR情報を抽出する場合について説明した。しかし、本発明では、無線受信装置500は、制御部501が決定した通知間隔を示す通知周期番号(例えば、図14に示す通知周期番号0〜9)を制御情報として無線送信装置600に通知してもよい。これにより、無線送信装置600の制御部601は、受信した通知周期番号に基づいて通知間隔を特定することができる。そして、抽出部115は、制御部601が特定した通知間隔毎に平均SNRを示すSNR情報を抽出する。これにより、無線送信装置600は、ブラインド判定することなく、平均SNRを得ることができる。
(通知方法2)
本通知方法では、平均SNRの通知の情報量を、平均SNRが高いほどより少なくする。
本通知方法に係る無線送信装置および無線受信装置の構成について説明する。図15に本通知方法に係る無線受信装置700の構成を示し、図16に本通知方法に係る無線送信装置800の構成を示す。なお、図15および図16において、図6および図8に示した構成部と同一の構成部には同一符号を付し説明を省略する。
図15に示す無線受信装置700において、制御部701には、平均SNRがSNR推定部210から入力される。制御部701は、平均SNRに基づいて平均SNRの通知の情報量、つまり、平均SNRの通知に要するビット数を制御する。具体的には、制御部701は、図17に示す平均SNRと平均SNRの通知ビット数との対応関係を示すテーブルを参照して、平均SNRの通知ビット数を決定する。ここで、図17では、通知ビット数NSNR(0)が最も多く、通知ビット数NSNR(9)が最も少ない。また、通知ビ
ット数NSNR(0)〜NSNR(9)は、最も多い通知ビット数から降順に設定される。つまり、通知ビット数NSNR(0)〜NSNR(9)は、通知ビット数NSNR(i)≧通知ビット数NSNR(i+1) (i=0〜8)の関係を有する。すなわち、図17に示す平均SNRと平均SNRの通知ビット数との対応関係では、平均SNRの通知ビット数は、平均SNRが高いほどより少なくなる。そして、制御部701は、決定した通知ビット数を量子化部211へ出力する。
量子化部211は、制御部701から入力される通知ビット数を用いて、SNR推定部210から入力される平均SNRを量子化する。
無線送信部215は、制御部701で決定された通知ビット数の平均SNRを示すSNR情報を無線送信装置800に送信する。
一方、図16に示す無線送信装置800の無線受信部112は、無線受信装置700(図15)より平均SNRを示すSNR情報の通知を受信する。ここで、SNR情報に示される平均SNRの情報量(通知ビット数)は、平均SNRが高いほどより少ない。
制御部801は、無線受信装置700の制御部701が保持するテーブル(図17)と同一のテーブルを保持する。そして、制御部801は、例えば、図17のテーブルに示される通知間隔のうち、所定の数またはすべての通知ビット数を逆量子化部116へ出力する。
逆量子化部116は、制御部801から入力される通知ビット数を用いて、SNR情報を逆量子化して平均SNRを得る。具体的には、逆量子化部116は、正常にSNR情報を逆量子化できるまで、異なる通知ビット数を順に用いてSNR情報を逆量子化する。
これにより、平均SNR(E/N)がより低い場合(つまり、行列B−1が(E/N)Lに漸近する場合)、無線送信装置800では、より多い通知ビット数で量子化された平均SNR(E/N)を受信する。これにより、無線送信装置800は、より精度が高い平均SNR(E/N)を用いて行列Bを算出することで、MMSE−THPの性能を向上させることができる。
これに対し、平均SNR(E/N)がより高い場合(つまり、行列B−1がL−1に漸近する場合)、無線送信装置800では、より少ない通知ビット数で量子化された平均SNR(E/N)を受信する。通知方法1と同様、平均SNR(E/N)がより高い場合には平均SNR(E/N)が行列Bの算出に与える影響は小さくなる。よって、無線送信装置800では、MMSE−THPの性能を劣化させることなく、平均SNRを通知するための通知量(すなわち、平均SNRを通知するために要するビット数)を削減することができる。
このように、本通知方法によれば、平均SNRが高いほど、平均SNRの通知の情報量をより少なくする。これにより、通知方法1と同様、無線送信装置は、MMSE−THPの性能を劣化させることなく、無線受信装置より通知される制御情報の情報量を削減することができる。
なお、本通知方法では、平均SNRが高くなるほど、平均SNRの通知ビット数をより少なくする場合について説明した。しかし、本発明では、平均SNRが高くなるほど、平均SNRの通知ビット数をより少なくするとともにCIRの通知ビット数をより多くしてもよい。これにより、無線送信装置は、平均SNR(E/N)がより高い場合(つまり、行列B−1がL−1に漸近する場合)、平均SNR(E/N)よりも重要な情報
であるCIRを高い精度で取得することができる。このため、無線送信装置は、通知情報量を増加させることなくMMSE−THPの性能を向上させることができる。
また、本通知方法では、無線受信装置700は、制御部701が決定した通知ビット数で平均SNRを量子化し、無線送信装置800は、複数の通知ビット数のうち、いずれかの通知ビット数から順にSNR情報を逆量子化する場合について説明した。しかし、本発明では、無線受信装置700は、制御部701が決定した通知ビット数を示す通知ビット数番号(例えば、図17に示す通知ビット数番号0〜9)を制御情報として無線送信装置800に通知してもよい。これにより、無線送信装置800の制御部801は、受信した通知ビット数番号に基づいて通知ビット数を特定することができる。そして、逆量子化部116は、制御部801が特定した通知ビット数を用いてSNR情報を逆量子化する。これにより、無線送信装置800は、複数の通知ビット数を順に逆量子化することなく、平均SNRを得ることができる。
以上、本実施の形態における平均SNRの通知方法1および2について説明した。
このようにして、本実施の形態によれば、平均SNRに応じて、平均SNRの通知方法を切り替えることで、実施の形態1と同様の効果を得つつ、無線受信装置から無線送信装置へ通知する制御信号の情報量を削減することができる。
なお、本実施の形態では、平均SNRに応じて、平均SNRの通知方法を切り替える場合について説明したが、本発明では、平均SNRに応じてCIRの通知方法を切り替えてもよい。上述したように、平均SNRが低いほど、MMSE−THPはISI抑圧効果よりもSNR改善効果を得るように動作する。すなわち、平均SNRが低いほど、式(14)に示す行列Bの算出において、平均SNR(E/N)が高い場合の下三角行列Lよりも平均SNR(E/N)が低い場合の下三角行列Lの重要度の方が低くなる。そこで、例えば、平均SNRが低いほど、CIRの通知の周期を長くしてもよい。また、平均SNRが低いほど、CIRの通知ビット数をより少なくしてもよい。これにより、MMSE−THPの性能を劣化させることなく、CIRを通知するための情報量を削減することができる。
また、本実施の形態では、送信FDEとMMSE−THPとを併用する場合について説明したが、MMSE規範の送信信号処理(MMSE規範の送信等化等)を用いる場合においても上記通知方法1および2を適用してもよい。これにより、MMSE規範の送信信号処理の性能を劣化させることなく、無線受信装置から無線送信装置へ通知する制御信号の情報量を削減することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。
なお、本発明の無線送信装置および無線受信装置は、移動体通信システム等で使用される無線通信移動局装置や無線通信基地局装置に用いて好適である。本発明の無線送信装置および無線受信装置を無線通信移動局装置や無線通信基地局装置に搭載することにより、上記同様の作用および効果を有する無線通信移動局装置および無線通信基地局装置を提供することができる。
また、上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含
むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
2008年9月12日出願の特願2008−234979の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
本発明は、移動体通信システム等に適用することができる。

Claims (7)

  1. 送信ブロックに対する等化処理に用いるウェイトおよびチャネルインパルス応答から形成される等価チャネルを示す等価チャネル行列を演算する演算部と、
    前記等価チャネル行列をLQ分解することにより、前記送信ブロックの前方の高いチャネル品質および前記送信ブロックの後方の低いチャネル品質を含む前記送信ブロックのチャネル品質を示す対角要素と前記送信ブロックの干渉を示す要素とからなる下三角行列L、および、ユニタリ行列Qを得る分解部と、
    前記下三角行列Lおよび平均チャネル品質を用いて、プレコーディング前の前記送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間のシンボル毎の平均二乗誤差の全シンボル合計を最小にする行列Bを算出する算出部と、
    前記行列Bを用いて前記送信ブロックに対してTomlinson-Harashima Precodingを行うプレコーディング部と、
    前記ウェイトを用いて前記送信ブロックの等化処理を行う等化部と、
    を具備する無線送信装置。
  2. 前記算出部は、前記下三角行列Lおよび前記平均チャネル品質を用いて式(1)に示す前記行列Bを算出する、
    請求項1記載の無線送信装置。
    Figure 2010029765
    ただし、Iは単位行列、E/Nは前記平均チャネル品質を表す1シンボルあたりの信号エネルギー対雑音電力スペクトル密度比、上添字Hはエルミート転置である。
  3. 前記行列Bの対角要素bτ,τ(τ=0〜N−1、Nは前記送信ブロックのブロック長)を用いて式(2)のように算出される電力正規化係数Ωをプレコーディング後の前記送信ブロックに乗算する乗算部、をさらに具備し、
    前記等化部は、乗算後の前記送信ブロックの等化処理を行う、
    請求項1記載の無線送信装置。
    Figure 2010029765
  4. 前記算出部は、前記平均チャネル品質にオフセットを与えた平均チャネル品質および前記下三角行列Lを用いて、前記行列Bを算出する、
    請求項1記載の無線送信装置。
  5. 前記無線受信装置より前記平均チャネル品質の通知を受信する受信部、をさらに具備し、
    前記通知の周期は、前記平均チャネル品質が高いほどより長い、
    請求項1記載の無線送信装置。
  6. 前記無線受信装置より前記平均チャネル品質の通知を受信する受信部、をさらに具備し、
    前記通知の情報量は、前記平均チャネル品質が高いほどより少ない、
    請求項1記載の無線送信装置。
  7. 送信ブロックに対する等化処理に用いるウェイトおよびチャネルインパルス応答から形成される等価チャネルを示す等価チャネル行列を演算し、
    前記等価チャネル行列をLQ分解することにより、前記送信ブロックの前方の高いチャネル品質および前記送信ブロックの後方の低いチャネル品質を含む前記送信ブロックのチャネル品質を示す対角要素と前記送信ブロックの干渉を示す要素とからなる下三角行列L、および、ユニタリ行列Qを得て、
    前記下三角行列Lおよび平均チャネル品質を用いて、プレコーディング前の前記送信ブロックと無線受信装置における受信ブロックとの間のシンボル毎の平均二乗誤差の全シンボル合計を最小にする行列Bを算出し、
    前記行列Bを用いて前記送信ブロックに対してTomlinson-Harashima Precodingを行う、
    プレコーディング方法。
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