JPWO2010027098A1 - 酸化亜鉛ナノ粒子の製造方法及び酸化亜鉛ナノ粒子 - Google Patents

酸化亜鉛ナノ粒子の製造方法及び酸化亜鉛ナノ粒子 Download PDF

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Abstract

本発明は、低環境負荷で、非常に簡便に高収率で工業的規模で安定的に、酸化亜鉛ナノ粒子を製造できる方法を提供する。本発明は、水系媒体中で金属亜鉛電極間に放電させる酸化亜鉛ナノ粒子の製造方法によって上記課題を解決する。この方法によればまた、長径が10〜1000nmである酸化亜鉛ナノ粒子、アスペクト比が2以上である酸化亜鉛ナノ粒子、及び、酸化亜鉛と水素とからなる酸化亜鉛ナノ粒子複合体が得られる。

Description

本発明は、酸化亜鉛ナノ粒子の製造方法及び新規な酸化亜鉛ナノ粒子に関する。
酸化亜鉛粉末は、ゴムの加硫促進助剤、塗料用の顔料、医薬品、化粧品、合成樹脂などへの添加剤、繊維中への混練顔料等として有用である。また、単体で触媒として用いられるほか、半導性、光導電性あるいは圧電性を有し、かつ、可視光領域で本質的に透明な数少ない物質であるため、圧電体材料や半導性もしくは圧電性をもつオプトエレクトロニクス材料、更には電子写真用感光剤や、フェライト、バリスタ、蛍光体等の電子部品材料等、様々な分野に幅広く使用されている。
酸化亜鉛は、代表的なn型酸化物半導体であり、その半導体特性や圧電性および蛍光発光特性などに優れていることで、重要な電子セラミックス材料となっている。さらに、近年では、光触媒、各種の表示装置のための透明導電性薄膜、蛍光体、色素増感太陽電池用電極材料あるいはp型酸化物半導体として、様々な応用が注目されている。このため、一般的には、約100nm未満の直径を有する酸化亜鉛微粒子を製造する方法が検討されている。
酸化亜鉛の製造方法としては、気相、液相で実施する方法が知られている。
(1)亜鉛蒸気を気相酸化する乾式法(いわゆるアメリカ法やフランス法)や湿式法(ドイツ法)が工業的に用いられており、亜鉛又はその化合物、カルボキシル基含有化合物及びアルコールからなる混合物を加熱する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
(2)高純度亜鉛を出発物質として使用し、該高純度亜鉛を酸溶液中で溶解し、溶解後の亜鉛溶液に炭酸ナトリウムあるいは炭酸水素ナトリウムを加えて炭酸亜鉛の沈殿物を得、該沈殿物を脱水・乾燥して焼成する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
ところで、多岐にわたる目的に合った特性を持つ金属酸化物粉末を得るためには、形態の制御やサイズの制御は重要な問題であり、近年ではナノレベルサイズの粒子径からなる金属酸化物粉末を求める要望が高くなっている。一方、前記した従来の製造方法にあっては、ナノレベルサイズで均一な粒径分布を有する金属酸化物粉末を簡便にかつ安定して製造することは困難であり、ナノ粒子を製造する方法としては、非常に不満足なものであり、改善が求められてきた。そのため、酸化亜鉛のナノ粒子の製造方法はさらに開発され、これまでに改善された酸化亜鉛のナノ粒子の製造方法としては、以下のものが知られている。
(1)酢酸亜鉛2水和物のエタノール溶液に水酸化リチウムのエタノール溶液を加え0℃にて静置することにより、平均粒径が3nmから10nmの酸化亜鉛ナノ粒子が得られること、またその平均粒径は、静置時間により制御可能であることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
(2)アルコールに溶解させた亜鉛化合物およびアルミニウム化合物を加水分解することにより、アルコールを分散媒とする水酸化亜鉛及び水酸化アルミニウムのゾルを調製し、得られたゾルをゲル化させると同時に成形し、形成されたゲルの成形物を焼成して含アルミナ酸化亜鉛セラミックスを生じさせることが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
(3)ナノ粒子状で再分散可能な平均粒径15nm以下の酸化亜鉛、水及びアルコールを含む酸化亜鉛ゲルを製造し、これをジクロロメタン及び/またはクロロホルムあるいは、場合によっては表面改質物質を含んでなる水または水/エチレングリコール混合物である溶媒中に再分散することで酸化亜鉛ゾルを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
更に、電気的な特性を得ようとする場合、アスペクト比の高いロッド状であることが好ましく、種々の製法が検討され、以下のものが知られている。
(4)酸素存在下に、金属亜鉛ターゲットを用いたパルス・レーザー・デポジションによって基板上に酸化亜鉛ナノロッドを成長させる方法(非特許文献2参照)
(5)硝酸亜鉛をメテナミン存在下または塩化亜鉛をアンモニア存在下に加水分解・酸化させガラス上に水熱合成によって酸化亜鉛ナノロッドを成長させる方法(非特許文献3および非特許文献4参照)
(6)塩化亜鉛水溶液をスプレー熱分解して基板上に酸化亜鉛ナノロッドを成長させる方法(非特許文献5参照)
(7)亜鉛蒸気を酸素存在下に発生させ、酸化しながら基板上に酸化亜鉛ナノロッドを成長させる方法(非特許文献6参照)
特開平7−232919号公報 特開2001−39713号公報 特開平8−26823号 特表2002−537219号
Journal of Physical Chemistry B,102,pp.5566−5572(1998).ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー B,102巻 1998年 5566〜5572頁 Superlattices and Microstructure 43(2008)594−599.スーパーラティクス アンド マイクロストラクチャー 43巻 2008年 594〜599頁 Transactions of Nonferrous Metals Society of China 18(2008)1089−1093.トランザクションズ オブ ノンフェロウス メタルズ ソサイエティ オブ チャイナ 18巻2008年 1089〜1093頁 Materials Science and Engineering B 145(2007)57―66.マテリアルズ サイエンス アンド エンジニアリング B 145巻 2007年 57−66頁 Superlattices and Microstructures 42(2007)444―450.スーパーラティクス アンド マイクロストラクチャー 42巻 2007年 444―450頁 Applied Surface Science 255(2009)3972―3976.アプライド サーフェイス サイエンス 255巻 2009年 3972−3976頁
しかし、これらの方法においても、以下のような問題がある。
(1)積極的な攪拌などの操作が無いために、反応に用いた亜鉛化合物がすべて酸化亜鉛に変化せずに未反応物が多く残留することがあり、酸化亜鉛ナノ粒子の収率が低い。また、静置時間によって粒径を制御するが、水溶液中での反応では酸化亜鉛の結晶成長速度の制御が困難であり、100nm以下の粒径を有する酸化亜鉛ナノ粒子を得ることが困難であることに加え、スケールアップすると、現実的な管理が難しくなる。
(2)長期間に渡って溶液中に安定に酸化亜鉛ナノ粒子が分散したゾルを得ることが困難であり、スケールアップによる再現性が難しい。
(3)微細な粒子を一旦生成させ、再度分散させるなど工数が多く、長期間の保存に大きな問題点を有する。
更に(4)〜(7)の方法は、基板上に酸化亜鉛ナノロッドを成長させる方法であり、ナノロッドを採取するには、基板上から剥がし取ることが必要であり、操作性が悪い。(5)および(6)の方法では、亜鉛塩溶液が薄く、生産性が悪いうえに、加水分解のために、酸又は塩基を用い加熱するなど、耐食性の高い反応容器を必要とする。(4)および(7)の方法では、高真空または高温加熱などの特殊な装置を必要とするなどの問題点がある。
したがって、本発明の目的は、低環境負荷で、非常に簡便に高収率で工業的規模で安定的に、酸化亜鉛ナノ粒子を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ね、水系媒体中、亜鉛金属電極間に放電させることにより、上記目的に適う酸化亜鉛ナノ粒子の製造方法を見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
[1] 水系媒体中で金属亜鉛電極間に放電させることを特徴とする酸化亜鉛ナノ粒子の製造方法。
[2] 前記金属亜鉛電極間にパルス放電させる[1]に記載の製造方法。
[3] 前記パルス放電が交流パルス放電である[2]に記載の製造方法
[4] 前記金属亜鉛電極間に直流放電させる[1]に記載の製造方法。
[5] [1]〜[4]のいずれか1項に記載の方法により得られた酸化亜鉛ナノ粒子。
[6] 長径が10〜1000nmである、[5]に記載の酸化亜鉛ナノ粒子。
[7] アスペクト比が2以上である、[5]又は[6]に記載の酸化亜鉛ナノ粒子。
[8] ラマンスペクトルにおいてE1(LO)に由来するピークを示す[5]〜[7]のいずれか1項に記載の酸化亜鉛ナノ粒子。
本発明の製造方法により、比較的粒径が揃った酸化亜鉛ナノ粒子を比較的低電圧などの低エネルギーで製造することができる。
実施例1で得られた酸化亜鉛のX線結晶解析結果を示す図である。図中、縦軸は強度、横軸は2θである。 実施例1で得られた酸化亜鉛の透過電子顕微鏡写真である。図中、スケール表示は50nmである。 実施例2で得られた酸化亜鉛の透過電子顕微鏡写真である。図中、スケール表示は0.0475μmである。 実施例3で得られた酸化亜鉛のX線結晶解析結果を示す図である(縦軸は強度、横軸は2θである。)。 実施例3で得られた酸化亜鉛の透過電子顕微鏡写真である。図中、スケール表示は50nmである。 実施例4で得られた酸化亜鉛のX線結晶解析結果を示す図である(縦軸は強度、横軸は2θである。)。 実施例4で得られた酸化亜鉛の透過電子顕微鏡写真である。図中、スケール表示は50nmである。 水酸化亜鉛を焼成法によって酸化亜鉛に誘導することによって調製した酸化亜鉛のラマンスペクトルを示す図である。 実施例1で得られた酸化亜鉛のラマンスペクトルを示す図である。酸化亜鉛に起因するスペクトルなので、水素放出前後でスペクトルに変化はない。 実施例3で得られた酸化亜鉛のラマンスペクトルを示す図である。酸化亜鉛に起因するスペクトルなので、水素放出前後でスペクトルに変化はない。
本発明の酸化亜鉛の製造方法は、水系媒体中、金属亜鉛電極間に放電させることを特徴とするものである。
(酸化亜鉛ナノ粒子の形態)
後述するように本発明の方法によれば、放電条件を変えることにより種々の形態の酸化亜鉛を製造することができる。実用的な放電条件下では、通常、粒径(長径寸法)で10〜1000nm、アスペクト比で2〜500の範囲の酸化亜鉛ナノ粒子が得られる。ここで、本発明においてアスペクト比とは短径に対する長径の比である。
本発明の方法では、パルス放電条件では、長径の寸法が好ましくは10〜100nmであり、アスペクト比が好ましくは2〜20である長径が比較的小さい酸化亜鉛ナノ粒子が得られる。
本発明の方法ではまた、連続放電条件、特に直流連続放電条件では、酸化亜鉛ナノロッドが得られる。ここで、酸化亜鉛ナノロッドは、アスペクト比が比較的大きいが、ワイヤー、ファイバーに比べるとアスペクト比が小さい酸化亜鉛ナノ粒子であり、本明細書では、アスペクト比で2〜500の範囲内の酸化亜鉛ナノ粒子を意味する。酸化亜鉛ナノロッドのアスペクト比は、望ましくは5〜500、より望ましくは5〜300の範囲内にある。
(放電条件)
電極の形態としては、棒状、針金状、板状などいずれの形態であっても構わない。両極の大きさに関しても、どちらかの大きさが異なるなどの形状を有していても構わない。
本発明では、水系媒体中で酸化亜鉛ナノ粒子を生成させる。水系媒体としては、水、水と水溶性有機溶媒との混合物などが挙げられる。水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオールなどのアルキレングリコール類、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類、これらのアルキルエーテル類、などが挙げられる。経済的観点から水系媒体としては水の配合割合が多いことが好ましく、水系媒体中の水溶性有機溶媒の割合は、50重量%以下であることが好ましい。
水系媒体の使用量は、特に制限されず、両電極が水系媒体中にあればよい。より好ましくは、プラズマの発生により水系媒体が飛散したり、生成物濃度によって、水系媒体の拡散性がなくならない程度にあればよい。
本発明で使用する水は、特に制限されず、不純物の混入により、用途が制限されることを考慮して、灰分100ppm以下、好ましくは、10ppm以下のイオン交換水を使用することが好ましい。
放電させる温度は、特に制限されず、通常、室温〜300℃の範囲、好ましくは室温〜100℃の範囲、より好ましくは30℃〜80℃の範囲で実施される。特に有機溶媒を使用した場合に、高すぎる温度では、使用する溶媒の蒸気圧が上昇し、プラズマにより引火する可能性があるため好ましくなく、低すぎる場合では、溶媒の粘度が上昇し、生成物の拡散性が損なわれるため好ましくない。
本発明では、水系媒体中で金属亜鉛電極間にパルスプラズマ放電させることにより、長径が比較的小さい酸化亜鉛ナノ粒子が生成される。プラズマを発生させる電圧は、特に制限されず、50V〜500Vの範囲、安全性、特殊な装置の必要性を考慮して、60V〜400Vの範囲が好ましく、80V〜300Vの範囲がより好ましい。プラズマを発生させる電流も、特に制限されず、0.1〜20Aの範囲、エネルギー効率を考慮して、0.2〜10Aの範囲で実施することが好ましい。パルスプラズマを与える間隔は、特に制限されないが、5〜100ミリ秒が好ましく、6〜50ミリ秒のサイクルがより好ましい。パルスプラズマ1回あたりの持続時間もまた、与える電圧および電流によって異なるが、通常1〜50マイクロ秒、放電の効率を考慮して、好ましくは2〜3 0マイクロ秒の範囲で実施される。
本発明では、水系媒体中で金属亜鉛電極間に交流放電させることにより、直流放電に比べ、長径・短径共に比較的小さい酸化亜鉛ナノ粒子が生成される。放電電圧は、特に制限されるものではなく、通常50V〜300Vの範囲であり、安全性、特殊な装置の必要性を考慮して、60V〜220Vの範囲が好ましく、80V〜200Vの範囲がより好ましい。放電電流も、特に制限されるものではなく、酸化亜鉛ナノ粒子の生成量が、電流量に依存するため、通常0.1〜20Aの範囲、エネルギー効率を考慮して、1〜10Aの範囲で実施することが好ましい。交流放電の周波数は、50、60Hzいずれの周波数を用いても構わない。
本発明では、水系媒体中で金属亜鉛電極間に直流放電させることにより、酸化亜鉛ナノロッドが生成される。放電電圧は、特に制限されるものではなく、通常50V〜300Vの範囲であり、安全性、特殊な装置の必要性を考慮して、60V〜250Vの範囲が好ましく、80V〜200Vの範囲がより好ましい。放電電流も、特に制限されず、酸化亜鉛ナノロッドの生成量が、電流量に依存するため、通常0.1〜200Aの範囲、エネルギー効率を考慮して、1〜100Aの範囲で実施することが好ましい。直流放電は、連続的に行っても、間欠的に行ってもよい。間欠的な放電であるパルス放電を行う場合、放電間隔は、特に制限されないが、電極への蓄熱による亜鉛金属の溶融を回避する観点から、通常5〜500ミリ秒のサイクルが好ましく、6〜100ミリ秒のサイクルがより好ましい。直流パルス放電1回あたりの持続時間もまた、与える電圧および電流によって異なるが、通常1マイクロ秒〜100ミリ秒の範囲であり、放電の効率を考慮して、好ましくは2マイクロ秒〜50ミリ秒の範囲で実施される。
本発明で放電する際の電極間隔もまた、与える電圧および電流によって異なるが、通常、10μmから10mmの間、より好ましくは、10μmから800μmの間で実施する。電極間隔が前記範囲より近い場合、電流密度が高すぎて、電極の蓄熱が起こる傾向にあり、亜鉛金属が溶融するため好ましくなく、一方電極間隔が前記範囲より遠い場合、電流密度が低く、反応開始に必要なエネルギーを確保できなくなるため好ましくない。
本発明では、電極に振動を与えることも可能である。振動を与えることで、電極間に析出する酸化亜鉛ナノ粒子の滞留もなく、放電が効率的に行われるため好ましい。振動を与える方法としては、特に限定されず、定期的に振動を与えても、間欠的に振動を与える方法でもよい。例えば振動を与える手段として、エアバイブレータや電動バイブレータなどの振動機を用いることもできるが、電動アクチュエータを用いると振動の振幅および電極間距離を安定化できるので、より好ましい。
本発明は、減圧下、加圧下、常圧下いずれの状態でも実施することができるが、通常、安全、操作性を考慮して、窒素、アルゴンなどの不活性ガス下で実施することが好ましい。
(その他の製造条件)
本発明の製造方法によって生成する酸化亜鉛ナノ粒子は、水中に分散浮遊するので、一般的な方法、例えば、ろ過、遠心分離等の操作により、浮遊物を捕集し、乾燥することにより酸化亜鉛ナノ粒子を得ることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
容量300mlのビーカーに水200gを秤量し、この水中に、直径5mm、長さ100mmの金属亜鉛電極(純度99%以上)を挿入し、電極間を1mmに固定し、電動アクチュエータを用いて振動を与えた。各電極を交流電源に接続し、200V、3Aでパルスプラズマ放電した。パルス間隔は20ミリ秒、放電1回あたりの持続時間は10マイクロ秒で行った。放電開始と同時に、黒色の酸化亜鉛の析出が観測された。5時間放電を連続して行い、電極を外し、酸化亜鉛の浮遊する反応液を遠心分離機にて、4000rpmで30分間、遠心分離して、目的物を沈降させた。沈降した酸化亜鉛を回収し、イオン交換水200mlで洗浄後、110℃の熱風にて乾燥し、酸化亜鉛ナノ粒子3.5gを得た。
上記と同じ操作を行って5時間放電を連続して行った後、遠心分離にて沈降した黒色酸化亜鉛粒子をデカンテーションで反応液から分離し、ガス捕集器をつけたガラス製容器に移した。ガラス製容器を30℃に加温し、黒色固体から発生するガスをガス捕集器に移送した。32時間加温したところ、黒色固体は白色化し、ガス捕集器に957mlのガスが捕集された。捕集されたガスをガスタイトシリンジに取り、PDD検出器(パルス放電検出器:Pulsed Discharge Detector)を装備したガスクロマトグラフィー(島津製作所製 GC−14A)により、水素ガスであることを確認した。酸化亜鉛の生成量に対し、ほぼ1:1(モル比)の水素量を保持していたことがわかる。
得られた酸化亜鉛ナノ粒子のX線結晶解析(XRD Cu Kα radiation、Rigaku RINT−2500VHF)結果を図1に示す。図1から、得られた粒子は、酸化亜鉛であることが明らかである。また、得られた酸化亜鉛ナノ粒子の透過電子顕微鏡(TEM Philips Tecnai F20 S−Twin)写真を図2に示す。
実施例2
実施例1において、電圧を200V、2Aでパルス放電した以外は、実施例1と同様に実験を行い、酸化亜鉛3.2gを得た。得られた酸化亜鉛ナノ粒子のX線結晶解析は図1とほぼ同じであった。得られた酸化亜鉛ナノ粒子の透過電子顕微鏡写真を図3に示す。
実施例1及び2で得られた酸化亜鉛ナノ粒子のデータを以下の表に示す。粒径(長径寸法)、アスペクト比ともに、TEM画像より、スケールツール(Noran System 6)で測定した。
実施例3
容量300mlのビーカーに水200gを秤量し、この水中に、直径5mm、長さ100mmの金属亜鉛電極(純度99%以上)を挿入し、電極間を300μmに固定し、直流電源に接続し、200V、8Aで連続放電した。放電開始と同時に、酸化亜鉛の析出が観測された。直流放電を5時間連続して行い、沈降した大きな粒子を分別し、遠心分離機にて、4000rpm、30分遠心して、目的物を沈降させた。沈降した酸化亜鉛を、回収し、イオン交換水200mlで洗浄、110℃熱風にて乾燥し、酸化亜鉛ナノ粒子2.5gを得た。
得られた酸化亜鉛ナノ粒子のX線結晶解析(XRD Cu Kα radiation,Rigaku RINT−2500VHF)結果を図4に示す。
また、得られた酸化亜鉛ナノ粒子の透過電子顕微鏡(TEM Philips Tecnai F20 S−Twin)写真を図5に示す。
上記と同じ操作を行って遠心分離機で沈降させた黒色酸化亜鉛をデカンテーションで分離し、ガス捕集器をつけたガラス製容器に移した。ガラス製容器を30℃に加温し、黒色固体から発生するガスをガス捕集器に移送した。32時間加温したところ、黒色固体は白色化し、ガス捕集器に667mlのガスが捕集された。捕集されたガスをガスタイトシリンジに取り、PDD検出器を装備したガスクロマトグラフィー(島津製作所製 GC−14A)により、水素ガスであることを確認した。酸化亜鉛の生成量に対し、ほぼ1:1(モル比)の水素量を保持していたことがわかる。
実施例4
実施例3において、電圧を200V、2Aで50ミリ秒間隔でパルスプラズマ放電し、放電1回あたりの持続時間を100マイクロ秒とした以外は、実施例3と同様に実験を行い、酸化亜鉛ナノ粒子2.2gを得た。
得られた酸化亜鉛ナノ粒子のX線結晶解析(XRD Cu Kα radiation,Rigaku RINT−2500VHF)結果を図6に示す。
また、得られた酸化亜鉛ナノ粒子の透過電子顕微鏡(TEM Philips Tecnai F20 S−Twin)写真を図7に示す。
実施例3及び4で得られた酸化亜鉛ナノ粒子のデータを以下の表に示す。粒径(長径寸法)、アスペクト比ともに、TEM画像より、スケールツール(Noran System 6)で測定した。
[酸化亜鉛のラマンスペクトル分析]
実施例1(交流パルス放電)及び実施例3(直流連続放電)で得られた酸化亜鉛ナノ粒子の水素放出前の状態(黒色粒子)のラマンスペクトル(日本分光社製 NRS−3100で測定)を図9及び図10にそれぞれ示す。水素放出前後でスペクトルに変化はなかった。
比較のために水酸化亜鉛を焼成法によって酸化亜鉛に誘導することによって調製した酸化亜鉛のラマンスペクトルを図8に示す。
図8〜10を比較して、実施例1及び3で得られた酸化亜鉛(図9及び10)は何れも530〜630cm−1の範囲にE1(LO)に由来するピークを有していることが理解できる。ラマンスペクトルの分析結果から、放電を利用する本発明の酸化亜鉛ナノ粒子の製法によれば、水素との複合体である新規な酸化亜鉛ナノ粒子、及びこれから水素を放出させた新規な酸化亜鉛ナノ粒子が得られることがわかった。
本発明の製造方法により、比較的粒径が揃った酸化亜鉛ナノ粒子を比較的低電圧などの低エネルギーで製造することができる。得られる酸化亜鉛ナノ粒子は、オプトエレクトロニクス材料、電子写真用感光剤、フェライト、バリスタ、蛍光体等の電子部品材料等の他、電子セラミックス材料、光触媒、各種の表示装置のための透明導電性薄膜、蛍光体、色素増感太陽電池用電極材料、p型酸化物半導体などの用途に適用することができ、産業上有用である。

Claims (8)

  1. 水系媒体中で金属亜鉛電極間に放電させることを特徴とする酸化亜鉛ナノ粒子の製造方法。
  2. 前記金属亜鉛電極間にパルス放電させる請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記パルス放電が交流パルス放電である請求項2に記載の製造方法
  4. 前記金属亜鉛電極間に直流放電させる請求項1に記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により得られた酸化亜鉛ナノ粒子。
  6. 長径が10〜1000nmである、請求項5に記載の酸化亜鉛ナノ粒子。
  7. アスペクト比が2以上である、請求項5又は6に記載の酸化亜鉛ナノ粒子。
  8. ラマンスペクトルにおいてE1(LO)に由来するピークを示す請求項5〜7のいずれか1項に記載の酸化亜鉛ナノ粒子。
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