<偏光板>
本発明の偏光板は、透湿度が100〜500g/m2・24hrであるアクリルフィルム(a)と、セルロースエステルフィルム(b1)または(b2)とが、ポリビニルアルコールからなる偏光子を挟んでなる偏光板であって、該偏光板が液晶セルの視認側に配置されるものであり、かつ該アクリルフィルム(a)側が液晶セル側と反対側に配置されるものであることを特徴とする。
一般に、液晶セルの両側には一対の偏光板がクロスニコルに、一方が視認側、一方がバックライト側に配置される。本発明の偏光板は、視認側に配置されるものである。
さらに、偏光板は、液晶セルには通常粘着剤を介して貼り合わせられるが、その際、液晶セルとはセルロースエステルフィルム(b1)または(b2)側で貼り合わされる。したがって、アクリルフィルム(a)が最も視認側に配置された液晶表示装置となる。
<アクリルフィルム(a)>
本発明のアクリルフィルム(a)の透湿度は、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)、場合によってアクリル樹脂(A)およびセルロースエステル樹脂(B)以外の樹脂、およびその他の添加剤の構成により達成された。
本発明のアクリルフィルムは当初、樹脂同士の相溶性が問題となったが、本発明の分子量範囲、セルロースエステルの置換度範囲とすることによって、その相溶性の問題を解決することができた。
そして、この構成により、本発明のアクリルフィルム(a)は、透湿度が100〜500g/m2・24hr、好ましくは200〜450g/m2・24hrであり、23℃55%RHの雰囲気下で、延性破壊を起こさず、張力軟化点が105〜145℃であり、ヘイズ値が1.0%未満であることを特徴とする。
より具体的には、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂を95:5〜30:70の質量比かつ相溶状態で含有し、前記アクリル樹脂(A)の重量平均分子量Mwが80000以上1000000以下であり、該セルロースエステル樹脂(B)のアシル基の総置換度(T)が2.0〜3.0であり、炭素数が3〜7のアシル基の置換度が1.2〜3.0であり、該セルロースエステル樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)が75000以上280000以下であることを特徴とする。
さらに、前記アクリルフィルムは、該フィルムを構成する樹脂の総質量に対して、0.5〜30質量%のアクリル粒子(C)を含有することが好ましい構成である。
〈アクリル樹脂(A)〉
本発明に用いられるアクリル樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、およびこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが好ましい。
共重合可能な他の単量体としては、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上の単量体を併用して用いることができる。
これらの中でも、共重合体の耐熱分解性や流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
本発明のアクリルフィルムに用いられるアクリル樹脂(A)は、特にアクリルフィルムとしての脆性の改善およびセルロースエステル樹脂(B)と相溶した際の透明性の改善の観点で、重量平均分子量(Mw)が80000以上である。アクリル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)が80000を下回ると、十分な脆性の改善が得られず、セルロースエステル樹脂(B)との相溶性が劣化する。
アクリル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、80000〜1000000の範囲内であることがさらに好ましく、100000〜600000の範囲内であることが特に好ましく、150000〜400000の範囲であることが最も好ましい。アクリル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)の上限値は特に限定されるものではないが、製造上の観点から1000000以下とされることが好ましい形態である。
本発明のアクリル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することでききる。測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=2,800,000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
本発明におけるアクリル樹脂(A)の製造方法としては、特に制限は無く、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、あるいは溶液重合等の公知の方法のいずれを用いても良い。
本発明に係るアクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80,BR83,BR85,BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。アクリル樹脂は2種以上を併用することもできる。
〈セルロースエステル樹脂(B)〉
本発明のセルロースエステル樹脂(B)は、特に脆性の改善やアクリル樹脂(A)と相溶させたときに透明性の観点から、アシル基の総置換度(T)が2.0〜3.0、炭素数が3〜7のアシル基の置換度が1.2〜3.0であり、炭素数3〜7のアシル基の置換度は、2.0〜3.0であることが好ましい。
本発明のセルロースエステル樹脂は炭素数が3〜7のアシル基により置換されたセルロースエステル樹脂であり、具体的には、プロピオニル、ブチリル等が好ましく用いられるが、特にプロピオニル基が好ましく用いられる。
本発明のセルロースエステル樹脂(B)のアシル置換度は、総置換度(T)が2.0〜3.0であり、炭素数が3〜7のアシル基の置換度が1.2〜3.0が好ましく、炭素数が3〜7以外のアシル基、即ち、アセチル基や炭素数が8以上のアシル基の置換度の総計が1.3以下とされることが好ましい。
また、セルロースエステル樹脂(B)のアシル基の総置換度(T)は、2.5〜3.0の範囲であることがさらに好ましい。
本発明において前記アシル基は、脂肪族アシル基であっても、芳香族アシル基であってもよい。脂肪族アシル基の場合は、直鎖であっても分岐していても良く、さらに置換基を有してもよい。本発明におけるアシル基の炭素数は、アシル基の置換基を包含するものである。
上記セルロースエステル樹脂(B)が、芳香族アシル基を置換基として有する場合、芳香族環に置換する置換基Xの数は0〜5個であることが好ましい。この場合も、置換基を含めた炭素数が3〜7であるアシル基の置換度が1.2〜3.0となるように留意が必要である。
さらに、芳香族環に置換する置換基の数が2個以上の時、互いに同じでも異なっていてもよいが、また、互いに連結して縮合多環化合物(例えばナフタレン、インデン、インダン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、クロマン、フタラジン、アクリジン、インドール、インドリンなど)を形成してもよい。
上記のようなセルロースエステル樹脂(B)においては、炭素数3〜7の脂肪族アシル基の少なくとも1種を有する構造を有することが、本発明のセルロース樹脂に用いる構造として用いられる。
本発明に係るセルロースエステル樹脂(B)の置換度は、アシル基の総置換度(T)が2.0〜3.0、炭素数が3〜7のアシル基の置換度が1.2〜3.0である。
また、炭素数が3〜7のアシル基以外、即ちアセチル基と炭素数が8以上のアシル基の置換度の総和が1.3以下であることが好ましい構造である。
本発明に係るセルロースエステル樹脂(B)としては、特にセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートベンゾエート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、即ち、炭素原子数3または4のアシル基を置換基として有するものが好ましい。
これらの中で特に好ましいセルロースエステル樹脂は、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースプロピオネートである。これらは公知の方法で合成することができる。
なお、アセチル基の置換度や他のアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法により求めたものである。
本発明に係るセルロースエステル樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、特にアクリル樹脂(A)との相溶性、脆性の改善の観点から75000以上であり、75000〜300000の範囲であることが好ましく、100000〜240000の範囲内であることがさらに好ましく、160000〜240000のものが特に好ましい。なお、重量平均分子量は、前述の方法に従って測定した。
本発明では2種以上のセルロース樹脂を混合して用いることもできる。
本発明のアクリルフィルムにおいて、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)は、95:5〜30:70の質量比で、かつ相溶状態で含有されるが、好ましくは95:5〜50:50であり、さらに好ましくは90:10〜60:40である。
本発明のアクリルフィルムにおいては、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)が相溶状態で含有される必要がある。アクリルフィルムとして必要とされる物性や品質を、異なる樹脂を相溶させることで相互に補うことにより達成している。
〈相溶状態の判断〉
アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)が相溶状態となっているかどうかは、ガラス転移温度Tgにより判断する。
両者の樹脂を単に混合した状態は、各々の樹脂のガラス転移温度が存在するため混合物のガラス転移温度は2つ存在するが、両者の樹脂が相溶したときは、各々の樹脂固有のガラス転移温度が消失し、1つのガラス転移温度となって相溶した樹脂のガラス転移温度となる。
この相溶状態となった混合物のガラス転移温度Tg1,2は、ゴードン−テイラーの式(M.Gordon and J.S.Taylor, 2 J.of Applied Chem. 493−500(1952))によって近似できることが知られている。: Tg1,2=(w1Tg1+Kw2Tg2)/(w1+Kw2)
〔ここで、w1およびw2は、構成成分1(アクリル樹脂(A))および2(セルロースエステル樹脂(B))の質量分率であり;Tg1およびTg2は、それぞれ、構成成分1および2のガラス転移温度(ケルビン温度)であり;Tg1,2は、構成成分1および2の混合物のガラス転移温度であり;Kは、2つの樹脂の自由体積に関する定数である。〕
なお、ここでいうガラス転移温度とは、23℃55%RHの雰囲気下で24時間保存した試料を同雰囲気下に置かれた示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、窒素気流中、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)とする。
アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)は、それぞれ非結晶性樹脂であることが好ましく、いずれか一方が結晶性高分子、あるいは部分的に結晶性を有する高分子であってもよいが、本発明においてアクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)が相溶することで、非結晶性樹脂となることが好ましい。
本発明のアクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)を相溶させるためには、あらかじめ相溶性試験を行い、相溶する樹脂をあらかじめ選択しておくことが好ましい。
具体的には、例えばそれぞれメチレンクロライド100mlに溶解した樹脂(A)、(B)の5質量%濃度の溶液を混合し、濁度および目視で混合状態を観察することにより相溶性試験とすることができる。濁度が著しく大きくなったり、目視で2層分離状態が観察されなければ、相溶しているといえる。この試験により簡易的に樹脂の選択が可能となる。
なお、本発明において、「アクリル樹脂(A)やセルロースエステル樹脂(B)を相溶状態で含有する」とは、各々の樹脂(ポリマー)を混合することで、結果として相溶された状態となることを意味しており、モノマー、ダイマー、あるいはオリゴマー等のアクリル樹脂の前駆体をセルロースエステル樹脂(B)に混合させた後に重合させることにより混合樹脂とされた状態は含まれないものとする。
例えば、モノマー、ダイマー、あるいはオリゴマー等のアクリル樹脂の前駆体をセルロースエステル樹脂(B)に混合させた後に重合されることにより混合樹脂を得る工程は、重合反応が複雑であり、この方法で作成した樹脂は、反応の制御が困難であり、分子量の調整も困難となる。
本発明のアクリルフィルム(a)は、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)以外の樹脂や添加剤を含有して構成されていても良い。
アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)以外の樹脂を含有する場合、添加される樹脂が相溶状態であっても、相溶せずに単に混合、分散されていてもよい。
本発明のアクリルフィルム(a)におけるアクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)の総質量は、アクリルフィルム(a)の55質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは60質量%以上であり、特に好ましくは、70質量%以上である。
アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)以外の樹脂や添加剤を用いる際には、本発明のアクリルフィルム(a)の機能を損なわない範囲で添加量を調整することが好ましい。
<アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)以外の樹脂>
〈アクリル粒子(C)〉
本発明のアクリルフィルム(a)は、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)以外の樹脂としてアクリル粒子(C)を含有することができる。
本発明に係るアクリル粒子(C)は、アクリル樹脂(A)およびセルロースエステル樹脂(B)を相溶状態で含有するアクリルフィルム(a)中に相溶せずに、混合・分散状態で存在する。
上記アクリル粒子(C)は、例えば、作製したアクリルフィルム(a)を所定量採取し、溶媒に溶解させて攪拌し、充分に溶解・分散させたところで、アクリル粒子(C)の平均粒子径未満の孔径を有するPTFE製のメンブレンフィルターを用いて濾過し、濾過捕集された不溶物の重さが、アクリルフィルム(a)に添加したアクリル粒子(C)の90質量%以上あることが好ましい。
本発明に用いられるアクリル粒子(C)は特に限定されるものではないが、2層以上の層構造を有するアクリル粒子(C)であることが好ましく、特に下記多層構造アクリル系粒状複合体であることが好ましい。
多層構造アクリル系粒状複合体とは、中心部から外周部に向かって最内硬質層重合体、ゴム弾性を示す架橋軟質層重合体、および最外硬質層重合体が、層状に重ね合わされてなる構造を有する粒子状のアクリル系重合体を言う。
このような多層構造アクリル系粒状複合体の市販品の例としては、例えば、三菱レイヨン社製メタブレンW−341(C2)、ケミスノーMR−2G(C3)、MS−300X(C4)(綜研化学(株)製)、鐘淵化学工業社製“カネエース”、呉羽化学工業社製“パラロイド”、ロームアンドハース社製“アクリロイド”、ガンツ化成工業社製“スタフィロイド”およびクラレ社製“パラペットSA”などが挙げられ、これらは、単独ないし2種以上を用いることができる。
本発明のアクリルフィルム(a)において、該フィルムを構成する樹脂の総質量に対して、0.5〜30質量%のアクリル粒子(C)を含有することが好ましく、1.0〜15質量%の範囲で含有することがさらに好ましい。
〈その他の添加剤〉
本発明のアクリルフィルム(a)においては、組成物の流動性や柔軟性を向上するために、可塑剤を併用することも可能である。可塑剤としては、フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、ポリエステル系、あるいはエポキシ系等が挙げられる。
この中で、ポリエステル系とフタル酸エステル系の可塑剤が好ましく用いられる。ポリエステル系可塑剤は、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル系の可塑剤に比べて非移行性や耐抽出性に優れるが、可塑化効果や相溶性にはやや劣る。
したがって、用途に応じてこれらの可塑剤を選択、あるいは併用することによって、広範囲の用途に適用できる。
ポリエステル系可塑剤は、一価ないし四価のカルボン酸と一価ないし六価のアルコールとの反応物であるが、主に二価カルボン酸とグリコールとを反応させて得られたものが用いられる。代表的な二価カルボン酸としては、グルタル酸、イタコン酸、アジピン酸、フタル酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられる。
特に、アジピン酸、フタル酸などを用いると可塑化特性に優れたものが得られる。グリコールとしてはエチレン、プロピレン、1,3−ブチレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキサメチレン、ネオペンチレン、ジエチレン、トリエチレン、ジプロピレンなどのグリコールが挙げられる。これらの二価カルボン酸およびグリコールはそれぞれ単独で、あるいは混合して使用してもよい。
このエステル系の可塑剤はエステル、オリゴエステル、ポリエステルの型のいずれでもよく、分子量は100〜10000の範囲が良いが、好ましくは600〜3000の範囲が、可塑化効果が大きい。
また、可塑剤の粘度は分子構造や分子量と相関があるが、アジピン酸系可塑剤の場合相溶性、可塑化効率の関係から200〜5000MPa・s(25℃)の範囲が良い。さらに、いくつかのポリエステル系可塑剤を併用してもかまわない。
可塑剤は本発明のアクリルフィルム(a)100質量部に対して、0.5〜30質量部を添加するのが好ましい。
本発明のアクリルフィルム(a)は、紫外線吸収剤を含有することも好ましく、用いられる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系またはサリチル酸フェニルエステル系のもの等が挙げられる。例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類を例示することができる。
ここで、紫外線吸収剤のうちでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、高沸点で揮発しにくく、高温成形時にも飛散しにくいため、比較的少量の添加で効果的に耐候性を改良することができる。
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、さらには2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。
これらのうちでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が特に好ましい。
さらに、本発明のアクリルフィルム(a)には、成形加工時の熱分解性や熱着色性を改良するために各種の酸化防止剤を添加することもできる。また帯電防止剤を加えて、アクリルフィルム(a)に帯電防止性能を与えることも可能である。
アクリルフィルム(a)の取り扱い性のため、後述するマット剤等の粒子を含有させてもよい。
<アクリルフィルム(a)の物性>
本発明のアクリルフィルム(a)は、「延性破壊が起こらないアクリルフィルム」であるかどうかという基準により判断する。
ここで、延性破壊とは、ある材料が有する強度よりも、大きな応力が作用することで生じる破断のことであり、最終破断までに材料の著しい伸びや絞りを伴う破壊と定義される。
本発明では、「延性破壊が起こらないアクリルフィルム」であるか否かは、23℃55%RHの雰囲気下で、フィルムを2つに折り曲げるような大きな応力を作用させても破断等の破壊がみられないことにより評価するものとする。
本発明においては、23℃55%RHの雰囲気下での張力軟化点が、105℃〜145℃であれば、十分な耐熱性を示すものと判断できる。特に110℃〜130℃に制御することがより好ましい。
また、耐熱性の観点では、アクリルフィルム(a)は、ガラス転移温度(Tg)が110℃以上であることが好ましい。より好ましくは120℃以上である。特に好ましくは150℃以上である。
本発明におけるアクリルフィルム(a)の透明性を判断する指標としては、ヘイズ値(濁度)を用いる。特に屋外で用いられる液晶表示装置においては、明るい場所でも十分な輝度や高いコントラストが得られることが求められる為、ヘイズ値は1.0%以下であることが必要とされ、0.5%以下であることがさらに好ましい。
アクリル系樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)を含有する本発明のアクリルフィルム(a)によれば、高い透明性を得ることができるが、別の物性を改善する目的でアクリル粒子を使用する場合は、樹脂(アクリル系樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B))とアクリル粒子(C)との屈折率差を小さくすることで、ヘイズ値の上昇を防ぐことができる。
また、表面の粗さも表面ヘイズとしてヘイズ値に影響するため、アクリル粒子(C)の粒子径や添加量を前記範囲内に抑えること、製膜時のフィルム接触部の表面粗さを小さくすることも、有効である。
また、本発明のアクリルフィルム(a)は、フィルム面内の直径5μm以上の欠点が1個/10cm四方以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.5個/10cm四方以下、一層好ましくは0.1個/10cm四方以下である。
また、本発明のアクリルフィルム(a)は、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも一方向の破断伸度が、10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上である。
本発明のアクリルフィルム(a)の厚みは、20μm以上であることが好ましい。より好ましくは30μm以上である。
本発明のアクリルフィルム(a)は、その全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。また、現実的な上限としては、99%程度である。
本発明のアクリルフィルム(a)は、上記のような物性を満たしていれば、大型の液晶表示装置や屋外用途の液晶表示装置用の偏光板保護フィルムとして特に好ましく用いることができる。
このような物性は、アクリルフィルム(a)を、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)を95:5〜30:70の質量比で含有し、前記アクリル樹脂(A)の重量平均分子量Mwが80000以上であり、該セルロースエステル樹脂(B)のアシル基の総置換度(T)が2.00〜3.00、炭素数が3〜7のアシル基の置換度が1.2〜3.0であり、重量平均分子量(Mw)が75000以上であることを特徴とするアクリルフィルム(a)とすることにより得ることができる。
〈アクリルフィルム(a)の製造方法〉
アクリルフィルム(a)の製造方法の例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明のアクリルフィルム(a)の製造方法としては、通常のインフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点から流延法による溶液流延製膜法、溶融流延製膜法が好ましい。
(有機溶媒)
本発明のアクリルフィルム(a)を溶液流延法で製造する場合のドープを形成するのに有用な有機溶媒は、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)、場合によってアクリル粒子(C)およびその他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることができる。
例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができ、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用し得る。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒系でのアクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)の溶解を促進する役割もある。
特に、メチレンクロライド、および炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、アクリル樹脂(A)と、セルロースエステル樹脂(B)と、場合によってアクリル粒子(C)の3種を、少なくとも計15〜45質量%溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
以下、本発明のアクリルフィルム(a)の好ましい製膜方法について説明する。
1)溶解工程
アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)に対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で該アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)、場合によってアクリル粒子(C)、その他の添加剤を攪拌しながら溶解しドープを形成する工程、あるいは該アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)溶液に、場合によってアクリル粒子(C)溶液、その他の添加剤溶液を混合して主溶解液であるドープを形成する工程である。
アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、または特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
ドープ中のアクリル樹脂(A)と、セルロースエステル樹脂(B)は、計15〜45質量%の範囲であることが好ましい。溶解中または後のドープに添加剤を加えて溶解および分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
濾過は捕集粒子径0.5〜5μmで、かつ濾水時間10〜25sec/100mlの濾材を用いることが好ましい。
この方法では、粒子分散時に残存する凝集物や主ドープ添加時発生する凝集物を、捕集粒子径0.5〜5μmで、かつ濾水時間10〜25sec/100mlの濾材を用いることで凝集物だけ除去できる。主ドープでは粒子の濃度も添加液に比べ十分に薄いため、濾過時に凝集物同士がくっついて急激な濾圧上昇することもない。
図1は、本発明に好ましい溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程および乾燥工程の一例を模式的に示した図である。
必要な場合は、アクリル粒子仕込釜41より濾過器44で大きな凝集物を除去し、ストック釜42へ送液する。その後、ストック釜42より主ドープ溶解釜1へアクリル粒子添加液を添加する。
その後主ドープ液は主濾過器3にて濾過され、これに紫外線吸収剤添加液が16よりインライン添加される。
多くの場合、主ドープには返材が10〜50質量%程度含まれることがある。返材にはアクリル粒子が含まれることがある、その場合には返材の添加量に合わせてアクリル粒子添加液の添加量をコントロールすることが好ましい。
アクリル粒子を含有する添加液には、アクリル粒子を0.5〜10質量%含有していることが好ましく、1〜10質量%含有していることがさらに好ましく、1〜5質量%含有していることが最も好ましい。
上記範囲内であれば、添加液は低粘度で取り扱い易く、主ドープへの添加が容易であるため好ましい。
返材とは、アクリルフィルム(a)を細かく粉砕した物で、アクリルフィルム(a)を製膜するときに発生する、フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでスペックアウトしたアクリルフィルム(a)原反が使用される。
また、あらかじめアクリル樹脂、セルロースエステル樹脂、場合によってアクリル粒子を混練してペレット化したものも、好ましく用いることができる。
2)流延工程
ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイ30に送液し、無限に移送する無端の金属ベルト31、例えばステンレスベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。あるいは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。
3)溶媒蒸発工程
ウェブ(流延用支持体上にドープを流延し、形成されたドープ膜をウェブと呼ぶ)を流延用支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法および/または支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が乾燥効率が良く好ましい。又、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。流延後の支持体上のウェブを40〜100℃の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。40〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
面品質、透湿性、剥離性の観点から、30〜120秒以内で該ウェブを支持体から剥離することが好ましい。
4)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。
金属支持体上の剥離位置における温度は好ましくは10〜40℃であり、さらに好ましくは11〜30℃である。
なお、剥離する時点での金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により50〜120質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損ね、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易いため、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。
ウェブの残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(%)=(ウェブの加熱処理前質量−ウェブの加熱処理後質量)/(ウェブの加熱処理後質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
金属支持体とフィルムを剥離する際の剥離張力は、通常、196〜245N/mであるが、剥離の際に皺が入り易い場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましく、さらには、剥離できる最低張力〜166.6N/m、次いで、最低張力〜137.2N/mで剥離することが好ましいが、特に好ましくは最低張力〜100N/mで剥離することである。
本発明においては、該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。
5)乾燥および延伸工程
剥離後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置35、および/またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター延伸装置34を用いて、ウェブを乾燥する。
乾燥手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウェーブを当てて加熱する手段もある。余り急激な乾燥は出来上がりのフィルムの平面性を損ね易い。高温による乾燥は残留溶媒が8質量%以下くらいから行うのがよい。全体を通し、乾燥は概ね40〜250℃で行われる。特に40〜160℃で乾燥させることが好ましい。
テンター延伸装置を用いる場合は、テンターの左右把持手段によってフィルムの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できる装置を用いることが好ましい。また、テンター工程において、平面性を改善するため意図的に異なる温度を持つ区画を作ることも好ましい。
また、異なる温度区画の間にそれぞれの区画が干渉を起こさないように、ニュートラルゾーンを設けることも好ましい。
なお、延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することも好ましい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。
この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。即ち、例えば、次のような延伸ステップも可能である。
・流延方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
・幅手方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
また、同時2軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。同時2軸延伸の好ましい延伸倍率は幅手方向、長手方向ともに×1.01倍〜×1.5倍の範囲でとることができる。
テンターを行う場合のウェブの残留溶媒量は、テンター開始時に20〜100質量%であるのが好ましく、かつウェブの残留溶媒量が10質量%以下になる迄テンターを掛けながら乾燥を行うことが好ましく、さらに好ましくは5質量%以下である。
テンターを行う場合の乾燥温度は、30〜160℃が好ましく、50〜150℃がさらに好ましく、70〜140℃が最も好ましい。
テンター工程において、雰囲気の幅手方向の温度分布が少ないことが、フィルムの均一性を高める観点から好ましく、テンター工程での幅手方向の温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。
6)巻き取り工程
ウェブ中の残留溶媒量が2質量%以下となってからアクリルフィルム(a)として巻き取り機37により巻き取る工程であり、残留溶媒量を0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。特に0.00〜0.10質量%で巻き取ることが好ましい。
巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使いわければよい。
本発明のアクリルフィルム(a)は、長尺フィルムであることが好ましく、具体的には、100m〜5000m程度のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。また、フィルムの幅は1.3〜4mであることが好ましく、1.4〜2mであることがより好ましい。
本発明のアクリルフィルム(a)の膜厚に特に制限はないが、偏光板保護フィルムに使用する場合は20〜200μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましく、30〜80μmであることが特に好ましい。
<セルロースエステルフィルム(b1)および(b2)>
本発明のセルロースエスエルフィルム(b1)は、セルロースエステル樹脂、可塑剤およびその他の添加剤とからなる。
また、本発明のセルロースエスエルフィルム(b2)は、セルロースエステル樹脂、可塑剤、酸捕捉剤およびその他の添加剤とからなる。
〈セルロースエステル樹脂〉
本発明のセルロースエステルフィルムを構成するセルロースエステル樹脂としては、炭素数2〜22程度のカルボン酸エステルであり、炭素数が6以下の低級脂肪酸エステルであることが好ましい。
水酸基に結合するアシル基は、直鎖であっても分岐してもよく、また環を形成してもよい。さらに別の置換基が置換してもよい。前記セルロースエステルとしての炭素数が2〜4であることが好ましく、炭素数が2〜3であることがより好ましい。
具体的には、セルロースエステルとしては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセテートプロピオネートブチレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基またはブチレート基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルを用いることができる。
本発明において好ましく用いられるセルロースエステルとしては、特にセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレートが好ましく用いられる。
本発明に好ましいセルロースアセテートフタレート以外のセルロースエステルとしては、下記式(1)および(2)を同時に満足するものが好ましい。
式(1) 2.0≦X+Y≦3.0
式(2) 0≦Y≦1.5
式中、Xはアセチル基の置換度、Yはプロピオニル基またはブチリル基、もしくはその混合物の置換度である。
また、目的に叶う光学特性を得るために置換度の異なる樹脂を混合して用いても良い。混合比としては10:90〜90:10(質量比)が好ましい。
この中で特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。セルロースアセテートプロピオネートでは、1.0≦X≦2.5であり、0.1≦Y≦1.5、2.0≦X+Y≦3.0であることが好ましい。
本発明に用いられるセルロースエステルの数平均分子量は、60000〜300000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。さらに70000〜200000のものが好ましく用いられる。
セルロースエステルの重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnは、前述の方法に従って測定した。
本発明のセルロースアセテートフタレート等のセルロースエステルは、公知の方法により製造することができる。具体的には特開平10−45804号に記載の方法を参考にして合成することができる。
<セルロースエステルフィルム(b1)の可塑剤>
本発明のセルロースエステルフィルム(b1)の可塑剤は、リン酸系の可塑剤を含まないことを特徴とする。リン酸系の可塑剤は湿熱環境下において分解が起こり、この分解によりリン酸が発生し、セルロースエステルの加水分解を促進すること、さらには偏光子を構成している2色性色素の結合を切断し、偏光子の退色が起こすからである。
<セルロースエステルフィルム(b2)の可塑剤>
本発明のセルロースエステルフィルム(b2)に使用されるリン酸系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート(TPP)、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート(EHDP)、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、ビス−(t−ブチルフェニル)フェニルホスフェート(BBDP)、トリス−(t−ブチルフェニル)ホスフェート(TBDP)、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート(IPP)、ビス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート(BIPP)、トリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェート(TIPP)等が挙げられ、トリフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェートが好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルム(b1)または(b2)に使用されるリン酸系以外の好ましい可塑剤としては、芳香族末端ポリエステル系化合物、ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基のすべて、もしくは一部をエステル化したエステル化合物、アクリル系ポリマー、多価アルコールエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤(クエン酸エステル系可塑剤を含む)およびグリコレート系可塑剤等から選択された化合物が1種類以上挙げられる。
リン酸系可塑剤は、セルロースエステル樹脂に対して、1〜10質量%使用され、その他の可塑剤は、リン酸系可塑剤の1〜50質量%使用される。
〈芳香族末端ポリエステル系化合物〉
本発明では、下記一般式(I)で表せる芳香族末端ポリエステル系化合物を使用することが好ましい。
一般式(I) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはアリールカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
一般式(I)中、Bで示されるアリールカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系化合物と同様の反応により得られる。
本発明で使用される芳香族末端ポリエステル系化合物のアリールカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上の混合物として使用することができる。
本発明で使用される芳香族末端ポリエステル系化合物は、nが1以上100以下であることが好ましく、数平均分子量が、好ましくは300〜1500、より好ましくは400〜1000の範囲が好適である。
本発明の一般式(I)に示す芳香族末端ポリエステル系化合物は、セルロースエステルに対して、0.5〜30質量%含有させることが好ましい。
以下に、本発明に用いることのできる芳香族末端ポリエステル系化合物の具体的化合物を示すが、本発明はこれに限定されない。
〈ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基のすべてもしくは一部をエステル化したエステル化合物〉
本発明のセルロースエステルフィルムは、ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基のすべてもしくは一部をエステル化したエステル化合物を含むことが好ましい。
エステル化の割合としては、ピラノース構造またはフラノース構造内に存在するOH基の70%以上であることが好ましい。
本発明においては、エステル化合物を総称して、糖エステル化合物とも称す。
前記エステル化合物は、下記一般式(A)で表されるピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下縮合した化合物である。ただし、R11〜R15、R21〜R25は、炭素数2〜22のアシル基または水素原子を、m、nはそれぞれ0〜12の整数、m+nは1〜12の整数を表す。
R11〜R15、R21〜R25は、ベンゾイル基、水素原子であることが好ましい。ベンゾイル基はさらに置換基R26(pは0〜5)を有していてもよく、例えばアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、フェニル基が挙げられ、さらにこれらのアルキル基、アルケニル基、フェニル基は置換基を有していてもよい。オリゴ糖も本発明のエステル化合物と同様な方法で製造することができる。
以下に、本発明に係るエステル化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明のセルロースエステルフィルム(b1)および(b2)は、位相差値の変動を抑制して、表示品位を安定化する為に、本発明の糖エステル化合物を、セルロースエステルフィルムの0.5〜30質量%含むことが好ましく、特には、5〜30質量%含むことが好ましい。
本発明の一般式(I)に示す芳香族末端ポリエステル系化合物と糖エステル化合物の含有量は、質量比で99:1〜1:99の範囲で選択することができ、両化合物の全体量は、セルロースエステルに対して、1〜40質量%であることが好ましい。
〈アクリル系ポリマー〉
本発明のセルロースエステルフィルム(b1)および(b2)には、低分子量のアクリル系ポリマーを含有することができる。
本発明に用いられるアクリル系ポリマーとしては、光学フィルムに含有させた場合、機能として延伸方向に対して負の複屈折性を示すことが好ましく、特に構造が限定されるものではないが、エチレン性不飽和モノマーを重合して得られた重量平均分子量が500以上30000以下である重合体であることが好ましい。
本発明に用いられる重量平均分子量が500以上30000以下であるアクリル系ポリマーは、芳香環を側鎖に有するアクリル系ポリマーまたはシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系ポリマーであってもよい。
該重合体の重量平均分子量が500以上30000以下のもので該重合体の組成を制御することにより相溶性を良好にすることができる。
芳香環を側鎖に有するアクリル系ポリマーまたはシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系ポリマーについて、好ましくは重量平均分子量が500以上10000以下のものであれば、上記に加え、製膜後のセルロースエステルフィルムの透明性が優れ、透湿度も極めて低く、偏光板用保護フィルムとして優れた性能を示す。
該重合体は、重量平均分子量が500以上30000以下であるから、オリゴマーから低分子量重合体の間にあると考えられるものである。このような重合体を合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量を余り大きくしない方法でできるだけ分子量を揃えることのできる方法を用いることが望ましい。
特に、本発明に用いられるアクリル系ポリマーとしては、分子内に芳香環と水酸基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳香環を有せず、水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとXa、Xbを除く共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを共重合して得られた重量平均分子量2000以上30000以下の重合体X、または芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaと、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを重合して得られた重量平均分子量500以上5000以下の重合体Yであることが好ましい。
[重合体X、重合体Y]
本発明の光学補償フィルムのRoおよびRtを調整する方法としては、分子内に芳香環と水酸基またはアミド基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳香環を有せず、水酸基またはアミド基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとXa、Xbを除く共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを共重合して得られた重量平均分子量2000以上30000以下の高分子量の重合体X、そして、芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaと、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを重合して得られた重量平均分子量500以上5000以下の低分子量の重合体Yを含有することが好ましい。
本発明に用いられる重合体Xは、分子内に芳香環と水酸基またはアミド基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと分子内に芳香環を有せず、水酸基またはアミド基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとXa、Xbを除く共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを共重合して得られた重量平均分子量2000以上、30000以下の重合体である。
好ましくは、Xaは分子内に芳香環と水酸基またはアミド基を有しないアクリルまたはメタクリルモノマー、Xbは分子内に芳香環を有せず水酸基またはアミド基を有するアクリルまたはメタクリルモノマーである。
重合体X、Yを合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量を余り大きくしない方法で、かつできるだけ分子量を揃えることのできる方法を用いることが望ましい。
かかる重合方法としては、クメンペルオキシドやt−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合開始剤を通常の重合より多量に使用する方法、重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩化炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合開始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼンのような重合停止剤を使用する方法、さらに特開2000−128911号または同2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、或いは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等を挙げることができ、いずれも本発明において好ましく用いられる。
特に、重合体Yは、分子中にチオール基と2級の水酸基とを有する化合物を連鎖移動剤として使用する重合方法が好ましい。この場合、重合体Yの末端には、重合触媒および連鎖移動剤に起因する水酸基、チオエーテルを有することとなる。この末端残基により、Yとセルロースエステルとの相溶性を調整することができる。
重合体XおよびYの水酸基価は、30〜150[mgKOH/g]であることが好ましい。
(水酸基価の測定方法)
水酸基価の測定は、JIS K 0070(1992)に準ずる。この水酸基価は、試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数と定義される。
具体的には試料Xg(約1g)をフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬(無水酢酸20mlにピリジンを加えて400mlにしたもの)20mlを正確に加える。フラスコの口に空気冷却管を装着し、95〜100℃のグリセリン浴にて加熱する。1時間30分後、冷却し、空気冷却管から精製水1mlを加え、無水酢酸を酢酸に分解する。
次に電位差滴定装置を用いて0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液で滴定を行い、得られた滴定曲線の変曲点を終点とする。
さらに空試験として、試料を入れないで滴定し、滴定曲線の変曲点を求める。水酸基価は、次の式によって算出する。
水酸基価={(B−C)×f×28.05/X}+D
式中、Bは空試験に用いた0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、Cは滴定に用いた0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、fは0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、Dは酸価、また、28.05は水酸化カリウムの1mol量56.11の1/2を表す。
上述の重合体X、重合体Yはいずれもセルロースエステルとの相溶性に優れ、蒸発や揮発もなく生産性に優れ、偏光板用保護フィルムとしての保留性がよく、透湿度が小さく、寸法安定性に優れている。
本発明で用いられる重合体Xもしくは重合体Yは、5〜20質量%が好ましい。重合体Xもしくは重合体Yは、セルロースエステル全質量に対し、総量として5質量%以上であれば、レターデーション値Rtの調整に十分な作用をする。また、総量として20質量%以下であれば、偏光子PVAとの接着性が良好である。
重合体Xと重合体Yは、溶融組成物としてセルロースエステルに直接添加することができる。
〈多価アルコールエステル系可塑剤〉
本発明の多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本発明に好ましく用いられる多価アルコールは次の一般式(a)で表される。
一般式(a) R1−(OH)n
但し、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、および/またはフェノール性水酸基を表す。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることがさらに好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
〈多価カルボン酸エステル化合物〉
多価カルボン酸エステル化合物としては、2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールのエステルよりなる。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。
〈クエン酸エステル系可塑剤〉
クエン酸エステル系可塑剤としては、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
〈グリコレート系可塑剤〉
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
<酸捕捉剤>
セルロースエステルは、リン酸系の可塑剤を使用した場合に高温高湿度の環境下などでリン酸から酸が遊離し、この酸によって分解が促進されるため、本発明のセルロースエステルフィルム(b2)においては安定化剤として酸捕捉剤を含有することが必要である。
本発明において有用な酸捕捉剤としては、酸と反応して酸を不活性化する化合物であれば制限なく用いることができるが、中でも米国特許第4,137,201号明細書に記載されているような、エポキシ基を有する化合物が好ましい。
このような酸捕捉剤としてのエポキシ化合物は当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルエーテル、特にポリグリコール1モル当たりに約8〜40モルのエチレンオキシド等の縮合によって誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテル等、金属エポキシ化合物(例えば、塩化ビニルポリマー組成物において、及び塩化ビニルポリマー組成物と共に、従来から利用されているもの)、エポキシ化エーテル縮合生成物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(即ち、4,4′−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン)、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(特に、2〜22個の炭素原子の脂肪酸の4〜2個程度の炭素原子のアルキルのエステル(例えば、ブチルエポキシステアレート)等)、及び種々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリド等(例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等)の組成物によって代表され例示され得るエポキシ化植物油及び他の不飽和天然油(これらはときとしてエポキシ化天然グリセリドまたは不飽和脂肪酸と称され、これらの脂肪酸は一般に12〜22個の炭素原子を含有している)が含まれる。
また、市販のエポキシ基含有エポキシド樹脂化合物として、EPON 815C(ジャパンエポキシレジン(株)製)、アデカサイザーO−130P、アデカサイザーO−180A((株)ADEKA社製)等、及び下記一般式(E)の他のエポキシ化エーテルオリゴマー縮合生成物も好ましく用いることができる。
式中、nは0〜12の整数である。用いることができるその他の酸捕捉剤としては、特開平5−194788号公報の段落87〜105に記載されているものが含まれる。
酸捕捉剤は0.1〜10質量%添加することが好ましく、更に0.2〜5質量%添加することが好ましく、更に0.5〜2質量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
なお酸捕捉剤は、樹脂に対して酸掃去剤、酸捕獲剤、酸キャッチャー等と称されることもあるが、本発明においてはこれらの呼称による差異なく用いることができる。
<その他の添加剤>
本発明におけるセルロースエステルフィルム(b1)および(b2)には、フィルムの劣化を防止する酸化防止剤、紫外線吸収機能を付与する紫外線吸収剤、フィルムに滑り性を付与するマット剤(微粒子)、フィルムのレターデーションを調整するレターデーション調整剤等の添加剤を含有させることが好ましい。
〈紫外線吸収剤〉
本発明に係るセルロースエステルフィルム(b1)および(b2)は、紫外線吸収剤を含有することもできる。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下である。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特に特開平6−148430号記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、偏光板保護フィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、偏光板保護フィルムに対して0.5〜10質量%が好ましく、0.6〜4質量%がさらに好ましい。
〈酸化防止剤〉
酸化防止剤は劣化防止剤ともいわれる。高湿高温の状態に液晶画像表示装置などがおかれた場合には、セルロースエステルフィルムの劣化が起こる場合がある。
酸化防止剤は、例えば、セルロースエステルフィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等によりセルロースエステルフィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、前記セルロースエステルフィルム中に含有させるのが好ましい。
本発明では、酸化防止剤としては、通常知られているものを使用することができる。
特に、ラクトン系、イオウ系、フェノール系、二重結合系、ヒンダードアミン系、リン系化合物のものを好ましく用いることができる。
例えば、チバ・ジャパン株式会社から、“IrgafosXP40”、“IrgafosXP60”という商品名で市販されているものを含むものが好ましい。
上記フェノール系化合物としては、2,6−ジアルキルフェノールの構造を有するものが好ましく、例えば、チバ・ジャパン株式会社、“Irganox1076”、“Irganox1010”、(株)ADEKA“アデカスタブAO−50”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記リン系化合物は、例えば、住友化学株式会社から、“SumilizerGP”、株式会社ADEKAから“ADK STAB PEP−24G”、“ADK STAB PEP−36”および“ADK STAB 3010”、チバ・ジャパン株式会社から“IRGAFOS P−EPQ”、堺化学工業株式会社から“GSY−P101”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記ヒンダードアミン系化合物は、例えば、チバ・ジャパン株式会社から、“Tinuvin144”および“Tinuvin770”、株式会社ADEKAから“ADK STAB LA−52”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記イオウ系化合物は、例えば、住友化学株式会社から、“Sumilizer TPL−R”および“Sumilizer TP−D”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記二重結合系化合物は、住友化学株式会社から、“Sumilizer GM”および“Sumilizer GS”という商品名で市販されているものが好ましい。
これらの酸化防止剤等は、再生使用される際の工程に合わせて適宜添加する量が決められるが、一般には、フィルムの主原料である樹脂に対して、0.05〜20質量%、好ましくは0.1〜1質量%の範囲で添加される。
これらの酸化防止剤は、一種のみを用いるよりも数種の異なった系の化合物を併用することで相乗効果を得ることができる。例えば、ラクトン系、リン系、フェノール系および二重結合系化合物の併用は好ましい。
〈マット剤〉
本発明に係るセルロースエステルフィルム(b1)または(b2)は、マット剤として微粒子を含有することが好ましい。
本発明に使用される微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムを挙げることができる。また、有機化合物の微粒子も好ましく使用することができる。
有機化合物の例としてはポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプピルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレンカーボネート、アクリルスチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、メラミン系樹脂、ポリオレフィン系粉末、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂、澱粉等の有機高分子化合物の粉砕分級物もあげられる。
あるいは又懸濁重合法で合成した高分子化合物、スプレードライ法あるいは分散法等により球型にした高分子化合物、または無機化合物を用いることができる。
微粒子は珪素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜400nmが好ましく、さらに好ましいのは10〜300nmである。
これらは主に粒径0.05〜0.3μmの2次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径100〜400nmの粒子であれば凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。
偏光板保護フィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.01〜1質量%であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量%が好ましい。共流延法による多層構成の偏光板保護フィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976およびR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂およびアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120および同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vが偏光板保護フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明で用いられる偏光板保護フィルムにおいては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましい。
各種添加剤は製膜前のセルロースエステル含有溶液であるドープにバッチ添加してもよいし、添加剤溶解液を別途用意してインライン添加してもよい。特に微粒子は濾過材への負荷を減らすために、一部または全量をインライン添加することが好ましい。
添加剤溶解液をインライン添加する場合は、ドープとの混合性をよくするため、少量のセルロースエステルを溶解するのが好ましい。好ましいセルロースエステルの量は、溶剤100質量部に対して1〜10質量部で、より好ましくは、3〜5質量部である。
本発明においてインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。
〈レターデーション調整剤〉
本発明では、セルロースエステルフィルム(b1)または(b2)を光学異方性層として使用可能なように、レターデーションを調整する。好ましいレターデーション値を実現するため、公知のレターデーション調整剤を用いるのが好ましい。
特開2007−155972号公報に記載の化合物も好ましく使用することができる。
〈セルロースエステルフィルム(b1)および(b2)の製造方法〉
次に、本発明のセルロースエステルフィルム(b1)および(b2)の製造方法について説明する。
本発明に係るセルロースエステルフィルム(b1)および(b2)は溶液流延法で製造されたフィルムであっても溶融流延法で製造されたフィルムであっても好ましく用いることができる。
本発明のセルロースエステルフィルム(b1)および(b2)の製造は、セルロースエステルおよび添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープを無限に移行する無端の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、さらに乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程により行われる。
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースエステルの濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、さらに好ましくは、15〜25質量%である。
ドープで用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。
良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。
そのため、セルロースエステルの平均酢化度(アセチル基置換度)によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶剤となる。
本発明に用いられる良溶剤は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶剤は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
また、セルロースエステルの溶解に用いられる溶媒は、フィルム製膜工程で乾燥によりフィルムから除去された溶媒を回収し、これを再利用して用いられる。
回収溶剤中に、セルロースエステルに添加されている添加剤、例えば可塑剤、紫外線吸収剤、ポリマー、モノマー成分などが微量含有されていることもあるが、これらが含まれていても好ましく再利用することができるし、必要であれば精製して再利用することもできる。
上記記載のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱できる。
溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。
また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤あるいは膨潤させた後、さらに良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。
好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃がさらに好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
もしくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースエステルを溶解させることができる。
次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生し易いという問題がある。
このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材がさらに好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間に光学フィルム等を置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm2以下であることが好ましい。
より好ましくは100個/cm2以下であり、さらに好ましくは50個/m2以下であり、さらに好ましくは0〜10個/cm2以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。
好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることがさらに好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることがさらに好ましい。
ここで、ドープの流延について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルトもしくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤の沸点未満の温度で、温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。
好ましい支持体温度は0〜55℃であり、25〜50℃がさらに好ましい。あるいは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
セルロースエステルフィルム(b1)および(b2)が良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、さらに好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、セルロースエステルフィルム(b1)および(b2)の乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、さらに乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
本発明のセルロースエステルフィルム(b1)および(b2)を作製するためには、ウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向(横方向)に延伸を行うことが特に好ましい。剥離張力は300N/m以下で剥離することが好ましい。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で熱風で行うことが好ましい。
ウェブの乾燥工程における乾燥温度は40〜200℃で段階的に高くしていくことが好ましい。
セルロースエステルフィルム(b1)および(b2)の膜厚は、特に限定はされないが10〜200μmが用いられる。特に膜厚は10〜100μmであることが特に好ましい。さらに好ましくは20〜60μmである。
本発明のセルロースエステルフィルム(b1)および(b2)は、幅1〜4mのものが用いられる。特に幅1.4〜4mのものが好ましく用いられ、特に好ましくは1.6〜3mである。4mを超えると搬送が困難となる。
本発明で目標とするレターデーション値Ro、Rtを得るには、セルロースエステルフィルム(b1)および(b2)が本発明の構成をとり、さらに搬送張力の制御、延伸操作により屈折率制御を行うことが好ましい。
例えば、長手方向の張力を低くまたは高くすることでレターデーション値を変動させることが可能となる。
また、フィルムの長手方向(製膜方向)およびそれとフィルム面内で直交する方向、即ち幅手方向に対して、逐次または同時に2軸延伸もしくは1軸延伸することができる。
互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に0.8〜1.5倍、幅方向に1.1〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に0.8〜1.0倍、幅方向に1.2〜2.0倍に範囲で行うことが好ましい。
延伸温度は120℃〜200℃が好ましく、さらに好ましくは150℃〜200℃であり、さらに好ましくは150℃を超えて190℃以下で延伸するのが好ましい。
フィルム中の残留溶媒は20〜0%が好ましく、さらに好ましくは15〜0%で延伸するのが好ましい。
具体的には155℃で残留溶媒が11%で延伸する、あるいは155℃で残留溶媒が2%で延伸するのが好ましい。もしくは160℃で残留溶媒が11%で延伸するのが好ましく、あるいは160℃で残留溶媒が1%未満で延伸するのが好ましい。
ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。
また、所謂テンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
製膜工程のこれらの幅保持あるいは横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
本発明のセルロースエステルフィルム(b1)および(b2)の遅相軸または進相軸がフィルム面内に存在し、製膜方向とのなす角をθ1とするとθ1は−1°以上+1°以下であることが好ましく、−0.5°以上+0.5°以下であることがより好ましい。
このθ1は配向角として定義でき、θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器)を用いて行うことができる。θ1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏れを抑制または防止することに寄与でき、カラー液晶表示装置においては忠実な色再現を得ることに寄与できる。
〈セルロースエステルフィルム(b1)および(b2)の物性〉
本発明に係るセルロースエステルフィルム(b1)および(b2)の透湿度は、40℃、90%RHで450〜1800g/m2・24hが好ましく、さらに500〜1500g/m2・24hが好ましく、500〜1300g/m2・24hが特に好ましい。透湿度はJIS Z 0208(1976)に記載の方法に従い測定することができる。
本発明に係るセルロースエステルフィルム(b1)および(b2)は破断伸度は10〜80%であることが好ましく20〜50%であることがさらに好ましい。
本発明に係るセルロースエステルフィルム(b1)および(b2)の可視光透過率は90%以上であることが好ましく、93%以上であることがさらに好ましい。
ヘイズメーターによるフィルムのヘイズ測定において、フィルム屈折率±0.05の屈折率の溶剤をフィルム界面とした場合のヘイズが0.02以下であることが好ましい。
内部のヘイズとは、フィルムの内部の散乱因子により発生するヘイズであり、内部とは、フィルム表面から5μm以上内側の部分である。
この内部のヘイズは、フィルム屈折率±0.05の屈折率の溶剤、例えばグリセリンをフィルム界面に滴下して、フィルム表面のヘイズをできるだけ無視できる状態にして、ヘイズメーターにより測定される。
ヘイズメーターは、型式:NDH 2000(日本電色(株)製)、光源は、5V9Wハロゲン球、受光部は、シリコンフォトセル(比視感度フィルター付き)を用いることができる。
また、本発明のセルロースエステルフィルム(b1)および(b2)にさらに液晶層を塗布することにより、さらに広い範囲にわたるレターデーション値を得ることができる。
<偏光板の作製>
本発明の偏光板の主たる構成要素である偏光子とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。
偏光子は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。
本発明のアクリルフィルム(a)は粘着剤等によって偏光子と密着される。粘着層に用いられる粘着剤としては、粘着層の少なくとも一部分において25℃での貯蔵弾性率が1.0×104Pa〜1.0×109Paの範囲である粘着剤が用いられていることが好ましく、粘着剤を塗布し、貼り合わせた後に種々の化学反応により高分子量体または架橋構造を形成する硬化型粘着剤が好適に用いられる。
具体例としては、例えば、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、水性高分子−イソシアネート系粘着剤、熱硬化型アクリル粘着剤等の硬化型粘着剤、湿気硬化ウレタン粘着剤、ポリエーテルメタクリレート型、エステル系メタクリレート型、酸化型ポリエーテルメタクリレート等の嫌気性粘着剤、シアノアクリレート系の瞬間粘着剤、アクリレートとペルオキシド系の2液型瞬間粘着剤等が挙げられる。
上記粘着剤としては1液型であっても良いし、使用前に2液以上を混合して使用する型であっても良い。
また上記粘着剤は有機溶剤を媒体とする溶剤系であってもよいし、水を主成分とする媒体であるエマルジョン型、コロイド分散液型、水溶液型などの水系であってもよいし、無溶剤型であってもよい。上記粘着剤液の濃度は、粘着後の膜厚、塗布方法、塗布条件等により適宜決定されれば良く、通常は0.1〜50質量%である。
本発明のセルロースエステルフィルム(b1)および(b2)は、通常の方法によりケン化処理したのち、ポリビニルアルコール系接着剤により偏光子と密着される。
アクリルフィルム(a)と、セルロースエステルフィルム(b1)または(b2)は同時に偏光子に貼り合わせても良く、またロール状態でいわゆるロールトウロールで貼り合わせてもよい。
<液晶表示装置>
本発明の偏光板は、前記粘着層等を介して液晶セルに貼合する。その際に本発明の偏光板は、液晶セルの視認側に貼合され、さらに液晶セルとの貼合面は、セルロースエステルフィルム(b1)または(b2)側である。
本発明に係る偏光板は反射型、透過型、半透過型LCDまたはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型(FFS方式も含む)等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。特に画面が30型以上、特に30型〜54型の大画面の表示装置では、画面周辺部での白抜け等もなく、その効果が長期間維持される。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
以下のアクリル樹脂A1−A7、およびMS1、2を公知の方法によって作製した。
A1:モノマー質量比(MMA:MA=98:2)Tg103℃、Mw70000
A2:モノマー質量比(MMA:MA=97:3)Tg102℃、Mw160000
A3:モノマー質量比(MMA:MA=97:3)Tg102℃、Mw350000
A4:モノマー質量比(MMA:MA=97:3)Tg102℃、Mw550000
A5:モノマー質量比(MMA:MA=97:3)Tg102℃、Mw800000
A6:モノマー質量比(MMA:MA=97:3)Tg102℃、Mw930000
A7:モノマー質量比(MMA:MA=94:6)Tg99℃、Mw1100000
MS1:モノマー質量比(MMA:ST=60:40)Tg103℃、Mw100000
MS2:モノマー質量比(MMA:ST=40:60)Tg102℃、Mw100000
また、以下の市販のものを用いた。
ダイヤナールBR50(三菱レイヨン(株)製)Tg100℃ Mw100000
ダイヤナールBR52(三菱レイヨン(株)製)Tg105℃ Mw85000
ダイヤナールBR80(三菱レイヨン(株)製)Tg105℃ Mw95000
ダイヤナールBR83(三菱レイヨン(株)製)Tg105℃ Mw40000
ダイヤナールBR85(三菱レイヨン(株)製)Tg105℃ Mw280000
ダイヤナールBR88(三菱レイヨン(株)製)Tg105℃ Mw480000
80N(旭化成ケミカルズ(株)製)Tg110℃ Mw100000
上記市販のアクリル樹脂(A)における分子中のMMA単位の割合は、ダイヤナールBR50が約30質量%、ダイヤナールBR52が約70質量%、ダイヤナールBR80から80Nは全て90質量%以上99質量%以下であった。
〔アクリルフィルム(a)の作製〕
〈アクリルフィルム(a)1の作製〉
(ドープ液組成1)
ダイヤナールBR85(三菱レイヨン(株)製) 70質量部
セルロースエステル(CE1) 30質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
上記組成物を、加熱しながら十分に溶解し、ドープ液を作製した。
(アクリル樹脂フィルムの製膜)
上記作製したドープ液を、ベルト流延装置を用い、温度22℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離した。
剥離したアクリル樹脂のウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンターで幅方向に1.1倍に延伸しながら、135℃の乾燥温度で乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は10%であった。
テンターで延伸後、130℃で5分間緩和を行った後、120℃、140℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ5μmのナーリング加工を施し、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径15.24cmコアに巻き取り、アクリル樹脂フィルムであるアクリルフィルム(a)1を得た。
ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向の延伸倍率は1.1倍であった。
表1に記載のアクリルフィルム(a)1の残留溶剤量は0.1%であり、膜厚は60μm、巻長は4000mであった。
〈アクリルフィルム(a)2〜42および比較フィルムの作製〉
上記アクリルフィルム(a)1の作製において、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)の種類と組成比を、表1および表2に記載のように代えた以外は同様にして、アクリルフィルム(a)2〜42および比較フィルム43〜45を作製した。
また、表1、表2に記載のセルロースエステル樹脂のアシル基は、acはアセチル基、pはプロピオニル基、bはブチリル基、penはペンチル基、bzはベンゾイル基、phはフタリル基を表す。
〈アクリルフィルム201の作製:相溶していないアクリルフィルムの比較例〉
上記アクリルフィルム1の作製において、ドープ組成を下記に変更した以外は同様にして、アクリル樹脂フィルムであるアクリルフィルム201を作製した。
(ドープ組成液201)
ダイヤナールBR85(三菱レイヨン(株)製) 70質量部
セルロースエステルCE1 30質量部
メチレンクロライド 140質量部
トルエン 200質量部
また、作製したアクリルフィルム201のガラス転移温度を、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて測定したところ、Tg1:105℃と、Tg2:145℃の2箇所にピークが見られ、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)が相溶していないことが分かった。
〔セルロースエステルフィルム(b1)の作製〕
セルロースエステルフィルム(b1)としては、表3に記載のものを使用した。
(b1)−1〜(b1)−4は、それぞれコニカミノルタオプト(株)製のセルロースエステルフィルムKC4UY、KC8UX、KC4UE、KC4FRであり、KC4UYのみがリン酸系可塑剤を含有する。
(b1)−5は、特開2005−272800号実施例6に記載のフィルム17(リン酸系可塑剤を含有する)、(b1)−6は、特開2007−106794号実施例1に記載のサンプル1、(b1)−7は、特開2008−102475号表2記載のCF−1(リン酸系可塑剤を含有する)に準じたフィルムを作製した。
《評価方法》
得られたアクリルフィルム(a)1〜42および比較フィルム43〜45について、以下の評価を実施した。
(透湿度)
JIS Z−0208に従って、各フィルム試料について、40℃、90%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置にて、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)した。そして、透湿度を調湿後質量−調湿前質量により求めた。
(ヘイズ:透明性評価)
上記作製した各々のフィルム試料について、フィルム試料1枚をJIS K−7136に従って、ヘイズメーター(NDH2000型、日本電色工業(株)製)を使用して測定した。
(張力軟化点:耐熱性評価)
23℃、55%RHの空調室で24時間調湿した試料を、同条件下、120mm(縦)×10mm(幅)で切り出し、テンシロン試験機(ORIENTEC社製、RTC−1225A)を使用し10Nの張力で引っ張りながら30℃/minの昇温速度で昇温を続け、9Nになった時点での温度を3回測定し、その平均を出した。
(延性破壊:脆性評価)
23℃、55%RHの空調室で24時間調湿した試料を、同条件下、100mm(縦)×10mm(幅)で切り出し、縦方向の中央部で、曲率半径0mm、折り曲げ角が180°でフィルムがぴったりと重なるように山折り、谷折りと2つにそれぞれ1回ずつ折りまげ、この評価を3回測定して、以下のように評価した。なお、ここでの評価の折れるとは、割れて2つ以上のピースに分離したことを表わす。
○:3回とも折れない
×:3回のうち少なくとも1回は折れる
(液晶表示装置としての特性評価)
〈偏光板の作製〉
各アクリルフィルム(a)およびセルロースエステルフィルム(b1)を偏光板保護フィルムとした偏光板を、以下のようにして作製した。
厚さ120μmの長尺ロールポリビニルアルコールフイルムを、沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で5倍に搬送方向に延伸して偏光子を作製した。
次に、この偏光子の片面にアクリル接着剤を用いて、実施例1で作製したアクリルフィルム(a)にコロナ処理を施したのち、貼合した。
さらに偏光子のもう一方の面にアルカリケン化処理したセルロースエステルフィルム(b1)を貼り合わせ、乾燥して偏光板を作製した。
〈液晶表示装置の作製〉
上記作製した各偏光板を使用して、アクリルフィルムの表示特性評価を行った。
シャープ(株)製32型テレビAQ−32AD5のあらかじめ貼合されていた視認側の偏光板を剥がして、上記作製した偏光板をそれぞれセルロースエステルフィルム(b1)が液晶セルのガラス面側になるように、かつ、あらかじめ貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように貼合し、液晶表示装置を各々作製した。
(視野角変動:偏光板保護フィルムとしての耐熱・耐湿性評価)
以上のようにして作製した液晶表示装置1〜52を用いて下記の評価を行った。
23℃、55%RHの環境で、ELDIM社製EZ−Contrast160Dを用いて液晶表示装置の視野角測定を行った。続いて上記偏光板を60℃、95%RHで1000時間処理したものを同様に測定し、下記基準で3段階評価した。
○:視野角変動が全くない
△:視野角変動が僅かに認められる
×:視野角変動が大きい
(カラーシフト:偏光板保護フィルムとしての耐熱・耐湿性評価)
上記作製した液晶表示装置1〜52に関して、23℃、55%RHの環境でディスプレイを黒表示にし、斜め45°の角度から観察した。続いて上記偏光板を60℃、95%RHで1000時間処理したものを同様に観察し、色変化を下記基準で評価した。
○:色変化が全くない
△:色変化が僅かに認められる
×:色変化が大きい
以上の評価の結果を表4および5に示す。
表4および5に記載のように、本発明のアクリルフィルムは、適度の透湿性を有し、透明で、高耐熱性であり、脆性の改善に優れるという特性を示した。また、本発明のアクリルフィルムを用いて作製した偏光板、液晶表示装置は、耐久性評価後も視認性やカラーシフトに優れた特性を示した。
実施例2
〔セルロースエステルフィルム(b2)の作製〕
セルロースエステルフィルム(b2)としては、表6に記載のものを使用した。
(b2)−1として、特開2005−272800号実施例6に記載のフィルム17(リン酸系可塑剤トリフェニルホスフェートを含有する)に準じたセルロースエステルフィルムを作製し、(b2)−2は、(b2)−1に本発明の酸捕捉剤1(EPON 815C(ジャパンエポキシレジン(株)製)セルロースエステル100質量部に対して1.5質量部)を添加した。
(b2)−3として、特開2008−102475号表2記載のCF−1(リン酸系可塑剤トリフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェートを含有する)に準じたフィルムを作製し、(b2)−4は、b3に本発明の酸捕捉剤2(アデカサイザーO−130P((株)ADEKA社製)セルロースエステル100質量部に対して2質量部)を添加した。
これらのセルロースエステルフィルム(b2)について、実施例1と同様の評価を行い、さらに偏光板、液晶表示装置を作製し、評価した。結果を表7に示す。
表7、8に記載のように、本発明のアクリルフィルムは、適度の透湿性を有し、透明で、高耐熱性であり、脆性の改善に優れるという特性を示した。また、本発明のアクリルフィルムを用いて作製した偏光板、液晶表示装置は、耐久性評価後も視認性やカラーシフトに優れた特性を示した。