JPWO2009122576A1 - 硬貨識別装置および硬貨識別方法 - Google Patents

硬貨識別装置および硬貨識別方法 Download PDF

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Abstract

主判定枠登録部が、少なくとも一つの識別要素のデータに対応する数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録し、補助判定枠登録部が、主判定枠には該当しないものの特定の金種であると判別すべき硬貨についての識別要素ごとの数値範囲である補助判定枠を金種ごとに登録し、排除判定枠登録部が、主判定枠または補助判定枠に該当するものの特定の金種ではないと判別すべき硬貨についての識別要素ごとの数値範囲である排除判定枠を金種ごとに登録し、判別部が、主判定枠または補助判定枠のいずれかに該当し排除判定枠に該当しない硬貨を主判定枠に対応する硬貨であると判別するように硬貨識別装置を構成する。

Description

本発明は、センサ出力に基づく複数の要素がそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別装置および硬貨識別方法に関し、特に、さまざまな国の硬貨に対応することができるとともに識別対象の追加や変動にも柔軟に対応することができる硬貨識別装置および硬貨識別方法に関するものである。
硬貨の金種あるいは真偽を識別する硬貨識別装置では、識別対象となる硬貨の直径、材質、模様、厚みといった各要素を、磁気センサや光センサの出力に基づいてチェックすることが行われている。ここで、かかるチェックは、真正な硬貨の各要素に対応するセンサ出力が、所定の数値範囲に含まれるかを判定することによって行われる(以下では、この判定に用いられる数値範囲の組のことを「判定枠」と記載する)。なお、判定枠を用いて金種判定を行う硬貨識別装置としては、たとえば、特許文献1に開示されているものなどがある。
かかる判定枠を用いた硬貨識別では、たとえば、すべてのセンサ出力値が、特定の判定枠における各数値範囲にそれぞれ含まれている場合に、この判定枠に対応する金種の真正硬貨であると判定される。ここで、所定の数値範囲の組を有する判定枠を用いるのは、真正な硬貨にも個体差がありセンサにも個体差があるためである。また、発行されたばかりの新貨と、市場で流通した流通貨とでは、各センサ出力にばらつきがみられるためである。したがって、所定の数値範囲の組を有する判定枠を用いることとすれば、真正な硬貨を誤ってリジェクトしてしまうことを防止することができる。
ところで、上記した判定枠を金種ごとに作成するためには、大量の新貨や流通貨を用いたサンプル収集が必要である。たとえば、日本の硬貨を識別対象とする場合には、日本国内の新貨や流通貨を入手することは容易であるので、硬貨識別装置の開発時にあらかじめ判定枠を生成したり、あらたな硬貨が発行される際にあらたな判定枠を再作成したりすることに特に問題は生じない。
特開2003−256902号公報
しかしながら、他国の硬貨を識別する硬貨識別装置を開発する場合には、硬貨識別装置の開発時に、各国の新貨や流通貨を大量に入手することが難しく、上記した判定枠の作成自体が困難であるという問題があった。
また、硬貨識別装置の導入後に、通過率(真正な硬貨を真正であると判定する割合)が低下した場合や、あらたな偽装硬貨の出現などによって排除対象が増えた場合などには、これらの事象に迅速に対処する必要がある。しかし、従来の判定枠を用いた手法では、判定枠の変更を容易に行うことができず、迅速な対応が困難であるという問題もあった。
これらのことから、判定枠を用いた硬貨識別を行いつつも、さまざまな国の硬貨に対応することができるとともに、識別対象の追加や変動にも柔軟に対応することができる硬貨識別装置あるいは硬貨識別方法をいかにして実現するかが大きな課題となっている。
本発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、判定枠を用いた硬貨識別を行いつつも、さまざまな国の硬貨に対応することができるとともに識別対象の追加や変動にも柔軟に対応することができる硬貨識別装置および硬貨識別方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、センサ出力に基づく複数の識別要素のデータがそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別装置であって、少なくとも一つの前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録する主判定枠登録手段と、前記主判定枠には該当しないものの特定の金種であると判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である補助判定枠を金種ごとに登録する補助判定枠登録手段と、前記主判定枠または前記補助判定枠に該当した硬貨を当該主判定枠に対応する金種であると判別する判別手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、センサ出力に基づく複数の識別要素のデータがそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別装置であって、少なくとも一つの前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録する主判定枠登録手段と、前記主判定枠に該当するものの特定の金種ではないと判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である排除判定枠を金種ごとに登録する排除判定枠登録手段と、前記主判定枠に該当し前記排除判定枠に該当しない硬貨を当該主判定枠に対応する金種であると判別する判別手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、センサ出力に基づく複数の識別要素のデータがそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別装置であって、少なくとも一つの前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録する主判定枠登録手段と、前記主判定枠には該当しないものの特定の金種であると判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である補助判定枠を金種ごとに登録する補助判定枠登録手段と、前記主判定枠または前記補助判定枠に該当するものの特定の金種ではないと判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である排除判定枠を金種ごとに登録する排除判定枠登録手段と、前記主判定枠または前記補助判定枠のいずれかに該当し前記排除判定枠に該当しない硬貨を当該主判定枠に対応する硬貨であると判別する判別手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記主判定枠登録手段は、すべての前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複している場合に、すべての識別要素の中で両数値範囲内における各分布が最も離れた識別要素についての各数値範囲が重複しないように調整することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記補助判定枠登録手段は、特定の識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように前記主判定枠登録手段によって調整された場合に、調整前に重複していた前記数値範囲を前記特定の識別要素に係る数値範囲として有し、当該数値範囲に含まれる各データの他の識別要素における存在範囲を前記他の識別要素に係る数値範囲として有する前記補助判定枠を登録することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記補助判定枠登録手段は、金種ごとに複数の前記補助判定枠を登録することが可能であり、前記排除判定枠登録手段は、金種ごとに複数の前記排除判定枠を登録することが可能であることを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、金種ごとに複数の前記補助判定枠または複数の前記排除判定枠が登録された場合に、前記補助判定枠同士または前記排除判定枠同士を比較し、すべての前記識別要素について各識別要素に対応する両数値範囲が重複部分を有しているか接している場合に、該当する両判定枠を数値範囲が連続した1つの判定枠とする融合を行うことを特徴とする。
また、本発明は、センサ出力に基づく複数の識別要素のデータがそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別方法であって、少なくとも一つの前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録する主判定枠登録工程と、前記主判定枠には該当しないものの特定の金種であると判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である補助判定枠を金種ごとに登録する補助判定枠登録工程と、前記主判定枠または前記補助判定枠に該当した硬貨を当該主判定枠に対応する金種であると判別する判別工程とを含んだことを特徴とする。
また、本発明は、センサ出力に基づく複数の識別要素のデータがそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別方法であって、少なくとも一つの前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録する主判定枠登録工程と、前記主判定枠に該当するものの特定の金種ではないと判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である排除判定枠を金種ごとに登録する排除判定枠登録工程と、前記主判定枠に該当し前記排除判定枠に該当しない硬貨を当該主判定枠に対応する金種であると判別する判別工程とを含んだことを特徴とする。
また、本発明は、センサ出力に基づく複数の識別要素のデータがそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別方法であって、少なくとも一つの前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録する主判定枠登録工程と、前記主判定枠には該当しないものの特定の金種であると判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である補助判定枠を金種ごとに登録する補助判定枠登録工程と、前記主判定枠または前記補助判定枠に該当するものの特定の金種ではないと判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である排除判定枠を金種ごとに登録する排除判定枠登録工程と、前記主判定枠または前記補助判定枠のいずれかに該当し前記排除判定枠に該当しない硬貨を当該主判定枠に対応する硬貨であると判別する判別工程とを含んだことを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも一つの識別要素に対応する数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録し、主判定枠には該当しないものの特定の金種であると判別すべき硬貨についての識別要素ごとの数値範囲である補助判定枠を金種ごとに登録し、主判定枠または補助判定枠に該当した硬貨を主判定枠に対応する金種であると判別することとしたので、主判定枠と、主判定枠によって排除されるものの本来は排除すべきではない硬貨を通過させるための補助判定枠とを用いることによって、さまざまな国の硬貨に対応することができるとともに、識別対象の追加や変動にも柔軟に対応することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、少なくとも一つの識別要素に対応する数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録し、主判定枠に該当するものの特定の金種ではないと判別すべき硬貨についての識別要素ごとの数値範囲である排除判定枠を金種ごとに登録し、主判定枠に該当し排除判定枠に該当しない硬貨を主判定枠に対応する金種であると判別することとしたので、主判定枠と、主判定枠によっては排除されないものの本来は排除すべき硬貨を排除するための排除判定枠とを用いることによって、さまざまな国の硬貨に対応することができるとともに識別対象の追加や変動にも柔軟に対応することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、少なくとも一つの識別要素に対応する数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録し、主判定枠には該当しないものの特定の金種であると判別すべき硬貨についての識別要素ごとの数値範囲である補助判定枠を金種ごとに登録し、主判定枠または補助判定枠に該当するものの特定の金種ではないと判別すべき硬貨についての識別要素ごとの数値範囲である排除判定枠を金種ごとに登録し、主判定枠または補助判定枠のいずれかに該当し排除判定枠に該当しない硬貨を主判定枠に対応する硬貨であると判別することとしたので、主判定枠によって排除されるものの本来は排除すべきではない硬貨を通過させるための補助判定枠と、主判定枠または補助判定枠によっては排除されないものの本来は排除すべき硬貨を排除するための排除判定枠とを用いることを用いることによって、さまざまな国の硬貨に対応することができるとともに識別対象の追加や変動にも柔軟に対応することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、すべての識別要素に対応する数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する数値範囲と重複している場合に、すべての識別要素の中で両数値範囲内における各分布が最も離れた識別要素についての各数値範囲が重複しないように調整することとしたので、最も差異が生じやすい識別要素において両主判定枠が重複しないように調整することによって、各金種にそれぞれ対応する各主範囲枠を区別して登録することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、特定の識別要素に対応する数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する数値範囲と重複しないように調整された場合に、調整前に重複していた数値範囲を特定の識別要素に係る数値範囲として有し、この数値範囲に含まれる各データの他の識別要素における存在範囲を他の識別要素に係る数値範囲として有する補助判定枠を登録することとしたので、重複した両主範囲枠における特定の識別要素が重複しないように調整された場合に、調整部分に該当する各データが各識別要素においてとりうる数値範囲の組を補助判定枠へ自動的に登録することによって、主判定枠の調整部分に該当する硬貨を主判定枠に対応する補助判定枠で通過させることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、金種ごとに複数の補助判定枠を登録することが可能であり、金種ごとに複数の排除判定枠を登録することが可能であることとしたので、あらたな偽貨が出現した場合や、流通する硬貨の質が変化した場合であっても、柔軟に対応することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、金種ごとに複数の補助判定枠または複数の排除判定枠が登録された場合に、補助判定枠同士または排除判定枠同士を比較し、すべての識別要素について各識別要素に対応する両数値範囲が重複部分を有しているか接している場合に、該当する両判定枠を数値範囲が連続した1つの判定枠とする融合を行うこととしたので、補助判定枠あるいは排除判定枠に対応する記憶容量を低減することができるとともに、判定処理を高速化することができるという効果を奏する。
図1は、本発明に係る硬貨識別手法の概要を示す図である。 図2は、本実施例に係る硬貨識別装置の構成を示すブロック図である。 図3は、センサ部の構成例を示す図である。 図4は、センサ部の構成を示すブロック図である。 図5は、主判定枠の一例を示す図である。 図6は、センサ値の分布例を示す図である。 図7は、主判定枠の重複補正に伴う補助判定枠の自動生成処理の概要を示す図である。 図8は、補助判定枠および排除判定枠の一例を示す図である。 図9は、主判定枠と補助判定枠との関係の一例を示す図である。 図10は、主判定枠と排除判定枠との関係の一例を示す図である。 図11は、判定枠の融合を説明するための図である。 図12は、判別部の処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 数値範囲
1a 上限値
1b 下限値
10 硬貨識別装置
11 センサ部
11ca、11cb、11cc センサ
11da、11db、11dc 波形整形回路
11e A/Dコンバータ
12 センサ値入力部
13 制御部
13a 主判定枠登録部
13b 補助判定枠登録部
13c 排除判定枠登録部
13d 判定枠融合部
13e 判別部
14 記憶部
14a 主判定枠
14b 補助判定枠
14c 排除判定枠
100 硬貨
200 搬送路下面
300 搬送用ベルト
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る硬貨識別手法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る硬貨識別手法の概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係る硬貨識別手法を適用した硬貨識別装置についての実施例を図2〜図12を用いて説明することとする。
図1は、本発明に係る硬貨識別手法の概要を示す図である。同図に示すように、「判定枠」とは、センサ値の各識別要素(以下、単に「要素」と記載する)における金種ごとの正当な数値範囲1(下限値1b/上限値1a間)の組を指す。たとえば、同図に示すように、要素Aにおける数値範囲1と同様に、要素B〜要素Dについてもそれぞれ数値範囲が設定される。そして、各要素における数値範囲に、すべてのセンサ値がそれぞれ含まれる場合に、判定枠に対応する金種であると判定される。なお、各要素としては、たとえば、直径、材質、厚み、凹凸、ギザ数、穴情報、バイメタル情報等があげられる。また、要素の個数には、特に制限はない。
ここで、本発明に係る硬貨識別手法では、同図に示すように、主判定枠、補助判定枠および排除判定枠という各判定枠を用いて硬貨識別を行う点に主たる特徴がある。主判定枠とは、基本となる判定枠のことを指し、補助判定枠とは、主判定枠では排除されてしまうが本来は排除したくない硬貨を通過させるための判定枠のことを指す。また、排除判定枠とは、主判定枠または補助判定枠では通過してしまうが本来は通過させたくない硬貨を排除するための判定枠のことを指す。
そして、特定の金種に対応する主判定枠には、1つ以上の補助判定枠および1つ以上の排除判定枠が対応付けられており、これらの判定枠の組が、金種の数だけ用意される。このように、本発明に係る硬貨識別手法では、それぞれが変更可能な3種類の判定枠を登録し(同図の(1)参照)、各判定枠を用いて硬貨識別を行う(同図の(2)参照)。すわなち、主判定枠を基本としながらも、例外的に通過させる硬貨や、例外的に排除する硬貨についての条件を補助判定枠や排除判定枠として定義することで、識別対象の追加や変動、あるいは、識別内容の変更にも柔軟に対応することができる。
なお、本発明に係る硬貨識別手法では、主判定枠同士が重複した場合、たとえば、金種Aに対応する主判定枠と、金種Bに対応する主判定枠とがすべての要素において重複した場合には、所定の要素において主判定枠同士が重複しないように調整する補正を行う。そして、調整した要素における重複部分に含まれる金種Aの硬貨を判別するための補助判定枠および金種Bの硬貨を判別するための補助判定枠を自動的に生成する。なお、これらの点の詳細については、図7を用いて後述することとする。以下では、図1に示した本発明に係る硬貨識別手法を適用した硬貨識別装置の実施例を図2〜図12を用いて説明する。
図2は、本実施例に係る硬貨識別装置10の構成を示すブロック図である。なお、同図では、硬貨識別装置10の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、硬貨の搬送機構などの記載を省略している。
同図に示すように、硬貨識別装置10は、センサ部11と、センサ値入力部12と、制御部13と、記憶部14とを備えている。そして、制御部13は、主判定枠登録部13aと、補助判定枠登録部13bと、排除判定枠登録部13cと、判定枠融合部13dと、判別部13eとをさらに備えており、記憶部14は、主判定枠14aと、補助判定枠14bと、排除判定枠14cとを記憶する。
センサ部11は、硬貨が搬送される搬送路に設けられたセンサ群であり、硬貨通過時における各センサのセンサ値をセンサ値入力部12へ渡す処理を行う。ここで、センサ部11について図3および図4を用いて詳細に説明する。図3は、センサ部11の構成例を示す図である。なお、同図の11aにはセンサ部11の上面図を、同図の11bにはセンサ部11の側面図を、同図の11ca、11cbおよび11ccには、同図に示した直線A、直線Bおよび直線Cにおけるセンサ部11の断面図を、それぞれ示している。
同図に示すように、識別対象となる硬貨100は、搬送用ベルト300によって搬送路下面200に押し付けられた状態で搬送される。そして、硬貨100がセンサ部11を通過する際には、センサ部11内に設けられた各センサによって各センサ値が取得される。たとえば、同図の11caに示したのは、コイル103aおよびコイル103cと、コイル103bおよびコイル103cとの組み合わせで硬貨100の直径を検出するセンサである。
また、同図の11cbに示したのは、コイル103dおよびコイル103eの組み合わせで硬貨100の材質あるいは厚みを検出するセンサである。さらに、同図の11ccに示したのは、受発光素子103fで硬貨100の反射率等を検出するセンサである。なお、同図に示したセンサは一例であり、他の種類のセンサを用いることとしても構わない。また、各センサの個数には特に制限はなく、各センサによる検出値を組み合わせたものをセンサ値として使用することとしてもよい。
図4は、センサ部11の構成を示すブロック図である。同図に示すように、センサA11caからの出力信号は、波形整形回路11daで整形されたうえでA/D(アナログ/デジタル)コンバータ11eへ入力される。また、センサB11cbからの出力信号については、波形整形回路11dbで整形されたうえでA/D(アナログ/デジタル)コンバータ11eへ入力される。
同様に、センサC11ccからの出力信号についても、波形整形回路11dcで整形されたうえでA/D(アナログ/デジタル)コンバータ11eへ入力される。そして、A/Dコンバータ11eは、各信号値をデジタルデータとしてセンサ値入力部12へ出力する。なお、同図には、3つのセンサを示しているが、センサの個数には特に制限はない。
センサ値入力部12は、センサ部11から受け取った各センサ値を制御部13の判別部13eへ渡す処理を行う。なお、硬貨識別装置10に実際に硬貨を流動させ、主判定枠14aをあらたに生成する場合には、このセンサ値入力部12は、各センサ値を制御部13の主判定枠登録部13aへ渡す処理も行う。また、補助判定枠14bあるいは排除判定枠14cを、硬貨の流動によって生成する場合には、各センサ値を制御部13の補助判定枠登録部13bあるいは排除判定枠登録部13cへ渡すこともできる。
制御部13は、各金種に対応する各判定枠(主判定枠14a、補助判定枠14bおよび排除判定枠14c)を記憶部14へ登録する処理を行うとともに、これらの判定枠を用いた金種判別処理を行う処理部である。また、この制御部13は、特定の金種について複数の補助判定枠14bや、複数の排除判定枠14cが登録された場合に、重複した判定枠同士を融合することで、判定枠の記憶領域を削減する処理を行う処理部でもある。
主判定枠登録部13aは、硬貨識別装置10が識別対象とする金種ごとの主判定枠14aを、特定の金種に係る硬貨を流動させた場合におけるセンサ値入力部12からの出力に基づいて生成するとともに、生成した主判定枠14aを記憶部14へ登録する処理を行う処理部である。また、この主判定枠登録部13aは、各金種に対応する主判定枠14aの重複チェック(ラップチェック)を行い、該当する主判定枠14a同士が重複しないように補正する処理(重複補正処理)を行う処理部でもある。
なお、本実施例では、判定枠生成用の硬貨を実際に流動させ、主判定枠14aを生成する場合について説明するが、他の硬貨識別装置10や外部装置で生成された主判定枠14aを主判定枠登録部13a経由で記憶部14aへ登録することとしてもよい。
ここで、主判定枠14aの例について図5を用いて説明する。図5は、主判定枠14aの一例を示す図である。同図に示すように、主判定枠14aは、たとえば、テーブル形式(行/列形式)のデータであり、テーブルの「列」方向には、要素ごとに数値範囲の上限値をあらわす「上限」と下限値をあらわす「下限」とが、要素の個数分だけ用意される。そして、同図に示す1行あたりのデータが各金種に対応しており、金種の数だけテーブルの「行」が用意される。
たとえば、金種αに対応する1行目のデータの場合、要素Aの上限はαAHで下限はαALであり、要素Bの上限はαBHで下限はαBLであり、要素Cの上限はαCHで下限はαCLであるものとする。また、金種βに対応する2行目のデータの場合、要素Aの上限はβAHで下限はβALであり、要素Bの上限はβBHで下限はβBLであり、要素Cの上限はβCHで下限はβCLであるものとする。
次に、図5に示した各「要素」における「上限」および「下限」の決定手順について図6を用いて説明する。図6は、センサ値の分布例を示す図である。なお、同図の(1)にはセンサ値の分布が正規分布に近い分布である場合を、同図の(2)にはセンサ値の分布が下限側に片寄った分布である場合を、同図の(3)にはセンサ値の分布が上限側に片寄った分布である場合を、それぞれ示している。また、同図における106aはセンサ値の分布における最小値(MIN)を、106bは同じく最大値(MAX)を、106cは同じく平均値(AVE)を、それぞれ示している。
図5に示した各「要素」における「上限」および「下限」を決定するには、まず、生成したい主判定枠14aに対応する金種の硬貨を所定枚数(たとえば、50枚)、硬貨識別装置10で流動させ、センサ値入力部12を介して材質、直径、厚みといった要素ごとのセンサ値の分布状況を取得する。そして、主判定枠登録部13aは、統計的手法を用いて要素ごとの「上限」および「下限」を決定する。
具体的には、各要素について、最大値(MAX)および最小値(MIN)を取得するとともに平均値(AVE)を算出する。そして、最大値と平均値との差(ΔH=MAX−AVEおよび平均値と最小値との差(ΔL=AVE−MIN)を算出する。つづいて、上限側の分布である「ΔH」と下限側の分布である「ΔL」との差を標準偏差σで除した値(A=(ΔH−ΔL)/σ)に応じて分布が正規分布に近いか、上限あるいは下限に片寄った分布であるかを判定し、要素ごとの「上限」および「下限」を決定する。
たとえば、「−2≦A≦2」の場合には、正規分布に近い分布形状(図6の(1)参照)と考えられるので、上限は「AVE+5σ」、下限は「AVE−5σ」と決定される。また、「A<−2」の場合には、下限側分布が広い分布形状(図6の(2)参照)と考えられるので、上限は「AVE+3σ」、下限は「AVE−7σ」と決定される。また、「A>2」の場合には、上限側分布が広い分布形状(図6の(3)参照)と考えられるので、上限は「AVE+7σ」、下限は「AVE−3σ」と決定される。
このような上限および下限の決定処理をすべての要素について行うことで、特定の金種に対応した主判定枠14aが生成される(図5の各行に対応)。また、同様の処理を他の金種についても行うことで、図5に示したテーブルが生成される。
そして、各金種に対応した主判定枠14aが生成されると、主判定枠登録部13aは、各金種に対応する主判定枠14aの重複チェック(ラップチェック)を行う。以下では、既に示した図5を用いて重複チェック(ラップチェック)の概要について説明する。重複チェック(ラップチェック)では、各金種の各要素における数値範囲(上限/下限間の範囲)が重複しているか否かがチェックされる。
たとえば、要素Aにおける金種αと金種βとの重複チェックにおいては、「αAH−βAL>0」かつ「αAL-βAH>0」を条件1とし、「αAH−βAL<0」かつ「αAL−βAH<0」を条件2とすると、条件1または条件2を満たした場合には「金種αと金種βとは要素Aで重複領域をもたない」と判定される。一方、条件1および条件2のいずれも満たさない場合には「金種αと金種βとは要素Aで重複領域をもつ」と判定される。
そして、このような判定を全要素について行ったうえで、少なくとも1つの要素において「重複領域をもたない」と判定された場合には、該当する両金種は、重複補正処理の対象とはならない。一方、すべての要素において「重複領域をもつ」と判定された場合には、該当する両金種は、重複補正処理の対象とされる。なお、ここでは金種αと金種βとの重複チェックについて説明したが、かかる重複チェックはすべての金種の組み合わせについて行われる。たとえば、図5に示した場合では、金種α/金種β間、金種α/金種γ間および金種β/金種γ間の重複チェックが行われる。
次に、重複チェック(ラップチェック)の結果、すべての要素において「重複する領域をもつ」と判定された主判定枠14a同士が重複しないように補正する処理(重複補正処理)について説明する。なお、以下では、図5に示した金種αと金種βとがすべての要素において「重複する領域をもつ」と判定された場合について説明する。
このような場合、各要素におけるセンサ値分布の平均値の差を各要素におけるセンサ値分布の標準偏差(σ)の和で除し、その絶対値をとった値(TH)を算出する。そして、各要素のなかでTHが最も大きい要素を、補正対象の要素として選択する。なお、THは、「TH=ABS((金種αのAVE−金種βのAVE)/(金種αのσ+金種βのσ))」とあらわされる。ここで、「ABS」は、絶対値を意味する。
このようにして補正対象とする要素が決定されると、つづいて、重複補正処理が実行される。ここでは、図5に示した「要素A」が補正対象として選択され、金種αの要素Aにおけるセンサ値分布の平均値(AVE)が、金種βの要素Aにおけるセンサ値分布の平均値(AVE)よりも大きい場合について説明する。
このような場合、式「X=金種αのAVE−TH×金種αのσ」で算出される「X」を、金種αにおける要素Aの「下限」として設定する。そして、「X−1」を、金種βにおける要素Aの「上限」として設定する。このようにして、各金種に対応する主判定枠14aは、少なくとも一つの要素における数値範囲が、他の金種の該当要素における数値範囲とは重複しないように調整される。
次に、補助判定枠登録部13bについて説明する。補助判定枠登録部13bは、主判定枠14aでは排除されてしまうが本来は排除したくない硬貨を通過させるための判定枠である補助判定枠14bを、記憶部14へ登録する処理を行う処理部である。また、この補助判定枠登録部13bは、主判定枠登録部13aによる重複補正処理によって主判定枠14aの特定の要素について「上限」あるいは「下限」が補正された場合に、補正前の範囲に存在した両金種のデータを、それぞれの金種と判定するための補助判定枠14bを自動的に生成する処理を併せて行う。
ここで、主判定枠14aの重複補正に伴う補助判定枠14bの自動生成処理の概要について図7を用いて説明する。図7は、主判定枠14aの重複補正に伴う補助判定枠14bの自動生成処理の概要を示す図である。なお、図7では、図5に示したテーブルの各項目に対応した「αAH」、「βAH」などの符号を用いている。
図7の(1)に示すように、金種αの要素Aの分布(同図に示すαAの分布)と、金種βの要素Aの分布(同図に示すβAの分布)とが部分的に重なっており、主判定枠登録部13aの重複補正処理の対象とされた場合、上記した「X」の値に基づき、金種αの下限は「X」とされ、金種αの要素Aの数値範囲は、下限「X」〜上限「αAH」へと変更される。なお、金種βの上限は「X−1」とされ、金種βの要素Aの数値範囲は、下限「βAL」〜上限「X−1」へと変更される。
この場合において、あらたな下限「X」への変更によって金種αの要素Aの数値範囲に含まれなくなった部分(図7の(1)の斜線部分)、すなわち、下限「αAL」〜上限「X−1」の数値範囲は、金種αの補助判定1の要素A(後述する図8参照)へ登録される。また、図7の(1)の斜線部分に分布していた各データに対応するデータが、金種αの他の要素においてどのように分布しているかが検索される。
たとえば、金種αの要素Bにおいて、図7の(1)の斜線部分に含まれるデータが、要素Bにおいては図7の(2−1)の斜線部分に示したように分布している場合には、かかる部分の下限(BL)および上限(BH)が、金種αの補助判定1の要素Bへ登録される。また、金種αの要素Cにおいて、図7の(1)の斜線部分に含まれるデータが、要素Cにおいては図7の(2−2)の斜線部分に示したように分布している場合には、かかる部分の下限(CL)および上限(CH)が、金種αの補助判定1の要素Cへ登録される。なお、このような検索処理は、すべての要素について行われる。
なお、補助判定枠登録部13bは、主判定枠14aの重複補正が行われた場合に、このような補助判定枠14bの自動生成処理を行う他、所定の判定条件を補助判定枠14bへ追加登録する処理も併せて行う。たとえば、特定の金種に対応する主判定枠14aで実際に排除される真貨を流動させてセンサ値入力部12から各センサ値を含んだデータ(リジェクトデータ)を取得し、このデータにおける各要素における数値範囲を算出して図8に示したテーブルへ登録する。なお、補助判定枠14aにあらたな判定条件を追加する際に、各数値範囲の幅(上限−下限)を主判定枠14aにおける数値範囲の幅で除した値が1/4よりも大きい場合に、警告を発することとしてもよい。
次に、排除判定枠登録部13cについて説明する。排除判定枠登録部13cは、主判定枠14aまたは補助判定枠14bでは通過してしまうが本来は通過させたくない硬貨を排除するための判定枠である排除判定枠14cを、記憶部14へ登録する処理を行う処理部である。ここで、補助判定枠登録部13bによって登録される補助判定枠14bおよび排除判定枠登録部13cによって登録される排除判定枠14cの例について図8を用いて説明する。図8は、補助判定枠14bおよび排除判定枠14cの一例を示す図である。
同図に示すように、補助判定枠14bおよび排除判定枠14cは、図5に示した主判定枠14aと同様なテーブル形式のデータであり、判定ルールごと(同図に示す、判定1、判定2および判定3)に要素ごとの上限値をあらわす「上限」と、下限値をあらわす「下限」を定義したものである。ここで、補助判定枠14bおよび排除判定枠14cには、判定ルールごとに「有効フラグ」項目が設けられており、この有効フラグが「ON」に設定されている判定ルールのみが判定に用いられる。このように有効フラグ項目を設けることで、特定の判定ルールを一時的に用いないこととしたり、特定の国では、所定の判定ルールのみを用いることとしたりすることができる。
同図に示した補助判定枠14bおよび排除判定枠14cは、特定の金種に係る主判定枠14aにそれぞれ対応付けられており、主判定枠14aでは排除されてしまうが本来は通過させたい硬貨の条件が補助判定枠14bへ、主判定枠14aまたは補助判定枠14bでは通過してしまうが本来は排除したい硬貨の条件が排除判定枠14cへ、それぞれ登録される。このように、補助判定枠14bおよび排除判定枠14cを、主判定枠14aとは独立して保持することで、金種判別を柔軟に行うことができる。
次に、主判定枠14aと補助判定枠14bとの関係の例、主判定枠14aと排除判定枠14cとの関係の例について図9および図10を用いて説明する。図9は、主判定枠14aと補助判定枠14bとの関係の一例を示す図である。なお、同図に示す109aa、109aj、109akおよび109alは、主判定枠14aにおける各要素の数値範囲であり、同図に示す109ba、109bj、109bkおよび109blは、補助判定枠14bにおける各要素の数値範囲であるものとする。
図9に示した場合では、補助判定枠14bの数値範囲は、要素Lに対応する109bl以外のものがすべて主判定枠14aの数値範囲に含まれている。このように、所定の要素(同図では要素L)について、主判定枠14aには含まれないために排除されてしまうが、本来は通過させたい硬貨の判定条件を補助判定枠14bへ登録することで、流通期間が長くなるなどして真正硬貨の通過率が低下した場合などに、柔軟に対応することができる。
図10は、主判定枠14aと排除判定枠14cとの関係の一例を示す図である。なお、同図に示す110aa、110aj、110akおよび110alは、主判定枠14aにおける各要素の数値範囲であり、同図に示す110ba、110bj、110bkおよび110blは、排除判定枠14cにおける各要素の数値範囲であるものとする。
図10に示した場合では、排除判定枠14cの数値範囲は、すべて主判定枠14aの数値範囲に含まれているが、主判定枠14aの各数値範囲に比べてすべてが狭い範囲のものとなっている。このような排除判定枠14cは、主判定枠14aのすべての要素における数値範囲に合致するものの、特定の条件を満たした硬貨を排除したい場合に用いられる。すなわち、排除判定枠14cは、主判定枠14aでは通過してしまうが本来は通過させたくない硬貨を排除したい場合に用いられる。また、この排除判定枠14cは、補助判定枠14bでは通過してしまうが本来は通過させたくない硬貨を排除したい場合にも用いられる。
このように、主判定枠14aにおけるすべての要素を満たすため通過してしまうが、本来は排除したい偽貨や他国の類似硬貨などの硬貨の判定条件を排除判定枠14cへ登録することで、あらたな偽貨の出現などによる排除対象の増加に対して柔軟に対応することができる。
次に、判定枠融合部13dについて説明する。判定枠融合部13dは、補助判定枠14bや排除判定枠14cにそれぞれ複数の判定枠(図8における判定1、判定2などを参照)が登録された場合に、重複した判定枠同士を合わせて判定条件を少なくするための「融合」処理を行う処理部である。なお、この「融合」は、同一要素内の判定枠設定について行われる。このように、判定枠を融合することで、判定枠を記憶するための記憶領域を削減することができるとともに、判定処理の高速化を図ることができる。
ここで、判定枠融合部13dが行う判定枠融合処理について図11を用いて説明する。図11は、判定枠の融合を説明するための図である。なお、同図には、補助判定枠14bを示しており、判定1における要素Aの上限および下限をそれぞれ「1AH」および「1AL」、判定1における要素Bの上限および下限をそれぞれ「1BH」および「1BL」のようにあらわすものとする。また、判定2における要素Aの上限および下限をそれぞれ「2AH」および「2AL」、判定2における要素Bの上限および下限をそれぞれ「2BH」および「2BL」のようにあらわすものとする。
判定枠融合処理では、各要素単位で、各判定条件(判定1、判定2など)が、同一分布とみなせるか否かを判定し、同一分布とみなせると判定した場合には両判定条件を融合させて1つの判定条件とする。具体的には、比較する両判定条件において、各要素の数値範囲が、「(1)いずれかの数値範囲に含まれる」、「(2)重複(ラップ)している」、「(3)接している」、のいずれかに合致するかを判定してすべての要素について(1)〜(3)の条件を満たした場合に、両判定条件を融合する。
「(1)いずれかの数値範囲に含まれる」か否かを判定する場合、たとえば、要素Aについて判定3の内容と判定2の内容とを比較し、「3AH−2AH≧0」かつ「2AL−3AL≧0」、または、「3AH−2AH≦0」かつ「2AL−3AL≦0」、のいずれかを満たした場合に(1)の条件を満たすと判定する。
また、「(2)重複(ラップ)している」か否かを判定する場合、たとえば、要素Aについての判定3の内容と判定2の内容とを比較し、「3AL<2AL<3AH」または「3AL<2AH<3AH」のいずれかを満たした場合に(2)の条件を満たすと判定する。
また、「(3)接している」か否かを判定する場合、たとえば、要素Aについての判定3の内容と判定2の内容とを比較し、「3AH=2AL」または「2AH=3AL」のいずれかを満たした場合に(3)の条件を満たすと判定する。
なお、判定枠融合処理では、テーブルにおける後方から(判定番号が大きいほうから)順に比較していくものとする。たとえば、図11に示した場合では、判定3と判定2とが比較され、次に、判定2と判定1とが比較される。そして、すべての要素について(1)〜(3)の条件を満たした両判定条件では、要素ごとに上限および下限の融合を行って判定番号が小さいほうの判定条件を更新するとともに、判定番号が大きいほうの判定条件をテーブルから削除する。そして、かかる比較を判定番号が最も小さい判定条件を比較対象とするまで繰り返していく。
なお、要素ごとの上限および下限の融合は、以下の手順で行われる。たとえば、判定2と判定3とを融合する場合、要素Aにおける上限および下限である、2AH、2AL、3AHおよび3ALのうち最も大きいものをあらたな上限とし、最も小さいものをあらたな下限とする。そして、すべての要素について上限および下限の融合を行い、あらたな判定2とするとともに、判定3については削除する。
次に、判別部13eについて説明する。判別部13eは、記憶部に登録された金種ごとの主判定枠14a、補助判定枠14bおよび排除判定枠14cを用いて硬貨の金種を判別する処理を行う処理部である。ここで、この判別部13eが行う判別処理について図12を用いて説明する。図12は、判別部13eの処理手順を示すフローチャートである。なお、同図のステップS101に先立って、径センサや広い判定枠などを用いて大まかな金種が判別されているものとする。
同図に示すように、判別部13eは、所定の金種に対応する主判定枠14aを選択し(ステップS101)、判別対象となる硬貨のセンサ値が主判定枠14aの全要素を満たすか否かを判定する(ステップS102)。そして、主判定枠14aの全要素を満たす場合には(ステップS102,Yes)、主判定枠14aと対応付けられた排除判定枠14cの全要素を満たすか否かを判定する(ステップS104)。
そして、排除判定枠14bの少なくとも一つの要素を満たさない場合には(ステップS104,No)、判別対象となる硬貨の金種を、ステップS101で選択した主判定枠14aに対応する金種であると判別して(ステップS106)処理を終了する。なお、ステップS104の判定条件を満たした場合には(ステップS104,Yes)、ステップS105の処理が行われる。
また、ステップS102の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS102,No)、主判定枠14aと対応付けられた補助判定枠14bの全要素を満たすか否かが判定され(ステップS103)、補助判定枠14bの全要素を満たす場合には(ステップS103,Yes)、ステップS104以降の処理を行う。
一方、ステップS103の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS103,No)、他の金種の主判定枠14aがあるか否かが判定され(ステップS105)、他の金種の主判定枠14aがある場合には(ステップS105,Yes)、あらたな金種の主判定枠14aを用いてステップS101以降の処理を繰り返す。なお、ステップS105の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS105,No)、判別対象となる硬貨を偽貨と判別して(ステップS107)処理を終了する。
なお、同図に示したフローチャートでは、ステップS101に先立って径センサや広い判定枠などを用いて大まかな金種があらかじめ判別されているため、ステップS107では偽貨と判別するが、大まかな金種があらかじめ判別されていない場合、ステップS107では該当金種なしと判別することとしてもよい。
次に、記憶部14について説明する。記憶部14は、RAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)といった記憶デバイスで構成される記憶部であり、金種ごとの主判定枠14aと、所定の金種に係る主判定枠14aと対応付けられた補助判定枠14bおよび排除判定枠14cを記憶する。なお、主判定枠14aについては、図5等を用いて、補助判定枠14bおよび排除判定枠14cについては、図8を用いて既に説明したので、ここでの説明は省略する。
上述してきたように、本実施例では、主判定枠登録部が、少なくとも一つの識別要素のデータに対応する数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録し、補助判定枠登録部が、主判定枠には該当しないものの特定の金種であると判別すべき硬貨についての識別要素ごとの数値範囲である補助判定枠を金種ごとに登録し、排除判定枠登録部が、主判定枠または補助判定枠に該当するものの特定の金種ではないと判別すべき硬貨についての識別要素ごとの数値範囲である排除判定枠を金種ごとに登録し、判別部が、主判定枠または補助判定枠のいずれかに該当し排除判定枠に該当しない硬貨を主判定枠に対応する硬貨であると判別するように硬貨識別装置を構成した。
したがって、主判定枠によって排除されるものの本来は排除すべきではない硬貨を通過させるための補助判定枠と、主判定枠または補助判定枠によっては排除されないものの本来は排除すべき硬貨を排除するための排除判定枠とを用いることを用いることによって、さまざまな国の硬貨に対応することができるとともに識別対象の追加や変動にも柔軟に対応することができる。
以上のように、本発明に係る硬貨識別装置および硬貨識別方法は、硬貨の金種や真偽の判別に有用であり、特に、さまざまな国の硬貨に対応したい場合や、識別対象の追加や変動にも柔軟に対応したい場合に適している。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、センサ出力に基づく複数の識別要素のデータがそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別装置であって、少なくとも一つの前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録する主判定枠登録手段と、前記主判定枠には該当しないものの特定の金種であると判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である補助判定枠を金種ごとに登録する補助判定枠登録手段と、そのデータが前記主判定枠または前記補助判定枠に該当した硬貨当該主判定枠に対応する金種であると判別する判別手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、センサ出力に基づく複数の識別要素のデータがそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別装置であって、少なくとも一つの前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録する主判定枠登録手段と、前記主判定枠に該当するものの特定の金種ではないと判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である排除判定枠を金種ごとに登録する排除判定枠登録手段と、そのデータが前記主判定枠に該当し前記排除判定枠に該当しない硬貨当該主判定枠に対応する金種であると判別する判別手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、センサ出力に基づき硬貨の複数の識別要素のデータがそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別装置であって、少なくとも一つの前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録する主判定枠登録手段と、前記主判定枠には該当しないものの特定の金種の硬貨であると判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である補助判定枠を金種ごとに登録する補助判定枠登録手段と、そのデータが前記主判定枠または前記補助判定枠に該当するものの特定の金種の硬貨ではないと判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である排除判定枠を金種ごとに登録する排除判定枠登録手段と、そのデータが前記主判定枠または前記補助判定枠のいずれかに該当し前記排除判定枠に該当しない硬貨当該主判定枠に対応する硬貨であると判別する判別手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記主判定枠登録手段は、すべての前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素にそれぞれ対応する前記数値範囲と重複している場合に、すべての識別要素の中で両数値範囲内における各分布が最も離れた識別要素についての各数値範囲が重複しないように調整することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記補助判定枠登録手段は、特定の金種の特定の識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように前記主判定枠登録手段によって調整された場合に、調整前に重複していたが、調整後に範囲外となった前記特定の金種の前記特定の識別要素の第1の数値範囲と、前記第1の数値範囲にデータを有する前記特定の金種の硬貨が取り得る他の識別要素におけるデータの存在範囲を該他の識別要素の数値範囲としてそれぞれ前記補助判定枠に登録することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、金種ごとに複数の前記補助判定枠または複数の前記排除判定枠が登録された場合に、同じ種類の判定枠間で前記補助判定枠同士または前記排除判定枠同士を比較し、すべての前記識別要素について各識別要素に対応する両数値範囲が重複部分を有しているか接している場合に、該当する両判定枠を数値範囲が連続した1つの判定枠とする融合を行うことを特徴とする。
また、本発明は、センサ出力に基づく複数の識別要素のデータがそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別方法であって、少なくとも一つの前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録する主判定枠登録工程と、前記主判定枠には該当しないものの特定の金種であると判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である補助判定枠を金種ごとに登録する補助判定枠登録工程と、そのデータが前記主判定枠または前記補助判定枠に該当した硬貨当該主判定枠に対応する金種であると判別する判別工程とを含んだことを特徴とする。
また、本発明は、センサ出力に基づく複数の識別要素のデータがそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別方法であって、少なくとも一つの前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録する主判定枠登録工程と、データが前記主判定枠に該当するものの特定の金種の硬貨ではないと判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である排除判定枠を金種ごとに登録する排除判定枠登録工程と、データが前記主判定枠に該当し前記排除判定枠に該当しない硬貨を当該主判定枠に対応する金種の硬貨であると判別する判別工程とを含んだことを特徴とする。
また、本発明は、センサ出力に基づく複数の識別要素のデータがそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別方法であって、少なくとも一つの前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録する主判定枠登録工程と、データが前記主判定枠には該当しないものの特定の金種の硬貨であると判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である補助判定枠を金種ごとに登録する補助判定枠登録工程と、データが前記主判定枠または前記補助判定枠に該当するものの特定の金種の硬貨ではないと判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である排除判定枠を金種ごとに登録する排除判定枠登録工程と、前記主判定枠または前記補助判定枠のいずれかに該当しそのデータが前記排除判定枠に該当しない硬貨を当該主判定枠に対応する金種の硬貨であると判別する判別工程とを含んだことを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも一つの識別要素に対応する数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録し、主判定枠には該当しないものの特定の金種であると判別すべき硬貨についての識別要素ごとの数値範囲である補助判定枠を金種ごとに登録し、そのデータが主判定枠または補助判定枠に該当した硬貨主判定枠に対応する金種であると判別することとしたので、主判定枠と、主判定枠によって排除されるものの本来は排除すべきではない硬貨を通過させるための補助判定枠とを用いることによって、さまざまな国の硬貨に対応することができるとともに、識別対象の追加や変動にも柔軟に対応することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、少なくとも一つの識別要素に対応する数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録し、主判定枠に該当するものの特定の金種ではないと判別すべき硬貨についての識別要素ごとの数値範囲である排除判定枠を金種ごとに登録し、そのデータが主判定枠に該当し排除判定枠に該当しない硬貨主判定枠に対応する金種であると判別することとしたので、主判定枠と、主判定枠によっては排除されないものの本来は排除すべき硬貨を排除するための排除判定枠とを用いることによって、さまざまな国の硬貨に対応することができるとともに識別対象の追加や変動にも柔軟に対応することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、少なくとも一つの識別要素に対応する数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録し、主判定枠には該当しないものの特定の金種の硬貨であると判別すべき硬貨についての識別要素ごとの数値範囲である補助判定枠を金種ごとに登録し、そのデータが主判定枠または補助判定枠に該当するものの特定の金種の硬貨ではないと判別すべき硬貨についての識別要素ごとの数値範囲である排除判定枠を金種ごとに登録し、そのデータが主判定枠または補助判定枠のいずれかに該当し排除判定枠に該当しない硬貨主判定枠に対応する硬貨であると判別することとしたので、主判定枠によって排除されるものの本来は排除すべきではない硬貨を通過させるための補助判定枠と、主判定枠または補助判定枠によっては排除されないものの本来は排除すべき硬貨を排除するための排除判定枠とを用いることを用いることによって、さまざまな国の硬貨に対応することができるとともに識別対象の追加や変動にも柔軟に対応することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、すべての識別要素に対応する数値範囲が他の金種における同一の識別要素にそれぞれ対応する数値範囲と重複している場合に、すべての識別要素の中で両数値範囲内における各分布が最も離れた識別要素についての各数値範囲が重複しないように調整することとしたので、最も差異が生じやすい識別要素において両主判定枠が重複しないように調整することによって、各金種にそれぞれ対応する各主範囲枠を区別して登録することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、特定の金種の特定の識別要素に対応する数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように調整された場合に、調整前に重複していたが、調整後に範囲外となった特定の金種の特定の識別要素の第1の数値範囲と、第1の数値範囲にデータを有する特定の金種の硬貨が取り得る他の識別要素におけるデータの存在範囲を該他の識別要素の数値範囲としてそれぞれ補助判定枠に登録することとしたので、重複した両主範囲枠における特定の識別要素が重複しないように調整された場合に、調整部分に該当する各データが各識別要素においてとりうる数値範囲の組を補助判定枠へ自動的に登録することによって、主判定枠の調整部分に該当する硬貨を主判定枠に対応する補助判定枠で通過させることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、金種ごとに複数の補助判定枠または複数の排除判定枠が登録された場合に、同じ種類の判定枠間で補助判定枠同士または排除判定枠同士を比較し、すべての識別要素について各識別要素に対応する両数値範囲が重複部分を有しているか接している場合に、該当する両判定枠を数値範囲が連続した1つの判定枠とする融合を行うこととしたので、補助判定枠あるいは排除判定枠に対応する記憶容量を低減することができるとともに、判定処理を高速化することができるという効果を奏する。
次に、図5に示した各「要素」における「上限」および「下限」の決定手順について図6を用いて説明する。図6は、センサ値の分布例を示す図である。なお、同図の(1)にはセンサ値の分布が正規分布に近い分布である場合を、同図の(2)にはセンサ値の分布が上限側に片寄った分布である場合を、同図の(3)にはセンサ値の分布が下限側に片寄った分布である場合を、それぞれ示している。また、同図における106aはセンサ値の分布における最小値(MIN)を、106bは同じく最大値(MAX)を、106cは同じく平均値(AVE)を、それぞれ示している。
この場合において、あらたな下限「X」への変更によって金種αの要素Aの数値範囲に含まれなくなった部分(図7の(1)の斜線部分)、すなわち、下限「αAL」〜上限「X−1」の数値範囲は、金種αの補助判定1の要素A(後述する図8参照)へ登録される。また、図7の(1)の斜線部分に分布していた各データに対応する硬貨のデータが、金種αの他の要素においてどのように分布しているかが検索される。
たとえば、金種αの要素Bにおいて、硬貨のデータが要素Aに関して図7の(1)の斜線部分に含まれ、そして、要素Bに関して、図7の(2−1)の斜線部分に示したように分布している場合には、かかる部分の下限(BL)および上限(BH)が、金種αの補助判定1の要素Bへ登録される。また、金種αの要素Cにおいて、要素Aに関して、硬貨のデータが図7の(1)の斜線部分に含まれ、そして、要素Cに関して、図7の(2−2)の斜線部分に示したように分布している場合には、かかる部分の下限(CL)および上限(CH)が、金種αの補助判定1の要素Cへ登録される。なお、このような検索処理は、すべての要素について行われる。
図10に示した場合では、排除判定枠14cの数値範囲は、すべて主判定枠14aの数値範囲に含まれているが、主判定枠14aの各数値範囲に比べてすべてが狭い範囲のものとなっている。このような排除判定枠14cは、主判定枠14aのすべての要素における数値範囲に内包されるものの、特定の条件を満たした硬貨を排除したい場合に用いられる。すなわち、排除判定枠14cは、主判定枠14aでは通過してしまうが本来は通過させたくない硬貨を排除したい場合に用いられる。また、この排除判定枠14cは、補助判定枠14bでは通過してしまうが本来は通過させたくない硬貨を排除したい場合にも用いられる。
次に、判定枠融合部13dについて説明する。判定枠融合部13dは、補助判定枠14bや排除判定枠14cとしてそれぞれ複数の判定枠(図8における判定1、判定2などを参照)が登録された場合に、重複した判定枠同士を合わせて判定条件を少なくするための「融合」処理を行う処理部である。なお、この「融合」は、同一要素内の判定枠設定について行われる。このように、判定枠を融合することで、判定枠を記憶するための記憶領域を削減することができるとともに、判定処理の高速化を図ることができる。
なお、判定枠融合処理では、テーブルにおける後方から(判定番号が大きいほうから)順に比較していくものとする。たとえば、図11に示した場合では、判定3と判定2とが比較され、次に、判定2と判定1とが比較される。そして、すべての要素について(1)〜(3)の条件を満たした両判定条件では、要素ごとに上限および下限の融合を行って判定番号が小さいほうの判定条件を更新するとともに、判定番号が大きいほうの判定条件をテーブルから削除する。そして、かかる比較を判定番号が最も小さい判定条件を比較基準とするまで繰り返していく。

Claims (10)

  1. センサ出力に基づく複数の識別要素のデータがそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別装置であって、
    少なくとも一つの前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録する主判定枠登録手段と、
    前記主判定枠には該当しないものの特定の金種であると判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である補助判定枠を金種ごとに登録する補助判定枠登録手段と、
    前記主判定枠または前記補助判定枠に該当した硬貨を当該主判定枠に対応する金種であると判別する判別手段と
    を備えたことを特徴とする硬貨識別装置。
  2. センサ出力に基づく複数の識別要素のデータがそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別装置であって、
    少なくとも一つの前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録する主判定枠登録手段と、
    前記主判定枠に該当するものの特定の金種ではないと判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である排除判定枠を金種ごとに登録する排除判定枠登録手段と、
    前記主判定枠に該当し前記排除判定枠に該当しない硬貨を当該主判定枠に対応する金種であると判別する判別手段と
    を備えたことを特徴とする硬貨識別装置。
  3. センサ出力に基づく複数の識別要素のデータがそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別装置であって、
    少なくとも一つの前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録する主判定枠登録手段と、
    前記主判定枠には該当しないものの特定の金種であると判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である補助判定枠を金種ごとに登録する補助判定枠登録手段と、
    前記主判定枠または前記補助判定枠に該当するものの特定の金種ではないと判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である排除判定枠を金種ごとに登録する排除判定枠登録手段と、
    前記主判定枠または前記補助判定枠のいずれかに該当し前記排除判定枠に該当しない硬貨を当該主判定枠に対応する硬貨であると判別する判別手段と
    を備えたことを特徴とする硬貨識別装置。
  4. 前記主判定枠登録手段は、
    すべての前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複している場合に、すべての識別要素の中で両数値範囲内における各分布が最も離れた識別要素についての各数値範囲が重複しないように調整することを特徴とする請求項1、2または3に記載の硬貨識別装置。
  5. 前記補助判定枠登録手段は、
    特定の識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように前記主判定枠登録手段によって調整された場合に、調整前に重複していた前記数値範囲を前記特定の識別要素に係る数値範囲として有し、当該数値範囲に含まれる各データの他の識別要素における存在範囲を前記他の識別要素に係る数値範囲として有する前記補助判定枠を登録することを特徴とする請求項1または3に記載の硬貨識別装置。
  6. 前記補助判定枠登録手段は、
    金種ごとに複数の前記補助判定枠を登録することが可能であり、
    前記排除判定枠登録手段は、
    金種ごとに複数の前記排除判定枠を登録することが可能であることを特徴とする請求項3に記載の硬貨識別装置。
  7. 金種ごとに複数の前記補助判定枠または複数の前記排除判定枠が登録された場合に、前記補助判定枠同士または前記排除判定枠同士を比較し、すべての前記識別要素について各識別要素に対応する両数値範囲が重複部分を有しているか接している場合に、該当する両判定枠を数値範囲が連続した1つの判定枠とする融合を行うことを特徴とする請求項6に記載の硬貨識別装置。
  8. センサ出力に基づく複数の識別要素のデータがそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別方法であって、
    少なくとも一つの前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録する主判定枠登録工程と、
    前記主判定枠には該当しないものの特定の金種であると判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である補助判定枠を金種ごとに登録する補助判定枠登録工程と、
    前記主判定枠または前記補助判定枠に該当した硬貨を当該主判定枠に対応する金種であると判別する判別工程と
    を含んだことを特徴とする硬貨識別方法。
  9. センサ出力に基づく複数の識別要素のデータがそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別方法であって、
    少なくとも一つの前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録する主判定枠登録工程と、
    前記主判定枠に該当するものの特定の金種ではないと判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である排除判定枠を金種ごとに登録する排除判定枠登録工程と、
    前記主判定枠に該当し前記排除判定枠に該当しない硬貨を当該主判定枠に対応する金種であると判別する判別工程と
    を含んだことを特徴とする硬貨識別方法。
  10. センサ出力に基づく複数の識別要素のデータがそれぞれ所定の数値範囲に含まれるか否かに基づいて硬貨を識別する硬貨識別方法であって、
    少なくとも一つの前記識別要素に対応する前記数値範囲が他の金種における同一の識別要素に対応する前記数値範囲と重複しないように各数値範囲が調整された主判定枠を金種ごとに登録する主判定枠登録工程と、
    前記主判定枠には該当しないものの特定の金種であると判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である補助判定枠を金種ごとに登録する補助判定枠登録工程と、
    前記主判定枠または前記補助判定枠に該当するものの特定の金種ではないと判別すべき硬貨についての前記識別要素ごとの前記数値範囲である排除判定枠を金種ごとに登録する排除判定枠登録工程と、
    前記主判定枠または前記補助判定枠のいずれかに該当し前記排除判定枠に該当しない硬貨を当該主判定枠に対応する硬貨であると判別する判別工程と
    を含んだことを特徴とする硬貨識別方法。
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