JPWO2009119684A1 - リン酸含有水からリン酸を回収する方法および装置 - Google Patents

リン酸含有水からリン酸を回収する方法および装置 Download PDF

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Abstract

簡単な構成と操作により、特別な薬剤等を用いることなく、リン酸含有水からカビ、酵母等の微生物の発生を抑制して、回収物として有用な高純度のリン酸を、高濃度の運搬可能な液状で、低コストかつ効率よく回収することが可能なリン酸を回収する方法および装置であり、リン酸含有水をpH2以下、600mg/L以上、かつ電気伝導率200mS/m以上に調整して第1RO装置4において逆浸透処理し、リン酸以外の酸を水とともに透過液室4b側に透過させ、リン酸を濃縮液室4c側に濃縮し、透過液を後処理して純水7aを回収し、濃縮液を第2RO装置5に供給し、第2RO装置5の濃縮液の一部を調整用リン酸液9aとして循環し、残部を蒸発濃縮装置8で水とともに揮発性成分を除去し、リン酸濃縮液10aとして回収する。

Description

本発明は、リン酸含有水から逆浸透装置によりリン酸を回収する方法および装置に関し、特に液晶基板やウエハーその他の電子機器をエッチングした後のリン酸を含有する洗浄排水から、カビ、酵母等の微生物の発生を抑制して、リン酸などの有価物と、処理水である純水とを回収可能な、リン酸を回収する方法および装置に関するものである。
液晶基板やウエハーその他の電子機器のエッチングには、リン酸を含むエッチング液が用いられている。エッチング工程で発生する高濃度の廃エッチング液は回収して再生利用されているが、エッチング後の電子機器は純水により洗浄され、低濃度の洗浄排水が大量に生成する。このような洗浄排水はエッチング液の成分であるリン酸、硝酸、酢酸、その他の酸成分等のほか、エッチングによって溶出した金属イオンその他の不純物が含まれているが、大部分は純水である。
このようなエッチング洗浄排水は、従来は他の排水と混合して処理されている。一般的なリン酸やフッ酸を含む排水の処理技術としては、凝集沈殿処理が挙げられる。しかしリン酸やフッ酸を凝集沈澱処理を行う場合、多量の薬剤使用と多量の汚泥発生による処理コストの上昇、環境への負荷の増大などが問題となる。加えて、凝集沈殿処理で多量に添加する薬剤による水溶性イオンの増加が、水回収するに当たり、逆浸透膜プロセスの操作圧力上昇による動力コストの増大、処理水質の悪化、スケールの発生、また、イオン交換法では再生剤使用量の増加につながっている。
特許文献1(特開2006−75820号)には、イオン交換樹脂でリン酸、硝酸などのイオンを除去し、純水およびリン酸塩の回収が行われている。しかし、この方法ではリン酸塩(リン酸二水素ナトリウムなど)として回収しているが、リン酸塩の販路が殆どなく、リン酸のナトリウム塩は溶解度が小さいため、液状ではリン酸の含有率が低く、運搬は困難であり、カリウム塩とするには苛性カリが高価である。またリン酸二水素ナトリウムにするためにH形カチオン樹脂に通液する方法が示されているが、カチオン樹脂の再生で塩酸などの酸が消費され、アニオン樹脂の再生で使用した水酸化ナトリウムも無駄に排出されるなどの欠点があった。
このようなイオン交換樹脂に替えて逆浸透(RO)膜を用いて濃縮分離しようとすると、膜面にカビ、酵母などの有害微生物が増殖して膜間差圧が上昇し、透過水量が低下する。カビ、酵母など有害微生物に対する制御には、物理的制御(増殖抑制、除菌、遮断、殺菌)、物理化学的制御(増殖抑制)、化学的制御(増殖抑制、薬剤殺菌)、生物学的制御がある。これらの中で、増殖抑制には温度制御、化学物質(増殖抑制剤)の別があり、殺菌には低温殺菌、高温殺菌、電磁波殺菌(γ線、紫外線、マイクロ波等)、高圧殺菌(圧力)、電気殺菌(高圧パルス)、薬剤殺菌にはガス殺菌剤(EO、ホルムアルデヒド、オゾン、過酸化水素等)、液体・溶液殺菌剤(アルコール、過酸化水素水、有機系殺菌剤等)、固体殺菌剤(銀系殺菌剤、光触媒系殺菌剤等)、固定化殺菌剤(シリコン系第四アンモニウム等)などがある。
しかし、これらの方法では、エネルギー消費が大きく、設備費が高価であり、逆浸透膜への悪影響(酸化、化学的吸着や変質による目詰まり)があり、逆浸透膜が性能低下するなどの欠点があった。なお、ガス殺菌剤(EO、ホルムアルデヒド等)、有機系殺菌剤等の化学的制御に用いる薬剤については、毒性や環境対応が問題となる。膜面にカビ、酵母などの有害微生物が繁殖すると、樹脂や逆浸透膜を目詰まりさせ、安定した運転ができなくなるが、発生してしまったカビ、酵母等の微生物の除去は困難であり、特にイオン交換樹脂や逆浸透膜には酸化剤が使用できないため対応方法が無かった。
特開2006−75820号
本発明の課題は、特別な薬剤等を用いることなく、簡単な構成と操作により、リン酸含有水からカビ、酵母等の微生物の発生を抑制して、回収物として有用な高純度のリン酸を、高濃度の運搬可能な液状で、低コストかつ効率よく回収することが可能なリン酸を回収する方法および装置を提案することである。
本発明は、次のリン酸イオン含有水からリン酸を回収する方法および装置である。
(1) リン酸含有水を逆浸透装置で膜分離処理してリン酸を回収する方法であって、
pH2以下、リン酸濃度600mg/L以上、かつ電気伝導率200mS/m以上に調整した調整リン酸含有水を、逆浸透装置において膜分離処理することを特徴とするリン酸の回収方法。
(2) リン酸含有水を逆浸透装置で膜分離処理してリン酸を回収する方法であって、
pH2以下、リン酸濃度600mg/L以上、かつ電気伝導率200mS/m以上に調整した調整リン酸含有水を、間欠的に逆浸透装置に供給して膜分離処理することを特徴とするリン酸の回収方法。
(3) 逆浸透装置を2段以上の構成とし、
調整リン酸含有水を第1段の逆浸透装置において膜分離処理し、
第1段の逆浸透装置のリン酸濃縮液を第2段以降の逆浸透装置において第2段以降の膜分離処理を行う上記(1)または(2)記載の方法。
(4) 逆浸透装置に供給する調整リン酸含有水が、被処理リン酸含有水にリン酸を加えて所定値に調整したものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 逆浸透装置に供給する調整リン酸含有水が、被処理リン酸含有水に、逆浸透装置のリン酸濃縮液および/または蒸発濃縮装置のリン酸溶液を加えて所定値に調整したものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法。
(6) リン酸含有水からリン酸を回収する装置であって、
被処理リン酸含有水をpH2以下、リン酸濃度600mg/L以上、かつ電気伝導率200mS/m以上の調整リン酸含有水に調整するリン酸含有水調整部と、
pH2以下、リン酸濃度600mg/L以上、かつ電気伝導率200mS/m以上に調整した調整リン酸含有水を、膜分離処理して、リン酸以外の酸を水とともに透過液室側に透過させ、リン酸を濃縮液室側に濃縮する逆浸透装置と、
調整リン酸含有水を逆浸透装置の濃縮液室側に供給するリン酸含有水供給部と、
逆浸透装置の透過液室側から透過液を取出す透過液取出部と、
逆浸透装置の濃縮液室側から濃縮リン酸液の一部をリン酸含有水調整部に循環する循環経路と、
逆浸透装置の濃縮液室側からの残部を取出す濃縮リン酸液取出部と
を有することを特徴とするリン酸回収装置。
(7) 逆浸透装置を2段の構成とし、
第1段逆浸透装置の第1段リン酸濃縮液を第2段逆浸透装置に供給する第1段リン酸濃縮液供給部を有し、
循環経路は第2段逆浸透装置の濃縮液室側から第2段リン酸濃縮液の一部をリン酸含有水調整部に循環するように構成され、
濃縮リン酸液取出部は第2段逆浸透装置の濃縮液室側から第2段リン酸濃縮液の残部を取出すように構成された上記(6)記載の装置。
(8) 第2段逆浸透装置の濃縮液室側から取出された第2段リン酸濃縮液の残部を蒸発濃縮する蒸発濃縮装置を有する上記(7)記載の装置。
本発明において、処理の対象となるリン酸含有水は、リン酸を含有する水であれば制限なく対象とすることができるが、リン酸イオン50mg/L以上600mg/L未満、(調整リン酸含有水が1500mg/L以上の場合は、50mg/L以上1500mg/L未満)含有し、pHは2を超え3以下、(調整リン酸含有水がpH1.5以下の場合は、1.5を超え3以下)、かつ電気伝導率200mS/m未満、(調整リン酸含有水が1800mS/m以上の場合は、1800mS/m未満)である。
いずれの場合も酸性水が処理対象として好ましく、リン酸イオンのほかに、硝酸イオン、酢酸イオン等の酸成分、その他のアニオン、ならびに金属イオン等のカチオン、その他の不純物が含まれていてもよいが、カチオンは処理に先立って除去しておくのが好ましい。本発明では特に硝酸イオン、酢酸イオン等の他の酸成分を含むリン酸含有水から、硝酸イオン、酢酸イオン等の他の酸成分を除去して、純度の高いリン酸を回収するのに適している。特に処理対象として好ましいリン酸含有水は、液晶基板やウエハーその他の電子機器のリン酸含有エッチング液によるエッチング後に、純水洗浄を行う際に発生する低濃度の洗浄排水がある。
このような被処理リン酸含有水が前記調整リン酸含有水よりも高pH、低濃度の場合は、逆浸透膜の膜面にカビ、酵母などの有害微生物が繁殖して目詰まりの原因となるので、本発明では、リン酸含有水からリン酸を回収するために、リン酸含有水、特にカチオンを除去したリン酸含有水をpH2以下、好ましくはpH1.5以下、リン酸濃度600mg/L以上、好ましくは1500mg/L以上、かつ電気伝導率200mS/m以上、好ましくは1800mS/m以上に調整した調整リン酸含有水を、逆浸透装置において膜分離処理する。上記調整リン酸含有水は膜分離処理の段階で上記のpH、リン酸濃度、電気伝導率になっていれば良いので、膜分離処理中に逆浸透装置の濃縮室で濃縮される場合は、濃縮された状態で上記のpH、リン酸濃度、電気伝導率になっていればよい。
被処理リン酸含有水の調整を行うのは、逆浸透装置に供給する段階で前記調整リン酸含有水よりも高pH、低濃度の場合である。逆浸透装置が1段の場合、ならびに2段以上の場合とも、第1段の逆浸透装置に供給する被処理リン酸含有水が前記調整リン酸含有水よりも高pH、低濃度の場合である。逆浸透装置が2段以上の場合には、第1段の逆浸透装置のリン酸濃縮液は低pH、高濃度になっているので、第2段以降に供給するリン酸濃縮液のpHおよび濃度調整を行う必要はない。
高pH、低濃度の被処理リン酸含有水を低pH、高濃度に調整するには、被処理リン酸含有水にpHおよび濃度調整として酸を注入するのが好ましく、特に酸としてリン酸を加えて所定値の調整リン酸含有水に調整するのが好ましい。被処理リン酸含有水に加えるリン酸としては、逆浸透装置のリン酸濃縮液および/または蒸発濃縮装置のリン酸溶液を用いることができる。逆浸透装置のリン酸濃縮液は、硝酸、酢酸等の不純物が除去され、リン酸濃度が高い状態となっているので、循環使用するのが好ましい。蒸発濃縮装置のリン酸溶液は、逆浸透装置の濃縮液、特に第2段の濃縮液を蒸発濃縮する場合の濃縮リン酸溶液であり、これを循環使用することができる。
このように低pH、高濃度に調整した調整リン酸含有水について、逆浸透装置において膜分離処理をすると、逆浸透膜の膜面におけるカビ、酵母などの有害微生物の繁殖が阻害される。このため酸化剤等の特別な薬剤や、紫外線等の殺菌手段などを用いなくても、微生物の繁殖による逆浸透膜の目詰まりは発生せず、膜間差圧の上昇や、透過水量の低下がなく、安定した逆浸透装置の運転ができる。有害微生物阻害効果はある程度持続するので、間欠的に調整リン酸含有水の供給を行うこともできるが、調整リン酸含有水の供給を継続するのが好ましい。
すなわち低pH、高濃度に調整した調整リン酸含有水は、常に逆浸透装置に供給して膜分離処理を行うのが好ましいが、間欠的に逆浸透装置に供給して膜分離処理を行うこともできる。後者の場合、通常は前記調整リン酸含有水よりも高pH、低濃度の被処理リン酸含有水をそのまま逆浸透装置に供給して膜分離処理を行い、間欠的に、例えば1〜2日に1回、例えば1〜2時間程度低pH、高濃度に調整した調整リン酸含有水を供給して膜分離処理を行うことができる。この場合、被処理リン酸含有水をそのまま逆浸透装置に供給して膜分離処理を行い、間欠的にリン酸を注入してリン酸含有水のpH、濃度を調整することができる。
本発明では、リン酸含有水を逆浸透装置に供給する前に、前処理としてカチオンおよび/またはアニオンを含む不純物の除去を行うことができるが、特にカチオンを除去したリン酸含有水を処理対象とすることにより、前記リン酸濃度に調整し、膜分離処理によるリン酸と他の酸との分離効果を高くすることができる。この場合、予備処理として沈殿分離、濾過等による固形物の除去、ならびに前処理としてカチオン交換樹脂による金属イオン等のカチオンの除去を行うことができ、さらにアニオン交換樹脂による過塩素酸、有機酸錯体等のアニオンの除去などを行うことができる。このような前処理工程に用いる前処理装置としては、上記目的に採用されている一般的な装置が用いられる。
エッチング後の洗浄排水に含まれるインジウム、鉄、アルミニウム等の金属イオンは膜分離工程における逆浸透(RO)膜の目詰まりの原因となり、過塩素酸などは高濃度になると膜損傷の原因となるので、これらのカチオンやアニオンを除去することにより、膜の目詰まりや損傷などが防止できるので好ましい。カチオン交換樹脂としては、強酸性または弱酸性カチオン交換樹脂を用いることができるが、H形の強酸性カチオン交換樹脂を用いてこれらのカチオンを交換除去すると、処理液は酸成分が増加してpH3以下に調整することが容易になるので好ましい。カチオン交換樹脂としてはキレート樹脂でもよい。アニオン交換樹脂としては、強塩基性または弱塩基性アニオン交換樹脂を用いることができる。アニオン交換樹脂はリン酸形等の酸形で用い、リン酸、硝酸、酢酸等を素通りさせ、他の不純物アニオンを除去する。
本発明で膜分離工程における逆浸透装置は、RO装置とも呼ばれ、逆浸透(RO)膜により透過液室と濃縮液室とに区画され、リン酸含有水をpH2以下、リン酸濃度600mg/L以上、かつ電気伝導率200mS/m以上の条件下で濃縮液室側に供給して逆浸透膜処理を行い、リン酸以外の酸を水とともに透過液室側に透過させるとともに、リン酸を濃縮液室側に濃縮させるように構成される。逆浸透装置の濃縮液室側には、リン酸含有水を供給するリン酸含有水供給部、ならびに濃縮リン酸液を取出す濃縮リン酸液取出部が形成される。逆浸透装置の透過液室側には、透過液を取出す透過液取出部が形成される。濃縮リン酸液取出部とリン酸含有水供給部間には、濃縮リン酸液取出部から取出した濃縮リン酸液を、調整用のリン酸として濃縮液室側に循環する循環経路を形成することができる。
逆浸透装置を2段の構成とする場合、第1段逆浸透装置の第1段リン酸濃縮液を第2段逆浸透装置に供給する第1段リン酸濃縮液供給部を有し、循環経路は第2段逆浸透装置の濃縮液室側から第2段リン酸濃縮液の一部を第1段の逆浸透装置の濃縮液室側に循環するように構成し、濃縮リン酸液取出部は第2段逆浸透装置の濃縮液室側から第2段リン酸濃縮液の残部を取出すように構成することができる。これにより第1段逆浸透装置のリン酸濃縮液を第2段逆浸透装置に供給して膜分離処理を行い、第2段逆浸透装置のリン酸濃縮液の一部を、調整用のリン酸として第1段逆浸透装置の濃縮液室側に循環するとともに、残部を回収することができる。
逆浸透膜は、浸透圧により水を透過させ、あるいは逆に浸透圧よりも高圧に加圧して被処理液を供給して逆浸透により水を透過させ、一方塩分、その他の溶質を透過させないで阻止する半透膜である。逆浸透膜の材質としては、上記の特性を有する限り特に制限されず、例えばポリアミド系透過膜、ポリイミド系透過膜、セルロース系透過膜などが挙げられ、非対称逆浸透膜でもよいが、微多孔性支持体上に実質的に選択分離性を有する活性なスキン層を形成した複合逆浸透膜が好ましい。
逆浸透装置はこのような逆浸透膜を備えるものであればよいが、逆浸透膜と支持機構、集水機構等が一体化した膜モジュールを備えるものが好ましい。膜モジュールとしては特に制限はなく、例えば管状膜モジュール、平面膜モジュール、スパイラル膜モジュール、中空糸膜モジュールなどを挙げることができる。これらを備える逆浸透装置としては公知のものが使用でき、低圧で操作される高透過性のものが好ましい。
リン酸含有水、特にカチオンを除去したリン酸含有水をpH2以下の条件下で逆浸透装置において膜分離処理すると、硝酸、酢酸等のリン酸以外の酸は、水とともに逆浸透膜を透過して透過液室側に移行し、透過液室側から取出される。リン酸は逆浸透膜の透過を阻止され、濃縮液室側に残留して濃縮されるので、濃縮液室側からリン酸濃縮液として回収することができる。このとき少量のリン酸以外の酸が濃縮液に残留するが、リン酸濃度600mg/L以上の条件下で膜分離処理を行うと、リン酸以外の酸の阻止率が低くなり、透過率が高くなるので、高純度のリン酸濃縮液を回収することができる。逆浸透装置に供給するリン酸含有水の圧力は0.3〜5MPa、好ましくは0.5〜3MPaとすることができる。
逆浸透膜の透過においてイオン性物質と非イオン性物質の透過を比較すると、逆浸透膜阻止率は、同じ程度の分子量であっても、非イオン性物質に比べてイオン性物質の方が圧倒的に阻止されやすいと言われている。しかしリン酸が解離しにくいpH2以下の条件下で逆浸透膜処理すると、リン酸の阻止率は硝酸や酢酸よりも圧倒的に高くなり、硝酸や酢酸等のリン酸以外の酸とリン酸とを分別して回収できる。
濃縮液のリン酸濃度が高過ぎると浸透圧の関係で膜処理が行えなくなるので、濃縮液のリン酸濃度の上限は15重量%、好ましくは10重量%とされる。このようなリン酸濃度の濃縮液を循環しながら、循環する濃縮液に被処理リン酸含有水を加え、濃縮液を一部ずつリン酸濃縮液として取出して一過式の処理を行うと、上記リン酸濃度を維持して効率よく処理を行うことができる。
濃縮液を循環しながら膜処理を行う際、濃縮液の循環回数を多くするほど、リン酸以外の酸が逆浸透膜と接して膜を透過する機会が多くなり、濃縮液中のリン酸以外の酸の濃度をさらに低くすることができる。このときリン酸濃度が15重量%を超えると膜処理が行えなくなるので、濃縮液に希釈水を加え希釈して循環し、逆浸透処理を行うことにより、さらにリン酸以外の酸の濃度を低くすることができ、高純度のリン酸濃縮液を回収することができる。希釈水としては透過水から不純物を除去した回収水を循環して使用することができる。
透過液室側から取出される逆浸透装置の透過水は、透過したリン酸、硝酸、酢酸等の酸を含んでいるので、逆浸透装置の透過水からこれらの酸その他の不純物を不純物除去装置によって除去することにより、純水を回収することができる。この場合、不純物除去装置としてはイオン交換樹脂を用いるイオン交換装置、生物処理装置等を採用することができる。
一方、濃縮液室側から取出されるリン酸濃縮液は、硝酸や酢酸等のリン酸以外の酸の大部分は除去されているが、さらにこれらを除去して回収リン酸液の純度、濃度を高めるために後処理による精製を行うことができる。後処理による精製として、リン酸濃縮液からアニオン交換によりリン酸以外の酸を除去して精製することができる。この場合、精製装置としてアニオン交換装置を設けて、濃縮液をアニオン交換樹脂層に通水し、濃縮液から硝酸などの強酸イオンを除去し、硝酸などの強酸イオンを殆ど含まない高濃度のリン酸を回収することができる。
逆浸透装置を2段以上の構成とする場合、調整リン酸含有水を第1段の逆浸透装置に供給して膜分離処理を行い、第1段の逆浸透装置のリン酸濃縮液を第2段以降の逆浸透装置に供給して第2段以降の膜分離処理を行う。この場合、逆浸透装置は、第1段逆浸透装置の第1段リン酸濃縮液を第2段逆浸透装置に供給する第1段リン酸濃縮液供給部を有し、循環経路は第2段逆浸透装置の濃縮液室側から第2段リン酸濃縮液の一部をリン酸含有水調整部に循環するように構成され、濃縮リン酸液取出部は第2段逆浸透装置の濃縮液室側から第2段リン酸濃縮液の残部を取出すように構成される。この取出された第2段リン酸濃縮液は、さらに蒸発濃縮装置により蒸発濃縮し、リン酸濃縮液として回収することができる。蒸発濃縮したリン酸濃縮液はリン酸含有水調整部に循環し、調整用として使用することもできる。
すなわち第2段逆浸透装置で透過したリン酸液中に酢酸が残留している場合、酢酸はアニオン交換樹脂によっても完全に除去できないので、酢酸等の揮発性成分を除去して回収リン酸液の純度、濃度を高めるためには、リン酸液を蒸発濃縮装置で蒸発濃縮して、水とともに揮発性成分を除去して濃縮することにより、酢酸などの揮発性成分を殆ど含まない高濃度のリン酸を回収することができる。蒸発濃縮装置としては、ロータリエバポレータ等の公知の装置が使用できる。
上記により回収されるリン酸は、回収物として有用であり、かつ高濃度の液状で運搬可能であり、しかも高純度の濃縮リン酸として回収できる。本発明では、pH2以下の条件下で逆浸透処理するが、被処理リン酸含有水は通常pH3以下の酸性の状態で得られるので、回収されるリン酸をpH調整剤として注入することにより容易に調整することができる。また回収のための方法および装置は、簡単な構成と操作により、pH2以下、600mg/L以上、かつ電気伝導率200mS/m以上に調整することができる。
上記によりpH、リン酸濃度、電気伝導率を調整して、調整リン酸濃縮液として供給し逆浸透処理することにより、カビ、酵母等の微生物の発生を抑制して、高純度リン酸の回収が可能である。これにより薬剤の使用量、廃棄物の生成量を少なくし、処理コストを低くして、回収物として有用な高純度の濃縮リン酸および純水を回収することができる。回収リン酸はリン酸含有水の調整用のほか、逆浸透装置から取出した逆浸透モジュールを浸漬して、カビ、酵母等の微生物の発生抑制処理等のために用いることもできる。
以上の通り本発明によれば、リン酸含有水、特にカチオンを除去したリン酸含有水をpH2以下、リン酸濃度600mg/L以上、かつ電気伝導率200mS/m以上に調整した調整リン酸含有水を、逆浸透装置において膜分離処理するように構成したので、特別な薬剤等を用いることなく、簡単な構成と操作により、リン酸含有水からカビ、酵母等の微生物の発生を抑制して、回収物として有用な高純度のリン酸を、高濃度の運搬可能な液状で、低コストかつ効率よく回収することができる。
実施形態におけるリン酸回収方法および装置のフロー図である。 実施例の結果を示すグラフである。
符号の説明
1: 原水槽、1a: 原水、2: 前処理装置、3: 調整液槽、3a: 調整液、4: 第1RO装置、4a、5a: RO膜、4b、5b: 透過液室、4c、5c: 濃縮液室、5: 第2RO装置、6: 後処理装置、7: 回収水槽、7a: 回収水、8: 蒸発濃縮装置、9: 調整用リン酸槽、9a: 調整用リン酸液、10: 回収リン酸槽、10a: 回収リン酸液。
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。図1は実施形態におけるリン酸回収方法および装置のフロー図である。1は原水槽で、原水(被処理リン酸含有水)1aを貯留する。2は前処理装置で、カチオン交換装置、アニオン交換装置その他の不純物除去装置により構成されるが、少なくともカチオン交換装置を設け、カチオンを除去するように構成するのが好ましい。3は調整液槽で、調整液(調整リン酸含有水)3aを貯留する。4は第1RO(逆浸透)装置、5は第2RO装置で、それぞれRO膜4a、5aにより、透過液室4b、5bと濃縮液室4c、5cに区画されている。6は後処理装置で、イオン交換装置、生物処理装置、その他の不純物除去装置により構成される。7は回収水槽、8は蒸発濃縮装置、9は調整用リン酸槽、10は回収リン酸槽である。
図1において、P1は加圧ポンプであって、調整液(調整リン酸含有水)3aを第1RO装置4の濃縮液室4c側に供給する原水供給部を構成する。調整用リン酸槽9は濃縮リン酸液取出部を構成し、循環経路L4に設けられたポンプP2、調整液槽3およびpH計pHがリン酸含有水調整部を構成する。
上記のリン酸回収装置では、予備処理工程として沈殿分離、濾過等による不純物の除去を行った原水1a(リン酸イオン含有水)をラインL1から原水槽1に導入する。原水槽1の原水1aはラインL2から前処理装置2に導入して、原水に含まれるインジウム、その他の金属イオン等のカチオンを除去するが、さらに過塩素酸、有機酸錯体等のアニオンなどの不純物を除去するのが好ましい。前処理水はラインL3から調整液槽3に導入する。
原水としてのリン酸含有水は通常pH3以下の酸性の状態で得られるが、pH2以下の条件で逆浸透処理するには、調整用リン酸槽9から循環経路L4を通して調整液槽3に調整用リン酸液9aを循環する。このときpH計pHで調整液槽3内の調整液3aのpHを計測し、循環経路L4に設けられたポンプP2を制御して、調整液3aのpHを2以下に調整する。この場合、濃縮リン酸液を循環してpH2以下に調整すると、調整液3aはリン酸濃度600mg/L以上、かつ電気伝導率200mS/m以上に調整される。なお、図1では、pH計によって調整液3aのpHを調整しているが、比重計や電気伝導率計によってリン酸濃度や電気伝導率を調整することも可能である。
調整液槽3のリン酸含有水は加圧ポンプP1で加圧してラインL5から第1RO装置4の濃縮液室4cに導入し、RO膜4aにより膜分離(逆浸透処理)して、硝酸、酢酸等のリン酸以外の酸を水とともに透過液室4b側に透過させて、リン酸を濃縮液室4c側に濃縮する。リン酸含有水を中和して中性の状態で逆浸透処理すると、硝酸、酢酸等のリン酸以外の酸の塩と、リン酸の塩のいずれもRO膜4aを透過せず、濃縮液室4c側に濃縮される。これに対してリン酸含有水を中和することなく、pH2以下の条件下で第1RO装置4に導入してRO処理を行うと、リン酸はRO膜4aにより透過を阻止されて濃縮液室4c側に濃縮されるが、硝酸、酢酸等のリン酸以外の酸は水とともに透過液室4b側に透過して分離される。
第1RO装置4に供給する調整リン酸含有水は、pH2以下、好ましくはpH1.5以下、リン酸濃度600mg/L以上、好ましくは1500mg/L以上、かつ電気伝導率200mS/m以上、好ましくは1800mS/m以上に調整しているため、この調整リン酸含有水を、第1RO装置4に供給して膜分離処理を行うことにより、逆浸透膜の膜面におけるカビ、酵母などの有害微生物の繁殖が阻害される。このため特別な薬剤等を用いなくても、微生物の繁殖による逆浸透膜の目詰まりは発生せず、膜間差圧の上昇や、透過水量の低下がなく、安定した逆浸透装置の運転ができる。有害微生物阻害効果はある程度持続するので、間欠的に調整リン酸含有水の供給を行うことができるが、継続して調整リン酸含有水の供給を行うのが好ましい。
第1RO装置4の透過液室4b側に透過した透過液はラインL6から後処理装置6に導入され、イオン交換装置、生物処理装置、その他の不純物除去装置により、RO膜4aを透過した硝酸、酢酸等のアニオン、その他の不純物を除去してラインL7から排出する。これらの不純物を除去した純水はラインL8から回収水槽7に回収して回収水7aとして貯留し、ラインL9から取出す。
1段式のRO装置で膜処理する場合は、第1RO装置の濃縮液室4cで濃縮された濃縮液を後処理して回収リン酸を得ることができるが、2段式のRO装置で膜処理する場合は、第1RO装置の濃縮液室4cで濃縮された濃縮液をラインL11から第2RO装置5の濃縮液室5cに導入し、RO膜5aにより膜分離(逆浸透処理)を行って、酢酸等のリン酸以外の酸を水とともに透過液室5b側に透過させて、リン酸を濃縮液室5c側に濃縮する。これによりリン酸の純度および濃度が高くなった濃縮液の一部は、第2RO装置5の濃縮液室5cからラインL12を通して調整用リン酸槽9に導入し、調整用リン酸液9aとして貯留する。
第2RO装置5の濃縮液の残部はラインL10から蒸発濃縮装置8に導入して蒸発濃縮を行う。蒸発濃縮装置8で生じる酢酸を含む凝縮水は、ラインL14から後処理装置6に導入して不純物を除去し、純水を回収する。蒸発濃縮装置8で蒸発濃縮し、酢酸を除去したリン酸濃縮水はラインL15から回収リン酸槽10に回収するが、その過程で硝酸、その他の不純物を除去する処理を行っても良い。回収リン酸槽10の回収リン酸液10aは、循環経路L4を通して一部を調整液槽3に循環し、残部を回収リン酸としてラインL16から取出すこともできる。第2RO装置5のRO膜5aを透過液室5b側に透過した透過液は、ラインL13から後処理装置6に導入して不純物を除去し、純水を回収する。
上記の方法で回収される回収リン酸液10aは、回収物として有用であり、かつ高濃度の液状で回収されるため実用上運搬可能であり、しかも高純度の濃縮リン酸として回収できる。この場合、pH2以下、リン酸濃度600mg/L以上、かつ電気伝導率200mS/m以上に調整した調整リン酸含有水を、RO装置に供給して膜分離処理を行うことにより、特別な薬剤等を用いることなく、カビ、酵母等の微生物の発生を抑制して、膜分離処理を行うことが可能である。これにより薬剤の使用量、廃棄物の生成量を少なくし、処理コストを低くして、高純度の濃縮リン酸および純水を回収することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。各例において、%は阻止率以外、ならびに特別に指示以外は重量%を示す。
〔実施例1〜6、比較例1〜4〕:
リン酸11000mg/L、硝酸1000mg/L、酢酸1000mg/Lを含む電気伝導率1150mS/m、pH1.3の標準リン酸含有水を用い、これを純水で希釈することによりpHその他を調整し、表1の原水(調整リン酸含有水)を得た。なお表1中、比較例1は標準リン酸含有水を純水で希釈後、水酸化ナトリウムでpH調整することにより、表1に示すリン酸濃度およびpHの原水に調整した。また実施例6は原水標準リン酸含有水をそのまま原水として用いた例である。実施例1〜2は濃縮された状態で、pH2以下、リン酸600mg/L以上、電気伝導率200mS/m以上となるように設計されている。
Figure 2009119684
図1の逆浸透装置を模擬した平膜試験装置として、内径32mmφのステンレス鋼(SUS304)製小径平膜セルに、径32mmφの円形に切り取った日東電工(株)製の逆浸透膜ES−20の平膜を焼結多孔板により有効膜径29mmφで支持して装着し、ポンプにより原水をセルの濃縮液室に供給して滞留する濃縮液と混合し、濃縮液を背圧弁により排出して濃縮液操作圧を調整し、濃縮液室内は回転子で攪拌して濃縮液を循環、均質化する装置を用いた。
上記の平膜試験装置の濃縮室に、表1の原水(調整リン酸含有水)を1mL/minの流量で供給しセル内の液を回転子で攪拌して滞留する濃縮液と混合するとともに、背圧弁を調整して透過水量と濃縮水量とが同量(0.5mL/min)となるように調整して膜分離を行った。この操作時の圧力を表2に操作圧力として示す。その後この操作圧力を保持したまま、膜分離を継続した。この時の透過流束の経時変化を図2に示す。また運転終了時(比較例1は通水時間20時間、比較例2は通水時間40時間、その他は通水時間60時間で運転を終了)における濃縮水の各成分の濃度、および各成分の阻止率を表2に示すが、運転開始後約1時間で表2と同等の数値となり、その値が運転終了時まで維持された。なお、阻止率は式〔(1−透過水の濃度/濃縮水の濃度)×100〕で算出した。
Figure 2009119684
実施例1、4および比較例1〜3で得られた濃縮水について、シャーレでの培養試験を実施した。培地は抗生物質添加PDA培地とし、30℃恒温槽で培養した。上記シャーレ培養試験の結果、中性域では黄色のカビPenicillium chrysogenumが多数のコロニーを作った。またpH3以下で発生したカビの菌種はfusarium spp.であった。シャーレ培養試験の結果、肉眼でカビのコロニーが観察されるまでの日数を表3に示す。表3中、「10日以上」は、10日間の培養試験では、コロニーが観察されなかったことを示す。
Figure 2009119684
図1の逆浸透装置を模擬した1段式のRO膜通水試験装置として、日東電工(株)製超低圧芳香族ポリアミド型RO膜「ES20−D2」(ベッセルは海水淡水化用S2ベッセル)の4インチ新品膜モジュールの濃縮液室と調整液槽とを、一部の濃縮液が循環するように構成した装置を用い、実施例1および4の原水(調整リン酸含有水)を、ブライン水量5L/minで、調整液槽からRO装置の濃縮室に供給して膜分離し、濃縮液の一部を調整液槽に循環して表2の水質となるように、濃縮液の他の一部および透過液を原水槽に循環して1カ月間処理を行った。1カ月間処理後の処理結果を表4に示す。
Figure 2009119684
表4より、実施例1および4の原水について、1カ月間処理を行った後の処理性能には大きな差は認められなかった。しかし1カ月間処理後のスライムの付着状況を調べたところ、実施例1の原水の処理では、調整液槽に設置した液面計の電極に僅かに糸状スライムが引っかかっていたが、実施例4の原水の処理では、1カ月後も糸状スライムは見られなかった。
以上の結果より、カチオンを含まないリン酸含有水をpH2以下、特にpH1.5以下、リン酸濃度600mg/L以上、特に1500mg/L以上、かつ電気伝導率200mS/m以上、特に1800mS/m以上に調整した調整リン酸含有水を、逆浸透装置において膜分離処理することにより、特別な薬剤等を用いることなく、簡単な構成と操作により、リン酸含有水からカビ、酵母等の微生物の発生を抑制して、有用な高純度のリン酸を回収できることがわかる。
本発明は、リン酸含有水からリン酸および純水を回収する方法および装置、特に液晶基板やウエハーその他の電子機器をエッチングした後の洗浄排水からリン酸などの有価物と、処理水である純水の回収に適したリン酸を回収する方法および装置に利用可能である。

Claims (8)

  1. リン酸含有水を逆浸透装置で膜分離処理してリン酸を回収する方法であって、
    pH2以下、リン酸濃度600mg/L以上、かつ電気伝導率200mS/m以上に調整した調整リン酸含有水を、逆浸透装置において膜分離処理することを特徴とするリン酸の回収方法。
  2. リン酸含有水を逆浸透装置で膜分離処理してリン酸を回収する方法であって、
    pH2以下、リン酸濃度600mg/L以上、かつ電気伝導率200mS/m以上に調整した調整リン酸含有水を、間欠的に逆浸透装置に供給して膜分離処理することを特徴とするリン酸の回収方法。
  3. 逆浸透装置を2段以上の構成とし、
    調整リン酸含有水を第1段の逆浸透装置において膜分離処理し、
    第1段の逆浸透装置のリン酸濃縮液を第2段以降の逆浸透装置において第2段以降の膜分離処理を行う請求項1または2記載の方法。
  4. 逆浸透装置に供給する調整リン酸含有水が、被処理リン酸含有水にリン酸を加えて所定値に調整したものである請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
  5. 逆浸透装置に供給する調整リン酸含有水が、被処理リン酸含有水に、逆浸透装置のリン酸濃縮液および/または蒸発濃縮装置のリン酸溶液を加えて所定値に調整したものである請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
  6. リン酸含有水からリン酸を回収する装置であって、
    被処理リン酸含有水をpH2以下、リン酸濃度600mg/L以上、かつ電気伝導率200mS/m以上の調整リン酸含有水に調整するリン酸含有水調整部と、
    pH2以下、リン酸濃度600mg/L以上、かつ電気伝導率200mS/m以上に調整した調整リン酸含有水を、膜分離処理して、リン酸以外の酸を水とともに透過液室側に透過させ、リン酸を濃縮液室側に濃縮する逆浸透装置と、
    調整リン酸含有水を逆浸透装置の濃縮液室側に供給するリン酸含有水供給部と、
    逆浸透装置の透過液室側から透過液を取出す透過液取出部と、
    逆浸透装置の濃縮液室側から濃縮リン酸液の一部をリン酸含有水調整部に循環する循環経路と、
    逆浸透装置の濃縮液室側からの残部を取出す濃縮リン酸液取出部と
    を有することを特徴とするリン酸回収装置。
  7. 逆浸透装置を2段の構成とし、
    第1段逆浸透装置の第1段リン酸濃縮液を第2段逆浸透装置に供給する第1段リン酸濃縮液供給部を有し、
    循環経路は第2段逆浸透装置の濃縮液室側から第2段リン酸濃縮液の一部をリン酸含有水調整部に循環するように構成され、
    濃縮リン酸液取出部は第2段逆浸透装置の濃縮液室側から第2段リン酸濃縮液の残部を取出すように構成された請求項6記載の装置。
  8. 第2段逆浸透装置の濃縮液室側から取出された第2段リン酸濃縮液の残部を蒸発濃縮する蒸発濃縮装置を有する請求項7記載の装置。
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