JP3800449B2 - 高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法及び装置 - Google Patents
高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法及び装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3800449B2 JP3800449B2 JP07818197A JP7818197A JP3800449B2 JP 3800449 B2 JP3800449 B2 JP 3800449B2 JP 07818197 A JP07818197 A JP 07818197A JP 7818197 A JP7818197 A JP 7818197A JP 3800449 B2 JP3800449 B2 JP 3800449B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- treatment
- reverse osmosis
- water
- concentration
- electrodialysis
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A20/00—Water conservation; Efficient water supply; Efficient water use
- Y02A20/124—Water desalination
- Y02A20/131—Reverse-osmosis
Landscapes
- Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)
- Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高濃度の塩類及び有機物を含んでいて再利用や河川などへの放流ができない有機性廃水から、有機性成分を除去するだけではなく、従来の処理では除去できない高濃度の塩類をもあわせ除去することができ、処理水として再利用や放流を可能にする、高濃度の塩類を含有した有機性廃水の処理方法及び処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
し尿や浸出水などの塩類濃度が高い有機性廃水は、一般に、カルシウムイオンなどの塩類や有機物などの汚濁物質を高濃度に含んでいる。しばしば、生化学的酸素要求量(BOD)や化学的酸素要求量(COD)が高く、多くの懸濁固体(SS)を含み、さらにコロイド物質などに原因する色度を有している。そのため、通常これらを何らかの用途に直接再利用したり河川などに直接放流したりすることはできない。
このような有機性廃水の処理方法としては、従来では、有機汚濁物の除去を主体とした処理方法が用いられている。主な処理方法としては、例えば、BOD除去を目的とした生物処理、色度、COD及びSSなどの除去を目的とした凝集沈殿処理、SSなど濁質の除去を目的とした砂ろ過や精密ろ過膜(MF膜)処理がある。さらに、高度処理方法として一般的にオゾンや活性炭を用いる方法などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記した有機性廃水の処理方法においては、それらの処理を組み合わせることにより、BOD、CODなどの有機性成分を十分に除去することができるような技術水準に達している。しかし、有機性廃水は一般に有機物の他にも様々な塩類を含んでおり、場合によってはかなりの高い濃度の塩類を含有する場合がある。このような廃水を処理して河川などに放水する場合には、放流水域の水質保護、あるいは農業用水への影響も考慮しなければならず、近来、有機汚濁成分だけでなく特にそのような塩類も廃水中から一緒に除去する必要性が高まってきている。従来の有機性廃水の浄化方法は、いずれも主にその中の有機汚濁成分を除去することを目的としているため、塩類を除去する効果がなく、その処理水の塩類濃度は流入原水とほぼ同程度となっている。
【0004】
塩類を含む水相中から塩類を除去する処理方法はそれ自体では良く知られている技術であって、例えば逆浸透法、電気透析法、蒸発法などを挙げることができる。
逆浸透法は、半透膜(RO膜)で仕切られた室中の塩類水に浸透圧以上の機械的圧力を加えることにより、半透膜を通して水を室外に出して脱塩するという方法である。この方法の場合、効率は塩類水の塩類濃度に左右されるという欠点がある。塩類水の濃度が高い場合には脱塩水の回収率は低い。例えば、3.5wt%NaCl水溶液を脱塩処理する場合、処理圧力を60kgf/cm2 としても、水回収率は高くても35〜40%である。水の回収率を50%以上にするには操作圧力を70kgf/cm2 以上にしなければならない。しかし、このような高圧では、処理コストの増加となるだけではなく、逆浸透処理装置の寿命などを考えるとその限界がある。
さらに、塩類水が高い濃度でカルシウムイオンを含んでいると半透膜表面にカルシウムスケールが析出する危険性がある。塩類濃度が比較的低くても、半透膜表面でのカルシウムスケールの析出により透過水量の低下で処理水の高い回収率での処理が困難となる。
【0005】
電気透析法では、基本的に水の回収率を高く得ることができる。しかし、電気透析される被処理水がカルシウムイオンを高い濃度で含んでいる場合にはカルシウムスケールが装置内に析出する。特に、電気透析法では、陽極からの水素イオン及び陰極からの水酸イオンの移動に伴うpH変化などによりカルシウムスケールが生成しやすい。カルシウムスケールが析出すれば水を高い回収率を得ることはできない点は、逆浸透法の場合と同様である。しかも、この方法ではCODなどの有機物を除去することができないため、良質の処理水を得るためには活性炭処理法などの他の処理法による有機物の除去が必要となる。
また、蒸発法は、系の相変化を伴う方法であるため、必要エネルギーが大きく、処理コストを非常に増大させるという問題点がある。さらに、廃水が揮発性の有機物や窒素−アンモニウム塩化合物(NH4 −N)などを含んでいればそれらも処理水中に混入することがあり、良質な処理水は得にくいという問題点もある。
【0006】
本発明は、塩類を高い濃度で含む有機性廃水を処理して、再利用したり河川などに直接放流することができる程にまで効率よく浄化する際に、有機性成分を十分除去できるだけではなく、塩類を十分に除去することができ、かつその処理に際してカルシウムスケールの析出などの処理効果を低下させるという問題を起こさないで、浄化を行い、塩濃度の低い処理水を高い効率で得ることができる処理方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の手段によりその課題を解決した。
(1)高濃度の塩類を含有する有機性廃水に軟化処理を行ってその中のカルシウム濃度を低下させた後、生物処理、凝集沈殿処理、砂ろ過処理、精密ろ過膜処理からなる群から選ばれる1以上の処理または2以上の組み合わせからなる処理を行い、次いで逆浸透膜を用いる逆浸透処理により脱塩処理して、逆浸透濃縮水と処理水とに分離し、処理水を回収するとともにその一方、前記逆浸透濃縮水を引き続いて電気透析処理を施して電気透析濃縮水と電気透析処理水とに分離し、その電気透析処理水は、逆浸透処理の供給側に戻すことを特徴とする高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法。
(2)前記軟化処理においてその処理後の廃水のT−Ca濃度を100mg/リットル以下とすることを特徴とする前記(1)記載の高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法。
【0008】
(3)前記逆浸透処理において処理で生成する逆浸透濃縮水がその蒸発残留物が55000mg/リットル以上となるように処理することを特徴とする前記(1)又は(2)記載の高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法。
(4)前記電気透析処理においてその処理での脱塩率が98%以上で、電気透析脱塩水がその蒸発残留物が1000mg/リットル以下となるように処理することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項記載の高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法。
(5)前記電気透析処理において電気透析濃縮水がその蒸発残留物が13wt%以上となるように処理することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法。
(6)高濃度の塩類を含有する有機性廃水に軟化処理を行う軟化処理装置、前記軟化処理装置からのカルシウム濃度を低下した前記廃水を供給する生物処理装置、凝集沈殿処理装置、砂ろ過処理装置、精密ろ過膜処理装置からなる群から選ばれる1以上の処理装置または2以上の組み合わせからなる処理装置、前記処理装置からの処理水を供給し、脱塩処理して逆浸透濃縮水と処理水とに分離する逆浸透膜を用いる逆浸透処理装置、前記逆浸透濃縮水を供給し、電気透析処理により電気透析濃縮水と電気透析処理水とに分離する電気透析処理装置、前記電気透析処理装置からの電気透析処理水を前記逆浸透処理装置の供給側に戻す配管、及び前記逆浸透処理装置から処理水を回収する配管を有することを特徴とする高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理装置。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面により説明する。
図1は、本発明にかかる廃水の処理方法を行う処理装置の一実施態様を示す概略図である。
図1に示す有機性廃水の処理装置は、前記有機性廃水を供給する被処理水流入管1を接続した軟化処理装置2を設け、その排出側に生物処理装置3、さらに凝集精密ろ過装置4(図中では「凝集MFろ過装置4」と表示してある)を設けてある。前記凝集精密ろ過装置4は、生物処理装置3内又はそれから排出される生物処理水に無機凝集剤等を添加して凝集物を生成させた水を精密ろ過膜(MF膜)によりろ過する装置である。凝集精密ろ過装置4のろ過処理水配管5の出口は逆浸透処理供給タンク6内に開口している。
【0010】
逆浸透処理供給タンク6から逆浸透処理供給配管7が逆浸透処理装置8に連結し、この逆浸透処理装置8からは逆浸透濃縮水管9と逆浸透処理水管10とが別々に出ている。
逆浸透処理装置8からの逆浸透濃縮水配管9は電気透析処理供給タンク11内にその出口を開口しており、その電気透析処理供給タンク11からは電気透析処理供給配管12が電気透析処理装置13に延びている。この電気透析処理供給配管12を通って電気透析処理装置13への逆浸透濃縮水の供給は回分式に行うことが好ましい。
この電気透析処理装置13からは更に電気透析処理水配管14と電気透析処理水配管15とが別々に延び、電気透析処理水配管14はその出口を前記逆浸透処理供給タンク6内に開口しており、その電気透析濃縮水配管15は蒸発乾燥処理装置16に至っている。
【0011】
本発明では、その処理の対象とする有機性廃水としては、有機性成分としてはそれほど高くないものでも処理できるものであって、有機性成分が電気透析処理にまで入ると悪影響を及ぼすので、それを逆浸透処理において除去することができる。また、その有機性廃水中の塩類濃度については、かならずしも著しく高い濃度のものを対象とするものではなく、前記したように放流するには支障となる程度に高い濃度のもの、乃至はそれよりも高い濃度のものを対象とするに適しているものである。
本発明の有機性廃水の処理方法は、このような装置を使用して例えば次のようにして実施するとよい。
高い濃度で塩類を含有する有機性廃水を被処理水流入管1から軟化処理装置2に導入して軟化処理を行う。軟化処理は、例えば、石灰ソーダ軟化法やイオン交換硬水軟化法によって水中のカルシウムやマグネシウムの硬水成分(難溶塩形成成分)をナトリウムのような易溶性形成成分に置換するような方法で行うことができる。
この軟化処理により、前記廃水中のT−Ca濃度を100mg/リットル以下にするようにすることが好ましい。その濃度は低いほど良いが、この程度であれば、以下の処理を行う上で支障がなくなる。ここで、T−Ca濃度とは、水中の全カルシウム濃度であって、イオンだけでなく、溶解して未解離のカルシウム塩も含むものである。
このT−Ca濃度が100mg/リットル以下になると逆浸透処理装置8あるいは電気透析処理装置13でカルシウムスケールが発生することを効果的に防止することができ、好ましい。
【0012】
このようにしてカルシウムイオンを除去した廃水は、次いで生物処理装置3、凝集精密ろ過装置4に導入し、有機汚濁物の多くを除去する。生物処理装置3で行う生物処理方法としては、具体的には標準的な活性汚泥法の他に、生物学的硝化脱窒素法なども挙げることができる。これらの方法を利用することによりBODを低下させることができる。凝集精密ろ過装置4で行う凝集精密ろ過(凝集MF膜ろ過)処理方法としては、具体的には、前記したように生物処理水に無機凝集剤を添加して凝集させたものを精密ろ過膜でろ過する、という方法を挙げることができる。このような方法を利用すると特にSSなどの濁質を廃水中から除去することができる。
【0013】
有機物の除去処理を施した前記廃水は、次いで逆浸透処理装置8、続いて電気透析処理装置13に導き、塩類の除去処理を施す。この電気透析処理装置13では、前記したように回分式で処理することが好ましい。
すなわち、上記の凝集精密ろ過装置4から逆浸透処理供給タンク6にいったん貯蔵し、そこから逆浸透処理装置8に導き、ここで逆浸透処理(「RO処理」ともいう)を行う。逆浸透処理では、半透膜(「RO膜」ともいう)中の塩類水に5Mpa以上の機械的な圧力を加え、逆浸透濃縮水(「RO濃縮水」ともいう)と逆浸透処理水とに分離し、脱塩した逆浸透処理水は逆浸透処理水配管10を通じて回収する。
【0014】
この逆浸透処理を行うと、逆浸透濃縮水としてその蒸発残留物成分濃度が55000mg/リットル以上という高濃度塩類水とすることができ、廃水中の塩類を濃縮させることができて、効率が良い。前記の「蒸発残留物成分」とは、その水の水分を蒸発させれば固形成分として蒸発缶中に残留する成分をいう。
また、先の生物処理や凝集精密ろ過膜処理で十分除去できなかった廃水中の有機物はさらにこの半透膜でろ過して除去されることとなり、汚濁有機物が逆浸透処理水中に入る込むことはほとんどない。逆浸透濃縮水は、逆浸透処理装置8から電気透析処理供給タンク11にいったん貯蔵し、そこから電気透析処理装置13に導入する。
【0015】
電気透析処理(「ED処理」ともいう)は、多数の電気透析膜を配列し、交互に形成した濃縮室と希釈室に逆浸透濃縮水を供給して、通電して濃縮室に高濃度の電気透析濃縮水を得、希釈室に低濃度の電気透析処理水を得るものである。電気透析処理は回分式に行うとよい。回分式に行うと、脱塩した低濃度の電気透析処理水と電気透析濃縮水との塩類濃度比は150以上とすることができ、蒸発残留物成分濃度13wt%以上(130000mg/リットル以上)の電気透析濃縮水を得ることができる。回分式処理が連続式処理の場合よりも脱塩率及び処理効率とも高い。この場合、電気透析濃縮水から分離させた電気透析処理水では通常、98wt%以上の塩類が除かれ、塩類濃度は1000mg/リットル以下に低下する。
【0016】
電気透析処理水は電気透析処理水配管14を通じて逆浸透処理供給タンク6に還流する。有機物の残存があれば逆浸透処理装置8でろ過される。電気透析濃縮水は電気透析濃縮水配管15から蒸発乾燥処理装置16に導き、蒸発乾燥処理することによって水分と塩類とに分離し、塩類を単離する。
逆浸透処理の効率は、塩類濃度が低い場合にはよくなる。上記の実施の形態では逆浸透処理供給タンク6に低濃度の電気透析処理水の還流がある。したがって、逆浸透処理は通常の廃水より塩類濃度の低い状態で行うことができ、その分、塩類濃度が非常に低い大量の逆浸透処理水を効率よく回収できる。その一方で高い濃度の逆浸透濃縮水を縮小した容積で回収できることになる。次いで、電気透析処理はこのような縮小した容積の逆浸透濃縮水を対象として行う。
【0017】
したがって、電気透析処理の量的負担は大きくなく、続いて行う蒸発乾燥処理でも処理対象となる水量は更に絞られる。相変化をともない大量のエネルギーを要する蒸発乾燥処理であっても効率よく行うことができ、塩類成分を固形成分として容易に単離することができる。
電気透析処理で生じた低濃度の電気透析処理水は逆浸透処理供給タンク6に還流させ、逆浸透処理水は逆浸透処理を通じて回収していることから、凝集精密ろ過を免れた微量の有機物が残存していたとしても回収する逆浸透処理水にそれが流れ込むことはほとんどない。
上記の実施の態様では有機物の除去にあたり、生物処理方法と凝集精密ろ過膜処理方法とを採用しているが、実際には有機物の除去を十分に行うことができるならばその他の方法を採用してもよい。例えば、凝集沈殿処理方法あるいは砂ろ過方法などを採用してもよい。凝集沈殿処理方法によると色度やSSなどを除去し、CODも下げることができる。砂ろ過方法によればSSなど濁質を除去することができる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されることはない。
(実施例)
図1に示す有機性廃水の処理装置を用い、高濃度塩類を含有する有機性廃水を処理した。処理対象として用いた前記廃水(「被処理水」)、凝集精密ろ過後の処理水(「MF処理水」)、逆浸透処理して得られた逆浸透処理水(「RO処理水」)、電気透析処理して得た電気透析濃縮水(「ED濃縮水」)のそれぞれの水質を測定した。
測定結果を第1表に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
なお、カルシウムスケールの析出の有無は、化学分析と各装置の処理性能を基に判断した。
以上の結果から次のことが分かった。
被処理水すなわち浄化対象として用いた廃水の最初の色度が500度、濁度が200度、CODが250mg/リットル、T−Caが1200mg/リットルであるのに対し、軟化処理、生物処理及び凝集精密ろ過膜(凝集MF膜)処理を通過したMF処理水は、色度が50〜80度、濁度が0.5度、CODが40〜60mg/リットル、T−Ca濃度値が50mg/リットルになった。
軟化処理でT−Ca濃度値はその96%が減少、逆浸透処理する対象水のT−Ca濃度値は50mg/リットルになった。このことから、逆浸透処理や電気透析処理の中でカルシウムに原因するスケールの生成はほとんどなくなった。
【0021】
逆浸透処理して得た逆浸透処理水、すなわちRO処理水の色度は2度、CODは2.0mg/リットルである。結局、逆浸透処理前の廃水のCOD及び色度は、逆浸透処理により95%減少した。しかも逆浸透処理前の廃水の電気伝導率は20000〜25000μS/cm、蒸発残留物成分濃度12000〜15000mg/リットルであるのに対し、逆浸透処理水の電気伝導率は400〜800μS/cm、蒸発残留物成分濃度300〜400mg/リットル、この結果からも塩類は97%以上が除去されたことが分かった。逆浸透処理後の逆浸透処理水の水質は極めて良好で、多くの用途に再利用することも可能である。
電気透析処理したED濃縮水の電気伝導率は約140000〜145000 μS/cm、蒸発残留物成分濃度は約160000〜165000mg/リットルである。電気透析処理した電気透析処理水は逆浸透処理に返送し、これによって逆浸透処理する対象水の塩類濃度が下がり、逆浸透処理水の回収率は90〜91%となった。蒸発乾燥処理する電気透析濃縮水の量は最初の被処理水の量の10分の1以下になった。
【0022】
(比較例1)
実施例と同じ有機性廃水を軟化処理することなく、凝集精密ろ過膜処理した後は直ちに逆浸透処理して逆浸透処理水を回収し、淡水と分離した高濃度塩類水を塩類濃縮水(RO濃縮水)として蒸発乾燥処理の対象水とし、電気透析処理は省略した。その他は実施例と同様にした。
水質検査の結果を表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】
第2表の結果から次のことが分かった。
MF処理水のT−Ca濃度値が1000〜1200mg/リットル、カルシウムスケールの析出は凝集精密ろ過膜処理する中で若干認められ、逆浸透処理する中で顕著となり、逆浸透処理では頻繁に膜洗浄が必要になった。逆浸透処理水の回収率は74〜80%に止どまり、90〜91%だった実施例より約10ポイント低くなっている。RO濃縮水中の蒸発残留物成分濃度は58000〜60000mg/リットルしかなく、実施例のED濃縮水の蒸発残留物成分濃度と比べて約3分の1程度である。すなわち、濃縮水の水量は3倍になり、蒸発乾燥しようとすれば処理コストが大きく増加していることが分かった。
【0025】
(比較例2)
軟化処理と逆浸透処理をすることなく、凝集精密(凝集MF)ろ過膜処理した後はそのMF処理水を直ちに電気透析処理(ED処理)し、得られた低濃度塩類水(ED処理水)は淡水として回収、塩類濃縮水(ED濃縮水)は蒸発乾燥処理の対象水とし、その他は実施例と同様にした。
水質検査の結果を表3に示す。
【0026】
【表3】
【0027】
第3表の結果から次のことが分かった。
MF処理水のT−Ca濃度値は依然1000〜1200mg/リットルある。カルシウムスケールの析出は凝集精密ろ過膜処理の中で若干認められ、逆浸透処理する中で顕著となり、浄化処理効率が低下した。ED濃縮水の蒸発残留物成分濃度は120000〜125000mg/リットル以上に濃縮することができず、処理水の回収率も約85〜87%に止どまった。90〜91%だった実施例より約4〜5ポイント低い。さらに、電気透析処理前後の色度とCODとには変化がなく、処理水、被処理水とも色度50〜80度、CODは40〜60mg/リットルであり、凝集精密ろ過膜処理で除去しきれなかった有機物はその後も全く除去されなかった。結局、実施例と同程度の処理水を得るには更に他の処理方法による有機物の除去が必要であることが分かった。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、高濃度塩類を含有する有機性廃水を予めカルシウム溶解濃度を下げ、有機物の除去処理を行ってから逆浸透処理を施し、高濃度の逆浸透濃縮水と低濃度の逆浸透処理水とに分離し、ここで逆浸透処理水を回収するとともにその一方、逆浸透濃縮水には引き続いて電気透析処理を施して電気透析濃縮水と低濃度の電気透析処理水とに分離し、電気透析処理水は逆浸透処理に還流させているから、逆浸透処理は比較的低濃度の状態で行うこととなり、淡水レベルの逆浸透処理水の回収率がよい。逆浸透処理水の回収は逆浸透処理によって行っていることから、有機物成分が含まれていてもろ過されて除かれ、回収する処理水の中に漏洩することもほとんどない。しかも、軟化処理を行っているので、カルシウムスケールの析出というトラブルもなく、この方法によれば塩類を高い濃度で含む有機性廃水を効率的に淡水化して再利用したり河川などに直接放流することができる。また、有機性廃水の高度処理、脱塩処理、塩類物質の濃縮回収、処理水の回収再利用などに応用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を行う廃水の処理装置の概略図
【符号の説明】
1 被処理水流入管
2 軟化処理装置
3 生物処理装置
4 凝集精密ろ過装置
5 凝集精密ろ過処理水配管
6 逆浸透処理供給タンク
7 逆浸透処理供給配管
8 逆浸透処理装置
9 逆浸透濃縮水配管
10 逆浸透処理水配管
11 電気透析処理供給タンク
12 電気透析処理供給配管
13 電気透析処理装置
14 電気透析処理水配管
15 電気透析濃縮水配管
16 蒸発乾燥処理装置
Claims (5)
- 高濃度の塩類を含有する有機性廃水に軟化処理を行ってその中のカルシウム濃度を低下させた後、生物処理、凝集沈殿処理、砂ろ過処理、精密ろ過膜処理からなる群から選ばれる1以上の処理または2以上の組み合わせからなる処理を行い、次いで逆浸透膜を用いる逆浸透処理により脱塩処理して、逆浸透濃縮水と処理水とに分離し、処理水を回収するとともにその一方、前記逆浸透濃縮水を引き続いて電気透析処理を施して電気透析濃縮水と電気透析処理水とに分離し、その電気透析処理水は、前記逆浸透処理の供給側に戻すことを特徴とする高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法。
- 前記軟化処理においてその処理後の廃水のT−Ca濃度を100mg/リットル以下とすることを特徴とする請求項1記載の高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法。
- 前記逆浸透処理においてその処理で生成する逆浸透濃縮水がその蒸発残留物が55000mg/リットル以上となるように処理することを特徴とする請求項1又は2に記載の高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法。
- 前記電気透析処理において電気透析濃縮水がその蒸発残留物が13wt%以上となるように処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法。
- 高濃度の塩類を含有する有機性廃水に軟化処理を行う軟化処理装置、前記軟化処理装置からのカルシウム濃度を低下した前記廃水を供給する生物処理装置、凝集沈殿処理装置、砂ろ過処理装置、精密ろ過膜処理装置からなる群から選ばれる1以上の処理装置または2以上の組み合わせからなる処理装置、前記処理装置からの処理水を供給し、脱塩処理して逆浸透濃縮水と処理水とに分離する逆浸透膜を用いる逆浸透処理装置、前記逆浸透濃縮水を供給し、電気透析処理により電気透析濃縮水と電気透析処理水とに分離する電気透析処理装置、前記電気透析処理装置からの電気透析処理水を前記逆浸透処理装置の供給側に戻す配管、及び前記逆浸透処理装置から処理水を回収する配管を有することを特徴とする高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07818197A JP3800449B2 (ja) | 1997-03-28 | 1997-03-28 | 高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法及び装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07818197A JP3800449B2 (ja) | 1997-03-28 | 1997-03-28 | 高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法及び装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10272494A JPH10272494A (ja) | 1998-10-13 |
JP3800449B2 true JP3800449B2 (ja) | 2006-07-26 |
Family
ID=13654807
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP07818197A Expired - Lifetime JP3800449B2 (ja) | 1997-03-28 | 1997-03-28 | 高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法及び装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3800449B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102849879A (zh) * | 2012-10-11 | 2013-01-02 | 北京机电院高技术股份有限公司 | 一种反渗透浓水的回用处理工艺 |
CN105923853A (zh) * | 2016-06-07 | 2016-09-07 | 厦门亿赛膜技术有限公司 | 一种由磷酸盐废水制备磷酸和碱的工艺 |
WO2019044197A1 (ja) * | 2017-08-31 | 2019-03-07 | オルガノ株式会社 | 硬度成分含有水の処理装置および処理方法 |
Families Citing this family (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20030027460A (ko) * | 2001-09-28 | 2003-04-07 | 주식회사 엔비자인 | 식수의 정수방법 |
CN103332812A (zh) * | 2013-07-23 | 2013-10-02 | 中国海洋石油总公司 | 一种电渗析脱盐处理炼化循环冷却排污水回用水方法 |
CN105060596A (zh) * | 2015-07-23 | 2015-11-18 | 江苏德邦工程有限公司 | 膜法及降膜蒸发零排放含盐废水处理方法及其装置 |
US10669168B2 (en) | 2016-11-29 | 2020-06-02 | China Petroleum & Chemical Corporation | Method and system for treating brine waste water |
CN106865706A (zh) * | 2017-03-14 | 2017-06-20 | 湖北科林博伦新材料有限公司 | 一种甲苯氧化法制备苯甲醇工艺中含有机物盐水的处理及循环利用方法 |
CN109650636A (zh) * | 2018-12-26 | 2019-04-19 | 国电新能源技术研究院有限公司 | 一种含盐废水处理系统 |
CN113526750A (zh) * | 2020-04-22 | 2021-10-22 | 大连波美科技有限公司 | 一种高盐高cod废水的处理系统 |
CN111847747A (zh) * | 2020-07-21 | 2020-10-30 | 杭州碟滤膜技术有限公司 | 一种高盐高有机物废水的处理系统及方法 |
CN112624446A (zh) * | 2020-12-03 | 2021-04-09 | 郑州中科新兴产业技术研究院 | 有机废水零排放处理工艺 |
CN113045136A (zh) * | 2021-03-25 | 2021-06-29 | 中建环能科技股份有限公司 | 一种含盐废水处理系统及处理工艺 |
-
1997
- 1997-03-28 JP JP07818197A patent/JP3800449B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102849879A (zh) * | 2012-10-11 | 2013-01-02 | 北京机电院高技术股份有限公司 | 一种反渗透浓水的回用处理工艺 |
CN105923853A (zh) * | 2016-06-07 | 2016-09-07 | 厦门亿赛膜技术有限公司 | 一种由磷酸盐废水制备磷酸和碱的工艺 |
WO2019044197A1 (ja) * | 2017-08-31 | 2019-03-07 | オルガノ株式会社 | 硬度成分含有水の処理装置および処理方法 |
JP2019042651A (ja) * | 2017-08-31 | 2019-03-22 | オルガノ株式会社 | 硬度成分含有水の処理装置および処理方法 |
JP7020821B2 (ja) | 2017-08-31 | 2022-02-16 | オルガノ株式会社 | 硬度成分含有水の処理装置および処理方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10272494A (ja) | 1998-10-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3909793B2 (ja) | 高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法及びその装置 | |
JP5873771B2 (ja) | 有機性廃水の処理方法及び処理装置 | |
JP5567468B2 (ja) | 有機性廃水の処理方法及び装置 | |
JP3800450B2 (ja) | 高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法及び装置 | |
CN108383315B (zh) | 一种多级电驱动离子膜的废水回收装置 | |
CN105540967A (zh) | 一种有机废水减量化、资源化处理方法及处理系统 | |
EP2421798A2 (en) | Water treatment | |
CN108275820A (zh) | 水处理方法 | |
JP5564174B2 (ja) | 金属成分含有水の浄化処理方法及び浄化処理装置 | |
JP3800449B2 (ja) | 高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法及び装置 | |
CN106745981A (zh) | 一种高盐废水处理回用的系统和方法 | |
JPH10323664A (ja) | 排水回収処理装置 | |
WO2003106348A1 (en) | Methods for reducing boron concentration in high salinity liquid | |
JP3137831B2 (ja) | 膜処理装置 | |
JP2000051665A (ja) | 脱塩方法 | |
JP3640379B2 (ja) | 水処理方法 | |
KR0162157B1 (ko) | 역삼투막 시스템을 이용한 화학 폐수의 처리방법 | |
JP2008246442A (ja) | リン酸含有水からリン酸を回収する方法および装置 | |
JP2004167423A (ja) | 純水製造装置及び純水製造方法 | |
RU2207987C2 (ru) | Способ очистки дренажных вод полигонов твердых бытовых отходов | |
CN109205944A (zh) | 一种制药废水的分盐处理方法 | |
CN206437968U (zh) | 一种高盐废水处理回用的系统 | |
JP2002096068A (ja) | 脱塩排水の処理方法及び装置 | |
JP3376639B2 (ja) | 半導体洗浄排水からの純水回収方法 | |
JP4110604B2 (ja) | フッ素含有水の処理方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050520 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20060324 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060419 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060420 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090512 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100512 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100512 Year of fee payment: 4 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100512 Year of fee payment: 4 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110512 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110512 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120512 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130512 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140512 Year of fee payment: 8 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |