JP3640379B2 - 水処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として塩類を含む原水、例えば一般廃棄物最終処分場の浸出汚水等を脱塩処理する水処理方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、廃棄物は焼却処理後に最終処分場に埋め立て処分することが一般的に行われている。
【0003】
この最終処分場において発生する浸出水には焼却された廃棄物から浸出されるカルシウムやバリウム、硫酸イオン、リン酸イオン、シリカ等が含まれており、そのまま排出した場合には例えばカルシウムイオンやバリウムイオンが炭酸イオン、硫酸イオンと反応して不溶性のカルシウム塩,バリウム塩となって配管や設備にスケールとして付着し、設備の機能を低下させるという問題が生じていた。
【0004】
そこで、浸出水からカルシウム等を除去するために、従来では図8に示すような水処理装置が使用されていた。
【0005】
即ち、汚水は流量調整槽24に貯留された後に、カルシウム除去槽25でカルシウムが除去され、その後に生物脱窒槽26で脱窒処理され、さらに凝集沈殿槽27によって汚泥と処理水が分離され、該処理水は砂濾過槽28や活性炭処理槽29及びキレート吸着装置30を経た後に処理水として処理される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような水処理装置で浸出水を処理した場合に、カルシウムや窒素、リン等の成分は除去できるものの、カルシウム以外の塩類、例えばナトリウム、塩素イオン等の塩類は除去することができず、このまま処理水として河川等に排出した場合には、これらの塩類によって河川や土壌が汚染されるおそれがあるという問題が生じていた。
【0007】
そこで、このような水処理装置で除去できない原水中の塩類を除去する方法として、逆浸透膜等の透過膜を使用して汚水処理をすることが考えられる。
【0008】
この逆浸透膜は、塩類を含んだ原水を透過させると、塩類を濃縮した濃縮水と塩類が除去された処理水に分離して塩類を除去する透過膜である。
【0009】
しかし、このような逆浸透膜に上記のような塩類を含む原水を透過させた際に、カルシウム、バリウム等の低溶解度塩類が含まれていると、膜の濃縮側ではカルシウム塩、バリウム塩が溶解度を越えて膜表面にスケールとして付着し、膜の透過水量[m3/hr :単位時間に膜を透過する水の量]が減少するので、逆浸透膜の処理能力を低下させるおそれがあった。
【0010】
特に、カルシウム、バリウム等が硫酸カルシウム、硫酸バリウムのスケールとして一旦析出した場合には、酸やアルカリ等の薬品を使用しても洗浄することが困難であった。
このようにスケールが付着した膜は、透過水量が減少し、処理能力が低下するため、短期間で膜を交換する必要があった。このことは、装置の運転上も問題であった。
【0011】
尚、このカルシウム塩、バリウム塩等が、膜表面でスケールとして析出する濃度を越える前に、カルシウム塩、バリウム塩等を除去する方法として、たとえば晶析槽を設け、或いはNa2CO3を添加するコールドライム法による沈殿槽を設ける等の方法も考えられる。
【0012】
しかし、これらの方法によると、晶析槽や沈殿槽を別途設ける必要があり、設置面積が増大するという問題点がある。
【0013】
また、晶析槽や沈殿槽から大量に排出される炭酸カルシウム等の汚泥を処理しなければならないという問題点もあった。
【0014】
たとえば、原水の処理水量が100m3/d でカルシウム濃度が1000mg/Lであるとした場合、必要炭酸ナトリウム量が250 〜300kg/d で、発生汚泥量が5〜8m3/dとなっていた。
【0015】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、逆浸透膜へのスケールの付着等を防止することのでき、しかも炭酸ナトリウム等の薬注量や汚泥の発生量を低減することができる水処理方法を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、水処理方法としての特徴は、カルシウムを含有する原水を逆浸透膜に透過させて処理水と濃縮水に分離する水処理方法において、前記逆浸透膜の透過前の原水に分散剤を添加し、且つ該分散剤を添加する前に、原水中のカルシウム当量の化学量論数の0.6倍以下の炭酸ナトリウムを添加することにある。
【0021】
本発明においては、先ず炭酸ナトリウムを、原水に添加する。
【0022】
原水中にカルシウムイオンやバリウムイオンが含有されている場合には、上記のような炭酸ナトリウムの添加によって、次のような反応が生ずる。
Ca2++Na2CO3 →CaCO3 +2Na+ …(1)
Ba2++Na2CO3 →BaCO3 +2Na+ …(2)
【0023】
この場合、カルシウム塩の沈殿に比べるとバリウム塩の沈殿は生じ易い。
【0024】
従って、カルシウムの当量より少ない量に設定された量の炭酸ナトリウムを添加することによって、カルシウム塩はさほど除去することができないが、バリウム塩は好適に除去することができる。
【0025】
上記のように炭酸ナトリウムを添加した後に、分散剤を添加する。
【0026】
このような分散剤の添加によって、カルシウム塩は好適に分散され、沈殿することがないので、このカルシウム塩のスケールが逆浸透膜に付着して、膜の処理性能が低下することもない。
【0027】
一方、バリウム塩は、カルシウム塩に比べると、十分には分散されないが、すでにバリウム塩のほとんどが上記のような炭酸ナトリウムの添加によって沈殿除去されているので、バリウム塩のスケールが逆浸透膜に付着するのも好適に防止されることとなるのである。
【0028】
その後、逆浸透膜によって、原水中に含まれるバリウム、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、塩素イオン、硫酸イオン等からなる塩類やリン、窒素分等が分離されて処理水が得られることとなる。
【0029】
上述のように、炭酸ナトリウムの添加により、バリウム塩の沈殿,除去がカルシウム塩の沈殿,除去に比べて好適になされ、その後の分散剤の添加により、カルシウム塩の分散が好適になされるので、炭酸ナトリウムの薬注量をカルシウム当量よりはるかに少ない量に減らすことができるのである。
【0030】
尚、仮に炭酸ナトリウムを添加する前に分散剤を添加すると、カルシウム塩やバリウム塩等が分散されていまうため、一旦分散されたものがその後の炭酸ナトリウムの添加によって沈殿されることになり、分散させていることが無意味となる。
【0031】
すなわち、分散させることと沈殿させることとは、相反する操作であるため、分散剤を先に添加すると、分散剤を添加せずに炭酸ナトリウムを添加する操作のみを行うのと同じこととなる。
【0032】
そうであれば、カルシウム塩を除去するための炭酸ナトリウムの薬注量を減少させることは結局できないので、本発明においては、分散剤を添加する前に炭酸ナトリウムを添加することが必要となる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面に従って説明する。
先ず、本実施形態の水処理装置の構成について説明すると、図1において、1は、浸出水としての原水又は沈殿ろ過等の前処理のなされた原水が貯留された原水貯留槽、2は該原水貯留槽1からの原水が導入される逆浸透膜装置で、この逆浸透膜装置は、図2に示すように、円筒状の装置本体13内に、円板状の逆浸透膜14が同じく円板状のスペーサ15の間に設けられた逆浸透膜部16が複数組積層されて構成されている。
【0034】
該逆浸透膜装置2の装置本体13の内周面には原水を導入する原水流路17が設けられ、該原水流路17から逆浸透膜14の表面に原水が導入される。
【0035】
また、該逆浸透膜部16の上部にはエンドプレート18が設けられ、浸透圧以上の圧力に耐えられるようになっている。
【0036】
19は逆浸透膜部16の中央部に貫通された処理水パイプで、該処理水パイプ19は逆浸透膜部14によって分離された処理水を排出させる。
【0037】
また、20は濃縮水パイプで、各逆浸透膜14によって濃縮された濃縮水を装置本体13外へ排出させる。
【0038】
3は、原水に添加するための分散剤が貯留された分散剤貯留槽で、分散剤が原水貯留槽1と逆浸透膜装置2間のライン4に添加されうるように設けられている。
【0039】
5は、原水に添加するための炭酸ナトリウムが貯留された炭酸ナトリウム貯留槽で、原水貯留槽1と逆浸透膜装置2間のライン4であって、分散剤が添加される箇所の手前側のライン4に炭酸ナトリウムが添加されうるように設けられている。
【0040】
6は、前記炭酸ナトリウムの添加によって沈殿する塩を除去するための沈殿除去槽を示す。
【0041】
7は、前記逆浸透膜装置2で分離された処理水が導入される第2逆浸透膜装置で、ライン8を介して前記逆浸透膜装置2に接続されている。そして、この第2逆浸透膜装置7も前記逆浸透膜装置2と同様の構成からなる。
【0042】
9は、前記逆浸透膜装置2で分離された濃縮液が貯留される濃縮液貯留槽、10は該濃縮液貯留槽9からの濃縮液が導入される高圧逆浸透膜装置で、該高圧逆浸透膜装置10は、前記逆浸透膜装置2と同様に円筒状の装置本体内に円板状の逆浸透膜がスペーサ間に設けられた逆浸透膜部が複数積層されている。
【0043】
また、この高圧逆浸透膜装置10においては、前記逆浸透膜装置2よりも高圧をかけて濃縮水を高度に濃縮する分離処理を行うことが可能に形成されている。
【0044】
さらに、高圧逆浸透膜装置10には、該高圧逆浸透膜装置10から分離される高濃度の濃縮液を前記濃縮液貯留槽9に返送するための返送ライン11が接続されている。
【0045】
また、この高圧逆浸透膜装置10から分離される透過液を供給するためのライン12が、前記逆浸透膜装置2と、第2逆浸透膜装置7間のライン8に接続されている。
【0046】
次に、上記のような構成からなる水処理装置によって浸出水を処理する処理方法について説明する。
【0047】
廃棄物処理場から浸出される浸出水を原水として貯留する原水貯留槽1から、原水を逆浸透膜装置2へ導入して原水の脱塩が行われるが、その逆浸透膜装置2の手前側で、先ず炭酸ナトリウム貯留槽5からライン4に炭酸ナトリウムが添加される。
【0048】
これによって生ずる炭酸バリウムや炭酸カルシウムの沈殿が沈殿槽6で沈殿除去されることとなる。
【0049】
この場合、炭酸バリウムは炭酸カルシウムに比べて沈殿し易い。
【0050】
そして、添加される炭酸ナトリウムの量は、カルシウム当量の化学量論数の約0.5倍であり、炭酸カルシウムは十分には沈殿しないが、炭酸バリウムは十分に沈殿する。
【0051】
次に、分散剤添加槽3から、分散剤がライン4に添加される。
【0052】
この分散剤としては、ポリリン酸系分散剤、ホスホン酸系分散剤、ポリアクリル酸系分散剤、マレイン酸系分散剤、ポリアスパラギン酸系分散剤等が用いられる。
【0053】
このような分散剤の添加によって、カルシウム塩は好適に分散され、沈殿することがないので、このカルシウム塩のスケールが逆浸透膜に付着することもない。
【0054】
一方、バリウム塩は、カルシウム塩に比べると、十分には分散されないが、すでにバリウム塩のほとんどが上記のような炭酸カルシウムの添加によって沈殿除去されているので、バリウム塩のスケールが逆浸透膜に付着することもない。
【0055】
このようにして沈殿したバリウム塩等が除去され、カルシウム塩等が分散された原水は、逆浸透膜装置2へ導入される。
【0056】
この逆浸透膜装置2は、円板状の逆浸透膜14が積層された構造で、該逆浸透膜14の表面とスペーサ15の間を原水が流れる時に圧力をかけると逆浸透膜14は水のみを透過して膜の内側に脱塩された処理水が溜まり、該処理水は装置本体13の中央部に縦設された処理水パイプ18を経て逆浸透膜装置2から処理水として排出される。
【0057】
一方、原水は逆浸透膜14とスペーサー15の間を通り濃縮水パイプ20を経て、逆浸透膜装置2から濃縮水として排出される。
【0058】
次に、濃縮液は、濃縮液貯留槽9に導入され、その後、高圧逆浸透膜装置10へ導入される。
【0059】
この場合において、逆浸透膜装置2に導入される前の原水には、上記のように炭酸ナトリウムの添加と、分散剤の添加との双方がなされるため、炭酸ナトリウムが添加されることによってバリウム塩のほとんどが沈殿除去され、分散剤が添加されることによってカルシウム塩が好適に分散されるので、このような炭酸ナトリウムと分散剤の添加により、原水中に含まれているカルシウム塩やバリウム塩がスケールとして逆浸透膜に付着されるのが防止される。
【0060】
この結果、塩類がスケールとなって逆浸透膜装置2の膜の処理能力を低下させる原因となることもない。
【0061】
さらに、濃縮液貯留槽9に貯留されていた濃縮液は、高圧逆浸透膜装置10によって処理されるため、高度に濃縮された高度濃縮水が得られる。
【0062】
この高度濃縮水は、濃縮液貯留槽9に返送されることとなる。
【0063】
一方、高圧逆浸透膜装置10において分離された処理水は、ライン12を介して前記逆浸透膜装置2と、第2逆浸透膜装置7間のライン8に導入され、逆浸透膜装置2から排出された処理水とともにそのライン8から第2逆浸透膜装置7へ導入され、さらに脱塩処理され、水質が向上する。
【0064】
そして、逆浸透膜装置2から排出された処理水は更に第2逆浸透膜装置7で脱塩処理され、高純度の処理水として排出される。
【0065】
また、逆浸透膜装置2、高圧逆浸透膜装置10及び第2逆浸透膜装置7に円板状の逆浸透膜14をスペーサー15の間に設けた逆浸透膜部16を複数積層した逆浸透膜装置を使用したため、膜に処理水を透過させる際の流路が広く確保できる。
【0066】
また、前記逆浸透膜装置2内の流れが乱流になるのでスケールや汚れの付着、膜の閉塞が防止でき、また、長期間使用した後に逆浸透膜の膜表面を洗浄することも容易に行える。
【0067】
尚、上記実施形態では、炭酸ナトリウムの添加量を、カルシウム当量の化学量論数の約0.5倍としたが、炭酸ナトリウムの添加量はこれに限るものではない。
【0068】
また該実施形態では、逆浸透膜装置2を通過して濃縮された濃縮液を濃縮液貯留槽9に導入したが、このような濃縮液貯留槽9は必ずしも設ける必要はなく、たとえば図3に示すようにポンプ21を介して直接高圧逆浸透膜装置10へ供給することも可能である。
【0069】
また、該実施形態では、高圧逆浸透膜装置10の通過後の濃縮水を濃縮液貯留槽9に返送するように返送ライン11を設けたが、この返送ライン11の他に、濃縮液貯留槽9と高圧逆浸透膜装置10間のラインに返送する返送ライン(図示せず)を設けることも可能である。
【0070】
さらに、このような返送ラインによって返送するのみならず、図1の2点鎖線で示すように外部に排出するドレイン排出経路23を設けてもよい。
【0071】
さらに、図4に示すように、濃縮液貯留槽9と高圧逆浸透膜装置10との間にNF膜(ナノフィルター膜)を有するNF膜装置22を設けることも可能であり、このようなNF膜装置22を設けることによって、スケール生成塩を除去して高圧逆浸透膜装置10の負担を軽くすることができるという効果がある。
【0072】
さらに、この位置にNF膜装置22に代えて限外ろ過装置や精密ろ過装置を設けることも可能であり、このような限外ろ過装置や精密ろ過装置を設けることによって沈殿を除去して高圧逆浸透膜装置10の負担を軽くすることができるという効果がある。
【0073】
さらに、上記実施形態では、逆浸透膜装置2の通過後の濃縮液を、高圧逆浸透膜装置8へ導入したため、高濃度の濃縮液を得ることができるという好ましい効果が得られたが、このような高圧逆浸透膜装置10を設けることも本発明に必須の条件ではない。
【0074】
さらに、上記実施形態では逆浸透膜装置2で分離した処理水を、さらに下流側に設けた第2逆浸透膜装置7によって処理したが、このような第2逆浸透膜装置7を設けることは条件ではない。
【0075】
ただし、上記実施形態のように、複数段の逆浸透膜処理を行えば、処理水の質はより向上することになる。
【0076】
また、上記実施形態では、高濃度の濃縮水を装置外へ排出して、別途処理することとしたが、例えばこの濃縮水の処理方法としては再度廃棄物処理場へ返送してもよい。
【0077】
このように、適切な方法で廃棄物処理場へ返送した場合には、塩類が浸出水として再び処理されるため処理設備から排出されることがない。
【0078】
さらに、このように濃縮水を廃棄物処理場へ返送する際に、返送場所に晶析槽のような槽を設け、水分を蒸発させて塩類を固形物として析出させてもよい。
【0079】
或いは、細かい霧状にして散水して自然に塩類が析出するように返送してもよく、いずれにしても固形物として塩類を得ることができるためその処理や取扱が容易である。このような塩類は、たとえば袋に入れて埋め立てることも可能である。
【0080】
また、上記実施形態では、逆浸透膜装置として円板状の平板状の逆浸透膜を使用した逆浸透膜装置を使用したが、使用する逆浸透膜の形状としては、この他中空糸型、スパイラル型及び管状型等、どのような形状の逆浸透膜であってもよい。
【0081】
さらに、上記実施形態では、浸出水を原水として逆浸透膜装置2へ直接導入したが、例えは浸出水を貯留槽に一度貯留して、pH調整等を行ってから逆浸透膜へ透過させてもよい。
【0082】
この場合には、流量の調節等も行えるため装置の管理、制御等をより容易に行うことができる。
【0083】
また、上記実施形態では浸出水を原水として処理したが、本発明は浸出水以外にも、一般の装置等から排出される塩類を含む水の脱塩処理に適用できる。
【0084】
【実施例】
逆浸透膜を通過する前の原水に、炭酸ナトリウムと分散剤を添加することによるバリウム除去率とカルシウム除去率を比較した。
【0085】
原水としては、次の性状のものを用いた。
【0086】
バリウム濃度 1.2mg/L
硫酸イオン208mg/L
カルシウム濃度2000mg/L
イオン強度 0.261
【0087】
また、逆浸透膜通過後の濃縮液の濃度が、原水の濃度の5倍となるように調整した。
【0088】
さらに、分散剤の添加量は、15mg/Lとした。
【0089】
装置としては、図5の概念図に示すような装置を用い、図5における炭酸ナトリウム添加前の(A)ポイントと、炭酸ナトリウム添加後の(B)ポイントとの2箇所でバリウム濃度及びカルシウム濃度をそれぞれ測定し、それぞれバリウム除去率とカルシウム除去率を求めた。
【0090】
その除去率の試験結果を図6に示す。
【0091】
図6からも明らかなように、炭酸ナトリウムの添加によるバリウム除去率とカルシウム除去率を比較すると、バリウムの方が少量の薬注量において高い除去率が得られた。
【0092】
具体的には、カルシウムの場合には、カルシウム当量に対する炭酸ナトリウムの添加量を1.0 としなければ、カルシウム除去率を100 %にすることはできなかった。
【0093】
これに対し、バリウムの場合には、カルシウム当量に対する炭酸ナトリウムの添加量が約0.5 で、約95%のバリウム除去率が得られた。
【0094】
また、硫酸バリウムが逆浸透膜でスケーリングを生じ易いか否かの指標として、炭酸ナトリウムの添加量に応じてIP/Kspの値を求めた。
【0095】
ここで、IPとは、硫酸バリウムのイオン積を意味し、Kspとは、硫酸バリウムの溶解度積を意味する。
【0096】
一般に、IP/Kspが1以上であれば、スケーリングが生じ易いと経験的に認められているが、本実施例においては分散剤を添加するので、スケーリングの発生の指標となるIP/Kspの値はさらに高くなる。
【0097】
分散剤を添加した場合のスケーリング発生の指標となるIP/Kspの値は、分散剤の種類によっても異なるが、本発明者等は、5〜50の範囲が好ましく、7〜40の範囲がより好ましいことを経験的に見い出している。
【0098】
本実施例では、スケーリング発生の指標となるIP/Kspの値を10に設定し、それに応じた炭酸ナトリウム添加量を求めた。
【0099】
上記図5の装置を用い、炭酸ナトリウムの添加量を、カルシウム当量に対してそれぞれ0、0.1 、0.2 、0.5 、1.0 とした場合の、逆浸透膜透過前と透過後の濃縮水のIP/Kspを求めた。
【0100】
具体的には、図5における逆浸透膜透過前の(B)ポイントと、透過後の(C)ポイントの濃縮水の濃度を測定し、その濃度に基づいてIP/Kspの値を算出した。
【0101】
測定及び算出結果は次のとおりである。
0の場合 :原水でIP/Ksp≒8.0 濃縮水でIP/Ksp≒42
0.1 の場合:原水でIP/Ksp≒5.0 濃縮水でIP/Ksp≒30
0.2 の場合:原水でIP/Ksp≒3.5 濃縮水でIP/Ksp≒20
0.5 の場合:原水でIP/Ksp≒0.5 濃縮水でIP/Ksp≒3.0
1.0 の場合:原水でIP/Ksp≒0.07 濃縮水でIP/Ksp≒0.35
【0102】
この濃縮水のIP/Kspの数値をプロットしたグラフを図7に示した。
【0103】
図7からも明らかなように、炭酸ナトリウム添加量がカルシウム当量の0.4 倍程度で、IP/Kspの値が10程度となった。
【0104】
従って、この結果から、炭酸ナトリウム添加と分散剤の使用との双方を行うことによって、炭酸ナトリウムの添加量がカルシウム当量の0.4 倍程度でスケーリングを防止できるものと認められた。
【0105】
よって、コールドライムソーダ法で炭酸ナトリウムの添加のみで処理する場合にカルシウム当量と同量の炭酸ナトリウムを要していた場合と比較すると、薬品使用量(炭酸ナトリウムの添加量)を大幅に低減することができた。
【0106】
また、薬品使用量を低減できる結果、汚泥発生量も減少させることができる。
【0107】
次に、炭酸ナトリウムのみを添加する場合と、炭酸ナトリウムと分散剤の双方を添加する場合とについて、逆浸透膜のスケールを防止できる限界の炭酸ナトリウム添加量、すなわちIP/Kspの値が約10.0となるような炭酸ナトリウム添加量及びそれに伴う汚泥(炭酸カルシウム)の発生量を求めた。
【0108】
炭酸ナトリウムのみを添加した場合は、約5300mg/Lの炭酸ナトリウム量を要したのに対し、炭酸ナトリウムと分散剤の双方を添加した場合は、約1590mg/Lの炭酸ナトリウム量で目的を達成でき、炭酸ナトリウムの添加量を約3710mg/L低減することができた。
【0109】
また、炭酸ナトリウムのみを添加した場合は、原水1m3あたり0.2m3の汚泥が発生したのに対し、炭酸ナトリウムと分散剤の双方を添加した場合は、原水1m3あたり0.06m3 の汚泥しか発生せず、汚泥の発生量を著しく低減することができた。
【0110】
尚、上記実施例では、濃縮水のIP/Kspの値が約10.0となるように炭酸ナトリウムを添加しているが、そのIP/Kspの値は該実施例に限定されない。
【0111】
ただし、IP/Kspの値は5〜50の範囲となるように炭酸ナトリウムを添加することが好ましい。
【0112】
また、上記実施例では、IP/Kspの値に応じて炭酸ナトリウムの添加量がカルシウム当量の化学量論数の0.4倍以下ですむという結果が得られたが、炭酸ナトリウムの添加量は本発明においては問うものではない。
【0113】
ただし、薬注量低減の観点からは、炭酸ナトリウムの添加量はカルシウム当量の化学量論数の0.6倍以下であることが好ましい。一方、沈殿を生じさせるためには、カルシウム当量の化学量論数の0.05倍以上であることが好ましい。
【0114】
さらに、分散剤の添加量は、特に限定されるものではないが、10〜20mg/Lであることが好ましい。
【0115】
【発明の効果】
叙上のように、本発明は、塩類を含有する原水を逆浸透膜に透過させて処理水と濃縮水に分離する水処理方法において、前記逆浸透膜の透過前の原水に分散剤を添加し、且つ該分散剤を添加する前に、炭酸ナトリウムを添加するため、分散剤のみでは十分に分散されない硫酸バリウム等のバリウム塩の85〜95%程度を沈殿、除去することができる。また残りのバリウム塩は分散剤で分散させることができるので、逆浸透膜の表面にスケーリングを発生することがない。
【0116】
また、炭酸ナトリウムでは十分に沈殿、除去できない炭酸カルシウム等のカルシウム塩に対しては、分散剤で好適に分散させることができる。従って、添加される炭酸ナトリウムは一般のコールドライム法等で用いられている炭酸ナトリウムの添加量(カルシウム当量に対して1程度)に比べて約0.6 以下に低減することができる。
【0117】
さらに、バリウム塩やカルシウム塩等の性質の異なる塩類を含有する原水を逆浸透処理する場合にも、逆浸透膜にスケーリングの発生を防止することができるので、逆浸透膜装置の透過水量を高いレベルに長時間保つことができる。すなわち、逆浸透膜の処理能力を高いレベルに維持することができるという効果がある。さらに、逆浸透膜装置の膜の交換頻度が少ないので、高効率の運転が可能である。しかも炭酸ナトリウム等の薬注量や汚泥の発生量を従来に比べて著しく低減することができた。
【0118】
このように、本発明においては、逆浸透処理前に、炭酸ナトリウムの添加、及び分散剤の添加という双方の手段を用いるとともに、炭酸ナトリウムの添加量を一定量以下に減少させることで、炭酸ナトリウムを添加すること、及び分散剤を添加することのそれぞれの個別的な手段のみでは決して得られない相乗的な効果を生じさせることができた。
【0119】
よって、従来、カルシウム塩やバリウム塩等の難溶性の塩を含有する原水を逆浸透膜を用いた水処理技術の実用に供することができるという実益がある。
【0120】
さらに、コールドライム法等による晶析槽や沈殿槽が不要となり、装置全体がコンパクトになるという効果がある。
【0121】
さらに、逆浸透膜へのスケーリングを効果的に防止できるので、逆浸透膜の寿命を延ばすことができ、その結果、装置のランニングコストを低減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態としての水処理装置の概略ブロック図。
【図2】逆浸透膜装置の概略断面図。
【図3】他の実施形態の水処理装置の概略ブロック図。
【図4】他の実施形態の水処理装置の概略ブロック図。
【図5】一実施例に使用する装置の概念図。
【図6】炭酸ナトリウムの添加に伴うバリウム除去率とカルシウム除去率の比較を示すグラフ。
【図7】炭酸ナトリウムの添加量と硫酸バリウムのIP/Kspとの相関関係を示すグラフ。
【図8】従来の水処理装置の概略ブロック図。
【符号の説明】
2…逆浸透膜装置 3…分散剤添加槽
5…炭酸ナトリウム添加槽
Claims (1)
- カルシウムを含有する原水を逆浸透膜に透過させて処理水と濃縮水に分離する水処理方法において、前記逆浸透膜の透過前の原水に分散剤を添加し、且つ該分散剤を添加する前に、原水中のカルシウム当量の化学量論数の0.6倍以下の炭酸ナトリウムを添加することを特徴とする水処理方法。
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