JP5245596B2 - 逆浸透膜の性能回復方法および膜分離処理方法 - Google Patents

逆浸透膜の性能回復方法および膜分離処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸性の被処理液を膜分離処理する逆浸透膜の性能回復方法、および性能回復した逆浸透膜を用いる膜分離処理方法に関し、特にリン酸を含有する酸性の被処理液から逆浸透膜によりリン酸を回収する方法に適した膜分離処理方法および逆浸透膜の性能回復方法に関するものである。
液晶基板やウエハーその他の電子機器のエッチングには、リン酸を含むエッチング液が用いられている。エッチング工程で発生する高濃度の廃エッチング液は回収して再生利用されているが、エッチング後の電子機器は純水により洗浄され、低濃度の洗浄排水が大量に生成する。このような洗浄排水はエッチング液の成分であるリン酸、硝酸、酢酸、その他の酸成分等のほか、エッチングによって溶出した金属イオンや有機物、その他の不純物が含まれているが、大部分は純水である。
このようなエッチング洗浄排水は、従来は他の排水と混合して処理したり、あるいは凝集沈殿やイオン交換法で処理されていたが、薬剤使用量が多く、操作も複雑であるなどの問題点があった。この点を解決する方法として、逆浸透膜で膜分離処理することにより、リン酸および水を高純度で回収することが行われている。ところがこの方法では、リン酸、硝酸、酢酸、有機物等の栄養成分を含む酸性の被処理液を処理するため、糸状菌その他の微生物を主体とするスライムが発生して目詰まりを起こし、阻止率や流束等の膜分離性能が低下し、差圧が上昇するなどの問題点がある。
一般的な機器におけるスライム対策としては、殺菌、制菌剤の添加、UV、ガンマ線等の照射、高温処理、餌となる有機物の除去などが知られている。しかしこれらの方法では、酸化、化学的吸着や変質による目詰まり等の逆浸透膜への悪影響が大きく、逆浸透膜が性能低下し、添加薬剤による回収リン酸の純度が低下し、設備費、運転費が高く、エネルギー消費が大きく、また一旦生成してしまったスライムを除去するには有効でないなどの問題があった。
一旦生成したスライムは、原因となる微生物を殺菌しても、残骸が目詰まりした状態で残り、逆浸透膜の膜分離性能は回復しない。冷却水系等におけるスライム剥離に用いられる塩素剤、過酸化水素等の酸化剤は逆浸透膜自体を劣化させるので、使用できない。そこで一旦生成したスライム対策として、アルカリ浸漬、空気フラッシングなどを実施したが、全く効果が見られなかった。
特許文献1(特許2663141号)には、イオン交換膜の付着物を除去する方法として、キチナーゼを含有するイオン交換膜用洗浄剤にイオン交換膜を接触させる方法が提案されている。ここで用いられているイオン交換膜は、海水の電気透析により塩分を除去するため、塩分を構成する陽イオンと陰イオンをそれぞれ透過させる陽イオン交換膜と陰イオン交換膜からなるものであり、処理条件、スライムの発生状況等の異なる逆浸透膜のスライムの除去には適用できない。
特許2663141号
本発明の課題は、簡単な構成と操作により、酸性条件下での膜分離処理により性能低下して差圧が上昇した逆浸透膜のスライムを効果的に除去して、膜分離性能を効率的に回復させて差圧を低下させ、逆浸透膜装置を安定して運転することができる逆浸透膜の性能回復方法および膜分離処理方法を提案することである。
本発明は次の逆浸透膜の性能回復方法および膜分離処理方法である。
(1) リン酸イオン50〜10000mg/Lを含有し、pH1〜3の酸性の被処理液を逆浸透膜で膜分離処理する方法において、
性能低下した逆浸透膜を、キチン分解作用を持つ酵素を含有する酵素剤を含む洗浄液と接触させる方法であって、
逆浸透膜を、酵素剤を含む洗浄液と接触させる際、またはその前もしくは後にアルカリを導入して、逆浸透膜を洗浄する
ことを特徴とする逆浸透膜の性能回復方法。
(2) リン酸イオン50〜10000mg/Lを含有し、pH1〜3の酸性の被処理液を逆浸透膜で膜分離処理する方法において、
逆浸透膜が性能低下した時点で、被処理液を洗浄液と入れ替え、もしくは入れ替えることなくアルカリを導入するとともに、キチン分解作用を持つ酵素を含有する酵素剤を含む洗浄剤を逆浸透膜と接触させた後、
逆浸透膜をアルカリ水溶液および純水で洗浄して性能回復し、
性能回復した逆浸透膜により膜分離処理することを特徴とする膜分離処理方法。
(3) 被処理液がリン酸イオン50〜2000mg/L、硝酸イオン10〜500mg/L、酢酸イオン5〜300mg/Lを含有し、pHは1.8〜2.8の酸性の被処理液であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の方法。
(4) 逆浸透膜を、酵素剤を含む洗浄液と接触させる際、洗浄液の一部を逆浸透膜に透過させることを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 被処理液がリン酸を含有する排液であることを特徴とする上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法。
本発明において、膜分離処理の対象となる被処理液は酸性の被処理液であり、リン酸を含有する排液などがあげられる。このようなリン酸を含有する酸性の被処理液の例として、エッチング後の電子機器洗浄排水があり、エッチング液の成分であるリン酸、硝酸、酢酸、その他の酸成分等のほか、エッチングによって溶出した金属イオンや有機物、その他の不純物が含まれているが、大部分は純水である。
電子機器洗浄排水などのリン酸を含有する酸性の被処理液は、リン酸イオン50〜10000mg/L、特に50〜2000mg/L含有し、pHは3以下、特に2.8以下であって、いずれの場合も1以上、特に1.8以上である酸性水が膜分離処理の対象とされ、リン酸イオンのほかに、硝酸イオン、酢酸イオン等の酸成分、その他のアニオン、ならびに金属イオン等のカチオン、有機物、その他の不純物が含まれていてもよい。エッチング後の洗浄排水の例としては、リン酸イオン50〜2000mg/L、硝酸イオン10〜500mg/L、酢酸イオン5〜300mg/Lを含有し、pH1.8〜2.8の酸性水がある。
このような酸性の被処理液を膜分離処理することにより、被処理液に含まれる酸成分、純水等の有効成分を分離して回収することができる。リン酸含有水からリンおよび純水を回収する場合、リン酸含有水をpH3以下、かつリン酸濃度1〜15重量%の条件下で逆浸透膜装置に供給して、逆浸透膜により膜分離処理を行うことにより、溶媒の水を透過液室側に透過させて純水を回収し、リン酸等を濃縮液室側に濃縮して回収する。
本発明で膜分離工程における逆浸透装置は、RO装置とも呼ばれ、逆浸透(RO)膜により透過液室と濃縮液室とに区画される。逆浸透膜装置の濃縮液室側には、被処理液を供給する被処理液供給部、ならびに濃縮リン酸液を取出す濃縮液取出部が形成される。逆浸透膜装置の透過液室側には、透過液を取出す透過液取出部が形成される。濃縮液取出部と被処理液供給部間には、濃縮液取出部から取出した濃縮液を濃縮液室側に循環する循環経路が形成される。逆浸透膜は、浸透圧により水を透過させ、あるいは逆に浸透圧よりも高圧に加圧して被処理液を供給して逆浸透により水を透過させ、一方塩分、その他の溶質を透過させないで阻止する半透膜である。
逆浸透膜の材質としては、上記の特性を有する限り特に制限されず、例えばポリアミド系透過膜、ポリイミド系透過膜、セルロース系透過膜などが挙げられ、非対称逆浸透膜でもよいが、微多孔性支持体上に実質的に選択分離性を有する活性なスキン層を形成した複合逆浸透膜が好ましい。逆浸透装置はこのような逆浸透膜を備えるものであればよいが、逆浸透膜と支持機構、集水機構等が一体化した膜モジュールを備えるものが好ましい。膜モジュールとしては特に制限はなく、例えば管状膜モジュール、平面膜モジュール、スパイラル膜モジュール、中空糸膜モジュールなどを挙げることができる。これらを備える逆浸透装置としては公知のものが使用でき、低圧で操作される高透過性のものが好ましい。
リン酸含有水等の酸性の被処理液を例えばpH3以下の条件下で逆浸透装置に供給して膜分離処理を行うと、硝酸、酢酸等のリン酸以外の酸は、水とともに逆浸透膜を透過して透過液室側に移行し、透過液室側から取出される。リン酸は逆浸透膜の透過を阻止され、濃縮液室側に残留して濃縮されるので、濃縮液室側からリン酸濃縮液として回収することができる。逆浸透装置に供給するリン酸含有水の圧力は0.3〜5MPa、好ましくは0.5〜3MPaとすることができる。
このような逆浸透膜装置で酸性の被処理液を膜分離処理すると、リン酸、硝酸、酢酸、有機物等の栄養成分を含む酸性の被処理液を濃縮することになるため、糸状菌その他の微生物を主体とするスライムが逆浸透膜付近に発生して目詰まりを起こし、阻止率や流束等の膜分離性能が低下し、差圧が上昇する。逆浸透膜装置では、加圧により溶媒の液が逆浸透膜を通して透過し、溶質の酸その他の物質が逆浸透膜の濃縮側で濃縮されるので、特許文献1のイオン交換膜のようにイオンが透過し、液が透過しない膜による処理とは処理条件、スライムの発生状況等は異なる。
逆浸透膜装置では、逆浸透膜を通して溶媒の液が透過し、溶質の酸その他の物質が逆浸透膜の濃縮側で濃縮されるため、スライムは濃縮側で発生し、一部が液の透過に伴って逆浸透膜の網目構造の内部に広がるものと推測される。酸性条件で生成するスライムは、糸状菌その他の微生物を主体とするものであり、キチンを主体とする細胞壁を有するとされる。特許文献1のようにイオン交換膜の表面にスライムが形成される場合は、キチンを酵素で分解することによりスライムを除去して、性能を回復することができても、逆浸透膜のように膜の網目構造の内部にスライムが広がる場合には、表面のスライムを除去しても、内部のスライムは残留し、膜性能を回復することができない。
酸性条件で糸状菌を主体とする微生物により生成するスライムはキチンを主体とするが、たんぱくなどの高分子有機物が含まれるため、キチンを酵素で分解して除去することにより、膜性能の一部は回復しても、たんぱく、多糖類などの有機物が逆浸透膜の網目構造の内部に残留するため、膜性能の完全な回復を阻害する。そこで性能低下した逆浸透膜を、酵素剤を含む洗浄液と接触させる際、またはその前もしくは後にアルカリを導入して洗浄することにより、たんぱく、多糖類などの高分子有機物の除去を促進することができる。そして逆浸透膜を、酵素剤を含む洗浄液と接触させる際、洗浄液の一部を逆浸透膜に透過させるようにすると、酵素剤が膜面で濃縮され、さらに膜内部のスライムを効率的に溶解することができる。
このため本発明では、性能低下した逆浸透膜を、酵素剤を含む洗浄液と接触させることにより、逆浸透膜のモジュール内で発生したスライムを除去し、これにより低下した膜分離性能を回復して差圧を低下させる。このとき逆浸透膜を、酵素剤を含む洗浄液と接触させる際、またはその前もしくは後にアルカリを導入して洗浄することにより、たんぱく、多糖類などの有機物の除去を促進し、膜分離性能の回復を効果的に行う。
逆浸透膜のスライム除去による膜分離性能の回復の手順は以下の通りである。まず液晶製造排水は、pH2程度の酸性であるため、酵素が働き易い水、pHに調製するために、逆浸透膜装置内に水酸化ナトリウム溶液等のアルカリを添加、攪拌し、pH4〜8に調整する。続いて酵素剤を添加、希釈し、洗浄ラインに弁を切り替え、pH調整された酵素剤を含む洗浄液を逆浸透膜モジュールの1次側で循環させるとともに、洗浄液の一部を逆浸透膜に透過させた後、数時間から数日間静置し、逆浸透膜モジュ−ルに付着したスライムを溶解する。その後逆浸透膜装置に純水を導入して、スライムを溶解した酵素剤溶液を押出し、さらに純水を導入して水洗する。その後、0.01〜0.1重量%水酸化ナトリウムの希薄なアルカリ水溶液を導入して洗浄し、さらに純水を導入して水洗する。なお、洗浄液は透過させることなく、逆浸透膜に接触させることも可能である。
以上により逆浸透膜装置の洗浄操作を終了するが、これにより逆浸透膜の膜分離性能は回復し、差圧は低下する。このため逆浸透膜装置に液晶製造排水等の酸性の被処理液を通液して、膜分離処理を再開することにより、透過水を純水として回収するとともに、リン酸を濃縮して回収する。上記の逆浸透膜装置の洗浄操作は、逆浸透膜の性能が低下した段階で定期的または随時に行うことができる。
本発明で用いる酵素は、キチン分解作用を持つ酵素である。キチンは真菌類、および昆虫を含む多くの無脊椎動物の主要な構造多糖である。そのためキチンの合成および代謝過程は、これら無脊椎動物の生命維持および増殖に極めて重要である。本発明では性能低下した逆浸透膜を、キチン分解作用を持つ酵素剤と接触させることにより、キチンを分解して、スライムを構成する微生物の生命維持を困難にし、また残骸を破壊することを意図する。
キチン分解作用を持つ酵素として、キチンの代謝過程に関わるキチナーゼが知られている。このキチナーゼは真菌、昆虫、ダニ、線虫等に幅広く分布し、これらにとって必須の酵素である。キチンはN−アセチルグルコサミンのポリマーおよびたんぱくなどからなる糖たんぱく複合体であり、キチナーゼはこのポリマーをN−アセチルグルコサミンモノマーヘと分解する。即ちカビや酵母の細胞壁はキチンなのでキチナーゼで破壊するわけである。
洗浄液中に添加するキチン分解作用を持つ酵素の添加量は、洗浄工程でスライムを分解して除去できる量であり、一般的にはキチナーゼ濃度0.001〜50重量%、好ましくは0.1〜5重量%程度である。本発明で使用できる酵素としては、キチナーゼ以外にも、キトビアーゼ活性、グルカナーゼ活性、セルラーゼ活性などを示す市販の酵素(例えば、天野エンザイム(株)製のYL−NL「アマノ」、セルラーゼA「アマノ」3およびへミセルラーゼ「アマノ」90;大和化成(株)製のツニカーゼFNおよびサモアーゼPC10F;大関(株)製のYatalase、WestaseおよびLabiase;生化学バイオビジネス(株)製のキチナーゼGODO、洛東化成工業(株)製のエイコンCHL(以上、いずれも商標)など)が、スライムを溶解させる効果を有することが認められるが、これらの酵素中にキチナーゼが含有されているためであると考えられる。
本発明では、逆浸透膜を、酵素剤を含む洗浄液と接触させる際、またはその前もしくは後にアルカリを導入して洗浄することにより、たんぱく、多糖類などの有機物の除去を促進し、膜分離性能を回復を効果的に行うが、逆浸透膜を酵素剤を含む洗浄液と接触させる際にアルカリを導入して、被処理液にアルカリを添加することにより、酵素が働くのに適したpHに調整し、酵素を働きやすくしてスライムの分解を促進することができる。
また酵素剤を含む洗浄液と接触させた後にアルカリを導入して洗浄することにより、残留するたんぱく、多糖類などの有機物を除去するとともに、酵素(たんぱく)をも除去する。これにより、これらの残留物が逆浸透膜面においてカビ、酵母、他の菌の餌になり、スライムがさらに発生し、増殖して膜性能が低下するのを防止し、洗浄間隔を長くすることができる。その後水洗を行い、アルカリ成分を除去することにより、回収リン酸の純度を低下させないようにすることができる。
以上の通り本発明によれば、リン酸イオン50〜10000mg/Lを含有し、pH1〜3の酸性の被処理液を逆浸透膜で膜分離処理する方法において、性能低下した逆浸透膜を、キチン分解作用を持つ酵素を含有する酵素剤を含む洗浄液と接触させ洗浄するようにしたので、酸性条件下での膜分離処理により性能低下して差圧が上昇した逆浸透膜のスライムを効果的に除去して、膜分離性能を効率的に回復させて差圧を低下させ、逆浸透膜装置を安定して運転することができる。
本発明の膜分離処理方法によれば、このようにして性能回復した逆浸透膜で膜分離処理を行うので、酸性の被処理液を効率的に膜分離処理して、酸成分および純水を回収することができ、膜分離処理を安定して行うことができる。
さらに本発明では、逆浸透膜を、酵素剤を含む洗浄液と接触させる際、またはその前もしくは後にアルカリを導入して洗浄することにより、スライム由来のたんぱく、多糖類などの有機物を除去するとともに、残留する酵素、たんぱくをも除去することができ、これによりスライム除去効果をさらに高くして、膜性能の回復を促進し、洗浄間隔を長くすることができる。
また本発明において、逆浸透膜を、酵素剤を含む洗浄液と接触させる際、洗浄液の一部を逆浸透膜に透過させることにより、逆浸透膜の内部のスライムまで溶解除去することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。図1は実施形態における逆浸透(RO)膜装置を用いる膜分離処理装置のフロー図である。
図1において、1はRO装置で、RO膜2により、透過液室3と濃縮液室4に区画されている。5は被処理液槽で、被処理液6を貯留する。7は洗浄液槽で、洗浄液8を貯留し、攪拌機9およびpH計10を備えている。
上記の膜分離処理装置においては、ラインL1から被処理液槽5に被処理液6を導入し、弁V1、V2、V3、V4を開き、加圧ポンプP1で加圧し、ラインL2からRO装置1の濃縮液室4に供給して膜分離処理し、溶媒としての水を透過液室3側に透過させ、リン酸等の溶質を濃縮液室4側に濃縮する。被処理液6に含まれる硝酸、酢酸等のリン酸以外の酸は、被処理液6のpH、リン酸濃度等により透過する場合と、透過しない場合がある。
透過液室3の透過液はラインL3から取出し、必要により透過した硝酸、酢酸等の不純物を除去して、純水を回収する。濃縮液室4の濃縮液は、必要により一部をラインL4を介して循環し、他の一部をラインL5から取出し、必要により残留する硝酸、酢酸等の不純物を除去して、リン酸を回収する。ラインL4から濃縮液を被処理液槽5に循環させるかどうか、またその量などは被処理液6の性状、システムの構成等により決められる。
このようなRO装置1で酸性の被処理液6を膜分離処理すると、リン酸、硝酸、酢酸、有機物等の栄養成分を含む酸性の被処理液6を濃縮することになるため、糸状菌その他の微生物を主体とするスライムがRO膜2付近に発生して目詰まりを起こし、阻止率や流束等の膜分離性能が低下し、差圧が上昇する。このため膜が性能低下した時点で洗浄工程に移るが、その判定は差圧を測定し、所定値以上になった時点で工程を切り替えることができる。
洗浄工程は、ラインL10から純水を洗浄液槽7に導入し、ラインL8から水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を供給して、攪拌機9で攪拌し、pH計10でpHを測定して所定pHに調整し、さらにラインL9から酵素剤水溶液を供給し、攪拌機9で攪拌して洗浄液8を調製する。このとき必要により洗浄液8を加熱して酵素反応に適した温度に調整することができる。
上記の実施形態では、酵素剤を含む洗浄液の調整には純水を使用したが、これに限定されるものではなく、被処理液6を用いてもよい。
その後、弁V1、V3、V4を閉じ、弁V2、V5、V6を開いてポンプP2によりラインL7から洗浄液8をRO装置1の濃縮液室4に導入し、ラインL6から循環させてRO膜2と接触させるとともに、洗浄液8の一部をRO膜2に通過させる。洗浄液8がRO膜2と均一に接触し、洗浄液8が均質化した段階で、ポンプP2を停止して酵素反応を進行させ、スライムを分解するが、必要によりポンプP2を連続的または間欠的に運転して洗浄液8を循環することもできる。このとき透過液は系外へ排出してもよいし、洗浄液槽7に返送してもよい。また洗浄液8を循環させる際、弁V2を閉じて洗浄液を透過させないようにすることもできる。
酵素反応終了後、洗浄液8を排出し、あるいは排出することなく、ラインL10から純水を洗浄液槽7に導入し、ラインL7から濃縮液室4に供給し、ラインL6から循環させて水洗を行う。その後ラインL8から水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を洗浄液槽7に導入し、ラインL7から濃縮液室4に供給し、ラインL6から循環させて、RO膜2に付着、残留するたんぱく、多糖類、酵素等の有機物を除去する。その後アルカリ水溶液を排出し、あるいは排出することなく、ラインL10から純水を洗浄液槽7に導入し、ラインL7から濃縮液室4に供給し、ラインL6から循環させて水洗を行う。
以上によりRO装置1の洗浄操作を終了するが、これによりRO膜2の膜分離性能は回復し、差圧は低下する。このためポンプP2を停止し、弁V5、V6を閉じ、弁V1〜V4を開き、ポンプP1を駆動して、RO装置1に被処理液6を通液して、膜分離処理を再開することにより、透過水を純水として回収するとともに、リン酸を濃縮して回収する。上記のRO装置の洗浄操作は、RO膜の性能が低下した段階で定期的または随時に行われる。
以下、本発明の実施例について説明する。各例において、%は特に指定する以外は重量%を示す。
〔実施例1、比較例1〕:シャーレ観察;
リン酸を含む液晶製造排水(リン酸:2000mg/L、酢酸:100mg/L、硝酸:100mg/L、Al:7mg/L)に発生したスライムをシャーレに取り、中和した液晶製造排水を20mL添加した。そして糸状菌細胞壁溶解酵素Yatalase(大関株式会社製、商標、キチナーゼ活性、キトビアーゼ活性、グルカナーゼ活性を有す。)50gを純水50mLに溶解した溶液を上記シャーレに1mL添加し、48時間静置した(実施例1)。酵素無添加で同条件で試験したのもの(比較例1)との対比を表1に示す。表1中、面積%は初期を100%とした値を示し、コロニー数の「明確」、「不明確」は、それぞれコロニー境界が「明確」または「不明確」なコロニーの数を意味する。表1から分かるように、明らかに糸状の菌が溶解しているのが観察できた。
Figure 0005245596
〔実施例2、参考例1〜4〕:
市販の酵素剤を用いて、実施例1と同様のスライム溶解試験を行った。使用した酵素剤は、実施例2がキチナーゼ(エイコンCHL、洛東化成工業(株)製、商標)、参考例1が酵母細胞壁溶解酵素(YL−NL「アマノ」、天野エンザイム(株)製、商標)、参考例2がβ−グルカナ−ゼ(ツニカーゼFN、大和化成(株)製、商標)、参考例3がプロテアーゼ(サモアーゼPC10F、大和化成(株)製、商標)、参考例4がセルラーゼ(セルラーゼA「アマノ」3、天野エンザイム(株)製、商標)である。使用条件および結果を表2に示す。表2中、全コロニーの面積%は、初期を100%としたときの40時間後の全コロニーの面積%の値を示す。表2より、他の市販の酵素剤を用いても、糸状菌の溶解が認められたが、中でもキチナーゼが最も良好な溶解性を示した。
Figure 0005245596
〔実施例、比較例2〕:RO膜モジュールによる試験;
日東電工(株)製の逆浸透膜ES−20(2インチ)モジュールを装填した図1のRO装置1にリン酸を含む液晶製造排水(リン酸2000mg/L、硝酸100mg/L、酢酸100mg/L、pH2.1)を、操作圧力:1.6MPa、通液流量:300L/hで通液し、6ケ月の連続運転を行った。6ヵ月後、モジュールの差圧(入口、出口の差)が0.07MPa、透過水量が30L/hrを示したので、モジュールをあけたところ、RO膜モジュールの端面に、厚さ0.5〜2mmのスライムが付着していた。
上記モジュールを0.1%水酸化ナトリウム溶液に2日間浸漬後、通液流量100L/h、空気流量3L/minでフラッシングを実施したが、モジュール差圧は0.07MPaのままで、変化しなかった(比較例2)。
その後、リン酸を含む液晶排水100Lに水酸化ナトリウム溶液を添加して、pH6.7に調整し、前記酵素Yatalaseを20g添加して、酵素溶液を調整した。この酵素溶液を上記モジュールヘ、逆浸透膜を透過させることなく循環通液し、48時間静置した。酵素溶液を排出し、純水を供給して水洗したところ、モジュール差圧は0.035MPaに低下し、透過水量は35L/hrに増加した。その後、0.1%水酸化ナトリウム溶液を導入し、12時間浸漬させ、さらに純水を導入して水洗したところ、透過水量が70L/hrに増加した(実施例)。
〔実施例〕:RO膜モジュールによる試験;
酵素剤溶液が35L/hr透過する条件で、逆浸透膜モジュールに酵素剤溶液を通液した以外は、実施例と同様に試験を行った。酵素剤溶液を排出し、純水を供給して水洗したところ、モジュール差圧は0.02MPaに低下した。
以上の結果より、酸性の被処理液を逆浸透膜で膜分離処理する方法において、性能低下した逆浸透膜を、キチン分解作用を持つ酵素を含有する酵素剤を含む洗浄液と接触させ洗浄することにより、性能低下した逆浸透膜のスライムが効果的に除去され、差圧が低下し、その後アルカリで洗浄することによりさらに透過水量が増加することが分かる。ここで差圧が低下することおよび透過流束が増大することから、膜分離性能が回復していることが分かる。また逆浸透膜を、酵素剤を含む洗浄液と接触させる際、洗浄液の一部を逆浸透膜に透過させることにより、効果的に洗浄できることが分かる。
本発明は、酸性の被処理液を膜分離処理する逆浸透膜の性能回復方法、および性能回復した逆浸透膜を用いる膜分離処理方法に関し、特にリン酸を含有する酸性の被処理液から逆浸透膜によりリン酸を回収する方法に適した膜分離処理方法および逆浸透膜の性能回復方法に利用可能である。
実施形態における逆浸透膜装置を用いる膜分離処理装置のフロー図である。
符号の説明
1 RO装置
2 RO膜
3 透過液室
4 濃縮液室
5 被処理液槽
6 被処理液
7 洗浄液槽
8 洗浄液
9 攪拌機
10 pH計

Claims (5)

  1. リン酸イオン50〜10000mg/Lを含有し、pH1〜3の酸性の被処理液を逆浸透膜で膜分離処理する方法において、
    性能低下した逆浸透膜を、キチン分解作用を持つ酵素を含有する酵素剤を含む洗浄液と接触させる方法であって、
    逆浸透膜を、酵素剤を含む洗浄液と接触させる際、またはその前もしくは後にアルカリを導入して、逆浸透膜を洗浄する
    ことを特徴とする逆浸透膜の性能回復方法。
  2. リン酸イオン50〜10000mg/Lを含有し、pH1〜3の酸性の被処理液を逆浸透膜で膜分離処理する方法において、
    逆浸透膜が性能低下した時点で、被処理液を洗浄液と入れ替え、もしくは入れ替えることなくアルカリを導入するとともに、キチン分解作用を持つ酵素を含有する酵素剤を含む洗浄剤を逆浸透膜と接触させた後、
    逆浸透膜をアルカリ水溶液および純水で洗浄して性能回復し、
    性能回復した逆浸透膜により膜分離処理することを特徴とする膜分離処理方法。
  3. 被処理液がリン酸イオン50〜2000mg/L、硝酸イオン10〜500mg/L、酢酸イオン5〜300mg/Lを含有し、pHは1.8〜2.8の酸性の被処理液であることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
  4. 逆浸透膜を、酵素剤を含む洗浄液と接触させる際、洗浄液の一部を逆浸透膜に透過させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
  5. 被処理液がリン酸を含有する排液であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
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