JPWO2009107299A1 - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】画像欠陥および色ズレの生じ難い画像形成装置を提供する。【解決手段】本発明に係る画像形成装置は、静電潜像が形成される感光体10と、静電潜像をトナー42a〜45aにより現像してトナー像を形成する現像装置40と、トナー像が転写される転写体51と、を備えている。転写体51と感光体10との間の接着仕事は48.7mN/m以下に設定されている。感光体10とトナー42a〜45aとの間の接着仕事に対する転写体51とトナー42a〜45aとの間の接着仕事の比率を55.7%以上に設定されるのが特に好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式のプリンタや複写機などの画像形成装置に関するものである。
電子写真方式を採用した画像形成装置としては、感光体に形成された静電潜像を現像器により現像してトナー像を形成し、トナー像を中間転写体に1次転写した後、記録媒体(紙など)に2次転写および定着させるものがある(例えば、特許文献1乃至3参照)。このような構成の画像形成装置は、通常、フルカラー印刷を行う場合に採用される。上記構成の画像形成装置におけるフルカラー印刷は、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの4色のトナーを用い、それらのトナーの像を4サイクル方式あるいは4連タンデム方式により中間転写体に1次転写して重ね合わせた後、記録媒体に2次転写および定着させることにより行われる。ここで、4サイクル方式とは、1つの感光体に対して、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像を順次形成し、それらのトナー像を順次、中間転写体に1次転写する方法である。また、4連タンデム方式とは、各色のトナーのための複数の感光体を用い、各感光体に対して個別にトナー像を形成し、それらのトナー像を中間転写体に1次転写する方法である。
しかしながら、いずれの方式を採用した画像形成装置においても、感光体のトナー像を中間転写体に転写させる際に、一部のトナーが感光体に付着したままとなる。このようなトナーは、通常、クリーニング装置によって除去されるが、感光体に残留するトナーを完全に除去するのは困難である。そして、感光体に不正にトナーが付着したままで画像形成を行なった場合には、黒点および画像ムラなどの画像欠陥が生じる。特に、画像形成装置を繰り返し使用する場合には、トナーが感光体に融着してしまい、恒常的に画像欠陥を生じるようになる。
また、上述のように、感光体から中間転写体へのトナー像の1次転写が不適切な場合、1次転写時にトナー像を介して感光体から中間転写体へ作用する負荷が大きくなる傾向にある。このような負荷が中間転写体に作用すると、中間転写体の移動速度が変化してしまい、結果として各色トナー像の転写ズレ(いわゆる色ズレ)が生じ易くなる。
特開2006−162951号公報 特開2004−233914号公報 特開平9−152791号公報
本発明は、画像欠陥および色ズレの生じ難い画像形成装置を提供することを課題とする。
本発明の第1の側面に係る画像形成装置は、静電潜像が形成される感光体と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像が転写される転写体と、を備えるものである。前記転写体と前記感光体との間の接着仕事は48.7mN/m以下である。
本発明の第2の側面に係る画像形成装置は、静電潜像が形成される感光体と、前記静電潜像を現像する現像装置と、前記感光体に対向配置され且つ該感光体との間の接着仕事が48.7mN/m以下である転写体と、を備える。
本発明に係る画像形成装置では、転写体への転写後に感光体に残留するトナーに起因する画像欠陥の発生を抑制することができる。また、本画像形成装置では、感光体から転写体に作用する負荷に起因する転写体の移動速度の変化を抑制することができるので、色ズレの発生を抑制することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置X1の概略構成を表す部分断面図である。画像形成装置X1は、電子写真感光体10と、帯電装置20と、露光装置30と、現像装置40と、転写装置50と、定着装置60と、クリーニング装置70と、除電装置80とを備えている。本実施形態における画像形成装置X1は、4サイクル方式を採用している。
図2は、画像形成装置X1における電子写真感光体10の全体を表す断面図およびその要部拡大図である。電子写真感光体10は、画像信号に基づいて静電潜像を形成する機能を有しており、図1における矢印A方向に回転するように構成されている。本実施形態における電子写真感光体10は、円筒状基体11と、キャリア注入阻止層12と、光導電層13と、表面層14とを含んで構成されている。
円筒状基体11は、電子写真感光体10の骨格としての機能を有している。円筒状基体11は、少なくとも表面に導電性を有していればよい。つまり、円筒状基体11は、その全体を導電性材料により形成したものでもよいし、絶縁性材料により形成した円筒体の表面に導電性膜を形成したものでもよいが、アモルファスシリコン(a−Si)系材料によりキャリア注入阻止層12を形成する場合の密着性の観点から、全体をアルミニウム合金により形成するのが好ましい。
キャリア注入阻止層12は、キャリアが円筒状基体11から光導電層13に注入されるのを抑制する機能を有しており、円筒状基体11の外周面上に形成されている。キャリア注入阻止層12の構成材料としては、例えばa−Si系材料が挙げられる。a−Si系材料としては、例えばa−Siに、ドーパントとして硼素(B)、窒素(N)、あるいは酸素(O)を含有させたものが挙げられる。また、キャリア注入阻止層12をa−Si系材料により形成する場合は、後述する光導電層13より多くの第13族元素や第15族元素を含有させて導電型を調整してもよいし、より多くの炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)の元素を含有させて高抵抗化してもよい。本実施形態におけるキャリア注入阻止層12の厚みは、2μm以上10μm以下に設定されている。
光導電層13は、光の照射によってキャリアが発生する機能を有しており、キャリア注入素子層12上に積層形成されている。光導電層13の構成材料としては、例えばa−Si系材料およびアモルファスセレン(a−Se)系材料が挙げられるが、電子写真特性の観点からa−Si系材料が好ましい。a−Si系材料としては、例えばa−Siと、a−SiCと、a−SiNと、a−SiOと、a−SiGeと、a−SiCNと、a−SiNOと、a−SiCOと、a−SiCNOとが挙げられる。a−Se系材料としては、a−Seと、Se−Teと、AsSeとが挙げられる。本実施形態における光導電層13の厚みは、光導電層13をa−Si系材料により形成する場合の好適範囲として5μm以上100μm以下(好適には15μm以上80μm以下)に設定されているが、特には限られず、光導電層13の構成材料あるいは所望の電子写真特性に応じて適宜設定すればよい。
表面層14は、光導電層13を保護する機能を有しており、光導電層13上に積層形成されている。表面層14の構成材料としては、例えばアモルファスシリコンカーバイト(a−SiC)および窒化アモルファスシリコン(a−SiN)などのa−Si系材料と、アモルファスカーボン(a−C)とが挙げられる。本実施形態における表面層14の厚さは、0.2μm以上1.5μm以下に設定されている。
帯電装置20は、電子写真感光体10を正極性または負極性に帯電させる機能を有している。本実施形態における帯電装置20は、電子写真感光体10を200V以上1000V以下に帯電させる機能を有している。なお、電子写真感光体10における帯電極性は、光導電層13の種類に応じて決定される。
露光装置30は、電子写真感光体10に静電潜像を形成する機能を有している。具体的には、露光装置30は、画像信号に応じて露光光(例えばレーザ光)を電子写真感光体10に照射することにより、帯電状態にある電子写真感光体10の露光光照射部分の電位を減衰させて静電潜像を形成する。
現像装置40は、電子写真感光体10に形成された静電潜像を現像剤により現像する(トナー像を形成する)機能を有している。本実施形態における現像装置40は、回転ホルダ41および4つの現像ユニット42,43,44,45を含んで構成されている。
回転ホルダ41は、現像ユニット42〜45を保持する機能および使用する現像ユニット42〜45を選択する機能を有している。また、回転ホルダ41は、現像ユニット42〜45を収容するための収容空間41a,41b,41c,41dを有しており、図1における矢印B方向に回転するように構成されている。
現像ユニット42〜45は、電子写真感光体10に形成された静電潜像を現像する(顕在化させる)ために、電子写真感光体10に現像剤を供給する機能を有している。現像ユニット42〜45は、現像剤としてのトナー42a,43a,44a,45aと、現像スリーブ42b,43b,44b,45bとを備えている。
トナー42a〜45aは、電子写真感光体10に形成されるトナー像を構成するものである。トナー42a〜45aとしては、例えば磁性キャリアおよび絶縁性トナーからなる二成分系現像剤と、磁性トナーからなる一成分系現像剤とが挙げられる。トナー42a〜45aのカラーとしては、例えばイエローと、マゼンタと、シアンと、ブラックとが挙げられるが、特には限られない。
現像スリーブ42b〜45bは、現像ユニット42〜45内で保持したトナー42a〜45aを例えば磁気ブラシ状にして電子写真感光体10に供給するものである。
転写装置50は、電子写真感光体10に形成されたトナー像を記録紙Pに転写する機能を有している。転写装置50は、中間転写ベルト51と、1次転写ローラ52と、2次転写ローラ53と、クリーニング装置54とを備えている。
中間転写ベルト51は、電子写真感光体10に形成されたトナー像が転写されるものである。中間転写ベルト51は、駆動ローラ51aと、従動ローラ51b,51cと、テンションローラ51dと、バックアップローラ51eとによって、図1の矢印方向に周回させられる。
1次転写ローラ52は、電子写真感光体10に形成されたトナー像を中間転写ベルト51に転写する機能を有しており、電子写真感光体10との間において中間転写ベルト51が通過するように配置されている。1次転写ローラ52は、例えば直流電源によって電子写真感光体10に形成されたトナー像を1次転写ローラ52側に引きつけるための転写電圧を印加するように構成されている。一方、中間転写ベルト51は、電子写真感光体10と1次転写ローラ52との間を通過させられるため、電子写真感光体10に形成されたトナー像は、1次転写ローラ52に転写電圧を印加することによって中間転写ベルト51に転写させられる。
2次転写ローラ53は、中間転写ベルト51に転写されたトナー像を記録紙Pに転写する機能を有しており、バックアップローラ51eとの間において中間転写ベルト51を通過するように配置されている。2次転写ローラ53は、1次転写ローラ52と同様、例えば直流電源によって中間転写ベルト51に転写されたトナー像を2次転写ローラ53側に引きつけるための転写電圧を印加するように構成されている。一方、記録紙Pは、中間転写ベルト51と2次転写ローラ53との間を通過させられるため、中間転写ベルト51に転写されたトナー像は、2次転写ローラ53に転写電圧を印加することによって記録紙Pに転写させられる。
クリーニング装置54は、記録紙Pへの転写後において中間転写ベルト51に残存するトナー42a〜45aを除去する機能を有しており、ブレード54aを備えている。具体的に、クリーニング装置54では、中間転写ベルト51に残存するトナー42a〜45aをブレード54aで掻き取ることにより、中間転写ベルト51に残存するトナー42a〜45aが除去される。また、クリーニング装置54は、図1における矢印CD方向に往復移動可能に構成されてため、中間転写ベルト51からトナーを掻き取る必要のない場合、ブレード54aを中間転写ベルト51から退避させることができる。
定着装置60は、記録紙Pに転写されたトナー像を定着させる機能を有しており、一対の定着ローラ61,62を備えている。定着装置60では、一対の定着ローラ61,62の間に記録紙Pを通過させることにより、記録紙Pに熱および圧力などを作用させてトナー像を定着させる。
クリーニング装置70は、中間転写ベルト51への転写後において電子写真感光体10に残存するトナー42a〜45aを除去する機能を有しており、ブレード71を備えている。具体的に、クリーニング装置70では、電子写真感光体10に残存するトナー42a〜45aをブレード71で掻き取ることにより、中間転写ベルト51に残存するトナー42a〜45aが除去される。この除去されたトナー42a〜45aは、回収して、必要に応じて現像装置5へリサイクルされる。
除電装置80は、電子写真感光体10の帯電電荷を除去する機能を有している。具体的には、除電装置80は、除電光を電子写真感光体10に照射することにより、静電潜像が残存する電子写真感光体10の除電光照射部分の電位を減衰させて実質的に静電潜像を消去する。
次に、画像形成装置X1の動作について説明する。
画像形成装置X1は、4サイクル方式を採用しているため、中間転写ベルト51に対して、トナー42a〜45a(例えばイエロー、マゼンタ、シアン、およびブラック)のトナー像が予め定められた転写順位で形成され、それらのトナー像が中間転写ベルト51において重ね合わされる。中間転写ベルト51におけるトナー像の重ね合わせは、例えば以下のようにして行なわれる。
まず、帯電装置20により電子写真感光体10を正極性または負極性に帯電させる。次に、露光装置30により帯電した電子写真感光体10を画像信号に応じて露光し、静電潜像を形成する。次に、現像装置40における回転ホルダ41を回転させ(または予め回転させておき)、目的とする現像ユニット42〜45の現像スリーブ42b〜45bを介して電子写真感光体10にトナー42a〜45aを供給することにより、電子写真感光体10の静電潜像を現像してトナー像を形成する。次に、1次転写ローラ52に転写電圧を印加することにより、電子写真感光体10のトナー像を中間転写ベルト51に転写する。以上のような電子写真感光体10における帯電、露光、現像、および1次転写は、トナー42a〜45aについて予め定められた順番で行なわれ、中間転写ベルト51にトナー42a〜45aのトナー像が重ね合わされてカラートナー像が形成される。次に、カラートナー像は、2次転写ローラ62に転写電圧を印加することによって記録紙Pに転写され、定着装置7において記録紙Pに定着させられる。これにより、記録紙Pには、カラー画像が形成される。
ここで、電子写真感光体10と中間転写ベルト51との間の接着仕事の算出、並びに、電子写真感光体10あるいは中間転写ベルト51とトナー42a〜45aとの間の接着仕事の算出について説明する。
まず、物質1と物質2との付着の関係は、Youngの式より以下の式(1)のように表される。
Figure 2009107299
γは物質1の表面自由エネルギである。γは物質2の表面自由エネルギである。γ12は物質1/物質2の界面自由エネルギである。θ12は物質1/物質2の接触角である。
次に、物質1と物質2との間の接着仕事は、Dupreの式より以下の式(2)のように表される。
Figure 2009107299
12は物質1/物質2の接着仕事である。
上記式(1)と上記式(2)より、接着仕事W12は、以下の式(3)で表される。
Figure 2009107299
上記式(3)では、物質1を電子写真感光体10あるいは中間転写ベルト51とし、物質2をトナー42a〜45aとすればよい。
一方、物質1と物質2とがともに固体である場合は、物質1/物質2の接触角θ12を測定することができない。このような場合における接着仕事は、拡張Forkes理論(日本接着協会紙8(3)、131〜141(1972)参照)により算出される。
画像形成装置X1における電子写真感光体10と中間転写ベルト51との間の接着仕事は、上述の算出方法を用いて算出した結果が48.7mN/m以下となるように構成されている。このような範囲内に調整する方法としては、例えば表面層14がa−Si系材料により形成されている電子写真感光体10の表面層14にフッ素(F)をドーピングする方法と、電子写真感光体10の表面層14を少なくとも一部が酸化されたa−Si系材料を含んで形成する方法と、電子写真感光体10の表面粗さを変化させる方法とが挙げられる。
本実施形態に係る画像形成装置X1では、中間転写ベルト51と電子写真感光体10との間の接着仕事が48.7mN/m以下に設定されているため、電子写真感光体10から中間転写ベルト51への転写性が充分に高く、電子写真感光体10に残留するトナー42a〜45aを充分に低減することができる。つまり、画像形成装置X1では、中間転写ベルト51への転写後に電子写真感光体10に残留するトナー42a〜45aに起因する画像欠陥の発生を抑制することができる。
また、画像形成装置X1では、中間転写ベルト51と電子写真感光体10との間の接着仕事が充分に小さいので、電子写真感光体10から中間転写ベルト51に作用する負荷を充分に小さくすることができる。つまり、画像形成装置X1では、上記負荷に起因する中間転写ベルト51の移動速度の変化を抑制することができ、結果として色ズレの発生を抑制することができる。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置X2の概略構成を表す部分断面図である。画像形成装置X2は、4サイクル方式に代えて4連タンデム方式を採用する点において、画像形成装置X1と異なる。なお、図3では、画像形成装置X1と同様の構成要素について同一の符号を付して表す。
画像形成装置X2は、4つの電子写真感光体10A,10B,10C,10Dとともに、電子写真感光体10A〜10Dに対応して個別に露光装置30A,30B,30C,30Dと、現像ユニット42A,43A,44A,45Aと、1次転写ローラ52A,52B,52C,52Dとを備えている。また、画像形成装置X2は、図3においては省略されているが、電子写真感光体10A〜10Dに対応して個別に帯電装置と、除電装置と、クリーニング装置とを備えている。
露光装置30A〜30Dは、電子写真感光体10A〜10Dに静電潜像を形成する機能を有している。具体的には、露光装置30A〜30Dは、画像信号に応じて露光光(例えばレーザ光)を電子写真感光体10A〜10Dに照射することにより、帯電状態にある電子写真感光体10A〜10Dの露光光照射部分の電位を減衰させて静電潜像を形成する。
現像ユニット42A〜45Aは、各々、所定のトナー42Aa,43Aa,44Aa,45Aaを備えている。現像ユニット42A〜45Aでは、電子写真感光体10A〜10Dに対して個別にトナー像が形成され、それらは中間転写ベルト51で重ね合わされる。
1次転写ローラ52A〜52Dは、電子写真感光体10A〜10Dに形成されたトナー像を中間転写ベルト51に転写する機能を有しており、電子写真感光体10との間において中間転写ベルト51が通過するように配置されている。1次転写ローラ52A〜52Dは、例えば直流電源によって電子写真感光体10に形成されたトナー像を1次転写ローラ52側に引きつけるための転写電圧を印加するように構成されている。一方、中間転写ベルト51は、電子写真感光体10A〜10Dと1次転写ローラ52A〜52Dとの間を通過させられるため、電子写真感光体10A〜10Dに形成されたトナー像は、1次転写ローラ52A〜52Dに転写電圧を印加することによって中間転写ベルト51に転写させられる。
以上のような構成の4連タンデム式を採用した画像形成装置X2においても、画像形成装置X1と同様の効果を奏する。
上述の第1の実施形態および第2の実施形態では、電子写真感光体10,10A〜10Dのトナー像を中間転写ベルト51に転写するように構成された画像形成装置X1,X2について説明したが、記録紙Pに対してトナー像を直接転写するように構成された画像形成装置についても本発明の技術を適用することができる。
電子写真感光体10,10A〜10Dとしては、キャリア注入阻止層12に代えて、長波長光吸収層を設けた構成のものを採用してもよい。長波長吸収層は、長波長光である露光光が円筒状基体11の表面で反射するのに起因して記録画像に干渉縞が発生するのを抑制する機能を有している。また、電子写真感光体10,10A〜10Dとしては、光感度を高める観点から、光導電層13と表面層14との間にキャリア励起層を更に設けた構成のものを採用してもよい。
[実施例1]
(電子写真感光体の作製)
電子写真感光体は、図2に示すように、円筒状基体の外周面上にキャリア注入素子層と、光導電層と、表面層とを積層形成して6種類(感光体A〜F)作製した。感光体A,B,D,Fの円筒状基体としては、アルミニウム合金からなる引き抜き管(外径:30mm、長さ:254mm)の外周面を鏡面加工(Rz:0.1μm)したうえで洗浄したものを採用した。また、感光体C,Eの円筒状基体としては、アルミニウム合金からなる引き抜き管(外径:30mm、長さ:254mm)の外周面に、周方向の沿った溝(ピッチ:60μm、Rz:3μm)を形成したうえで洗浄したものを採用した。上述の各層は、円筒状基体をプラズマCVD装置にセットして、下記表1に示す成膜条件により形成した。プラズマCVD装置は、感光体Aの成膜については電源として直流電源を採用し、感光体B〜Fの成膜については電源として高周波発振器を採用した。なお、表1におけるNOおよびBのガス流量は、いずれもSiH比で表している。
Figure 2009107299
(中間転写ベルト)
中間転写ベルトとしては、下記表2に示した画像形成装置に搭載されているものを使用した。
Figure 2009107299
(トナー)
トナーとしては、下記表3に示したものを使用した。
Figure 2009107299
(電子写真感光体と中間転写ベルトとの間の接着仕事Aの測定)
感光体A〜Fと中間転写ベルトA,Bとの間の接着仕事Aは、接触角計(型番:CX−ロール型、協和界面科学株式会社製)および表面自由エネルギ解析ソフトウェア(型番:EG−11型、協和界面科学株式会社製)を用いて測定した。具体的には、まず、上記接触角計(環境温度:20〜24℃)を使用し、液体(分散成分と双極子成分と水素結合成分の各表面自由エネルギの値が既知の水、エチレングリコール、およびヨウ化メチレン)を用いて接触角を測定した。次に、上記表面自由エネルギ解析ソフトウェアを使用し、得られた接触角の測定結果に基づき、各感光体A〜Fおよび各中間転写ベルトA,Bの表面自由エネルギを解析した。次に、各感光体A〜Fおよび各中間転写ベルトA,Bの表面自由エネルギの解析結果に基づき、上述の拡張Fowkes理論により接着仕事を算出した。各感光体A〜Fおよび各中間転写ベルトA,Bの表面自由エネルギの解析結果と、感光体A〜Fと中間転写ベルトA,Bとの間の接着仕事Aの算出結果は、下記表4に示した。
(画像特性の評価)
画像特性は、中間転写ベルトA,Bが搭載されている画像形成装置を用いて1万枚ランニングテストを行なった後に、白ベタ画像印刷、およびイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各トナーにおけるベタ画像印刷を行なうことにより評価した。画像特性の評価結果は、下記表4に示した。評価基準は、良好なベタ画像が得られた場合を◎、ベタ画像に点状または筋状の画像欠陥がわずかにみとめられたが実用上支障がない程度の場合を○、ベタ画像に点状あるいは筋状などの画像欠陥が顕著に生じた場合を×とした。
(色ズレの評価)
色ズレは、中間転写ベルトA,Bが搭載されている画像形成装置を用いて1万枚ランニングテストを行なった後に、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色重ね合わせ画像およびコンポジットブラック画像(上記4色混色でのブラック画像)印刷を行なうことにより評価した。色ズレの評価結果は、下記表4に示した。評価基準は、良好な画像が得られた場合を◎、画像端部において単色部分(重ね合わせ不良)がわずかに視認できるものの実用上支障がない程度の場合を○、画像端部において単色部分(重ね合わせ不良)が明確に視認でき、実用上支障がある場合を×とした。
Figure 2009107299
(電子写真感光体あるいは中間転写ベルトとトナーとの間の接着仕事B,Cの測定)
感光体A〜FとトナーA,Bとの間の接着仕事B、並びに、中間転写ベルトA,BとトナーA,Bとの間の接着仕事Cを測定するとともに、感光体A〜FとトナーA,Bとの間の接着仕事に対する中間転写ベルトA,BとトナーA,Bとの間の接着仕事の比率について算出した。具体的には、まず、上記接触角計(環境温度:20〜24℃)を使用し、液体(分散成分と双極子成分と水素結合成分の各表面自由エネルギの値が既知の水、エチレングリコール、およびヨウ化メチレン)を用いて、液滴法にてトナーペレットの接触角を測定するとともに、上記表面自由エネルギ解析ソフトウェアによりトナーA,Bの表面自由エネルギを解析した。トナーペレットの形状は、直径5mm、高さ10mmの円柱状とした。次に、トナーA,Bの表面自由エネルギの解析結果に基づき、上述の拡張Fowkes理論により接着仕事を算出した。各感光体A〜Fあるいは各中間転写ベルトA,Bと各トナーA,Bとの間の接着仕事B,Cの算出結果、並びに、感光体A〜FとトナーA,Bとの間の接着仕事に対する中間転写ベルトA,BとトナーA,Bとの間の接着仕事の比率の算出結果は、下記表5に示した。
(画像特性および色ズレの評価)
画像特性および色ズレは、上述の方法と同様にして評価した。画像特性および色ズレの評価結果は、下記表5に示した。
Figure 2009107299
表4の結果からわかるように、感光体A〜Fと中間転写ベルトA,Bとの間の接着仕事Aが48.7mN/m以下(特に、41.5mN/m以下)の場合、画像特性および色ズレの両方において良好な結果が得られた。また、表5の結果からわかるように、感光体A〜FとトナーA,Bとの間の接着仕事に対する中間転写ベルトA,BとトナーA,Bとの間の接着仕事の比率が55.7%以上の場合、画像特性および色ズレの両方において特に良好な結果が得られた。
本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。 図1に示した画像形成装置における電子写真感光体の断面図およびその要部拡大図である。 本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。
符号の説明
X1,X2 画像形成装置
P 記録紙
10,10A〜10D 電子写真感光体(感光体)
11 円筒状基体
12 キャリア注入素子層
13 光導電層
14 表面層
20 帯電装置
30 露光装置
40 現像装置
42a〜45a,42Aa〜45Aa トナー
50 転写装置
51 中間転写ベルト(転写体)
60 定着装置
70 クリーニング装置
80 除電装置

Claims (13)

  1. 静電潜像が形成される感光体と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像が転写される転写体と、を備える画像形成装置であって、
    前記転写体と前記感光体との間の接着仕事は48.7mN/m以下であることを特徴とする、画像形成装置。
  2. 前記感光体と前記トナーとの間の接着仕事に対する前記転写体と前記トナーとの間の接着仕事の比率は55.7%以上である、請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記感光体は、少なくとも一部が酸化されたアモルファスシリコン系材料を含んでなる表面層を有する、請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記現像装置は異なる種類のトナーを保持しており、
    前記感光体に対するトナー像の形成および前記転写体に対する前記トナー像の転写を、前記異なる種類のトナーについて順次行い、前記異なる種類のトナーによるトナー像を前記転写体において重ね合わせるように構成されている、請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記感光体は複数あり且つ前記現像装置は異なる種類のトナーを保持しており、
    前記複数の感光体のそれぞれに対して前記異なる種類のトナーによるトナー像を形成するとともに、前記異なる種類のトナーによるトナー像を前記転写体に対して順次転写し、前記異なる種類のトナーによるトナー像を前記転写体において重ね合わせるように構成されている、請求項1に記載の画像形成装置。
  6. 前記感光体は、アモルファスシリコン系材料を含んでなる光導電層を有する、請求項1に記載の画像形成装置。
  7. 静電潜像が形成される感光体と、
    前記静電潜像を現像する現像装置と、
    前記感光体に対向配置され、且つ、該感光体との間の接着仕事が48.7mN/m以下である転写体と、を備えることを特徴とする、画像形成装置。
  8. 前記現像装置は、前記静電潜像を現像するためのトナーを供給する現像ユニットを含んでなり、
    前記感光体と前記トナーとの間の接着仕事に対する前記転写体と前記トナーとの間の接着仕事の比率は55.7%以上である、請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 前記感光体は、少なくとも一部が酸化されたアモルファスシリコン系材料を含んでなる表面層を有する、請求項1に記載の画像形成装置。
  10. 前記現像装置は、異なる種類のトナーを供給する現像ユニットを含んでなり、
    前記現像ユニットは、前記感光体に対して前記異なる種類のトナーにより前記静電潜像を現像してトナー像を形成し、
    前記感光体に形成された前記トナー像は、前記転写体において重ね合わされる、請求項7に記載の画像形成装置。
  11. 前記感光体は複数で、且つ、前記現像装置は異なる種類のトナーを供給する現像ユニットを含んでなり、
    前記現像ユニットは、前記複数の感光体のそれぞれに対して前記異なる種類のトナーにより前記静電潜像を現像してトナー像を形成し、
    前記複数の感光体のそれぞれに形成された前記トナー像は、前記転写体において重ね合わされる、請求項7に記載の画像形成装置。
  12. 前記感光体は、アモルファスシリコン系材料を含んでなる光導電層を有する、請求項7に記載の画像形成装置。
  13. 静電潜像が形成される感光体と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像が転写される転写体と、を備える画像形成装置であって、
    前記転写体の表面自由エネルギおよび前記感光体の表面自由エネルギから算出される接着仕事は48.7mN/m以下であることを特徴とする、画像形成装置。
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