JPWO2009091001A1 - 歯科口腔用組成物 - Google Patents

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Abstract

リン酸化糖(a)、ポリリン酸及び/又はその塩(b)ならびにカチオン性殺菌剤(c)を含有してなる、歯科口腔用組成物であって、リン酸化糖(a)とポリリン酸及び/又はその塩(b)の合計含有量と、カチオン性殺菌剤(c)の含有量の比[{(a)+(b)}/(c)]が0.05〜20(重量比)である、歯科口腔用組成物。本発明の歯科口腔用組成物は、練歯磨剤、粉歯磨剤、液状歯磨剤などの歯磨剤類、洗口剤、トローチ剤、錠剤、クリーム剤、軟膏剤、貼付剤、マウススプレー、歯面や歯科用補綴物へのコーティング剤、知覚過敏抑制剤、歯周ポケットに塗布する歯周病治療剤、口腔ケア用ウェットティッシュ、口中清涼剤、チューインガム、又はうがい液などの口腔清浄剤などに好適に使用しうるものである。

Description

本発明は、歯科口腔用組成物に関する。さらに詳しくは、口腔内の歯や粘膜表面への細菌付着を抑制し、その結果、歯の表面への歯垢(プラーク)や歯石の形成を抑制することができ、さらには、齲蝕、歯周病、口臭の予防材料として有用である歯科口腔用組成物に関する。
口腔内疾患としては、齲蝕症、歯周病(歯肉炎、歯周炎など)、口内炎などが挙げられる。これらのなかでも、齲蝕症は歯牙の代表的な疾患であり、口腔内の微生物によって産生される酸により歯質が溶解されることで発症する。口腔内の微生物のうち、ストレプトコッカス・ミュータンス菌(Streptococcus mutans、以下、S.mutansと表記することがある)は、齲蝕の病原菌の一つであるとされている。また、歯周組織の炎症性疾患である歯周炎も口腔内細菌が原因となって発症するといわれている。一般に、このような齲蝕原因菌が歯牙の表面に付着すると歯垢(プラーク)が形成され、齲蝕や歯周病などの種々の口腔疾患の原因となるといわれている。
このため、歯牙表面を特定の薬剤やポリマーでコーティングすることで、細菌の付着を抑制して、プラークの形成を阻害する技術を応用した歯科口腔用組成物が提案されている。これらの中でも、口腔細菌に対する殺菌活性が高い、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン等のカチオン性殺菌剤を含む組成物は、この目的でよく用いられてきた。しかし、このようなカチオン性殺菌剤は、単独で用いても、歯牙表面上に長く留まることができないので、効果の持続性に劣り、実用性に乏しいという欠点がある。
このような問題点を解決するために、例えば、N−長鎖アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステルとカチオン性殺菌剤を組み合わせて、殺菌剤の吸着作用を促進する技術(例えば、特許文献1参照)、ポリリン酸とポリグリセリン脂肪酸エステルをカチオン性殺菌剤と組み合わせる技術(例えば、特許文献2参照)、カチオン性殺菌剤として、塩化ジメチルジアリルアンモニウムのポリマーを用いる技術(例えば、特許文献3参照)が開示されている。
特開平9−286712号公報 特開2006−117574号公報 特開平9−175965号公報
従来技術に拠っても、細菌付着抑制効果を発現するには、組成物中の殺菌剤の配合割合を比較的高濃度にする必要があるため、生体安全性上の問題が生じやすく、また、殺菌剤の歯牙表面での残留性がいまだ十分ではなく、効果を持続させることが難しいという課題がある。従って、簡便な方法で歯牙表面に口腔内細菌が付着するのを効果的に阻害し、かつその効果が長時間持続するような歯科口腔用組成物の開発が望まれている。
本発明は、上記の要望に応えるべくなされたものであって、カチオン性殺菌剤の歯牙表面への残留性を高めて、該表面への口腔内細菌の付着を長時間抑制することができる歯科口腔用組成物に関する。また、より少ない殺菌剤の含有量で効果的に細菌付着を抑制することができる、生体安全性に優れた歯科口腔用組成物に関する。
本発明者らは、リン酸化糖とポリリン酸を組み合わせることで、カチオン性殺菌剤の歯牙表面への吸着を促進すると共に表面での残留性も高めることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、リン酸化糖(a)、ポリリン酸及び/又はその塩(b)ならびにカチオン性殺菌剤(c)を特定の量比で含有してなる、歯科口腔用組成物に関する。
本発明の歯科口腔用組成物を用いれば、口腔内細菌の歯牙表面への付着を長時間にわたり抑制することができるので、歯牙表面にプラークや歯石が付着しにくくなり、齲蝕、歯周病、口臭、誤嚥性肺炎等の予防に貢献するものである。また、歯周ポケットに適用すれば歯牙と歯肉の隙間にプラークが形成されにくくなり、歯周病の予防と治療に貢献するものである。また、歯科口腔用組成物中の殺菌剤の含有量が少なくても高い効果を発現するので、本発明の歯科口腔用組成物を口腔内で用いる際の安全性にも優れている。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の歯科口腔用組成物は、リン酸化糖(a)、ポリリン酸及び/又はその塩(b)、カチオン性殺菌剤(c)を特定の量比で含有する。
本発明の歯科口腔用組成物におけるリン酸化糖(a)は、カチオン性殺菌剤(c)が歯牙表面に吸着するのを促進し、かつ表面での残留性を高める目的で使用される。かかるリン酸化糖としては、例えば、単糖類、多糖類および糖アルコールの一部もしくは全部の水酸基がリン酸化されたものが挙げられる。なお、前記リン酸化糖(a)は、その一部または全部が塩になっていてもよい。これらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等が例示される。
かかる単糖類としては、例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、リボース等が挙げられる。多糖類としては、例えば、ラクトース、スクロース、スクラロース、セロビオース、トレハロース、マルトース、パラチノース(登録商標)、マルトトリオース、マルトデキストリン、シクロデキストリン、グリコシルスクロース、アミロース、アミロペクチン、シクロアミロース、グリコーゲン、セルロース、アガロース、クラスターデキストリン、マンナン、プルラン等が挙げられる。糖アルコールとしては、例えば、グリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、マルチトール、ラクチトール、パラチニット(登録商標)、イノシトール、クエルシトール等が挙げられる。
本発明の歯科口腔用組成物で用いられるリン酸化糖は、上述のような単糖類、多糖類および糖アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の糖の水酸基をリン酸化する公知の方法により製造することができる。例えば、Carbohydrate Research 第302巻(1997年)27〜34ページに記載のメタリン酸ナトリウムと反応させる方法、特開2005−330269号公報、特開2005−330270号公報に記載されたリン酸ナトリウムと反応させる方法等が用いられる。またさらには、WO87/07142号公報に記載のように、五酸化リンとプルランを反応させてリン酸化プルランを得る方法も好適に用いられる。
本発明の歯科口腔用組成物で用いられるリン酸化糖としては、上述のような単糖類、多糖類および糖アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の糖の水酸基の一部又は全部をリン酸化したものを用いることができ、例えば、リン酸化グルコース(例えば、グルコース−6−リン酸)、リン酸化ガラクトース、リン酸化フルクトース、リン酸化マンノース、リン酸化キシロース、リン酸化アラビノース、リン酸化リボース、リン酸化ラクトース、リン酸化スクロース、リン酸化スクラロース、リン酸化セロビオース、リン酸化トレハロース、リン酸化マルトース、リン酸化パラチノース、リン酸化マルトトリオース、リン酸化マルトデキストリン、リン酸化シクロデキストリン、リン酸化グリコシルスクロース、リン酸化アミロース、リン酸化アミロペクチン、リン酸化シクロアミロース、リン酸化グリコーゲン、リン酸化セルロース、リン酸化アガロース、リン酸化クラスターデキストリン、リン酸化マンナン、リン酸化プルラン、リン酸化グリセリン、リン酸化エリスリトール、リン酸化ペンタエリスリトール、リン酸化ジペンタエリスリトール、リン酸化アラビトール、リン酸化リビトール、リン酸化キシリトール、リン酸化ソルビトール、リン酸化マンニトール、リン酸化ガラクチトール、リン酸化マルチトール、リン酸化ラクチトール、リン酸化パラチニット、リン酸化イノシトール、リン酸化クエルシトール等が挙げられる。
これらのリン酸化糖の中でも、細菌付着抑制効果、製造コスト及び保存安定性等の観点から、数平均分子量Mnが1,000〜100,000のリン酸化多糖が好ましく、例えばリン酸化マルトデキストリン、リン酸化シクロデキストリン、リン酸化グリコシルスクロース、リン酸化アミロース、リン酸化アミロペクチン、リン酸化シクロアミロース、リン酸化グリコーゲン、リン酸化セルロース、リン酸化アガロース、リン酸化クラスターデキストリン、リン酸化マンナン、及びリン酸化プルランからなる群より選択される1種以上が好ましい。さらに、口腔内においてアミラーゼ等による代謝を受けにくく、細菌の栄養になり難いという観点から、リン酸化プルランがより好ましい。なお、リン酸化多糖の数平均分子量Mnが1,000未満になると、本発明の歯科口腔用組成物において、リン酸化多糖が殺菌剤を繋ぎ止めにくくなったり、殺菌剤とリン酸化多糖との複合体の歯面への吸着力が弱くなり、う蝕細菌付着抑制効果が低下するおそれがあるので好ましくない。また、分子量が100,000を超えると、溶剤への溶解度が低下したり、組成物の粘性が上がって操作性が劣る原因になるおそれがあるので好ましくない。本発明において、好ましいリン酸化多糖の数平均分子量Mnは1,000〜100,000、より好ましくは2,000〜70,000、さらに好ましくは5,000〜50,000、さらに好ましくは10,000〜30,000の範囲に有る。
本発明の歯科口腔用組成物で好適に用いられるリン酸化糖は、糖の水酸基のうち、好ましくは0.5〜15個数%、より好ましくは2〜10個数%の水酸基がリン酸化されたものが望ましい。なお、リン酸化糖におけるリン酸化された水酸基の個数割合は、リン酸化糖の元素分析を行ってリンの含有量を測定し、測定されたリンが全て、リン酸化された水酸基に由来するものとして算出することができる。
本発明の歯科口腔用組成物におけるポリリン酸及び/又はその塩(b)もまた、カチオン性殺菌剤(c)が歯牙表面に吸着するのを促進し、かつ表面での残留性を高める目的で使用される。本発明のポリリン酸は、その一部または全部が塩になっていてもよい。本発明で用いられるポリリン酸としては特に限定されず、オルトリン酸が脱水縮合して得られる直鎖状のポリリン酸や、環状ポリリン酸、網目状に無定形に連結したポリリン酸等が挙げられる。直鎖状のポリリン酸としては、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸、ペンタポリリン酸、ヘキサポリリン酸等が例示される。また、環状ポリリン酸としては、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸等が例示される。さらに、網目状に無定形に連結したポリリン酸としては、ウルトラポリリン酸が例示される。ポリリン酸の塩としてはナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アルカリ金属イオンと水素イオンの混合塩である酸性縮合リン酸塩、アンモニウム塩等が好ましく用いられる。使いやすさの点からアルカリ金属塩が好ましい。
本発明におけるポリリン酸及び/又はその塩は、後述の比較例で示すように単独ではカチオン性殺菌剤の歯牙表面への吸着促進の効果は認められないか、あるいは、認められたとしてもわずかなものであるが、(a)成分のリン酸化糖と併用することでその作用は顕著となる。そのメカニズムについて定かではないが、本発明者らは以下のように推定している。すなわち、ポリリン酸及び/又はその塩とリン酸化糖(以下、双方をリン酸基含有化合物と略す)は、分子内にリン酸基を有しており、該リン酸基が歯質の主成分であるヒドロキシアパタイトとの親和性が高いことから、該リン酸基含有化合物は歯牙表面に吸着し保持されやすくなる。カチオン性殺菌剤は、歯牙表面に吸着されたリン酸基含有化合物を介して静電的あるいは物理的に保持されていると推測され、リン酸基含有化合物がどの程度歯芽表面に吸着しているかが発明の効果を発現する上で重要となる。(ここで、「静電的にカチオン性殺菌剤が保持される」とは、主にアニオン性のリン酸基含有化合物とカチオン性の殺菌剤が静電的に複合体を形成することにより、カチオン性殺菌剤が複合体の形態で歯牙表面に吸着している状態をいう。一方、「物理的にカチオン性殺菌剤が保持される」とは、カチオン性殺菌剤が鎖状のリン酸基含有化合物に絡むことにより保持されている状態のことをいう。)
リン酸基含有化合物は、いずれもリン酸基を有することから歯牙表面に吸着することができ、さらに静電的にカチオン性殺菌剤を保持することができる。しかし、物理的な保持については、カチオン性殺菌剤がリン酸基含有化合物の分子鎖に絡むことにより発現することから、分子鎖の長さによっては十分な保持効果が発現しない場合がある。このことから、分子鎖の長さが短いポリリン酸及び/又はその塩の単独使用では、物理的な保持に関しては、十分な効果が見られないものと推定される。
一方、カチオン性殺菌剤の物理的な保持を期待する場合は、分子鎖が長いリン酸化糖、好ましくはリン酸化多糖を使用することが有用であると思われる。ただし、リン酸化糖単独では、分子内のリン酸基の割合から静電的な殺菌剤の保持は決して十分であるとはいえず、また、リン酸化糖を過度に配合するとカチオン性殺菌剤がリン酸化糖に埋もれてしまい効果が弱くなる傾向がある。
そこで、ポリリン酸のような静電的な保持に優れる成分とリン酸化糖のような物理的な保持に優れる成分を併用し、これら静電的な保持と物理的な保持のバランスを最適化することによりカチオン性殺菌剤を特異的に歯牙表面に留め置くことができ、またその作用が持続するものと推定される。
本発明の歯科口腔用組成物で用いられるカチオン性殺菌剤(c)としては、口腔内細菌に対して殺菌作用を有するものであり、例えば次の一般式(I):
Figure 2009091001
(式中、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、置換または無置換、飽和または不飽和、および分岐または直鎖の1〜30の炭素原子を有する脂肪族基、例えばアルキル基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基、ポリオキシアルキル基、アルキルアミドアルキル基、アルキルスルホアミドアルキル基、ヒドロキシアルキル基もしくはハロゲン原子置換アルキル基等、または芳香族基、例えばアリールもしくはアルキルアリール等を表し、またR、R、R、Rのいずれか2つまたは3つが連結し環を形成してもよく、Xはハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物を示す)、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、過塩素酸塩、及び4フッ素化ホウ酸塩からなる群より選択されるアニオンを表す)
で示される4級アンモニウム塩を挙げることができる。
一般式(I)の具体例として、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムヨージド、(ドデシルフェニルメチル)トリメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジベンジルアンモニウムクロリド、トリオクタデシルベンジルアンモニウムクロリド、オクタデシルトリヒドロキシエチルアンモニウムクロリドなどを挙げることができる。また、以下の化合物も一般式(I)の例として挙げられる。
Figure 2009091001
また本発明の歯科口腔用組成物で用いられるカチオン性殺菌剤としては、次の一般式(II):
Figure 2009091001
(式中、R、R、R、R、R、R10は、それぞれ独立して、置換または無置換、飽和または不飽和、および分岐または直鎖の1〜30の炭素原子を有する脂肪族基、例えばアルキル基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基、ポリオキシアルキル基、アルキルアミドアルキル基、アルキルスルホアミドアルキル基、ヒドロキシアルキル基もしくはハロゲン原子置換アルキル基等、または芳香族基、例えばアリールもしくはアルキルアリール等を表し、またR、R、R、R、R、R10のいずれか2つまたは3つが連結し環を形成してもよく、Lは置換または無置換の2価の連結基、例えばアルキレン基、アリーレン基、又はアリールアルキレン基を表し、Xはハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、過塩素酸塩、及び4フッ素化ホウ酸塩からなる群より選択されるアニオンを表す)
で示される4級アンモニウム塩を挙げることができる。
一般式(II)の具体例としては、次の一般式(III):
Figure 2009091001
(式中、nは2から12の整数を表す)
で示される化合物や、以下の化合物などを挙げることができる。
Figure 2009091001
また本発明の歯科口腔用組成物で用いられるカチオン性殺菌剤としては、次の一般式(IV):
Figure 2009091001
(式中、R11は、置換または無置換、飽和または不飽和、および分岐または直鎖の1〜30の炭素原子を有する脂肪族基、例えばアルキル基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基、ポリオキシアルキル基、アルキルアミドアルキル基、アルキルスルホアミドアルキル基、ヒドロキシアルキル基もしくはハロゲン原子置換アルキル基等、または芳香族基、例えばアリールもしくはアルキルアリール等を表し、Xはハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、過塩素酸塩、及び4フッ素化ホウ酸塩からなる群より選択されるアニオンを表す)
で示される4級アンモニウム塩を挙げることができる。
一般式(IV)の具体例としては、ドデシルピリジニウムクロリド、テトラデシルピリジニウムクロリド、セチルピリジニウムクロライド、12−メタクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロマイドなどが挙げられる。また、以下の化合物も一般式(IV)の例として挙げられる。
Figure 2009091001
また本発明の歯科口腔用組成物で用いられるカチオン性殺菌剤としては、次の一般式(V):
Figure 2009091001
(式中、Lは、置換または無置換の2価の連結基、例えばアルキレン基、アリーレン基、又はアリールアルキレン基を表し、Xはハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、過塩素酸塩、及び4フッ素化ホウ酸塩からなる群より選択されるアニオンを表す)
で示されるピリジニウム塩を挙げることができる。
一般式(V)の具体例としては、次の一般式(VI):
Figure 2009091001
(式中、nは2から12の整数を表す)
で示される化合物が挙げられる。
また本発明の歯科口腔用組成物で用いられるカチオン性殺菌剤としては、次の一般式(VII):
Figure 2009091001
(式中、R12、R13は、それぞれ独立して、置換または無置換、飽和または不飽和、および分岐または直鎖の1〜30の炭素原子を有する脂肪族基、例えばアルキル基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基、ポリオキシアルキル基、アルキルアミドアルキル基、アルキルスルホアミドアルキル基、ヒドロキシアルキル基もしくはハロゲン原子置換アルキル基等、または芳香族基、例えばアリールもしくはアルキルアリール等を表し、Xはハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、過塩素酸塩、及び4フッ素化ホウ酸塩からなる群より選択されるアニオンを表す)
で示される4級アンモニウム塩を挙げることができる。
一般式(VII)の具体例として、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2009091001
上記一般式で表されるカチオン性殺菌剤のなかでは、殺菌剤の口腔内滞留性を向上させる観点から上記いずれかの一般式中の窒素原子上の置換基であるR〜R13が、それぞれ独立して、置換または無置換、飽和または不飽和、および分岐または直鎖の、アルキル基またはアリールアルキル基であるものが好ましく、無置換、飽和または不飽和、および分岐または直鎖の、アルキル基またはアリールアルキル基であるものがより好ましく、無置換、飽和及び直鎖の、アルキル基またはアリールアルキル基であるものがさらに好ましい。
また、上記一般式で表されるカチオン性殺菌剤のうち、本発明の歯科口腔用組成物が口腔内で使用される点を鑑みた場合、これらのカチオン性殺菌剤のうち、安全性と殺菌効果とのバランスの観点から、前述の一般式(I)で示される4級アンモニウム塩、ならびに前述の一般式(IV)で示される4級アンモニウム塩を用いることが好ましい。
上記一般式(I)及び(IV)で示される化合物のうち、好ましくは臨界ミセル濃度が10mM以下の化合物が用いられ、より好ましくは臨界ミセル濃度が1mM以下、さらに好ましくは臨界ミセル濃度が0.001〜0.5mMの化合物が用いられる。具体的には、R、R、R、Rのうち少なくとも1つ、またはR11が炭素数12以上であり、塩化物、リン酸塩である化合物が好ましい。そのような化合物としては、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロライドなどを挙げることができ、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロライドが好ましい。
以上の記載以外にも、例えば「13398の化学商品(化学工業日報社)」1203〜1205頁、「Handbook of Industrial Surfactants, 2nd Edition, Vol. 2」(Gower)、「Surfactant systems」(Chapman and hall)や「Industrial surfactants」(NOYES)、「新版 界面活性剤ハンドブック」(工学図書)などに記載の市販品を含むカチオン界面活性剤を用いることができる。市販品としては、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、インミダゾリウム塩などがあるが、好ましくは脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウムを用いることができ、より好ましくはベンザルコニウム塩を用いることができる。市販のベンザルコニウム塩としては、カチオンF2−35R、カチオンF2−40E、カチオンF2−50、カチオンF2−50E(以上、日本油脂社製)、アーカードCB−50(ライオン社製)、カチオーゲンS、カチオーゲンTMS−C(以上、第一工業製薬社製)、テクスノール(日本乳化剤社製)などを挙げることができる。
かかるカチオン性殺菌剤の使用は1種類に限定されず、複数のカチオン性殺菌剤を任意の比率で混合してもよい。また、アルキル基等の違いによる複数の化合物の混合物である市販のカチオン性殺菌剤を用いてもよい。
本発明の歯科口腔用組成物は、溶剤(d)をさらに含有することができる。本発明の歯科口腔用組成物で用いられる溶剤(d)とは、常圧(101.3kPa)での沸点が40〜180℃の範囲内にある液体で、例えば、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなどのアルコール系、クロロホルム、塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、エーテルなどが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。しかし、本発明の歯科口腔用組成物は主に口腔内で用いるケースが殆どであることを鑑みると、これらの溶剤の中では、水およびエタノールが好ましい。また、水とエタノールを任意の割合で適宜混合して用いても構わない。
本発明の歯科口腔用組成物においては、リン酸化糖(a)の含有量は、カチオン性殺菌剤を歯の表面により効果的に留め置くという観点から、組成物中、好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.005〜2重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%である。
ポリリン酸及び/又はその塩(b)の含有量もまた、カチオン性殺菌剤を歯の表面により効果的に留め置くという観点から、組成物中、好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.005〜2重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%である。
カチオン性殺菌剤(c)の含有量は、安全性と殺菌効果とのバランス、および殺菌効果の持続性の観点から、組成物中、好ましくは0.0001〜5重量%、より好ましくは0.0005〜2重量%、さらに好ましくは0.001〜1重量%である。
溶剤(d)の含有量は、組成物中に良好な操作性を与えたり、殺菌剤やリン酸化糖を均一に溶解させたりする観点から、組成物中、好ましくは50〜99.9979重量%、より好ましくは70〜99.9979重量%、さらに好ましくは90〜99.9979重量%である。
リン酸基含有化合物の含有量が過剰になると、リン酸基含有化合物同士の電気的反発により、歯牙表面に十分な量のカチオン性殺菌剤を保持することが困難となる。一方、カチオン性殺菌剤の含有量が過剰になると、リン酸基含有化合物のリン酸基の周囲にプラスに荷電したカチオン性殺菌剤が存在することに起因して、歯牙表面への吸着が弱まる。このような観点から、リン酸化糖(a)とポリリン酸及び/又はその塩(b)の合計含有量とカチオン性殺菌剤(c)の含有量の比[{(a)+(b)}/(c)](重量比)は、0.05〜20の範囲であり、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.2〜5、さらに好ましくは0.5〜2の範囲である。また、(a)と(b)と(c)の総和を1重量部とすると、溶剤(d)の含有量は、好ましくは1〜49,999重量部の範囲、より好ましくは100〜10,000重量部の範囲である。
また、リン酸化糖(a)とポリリン酸及び/又はその塩(b)の含有量比{(a)/(b)}(重量比)は、0.001〜1000が好ましく、より好ましくは0.02〜50、さらに好ましくは0.1〜10、さらに好ましくは0.2〜5の範囲である。
本発明の歯科口腔用組成物は、口腔内で使用されることが想定されるため、そのpHは中性付近にあることが望ましい。また、本発明の歯科口腔用組成物に含有される殺菌剤の効果を最大限に発揮させるという観点からも、本発明の歯科口腔用組成物のpHの範囲は、好ましくは4〜9、より好ましくは5〜8、さらに好ましくは6〜7.5に調整されることが望ましい。本発明の歯科口腔用組成物のpHは、用いるリン酸化糖(a)とポリリン酸及び/又はその塩(b)とカチオン性殺菌剤(c)の種類や、それぞれの含有量比や濃度に合わせて調整することが出来る。また、pH調整剤をさらに添加してもよい。かかるpH調整剤としては公知のものが何ら制限無く用いられるが、例えば、酢酸、クエン酸、DL-リンゴ酸、コハク酸、脂肪酸等の有機酸類とその塩類;炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩類;リン酸等のリン酸類とその塩類;グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等の各種アミノ酸類とその塩類;トリエタノールアミン等のアミン類が挙げられる。
さらに本発明の歯科口腔用組成物は、必要に応じて、香料、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、粘度調整剤、多価アルコール、緩衝剤、その他の薬効剤、甘味剤、着色剤、酸化防止剤、研磨剤等を含有することができる。
香料の例としては、油溶性香料が好適に用いられ、例えば、メントール、カルボン、アネトール、オイゲノール、シネオール、チモール、サリチル酸メチル、プレゴン、メントン、ピネン、リモネン、メンチルアセテート等の合成香料の他に、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油等のミント油、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ライムなどの柑橘油、ユーカリ、セージ、ローズマリー、タイム、ローレル、バジル、シソ、ベイ、エストラゴン、パセリ、セロリ、コリアンダー等のハーブ油、シナモン、ペッパー、ナツメグ、メース、クローブ、ジンジャー、カルダモン、アニスなどのスパイス油などのような天然精油、アップル、バナナ、メロン、グレープ、ピーチ、ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックカラント、ライチ、スターフルーツ、パッションフルーツ、プラム、パイナップル、マスカットなどのフルーツフレーバーなどを好適に用いることができる。これら油溶性香料の中でも、口腔内へ清涼感やさわやかさを付与するという点からメントール、カルボン、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油、サリチル酸メチル、シネオール、リモネン、ピネンがより好ましい。これらの油溶性香料は1種又は2種以上を組み合せて用いられ得る。これらの各油溶性香料は、カチオン性殺菌剤の異味のマスキング効果を得る点から、本発明の歯科口腔用組成物中に好ましくは0.1〜1重量%、より好ましくは0.2〜0.6重量%、さらに好ましくは0.3〜0.5重量%含有されるのが望ましい。
ノニオン界面活性剤としては、糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー型ノニオン界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、脂肪酸モノグリセライド類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類等が挙げられる。中でも歯垢形成抑制の点から、ポリグリセリン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル又はラクトース脂肪酸エステルが入っていることが好ましい。これらの各ノニオン性界面活性剤は、水難溶性の殺菌剤、薬効剤等の成分を可溶化し、その結果、薬用成分の滞留効果を発揮させるとともに、保存安定性(外観安定性)を良好にする目的と味の観点から本発明の歯科口腔用組成物中に好ましくは0.01〜2重量%、より好ましくは0.05〜1重量%、さらに好ましくは0.1〜0.8重量%含有されるのが望ましい。
アニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルアミノ酸塩;ラウロイルメチルタウリンナトリウム等のアシルタウリン塩;ヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウム等の脂肪酸エステルスルホン酸塩等が挙げられる。
これらの各アニオン界面活性剤の含有量は、刺激及びカチオン性殺菌剤の歯牙等への吸着の点から、歯科口腔用組成物中に0.01重量%以下(0〜0.01重量%)が好ましい。
粘度調整剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール等のアルギン酸誘導体:カラギーナン、キサンタンガム、ジュランガム、トラガントガム、カラヤガム等のガム類;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等の合成粘結剤;アエロジル(高分散性シリカ)、ビーガム、ラポナイト等の無機粘結剤;デキストリン、還元デキストリン等の澱粉分解物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。これらの各粘度調整剤は、本発
明の効果を妨げない範囲で配合するという観点から、本発明の歯科口腔用組成物中に、好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%含有されるのが望ましい。
多価アルコールとしては、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの各多価アルコールは、使用感及び保存安定性の観点から、本発明の歯科口腔用組成物中に、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは2〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%含有されるのが望ましい。緩衝剤としては、フタル酸、リン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、リンゴ酸及び炭酸並びにそれらのカリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩、アミノ酸及びその塩類、リボ核酸及びその塩類、さらに水酸化ナトリウム、ホウ砂、炭酸水素塩等が挙げられる。これらの各緩衝剤は、本発明の液体口腔用組成物のpHが好ましくは4〜9の範囲となるよう、単独または2種以上を組み合わせて配合することができ、好ましくは0.0001〜5重量%、より好ましくは0.001〜1%重量%、さらに好ましくは0.01〜0.5重量%含有されるのが望ましい。甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、ソウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、スクラロース等が挙げられる。これらの各甘味剤は、本発明の効果を妨げない範囲で配合するという観点から、本発明の歯科口腔用組成物中に、好ましくは0.001〜5.0重量%、より好ましくは0.005〜1.0重量%、さらに好ましくは0.01〜0.5重量%含有されるのが望ましい。
その他の薬効剤としてはトラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸等の抗プラスミン剤;アスコルビン酸、トコフェロールエステル等のビタミン類;グリチルリチン塩類、アラントイン類、オウバク、オウゴン、カミツレ、ラタニア、ミルラ等の植物抽出物;デキストラナーゼ、ムタナーゼ、塩化リゾチーム等の酵素;塩化ナトリウム、硝酸カリウム、炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩等の塩類;銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅、塩化亜鉛、ゼオライト、水溶性無機リン酸化合物、乳酸アルミニウム等の1種又は2種以上が挙げられる。これらその他の薬効剤の各々は、化合物によって異なるが、安定性及びう蝕抑制効果を促進する観点から、本発明の歯科口腔用組成物中に、好ましくは0.001〜5.0重量%、より好ましくは0.01〜5.0重量%、さらに好ましくは0.01〜3.0重量%含有されるのが望ましい。
着色剤としては、赤色1号、赤色3号、赤色105号、黄色4号、黄色203号、青色1号、青色2号、緑色3号、緑色201号等の法定色素、酸化チタン、群青などの顔料も挙げることができ、これらを単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。これらの各着色剤は、配合量は特に制限するものではないが、審美上の観点から、本発明の歯科口腔用組成物中に、好ましくは0.00001〜2.0重量%、より好ましくは0.0001〜1.0重量%、さらに好ましくは0.0001〜0.1重量%含有されるのが望ましい。
また、本発明の歯科口腔用組成物は、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一錫などの水溶性金属フッ化物も好適に含有する。このような金属フッ化物を含有すると、本発明の歯科口腔用組成物が歯面と接触した際に、フッ素イオンが歯質に取り込まれて、歯牙表面でのフルオロアパタイトを生成させることで、歯の耐齲蝕性を高める効果を期待することができる。これらの各金属フッ化物は、本発明の歯科口腔用組成物中に、組成物全量に対して、フッ素イオンに換算し0.1〜5000ppmが好ましい。0.1ppm未満の場合には耐齲蝕性を高める効果が十分に得られないおそれがあり、5000ppmを超える場合には多量に誤飲した場合の安全性に問題が生じるおそれがある。
本発明の歯科口腔用組成物は、リン酸化糖(a)、ポリリン酸及び/又はその塩(b)、ならびにカチオン性殺菌剤(c)を特定の量比で含有していれば特に限定はなく、当業者に公知の方法に
より容易に製造することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
〔製造例1〕
(リン酸化プルランの合成)
内容積2Lのセパラブルフラスコを用いて、プルラン(林原商事社製)40.0gを蒸留水200mLに室温で溶解させた。この溶液を攪拌しながら、1Mのリン酸水溶液(水酸化ナトリウムでpHを5.5に調整したもの)1000gを10分かけて添加し、添加後さらに1時間攪拌を継続した。その後、100℃から103℃の間で蒸留水約1100mLを留去し、続いて、170℃で3時間攪拌を継続した後、反応物を室温まで冷却した。反応物を取り出し、乳鉢で粉砕することで茶色固体98.4gを得た。
上記で得られた茶色固体90gを蒸留水1500mLに溶解させた。この溶液を攪拌しながら、そこに99.5%エタノール1500mLを10分かけて添加した。添加と同時に、析出物の生成が確認された。添加終了後、さらに1時間攪拌を継続した。その後、静置して分層し、上澄みを傾斜法により取り除いた。その後、残存した沈殿を再度蒸留水1500mLに溶解させ、99.5%エタノール1500mLを10分かけて添加、沈殿を回収した。前記の操作を2度行った後、この沈殿を蒸留水(400mL)に溶解させ、該溶液を攪拌している99.5%エタノール(2000mL)に少しずつ5分かけて添加した。析出した沈殿を、桐山ロート(3G)で濾取し、99.5%エタノール(500mL)で洗浄後、減圧下60℃で12時間乾燥させ、やや茶色かかった白色固体が28.5g得られた。さらに、この白色固体25gを蒸留水に溶解させ、この溶液を小型卓上電気透析装置(マイクロアシライザーS3、サンアクティス製)にかけることによりリン酸化プルラン13gを透明感のある薄茶色の固体として得た。
得られた固体のIR分析(島津製作所製、FTIR−8200PC)(KBr錠剤法)を行ったところ、リン酸基部位に由来するピークが1000〜1200cm−1に観測された。また、31P−NMR(日本電子社製、JNM−LA500)を測定したところ2〜5ppmにプルランにリン酸エステル結合しているリン由来のシグナルが得られた。ICP発光分析(ジャーレルアッシュ社製、IRIS−AP)によりリン原子の元素分析を行い、その結果から、プルランの水酸基の約2.6%がリン酸化されたと判断された。またさらに、GPC分析(カラム:TSKgel α−M(東ソー社製)、移動相:0.1M−NaCl水)を行った結果、数平均分子量(Mn)は24,000であった。
〔製造例2〕
(リン酸化マンナンの合成)
プルランの代わりに原料にマンナン(レオレックスLM、清水化学社製)を用い、製造例1と同様にしてリン酸化マンナンを合成した。マンナンの水酸基の約2.3%がリン酸化されており、数平均分子量(Mn)は13,000であった。
〔製造例3〕
(リン酸化マルトデキストリンの合成)
プルランの代わりに原料にマルトデキストリン(パインデックス-2、松谷化学社製)を用い、製造例1と同様にしてリン酸化マルトデキストリンを合成した。マルトデキストリンの水酸基の約2.8%がリン酸化されており、数平均分子量(Mn)は1,400であった。
(グルコース−6−リン酸)
グルコース−6−リン酸はアルドリッチ社製のものをそのまま用いた。
(ピロリン酸ナトリウム)
ピロリン酸ナトリウムは和光純薬社製のものをそのまま用いた。
(セチルピリジニウムクロライド)
セチルピリジニウムクロライドはアルドリッチ社製のものをそのまま用いた。
(塩化ベンゼトニウム)
塩化ベンゼトニウムは和光純薬社製のものをそのまま用いた。
〔実施例1〕
カチオン性殺菌剤としてセチルピリジニウムクロライド(以下、CPCと称する)0.5g、リン酸化糖として、上述の製造例1で合成したリン酸化プルラン0.8g、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウム0.2gを10gの水で溶解したものを水で100倍希釈し、CPC0.05重量%、リン酸化プルラン0.08重量%、ピロリン酸ナトリウム0.02重量%、水を99.85重量%含有する組成物を調製し、実施例1の組成物とした。
〔実施例2〕
カチオン性殺菌剤としてCPC、リン酸化糖として、上述の製造例2で合成したリン酸化マンナン、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウムを用いて実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例2の組成物とした。
〔実施例3〕
カチオン性殺菌剤としてCPC、リン酸化糖として、上述の製造例3で合成したリン酸化マルトデキストリン、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウムを用いて実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例3の組成物とした。
〔実施例4〕
カチオン性殺菌剤としてCPC、リン酸化糖として、グルコース−6−リン酸、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウムを用いて実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例4の組成物とした。
〔実施例5〜22〕
殺菌剤としてCPC0.5g、リン酸化糖として製造例1で合成したリン酸化プルラン、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウムを用いて操作は実施例1と同様にしてリン酸化プルランとピロリン酸ナトリウムそれぞれの配合量を変えて組成物を調製し、実施例5〜22の組成物とした。
〔実施例23〕
カチオン性殺菌剤として塩化ベンゼトニウム(以下、BTCと称する)0.1g、リン酸化糖として製造例1で合成したリン酸化プルラン0.1g、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウム0.1gを10gの水で溶解したものを水で100倍希釈し、BTC0.01重量%、リン酸化プルラン0.01重量%、ピロリン酸ナトリウム0.01重量%、水を99.97重量%含有する組成物を調製し、実施例23の組成物とした。
〔実施例24〕
殺菌剤としてBTC、リン酸化糖として上述の製造例2で合成したリン酸化マンナン、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウムを用いて実施例23と同様にして組成物を調製し、実施例24の組成物とした。
〔実施例25〕
殺菌剤としてBTC、リン酸化糖として上述の製造例3で合成したリン酸化マルトデキストリン、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウムを用いて実施例23と同様にして組成物を調製し、実施例25の組成物とした。
〔実施例26〕
殺菌剤としてBTC、リン酸化糖としてグルコース−6−リン酸、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウムを用いて実施例23と同様にして組成物を調製し、実施例26の組成物とした。
〔実施例27〜29〕
殺菌剤としてBTC0.1g、リン酸化糖として製造例1で合成したリン酸化プルラン、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウムを用いて操作は実施例23と同様にしてリン酸化プルランとピロリン酸ナトリウムそれぞれの配合量を変えて組成物を調製し、実施例27〜29の組成物とした。
〔実施例30〕
カチオン性殺菌剤としてCPC0.2g、リン酸化糖として、上述の製造例1で合成したリン酸化プルラン0.1g、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウム0.1gを10gの水で溶解したものを水で100倍希釈し、CPC0.02重量%、リン酸化プルラン、ピロリン酸ナトリウムそれぞれ0.01重量%、水を99.96重量%含有する組成物を調製し、実施例30の組成物とした。
〔実施例31〕
カチオン性殺菌剤としてCPC0.2g、リン酸化糖として、上述の製造例1で合成したリン酸化プルラン0.1g、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウム0.1gを10gの水で溶解したものを水で10倍希釈し、CPC0.2重量%、リン酸化プルラン、ピロリン酸ナトリウムそれぞれ0.1重量%、水を99.6重量%含有する組成物を調製し、実施例31の組成物とした。
〔実施例32〕
カチオン性殺菌剤としてCPC0.1g、リン酸化糖として、上述の製造例1で合成したリン酸化プルラン0.1g、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウム0.1gを10gの水で溶解したものを水で100倍希釈し、CPC、リン酸化プルラン、ピロリン酸ナトリウムそれぞれ0.01重量%、水を99.97重量%含有する組成物を調製し、実施例32の組成物とした。
〔実施例33〕
カチオン性殺菌剤としてCPC0.1g、リン酸化糖として、上述の製造例1で合成したリン酸化プルラン0.08g、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウムを0.02gを10gの水で溶解したものを水で100倍希釈し、CPC0.01重量%、リン酸化プルラン0.008重量%、ピロリン酸ナトリウム0.002重量%、水を99.98重量%含有する組成物を調製し、実施例33の組成物とした。
〔実施例34〕
殺菌剤としてCPC、リン酸化糖として製造例2で合成したリン酸化マンナン、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウムを用いて実施例30と同様にして組成物を調製し、実施例34の組成物とした。
〔実施例35〕
殺菌剤としてCPC、リン酸化糖として製造例3で合成したリン酸化マルトデキストリン、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウムを用いて実施例30と同様にして組成物を調製し、実施例35の組成物とした。
〔実施例36〕
殺菌剤としてCPC、リン酸化糖としてグルコース−6−リン酸、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウムを用いて実施例30と同様にして組成物を調製し、実施例36の組成物とした。
〔比較例1〕
殺菌剤としてCPC0.5gを10gの水で溶解したものを水で100倍希釈し、CPC0.05重量%、水を99.95重量%含有する組成物を調製し、比較例1の組成物とした。
〔比較例2〕
殺菌剤としてBTC0.1gを10gの水で溶解したものを水で100倍希釈し、BTC0.01重量%、水を99.99重量%含有する組成物を調製し、比較例2の組成物とした。
〔比較例3〕
殺菌剤としてCPC0.5g、リン酸化糖として製造例1で合成したリン酸化プルラン0.5gを10gの水で溶解したものを水で100倍希釈し、CPC、リン酸化プルランそれぞれ0.05重量%、水を99.90重量%含有する組成物を調製し、比較例3の組成物とした。
〔比較例4〕
殺菌剤としてBTC0.1g、リン酸化糖として製造例1で合成したリン酸化プルラン0.1gを10gの水で溶解したものを水で100倍希釈し、BTC、リン酸化プルランそれぞれ0.01重量%、水を99.98重量%含有する組成物を調製し、比較例4の組成物とした。
〔比較例5、6〕
殺菌剤としてCPC0.5g、リン酸化糖として製造例1で合成したリン酸化プルランを用いて操作は比較例3と同様にしてリン酸化プルランの配合量を変えて組成物を調製し、比較例5、6の組成物とした。
〔比較例7〕
殺菌剤としてCPC0.5g、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウム0.5gを10gの水で溶解したものを水で100倍希釈し、CPC、ピロリン酸ナトリウムそれぞれ0.05重量%、水を99.90重量%含有する組成物を調製し、比較例7の組成物とした。
〔比較例8、9〕
殺菌剤としてCPC0.5g、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウムを用いて操作は比較例7と同様にしてピロリン酸ナトリウムの配合量を変えて組成物を調製し、比較例8、9の組成物とした。
〔比較例10、11〕
殺菌剤としてCPC,リン酸化糖として製造例1で合成したリン酸化プルラン、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウムを用いて表1に記載した配合量になるように調製し,比較例10および11の組成物とした。
〔比較例12〕
殺菌剤としてCPC0.1gを10gの水で溶解したものを水で100倍希釈し、CPC0.01重量%、水を99.99重量%含有する組成物を調製し、比較例12の組成物とした。
〔比較例13〕
殺菌剤としてCPC0.1g、ポリリン酸としてピロリン酸ナトリウム0.1gを10gの水で溶解したものを水で100倍希釈し、CPC、ピロリン酸ナトリウムそれぞれ0.01重量%、水を99.98重量%含有する組成物を調製し、比較例13の組成物とした。
〔比較例14〕
殺菌剤としてCPC0.1g、リン酸化糖として製造例1で合成したリン酸化プルラン0.1gを10gの水で溶解したものを水で100倍希釈し、CPC、リン酸化プルランそれぞれ0.01重量%、水を99.98重量%含有する組成物を調製し、比較例14の組成物とした。
試験例〔歯牙表面への細菌の付着性試験〕
歯牙表面への細菌付着性抑制効果を評価する試験方法として、合成アパタイト表面に実施例1〜36または比較例1〜14いずれかの組成物を予め塗布して、この表面に対するS.mutansの付着量を電子顕微鏡観察により評価した。具体的手順は以下の通りである。
(1)S.mutansの培養
口腔内細菌として、齲蝕原因菌であるStreptococcus mutans 854S(S.mutans)を用いた。S.mutansは、triptic soy broth(BactoTM Tryptic Soy Broth:Soybeen−Casein Digest Medium;Becton,Dickinson and Company社製)に0.5重量%酵母エキス(BactoTM Yeast Extract;Becton,Dickinson and Company社製)を添加した培地(TSBY)を用いて好気条件下、37℃において培養する。なお、S.mutansにバイオフィルムを形成させる際にはTSBYに5重量%スクロースを添加したものを培地として用いる。S.mutansを対数増殖期まで培養した後に、570nm波長で吸光度を測定(SPECTRONIC社製、SPECTRONIC 20A)して、1×10cfu/mLとなるようにTSBYに5重量%スクロースを添加した培地を用いて、S.mutansの懸濁液を調製する。
(2)アパタイト表面への処理
実施例1〜36又は比較例1〜14いずれかの組成物4mLを、直径22mm、深さ17.5mmの円柱状容器にとり、ここにアパタイト試験板(10×10×2mm、ペンタクッス株式会社製、アパタイトペレットAPP−101、表面は鏡面状に研磨されている)を浸漬する。37℃、1時間浸漬した後、アパタイト試験板を取り出して新しい円柱状容器にとり、蒸留水に浸漬して2回洗浄し、風乾する。
(3)S.mutansのアパタイト表面での増殖
前述(1)の方法で調製したS.mutansの懸濁液4mLを、直径22mm、深さ17.5mmの円柱状容器に分注し、上記(2)の方法により実施例1〜36又は比較例1〜14いずれかの組成物で処理したアパタイト試験板を浸漬する。好気条件下で37℃、12時間培養した後、アパタイト試験板を取り出し、この表面に付着したS.mutansを以下の手順により走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、その増殖状態を観察する。
(4)アパタイト表面上のS.mutansの電子顕微鏡観察
蒸留水1リットル中に0.01molのカコジル酸ナトリウム(和光純薬社製)と0.15molの塩化ナトリウムを溶解し、カコジル酸緩衝溶液(pH7.0±0.2)を作製する。上述(3)の培養後のアパタイト試験板を、37℃に暖めた該カコジル酸緩衝溶液に浸漬し、10分間放置する。この操作を2回行ってアパタイト試験板を洗浄する。
洗浄後の試験板を、固定液(1%グルタルアルデヒド、0.01Mカコジル酸ナトリウム、0.15M NaClからなる溶液)に浸漬し、10分間放置する。その後、試験板を引き上げて、再び新しい同様な固定液に浸漬して30分間放置してS.mutansを固定する。
試験板を新しいカコジル酸緩衝溶液に移して15分間浸漬して洗浄し、この洗浄操作を2回繰り返す。引き続き、試験板を50%エタノール、70%エタノール、90%エタノール、95%エタノール(容量比)に順次各15分間ずつ浸漬し、最後に100%エタノールへの浸漬操作を2回繰り返して脱水する(各15分間)。
次にこの試験板をt−ブタノールに15分間4回浸漬し、臨界点乾燥装置(日立製作所製、ES−2030)により乾燥し、得られた試験片をイオンスパッタ(日立製作所製、E−1010)でPt−Pdコーティングして、SEM観察用の試験片を作製し、SEM(日立製作所製、S−3500N)で観察する。
(5)細菌付着量の評価
細菌付着量の評価は、アパタイト試験板の任意の5箇所をSEM写真(写真の広さ20μm×25μm)で撮影し、得られたそれぞれの写真について画像解析を行って、写真全域の面積に対する細菌の付着している面積の割合を算出し、以下の基準で評価した。
◎:面積が10%未満
○:面積が10%以上50%未満
△:面積が50%以上80%未満
×:面積が80%以上
実施例1〜36及び比較例1〜14の細菌付着量を表1〜3に示す。
Figure 2009091001
Figure 2009091001
Figure 2009091001
実施例1〜36より、リン酸化糖、ポリリン酸ナトリウム及びカチオン性殺菌剤を併用した組成物で表面処理したアパタイト表面には、細菌がほとんど付着していなかった。
それに対し、CPC単独(比較例1、12)やBTC単独(比較例2)、ピロリン酸ナトリウムとCPCを組み合わせた組成物(比較例7〜9、13)では、細菌の付着が顕著に見られた。またリン酸化プルランとCPCを組み合わせた組成物(比較例3、5、6、14)やリン酸化プルランとBTCを組み合わせた組成物(比較例4)でも細菌の付着が見られた。
以上のように、本発明の歯科口腔用組成物は、カチオン性殺菌剤をリン酸化糖とポリリン酸と共に使用することで、口腔内細菌の歯牙表面への付着を長時間にわたり抑制することができることが示された。
本発明の歯科口腔用組成物は、口腔清浄剤などに好適に使用しうるものである。口腔清浄剤としては、例えば、練歯磨剤、粉歯磨剤、液状歯磨剤などの歯磨剤類、洗口剤、トローチ剤、錠剤、クリーム剤、軟膏剤、貼付剤、マウススプレー、歯面や歯科用補綴物へのコーティング剤、知覚過敏抑制剤、歯周ポケットに塗布する歯周病治療剤、口腔ケア用ウェットティッシュ、口中清涼剤、チューインガム、又はうがい液などに用いることが出来る。

Claims (7)

  1. リン酸化糖(a)、ポリリン酸及び/又はその塩(b)ならびにカチオン性殺菌剤(c)を含有してなる、歯科口腔用組成物であって、リン酸化糖(a)とポリリン酸及び/又はその塩(b)の合計含有量と、カチオン性殺菌剤(c)の含有量の比[{(a)+(b)}/(c)]が0.05〜20(重量比)である、歯科口腔用組成物。
  2. 更に溶剤(d)を含有してなる、請求項1記載の歯科口腔用組成物。
  3. リン酸化糖がリン酸化多糖であって、数平均分子量Mnが1,000〜100,000の範囲である、請求項1又は2記載の歯科口腔用組成物。
  4. リン酸化糖が、糖の水酸基のうち0.5〜15個数%がリン酸化されたものである、請求項1〜3いずれか記載の歯科口腔用組成物。
  5. リン酸化糖(a)とポリリン酸及び/又はその塩(b)の含有量比{(a)/(b)}(重量比)が、0.001〜1000である、請求項1〜4いずれか記載の歯科口腔用組成物。
  6. リン酸化糖(a)の含有量が0.001〜10重量%であり、ポリリン酸及び/又はその塩(b)の含有量が0.001〜10重量%であり、カチオン性殺菌剤(c)の含有量が0.0001〜5重量%である、請求項1〜5いずれか記載の歯科口腔用組成物。
  7. 歯科口腔用組成物が口腔清浄剤であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の歯科口腔用組成物。
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