JPWO2009072593A1 - 乳酸脱水素酵素発現カセット、形質転換酵母および乳酸の製造方法 - Google Patents

乳酸脱水素酵素発現カセット、形質転換酵母および乳酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

高い光学純度、乳酸収率ならびに乳酸生産速度を同時に達成することが可能となる、乳酸生産能力を有する酵母を分離膜で濾過しながら行う連続培養において、乳酸収率ならびに乳酸生産速度の低下を防ぐために必要となる乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子発現カセット、該カセットを有する酵母ならびに該酵母を培養することによる乳酸の製造方法を提供する。本発明の乳酸脱水素酵素発現カセットは、プロモーターの下流に乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が連結された乳酸脱水素酵素発現カセットであって、乳酸生産能力を有する酵母を分離膜で濾過しながら行う連続培養において、前記プロモーターは、培養開始後50時間以降における遺伝子発現量が全遺伝子の平均相対発現量の5倍以上である遺伝子のプロモーターである、乳酸脱水素酵素発現カセットである。

Description

本発明は、乳酸脱水素酵素発現カセット、該カセットを有する形質転換酵母ならびに該酵母を培養することを含む乳酸の製造方法、より詳しくは、乳酸の生産能力の高い乳酸脱水素酵素発現カセット、該カセットを有する形質転換酵母ならびに該酵母を培養することを含む乳酸の製造方法に関する。
近年、資源循環型社会の構築に向け、植物などのバイオマスを原料としたポリマーに注目が集まっている。その中でも、ポリ乳酸(以下、「PLA」と略すことがある)が、バイオマス原料のポリマーとして優れた性質を有することが明らかになってきた。
PLAの原料である乳酸は、ラクトバチルス(Lactobacillus)属やラクトコッカス(Lactococcus)属に代表される、いわゆる乳酸菌と総称される微生物を培養することにより、製造されている。乳酸菌を用いる乳酸の生産は、糖からの乳酸収率や乳酸生産速度は優れている。しかし、得られる乳酸は、L−乳酸とD−乳酸との混合物である。このため、光学純度に課題がある。PLAの生産に用いる乳酸には、高い光学純度が要求される。
光学純度の高い乳酸を製造することが試みられている。例えば、形質転換酵母を用いて、L−乳酸およびD−乳酸を生産することが試みられている(例えば、特許文献1−3、非特許文献1)。酵母は、本来乳酸を生産する能力を有していない。これらの文献では、遺伝子組換え技術により、ピルビン酸を乳酸へと変換する乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子を酵母に導入することで、光学純度が非常に高い乳酸が得られることが報告されている。一方、酵母による乳酸生産では、乳酸収率、乳酸生産速度は、乳酸菌に比較して劣っている。このため、酵母を用いて低コストで乳酸を生産するためには、乳酸収率、乳酸生産速度を共に向上させる必要がある。
乳酸収率、乳酸生産速度を共に向上させるために、乳酸生産能力を有する酵母を分離膜でろ過しながら、培養する技術が開発されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、この技術を用いても、培養の途中から乳酸収率、乳酸生産速度ともに低下してくるという課題があった。
特表2001−516584号公報 特開2003−93060号公報 特開2005−137306号公報 国際公開第2007/97260号パンフレット イシダ、タカハシ(Ishida,Takahashi)ら、「ジャーナル オブ バイオサイエンス アンド バイオエンジニアリング(J.Biosci.Bioeng)」、101(2)、p.172−177、(2006)
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的は、高い光学純度、乳酸収率ならびに乳酸生産速度を同時に達成することが可能となる、乳酸生産能力を有する酵母を分離膜で濾過しながら行う連続培養において、乳酸収率ならびに乳酸生産速度の低下を防ぐために必要となる乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子発現カセット、該カセットを有する酵母ならびに該酵母を培養することによる乳酸の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討をした結果、乳酸生産能力を有する酵母を分離膜で濾過しながら行う連続培養において、培養開始後50時間以降における遺伝子発現量が全遺伝子の平均相対発現量の5倍以上である遺伝子のプロモーターを含む乳酸脱水素酵素発現カセットを有する酵母を分離膜で濾過しながら培養することにより、乳酸収率および乳酸生産速度の低下を招くことなく、安定に長期間の連続培養が可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、プロモーターの下流に乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が連結された乳酸脱水素酵素発現カセットであって、このプロモーターは、乳酸生産能力を有する酵母を分離膜で濾過しながら行う連続培養において、培養開始後50時間以降における遺伝子発現量が全遺伝子の平均相対発現量の5倍以上である遺伝子のプロモーターであることを特徴とする、乳酸脱水素酵素発現カセットである。好ましくは、前記プロモーターは、サプレッション・オブ・エクスポネンシャル・ディフェクト1遺伝子(SED1遺伝子)、細胞壁関連タンパク質2遺伝子(CWP2遺伝子)又はエノラーゼ1遺伝子(ENO1遺伝子)のプロモーターであり、より好ましくは、以下の(a)〜(c)より選択される塩基配列からなるプロモーターである。
(a)配列番号1〜3いずれかに示す塩基配列からなるプロモーター
(b)配列番号1〜3いずれかに示す塩基配列もしくはその一部を含む塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列からなるプロモーター
(c)配列番号1〜3いずれかに記載の塩基配列において、1あるいは複数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列からなるプロモーター
本発明の別の好ましい態様によれば、以下の(a)群から選ばれるプロモーターおよび(b)群から選ばれる乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子を含む乳酸脱水素酵素発現カセットである。
(a)
(1)配列番号1〜3いずれかに示す塩基配列からなるプロモーター
(2)配列番号1〜3いずれかに示す塩基配列もしくはその一部を含む塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列からなるプロモーター
(3)配列番号1〜3いずれかに記載の塩基配列において、1あるいは複数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列からなるプロモーター
(b)
(1)配列番号4〜6いずれかに示す塩基配列からなる乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子
(2)配列番号4〜6いずれかに示す塩基配列もしくはその一部を含む塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列からなる乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子
(3)配列番号4〜6いずれかに記載の塩基配列において、1あるいは複数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列からなる乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子
本発明の別の好ましい態様によれば、上述したいずれかの乳酸脱水素酵素発現カセットを少なくとも一つ染色体中に有する形質転換酵母である。好ましくは、サプレッション・オブ・エクスポネンシャル・ディフェクト1遺伝子(SED1遺伝子)、細胞壁関連タンパク質2遺伝子(CWP2遺伝子)又はエノラーゼ1遺伝子(ENO1遺伝子)から選ばれる遺伝子の少なくとも一つが、上記乳酸脱水素酵素発現カセットで置換されている酵母である。
上記形質転換酵母は、サッカロミセス属(Genus Saccharomyces)に属すると好ましい。上記形質転換酵母は、サッカロミセス・セレビセ(Saccharomyces cerevisiae)であると、さらに好ましい。
また本発明は、上記形質転換酵母を培養する培養工程を含む乳酸の製造方法を提供する。好ましくは、前記培養工程が培養液を分離膜で濾過し、濾液から乳酸を回収し、さらに未濾過液を培養液に保持または還流し、かつ、培地を培養液に追加する連続培養である。
本発明では、乳酸生産能力を有する酵母を分離膜で濾過しながら行う連続培養において、培養開始後50時間以降における遺伝子発現量が全遺伝子の平均相対発現量の5倍以上である遺伝子のプロモーターを含む乳酸脱水素酵素発現カセットを有する酵母を分離膜で濾過しながら培養する。この結果、高光学純度の乳酸の生産を、高収率、高生産速度で、長時間安定して行うことが可能となる。
図1は、本発明で用いられる膜分離型の連続発酵装置の一つの実施の形態を説明するための概略側面図である。 図2は、本発明で用いることができる他の膜分離型の連続発酵装置の一つの実施の形態を説明するための概略側面図である。 図3は、本発明で用いられる分離膜エレメントの一つの実施の形態を説明するための概略斜視図である。 図4は、本発明で用いられる別の分離膜エレメントの他の実施の形態を説明するための概略斜視図である。 図5は、発現ベクターpTRS11を説明するための図である。
符号の説明
1 発酵反応槽
2 分離膜エレメント2
3 水頭差制御装置
4 第2のタグ配列
5 攪拌機
6 レベルセンサ
7 培地供給ポンプ
8 pH調整溶液供給ポンプ
9 pHセンサ・制御装置
10 温度調節器
11 発酵培養液循環ポンプ
12 膜分離槽
13 支持板
14 流路材
15 分離膜
16 凹部
17 集水パイプ
18 分離膜束
19 上部樹脂封止層
20 下部樹脂封止層
21 支持フレーム
22 集水パイプ
[乳酸脱水素酵素発現カセット]
本発明の乳酸脱水素酵素発現カセットは、プロモーターの下流に乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子(ldh遺伝子)が連結された乳酸脱水素酵素(LDH:lactate dehydrogenase、以下、「LDH」という)発現カセットであって、乳酸生産能力を有する酵母を分離膜で濾過しながら行う連続培養において、前記プロモーターは、培養開始後50時間以降における遺伝子発現量が全遺伝子の平均相対発現量の5倍以上である遺伝子のプロモーターである、乳酸脱水素酵素発現カセットである。
本明細書中において「ldh遺伝子」とは、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)とピルビン酸を酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)とL−乳酸またはNAD+とD−乳酸とに変換する活性を持つLDHをコードしている遺伝子をいう。
本発明で使用するldh遺伝子としては、上述した活性を有するLDHをコードしているldh遺伝子であればいずれも使用できるが、好ましくは、乳酸菌や枯草菌などの細菌由来のldh遺伝子やヒト、ウシ、カエル、マラリアなどの真核生物由来のldh遺伝子である。これらの中でも、細菌由来としては、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei),ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum),ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus),ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sasei),ラクトバチルス・デルブルッキ(Lactobacillus delbrueckii),ラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii),ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus),ラクトバチルス・カーバタス(Lactobacillus curvatus),ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus),ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック・ラクティス(Leuconostoc lactis)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis),ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus),ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici),バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis),バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)由来のldh遺伝子を好適に用いることが出来る。また、真核生物由来としては、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae),ホモ・サピエンス(Homo sapiens),ボス・タウラス(Bos taurus),ゼノプス・レービス(Xenopus laevis),カニス・ファミリアリス(Canis familiaris)、アリゲーター・ミシシッピエンシス(Alligator mississippiensis)、モノデルフィス・ドメスティカ(Monodelphis domestica)、ペロディスカス・シネンシス(Pelodiscus sinensis)、スクアラス・アカンティアス(Squalus acanthias)、プラスモディウム・ファルシパルム(Plamodium falciparum)、プラスモディウム・ビバックス(Plamodium vivax)、プラスモディウム・マラリア(Plamodium marariae)、プラスモディウム・オバール(Plamodium ovale)由来のldh遺伝子を好適に用いることができる。
本発明で使用するldh遺伝子には、遺伝的多型性や、変異誘発などによる変異型の遺伝子も含まれる。ここでいう遺伝的多型性とは、遺伝子上の自然突然変異により遺伝子の塩基配列が一部変化しているものである。また、変異誘発とは、人工的に遺伝子に変異を導入することをいい、例えば、部位特異的変異導入用キット(Mutan−K(タカラバイオ社製))を用いる方法や、ランダム変異導入用キット(BD Diversify PCR Random Mutagenesis(CLONTECH社製))を用いる方法などによる。
本発明で使用するldh遺伝子をクローニングする方法としては特に制限はなく、既知の手法を用いることができる。例えば、既知の遺伝子情報に基づき、PCR(Polymerase Chain Reaction)法を用いて必要な遺伝領域を増幅取得する方法や、ゲノムライブラリーやcDNAライブラリーより相同性や酵素活性を指標としてクローニングする方法などが挙げられる。また、既知のタンパク質情報に基づき化学合成的又は遺伝子工学的に合成する方法も可能である。
本発明で使用する乳酸脱水素酵素(LDH)発現カセットとしては、このLDH発現カセットを有する細胞内において、ldh遺伝子からmRNAを介してLDHを発現しうる塩基配列であれば特に制限はない。好ましくは、プロモーター、ldh遺伝子ならびにターミネーターを連続して有する塩基配列である。ここで、ターミネーターとは、遺伝子からのmRNA転写を終結させる配列を意味し、通常、染色体中に存在する遺伝子の3末端側の下流配列を指す。
本発明で使用する「乳酸生産能力を有する酵母」とは、グルコース、スクロース、フルクトース等の糖を資化して乳酸を生産可能な酵母であり、好ましくは、遺伝子組換えによりldh遺伝子を導入した酵母である。
ここで、酵母へのldh遺伝子の導入方法について説明する。酵母へのldh遺伝子の導入方法としては、発現ベクターにldh遺伝子を組み込んだldh遺伝子発現ベクターを酵母に形質転換する方法、ldh遺伝子を染色体上の目的箇所に相同組換えで挿入する方法、または、ldh遺伝子を色体中にランダムに非相同組み換えで挿入する方法などが挙げられる。
ldh遺伝子を組み込む発現ベクターとしては、酵母で汎用的に利用される発現ベクターを用いることができる。酵母で汎用的に利用される発現ベクターとは、酵母細胞内での自立的複製に必要な配列、大腸菌細胞内での自立的複製に必要な配列、酵母選択マーカー及び大腸菌選択マーカーを有しており、また、組み込んだldh遺伝子を発現させるために、その発現を調節するオペレーター、プロモーター、ターミネーター又はエンハンサー等のいわゆる調節配列をも有していることが望ましい。
ここで、酵母細胞内での自立的複製に必要な配列とは、例えば、酵母の自立複製開始点(ARS1)とセントロメア配列のセット、もしくは酵母の2μmプラスミドの複製開始点である配列である。大腸菌内での自立的複製に必要な配列とは、例えば、大腸菌のColE1複製開始点である配列である。また、酵母選択マーカーとしては、URA3又はTRP1等の栄養要求性相補的遺伝子もしくはG418耐性遺伝子又はネオマイシン耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子が挙げられる。大腸菌の選択マーカーとしては、アンピシリン耐性遺伝子又はカナマイシン耐性遺伝子等の抗生物質耐性遺伝子が挙げられる。調節配列としては、ldh遺伝子を発現可能なものであれば特に制限はないが、一例として酸性フォスファターゼ遺伝子(PHO5)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(TDH1,2,3)、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(ADH1,2,3,4,5,6,7)遺伝子、ガラクトース代謝系遺伝子(GAL1,7,10)、シトクロムc遺伝子(CYC1)、トリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子(TPI1)、ホスホグリセレートキナーゼ遺伝子(PGK1)、ホスホフルクトースキナーゼ遺伝子(PFK1)、ピルビン酸デカルボキシラーゼ遺伝子(PDC1,5,6)などのプロモーター配列及びTDH3遺伝子などのターミネーター配列が挙げられる。しかしながら、発現ベクターはこれらに限定されるものではない。
上記発現ベクターのプロモーター下流にldh遺伝子を導入することにより、ldh遺伝子を発現可能なベクターが得られる。得られたldh遺伝子発現ベクターを、後述する方法により酵母に形質転換することにより、ldh遺伝子を酵母に導入することができる。
また、ldh遺伝子を染色体上に挿入することで、ldh遺伝子を酵母に導入することができる。ldh遺伝子を染色体中に挿入する方法に特に制限はないが、ldh遺伝子を含むDNAを後述する方法により酵母に形質転換し、ldh遺伝子を非相同組み換えによって染色体中のランダムな位置に挿入する方法や、ldh遺伝子を含むDNAを相同組み換えにより目的とする箇所に挿入する方法などがある。好ましくは、相同組み換えによる方法である。
ldh遺伝子を含むDNAを染色体中の目的箇所に相同組み換えで挿入する方法としては、ldh遺伝子を含むDNAの上流及び下流に、導入目的箇所に相同的な部分を付加するようにデザインしたプライマーを用いてPCRを行い、得られたPCR断片を後述する方法により酵母に形質転換する方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、形質転換株の選択を容易にするために、上記PCR断片には酵母選択マーカーが含まれることが好ましい。
ここで用いるPCR断片を調整する方法は、例えば、下記(1)〜(3)のステップ1〜3の工程により行うことができる。なお、ここではldh遺伝子をピルビン酸脱炭酸酵素1遺伝子(PDC1遺伝子)プロモーター下流に導入する方法に関して例示する。
(1)ステップ1:ldh遺伝子の下流にターミネーターがつながったプラスミドを鋳型とし、プライマー1,2をセットとしてldh遺伝子及びターミネーターを含む断片をPCRで増幅する。ここで、プライマー1は、PDC1遺伝子の上流側に相同的な配列40bp以上を付加するようデザインし、プライマー2は、ターミネーターより下流のプラスミド由来の配列をもとにデザインする。
(2)ステップ2:酵母選択マーカーを持つプラスミド、例えばpRS424、pRS426等を鋳型として、プライマー3,4をセットとして酵母選択マーカーを含む断片をPCRで増幅する。ここで、プライマー3は、ステップ1のPCR断片のターミネーターより下流の配列と相同性のある配列が30bp以上を付加するようにデザインし、プライマー4には、PDC1遺伝子の下流側に相同的な配列40bp以上を付加するようデザインする。
(3)ステップ3:ステップ1,2で得られたPCR断片を混合したものを鋳型とし、プライマー1,4をセットとしてPCRを行うことにより、両末端にPDC1遺伝子の上流側及び下流側に相当する配列が付加された、ldh遺伝子、ターミネーター及び酵母選択マーカーを含むPCR断片が得られる。
また、LDH発現カセットとして染色体に導入するには、上記ステップ1で使用するPCR鋳型プラスミドとして、任意のプロモーター、ldh遺伝子、ターミネーターが搭載されているものを用い、プライマー1のデザインを導入目的箇所に相同的な配列40bp以上が付加され、かつ、プロモーター、ldh遺伝子、ターミネーターを増幅しうるデザインにすればよい。
上記で得られたldh遺伝子発現ベクターまたはPCR断片を酵母に導入するには、形質転換、形質導入、トランスフェクション、コトランスフェクションまたはエレクトロポレーション等の方法を用いることができる。具体的には、例えば、酢酸リチウムを用いる方法やプロトプラスト法等がある。
得られた形質転換株の培養方法としては、例えば、「M.D. Rose et al.,“Methods In Yeast Genetics”, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1990)」等に記載されている既知の方法を用いることができる。ldh遺伝子発現ベクター又はPCR断片が導入された酵母は、発現ベクター又はPCR断片が有する酵母選択マーカーによって、栄養非添加培地又は薬剤添加培地で培養することにより選択することができる。
本発明の「分離膜で濾過しながら行う連続培養」とは、培養液を分離膜で濾過し濾液から生産物を回収すると共に未濾過液を前記の培養液に保持または還流し、かつ、発酵原料を前記の培養液に追加する連続培養を意味する。使用する分離膜は、好ましくは多孔性膜であり、培養に使用される酵母による目詰まりが起こりにくく、かつ、濾過性能が長期間安定に継続する性能を有するものであることが望ましい。本発明において使用する分離膜の材質はセラミックスまたは有機高分子であり、好ましくは有機高分子である。
次に、本発明における「遺伝子発現量が全遺伝子の平均相対発現量の5倍以上な遺伝子」について説明する。本発明における遺伝子発現量とは、遺伝子から転写されるメッセンジャーRNA(mRNA)量を意味しており、全遺伝子の平均相対発現量とは、好ましくはサッカロマイセス ゲノムデータベース(http://www.yeastgenome.org/)に登録されている全遺伝子の平均発現量であるが、1あるいは複数個の遺伝子が欠落していても構わない。すなわち、「遺伝子発現量が全遺伝子の平均相対発現量の5倍以上な遺伝子」とは、mRNA量が全遺伝子の平均mRNA量の5倍以上である遺伝子を意味する。また、本発明の本質が、遺伝子発現量のより多い遺伝子のプロモーターを使用することにあることから、好ましくは、遺伝子発現量が全遺伝子の平均相対発現量の7倍以上、より好ましくは10倍以上の遺伝子である。
本発明において、全遺伝子の平均相対発現量を測定する方法としては、ノーザンブロット法、qPCR(定量PCR)法、リアルタイムPCR法またはDNAマイクロアレイ法などが挙げられる。先の3つの方法が、通常、個々の遺伝子発現量を測定する方法であるのに対し、DNAマイクロアレイ法では、アレイ上に固定されているプローブと、予め蛍光標識されたmRNAとのハイブリダイゼーションを行い、専用スキャナで蛍光強度を測定することにより、アレイ上に搭載されている全遺伝子の発現量を同時に測定可能であることから、DNAマイクロアレイ法が好ましい。スキャナによる蛍光強度の測定では、蛍光強度のサチュレーションが起こるスポット数を出来る限り少なくし、かつ、全体の蛍光強度を高くするレーザー強度による測定が望ましい。このようなレーザー強度は測定サンプル毎に異なり、簡単な検討によって決定することが出来る。
本発明において使用するDNAマイクロアレイとしては、酵母全遺伝子を搭載したものであれば特に制限はなく、アフィメトリクス社製の「GeneChip」や東レ社製の「3D−Gene」などを好適に利用することができる。好ましくは「3D−Gene」である。
ここで、DNAマイクロアレイを使用して全遺伝子の蛍光強度を測定し、それらの平均値よりも5倍以上大きな値を示した遺伝子を「遺伝子発現量が全遺伝子の平均相対発現量の5倍以上である遺伝子」と定義する。また、7倍以上大きな値を示した遺伝子を「遺伝子発現量が全遺伝子の平均相対発現量の7倍以上である遺伝子」と定義する。さらに、10倍以上大きな値を示した遺伝子を「遺伝子発現量が全遺伝子の平均相対発現量の10倍以上である遺伝子」と定義する。
本発明における、乳酸生産能力を有する酵母を分離膜で濾過しながら行う連続培養において、培養開始後50時間以降における遺伝子発現量が全遺伝子の平均相対発現量の5倍以上である遺伝子のプロモーターとは、乳酸生産能力を有する酵母を分離膜で濾過しながら行う連続培養において、培養開始後50時間以降のある時点における酵母をサンプリングして、該酵母より抽出した全RNAを使用して、上述したDNAマイクロアレイで測定することにより決定することができる遺伝子のプロモーターである。
本発明において「プロモーター」とは、遺伝子からのmRNAの転写開始に関与する塩基配列を意味し、通常、染色体中に存在する遺伝子の5末端側の上流配列を指す。プロモーターの塩基配列長としては、好ましくは1〜3000bp、より好ましくは1〜1000bpであるが、下流に存在する遺伝子のmRNAの転写を開始し得る塩基配列であれば特に制限はない。また、プロモーターの転写活性を向上させる変異や操作は既知であり、本発明には既知の手法により改変されたプロモーターも含む。
本発明における、乳酸生産能力を有する酵母を分離膜で濾過しながら行う連続培養において、培養開始後50時間以降における遺伝子発現量が全遺伝子の平均相対発現量の5倍以上、好ましくは7倍以上、より好ましくは10倍以上である遺伝子のプロモーターとしては、CDC19(セル・デビジョン・サイクル19)遺伝子,IPP1(インオーガニック・ピロフォスファターゼ1)遺伝子、ARF1(ADP−リボシレーション・ファクター1)遺伝子,CUP5遺伝子、RPL28(リボソーマル・プロテイン・エル28)遺伝子、TRX2(チオレドキシン2)遺伝子,HSP104(ヒート・ショック・タンパク質104)遺伝子,AHP1(アルキル・ハイドロパーオキサイド・リダクターゼ1)遺伝子,YMR122W−A,CIT1(サイトレート・シンターゼ1)遺伝子,RPS15(リボソーマル・プロテイン・エス15)遺伝子,ALD4(アルデヒド・デヒドロゲナーゼ4)遺伝子,YPL225W,HSP26(ヒート・ショック・プロテイン26)遺伝子,PGK1(フォスフォ・グリセレイト・キナーゼ1)遺伝子,SED1(サプレッション・オブ・エクスポネンシャル・ディフェクト1)遺伝子,MFA1(メイティング・ファクター1)遺伝子,HYP2(ハイプシン・コンテイニング・タンパク質2)遺伝子,HSP12(ヒート・ショック・プロテイン12)遺伝子,QCR6(ユビキノール・シトクロムC・レダクターゼ複合体6)遺伝子,HXK1(ヘキソキナーゼ1)遺伝子,TDH3(グリセロアルデヒド3リン酸脱水素酵素3)遺伝子,ENO1(エノラーゼ1)遺伝子,BGL2(ベータ・グルカナーゼ2)遺伝子,YJL133C−A,QCR8(ユビキノール・シトクロムC・レダクターゼ複合体8)遺伝子,FBA1(フルクトース・1,6−ビフォスフェート・アルドラーゼ1)遺伝子,CWP2(細胞壁関連タンパク質2)遺伝子,CCW12(細胞壁関連タンパク質12)遺伝子,TMA10(トランスレーション・マシナリー関連10)遺伝子,SIP18遺伝子,HOR7(高浸透圧応答7)遺伝子,CCW14(細胞壁関連タンパク質14)遺伝子,PIR3(プロテイン・コンテイニング・インターナル・リピート13)遺伝子,CYS3(シスタチオナーゼ3)遺伝子,CDC48(セル・デビジョン・サイクル48)遺伝子,LYS20(ホモサイトレート・シンターゼ20)遺伝子,HSP31(ヒート・ショック・プロテイン31)遺伝子,ARG5,6(アセチルグルタメート・キナーゼ5,6)遺伝子,RPS24A(40S・リボソーム・タンパク質S24)遺伝子,RPL29(リボソーム・タンパク質L29)遺伝子,RPL24A(リボソーム・タンパク質L24)遺伝子,ADH4(アルコール・デヒドロゲナーゼ4)遺伝子,MUP1(メチオニン・アップテイク1)遺伝子,RPL11B(リボソーム・タンパク質L11B)遺伝子,THI4(チアミン生合成4遺伝子)遺伝子,RPL24B(リボソーム・タンパク質L24B)遺伝子,RPS0A(40S・リボソーム・タンパク質SA)遺伝子,RPL27A(リボソーム・タンパク質L27A)遺伝子,RPL16A(リボソーム・タンパク質L16A)遺伝子,RPS21B(40S・リボソーム・タンパク質S21B)遺伝子,RPS5(40S・リボソーム・タンパク質S5)遺伝子,HOM6(ホモセリン・デヒドロゲナーゼ6)遺伝子,PDC5(ピルビン酸脱炭酸酵素5)遺伝子,THI7(チアミン生合成7)遺伝子,MET17(システイン・シンターゼ17)遺伝子,ECM40(アミノ酸・N−アセチルトランスフェレーゼ40)遺伝子,ARG1(アルギナーゼ1)遺伝子、ZPS1(ジンク・pH/レギュレイティッド・表層タンパク質1)遺伝子,IDH2(イソサイトレート・デヒドロゲナーゼ2)遺伝子が挙げられ、特に好ましくは、SED1遺伝子、CWP2遺伝子又はENO1遺伝子のプロモーターである。
より好ましくは、以下の(a)〜(c)より選択される塩基配列からなるプロモーターである。
(a)下記配列番号1〜3いずれかに示す塩基配列からなるプロモーター
(b)下記配列番号1〜3いずれかに示す塩基配列もしくはその一部を含む塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列からなるプロモーター
(c)下記配列番号1〜3いずれかに記載の塩基配列において、1あるいは複数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列からなるプロモーター

配列番号1:(SED1遺伝子:Saccharomyces cerevisiae(サッカロマイセス・セレビシエ)由来)
aggattttaa tctgttggag ttaaggtgaa tacgtttttc catattgggg tatgcagctc
gaacctaaag tggtatgtac acatcccctc aagcacaccc attaccctta taggattaat
gtaagcaaca gcttacacgg aattggaaat actattcaac gatccatgca tctgccagat
tcggacatgc atattcccca attggatata gaaaattaac gtaaggcagt atcttttcac
aatgtacttg caacgcggcg acttaaagtt gaagtacaac ctgcagcagc ggctttttgt
acggtacgcc aaactgtcaa tggataatat tgcgtagacc gaaaaaggta atcctcaaca
ctacccgtgg tggatgacct aaagcagtaa tattggttgg aattatctcc cagacggcac
cgtctccccg agaaagctta gccccgaggt ctaccttcca tacaccactg attgctccac
gtcatgcggc cttctttcga ggacaaaaag gcatatatcg ctaaaattag ccatcagaac
cgttattgtt attatatttt cattacgaaa gaggagaggg cccagcgcgc cagagcacac
acggtcattg attactttat ttggctaaag atccatccct tctcgatgtc atctctttcc
attcttgtgt atttttgatt gaaaatgatt ttttgtccac taatttctaa aaataagaca
aaaagccttt aagcagtttt tcatccattt tactacggta aaatgaatta gtacggtatg
gctcccagtc gcattatttt tagattggcc gtaggggctg gggtagaact agagtaagga
acattgctct gccctctttt gaactgtcat ataaatacct gacctatttt attctccatt
atcgtattat ctcacctctc tttttctatt ctcttgtaat tattgattta tagtcgtaac
tacaaagaca agcaaaataa aatacgttcg ctctattaag

配列番号2:(CWP2遺伝子:Saccharomyces cerevisiae(サッカロマイセス・セレビシエ)由来)
ctaatagaca aggtgctatg agtgaattgc tagcctcccc tttttatttt gtgcggtcac
cgcaagggac aaagcttttc ttagaaaacc gtctgagaag cataacgtac gccatcccct
agacatatta ataatgctac agatactatg ctgctcgtct ttttttgacg acccttttat
tgcaatgtgc aactaatggc aaacaaccac atagtatcac agtattacat tgcctccacc
gatgcggatg ttagggcgcc aagtctgtca tgaagcatgt tcctgtcata atcttgtatg
caaaataccg cgttctgcgc cactgatatg ctaggcagca gcaacctatg cagaagattg
cttttcccac gcctgtttta cgtctccagg gcacttgaaa caatgcagcg atcgccgcca
caacacgcca aagagaagcg aaagtgggcc tgggcggcct cagtttcggc agaggtaaac
aacacgaact gaactgcctt agctccgaag ggcaattcca caggcactcc gcggggcccg
gccaaggccc aaaaggcgtg gaatatgcgc gttttggggc cataacaccc agtaccacgg
ccggaacggg ccatataata agtttttcac tctcaagaat ggtaaacgta aataggaaca
tcccactacc ctagaaattg cggaaatttc gcgcttatca ttagaaaatc tggaaccgtc
ctttttcctc tttcttgcat ttccctttcc gtattattgc cattctttaa ctgcatttgg
ggaaccgtag accaaaagcc aaacagagaa atgtaacgtt ctaaaaaaaa aacaacgaaa
aaattgaaaa ataagataca ataatcgtat ataaatcagg cttcttgttc atcattttca
attctcttct tgccatccct tttcctatct ttgttctttt cttctcataa tcaagaataa
ataacttcat cacattcgct acacactaac aagaaaaaaa

配列番号3:(ENO1遺伝子:Saccharomyces cerevisiae(サッカロマイセス・セレビシエ)由来)
tagaaagcat actatactat tcgacacttc ctttcaatcc tggaattaac agtcactttt
aaaaaagaca tctaccgtga aggtgccgta gagtatcgcg ttaccatatc gccaaaaact
gatatacgcc gcggaaacca ggcaaacaat tgaaaagaaa aattttgagg aactctctgc
atcgaagccg tctagagtta ccactagtca gatgccgcgg gcacttgagc acctcatgca
cagcaataac acaacacaat ggttagtagc aacctgaatt cggtcattga tgcatgcatg
tgccgtgaag cgggacaacc agaaaagtcg tctataaatg ccggcacgtg cgatcatcgt
ggcggggttt taagagtgca tatcacaaat tgtcgcatta ccgcggaacc gccagatatt
cattacttga cgcaaaagcg tttgaaataa tgacgaaaaa gaaggaagaa aaaaaaagaa
aaataccgct tctaggcggg ttatctactg atccgagctt ccactaggat agcacccaaa
cacctgcata tttggacgac ctttacttac accaccaaaa accactttcg cctctcccgc
ccctgataac gtccactaat tgagcgatta cctgagcggt cctcttttgt ttgcagcatg
agacttgcat actgcaaatc gtaagtagca acgtctcaag gtcaaaactg tatggaaacc
ttgtcacctc acttaattct agctagccta ccctgcaagt caagaggtct ccgtgattcc
tagccacctc aaggtatgcc tctccccgga aactgtggcc ttttctggca cacatgatct
ccacgatttc aacatataaa tagcttttga taatggcaat attaatcaaa tttattttac
ttctttcttg taacatctct cttgtaatcc cttattcctt ctagctattt ttcataaaaa
accaagcaac tgcttatcaa cacacaaaca ctaaatcaaa
なお、本明細書において「ストリンジェントな条件」とは、プローブが他の配列に対するよりも、より大きな程度(例えばバックグラウンドよりも少なくとも2倍)で、その標的配列に対してハイブリダイズする条件をいう。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、ハイブリダイゼーションが行われる環境によって異なる。ここでストリンジェントな条件としては、50%ホルムアミド存在下でハイブリダイゼーション温度が37℃であり、より厳しい条件としては、約42℃である。さらにストリンジェントな条件としてはホルムアミド存在下でハイブリダイゼーション温度が約65℃である。
本発明は、上述したいずれかのプロモーターを含む乳酸脱水素酵素発現カセットである。
また、本発明は、以下の(a)群から選ばれるプロモーターおよび(b)群から選ばれる乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子を含む乳酸脱水素酵素発現カセットである。
(a)
(1)上記配列番号1〜3いずれかに示す塩基配列からなるプロモーター
(2)上記配列番号1〜3いずれかに示す塩基配列もしくはその一部を含む塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列からなるプロモーター
(3)上記配列番号1〜3いずれかに記載の塩基配列において、1あるいは複数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列からなるプロモーター
(b)
(1)下記配列番号4〜6いずれかに示す塩基配列からなる乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子
(2)下記配列番号4〜6いずれかに示す塩基配列もしくはその一部を含む塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列からなる乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子
(3)下記配列番号4〜6いずれかに記載の塩基配列において、1あるいは複数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列からなる乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子
配列番号4:ゼノプス・レービス(Xenopus laevis)由来
atggcaactg tgaaggataa actcatccac aatgtggtca aggaggagtc gctcccccag
aacaaggtca ccattgtggg tgtgggggcc gtgggcatgg cctgtgccat cagtgtcctg
cagaaggatt tggcagatga gcttgcactt gttgatgtga tagaagacaa actgaagggg
gaaatgatgg atctccagca tggcagtctg ttccttcgta cccccaagat tgtctcaggg
aaagattaca gcgtcactgc aaactccaag ctggtagttg tgacggccgg ggcccgtcag
caggagggag agagtcgcct gaatctggtt cagcgcaatg tcaacatctt caaattcatc
attcccaaca ttgtcaagta cagccccaac tgcaccctgc tcatcgtctc caacccagtg
gacattctga catatgtggc ctggaagatc agtggattcc ccaaaaaccg tgtcattggc
agcggctgca atttggactc tgcccgtttc cgttacctca tggggcagaa gtttgggatc
cacacccaga gctgccacgg ttgggtcatt ggggaacacg gagactcgag tgtgccagtg
tggagtgggg tgaatgtggc tggcgtgtcc ctgaaaaccc tgcaccccga tattgggagt
gacgcagaca aggagaactg gaaggaggtg cacaagcagg ttgtggacag cgcctatgaa
gtgatcaagc tgaagggcta cacctcctgg gctattggcc tgtccgtagc tgacctgtct
gagagtatcc tgaagaacct ccgccgagtc catcccattt ccacaatggt caagggcatg
tacggcgtga ataatgatgt tttcctcagt gtcccctgtg tgttgggcaa cttgggcatc
acagacgtgg ttaacatgac gctgaaggca gatgaagagg atcgcttacg caagagcgca
gacaccctgt gggccatcca gaaggagctg cagttctag

配列番号5:ホモ・サピエンス(Homo sapiens)由来
atggcaactc taaaggatca gctgatttat aatcttctaa aggaagaaca gaccccccag
aataagatta cagttgttgg ggttggtgct gttggcatgg cctgtgccat cagtatctta
atgaaggact tggcagatga acttgctctt gttgatgtca tcgaagacaa attgaaggga
gagatgatgg atctccaaca tggcagcctt ttccttagaa caccaaagat tgtctctggc
aaagactata atgtaactgc aaactccaag ctggtcatta tcacggctgg ggcacgtcag
caagagggag aaagccgtct taatttggtc cagcgtaacg tgaacatatt taaattcatc
attcctaatg ttgtaaaata cagcccgaac tgcaagttgc ttattgtttc aaatccagtg
gatatcttga cctacgtggc ttggaagata agtggttttc ccaaaaaccg tgttattgga
agtggttgca atctggattc agcccgattc cgttacctga tgggggaaag gctgggagtt
cacccattaa gctgtcatgg gtgggtcctt ggggaacatg gagattccag tgtgcctgta
tggagtggaa tgaatgttgc tggtgtctct ctgaagactc tgcacccaga tttagggact
gataaagata aggaacagtg gaaagaggtt cacaagcagg tggttgagag tgcttatgag
gtgatcaaac tcaaaggcta cacatcctgg gctattggac tctctgtagc agatttggca
gagagtataa tgaagaatct taggcgggtg cacccagttt ccaccatgat taagggtctt
tacggaataa aggatgatgt cttccttagt gttccttgca ttttgggaca gaatggaatc
tcagaccttg tgaaggtgac tctgacttct gaggaagagg cccgtttgaa gaagagtgca
gatacacttt gggggatcca aaaggagctg caattttaa

配列番号6:ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)由来
atgaagattt ttgcttacgg cattcgtgat gatgaaaagc catcacttga agaatggaaa
gcggctaacc cagagattga agtggactac acacaagaat tattgacacc tgaaacagct
aagttggctg agggatcaga ttcagctgtt gtttatcaac aattggacta tacacgtgaa
acattgacag ctttagctaa cgttggtgtt actaacttgt cattgcgtaa cgttggtaca
gataacattg attttgatgc agcacgtgaa tttaacttta acatttcaaa tgttcctgtt
tattcaccaa atgctattgc agaacactca atgcttcaat tatctcgttt gctacgtcgc
acgaaagcat tggatgccaa aattgctaag cgagacttgc gttgggcacc aacaactgga
cgtgaaatgc gtatgcaaac agttggtgtt attggtacag gtcatattgg ccgtgttgct
attaacattt tgaaaggctt tggggccaag gttattgctt atgacaagta cccaaatgct
gaattacaag cagaaggttt gtacgttgac acattagacg aattatatgc acaagctgat
gcaatttcat tgtatgttcc tggtgtacct gaaaaccatc atctaatcaa tgcagatgct
attgctaaga tgaaggatgg tgtggttatc atgaacgctg cgcgtggtaa tttgatggac
attgacgcta ttattgatgg tttgaattct ggtaagattt cagacttcgg tatggacgtt
tatgaaaatg aagttgcttg ttcaatgaag attggtctgg taaagaattc cccagatgct
aagattgctg acttgattgc acgcgaaaat gttatgatca ccccacacac ggctttctat
acaactaaag ctgttctaga aatggttcac caatcatttg atgcagcagt tgctttcgcc
aagggtgaga agccagctat tgctgttgaa tattaa
[形質転換酵母]
本発明は、上記乳酸脱水素酵素発現カセットを染色体中に少なくとも一つ含む形質転換酵母である。本発明における形質転換酵母は、乳酸脱水素酵素発現カセットからのLDHの発現が起こりうる染色体中の任意の位置に該乳酸脱水素酵素発現カセットを導入することができる。好ましくは、SED1遺伝子、CWP2遺伝子又はENO1遺伝子から選ばれる遺伝子の少なくとも一つが上記乳酸脱水素酵素発現カセットにより置換されている酵母である。
本発明で使用する酵母は、乳酸脱水素酵素発現カセットを導入しうる酵母であれば好適に用いることが出来る。一例としては、サッカロミセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、ジゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属、クリベロミセス(Kluyveromyces)属又はカンジダ(Candida)属に属する酵母が挙げられる。好ましくは、サッカロミセス属に属する酵母である。より好ましくは、サッカロミセス・セレビセ(Saccharomyces cerevisiae)である。
[乳酸の製造方法]
本発明は、上記形質転換酵母を培養することを含む乳酸の製造方法である。培養には、バッチ培養、流加培養(フェドバッチ培養)、ケモスタット培養または連続培養のいずれも採用することができる。好ましくは連続培養である。より好ましくは、培養液を分離膜で濾過し、濾液から乳酸を回収し、さらに未濾過液を培養液に保持または還流し、かつ、培地を培養液に追加する連続培養である。
本発明で使用される酵母の発酵原料としては、発酵培養する酵母の生育を促し、目的とする発酵生産物である乳酸を良好に生産させ得るものであれば良い。発酵原料としては、例えば、炭素源、窒素源、無機塩類、および必要に応じてアミノ酸、およびビタミンなどの有機微量栄養素を適宜含有する液体培地が好ましく用いられる。
上記の炭素源としては、例えば、グルコース、シュークロース、フラクトース、ガラクトース、ラクトース等の糖類、これら糖類を含有する澱粉糖化液、甘藷糖蜜、甜菜糖蜜、ハイテストモラセス、サトウキビ搾汁、更には酢酸、フマル酸等の有機酸、エタノールなどのアルコール類およびグリセリン等が使用される。ここで糖類とは、多価アルコールの最初の酸化生成物であり、アルデヒド基またはケトン基をひとつ持ち、アルデヒド基を持つ糖をアルドース、ケトン基を持つ糖をケトースと分類される炭水化物のことを指す。
また、上記の窒素源としては、例えば、アンモニアガス、アンモニア水、アンモニウム塩類、尿素、硝酸塩類、その他補助的に使用される有機窒素源、例えば、油粕類、大豆加水分解液、カゼイン分解物、その他のアミノ酸、ビタミン類、コーンスティープリカー、酵母または酵母エキス、肉エキス、ペプトン等のペプチド類、各種発酵菌体およびその加水分解物などが使用される。
また、上記の無機塩類としては、例えば、リン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、およびマンガン塩等を適宜添加使用することができる。
本発明で使用される酵母が生育のために特定の栄養素を必要とする場合には、その栄養物を標品もしくはそれを含有する天然物として添加することができる。また、消泡剤も必要に応じて添加使用することができる。
本発明において、発酵培養液とは、発酵原料に酵母が増殖した結果得られる液のことをいう。追加する発酵原料の組成は、培養開始時の発酵原料組成から適宜変更しても良い。発酵原料組成から追加する発酵原料の組成に変更する場合、目的とする乳酸の生産性が高くなるような変更が好ましい。例えば、上記の炭素源に対する窒素源、無機塩類、アミノ酸およびビタミンなどの有機微量栄養素の重量比率を低下させることにより、乳酸の生産コストの低減、すなわち広義で乳酸の生産性の向上が実現できる場合もある。一方、上記炭素源に対する窒素源、無機塩類、アミノ酸およびビタミンなどの有機微量栄養素の重量比率を増加させることにより、乳酸の生産性を向上させることができる場合もある。
本発明では、発酵培養液中の糖類など発酵原料の濃度は、5g/L以下に保持されるようにすることが好ましい。より好ましくは3g/L以下、さらに好ましくは1g/L以下である。その理由は、発酵培養液の引き抜きによる発酵原料の流失を最小限にするためである。そのため発酵培養液中の発酵原料の濃度は、可能な限り小さいことが望ましい。
酵母の発酵培養は、通常、pHが3−8で温度が20−40℃の範囲で行われることが多い。発酵培養液のpHは、生産物質である乳酸が酸性物質であることから、アルカリ性物質、さらには尿素、炭酸カルシウムおよびアンモニアガスなどによって、上記範囲内のあらかじめ定められた値に調節される。
酵母の発酵培養において、酸素の供給速度を上げる必要があれば、空気に酸素を加えて酸素濃度を21%以上に保つ、発酵培養液を加圧する、攪拌速度を上げる、あるいは通気量を上げるなどの手段を用いて、酸素の供給速度を上げることができる。逆に、酸素の供給速度を下げる必要がある場合は、炭酸ガス、窒素およびアルゴンなど酸素を含まないガスを空気に混合して供給することも可能である。
本発明においては、培養初期にバッチ培養またはフェドバッチ培養を行って酵母濃度を高くした後に連続培養(引き抜き)を開始しても良いし、高濃度の酵母菌体をシードし、培養開始とともに連続培養を行っても良い。適当な時期から、発酵原料液の供給および培養物の引き抜きを行うことが可能である。発酵原料液供給と培養物の引き抜きの開始時期は、必ずしも同じである必要はない。また、発酵原料液の供給と培養物の引き抜きは連続的であってもよいし、間欠的であってもよい。発酵原料液には、上記に示したような菌体増殖に必要な栄養素を添加し、菌体増殖が連続的に行われるようにすればよい。
発酵培養液中の酵母の濃度は、効率よい生産性を得る上で、発酵培養液の環境が酵母の増殖にとって不適切となって死滅する比率が高くならない範囲で、高い状態で維持することが好ましい。一例として、酵母濃度を乾燥重量として5g/L以上に維持することにより、より良好な生産効率が得られる。また、連続発酵装置の運転上の不具合や生産効率の低下を招かなければ、酵母の濃度の上限値は特に限定されない。
発酵生産能力のあるフレッシュな菌体を増殖させつつ行う連続培養操作は、培養管理上、通常、単一の発酵反応槽で行うことが好ましい。しかしながら、菌体を増殖しつつ乳酸を生成する連続培養法であれば、発酵反応槽の数は問わない。発酵反応槽の容量が小さい等の理由から、複数の発酵反応槽を用いることもあり得る。この場合、複数の発酵反応槽を配管で並列または直列に接続して連続培養を行っても、発酵生産物の高生産性は得られる。
本発明の乳酸の製造方法により製造された培養液に含まれる乳酸の分離・精製は、従来知られているイオン交換、濃縮、蒸留および晶析などの方法を組み合わせて行うこともできる。
本発明の乳酸の製造方法で用いられる発酵装置の1つの例は、主に、本発明の形質転換酵母を保持し乳酸を製造するための発酵反応槽、および形質転換酵母と培養液を濾過分離するための多孔性膜を含む分離膜エレメントから構成される。分離膜エレメントは、発酵反応槽の内部または外部のいずれに設置されてもよい。
本発明における培養液を分離膜で濾過し、濾液から乳酸を回収し、さらに未濾過液を培養液に保持または還流し、かつ、培地を培養液に追加する連続培養による乳酸の製造方法には、分離膜として平均細孔径が0.01μm以上1μm未満の多孔性膜を使用し、濾過圧力である膜間差圧が0.1から20kPaの範囲で濾過処理することが好ましい。そのため、特別に発酵反応槽内を加圧状態に保つ必要がないことから、濾過分離装置と発酵反応槽間で発酵培養液を循環させる動力手段が不要となり、分離膜エレメントを発酵反応槽内部に設置して発酵培養装置をコンパクト化することもできる。
本発明で分離膜として好適に用いられる多孔性膜の構成について説明する。本発明における多孔性膜は、被処理水の水質や用途に応じた分離性能と透水性能を有するものであり、阻止性能および透水性能や耐汚れ性という分離性能の点からは、多孔質樹脂層を含む多孔性膜であることが好ましい。このような多孔性膜は、多孔質基材の表面に、分離機能層として作用とする多孔質樹脂層を有している。多孔質基材は、多孔質樹脂層を支持して分離膜に強度を与えるものである。
多孔質基材の材質は、有機材料および無機材料等で特に限定されないが、有機繊維が望ましく用いられる。好ましい多孔質基材は、セルロース繊維、セルローストリアセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維およびポリエチレン繊維などの有機繊維を用いてなる織布や不織布であり、中でも、密度の制御が比較的容易であり製造も容易で安価な不織布が好ましく用いられる。
また、多孔質樹脂層は、上述したように分離機能層として作用するものであり、有機高分子膜を好適に使用することができる。有機高分子膜の材質としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、セルロース系樹脂およびセルローストリアセテート系樹脂などが挙げられる。有機高分子膜は、これらの樹脂を主成分とする樹脂の混合物であってもよい。ここで主成分とは、その成分が50重量%以上、好ましくは60重量%以上含有することをいう。中でも、多孔質樹脂層を構成する素材としては、溶液による製膜が容易で物理的耐久性や耐薬品性にも優れているポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂およびポリアクリロニトリル系樹脂が好ましく、ポリフッ化ビニリデン系樹脂またはそれを主成分とする樹脂が最も好ましく用いられる。
ここで、ポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、フッ化ビニリデンの単独重合体が好ましく用いられるが、その他、フッ化ビニリデンと共重合可能なビニル系単量体との共重合体も好ましく用いられる。フッ化ビニリデンと共重合可能なビニル系単量体としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよび三塩化フッ化エチレンなどが例示される。
本発明で用いられる分離膜は、平膜であっても中空糸膜であっても良い。平膜の場合、その平均厚みは用途に応じて選択されるが、好ましくは20μm以上5000μm以下であり、より好ましくは50μm以上2000μm以下の範囲で選択される。
上述のように、本発明で用いられる分離膜は、多孔質基材と多孔質樹脂層とから形成されている多孔性膜であることが望ましい。その際、多孔質基材に多孔質樹脂層が浸透していても、多孔質基材に多孔質樹脂層が浸透していなくてもどちらでも良く、用途に応じて選択される。多孔質基材の平均厚みは、好ましくは50μm以上3000μm以下の範囲で選択される。また、多孔性膜が中空糸膜の場合、中空糸の内径は好ましくは200μm以上5000μm以下の範囲で選択され、膜厚は好ましくは20μm以上2000μm以下の範囲で選択される。また、有機繊維または無機繊維を筒状にした織物や編物を中空糸の内部に含んでいても良い。
まず、多孔性膜のうち平膜の作製法の概要について説明する。
多孔質基材の表面に、前記の樹脂と溶媒とを含む原液の被膜を形成すると共に、その原液を多孔質基材に含浸させる。その後、被膜を有する多孔質基材の被膜側表面のみを、非溶媒を含む凝固浴と接触させて樹脂を凝固させると共に多孔質基材の表面に多孔質樹脂層を形成する。原液は、樹脂を溶媒に溶解させて調整する。原液に、さらに非溶媒を含ませることもできる。原液の温度は、製膜性の観点から、通常、15〜120℃の範囲内で選定することが好ましい。
ここで、原液には、開孔剤を添加することもできる。開孔剤は、凝固浴に浸漬された際に抽出されて、樹脂層を多孔質にする作用を持つものである。開孔剤を添加することにより、平均細孔径の大きさの制御することができる。開孔剤は、凝固浴に浸漬された際に抽出されて、樹脂層を多孔質にする作用を持つものである。開孔剤は、凝固浴への溶解性の高いものであることが好ましい。開孔剤としては、例えば、塩化カルシウムや炭酸カルシウムなどの無機塩を用いることができる。また、開孔剤として、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレン類や、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールおよびポリアクリル酸などの水溶性高分子化合物や、グリセリンを用いることができる。
また、溶媒は、樹脂を溶解するものである。溶媒は、樹脂および開孔剤に作用してそれらが多孔質樹脂層を形成するのを促す。このような溶媒としては、N−メチルピロリジノン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、リン酸トリメチル、シクロヘキサノン、イソホロン、γ−ブチロラクトン、メチルイソアミルケトン、フタル酸ジメチル、プロピレングリコールメチルエーテール、プロピレンカーボネート、ジアセトンアルコール、グリセロールトリアセテート、アセトンおよびメチルエチルケトンなどを用いることができる。中でも、樹脂の溶解性の高いNMP、DMAc、DMFおよびDMSOを好ましく用いられる。これらの溶媒は、単独で用いても良いし2種類以上を混合して用いても良い。原液は、先述の樹脂を好ましくは5重量%以上60重量%以下の濃度で、上述の溶媒に溶解させることにより調整することができる。
また、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびグリセリンなどの溶媒以外の成分を溶媒に添加しても良い。非溶媒は、樹脂を溶解しない液体である。非溶媒は、樹脂の凝固の速度を制御して細孔の大きさを制御するように作用する。非溶媒としては、水やメタノールおよびエタノールなどのアルコール類を用いることができる。中でも、価格の点から水やメタノールが好ましい。非溶媒は、これらの混合物であってもよい。
次に、多孔性膜のうち、中空糸膜の作製法の概要について説明する。
中空糸膜は、樹脂と溶媒からなる原液を二重管式口金の外側の管から吐出すると共に、中空部形成用流体を二重管式口金の内側の管から吐出して、冷却浴中で冷却固化して作製することができる。
原液は、上述の平膜の作成法で述べた樹脂を好ましくは20重量%以上60重量%以下の濃度で、上述の平膜の生成法で述べた溶媒に溶解させることにより調整することができる。また、中空部形成用流体には、通常気体もしくは液体を用いることができる。また、得られた中空糸膜の外表面に、新たな多孔性樹脂層をコーティング(積層)することもできる。積層は中空糸膜の性質、例えば、親水性・疎水性あるいは細孔径等を所望の性質に変化させるために行うことができる。積層される新たな多孔性樹脂層は、樹脂を溶媒に溶解させた原液を、非溶媒を含む凝固浴と接触させて樹脂を凝固させることによって作製することができる。その樹脂の材質は、例えば、上述有機高分子膜の材質と同様のものが好ましく用いられる。また、積層方法としては、原液に中空糸膜を浸漬してもよいし、中空糸膜の表面に原液を塗布してもよく、積層後、付着した原液の一部を掻き取ったり、エアナイフを用いて吹き飛ばしすることにより積層量を調整することもできる。
本発明で用いられる分離膜は、支持体と組み合わせることによって分離膜エレメントとすることができる。支持体として支持板を用い、その支持板の少なくとも片面に、本発明で用いられる分離膜を配した分離膜エレメントは、本発明で用いられる分離膜を有する分離膜エレメントの好適な形態の一つである。この形態で、膜面積を大きくすることが困難な場合には、透水量を大きくするために、支持板の両面に分離膜を配することが好ましい。
分離膜としての多孔性膜の平均細孔径が上記のように0.01μm以上1μm未満の範囲内にあると、菌体や汚泥などがリークすることのない高い排除率と、高い透水性を両立させることができ、さらに目詰まりをしにくく、透水性を長時間保持することが、より高い精度と再現性を持って実施することができる。細菌類を用いた場合、多孔性膜の平均細孔径は好ましくは0.4μm以下であり、平均細孔径は0.2μm未満であればなお好適に実施することが可能である。平均細孔径は、小さすぎると透水量が低下することがあるので、本発明では、平均細孔径は0.01μm以上であり、好ましくは0.02μm以上であり、さらに好ましくは0.04μm以上である。
ここで、平均細孔径は、倍率10,000倍の走査型電子顕微鏡観察における、9.2μm×10.4μmの範囲内で観察できる細孔すべての直径を測定し、平均することにより求めることができる。
上記の平均細孔径の標準偏差σは、0.1μm以下であることが好ましい。更に、平均細孔径の標準偏差が小さい、すなわち細孔径の大きさが揃っている方が均一な透過液を得ることができる。発酵運転管理が容易になることから、平均細孔径の標準偏差は小さければ小さい方が望ましい。
平均細孔径の標準偏差σは、上述の9.2μm×10.4μmの範囲内で観察できる細孔数をNとして、測定した各々の直径をXkとし、細孔直径の平均をX(ave)とした下記の(式1)により算出される。
Figure 2009072593
本発明で用いられる分離膜においては、発酵培養液の透過性が重要点の一つであり、透過性の指標として、使用前の分離膜の純水透過係数を用いることができる。本発明において、分離膜の純水透過係数は、逆浸透膜による25℃の温度の精製水を用い、ヘッド高さ1mで透水量を測定し算出したとき、2×10−9/(m・s・Pa)以上であることが好ましい。純水透過係数が2×10−9/(m・s・Pa)以上6×10−7/(m・s・Pa)以下であれば、実用的に十分な透過水量が得られる。より好ましい純水透過係数は、2×10−9/(m・s・Pa)以上1×10−7/(m・s・Pa)以下である。
本発明で用いられる分離膜の膜表面粗さは、分離膜の目詰まりに影響を与える因子である。膜表面粗さが好ましくは0.1μm以下のときに、分離膜の剥離係数や膜抵抗を好適に低下させることができ、より低い膜間差圧で連続発酵が実施可能である。従って、目詰まりを抑えることにより、安定した連続発酵が可能になることから、表面粗さは小さければ小さいほど好ましい。
また、分離膜の膜表面粗さを低くすることにより、微生物の濾過において、膜表面で発生する剪断力を低下させることが期待でき、微生物の破壊が抑制され、分離膜の目詰まりも抑制されることにより、長期間安定な濾過が可能になると考えられる。
ここで、膜表面粗さは、下記の原子間力顕微鏡装置(AFM)を使用して、下記の装置と条件で測定することができる。また、使用する原子間力顕微鏡装置(AFM)は、以下のものと同等以上であればよい。
・装置:原子間力顕微鏡装置(Digital Instruments(株)製Nanoscope IIIa)
・条件:探針 SiNカンチレバー(Digital Instruments(株)製)
:走査モード コンタクトモード(気中測定)
水中タッピングモード(水中測定)
:走査範囲 10μm、25μm 四方(気中測定)
5μm、10μm 四方(水中測定)
:走査解像度 512×512
・試料調製:測定に際し膜サンプルは、常温でエタノールに15分浸漬後、RO水中に24時間浸漬し洗浄した後、風乾し用いた。RO水とは、濾過膜の一種である逆浸透膜(RO膜)を用いて濾過し、イオンや塩類などの不純物を排除した水を指す。RO膜の孔の大きさは、概ね2nm以下である。
膜表面粗さdroughは、上記のAFMにより各ポイントのZ軸方向の高さから、下記の(式2)により算出する。
Figure 2009072593
本発明において、微生物を分離膜で濾過処理する際の膜間差圧は、微生物および培地成分が容易に目詰まりしない条件であればよいが、膜間差圧を0.1kPa以上20kPa以下の範囲にして濾過処理することが重要である。膜間差圧は、好ましくは0.1kPa以上10kPa以下の範囲であり、さらに好ましくは0.1kPa以上5kPaの範囲である。上記の膜間差圧の範囲を外れた場合、微生物および培地成分の目詰まりが急速に発生し、透過水量の低下を招き、連続発酵運転に不具合を生じることがある。
濾過の駆動力としては、発酵培養液と分離膜処理水の液位差(水頭差)を利用したサイホンにより分離膜に膜間差圧を発生させることが可能である。また、濾過の駆動力として分離膜処理水側に吸引ポンプを設置してもよいし、分離膜の発酵培養液側に加圧ポンプを設置することも可能である。膜間差圧は、発酵培養液と分離膜処理水の液位差を変化させることにより制御することができる。また、膜間差圧を発生させるためにポンプを使用する場合には、吸引圧力により膜間差圧を制御することができ、更に発酵培養液側の圧力を導入する気体または液体の圧力によっても膜間差圧を制御することができる。これら圧力制御を行う場合には、発酵培養液側の圧力と分離膜処理水側の圧力差をもって膜間差圧とし、膜間差圧の制御に用いることができる。
また、本発明において使用される分離膜は、濾過処理する膜間差圧として、0.1kPa以上20kPa以下の範囲で濾過処理することができる性能を有するものであることが好ましい。また、本発明で使用される分離膜は、上述のように、使用前の純水透過係数が、逆浸透膜による25℃の温度の精製水を用い、ヘッド高さ1mで透水量を測定し算出したとき、2×10−9/(m・s・Pa)以上の範囲であることが好ましく、さらに2×10−9/(m・s・Pa)以上6×10−7/(m・s・Pa)以下の範囲にあることが好ましい。
本発明の乳酸の製造方法で用いられる連続発酵装置のうち、分離膜エレメントが発酵反応槽の内部に設置された代表的な一例を図1に示す。図1は、本発明で用いられる膜分離型の連続発酵装置の一つの実施の形態を説明するための概略側面図である。図1において、膜分離型の連続発酵装置は、酵母を発酵培養させる発酵反応槽1と、その発酵反応槽1の中の発酵培養液の量を制御するための水頭差制御装置3で基本的に構成されている。発酵反応槽1内には分離膜エレメント2が配設されており、その分離膜エレメント2には多孔性膜が組み込まれている。この多孔性膜としては、例えば、国際公開第2002/064240号パンフレットに開示されている分離膜および分離膜エレメントを使用することが好適である。
次に、図1の膜分離型の連続発酵装置による連続発酵の形態について説明する。培地供給ポンプ7によって、培地を発酵反応槽1に連続的もしくは断続的に投入する。培地については、発酵反応槽1内に投入する前に、必要に応じて加熱殺菌、加熱滅菌あるいはフィルターを用いた滅菌処理を行うことができる。発酵生産時には、必要に応じて、発酵反応槽1内の攪拌機5で発酵反応槽1内の発酵液を攪拌することができる。また必要に応じて、気体供給装置4によって必要とする気体を発酵反応槽1内に供給することができる。このとき、供給した気体を回収リサイクルして再び気体供給装置4に供給することができる。また必要に応じて、pHセンサ・制御装置9およびpH調整溶液供給ポンプ8によって発酵反応槽1内の発酵液のpHを調整することができる。また必要に応じて、温度調節器10によって発酵反応槽1内の発酵培養液の温度を調節することにより生産性の高い発酵生産を行うことができる。
ここでは、計装・制御装置による発酵培養液の物理化学的条件の調節に、pHおよび温度の調節を例示したが、必要に応じて、溶存酸素やORP(Oxidation−reduction Potential:酸化還元電位)の制御を行うことができ、更にはオンラインケミカルセンサーなどの分析装置により発酵培養液中の乳酸の濃度を測定し、それを指標とした物理化学的条件の制御を行うことができる。また、培地の連続的もしくは断続的投入の形態に関しては、特に限定されるものではないが、上記の計装装置による発酵培養液の物理化学的環境の測定値を指標として、培地投入量および速度を適宜調節することができる。
発酵培養液は、発酵反応槽1内に設置された分離膜エレメント2によって、酵母と発酵生産物に濾過・分離され装置系から取り出される。また、濾過・分離された酵母は装置系内に留まることにより装置系内の酵母濃度を高く維持することができ、生産性の高い発酵生産を可能としている。ここで、分離膜エレメント2による濾過・分離は発酵反応槽1の水面との水頭差圧によって行い、特別な動力を必要としない。また、必要に応じて、レベルセンサ6および水頭差圧制御装置3によって、分離膜エレメント2の濾過・分離速度および発酵反応槽1内の発酵液量を適当に調節することができる。上記の分離膜エレメント2による濾過・分離は水頭差圧によって行うことを例示したが、必要に応じて、ポンプや、液体や気体等による吸引濾過あるいは装置系内を加圧することにより、濾過・分離することもできる。
次に、本発明の乳酸の製造方法で用いられる発酵装置のうち、分離膜エレメントが、発酵反応槽の外部に設置された代表的な一例を図2の概要図に示す。図2は、本発明で用いることができる他の膜分離型の連続発酵装置の一つの実施の形態を説明するための概略側面図である。
図2において、膜分離型の連続発酵装置は、酵母を培養発酵させるための発酵反応槽1と、その発酵反応槽1に発酵培養液循環ポンプ11を介して接続され内部に分離膜エレメント2を備えた膜分離槽12と、発酵反応槽1内の発酵培養液の量を制御するための水頭差制御装置3で基本的に構成されている。ここで、分離膜エレメント2には、多孔性膜が組み込まれている。この多孔性膜としては、例えば、国際公開第2002/064240号パンフレットに開示されている分離膜、および分離膜エレメントを使用することが好適である。
図2において、培地供給ポンプ7によって培地を発酵反応槽1に投入し、必要に応じて、攪拌機5で発酵反応槽1内の発酵培養液を攪拌することができる。また必要に応じて、気体供給装置4によって必要とする気体を供給することができる。このとき、供給した気体を回収リサイクルして再び気体供給装置4で供給することができる。また、必要に応じて、pHセンサ・制御装置9およびよびpH調整溶液供給ポンプ8によって発酵培養液のpHを調整することができる。また必要に応じて、温度調節器10によって発酵培養液の温度を調節することにより、生産性の高い発酵生産を行うことができる。さらに、装置内の発酵培養液は、発酵培養液循環ポンプ11によって発酵反応槽1と膜分離槽12の間を循環する。発酵生産物を含む発酵培養液は、分離膜エレメント2によって酵母と発酵生産物に濾過・分離され、発酵生産物である乳酸を装置系から取り出すことができる。
また、濾過・分離された酵母は、装置系内に留まることにより装置系内の酵母濃度を高く維持することができ、生産性の高い発酵生産を可能としている。ここで、分離膜エレメント2による濾過・分離は膜分離槽12の水面との水頭差圧によって行うことができ、特別な動力を必要としない。また、必要に応じて、レベルセンサ6および水頭差圧制御装置3によって、分離膜エレメント2の濾過・分離速度および装置系内の発酵培養液量を適当に調節することができる。また、必要に応じて、気体供給装置4によって必要とする気体を膜分離槽12内に供給することができる。
上記のように、分離膜エレメント2による濾過・分離は水頭差圧によって行うことができるが、必要に応じて、ポンプや、液体や気体等による吸引濾過あるいは装置系内を加圧することにより濾過・分離することもできる。このような手段により、膜間差圧を調整制御することができる。
次に、本発明で用いられる分離膜エレメントの好適な形態の例である国際公開第2002/064240号パンフレットに開示されている分離膜および分離膜エレメントを、以下に図面を用いてその概略を説明する。図3は、本発明で用いられる分離膜エレメントの一つの実施の形態を説明するための概略斜視図である。
分離膜エレメントは、図3に示すように、剛性を有する支持板13の両面に、流路材14と前記の分離膜15をこの順序で配し構成されている。支持板13は、両面に凹部16を有している。分離膜15は、発酵培養液を濾過する。流路材14は、分離膜15で濾過された濾液を効率よく支持板13に流すためのものである。支持板13に流れた濾液は、支持板13の凹部16を通り、集水パイプ17を介して連続発酵装置外部に取り出される。濾液を取り出すための動力として、水頭差圧、ポンプ、液体や気体等による吸引濾過、あるいは装置系内を加圧するなどの方法を用いることができる。
図4は、本発明で用いられる別の分離膜エレメントの他の実施の形態を説明するための概略斜視図である。分離膜エレメントは、図4に示すように、中空糸膜(多孔性膜)で構成された分離膜束18と上部樹脂封止層19と下部樹脂封止層20によって主に構成されている。分離膜束18は、上部樹脂封止層19および下部樹脂封止層20よって束状に接着・固定化されている。下部樹脂封止層20による接着・固定化は、分離膜束18の中空糸膜(多孔性膜)の中空部を封止しており、培養液の漏出を防ぐ構造になっている。一方、上部樹脂封止層19は、分離膜束18の中空糸膜(多孔性膜)の内孔を封止しておらず、集水パイプ22に濾液が流れる構造となっている。この分離膜エレメントは、支持フレーム21を介して連続発酵装置内に設置することが可能である。分離膜束18によって濾過された発酵生産物を含む濾液は、中空糸膜の中空部を通り、集水パイプ22を介して連続発酵装置外部に取り出される。濾液を取り出すための動力として、水頭差圧、ポンプ、液体や気体等による吸引濾過、あるいは装置系内を加圧するなどの方法を用いることができる。
本発明の乳酸の製造方法で用いられる連続発酵装置の分離膜エレメントを構成する部材は、高圧蒸気滅菌操作に耐性の部材であることが好ましい。連続発酵装置内が滅菌可能であれば、連続発酵時に好ましくない微生物による汚染の危険を回避することができ、より安定した連続発酵が可能となる。分離膜エレメントを構成する部材は、高圧蒸気滅菌操作の条件である、121℃で15分間に耐性であることが好ましい。分離膜エレメント部材には、例えば、ステンレスやアルミニウムなどの金属、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、PVDF、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂およびポリサルホン系樹脂等の樹脂を好ましく選定することができる。
本発明の乳酸の製造方法で用いられる連続発酵装置では、分離膜エレメントは、図1のように発酵反応槽内に設置しても良いし、図2のように発酵反応槽外に設置しても良い。分離膜エレメントを発酵反応槽外に設置する場合には、別途、膜分離槽を設けてその内部に分離膜エレメントを設置することができ、発酵反応槽と膜分離槽の間で培養液を循環させながら、分離膜エレメントにより培養液を連続的に濾過することができる。
本発明の乳酸の製造方法で用いられる連続発酵装置では、膜分離槽は、高圧蒸気滅菌可能であることが望ましい。膜分離槽が高圧蒸気滅菌可能であると、雑菌による汚染回避が容易である。
本発明の連続発酵による乳酸の製造方法に従って連続発酵を行った場合、バッチ式の発酵と比較して、高い体積生産速度が得られ、極めて効率のよい発酵生産が可能となる。ここで、連続培養における発酵生産速度は、次の(式3)で計算される。
発酵生産速度(g/L/hr)=抜き取り液中の生産物濃度(g/L)×発酵培養液抜き取り速度(L/hr)÷装置の運転液量(L) ・・・・(式3)
また、バッチ式培養による発酵生産速度は、原料炭素源をすべて消費した時点の生産物量(g)を、炭素源の消費に要した時間(h)とその時点の発酵培養液量(L)で除して求められる。
また、本発明の本質が、上述してきた乳酸生産能力を有する酵母を分離膜で濾過しながら行う連続培養において、培養開始後50時間以降における遺伝子発現量が全遺伝子の平均相対発現量の5倍以上、好ましくは7倍以上、より好ましくは10倍以上である遺伝子のプロモーターを含む乳酸脱水素酵素発現カセットを有する酵母を分離膜で濾過しながら培養することにより、乳酸収率および乳酸生産速度の低下を招くことなく、安定に長期間の連続培養を行うことにあることから、上記連続培養は少なくとも100時間以上、好ましくは200時間以上、さらに好ましくは300時間以上であることが望ましい。
また、本発明ではD−乳酸、L−乳酸のどちらも生産しうる。
本発明の乳酸の製造方法で得られる乳酸は、主に、ポリ乳酸原料として提供することが可能となる。
以下、実施例をもって本発明の実施の態様を説明するが、これらは例示であり、実施例によって本発明が限定されるものではない。
(参考例1)乳酸生産能力を有する酵母の作製
本発明では、乳酸生産能力を有する酵母として、配列番号4に記載の塩基配列を有するゼノプス・レービス由来のldh遺伝子がPDC1プロモーターの下流の導入された酵母を使用した。ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子のクローニングはPCR法により行った。PCRには、ゼノプス・レービスの腎臓由来cDNAライブラリー(STRATAGENE社製)より付属のプロトコールに従い調製したファージミドDNAを鋳型とした。
PCR増幅反応には、KOD−Plus polymerase(東洋紡社製)を用い、反応バッファー、dNTPmixなどは付属のものを使用した。上記のように付属のプロトコールに従い調整したファージミドDNAを50ng/サンプル、プライマーを50pmol/サンプル、及びKOD−Plus polymeraseを1ユニット/サンプルになるように50μlの反応系に調製した。反応溶液をPCR増幅装置iCycler(BIO−RAD社製)により94℃の温度で5分熱変成させた後、94℃(熱変成):30秒、55℃(プライマーのアニール):30秒、68℃(相補鎖の伸張):1分を1サイクルとして30サイクル行い、その後4℃の温度に冷却した。なお、遺伝子増幅用プライマー(配列番号7,8)には、5末端側にはSalI認識配列、3末端側にはNotI認識配列がそれぞれ付加されるようにして作製した。

配列番号7:
gtcgacatgg caactgtgaa ggataa

配列番号8:
gcggccgcct agaactgcag ctcctt
PCR増幅断片を精製し、末端をT4 polynucleotide Kinase(タカラバイオ社製)によりリン酸化後、pUC118ベクター(制限酵素HincIIで切断し、切断面を脱リン酸化処理したもの)にライゲーションした。ライゲーションは、DNA ligation kit Ver.2(タカラバイオ社製)を用いて行った。ライゲーション溶液を大腸菌DH5αのコンピテント細胞(タカラバイオ社製)に形質転換し、抗生物質アンピシリンを50μg/mLを含むLBプレートに蒔いて一晩培養した。生育したコロニーについて、ミニプレップでプラスミドDNAを回収し、制限酵素SalI及びNotIで切断し、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子が挿入されているプラスミドを選抜した。これら一連の操作は、全て付属のプロトコールに従い、行った。
上記ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子が挿入されたpUC118ベクターを制限酵素SalI及びNotIで切断し、DNA断片を1%アガロースゲル電気泳動により分離、定法に従いゼノプス・レービス由来のldh遺伝子を含む断片を精製した。得られたldh遺伝子を含む断片を、図5に示す発現ベクターpTRS11のXhoI/NotI切断部位にライゲーションし、上記と同様な方法でプラスミドDNAを回収し、制限酵素XhoI及びNotIで切断することにより、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子が挿入された発現ベクターを選抜した。以後、このようにして作製したゼノプス・レービス由来のldh遺伝子を組み込んだ発現ベクターをpTRS102とする。
このpTRS102を増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号9,10)をプライマーセットとしたPCRにより、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子及びTDH3ターミネーター配列を含む1.3kbのPCR断片を増幅した。ここで、配列番号9は、PDC1遺伝子の開始コドンから上流60bpに相当する配列が付加されるようデザインした。

配列番号9:
tctcaattat tattttctac tcataacctc acgcaaaata acacagtcaa atcaatcaaa
atggcaactg tgaaggataa actca

配列番号10:
aggcgtatca cgaggccctt
次に、プラスミドpRS424を増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号11,12)をプライマーセットとしたPCRにより、酵母選択マーカーであるTRP1遺伝子を含む1.2kbのPCR断片を増幅した。ここで、配列番号12は、PDC1遺伝子の終始コドンから下流60bpに相当する配列が付加されるようデザインした。

配列番号11:
gaattaattc ttgaagacga aagggcctcg tgatacgcct agattgtact gagagtgcac

配列番号12:
tatttttcgt tacataaaaa tgcttataaa actttaacta ataattagag attaaatcgc
ctgtgcggta tttcacaccg
それぞれのDNA断片を1%アガロースゲル電気泳動により分離、常法に従い精製した。ここで得られた各1.3kb断片、1.2kb断片を混合したものを増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号9,12)をプライマーセットとしたPCR法によって、5末端・3末端にそれぞれPDC1遺伝子の上流・下流60bpに相当する配列が付加された、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子、TDH3ターミネーター及びTRP1遺伝子が連結された約2.5kbのPCR断片を増幅した。
上記のPCR断片を1%アガロースゲル電気泳動により分離、常法に従い精製後、酵母サッカロミセス・セレビセNBRC10505株に形質転換し、トリプトファン非添加培地で培養することにより、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子が染色体上のPDC1遺伝子プロモーターの下流に導入されている形質転換株を選択した。
上記のようにして得られた形質転換株が、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子が染色体上のPDC1遺伝子プロモーターの下流に導入されている酵母であることの確認は下記のように行った。まず、形質転換株のゲノムDNAをゲノムDNA抽出キットGenとるくん(タカラバイオ社製)により調製し、これを増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号12,13)をプライマーセットとしたPCRにより、約2.8kbの増幅DNA断片が得られることで確認した。なお、非形質転換株では、上記PCRによって約2.1kbの増幅DNA断片が得られる。以下、上記ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子が染色体上のPDC1遺伝子プロモーターの下流に導入された形質転換株を、B2株とする。なお、PDC1遺伝子の上流及び下流配列は、Saccharomyces Genome Database(URL:http://www.yeastgenome.org/)より取得することができる。

配列番号13:
caaatatcgt ttgaatattt ttccg
次に、国際公開WO2007/043253号パンフレットに記載されている、pdc1遺伝子がTRP1マーカーと置換され、かつ、pdc5遺伝子に温度感受性変異を有する酵母SW015株と上記得られたB2株とを接合させ2倍体細胞を得た。該2倍体細胞を子嚢形成培地で子嚢形成させた。マイクロマニピュレーターで子嚢を解剖し、それぞれの一倍体細胞を取得し、それぞれ一倍体細胞の栄養要求性を調べた。取得した一倍体細胞の中から、pdc1遺伝子座にゼノプス・レービス由来のldh遺伝子が挿入され、かつ、pdc5遺伝子に温度感受性変異を有する(34℃で生育不能)株を選択した。得られた酵母株をSU014株とした。
また、SU014株が乳酸生産能力を持つかどうかは、SC培地(METHODS IN YEAST GENETICS 2000 EDITION、 CSHL PRESS)で形質転換細胞を培養した培養上清に乳酸が含まれていることを下記に示す条件でHPLC法により測定することで確認した。
カラム:Shim−Pack SPR−H(島津社製)
移動相:5mM p−トルエンスルホン酸(流速0.8mL/min)
反応液:5mM p−トルエンスルホン酸、20mM ビストリス、0.1mM EDTA・2Na(流速0.8mL/min)
検出方法:電気伝導度
温度:45℃
また、L−乳酸の光学純度測定は、以下の条件でHPLC法により測定した。
カラム:TSK−gel Enantio LI(登録商標:東ソー社製)
移動相:1mM 硫酸銅水溶液
流速:1.0ml/min
検出方法:UV254nm
温度:30℃
なお、L−乳酸の光学純度は次式で計算される。
光学純度(%)=100×(L−D)/(L+D)
ここで、LはL−乳酸の濃度、DはD−乳酸の濃度を表す。
HPLC分析の結果、L−乳酸が検出され、D−乳酸は検出限界以下であった。以上の検討により、このSU014株がL−乳酸生産能力を持つことを確認した。
(参考例2)分離膜の作製方法
本発明では、分離膜として以下の方法で作製した多孔性膜を使用した。
樹脂としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂を、また開孔剤として分子量が約20,000のポリエチレングリコール(PEG)を、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を、そして非溶媒として純水をそれぞれ用い、これらを90℃の温度下に十分に攪拌し、次の組成を有する原液を得た。
・PVDF:13.0重量%
・PEG:5.5重量%
・DMAc:78.0重量%
・純水:3.5重量%
次に、上記の原液を25℃の温度に冷却した後、密度が0.48g/cm、厚みが220μmのポリエステル繊維製不織布(多孔質基材)に塗布し、塗布後、直ちに25℃の温度の純水中に5分間浸漬し、さらに80℃の温度の熱水に3回浸漬してDMAcおよびPEGを洗い出し、多孔質樹脂層を有する多孔性膜(分離膜)を得た。この分離膜の原液を塗布した側における、多孔質樹脂層表面の9.2μm×10.4μmの範囲内を、倍率10,000倍で走査型電子顕微鏡観察を行ったところ、観察できる細孔すべての直径の平均は0.02μmであった。この分離膜について純水透水量を評価したところ、2×10−9/(m・s・Pa)であった。透水量の測定は、逆浸透膜による25℃の温度の精製水を用い、ヘッド高さ1mで行った。平均細孔径の標準偏差は0.0055μmで、膜表面粗さは0.1μmであった。
(参考例3)乳酸生産能力を有する酵母の分離膜による濾過連続培養
本発明では、参考例1で作製したSU014株を用い、図1に示す連続培養装置により濾過連続培養を行った。培地には表1に示す組成の乳酸発酵培地を用いた。この培地は、121℃の温度で15分間、高圧(2気圧)蒸気滅菌処理して用いた。分離膜エレメント部材としては、ステンレス、及びポリサルホン樹脂の成型品を用い、分離膜としては参考例2で作製した多孔性膜を用いた。本実施例における運転条件は、特に断らない限り、以下のとおりである。
反応槽容量:2(L)
発酵反応槽容量:1.5(L)
使用分離膜:PVDF濾過膜(参考例2で作製)
膜分離エレメント有効濾過面積:120平方cm
温度調整:30(℃)
発酵反応槽通気量:空気0.01(L/min)、窒素ガス0.19(L/min)
発酵反応槽攪拌速度:800(rpm)
pH調整:1N NaOHによりpH5に調整
消泡剤:3時間毎に滅菌した消泡剤PE−L(和光純薬社製)を200μl添加
滅菌:分離膜エレメントを含む培養槽、および使用培地は総て121℃、20minの
オートクレーブにより高圧蒸気滅菌
Figure 2009072593
まず、SU014株を試験管で10mlの乳酸発酵培地で一晩振とう培養した(前々々培養)。得られた培養液を新鮮な乳酸発酵培地100mlに植菌し、500ml容坂口フラスコで24時間、30℃で振とう培養した(前々培養)。前々培養液を、図1に示した連続培養装置の1.5Lの乳酸発酵培地(グルコース濃度は70g/L)に植菌し、反応槽1を付属の攪拌機5によって400rpmで攪拌し、反応槽1の通気量の調整、温度調整、pH調整を行い、24時間培養を行った(前培養)。前培養完了後直ちに、乳酸発酵培地の連続供給を行い、連続培養装置の発酵液量を1.5Lとなるよう膜透過水量の制御を行いながら連続培養し、連続培養による乳酸の製造を行った。適宜、膜透過発酵液中の生産された乳酸濃度および残存グルコース濃度を測定した。また、該乳酸、及びグルコース濃度から算出された投入グルコースから算出された乳酸対糖収率、乳酸生産速度を求めた。なお、グルコース濃度の測定には、“グルコーステストワコーC”(登録商標)(和光純薬社製)を用いた。その結果、200時間までは安定に連続培養可能であったが、200時間を経過したあたりから、乳酸蓄積濃度の低下を原因とする乳酸対糖収率および乳酸生産速度の低下が確認された。
(実施例1)連続培養中の遺伝子発現変動
参考例3で行った連続培養中の遺伝子発現量の変化を検討するために、参考例3で行った連続培養開始から70時間および210時間の培養液サンプルを取得し、酵母菌体から全RNAの抽出を行った。全RNAの抽出は、取得した酵母をOD600=0.2になるように10mlの破砕用緩衝液(50mM 酢酸ナトリウム(pH5.3)、10mM EDTA DEPC treated)に懸濁し、50mlチューブに移した。500μlの20% SDSを加え、更に予め65℃に保温しておいた12mlのフェノール(破砕緩衝液飽和)を加え、ボルテックスミキサーで5秒間攪拌した。65℃で4分間保温した後、ドライアイス/エタノール浴で室温まで急冷した。室温で遠心分離(5 min. 12000 G)し、水上清を新しい50mlチューブに移し、等量のPCI(pH5.3)を加え抽出した。その水上清を新しい50mlチューブに移し、等量のクロロホルムを加え抽出した。その水上清を新しい50mlチューブに移し、1/10量の3M 酢酸ナトリウム(pH5.3)を加えエタノール沈殿した。ペレットを80%エタノールで2回洗浄、乾固し、RNAフリー水で溶かしたものを全RNAサンプルとした。
上記得られた全RNAサンプルの濃度を吸光度計で測定し、その内1μgを用いてDNAマイクロアレイ解析に用いた。DNAマイクロアレイとしては、東レ社製の「3D−Gene」を用いて、詳細は付属のプロトコールに従った。スキャナは、ScanArray Express(パーキンエルマー)を用い、スキャンは、Cyanine 5(PMT値 55%)(培養開始後210時間経過後の平均蛍光光度測定用)、Cyanine 3(PMT値 70%) (培養開始後70時間経過後の平均蛍光光度測定用)の条件で行い、画像を取得した。取得した画像からGenePix Pro 5.0 ソフトウェア(Axon Instruments)で各スポットの蛍光強度を数値化し、その中央値を算出した。その後、各サンプルにおける全スポットの平均蛍光強度を算出した。
その結果、培養開始後70時間のサンプルにおいて平均蛍光強度の10倍以上の数値を示した遺伝子としてCDC19遺伝子,IPP1遺伝子、ARF1遺伝子,CUP5遺伝子、RPL28遺伝子、TRX2遺伝子,HSP104遺伝子,AHP1遺伝子,YMR122W−A,CIT1遺伝子,RPS15遺伝子,ALD4遺伝子,YPL225W、HSP26遺伝子,PGK1遺伝子,SED1遺伝子,MFA1遺伝子、HYP2遺伝子,HSP12遺伝子,QCR6遺伝子,HXK1遺伝子,TDH3遺伝子,ENO1遺伝子,BGL2遺伝子,YJL133C−A,QCR8遺伝子,FBA1遺伝子,CWP2遺伝子,CCW12遺伝子,TMA10遺伝子,SIP18遺伝子,HOR7遺伝子,CCW14遺伝子、PIR3遺伝子が確認でき、また培養開始後210時間のサンプルにおいて平均蛍光強度の10倍以上の数値を示した遺伝子としてCYS3遺伝子,CDC48遺伝子,LYS20遺伝子,HSP31遺伝子,ARG5,6遺伝子,RPS24A遺伝子,RPL29遺伝子,RPL24A遺伝子,ADH4遺伝子,MUP1遺伝子,RPL11B遺伝子,THI4遺伝子,RPL24B遺伝子,RPS0A遺伝子,RPL27A遺伝子,RPL16A遺伝子,RPS21B遺伝子,RPS5遺伝子,HOM6遺伝子,PDC5遺伝子,THI7遺伝子,MET17遺伝子,ECM40遺伝子,ARG1遺伝子、ZPS1遺伝子,IDH2遺伝子,CDC19遺伝子、IPP1遺伝子,ARF1遺伝子,RPL28遺伝子,TRX2遺伝子,HSP104遺伝子,AHP1遺伝子,CIT1遺伝子,RPS15遺伝子,ALD4遺伝子,YPL225X,CCW12遺伝子が確認できた。その結果を表2に示す。
Figure 2009072593
この結果から、乳酸生産能力を有する酵母を分離膜で濾過しながら行う連続培養において、培養開始後50時間以降における遺伝子発現量が全遺伝子の平均相対発現量の10倍以上である遺伝子が明らかになった。
(実施例2)SED1、CWP2、ENO1遺伝子座へのldh遺伝子の導入
実施例1で得られた結果をもとに、配列番号4に記載のldh遺伝子をSED1遺伝子、CWP2遺伝子およびENO1遺伝子座に導入した。
SED1遺伝子座への導入は、参考例1で作製したpTRS102を増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号10,14)をプライマーセットとしたPCRにより、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子及びTDH3ターミネーター配列を含む1.3kbのPCR断片を増幅した。ここで配列番号14は、SED1遺伝子の開始コドンから上流60bpに相当する配列が付加されるようデザインした。

配列番号14:
tattgattta tagtcgtaac tacaaagaca agcaaaataa aatacgttcg ctctattaag
atggcaactg tgaaggataa actca
次に、プラスミドpRS423を増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号11,15)をプライマーセットとしたPCRにより、酵母選択マーカーであるHIS3遺伝子を含む約1.3kbのPCR断片を増幅した。ここで、配列番号18は、SED1遺伝子の終始コドンから下流60bpに相当する配列が付加されるようデザインした。

配列番号15:
aaaaaataac ataatactga aagaaagcat taagaaggcg gatgtgtcaa acaccaccgt
ctgtgcggta tttcacaccg
それぞれのDNA断片を1%アガロースゲル電気泳動により分離、常法に従い精製した。ここで得られた二種類の約1.3kb断片を混合したものを増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号14,15)をプライマーセットとしたPCR法によって、5末端・3末端にそれぞれSED1遺伝子の上流・下流60bpに相当する配列が付加された、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子、TDH3ターミネーター及びHIS3遺伝子が連結された約2.6kbのPCR断片を増幅した。
上記のPCR断片を1%アガロースゲル電気泳動により分離、常法に従い精製後、SU014株に形質転換し、ヒスチジン非添加培地で培養することにより、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子が染色体上のSED1遺伝子プロモーターの下流に導入されている形質転換株を選択した。
上記のようにして得られた形質転換株が、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子が染色体上のSED1遺伝子プロモーターの下流に導入されている酵母であることの確認は下記のように行った。まず、形質転換株のゲノムDNAをゲノムDNA抽出キットGenとるくん(タカラバイオ社製)により調製し、これを増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号16,17)をプライマーセットとしたPCRにより、約2.9kbの増幅DNA断片が得られることで確認した。なお、非形質転換株では、上記PCRによって約1.4kbの増幅DNA断片が得られる。以下、上記ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子が染色体上のSED1遺伝子プロモーターの下流に導入された形質転換株を、SU015株とする。

配列番号16:
tagattggcc gtaggggctg

配列番号17:
cacgcaacgc gtaagaaaca
次に、CWP2遺伝子座への導入は、参考例1で作製したpTRS102を増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号10,18)をプライマーセットとしたPCRにより、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子及びTDH3ターミネーター配列を含む1.3kbのPCR断片を増幅した。ここで配列番号21は、CWP2遺伝子の開始コドンから上流60bpに相当する配列が付加されるようデザインした。

配列番号18:
cttctcataa tcaagaataa ataacttcat cacattcgct acacactaac aagaaaaaaa
atggcaactg tgaaggataa actca
次に、プラスミドpRS423を増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号11,19)をプライマーセットとしたPCRにより、酵母選択マーカーであるHIS3遺伝子を含む1.3kbのPCR断片を増幅した。ここで、配列番号19は、CWP2遺伝子の終始コドンから下流60bpに相当する配列が付加されるようデザインした。

配列番号19:
ctagtaaaac cgaaaatttt gaaaaaagcc atatagatat tataaaaaat cagagatttc
ctgtgcggta tttcacaccg
それぞれのDNA断片を1%アガロースゲル電気泳動により分離、常法に従い精製した。ここで得られた二種類の約1.3kb断片を混合したものを増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号18,19)をプライマーセットとしたPCR法によって、5末端・3末端にそれぞれCWP2遺伝子の上流・下流60bpに相当する配列が付加された、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子、TDH3ターミネーター及びHIS3遺伝子が連結された約2.6kbのPCR断片を増幅した。
上記のPCR断片を1%アガロースゲル電気泳動により分離、常法に従い精製後、SU014株に形質転換し、ヒスチジン非添加培地で培養することにより、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子が染色体上のCWP2遺伝子プロモーターの下流に導入されている形質転換株を選択した。
上記のようにして得られた形質転換株が、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子が染色体上のCWP2遺伝子プロモーターの下流に導入されている酵母であることの確認は下記のように行った。まず、形質転換株のゲノムDNAをゲノムDNA抽出キットGenとるくん(タカラバイオ社製)により調製し、これを増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号20,21)をプライマーセットとしたPCRにより、約2.9kbの増幅DNA断片が得られることで確認した。なお、非形質転換株では、上記PCRによって約0.7kbの増幅DNA断片が得られる。以下、上記ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子が染色体上のCWP2遺伝子プロモーターの下流に導入された形質転換株を、SU016株とする。

配列番号20:
aaacagagaa atgtaacgtt

配列番号21:
cattcgaaga gaaatcacag
次に、ENO1遺伝子座への導入は、参考例1で作製したpTRS102を増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号10,22)をプライマーセットとしたPCRにより、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子及びTDH3ターミネーター配列を含む1.3kbのPCR断片を増幅した。ここで配列番号22は、ENO1遺伝子の開始コドンから上流60bpに相当する配列が付加されるようデザインした。

配列番号22:
ctagctattt ttcataaaaa accaagcaac tgcttatcaa cacacaaaca ctaaatcaaa
atggcaactg tgaaggataa actca
次に、プラスミドpRS426を増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号11,23)をプライマーセットとしたPCRにより、酵母選択マーカーであるURA3遺伝子を含む約1.3kbのPCR断片を増幅した。ここで、配列番号23は、ENO1遺伝子の終始コドンから下流60bpに相当する配列が付加されるようデザインした。

配列番号23:
gaaaatgaaa taaatgacaa aaaaacgtgt tttttggact agaaggctta atcaaaagct
ctgtgcggta tttcacaccg
それぞれのDNA断片を1%アガロースゲル電気泳動により分離、常法に従い精製した。ここで得られた二種類の1.3kb断片を混合したものを増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号22,23)をプライマーセットとしたPCR法によって、5末端・3末端にそれぞれENO1遺伝子の上流・下流60bpに相当する配列が付加された、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子、TDH3ターミネーター及びURA3遺伝子が連結された約2.6kbのPCR断片を増幅した。
上記のPCR断片を1%アガロースゲル電気泳動により分離、常法に従い精製後、SU014株に形質転換し、ウラシル非添加培地で培養することにより、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子が染色体上のENO1遺伝子プロモーターの下流に導入されている形質転換株を選択した。
上記のようにして得られた形質転換株が、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子が染色体上のENO1遺伝子プロモーターの下流に導入されている酵母であることの確認は下記のように行った。まず、形質転換株のゲノムDNAをゲノムDNA抽出キットGenとるくん(タカラバイオ社製)により調製し、これを増幅鋳型とし、オリゴヌクレオチド(配列番号24,25)をプライマーセットとしたPCRにより、約2.9kbの増幅DNA断片が得られることで確認した。なお、非形質転換株では、上記PCRによって約1.7kbの増幅DNA断片が得られる。以下、上記ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子が染色体上のENO1遺伝子プロモーターの下流に導入された形質転換株を、SU017株とする。

配列番号24:
aaggtatgcc tctccccgga

配列番号25:
cggatacacg cgtcaccaca
続いて、ゼノプス・レービス由来のldh遺伝子をSU015株のENO1遺伝子座に導入した。SU015株のENO1遺伝子座へのゼノプス・レービス由来のldh遺伝子の導入および確認は、上記SU017株を取得する際に行った方法において、SU014株のかわりにSU015株を使用することを除いては、同様の方法で行った。得られた形質転換株をSU018株とする。
(実施例3)乳酸生産酵母の作製2
3−1 ヒト由来およびロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子のクローニング
次に、配列番号5、6に記載のヒト由来およびロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子のクローニングを行った。まず、ヒト由来のldh遺伝子のクローニング方法を下記に示す。
ヒト乳ガン株化細胞(MCF−7)を培養回収後、TRIZOL Reagent(Invitrogen社製)を用いてtotal RNAを抽出し、得られたtotal RNAを鋳型としてSuperScript Choice System(Invitrogen社製)を用いた逆転写反応によりcDNAの合成を行った。これらの操作の詳細は、それぞれ付属のプロトコールに従った。得られたcDNAを続くPCRの増幅鋳型とした。
上記操作で得られたcDNAを増幅鋳型とし、配列番号26および配列番号27で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとしたKOD−Plus−polymeraseによるPCRによりldh遺伝子のクローニングを行った。各PCR増幅断片を精製し末端をT4 Polynucleotide Kinase(宝酒造株式会社製)によりリン酸化後、pUC118ベクター(制限酵素HincIIで切断し、切断面を脱リン酸化処理したもの)にライゲーションした。ライゲーションは、DNA ligation kit Ver.2(宝酒造株式会社製)を用いて行った。ライゲーションプラスミド産物で大腸菌DH5αを形質転換し、プラスミドDNAを回収することによりヒト由来ldh遺伝子(アクセッションナンバー;AY009108、配列番号5)がサブクローニングされたプラスミドを得た。得られたldh遺伝子が挿入されたpUC118プラスミドを制限酵素XhoIおよびNotIで消化し、得られた各DNA断片を酵母発現用ベクターpTRS11のXhoI/NotI切断部位に挿入した。このようにしてヒト由来ldh遺伝子発現プラスミドpTRS48を得た。
次にロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子のクローニング方法を下記に示す。
ロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子は、Res.Microbiol,146,291−302(1995)に記されている配列(配列番号6)を参考にして、PCR法を応用した遺伝子全合成によりクローニングした。全合成時に5末端側にはXhoI認識配列、3末端側にはNotI認識配列を付加するように行い、PCR断片をpTA2ベクターにTAクローニングした。ライゲーションは、DNA ligation kit Ver.2(宝酒造株式会社製)を用いて行った。ライゲーションプラスミド産物で大腸菌DH5αを形質転換し、プラスミドDNAを回収することによりロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子(配列番号6)がサブクローニングされたプラスミドを得た。得られたldh遺伝子が挿入されたpTA2プラスミドを制限酵素XhoIおよびNotIで消化し、得られた各DNA断片を酵母発現用ベクターpTRS11のXhoI/NotI切断部位に挿入した。このようにしてロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子発現プラスミドpTRS152を得た。
3−2 ヒト由来およびロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子の染色体への導入
次に、配列番号5および6に記載のldh遺伝子をPDC1遺伝子、SED1遺伝子、CWP2遺伝子およびENO1遺伝子座に導入した。
プラスミドpTRS48およびpTRS152を増幅鋳型とし、配列番号28、10(pTRS48),配列番号29、10(pTRS152)で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとしたPCRにより、それぞれ1.3kbのヒト由来ldh遺伝子及びサッカロミセス・セレビセ由来のTDH3遺伝子のターミネーター配列含むDNA断片、ならびにロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子及びをサッカロミセス・セレビセ由来のTDH3遺伝子のターミネーター配列含むDNA断片を増幅した。また、プラスミドpRS424を増幅鋳型として、配列番号11および配列番号12で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとしたPCRにより1.2kbのサッカロミセス・セレビセ由来のTRP1遺伝子を含むDNA断片を増幅した。それぞれのDNA断片を1.5%アガロースゲル電気泳動により分離、常法に従い精製した。ここで得られた1.3kb断片、1.2kb断片を混合したものを増幅鋳型とし、配列番号28,12および配列番号29,12で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとしたPCR法によって得られた産物をそれぞれ1.5%アガロースゲル電気泳動して、ヒト由来LDH遺伝子にTRP1遺伝子が連結された2.5kbのDNA断片、ロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子にTRP1遺伝子が連結された2.5kbのDNA断片を常法に従い調製した。この2.5kbのDNA断片で出芽酵母NBRC10505株を常法に従いそれぞれトリプトファン非要求性に形質転換した。
上記のようにして得られた形質転換株が、ヒト由来ldh遺伝子またはロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子が染色体上のPDC1遺伝子プロモーターの下流に導入された酵母であることの確認は参考例1に示す方法と同様の方法で行った。
次に、参考例1と同様の方法で、ヒト由来ldh遺伝子またはロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子が染色体上のPDC1遺伝子プロモーターの下流に導入された酵母にpdc5遺伝子に温度感受性変異を有する酵母を作出した。それぞれSU019株、SU024株とする。
SED1、CWP2,ENO1遺伝子座への導入は実施例2と同様な方法でプライマーを変更して行った。変更したプライマーを下記に示す。
SED1遺伝子座導入用プライマー
実施例2で用いた配列番号14のプライマーの代わりにヒト由来ldh遺伝子では配列番号30、ロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子では配列番号33のプライマーに変更して行い、得られたPCR断片を用いてSU019,024株をそれぞれヒスチジン非要求に形質転換した。得られた形質転換株をそれぞれSU020株(ヒト由来ldh遺伝子導入株),SU025株(ロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子導入株)とする。
CWP2遺伝子座導入用プライマー
実施例2で用いた配列番号18のプライマーの代わりにヒト由来ldh遺伝子では配列番号31、ロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子では配列番号34のプライマーに変更して行い、得られたPCR断片を用いてSU019,024株をそれぞれヒスチジン非要求に形質転換した。得られた形質転換株をそれぞれSU021株(ヒト由来ldh遺伝子導入株),SU026株(ロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子導入株)とする。
ENO1遺伝子座導入用プライマー
実施例2で用いた配列番号22のプライマーの代わりにヒト由来ldh遺伝子では配列番号32、ロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子では配列番号35のプライマーに変更して行い、得られたPCR断片を用いてSU019,024株をそれぞれウラシル非要求に形質転換した。得られた形質転換株をそれぞれSU022株(ヒト由来ldh遺伝子導入株),SU027株(ロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子導入株)とする。さらに、SU020,025株を同様にウラシル非要求性に形質転換し、それぞれSU023株(ヒト由来ldh遺伝子導入株),SU028株(ロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子導入株)を得た。
(実施例4)バッチ培養による乳酸発酵試験
参考例1(SU014)および実施例2、3で得られたSU015〜SU028株を用いてバッチ培養により乳酸発酵試験を行った。表1に示した乳酸発酵培地を10mL試験管に取り、そこにそれぞれ少量のSU014〜SU028株を植菌し、30℃で一晩培養した(前々培養)。次に、新鮮な表1に示した乳酸発酵培地100mLを500ml容三角フラスコにいれ、各前々培養液をそれぞれ全量植菌し、30℃で24時間振とう培養した(前培養)。続いて、表1に示した乳酸発酵培地を1L投入したミニジャーファメンター(丸菱バイオエンジ社製、容量5L)に、前培養開始から24時間後の前培養液をそれぞれ全量植菌し、攪拌速度(120rpm)、通気量(0.1L/min)、温度(30℃)、pH(pH5)を一定にして培養を行った(本培養)。なお、中和は1N NaOHで行い、重量変化を天秤で測定することで投入量を計測した。本培養開始後40時間の培養液を遠心分離し、得られた上清を膜濾過した後、参考例1に示した方法で、乳酸蓄積濃度を算出した。グルコース濃度の測定には、“グルコーステストワコーC”(登録商標)(和光純薬社製)を用いた。
測定結果から算出した乳酸の対糖収率を表3に示す。また、参考例1に示した方法で乳酸の光学純度を測定した結果、SU014〜023ではL−乳酸のみ検出されD−乳酸は検出限界以下であり、SU024〜028ではD−乳酸のみ検出されL−乳酸は検出限界以下であった。
Figure 2009072593
この結果から、乳酸生産能力を有する酵母を分離膜で濾過しながら行う連続培養において、培養開始後50時間以降における遺伝子発現量が全遺伝子の平均相対発現量の10倍以上である遺伝子のプロモーターの下流にldh遺伝子を有する乳酸脱水素酵素発現カセットを酵母に導入した、SU015〜SU018(ゼノプス・レービス由来ldh遺伝子導入株)、SU020〜024(ヒト由来ldh遺伝子導入株)、SU025〜028(ロイコノストック・メセンテロイデス由来ldh遺伝子導入株)において、それぞれSU014、SU019、SU024に比べ、高い乳酸収率が得られることが確認できた。
(実施例5)連続培養による乳酸発酵試験
実施例2、3で得られた形質転換酵母SU015〜028を用いて、図1に示す連続培養装置により濾過連続培養を行った。培地には表1に示す組成の乳酸発酵培地のグルコース濃度を70g/Lに変更した培地を用いた。この培地は、121℃の温度で15分間、高圧(2気圧)蒸気滅菌処理して用いた。分離膜エレメント部材としては、ステンレス、及びポリサルホン樹脂の成型品を用いた。分離膜としては参考例2で作製した多孔性膜を用いた。本実施例における運転条件は、特に断らない限り、以下のとおりである。
反応槽容量:2(L)
発酵反応槽容量:1.5(L)
使用分離膜:PVDF濾過膜(参考例2で作製)
膜分離エレメント有効濾過面積:120平方cm
温度調整:30(℃)
発酵反応槽通気量:空気0.01(L/min)、窒素ガス0.19(L/min)
発酵反応槽攪拌速度:800(rpm)
pH調整:5N 水酸化カルシウムによりpH5に調整
消泡剤:3時間毎に滅菌した消泡剤PE−L(和光純薬社製)を200μl添加
滅菌:分離膜エレメントを含む培養槽、および使用培地は総て121℃、20minの
オートクレーブにより高圧蒸気滅菌
まず、SU015〜SU028株を試験管で10mlの表1に示した乳酸発酵培地で一晩振とう培養した(前々々培養)。得られた培養液を新鮮な表1に示した乳酸発酵培地100mlにそれぞれ全量植菌し、500ml容坂口フラスコで24時間、30℃で振とう培養した(前々培養)。前々培養液を、図1に示した連続培養装置の1.5Lの乳酸発酵培地に植菌し、反応槽1を付属の攪拌機5によって400rpmで攪拌し、反応槽1の通気量の調整、温度調整、pH調整を行い、24時間培養を行った(前培養)。前培養完了後直ちに、乳酸発酵培地の連続供給を行い、連続培養装置の発酵液量を1.5Lとなるよう膜透過水量の制御を行いながら連続培養し、連続培養による乳酸の製造を行った。適宜、膜透過発酵液中の生産された乳酸濃度および残存グルコース濃度を測定した。乳酸蓄積濃度の測定は、参考例1に示した方法で行い、グルコース濃度の測定には、“グルコーステストワコーC”(登録商標)(和光純薬社製)を用いた。
また、該乳酸、及びグルコース濃度から算出された投入グルコースから算出された乳酸対糖収率、乳酸生産速度を参考例1の結果と合わせて表4、表5に示した。算出は式3に当てはめて行い、表中の時間は培養開始後からの経過時間を示す。
Figure 2009072593

Figure 2009072593
その結果、乳酸生産能力を有する酵母を分離膜で濾過しながら行う連続培養において、培養開始後50時間以降における遺伝子発現量が全遺伝子の平均相対発現量の10倍以上である遺伝子のプロモーターの下流にldh遺伝子を有する乳酸脱水素酵素発現カセットを酵母に導入した、SU015〜SU018、SU020〜023およびSU025〜028株において、300時間まで安定に高収率・高生産速度を維持できることが判明した。一方、参考例1(SU014)およびSU019、SU024株では、200時間を越すと急速に収率・乳酸生産速度が減少した。また、各サンプルの光学純度の参考例1に示した方法で測定したところ、SU014〜023ではL−乳酸のみ検出されD−乳酸は検出限界以下であり、SU024〜028ではD−乳酸のみ検出されL−乳酸は検出限界以下であった。

Claims (10)

  1. プロモーターの下流に乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子が連結された乳酸脱水素酵素発現カセットであって、
    前記プロモーターは、
    乳酸生産能力を有する酵母を分離膜で濾過しながら行う連続培養において、培養開始後50時間以降における遺伝子発現量が全遺伝子の平均相対発現量の5倍以上である遺伝子のプロモーターである、乳酸脱水素酵素発現カセット。
  2. 前記プロモーターは、サプレッション・オブ・エクスポネンシャル・ディフェクト1遺伝子(SED1遺伝子)、細胞壁関連タンパク質2遺伝子(CWP2遺伝子)又はエノラーゼ1遺伝子(ENO1遺伝子)のプロモーターである、請求項1に記載の乳酸脱水素酵素発現カセット。
  3. 前記プロモーターが、以下の(a)〜(c)より選択される塩基配列からなるプロモーターである、請求項1に記載の乳酸脱水素酵素発現カセット。
    (a)配列番号1〜3いずれかに示す塩基配列からなるプロモーター
    (b)配列番号1〜3いずれかに示す塩基配列もしくはその一部を含む塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列からなるプロモーター
    (c)配列番号1〜3いずれかに記載の塩基配列において、1あるいは複数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列からなるプロモーター
  4. 以下の(a)群から選ばれるプロモーターおよび以下の(b)群から選ばれる乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子を含む、乳酸脱水素酵素発現カセット。
    (a)
    (1)配列番号1〜3いずれかに示す塩基配列からなるプロモーター
    (2)配列番号1〜3いずれかに示す塩基配列もしくはその一部を含む塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列からなるプロモーター
    (3)配列番号1〜3いずれかに記載の塩基配列において、1あるいは複数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列からなるプロモーター
    (b)
    (1)配列番号4〜6いずれかに示す塩基配列からなる乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子
    (2)配列番号4〜6いずれかに示す塩基配列もしくはその一部を含む塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列からなる乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子
    (3)配列番号4〜6いずれかに記載の塩基配列において、1あるいは複数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列からなる乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の乳酸脱水素酵素発現カセットを少なくとも一つ染色体中に有する、形質転換酵母。
  6. 前記形質転換酵母は、そのサプレッション・オブ・エクスポネンシャル・ディフェクト1遺伝子(SED1遺伝子)、細胞壁関連タンパク質2遺伝子(CWP2遺伝子)およびエノラーゼ1遺伝子(ENO1遺伝子)から選ばれる遺伝子の少なくとも一つが、請求項1〜4いずれかに記載の乳酸脱水素酵素発現カセットで置換されている、請求項5に記載の形質転換酵母。
  7. 前記形質転換酵母は、サッカロミセス属(Genus Saccharomyces)に属する、請求項5または6に記載の形質転換酵母。
  8. 前記形質転換酵母は、サッカロミセス・セレビセ(Saccharomyces cerevisiae)である、請求項5または6に記載の形質転換酵母。
  9. 請求項5〜8いずれかに記載の形質転換酵母を培養する培養工程を含む、乳酸の製造方法。
  10. 前記培養工程は、培養液を分離膜で濾過し、濾液から乳酸を回収し、さらに未濾過液を培養液に保持または還流し、かつ、培地を培養液に追加する連続発酵である、請求項9に記載の乳酸の製造方法。
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