JPWO2009054063A1 - 水循環装置及び運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】道路舗装の改修で、アスファルトの切断に使用された切断泥水を周囲に垂れ流してしまうことなく、有効に再利用することが可能な水循環装置及びその運転方法の提供。【解決手段】切断装置(1)と、泥水貯蔵装置(2)と、混合装置(3)と、スラリー貯蔵装置(4)と、脱水装置(5)と、高温乾燥装置(12)とを有し、脱水装置でケーキから分離された水を前記切断装置(1)へ供給する配管(L62)と、脱水装置(5)の吸引装置(Pv)にケーキ(C)から分離された水を供給する配管(L61)と、前記泥水貯蔵装置(2)にケーキ(C)から分離された水を供給する配管(L63)とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、アスファルト切断の際に使用された水を循環して再利用するための水循環装置と、その運転方法に関する。
道路の舗装工事において、改修されるべきアスファルトを切断する際には、大量の水が使用される。そして、切断に用いられた後の水(切断泥水)には、微小なアスファルトや骨材が包含されている。その様な微小なアスファルトや骨材を包含する切断泥水は、現状では、例えば、施工現場近辺の側溝等に「垂れ流し」されている。
そうした側溝への切断汚水の「垂れ流し」は、環境に悪影響を及ぼす懸念がある。係る「垂れ流し」による弊害防止のため、当該切断汚水の有効な処理装置及び処理方法の開発が要請されている。しかし、有効な解決策は講じられていないのが現状である。
その他の従来技術としては、道路舗装面に埋設されている水道配管やガス配管を損傷せずに、道路の舗装面を切断することが出来る切断装置が提供されている(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術は、道路舗装面の切断のみを目的としており、上述した様な切断に用いられた水の処理については、全く寄与しない。
特開平9−59918号公報
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、道路舗装の改修で、アスファルトの切断に使用された切断泥水を周囲に垂れ流してしまうことなく、有効に再利用することが可能な水循環装置及びその運転方法の提供を目的としている。
本発明の水循環装置は、アスファルト舗装を切断する切断装置(1)と、切断の際に発生した切断泥水を貯蔵する泥水貯蔵装置(原水槽2)と、切断泥水に凝集剤を混合する混合装置(ラインミキサー3)と、混合装置(3)で生じたスラリーを貯蔵するスラリー貯蔵装置(貯泥槽4)と、スラリーをケーキ(C)と水とに分離する脱水装置(脱水機5及び真空ポンプPv)と、脱水装置(5、Pv)でケーキ(C)から分離された水を前記切断装置(1)へ供給する配管(「接断水への再利用ライン」L62)と、脱水装置の吸引装置(真空ポンプPv)にケーキ(C)から分離された水を供給する配管(「真空ポンプ補給水への再利用ライン」L61)と、前記泥水貯蔵装置(原水槽2)にケーキ(C)から分離された水を供給する配管(「高濃度原水稀釈水への再利用ライン」L63)とを有すると共に、脱水装置(5、Pv)で分離されたケーキ(C)を加熱して有機成分を燃焼させる高温乾燥装置(高温乾燥炉12)を有し、前記混合装置(3)は、切断泥水に無機系凝集剤を添加した後に有機系凝集剤を添加する機能を有していることを特徴としている(請求項1)。
そして、上述した水循環装置(請求項1の水循環装置)の運転方法は、切断手段(1)によりアスファルト舗装を切断する工程(S1)と、切断の際に発生した切断泥水を泥水貯蔵手段(原水槽2)で貯蔵する工程(S2)と、混合手段(ラインミキサー3)で切断泥水に無機系凝集剤を添加した後に有機系凝集剤を添加する工程(S3)と、混合装置(3)で生じたスラリーをスラリー貯蔵手段(貯泥槽4)で貯蔵する工程(S5)と、脱水手段(脱水機5及び真空ポンプPv)を用いてスラリーをケーキ(C)と水とに分離する工程(S6)と、脱水手段(脱水機5及び真空ポンプPv)でケーキ(C)と分離された水を前記切断手段(1)へ供給する(「切断水へ再利用」)工程(S9)と、ケーキ(C)と分離された水を脱水手段の吸引手段(真空ポンプPv)に供給する(「真空ポンプ補給水へ再利用」)工程(S10)と、ケーキ(C)と分離された水を泥水貯蔵手段(原水槽2)に供給する(「高濃度原水稀釈水へ再利用」)工程(S11)と、脱水手段(脱水機5及び真空ポンプPv)で水と分離されたケーキ(C)を高温乾燥手段(12:高温乾燥装置、高温乾燥炉)で加熱して有機成分を燃焼させる工程(S12)とを有する特徴としている(請求項2)。
上述する構成を具備する本発明によれば、アスファルトの切断の際に生じた切断泥水を回収して、水と固形分(ケーキC)とに分離しており、分離された水及びケーキ(C)を有効に再利用することにより、周囲の環境に「垂れ流す」ことを防止している。
脱水装置(脱水機5及び真空ポンプPv)でケーキ(C)から分離された水の再利用については、例えば、前記切断装置(1)へ供給する配管(「切断水への再利用ライン」L62)により切断装置(1)に送られ、切断時の切削水として再利用できる。
ここで、アスファルト舗装の切断泥水を各種脱水手段(例えば、図1の第1実施形態における脱水機5及び真空ポンプPv等)により水と分離されたケーキ(C)は、発ガン性物質である油分その他の有機成分を包含している。したがって、既存のプラント施設等では処理が困難であり、再利用のための引取りを拒否する事例が数多く生じている。
これに対して本発明では、脱水手段(脱水機5及び真空ポンプPv)で水と分離されたケーキは、高温乾燥手段(12:高温乾燥装置、高温乾燥炉)で加熱して有機成分が燃焼されて、骨材のみが残存する。係る骨材は、発ガン性物質である油分その他の有機成分を包含していないので、既存のプラント施設等で処理が可能である。すなわち、本発明によれば、水と分離された固形物である骨材を、既存のプラント施設等で再利用することが可能となる。
また本発明において、ケーキ(C)から分離された水は、脱水装置の吸引装置(真空ポンプPv)にケーキ(C)から分離された水を供給する配管(「真空ポンプ補給水への再利用ライン」L61)を介して、脱水装置の吸引装置(真空ポンプPv)に送られて、真空ポンプ(Pv)の補給水として再利用される。
さらに、ケーキ(C)から分離された水は、前記泥水貯蔵装置(原水槽2)にケーキ(C)から分離された水を供給する配管(「高濃度原水稀釈水への再利用ライン」L63)を介して、泥水貯蔵装置(原水槽2)に供給され、切削汚泥濃度が高く、凝集剤が十分に作用しない場合における希釈水として、再利用することができる。
本発明によれば、道路改良工事で使用される水と、その水に含まれるアスファルトの骨材が切断後に回収され、当該工事用で使用される各種の水や、他の工事用の材料としてリサイクルする事ができる。
その結果、施工領域周辺への汚染が防止され、環境に優しいアスファルトの補修工事の実施が可能となる。
さらに、本発明によれば、切断泥水に無機系凝集剤を添加した後に有機系凝集剤を添加しているので、切断泥水中の汚染物質を確実に沈澱して、除去する事が出来る。
切断泥水に無機系凝集剤のみを添加したのでは、微細なフロッグのみが生じ、係るフロッグは沈澱し難いので、切断泥水中の汚染物質を凝縮、沈澱させて除去する事が困難である。一方、有機系凝集剤のみを添加した場合には大きな塊が形成されるが、切断泥水中の汚染物質が塊となる率が低く、汚染物質が十分に除去されなくなる。
本発明では、最初に無機系凝集剤を添加することにより、切断泥水中の汚染物質、その他の固形分が細かいフロッグとして析出する。その状態で有機系凝集剤を添加すれば、細かいフロッグが大きな塊に凝集して沈澱する。そのため、切断泥水中の汚染物質、その他の固形分が自ら確実に除去されるのである。
これに加えて、出願人の実験によれば、切断泥水に無機系凝集剤を添加した後、さらに有機系凝集剤を添加し、その後、脱水手段(脱水機5及び真空ポンプPv)でケーキ(C)と分離された水のpHは、6.5〜8.5の範囲内である事が確認されている。pH6.5〜8.5の範囲内にあるということは、脱水手段(脱水機5及び真空ポンプPv)でケーキ(C)と分離された水は放流基準を満たしている事を意味している。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1〜図3を参照して第1実施形態を説明する。
図1において、全体を符号100で示す水循環装置は、アスファルト舗装を切断する切断装置1と、切断の際に発生した切断泥水を貯蔵する泥水貯蔵装置(原水槽)2と、切断泥水に凝集剤を混合する混合装置(ラインミキサー)3とを有している。
そして水循環装置100は、混合装置(ラインミキサー)3で生じたスラリーを貯蔵するスラリー貯蔵装置(貯泥槽)4と、スラリーを、アスファルトを含む土砂状のケーキCと水とに分離する脱水装置(脱水機5及び真空ポンプPv)と、スラリーから分離した水を一時貯留する濾液槽6とを有している。
また、水循環装置100は、脱水装置(脱水機5及び真空ポンプPv)で分離したケーキCを加熱して有機成分を燃焼させる高温乾燥装置(高温乾燥炉)12を有している。
さらに水循環装置100は、発動発電機8と、制御盤9とを備えており、発動発電機8で発電した電力を、制御盤9により、後述する各種ポンプ類或いは撹拌機等に、図示しない電力ラインを介して供給する。発動発電機8に代えて、商用電源から電力供給することも可能である。
制御盤9は、図示しない入力信号ライン及び出力信号ラインによって、後述のセンサ類や各ポンプ類及び撹拌機等に接続されており、当該センサからの入力信号に応じて、出力信号を各ポンプ類及び撹拌機に発信し、各ポンプ類及び撹拌機等の駆動・停止等の制御を行うように構成されている。
切断機1と原水槽2とは、切断泥水ラインL1で接続されている。切断泥水ラインL1は、切断機と集水槽10とを接続するラインL11と、集水槽10と、該集水槽L12と原水槽2とを接続するラインl12とを備えている。
集水槽10の一端は、明示していないラインを介して、真空ブロワ11と接続されている。そして、真空ブロワ11が作動することによって、アスファルト舗装の切断時に噴射されてアスファルトの骨剤や油分を包含した水(切断汚水)が、切断機1から、集水層10、ラインL12を介して、原水槽2に送り込まれる。その際に、当該切断汚水が、アスファルト切断現場の周囲に拡散してしまうことはない。
原水槽2とラインミキサー3の流入口3iとは、送泥ポンプP2を介装した送泥ラインL2で接続されている。
ラインミキサー3の排出口3oと貯泥槽4とは、スラリー搬送ラインL3で接続されている。
貯泥槽4と脱水機5とは、スラリー搬送ラインL4及びオーバーフローラインL52とにより接続されている。スラリー搬送ラインL4は貯泥槽4から脱水機5にスラリーを送り込むラインであって、スラリーポンプP4を介装している。オーバーフローラインL52は、脱水機5で処理しきれないスラリーを脱水機5から貯泥槽4に戻すラインである。
脱水機5と濾液槽6とは、分離水吸引ラインL51及び補給水補填ラインL61で接続されている。
ここで分離水吸引ラインL51は、脱水機5でスラリーから分離した水を濾液槽6に吸引するためのラインであり、真空ポンプPvを介装している。補給水補填ラインL61は、濾液槽6に貯留した分離水の一部を前記真空ポンプPvへ補給水として戻すためのラインである。
濾液槽6の内部は、透水性の仕切り6Cによって、上流側の区画6Aと下流側の区画6Bとに仕切られている。前記分離水吸引ラインL51及び補給水補填ラインL61は、上流側の区画6Aに接続されている。
濾液槽6の下流側の区画6Bは、第1の水回収ラインL62で前記切断機1と接続されていると共に、電磁弁Vを介装した第2の水回収ラインL63で原水槽2と接続されている。換言すれば、濾液槽6に貯留した水を、下流側の区画6Bに設けられた送水ポンプP6によって、切断機1或いは原水槽2へ戻すように構成されている。
前記第1の水回収ラインL63は、分岐点Bにおいて分岐管L630が分岐しており、その分岐管L630は後述するB液槽32に接続されている。
原水槽2は、前述した送泥ポンプP2に加えて、レベルセンサ21を備えている。レベルセンサ21は、送泥ポンプP2の起動・停止の制御におけるパラメータである原水槽2の液位を検知する機能を有している。
ここで、貯留する切断汚水が高濃度である場合には、後述する凝集分離用の薬液が効かなくなってしまうので、その汚水を希釈する必要がある。レベルセンサ21は、その様な場合に、稀釈水補給量の制御におけるパラメータとして、液位を検知する。
前記ラインミキサー3は、液槽31及び液槽32と接続されている。
液槽31は無機系の凝集剤を貯留しており、図1において無機系の凝集剤は、「A液」と表示されている。無機系の凝集剤(A液)は、例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ塩化鉄、塩化鉄等で、pHが低く、プラスの電荷を持つ電解質と反応して、アルカリ性の泥水を中和する効果がある。
一方の液槽32は、有機系の凝集剤を貯留しており、該有機系の凝集剤は、図1では「B液」と表示されている。有機系の凝集剤(B液)は、例えば、動植物性残渣を高温加熱して生成した炭化物と、アクリル系水溶性高分子材量との混合物を水に溶いた液である。有機系の凝集剤(B液)を泥水に加えることにより、泥水中のマイナスの電荷を持つ電解質と反応する。
ここで、泥水に無機系凝集剤(A液)のみを添加したのでは、微細なフロッグのみが生じ、係るフロッグは沈澱し難いので、切断泥水中の汚染物質を凝縮、沈澱させて除去する事が困難である。一方、有機系凝集剤(B液)のみを添加した場合には大きな塊が形成されるが、切断泥水中の汚染物質が塊となる率が低く、汚染物質が十分に除去されなくなる。
第1実施形態では、最初に無機系凝集剤(A液)を添加することにより、切断泥水中の汚染物質その他の固形分がフロッグ(細粒)として析出する。その状態で有機系凝集剤(B液)を添加することにより、フロッグが大きな塊に凝集して沈澱する。そのため、切断泥水中の汚染物質その他の固形分が、確実に除去されるのである。
液槽31は、定量ポンプP31を介装したラインL31により、ラインミキサー3の接続口3aに接続されている。液槽31に貯留されている無機系凝集剤(A液)は、必要量が定量ポンプP31で計量され、ラインミキサー3に供給される。
液槽32は撹拌機320を備えており、撹拌機320は撹拌翼32aと駆動モータ32bとを有している。そして液槽32は、定量ポンプP32を介装したラインL32により、ラインミキサー3の接続口3bに接続されている。
前述したように、液槽32には、濾液槽6と連通する第2の水回収ラインL63及び分岐ラインL630を経由して、脱水機5から分離されて濾液槽6に貯留された回収水が投入される。そして、撹拌機320によって、有機系凝集剤(B液)と投入された回収水とが撹拌されて、適正な溶液濃度となるように構成されている。適正濃度の有機系凝集剤(B液)は定量ポンプP32で計量され、ラインミキサー3に送り込まれる。
ラインミキサー3では、原水槽2から送られてきた切断汚水に、無機系凝集剤(A液)と有機系凝集剤(B液)とが添加されて撹拌される。撹拌して出来たスラリーは、ラインミキサー3の排出口3oからスラリー搬送ラインL3を経由して、貯泥槽4に送られる。
貯泥槽4には撹拌機41とレベルセンサ42が設けられている。撹拌機41は、撹拌翼41aとモータ41bを有している。レベルセンサ42は、貯泥槽4に貯留するスラリーの量を検知する。
撹拌機41は、貯留したスラリーの固形分が沈殿しないように常時運転されており、以って、貯泥槽4内の全体にわたって、常に同じ性状(濃度)を保つようにしている。
レベルセンサ42が検知したスラリー量が所定値を超えると、制御盤9の作用によって自動的にスラリーポンプP4が稼動し、脱水機5にスラリーを送り込むように構成されている。
次に、図2を参照して、脱水機5及びその周辺の機器について詳述する。
図2において、脱水機5は、貯泥タンク51と、円筒状のフィルタ52と、吸引パイプ53と、掻き取り用エッジ54とを有している。
貯泥タンク51は、図2の紙面と平行な断面が均一な形状をしており、図2の例では、当該断面は図2における下方が狭くなった五角形状(ホームベース形)である。
貯泥タンク51の下方には、スラリー搬送ラインL4との接続口51aが設けられており、貯泥タンク51の上方には、オーバーフローラインL52の接続口51bが形成されている。
円筒状のフィルタ52は半径方向に相当量の厚みを有しており、貯泥タンク51中で、円筒の中心軸が図2の紙面に垂直な方向へ延在するように配置されている。そして円筒状のフィルタ52は、図示しない駆動装置によって、円筒状の中心軸を回転中心として回転可能なように構成されている。
フィルタ52の下方は、貯泥タンク51に溜まったスラリー中に浸されている。そして、フィルタ52が図示しない駆動装置によって回転されると、フィルタ52の外周面にスラリー中の汚泥が付着する。
ここで、フィルタ52内部の中心には、前記分離水吸引ラインL51に接続された吸引パイプ53が引き込まれている。前述したように分離水吸引ラインL51には真空ポンプPvが介装されている。そのため、真空ポンプPvを稼動させると、フィルタ52内が負圧となって、フィルタ52が回転すると、スラリー中の汚泥がフィルタ表面に吸引される。その結果、フィルタ52が回転することによって、スラリー中の汚泥がフィルタ表面に付着して、貯泥タンク51の上方に掻き揚げられる。
また、フィルタ52内が負圧となるため、貯泥タンク51の上方においては、空気が吸引されて(点線の矢印)、フィルタ52の表面(外周)からフィルタ52の内部に侵入する。
この空気の侵入によって、フィルタ52表面に吸引された汚泥中の水分がフィルタ52内部に連行され、フィルタ52表面の汚泥が脱水される。脱水された汚泥は、「ケーキ」と称され、図2では符号Cで示されている。
ここで、フィルタ52を多孔質の材料で構成するのが好ましい。多孔質の材料でフィルタ52を構成する事により、フィルタ52の表面(外周)とフィルタ52の内部との間の透水経路(汚泥中の水分が流過する経路)がランダムとなり、水分中に包含されている微細粒子が、当該透水経路を通過する際に確実に捕獲され、有害物質がフィルタ52によって回収される。また、フィルタ52を多孔質で構成する事により、その強度が増加し、フィルタ52表面における孔数が開口率70%以上に増加する。さらに、フィルタ52を多孔質で構成すれば、珪藻土をフィルタ外周部に巻き付ける必要が無い。
なお、フィルタ52を多孔質で構成した場合、フィルタ52の目詰り防止のため、例えばダイヤモンドカッター等で、数μmの単位で、フィルタ52の表面を常時削り取る様に構成するのが好適である。
脱水機5の脱水能力はフィルタ52の回転速度に関係する。すなわち、フィルタ52の回転速度を速くすれば、スラリー中の汚泥をフィルタ52の表面に吸引して、上方へ掻き揚げる量(脱水量に比例している)は増加する。
反対に、フィルタ52の回転速度を遅くすれば、スラリー中の汚泥をフィルタ52の表面に吸引して、上方へ掻き揚げる量(脱水量に比例している)は減少するのである。
図2において、貯泥タンク51のスラリー搬送ラインL4との接続口51aとは反対側に、板状の掻き取り用エッジ54が、フィルタ52表面と接するように配置されている。
掻き取り用エッジ54は、フィルタ52表面と接触している側とは反対側の端部が下になるように、傾斜して配置されている。また、掻き取り用エッジ54のフィルタ52表面と接する側の端部は、上下方向についてはフィルタ52の回転中心軸近傍で、フィルタ52と接触している。
図2における符号Rは、フィルタ52の回転方向を示している。
掻き取り用エッジ54は、図示しないスライド機構(例えば、流体シリンダ、或いは簡単なカム機構等)によって、掻き取り用エッジ54をその傾斜に沿ってスライド運動(図2の矢印Zの方向の運動)せしめ、フィルタ52に接触する側の端部をフィルタ52に近づけ、或いは遠ざけることが出来るように構成されている。
例えば、フィルタ52の回転速度が速い場合は、当該エッジ54をフィルタ52側に強く押圧して、大量の汚泥を掻き取ることが出来るように制御する。
一方、フィルタ回転速度が遅い場合は、エッジ54でフィルタ52を強く押圧すると、フィルタ表面を削りこんでしまう恐れがある。従って、エッジ54がフィルタ52を押圧する力が弱くなるように制御する。
掻き取り用エッジ54におけるフィルタ52とは反対側の端部の下方には、ケーキ槽7が設けてある。掻き取り用エッジ54で掻き取られたケーキCは、ケーキ槽7内に所定量溜まるまで貯留される。
図1において、ケーキ槽7内に所定量のケーキCが溜まったならば、ケーキCはラインL7を介して、高温乾燥炉12に搬送される。高温乾燥炉12では、ケーキCは加熱され油分(有機成分:汚染物質を含む)を燃焼させ、乾燥させられる。そして、燃焼して有機成分が除去された状態では、骨材のみが残存する。係る骨材であれば、アスファルトに再度適用する等、種々の再利用の用途が考えられる。
次に、図3のフローチャートを参照して、第1実施形態に係る水循環装置100の運転について説明する。
先ず、切断機1によって、改修するべきアスファルト舗装部分を切断する(ステップS1)。
切断時には大量の水が切削水として使用される。そして、アスファルト切削に用いられた水(切削泥水)は、集水槽10及びバキュームポンプ11を介装した切断汚水ラインL1によって、原水槽2に貯蔵される(ステップS2)。
原水層2に貯蔵された切断汚水は、レベルセンサ21の検知した水位が所定値を超えないように、送泥ポンプP2によって、随時、ラインミキサー3へ送り込まれる。
ラインミキサー3では、送り込まれた切断汚水に、最初に液槽31から供給される無機系凝集剤(A液)と、次に液槽32から供給される有機系凝集剤(B液)とが加えられ、混合され(ステップS3)、スラリーとなる(ステップS4)。
ラインミキサー3で生じたスラリーは、スラリー搬送ラインL3を経由して、ラインミキサー3からスラリー貯蔵装置である貯泥槽4に送られて、貯泥槽4に貯蔵される(ステップS5)。
この貯泥槽4では、撹拌機41が常時稼動しており、スラリー中の固形物の沈殿を防止している。貯泥槽4に貯蔵されたスラリーが所定量以上になったことをレベルセンサ42が検知すると、スラリーポンプP4が稼動して、貯泥槽4内のスラリーを脱水機5のスラリータンク51に圧送する。
脱水機5では、スラリータンク51内のスラリーに浸された円筒状のフィルタ52が、回転速度を調整されて回転しており、スラリータンク51内の汚泥がフィルタ52に吸引されて掻き揚げられる。フィルタ52に吸引された汚泥は、分離水吸引ラインL51に介装された真空ポンプで空気を吸引することによって、水分が分離される(ステップS6)。
分離された水は、フィルタ52の中心部の吸引パイプ54及び分離水吸引ラインL51を経由して、濾液槽6の6A室に吸引される(ステップS7の「水」のルート)。
一方、水分が分離した汚泥(ケーキ)は、掻き取り用エッジ54で掻き取られて、ケーキ槽7に貯留される(ステップS7の「ケーキ」のルート)。
濾液槽6の6A室に吸引された濾過水は、その一部(ステップS8の「真空ポンプ用」)が、真空ポンプPvに搬送されて(ステップS10)、真空ポンプ補給水として再利用される(ステップS6)。
濾液槽6の6A室に吸引された濾過水の残りの部分は、仕切り6Cを透過して、濾液槽6の6B室に流入する。
濾液槽6の6B室に流入した濾過水は、圧送ポンプP6によって、一部は第1の水回収ラインL62経由で(ステップS8の「切断用」)、切断機1に搬送される(ステップS9)。そして、ステップS1において、再度、切断水(切削水)として利用される。
圧送ポンプP6で送水される濾過水の残りの部分は、第2の水回収ラインL63経由で(ステップS8の「原水希釈用」)、原水槽2に搬送される(ステップS11)。そして、ステップS2において原水の希釈水として利用される。
また、第2の水回収ラインL63は途中で分岐しており、原水槽2に供給される濾過水の一部は、ラインL630を経由して液槽32に送られ、有機系凝集剤(B液)の溶解用或いは希釈用に利用される。
ステップS6で脱水されたケーキCはケーキ槽7に貯留され(ステップS7で「ケーキ」)、所定量に達した時点で、ラインL7経由で高温乾燥炉12に搬送される。高温乾燥路12に搬送されたケーキは、加熱・乾燥されて、油分(汚染物質を含む)が完全に除去される(ステップS12)。加熱・乾燥後に冷やされた骨材は、例えば、路床用骨材として再利用される。
図3では示されていないが、制御盤9は水循環装置100の運転を終了するか否かを判断して、水循環装置100の運転を終了すると判断すれば、所定の手順を実行して、水循環装置100の運転を終了する。
図示の第1実施形態に係る水循環装置100及びそれを使用した工法によれば、スラリーから分離された水の一部は切断装置1に送られ、切断時の切断水(切削水)として再利用できる。
また、スラリーから分離された水の一部は補給水補填ラインL61に介装された真空ポンプPvに送られ、真空ポンプPvの補給水として再利用できる。
さらに、スラリーから分離された水の一部は原水槽2に送られ、高濃度原水の希釈水として再利用できる。
加えて、スラリーから分離された水の一部は、ラインL63、L630を介して液槽32に送られ、B液の希釈水として再利用できる。
その結果、アスファルト切断で使用された水を「垂れ流し」にすることなく、必要な処理を行った上で、アスファルト切断作業或いはそれに関連する作業において、再利用することができる。
また、第1実施形態の水循環装置100及びそれを使用した工法によれば、脱水された固形物(ケーキC)は、高温で加熱されて骨材だけが残留し、残留した骨材は、例えば、路床用の骨材などに再利用される。
このように、第1実施形態の水循環装置100及びそれを使用した工法によれば、道路改良工事で使用される水と、その水に包含される土砂状の骨材が切断後に回収され、当該工事及び他の工事用の材料として回収リサイクルが可能となる。そして、施工領域周辺への汚染も防止でき、地球環境に優しいアスファルトの舗装改修工事を実行することができる。
そして、第1実施形態の水循環装置100及びそれを使用した工法によれば、原水槽2内の原液汚泥に含まれる、「発がん物質である油分(ノルマルヘキサン抽出物質)」の量は3100mg/l(リットル)であった。これが、濾過槽6から排出される再利用水では、2.5mg/l(リットル)と、事実上「存在しない」レベルまでに激減していることが判明している。
次に、図4を参照して、第2実施形態の水循環装置102を説明する。
図1〜図3の第1実施形態では、有機系凝集剤(B液)は、ラインミキサー3に接続された液槽32からポンプP32によって、ラインミキサー3内に添加される方式である。
それに対して、図4の第2実施形態の水循環装置102は、液槽32及びポンプP32を介装したラインL32を廃止し、新たに有機系凝集剤貯留手段13を設けている。有機系凝集剤貯留手段13はラインL8によって貯泥槽4と接続されている。そして、有機系凝集剤は有機系凝集剤貯留手段13からラインL8を介して、貯泥槽4に直接投入するように構成されている。
有機系凝集剤としては、例えば、動植物性残渣(いわゆる「生ゴミ」)を高温加熱して生成した炭化物と、アクリル系水溶性高分子材料との混合物であり、粉体状に構成されているものを利用する事が出来る。
前記アクリル系水溶性高分子材料としては、イオン性水溶性モノマーの重合体であるか、或いは、イオン性水溶性モノマーと非イオン性水溶性モノマーの共重体であるのが好ましい。
ここで、前記アクリル系水溶性高分子材料が、イオン性水溶性モノマーと非イオン性水溶性モノマーの共重体である場合には、3〜100モル%のイオン性水溶性モノマーと0〜97モル%の非イオン性水溶性との共重合体であるのが、特に好ましい。
そして、イオン性水溶性モノマーとしては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの塩及び、またはその四級化物、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩及びまたはその四級化物等のアクリル系カチオンモノマー、並びに(メタ)アクリル酸またはその塩あるいは2−アクリルアミドアルキルスルホン酸塩などのアクリル系アニオンモノマー等が好ましい。ここで、これ等のイオン性水溶性モノマーは、2種以上を併用してアクリルアミドと共重合しても良い。
一方、非イオン性水溶性モノマーとして、(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン等を選択することが出来る。特に、アクリルアミドが好ましい。
さらに、20質量%以下の凝集に悪影響をおよぼさない範囲であれば、アクリロニトルのような疎水性モノマーを共重合することも可能である。
上述した有機系高分子凝集剤の分子量は100万以上が好ましく、凝集効果の点からは300万以上が特に好ましい。
また、アクリル系水溶性高分子材料(P)の添加量は、動植物性残渣(いわゆる「生ゴミ」)を高温加熱して生成した炭化物の1%〜50%であるのが好ましい。
上述した有機系高分子凝集剤を製造するには、例えば、高温加熱乾燥炉12と同レベルの高温まで加熱が可能な高温乾燥機により、動植物性残渣(いわゆる「生ゴミ」)を高温加熱して炭化し、生成された炭化物とアクリル系水溶性高分子材料とを混合し、混合物を破砕して粉体とせしめれば良い。
或いは、上述した様な高温加熱乾燥炉により動植物性残渣(いわゆる「生ゴミ」)を高温加熱して炭化し、生成された炭化物を破砕して粉体とせしめ、粉体状の炭化物と粉体状のアクリル系水溶性高分子材料とを混合すれば良い。
動植物性残渣(いわゆる「生ゴミ」)を高温加熱して炭化する前処理として、当該動植物性残渣を脱水処理することが好ましい。
第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、第1実施形態と概略同様である。
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではないことを付記する。
本発明の第1実施形態の構成を示すブロック図。 図1における脱水機の部分拡大図。 本発明の第1実施形態に係る運転方法を説明するフローチャート。 本発明の第2実施形態の構成を示すブロック図。
符号の説明
1・・・切断装置/舗装切断機
2・・・汚水貯蔵装置/原水槽
3・・・混合手段/ミキサー
4・・・スラリー貯蔵手段/貯泥槽
5・・・脱水装置/脱水機
6・・・濾液槽
7・・・ケーキ槽
8・・・発動電動機
9・・・制御版
10・・・集水槽
11・・・真空ブロワ
12・・・高温乾燥炉
21・・・レベルセンサ
31・・・液槽
32・・・液槽
P2・・・汚水搬送ポンプ
P31・・・A液定量ポンプ
P32・・・B液定量ポンプ
P4・・・スラリーポンプ
Pv・・・真空ポンプ
51・・・スラリー貯留槽
52・・・フィルタ
54・・・ケーキ掻き取り部材/掻き取り用エッジ

Claims (2)

  1. アスファルト舗装を切断する切断装置(1)と、切断の際に発生した切断泥水を貯蔵する泥水貯蔵装置(原水槽2)と、切断泥水に凝集剤を混合する混合装置(3)と、混合装置(3)で生じたスラリーを貯蔵するスラリー貯蔵装置(4)と、スラリーをケーキ(C)と水とに分離する脱水装置(5、Pv)と、脱水装置(5、Pv)でケーキ(C)から分離された水を前記切断装置(1)へ供給する配管(L62)と、脱水装置の吸引装置(Pv)にケーキ(C)から分離された水を供給する配管(L61)と、前記泥水貯蔵装置(2)にケーキ(C)から分離された水を供給する配管(L63)とを有すると共に、脱水装置(5、Pv)で分離されたケーキ(C)を加熱して有機成分を燃焼させる高温乾燥装置(12)を有し、前記混合装置(3)は、切断泥水に無機系凝集剤を添加した後に有機系凝集剤を添加する機能を有していることを特徴とする水循環装置。
  2. 請求項1の水循環装置の運転方法において、切断手段(1)によりアスファルト舗装を切断する工程(S1)と、切断の際に発生した切断泥水を泥水貯蔵手段(2)で貯蔵する工程(S2)と、混合手段(3)で切断泥水に無機系凝集剤を添加した後に有機系凝集剤を添加する工程(S3)と、混合装置(3)で生じたスラリーをスラリー貯蔵手段(4)で貯蔵する工程(S5)と、脱水手段(5、Pv)を用いてスラリーをケーキ(C)と水とに分離する工程(S6)と、脱水手段(5、Pv)でケーキ(C)と分離された水を前記切断手段(1)へ供給する工程(S9)と、ケーキ(C)と分離された水を脱水手段(5、Pv)の吸引手段(Pv)に供給する工程(S10)と、ケーキ(C)と分離された水を泥水貯蔵手段(2)に供給する工程(S11)と、脱水手段(5、Pv)で水と分離されたケーキ(C)を高温乾燥手段(12)で加熱して有機成分を燃焼させる工程(S12)とを有することを特徴とする水循環装置の運転方法。
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