JPWO2009040884A1 - 電動機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

永久磁石同期電動機の制御装置において、非同期パルスモードから同期パルスモードへの切り替えは、変調率が第一の設定値以上となるか、またはインバータ出力周波数が第二の設定値以上となる場合に行い、同期パルスモードから非同期パルスモードへの切り替えは、変調率が第一の設定値未満となり、且つインバータ出力周波数が第二の設定値未満となる場合に行う。第二の設定値を、インバータ出力電圧基本波の半周期中に含まれるパルス数が所定値以上となるように設定することで、電動機に電流振動およびトルク脈動が発生することを抑制できる。

Description

本発明は、電気車駆動用の交流電動機、特に永久磁石同期電動機の制御に好適な電動機の制御装置に関する。
近年、産業機器や家電分野、自動車分野等の交流電動機応用分野において、誘導電動機をインバータで駆動制御する従来からの方式に代わって、永久磁石同期電動機をインバータで駆動制御する方式の事例が増えてきている。
永久磁石同期電動機は、誘導電動機と比較して、永久磁石による磁束が確立しているので励磁電流が不要であることや、回転子に電流が流れないため二次銅損が発生しないこと、永久磁石による磁束により発生するトルクの他に、回転子の磁気抵抗の違いを利用したリラクタンストルクを利用することで効果的にトルクを得られること、などから高効率な電動機として知られており、近年、電気車駆動用の電力変換装置への適用も検討されている。
特開平7−227085号公報
永久磁石同期電動機を駆動制御する電動機の制御装置を構成する上での課題の一つとなるのが、永久磁石同期電動機を最適制御する上で生じる電動機端子間電圧の変化への対処である。永久磁石同期電動機の最適制御としては、ある電流で最大のトルクを発生させる最大トルク/電流制御や、電動機の効率を最大に維持する最大効率制御等が挙げられる。これらの最適制御方法は、電動機に印加する電流振幅と位相を、演算式やあらかじめテーブルに記憶させた最適値になるように調整する制御方法であり、その内容は種々の文献に開示されているので、ここでは詳細な説明を省略する。ところで、上記最適制御を実施する場合、電動機の回転速度および出力トルクの大きさに応じてトルク分電流(q軸電流)、磁束分電流(d軸電流)を共に最適値に調整するため、電動機の回転速度および出力トルクの大きさに応じて電動機の最適な鎖交磁束が変化し、電動機端子間電圧(=インバータ出力電圧)が大きく変化する。
これに対して、従来の誘導電動機を駆動制御する電動機の制御装置では、電動機を起動した後、基底速度に達するまでは電動機の二次磁束を一定として定トルク運転を行い、基底速度以上では、インバータ出力電圧を最大値に固定してインバータ出力周波数の増加にほぼ反比例して二次磁束を減少させることで定電力運転を行うのが一般的である。このため、基底速度以上では、インバータは最大出力電圧が得られる所謂1パルスモードで運転される。これは、電気車以外の電気自動車等の動力用途、また一般産業用途でも同じである。つまり、二次磁束は、定電力運転域においてインバータ出力周波数に反比例させて変化させるのみであり、出力トルクの大きさに応じて変化させることはない。出力トルクに応じて二次磁束を調整することは可能であるが、以下に述べるように、出力トルクの過渡特性が悪化するので一般に用いられない。
誘導電動機はその原理上、外部より制御可能なステータ側の電流(一次電流)とすべり周波数を所望に制御することで、ロータ側に電流を誘起させ、二次磁束を発生させるものである。この点は、ロータに永久磁石を埋め込み、磁束が元々確立している永久磁石同期電動機とは大きく異なる。誘導電動機の場合、一次電流と二次磁束との関係は、二次抵抗と二次インダクタンスとからなる二次時定数を有した一次遅れの関係となるために、出力トルクの大きさに応じて二次磁束を変化させるべく一次電流を変化させても、二次磁束が所望の値に安定するまでに二次時定数分の時間(電気車の誘導電動機の場合、一般的に、おおよそ500ms前後)が必要となり、この間、出力トルクが安定しない。このため、トルクのオーバーシュートが発生したり、トルクが振動気味になったりし、トルクの過渡応答の劣化が発生する。従って、誘導電動機において、出力トルクに応じて二次磁束を調整することは一般に用いられない。
つまり、従来の誘導電動機を駆動制御する電動機の制御装置では、電動機の回転速度と電動機の二次磁束の値との関係は一義的に定まるため、電動機の回転速度とインバータ出力電圧の大きさとの関係も一義的に定まる。また、基底速度以上では、インバータが最大電圧を出力するように二次磁束を減少させてゆくので、出力トルクの大きさにかかわらずインバータ出力電圧は最大値で固定される(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、永久磁石同期電動機を駆動制御する電動機の制御装置の場合、電動機の回転速度とインバータ出力電圧の大きさとの関係は、出力トルクに応じて変化するため、電動機の制御装置の構成に際してはこの点に配慮が必要である。
また、上記とは別の課題として、電動機駆動用のインバータに用いられるスイッチング素子のスイッチング周波数と電動機の極数との関係が挙げられる。一般に電気車用のインバータの入力となる直流電源の電圧は1500V〜3000V程度と高電圧であり、3300V〜6500V程度の耐圧を有する高耐圧のスイッチング素子を使用することとなる。しかしながら、高耐圧のスイッチング素子は、スイッチング損失、導通損失ともに大きく、冷却器や冷却ファン等のスイッチング素子の冷却装置が過剰とならないように配慮すると、許容可能なスイッチング周波数は最大で1000Hz程度となり、例えば家電製品や産業用インバータ、電気自動車用のスイッチング周波数と比較して1/10〜1/20程度の低い値である。
一方、インバータが駆動する永久磁石同期電動機の極数は、電動機の小型化、軽量化の観点から6極や8極が適当であり、従来の誘導電動機のほとんどが4極であったことを考慮すると、極数が1.5〜2倍に増加する。
電動機の極数が増加すると、電気車の同一の速度におけるインバータ出力周波数は、極数増加に比例して増加する。従来の4極の誘導電動機から例えば8極の永久磁石同期電動機に変更した場合、一般的な電気車への応用におけるインバータ出力周波数の最大値(電気車の設計最高速度におけるインバータ出力周波数)は、従来の誘導電動機を使用した場合の150Hz程度から、300Hz程度まで倍増する。しかしながら上述したとおり、スイッチング周波数の許容最大値は1000Hz程度でありこれ以上増加できないため、例えばインバータ出力周波数が最大値の300Hz付近にある場合に、インバータ出力電圧の大きさを調整(インバータ出力電圧を最大電圧以外の値に調整)する場合を想定すると、スイッチング周波数は最大でも1000Hz程度であるから、インバータ出力電圧の半周期中に含まれるパルス数は、キャリア周波数(=スイッチング周波数)をインバータ出力周波数で割った3前後となり、非常に少なくなる。このような状態で電動機を駆動すると、キャリア周波数をインバータ出力周波数で割りきれない場合が発生するので、インバータ出力電圧の正の半周期と負の半周期にそれぞれ含まれるパルス数やパルス位置がアンバランスとなり、電動機に印加される電圧の正負対称性が崩れ、電動機に電流振動やトルク脈動が発生し騒音や振動の原因となる。
なお、従来の誘導電動機を駆動制御する電動機の制御装置では、上述のとおり、基底速度以上では出力トルクの大きさに拠らず常時インバータ出力電圧を最大値に固定する1パルスモードでの動作となるので、インバータ出力電圧の大きさを調整する必要はなく、インバータ出力電圧の半周期中に含まれるパルス数は常に1であり時間的に変化なく一定であることから、インバータ出力電圧の正の半周期と負の半周期とでパルス数とパルス位置が同一となり、電動機に印加される電圧の正負対称性が確保できるので、電動機に電流振動やトルク脈動が発生する懸念がない。
つまり、永久磁石同期電動機を駆動制御する電気車用の電動機の制御装置は、特にインバータ出力周波数が高い領域において電動機に印加される電圧の正負対称性に十分留意した制御を行う必要がある。
以上まとめると、永久磁石同期電動機を駆動制御する電気車用の電動機の制御装置は、電動機の出力トルクおよび回転速度による電動機端子間電圧の大きさの変化と、電動機に印加される電圧の正負対称性に十分留意した制御を行う必要がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、特に永久磁石同期電動機を駆動制御する電動機の制御装置において、電動機の出力トルクおよび回転速度によるインバータ出力電圧の大きさの変化、および電動機に印加される電圧の正負対称性に十分留意した制御を行うことができ、電動機に電流振動およびトルク脈動が発生することを回避し、従ってそれらに起因する騒音および振動の発生を回避し、電動機を安定に駆動制御することが可能な電動機の制御装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電動機の制御装置は、直流電源に接続され交流電動機へ任意周波数および任意電圧の交流電流を出力可能なインバータに対して、前記インバータを構成するスイッチング素子にパルス幅変調信号を出力して前記交流電動機を制御する電動機の制御装置において、前記パルス幅変調信号の出力パターンとして同期パルスモード、非同期パルスモード、および1パルスモードを含む複数のパルスモードを選択的に切り替え可能なパルスモード制御部を有し、前記パルスモード制御部は、インバータ出力電圧基本波の周期中に含まれるパルス数を参照可能にする前記インバータの出力状態に関連する複数の量に基づき、前記同期パルスモードと前記非同期パルスモードとの切り替えを行うことを特徴とする。
本発明によれば、電動機の制御装置における同期パルスモードと非同期パルスモードとの切り替えにおいて、インバータ出力電圧基本波の周期中に含まれるパルス数を参照可能にする量を含むインバータの出力状態に関連する複数の量に基づいてパルスモードの切り替えを行うようにしたので、例えば永久磁石同期電動機のように電動機の出力トルクおよび回転速度によりインバータ出力電圧の大きさが変化する場合に、従来の制御方法では非同期パルスモードの選択に起因して電動機に印加される電圧の正負対称性が確保できない状況に対しても、同期パルスモードを選択可能とすることで電圧の正負対称性が確保することが可能となる。そのため、電動機に電流振動およびトルク脈動が発生することを回避し、従ってそれらに起因する騒音および振動の発生を回避し、電動機を安定に駆動制御することができる、という効果を奏する。
図1は、実施の形態1に係る電動機の制御装置の構成例を示す図である。 図2は、実施の形態1における電圧指令/PWM信号生成部の構成例を示す図である。 図3は、永久磁石同期電動機を駆動制御する電動機の制御装置に従来方式におけるパルスモード切替方式を適用した場合の動作を説明する図である。 図4は、実施の形態1におけるパルスモード切替動作を説明する図である。 図5は、実施の形態2におけるパルスモード切替動作を説明する図である。 図6は、実施の形態3におけるパルスモード切替動作を説明する図である。 図7は、従来方式におけるパルスモード切替動作を説明する図である。
符号の説明
1 コンデンサ
2 インバータ
3,4,5 電流検出器
8 電圧検出器
10 電流指令生成部
11 d軸基本電流指令生成部
20 d軸電流制御部
21 q軸非干渉演算部
22 d軸非干渉演算部
23 q軸電流制御部
30 変調率演算部
40 制御位相角演算部
50 電圧指令/PWM信号生成部
53 掛算器
54 調整ゲインテーブル
55 電圧指令演算部
57 非同期キャリア信号生成部
58 同期3パルスキャリア信号生成部
59 スイッチ
60 パルスモード切替処理部
61〜63 比較器
64〜66 反転回路
70 インバータ角周波数演算部
90 三相−dq軸座標変換部
95 基準位相角演算部
100 電動機の制御装置
以下に、本発明に係る電動機の制御装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る電動機の制御装置の構成例を示す図である。図1に示すように、主回路は直流電源となるコンデンサ1、コンデンサ1の直流電圧から任意の周波数、任意電圧の交流電圧に変換し三相交流を出力するインバータ2、および永久磁石同期電動機(以下、単に電動機という。)6を備えて構成されている。
主回路上にはコンデンサ1の電圧を検出する電圧検出器8、インバータ2の出力線の電流iu,iv,iwを検出する電流検出器3,4,5が配置され、電動機6には、ロータ機械角θmを検出するレゾルバ7が配置されており、それぞれの検出信号は電動機の制御装置100に入力されている。
なお、レゾルバ7の代わりにエンコーダを使用しても良いし、レゾルバ7から得られる位置信号の代わりに、検出した電圧、電流等から位置信号を演算して求める位置センサレス方式を使用してもよく、この場合、レゾルバ7は不要となる。つまり、位置信号の取得はレゾルバ7を使用することに限定されない。また、電流検出器3,4,5に関して、最低2相に電流検出器を設置してあれば残りの1相の電流は演算して求めることが可能であるのでそのように構成しても良いし、インバータ2の直流側電流からインバータ2の出力電流を再現して取得する構成でもよい。
インバータ2には電動機の制御装置100により生成されるゲート信号U,V,W,X,Y,Zが入力され、インバータ2に内蔵されるスイッチング素子がPWM(Pulse
Width Modulation:パルス幅変調)制御される。インバータ2は電圧型PWMインバータが好適であり、その構成は公知であるので詳細な説明は省略する。
電動機の制御装置100には、図示しない外部の制御装置から、トルク指令T*が入力される構成となっており、電動機の制御装置100は、トルク指令T*に電動機6の発生トルクTが一致するようにインバータ2を制御する構成としている。
次に、電動機の制御装置100の構成を説明する。電動機の制御装置100は、ロータ機械角θmから基準位相角θeを算出する基準位相角演算部95、電流検出器3,4,5から検出された三相電流iu、iv、iwと基準位相角θeとからd軸電流id、q軸電流iqを生成する三相−dq軸座標変換部90、基準位相角θeからインバータ出力角周波数ωを算出するインバータ角周波数演算部70、外部より入力されたトルク指令T*とインバータ角周波数ωとからd軸電流指令id*、q軸電流指令iq*を生成する電流指令生成部10、d軸電流指令id*とd軸電流の差を比例積分制御し、d軸電流誤差pdeを生成するd軸電流制御部20、q軸電流指令iq*とq軸電流の差を比例積分制御し、q軸電流誤差pqeを生成するq軸電流制御部23、d軸電流指令id*とインバータ角周波数ωとからq軸フィードフォワード電圧vqFFを演算するq軸非干渉演算部21、q軸電流指令iq*とインバータ出力角周波数ωとからd軸フィードフォワード電圧vdFFを演算するd軸非干渉演算部22、d軸電流誤差pdeとd軸フィードフォワード電圧vdFFとの和であるd軸電圧指令vd*と、q軸電流誤差pqeとq軸フィードフォワード電圧vqFFとの和であるq軸電圧指令vq*と、基準位相角θeと、コンデンサ1の電圧EFCとから変調率PMFを演算する変調率演算部30、d軸電流誤差pdeとd軸フィードフォワード電圧vdFFとの和であるd軸電圧指令vd*と、q軸電流誤差pqeとq軸フィードフォワード電圧vqFFとの和であるq軸電圧指令vq*と、基準位相角θeとから、制御位相角θを演算する制御位相角演算部40、および変調率PMFと制御位相角θとからインバータ2へのゲート信号U,V,W,X,Y,Zを生成する電圧指令/PWM信号生成部50、とを備えて構成されている。
次に、以上に説明した各制御ブロックの詳細構成およびその動作を説明する。まず、基準位相角演算部95では、以下の式(1)に基づいて、ロータ機械角θmから電気角である基準位相角θeを算出する。

θe=θm・PP ・・・(1)

ここで、PPは電動機6の極対数である。
三相−dq軸座標変換部90では、以下の式(2)に基づいて、三相電流iu、iv、iwと基準位相角θeとからd軸電流id、q軸電流iqを生成する。
Figure 2009040884
インバータ角周波数演算部70では、以下の式(3)に基づき基準位相角θeを微分することでインバータ出力角周波数ωを算出する。

ω=dθe/dt ・・・(3)

また、インバータ出力角周波数ωを2πで割ることによりインバータ出力周波数FINVを演算する。
次に、電流指令生成部10の構成および動作を説明する。電流指令生成部10では、外部より入力されたトルク指令T*とインバータ出力角周波数ωとからd軸電流指令id*、q軸電流指令iq*を生成する。生成方法としては、ある電流で最大のトルクを発生させる最大トルク/電流制御や、電動機の効率を最大に維持する最大効率制御等の最適制御方法が挙げられる。これらの最適制御方法は、電動機の回転速度と出力トルクの大きさ等をパラメータとして、演算式やあらかじめテーブルに記憶させた最適なトルク分電流指令(q軸電流指令iq*)、磁束分電流指令(d軸電流指令id*)に実電流が一致するように調整を行う方式である。なお、その内容は公知であり、種々の文献に開示されているので詳細な説明は省略する。
次に、d軸電流制御部20、q軸電流制御部23により、それぞれ以下の式(4)、(5)に基づいて、d軸電流指令id*とd軸電流の差を比例積分増幅したd軸電流誤差pdeと、q軸電流指令iq*とq軸電流の差を比例積分増幅したq軸電流誤差pqeとを生成する。

pde=(K3+K4/s)・(id*−id) ・・・(4)
pqe=(K1+K2/s)・(iq*−iq) ・・・(5)

ここで、K1、K3は比例ゲイン、K2、K4は積分ゲイン、sは微分演算子である。
なお、pqe、pdeは特に1パルスモードでの運転の場合等において、必要に応じてゼロとするなどして制御に使用しないようにしても良い。
また、d軸非干渉演算部22、q軸非干渉演算部21は、それぞれ以下の式(6)、(7)に基づいて、d軸フィードフォワード電圧vdFF、q軸フィードフォワード電圧vqFFを演算する。

vdFF=(R1+s・Ld)・id*−ω・Lq・iq* ・・・(6)
vqFF=(R1+s・Lq)・iq*+ω・(Ld・id*+φa) ・・・(7)

ここで、R1は電動機6の一次巻線抵抗(Ω)、Ldはd軸インダクタンス(H)、Lqはq軸インダクタンス(H)、φaは永久磁石磁束(Wb)である。
また、変調率演算部30では、d軸電流誤差pdeとd軸フィードフォワード電圧vdFFとの和であるd軸電圧指令vd*と、q軸電流誤差pqeとq軸フィードフォワード電圧vqFFとの和であるq軸電圧指令vq*と、基準位相角θeと、コンデンサ1の電圧EFCとから、次式(8)に基づいて変調率PMFを演算する。

PMF=VM*/VMmax ・・・(8)

ただし、

VMmax=(√6/π)・EFC ・・・(9)
VM*=sqrt(vd*+vq*) ・・・(10)

である。
なお、変調率PMFは、インバータ出力電圧指令ベクトルの大きさVM*を、インバータが出力可能な最大電圧VMmax(式(9)で定義)に対する割合で示したものであり、PMF=1.0の場合は、インバータ出力電圧指令ベクトルの大きさVM*は、インバータが出力可能な最大電圧VMmaxと等しくなることを示している。また、式(2)〜(10)から分かる通り、電流指令生成部10により生成されるd軸電流指令id*、q軸電流指令iq*により、変調率PMFが変化することが分かる。
制御位相角演算部40では、d軸電流誤差pdeとd軸フィードフォワード電圧vdFFとの和であるd軸電圧指令vd*と、q軸電流誤差pqeとq軸フィードフォワード電圧vqFFとの和であるq軸電圧指令vq*と、基準位相角θeとから、次式(11)に基づいて制御位相角θを演算する。

θ=θe+π+THV ・・・(11)

ここで、

THV=tan−1(vd*/vq*) ・・・(12)
次に、電圧指令/PWM信号生成部50の構成を説明する。図2は、本実施の形態における電圧指令/PWM信号生成部50の構成例を示す図である。図2に示すように、電圧指令/PWM信号生成部50は、掛算器53、調整ゲインテーブル54、電圧指令演算部55、非同期キャリア信号生成部57、同期3パルスキャリア生成部58、スイッチ59、比較器61〜63、および反転回路64〜66を備えて構成されている。
電圧指令演算部55では、変調率PMFと制御位相角θとから、以下の式(13)〜(15)に基づいて、三相電圧指令であるU相電圧指令Vu*、V相電圧指令Vv*、W相電圧指令Vw*を生成する。

Vu*=PMFM・sinθ ・・・(13)
Vv*=PMFM・sin(θ−(2・π/3)) ・・・(14)
Vw*=PMFM・sin(θ−(4・π/3)) ・・・(15)

ここで、PMFMは、後述のように、変調率PMFに調整ゲインテーブル54の出力を掛けた電圧指令振幅である。
また後述のとおり、上記の各電圧指令と比較するキャリア信号CARは、少なくとも同期キャリア信号、および非同期キャリア信号を有し、パルスモード制御部であるパルスモード切替処理部60で選択されたパルスモードに応じてキャリア信号CARの選択が可能な構成としている。なお、同期キャリア信号は、インバータ出力電圧を構成するパルス数とその位置がインバータ出力電圧の正側半周期と負側半周期とで同じになるよう、キャリア信号CARの周波数をインバータ出力周波数FINVの関数として決定したものである。また、非同期キャリア信号は、同期キャリア信号ではない信号であって、インバータ出力周波数FINVに関連なく決められた周波数のキャリア信号であり、ここでは例えば電気車用のスイッチング素子の限界スイッチング周波数である1000Hzの周波数のキャリア信号である。また、本実施の形態においては、同期キャリア信号として、インバータ出力電圧の半周期に3つの電圧パルスが含まれるような同期3パルスキャリア信号を一例として説明するが、これに限定ざれず、これ以外の例えば同期5パルスキャリア信号等を使用してもよいし、複数の同期キャリア信号を準備しておき必要に応じて切り替えるように構成してもよい。
上述のように、式(13)〜(15)中の係数PMFMは、変調率PMFに掛算器53にて調整ゲインテーブル54の出力を掛けた電圧指令振幅である。調整ゲインテーブル54は、非同期パルスモードおよび同期3パルスモードに対して、変調率PMFに対するインバータ出力電圧VMの関係が異なるのを補正するためのものであり、概略は以下の通りである。
非同期パルスモードでは、インバータが歪なく出力可能な最大電圧(実効値)は0.612・EFCとなるが、同期3パルスモードでは、0.7797・EFCとなる。即ち、非同期パルスモードでは、同期3パルスモードと比較して、変調率PMFに対するインバータ出力電圧は1/1.274となる。この両者の差を打ち消すために、非同期パルスモードでは、変調率PMFを1.274倍し、電圧指令振幅PMFMとして上述した電圧指令演算部55に入力している。一方、同期パルスモードでは、変調率PMFを1.0倍し、電圧指令振幅PMFMとして上述した電圧指令演算部55に入力している。
次いで、電圧指令演算部55から出力されるU相電圧指令Vu*、V相電圧指令Vv*、W相電圧指令Vw*は、それぞれ比較器61〜63にてキャリア信号CARと大小比較され、それらの比較結果としてのゲート信号U、V、Wと、それらをさらに反転回路64〜66を介して得られるゲート信号X,Y,Zとが生成される。キャリア信号CARは、パルスモード切替処理部60により、非同期キャリア信号生成部57にて生成される非同期キャリア信号A(ここでは、一般には最大1000Hz前後の周波数のキャリア信号)、同期3パルスキャリア信号生成部58にて生成される同期3パルスキャリア信号B、および1パルスモードに対して選択されるゼロ値Cが、スイッチ59により選択された信号である。なお、非同期キャリア信号A、同期3パルスキャリア信号Bは、ゼロを中心として−1〜1までの値をとる。
ここで、パルスモード切替処理部60の動作を説明する。まず、従来例として、誘導電動機を駆動制御する電動機の制御装置に適用されている方式を説明する。図7は従来方式におけるパルスモード切替動作を説明する図である。図7に示すように、変調率PMFに応じて、非同期パルスモード、同期パルスモード(例えば、同期3パルスモード)、および1パルスモードを切り替える構成としている。詳細には、変調率PMFが低い領域(変調率PMFが第一の設定値以下)では非同期キャリアA側、変調率PMFが第一の設定値以上、かつ第三の設定値未満では同期3パルスキャリアB側、変調率PMFが第三の設定値に達するとゼロ値C側にスイッチ59を切り替える構成としている。なお、以下では、一例として、第一の設定値として0.785(=1/1.274)、第三の設定値として1.0を設定したものとして説明する。
ここで、同期3パルスモードは、非同期パルスモードでは出力することが不可能な、変調率PMFが0.785以上の電圧を出力させることが可能である。
なお、非同期パルスモード、同期5パルスモード、同期9パルスモード等において過変調とする方法を使用する構成としても、同期3パルスモードに相当する電圧を出力できる。ただし、変調率PMFとインバータ2の出力電圧との関係が非線形となり、これを補正する必要が生じ構成が複雑化する。
しかしながら、永久磁石同期電動機を駆動制御する電動機の制御装置に対して前述の従来方式を適用する場合、以下のような問題が発生する。
図3は永久磁石同期電動機を駆動制御する電動機の制御装置に従来方式におけるパルスモード切替方式を適用した場合の動作を説明する図である。図3では、トルク指令T*をパラメータとして、インバータ出力周波数FINVと変調率PMFとの関係に対して選択されるパルスモードを示している。図3に示すように、トルク指令T*の大きさに応じて、変調率PMFとインバータ出力周波数FINVとの関係が大きく変化する。図3において、例えば電気車が最高速度付近で最大トルクで力行加速している場合(図3の地点A)に着目する。この場合、トルク指令T*として最大値が入力されており、インバータは最大出力電圧を出力する1パルスモードで運転している。ここで、電気車の加速を中止し、速度を一定に維持する等のために、トルク指令T*を最小値に減少させる操作がなされた場合を考える。この場合、電流指令生成部10において演算されたd軸電流指令id*とq軸電流指令iq*をもとに算出された変調率PMFは、図3に示すとおり最大値である第三の設定値1.0から大きく低下することになる。
そして、変調率PMFが第一の設定値である0.785以下に低下したとすると、従来の方式では非同期パルスモードが選択されることになるが、例えばインバータ出力周波数300Hzに対して、非同期キャリア周波数は最大1000Hzであるため、インバータ出力電圧半周期中に含まれるパルス数は3前後と非常に少なくなる。このような状態で電動機を駆動すると、キャリア周波数をインバータ出力周波数で割りきれない場合が発生するのでインバータ出力電圧(以降、特に断らない限り線間電圧を指す)の正の半周期と負の半周期にそれぞれ含まれるパルス数やパルス位置がアンバランスとなり、電動機に印加される電圧の正負対称性が崩れ、電動機に電流振動やトルク脈動が発生し騒音や振動を発生する、という問題がある。
このような問題を解消するために、本実施の形態のパルスモード切替処理部60は、インバータ出力電圧振幅に関連する量である変調率PMFに加えてインバータ出力周波数に関連する量であるインバータ出力周波数FINVそれ自身を参照し、出力トルクT*の変化に対して、変調率PMFおよびインバータ出力周波数FINVに基づいてパルスモードの切替を行う構成とした。なお、インバータ出力電圧振幅に関連する量およびインバータ出力周波数に関連する量の選択については、本実施の形態の選択例に限定されず、それぞれインバータ出力電圧振幅およびインバータ出力周波数の関数であれば任意に選択することができる。
図4は本実施の形態におけるパルスモード切替動作を説明する図である。図4では、トルク指令T*をパラメータとして、インバータ出力周波数FINVと変調率PMFとの関係に対して選択されるパルスモードを示している。また、図4では、変調率PMFについての第一の設定値、第3の設定値に加えて、インバータ出力周波数FINVについての第二の設定値が示されている。
前述の説明例のように、最大トルクを出力する1パルスモードで運転している状態から、電気車の加速を中止し、速度を一定に維持する等のために、トルク指令T*を最小値に減少させる操作がなされた場合を考える。この場合、図4に示すように、地点Aにおいて変調率PMFの他にインバータ出力周波数FINVを参照し、変調率PMFが第一の設定値未満となっても、インバータ出力周波数FINVが第二の設定値以上である場合には、非同期パルスモードを選択せず、同期パルスモードのまま維持する構成としている。つまり、同期パルスモードから非同期パルスモードへの切替は、変調率PMFが第一の設定値未満となり、かつ、インバータ出力周波数FINVが第二の設定値未満となった場合になされる。逆に、変調率PMFがゼロから増加してゆく場合においては、変調率PMFが第一の設定値未満の場合でも、インバータ出力周波数FINVが第二の設定値以上である場合には、非同期パルスモードから同期パルスモードに切り替える。つまり、非同期パルスモードから同期パルスモードへの切替は、変調率PMFが第一の設定値以上となるか、またはインバータ出力周波数FINVが第二の設定値以上となる場合になされる。
なお、第二の設定値を決定するに当たっては、インバータ出力電圧の半周期中に含まれるパルス数を所定値以上確保することが好ましい。また、前記所定値は8以上であることが好ましいことをシミュレーション等により確認した。補足すれば、インバータ出力電圧の半周期中に含まれるパルス数が8程度あれば、キャリア周波数をインバータ出力周波数で割りきれない場合が発生してもインバータ出力電圧の正の半周期と負の半周期にそれぞれ含まれるパルス数やパルス位置のアンバランス度合いが軽減され、電動機に印加される電圧の正負対称性は実用上問題のない程度に確保できる。もちろん、パルス数は多いほど好ましい。
また、同期パルスモードから1パルスモードへの切替は、変調率PMFが第三の設定値以上になった時点で実施する。また1パルスモードから同期パルスモードへの切替は変調率PMFが第三の設定値未満になった時点で実施する。
以上、本実施の形態における同期パルスモードと非同期パルスモード間を遷移する場合の動作をまとめると以下のとおりである。
非同期パルスモードから同期パルスモードへの切替は、インバータ出力電圧振幅に関連する量である変調率PMFが第一の設定値以上となるか、またはインバータ出力周波数に関連する量であるインバータ出力周波数FINVが第二の設定値以上となることを条件に実施する。また、同期パルスモードから非同期パルスモードへの切替は、インバータ出力電圧振幅に関連する量である変調率PMFが第一の設定値未満となり、且つインバータ出力周波数に関連する量であるインバータ出力周波数FINVが第二の設定値未満となることを条件に実施する。なお、第二の設定値は、インバータ出力電圧基本波半周期中に含まれるパルス数を所定の値以上に確保する観点から決定する。即ち、適用可能な非同期キャリア信号の周波数と、電動機に印加される電圧の正負対称性を実用上問題のない程度に確保するために必要なパルス数とから決定する。
本実施の形態によれば、第二の設定値をインバータ出力電圧半周期中に含まれるパルス数を例えば8確保するように設定した場合、インバータ出力周波数が非同期キャリア信号の周波数1000Hzの1/8以下、即ち125Hz以下になるまではパルスモードは同期パルスモードで維持される。従って、インバータ出力電圧を構成するパルス数とその位置がインバータ出力電圧の正側半周期と負側半周期で同じにできるので、電動機に印加される電圧の正負対称性が確保でき、電動機に電流振動やトルク脈動が発生し騒音や振動を発することのない電動機の制御装置を得ることができる。
実施の形態2.
実施の形態1と同様の効果を実現できる別の方法として、例えばインバータ出力周波数FINVと非同期キャリア信号の周波数との比、即ちインバータ出力電圧基本波の半周期中に含まれるパルス数に基づく量であるパルス数指標を演算し、このパルス数指標が第四の設定値より大きい場合に、非同期パルスモードを選択可能とする構成としても良い。パルス数指標は例えば前記パルス数それ自身とすることができる。
図5は本実施の形態におけるパルスモード切替動作を説明する図である。図5では、トルク指令T*をパラメータとして、インバータ出力周波数FINVと変調率PMFとの関係に対して選択されるパルスモードを示している。
変調率PMFが1.0から減少して行く場合においては、変調率PMFが第一の設定値未満の場合でも、パルス数指標が第四の設定値より小さい場合には、非同期パルスモードには切り替えず、同期パルスモードのまま維持する構成とする。つまり、同期パルスモードから非同期パルスモードへの切り替えは、変調率PMFが第一の設定値未満であり、且つパルス数指標が第四の設定値以上である場合に行う。
逆に、変調率PMFがゼロから増加して行く場合においては、変調率PMFが第一の設定値未満の場合でも、パルス数指標が第四の設定値より小さい場合には、非同期パルスモードから同期パルスモードに切り替える。つまり、非同期パルスモードから同期パルスモードへの切り替えは、変調率PMFが第一の設定値以上であるか、またはパルス数指標が第四の設定値未満である場合に行う。
なお、第四の設定値は、実施の形態1にて説明したように、適用可能な非同期キャリア信号の周波数と、電動機に印加される電圧の正負対称性を実用上問題のない程度に確保するために必要なパルス数とから決定する。第四の設定値としては8以上とするのが好ましい。
本実施の形態によれば、第四の設定値をインバータ出力電圧半周期中に含まれるパルス数を例えば8以上確保するように設定した場合、インバータ出力周波数が非同期キャリア信号の周波数1000Hzの1/8以下、即ち125Hz以下になるまではパルスモードは同期パルスモードで維持される。従って、インバータ出力電圧を構成するパルス数とその位置がインバータ出力電圧の正側半周期と負側半周期で同じにできるので、電動機に印加される電圧の正負対称性が確保でき、電動機に電流振動やトルク脈動が発生し騒音や振動を発することのない電動機の制御装置を得ることができる。なお、本実施の形態のその他の構成、動作、および効果は、実施の形態1と同様である。
実施の形態3.
図6は本実施の形態におけるパルスモード切替動作を説明する図である。図6に示すように、変調率PMFは出力トルクに応じて変動する量であることから、トルク指令T*に応じて第一の設定値を可変とする方法で構成が可能である。図6に示すように、トルク指令T*が大きいときは第一の設定値を大きくし、トルク指令T*が小さいときは第一の設定値を小さくする。そして、非同期パルスモードから同期パルスモードへの切替は、インバータ出力電圧振幅に関連する量である変調率PMFがトルク指令T*に応じて設定された第一の設定値以上となる場合に行う。また、同期パルスモードから非同期パルスモードへの切替は、インバータ出力電圧振幅に関連する量である変調率PMFがトルク指令T*に応じて設定された第一の設定値未満となる場合に行う。
この方法によれば、第二の設定値を設ける必要がない他、電動機のロータ機械角θmを含み電動機の回転状態に応じて急激な時間変化を生じうる量であるインバータ出力周波数FINVを直接参照せず、フィードフォワード的に生成されたトルク指令T*を参照する構成であるので、例えば電気車で一般に発生しうる車輪の空転滑走時等にそれに同期して電動機の回転速度が変化し、これに伴いインバータ出力周波数FINVが第二の設定値を挟んで振動的に変動した場合において、パルスモードが非同期パルスモードと同期パルスモードとの間をチャタリングすることを回避できる。
なお、当然ながら、可変とする第一の設定値を決定するに当たっては、実施の形態1で示した内容に従い、インバータ出力電圧半周期中に含まれるパルス数を所定値以上(例えば8以上)確保することが好ましい。
本実施の形態によれば、電動機に印加される電圧の正負対称性が確保でき、電動機に電流振動やトルク脈動が発生し騒音や振動を発することのない電動機の制御装置を得ることができる。また、インバータ出力周波数FINVが第二の設定値の前後近傍で変動した場合に、パルスモードが非同期パルスモードと同期パルスモードとの間をチャタリングすることを回避できる。なお、本実施の形態のその他の構成、動作、および効果は、実施の形態1と同様である。
以上、実施の形態1〜3では、パルスモードの切り替えをインバータの出力状態に関連する2つの量に基づいて行っている。即ち、実施の形態1では変調率PMFおよびインバータ出力周波数FINVに基づき、実施の形態2では変調率PMFおよびパルス数指標に基づき、実施の形態3では変調率PMFおよびトルク指令T*に基づいている。これに対して、図7に示すような従来の制御方法では、変調率PMFのみに基づいてパルスモードの切り替えを行っており、このような従来の制御方法をトルク指令T*の大きさに応じて変調率PMFが大きく変化する電動機に適用した場合には、電流振動やトルク脈動が発生するという問題点があった。実施の形態1〜3では、変調率の他にインバータの出力状態に関連する量を利用することで、トルク指令T*の大きさに応じた変調率PMFの変化に対処することが可能となる。また、インバータの出力状態に関連する2つの量を利用することで、インバータ出力電圧基本波の周期中に含まれるパルス数を参照することが可能となり、同期パルスモードと非同期パルスモードとの切り替えの設定値を前記パルス数に基づいて適切に設定することで、電動機に印加される電圧の正負対称性に十分留意した制御を行うことができる。
実施の形態4.
次に、電気車が走行中に力行動作または回生動作を中止するためにインバータ2をオフする場合の動作を説明する。
インバータ2が1パルスモードで動作している状態で、電気車の力行動作または回生動作をオフするオフ指令(図示せず)が外部の制御装置(図示せず)より電動機の制御装置100に入力された場合を考える。このとき同時に、外部の制御装置はトルク指令T*をゼロに向かって徐々に減少させる。トルク指令T*は最大値からゼロまで約1秒間で減少する。このとき、電動機の制御装置100では以下に示す制御ステップを実行する。
トルク指令T*の減少により変調率PMFが1.0未満になった時点でパルスモード切替処理部60は、パルスモードを1パルスモードから同期パルスモードへ切り替える。以後、変調率PMFが第一の設定値未満となっても非同期パルスモードへは切り替えず、同期パルスモードのまま変調率PMFを絞ってゆき、十分にトルク指令T*が減少した後、インバータ2へのゲート信号U,V,W,X,Y,Zを全てオフする。
この他のケースとして、インバータ2が同期パルスモードで動作している状態で、電気車の力行動作または回生動作をオフするオフ指令(図示せず)が外部の制御装置より電動機の制御装置100に入力された場合を考える。このとき同時に、外部の制御装置はトルク指令T*がゼロに向かって徐々に減少させる。トルク指令T*は最大値からゼロまで約1秒間で減少する。このとき、電動機の制御装置100では以下に示す制御ステップを実行する。
トルク指令T*の減少により、変調率PMFが第一の設定値未満となっても、パルスモード切替処理部60は非同期パルスモードへは切り替えず、同期パルスモードのまま変調率PMFを絞ってゆき、十分にトルク指令T*が減少した後、インバータ2へのゲート信号U,V,W,X,Y,Zを全てオフする。
以上に説明した通り、本実施の形態によれば、インバータ2が1パルスモードまたは同期パルスモードで運転している状態で電気車の力行動作または回生動作を中止するためにインバータ2を停止させる場合において、パルスモード切替処理部60はパルスモードを同期パルスモードのままで維持し、非同期パルスモードを選択しない構成とすることで、インバータ出力周波数が高い領域からインバータ2をオフされた場合においても、インバータ出力電圧を構成するパルス数とその位置がインバータ出力電圧の正側半周期と負側半周期で同じにできるので、電動機に印加される電圧の正負対称性が確保でき、電動機に電流振動やトルク脈動を発生させることなく、インバータ2を確実に安定に停止できる電動機の制御装置を得ることができる。また、非同期パルスモードを選択しない構成としたことで、トルク指令T*がゼロまで減少する短時間(1秒程度)に複数回のパルスモード切替が行われないので、切替タイミングの遅れ等に起因する制御不安定化を回避することができる。
実施の形態5.
次に、インバータ出力周波数に関連する量であるインバータ出力周波数FINVが第二の設定値以上で電気車が惰行している場合に、電気車の力行動作または回生動作を開始するためにインバータ2を起動する場合の動作を説明する。
インバータ2が停止している状態で、電気車の力行動作または回生動作を開始する起動指令(図示せず)が外部の制御装置(図示せず)より電動機の制御装置100に入力された場合を考える。このとき同時に、外部の制御装置はトルク指令T*を所定の値まで徐々に立ち上げる。トルク指令T*はゼロから所定値まで約1秒間で立ち上げる。このとき、電動機の制御装置100では以下に示す制御ステップを実行する。
起動指令により、インバータ2のゲート信号U,V,W,X,Y,Zのスイッチングを開始するが、変調率PMFが第一の設定値未満であってもこれに関係なく、パルスモード切替処理部60は、パルスモードの初期設定を同期パルスモードとしてスタートする。以後、変調率PMFが増加して1.0以上になった段階でパルスモードを1パルスモードへ切り替える。あるいは変調率PMFが減少して第一の設定値未満となり、且つインバータ出力周波数FINVが第二の設定値未満となった段階でパルスモードを非同期パルスモードに切り替える。
以上に説明した通り、本実施の形態によれば、インバータ出力周波数に関連する量であるインバータ出力周波数FINVが第二の設定値以上で電気車が惰行している状態から、インバータ2を起動させる場合において、パルスモード切替処理部60はパルスモードの初期設定を同期パルスモードとしてスタートし、非同期パルスモードを選択しない構成とすることで、インバータ出力周波数が高い領域からインバータ2を起動された場合においても、起動直後からインバータ出力電圧を構成するパルス数とその位置がインバータ出力電圧の正側半周期と負側半周期で同じにできるので、電動機に印加される電圧の正負対称性が確保でき、電動機に電流振動やトルク脈動を発生させることなく、インバータ2を確実に安定に起動できる電動機の制御装置を得ることができる。
なお、上記実施の形態1〜5では、電気車が力行中を例として説明を実施した部分があるが、回生ブレーキを掛けて減速する場合についても、同様の考え方で構成できる。
また、永久磁石同期電動機を制御する電動機の制御装置を一例として説明したが、その他の種類の電動機を駆動制御する電動機の制御装置に適用することもできる。また、三相交流の場合について説明したが、これ以外の場合にも適用することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは言うまでもない。
さらに、本明細書では、電気車の駆動用の電動機の制御装置への適用を考慮して発明内容の説明を実施しているが、適用分野はこれに限られるものではなく、電気自動車、エレベータ等、種々の関連分野への応用が可能であることも言うまでもない。
以上のように、本発明にかかる電動機の制御装置は、永久磁石同期電動機を制御する電動機の制御装置に有用である。
本発明は、電気車駆動用の交流電動機、特に永久磁石同期電動機の制御に好適な電動機の制御装置に関する。
近年、産業機器や家電分野、自動車分野等の交流電動機応用分野において、誘導電動機をインバータで駆動制御する従来からの方式に代わって、永久磁石同期電動機をインバータで駆動制御する方式の事例が増えてきている。
永久磁石同期電動機は、誘導電動機と比較して、永久磁石による磁束が確立しているので励磁電流が不要であることや、回転子に電流が流れないため二次銅損が発生しないこと、永久磁石による磁束により発生するトルクの他に、回転子の磁気抵抗の違いを利用したリラクタンストルクを利用することで効果的にトルクを得られること、などから高効率な電動機として知られており、近年、電気車駆動用の電力変換装置への適用も検討されている。
特開平7−227085号公報
永久磁石同期電動機を駆動制御する電動機の制御装置を構成する上での課題の一つとなるのが、永久磁石同期電動機を最適制御する上で生じる電動機端子間電圧の変化への対処である。永久磁石同期電動機の最適制御としては、ある電流で最大のトルクを発生させる最大トルク/電流制御や、電動機の効率を最大に維持する最大効率制御等が挙げられる。これらの最適制御方法は、電動機に印加する電流振幅と位相を、演算式やあらかじめテーブルに記憶させた最適値になるように調整する制御方法であり、その内容は種々の文献に開示されているので、ここでは詳細な説明を省略する。ところで、上記最適制御を実施する場合、電動機の回転速度および出力トルクの大きさに応じてトルク分電流(q軸電流)、磁束分電流(d軸電流)を共に最適値に調整するため、電動機の回転速度および出力トルクの大きさに応じて電動機の最適な鎖交磁束が変化し、電動機端子間電圧(=インバータ出力電圧)が大きく変化する。
これに対して、従来の誘導電動機を駆動制御する電動機の制御装置では、電動機を起動した後、基底速度に達するまでは電動機の二次磁束を一定として定トルク運転を行い、基底速度以上では、インバータ出力電圧を最大値に固定してインバータ出力周波数の増加にほぼ反比例して二次磁束を減少させることで定電力運転を行うのが一般的である。このため、基底速度以上では、インバータは最大出力電圧が得られる所謂1パルスモードで運転される。これは、電気車以外の電気自動車等の動力用途、また一般産業用途でも同じである。つまり、二次磁束は、定電力運転域においてインバータ出力周波数に反比例させて変化させるのみであり、出力トルクの大きさに応じて変化させることはない。出力トルクに応じて二次磁束を調整することは可能であるが、以下に述べるように、出力トルクの過渡特性が悪化するので一般に用いられない。
誘導電動機はその原理上、外部より制御可能なステータ側の電流(一次電流)とすべり周波数を所望に制御することで、ロータ側に電流を誘起させ、二次磁束を発生させるものである。この点は、ロータに永久磁石を埋め込み、磁束が元々確立している永久磁石同期電動機とは大きく異なる。誘導電動機の場合、一次電流と二次磁束との関係は、二次抵抗と二次インダクタンスとからなる二次時定数を有した一次遅れの関係となるために、出力トルクの大きさに応じて二次磁束を変化させるべく一次電流を変化させても、二次磁束が所望の値に安定するまでに二次時定数分の時間(電気車の誘導電動機の場合、一般的に、おおよそ500ms前後)が必要となり、この間、出力トルクが安定しない。このため、トルクのオーバーシュートが発生したり、トルクが振動気味になったりし、トルクの過渡応答の劣化が発生する。従って、誘導電動機において、出力トルクに応じて二次磁束を調整することは一般に用いられない。
つまり、従来の誘導電動機を駆動制御する電動機の制御装置では、電動機の回転速度と電動機の二次磁束の値との関係は一義的に定まるため、電動機の回転速度とインバータ出力電圧の大きさとの関係も一義的に定まる。また、基底速度以上では、インバータが最大電圧を出力するように二次磁束を減少させてゆくので、出力トルクの大きさにかかわらずインバータ出力電圧は最大値で固定される(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、永久磁石同期電動機を駆動制御する電動機の制御装置の場合、電動機の回転速度とインバータ出力電圧の大きさとの関係は、出力トルクに応じて変化するため、電動機の制御装置の構成に際してはこの点に配慮が必要である。
また、上記とは別の課題として、電動機駆動用のインバータに用いられるスイッチング素子のスイッチング周波数と電動機の極数との関係が挙げられる。一般に電気車用のインバータの入力となる直流電源の電圧は1500V〜3000V程度と高電圧であり、3300V〜6500V程度の耐圧を有する高耐圧のスイッチング素子を使用することとなる。しかしながら、高耐圧のスイッチング素子は、スイッチング損失、導通損失ともに大きく、冷却器や冷却ファン等のスイッチング素子の冷却装置が過剰とならないように配慮すると、許容可能なスイッチング周波数は最大で1000Hz程度となり、例えば家電製品や産業用インバータ、電気自動車用のスイッチング周波数と比較して1/10〜1/20程度の低い値である。
一方、インバータが駆動する永久磁石同期電動機の極数は、電動機の小型化、軽量化の観点から6極や8極が適当であり、従来の誘導電動機のほとんどが4極であったことを考慮すると、極数が1.5〜2倍に増加する。
電動機の極数が増加すると、電気車の同一の速度におけるインバータ出力周波数は、極数増加に比例して増加する。従来の4極の誘導電動機から例えば8極の永久磁石同期電動機に変更した場合、一般的な電気車への応用におけるインバータ出力周波数の最大値(電気車の設計最高速度におけるインバータ出力周波数)は、従来の誘導電動機を使用した場合の150Hz程度から、300Hz程度まで倍増する。しかしながら上述したとおり、スイッチング周波数の許容最大値は1000Hz程度でありこれ以上増加できないため、例えばインバータ出力周波数が最大値の300Hz付近にある場合に、インバータ出力電圧の大きさを調整(インバータ出力電圧を最大電圧以外の値に調整)する場合を想定すると、スイッチング周波数は最大でも1000Hz程度であるから、インバータ出力電圧の半周期中に含まれるパルス数は、キャリア周波数(=スイッチング周波数)をインバータ出力周波数で割った3前後となり、非常に少なくなる。このような状態で電動機を駆動すると、キャリア周波数をインバータ出力周波数で割りきれない場合が発生するので、インバータ出力電圧の正の半周期と負の半周期にそれぞれ含まれるパルス数やパルス位置がアンバランスとなり、電動機に印加される電圧の正負対称性が崩れ、電動機に電流振動やトルク脈動が発生し騒音や振動の原因となる。
なお、従来の誘導電動機を駆動制御する電動機の制御装置では、上述のとおり、基底速度以上では出力トルクの大きさに拠らず常時インバータ出力電圧を最大値に固定する1パルスモードでの動作となるので、インバータ出力電圧の大きさを調整する必要はなく、インバータ出力電圧の半周期中に含まれるパルス数は常に1であり時間的に変化なく一定であることから、インバータ出力電圧の正の半周期と負の半周期とでパルス数とパルス位置が同一となり、電動機に印加される電圧の正負対称性が確保できるので、電動機に電流振動やトルク脈動が発生する懸念がない。
つまり、永久磁石同期電動機を駆動制御する電気車用の電動機の制御装置は、特にインバータ出力周波数が高い領域において電動機に印加される電圧の正負対称性に十分留意した制御を行う必要がある。
以上まとめると、永久磁石同期電動機を駆動制御する電気車用の電動機の制御装置は、電動機の出力トルクおよび回転速度による電動機端子間電圧の大きさの変化と、電動機に印加される電圧の正負対称性に十分留意した制御を行う必要がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、特に永久磁石同期電動機を駆動制御する電動機の制御装置において、電動機の出力トルクおよび回転速度によるインバータ出力電圧の大きさの変化、および電動機に印加される電圧の正負対称性に十分留意した制御を行うことができ、電動機に電流振動およびトルク脈動が発生することを回避し、従ってそれらに起因する騒音および振動の発生を回避し、電動機を安定に駆動制御することが可能な電動機の制御装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電動機の制御装置は、直流電源に接続され交流電動機へ任意周波数および任意電圧の交流電流を出力可能なインバータに対して、前記インバータを構成するスイッチング素子にパルス幅変調信号を出力して前記交流電動機を制御する電動機の制御装置において、前記パルス幅変調信号の出力パターンとして同期パルスモード、非同期パルスモード、および1パルスモードを含む複数のパルスモードを選択的に切り替え可能なパルスモード制御部を有し、前記パルスモード制御部は、インバータ出力電圧振幅に関連する量と、インバータ出力周波数に関連する量とに基づき、前記同期パルスモードと前記非同期パルスモードとの切り替えを行い、前記非同期パルスモードから前記同期パルスモードへの切り替えは、前記インバータ出力電圧振幅に関連する量が第一の設定値以上となるか、または前記インバータ出力周波数に関連する量が第二の設定値以上となる場合に行われ、前記同期パルスモードから前記非同期パルスモードへの切り替えは、前記インバータ出力電圧振幅に関連する量が前記第一の設定値未満となり、且つ前記インバータ出力周波数に関連する量が前記第二の設定値未満となる場合に行われ、前記第二の設定値は、前記インバータ出力電圧基本波の半周期中に含まれるパルス数が8パルス以上となるように設定されることを特徴とする。
本発明によれば、電動機の制御装置における同期パルスモードと非同期パルスモードとの切り替えにおいて、インバータ出力電圧基本波の周期中に含まれるパルス数を参照可能にする量を含むインバータの出力状態に関連する複数の量に基づいてパルスモードの切り替えを行うようにしたので、例えば永久磁石同期電動機のように電動機の出力トルクおよび回転速度によりインバータ出力電圧の大きさが変化する場合に、従来の制御方法では非同期パルスモードの選択に起因して電動機に印加される電圧の正負対称性が確保できない状況に対しても、同期パルスモードを選択可能とすることで電圧の正負対称性が確保することが可能となる。そのため、電動機に電流振動およびトルク脈動が発生することを回避し、従ってそれらに起因する騒音および振動の発生を回避し、電動機を安定に駆動制御することができる、という効果を奏する。
以下に、本発明に係る電動機の制御装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る電動機の制御装置の構成例を示す図である。図1に示すように、主回路は直流電源となるコンデンサ1、コンデンサ1の直流電圧から任意の周波数、任意電圧の交流電圧に変換し三相交流を出力するインバータ2、および永久磁石同期電動機(以下、単に電動機という。)6を備えて構成されている。
主回路上にはコンデンサ1の電圧を検出する電圧検出器8、インバータ2の出力線の電流iu,iv,iwを検出する電流検出器3,4,5が配置され、電動機6には、ロータ機械角θmを検出するレゾルバ7が配置されており、それぞれの検出信号は電動機の制御装置100に入力されている。
なお、レゾルバ7の代わりにエンコーダを使用しても良いし、レゾルバ7から得られる位置信号の代わりに、検出した電圧、電流等から位置信号を演算して求める位置センサレス方式を使用してもよく、この場合、レゾルバ7は不要となる。つまり、位置信号の取得はレゾルバ7を使用することに限定されない。また、電流検出器3,4,5に関して、最低2相に電流検出器を設置してあれば残りの1相の電流は演算して求めることが可能であるのでそのように構成しても良いし、インバータ2の直流側電流からインバータ2の出力電流を再現して取得する構成でもよい。
インバータ2には電動機の制御装置100により生成されるゲート信号U,V,W,X,Y,Zが入力され、インバータ2に内蔵されるスイッチング素子がPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御される。インバータ2は電圧型PWMインバータが好適であり、その構成は公知であるので詳細な説明は省略する。
電動機の制御装置100には、図示しない外部の制御装置から、トルク指令T*が入力される構成となっており、電動機の制御装置100は、トルク指令T*に電動機6の発生トルクTが一致するようにインバータ2を制御する構成としている。
次に、電動機の制御装置100の構成を説明する。電動機の制御装置100は、ロータ機械角θmから基準位相角θeを算出する基準位相角演算部95、電流検出器3,4,5から検出された三相電流iu、iv、iwと基準位相角θeとからd軸電流id、q軸電流iqを生成する三相−dq軸座標変換部90、基準位相角θeからインバータ出力角周波数ωを算出するインバータ角周波数演算部70、外部より入力されたトルク指令T*とインバータ角周波数ωとからd軸電流指令id*、q軸電流指令iq*を生成する電流指令生成部10、d軸電流指令id*とd軸電流の差を比例積分制御し、d軸電流誤差pdeを生成するd軸電流制御部20、q軸電流指令iq*とq軸電流の差を比例積分制御し、q軸電流誤差pqeを生成するq軸電流制御部23、d軸電流指令id*とインバータ角周波数ωとからq軸フィードフォワード電圧vqFFを演算するq軸非干渉演算部21、q軸電流指令iq*とインバータ出力角周波数ωとからd軸フィードフォワード電圧vdFFを演算するd軸非干渉演算部22、d軸電流誤差pdeとd軸フィードフォワード電圧vdFFとの和であるd軸電圧指令vd*と、q軸電流誤差pqeとq軸フィードフォワード電圧vqFFとの和であるq軸電圧指令vq*と、基準位相角θeと、コンデンサ1の電圧EFCとから変調率PMFを演算する変調率演算部30、d軸電流誤差pdeとd軸フィードフォワード電圧vdFFとの和であるd軸電圧指令vd*と、q軸電流誤差pqeとq軸フィードフォワード電圧vqFFとの和であるq軸電圧指令vq*と、基準位相角θeとから、制御位相角θを演算する制御位相角演算部40、および変調率PMFと制御位相角θとからインバータ2へのゲート信号U,V,W,X,Y,Zを生成する電圧指令/PWM信号生成部50、とを備えて構成されている。
次に、以上に説明した各制御ブロックの詳細構成およびその動作を説明する。まず、基準位相角演算部95では、以下の式(1)に基づいて、ロータ機械角θmから電気角である基準位相角θeを算出する。

θe=θm・PP ・・・(1)

ここで、PPは電動機6の極対数である。
三相−dq軸座標変換部90では、以下の式(2)に基づいて、三相電流iu、iv、iwと基準位相角θeとからd軸電流id、q軸電流iqを生成する。
Figure 2009040884
インバータ角周波数演算部70では、以下の式(3)に基づき基準位相角θeを微分することでインバータ出力角周波数ωを算出する。

ω=dθe/dt ・・・(3)

また、インバータ出力角周波数ωを2πで割ることによりインバータ出力周波数FINVを演算する。
次に、電流指令生成部10の構成および動作を説明する。電流指令生成部10では、外部より入力されたトルク指令T*とインバータ出力角周波数ωとからd軸電流指令id*、q軸電流指令iq*を生成する。生成方法としては、ある電流で最大のトルクを発生させる最大トルク/電流制御や、電動機の効率を最大に維持する最大効率制御等の最適制御方法が挙げられる。これらの最適制御方法は、電動機の回転速度と出力トルクの大きさ等をパラメータとして、演算式やあらかじめテーブルに記憶させた最適なトルク分電流指令(q軸電流指令iq*)、磁束分電流指令(d軸電流指令id*)に実電流が一致するように調整を行う方式である。なお、その内容は公知であり、種々の文献に開示されているので詳細な説明は省略する。
次に、d軸電流制御部20、q軸電流制御部23により、それぞれ以下の式(4)、(5)に基づいて、d軸電流指令id*とd軸電流の差を比例積分増幅したd軸電流誤差pdeと、q軸電流指令iq*とq軸電流の差を比例積分増幅したq軸電流誤差pqeとを生成する。

pde=(K3+K4/s)・(id*−id) ・・・(4)
pqe=(K1+K2/s)・(iq*−iq) ・・・(5)

ここで、K1、K3は比例ゲイン、K2、K4は積分ゲイン、sは微分演算子である。
なお、pqe、pdeは特に1パルスモードでの運転の場合等において、必要に応じてゼロとするなどして制御に使用しないようにしても良い。
また、d軸非干渉演算部22、q軸非干渉演算部21は、それぞれ以下の式(6)、(7)に基づいて、d軸フィードフォワード電圧vdFF、q軸フィードフォワード電圧vqFFを演算する。

vdFF=(R1+s・Ld)・id*−ω・Lq・iq* ・・・(6)
vqFF=(R1+s・Lq)・iq*+ω・(Ld・id*+φa) ・・・(7)

ここで、R1は電動機6の一次巻線抵抗(Ω)、Ldはd軸インダクタンス(H)、Lqはq軸インダクタンス(H)、φaは永久磁石磁束(Wb)である。
また、変調率演算部30では、d軸電流誤差pdeとd軸フィードフォワード電圧vdFFとの和であるd軸電圧指令vd*と、q軸電流誤差pqeとq軸フィードフォワード電圧vqFFとの和であるq軸電圧指令vq*と、基準位相角θeと、コンデンサ1の電圧EFCとから、次式(8)に基づいて変調率PMFを演算する。

PMF=VM*/VMmax ・・・(8)

ただし、

VMmax=(√6/π)・EFC ・・・(9)
VM*=sqrt(vd*+vq*) ・・・(10)

である。
なお、変調率PMFは、インバータ出力電圧指令ベクトルの大きさVM*を、インバータが出力可能な最大電圧VMmax(式(9)で定義)に対する割合で示したものであり、PMF=1.0の場合は、インバータ出力電圧指令ベクトルの大きさVM*は、インバータが出力可能な最大電圧VMmaxと等しくなることを示している。また、式(2)〜(10)から分かる通り、電流指令生成部10により生成されるd軸電流指令id*、q軸電流指令iq*により、変調率PMFが変化することが分かる。
制御位相角演算部40では、d軸電流誤差pdeとd軸フィードフォワード電圧vdFFとの和であるd軸電圧指令vd*と、q軸電流誤差pqeとq軸フィードフォワード電圧vqFFとの和であるq軸電圧指令vq*と、基準位相角θeとから、次式(11)に基づいて制御位相角θを演算する。

θ=θe+π+THV ・・・(11)

ここで、

THV=tan−1(vd*/vq*) ・・・(12)
次に、電圧指令/PWM信号生成部50の構成を説明する。図2は、本実施の形態における電圧指令/PWM信号生成部50の構成例を示す図である。図2に示すように、電圧指令/PWM信号生成部50は、掛算器53、調整ゲインテーブル54、電圧指令演算部55、非同期キャリア信号生成部57、同期3パルスキャリア生成部58、スイッチ59、比較器61〜63、および反転回路64〜66を備えて構成されている。
電圧指令演算部55では、変調率PMFと制御位相角θとから、以下の式(13)〜(15)に基づいて、三相電圧指令であるU相電圧指令Vu*、V相電圧指令Vv*、W相電圧指令Vw*を生成する。

Vu*=PMFM・sinθ ・・・(13)
Vv*=PMFM・sin(θ−(2・π/3)) ・・・(14)
Vw*=PMFM・sin(θ−(4・π/3)) ・・・(15)

ここで、PMFMは、後述のように、変調率PMFに調整ゲインテーブル54の出力を掛けた電圧指令振幅である。
また後述のとおり、上記の各電圧指令と比較するキャリア信号CARは、少なくとも同期キャリア信号、および非同期キャリア信号を有し、パルスモード制御部であるパルスモード切替処理部60で選択されたパルスモードに応じてキャリア信号CARの選択が可能な構成としている。なお、同期キャリア信号は、インバータ出力電圧を構成するパルス数とその位置がインバータ出力電圧の正側半周期と負側半周期とで同じになるよう、キャリア信号CARの周波数をインバータ出力周波数FINVの関数として決定したものである。また、非同期キャリア信号は、同期キャリア信号ではない信号であって、インバータ出力周波数FINVに関連なく決められた周波数のキャリア信号であり、ここでは例えば電気車用のスイッチング素子の限界スイッチング周波数である1000Hzの周波数のキャリア信号である。また、本実施の形態においては、同期キャリア信号として、インバータ出力電圧の半周期に3つの電圧パルスが含まれるような同期3パルスキャリア信号を一例として説明するが、これに限定ざれず、これ以外の例えば同期5パルスキャリア信号等を使用してもよいし、複数の同期キャリア信号を準備しておき必要に応じて切り替えるように構成してもよい。
上述のように、式(13)〜(15)中の係数PMFMは、変調率PMFに掛算器53にて調整ゲインテーブル54の出力を掛けた電圧指令振幅である。調整ゲインテーブル54は、非同期パルスモードおよび同期3パルスモードに対して、変調率PMFに対するインバータ出力電圧VMの関係が異なるのを補正するためのものであり、概略は以下の通りである。
非同期パルスモードでは、インバータが歪なく出力可能な最大電圧(実効値)は0.612・EFCとなるが、同期3パルスモードでは、0.7797・EFCとなる。即ち、非同期パルスモードでは、同期3パルスモードと比較して、変調率PMFに対するインバータ出力電圧は1/1.274となる。この両者の差を打ち消すために、非同期パルスモードでは、変調率PMFを1.274倍し、電圧指令振幅PMFMとして上述した電圧指令演算部55に入力している。一方、同期パルスモードでは、変調率PMFを1.0倍し、電圧指令振幅PMFMとして上述した電圧指令演算部55に入力している。
次いで、電圧指令演算部55から出力されるU相電圧指令Vu*、V相電圧指令Vv*、W相電圧指令Vw*は、それぞれ比較器61〜63にてキャリア信号CARと大小比較され、それらの比較結果としてのゲート信号U、V、Wと、それらをさらに反転回路64〜66を介して得られるゲート信号X,Y,Zとが生成される。キャリア信号CARは、パルスモード切替処理部60により、非同期キャリア信号生成部57にて生成される非同期キャリア信号A(ここでは、一般には最大1000Hz前後の周波数のキャリア信号)、同期3パルスキャリア信号生成部58にて生成される同期3パルスキャリア信号B、および1パルスモードに対して選択されるゼロ値Cが、スイッチ59により選択された信号である。なお、非同期キャリア信号A、同期3パルスキャリア信号Bは、ゼロを中心として−1〜1までの値をとる。
ここで、パルスモード切替処理部60の動作を説明する。まず、従来例として、誘導電動機を駆動制御する電動機の制御装置に適用されている方式を説明する。図7は従来方式におけるパルスモード切替動作を説明する図である。図7に示すように、変調率PMFに応じて、非同期パルスモード、同期パルスモード(例えば、同期3パルスモード)、および1パルスモードを切り替える構成としている。詳細には、変調率PMFが低い領域(変調率PMFが第一の設定値以下)では非同期キャリアA側、変調率PMFが第一の設定値以上、かつ第三の設定値未満では同期3パルスキャリアB側、変調率PMFが第三の設定値に達するとゼロ値C側にスイッチ59を切り替える構成としている。なお、以下では、一例として、第一の設定値として0.785(=1/1.274)、第三の設定値として1.0を設定したものとして説明する。
ここで、同期3パルスモードは、非同期パルスモードでは出力することが不可能な、変調率PMFが0.785以上の電圧を出力させることが可能である。
なお、非同期パルスモード、同期5パルスモード、同期9パルスモード等において過変調とする方法を使用する構成としても、同期3パルスモードに相当する電圧を出力できる。ただし、変調率PMFとインバータ2の出力電圧との関係が非線形となり、これを補正する必要が生じ構成が複雑化する。
しかしながら、永久磁石同期電動機を駆動制御する電動機の制御装置に対して前述の従来方式を適用する場合、以下のような問題が発生する。
図3は永久磁石同期電動機を駆動制御する電動機の制御装置に従来方式におけるパルスモード切替方式を適用した場合の動作を説明する図である。図3では、トルク指令T*をパラメータとして、インバータ出力周波数FINVと変調率PMFとの関係に対して選択されるパルスモードを示している。図3に示すように、トルク指令T*の大きさに応じて、変調率PMFとインバータ出力周波数FINVとの関係が大きく変化する。図3において、例えば電気車が最高速度付近で最大トルクで力行加速している場合(図3の地点A)に着目する。この場合、トルク指令T*として最大値が入力されており、インバータは最大出力電圧を出力する1パルスモードで運転している。ここで、電気車の加速を中止し、速度を一定に維持する等のために、トルク指令T*を最小値に減少させる操作がなされた場合を考える。この場合、電流指令生成部10において演算されたd軸電流指令id*とq軸電流指令iq*をもとに算出された変調率PMFは、図3に示すとおり最大値である第三の設定値1.0から大きく低下することになる。
そして、変調率PMFが第一の設定値である0.785以下に低下したとすると、従来の方式では非同期パルスモードが選択されることになるが、例えばインバータ出力周波数300Hzに対して、非同期キャリア周波数は最大1000Hzであるため、インバータ出力電圧半周期中に含まれるパルス数は3前後と非常に少なくなる。このような状態で電動機を駆動すると、キャリア周波数をインバータ出力周波数で割りきれない場合が発生するのでインバータ出力電圧(以降、特に断らない限り線間電圧を指す)の正の半周期と負の半周期にそれぞれ含まれるパルス数やパルス位置がアンバランスとなり、電動機に印加される電圧の正負対称性が崩れ、電動機に電流振動やトルク脈動が発生し騒音や振動を発生する、という問題がある。
このような問題を解消するために、本実施の形態のパルスモード切替処理部60は、インバータ出力電圧振幅に関連する量である変調率PMFに加えてインバータ出力周波数に関連する量であるインバータ出力周波数FINVそれ自身を参照し、出力トルクT*の変化に対して、変調率PMFおよびインバータ出力周波数FINVに基づいてパルスモードの切替を行う構成とした。なお、インバータ出力電圧振幅に関連する量およびインバータ出力周波数に関連する量の選択については、本実施の形態の選択例に限定されず、それぞれインバータ出力電圧振幅およびインバータ出力周波数の関数であれば任意に選択することができる。
図4は本実施の形態におけるパルスモード切替動作を説明する図である。図4では、トルク指令T*をパラメータとして、インバータ出力周波数FINVと変調率PMFとの関係に対して選択されるパルスモードを示している。また、図4では、変調率PMFについての第一の設定値、第3の設定値に加えて、インバータ出力周波数FINVについての第二の設定値が示されている。
前述の説明例のように、最大トルクを出力する1パルスモードで運転している状態から、電気車の加速を中止し、速度を一定に維持する等のために、トルク指令T*を最小値に減少させる操作がなされた場合を考える。この場合、図4に示すように、地点Aにおいて変調率PMFの他にインバータ出力周波数FINVを参照し、変調率PMFが第一の設定値未満となっても、インバータ出力周波数FINVが第二の設定値以上である場合には、非同期パルスモードを選択せず、同期パルスモードのまま維持する構成としている。つまり、同期パルスモードから非同期パルスモードへの切替は、変調率PMFが第一の設定値未満となり、かつ、インバータ出力周波数FINVが第二の設定値未満となった場合になされる。逆に、変調率PMFがゼロから増加してゆく場合においては、変調率PMFが第一の設定値未満の場合でも、インバータ出力周波数FINVが第二の設定値以上である場合には、非同期パルスモードから同期パルスモードに切り替える。つまり、非同期パルスモードから同期パルスモードへの切替は、変調率PMFが第一の設定値以上となるか、またはインバータ出力周波数FINVが第二の設定値以上となる場合になされる。
なお、第二の設定値を決定するに当たっては、インバータ出力電圧の半周期中に含まれるパルス数を所定値以上確保することが好ましい。また、前記所定値は8以上であることが好ましいことをシミュレーション等により確認した。補足すれば、インバータ出力電圧の半周期中に含まれるパルス数が8程度あれば、キャリア周波数をインバータ出力周波数で割りきれない場合が発生してもインバータ出力電圧の正の半周期と負の半周期にそれぞれ含まれるパルス数やパルス位置のアンバランス度合いが軽減され、電動機に印加される電圧の正負対称性は実用上問題のない程度に確保できる。もちろん、パルス数は多いほど好ましい。
また、同期パルスモードから1パルスモードへの切替は、変調率PMFが第三の設定値以上になった時点で実施する。また1パルスモードから同期パルスモードへの切替は変調率PMFが第三の設定値未満になった時点で実施する。
以上、本実施の形態における同期パルスモードと非同期パルスモード間を遷移する場合の動作をまとめると以下のとおりである。
非同期パルスモードから同期パルスモードへの切替は、インバータ出力電圧振幅に関連する量である変調率PMFが第一の設定値以上となるか、またはインバータ出力周波数に関連する量であるインバータ出力周波数FINVが第二の設定値以上となることを条件に実施する。また、同期パルスモードから非同期パルスモードへの切替は、インバータ出力電圧振幅に関連する量である変調率PMFが第一の設定値未満となり、且つインバータ出力周波数に関連する量であるインバータ出力周波数FINVが第二の設定値未満となることを条件に実施する。なお、第二の設定値は、インバータ出力電圧基本波半周期中に含まれるパルス数を所定の値以上に確保する観点から決定する。即ち、適用可能な非同期キャリア信号の周波数と、電動機に印加される電圧の正負対称性を実用上問題のない程度に確保するために必要なパルス数とから決定する。
本実施の形態によれば、第二の設定値をインバータ出力電圧半周期中に含まれるパルス数を例えば8確保するように設定した場合、インバータ出力周波数が非同期キャリア信号の周波数1000Hzの1/8以下、即ち125Hz以下になるまではパルスモードは同期パルスモードで維持される。従って、インバータ出力電圧を構成するパルス数とその位置がインバータ出力電圧の正側半周期と負側半周期で同じにできるので、電動機に印加される電圧の正負対称性が確保でき、電動機に電流振動やトルク脈動が発生し騒音や振動を発することのない電動機の制御装置を得ることができる。
実施の形態2.
実施の形態1と同様の効果を実現できる別の方法として、例えばインバータ出力周波数FINVと非同期キャリア信号の周波数との比、即ちインバータ出力電圧基本波の半周期中に含まれるパルス数に基づく量であるパルス数指標を演算し、このパルス数指標が第四の設定値より大きい場合に、非同期パルスモードを選択可能とする構成としても良い。パルス数指標は例えば前記パルス数それ自身とすることができる。
図5は本実施の形態におけるパルスモード切替動作を説明する図である。図5では、トルク指令T*をパラメータとして、インバータ出力周波数FINVと変調率PMFとの関係に対して選択されるパルスモードを示している。
変調率PMFが1.0から減少して行く場合においては、変調率PMFが第一の設定値未満の場合でも、パルス数指標が第四の設定値より小さい場合には、非同期パルスモードには切り替えず、同期パルスモードのまま維持する構成とする。つまり、同期パルスモードから非同期パルスモードへの切り替えは、変調率PMFが第一の設定値未満であり、且つパルス数指標が第四の設定値以上である場合に行う。
逆に、変調率PMFがゼロから増加して行く場合においては、変調率PMFが第一の設定値未満の場合でも、パルス数指標が第四の設定値より小さい場合には、非同期パルスモードから同期パルスモードに切り替える。つまり、非同期パルスモードから同期パルスモードへの切り替えは、変調率PMFが第一の設定値以上であるか、またはパルス数指標が第四の設定値未満である場合に行う。
なお、第四の設定値は、実施の形態1にて説明したように、適用可能な非同期キャリア信号の周波数と、電動機に印加される電圧の正負対称性を実用上問題のない程度に確保するために必要なパルス数とから決定する。第四の設定値としては8以上とするのが好ましい。
本実施の形態によれば、第四の設定値をインバータ出力電圧半周期中に含まれるパルス数を例えば8以上確保するように設定した場合、インバータ出力周波数が非同期キャリア信号の周波数1000Hzの1/8以下、即ち125Hz以下になるまではパルスモードは同期パルスモードで維持される。従って、インバータ出力電圧を構成するパルス数とその位置がインバータ出力電圧の正側半周期と負側半周期で同じにできるので、電動機に印加される電圧の正負対称性が確保でき、電動機に電流振動やトルク脈動が発生し騒音や振動を発することのない電動機の制御装置を得ることができる。なお、本実施の形態のその他の構成、動作、および効果は、実施の形態1と同様である。
実施の形態3.
図6は本実施の形態におけるパルスモード切替動作を説明する図である。図6に示すように、変調率PMFは出力トルクに応じて変動する量であることから、トルク指令T*に応じて第一の設定値を可変とする方法で構成が可能である。図6に示すように、トルク指令T*が大きいときは第一の設定値を大きくし、トルク指令T*が小さいときは第一の設定値を小さくする。そして、非同期パルスモードから同期パルスモードへの切替は、インバータ出力電圧振幅に関連する量である変調率PMFがトルク指令T*に応じて設定された第一の設定値以上となる場合に行う。また、同期パルスモードから非同期パルスモードへの切替は、インバータ出力電圧振幅に関連する量である変調率PMFがトルク指令T*に応じて設定された第一の設定値未満となる場合に行う。
この方法によれば、第二の設定値を設ける必要がない他、電動機のロータ機械角θmを含み電動機の回転状態に応じて急激な時間変化を生じうる量であるインバータ出力周波数FINVを直接参照せず、フィードフォワード的に生成されたトルク指令T*を参照する構成であるので、例えば電気車で一般に発生しうる車輪の空転滑走時等にそれに同期して電動機の回転速度が変化し、これに伴いインバータ出力周波数FINVが第二の設定値を挟んで振動的に変動した場合において、パルスモードが非同期パルスモードと同期パルスモードとの間をチャタリングすることを回避できる。
なお、当然ながら、可変とする第一の設定値を決定するに当たっては、実施の形態1で示した内容に従い、インバータ出力電圧半周期中に含まれるパルス数を所定値以上(例えば8以上)確保することが好ましい。
本実施の形態によれば、電動機に印加される電圧の正負対称性が確保でき、電動機に電流振動やトルク脈動が発生し騒音や振動を発することのない電動機の制御装置を得ることができる。また、インバータ出力周波数FINVが第二の設定値の前後近傍で変動した場合に、パルスモードが非同期パルスモードと同期パルスモードとの間をチャタリングすることを回避できる。なお、本実施の形態のその他の構成、動作、および効果は、実施の形態1と同様である。
以上、実施の形態1〜3では、パルスモードの切り替えをインバータの出力状態に関連する2つの量に基づいて行っている。即ち、実施の形態1では変調率PMFおよびインバータ出力周波数FINVに基づき、実施の形態2では変調率PMFおよびパルス数指標に基づき、実施の形態3では変調率PMFおよびトルク指令T*に基づいている。これに対して、図7に示すような従来の制御方法では、変調率PMFのみに基づいてパルスモードの切り替えを行っており、このような従来の制御方法をトルク指令T*の大きさに応じて変調率PMFが大きく変化する電動機に適用した場合には、電流振動やトルク脈動が発生するという問題点があった。実施の形態1〜3では、変調率の他にインバータの出力状態に関連する量を利用することで、トルク指令T*の大きさに応じた変調率PMFの変化に対処することが可能となる。また、インバータの出力状態に関連する2つの量を利用することで、インバータ出力電圧基本波の周期中に含まれるパルス数を参照することが可能となり、同期パルスモードと非同期パルスモードとの切り替えの設定値を前記パルス数に基づいて適切に設定することで、電動機に印加される電圧の正負対称性に十分留意した制御を行うことができる。
実施の形態4.
次に、電気車が走行中に力行動作または回生動作を中止するためにインバータ2をオフする場合の動作を説明する。
インバータ2が1パルスモードで動作している状態で、電気車の力行動作または回生動作をオフするオフ指令(図示せず)が外部の制御装置(図示せず)より電動機の制御装置100に入力された場合を考える。このとき同時に、外部の制御装置はトルク指令T*をゼロに向かって徐々に減少させる。トルク指令T*は最大値からゼロまで約1秒間で減少する。このとき、電動機の制御装置100では以下に示す制御ステップを実行する。
トルク指令T*の減少により変調率PMFが1.0未満になった時点でパルスモード切替処理部60は、パルスモードを1パルスモードから同期パルスモードへ切り替える。以後、変調率PMFが第一の設定値未満となっても非同期パルスモードへは切り替えず、同期パルスモードのまま変調率PMFを絞ってゆき、十分にトルク指令T*が減少した後、インバータ2へのゲート信号U,V,W,X,Y,Zを全てオフする。
この他のケースとして、インバータ2が同期パルスモードで動作している状態で、電気車の力行動作または回生動作をオフするオフ指令(図示せず)が外部の制御装置より電動機の制御装置100に入力された場合を考える。このとき同時に、外部の制御装置はトルク指令T*がゼロに向かって徐々に減少させる。トルク指令T*は最大値からゼロまで約1秒間で減少する。このとき、電動機の制御装置100では以下に示す制御ステップを実行する。
トルク指令T*の減少により、変調率PMFが第一の設定値未満となっても、パルスモード切替処理部60は非同期パルスモードへは切り替えず、同期パルスモードのまま変調率PMFを絞ってゆき、十分にトルク指令T*が減少した後、インバータ2へのゲート信号U,V,W,X,Y,Zを全てオフする。
以上に説明した通り、本実施の形態によれば、インバータ2が1パルスモードまたは同期パルスモードで運転している状態で電気車の力行動作または回生動作を中止するためにインバータ2を停止させる場合において、パルスモード切替処理部60はパルスモードを同期パルスモードのままで維持し、非同期パルスモードを選択しない構成とすることで、インバータ出力周波数が高い領域からインバータ2をオフされた場合においても、インバータ出力電圧を構成するパルス数とその位置がインバータ出力電圧の正側半周期と負側半周期で同じにできるので、電動機に印加される電圧の正負対称性が確保でき、電動機に電流振動やトルク脈動を発生させることなく、インバータ2を確実に安定に停止できる電動機の制御装置を得ることができる。また、非同期パルスモードを選択しない構成としたことで、トルク指令T*がゼロまで減少する短時間(1秒程度)に複数回のパルスモード切替が行われないので、切替タイミングの遅れ等に起因する制御不安定化を回避することができる。
実施の形態5.
次に、インバータ出力周波数に関連する量であるインバータ出力周波数FINVが第二の設定値以上で電気車が惰行している場合に、電気車の力行動作または回生動作を開始するためにインバータ2を起動する場合の動作を説明する。
インバータ2が停止している状態で、電気車の力行動作または回生動作を開始する起動指令(図示せず)が外部の制御装置(図示せず)より電動機の制御装置100に入力された場合を考える。このとき同時に、外部の制御装置はトルク指令T*を所定の値まで徐々に立ち上げる。トルク指令T*はゼロから所定値まで約1秒間で立ち上げる。このとき、電動機の制御装置100では以下に示す制御ステップを実行する。
起動指令により、インバータ2のゲート信号U,V,W,X,Y,Zのスイッチングを開始するが、変調率PMFが第一の設定値未満であってもこれに関係なく、パルスモード切替処理部60は、パルスモードの初期設定を同期パルスモードとしてスタートする。以後、変調率PMFが増加して1.0以上になった段階でパルスモードを1パルスモードへ切り替える。あるいは変調率PMFが減少して第一の設定値未満となり、且つインバータ出力周波数FINVが第二の設定値未満となった段階でパルスモードを非同期パルスモードに切り替える。
以上に説明した通り、本実施の形態によれば、インバータ出力周波数に関連する量であるインバータ出力周波数FINVが第二の設定値以上で電気車が惰行している状態から、インバータ2を起動させる場合において、パルスモード切替処理部60はパルスモードの初期設定を同期パルスモードとしてスタートし、非同期パルスモードを選択しない構成とすることで、インバータ出力周波数が高い領域からインバータ2を起動された場合においても、起動直後からインバータ出力電圧を構成するパルス数とその位置がインバータ出力電圧の正側半周期と負側半周期で同じにできるので、電動機に印加される電圧の正負対称性が確保でき、電動機に電流振動やトルク脈動を発生させることなく、インバータ2を確実に安定に起動できる電動機の制御装置を得ることができる。
なお、上記実施の形態1〜5では、電気車が力行中を例として説明を実施した部分があるが、回生ブレーキを掛けて減速する場合についても、同様の考え方で構成できる。
また、永久磁石同期電動機を制御する電動機の制御装置を一例として説明したが、その他の種類の電動機を駆動制御する電動機の制御装置に適用することもできる。また、三相交流の場合について説明したが、これ以外の場合にも適用することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは言うまでもない。
さらに、本明細書では、電気車の駆動用の電動機の制御装置への適用を考慮して発明内容の説明を実施しているが、適用分野はこれに限られるものではなく、電気自動車、エレベータ等、種々の関連分野への応用が可能であることも言うまでもない
以上のように、本発明にかかる電動機の制御装置は、永久磁石同期電動機を制御する電動機の制御装置に有用である。
図1は、実施の形態1に係る電動機の制御装置の構成例を示す図である。 図2は、実施の形態1における電圧指令/PWM信号生成部の構成例を示す図である。 図3は、永久磁石同期電動機を駆動制御する電動機の制御装置に従来方式におけるパルスモード切替方式を適用した場合の動作を説明する図である。 図4は、実施の形態1におけるパルスモード切替動作を説明する図である。 図5は、実施の形態2におけるパルスモード切替動作を説明する図である。 図6は、実施の形態3におけるパルスモード切替動作を説明する図である。 図7は、従来方式におけるパルスモード切替動作を説明する図である。
符号の説明
1 コンデンサ
2 インバータ
3,4,5 電流検出器
8 電圧検出器
10 電流指令生成部
11 d軸基本電流指令生成部
20 d軸電流制御部
21 q軸非干渉演算部
22 d軸非干渉演算部
23 q軸電流制御部
30 変調率演算部
40 制御位相角演算部
50 電圧指令/PWM信号生成部
53 掛算器
54 調整ゲインテーブル
55 電圧指令演算部
57 非同期キャリア信号生成部
58 同期3パルスキャリア信号生成部
59 スイッチ
60 パルスモード切替処理部
61〜63 比較器
64〜66 反転回路
70 インバータ角周波数演算部
90 三相−dq軸座標変換部
95 基準位相角演算部
100 電動機の制御装置
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電動機の制御装置は、直流電源に接続され交流電動機へ任意周波数および任意電圧の交流電流を出力可能なインバータに対して、前記インバータを構成するスイッチング素子にパルス幅変調信号を出力して前記交流電動機を制御する電動機の制御装置において、前記パルス幅変調信号の出力パターンとして同期パルスモード、非同期パルスモード、および1パルスモードを含む複数のパルスモードを選択的に切り替え可能なパルスモード制御部を有し、前記パルスモード制御部は、インバータ出力電圧振幅に関連する量と、インバータ出力周波数に関連する量とに基づき、前記同期パルスモードと前記非同期パルスモードとの切り替えを行い、前記非同期パルスモードから前記同期パルスモードへの切り替えは、前記インバータ出力電圧振幅に関連する量が第一の設定値以上となるか、または前記インバータ出力周波数に関連する量が第二の設定値以上となる場合に行われ、前記同期パルスモードから前記非同期パルスモードへの切り替えは、前記インバータ出力電圧振幅に関連する量が前記第一の設定値未満となり、且つ前記インバータ出力周波数に関連する量が前記第二の設定値未満となる場合に行われることを特徴とする。

Claims (17)

  1. 直流電源に接続され交流電動機へ任意周波数および任意電圧の交流電流を出力可能なインバータに対して、前記インバータを構成するスイッチング素子にパルス幅変調信号を出力して前記交流電動機を制御する電動機の制御装置において、
    前記パルス幅変調信号の出力パターンとして同期パルスモード、非同期パルスモード、および1パルスモードを含む複数のパルスモードを選択的に切り替え可能なパルスモード制御部を有し、
    前記パルスモード制御部は、インバータ出力電圧基本波の周期中に含まれるパルス数を参照可能にする前記インバータの出力状態に関連する複数の量に基づき、前記同期パルスモードと前記非同期パルスモードとの切り替えを行うことを特徴とする電動機の制御装置。
  2. 前記インバータの出力状態に関連する複数の量が、インバータ出力電圧振幅に関連する量と、インバータ出力周波数に関連する量とであることを特徴とする請求項1に記載の電動機の制御装置。
  3. 前記パルスモード制御部による前記非同期パルスモードから前記同期パルスモードへの切り替えは、前記インバータ出力電圧振幅に関連する量が第一の設定値以上となるか、または前記インバータ出力周波数に関連する量が第二の設定値以上となる場合に行われ、
    前記パルスモード制御部による前記同期パルスモードから前記非同期パルスモードへの切り替えは、前記インバータ出力電圧振幅に関連する量が前記第一の設定値未満となり、且つ前記インバータ出力周波数に関連する量が前記第二の設定値未満となる場合に行われることを特徴とする請求項2に記載の電動機の制御装置。
  4. 前記パルスモード制御部は、前記インバータ出力電圧振幅に関連する量が前記第一の設定値よりも大きい値である第三の設定値以上となる場合に前記同期パルスモードから前記1パルスモードへ切り替えるとともに、前記インバータ出力電圧振幅に関連する量が第三の設定値未満となる場合に前記1パルスモードから前記同期パルスモードへ切り替えることを特徴とする請求項3に記載の電動機の制御装置。
  5. 前記第二の設定値は、前記インバータ出力電圧基本波の半周期中に含まれるパルス数が所定値以上となるように設定されることを特徴とする請求項3に記載の電動機の制御装置。
  6. 前記所定値は8であることを特徴とする請求項5に記載の電動機の制御装置。
  7. 前記インバータの出力状態に関連する複数の量が、インバータ出力電圧振幅に関連する量と、インバータ出力電圧基本波の半周期中に含まれるパルス数に基づく量とであることを特徴とする請求項1に記載の電動機の制御装置。
  8. 前記パルスモード制御部による前記非同期パルスモードから前記同期パルスモードへの切り替えは、前記インバータ出力電圧振幅に関連する量が第一の設定値以上となるか、または前記パルス数に基づく量が第四の設定値未満となる場合に行われ、
    前記パルスモード制御部による前記同期パルスモードから前記非同期パルスモードへの切り替えは、前記インバータ出力電圧振幅に関連する量が前記第一の設定値未満となり、且つ前記パルス数に基づく量が前記第四の設定値以上となる場合に行われることを特徴とする請求項7に記載の電動機の制御装置。
  9. 前記パルス数に基づく量は、前記インバータ出力電圧基本波の半周期中に含まれるパルス数自身であり、前記第四の設定値は8以上であることを特徴とする請求項8に記載の電動機の制御装置。
  10. 前記インバータの出力状態に関連する複数の量が、インバータ出力電圧振幅に関連する量と、前記交流電動機の出力するトルクとであることを特徴とする請求項1に記載の電動機の制御装置。
  11. 前記パルスモード制御部による前記非同期パルスモードから前記同期パルスモードへの切り替えは、前記インバータ出力電圧振幅に関連する量が前記交流電動機の出力するトルクに応じて設定された第一の設定値以上となる場合に行われ、
    前記パルスモード制御部による前記同期パルスモードから前記非同期パルスモードへの切り替えは、前記インバータ出力電圧振幅に関連する量が前記交流電動機の出力するトルクに応じて設定された第一の設定値未満となる場合に行われることを特徴とする請求項10に記載の電動機の制御装置。
  12. 前記交流電動機の出力するトルクが大きいときには前記第一の設定値を大きく設定し、前記交流電動機の出力するトルクが小さいときには前記第一の設定値を小さく設定することを特徴とする請求項11に記載の電動機の制御装置。
  13. 前記第一の設定値は、前記インバータ出力電圧基本波の半周期中に含まれるパルス数が所定値以上となるように設定されることを特徴とする請求項12に記載の電動機の制御装置。
  14. 前記所定値は8であることを特徴とする請求項13に記載の電動機の制御装置。
  15. 直流電源に接続され交流電動機へ任意周波数および任意電圧の交流電流を出力可能なインバータに対して、前記インバータを構成するスイッチング素子にパルス幅変調信号を出力して前記交流電動機を制御する電動機の制御装置において、
    前記パルス幅変調信号の出力パターンとして同期パルスモード、非同期パルスモード、および1パルスモードを含む複数のパルスモードを選択的に切り替え可能なパルスモード制御部を有し、
    前記インバータが前記1パルスモードで動作している場合において、前記インバータを停止させるときに、前記1パルスモード、前記同期パルスモード、前記インバータのゲートオフ、の順に制御ステップを実行することを特徴とする電動機の制御装置。
  16. 前記インバータが前記同期パルスモードで動作している場合において、前記インバータを停止させるときに、前記同期パルスモード、前記インバータのゲートオフ、の順に制御ステップを実行することを特徴とする請求項15に記載の電動機の制御装置。
  17. 電気車に搭載された電動機の制御装置において、
    前記インバータ出力周波数に関連する量が前記第二の設定値以上で前記電気車が惰行中の場合に、停止している前記インバータを起動させるとき、前記パルスモードの初期設定を前記同期パルスモードとする制御ステップを実行することを特徴とする請求項3に記載の電動機の制御装置。
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