JP5836413B2 - 電動機のベクトル制御装置および車両駆動システム - Google Patents

電動機のベクトル制御装置および車両駆動システム Download PDF

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本発明は、電動機のベクトル制御装置および車両駆動システムに関する。
インバータを用いて電動機をベクトル制御する技術が広く利用されている(たとえば、下記特許文献1参照)。この電動機のベクトル制御は、回転座標系において磁束成分とトルク成分とに分けて管理、制御する技術であり、近年の電気車の制御においても利用されている。
電気車の駆動用インバータでは、低速域においては、キャリア周波数が交流出力電圧指令の周波数に依存していない非同期PWMモードが用いられる。その後、非同期PWM制御による変調率の上限を超えるとキャリア周波数が交流電圧指令の周波数の整数倍である同期PWMモード(例えば、同期3パルスモード)が用いられ、出力電圧が飽和して最大値に固定される高速域では1パルスモードが用いられる。
特許第4065903号公報
しかしながら、上記従来の技術によれば、非同期PWMモードでは例えば一定磁束指令制御を用いることにより出力電圧を上げていく制御が行われ、非同期PWMモードの変調率の上限を超えると同期PWMモードに切り替わる。一方、同期PWMモード(特に1パルスモード)では、非同期PWMモードに比べ、リップルによる高調波損失が大きくなる。従って、同期PWMモードの領域を減らして非同期PWMモードの領域を増やすことができればリップルによる高調波損失を低減することができるが、従来の技術では、上述のように非同期PWMモードでは一定磁束指令制御により出力電圧を上げ、変調率が上限となると同期PWMモードに切り替えているため非同期PWMモードの運転領域が限られている。このため、リップルによる高調波損失を低減することができない、という問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高調波損失を低減することができる電動機のベクトル制御装置および車両駆動システムを得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、直流電力を交流電力に変換し、電動機に交流電力を供給する電力変換器を制御するベクトル制御装置であって、入力されたトルク指令および磁束指令に基づいてベクトル制御により前記電力変換器が出力すべき出力電圧を演算するとともに、前記出力電圧に基づいて前記電力変換器を制御するPWM信号を生成するベクトル制御部と、非同期PWMモード用の磁束指令を生成し、変調率が第一の閾値以上となった場合に前記電動機における界磁磁束を減らして回転数を上げる制御を行う磁束指令生成部と、を備え、前記電力変換器の出力周波数が、前記変調率が78.5%となる場合前記電力変換器の出力周波数よりも大きい所定値になるまで、前記磁束指令生成部により生成された磁束指令を前記ベクトル制御部へ入力することを特徴とする。
この発明によれば、高調波損失を低減することができる、という効果を奏する。
図1は、実施の形態1の電動機のベクトル制御装置の構成例を示す図である。 図2は、第一の磁束指令生成部の構成例を示す図である。 図3は、実施の形態1の変調率とパルスモードの一例を示す図である。 図4は、実施の形態1の磁束指令の一例を示す図である。 図5は、従来技術による変調率とパルスモードの一例を示す図である。 図6は、従来技術による磁束指令の一例を示す図である。 図7は、実施の形態1の効果の一例を従来技術と比較して示す図である。 図8は、実施の形態2の電動機のベクトル制御装置の第一の磁束指令生成部の構成例を示す図である。 図9は、実施の形態3の車両駆動システムの構成例を示す図である。
以下に、本発明にかかる電動機のベクトル制御装置および車両駆動システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる電動機のベクトル制御装置の実施の形態1の構成例を示す図である。本実施の形態の電動機のベクトル制御装置は、交流電動機(電動機)1を駆動制御する電力変換器2を制御する。図1に示すように、本実施の形態の電動機のベクトル制御装置は、ベクトル制御部3と、直流電圧検出部4と、速度検出部5と、電流検出部6と、トルク指令生成部10と、第一の磁束指令生成部11aと、第二の磁束指令生成部11bと、磁束指令選択部11cと、パルスモード選択部12と、を備える。
電力変換器2は、スイッチング素子を備え、ベクトル制御部3から入力されるスイッチング信号に基づいて、直流電圧を交流電圧に変換して交流電動機1へ供給する。直流電圧検出部4は電力変換器2へ印加される直流電圧を検出し、電流検出部6は、電力変換器2から出力される各相の電流を検出する。なお、直流電圧検出部4は、3相それぞれの電流を検出してもよいが、最低2相の電流を検出すればよく残り1相の電流は演算により算出することができる。また、速度検出部5は、交流電動機1の回転速度を検出する。なお、速度検出部5を備えずに交流電動機1の回転速度を演算により算出する速度センサレスベクトル制御方式を採用する場合には、速度検出部5は備えなくてもよい。
トルク指令生成部10は、トルク指令を生成してベクトル制御部3へ入力する。ベクトル制御部3は、磁束指令選択部11cから入力された磁束指令と、トルク指令生成部10から入力されたトルク指令と、直流電圧検出部4により検出された電流と、速度検出部5により検出された回転速度と、交流電動機1の電動機定数と、に基づいて、入力されたトルク指令に交流電動機1の発生トルクが一致するよう電力変換器2を制御するベクトル制御演算を行う。ベクトル制御部3は、ベクトル制御演算の演算結果として交流出力電圧指令および交流出力電圧振幅指令を算出し、算出した交流出力電圧指令とパルスモード選択部12により入力されるパルスモード指令とに基づいてPWM制御によりスイッチング信号を生成し、電力変換器2に出力する。電力変換器2が、このスイッチング信号(PWM信号)に基づいてスイッチング素子による電力変換動作を行うことで、交流電動機1が駆動される。また、ベクトル制御部3は、交流出力電圧指令の周波数(インバータ出力周波数)をパルスモード選択部12へ出力する。
ベクトル制御部3におけるベクトル制御およびPWM制御の制御方法については、特に制約はなく一般に用いられている制御方法を用いることができる。なお、ここでは、ベクトル制御部3がスイッチング信号を生成するようにしたが、これに限らず、スイッチング信号生成部を別途設けて、ベクトル制御部3は交流出力電圧指令をスイッチング信号生成部に出力し、スイッチング信号生成部が交流出力電圧指令とパルスモード指令とに基づいてスイッチング信号を生成して電力変換器2に出力するようにしてもよい。
パルスモード選択部12は、ベクトル制御部3の演算結果である出力電圧振幅指令と直流電圧検出部4により検出された直流電圧とインバータ出力周波数とに基づいてパルスモードを決定し、決定したパルスモードをパルスモード指令としてベクトル制御部3および磁束指令選択部11cに出力する。本実施の形態のパルスモードの決定方法については後述する。
なお、本実施の形態では、パルスモードとして、PWM制御において、インバータ出力周波数に依存していない非同期PWMモードと、キャリア周波数とインバータ出力周波数を同期させてキャリア周波数がインバータ出力周波数の整数倍に設定される同期PWMモードと、の2つを定義する。さらに、同期PWMモードについては、キャリア周波数がインバータ出力周波数の何倍であるかでパルスモードを分類し、キャリア周波数がインバータ出力周波数のN倍(Nは1以上の整数)のパルスモードを同期Nパルスモードと呼び、同期1パルスモードについては一般に呼ばれているように1パルスモードと呼ぶこととする。
第一の磁束指令生成部11aは、非同期PWMモード用の磁束指令値を演算して磁束指令選択部11cへ出力する。第二の磁束指令生成部11bは、同期PWMモード用の磁束指令値を演算して磁束指令選択部11cへ出力する。磁束指令選択部11cは、パルスモード選択部12から出力されたパルスモード指令に基づいて、第一の磁束指令生成部11aから入力された磁束指令と、第二の磁束指令生成部11bから入力された磁束指令と、のうちの一方を選択してベクトル制御部3へ出力する。具体的には、磁束指令選択部11cは、パルスモード指令が同期PWMモードである場合には第二の磁束指令生成部11bの出力を選択してベクトル制御部3に出力し、パルスモード指令が非同期PWMモードである場合には第一の磁束指令生成部11aの出力を選択してベクトル制御部3に出力する。
図2は、本実施の形態の第一の磁束指令生成部11aの構成例を示す図である。図2に示すように本実施の形態の第一の磁束指令生成部11aは、一定磁束指令生成部111と、弱め磁束制御部112と、低位選択部113と、を備える。
一定磁束指令生成部111は、一定の定格二次磁束を磁束指令として出力する。この定格二次磁束としては、交流電動機1の鉄芯が磁気飽和しない条件で極力大きく確保するのが一般的であるが、定格二次磁束の値に特に制約はない。
弱め磁束制御部112は、界磁磁束を減らして回転数を上げるいわゆる弱め磁束制御により磁束指令を生成して、低位選択部113へ出力する。弱め磁束制御では、交流出力電圧を一定(すなわち変調率を一定)として磁束を小さくしていく。従来は、この弱め磁束制御は、一般に交流出力電圧が最大値付近となり1パルスモードに移行した後に実施されるが、本実施の形態では、非同期PWMモードにおいて、変調率が第一の閾値以上となった場合に弱め磁束制御を実施する。すなわち、弱め磁束制御部112は、変調率が第一の閾値となるよう弱め磁束制御を実施して磁束指令を生成する。この第一の閾値としては、後述する第二の磁束指令生成部11bにおける変調率の閾値である第二の閾値より小さい値を設定する。
第一の閾値として、例えば非同期PWMモードにおいて過変調となる境界値78.5%(0.785)以下の値を設定すると、定格二次磁束を従来と同様の値に設定した場合でも過変調が生じることなく非同期PWMモードの領域を従来に比べて拡大することができる。第一の閾値として78.5%を超える値を設定してもよいが、この場合は過変調に対応した制御を実施する。例えば、「“ACサーボシステムの理論と設計の実際”総合電子出版 1990 p39〜46」に記載の制御方法等を適用することができる。
低位選択部113は、一定磁束指令生成部111から出力される磁束指令と、弱め磁束制御部112から出力される磁束指令と、のうち低位の方を選択して磁束指令選択部11cへ出力する。
以上の動作により、第一の磁束指令生成部11aは、変調率が第一の閾値未満では一定磁束制御による磁束指令を出力し、変調率が第一の閾値以上の場合に弱め磁束制御による磁束指令を出力することができる。
第二の磁束指令生成部11bは、第一の磁束指令生成部11aと同様に一定磁束指令生成部111と、弱め磁束制御部112と、低位選択部113と、を備える。第二の磁束指令生成部11bにおける一定磁束指令生成部111は、第一の磁束指令生成部11aにおける一定磁束指令生成部111と同様に一定の磁束を磁束指令として出力する。ただし、第二の磁束指令生成部11bにおける一定磁束指令生成部111は、上述の定格二次磁束ではなく非同期PWMモードから同期PWMモードに切り替わった際の磁束指令を一定値として出力する。例えば、磁束指令選択部11cが、出力した磁束指令を保持しておき、非同期PWMモードから同期PWMモードに切り替わった際の第一の磁束指令生成部11aから入力された磁束指令を第二の磁束指令生成部11bへ通知する。なお、一定磁束指令生成部111が出力する磁束指令の一定値はこれに限定されず、例えば予め定めた値等としてもよい。
第二の磁束指令生成部11bの弱め磁束制御部112は、変調率が第二の閾値となるよう弱め磁束制御を実施して磁束指令を生成する。第二の閾値は、100%としてもよいが、ここでは例えば95%のように100%未満の値とする。また、第二の磁束指令生成部11bの低位選択部113は、第二の磁束指令生成部11bの一定磁束指令生成部111から出力される磁束指令と、第二の磁束指令生成部11bの弱め磁束制御部112から出力される磁束指令と、のうち低位の方(小さい方)を選択して磁束指令選択部11cへ出力する。
また、第二の磁束指令生成部11bは一定磁束制御と弱め磁束制御を用いて、変調率を第一の閾値未満に抑える制御を行ったが、第二の磁束指令生成部11bにおける磁束制御方法は、変調率を第一の閾値未満に抑える制御であればこれらの制御方法に限定されない。
図3は、本実施の形態の変調率(電圧変調率)とパルスモードの一例を示す図である。図4は、本実施の形態の磁束指令の一例を示す図である。図3、4では、横軸は、インバータ出力周波数を示している。図3、4を用いて本実施の形態のパルスモードの決定方法について説明する。図4は、図3に示した制御を行った場合にベクトル制御部3へ入力される磁束指令を示している。なお、第一の磁束指令生成部11aから出力された磁束指令を第一の磁束指令とし、第二の磁束指令生成部11bから出力された磁束指令を第二の磁束指令としている。
図3の(A)は、従来技術(例えば上記特許文献1に記載の技術)を用いた場合に、変調率が100%に到達するインバータ出力周波数を示している。従来技術では、変調率が100%に至るまで一定磁束制御により変調率を上げていく。図3の(B)は、本実施の形態における非同期PWMモードから同期PWMモードへの切り替えが行われるインバータ出力周波数を示している。
本実施の形態では、インバータ出力周波数に基づいて非同期PWMモードから同期PWMモードへ切り替える。具体的には、例えば、fc/X未満の領域では非同期PWMモードとし、インバータ出力周波数がfc/X以上の領域では同期PWMモードとする。ここで、fcは、非同期PWMモードのキャリア周波数を示し、インバータ出力周波数とは独立に設定される(例えば1kHz等に設定される)。Xは、非同期PWMモードから同期PWMモードへの切り替え点での「キャリア周波数fc/インバータ出力周波数」を示している。Xの値は、同期PWMモードの最低周波数となる(B)において、スイッチングによる電流リップル、すなわち電流の低次高調波成分が所定の許容値以下となるように、交流電動機1のインダクタンス特性とインバータ出力周波数を加味して決定する。
また、非同期PWMのキャリア周波数fcは、電力変換器2でのスイッチング損失が許容値以下となるように設定される。すなわち、図3の(B)で示した同期PWMモードの最低周波数(モード切り替え周波数)はキャリア周波数fcと、同期PWMモードの電流リップル許容値および電動機のインダクタンス特性から決定される。なお、非同期PWMモードから同期PWMモードへ切り替えの条件となるインバータ出力周波数(モード切り替え周波数)の規定方法は、fc/Xの形に限定されない。
図3、4に示すように、変調率が第一の閾値より小さい領域では第一の磁束指令生成部11aの一定磁束指令生成部111により生成された磁束指令を用いる一定磁束制御が行われ、変調率が第一の閾値以上になると第一の磁束指令生成部11aの弱め磁束制御部112により生成された磁束指令を用いる弱め磁束制御が行われる。
そして、インバータ出力周波数がfc/X以上となると同期PWMモードへの切り替えが行われ、その後に第二の閾値より小さい領域では第二の磁束指令生成部11bの一定磁束指令生成部111により生成された磁束指令を用いる一定磁束制御が行われ、変調率が第二の閾値以上になると第二の磁束指令生成部11bの弱め磁束制御部112により生成された磁束指令を用いる弱め磁束制御が行われる。
同期PWMモードにおいては、上記特許文献1のように、変調率が一定値(上述の第二の閾値)未満の場合には同期3パルスモードとし、変調率が一定以上となった場合には1パルスモードとする等、同期PWMモード内でパルスモードを変更してもよいが、同期PWMモード内のパルスモードに制約はない。
なお、本実施の形態では、インバータ出力周波数に基づいて非同期PWMモードと同期WMモードを切り替えるようにしたが、速度検出部5が検出した回転速度に基づいて同様に非同期PWMモードと同期PWMモードを切り替えるようにしてもよい。
図5は、従来技術(上記特許文献1に記載の技術)による変調率(電圧変調率)とパルスモードの一例を示す図である。図5の変調率31は、従来技術による変調率を示し、点線の変調率32は、本実施の形態の変調率(図3で示した変調率)を示している。図6は、従来技術(上記特許文献1に記載の技術)による磁束指令の一例を示す図である。図6の磁束指令33は従来技術による磁束指令を示し、点線の磁束指令34は、本実施の形態の変調率(図4で示した磁束指令)を示している。
従来の技術の制御方法では、図5に示すように、変調率が一定値(例えば78.5%)までは一定磁束制御を行い、変調率が一定値を超えると同期PWMモード(同期3パルスモード)へ移行する。その後、変調率が100%になると1パルスモードへ移行し、弱め磁束制御が行われる。このため、従来の技術では、非同期PWMモードの領域が、一定磁束制御により変調率が増加して一定値になるまでの間に限定されている。
これに対し、本実施の形態では、後述のように、非同期PWMモードから同期PWMモードへの切り替えをインバータ出力周波数により決定しており、インバータ出力周波数が同期PWMモードへの切り替え条件を満たすまでは非同期PWMモードとなる。従って、図3で示した変調率が100%となるインバータ出力周波数(図5および図3の(A))よりモード切り替え周波数(fc/X)を大きく設定すれば、本実施の形態では、従来技術に比べ非同期PWMモードの領域を拡大することができる。本実施の形態では、図3で示した変調率が100%となるインバータ出力周波数よりモード切り替え周波数を大きく設定して、従来技術より非同期PWMモードを拡大する。
図7は、本実施の形態の効果の一例を従来技術と比較して示す図である。図7では、左側に従来技術(上記特許文献1に記載の技術)における損失を示し、右側に本願発明における損失を示している。図7に示した損失は、インバータ出力周波数が0の位置から図3の(B)の位置のインバータ出力周波数まで運転した場合のシステム全体の損失を示している。
低周波領域では、十分なスイッチング回数を有する非同期PWMモードでは同期PWMモードで駆動する場合より交流電動機1の高調波損失を低減することができる。従って、本実施の形態では、低周波領域では、非同期PWMモードで交流電動機1を駆動する領域を拡大することにより交流電動機1の高調波損失を従来技術に比べ低減することができる。スイッチング速度の増加によって電力変換器2の損失(変換機損失)は増加するものの、電動機損失の低減効果が支配的となる運転条件では、システム全体の損失を低減できる。
また、周波数が大きくなると交流電動機1のインピーダンス増加により、交流電動機1の高周波電流が減るため、高周波損失も減る。よって図3の(B)より高速域では、スイッチング回数の少ない同期PWMモードを採用しても電動機損失は増加せず、変換器スイッチング損失削減効果を得られるため、磁束指令を第二の磁束指令に切替え、変調率を上げる運転とする。
このように、本実施の形態のベクトル制御装置を適用することによって電動機の高周波損失が低減し、基本波損失との合算を最小化することにより電動機全体の損失が低減可能となり、冷却性能を抑えることができる。そのため、電動機の冷却フィン形状、冷却風路の見直しにより電動機の小型・軽量化が可能となる。
なお、電力変換器2のスイッチング素子およびダイオード素子としてはどのような素子を用いてもよいが、例えばワイドバンドギャップ半導体を用いることができる。ワイドバンドギャップ半導体としては、例えば、炭化珪素、窒化ガリウム系材料又はダイヤモンド等により形成されたものがある。このようなワイドバンドギャップ半導体によって形成されたスイッチング素子やダイオード素子は、耐電圧性が高く、許容電流密度も高いため、スイッチング素子やダイオード素子の小型化が可能であり、これら小型化されたスイッチング素子やダイオード素子を用いることにより、これらの素子を組み込んだ半導体モジュールの小型化が可能となる。
またワイドバンドギャップ半導体は、耐熱性も高いため、ヒートシンクの放熱フィンの小型化や、水冷部の空冷化が可能であるので、半導体モジュールの一層の小型化が可能になる。更に電力損失が低いため、スイッチング素子やダイオード素子の高効率化が可能であり、延いては半導体モジュールの高効率化が可能になる。
このように、本実施の形態では、非同期PWMモード用の磁束指令を生成する第一の磁束指令生成部11aと、同期PWMモード用の磁束指令を生成する第二の磁束指令生成部11bと、を備え、第一の磁束指令生成部11aは非同期PWMモードに対応する第一の閾値以下に変調率を抑えるよう磁束指令を生成する。そして、インバータ出力周波数に基づいて非同期PWMモードから同期PWMモードへの切り替えを行うようにした。このため、従来に比べ非同期PWMモードの領域を拡大することができ、全体損失が低減することができる。
実施の形態2.
図8は、本発明にかかる電動機のベクトル制御装置の実施の形態2の第一の磁束指令生成部11dの構成例を示す図である。本実施の形態の電動機のベクトル制御装置は、実施の形態1の電動機のベクトル制御装置の第一の磁束指令生成部11aの代わりに第一の磁束指令生成部11dを備える以外は、実施の形態の電動機のベクトル制御装置と同様である。本実施の形態の第一の磁束指令生成部11dは、最適磁束指令生成部21と、許容最大磁束指令生成部22と、低位選択部23と、を備える。
最適磁束指令生成部21は、例えば国際公開第2008/107992号の図2およびその説明に示されているような損失最小条件(効率最大条件)を満たす磁束指令を生成する。効率最大条件を満たす磁束値は、国際公開第2008/107992号に記載されているようにトルク指令ごとに求めることができる。したがって、最適磁束指令生成部21は、トルク指令ごとの損失最小条件となる磁束を関数またはテーブル等の形で特性として保持しておき、トルク指令と保持している特性とに基づいて効率最大条件を満たす磁束指令を求める。
許容最大磁束指令生成部22は、インバータ出力周波数に応じて出力可能な最大の磁束指令を生成する。例えば、上記特許文献1の請求項3に記載の最大電圧二次磁束指令の算出方法により、出力可能な最大の磁束指令を生成することができる。
低位選択部23は、最適磁束指令生成部21が生成した磁束指令と許容最大磁束指令生成部22とのうち低位の方を選択して磁束指令選択部11cへ入力する。以上述べた以外の本実施の形態の動作は実施の形態1と同様である。
なお、同様に、第二の磁束指令生成部11bの代わりに第一の磁束指令生成部11dと同様の構成の第二の磁束指令生成部11e(図示せず)を備えるようにしてもよい。この場合、第二の磁束指令生成部11eの許容最大磁束指令生成部22は第一の磁束指令生成部11dの許容最大磁束指令生成部22より高い変調率となるような磁束を生成する。
また、第一の磁束指令生成部および第二の磁束指令生成部の構成は、以上実施の形態1および実施の形態2で述べた構成に限らず、例えば、上記特許文献1の請求項1や国際公開第2008/107992号の請求項1に記載されている構成とする等としてもよい。
また、実施の形態1の第一の磁束指令生成部11aと本実施の形態の第一の磁束指令生成部11dとの両方を備え、第一の磁束指令生成部11aが生成した磁束指令と第一の磁束指令生成部11dが生成した磁束指令とのうち、低位の方を磁束指令選択部11cへ入力するよう構成してもよい。
以上のように、最適磁束制御を行う第一の磁束指令生成部11dを備えるようにした。このため、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、実施の形態1に比べより損失を低減することができる。
実施の形態3.
本実施の形態では、実施の形態1および実施の形態2で説明したベクトル制御装置を適用した車両駆動システムについて説明する。
図9は、車両駆動システムとして鉄道車両に適用した構成例を示す図である。車両駆動システムは、交流電動機1、電力変換器2、入力回路105およびベクトル制御装置106を備えている。交流電動機1は、図1に示した交流電動機1と同じものであり、鉄道車両に搭載されている。電力変換器2は、図1に示した電力変換器2と同じものであり、入力回路105から供給された直流電力を交流電力に変換して交流電動機1を駆動する。ベクトル制御装置106は、実施の形態1および実施の形態2で説明したベクトル制御装置に相当する。
入力回路105は、図示を省略しているが、スイッチ、フィルタコンデンサ、フィルタリアクトルなどを備えて構成されており、その一端は集電装置102を介して架線101に接続されている。また、他端は、車輪103を介して大地電位であるレール104に接続されている。この入力回路105は、架線101から直流電力または交流電力の供給を受けて、電力変換器2へ供給する直流電力を生成する。
このように、本実施の形態のベクトル制御装置を車両駆動システムへ適用することにより、システム全体として損失低減、小型化を実現することが可能となる。
以上のように、本発明にかかる電動機のベクトル制御装置および車両駆動システムは、交流電動機を制御するベクトル制御装置に有用であり、特に、電気車において交流電動機を制御するベクトル制御装置に適している。
1 交流電動機、2 電力変換器、3 ベクトル制御部、4 直流電圧検出部、5 速度検出部、6 電流検出部、10 トルク指令生成部、11a,11d 第一の磁束指令生成部、11b 第二の磁束指令生成部、11c 磁束指令選択部、12 パルスモード選択部、21 最適磁束指令生成部、22 許容最大磁束指令生成部、100 車両駆動システム、105 入力回路、106 ベクトル制御装置、111 一定磁束指令生成部、112 弱め磁束制御部、113,23 低位選択部。

Claims (5)

  1. 直流電力を交流電力に変換し、電動機に交流電力を供給する電力変換器を制御するベクトル制御装置であって、
    入力されたトルク指令および磁束指令に基づいてベクトル制御により前記電力変換器が出力すべき出力電圧を演算するとともに、前記出力電圧に基づいて前記電力変換器を制御するPWM信号を生成するベクトル制御部と、
    非同期PWMモード用の磁束指令を生成し、変調率が第一の閾値以上となった場合に前記電動機における界磁磁束を減らして回転数を上げる制御を行う磁束指令生成部と、
    を備え、
    前記電力変換器の出力周波数が、前記変調率が78.5%となる場合前記電力変換器の出力周波数よりも大きい所定値になるまで、前記磁束指令生成部により生成された磁束指令を前記ベクトル制御部へ入力する
    ことを特徴とする電動機のベクトル制御装置。
  2. 前記磁束指令生成部は、
    前記変調率が前記第一の閾値未満の場合に一定磁束制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の電動機のベクトル制御装置。
  3. 前記磁束指令生成部は、
    前記一定磁束制御により生成された磁束指令と、前記変調率が前記第一の閾値となるように前記電動機における界磁磁束を減らして回転数を上げる制御により生成された磁束指令とのうち小さい方を出力することを特徴とする請求項に記載の電動機のベクトル制御装置。
  4. 電気車を駆動する車両駆動システムであって、
    請求項1から請求項のいずれか1つに記載の電動機のベクトル制御装置と、
    前記ベクトル制御装置により制御される電力変換器と、
    前記電力変換器への入力とする直流電力を生成する入力回路と、
    前記電力変換器により駆動される電動機と、
    を備えることを特徴とする車両駆動システム。
  5. 前記電力変換器が備えるスイッチング素子とダイオード素子のうち少なくとも一方はワイドバンドギャップ半導体によって形成されている、ことを特徴とする請求項に記載の車両駆動システム。
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