本発明は、皮膚等を穿刺する穿刺装置、穿刺装置を用いる血液検査装置及び穿刺方法に関する。
糖尿病患者は、定期的に血糖値を測定し、この測定した血糖値に基づいてインスリンを注射し、血糖値を正常に保つ必要がある。この血糖値を正常に保つため、血糖値を常時測定する必要がある。そのため、患者は、血液検査装置を用いて指先等の皮膚に穿刺し、皮膚から滲出した少量の血液を採取し、この採取した血液から血糖値等の成分を分析する。
従来の血液検査装置として、特許文献1及び特許文献2に開示されたものが知られている。以下、特許文献1に開示された血液検査装置を用いた血液検査の手順について説明する。
まず、患者は、血液検査装置に一方の手の指(例えば左手の人差し指)を当接させ、他方の手(例えば右手)で血液検査装置の穿刺釦を押してランセットから穿刺針を発射させることにより皮膚に穿刺し、当該皮膚の表面上に血液の液滴を形成させる。次に、患者は、血液検査装置の内部に設置されたカートリッジに積層収納された血液センサの一つを、手動で当該穿刺位置近傍まで搬送して血液に接触させる。これにより、血液検査装置は、血液センサに取り込まれた血液の成分を分析する。
以下、従来の穿刺装置の一例として血液検査装置を用いて説明する。
図1は、特許文献1記載の血液検査装置の構成を示す断面図である。
図1において、血液検査装置1は、略直方体形状をした筐体2と、筐体2内に設けられたカートリッジ3と、カートリッジ3に積層収納された血液センサ4と、カートリッジ3に設けられた血液センサ出口3aと、血液センサ出口3aから搬出された血液センサ4aが装着される穿刺部5と、穿刺部5に対向して設けられるとともに穿刺針6aで皮膚9を穿刺する針穿刺手段6と、穿刺部5へ搬送された血液センサ4aと電気的に接続される電気回路部7と、カートリッジ3に収納された血液センサ4を一枚ずつ穿刺部5へ搬送する搬送手段8とが筐体2内に収納されている。
また、筐体2の表面には、穿刺針6aを発射させる穿刺ボタン6bと、搬送手段8を駆動させる搬送ボタン8aとが設けられる。なお、近年においては負圧手段(図示せず)を設け、この負圧手段を用いて穿刺部5近傍に負圧を加え血液10の滲出を助長するものもある。
図2は、上記血液検査装置1を用いた検査方法を示すフローチャートである。図3は、上記血液検査装置1の使用状態を説明する図である。
まず、ステップS1では、血液検査装置1を例えば右手(図3参照)で持って、穿刺部5を左手の人差し指の皮膚9に当接させる。
ステップS2では、右手の親指で穿刺ボタン6bを押下する。穿刺ボタン6bの押下によりステップS3に移行する。
ステップS3では、左手の人差し指の皮膚9を穿刺する。穿刺された皮膚9からは血液10が滲出する。
ステップS4では、血液10が十分滲出したことを確かめる。ユーザは、血液10が十分滲出したタイミングを見計らって、穿刺部5と左手の人差し指の位置関係を一定に保った状態で、右手の中指で搬送ボタン8aを押下する。搬送ボタン8aが押下されるとステップS5に移行する。
ステップS5では、搬送手段8が駆動されて血液センサ4aが穿刺部5へ搬送される。そして、皮膚9から滲出した血液10を血液センサ4a内に取り込む。
ステップS6では、血液センサ4a内に取り込まれた血液10の性質を電気回路部7で測定して本フローを終了する。
ユーザは、穿刺ボタン6bを押下した後、血液検査装置1が皮膚9から動かないように状態を保持しつつ、何れかの指を使って搬送ボタン8aを押下する。皮膚から動かないように状態を保持する理由は、滲出した血液10を目がけて血液センサ4aの一部(血液導入部)を当接させるためである。もしここで、指(皮膚9)を動かしてしまうと、血液センサ4aを当接させるためには多量の血液10が必要となり、確実性も下がり、患者に多大な負担をかけることになる。
なお、負圧手段を用いて血液の滲出を助長する血液検査装置においては、更に、この負圧手段を駆動するための負圧ボタンの押下タイミングと穿刺ボタン6bの押下タイミングとを管理する必要がある。
特表2004−519302号公報
特開2003−339680号公報
しかしながら、このような従来の血液検査方法にあっては、血液検査装置1を持ったまま、穿刺ボタン6bを押下しつつ、この状態を保ちながら血液10の滲出の状態を観察しなければならない。そして、血液10の滲出量が適当であると判断したタイミングで、血液検査装置1を動かさない状態を維持して搬送ボタン8aを押下しなければならない。
このため、ボタン押下のタイミングを取ることが非常に難しく確実性に劣る問題があった。その上、負圧手段を有する穿刺装置を用いた場合には、負圧ボタンの適正な押下タイミングも加わり、更にタイミング管理は煩雑なものとなる。
本発明は、このような問題を解決したもので、穿刺のためのタイミング管理が容易な穿刺装置、血液検査装置及び穿刺方法を提供することを目的とする。
本発明の穿刺装置は、筐体と、前記筐体内に設けられた穿刺手段と、皮膚が所定穿刺位置に接触したことを検出する第1の皮膚検出手段と、前記第1の皮膚検出手段による皮膚接触検出後、前記皮膚の盛り上がりを検出する第2の皮膚検出手段と、前記第2の皮膚検出手段により前記皮膚の盛り上がりを検出したとき、該盛り上がった皮膚に対して前記穿刺手段による穿刺を実行させる制御手段と、を備える構成を採る。
本発明の血液検査装置は、血液センサを介して皮膚を穿刺する穿刺手段を備え、穿刺により前記血液センサに滲出した血液を検査する血液検査装置であって、前記穿刺手段は、上記に記載の穿刺装置を用いる構成を採る。
本発明の穿刺方法は、皮膚が筐体の所定穿刺位置に接触したことを検出するステップと、前記皮膚接触検出後、前記皮膚の盛り上がりを検出するステップと、前記皮膚の盛り上がりを検出したとき、該盛り上がった皮膚に対して穿刺を実行するステップとを有する。
本発明の穿刺方法は、皮膚が筐体の所定穿刺位置に接触したことを検出するステップと、前記皮膚接触検出後、前記筐体内を負圧にして、前記皮膚を盛り上げるステップと、前記皮膚の盛り上がりを検出するステップと、前記皮膚の盛り上がりを検出したとき、該盛り上がった皮膚に対して穿刺を実行するステップとを有する。
本発明の穿刺方法は、皮膚が筐体の所定穿刺位置に接触したことを検出するステップと、前記皮膚接触検出後、前記筐体内を負圧にして、前記皮膚を盛り上げるステップと、レーザ光を発射するためのコンデンサの電荷チャージを開始するステップと、前記コンデンサへの電荷チャージが完了したことを検出するステップと、前記皮膚の盛り上がりを検出するステップと、前記皮膚の盛り上がりを検出し、かつ前記チャージ完了を検出したとき、該盛り上がった皮膚に対してレーザ光による穿刺を実行するステップとを有する。
本発明によれば、穿刺に適したタイミングで自動的に穿刺を行うことができ、確実に穿刺を行うことができる。また、自動的に行われるので操作は極めて容易となる。特に、負圧手段を有する穿刺装置であっても穿刺に適したタイミングで自動的に穿刺を行うことができる。その結果、不慣れな患者であっても確実に穿刺を行うことができ、一回の穿刺で検査が完了する効果を期待することができる。
従来の血液検査装置の断面図
従来の血液検査装置の検査方法のフロー図
従来の血液検査装置の使用状態の説明図
本発明の実施の形態1に係る血液検査装置の構成を示す透視平面図
上記実施の形態1に係る血液検査装置のカートリッジに積層収納される血液センサの断面図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の血液センサの透視平面図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の血液センサの外観斜視図
上記実施の形態1に係る血液検査装置のカートリッジの透視平面図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の穿刺手段の一例であるレーザ発射装置の断面図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の保持部を構成する第1のホルダの側面図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の保持部を構成する第1のホルダの外観斜視図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の保持部を構成する第2のホルダの側面から見た断面図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の血液検査装置を用いた穿刺・測定動作実施時の保持部とその近傍の要部断面図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の穿刺装置のみで構成する場合の電気回路部とその周辺のブロック図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の電気回路部とその周辺のブロック図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の穿刺装置における穿刺方法を示すフロー図
上記実施の形態1に係る血液検査装置における検査方法を示すフロー図
本発明の実施の形態2に係る穿刺装置の穿刺深さを決める基準位置を説明する図
上記実施の形態2に係る穿刺装置の穿刺深さを決める基準位置を説明する図
上記実施の形態2に係る穿刺装置の皮膚の盛り上がり検知方法を説明する図
上記実施の形態2に係る穿刺装置の皮膚の盛り上がり検知方法を説明する図
上記実施の形態2に係る穿刺装置の皮膚の盛り上がり検知方法を説明する図
上記実施の形態2に係る穿刺装置の皮膚の盛り上がり検知方法を説明する図
上記実施の形態2に係る穿刺装置の皮膚の盛り上がり検知方法を説明する図
本発明の実施の形態2に係る穿刺装置における穿刺測定方法を示すフロー図
本発明の実施の形態3に係る穿刺装置の穿刺準備が完了しない場合の不具合発生時の穿刺測定方法を示すフロー図
上記実施の形態3に係る穿刺装置の穿刺・測定がうまくいかない場合の不具合発生時の穿刺測定方法を示すフロー図
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施の形態の説明では、血液検査装置の使用時を基準に、上下等の方向を定めて説明する。図4において、上方向が使用時の上方向である。
(実施の形態1)
図4は、本発明の実施の形態1に係る血液検査装置の構成を示す透視平面図である。本実施の形態は、血液センサを介して皮膚を穿刺する穿刺装置を備える血液検査装置に適用した例である。
図4において、血液検査装置21は、筐体22の内部に、カートリッジ24と、保持部25と、レーザ発射装置26と、電気回路部27と、負圧手段28と、電池29と、搬送手段30と、を有する。
筐体22は、本体部22aと蓋体22bとを有する。蓋体22bは、支点22cを中心として本体部22aと回動自在に連結される。蓋体22bの回動は、筐体22が閉じられた状態、すなわち支点22cの反対端が本体部22aに接触した状態で停止する。また、蓋体22bは、本体部22aと蓋体22bとの開閉角度が約30度の開角の第1停止位置、及び、本体部22aと蓋体22bとの開閉角度が約90度の開角の第2停止位置で停止する。蓋体22bの開閉は、本体部22aの一方の辺22dに設けられた蓋検知センサ22eにより検知される。
穿刺手段の一例であるレーザ発射装置26は、患者の皮膚が後述する負圧室28aの第1の皮膚検知センサ28bに接触したことを穿刺準備のトリガとして、後述する様々の穿刺準備が完了すると、それぞれの穿刺準備の完了を示す電気信号が電気回路部27内の制御部27g(図15参照)に入力される。
カートリッジ24は、本体部22aに着脱自在に装着され、血液センサ23を積層収納する。蓋体22bを前記第2停止位置に停止させておくことにより、カートリッジ24の交換を容易に行うことができる。なお、カートリッジ24の内部構成の詳細については後述する。
保持部25は、上側に設けられた第1のホルダ25aと、第1のホルダ25aに対向して設けられ、下側に設けられた第2のホルダ25bとから構成されている。第1のホルダ25aは、本体部22aの側面に固定されており、第2のホルダ25bは、バネ25cで第1のホルダ25a側へ付勢されている。カートリッジ24のセンサ出口24aから搬送された一枚の血液センサ23は、この第1のホルダ25aと第2のホルダ25bに挟まれて固定される。
第1のホルダ25aは本体部22aに固定されており、レーザ発射装置26も本体部22aに固定されているので、レーザ発射装置26から第2のホルダ25bまでの距離は一定となる。従って、穿刺深さも設定通りの値の穿刺が可能となる。なお、これは第2のホルダ25bを固定して、第1のホルダ25aをバネで付勢しても同じことになる。
また、保持部25の下方には、負圧手段28から負圧路28cを介して連結された負圧室28aが形成されている。更に、この負圧室28aに隣接して皮膚9(後述する図13参照)を検知する第1の皮膚検知センサ28b(穿刺準備開始の一例)が保持部25を構成する第2のホルダ25bの下面に設けられている。保持部25の詳細については、図10及び図11により後述する。
穿刺手段の一つであるレーザ発射装置26は、保持部25の奥の位置(図4において、上方向)に装着され、レーザ光26hを発射することにより、保持部25に当接された患者の皮膚を穿刺する。なお、レーザ光26hを発射する際、蓋体22bを開角約30度の第1停止位置に停止させておくことにより、レーザ光26hが、蓋体22bの一部に当たることにより、外部へ洩れることが無く安全性が保たれる。
なお、本実施の形態においては、穿刺手段としてレーザ発射装置26を用いたが、これはレーザ発射装置26に限ることはなく、穿刺針を用いた針穿刺装置を用いてもよい。
電気回路部27は、血液センサ23、第1の皮膚検知センサ28b、第2の皮膚検知センサ28f、レーザ発射装置26及び負圧手段28と電気的に接続されている。そして、電気回路部27は、穿刺準備が完了すると、レーザ発射装置26からレーザ光26hを発射させる。また、電気回路部27は、血液センサ23に採取された血液の成分を分析する。さらに、電気回路部27は、所定のタイミングで負圧手段28により負圧を発生させる。
負圧手段28は、保持部25近傍とカートリッジ24内を負圧にする。
負圧手段28で生成された負圧は、負圧路28cを介して保持部25の負圧室28aへ導かれる。また、負圧路24fを介してカートリッジ24へ導かれている。負圧路28cと負圧路24fとの負圧の切り替えは、切り替え弁28dで行われる。この切替え弁28dの制御と、負圧手段28のオン・オフの制御は電気回路部27内の制御部27gで制御される。また、負圧手段28は、電流の変化を検出する電流変化検出部28g(後述する図14,図15参照)を有している。
電池29は、レーザ発射装置26、電気回路部27及び負圧手段28に電源を供給する。
搬送手段30は、カートリッジ24内に積層収納された血液センサ23の中の一枚を分離して、保持部25へ搬送する。
搬送手段30は、電気回路部27に接続されたモータ30aと、モータ30aからギア30b,30c,30d,30eを介して連結された円柱体30fとから構成される。円柱体30fの表面には、螺旋状の溝30gが形成されており、スライダ24kに形成された突起24mは、螺旋状の溝30gへ滑動可能に挿入されている。
従って、モータ30aの回転は、ギア30b,30c,30d,30eを介して円柱体30fを回転させる。円柱体30fの回転運動により、溝30gへ挿入された突起24mが円柱体30f上を直線運動しながら移動する。すなわち、スライダ24kが移動して血液センサ23を、センサ出口24aから搬出して保持部25へ装着させる。
図5は、カートリッジ24に積層収納される血液センサ23の断面図である。
図5において、血液センサ23は、基板31と、この基板31の上面に貼り合わされたスペーサ32と、このスペーサ32の上面に貼り合わされたカバー33と、により構成されており、その形状は板体形状をしている。
血液センサ23には、血液を貯留するための開口孔34が、血液センサ23が保持部25内に装着された際にレーザ光26hが通過する位置に設けられる。
開口孔34は、基板31に形成された基板孔31a、スペーサ32に形成されたスペーサ孔32a及びカバー33に形成されたカバー孔33aから構成される開口孔である。
血液10の供給路35は、開口孔34に一方の端が連結され、開口孔34に溜められた血液10を毛細管現象で検出部37に導く導入路である。また、この供給路35の他方の端は空気孔38に連結している。開口孔34の容積は約1μLであり、供給路35の容積は約0.15μLとしている。このように、少量の血液10で検査することを可能とすることにより、患者への負担を軽減することができる。
位置決め孔36は、血液センサ23を貫通して設けられ、血液センサ23の装着位置を決める。
検出部37は、血液10の血糖値等を検出する。
試薬40は、検出部37上に載置され、0.01〜2.0wt%CMC水溶液に、PQQ−GDHを0.1〜5.0U/センサ、フェリシアン化カリウムを10〜200mM、マルチトールを1〜50mM、タウリンを20〜200mM添加して溶解させて試薬溶液を調整し、これを基板31に形成された検出部37上に滴下し、乾燥させることで形成する。この試薬40は吸湿すると性能の劣化が進行する。
ここで、基板31の上面には、金、白金、パラジウム等を材料として、スパッタリング法あるいは蒸着法により導電層が形成される。導電層をレーザ加工することにより、検出電極41〜45(図6(A)、図6(B)参照)と、この検出電極41〜45から夫々導出された接続電極41a〜45aと識別電極47a(図6(B)の場合)が一体的に形成される。また、基板31、スペーサ32、カバー33の材質には、ポリエチレンテレフタート(PET)が用いられる。材料の共用化を図ることにより、管理コストの低減を図ることができる。
図6は、血液センサ23の透視平面図、図7は血液センサ23の外観斜視図である。図6(A)及び図7(A)は、5電極であって識別電極47aを含まない場合を示し、図6(B)及び図7(B)は識別電極を含む6電極の場合を示す。
以下、血液センサ23について、図6(B)及び図7(B)の6電極の場合を用いて説明する。
血液センサ23の板体の略中央には、開口孔34が形成され、一方の端には接続電極41a〜45aと識別電極47aが形成され、他方の端近傍には位置決め部36が形成される。位置決め部36は、孔形状であり開口孔34側が狭まった台形形状を為す。この位置決め部36と開口孔34との間に空気孔38が形成される。
開口孔34には、一方の端が接続された供給路35が検出電極42に向かって設けられている。そして、この供給路35の他方の端は空気孔38に連結している。
供給路35上には、開口孔34から順に、接続電極44aに接続された検出電極44、接続電極45aに接続された検出電極45、再度、接続電極44aに接続された検出電極44、接続電極43aに接続された検出電極43、接続電極41aに接続された検出電極41、再度、接続電極43aに接続された検出電極43、接続電極42aに接続された検出電極42が設けられる。また、検出電極41,43上には、試薬40(図5参照)が載置される。検出電極43と識別電極47aとの間に、導電体パターンで形成された識別部47が形成される。
血液検査装置21(図5参照)は、接続電極43aと識別電極47a間の電気的な導通があるか否かを検知して、血液センサ23が保持部25に装着されたか否かを識別することができる。すなわち、血液検査装置21は、搬送手段30により血液センサ23を保持部25に搬送したとき、電気的な導通がなければ、血液センサ23が保持部25に装着されていない旨の警告を、表示部50(図15参照)に表示することができる。
また、識別部47の電気抵抗値を変えることにより、使用する検量線の情報を格納したり、製造情報を格納したりすることができる。したがって、これらの情報を用いて、より精密な血液検査を行うことができる。
図6(A)は、図6(B)の6極より1つ極数が少ない5極の場合であり、識別電極47aを搭載しない場合を示している。作用極及び対極(後述)以外の検出電極など血液成分の測定に使用しない電極の一つに識別電極を割り当てて5極にすることもできる。図6(A)の5極の場合も図6(B)の6極の場合と同様で、接続する電極の数が5極という以外は同じである。図6(B)の6極の場合と同様に電極の自動識別を行うことができる。
また、図6及び図7の血液センサ23は長方形の板体で形成されているが、血液センサ23形状について限定は無く、血液センサ23形状は正方形でもよく、また四角形以外の多角形又は半円形状などでもよい。
また、位置決め部36の形状について限定は無く、位置決め部36の形状は、四角形、四角形以外の多角形、半円形状、円形状又は楕円形状の孔でもよい。さらに、図示は省略するが、位置決め部36が孔ではなく、凹部形状でもよい。
次に、カートリッジ24の内部構成について詳細に説明する。
図8は、カートリッジ24の透視平面図である。
図8において、ケース24bは、樹脂で形成され、ケース24b内にはセンサ室24c及び乾燥室24dが設けられる。センサ室24cには血液センサ23が積層収納される。また、乾燥室24d内には乾燥剤54が収納される。
センサ室24cの上方に形成される負圧路24fは、負圧手段28(図示略)と繋がり、負圧をセンサ室24c内に供給してセンサ室24c内の湿気を低減させる。バネ24jは、押さえ板24gを介して、積層収納された血液センサ23を下方へ付勢する。押さえ板24gの略中央には、血液センサ23の開口孔34に連通する位置に孔24hが設けられる。
従って、負圧路24fから導入される負圧は、この孔24hを介して各血液センサ23の開口孔34内の湿気を低減させ、各血液センサ23内に搭載されている試薬40(図5参照)の湿気による劣化から保護する。
また、乾燥室24dには、乾燥室24d内の負圧の程度を測定する圧力センサ24yが装着される。圧力センサ24yの測定結果に基づいて、適宜負圧口24f経由で、センサ室24c及び乾燥室24dの負圧を予め定められた値以下に制御することができ、血液センサ23を乾燥した状態に保つことができる。
センサ室24cの下方を摺動するスライダ24kは、搬送手段30を形成する一部分であり、このスライダ24kには、突起24mが設けられており、この突起24mは搬送手段30でセンサ出口24a方向へ移動させられる。
センサ室24cの下方には、スライダ24k、突起24m及びバネ(図示略)から成る搬送手段30が形成される。スライダ24kは、平板状に形成され、突起24mに固着される。スライダ24kはカートリッジ24内に積層されている血液センサの一番下の血液センサ23を分離し、センサ出口24aから外部に搬送するものである。
前述では、モータを用いて搬送作業を電動で行う場合を説明したが、患者による手動で行うこともできる。
患者が突起24mを動かすことにより、スライダ24kは、ケース24bの下方に設けられた溝に沿ってセンサ出口24a方向に摺動する。スライダ24kをセンサ出口24a方向に摺動させることにより、一番下の血液センサ23を分離して保持部25(図4参照)へ搬送することができる。また、患者が突起24mから手を離せば、バネ(図示略)の付勢により、スライダ24kは、自動的にケース24b内に戻る。従って、電池29を消耗させることは無い。
シャッタ24nは、センサ出口24aを開閉する。シャッタ24nは、筐体22(図4参照)の蓋体22bを開くことに連動して開く。そして、シャッタ24nを開いた状態で、患者は、突起24mを摺動させることによりスライダ24kに載せた血液センサ23をセンサ出口24aから保持部25(図4参照)へ搬送することができる。
また、シャッタ24nは、蓋体22bを閉じることに連動して閉じる。シャッタ24nでセンサ出口24aを閉じることにより、センサ室24c内は密閉され、負圧を保持する。
図9は、穿刺手段の一つであるレーザ発射装置26の断面図である。
図9において、レーザ発射装置26は、発振チューブ26aと、この発振チューブ26aに連結された筒体26bとで構成される。発振チューブ26a内には、Er:YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ結晶26cと励起光源26dが格納される。
励起光源26dは、電気回路部27に設けられた高電圧発生回路27hに接続されている。この高電圧発生回路27hには、チャージ完了を検出するチャージ完了検出部27m(後述)が設けられている。
発振チューブ26aの一方の端には、透過率が3%〜15%の部分透過鏡26eが装着され、他方の端には透過率が0.5%以下の全反射鏡26fが装着される。部分透過鏡26eの前方の筒体26b内には集光レンズ26gが装着され、レーザ光26hが患者の皮膚9表面近傍の位置に焦点を結ぶように集光レンズ26gが配置されている。
以上のように構成されたレーザ発射装置26について動作を説明する。第1の皮膚検知センサ28b(図4参照)が皮膚9を検知すると、予め定められた時間の経過をタイマ27k(後述する図14参照)により計測された(穿刺準備完了の第1の例)時点、あるいは、負圧手段28へ供給する電流の変化を電流変化検出部28gが検出した(穿刺準備完了の第2の例)時点の2つの時点の何れかと、高電圧発生回路27h経由でコンデンサへ十分なチャージがされたことをチャージ完了検出部27m(後述)が検出した時点(穿刺準備完了の第3の例)により、コンデンサにチャージされたエネルギを高電圧発生回路27h(後述する図14及び図15参照)により、励起光源26dに供給し、励起光を放射する。
この励起光源26dから放射された励起光は、Er:YAGレーザ結晶26c内に入り、ドープされたレーザ動作物質(本例ではエルビウムEr)を励起させて光を発生させ発生した光は、全反射鏡26fとYAGレーザ結晶26cと部分透過鏡26eの間を反射して共振するとともに増幅される。この増幅されたレーザ光の一部は部分透過鏡26eを透過する。この部分透過鏡26eを透過したレーザ光26hは集光レンズ26gを透過し、レーザ発射装置26から出射され、皮膚9表面近傍の位置で焦点を結ぶ。穿刺する際の焦点の深さは、皮膚9から0.6mm〜1.5mmが適しており、本実施の形態では0.8mmとしている。
本実施の形態では、患者の皮膚9へ非接触で穿刺できるレーザ発射装置26を用いているので、針方式穿刺手段における使用済みの針の廃棄や交換時の危険性はなく非常に衛生的である。また、可動部品も無く故障も少なくなる。
次に、保持部25の構成について詳細に説明する。
図10は、保持部25を構成する第1のホルダ25aの側面図であり、図11はそれを下面25e側から見た第1のホルダ25aの外観斜視図である。
図11(A)は、5電極用の場合を示し、図11(B)は6電極の場合を示す。図11(A)と図11(B)とは、コネクタ49の極数が異なる以外は共通である。以下、第1のホルダ25aについて、図10及び図11(B)の6電極の場合を用いて説明する。
第1のホルダ25aには、上面25fから下面25eへ貫通する孔25gが、レーザ光26hが通過する位置に設けられる。なお、レーザ発射装置26の代わりに針穿刺装置を用いる場合には、この孔25gを穿刺針が通過する。
また、血液センサ23が保持部25内に装着された場合、孔25gは、血液センサ23に設けられた開口孔34(図26、4参照)に対応している。また、この孔25gの下方は、「L」字状に折れ曲がっている。この「L」字状に折れ曲がった先端25hは、血液センサ23に形成された空気孔38に対応している。これは、血液センサ23に形成された供給路の毛細管現象の効果を確実にするためである。また、この孔25gを介して負圧が供給される。
また、図11に示すように、この孔25gの下方には、血液センサ23に形成された供給路35の毛細管現象の効果を確実にするために、切り欠き部25hが設けられる。また、この孔25gを介して負圧が供給される。なお、この孔25gに連通する孔25mが第2のホルダ25bにも設けられる。
開口部25dと孔25gとの間には、突起25jが設けられる。突起25jは、血液センサ23に設けられた位置決め部36に係合して、血液センサ23の水平方向の位置決めをする。突起25jは、孔25g方向に向かって狭まった台形形状を為す。また、突起25jは、開口部25d方向から孔25gに向かって徐々に厚くなる。従って、血液センサ23は、保持部25に挿入されると容易に固定される。
第1のホルダ25aの両側であって孔25gの真横位置には、凸部25kが設けられる。凸部25kは、血液センサ23の幅方向の位置決めをする。また、開口部25dと反対側には、コネクタ49が設けられる。コネクタ49は、血液センサ23の接続電極41a〜45a、識別電極47aと接触し、電気回路部27に接続される。なお、突起25j、凸部25kを、第2のホルダ25bに設けてもよい。
図12は、保持部25を構成する第2のホルダ25bの側面から見た断面図である。
図12に示すように、第2のホルダ25bには、第1のホルダ25aに形成された孔25gに連通する孔25mが設けられている。また、孔25mに連結して、下側に向かって開口した負圧室28aが設けられている。また、負圧室28aに隣接して第1の皮膚検知センサ28bが設けられている。第1の皮膚検知センサ28bは、コネクタ28eを介して電気回路部27に接続されている。
さらに、負圧室28aの上面には、負圧室28aを負圧した時に、盛り上がった皮膚を検知する第2の皮膚検知センサ28fが設けられている。第2の皮膚検知センサ28fは、第1の皮膚検知センサ28bと同様にコネクタ28eを介して電気回路部27に接続される。この場合、コネクタ28eは、1又は複数の接続端子を有することになる。
上記第1の皮膚検知センサ28b、第2の皮膚検知センサ28f及び蓋検知センサ22e(図4参照)は、メカ的なスイッチを用いてもよいし、電気的な導通を検知するものであってもよい。また、発光素子と受光素子を用いた光学的なセンサであってもよく、磁気的なセンサであってもよい。本実施の形態では、第1の皮膚検知センサ28b及び第2の皮膚検知センサ28fは、皮膚9の導通抵抗を検知する電気的なセンサを用い、蓋検知センサ22eは機構的なスイッチを用いている。
なお、皮膚9は、負圧室28aを負圧することで盛り上がるが、これに限らず第2のホルダ25bに皮膚を強く押圧する場合も含む。説明の便宜上、負圧室28aと呼称しているが、負圧を用いない場合もある。
図13は、血液検査装置21を用いた穿刺・測定動作実施時の保持部とその近傍の要部断面図である。
図13に示すように、第2のホルダ25bの下面には負圧室28aが形成され、負圧室28aは第2のホルダ25bに形成された孔25mと血液センサ23の開口孔34と第1のホルダ25aの孔25gを介して負圧手段28(図4参照)に接続されている。負圧室28aの周囲を形成する第2のホルダ25bの凸部下面には第1の皮膚検知センサ28bが設けられる。
また、負圧室28aを形成する第2のホルダ25bの凹部の上面には、第2の皮膚検知センサ28fが設けられている。ここで、第1の皮膚検知センサ28b及び前記第2の皮膚検知センサ28fは、1又は2以上の複数の点でもよく、孔25mの下側を取り巻くようなリング状をしていてもよい。
第1のホルダ25aは、コネクタ49(49a〜49f)を備え、コネクタ49(49a〜49f)は血液センサ23に形成された接続電極41a〜45a、識別電極47a(図6(B)参照)対応して設けられている。接続電極41a〜45a、識別電極47aの信号はコネクタ49を介して電気回路部27へ導かれる。
レーザ発射装置26から発射されたレーザ光26hは、第1のホルダ25aの孔25g、血液センサ23の開口孔34及び第2のホルダ25bの孔25mを一直線上に貫通して皮膚9を穿刺する。皮膚9が穿刺されると、この皮膚9からは血液10が滲出し、血液滴11aが形成される。
次に、穿刺手段としてレーザ発射装置26を使用した場合における動作について説明する。
血液検査装置21を皮膚9に当接させると、第1の皮膚検知センサ28bから信号が出力される。この第1の皮膚検知センサ28bから出力される信号に基づいて、高電圧発生回路27hが駆動してレーザ発射装置26からはレーザ光26hが発射される。このレーザ光26hは、第1のホルダ25aの孔25gと血液センサ23の開口孔34と第2のホルダ25bの孔25mを一直線上に貫通して皮膚9を穿刺する。皮膚9が穿刺されると、この皮膚9からは血液10が滲出し開口孔34内には血液滴10aが貯留される。この血液滴10aは、毛細管現象により供給路35から導入され検出部37(図5参照)に取り込まれ、試薬40と反応する。試薬40と反応した信号はコネクタ49を介して電気回路部27で測定される。
図14は、穿刺装置20のみで構成する場合の電気回路部27−1とその周辺のブロック図である。
図14において電気回路部27−1は、制御部27gを有し、制御部27gの出力は、レーザ発射装置26が接続された高電圧発生回路27hと、負圧手段28とに接続される。また、制御部27gの入力には、蓋体22bの開閉を検知する蓋検知センサ22eと、前記高電圧発生回路27hのチャージ完了を検出するチャージ完了検出部27mと、第1の皮膚検知センサ28bと、第2の皮膚検知センサ28fと、負圧手段28へ供給する電流の変化を検出する電流変化検出部28gと、タイマ27kとが接続されている。
図15は、血液検査装置21の電気回路部27−2とその周辺のブロック図である。図14と同一構成部分には同一符号を付している。
図15において、血液センサ23の接続電極41a〜45a、識別電極47a(図8参照)は、コネクタ49a〜49eを介して切換回路27aに接続される。この切換回路27aの出力は、電流/電圧変換器27bの入力に接続される。そして、その出力はアナログ/デジタル変換器(以後、A/D変換器という)27cを介して演算部27dに入力される。この演算部27dの出力は、液晶で形成された表示部50と通信部27e及び制御部27gに入力される。また、切換回路27aには基準電圧源27fが接続されている。なお、この基準電圧源27fはグランド電位であってもよい。
制御部27gは、本発明の検査装置の全体の動作を制御する。この制御部27gの出力は、レーザ発射装置26に接続された高電圧発生回路27hと、切換回路27aの制御端子と、演算部27dと、通信部27eと、負圧手段28と、搬送手段30とに入力される。また、制御部27gの入力には、蓋体22bの開閉を検知する蓋検知センサ22eと、前記高電圧発生回路27hのチャージ完了を検出するチャージ完了検出部27mと、第1の皮膚検知センサ28bと、第2の皮膚検知センサ28fと、演算部27dと、負圧手段28へ供給する電流の変化を検出する電流変化検出部28gと、タイマ27kと、識別電極47aに接続されたコネクタ49fが接続されている。
次に、電気回路部27−2の動作を説明する。
まず、第1の皮膚検知センサ28bが皮膚9を検知すると、負圧手段28を起動して、負圧室28aを負圧する。また、高電圧発生回路27hによりコンデンサへのチャージを開始する。次に、第2の皮膚検知センサ28fが皮膚9の盛り上がりを検知するか、あるいは、予め定められた時間の経過をタイマ27kにより計測された時点か、あるいは、負圧手段28へ供給する電流の変化を電流変化検出部28gが検出した時点の3つの時点のいずれか1つの条件と、高電圧発生回路27h経由でコンデンサへ十分なチャージがされたことをチャージ完了検出部27mが検出した条件により、レーザ発射装置26が皮膚9を穿刺する。
そして、穿刺により滲出した血液10の性質を測定する。測定動作では、切換回路27aを切換えて、検出電極41(図6参照)を電流/電圧変換器27bに接続する。また、血液10の流入を検知するための検知極となる検出電極42を基準電圧源27fに接続する。そして、検出電極41及び検出電極42間に一定の電圧を印加する。この状態において、血液10が流入すると、検出電極41,42間に電流が流れる。この電流は、電流/電圧変換器27bによって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器27cによってデジタル値に変換される。そして、演算部27dに向かって出力される。演算部27dは、そのデジタル値に基づいて血液10が十分に流入したことを検出し、制御部27gに検出したことを出力する。
なお、この時点で制御部27dからの指令で、負圧手段28の動作をオフにする。
次に、血液成分であるグルコースの測定が行われる。グルコース成分量の測定は、まず、制御部27gの指令により、切換回路27aを切換えて、グルコース成分量の測定のための作用極となる検出電極41を電流/電圧変換器27bに接続する。また、グルコース成分量の測定のための対極となる検出電極43を基準電圧源27fに接続する。
なお、例えば血液中のグルコースとその酸化還元酵素とを一定時間反応させる間は、電流/電圧変換器27b及び基準電圧源27fをオフにしておく。そして、一定時間(1〜10秒)の経過後に、制御部27gの指令により、検出電極41と43間に一定の電圧(0.2〜0.5V)を印加する。そうすると、検出電極41,43間に電流が流れる。この電流は電流/電圧変換器27bによって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器27cによってデジタル値に変換されて、演算部27dに向かって出力される。演算部27dはそのデジタル値を基にグルコース成分量に換算する。
次に、グルコース成分量の測定後、Hct値の測定が行われる。Hct値の測定は次のように行われる。まず、制御部27gからの指令により切換回路27aを切換える。そして、Hct値の測定のための作用極となる検出電極45を電流/電圧変換器27bに接続する。また、Hct値の測定のための対極となる検出電極41を基準電圧源27fに接続する。
次に、制御部27gの指令により、電流/電圧変換器27b及び基準電圧源27fから検出電極45と41間に一定の電圧(2V〜3V)を印加する。検出電極45と41間に流れる電流は、電流/電圧変換器27bによって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器27cによってデジタル値に変換される。そして演算部27dに向かって出力される。演算部27dはそのデジタル値に基づいてHct値に換算する。
この測定で得られたHct値とグルコース成分量を用い、予め求めておいた検量線又は検量線テーブルを参照して、グルコース成分量をHct値で補正し、その補正された結果を表示部55に表示する。この検量線又は検量線テーブルは、血液センサ23内の識別部47に基づいて決定する。また、検量線又は検量線テーブルで補正された結果を通信部27eからインスリンを注射する注射装置に向けて送信する。この送信は電波を用いることもできるが、医療器具への妨害のない光通信で送信することが好ましい。
このように補正された測定データを通信部27eから送信することにより、インスリンの投与量が注射装置に自動的に設定されるようにすれば、患者が投与するインスリンの量を注射装置に設定する必要は無く、設定の煩わしさは無くなる。また、人為手段を介さずにインスリンの量を注射装置に設定することができるので、設定のミスを防止することができる。
以上、グルコースの測定を例に説明したが、血液センサ23の試薬40を交換して、グルコースの測定の他に乳酸値やコレステロールの血液成分の測定にも適用できる。
次に、穿刺装置20(図示せず)のみで構成した場合の動作手順を説明する。
穿刺装置20は、上記血液検査装置21の内、レーザ発射装置26、負圧手段28、蓋体22b、第2のホルダ25bを備えた構成である。
図16は、穿刺装置20における穿刺方法を示すフローチャートである。制御部27gは、マイクロプロセッサ等から構成されており、本フローはこのマイクロプロセッサにより所定タイミングで繰り返し実行される。
まず、ステップS11では、蓋検知センサ22eは、穿刺装置20の蓋体22bの開放を検知する。なお、穿刺装置20の蓋体22bが開放されなければ、このまま待機する。蓋検知センサ22eによる検知信号は、制御部27gに入力される。制御部27gは、この検知信号を受けて穿刺装置20の電源をオンし、表示部50(図15参照)に、保持部25へ皮膚9の当接を促す旨の表示を行う。表示に続いてステップS12に移行する。
ステップS12では、第1の皮膚検知センサ28bは、患者が表示部50の指示に従い穿刺装置20を患者の皮膚9に当接させたか否かを検知する。穿刺装置20の皮膚9への当接がなければ、当接されるまで待つ。皮膚検知センサ28bが皮膚9への当接を検知した場合は、ステップS13に移行する。
ステップS13では、制御部27gは、負圧手段28を動作させ、保持部25に設けられた負圧室28a内に負圧を加える。また、制御部27gは、高電圧発生回路27hによりチャージを開始する。
負圧を加えることにより、図13に示すように皮膚9は盛り上がる。
ステップS14では、制御部27gは、穿刺準備が完了したか否かを判別する。具体的には、制御部27gは、以下の各条件を満たすことで穿刺準備完了を判別する。すなわち、制御部27gは、盛り上がった皮膚9を検知する第2の皮膚検知センサ28fの出力情報、負圧手段28の動作に伴う負圧手段28の電流の変化を検知する電流変化検出部28gの出力情報、あるいはタイマ27kにより予め定められた時間(1〜10秒)の経過のいずれか一つの第1情報と、高電圧発生回路27hによるチャージの完了(1〜10秒)を検出するチャージ完了検出部27mの出力に基づいた第2情報とを満足した場合には、穿刺準備完了とし、第1情報と第2情報とを満足しない場合は、穿刺準備完了でないと判断して穿刺準備完了となるまで待つ。穿刺準備完了の場合は、ステップS15(穿刺ステップ)に移行する。
ステップS15では、制御部27gは、レーザ発射装置26により皮膚9を穿刺する。この皮膚9の穿刺により、皮膚9から滲出した血液10は、別の測定器で検査することができる。皮膚9を穿刺後、ステップ16に移行する。
ステップS16では、制御部27gは、負圧手段28を穿刺後、所定時間が経過した後に停止させる。負圧停止後、ステップS17に移行する。
ステップS17では、穿刺装置20の蓋体22bの閉状態を、蓋検知センサ22eで検知する。制御部27gは、この検知信号を受けて穿刺装置20の電源をオフし、本フローを終了する。なお、穿刺装置20の蓋体22bの閉状態を検知できない場合は、このまま待機する。
次に、血液検査装置21の検査方法を説明する。
図17は、血液検査装置21における検査方法を示すフローチャートである。
まず、ステップS21では、蓋体22bを開放する。これに連動してカートリッジ24に設けられたセンサ出口24aのシャッタ24nを開く。この時、蓋検知センサ22eは、穿刺装置20の蓋体22bの開放状態を検知する。蓋検知センサ22eによる検知信号は、制御部27gに入力され、制御部27gは、この検知信号を受けて穿刺装置20の電源をオンする。その後、ステップS22移行する。なお、穿刺装置20の蓋体22bの開放状態が検知されなければ、このまま待機する。
ステップS22では、制御部27gは、搬送手段30を駆動し、血液センサ23を保持部25の第1のホルダ25aと第2のホルダ25bに挟持させ、固定させる。この搬送完了の確認は、保持部に固定された血液センサ23の接続電極43aと識別電極47aの導通を検知することにより行う。制御部27gは、この導通の検知により、表示部50(図15参照)に保持部25へ皮膚9の当接を促す旨の表示を行う。表示に続いてステップS23へ移行する。
ステップS23では、患者は、表示部50の指示に従い、穿刺装置20を皮膚9に当接する。第1の皮膚検知センサ28bは、前記当接を検知する。皮膚検知センサ28bが皮膚9への当接を検知した場合は、ステップS24に移行する。
ステップS24では、制御部27gは、負圧手段28を動作させ、保持部25に設けられた負圧室28a内に負圧を加える。また、制御部27gは、高電圧発生回路27hによりチャージを開始し、ステップS25へ移行する。
なお、負圧を加えることにより、図13に示すように皮膚9は盛り上がる。
ステップS25では、制御部27gは、穿刺準備が完了したか否かを判別する。具体的には、制御部27gは、以下の各条件を満たすことで穿刺準備完了を判別する。すなわち、制御部27gは、盛り上がった皮膚9を検知する第2の皮膚検知センサ28fの出力情報、負圧手段28の動作に伴う負圧手段28の電流の変化を検知する電流変化検出部28gの出力情報、あるいはタイマ27kにより予め定められた時間(1〜10秒)の経過のいずれか一つの第1情報と、高電圧発生回路27hによるチャージの完了(1〜10秒)を検出するチャージ完了検出部27mの出力に基づいた第2情報とを満足した場合には、穿刺準備完了とし、第1情報と第2情報とを満足しない場合は、穿刺準備完了でないと判断して穿刺準備完了となるまで待つ。穿刺準備完了の場合は、ステップS26に移行する。
ステップS26では、制御部27gは、レーザ発射装置26により皮膚9を自動的に穿刺する。この皮膚9の穿刺により、皮膚9から滲出した血液10は、別の測定器で検査することができる。皮膚9を穿刺後、ステップS27に移行する。
ステップS27では、制御部27gは、負圧手段28を停止するとともに、測定を行う。測定は、以下の通りである。皮膚9の穿刺により、滲出した血液10は血液センサ23の開口孔34に取り込まれる(図13参照)。この開口孔34に取り込まれた血液10は、供給路35による毛細管現象により検出部37に導入されて、血糖値が測定され、ステップS28に移行する。なお、この血糖値の測定が終了した時点、又は血液10が検出電極42へ到達した時点で、負圧手段28をオフするようにしてもよい。
ステップS28では、測定した血糖値の測定結果を表示部55に表示し、ステップS29に移行する。なお、この血糖値の測定結果は、通信部27eから注射装置などの他の機器に向かって自動的に送信してもよい。
ステップS29では、蓋検知センサ22eは、穿刺装置20の蓋体22bの閉状態を検知する。患者の蓋体22bを閉じる動作に伴って、カートリッジ24のシャッタ24nが連動することで、センサ出口24aは閉じられる。蓋検知センサ22eは、蓋体22bの閉状態を検知し、制御部27gに通知後、ステップS30に移行する。
ステップS30では、制御部27gは、蓋検知センサ22eが蓋体22bの閉状態を検知すると、所定の時間、カートリッジ24内を負圧にし、ステップS31に移行する。なお、カートリッジ24内を負圧にする理由は、カートリッジ24内の湿気を除去することにより、血液センサ23の湿気による劣化を軽減するためである。
ステップS31では、制御部27gは、カートリッジ24内を、所定の時間、負圧にした後、前記負圧を停止し、穿刺装置20の電源をオフすることにより、本フローを終了する。
以上詳細に説明したように、患者はステップS21で蓋体22bを開放して、保持部25に皮膚9を当接することのみで、後は自動的に全ての血液検査の動作が適切なタイミングで行われる。従って、操作の煩わしさは無い。
また、穿刺は開口孔34を貫通(図13参照)して行われるので、滲出した血液10は全て開口孔34に溜まることで、滲出した血液10は全て有効に用いられ患者にかける負担は最小のものとなり、確実性も大きく向上する。
(実施の形態2)
実施の形態1は、保持部25に皮膚9を当接するのみで自動的に全ての血液検査の動作を適切なタイミングで実施することが可能になった。
実施の形態2では、穿刺のためのタイミングについてさらに詳細に説明する。
本実施の形態2の穿刺装置20及び血液検査装置21において、「穿刺準備」を以下のように定義する。
(1)穿刺準備
穿刺準備とは、穿刺装置20及び血液検査装置21が、確実な穿刺を行うために、穿刺動作を行う前に行う処理をいう。
具体的には下記の処理である。
a.レーザで穿刺するために必要な電圧をコンデンサに充電し、
b.皮膚の表面を、穿刺深さを決める基準位置にまで盛り上げる。
(2)穿刺準備開始
穿刺準備開始とは、血液検査装置21が、皮膚9が第2のセンサホルダ25bの下部に当接したことを検知して穿刺準備を開始することをいう。
(3)穿刺準備完了
穿刺準備完了とは、コンデンサにレーザで穿刺するために必要な電圧が充電され、かつ、皮膚の表面が、穿刺深さを決める基準位置まで盛り上がっている状態のことをいう。
ここで、穿刺深さを決める基準位置は、レーザ穿刺の場合はレーザビームの焦点位置であり、針穿刺の場合は穿刺針の深さを定めている基準位置である。
図18及び図19は、本発明の実施の形態2に係る穿刺装置の穿刺深さを決める基準位置を説明する図である。図9乃至図13と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
図18において、レーザ発射装置26の筒体26bのレーザ射出口と対向して、第2のホルダ25bの孔25mが配置され、第2のホルダ25b上には血液センサ23が載置される。この血液センサ23は、カートリッジ24内に積層されている血液センサ23の一番下にある血液センサが一枚ずつ分離され、搬送手段30を使って第2のホルダ25b上に搬送されたものである。
第2のホルダ25bには、第1のホルダ25aに形成された孔25gに連通する孔25mが設けられている。また、孔25mに連結して、下側に向かって開口した負圧室28aが設けられている。また、負圧室28aに隣接して第1の皮膚検知センサ28bが設けられ、負圧室28aの上面には、負圧室28aを負圧した時又は皮膚を押圧した時に、盛り上がった皮膚を検知する第2の皮膚検知センサ28fが設けられている。
レーザ発射装置26のレーザ光26hは、患者の皮膚表面近傍の位置で焦点を結ぶように設定される。この例の場合、第2のホルダ25bに形成された孔25mの僅か下側の図18のa.の位置がレーザビームの焦点位置、すなわち穿刺深さを決める基準位置である。
レーザ発射装置26から放射されたレーザ光26hは、集光レンズ26gを透過して集束され、図18のa.の位置で焦点を結ぶ。
図19に示すように、負圧室28aを負圧した時又は皮膚を押圧した時には、皮膚9が盛り上がる。皮膚9は第2のホルダ25bに設けられた第1の皮膚検知センサ28bに接触して、第1の皮膚検知センサ28bが皮膚を検知する一方、さらに盛り上がった皮膚9は負圧室28aの上面に設けられた第2の皮膚検知センサ28fにも接触して、第2の皮膚検知センサ28fが皮膚を検知する。なお、皮膚9は、負圧室28aを負圧にすることで盛り上がるが、これに限らず第2のホルダ25bに皮膚を強く押圧する場合も含む。
レーザ発射装置26から放射されたレーザ光26hは、集光レンズ26gを透過して集束され、盛り上がった皮膚9表面近傍の位置で焦点を結ぶ。穿刺する際の焦点の深さは、皮膚9から0.6mm〜1.5mmが適しており、本実施の形態では0.8mmとしている。
レーザ光26hの焦点位置に、盛り上がった皮膚9の表面があり、確実な穿刺が可能となる。
皮膚の盛り上がりと穿刺準備との関係については、以下に詳述する。
図20乃至図24は、皮膚の盛り上がり検知方法を説明する図である。図18及び図19と同一構成部分には同一符号を付している。
図20は、第2のホルダ25bの側面から見た断面図である。第2のホルダ25bの負圧室28aに隣接して第1の皮膚検知センサ28bが設けられ、負圧室28aの上面に第2の皮膚検知センサ28fが設けられている。皮膚検知センサ28b及び第2の皮膚検知センサ28fは、コネクタ28eを介して電気回路部27(図4参照)に接続される。
図21は、皮膚9が第2のホルダ25b下端に当接せず、第1の皮膚検知センサ28bが皮膚9を検知していない状態である。図21に示すように、第2のホルダ25b上には血液センサ23が載置される。この血液センサ23は、カートリッジ24内に積層されている血液センサ23の一番下にある血液センサが一枚ずつ分離され、搬送手段30を使って第2のホルダ25b上に搬送されたものである。血液センサ23には、穿刺手段の穿刺部を貫通させるための開口孔34が設けられている(図5参照)。またこの開口孔34は、滲出した血液を貯留する機能を持つ。穿刺手段は、レーザ発射装置26を用いる場合はレーザ光26hであり、針穿刺装置を用いる場合は穿刺針である。
図22は、皮膚9が第2のホルダ25b下端に当接し、第1の皮膚検知センサ28bが皮膚9を検知した状態を示す図である。
この状態になることにより穿刺準備が開始される。
図23は、負圧室28aの負圧又は皮膚9の押圧により皮膚盛り上げ動作が開始し、皮膚が盛り上がり始めた状態を示す図である。皮膚9は第1の皮膚検知センサ28bに接触しているが、負圧室28aの上面に設けられた第2の皮膚検知センサ28fにはまだ接触していない。
図24は、負圧室28aの負圧又は皮膚9の押圧の継続により、さらに皮膚が盛り上がり、負圧室28aの上面に設けられた第2の皮膚検知センサ28fに接触して、第2の皮膚検知センサ28fが皮膚を検知する状態を示す図である。
これにより、穿刺準備が完了し、いつでも穿刺が可能になる。
図25は、穿刺装置20における穿刺測定方法を示すフローチャートである。
まず、ステップS41では、蓋検知センサ22eは、穿刺装置20の蓋体22bの開放状態を検知する。蓋検知センサ22eによる検知信号は、制御部27gに入力され、ステップS42に移行する。なお、穿刺装置20の蓋体22bが開放されなければ、このまま待機する。
穿刺装置20の蓋体22bの開放状態を検知すると、ステップS42では、制御部27gは、穿刺装置20の電源をオンにする。また、血液検査装置21の蓋体22bを開けると、これに連動してカートリッジ24に設けられたセンサ出口24aのシャッタ24nが開き、ステップ43に移行する。
ステップS43では、制御部27gは、蓋検知センサ22eの信号を受けて搬送手段30を駆動する。搬送手段30を構成するスライダ24kをセンサ出口24a方向に移動させることにより、積層収納された血液センサ23のうち、一番下の血液センサ23が1枚だけ分離され、センサ出口24aから排出移動され保持部25へ搬送される(図8参照)。この搬送の確認は、血液センサ23の接続電極43aと識別電極47aの導通を検知することにより行うことができる。その後、搬送手段30を構成するスライダ24kはバネ24pの反発力で待機状態に戻り、次のセンサを搬送できる準備が可能となる。搬送された血液センサ23は、保持部25の第1のホルダ25aと第2のホルダ25bにより挟持され、固定され、ステップS44に移行する。
ステップS44では、制御部27gは、皮膚が第2のホルダ25b下端に当接した場合に、制御部27gが、第1の皮膚検知センサ28bによる検知信号を受信し、ステップS45に移行する(図22参照)。
ステップS45では、制御部27gは、負圧手段28により保持部25に設けられた負圧室28a内に負圧を加え、皮膚盛り上げ動作を開始させて、ステップS46に移行する。
ステップS46では、制御部27gは、高電圧発生回路27hにより、レーザ発射装置26のコンデンサへの充電を開始し、ステップS47へ移行する。なお、ステップS45,S46の処理が「穿刺準備」に対応する。
ステップS47では、制御部27gは、高電圧発生回路27hに設けられたチャージ完了検出部27mからのチャージ完了検出信号を基に、コンデンサ充電電圧が所定の設定電圧までチャージされたか否かを判別し、ステップS48へ移行する。なお、この設定電圧は、高電圧発生回路27hが、励起光源26dをレーザ発光させるために必要なコンデンサ充電電圧である。
ステップS48では、制御部27gは、穿刺測定に必要な皮膚の盛り上がりに対して、皮膚が負圧室28aの上面に設けられた第2の皮膚検知センサ28fに接触したことを検知し、ステップS49に移行する。
なお、上記ステップS47でコンデンサ充電電圧が設定電圧までチャージされていない場合、あるいは上記ステップS48で穿刺に必要な皮膚の盛り上がりを検知していない場合は、上記ステップS47に戻り、コンデンサ充電電圧が設定電圧までチャージされ、かつ穿刺に必要な皮膚の盛り上がりとなるまで待機する。
ステップS49では、レーザ出射を行う。具体的には、制御部27gは、レーザ発射装置26にレーザ出射信号を出力し、レーザ発射装置26は、この信号を受けて高電圧発生回路27h(図15参照)を起動する。このとき、レーザ発光に必要なコンデンサ充電電圧は既にチャージされているので、高電圧発生回路27hが駆動してレーザ発射装置26から、レーザ光26hが発射され、ステップS50へ移行する。なお、このレーザ光26hは、孔25gと開口孔34と孔25mを一直線上に貫通して皮膚9を穿刺する。
ステップS50では、電気回路部27は、穿刺により採取した血液10を基に、各種測定を行う。皮膚9が穿刺されると、この皮膚9からは血液10が滲出し開口孔34内には血液滴10aが形成される。この血液滴10aは、供給路35による毛細管現象により検出部37に導入され、試薬40と反応する。試薬40と反応した結果、得られた信号はコネクタ49を介して電気回路部27で測定され、ステップS51へ移行する。なお、試薬40の種類を変えることにより、グルコース測定、乳酸値の測定、又はコレステロールの血液成分の測定など様々な測定が可能である。
ステップS51では、制御部27gは、負圧手段28を停止して、カートリッジ24への負圧を停止し、皮膚盛り上げ動作を停止し、ステップS52へ移行する。なお、負圧手段28の停止と同時に、大気の導入を行ってもよい。
ステップS52では、制御部27gは、測定した血糖値等の測定結果を表示部55に表示して本フローを終了する。なお、この測定結果は、通信部27eから注射装置などの他の機器に向かって送信してもよい。
(実施の形態3)
実施の形態2は、穿刺装置20におけるベストモードの穿刺測定方法について例示した。実施の形態1,2によれば、穿刺装置20を皮膚に当接するだけで適切な穿刺タイミングで自動的に穿刺することが可能になる。しかし、実際には様々な要因により穿刺、又は穿刺測定が適切に行われない場合が発生する。実施の形態3では、不具合発生時の穿刺測定方法について説明する。
不具合発生には、以下の、(1)穿刺準備が完了しない場合と、(2)穿刺・測定がうまくいかない場合とがある。それぞれタイマを用いた所定時間経時により、エラー通知を行ってユーザに不具合発生を知らせる。
まず、(1)穿刺準備が完了しない場合について説明する。
穿刺準備が完了しない場合の例として、ユーザが指(穿刺対象部位)を動かした場合が想定される。
図26は、上記穿刺準備が完了しない場合の不具合発生時の穿刺測定方法を示すフローチャートである。図25のフローと同一処理を行うステップには同一ステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS44で、皮膚が第2のホルダ25b下端に当接した場合は、ステップS61で制御部27gは、タイマT1によるカウントをスタートさせる。その後、ステップS45で制御部27gは、皮膚盛り上げ動作を開始し、ステップS46で制御部27gは、レーザ発射装置26のコンデンサ充電を開始し、ステップS62へ移行する。
ステップS62では、タイマT1のカウントにより所定時間t1(例えば5秒から10秒)が経過したか(T1≧t1)否かを判別する。
所定時間t1が経過していなければ(T1<t1)、制御部27gは、指(穿刺対象部位)を動かしていないと判断してステップS47以下に進み、図25の穿刺測定フローと同様の処理を行う。
上記ステップS62で所定時間t1が経過した(T1≧t1)ときは、制御部27gは、指(穿刺対象部位)を動かしたと判断してステップS63に進む。この場合は、皮膚が第2のホルダ25b下端の第1の皮膚検知センサ28bの接触後、所定時間t1が経過しても第2の皮膚検知センサ28fに接触しない場合である。通常は負圧手段28による負圧又は皮膚の押圧により、皮膚が盛り上がり、所定時間t1内に第2の皮膚検知センサ28fに接触するはずである。所定時間t1経過しても、この第2の皮膚検知センサ28fへの接触が検知されないということは、ユーザが指(穿刺対象部位)を動かした場合が想定される。穿刺準備が完了しない場合の一例である。
ステップS63では、制御部27gは、コンデンサ充電を停止し、ステップS64に移行する。
ステップS64では、制御部27gは、負圧手段28を停止して、カートリッジ24への負圧を停止し、皮膚盛り上げ動作を停止する。なお、負圧手段28の停止と同時に、大気の導入を行ってもよい。
ステップS65では、制御部27gは、ユーザに穿刺準備が完了しない旨のエラー通知を行って、本フローを終了する。エラー通知は、例えば表示部50(図15参照)へのエラー表示がある。また、音声合成LSIを用いた音声ガイダンス、スピーカによる放音、LED表示、あるいはこれらの併用であってもよい。
このように、穿刺準備が完了しない場合には、穿刺準備が開始した後に、ユーザが指を動かすことにより、第2の皮膚検知センサが皮膚の盛り上がりを検知することができないことが想定でき、穿刺準備開始から一定時間(5秒から10秒)経過しても穿刺準備完了しない場合は、エラーをユーザに通知し、再測定を促す。
次に、(2)穿刺・測定がうまくいかない場合について説明する。
穿刺・測定がうまくいかなかったため、測定後、直ぐに再測定を行う場合が想定される。
測定直後は穿刺レーザの温度が上昇しているために、直ぐに穿刺動作を行うと確実な穿刺・測定動作ができない場合がある。そこで、本実施の形態では、測定後すぐに再測定の操作を行っても、装置は次の穿刺準備開始ステップには移らず、かつユーザに対し、しばらく測定ができないので待機するように通知を行う。
図27は、上記穿刺・測定がうまくいかない場合の不具合発生時の穿刺測定方法を示すフローチャートである。図25のフローと同一処理を行うステップには同一ステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS70には、測定した前回の測定結果が表示部55に表示されている。
ステップS71では、制御部27gは、タイマT2によるカウントをスタートさせる。その後、ステップS44に進む。
上記ステップS44で皮膚が第2のホルダ25b下端に当接した場合、ステップS72で制御部27gは、タイマT2のカウントにより所定時間t2(例えば2分から3分)が経過したか(T2≧t2)否かを判別する。
所定時間t2が経過した(T2≧t2)場合、制御部27gは、穿刺動作を行う状態にあると判断してステップS47以下に進み、図25の穿刺測定フローと同様の処理を行う。
上記ステップS72では、所定時間t2が経過していなければ(T2<t2)、ステップS73で、制御部27gはユーザに待機要求する旨の通知を行って上記ステップS44に戻る。待機要求通知は、例えば表示部50(図15参照)へのエラー表示がある。
このように、穿刺・測定がうまくいかなかったため、測定後、直ぐに再測定を行う場合には、測定直後は穿刺レーザの温度が上昇しているために、直ぐに穿刺動作を行うと確実な穿刺・測定動作ができないことが考えられる。よって、このような場合に対しては、測定後すぐに再測定の操作(指をホルダに当てる)を行っても、装置は次の穿刺準備開始ステップには移らず、かつユーザに対し、しばらく測定ができないので待機するよう通知を行う。本実施の形態では、タイマT2を使用して、測定後一定時間(2分〜3分)を過ぎないと再測定ができないようにする。
図26の不具合発生時の穿刺測定方法と図27の不具合発生時の穿刺測定方法とを組合わせてもよい。
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
例えば、上記各実施の形態では、穿刺手段としてレーザ発射装置26を用いたが、本発明はこれに限られず、穿刺手段として穿刺針により穿刺を行う針穿刺装置を用いることもできる。
また、上記各実施の形態では、皮膚の盛り上がりを第2の皮膚検知センサ28fが検知しているが、負圧手段の電流変化を検出する電流検出部で代用してもよい。
また、上記各実施の形態では、皮膚の盛り上がりを負圧手段28の負圧により行っているが、負圧に限らず、皮膚の押圧による膨らみであってもよい。また、負圧室25の名称は、負圧使用に伴う便宜的な呼称に過ぎず、開口部(凹部、空間部)等であってもよい。
また、本実施の形態では穿刺装置、血液検査装置及び穿刺方法という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、装置の名称は検査装置、また方法の名称は穿刺装置の制御方法等であってもよいことは勿論である。
また、上記穿刺装置及び血液検査装置を構成する各部、例えばカートリッジの種類、その数及び接続方法などはどのようなものでもよい。
以上説明した穿刺方法は、この穿刺方法を機能させるためのプログラムでも実現される。このプログラムはコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。
2007年7月18日出願の特願2007−186641の日本出願に含まれる明細書、図面及び要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
本発明は、レーザ発射装置等の穿刺手段により皮膚に穿刺し、皮膚から滲出した血液を採取し、血液の成分を分析する血液検査装置に適用することができる。
本発明は、皮膚等を穿刺する穿刺装置、穿刺装置を用いる血液検査装置及び穿刺方法に関する。
糖尿病患者は、定期的に血糖値を測定し、この測定した血糖値に基づいてインスリンを注射し、血糖値を正常に保つ必要がある。この血糖値を正常に保つため、血糖値を常時測定する必要がある。そのため、患者は、血液検査装置を用いて指先等の皮膚に穿刺し、皮膚から滲出した少量の血液を採取し、この採取した血液から血糖値等の成分を分析する。
従来の血液検査装置として、特許文献1及び特許文献2に開示されたものが知られている。以下、特許文献1に開示された血液検査装置を用いた血液検査の手順について説明する。
まず、患者は、血液検査装置に一方の手の指(例えば左手の人差し指)を当接させ、他方の手(例えば右手)で血液検査装置の穿刺釦を押してランセットから穿刺針を発射させることにより皮膚に穿刺し、当該皮膚の表面上に血液の液滴を形成させる。次に、患者は、血液検査装置の内部に設置されたカートリッジに積層収納された血液センサの一つを、手動で当該穿刺位置近傍まで搬送して血液に接触させる。これにより、血液検査装置は、血液センサに取り込まれた血液の成分を分析する。
以下、従来の穿刺装置の一例として血液検査装置を用いて説明する。
図1は、特許文献1記載の血液検査装置の構成を示す断面図である。
図1において、血液検査装置1は、略直方体形状をした筐体2と、筐体2内に設けられたカートリッジ3と、カートリッジ3に積層収納された血液センサ4と、カートリッジ3に設けられた血液センサ出口3aと、血液センサ出口3aから搬出された血液センサ4aが装着される穿刺部5と、穿刺部5に対向して設けられるとともに穿刺針6aで皮膚9を穿刺する針穿刺手段6と、穿刺部5へ搬送された血液センサ4aと電気的に接続される電気回路部7と、カートリッジ3に収納された血液センサ4を一枚ずつ穿刺部5へ搬送する搬送手段8とが筐体2内に収納されている。
また、筐体2の表面には、穿刺針6aを発射させる穿刺ボタン6bと、搬送手段8を駆動させる搬送ボタン8aとが設けられる。なお、近年においては負圧手段(図示せず)を設け、この負圧手段を用いて穿刺部5近傍に負圧を加え血液10の滲出を助長するものもある。
図2は、上記血液検査装置1を用いた検査方法を示すフローチャートである。図3は、上記血液検査装置1の使用状態を説明する図である。
まず、ステップS1では、血液検査装置1を例えば右手(図3参照)で持って、穿刺部5を左手の人差し指の皮膚9に当接させる。
ステップS2では、右手の親指で穿刺ボタン6bを押下する。穿刺ボタン6bの押下によりステップS3に移行する。
ステップS3では、左手の人差し指の皮膚9を穿刺する。穿刺された皮膚9からは血液10が滲出する。
ステップS4では、血液10が十分滲出したことを確かめる。ユーザは、血液10が十分滲出したタイミングを見計らって、穿刺部5と左手の人差し指の位置関係を一定に保った状態で、右手の中指で搬送ボタン8aを押下する。搬送ボタン8aが押下されるとステップS5に移行する。
ステップS5では、搬送手段8が駆動されて血液センサ4aが穿刺部5へ搬送される。そして、皮膚9から滲出した血液10を血液センサ4a内に取り込む。
ステップS6では、血液センサ4a内に取り込まれた血液10の性質を電気回路部7で測定して本フローを終了する。
ユーザは、穿刺ボタン6bを押下した後、血液検査装置1が皮膚9から動かないように状態を保持しつつ、何れかの指を使って搬送ボタン8aを押下する。皮膚から動かないように状態を保持する理由は、滲出した血液10を目がけて血液センサ4aの一部(血液導入部)を当接させるためである。もしここで、指(皮膚9)を動かしてしまうと、血液センサ4aを当接させるためには多量の血液10が必要となり、確実性も下がり、患者に多大な負担をかけることになる。
なお、負圧手段を用いて血液の滲出を助長する血液検査装置においては、更に、この負圧手段を駆動するための負圧ボタンの押下タイミングと穿刺ボタン6bの押下タイミングとを管理する必要がある。
特表2004−519302号公報
特開2003−339680号公報
しかしながら、このような従来の血液検査方法にあっては、血液検査装置1を持ったまま、穿刺ボタン6bを押下しつつ、この状態を保ちながら血液10の滲出の状態を観察しなければならない。そして、血液10の滲出量が適当であると判断したタイミングで、血液検査装置1を動かさない状態を維持して搬送ボタン8aを押下しなければならない。
このため、ボタン押下のタイミングを取ることが非常に難しく確実性に劣る問題があった。その上、負圧手段を有する穿刺装置を用いた場合には、負圧ボタンの適正な押下タイミングも加わり、更にタイミング管理は煩雑なものとなる。
本発明は、このような問題を解決したもので、穿刺のためのタイミング管理が容易な穿刺装置、血液検査装置及び穿刺方法を提供することを目的とする。
本発明の穿刺装置は、筐体と、前記筐体内に設けられた穿刺手段と、皮膚が所定穿刺位置に接触したことを検出する第1の皮膚検出手段と、前記第1の皮膚検出手段による皮膚接触検出後、前記皮膚の盛り上がりを検出する第2の皮膚検出手段と、前記第2の皮膚検出手段により前記皮膚の盛り上がりを検出したとき、該盛り上がった皮膚に対して前記穿刺手段による穿刺を実行させる制御手段と、を備える構成を採る。
本発明の血液検査装置は、血液センサを介して皮膚を穿刺する穿刺手段を備え、穿刺により前記血液センサに滲出した血液を検査する血液検査装置であって、前記穿刺手段は、
上記に記載の穿刺装置を用いる構成を採る。
本発明の穿刺方法は、皮膚が筐体の所定穿刺位置に接触したことを検出するステップと、前記皮膚接触検出後、前記皮膚の盛り上がりを検出するステップと、前記皮膚の盛り上がりを検出したとき、該盛り上がった皮膚に対して穿刺を実行するステップとを有する。
本発明の穿刺方法は、皮膚が筐体の所定穿刺位置に接触したことを検出するステップと、前記皮膚接触検出後、前記筐体内を負圧にして、前記皮膚を盛り上げるステップと、前記皮膚の盛り上がりを検出するステップと、前記皮膚の盛り上がりを検出したとき、該盛り上がった皮膚に対して穿刺を実行するステップとを有する。
本発明の穿刺方法は、皮膚が筐体の所定穿刺位置に接触したことを検出するステップと、前記皮膚接触検出後、前記筐体内を負圧にして、前記皮膚を盛り上げるステップと、レーザ光を発射するためのコンデンサの電荷チャージを開始するステップと、前記コンデンサへの電荷チャージが完了したことを検出するステップと、前記皮膚の盛り上がりを検出するステップと、前記皮膚の盛り上がりを検出し、かつ前記チャージ完了を検出したとき、該盛り上がった皮膚に対してレーザ光による穿刺を実行するステップとを有する。
本発明によれば、穿刺に適したタイミングで自動的に穿刺を行うことができ、確実に穿刺を行うことができる。また、自動的に行われるので操作は極めて容易となる。特に、負圧手段を有する穿刺装置であっても穿刺に適したタイミングで自動的に穿刺を行うことができる。その結果、不慣れな患者であっても確実に穿刺を行うことができ、一回の穿刺で検査が完了する効果を期待することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施の形態の説明では、血液検査装置の使用時を基準に、上下等の方向を定めて説明する。
図4において、上方向が使用時の上方向である。
(実施の形態1)
図4は、本発明の実施の形態1に係る血液検査装置の構成を示す透視平面図である。本実施の形態は、血液センサを介して皮膚を穿刺する穿刺装置を備える血液検査装置に適用した例である。
図4において、血液検査装置21は、筐体22の内部に、カートリッジ24と、保持部25と、レーザ発射装置26と、電気回路部27と、負圧手段28と、電池29と、搬送手段30と、を有する。
筐体22は、本体部22aと蓋体22bとを有する。蓋体22bは、支点22cを中心として本体部22aと回動自在に連結される。蓋体22bの回動は、筐体22が閉じられた状態、すなわち支点22cの反対端が本体部22aに接触した状態で停止する。また、蓋体22bは、本体部22aと蓋体22bとの開閉角度が約30度の開角の第1停止位置、及び、本体部22aと蓋体22bとの開閉角度が約90度の開角の第2停止位置で停止する。蓋体22bの開閉は、本体部22aの一方の辺22dに設けられた蓋検知センサ22eにより検知される。
穿刺手段の一例であるレーザ発射装置26は、患者の皮膚が後述する負圧室28aの第1の皮膚検知センサ28bに接触したことを穿刺準備のトリガとして、後述する様々の穿刺準備が完了すると、それぞれの穿刺準備の完了を示す電気信号が電気回路部27内の制御部27g(図15参照)に入力される。
カートリッジ24は、本体部22aに着脱自在に装着され、血液センサ23を積層収納する。蓋体22bを前記第2停止位置に停止させておくことにより、カートリッジ24の交換を容易に行うことができる。なお、カートリッジ24の内部構成の詳細については後述する。
保持部25は、上側に設けられた第1のホルダ25aと、第1のホルダ25aに対向して設けられ、下側に設けられた第2のホルダ25bとから構成されている。第1のホルダ25aは、本体部22aの側面に固定されており、第2のホルダ25bは、バネ25cで
第1のホルダ25a側へ付勢されている。カートリッジ24のセンサ出口24aから搬送された一枚の血液センサ23は、この第1のホルダ25aと第2のホルダ25bに挟まれて固定される。
第1のホルダ25aは本体部22aに固定されており、レーザ発射装置26も本体部22aに固定されているので、レーザ発射装置26から第2のホルダ25bまでの距離は一定となる。従って、穿刺深さも設定通りの値の穿刺が可能となる。なお、これは第2のホルダ25bを固定して、第1のホルダ25aをバネで付勢しても同じことになる。
また、保持部25の下方には、負圧手段28から負圧路28cを介して連結された負圧室28aが形成されている。更に、この負圧室28aに隣接して皮膚9(後述する図13参照)を検知する第1の皮膚検知センサ28b(穿刺準備開始の一例)が保持部25を構成する第2のホルダ25bの下面に設けられている。保持部25の詳細については、図10及び図11により後述する。
穿刺手段の一つであるレーザ発射装置26は、保持部25の奥の位置(図4において、上方向)に装着され、レーザ光26hを発射することにより、保持部25に当接された患者の皮膚を穿刺する。なお、レーザ光26hを発射する際、蓋体22bを開角約30度の第1停止位置に停止させておくことにより、レーザ光26hが、蓋体22bの一部に当たることにより、外部へ洩れることが無く安全性が保たれる。
なお、本実施の形態においては、穿刺手段としてレーザ発射装置26を用いたが、これはレーザ発射装置26に限ることはなく、穿刺針を用いた針穿刺装置を用いてもよい。
電気回路部27は、血液センサ23、第1の皮膚検知センサ28b、第2の皮膚検知センサ28f、レーザ発射装置26及び負圧手段28と電気的に接続されている。そして、電気回路部27は、穿刺準備が完了すると、レーザ発射装置26からレーザ光26hを発射させる。また、電気回路部27は、血液センサ23に採取された血液の成分を分析する。さらに、電気回路部27は、所定のタイミングで負圧手段28により負圧を発生させる。
負圧手段28は、保持部25近傍とカートリッジ24内を負圧にする。
負圧手段28で生成された負圧は、負圧路28cを介して保持部25の負圧室28aへ導かれる。また、負圧路24fを介してカートリッジ24へ導かれている。負圧路28cと負圧路24fとの負圧の切り替えは、切り替え弁28dで行われる。この切替え弁28dの制御と、負圧手段28のオン・オフの制御は電気回路部27内の制御部27gで制御される。また、負圧手段28は、電流の変化を検出する電流変化検出部28g(後述する図14,図15参照)を有している。
電池29は、レーザ発射装置26、電気回路部27及び負圧手段28に電源を供給する。
搬送手段30は、カートリッジ24内に積層収納された血液センサ23の中の一枚を分離して、保持部25へ搬送する。
搬送手段30は、電気回路部27に接続されたモータ30aと、モータ30aからギア30b,30c,30d,30eを介して連結された円柱体30fとから構成される。円柱体30fの表面には、螺旋状の溝30gが形成されており、スライダ24kに形成された突起24mは、螺旋状の溝30gへ滑動可能に挿入されている。
従って、モータ30aの回転は、ギア30b,30c,30d,30eを介して円柱体30fを回転させる。円柱体30fの回転運動により、溝30gへ挿入された突起24mが円柱体30f上を直線運動しながら移動する。すなわち、スライダ24kが移動して血液センサ23を、センサ出口24aから搬出して保持部25へ装着させる。
図5は、カートリッジ24に積層収納される血液センサ23の断面図である。
図5において、血液センサ23は、基板31と、この基板31の上面に貼り合わされたスペーサ32と、このスペーサ32の上面に貼り合わされたカバー33と、により構成されており、その形状は板体形状をしている。
血液センサ23には、血液を貯留するための開口孔34が、血液センサ23が保持部25内に装着された際にレーザ光26hが通過する位置に設けられる。
開口孔34は、基板31に形成された基板孔31a、スペーサ32に形成されたスペーサ孔32a及びカバー33に形成されたカバー孔33aから構成される開口孔である。
血液10の供給路35は、開口孔34に一方の端が連結され、開口孔34に溜められた血液10を毛細管現象で検出部37に導く導入路である。また、この供給路35の他方の端は空気孔38に連結している。開口孔34の容積は約1μLであり、供給路35の容積は約0.15μLとしている。このように、少量の血液10で検査することを可能とすることにより、患者への負担を軽減することができる。
位置決め孔36は、血液センサ23を貫通して設けられ、血液センサ23の装着位置を決める。
検出部37は、血液10の血糖値等を検出する。
試薬40は、検出部37上に載置され、0.01〜2.0wt%CMC水溶液に、PQQ−GDHを0.1〜5.0U/センサ、フェリシアン化カリウムを10〜200mM、マルチトールを1〜50mM、タウリンを20〜200mM添加して溶解させて試薬溶液を調整し、これを基板31に形成された検出部37上に滴下し、乾燥させることで形成する。この試薬40は吸湿すると性能の劣化が進行する。
ここで、基板31の上面には、金、白金、パラジウム等を材料として、スパッタリング法あるいは蒸着法により導電層が形成される。導電層をレーザ加工することにより、検出電極41〜45(図6(A)、図6(B)参照)と、この検出電極41〜45から夫々導出された接続電極41a〜45aと識別電極47a(図6(B)の場合)が一体的に形成される。また、基板31、スペーサ32、カバー33の材質には、ポリエチレンテレフタート(PET)が用いられる。材料の共用化を図ることにより、管理コストの低減を図ることができる。
図6は、血液センサ23の透視平面図、図7は血液センサ23の外観斜視図である。図6(A)及び図7(A)は、5電極であって識別電極47aを含まない場合を示し、図6(B)及び図7(B)は識別電極を含む6電極の場合を示す。
以下、血液センサ23について、図6(B)及び図7(B)の6電極の場合を用いて説明する。
血液センサ23の板体の略中央には、開口孔34が形成され、一方の端には接続電極41a〜45aと識別電極47aが形成され、他方の端近傍には位置決め部36が形成される。位置決め部36は、孔形状であり開口孔34側が狭まった台形形状を為す。この位置決め部36と開口孔34との間に空気孔38が形成される。
開口孔34には、一方の端が接続された供給路35が検出電極42に向かって設けられている。そして、この供給路35の他方の端は空気孔38に連結している。
供給路35上には、開口孔34から順に、接続電極44aに接続された検出電極44、接続電極45aに接続された検出電極45、再度、接続電極44aに接続された検出電極44、接続電極43aに接続された検出電極43、接続電極41aに接続された検出電極41、再度、接続電極43aに接続された検出電極43、接続電極42aに接続された検出電極42が設けられる。また、検出電極41,43上には、試薬40(図5参照)が載置される。検出電極43と識別電極47aとの間に、導電体パターンで形成された識別部47が形成される。
血液検査装置21(図5参照)は、接続電極43aと識別電極47a間の電気的な導通があるか否かを検知して、血液センサ23が保持部25に装着されたか否かを識別することができる。すなわち、血液検査装置21は、搬送手段30により血液センサ23を保持部25に搬送したとき、電気的な導通がなければ、血液センサ23が保持部25に装着されていない旨の警告を、表示部50(図15参照)に表示することができる。
また、識別部47の電気抵抗値を変えることにより、使用する検量線の情報を格納したり、製造情報を格納したりすることができる。したがって、これらの情報を用いて、より精密な血液検査を行うことができる。
図6(A)は、図6(B)の6極より1つ極数が少ない5極の場合であり、識別電極47aを搭載しない場合を示している。作用極及び対極(後述)以外の検出電極など血液成分の測定に使用しない電極の一つに識別電極を割り当てて5極にすることもできる。図6(A)の5極の場合も図6(B)の6極の場合と同様で、接続する電極の数が5極という以外は同じである。図6(B)の6極の場合と同様に電極の自動識別を行うことができる。
また、図6及び図7の血液センサ23は長方形の板体で形成されているが、血液センサ23形状について限定は無く、血液センサ23形状は正方形でもよく、また四角形以外の多角形又は半円形状などでもよい。
また、位置決め部36の形状について限定は無く、位置決め部36の形状は、四角形、四角形以外の多角形、半円形状、円形状又は楕円形状の孔でもよい。さらに、図示は省略するが、位置決め部36が孔ではなく、凹部形状でもよい。
次に、カートリッジ24の内部構成について詳細に説明する。
図8は、カートリッジ24の透視平面図である。
図8において、ケース24bは、樹脂で形成され、ケース24b内にはセンサ室24c及び乾燥室24dが設けられる。センサ室24cには血液センサ23が積層収納される。また、乾燥室24d内には乾燥剤54が収納される。
センサ室24cの上方に形成される負圧路24fは、負圧手段28(図示略)と繋がり
、負圧をセンサ室24c内に供給してセンサ室24c内の湿気を低減させる。バネ24jは、押さえ板24gを介して、積層収納された血液センサ23を下方へ付勢する。押さえ板24gの略中央には、血液センサ23の開口孔34に連通する位置に孔24hが設けられる。
従って、負圧路24fから導入される負圧は、この孔24hを介して各血液センサ23の開口孔34内の湿気を低減させ、各血液センサ23内に搭載されている試薬40(図5参照)の湿気による劣化から保護する。
また、乾燥室24dには、乾燥室24d内の負圧の程度を測定する圧力センサ24yが装着される。圧力センサ24yの測定結果に基づいて、適宜負圧口24f経由で、センサ室24c及び乾燥室24dの負圧を予め定められた値以下に制御することができ、血液センサ23を乾燥した状態に保つことができる。
センサ室24cの下方を摺動するスライダ24kは、搬送手段30を形成する一部分であり、このスライダ24kには、突起24mが設けられており、この突起24mは搬送手段30でセンサ出口24a方向へ移動させられる。
センサ室24cの下方には、スライダ24k、突起24m及びバネ(図示略)から成る搬送手段30が形成される。スライダ24kは、平板状に形成され、突起24mに固着される。スライダ24kはカートリッジ24内に積層されている血液センサの一番下の血液センサ23を分離し、センサ出口24aから外部に搬送するものである。
前述では、モータを用いて搬送作業を電動で行う場合を説明したが、患者による手動で行うこともできる。
患者が突起24mを動かすことにより、スライダ24kは、ケース24bの下方に設けられた溝に沿ってセンサ出口24a方向に摺動する。スライダ24kをセンサ出口24a方向に摺動させることにより、一番下の血液センサ23を分離して保持部25(図4参照)へ搬送することができる。また、患者が突起24mから手を離せば、バネ(図示略)の付勢により、スライダ24kは、自動的にケース24b内に戻る。従って、電池29を消耗させることは無い。
シャッタ24nは、センサ出口24aを開閉する。シャッタ24nは、筐体22(図4参照)の蓋体22bを開くことに連動して開く。そして、シャッタ24nを開いた状態で、患者は、突起24mを摺動させることによりスライダ24kに載せた血液センサ23をセンサ出口24aから保持部25(図4参照)へ搬送することができる。
また、シャッタ24nは、蓋体22bを閉じることに連動して閉じる。シャッタ24nでセンサ出口24aを閉じることにより、センサ室24c内は密閉され、負圧を保持する。
図9は、穿刺手段の一つであるレーザ発射装置26の断面図である。
図9において、レーザ発射装置26は、発振チューブ26aと、この発振チューブ26aに連結された筒体26bとで構成される。発振チューブ26a内には、Er:YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ結晶26cと励起光源26dが格納される。
励起光源26dは、電気回路部27に設けられた高電圧発生回路27hに接続されてい
る。この高電圧発生回路27hには、チャージ完了を検出するチャージ完了検出部27m(後述)が設けられている。
発振チューブ26aの一方の端には、透過率が3%〜15%の部分透過鏡26eが装着され、他方の端には透過率が0.5%以下の全反射鏡26fが装着される。部分透過鏡26eの前方の筒体26b内には集光レンズ26gが装着され、レーザ光26hが患者の皮膚9表面近傍の位置に焦点を結ぶように集光レンズ26gが配置されている。
以上のように構成されたレーザ発射装置26について動作を説明する。第1の皮膚検知センサ28b(図4参照)が皮膚9を検知すると、予め定められた時間の経過をタイマ27k(後述する図14参照)により計測された(穿刺準備完了の第1の例)時点、あるいは、負圧手段28へ供給する電流の変化を電流変化検出部28gが検出した(穿刺準備完了の第2の例)時点の2つの時点の何れかと、高電圧発生回路27h経由でコンデンサへ十分なチャージがされたことをチャージ完了検出部27m(後述)が検出した時点(穿刺準備完了の第3の例)により、コンデンサにチャージされたエネルギを高電圧発生回路27h(後述する図14及び図15参照)により、励起光源26dに供給し、励起光を放射する。
この励起光源26dから放射された励起光は、Er:YAGレーザ結晶26c内に入り、ドープされたレーザ動作物質(本例ではエルビウムEr)を励起させて光を発生させ発生した光は、全反射鏡26fとYAGレーザ結晶26cと部分透過鏡26eの間を反射して共振するとともに増幅される。この増幅されたレーザ光の一部は部分透過鏡26eを透過する。この部分透過鏡26eを透過したレーザ光26hは集光レンズ26gを透過し、レーザ発射装置26から出射され、皮膚9表面近傍の位置で焦点を結ぶ。穿刺する際の焦点の深さは、皮膚9から0.6mm〜1.5mmが適しており、本実施の形態では0.8mmとしている。
本実施の形態では、患者の皮膚9へ非接触で穿刺できるレーザ発射装置26を用いているので、針方式穿刺手段における使用済みの針の廃棄や交換時の危険性はなく非常に衛生的である。また、可動部品も無く故障も少なくなる。
次に、保持部25の構成について詳細に説明する。
図10は、保持部25を構成する第1のホルダ25aの側面図であり、図11はそれを下面25e側から見た第1のホルダ25aの外観斜視図である。
図11(A)は、5電極用の場合を示し、図11(B)は6電極の場合を示す。図11(A)と図11(B)とは、コネクタ49の極数が異なる以外は共通である。以下、第1のホルダ25aについて、図10及び図11(B)の6電極の場合を用いて説明する。
第1のホルダ25aには、上面25fから下面25eへ貫通する孔25gが、レーザ光26hが通過する位置に設けられる。なお、レーザ発射装置26の代わりに針穿刺装置を用いる場合には、この孔25gを穿刺針が通過する。
また、血液センサ23が保持部25内に装着された場合、孔25gは、血液センサ23に設けられた開口孔34(図26、4参照)に対応している。また、この孔25gの下方は、「L」字状に折れ曲がっている。この「L」字状に折れ曲がった先端25hは、血液センサ23に形成された空気孔38に対応している。これは、血液センサ23に形成された供給路の毛細管現象の効果を確実にするためである。また、この孔25gを介して負圧が供給される。
また、図11に示すように、この孔25gの下方には、血液センサ23に形成された供給路35の毛細管現象の効果を確実にするために、切り欠き部25hが設けられる。また、この孔25gを介して負圧が供給される。なお、この孔25gに連通する孔25mが第2のホルダ25bにも設けられる。
開口部25dと孔25gとの間には、突起25jが設けられる。突起25jは、血液センサ23に設けられた位置決め部36に係合して、血液センサ23の水平方向の位置決めをする。突起25jは、孔25g方向に向かって狭まった台形形状を為す。また、突起25jは、開口部25d方向から孔25gに向かって徐々に厚くなる。従って、血液センサ23は、保持部25に挿入されると容易に固定される。
第1のホルダ25aの両側であって孔25gの真横位置には、凸部25kが設けられる。凸部25kは、血液センサ23の幅方向の位置決めをする。また、開口部25dと反対側には、コネクタ49が設けられる。コネクタ49は、血液センサ23の接続電極41a〜45a、識別電極47aと接触し、電気回路部27に接続される。なお、突起25j、凸部25kを、第2のホルダ25bに設けてもよい。
図12は、保持部25を構成する第2のホルダ25bの側面から見た断面図である。
図12に示すように、第2のホルダ25bには、第1のホルダ25aに形成された孔25gに連通する孔25mが設けられている。また、孔25mに連結して、下側に向かって開口した負圧室28aが設けられている。また、負圧室28aに隣接して第1の皮膚検知センサ28bが設けられている。第1の皮膚検知センサ28bは、コネクタ28eを介して電気回路部27に接続されている。
さらに、負圧室28aの上面には、負圧室28aを負圧した時に、盛り上がった皮膚を検知する第2の皮膚検知センサ28fが設けられている。第2の皮膚検知センサ28fは、第1の皮膚検知センサ28bと同様にコネクタ28eを介して電気回路部27に接続される。この場合、コネクタ28eは、1又は複数の接続端子を有することになる。
上記第1の皮膚検知センサ28b、第2の皮膚検知センサ28f及び蓋検知センサ22e(図4参照)は、メカ的なスイッチを用いてもよいし、電気的な導通を検知するものであってもよい。また、発光素子と受光素子を用いた光学的なセンサであってもよく、磁気的なセンサであってもよい。本実施の形態では、第1の皮膚検知センサ28b及び第2の皮膚検知センサ28fは、皮膚9の導通抵抗を検知する電気的なセンサを用い、蓋検知センサ22eは機構的なスイッチを用いている。
なお、皮膚9は、負圧室28aを負圧することで盛り上がるが、これに限らず第2のホルダ25bに皮膚を強く押圧する場合も含む。説明の便宜上、負圧室28aと呼称しているが、負圧を用いない場合もある。
図13は、血液検査装置21を用いた穿刺・測定動作実施時の保持部とその近傍の要部断面図である。
図13に示すように、第2のホルダ25bの下面には負圧室28aが形成され、負圧室28aは第2のホルダ25bに形成された孔25mと血液センサ23の開口孔34と第1のホルダ25aの孔25gを介して負圧手段28(図4参照)に接続されている。負圧室28aの周囲を形成する第2のホルダ25bの凸部下面には第1の皮膚検知センサ28bが設けられる。
また、負圧室28aを形成する第2のホルダ25bの凹部の上面には、第2の皮膚検知センサ28fが設けられている。ここで、第1の皮膚検知センサ28b及び前記第2の皮膚検知センサ28fは、1又は2以上の複数の点でもよく、孔25mの下側を取り巻くようなリング状をしていてもよい。
第1のホルダ25aは、コネクタ49(49a〜49f)を備え、コネクタ49(49a〜49f)は血液センサ23に形成された接続電極41a〜45a、識別電極47a(図6(B)参照)対応して設けられている。接続電極41a〜45a、識別電極47aの信号はコネクタ49を介して電気回路部27へ導かれる。
レーザ発射装置26から発射されたレーザ光26hは、第1のホルダ25aの孔25g、血液センサ23の開口孔34及び第2のホルダ25bの孔25mを一直線上に貫通して皮膚9を穿刺する。皮膚9が穿刺されると、この皮膚9からは血液10が滲出し、血液滴11aが形成される。
次に、穿刺手段としてレーザ発射装置26を使用した場合における動作について説明する。
血液検査装置21を皮膚9に当接させると、第1の皮膚検知センサ28bから信号が出力される。この第1の皮膚検知センサ28bから出力される信号に基づいて、高電圧発生回路27hが駆動してレーザ発射装置26からはレーザ光26hが発射される。このレーザ光26hは、第1のホルダ25aの孔25gと血液センサ23の開口孔34と第2のホルダ25bの孔25mを一直線上に貫通して皮膚9を穿刺する。皮膚9が穿刺されると、この皮膚9からは血液10が滲出し開口孔34内には血液滴10aが貯留される。この血液滴10aは、毛細管現象により供給路35から導入され検出部37(図5参照)に取り込まれ、試薬40と反応する。試薬40と反応した信号はコネクタ49を介して電気回路部27で測定される。
図14は、穿刺装置20のみで構成する場合の電気回路部27−1とその周辺のブロック図である。
図14において電気回路部27−1は、制御部27gを有し、制御部27gの出力は、レーザ発射装置26が接続された高電圧発生回路27hと、負圧手段28とに接続される。また、制御部27gの入力には、蓋体22bの開閉を検知する蓋検知センサ22eと、前記高電圧発生回路27hのチャージ完了を検出するチャージ完了検出部27mと、第1の皮膚検知センサ28bと、第2の皮膚検知センサ28fと、負圧手段28へ供給する電流の変化を検出する電流変化検出部28gと、タイマ27kとが接続されている。
図15は、血液検査装置21の電気回路部27−2とその周辺のブロック図である。図14と同一構成部分には同一符号を付している。
図15において、血液センサ23の接続電極41a〜45a、識別電極47a(図8参照)は、コネクタ49a〜49eを介して切換回路27aに接続される。この切換回路27aの出力は、電流/電圧変換器27bの入力に接続される。そして、その出力はアナログ/デジタル変換器(以後、A/D変換器という)27cを介して演算部27dに入力される。この演算部27dの出力は、液晶で形成された表示部50と通信部27e及び制御部27gに入力される。また、切換回路27aには基準電圧源27fが接続されている。なお、この基準電圧源27fはグランド電位であってもよい。
制御部27gは、本発明の検査装置の全体の動作を制御する。この制御部27gの出力は、レーザ発射装置26に接続された高電圧発生回路27hと、切換回路27aの制御端子と、演算部27dと、通信部27eと、負圧手段28と、搬送手段30とに入力される。また、制御部27gの入力には、蓋体22bの開閉を検知する蓋検知センサ22eと、前記高電圧発生回路27hのチャージ完了を検出するチャージ完了検出部27mと、第1の皮膚検知センサ28bと、第2の皮膚検知センサ28fと、演算部27dと、負圧手段28へ供給する電流の変化を検出する電流変化検出部28gと、タイマ27kと、識別電極47aに接続されたコネクタ49fが接続されている。
次に、電気回路部27−2の動作を説明する。
まず、第1の皮膚検知センサ28bが皮膚9を検知すると、負圧手段28を起動して、負圧室28aを負圧する。また、高電圧発生回路27hによりコンデンサへのチャージを開始する。次に、第2の皮膚検知センサ28fが皮膚9の盛り上がりを検知するか、あるいは、予め定められた時間の経過をタイマ27kにより計測された時点か、あるいは、負圧手段28へ供給する電流の変化を電流変化検出部28gが検出した時点の3つの時点のいずれか1つの条件と、高電圧発生回路27h経由でコンデンサへ十分なチャージがされたことをチャージ完了検出部27mが検出した条件により、レーザ発射装置26が皮膚9を穿刺する。
そして、穿刺により滲出した血液10の性質を測定する。測定動作では、切換回路27aを切換えて、検出電極41(図6参照)を電流/電圧変換器27bに接続する。また、血液10の流入を検知するための検知極となる検出電極42を基準電圧源27fに接続する。そして、検出電極41及び検出電極42間に一定の電圧を印加する。この状態において、血液10が流入すると、検出電極41,42間に電流が流れる。この電流は、電流/電圧変換器27bによって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器27cによってデジタル値に変換される。そして、演算部27dに向かって出力される。演算部27dは、そのデジタル値に基づいて血液10が十分に流入したことを検出し、制御部27gに検出したことを出力する。
なお、この時点で制御部27dからの指令で、負圧手段28の動作をオフにする。
次に、血液成分であるグルコースの測定が行われる。グルコース成分量の測定は、まず、制御部27gの指令により、切換回路27aを切換えて、グルコース成分量の測定のための作用極となる検出電極41を電流/電圧変換器27bに接続する。また、グルコース成分量の測定のための対極となる検出電極43を基準電圧源27fに接続する。
なお、例えば血液中のグルコースとその酸化還元酵素とを一定時間反応させる間は、電流/電圧変換器27b及び基準電圧源27fをオフにしておく。そして、一定時間(1〜10秒)の経過後に、制御部27gの指令により、検出電極41と43間に一定の電圧(0.2〜0.5V)を印加する。そうすると、検出電極41,43間に電流が流れる。この電流は電流/電圧変換器27bによって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器27cによってデジタル値に変換されて、演算部27dに向かって出力される。演算部27dはそのデジタル値を基にグルコース成分量に換算する。
次に、グルコース成分量の測定後、Hct値の測定が行われる。Hct値の測定は次のように行われる。まず、制御部27gからの指令により切換回路27aを切換える。そして、Hct値の測定のための作用極となる検出電極45を電流/電圧変換器27bに接続する。また、Hct値の測定のための対極となる検出電極41を基準電圧源27fに接続する。
次に、制御部27gの指令により、電流/電圧変換器27b及び基準電圧源27fから検出電極45と41間に一定の電圧(2V〜3V)を印加する。検出電極45と41間に流れる電流は、電流/電圧変換器27bによって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器27cによってデジタル値に変換される。そして演算部27dに向かって出力される。演算部27dはそのデジタル値に基づいてHct値に換算する。
この測定で得られたHct値とグルコース成分量を用い、予め求めておいた検量線又は検量線テーブルを参照して、グルコース成分量をHct値で補正し、その補正された結果を表示部55に表示する。この検量線又は検量線テーブルは、血液センサ23内の識別部47に基づいて決定する。また、検量線又は検量線テーブルで補正された結果を通信部27eからインスリンを注射する注射装置に向けて送信する。この送信は電波を用いることもできるが、医療器具への妨害のない光通信で送信することが好ましい。
このように補正された測定データを通信部27eから送信することにより、インスリンの投与量が注射装置に自動的に設定されるようにすれば、患者が投与するインスリンの量を注射装置に設定する必要は無く、設定の煩わしさは無くなる。また、人為手段を介さずにインスリンの量を注射装置に設定することができるので、設定のミスを防止することができる。
以上、グルコースの測定を例に説明したが、血液センサ23の試薬40を交換して、グルコースの測定の他に乳酸値やコレステロールの血液成分の測定にも適用できる。
次に、穿刺装置20(図示せず)のみで構成した場合の動作手順を説明する。
穿刺装置20は、上記血液検査装置21の内、レーザ発射装置26、負圧手段28、蓋体22b、第2のホルダ25bを備えた構成である。
図16は、穿刺装置20における穿刺方法を示すフローチャートである。制御部27gは、マイクロプロセッサ等から構成されており、本フローはこのマイクロプロセッサにより所定タイミングで繰り返し実行される。
まず、ステップS11では、蓋検知センサ22eは、穿刺装置20の蓋体22bの開放を検知する。なお、穿刺装置20の蓋体22bが開放されなければ、このまま待機する。蓋検知センサ22eによる検知信号は、制御部27gに入力される。制御部27gは、この検知信号を受けて穿刺装置20の電源をオンし、表示部50(図15参照)に、保持部25へ皮膚9の当接を促す旨の表示を行う。表示に続いてステップS12に移行する。
ステップS12では、第1の皮膚検知センサ28bは、患者が表示部50の指示に従い穿刺装置20を患者の皮膚9に当接させたか否かを検知する。穿刺装置20の皮膚9への当接がなければ、当接されるまで待つ。皮膚検知センサ28bが皮膚9への当接を検知した場合は、ステップS13に移行する。
ステップS13では、制御部27gは、負圧手段28を動作させ、保持部25に設けられた負圧室28a内に負圧を加える。また、制御部27gは、高電圧発生回路27hによりチャージを開始する。
負圧を加えることにより、図13に示すように皮膚9は盛り上がる。
ステップS14では、制御部27gは、穿刺準備が完了したか否かを判別する。具体的
には、制御部27gは、以下の各条件を満たすことで穿刺準備完了を判別する。すなわち、制御部27gは、盛り上がった皮膚9を検知する第2の皮膚検知センサ28fの出力情報、負圧手段28の動作に伴う負圧手段28の電流の変化を検知する電流変化検出部28gの出力情報、あるいはタイマ27kにより予め定められた時間(1〜10秒)の経過のいずれか一つの第1情報と、高電圧発生回路27hによるチャージの完了(1〜10秒)を検出するチャージ完了検出部27mの出力に基づいた第2情報とを満足した場合には、穿刺準備完了とし、第1情報と第2情報とを満足しない場合は、穿刺準備完了でないと判断して穿刺準備完了となるまで待つ。穿刺準備完了の場合は、ステップS15(穿刺ステップ)に移行する。
ステップS15では、制御部27gは、レーザ発射装置26により皮膚9を穿刺する。この皮膚9の穿刺により、皮膚9から滲出した血液10は、別の測定器で検査することができる。皮膚9を穿刺後、ステップ16に移行する。
ステップS16では、制御部27gは、負圧手段28を穿刺後、所定時間が経過した後に停止させる。負圧停止後、ステップS17に移行する。
ステップS17では、穿刺装置20の蓋体22bの閉状態を、蓋検知センサ22eで検知する。制御部27gは、この検知信号を受けて穿刺装置20の電源をオフし、本フローを終了する。なお、穿刺装置20の蓋体22bの閉状態を検知できない場合は、このまま待機する。
次に、血液検査装置21の検査方法を説明する。
図17は、血液検査装置21における検査方法を示すフローチャートである。
まず、ステップS21では、蓋体22bを開放する。これに連動してカートリッジ24に設けられたセンサ出口24aのシャッタ24nを開く。この時、蓋検知センサ22eは、穿刺装置20の蓋体22bの開放状態を検知する。蓋検知センサ22eによる検知信号は、制御部27gに入力され、制御部27gは、この検知信号を受けて穿刺装置20の電源をオンする。その後、ステップS22移行する。なお、穿刺装置20の蓋体22bの開放状態が検知されなければ、このまま待機する。
ステップS22では、制御部27gは、搬送手段30を駆動し、血液センサ23を保持部25の第1のホルダ25aと第2のホルダ25bに挟持させ、固定させる。この搬送完了の確認は、保持部に固定された血液センサ23の接続電極43aと識別電極47aの導通を検知することにより行う。制御部27gは、この導通の検知により、表示部50(図15参照)に保持部25へ皮膚9の当接を促す旨の表示を行う。表示に続いてステップS23へ移行する。
ステップS23では、患者は、表示部50の指示に従い、穿刺装置20を皮膚9に当接する。第1の皮膚検知センサ28bは、前記当接を検知する。皮膚検知センサ28bが皮膚9への当接を検知した場合は、ステップS24に移行する。
ステップS24では、制御部27gは、負圧手段28を動作させ、保持部25に設けられた負圧室28a内に負圧を加える。また、制御部27gは、高電圧発生回路27hによりチャージを開始し、ステップS25へ移行する。
なお、負圧を加えることにより、図13に示すように皮膚9は盛り上がる。
ステップS25では、制御部27gは、穿刺準備が完了したか否かを判別する。具体的には、制御部27gは、以下の各条件を満たすことで穿刺準備完了を判別する。すなわち、制御部27gは、盛り上がった皮膚9を検知する第2の皮膚検知センサ28fの出力情報、負圧手段28の動作に伴う負圧手段28の電流の変化を検知する電流変化検出部28gの出力情報、あるいはタイマ27kにより予め定められた時間(1〜10秒)の経過のいずれか一つの第1情報と、高電圧発生回路27hによるチャージの完了(1〜10秒)を検出するチャージ完了検出部27mの出力に基づいた第2情報とを満足した場合には、穿刺準備完了とし、第1情報と第2情報とを満足しない場合は、穿刺準備完了でないと判断して穿刺準備完了となるまで待つ。穿刺準備完了の場合は、ステップS26に移行する。
ステップS26では、制御部27gは、レーザ発射装置26により皮膚9を自動的に穿刺する。この皮膚9の穿刺により、皮膚9から滲出した血液10は、別の測定器で検査することができる。皮膚9を穿刺後、ステップS27に移行する。
ステップS27では、制御部27gは、負圧手段28を停止するとともに、測定を行う。測定は、以下の通りである。皮膚9の穿刺により、滲出した血液10は血液センサ23の開口孔34に取り込まれる(図13参照)。この開口孔34に取り込まれた血液10は、供給路35による毛細管現象により検出部37に導入されて、血糖値が測定され、ステップS28に移行する。なお、この血糖値の測定が終了した時点、又は血液10が検出電極42へ到達した時点で、負圧手段28をオフするようにしてもよい。
ステップS28では、測定した血糖値の測定結果を表示部55に表示し、ステップS29に移行する。なお、この血糖値の測定結果は、通信部27eから注射装置などの他の機器に向かって自動的に送信してもよい。
ステップS29では、蓋検知センサ22eは、穿刺装置20の蓋体22bの閉状態を検知する。患者の蓋体22bを閉じる動作に伴って、カートリッジ24のシャッタ24nが連動することで、センサ出口24aは閉じられる。蓋検知センサ22eは、蓋体22bの閉状態を検知し、制御部27gに通知後、ステップS30に移行する。
ステップS30では、制御部27gは、蓋検知センサ22eが蓋体22bの閉状態を検知すると、所定の時間、カートリッジ24内を負圧にし、ステップS31に移行する。なお、カートリッジ24内を負圧にする理由は、カートリッジ24内の湿気を除去することにより、血液センサ23の湿気による劣化を軽減するためである。
ステップS31では、制御部27gは、カートリッジ24内を、所定の時間、負圧にした後、前記負圧を停止し、穿刺装置20の電源をオフすることにより、本フローを終了する。
以上詳細に説明したように、患者はステップS21で蓋体22bを開放して、保持部25に皮膚9を当接することのみで、後は自動的に全ての血液検査の動作が適切なタイミングで行われる。従って、操作の煩わしさは無い。
また、穿刺は開口孔34を貫通(図13参照)して行われるので、滲出した血液10は全て開口孔34に溜まることで、滲出した血液10は全て有効に用いられ患者にかける負担は最小のものとなり、確実性も大きく向上する。
(実施の形態2)
実施の形態1は、保持部25に皮膚9を当接するのみで自動的に全ての血液検査の動作
を適切なタイミングで実施することが可能になった。
実施の形態2では、穿刺のためのタイミングについてさらに詳細に説明する。
本実施の形態2の穿刺装置20及び血液検査装置21において、「穿刺準備」を以下のように定義する。
(1)穿刺準備
穿刺準備とは、穿刺装置20及び血液検査装置21が、確実な穿刺を行うために、穿刺動作を行う前に行う処理をいう。
具体的には下記の処理である。
a.レーザで穿刺するために必要な電圧をコンデンサに充電し、
b.皮膚の表面を、穿刺深さを決める基準位置にまで盛り上げる。
(2)穿刺準備開始
穿刺準備開始とは、血液検査装置21が、皮膚9が第2のセンサホルダ25bの下部に当接したことを検知して穿刺準備を開始することをいう。
(3)穿刺準備完了
穿刺準備完了とは、コンデンサにレーザで穿刺するために必要な電圧が充電され、かつ、皮膚の表面が、穿刺深さを決める基準位置まで盛り上がっている状態のことをいう。
ここで、穿刺深さを決める基準位置は、レーザ穿刺の場合はレーザビームの焦点位置であり、針穿刺の場合は穿刺針の深さを定めている基準位置である。
図18及び図19は、本発明の実施の形態2に係る穿刺装置の穿刺深さを決める基準位置を説明する図である。図9乃至図13と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
図18において、レーザ発射装置26の筒体26bのレーザ射出口と対向して、第2のホルダ25bの孔25mが配置され、第2のホルダ25b上には血液センサ23が載置される。この血液センサ23は、カートリッジ24内に積層されている血液センサ23の一番下にある血液センサが一枚ずつ分離され、搬送手段30を使って第2のホルダ25b上に搬送されたものである。
第2のホルダ25bには、第1のホルダ25aに形成された孔25gに連通する孔25mが設けられている。また、孔25mに連結して、下側に向かって開口した負圧室28aが設けられている。また、負圧室28aに隣接して第1の皮膚検知センサ28bが設けられ、負圧室28aの上面には、負圧室28aを負圧した時又は皮膚を押圧した時に、盛り上がった皮膚を検知する第2の皮膚検知センサ28fが設けられている。
レーザ発射装置26のレーザ光26hは、患者の皮膚表面近傍の位置で焦点を結ぶように設定される。この例の場合、第2のホルダ25bに形成された孔25mの僅か下側の図18のa.の位置がレーザビームの焦点位置、すなわち穿刺深さを決める基準位置である。
レーザ発射装置26から放射されたレーザ光26hは、集光レンズ26gを透過して集束され、図18のa.の位置で焦点を結ぶ。
図19に示すように、負圧室28aを負圧した時又は皮膚を押圧した時には、皮膚9が盛り上がる。皮膚9は第2のホルダ25bに設けられた第1の皮膚検知センサ28bに接触して、第1の皮膚検知センサ28bが皮膚を検知する一方、さらに盛り上がった皮膚9は負圧室28aの上面に設けられた第2の皮膚検知センサ28fにも接触して、第2の皮膚検知センサ28fが皮膚を検知する。なお、皮膚9は、負圧室28aを負圧にすることで盛り上がるが、これに限らず第2のホルダ25bに皮膚を強く押圧する場合も含む。
レーザ発射装置26から放射されたレーザ光26hは、集光レンズ26gを透過して集束され、盛り上がった皮膚9表面近傍の位置で焦点を結ぶ。穿刺する際の焦点の深さは、皮膚9から0.6mm〜1.5mmが適しており、本実施の形態では0.8mmとしている。
レーザ光26hの焦点位置に、盛り上がった皮膚9の表面があり、確実な穿刺が可能となる。
皮膚の盛り上がりと穿刺準備との関係については、以下に詳述する。
図20乃至図24は、皮膚の盛り上がり検知方法を説明する図である。図18及び図19と同一構成部分には同一符号を付している。
図20は、第2のホルダ25bの側面から見た断面図である。
第2のホルダ25bの負圧室28aに隣接して第1の皮膚検知センサ28bが設けられ、負圧室28aの上面に第2の皮膚検知センサ28fが設けられている。皮膚検知センサ28b及び第2の皮膚検知センサ28fは、コネクタ28eを介して電気回路部27(図4参照)に接続される。
図21は、皮膚9が第2のホルダ25b下端に当接せず、第1の皮膚検知センサ28bが皮膚9を検知していない状態である。図21に示すように、第2のホルダ25b上には血液センサ23が載置される。この血液センサ23は、カートリッジ24内に積層されている血液センサ23の一番下にある血液センサが一枚ずつ分離され、搬送手段30を使って第2のホルダ25b上に搬送されたものである。血液センサ23には、穿刺手段の穿刺部を貫通させるための開口孔34が設けられている(図5参照)。またこの開口孔34は、滲出した血液を貯留する機能を持つ。穿刺手段は、レーザ発射装置26を用いる場合はレーザ光26hであり、針穿刺装置を用いる場合は穿刺針である。
図22は、皮膚9が第2のホルダ25b下端に当接し、第1の皮膚検知センサ28bが皮膚9を検知した状態を示す図である。
この状態になることにより穿刺準備が開始される。
図23は、負圧室28aの負圧又は皮膚9の押圧により皮膚盛り上げ動作が開始し、皮膚が盛り上がり始めた状態を示す図である。皮膚9は第1の皮膚検知センサ28bに接触しているが、負圧室28aの上面に設けられた第2の皮膚検知センサ28fにはまだ接触していない。
図24は、負圧室28aの負圧又は皮膚9の押圧の継続により、さらに皮膚が盛り上がり、負圧室28aの上面に設けられた第2の皮膚検知センサ28fに接触して、第2の皮膚検知センサ28fが皮膚を検知する状態を示す図である。
これにより、穿刺準備が完了し、いつでも穿刺が可能になる。
図25は、穿刺装置20における穿刺測定方法を示すフローチャートである。
まず、ステップS41では、蓋検知センサ22eは、穿刺装置20の蓋体22bの開放状態を検知する。蓋検知センサ22eによる検知信号は、制御部27gに入力され、ステップS42に移行する。なお、穿刺装置20の蓋体22bが開放されなければ、このまま待機する。
穿刺装置20の蓋体22bの開放状態を検知すると、ステップS42では、制御部27gは、穿刺装置20の電源をオンにする。また、血液検査装置21の蓋体22bを開けると、これに連動してカートリッジ24に設けられたセンサ出口24aのシャッタ24nが開き、ステップ43に移行する。
ステップS43では、制御部27gは、蓋検知センサ22eの信号を受けて搬送手段30を駆動する。搬送手段30を構成するスライダ24kをセンサ出口24a方向に移動させることにより、積層収納された血液センサ23のうち、一番下の血液センサ23が1枚だけ分離され、センサ出口24aから排出移動され保持部25へ搬送される(図8参照)。この搬送の確認は、血液センサ23の接続電極43aと識別電極47aの導通を検知することにより行うことができる。その後、搬送手段30を構成するスライダ24kはバネ24pの反発力で待機状態に戻り、次のセンサを搬送できる準備が可能となる。搬送された血液センサ23は、保持部25の第1のホルダ25aと第2のホルダ25bにより挟持され、固定され、ステップS44に移行する。
ステップS44では、制御部27gは、皮膚が第2のホルダ25b下端に当接した場合に、制御部27gが、第1の皮膚検知センサ28bによる検知信号を受信し、ステップS45に移行する(図22参照)。
ステップS45では、制御部27gは、負圧手段28により保持部25に設けられた負圧室28a内に負圧を加え、皮膚盛り上げ動作を開始させて、ステップS46に移行する。
ステップS46では、制御部27gは、高電圧発生回路27hにより、レーザ発射装置26のコンデンサへの充電を開始し、ステップS47へ移行する。なお、ステップS45,S46の処理が「穿刺準備」に対応する。
ステップS47では、制御部27gは、高電圧発生回路27hに設けられたチャージ完了検出部27mからのチャージ完了検出信号を基に、コンデンサ充電電圧が所定の設定電圧までチャージされたか否かを判別し、ステップS48へ移行する。なお、この設定電圧は、高電圧発生回路27hが、励起光源26dをレーザ発光させるために必要なコンデンサ充電電圧である。
ステップS48では、制御部27gは、穿刺測定に必要な皮膚の盛り上がりに対して、皮膚が負圧室28aの上面に設けられた第2の皮膚検知センサ28fに接触したことを検知し、ステップS49に移行する。
なお、上記ステップS47でコンデンサ充電電圧が設定電圧までチャージされていない場合、あるいは上記ステップS48で穿刺に必要な皮膚の盛り上がりを検知していない場合は、上記ステップS47に戻り、コンデンサ充電電圧が設定電圧までチャージされ、かつ穿刺に必要な皮膚の盛り上がりとなるまで待機する。
ステップS49では、レーザ出射を行う。具体的には、制御部27gは、レーザ発射装置26にレーザ出射信号を出力し、レーザ発射装置26は、この信号を受けて高電圧発生回路27h(図15参照)を起動する。このとき、レーザ発光に必要なコンデンサ充電電圧は既にチャージされているので、高電圧発生回路27hが駆動してレーザ発射装置26から、レーザ光26hが発射され、ステップS50へ移行する。なお、このレーザ光26hは、孔25gと開口孔34と孔25mを一直線上に貫通して皮膚9を穿刺する。
ステップS50では、電気回路部27は、穿刺により採取した血液10を基に、各種測定を行う。皮膚9が穿刺されると、この皮膚9からは血液10が滲出し開口孔34内には血液滴10aが形成される。この血液滴10aは、供給路35による毛細管現象により検出部37に導入され、試薬40と反応する。試薬40と反応した結果、得られた信号はコネクタ49を介して電気回路部27で測定され、ステップS51へ移行する。なお、試薬40の種類を変えることにより、グルコース測定、乳酸値の測定、又はコレステロールの血液成分の測定など様々な測定が可能である。
ステップS51では、制御部27gは、負圧手段28を停止して、カートリッジ24への負圧を停止し、皮膚盛り上げ動作を停止し、ステップS52へ移行する。なお、負圧手段28の停止と同時に、大気の導入を行ってもよい。
ステップS52では、制御部27gは、測定した血糖値等の測定結果を表示部55に表示して本フローを終了する。なお、この測定結果は、通信部27eから注射装置などの他の機器に向かって送信してもよい。
(実施の形態3)
実施の形態2は、穿刺装置20におけるベストモードの穿刺測定方法について例示した。実施の形態1,2によれば、穿刺装置20を皮膚に当接するだけで適切な穿刺タイミングで自動的に穿刺することが可能になる。しかし、実際には様々な要因により穿刺、又は穿刺測定が適切に行われない場合が発生する。実施の形態3では、不具合発生時の穿刺測定方法について説明する。
不具合発生には、以下の、(1)穿刺準備が完了しない場合と、(2)穿刺・測定がうまくいかない場合とがある。それぞれタイマを用いた所定時間経時により、エラー通知を行ってユーザに不具合発生を知らせる。
まず、(1)穿刺準備が完了しない場合について説明する。
穿刺準備が完了しない場合の例として、ユーザが指(穿刺対象部位)を動かした場合が想定される。
図26は、上記穿刺準備が完了しない場合の不具合発生時の穿刺測定方法を示すフローチャートである。図25のフローと同一処理を行うステップには同一ステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS44で、皮膚が第2のホルダ25b下端に当接した場合は、ステップS61で制御部27gは、タイマT1によるカウントをスタートさせる。その後、ステップS45で制御部27gは、皮膚盛り上げ動作を開始し、ステップS46で制御部27gは、レーザ発射装置26のコンデンサ充電を開始し、ステップS62へ移行する。
ステップS62では、タイマT1のカウントにより所定時間t1(例えば5秒から10
秒)が経過したか(T1≧t1)否かを判別する。
所定時間t1が経過していなければ(T1<t1)、制御部27gは、指(穿刺対象部位)を動かしていないと判断してステップS47以下に進み、図25の穿刺測定フローと同様の処理を行う。
上記ステップS62で所定時間t1が経過した(T1≧t1)ときは、制御部27gは、指(穿刺対象部位)を動かしたと判断してステップS63に進む。この場合は、皮膚が第2のホルダ25b下端の第1の皮膚検知センサ28bの接触後、所定時間t1が経過しても第2の皮膚検知センサ28fに接触しない場合である。通常は負圧手段28による負圧又は皮膚の押圧により、皮膚が盛り上がり、所定時間t1内に第2の皮膚検知センサ28fに接触するはずである。所定時間t1経過しても、この第2の皮膚検知センサ28fへの接触が検知されないということは、ユーザが指(穿刺対象部位)を動かした場合が想定される。穿刺準備が完了しない場合の一例である。
ステップS63では、制御部27gは、コンデンサ充電を停止し、ステップS64に移行する。
ステップS64では、制御部27gは、負圧手段28を停止して、カートリッジ24への負圧を停止し、皮膚盛り上げ動作を停止する。なお、負圧手段28の停止と同時に、大気の導入を行ってもよい。
ステップS65では、制御部27gは、ユーザに穿刺準備が完了しない旨のエラー通知を行って、本フローを終了する。エラー通知は、例えば表示部50(図15参照)へのエラー表示がある。また、音声合成LSIを用いた音声ガイダンス、スピーカによる放音、LED表示、あるいはこれらの併用であってもよい。
このように、穿刺準備が完了しない場合には、穿刺準備が開始した後に、ユーザが指を動かすことにより、第2の皮膚検知センサが皮膚の盛り上がりを検知することができないことが想定でき、穿刺準備開始から一定時間(5秒から10秒)経過しても穿刺準備完了しない場合は、エラーをユーザに通知し、再測定を促す。
次に、(2)穿刺・測定がうまくいかない場合について説明する。
穿刺・測定がうまくいかなかったため、測定後、直ぐに再測定を行う場合が想定される。
測定直後は穿刺レーザの温度が上昇しているために、直ぐに穿刺動作を行うと確実な穿刺・測定動作ができない場合がある。そこで、本実施の形態では、測定後すぐに再測定の操作を行っても、装置は次の穿刺準備開始ステップには移らず、かつユーザに対し、しばらく測定ができないので待機するように通知を行う。
図27は、上記穿刺・測定がうまくいかない場合の不具合発生時の穿刺測定方法を示すフローチャートである。図25のフローと同一処理を行うステップには同一ステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS70には、測定した前回の測定結果が表示部55に表示されている。
ステップS71では、制御部27gは、タイマT2によるカウントをスタートさせる。その後、ステップS44に進む。
上記ステップS44で皮膚が第2のホルダ25b下端に当接した場合、ステップS72で制御部27gは、タイマT2のカウントにより所定時間t2(例えば2分から3分)が経過したか(T2≧t2)否かを判別する。
所定時間t2が経過した(T2≧t2)場合、制御部27gは、穿刺動作を行う状態にあると判断してステップS47以下に進み、図25の穿刺測定フローと同様の処理を行う。
上記ステップS72では、所定時間t2が経過していなければ(T2<t2)、ステップS73で、制御部27gはユーザに待機要求する旨の通知を行って上記ステップS44に戻る。待機要求通知は、例えば表示部50(図15参照)へのエラー表示がある。
このように、穿刺・測定がうまくいかなかったため、測定後、直ぐに再測定を行う場合には、測定直後は穿刺レーザの温度が上昇しているために、直ぐに穿刺動作を行うと確実な穿刺・測定動作ができないことが考えられる。よって、このような場合に対しては、測定後すぐに再測定の操作(指をホルダに当てる)を行っても、装置は次の穿刺準備開始ステップには移らず、かつユーザに対し、しばらく測定ができないので待機するよう通知を行う。本実施の形態では、タイマT2を使用して、測定後一定時間(2分〜3分)を過ぎないと再測定ができないようにする。
図26の不具合発生時の穿刺測定方法と図27の不具合発生時の穿刺測定方法とを組合わせてもよい。
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
例えば、上記各実施の形態では、穿刺手段としてレーザ発射装置26を用いたが、本発明はこれに限られず、穿刺手段として穿刺針により穿刺を行う針穿刺装置を用いることもできる。
また、上記各実施の形態では、皮膚の盛り上がりを第2の皮膚検知センサ28fが検知しているが、負圧手段の電流変化を検出する電流検出部で代用してもよい。
また、上記各実施の形態では、皮膚の盛り上がりを負圧手段28の負圧により行っているが、負圧に限らず、皮膚の押圧による膨らみであってもよい。また、負圧室25の名称は、負圧使用に伴う便宜的な呼称に過ぎず、開口部(凹部、空間部)等であってもよい。
また、本実施の形態では穿刺装置、血液検査装置及び穿刺方法という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、装置の名称は検査装置、また方法の名称は穿刺装置の制御方法等であってもよいことは勿論である。
また、上記穿刺装置及び血液検査装置を構成する各部、例えばカートリッジの種類、その数及び接続方法などはどのようなものでもよい。
以上説明した穿刺方法は、この穿刺方法を機能させるためのプログラムでも実現される。このプログラムはコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。
2007年7月18日出願の特願2007−186641の日本出願に含まれる明細書、図面及び要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
本発明は、レーザ発射装置等の穿刺手段により皮膚に穿刺し、皮膚から滲出した血液を採取し、血液の成分を分析する血液検査装置に適用することができる。
従来の血液検査装置の断面図
従来の血液検査装置の検査方法のフロー図
従来の血液検査装置の使用状態の説明図
本発明の実施の形態1に係る血液検査装置の構成を示す透視平面図
上記実施の形態1に係る血液検査装置のカートリッジに積層収納される血液センサの断面図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の血液センサの透視平面図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の血液センサの外観斜視図
上記実施の形態1に係る血液検査装置のカートリッジの透視平面図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の穿刺手段の一例であるレーザ発射装置の断面図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の保持部を構成する第1のホルダの側面図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の保持部を構成する第1のホルダの外観斜視図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の保持部を構成する第2のホルダの側面から見た断面図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の血液検査装置を用いた穿刺・測定動作実施時の保持部とその近傍の要部断面図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の穿刺装置のみで構成する場合の電気回路部とその周辺のブロック図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の電気回路部とその周辺のブロック図
上記実施の形態1に係る血液検査装置の穿刺装置における穿刺方法を示すフロー図
上記実施の形態1に係る血液検査装置における検査方法を示すフロー図
本発明の実施の形態2に係る穿刺装置の穿刺深さを決める基準位置を説明する図
上記実施の形態2に係る穿刺装置の穿刺深さを決める基準位置を説明する図
上記実施の形態2に係る穿刺装置の皮膚の盛り上がり検知方法を説明する図
上記実施の形態2に係る穿刺装置の皮膚の盛り上がり検知方法を説明する図
上記実施の形態2に係る穿刺装置の皮膚の盛り上がり検知方法を説明する図
上記実施の形態2に係る穿刺装置の皮膚の盛り上がり検知方法を説明する図
上記実施の形態2に係る穿刺装置の皮膚の盛り上がり検知方法を説明する図
本発明の実施の形態2に係る穿刺装置における穿刺測定方法を示すフロー図
本発明の実施の形態3に係る穿刺装置の穿刺準備が完了しない場合の不具合発生時の穿刺測定方法を示すフロー図
上記実施の形態3に係る穿刺装置の穿刺・測定がうまくいかない場合の不具合発生時の穿刺測定方法を示すフロー図