JPWO2009004791A1 - 単結晶シンチレータ材料およびその製造方法 - Google Patents

単結晶シンチレータ材料およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の単結晶シンチレータ材料は組成式(CexLu1-x)BO3で表され、Ceの組成比率xが0.0001≦x≦0.05を満足する単結晶部を有している。

Description

本発明は、陽電子放出核種断層撮像装置用単結晶シンチレータ材料、およびその製造方法に関する。
近年、医療分野において、陽電子放出核種断層撮像装置(Positron Emission Tomography:以下、「PET」と称する。)による診断が広く行われるようになり、更に性能の高いPET装置を実現するため、優れたシンチレータ材料の探索が進められている。
PETのシンチレータ材料はγ線を検出することが必要であり、これまで、BGO(ビスマス ゲルマニウム オキサイド)や、LSO(ルテチウム シリコン オキサイド)、GSO(ガドリニウム シリコン オキサイド)などの単結晶シンチレータ材料がPETに適用されている。シンチレータ材料の特性は、蛍光出力、蛍光減衰時間、エネルギー分解能などによって評価されるが、上記の単結晶材料は、PETに適用するのに必要な特性に優れている。これらの単結晶を作製する方法としては、チョクラルスキー法やブリッジマン法などの融液成長法が、商業的に広く用いられている。
PETを普及させるためには、診断のスループットを向上させることが必要である。そのためには、これまでのシンチレータ材料よりも更に発光量が大きく蛍光減衰時間の短い単結晶シンチレータ材料の開発が必須である。
特許文献1には、Ce(セリウム)を賦活したGSOの例が記載されている。一方、特許文献2や特許文献3には、セリウム賦活ホウ酸ルテチウム系材料が開示されている。セリウム賦活ホウ酸ルテチウムは、大きい発光量と短い蛍光減衰時間を兼ね備えていることから、優れたシンチレータ材料となることが期待される。特許文献3は、セリウム賦活ホウ酸ルテチウム系材料についてPETへの適用も提案しているが、この文献に開示されているセリウム賦活ホウ酸ルテチウム系材料は、粉末に過ぎない。このように、PETに使用可能な大きさを有するセリウム賦活ホウ酸ルテチウムの単結晶を形成する技術は今まで報告されていなかった。
ホウ酸ルテチウムは、大きな体積変化を伴う相転移点(約1350℃)が融点(1650℃)より低い温度領域に存在する。このため、出発原料を高温に加熱して溶融または溶解させることが必要な従来の単結晶育成方法を用いると、溶融物の冷却時において、相転移点を通過する際に体積膨張が生じるため、結晶が崩壊してしまうという問題があった。そのため、従来の方法ではセリウム賦活ホウ酸ルテチウムの単結晶を作成することができず、未だPET検出装置に適用できるようなセリウム賦活ホウ酸ルテチウムの単結晶が作製されたという報告はされていない。
特許文献2や特許文献3においても実現されているのは、粉末や、乾燥混合物をプレス成形して焼成したタブレットである。
その他LaBr3などの材料も提案されているが、化学的に不安定である、密度が低い、などの課題があり、残念ながら未だ求められているような単結晶シンチレータ材料は報告されていない。
特開2003−300795号公報 特開2005−298678号公報 特開2006−52372号公報
本発明は、大きい発光量と優れた蛍光減衰特性を有する単結晶シンチレータ材料およびその製造方法の提供を目的とする。
本発明の単結晶シンチレータ材料は、組成式(CexLu1-x)BO3で表され、Ceの組成比率xが0.0001≦x≦0.05を満足する単結晶部を有する。
好ましい実施形態において、前記単結晶部はカルサイト型結晶構造を有している。
好ましい実施形態において、前記単結晶部の対角は3mm以上、厚さは0.5mm以上である。
好ましい実施形態において、前記単結晶部の重さは、5ミリグラム以上である。
好ましい実施形態において、前記単結晶部の重さは、500ミリグラム以上である。
本発明による単結晶シンチレータ材料の製造方法は、ホウ酸鉛を主とする溶媒にCe化合物およびLu化合物を前記溶媒の飽和濃度以上の割合で混合し、800℃以上1350℃以下の温度に加熱して前記化合物を溶融させる工程と、溶融した前記化合物を冷却することにより、組成式(CexLu1-x)BO3で表され、Ceの組成比率xが0.0001≦x≦0.05を満足する単結晶を析出成長させる工程とを含む。
好ましい実施形態において、前記単結晶を析出成長させる工程は、TSSG法により行う。
好ましい実施形態において、前記単結晶を析出成長させる工程において、前記化合物の温度が750℃以上1250℃以下の温度に達するまでは0.001℃/時間以上5℃/時間以下の降温速度で冷却する。
好ましい実施形態において、前記単結晶を対角が3mm以上、厚さが0.5mm以上の大きさに成長させる。
本発明の陽電子放出核種断層撮像装置は、上記いずれかに記載の単結晶シンチレータ材料から形成されたシンチレータを備える。
本発明によれば、大きい発光量および優れた蛍光減衰特性を有する単結晶シンチレータ材料を得ることができる。
本発明の実施例1における結晶育成のヒートパターンを示すグラフである。 本発明の実施例1で作製された結晶体を示す写真である。 図2に示される結晶体の1つを拡大した写真である。 本発明で用いた結晶育成装置を示す図である。 本発明の実施例2における結晶育成のヒートパターンを示すグラフである。 本発明の実施例2で作製された結晶体を示す写真である。
符号の説明
1 坩堝
2 ヒータ
3 電気炉
4 坩堝台
5 引上げ軸
6 種子材料
7 原料溶液
本発明による単結晶シンチレータ材料は、組成式(CexLu1-x)BO3で表され、Ceの組成比率xが0.0001≦x≦0.05を満足する単結晶部を有している。好ましい実施形態において、この単結晶部の対角は3mm以上、厚さは0.5mm以上である。ここで、「対角」とは単結晶部の最大寸法値であり、「厚さ」とは単結晶部の最小寸法値である。本発明における単結晶部の析出・結晶成長後における典型的な形状は、概略的に平板状であるが、他の形状に加工することを排除しない。
なお、典型的には、本発明の単結晶シンチレータ材料の全体が上記の「単結晶部」によって構成されるが、「単結晶部」以外の部分、例えば一部多結晶化した部分が単結晶シンチレータ材料に含まれていてもよいし、保護被膜なとが単結晶シンチレータ材料に付着していてもよい。
従来、希土類を賦活したホウ酸ルテチウムがX線などの放射線を吸光して紫外線または可視光線を発するシンチレーション特性を示すことは知られていた。特に、Ceで賦活されたホウ酸ルテチウムは、発光量が大きく、蛍光減衰時間が短いという点で非常に優れたシンチレータ材料として機能することが可能である。
本発明における単結晶シンチレータ材料の大きさは、対角が3mm以上、厚みが0.5mm以上、重さが5ミリグラム以上、好ましくは50ミリグラム以上であるため、PETのシンチレータに好適に用いられる。従来、このように大きな単結晶のホウ酸ルテチウム単結晶を作製することはできなかったが、後述する製造方法により、初めて、このような大きさの単結晶の製造が実現された。
上記の組成式における組成比率xは、CeがLuサイトに置換する割合を示している。この組成比率xが0.0001未満であると、発光元素であるCeが少ないため十分な発光量が得られない。また、組成比率xが0.05を超えると、透過率が低下してしまい、やはり発光量が低下する。
本発明の好ましい実施形態における単結晶シンチレータ材料は、Ceが単結晶全体にほぼ均一にドーピングされており、単結晶内のすべての領域において上記組成範囲を満足する。これにより、単結晶全体を所望のCe置換量とすることができ、単結晶全体として優れた蛍光減衰特性を発揮させることができる。
ホウ酸ルテチウム単結晶は、1350℃付近に存在する相転移点より低い温度ではカルサイト構造をとり、相転移点よりも高い温度ではバテライト構造をとる。後述するように、本発明では、1350℃以下の温度で原料の溶融および冷却を行うことにより単結晶を析出成長させるため、冷却過程における相転移に起因する大きな体積変化が生じない。その結果、カルサイト型構造のホウ酸ルテチウム単結晶を大きく成長させることが可能になる。
このようにして作製される本発明の単結晶シンチレータ材料は、可視光に対する高い透過率を有している。例えば厚さ2mm以下の単結晶では、発光波長のピークにおける透過率が50%以上に達する。発光波長のピーク値は、単結晶の組成にもよるが、上記組成範囲におけるセリウム賦活ホウ酸ルテチウム単結晶の発光波長のピークは350nm〜450nmの範囲に存在する。
次に、本発明による単結晶シンチレータ材料の製造方法を説明する。
前述の通り、ホウ酸ルテチウム単結晶は、1350℃付近に存在する相転移点よりも高い温度ではバテライト構造をとり、相転移点よりも低い温度ではカルサイト構造をとる。従来の単結晶製造方法では、原材料を高温に溶融することが必要であるため、溶融物の冷却によって析出した結晶体の温度が冷却過程で、この相転移点を通過することが避けられなかった。そのため、析出した結晶体の体積が相転移によって大きく変化し、結晶体が崩壊してしまうという問題があり、融点よりも低い相転移点を有するホウ酸ルテチウムの単結晶の作製は極めて困難であった。
しかしながら、発明者らは、ホウ酸鉛を主溶媒としてホウ酸ルテチウム系材料を相転移点より低い温度で溶解し、この溶解物を徐冷することにより、セリウム賦活ホウ酸ルテチウム系材料の単結晶を析出させることが可能であることを見出した。
具体的には、鉛化合物、ホウ素化合物、Ce化合物、Lu化合物などの出発原料を所要の割合で混合し、加熱して全体を溶融させた後、徐冷する。鉛化合物としては、一酸化鉛、四三酸化鉛、フッ化鉛などがあげられ、その中でも取り扱いの容易さの点で一酸化鉛が好ましい。また、ホウ素化合物としては、H3BO3、B23、などがあげられる。Ce化合物としては、CeO2、Ce(OH)3、Ce23などがあげられ、その中でも高純度の量産品が流通しており手に入りやすいという点でCeO2、Ce23が好ましい。Lu化合物としては、Lu23が用いられる。
溶媒には、融点や粘度を調整したり、融液の泡を消すなどの目的でBaCO3、CaCO3や、Na2O、Li2Oなどの、アルカリ土類金属やアルカリ金属の化合物から選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。
これらの出発原料を以下の割合で調整する。まず、ホウ素化合物と鉛化合物を、Pb1molに対してBが0.2〜1.6molとなるように配合して溶媒とする。より大きな結晶を析出させるという観点から、ホウ素化合物と鉛化合物の配合比はPb1molに対してBが0.7〜1.4molとなるように配合するのが好ましい。溶媒にBaCO3、CaCO3や、Na2O、Li2Oなどの、アルカリ土類金属やアルカリ金属の化合物から選ばれる少なくとも1種(以下、「BaCO3など」と称する場合がある。)を含有させてもよい。BaCO3などを溶媒に含有させる場合には、Pb1molに対してBaCO3などが5.0mol以下となるように配合することが好ましい。この溶媒に、Lu化合物をPb1molに対して0.02〜0.3mol、Ce化合物をLu1molに対して0.01〜5molとなるような比率で混合する。これらの混合物を加熱してゆくと、上記溶媒のための化合物が溶融し、Lu化合物およびCe化合物が、溶融した溶媒に溶解する。出発原料として、あらかじめ個別に調整されたホウ酸鉛、ホウ酸ルテチウム等を用いて上記比率になるように配合しても良い。
上記混合物を50℃/時間〜500℃/時間の昇温速度で800℃以上、ホウ酸ルテチウムの相転移点である1350℃以下の温度に昇温させ、そのまま1時間〜12時間温度保持して全体を溶融させる。保持温度よりも高い温度までいったん昇温させた後、上記温度範囲で保持してもよい。LuBO3の融点は1650℃であるが、融点より低いこの範囲の温度で溶融した溶媒に溶解する。
続いて、上記溶融溶解物を好ましくは0.001℃/時間以上、より好ましくは0.01℃/時間以上、さらに好ましくは0.1℃/時間以上、30℃/時間以下の降温速度で徐冷する。結晶をより大きく成長させるという観点から、750℃以上1250℃以下の温度に達するまでは0.001℃/時間以上5℃/時間以下で徐冷することが好ましく、0.003℃/時間以上2℃/時間以下で徐冷することがより好ましい。上記速度でゆっくりと徐冷することにより、析出する結晶を大きく成長させることができる。途中結晶を大きく成長させる為に800℃以上1250℃以下の温度範囲内で30分以上温度を保持してもよい。上記徐冷の後(800℃以上1250℃以下の範囲内に含まれる徐冷停止温度未満)は、50℃/時間〜300℃/時間の比較的高い降温速度で冷却を行っても良い。
溶融した上記混合物の徐冷は、800℃以上1250℃以下のいずれかの温度で停止させる必要はなく、この混合物の温度が500℃以上800℃以下の温度に達するまで徐冷を継続するようにしてもよい。この場合、混合物の温度が500℃以上800℃以下の温度に達するまでは0.01℃/時間以上、好ましくは0.1℃/時間以上、20℃/時間以下の降温速度で徐冷するのが好ましい。この場合も、徐冷の後は、50℃/時間〜300℃/時間の比較的高い降温速度で冷却を行っても良い。
坩堝から取り出した単結晶には固化した溶媒が付着しているため、塩酸、酢酸、硝酸またはこれらの水溶液などに単結晶を浸漬することにより、溶媒からセリウム賦活ホウ酸ルテチウム単結晶を分離して取り出す。この分離を行う前に500℃以上700℃以下の温度に再加熱することにより、溶融した溶媒を流し出しても良い。また、単結晶を析出成長させるための冷却途中において、上記混合物の温度を500℃以上700℃以下の温度(例えば550℃)で数時間(例えば5時間)保持してもよい。
具体的な結晶成長法としては、フラックス法(徐冷法,温度差法)、ブリッジマン法、TSSG(Top Seeded Solution Growth)法などが挙げられる。TSSG法によれば、大きな結晶を育成することができ,さらに育成した結晶と溶液との分離が容易になる。以下、TSSG法による結晶育成の具体例について図4を参照して説明する。
図4にTSSG法による結晶育成装置を示す。図4の装置はヒータ2によって温度制御可能な電気炉3を有しており、電気炉3内の坩堝台4上に原料溶液7を入れた白金製の坩堝1を設置している。このような構成の装置において、坩堝1に調整された原料を入れ、ヒータ2を加熱することで原料を溶解する。引上げ軸5の先端に取り付けられた種子材料6を原料溶液7に接触させ、そのまま保持、あるいは引き上げながら結晶を育成する。種子材料6としては、育成しようとする結晶と同一種の結晶を用いるのが一般的でありかつ望ましいが、原料溶液7に溶解しにくい異種の結晶や、白金等も種子材料6としてよく用いられる。
上記製造方法により得られるセリウム賦活ホウ酸ルテチウム単結晶は、発光波長ピークにおける透過率が50%以上の六角板状単結晶であり、カルサイト構造を有している。X線励起での発光は、ピーク波長が365nm〜410nm、同一体積のBGOに対して300%以上の高い発光量を有している。また、137Cs線源からのγ線励起発光による蛍光減衰時間は25nsec以下と、BGOの300nsecに対して非常に速い特性を有している。
(実施例1)
本実施例では、フラックス法(徐冷法)により結晶体を成長させた。直径50mm、深さ60mmの白金坩堝を用意し、PbO:100g、B23:18g、Lu23:8g、CeO2:0.1gを秤量後、乳鉢で混合し、上記坩堝内に充填した。この白金坩堝を、直径60mm、深さ70mmのアルミナ坩堝に入れてふたをし、図1に示すヒートパターンで結晶を育成した。図1の縦軸は温度、横軸は時間である。冷却過程の途中は記載を省略している。
本実施例では、図1からわかるように、まず210℃/Hrで450℃まで昇温させ、次に100℃/Hrで800℃まで昇温させた後、更に135℃/Hrで1300℃まで昇温させた。1300℃で2時間保持した後、25℃/Hrで700℃まで降温させ、その後は75℃/Hrで降温を続けた。
1300℃付近の温度で溶融溶解した混合物からは、冷却により組成式(CexLu1-x)BO3で表される結晶体が成長した。
冷却後、坩堝内の結晶体を700℃まで再加熱することにより、坩堝内で凝固していた溶媒を溶融して坩堝から流し出した。この後、坩堝内を塩酸によって洗浄し、坩堝内に残っていた結晶体を取り出した。
図2は、得られた多数の結晶体を示す写真である。図2には、結晶体のサイズを示すためのグリッドが記載されている。グリッドの間隔(マス目の大きさ)は、1mmである。図2から明らかなように、これらの結晶体の多くは、対角4mm以上、厚さが0.6mm以上のサイズを有している。これらの結晶体の重さは、いずれも、50mg以上であった。
図3は、これらの結晶体の1つを拡大した写真である。この結晶体は、基本的に六角板状の単結晶であった。
得られた結晶体についてX線回折装置による測定を行った結果、結晶体がLuBO3のカルサイト構造を有していることを確認した。また、得られた結晶体の希土類全体に対するCe濃度を電子線マイクロアナライザ(EPMA)のマッピングにより測定したところ、すべての領域で0.1at%以上であることを確認した。すなわち、組成式(CexLu1-x)BO3におけるCeの組成比率xは、0.001であり、0.0001≦x≦0.05の関係を満足していた。
更に、CuKα線源からのX線励起によって実施例の結晶体を発光させたところ、発光のピーク波長は365nmであった。また、実施例の発光量は、同じ体積のBGO(ブリッジマン法で育成したBi4Ge312単結晶、密度7.14g/cm3)の発光量の320%であった。さらに、137Cs線源からのγ線励起によって実施例の結晶体を発光させて蛍光減衰時間を測定したところ、測定された蛍光減衰時間は21nsecであった。一方、BGOの蛍光減衰時間は300nsecであった。
(実施例2)
本実施例では、図4に示す装置を用いてTSSG法により結晶体を成長させた。直径40mm、深さ50mmの白金製の坩堝1を用意し、PbO:100g、B23:18g、Lu23:10g、CeO2:0.1gを秤量後、乳鉢にて混合し、上記坩堝内に充填した。この坩堝1を、その周囲に配置されたヒータ2により温度制御して、図5に示すヒートパターンで結晶を育成した。図5の縦軸は温度、横軸は時間である。冷却過程の途中は記載を省略している。
本実施例では、図5からわかるように、まず210℃/Hrで450℃まで昇温させ、次に200℃/Hrで1150℃まで昇温させ2時間保持した後、30rpmで回転させた引上げ軸5の先端に取り付けた種子材料6(幅5mm、厚さ0.5mmの白金板)を、坩堝上部から降下して溶液表面に接触させた。その状態でさらに6時間保持した後1℃/Hrで950℃まで降温させた後、引上げ軸5を上昇させて白金板を溶液表面から離した後、150℃/Hrで降温を続けた。
溶液に接触させていた白金板の先端には,組成式(CexLu1-x)BO3で表される結晶体が成長した。
冷却後、白金板と成長結晶を塩酸によって洗浄して付着している溶媒を除去し、結晶体を取り出した。
図6は、得られた結晶体を示す写真である。図6には、結晶体のサイズを示すためのグリッドが記載されている。グリッドの間隔(マス目の大きさ)は、1mmである。図6から明らかなように、この結晶体は、対角10mm以上、厚さが1.2mm以上のサイズを有しており、重さが800mg以上である。このように本実施例によれば、重さが500mg以上の結晶体を得ることができる。
得られた結晶体についてX線回折装置による測定を行った結果、結晶体がLuBO3のカルサイト構造を有していることを確認した。また、得られた結晶体の希土類全体に対するCe濃度を電子線マイクロアナライザ(EPMA)により測定したところ、すべての領域で0.05at%以上であることを確認した。すなわち、組成式(CexLu1-x)BO3におけるCeの組成比率xは、0.0005であり、0.0001≦x≦0.05の関係を満足していた。
更に、CuKα線源からのX線励起によって実施例の結晶体を発光させたところ、発光のピーク波長は365nmであった。137Cs線源からのγ線励起によって実施例の結晶体を発光させて蛍光減衰時間を測定したところ、測定された蛍光減衰時間は21nsecであった。
本発明により得られたセリウム賦活ホウ酸ルテチウム単結晶シンチレータ材料は、蛍光減衰時間が短く、優れたシンチレータ特性を有しているため、PET装置を好適に用いられ得る。

Claims (10)

  1. 組成式(CexLu1-x)BO3で表され、Ceの組成比率xが0.0001≦x≦0.05を満足する単結晶部を有する単結晶シンチレータ材料。
  2. 前記単結晶部はカルサイト型結晶構造を有している請求項1に記載の単結晶シンチレータ材料。
  3. 前記単結晶部の対角は3mm以上、厚さは0.5mm以上である請求項1に記載の単結晶シンチレータ材料。
  4. 前記単結晶部の重さは、5ミリグラム以上である請求項1に記載の単結晶シンチレータ材料。
  5. 前記単結晶部の重さは、500ミリグラム以上である請求項4に記載の単結晶シンチレータ材料。
  6. ホウ酸鉛を主とする溶媒にCe化合物およびLu化合物を前記溶媒の飽和濃度以上の割合で混合し、800℃以上1350℃以下の温度に加熱して前記化合物を溶融させる工程と、
    溶融した前記化合物を冷却することにより、組成式(CexLu1-x)BO3で表され、Ceの組成比率xが0.0001≦x≦0.05を満足する単結晶を析出成長させる工程と、
    を含む単結晶シンチレータ材料の製造方法。
  7. 前記単結晶を析出成長させる工程は、TSSG法により行う、請求項6に記載の単結晶シンチレータ材料の製造方法。
  8. 前記単結晶を析出成長させる工程において、前記化合物の温度が750℃以上1250℃以下の温度に達するまでは0.001℃/時間以上5℃/時間以下の降温速度で冷却する、請求項6に記載の単結晶シンチレータ材料の製造方法。
  9. 前記単結晶を対角が3mm以上、厚さが0.5mm以上の大きさに成長させる請求項6に記載の単結晶シンチレータ材料の製造方法。
  10. 請求項1に記載の単結晶シンチレータ材料から形成されたシンチレータを備える陽電子放出核種断層撮像装置。
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