JPWO2008152783A1 - スピーカシステム - Google Patents

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Abstract

本発明に係るスピーカシステムは、キャビネットと、キャビネットに形成された開口部に取り付けられたスピーカユニットと、キャビネット内部に配置され、キャビネット内部の気体を物理吸着してキャビネット内部の容積を等価的に拡大させる気体吸着体と、キャビネットに形成された開口部に取り付けられ、直流電圧が印加されることによってキャビネット内部の湿気を外部に放出する除湿素子とを備える。

Description

本発明は、スピーカシステムに関し、より特定的には、キャビネット内部に気体吸着体を配置したスピーカシステムに関するものである。
従来、キャビネットの内部に気体吸着体を配置するスピーカシステムとして、例えば特許文献1に開示されたスピーカシステムが提案されている。図19は、特許文献1に開示されたスピーカシステム91の主要部を示した部分断面図である。スピーカシステム91は、キャビネット910、スピーカユニット911、気体吸着体912、およびバック913を備える。キャビネット910は、平板形状の前壁9101と湾曲した側壁9102とにより構成される。スピーカユニット911は動電型スピーカである。スピーカユニット911は前壁9101に取り付けられる。気体吸着体912は、例えば活性炭のように、細孔が多数形成された多孔性材料で構成される。この細孔のサイズは、例えばナノオーダーのサイズであり、空気を物理吸着することができるサイズとなっている。気体吸着体912は、チューブ状に成形されたバック913内に封入される。バック913は、キャビネット910の内部であって側壁9102の湾曲部分に配置される。
以上のように構成されたスピーカシステム91について、その動作を説明する。スピーカユニット911に電気信号が印加されると、スピーカユニット911の振動によって、キャビネット910の内部の気圧が変化する。この気圧の変化に伴う空気は、バック913の網目を通過して、バック913内に封入された気体吸着体912に物理吸着される。これにより、キャビネット910の内部の気圧の変化は抑制され、キャビネット910内部の容積は等価的に拡大する。その結果、小型のキャビネットでありながら、あたかも大型のキャビネットにスピーカユニットを搭載したような低音再生が可能となる。
ここで、気体吸着体を用いたスピーカシステムでは、湿度が高くなると水蒸気が気体吸着体に吸着して容積拡大効果が低下するという問題があった。
そこで、上記従来のスピーカシステム91では、気体吸着体912とバック913に疎水処理を施すことにより、容積拡大効果の低下を防いでいた。
また、特許文献2に開示されるように、除湿素子を採用したマイクロホン装置が提案されている。図20は、特許文献2に開示されたマイクロホン装置92の構造断面図である。図20において、マイクロホン装置92は、容器920、振動膜921、背電極922、絶縁支持部材923、増幅器924、除湿素子925、絶縁支持部材926、およびコネクタ927を備える。容器920には、開口部921h〜923hが形成されている。除湿素子925は、水素イオン導電性を有する固体電解質膜の各面に多孔性電極が形成された能動素子で構成される。ここでは図示しないが除湿素子925には直流電源が接続されている。
以上のように構成されたマイクロホン装置92について、その動作を説明する。振動膜921は、外部から開口部921hを通して伝達される音声または音楽信号によって振動する。振動膜921と背電極922との間の電気容量は、振動膜921の振動により変化し、その変化を示す電気信号が増幅器924へ出力される。増幅器924で増幅された電気信号は、コネクタ927から出力される。なお、容器920には、外気圧の変化に伴う容器920内の気圧の変化を調整するために、開口部923hが形成されている。
ここで、上記従来のマイクロホン装置92では、外部の湿気が気圧調整用の開口部923hから侵入し、振動膜921と背電極922との間にまで侵入すると、雑音が発生するという問題があった。
そこで、上記従来のマイクロホン装置92では、除湿素子925の電極間に直流電圧を印加し、除湿素子925のイオン分解作用によって湿気を開口部922hから外部に放出していた。このように上記従来のマイクロホン装置92では、除湿素子925を用いて湿気を外部に放出することで、雑音の発生を防いでいた。
特表2004−537938号公報 特開2004−343318号公報
上記従来のスピーカシステム91では、気体吸着体912とバック913に疎水処理を施していた。しかしながら、水分子は空気分子よりも小さいので、バック913の網目を容易に通過し、気体吸着体912へ到達してしまう。このため、バック913に疎水処理を施しても、気体吸着体912に対する防湿効果はほとんど得られなかった。また、気体吸着体912に疎水処理を施しても、その防湿効果には上限があった。つまり、湿度が低い場合には完全に防湿できるが、湿度が高く上限を超える場合には、完全に防湿できなくなる。雨天時や加湿器で屋内を加湿している時などにおいて、湿度が上限を超えてしまうことが多い。このように、気体吸着体912とバック913に疎水処理を施しても、防湿効果は周囲の湿度に左右されることになり、容積拡大効果の低下を安定的に防ぐことができなかった。
また、上記マイクロホン装置92に採用される除湿素子925は、マイクロホン特有の問題を防ぐ目的で採用されたものである。マイクロホン特有の問題とは、上述したように、外部の湿気が振動膜921と背電極922との間に侵入することによって発生する雑音である。これに対し、スピーカシステムでは、マイクロホンではなくスピーカユニットを用いるので、マイクロホン特有の問題は起こらない。このため、スピーカシステムでは、マイクロホン特有の問題を防ぐ必要はなく、除湿素子925が採用されることはなかった。
本発明は、スピーカシステムにおいて除湿素子を採用することにより、周囲の湿度に左右されることなく、容積拡大効果の低下を安定的に防ぐことが可能なスピーカシステムを提供することを目的とする。
本発明は、スピーカシステムに向けられており、上記課題を解決するために、本発明に係るスピーカシステムは、キャビネットと、キャビネットに形成された開口部に取り付けられたスピーカユニットと、キャビネット内部に配置され、キャビネット内部の気体を物理吸着してキャビネット内部の容積を等価的に拡大させる気体吸着体と、キャビネットに形成された開口部に取り付けられ、直流電圧が印加されることによってキャビネット内部の湿気を外部に放出する除湿素子とを備える。除湿素子から湿気が外部に放出されることで、周囲の湿度に左右されることなく、容積拡大効果の低下を安定的に防ぐことができる。
好ましくは、スピーカシステムは、除湿素子に直流電圧を印加する電源部と、キャビネット内部の湿度を検出する湿度検出部と、湿度検出部において検出された湿度が所定の閾値よりも高い場合のみ、電源部を制御して除湿素子に直流電圧を印加させる制御部とをさらに備えるとよい。これにより、電源部における消費電力を抑えることができる。なお、上記湿度検出部は、例えば、後述する実施形態に記載された、電気抵抗51および電圧検出部52の組み合わせ、湿度センサー54および湿度変換部55の組み合わせ、電気抵抗51、電圧検出部52、信号源56、および増幅部57の組み合わせなどに相当するものである。
好ましくは、湿度検出部は、除湿素子に流れる電流を検出し、制御部は、除湿素子に流れる電流が所定の閾値よりも大きい場合のみ、電源部を制御して除湿素子に直流電圧を印加させるとよい。また、湿度検出部は、除湿素子と直列に接続された電気抵抗と、電気抵抗の端子間電圧を検出することによって、電圧に変換された除湿素子に流れる電流を検出する電圧検出部とにより構成されるとよい。
好ましくは、湿度検出部は、キャビネット内部に配置された湿度センサーにより構成されるとよい。
好ましくは、湿度検出部は、スピーカユニットに流れる電流の周波数特性を検出し、制御部は、周波数特性に含まれる所定の共振点の周波数が所定の閾値よりも高い場合のみ、電源部を制御して除湿素子に直流電圧を印加させるとよい。また、湿度検出部は、スピーカユニットと直列に接続された電気抵抗と、電気抵抗の端子間電圧を検出することによって、電圧に変換された周波数特性を検出する電圧検出部とにより構成されるとよい。また、スピーカシステムは、キャビネットに取り付けられ、キャビネットの内部と外部とを音響的に接続する音響ポートをさらに備え、所定の共振点は、音響ポートの音響質量と、キャビネット内部の空室の音響コンプライアンスとによる音響共振が発生する点であるとよい。また、スピーカシステムは、キャビネットに形成された開口部に取り付けられたパッシブラジエータをさらに備え、所定の共振点は、パッシブラジエータの音響質量と、キャビネット内部の空室の音響コンプライアンスとによる音響共振が発生する点であるとよい。
好ましくは、スピーカシステムは、除湿素子を被うようにキャビネットの内部に取り付けられ、スピーカユニットからキャビネット内部に放射された音のうち、所定のカットオフ周波数以下となる音のみ除湿素子に到達させる音響フィルター機構をさらに備えるとよい。また、音響フィルター機構は、除湿素子を被うようにキャビネットの内部に取り付けられたカバー部と、カバー部に形成された開口部に取り付けられた音響ポートとにより構成されるとよい。また、音響フィルター機構は、キャビネット内部に配置され、かつ除湿素子に対して狭空隙を介して配置された板状部材により構成されるとよい。また、所定のカットオフ周波数は、可聴帯域よりも低い周波数であるとよい。
好ましくは、スピーカシステムは、除湿素子の少なくとも一部に固着された、通気性を有するクッション部材をさらに備えるとよい。また、クッション部材は、発泡ゴムにより構成されるとよい。また、クッション部材は、板状または格子状に成形されるとよい。
好ましくは、スピーカシステムは、キャビネット内部の空室を、第1の空室と第2の空室とに仕切るように、キャビネット内部に配置された仕切板と、仕切板に形成された開口部に取り付けられたパッシブラジエータとをさらに備え、スピーカユニットは第1の空室に配置され、気体吸着体および除湿素子は第2の空室に配置されるとよい。また、スピーカシステムは、第1の空室とキャビネットの外部とを接続するように、キャビネットに取り付けられた音響ポートをさらに備えるとよい。また、スピーカシステムは、キャビネットに形成された開口部であって第1の空室とキャビネットの外部とを接続する開口部に取り付けられたパッシブラジエータをさらに備えるとよい。
好ましくは、スピーカシステムは、スピーカユニットを被うようにキャビネットの外面に取り付けられたカバー部と、カバー部に形成された開口部に取り付けられたパッシブラジエータとをさらに備えるとよい。
好ましくは、気体吸着体は、活性炭、ゼオライト、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO3)、マグネシア(MgO)、四三酸化鉄(Fe34)、モレキュラーシーブ、フラーレン、カーボンナノチューブのいずれか1つからなる多孔性材料で構成されるとよい。
本発明は、車両にも向けられており、上記課題を解決するために、本発明に係る車両は、上記本発明に係るスピーカシステムと、内部に当該スピーカシステムを配置する車体とを備える。
本発明は、映像機器にも向けられており、上記課題を解決するために、本発明に係る映像機器は、上記本発明に係るスピーカシステムと、内部に当該スピーカシステムを配置する機器筐体とを備える。
本発明は、携帯型情報処理装置にも向けられており、上記課題を解決するために、本発明に係る携帯型情報処理装置は、上記本発明に係るスピーカシステムと、内部に当該スピーカシステムを配置する装置筐体とを備える。
本発明によれば、周囲の湿度に左右されることなく、容積拡大効果の低下を安定的に防ぐことが可能なスピーカシステムを提供することができる。
図1は、スピーカシステム1の構造断面を示した図である。 図2は、気体吸着体13が湿気を物理吸着する重量を測定した結果を示す図である。 図3は、スピーカシステム2の構造断面を示した図である。 図4は、音響フィルター機構の他の構成例を示す図である。 図5は、スピーカシステム3の構造断面を示した図である。 図6は、スピーカシステム4の構造断面を示した図である。 図7は、スピーカシステム5の構造断面を示した図である。 図8は、制御部53の制御処理を示すフローチャートである。 図9は、スピーカシステム6の構造断面を示した図である。 図10は、スピーカシステム7の構造断面を示した図である。 図11は、スピーカユニット11の音圧周波数特性および電流特性を示した図である。 図12は、スピーカシステム7に係る制御部53の制御処理を示すフローチャートである。 図13は、携帯電話81の外観図である。 図14は、図13(c)に示す線AAで携帯電話6を切断したときの断面図である。 図15は、車両用ドア83の外観図である。 図16は、図15に示す線BBで車両用ドア83を切断したときの断面図である。 図17は、薄型テレビ85の正面図である。 図18は、図17に示す線CCでスピーカシステム853を切断した断面図である。 図19は、特許文献1に開示されたスピーカシステム91の主要部を示した部分断面図である。 図20は、特許文献2に開示されたマイクロホン装置92の構造断面図である。
符号の説明
1〜7、853 スピーカシステム
10、815、833、854 キャビネット
11、819、834、855 スピーカユニット
12、32、41、856 パッシブラジエータ
121、321、411、824 振動板
122、322、412 エッジ
13、816、840、857 気体吸着体
14、817、841、858 除湿素子
15、818、859 電源部
21、21a 音響フィルター機構
211、40 カバー部
212、30、50 音響ポート
213 板状部材
214 スペーサ
31 仕切板
33 クッション部材
51 電気抵抗
52 電圧検出部
53 制御部
54 湿度センサー
55 湿度変換部
56 信号源
57 増幅部
81 携帯電話
811 装置筐体
812 ヒンジ部
813 液晶画面
814 アンテナ
820 ヨーク
821 マグネット
822 プレート
823 フレーム
825 ボイスコイル
826 ガスケット
827 第1の防塵ネット
828 第2の防塵ネット
83 車両用ドア
831 窓ガラス
832 ドア本体
835 内壁
836 インナーパネル
837 アウターパネル
838 音響管
839 グリル
85 薄型テレビ
851 液晶画面
852 機器筐体
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るスピーカシステム1の構造について説明する。図1は、スピーカシステム1の構造断面を示した図である。図1において、スピーカシステム1は、キャビネット10、スピーカユニット11、パッシブラジエータ12、気体吸着体13、除湿素子14、および電源部15を備える。スピーカユニット11は、動電型スピーカであり、その駆動力発生手段は、磁気回路とボイスコイルで構成される。スピーカユニット11は、キャビネット10の前面に取り付けられる。パッシブラジエータ12は、振動板121およびエッジ122により構成され、キャビネット10の前面に取り付けられる。エッジ122の外周部は、キャビネット10の前面に形成された開口部に取り付けられ、内周部は、振動板121の外周部に取り付けられる。
気体吸着体13は、キャビネット10内部に配置され、キャビネット10内部の空気を物理吸着する。気体吸着体13は、細孔が多数形成された多孔性材料で構成される。多孔性材料の例としては、活性炭、ゼオライト、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO3)、マグネシア(MgO)、四三酸化鉄(Fe34)、モレキュラーシーブ、フラーレン、カーボンナノチューブ等が挙げられる。気体吸着体13は、粒状の多孔性材料の集合であってもよいし、当該集合を固めて成形したものであってもよい。気体吸着体13に形成された細孔のサイズは、例えばナノオーダーのサイズであり、空気を物理吸着することができるサイズとなっている。
なお、気体吸着体13は、結果的にキャビネット10内部の容積を等価的に拡大させることが可能であれば、空気以外の気体を物理吸着する部材であってもよい。つまり、気体吸着体13は、キャビネット10内部の気体を物理吸着し、かつ、キャビネット10内部の容積を拡大させることを可能にする部材であればよい。
除湿素子14は、水素イオン導電性を有する固体電解質膜の各面に多孔性電極が形成された能動素子で構成される。除湿素子14の電極間に直流電圧が印加されると、湿気は酸素イオンと水素イオンに分解される。除湿素子14の各電極は電源部15に接続されており、各電極には電源部15から直流電圧が印加される。除湿素子14は、キャビネット10の背面に形成された開口部10hに取り付けられる。具体的には、除湿素子14は、開口部10hを被うように、キャビネット10の内面に取り付けられる。除湿素子14の電極間に直流電圧が印加されると、除湿素子14の分解作用により、空室R1内の湿気は開口部10hからキャビネット10の外部に放出される。さらに、空室R1内の湿気を外部に放出して空室R1内の湿度を下げることにより、気体吸着体13に物理吸着していた水分子があっても、その水分子を気体吸着体13から離すことができる。つまり、空室R1内の湿度を低下させることにより、気体吸着体13の容積拡大効果の低下を抑制するだけでなく、気体吸着体13の容積拡大効果を元に戻す(復活させる)ことができる。
以上のように構成されたスピーカシステム1について、その動作を説明する。スピーカユニット11は、通常の動電型スピーカであり、その動作は周知であるのでここでは詳細な説明を省略する。スピーカユニット11に音楽信号を印加すると、ボイスコイルに駆動力が発生して振動板が振動し、振動板の前面および背面から音が発生する。背面からの音は、空室R1内に放射され、パッシブラジエータ12の質量と空室R1の音響コンプライアンスとによる音響共振を生じさせる。また、背面からの音は、空室R1内の気圧を変化させる。ここで、空室R1内には、空気を物理吸着する気体吸着体13が配置されている。このため、空室R1内の気圧の変化は抑制される。つまり、気体吸着体13の空気を物理吸着する作用により、空室R1の音響コンプライアンスが大きくなる。この結果、空室R1内の容積は等価的に拡大することとなり、スピーカシステム1は、キャビネット10よりも大きな容積のキャビネットにパッシブラジエータ12を取付けたかのように動作する。この動作により、スピーカシステム1では、小型のキャビネットを用いても、あたかも大型のキャビネットにスピーカユニットを搭載したような低音再生が可能となる。
ここで、雨天時やスピーカシステム1を設置した部屋で加湿器等を用いた時、スピーカシステム1の周囲の湿度は高くなる。この場合、湿気はスピーカユニット11あるいはパッシブラジエータ12を通して空室R1内に侵入するので、空室R1内の湿度も高くなる。しかしながら、電極間に直流電圧が印加された除湿素子14の分解作用によって、空室R1内の湿気は開口部10hからキャビネット10の外部に放出される。その結果、空室R1内の湿度が下がるので、気体吸着体13に湿気が物理吸着することによる容積拡大効果の低下を、安定的に抑制することができる。さらに、気体吸着体13に既に水分子が物理吸着している場合には、気体吸着体13の容積拡大効果を復活させることができる。
除湿素子14の有無により、気体吸着体13が湿気を物理吸着する重量(吸水量)を測定した結果を、図2に示す。図2の測定では、8cm口径のスピーカユニット11を用いた。また、スピーカユニット11の振動板には樹脂材料で構成されたものを用い、エッジにはゴム材料で構成されたものを用いた。また、パッシブラジエータ12の振動板121には樹脂材料で構成されたものを用い、エッジ122にはゴム材料で構成されたものを用いた。またキャビネット10には樹脂材料で構成されたものを用い、キャビネット10の内部容積を1.3リットルとした。また気体吸着体13には、粒径が0.35mm付近に分布する粒状の活性炭(重量60g)を綿の袋に詰めたものを用い、通常市販される吸臭材や吸湿材のように空気の物理吸着作用がほとんど得られないものではなく、スピーカ用として適切な空気の物理吸着作用が得られるものを用いた。また除湿素子14には、外径が5mm×5mmとなるものを用いた。また電源部15から印可される直流電圧は3Vとした。以上の条件において、空室R1内の初期の湿度は55℃とし、スピーカシステム1を湿度95%の試験槽に入れて一定の時間ごとに気体吸着体13の重量を測定し、重量変化を吸水量として測定した。
図2から、除湿素子14が無い場合、約300時間後における気体吸着体13の重量は、初期の重量に対して約2.5g増加していることがわかる。一方、除湿素子14が有る場合、約300時間後における気体吸着体13の重量は、初期の重量に対して減少していることがわかる。これは、気体吸着体13に既に物理吸着していた水分子が離れたことを意味する。この結果からわかるように、除湿素子14が有る場合、スピーカシステム1が95%という高湿な環境に設置されても、気体吸着体13は水分子(湿気)を物理吸着していない初期の状態を維持することとなる。
以上のように、本実施形態では、除湿素子14を採用することにより、周囲の湿度に左右されることなく、容積拡大効果の低下を安定的に防ぐことが可能なスピーカシステムを提供することができる。
なお、本実施形態では、パッシブラジエータ方式を採用したが、パッシブラジエータ12を用いない密閉方式を採用してもよい。この場合、パッシブラジエータ12を用いないので密閉性がさらに高まり、除湿素子14による除湿をより効率的に行うことができる。
(第2の実施形態)
図3を参照して、本発明の第2の実施形態に係るスピーカシステム2の構造について説明する。図3は、スピーカシステム2の構造断面を示した図である。図3において、スピーカシステム2は、キャビネット10、スピーカユニット11、パッシブラジエータ12、気体吸着体13、除湿素子14、電源部15、および音響フィルター機構21を備える。
スピーカシステム2は、上述したスピーカシステム1に対して、音響フィルター機構21をさらに備える点のみ異なる。それ以外の構造についてはスピーカシステム1と同様であり、同じ符号を付して説明を省略する。
音響フィルター機構21は、空室R211を内部に形成するカバー部211と、空室R212を内部に形成する音響ポート212とにより構成される。カバー部211は、空室R211内に除湿素子14が配置されるように、キャビネット10の内面に取り付けられる。音響ポート212は、カバー部211に形成された開口部に取り付けられる。音響フィルター機構21は、音響ポート212とカバー部211とにより音響的なローパスフィルターとして機能する。音響フィルター機構21は、スピーカユニット11の背面からの音のうち、所定のカットオフ周波数以下の音のみを通過させる。
以上のように構成されたスピーカシステム2について、その動作を説明する。スピーカユニット11に音楽信号を印加すると、ボイスコイルに駆動力が発生して振動板が振動し、振動板の前面および背面から音が発生する。背面からの音は、空室R1内の気圧を変化させる。しかしながら、この気圧の変化は、気体吸着体13の空気を物理吸着する作用により抑制される。その結果、空室R1内の容積は等価的に拡大する。また、除湿素子14の電極間には直流電圧が印加され、空室R1内の湿気は開口部10hからキャビネット10の外部に放出される。ここまでの動作は、上述したスピーカシステム1と同様である。
ここで、上述したスピーカシステム1は、スピーカユニット11の背面からの音が除湿素子14に直接的に伝わる構造を有する。したがって、上述したスピーカシステム1では、背面からの音の高い音圧によって除湿素子14が破損する危険があった。一方、スピーカシステム2は、スピーカユニット11の背面からの音が音響フィルター機構21を通過して除湿素子14に到達する構造を有する。したがって、音響フィルター機構21のカットオフ周波数を適切に設定すれば、通常の音楽信号がもつ周波数帯域(例えば40Hz以上の周波数帯域)の音を減衰させて、除湿素子14の表面に伝わる音圧を低減させることができる。その結果、音楽再生時において除湿素子14が破損する危険を回避できる。なお、通常の音楽信号がもつ周波数帯域は、可聴帯域以上の周波数帯域である。したがって、通常の音楽信号がもつ周波数帯域の音を減衰させるには、カットオフ周波数を可聴帯域よりも低い周波数に設定すればよい。
なお、空室R1内の湿気は、周波数成分を有しない(つまり、0Hz付近の周波数成分を有する)ため、容易に音響フィルター機構21を通過し除湿素子14に到達する。つまり、空室R1内の湿気は、音響フィルター機構21の影響を受けることなく、除湿素子14により外部に放出される。
なお、音響フィルター機構21の必要性の有無は、キャビネット10の容積やスピーカユニット11の口径等により、決定されるべきものである。スピーカシステム1では、音響フィルター機構21を備えていないが、気体吸着体13による空室R1の気圧の変化を抑制する効果によって、気体吸着体13を備えていないスピーカシステムと比べて、除湿素子14に伝わる音圧は低くなる。したがって、気体吸着体13によって抑制される音圧により除湿素子14が破損する危険がない場合には、音響フィルター機構21を備える必要はない。一方、気体吸着体13によって抑制される音圧を考慮しても、除湿素子14が破損する危険がある場合には、音響フィルター機構21を備える必要がある。
以上のように、本実施形態では、音響フィルター機構21をさらに備えることにより、除湿素子14に高い音圧が伝わる状況であっても、除湿素子14が破損する危険を回避することができる。
なお、上述では、音響フィルター機構21は、カバー部211と音響ポート212とにより構成されるとしたが、これに限られない。音響フィルター機構21の構成は、例えば図4に示す構成であってもよい。図4は、音響フィルター機構の他の構成例を示す図である。図4では、図3に示したスピーカシステム2のうち、除湿素子14付近のみを示している。図4において、音響フィルター機構21aは、板状部材213とスペーサ214とにより構成される。板状部材213は、スペーサ214を間に挟んで除湿素子14の前方に配置される。板状部材213と除湿素子14との間には、例えば幅が1mm以下となる、狭空隙G213が形成される。狭空隙G213が幅は非常に狭いので、狭空隙G213での空気の粘性抵抗は非常に大きくなる。このため、スピーカユニット11の背面からの音は、狭空隙G213を通る際に減衰する。なお、空気の粘性抵抗は、周波数成分を有する音に対して働く抵抗であり、その大きさは、周波数により変化する。また、空気の粘性抵抗の大きさは、狭空隙G213の幅で決定される。つまり、音響フィルター機構21aにおけるカットオフ周波数は、狭空隙G213の幅で決定される。したがって、音楽信号に含まれる周波数成分以上で粘性抵抗が大きくなるように、空隙G213の幅を調整してカットオフ周波数を決定するとよい。なお、空室R1内の湿気は、周波数成分を有しないため、空気の粘性抵抗の影響を受けることなく、容易に音響フィルター21aを通過し除湿素子14に到達する。
(第3の実施形態)
図5を参照して、本発明の第3の実施形態に係るスピーカシステム3の構造について説明する。図5は、スピーカシステム3の構造断面を示した図である。図5において、スピーカシステム3は、キャビネット10、スピーカユニット11、気体吸着体13、除湿素子14、電源部15、音響ポート30、仕切板31、パッシブラジエータ32、およびクッション部材33を備える。
スピーカシステム3は、上述したスピーカシステム1に対して、パッシブラジエータ12が音響ポート30に入れ代わり、仕切板31、パッシブラジエータ32、およびクッション部材33をさらに備える点のみ異なる。それ以外の構造についてはスピーカシステム1と同様であり、同じ符号を付して説明を省略する。
音響ポート30は、キャビネット10の前面に取付けられる。仕切板31は、キャビネット10内部の空室を、空室R3と空室R4とに仕切るように、キャビネット10の内部に取り付けられる。パッシブラジエータ32は、振動板321およびエッジ322により構成され、仕切板31に形成された開口部に取り付けられる。エッジ322は、例えばウレタンゴム材料で構成される。エッジ322の外周部は、仕切板31に形成された開口部に取付られ、内周部は、振動板321の外周部に取り付けられる。気体吸着体13は、空室R4内に配置される。クッション部材33は、通気性のある発泡ゴム材料などを板状に成形したものであり、除湿素子14の各電極の全面に固着される。除湿素子14は、クッション部材33で挟まれた状態でキャビネット10の内部に配置される。
以上のように構成されたスピーカシステム3について、その動作を説明する。スピーカユニット11に音楽信号を印加すると、ボイスコイルに駆動力が発生して振動板が振動し、振動板の前面および背面から音が発生する。背面からの音は、空室R3内に放射され、振動板321を振動させる。振動板321の振動により発生した音圧は、空室R4内の気圧を変化させる。しかしながら、空室R4内には気体吸着体13が配置されている。このため、気体吸着体13の空気を物理吸着する作用により、空室R4内の気圧の変化は抑制され、空室R4内の容積は等価的に拡大する。また、スピーカシステム3は、音響ポート30によりバスレフ方式のスピーカシステムとして動作し、豊かな低音再生が可能となる。
除湿素子14は、クッション部材33で挟まれた状態でキャビネット10の内部に配置される。このため、高い音圧が除湿素子14に伝わって除湿素子14が振動しても、その振動はクッション部材33により緩和される。その結果、除湿素子14が破損することを防ぐことができる。クッション部材33は、通気性を有する部材であるので、空室R3内の湿気は、クッション部材33を通過して除湿素子14に到達できる。
以上のように、本実施形態では、仕切板31およびパッシブラジエータ32を備えることにより、音響ポート30を採用しても、外部の湿気が気体吸着体13に直接接触することを防ぐことができる。これにより、外部の湿気と直接接触する場合と比較して、気体吸着体13が物理吸着する湿気の量が大幅に軽減される。
また、本実施形態では、クッション部材33を備えることにより、除湿素子14が破損することを防ぐことができる。
なお、本実施形態では、音響ポート30によるバスレフ方式を採用した例について説明したが、これに限られない。音響ポート30の代わりに図1に示したパッシブラジエータ12を設けるようにしてもよい。また、音響ポート30やパッシブラジエータ12を用いない密閉方式であってもよい。パッシブラジエータ12を設ける場合や密閉方式の場合、外部の湿気は、スピーカユニット11やパッシブラジエータ12と、パッシブラジエータ32とを通って空室R4内に侵入する。一方、スピーカシステム1では、外部の湿気は、スピーカユニット11やパッシブラジエータ12のみを通って空室R1内に侵入する。したがって、パッシブラジエータ32を設けることで空室R4内に侵入する湿気の量は、スピーカシステム1と比べて大幅に軽減される。この軽減に伴い、除湿素子14への動作負担も軽減される。
また、本実施形態では、クッション部材33が板状に成形されるとしたが、これに限られない。クッション部材33は、格子状(または網目状)に成形されてもよい。この場合であっても、除湿素子14の振動は抑制される。また、図5では、クッション部材33が除湿素子14の各電極の全面に固着されていたが、一部の面のみに固着されてもよい。この場合であっても、除湿素子14の振動は抑制される。
(第4の実施形態)
図6を参照して、本発明の第4の実施形態に係るスピーカシステム4の構造について説明する。図6は、スピーカシステム4の構造断面を示した図である。図6において、スピーカシステム4は、キャビネット10、スピーカユニット11、気体吸着体13、除湿素子14、電源部15、カバー部40、およびパッシブラジエータ41を備える。
スピーカシステム3は、上述したスピーカシステム1に対して、パッシブラジエータ12が無くなり、スピーカユニット11の取付位置が異なり、カバー部40およびパッシブラジエータ41をさらに備える点のみ異なる。それ以外の構造についてはスピーカシステム1と同様であり、同じ符号を付して説明を省略する。
スピーカユニット11は、キャビネット10の前面中央に形成された開口部に取り付けられる。カバー部40は、スピーカユニット11の前面を被うように、キャビネット10の外面に取り付けられる。パッシブラジエータ41は、振動板411およびエッジ412により構成され、カバー部40に形成された開口部に取り付けられる。エッジ412の外周部は、カバー部40の前面に形成された開口部に取り付けられ、内周部は、振動板411の外周部に取り付けられる。カバー部40およびパッシブラジエータ41と、スピーカユニット11の前面との間には、空室R5が形成される。
以上のように構成されたスピーカシステム4について、その動作を説明する。スピーカユニット11に音楽信号を印加すると、ボイスコイルに駆動力が発生して振動板が振動する。この振動により、空室R1およびR5内の気圧が変化する。パッシブラジエータ41は、空室R5内の気圧が変化することにより、振動する。空室R1内の気圧の変化は、空室R1内に配置された気体吸着体13により抑制され、空室R1の容積は等価的に拡大する。また、除湿素子14の電極間には直流電圧が印加され、空室R1内の湿気は開口部10hからキャビネット10の外部に放出される。
スピーカユニット11は、気体吸着体13が有する容積拡大効果により、あたかも空室R1よりも大きな容積の空室に取付けられているかのような動作を行う。したがって、パッシブラジエータ41は、スピーカユニット11によって、より低い周波数帯域まで駆動される。これにより、低音再生帯域が拡大したスピーカシステムが実現される。
なお、上述したスピーカシステム3では、音響ポート30の共振周波数以下の周波数帯域において、スピーカユニット11の前面から放射される音と音響ポート30から放射される音とが逆相の関係となっていた。これにより、スピーカユニット11の前面から放射される音は打ち消され、低音域の再生を阻害していた。これに対し、スピーカシステム4では、音はパッシブラジエータ41の前面からのみ放射される。このため、スピーカシステム4では、スピーカシステム3のような音の打消しはなく、低音域の再生に優れている。
また、スピーカシステム4では、外部の湿気は、パッシブラジエータ41およびスピーカユニット11を通って空室R1内に侵入する。一方、スピーカシステム1では、外部の湿気は、スピーカユニット11のみを通って空室R1内に侵入する。したがって、スピーカシステム4での空室R1内に侵入する湿気の量は、スピーカシステム1と比べて、大幅に軽減される。この軽減に伴い、除湿素子14への動作負担も軽減される。
以上のように、本実施形態では、カバー部40およびパッシブラジエータ41をさらに備えることにより、低音域の再生を優れたものにしつつ、空室R1内に侵入する湿気の量を軽減することができる。
(第5の実施形態)
図7を参照して、本発明の第5の実施形態に係るスピーカシステム5の構造について説明する。図7は、スピーカシステム5の構造断面を示した図である。図7において、スピーカシステム5は、キャビネット10、スピーカユニット11、気体吸着体13、除湿素子14、電源部15、音響ポート50、電気抵抗51、電圧検出部52、および制御部53を備える。
スピーカシステム5は、上述したスピーカシステム1に対して、空室R1内の湿度に応じて電源部15における直流電圧の印加状態を制御する点で異なる。構造的には、上述したスピーカシステム1に対して、パッシブラジエータ12が音響ポート50に入れ代わり、電気抵抗51、電圧検出部52、および制御部53をさらに備える点のみ異なる。それ以外の構造についてはスピーカシステム1と同様であり、同じ符号を付して説明を省略する。
音響ポート50は、キャビネット10の前面に取付けられる。電気抵抗51は、除湿素子14と直列に接続されている。具体的には、電気抵抗51の一方端が除湿素子14の背面側(開口部10h側)の電極と電気的に接続され、他方端が電源部15と電気的に接続されている。除湿素子14の前面側(空室R1側)の電極は、接続ケーブルによって電源部15と電気的に直接接続されている。電圧検出部52は、電気抵抗51の端子間電圧を検出する。電圧検出部52の検出信号は、制御部53に出力される。制御部53は、検出信号が示す電気抵抗51の端子間電圧に応じて、電源部15における直流電圧の印加状態を制御する。
以上のように構成されたスピーカシステム5について、その動作を説明する。スピーカユニット11に音楽信号を印加すると、ボイスコイルに駆動力が発生して振動板が振動し、振動板の前面および背面から音が発生する。背面からの音は、空室R1内に放射され、空室R1内の気圧が変化する。しかしながら、空室R1内には気体吸着体13が配置されている。このため、気体吸着体13の空気を物理吸着する作用により、空室R1内の気圧の変化は抑制され、空室R1内の容積は等価的に拡大する。また、スピーカシステム5は、音響ポート50によりバスレフ方式のスピーカシステムとして動作し、豊かな低音再生が可能となる。
ここで、制御部53の制御処理について説明する前に、空室R1内の湿度と除湿素子14に流れる電流との関係について考える。除湿素子14に直流電圧を印加したとき、除湿素子14から外部に放出される湿気の量が多いほど、除湿素子14に流れる電流も大きくなる。つまり、空室R1内の湿度と除湿素子14に流れる電流との間には、空室R1内の湿度が高いほど、除湿素子14に流れる電流も大きくなるという関係がある。したがって、除湿素子14に流れる電流を検出することで、空室R1内の湿度を検出することができるといえる。
また、除湿素子14に流れる電流と電気抵抗51の端子間電圧との関係について考えると、これらの間には、除湿素子14に流れる電流が大きくなると、電気抵抗51の端子間電圧も大きくなるという関係がある。したがって、空室R1内の湿度と電気抵抗51の端子間電圧との間には、空室R1内の湿度が高いほど、電気抵抗51の端子間電圧も大きくなるという関係があるといえる。このように、電圧検出部52において電気抵抗51の端子間電圧が検出されることで、電圧に変換された除湿素子14に流れる電流が検出され、除湿素子14に流れる電流が検出されることで、空室R1内の湿度が検出されることとなる。
以下、図8を参照して、制御部53の制御処理について説明する。図8は、制御部53の制御処理を示すフローチャートである。なお、図8の初期状態として、除湿素子14に直流電圧が印加されていないものとする。図8において、電圧検出部52は、電気抵抗51の端子間電圧を検出する(ステップS11)。なお、電圧検出部52が端子間電圧を検出するには、除湿素子14に直流電圧が印加される必要があるが、初期状態では、除湿素子14に直流電圧が印加されていない。したがって、ここでは、ステップS11の検出タイミングのみ制御部53が電源部15を制御し、除湿素子14に直流電圧を印加させるようにする。
ステップS11の次に、制御部53は、電気抵抗51の端子間電圧が所定の閾値Tよりも大きいか否かを判定する(ステップS12)。電気抵抗51の端子間電圧は、上述したように、空室R1内の湿度に応じた電圧となる。
端子間電圧が所定の閾値T以下となる場合(ステップS12でNo)、制御部53は、空室R1内の湿度が所定の閾値以下であるとみなして、処理を終了する。
一方、端子間電圧が所定の閾値Tよりも大きい場合(ステップS12でYes)、制御部53は、空室R1内の湿度が所定の閾値よりも高いとみなして、電源部15における直流電圧の印加を開始させる(ステップS13)。これにより、空室R1内の湿気は、除湿素子14によって開口部10hからキャビネット10の外部に放出され始める。ステップS13の後、電圧検出部52は、電気抵抗51の端子間電圧を検出する(ステップS14)。ステップS14の後、制御部53は、電気抵抗51の端子間電圧が所定の閾値Tよりも大きいか否かを判定する(ステップS15)。端子間電圧が所定の閾値Tよりも大きい場合(ステップS15でYes)、処理はステップS14に戻る。一方、除湿素子14の除湿作用によって空室R1内の湿気の量が減り、端子間電圧が所定の閾値T以下となった場合(ステップS15でNo)、制御部53は、空室R1内の湿度が所定の閾値以下になったとみなして、電源部15における直流電圧の印加を休止させる(ステップS16)。ステップS16の後、処理は終了する。
以上の処理により、端子間電圧が所定の閾値Tよりも大きい間だけ、除湿素子14に直流電圧が印加され、空室R1内の湿気が外部に放出されることになる。つまり、制御部53は、空室R1内の湿度が所定の閾値よりも高くなった場合のみ、電源部15を制御して除湿素子14に直流電圧を印加させる処理を行う。これにより、必要な時間のみ直流電圧を印加させることができ、電源部15における消費電力を抑えることができる。
なお、図8に示す制御処理では、電気抵抗51の端子間電圧を空室R1内の湿度として検出していたが、これに限られない。電気抵抗51により電圧に変換せずに、除湿素子14に流れる電流そのものを空室R1内の湿度として検出するようにしてもよい。
また、図8に示す制御処理は、スピーカシステム5の使用を開始するタイミングで行われてもよいし、所定時間毎に行われてもよい。
また、電気抵抗51、電圧検出部52、および制御部53の構成は、上述したスピーカシステム1〜4に適用されてもよい。特に、スピーカシステム3および4に適用される場合、スピーカシステム3および4では、空室R1内の湿気の量が少ないので、その分、電源部15での消費電力も大幅に軽減される。
(第6の実施形態)
図9を参照して、本発明の第6の実施形態に係るスピーカシステム6の構造について説明する。図9は、スピーカシステム6の構造断面を示した図である。図9において、スピーカシステム6は、キャビネット10、スピーカユニット11、気体吸着体13、除湿素子14、電源部15、音響ポート50、制御部53、湿度センサー54、および湿度変換部55を備える。
スピーカシステム6は、上述したスピーカシステム5に対して、除湿素子14に流れる電流またはその電流を電圧に変換して湿度を検出するのではなく、湿度センサー54を用いて湿度を直接的に検出する点のみ異なる。構造的には、上述したスピーカシステム5に対して、電気抵抗51および電圧検出部52が、湿度センサー54および湿度検出部55に入れ代わった点のみ異なる。それ以外の構造についてはスピーカシステム5と同様であり、同じ符号を付して説明を省略する。
湿度センサー54は、空室R1内の湿度を検出し、検出した湿度に応じた電流の値を有する信号を湿度変換部55に出力する。湿度変換部55は、湿度センサー54から出力された信号の電流の値を湿度の単位(%)に変換する。制御部53は、湿度変換部55において単位変換された湿度に基づいて、電源部15における直流電圧の印加状態を制御する。
本実施形態における制御部53での制御処理は、図8に示した処理に対し、ステップS11、S12、S14、S15の処理のみ異なる。本実施形態では、ステップS11、S14において湿度センサー54が湿度を直接検出する。なお、湿度センサー54は、除湿素子14に流れる電流を検出するものではない。したがって、ステップS11の検出タイミングにおいて、制御部53は、電源部15に対して除湿素子14に直流電圧を印加させる必要はない。また本実施形態では、ステップS12、S15において、制御部53は、湿度センサー54で検出され、湿度変換部55で単位変換された湿度が所定の閾値よりも大きくなるか否かを判定する。ステップS11、S12、S14、S15以外の処理は、図8に示した制御処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。
以上のように、本実施形態では、湿度センサー54を備えることにより、除湿素子14に流れる電流から湿度を検出する場合と比べて、より正確に空室R1内の湿度を検出することができる。その結果、電源部15の制御をより正確に行うことができ、電源部15での消費電力をさらに少なくすることができる。
(第7の実施形態)
図10を参照して、本発明の第7の実施形態に係るスピーカシステム7の構造について説明する。図10は、スピーカシステム7の構造断面を示した図である。図10において、スピーカシステム7は、キャビネット10、スピーカユニット11、気体吸着体13、除湿素子14、電源部15、音響ポート50、電気抵抗51、電圧検出部52、制御部53、信号源56、および増幅部57を備える。
スピーカシステム7は、上述したスピーカシステム5に対して、除湿素子14に流れる電流またはその電流を電圧に変換して湿度を検出するのではなく、スピーカユニット11に流れる電流の周波数特性(以下、電流特性と称す)を用いて湿度を検出する点のみ異なる。構造的には、上述したスピーカシステム5に対して、信号源56および増幅部57をさらに備え、電気抵抗51が増幅部57とスピーカユニット11との間に設けられた点のみ異なる。それ以外の構造についてはスピーカシステム5と同様であり、同じ符号を付して説明を省略する。
電気抵抗51は、スピーカユニット11と直列に接続されている。具体的には、電気抵抗51の一方端がスピーカユニット11の入力端子のいずれか一方の端子と電気的に接続され、他方端が増幅部57と電気的に接続されている。スピーカユニット11の入力端子のいずれか他方の端子は、接続ケーブルによって増幅部57と電気的に直接接続されている。電気抵抗51の抵抗値は、スピーカユニット11の電気インピーダンスに対して十分小さな値であるとする。例えば、スピーカユニット11の電気インピーダンスが8Ωであるとき、電気抵抗51の値は0.5Ω以下とする。電気抵抗51の抵抗値を十分小さくすることで、スピーカユニット11に本来流れる電流を低下させずに電気抵抗51の端子間電圧を測定することができる。つまり、電気抵抗51の抵抗値を十分小さくすることで、スピーカユニット11の電流特性を、正確に電圧変換して検出することができる。
信号源56は、スピーカユニット11の電流特性を測定するための測定信号を発生させる。増幅器57は、信号源56から出力された測定信号を増幅して、スピーカユニット11へ出力する。電圧検出部52は、測定信号がスピーカユニット11に印可されるのと連動して、電気抵抗51の端子間電圧を検出することで、スピーカユニット11の電流特性を検出する。制御部53は、電圧検出部52において検出されたスピーカユニット11の電流特性に基づいて、電源部15における直流電圧の印加状態を制御する。
ここで、制御部53の制御処理について説明する前に、図11を参照して、空室R1内の湿度とスピーカユニット11の電流特性との関係について考える。図11は、スピーカユニット11の音圧周波数特性および電流特性を示した図である。なお、図11の測定では、キャビネット10の内部容積を1.3リッターとし、スピーカユニット11の口径を8cmとした。図11のグラフAは、気体吸着体13として粒径0.3mmの活性炭を60gを配置した場合の音圧周波数特性を示す。グラフBは、グラフAと同じ測定条件下における電流特性を示す。グラフCは、気体吸着体13が配置されていない場合の音圧周波数特性を示す。グラフDは、グラフCと同じ測定条件下における電流特性を示す。グラフBおよびDから、低域の電流特性には特徴的な山谷が生じていることがわかる。以下、グラフBを用いて特徴的な山谷について詳細に説明する。谷部Xは、音響ポート50の音響質量の影響を受けたスピーカユニット11の振動系の共振が発生する点である。山部Yは、空室R1の音響コンプライアンスと音響ポート50の音響質量とによる音響共振が発生する点である。谷部Zは、空室R1の音響コンプライアンスの影響を受けたスピーカユニット11の振動系の共振が発生する点である。
ここで、グラフBとグラフDとを比較すると、グラフBでは、空室R1の容積が気体吸着体13によって拡大されるため、空室R1の音響コンプライアンスが等価的に大きくなる。これにより、山部Yの周波数73.7Hzは、グラフDの山部Y1の周波数94.5Hzと比べて低下する。また、谷部Xは谷部X1と比べて周波数が低下しており、谷部Zも谷部Z1と比べて周波数が低下している。また、グラフAは、グラフCに対して低音域で音圧が拡大している。例えば周波数70Hzにおいて、グラフAの音圧はグラフCよりも約8dB高くなっている。ここで、外部の湿気が音響ポート50から空室R1に侵入し、気体吸着体13の容積拡大効果が低下した場合を考える。この場合、気体吸着体13が乾燥した状態の電流特性が図11のグラフBに相当すると仮定すると、気体吸着体13が吸水した状態の電流特性は、グラフDに相当することとなる。つまり、気体吸着体13が湿気を物理吸着するに従って、スピーカユニット11の電流特性は、グラフBからグラフDへ変化していくこととなる。そこで、電流特性における山部Y、谷部X、Zのいずれかの共振点の周波数の変化を検出すれば、気体吸着体13の容積拡大効果に影響を与える湿気の量、つまり、空室R1内の湿度を検出することができるようになる。例えば、山部Yの周波数が高くなれば、気体吸着体13が物理吸着する湿気の量が多いことを示し、空室R1内の湿度が上昇していることを示すことになる。
以上に構成されたスピーカシステム7について、制御部53の制御処理を図12を参照して説明する。図12は、スピーカシステム7に係る制御部53の制御処理を示すフローチャートである。なお、図12の初期状態として、除湿素子14に直流電圧が印加されていないものとする。図12において、信号源56からの測定信号が増幅部57を介してスピーカユニット11に入力され、電圧検出部52においてスピーカユニット11の電流特性が検出される(ステップS21)。制御部53は、ステップS21で検出された電流特性のうち、山部Yの周波数を特定する(ステップS22)。制御部53は、ステップS22で特定した山部Yの周波数が所定の閾値F(Fは周波数)よりも大きいか否かを判定する(ステップS23)。
山部Yの周波数が所定の閾値F以下となる場合(ステップS23でNo)、制御部53は、空室R1内の湿度が所定の閾値以下であるとみなして、処理を終了する。
一方、山部Yの周波数が所定の閾値Fよりも大きい場合(ステップS23でYes)、制御部53は、空室R1内の湿度が所定値よりも高いとみなして、電源部15における直流電圧の印加を開始させる(ステップS24)。これにより、空室R1内の湿気は、除湿素子14によって開口部10hからキャビネット10の外部に放出され始める。ステップS24の後、信号源56からの測定信号が増幅部57を介してスピーカユニット11に入力され、電圧検出部52においてスピーカユニット11の電流特性が検出される(ステップS25)。制御部53は、ステップS25で検出された電流特性のうち、山部Yの周波数を特定する(ステップS26)。制御部53は、ステップS26で特定した山部Yの周波数が所定の閾値Fよりも大きいか否かを判定する(ステップS27)。山部Yの周波数が所定の閾値Fよりも大きい場合(ステップS27でYes)、処理はステップS25に戻る。一方、除湿素子14の除湿作用によって空室R1内の湿気の量が減り、山部Yの周波数が所定の閾値F以下となった場合(ステップS27でNo)、制御部53は、空室R1内の湿度が所定の閾値以下になったとみなして、電源部15における直流電圧の印加を休止させる(ステップS28)。ステップS28の後、処理は終了する。
以上の処理により、山部Yの周波数が所定の閾値Fよりも大きい間だけ、除湿素子14に直流電圧が印加され、空室R1内の湿気が外部に放出されることになる。つまり、制御部53は、空室R1内の湿度が所定の閾値よりも高くなった場合のみ、電源部15を制御して除湿素子14に直流電圧を印加させる処理を行う。これにより、必要な時間のみ直流電圧を印加させることができ、電源部15における消費電力を抑えることができる。
なお、図12では、山部Yの周波数を用いていたが、谷部XまたはZのいずれかを用いてもよい。山部Y、谷部X、Zのうち、山部Yの周波数を用いるのが最も望ましい。谷部Xは、音響ポート50の音響質量の影響を受けたスピーカユニット11の振動系の共振が発生する点である。谷部Zは、空室R1の音響コンプライアンスの影響を受けたスピーカユニット11の振動系の共振が発生する点である。つまり、谷部XおよびZはともに、スピーカユニット11の振動系に関係のある共振点である。このため、谷部XおよびZの周波数は、スピーカユニット11の振動系の部材であるエッジやダンパーが長時間使用によって劣化したり、湿度の影響でバネ力が変化したりすることにより、変化する。あるいは、谷部XおよびZの周波数は、スピーカユニット11の振動板が湿気を吸収して当該振動板の重量が変化することにより、変化する。一方、山部Yは、空室R1の音響コンプライアンスと音響ポート50の音響質量とによる音響共振が発生する点である。つまり、山部Yは、スピーカユニット11の振動系には関係のない共振点である。このため、山部Yの周波数は、変化しにくい。なお、スピーカユニット11の振動系部材による谷部XおよびZの周波数変化が少ない場合、谷部XおよびZの周波数を用いるようにしてもよい。
また、本実施形態では、スピーカシステム7は音響ポート50を設けたバスレフ方式であったが、これに限られない。音響ポート50の代わりにパッシブラジエータを設けたバスレフ方式であってもよい。この場合、谷部Xは、パッシブラジエータの音響質量の影響を受けたスピーカユニット11の振動系の共振が発生する点となる。山部Yは、空室R1の音響コンプライアンスとパッシブラジエータの音響質量とによる音響共振が発生する点となる。
なお、上述した第5〜第7の実施形態に係る湿度を検出して電源部15を制御する処理は、上述したスピーカシステム1〜4に適用しても構わない。
(第8の実施形態)
上述したスピーカシステム1〜7は、電子機器である、例えば携帯電話などの携帯型情報処理装置に応用することができる。携帯型情報処理装置の他の例としては、例えば携帯ラジオ、携帯テレビ、HDDプレーヤ、半導体メモリープレーヤなどのポータブル機器がある。以下、図13および図14を参照して、携帯電話81に本発明のスピーカシステムを応用したものを第8の実施形態として説明する。図13は、携帯電話81の外観図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。図14は、図13(c)に示す線AAで携帯電話6を切断したときの断面図である。
携帯電話81は、折りたたみ式の携帯電話である。図13において、携帯電話81は、大略的に装置筐体811、ヒンジ部812、液晶画面813、およびアンテナ814を備える。液晶画面813は、装置筐体811に取り付けられている。図13(c)に示すように、装置筐体811の背面には、開口部811hおよび812hが形成されている。
スピーカシステムは、図14に示すように、キャビネット815、気体吸着体816、除湿素子817、電源部818、およびスピーカユニット819を備える。キャビネット815には、開口部815hが形成される。スピーカユニット819は、動電型スピーカであり、キャビネット815に形成された開口部815hに取り付けられる。気体吸着体816は、第1の実施形態の気体吸着体13と同じものであり、キャビネット815の内部に配置される。除湿素子817は、第1の実施形態の除湿素子14と同じものであり、開口部812hに取り付けられる。電源部818は、第1の実施形態の電源部15と同じものであり、除湿素子817と接続されている。なお、電源部818は、本来装置筐体811の内部に配置されるが、図14では説明のために、装置筐体811の外部に図示されている。
スピーカユニット819は、ヨーク820、マグネット821、プレート822、フレーム823、振動板824、ボイスコイル825、ガスケット826、第1の防塵ネット827、および第2の防塵ネット828を備える。ヨーク820は、フレーム823の下面中央に形成された開口部に固着され、フレーム823と一体化している。マグネット821は、ヨーク820の底部の上面に固着される。プレート822は、マグネット821の上面に固着される。振動板824の外周部は、フレーム823の外周部の上面に固着される。ヨーク820およびプレート822の間には、磁気ギャップが形成される。ボイスコイル825は、上記磁気ギャップ中に配置されるように、振動板824の下面に固着される。ガスケット826は、振動板824の外周部の上面に固着される。第1の防塵ネット827の外周部は、ガスケット826の上面に固着される。このようにガスケット826は、振動板824が振動したときに、振動板824が第1の防塵ネット827と接触しないようにするためのものである。第2の防塵ネット828は、フレーム823の下面に形成された音孔823hを被うように、フレーム823の下面に設けられる。
以上のように構成された携帯電話81について、その動作を説明する。スピーカユニット819は動電型スピーカであり、動電型スピーカの動作は周知である。よって、ここでは動電型スピーカの動作を簡略して説明する。磁気回路を構成するヨーク820、マグネット821、およびプレート822と、ボイスコイル825とが、スピーカユニット819の駆動力発生手段として機能する。例えば、携帯電話81がアンテナ814から受信信号を受け取ると、当該受信信号が信号処理部(図示なし)などで適宜処理され、スピーカユニット819に入力される。そして、例えば受信呼び出し用のメロディ信号がスピーカユニット819に印加されると、ボイスコイル825に駆動力が発生する。この駆動力によって振動板824が振動し、振動板824からメロディ音が放射される。振動板824の上面から放射したメロディ音は、第1の防塵ネット827を通過後、装置筐体811に形成された複数の開口部811hから装置外部へ放射される。一方、振動板824の下面からの音は、音孔823hおよび第2の防塵ネット828を通過後、空室R815に放射される。この振動板824の下面からの音によって、空室R815内の気圧が変化する。しかしながら、キャビネット815の内部には、気体吸着体816が配置されている。このため、空室R815内の気圧の変化は、気体吸着体816の物理吸着作用によって抑制され、その気圧の変化は抑制される。その結果、キャビネット815の内部の容積は等価的に拡大する。また、除湿素子817の電極間には電源部818により直流電圧が印加され、空室R815内の湿気は開口部812hからキャビネット815の外部に放出される。
以上のように、上述したスピーカシステム1〜7を携帯電話などの携帯型情報処理装置に応用することで、周囲の湿度に左右されることなく、容積拡大効果の低下を安定的に防ぐことが可能なスピーカシステムを備えた携帯型情報処理装置を提供することができる。
なお、図13および図14に示したスピーカシステムにおいて、スピーカシステム5〜7で説明した電源部の制御処理を行うための構成要素をさらに追加してもよい。これにより、通常は屋外で使用されて周囲の湿度が変化しやすい携帯型情報処理装置にとって、特に有益なスピーカシステムとなる。
また、本実施形態において、密閉方式のスピーカシステムを採用していたが、パッシブラジエータや音響ポートなどを用いたバスレフ方式のスピーカシステムを採用してもよい。
(第9の実施形態)
上述したスピーカシステム1〜7は、例えば自動車の車体内部に搭載するスピーカシステムに応用することができる。車体内部の一例として、例えば車両用ドアが挙げられる。以下、図15および図16を参照して、自動車のドアに搭載するスピーカシステムとして本発明のスピーカシステムを応用したものを第9の実施形態として説明する。図15は、車両用ドア83の外観図である。図16は、図15に示す線BBで車両用ドア83を切断したときの断面図である。
図15および図16において、車両用ドア83は、大略的に窓ガラス831およびドア本体832を備える。ドア本体832は、キャビネット833、スピーカユニット834、内壁835、インナーパネル836、アウターパネル837、音響管838、グリル839、気体吸着体840、および除湿素子841を備える。なお、電源部842は、車室内に配置されるものであるが、説明のために図16では電源部842をブロック化して図示している。
窓ガラス831は、上下に可動できるように、インナーパネル836とアウターパネル837との間に配置される。インナーパネル836は、内壁835とアウターパネル837との間に配置される。インナーパネル836にはスピーカユニット834と同程度の大きさの開口部が形成されており、スピーカユニット834は、当該開口部にはめ込むようにインナーパネル836に取り付けられる。スピーカユニット834は、例えば動電型スピーカである。スピーカユニット834の前面は、内壁835側を向いている。グリル839は、内壁835に形成された開口部に取り付けられる。音響管838の一方端は、スピーカユニット834の前面の外周部に取り付けられ、音響管838の他方端は、内壁835に形成された開口部の外周部に取り付けられる。これにより、スピーカユニット834の前面には、音響管838の内面とグリル839とよって空間が形成されることとなる。
キャビネット833は、一つの面が開口した箱形状を有している。キャビネット833は、インナーパネル836とアウターパネル837との間の空間に配置されており、スピーカユニット834を囲むようにインナーパネル836に取り付けられる。気体吸着体840は、第1の実施形態の気体吸着体13と同じものであり、空室R833内に配置される。除湿素子841は、第1の実施形態の除湿素子14と同じものであり、開口部833hに取り付けられる。電源部842は、第1の実施形態の電源部15と同じものであり、除湿素子841と接続されている。
以上のように構成された車両用ドア83に搭載されたスピーカシステムについて、その動作を説明する。車体内に配置されたCDプレーヤ等のオーディオ装置(図示なし)からの音楽信号がスピーカユニット834に印加されると、スピーカユニット834の前面および背面から音が放射される。このうち、スピーカユニット834の背面からの音は、空室R833に放射される。このスピーカユニット834の背面からの音によって、空室R833内の気圧が変化する。しかしながら、キャビネット833の内部には、気体吸着体840が配置されている。空室R833内の気圧の変化は、気体吸着体840の物理吸着作用によって抑制され、その気圧の変化は抑制される。その結果、キャビネット833の内部の容積は等価的に拡大する。また、除湿素子841の電極間には電源部842により直流電圧が印加され、空室R833内の湿気は開口部833hからキャビネット833の外部に放出される。
以上のように、上述したスピーカシステム1〜7を車体内部に用いることで、周囲の湿度に左右されることなく、容積拡大効果の低下を安定的に防ぐことが可能なスピーカシステムを備えた車両を提供することができる。
なお、本実施形態では、スピーカシステムを車両用ドア83に搭載する例を示したが、これに限られない。スピーカシステムは、フロントパネル、リアトレイ、および車体の天井部などに搭載されてもよい。
また、本実施形態において、スピーカシステム5〜7で説明した電源部の制御処理を行うための構成要素をさらに追加してもよい。これにより、周囲の湿度が変化しやすい車両にとって、特に有益なスピーカシステムとなる。
また、本実施形態において、密閉方式のスピーカシステムを採用していたが、パッシブラジエータや音響ポートなどを用いたバスレフ方式のスピーカシステムを採用してもよい。
(第10の実施形態)
上述したスピーカシステム1〜7は、電子機器である、例えば薄型テレビなどの映像機器に搭載するスピーカシステムに応用することができる。以下、図17および図18を参照して、薄型テレビに搭載するスピーカシステムとして本発明のスピーカシステムを応用したものを第10の実施形態として説明する。図17は、薄型テレビ85の正面図である。図18は、図17に示す線CCでスピーカシステム853を切断した断面図である。
図17において、薄型テレビ85は、液晶画面851、機器筐体852、2つのスピーカシステム853を備える。スピーカシステム853は、機器筐体852の内部に配置される。具体的には、スピーカシステム853は液晶画面851の下側に配置される。図18において、スピーカシステム853は、キャビネット854、スピーカユニット855、パッシブラジエータ856、気体吸着体857、除湿素子858、および電源部859を備える。スピーカユニット855は、例えば動電型スピーカであり、キャビネット854に取り付けられる。パッシブラジエータ856は、キャビネット854に取り付けられる。気体吸着体857は、第1の実施形態の気体吸着体13と同じものであり、キャビネット854の内部に配置される。除湿素子858は、第1の実施形態の除湿素子14と同じものであり、開口部854hに取り付けられる。電源部859は、第1の実施形態の電源部15と同じものであり、除湿素子858と接続されている。
以上のように構成された薄型テレビ85に搭載されたスピーカシステムについて、その動作を説明する。オーディオ回路(図示なし)からの音響信号がスピーカユニット855に印加されると、スピーカユニット855の前面および背面から音が放射される。このうち、スピーカユニット855の背面からの音は、空室R854に放射される。このスピーカユニット855の背面からの音によって、空室R854内の気圧が変化する。しかしながら、キャビネット854の内部には、気体吸着体857が配置されている。このため、空室R854内の気圧の変化は、気体吸着体857の物理吸着作用によって抑制され、その気圧の変化は抑制される。その結果、キャビネット854の内部の容積は等価的に拡大する。また、除湿素子858の電極間には電源部859により直流電圧が印加され、空室R854内の湿気は開口部854hからキャビネット854の外部に放出される。
以上のように、上述したスピーカシステム1〜7を映像機器に応用することで、周囲の湿度に左右されることなく、容積拡大効果の低下を安定的に防ぐことが可能なスピーカシステムを備えた映像機器を提供することができる。また、液晶やPDP(プラズマディスプレイ)等の薄型テレビでは、キャビネットの容積が薄型化やコンパクト化を阻害する要因となってきているので、本実施形態に係るスピーカシステムは特に有効なものとなる。
なお、図17および図18に示したスピーカシステムにおいて、スピーカシステム5〜7で説明した電源部の制御処理を行うための構成要素をさらに追加してもよい。これにより、設置場所で加湿器が使用される等により周囲の湿度が変化しやすい映像機器にとって、特に有益なスピーカシステムとなる。
なお、本実施形態では、スピーカシステム853を液晶画面851の下側に配置していたが、液晶画面851の左右両側に配置してもよい。
なお、上述した第1〜第10の実施形態において、スピーカユニットは動電型スピーカであるとしたが、圧電型スピーカ、静電型スピーカ、電磁型スピーカ等であってもよい。
また、上述した第1〜第10の実施形態では、気体吸着体を備えたスピーカシステムに除湿素子を採用した場合について説明した。気体吸着体を備えていないスピーカシステムに対して除湿素子を採用した場合であっても、スピーカユニットの振動系部材が吸水することによって発生する音質劣化を防ぐことができる。
また、上述した第1〜第10の実施形態において説明した気体吸着体、除湿素子、および電源部を組み合わせたものは、吸音や遮音を目的とした建築部材として利用することも可能である。
本発明に係るスピーカシステムは、周囲の湿度に左右されることなく、容積拡大効果の低下を安定的に防ぐことが可能なスピーカシステムであり、液晶テレビ、PDP、ステレオ装置、車載機器、携帯型情報処理装置等に適用される。
本発明は、スピーカシステムに関し、より特定的には、キャビネット内部に気体吸着体を配置したスピーカシステムに関するものである。
従来、キャビネットの内部に気体吸着体を配置するスピーカシステムとして、例えば特許文献1に開示されたスピーカシステムが提案されている。図19は、特許文献1に開示されたスピーカシステム91の主要部を示した部分断面図である。スピーカシステム91は、キャビネット910、スピーカユニット911、気体吸着体912、およびバック913を備える。キャビネット910は、平板形状の前壁9101と湾曲した側壁9102とにより構成される。スピーカユニット911は動電型スピーカである。スピーカユニット911は前壁9101に取り付けられる。気体吸着体912は、例えば活性炭のように、細孔が多数形成された多孔性材料で構成される。この細孔のサイズは、例えばナノオーダーのサイズであり、空気を物理吸着することができるサイズとなっている。気体吸着体912は、チューブ状に成形されたバック913内に封入される。バック913は、キャビネット910の内部であって側壁9102の湾曲部分に配置される。
以上のように構成されたスピーカシステム91について、その動作を説明する。スピーカユニット911に電気信号が印加されると、スピーカユニット911の振動によって、キャビネット910の内部の気圧が変化する。この気圧の変化に伴う空気は、バック913の網目を通過して、バック913内に封入された気体吸着体912に物理吸着される。これにより、キャビネット910の内部の気圧の変化は抑制され、キャビネット910内部の容積は等価的に拡大する。その結果、小型のキャビネットでありながら、あたかも大型のキャビネットにスピーカユニットを搭載したような低音再生が可能となる。
ここで、気体吸着体を用いたスピーカシステムでは、湿度が高くなると水蒸気が気体吸着体に吸着して容積拡大効果が低下するという問題があった。
そこで、上記従来のスピーカシステム91では、気体吸着体912とバック913に疎水処理を施すことにより、容積拡大効果の低下を防いでいた。
また、特許文献2に開示されるように、除湿素子を採用したマイクロホン装置が提案されている。図20は、特許文献2に開示されたマイクロホン装置92の構造断面図である。図20において、マイクロホン装置92は、容器920、振動膜921、背電極922、絶縁支持部材923、増幅器924、除湿素子925、絶縁支持部材926、およびコネクタ927を備える。容器920には、開口部921h〜923hが形成されている。除湿素子925は、水素イオン導電性を有する固体電解質膜の各面に多孔性電極が形成された能動素子で構成される。ここでは図示しないが除湿素子925には直流電源が接続されている。
以上のように構成されたマイクロホン装置92について、その動作を説明する。振動膜921は、外部から開口部921hを通して伝達される音声または音楽信号によって振動する。振動膜921と背電極922との間の電気容量は、振動膜921の振動により変化し、その変化を示す電気信号が増幅器924へ出力される。増幅器924で増幅された電気信号は、コネクタ927から出力される。なお、容器920には、外気圧の変化に伴う容器920内の気圧の変化を調整するために、開口部923hが形成されている。
ここで、上記従来のマイクロホン装置92では、外部の湿気が気圧調整用の開口部923hから侵入し、振動膜921と背電極922との間にまで侵入すると、雑音が発生するという問題があった。
そこで、上記従来のマイクロホン装置92では、除湿素子925の電極間に直流電圧を印加し、除湿素子925のイオン分解作用によって湿気を開口部922hから外部に放出していた。このように上記従来のマイクロホン装置92では、除湿素子925を用いて湿気を外部に放出することで、雑音の発生を防いでいた。
特表2004−537938号公報 特開2004−343318号公報
上記従来のスピーカシステム91では、気体吸着体912とバック913に疎水処理を施していた。しかしながら、水分子は空気分子よりも小さいので、バック913の網目を容易に通過し、気体吸着体912へ到達してしまう。このため、バック913に疎水処理を施しても、気体吸着体912に対する防湿効果はほとんど得られなかった。また、気体吸着体912に疎水処理を施しても、その防湿効果には上限があった。つまり、湿度が低い場合には完全に防湿できるが、湿度が高く上限を超える場合には、完全に防湿できなくなる。雨天時や加湿器で屋内を加湿している時などにおいて、湿度が上限を超えてしまうことが多い。このように、気体吸着体912とバック913に疎水処理を施しても、防湿効果は周囲の湿度に左右されることになり、容積拡大効果の低下を安定的に防ぐことができなかった。
また、上記マイクロホン装置92に採用される除湿素子925は、マイクロホン特有の問題を防ぐ目的で採用されたものである。マイクロホン特有の問題とは、上述したように、外部の湿気が振動膜921と背電極922との間に侵入することによって発生する雑音である。これに対し、スピーカシステムでは、マイクロホンではなくスピーカユニットを用いるので、マイクロホン特有の問題は起こらない。このため、スピーカシステムでは、マイクロホン特有の問題を防ぐ必要はなく、除湿素子925が採用されることはなかった。
本発明は、スピーカシステムにおいて除湿素子を採用することにより、周囲の湿度に左右されることなく、容積拡大効果の低下を安定的に防ぐことが可能なスピーカシステムを提供することを目的とする。
本発明は、スピーカシステムに向けられており、上記課題を解決するために、本発明に係るスピーカシステムは、キャビネットと、キャビネットに形成された開口部に取り付けられたスピーカユニットと、キャビネット内部に配置され、キャビネット内部の気体を物理吸着してキャビネット内部の容積を等価的に拡大させる気体吸着体と、キャビネットに形成された開口部に取り付けられ、直流電圧が印加されることによってキャビネット内部の湿気を外部に放出する除湿素子とを備える。除湿素子から湿気が外部に放出されることで、周囲の湿度に左右されることなく、容積拡大効果の低下を安定的に防ぐことができる。
好ましくは、スピーカシステムは、除湿素子に直流電圧を印加する電源部と、キャビネット内部の湿度を検出する湿度検出部と、湿度検出部において検出された湿度が所定の閾値よりも高い場合のみ、電源部を制御して除湿素子に直流電圧を印加させる制御部とをさらに備えるとよい。これにより、電源部における消費電力を抑えることができる。なお、上記湿度検出部は、例えば、後述する実施形態に記載された、電気抵抗51および電圧検出部52の組み合わせ、湿度センサー54および湿度変換部55の組み合わせ、電気抵抗51、電圧検出部52、信号源56、および増幅部57の組み合わせなどに相当するものである。
好ましくは、湿度検出部は、除湿素子に流れる電流を検出し、制御部は、除湿素子に流れる電流が所定の閾値よりも大きい場合のみ、電源部を制御して除湿素子に直流電圧を印加させるとよい。また、湿度検出部は、除湿素子と直列に接続された電気抵抗と、電気抵抗の端子間電圧を検出することによって、電圧に変換された除湿素子に流れる電流を検出する電圧検出部とにより構成されるとよい。
好ましくは、湿度検出部は、キャビネット内部に配置された湿度センサーにより構成されるとよい。
好ましくは、湿度検出部は、スピーカユニットに流れる電流の周波数特性を検出し、制御部は、周波数特性に含まれる所定の共振点の周波数が所定の閾値よりも高い場合のみ、電源部を制御して除湿素子に直流電圧を印加させるとよい。また、湿度検出部は、スピーカユニットと直列に接続された電気抵抗と、電気抵抗の端子間電圧を検出することによって、電圧に変換された周波数特性を検出する電圧検出部とにより構成されるとよい。また、スピーカシステムは、キャビネットに取り付けられ、キャビネットの内部と外部とを音響的に接続する音響ポートをさらに備え、所定の共振点は、音響ポートの音響質量と、キャビネット内部の空室の音響コンプライアンスとによる音響共振が発生する点であるとよい。また、スピーカシステムは、キャビネットに形成された開口部に取り付けられたパッシブラジエータをさらに備え、所定の共振点は、パッシブラジエータの音響質量と、キャビネット内部の空室の音響コンプライアンスとによる音響共振が発生する点であるとよい。
好ましくは、スピーカシステムは、除湿素子を被うようにキャビネットの内部に取り付けられ、スピーカユニットからキャビネット内部に放射された音のうち、所定のカットオフ周波数以下となる音のみ除湿素子に到達させる音響フィルター機構をさらに備えるとよい。また、音響フィルター機構は、除湿素子を被うようにキャビネットの内部に取り付けられたカバー部と、カバー部に形成された開口部に取り付けられた音響ポートとにより構成されるとよい。また、音響フィルター機構は、キャビネット内部に配置され、かつ除湿素子に対して狭空隙を介して配置された板状部材により構成されるとよい。また、所定のカットオフ周波数は、可聴帯域よりも低い周波数であるとよい。
好ましくは、スピーカシステムは、除湿素子の少なくとも一部に固着された、通気性を有するクッション部材をさらに備えるとよい。また、クッション部材は、発泡ゴムにより構成されるとよい。また、クッション部材は、板状または格子状に成形されるとよい。
好ましくは、スピーカシステムは、キャビネット内部の空室を、第1の空室と第2の空室とに仕切るように、キャビネット内部に配置された仕切板と、仕切板に形成された開口部に取り付けられたパッシブラジエータとをさらに備え、スピーカユニットは第1の空室に配置され、気体吸着体および除湿素子は第2の空室に配置されるとよい。また、スピーカシステムは、第1の空室とキャビネットの外部とを接続するように、キャビネットに取り付けられた音響ポートをさらに備えるとよい。また、スピーカシステムは、キャビネットに形成された開口部であって第1の空室とキャビネットの外部とを接続する開口部に取り付けられたパッシブラジエータをさらに備えるとよい。
好ましくは、スピーカシステムは、スピーカユニットを被うようにキャビネットの外面に取り付けられたカバー部と、カバー部に形成された開口部に取り付けられたパッシブラジエータとをさらに備えるとよい。
好ましくは、気体吸着体は、活性炭、ゼオライト、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO3)、マグネシア(MgO)、四三酸化鉄(Fe34)、モレキュラーシーブ、フラーレン、カーボンナノチューブのいずれか1つからなる多孔性材料で構成されるとよい。
本発明は、車両にも向けられており、上記課題を解決するために、本発明に係る車両は、上記本発明に係るスピーカシステムと、内部に当該スピーカシステムを配置する車体とを備える。
本発明は、映像機器にも向けられており、上記課題を解決するために、本発明に係る映像機器は、上記本発明に係るスピーカシステムと、内部に当該スピーカシステムを配置する機器筐体とを備える。
本発明は、携帯型情報処理装置にも向けられており、上記課題を解決するために、本発明に係る携帯型情報処理装置は、上記本発明に係るスピーカシステムと、内部に当該スピーカシステムを配置する装置筐体とを備える。
本発明によれば、周囲の湿度に左右されることなく、容積拡大効果の低下を安定的に防ぐことが可能なスピーカシステムを提供することができる。
スピーカシステム1の構造断面を示した図 気体吸着体13が湿気を物理吸着する重量を測定した結果を示す図 スピーカシステム2の構造断面を示した図 音響フィルター機構の他の構成例を示す図 スピーカシステム3の構造断面を示した図 スピーカシステム4の構造断面を示した図 スピーカシステム5の構造断面を示した図 制御部53の制御処理を示すフローチャート スピーカシステム6の構造断面を示した図 スピーカシステム7の構造断面を示した図 スピーカユニット11の音圧周波数特性および電流特性を示した図 スピーカシステム7に係る制御部53の制御処理を示すフローチャート 携帯電話81の外観図 図13(c)に示す線AAで携帯電話6を切断したときの断面図 車両用ドア83の外観図 図15に示す線BBで車両用ドア83を切断したときの断面図 薄型テレビ85の正面図 図17に示す線CCでスピーカシステム853を切断した断面図 特許文献1に開示されたスピーカシステム91の主要部を示した部分断面図 特許文献2に開示されたマイクロホン装置92の構造断面図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るスピーカシステム1の構造について説明する。図1は、スピーカシステム1の構造断面を示した図である。図1において、スピーカシステム1は、キャビネット10、スピーカユニット11、パッシブラジエータ12、気体吸着体13、除湿素子14、および電源部15を備える。スピーカユニット11は、動電型スピーカであり、その駆動力発生手段は、磁気回路とボイスコイルで構成される。スピーカユニット11は、キャビネット10の前面に取り付けられる。パッシブラジエータ12は、振動板121およびエッジ122により構成され、キャビネット10の前面に取り付けられる。エッジ122の外周部は、キャビネット10の前面に形成された開口部に取り付けられ、内周部は、振動板121の外周部に取り付けられる。
気体吸着体13は、キャビネット10内部に配置され、キャビネット10内部の空気を物理吸着する。気体吸着体13は、細孔が多数形成された多孔性材料で構成される。多孔性材料の例としては、活性炭、ゼオライト、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO3)、マグネシア(MgO)、四三酸化鉄(Fe34)、モレキュラーシーブ、フラーレン、カーボンナノチューブ等が挙げられる。気体吸着体13は、粒状の多孔性材料の集合であってもよいし、当該集合を固めて成形したものであってもよい。気体吸着体13に形成された細孔のサイズは、例えばナノオーダーのサイズであり、空気を物理吸着することができるサイズとなっている。
なお、気体吸着体13は、結果的にキャビネット10内部の容積を等価的に拡大させることが可能であれば、空気以外の気体を物理吸着する部材であってもよい。つまり、気体吸着体13は、キャビネット10内部の気体を物理吸着し、かつ、キャビネット10内部の容積を拡大させることを可能にする部材であればよい。
除湿素子14は、水素イオン導電性を有する固体電解質膜の各面に多孔性電極が形成された能動素子で構成される。除湿素子14の電極間に直流電圧が印加されると、湿気は酸素イオンと水素イオンに分解される。除湿素子14の各電極は電源部15に接続されており、各電極には電源部15から直流電圧が印加される。除湿素子14は、キャビネット10の背面に形成された開口部10hに取り付けられる。具体的には、除湿素子14は、開口部10hを被うように、キャビネット10の内面に取り付けられる。除湿素子14の電極間に直流電圧が印加されると、除湿素子14の分解作用により、空室R1内の湿気は開口部10hからキャビネット10の外部に放出される。さらに、空室R1内の湿気を外部に放出して空室R1内の湿度を下げることにより、気体吸着体13に物理吸着していた水分子があっても、その水分子を気体吸着体13から離すことができる。つまり、空室R1内の湿度を低下させることにより、気体吸着体13の容積拡大効果の低下を抑制するだけでなく、気体吸着体13の容積拡大効果を元に戻す(復活させる)ことができる。
以上のように構成されたスピーカシステム1について、その動作を説明する。スピーカユニット11は、通常の動電型スピーカであり、その動作は周知であるのでここでは詳細な説明を省略する。スピーカユニット11に音楽信号を印加すると、ボイスコイルに駆動力が発生して振動板が振動し、振動板の前面および背面から音が発生する。背面からの音は、空室R1内に放射され、パッシブラジエータ12の質量と空室R1の音響コンプライアンスとによる音響共振を生じさせる。また、背面からの音は、空室R1内の気圧を変化させる。ここで、空室R1内には、空気を物理吸着する気体吸着体13が配置されている。このため、空室R1内の気圧の変化は抑制される。つまり、気体吸着体13の空気を物理吸着する作用により、空室R1の音響コンプライアンスが大きくなる。この結果、空室R1内の容積は等価的に拡大することとなり、スピーカシステム1は、キャビネット10よりも大きな容積のキャビネットにパッシブラジエータ12を取付けたかのように動作する。この動作により、スピーカシステム1では、小型のキャビネットを用いても、あたかも大型のキャビネットにスピーカユニットを搭載したような低音再生が可能となる。
ここで、雨天時やスピーカシステム1を設置した部屋で加湿器等を用いた時、スピーカシステム1の周囲の湿度は高くなる。この場合、湿気はスピーカユニット11あるいはパッシブラジエータ12を通して空室R1内に侵入するので、空室R1内の湿度も高くなる。しかしながら、電極間に直流電圧が印加された除湿素子14の分解作用によって、空室R1内の湿気は開口部10hからキャビネット10の外部に放出される。その結果、空室R1内の湿度が下がるので、気体吸着体13に湿気が物理吸着することによる容積拡大効果の低下を、安定的に抑制することができる。さらに、気体吸着体13に既に水分子が物理吸着している場合には、気体吸着体13の容積拡大効果を復活させることができる。
除湿素子14の有無により、気体吸着体13が湿気を物理吸着する重量(吸水量)を測定した結果を、図2に示す。図2の測定では、8cm口径のスピーカユニット11を用いた。また、スピーカユニット11の振動板には樹脂材料で構成されたものを用い、エッジにはゴム材料で構成されたものを用いた。また、パッシブラジエータ12の振動板121には樹脂材料で構成されたものを用い、エッジ122にはゴム材料で構成されたものを用いた。またキャビネット10には樹脂材料で構成されたものを用い、キャビネット10の内部容積を1.3リットルとした。また気体吸着体13には、粒径が0.35mm付近に分布する粒状の活性炭(重量60g)を綿の袋に詰めたものを用い、通常市販される吸臭材や吸湿材のように空気の物理吸着作用がほとんど得られないものではなく、スピーカ用として適切な空気の物理吸着作用が得られるものを用いた。また除湿素子14には、外径が5mm×5mmとなるものを用いた。また電源部15から印可される直流電圧は3Vとした。以上の条件において、空室R1内の初期の温度は55℃とし、スピーカシステム1を湿度95%の試験槽に入れて一定の時間ごとに気体吸着体13の重量を測定し、重量変化を吸水量として測定した。
図2から、除湿素子14が無い場合、約300時間後における気体吸着体13の重量は、初期の重量に対して約2.5g増加していることがわかる。一方、除湿素子14が有る場合、約300時間後における気体吸着体13の重量は、初期の重量に対して減少していることがわかる。これは、気体吸着体13に既に物理吸着していた水分子が離れたことを意味する。この結果からわかるように、除湿素子14が有る場合、スピーカシステム1が95%という高湿な環境に設置されても、気体吸着体13は水分子(湿気)を物理吸着していない初期の状態を維持することとなる。
以上のように、本実施形態では、除湿素子14を採用することにより、周囲の湿度に左右されることなく、容積拡大効果の低下を安定的に防ぐことが可能なスピーカシステムを提供することができる。
なお、本実施形態では、パッシブラジエータ方式を採用したが、パッシブラジエータ12を用いない密閉方式を採用してもよい。この場合、パッシブラジエータ12を用いないので密閉性がさらに高まり、除湿素子14による除湿をより効率的に行うことができる。
(第2の実施形態)
図3を参照して、本発明の第2の実施形態に係るスピーカシステム2の構造について説明する。図3は、スピーカシステム2の構造断面を示した図である。図3において、スピーカシステム2は、キャビネット10、スピーカユニット11、パッシブラジエータ12、気体吸着体13、除湿素子14、電源部15、および音響フィルター機構21を備える。
スピーカシステム2は、上述したスピーカシステム1に対して、音響フィルター機構21をさらに備える点のみ異なる。それ以外の構造についてはスピーカシステム1と同様であり、同じ符号を付して説明を省略する。
音響フィルター機構21は、空室R211を内部に形成するカバー部211と、空室R212を内部に形成する音響ポート212とにより構成される。カバー部211は、空室R211内に除湿素子14が配置されるように、キャビネット10の内面に取り付けられる。音響ポート212は、カバー部211に形成された開口部に取り付けられる。音響フィルター機構21は、音響ポート212とカバー部211とにより音響的なローパスフィルターとして機能する。音響フィルター機構21は、スピーカユニット11の背面からの音のうち、所定のカットオフ周波数以下の音のみを通過させる。
以上のように構成されたスピーカシステム2について、その動作を説明する。スピーカユニット11に音楽信号を印加すると、ボイスコイルに駆動力が発生して振動板が振動し、振動板の前面および背面から音が発生する。背面からの音は、空室R1内の気圧を変化させる。しかしながら、この気圧の変化は、気体吸着体13の空気を物理吸着する作用により抑制される。その結果、空室R1内の容積は等価的に拡大する。また、除湿素子14の電極間には直流電圧が印加され、空室R1内の湿気は開口部10hからキャビネット10の外部に放出される。ここまでの動作は、上述したスピーカシステム1と同様である。
ここで、上述したスピーカシステム1は、スピーカユニット11の背面からの音が除湿素子14に直接的に伝わる構造を有する。したがって、上述したスピーカシステム1では、背面からの音の高い音圧によって除湿素子14が破損する危険があった。一方、スピーカシステム2は、スピーカユニット11の背面からの音が音響フィルター機構21を通過して除湿素子14に到達する構造を有する。したがって、音響フィルター機構21のカットオフ周波数を適切に設定すれば、通常の音楽信号がもつ周波数帯域(例えば40Hz以上の周波数帯域)の音を減衰させて、除湿素子14の表面に伝わる音圧を低減させることができる。その結果、音楽再生時において除湿素子14が破損する危険を回避できる。なお、通常の音楽信号がもつ周波数帯域は、可聴帯域以上の周波数帯域である。したがって、通常の音楽信号がもつ周波数帯域の音を減衰させるには、カットオフ周波数を可聴帯域よりも低い周波数に設定すればよい。
なお、空室R1内の湿気は、周波数成分を有しない(つまり、0Hz付近の周波数成分を有する)ため、容易に音響フィルター機構21を通過し除湿素子14に到達する。つまり、空室R1内の湿気は、音響フィルター機構21の影響を受けることなく、除湿素子14により外部に放出される。
なお、音響フィルター機構21の必要性の有無は、キャビネット10の容積やスピーカユニット11の口径等により、決定されるべきものである。スピーカシステム1では、音響フィルター機構21を備えていないが、気体吸着体13による空室R1の気圧の変化を抑制する効果によって、気体吸着体13を備えていないスピーカシステムと比べて、除湿素子14に伝わる音圧は低くなる。したがって、気体吸着体13によって抑制される音圧により除湿素子14が破損する危険がない場合には、音響フィルター機構21を備える必要はない。一方、気体吸着体13によって抑制される音圧を考慮しても、除湿素子14が破損する危険がある場合には、音響フィルター機構21を備える必要がある。
以上のように、本実施形態では、音響フィルター機構21をさらに備えることにより、除湿素子14に高い音圧が伝わる状況であっても、除湿素子14が破損する危険を回避することができる。
なお、上述では、音響フィルター機構21は、カバー部211と音響ポート212とにより構成されるとしたが、これに限られない。音響フィルター機構21の構成は、例えば図4に示す構成であってもよい。図4は、音響フィルター機構の他の構成例を示す図である。図4では、図3に示したスピーカシステム2のうち、除湿素子14付近のみを示している。図4において、音響フィルター機構21aは、板状部材213とスペーサ214とにより構成される。板状部材213は、スペーサ214を間に挟んで除湿素子14の前方に配置される。板状部材213と除湿素子14との間には、例えば幅が1mm以下となる、狭空隙G213が形成される。狭空隙G213が幅は非常に狭いので、狭空隙G213での空気の粘性抵抗は非常に大きくなる。このため、スピーカユニット11の背面からの音は、狭空隙G213を通る際に減衰する。なお、空気の粘性抵抗は、周波数成分を有する音に対して働く抵抗であり、その大きさは、周波数により変化する。また、空気の粘性抵抗の大きさは、狭空隙G213の幅で決定される。つまり、音響フィルター機構21aにおけるカットオフ周波数は、狭空隙G213の幅で決定される。したがって、音楽信号に含まれる周波数成分以上で粘性抵抗が大きくなるように、空隙G213の幅を調整してカットオフ周波数を決定するとよい。なお、空室R1内の湿気は、周波数成分を有しないため、空気の粘性抵抗の影響を受けることなく、容易に音響フィルター21aを通過し除湿素子14に到達する。
(第3の実施形態)
図5を参照して、本発明の第3の実施形態に係るスピーカシステム3の構造について説明する。図5は、スピーカシステム3の構造断面を示した図である。図5において、スピーカシステム3は、キャビネット10、スピーカユニット11、気体吸着体13、除湿素子14、電源部15、音響ポート30、仕切板31、パッシブラジエータ32、およびクッション部材33を備える。
スピーカシステム3は、上述したスピーカシステム1に対して、パッシブラジエータ12が音響ポート30に入れ代わり、仕切板31、パッシブラジエータ32、およびクッション部材33をさらに備える点のみ異なる。それ以外の構造についてはスピーカシステム1と同様であり、同じ符号を付して説明を省略する。
音響ポート30は、キャビネット10の前面に取付けられる。仕切板31は、キャビネット10内部の空室を、空室R3と空室R4とに仕切るように、キャビネット10の内部に取り付けられる。パッシブラジエータ32は、振動板321およびエッジ322により構成され、仕切板31に形成された開口部に取り付けられる。エッジ322は、例えばウレタンゴム材料で構成される。エッジ322の外周部は、仕切板31に形成された開口部に取付られ、内周部は、振動板321の外周部に取り付けられる。気体吸着体13は、空室R4内に配置される。クッション部材33は、通気性のある発泡ゴム材料などを板状に成形したものであり、除湿素子14の各電極の全面に固着される。除湿素子14は、クッション部材33で挟まれた状態でキャビネット10の内部に配置される。
以上のように構成されたスピーカシステム3について、その動作を説明する。スピーカユニット11に音楽信号を印加すると、ボイスコイルに駆動力が発生して振動板が振動し、振動板の前面および背面から音が発生する。背面からの音は、空室R3内に放射され、振動板321を振動させる。振動板321の振動により発生した音圧は、空室R4内の気圧を変化させる。しかしながら、空室R4内には気体吸着体13が配置されている。このため、気体吸着体13の空気を物理吸着する作用により、空室R4内の気圧の変化は抑制され、空室R4内の容積は等価的に拡大する。また、スピーカシステム3は、音響ポート30によりバスレフ方式のスピーカシステムとして動作し、豊かな低音再生が可能となる。
除湿素子14は、クッション部材33で挟まれた状態でキャビネット10の内部に配置される。このため、高い音圧が除湿素子14に伝わって除湿素子14が振動しても、その振動はクッション部材33により緩和される。その結果、除湿素子14が破損することを防ぐことができる。クッション部材33は、通気性を有する部材であるので、空室R3内の湿気は、クッション部材33を通過して除湿素子14に到達できる。
以上のように、本実施形態では、仕切板31およびパッシブラジエータ32を備えることにより、音響ポート30を採用しても、外部の湿気が気体吸着体13に直接接触することを防ぐことができる。これにより、外部の湿気と直接接触する場合と比較して、気体吸着体13が物理吸着する湿気の量が大幅に軽減される。
また、本実施形態では、クッション部材33を備えることにより、除湿素子14が破損することを防ぐことができる。
なお、本実施形態では、音響ポート30によるバスレフ方式を採用した例について説明したが、これに限られない。音響ポート30の代わりに図1に示したパッシブラジエータ12を設けるようにしてもよい。また、音響ポート30やパッシブラジエータ12を用いない密閉方式であってもよい。パッシブラジエータ12を設ける場合や密閉方式の場合、外部の湿気は、スピーカユニット11やパッシブラジエータ12と、パッシブラジエータ32とを通って空室R4内に侵入する。一方、スピーカシステム1では、外部の湿気は、スピーカユニット11やパッシブラジエータ12のみを通って空室R1内に侵入する。したがって、パッシブラジエータ32を設けることで空室R4内に侵入する湿気の量は、スピーカシステム1と比べて大幅に軽減される。この軽減に伴い、除湿素子14への動作負担も軽減される。
また、本実施形態では、クッション部材33が板状に成形されるとしたが、これに限られない。クッション部材33は、格子状(または網目状)に成形されてもよい。この場合であっても、除湿素子14の振動は抑制される。また、図5では、クッション部材33が除湿素子14の各電極の全面に固着されていたが、一部の面のみに固着されてもよい。この場合であっても、除湿素子14の振動は抑制される。
(第4の実施形態)
図6を参照して、本発明の第4の実施形態に係るスピーカシステム4の構造について説明する。図6は、スピーカシステム4の構造断面を示した図である。図6において、スピーカシステム4は、キャビネット10、スピーカユニット11、気体吸着体13、除湿素子14、電源部15、カバー部40、およびパッシブラジエータ41を備える。
スピーカシステム3は、上述したスピーカシステム1に対して、パッシブラジエータ12が無くなり、スピーカユニット11の取付位置が異なり、カバー部40およびパッシブラジエータ41をさらに備える点のみ異なる。それ以外の構造についてはスピーカシステム1と同様であり、同じ符号を付して説明を省略する。
スピーカユニット11は、キャビネット10の前面中央に形成された開口部に取り付けられる。カバー部40は、スピーカユニット11の前面を被うように、キャビネット10の外面に取り付けられる。パッシブラジエータ41は、振動板411およびエッジ412により構成され、カバー部40に形成された開口部に取り付けられる。エッジ412の外周部は、カバー部40の前面に形成された開口部に取り付けられ、内周部は、振動板411の外周部に取り付けられる。カバー部40およびパッシブラジエータ41と、スピーカユニット11の前面との間には、空室R5が形成される。
以上のように構成されたスピーカシステム4について、その動作を説明する。スピーカユニット11に音楽信号を印加すると、ボイスコイルに駆動力が発生して振動板が振動する。この振動により、空室R1およびR5内の気圧が変化する。パッシブラジエータ41は、空室R5内の気圧が変化することにより、振動する。空室R1内の気圧の変化は、空室R1内に配置された気体吸着体13により抑制され、空室R1の容積は等価的に拡大する。また、除湿素子14の電極間には直流電圧が印加され、空室R1内の湿気は開口部10hからキャビネット10の外部に放出される。
スピーカユニット11は、気体吸着体13が有する容積拡大効果により、あたかも空室R1よりも大きな容積の空室に取付けられているかのような動作を行う。したがって、パッシブラジエータ41は、スピーカユニット11によって、より低い周波数帯域まで駆動される。これにより、低音再生帯域が拡大したスピーカシステムが実現される。
なお、上述したスピーカシステム3では、音響ポート30の共振周波数以下の周波数帯域において、スピーカユニット11の前面から放射される音と音響ポート30から放射される音とが逆相の関係となっていた。これにより、スピーカユニット11の前面から放射される音は打ち消され、低音域の再生を阻害していた。これに対し、スピーカシステム4では、音はパッシブラジエータ41の前面からのみ放射される。このため、スピーカシステム4では、スピーカシステム3のような音の打消しはなく、低音域の再生に優れている。
また、スピーカシステム4では、外部の湿気は、パッシブラジエータ41およびスピーカユニット11を通って空室R1内に侵入する。一方、スピーカシステム1では、外部の湿気は、スピーカユニット11のみを通って空室R1内に侵入する。したがって、スピーカシステム4での空室R1内に侵入する湿気の量は、スピーカシステム1と比べて、大幅に軽減される。この軽減に伴い、除湿素子14への動作負担も軽減される。
以上のように、本実施形態では、カバー部40およびパッシブラジエータ41をさらに備えることにより、低音域の再生を優れたものにしつつ、空室R1内に侵入する湿気の量を軽減することができる。
(第5の実施形態)
図7を参照して、本発明の第5の実施形態に係るスピーカシステム5の構造について説明する。図7は、スピーカシステム5の構造断面を示した図である。図7において、スピーカシステム5は、キャビネット10、スピーカユニット11、気体吸着体13、除湿素子14、電源部15、音響ポート50、電気抵抗51、電圧検出部52、および制御部53を備える。
スピーカシステム5は、上述したスピーカシステム1に対して、空室R1内の湿度に応じて電源部15における直流電圧の印加状態を制御する点で異なる。構造的には、上述したスピーカシステム1に対して、パッシブラジエータ12が音響ポート50に入れ代わり、電気抵抗51、電圧検出部52、および制御部53をさらに備える点のみ異なる。それ以外の構造についてはスピーカシステム1と同様であり、同じ符号を付して説明を省略する。
音響ポート50は、キャビネット10の前面に取付けられる。電気抵抗51は、除湿素子14と直列に接続されている。具体的には、電気抵抗51の一方端が除湿素子14の背面側(開口部10h側)の電極と電気的に接続され、他方端が電源部15と電気的に接続されている。除湿素子14の前面側(空室R1側)の電極は、接続ケーブルによって電源部15と電気的に直接接続されている。電圧検出部52は、電気抵抗51の端子間電圧を検出する。電圧検出部52の検出信号は、制御部53に出力される。制御部53は、検出信号が示す電気抵抗51の端子間電圧に応じて、電源部15における直流電圧の印加状態を制御する。
以上のように構成されたスピーカシステム5について、その動作を説明する。スピーカユニット11に音楽信号を印加すると、ボイスコイルに駆動力が発生して振動板が振動し、振動板の前面および背面から音が発生する。背面からの音は、空室R1内に放射され、空室R1内の気圧が変化する。しかしながら、空室R1内には気体吸着体13が配置されている。このため、気体吸着体13の空気を物理吸着する作用により、空室R1内の気圧の変化は抑制され、空室R1内の容積は等価的に拡大する。また、スピーカシステム5は、音響ポート50によりバスレフ方式のスピーカシステムとして動作し、豊かな低音再生が可能となる。
ここで、制御部53の制御処理について説明する前に、空室R1内の湿度と除湿素子14に流れる電流との関係について考える。除湿素子14に直流電圧を印加したとき、除湿素子14から外部に放出される湿気の量が多いほど、除湿素子14に流れる電流も大きくなる。つまり、空室R1内の湿度と除湿素子14に流れる電流との間には、空室R1内の湿度が高いほど、除湿素子14に流れる電流も大きくなるという関係がある。したがって、除湿素子14に流れる電流を検出することで、空室R1内の湿度を検出することができるといえる。
また、除湿素子14に流れる電流と電気抵抗51の端子間電圧との関係について考えると、これらの間には、除湿素子14に流れる電流が大きくなると、電気抵抗51の端子間電圧も大きくなるという関係がある。したがって、空室R1内の湿度と電気抵抗51の端子間電圧との間には、空室R1内の湿度が高いほど、電気抵抗51の端子間電圧も大きくなるという関係があるといえる。このように、電圧検出部52において電気抵抗51の端子間電圧が検出されることで、電圧に変換された除湿素子14に流れる電流が検出され、除湿素子14に流れる電流が検出されることで、空室R1内の湿度が検出されることとなる。
以下、図8を参照して、制御部53の制御処理について説明する。図8は、制御部53の制御処理を示すフローチャートである。なお、図8の初期状態として、除湿素子14に直流電圧が印加されていないものとする。図8において、電圧検出部52は、電気抵抗51の端子間電圧を検出する(ステップS11)。なお、電圧検出部52が端子間電圧を検出するには、除湿素子14に直流電圧が印加される必要があるが、初期状態では、除湿素子14に直流電圧が印加されていない。したがって、ここでは、ステップS11の検出タイミングのみ制御部53が電源部15を制御し、除湿素子14に直流電圧を印加させるようにする。
ステップS11の次に、制御部53は、電気抵抗51の端子間電圧が所定の閾値Tよりも大きいか否かを判定する(ステップS12)。電気抵抗51の端子間電圧は、上述したように、空室R1内の湿度に応じた電圧となる。
端子間電圧が所定の閾値T以下となる場合(ステップS12でNo)、制御部53は、空室R1内の湿度が所定の閾値以下であるとみなして、処理を終了する。
一方、端子間電圧が所定の閾値Tよりも大きい場合(ステップS12でYes)、制御部53は、空室R1内の湿度が所定の閾値よりも高いとみなして、電源部15における直流電圧の印加を開始させる(ステップS13)。これにより、空室R1内の湿気は、除湿素子14によって開口部10hからキャビネット10の外部に放出され始める。ステップS13の後、電圧検出部52は、電気抵抗51の端子間電圧を検出する(ステップS14)。ステップS14の後、制御部53は、電気抵抗51の端子間電圧が所定の閾値Tよりも大きいか否かを判定する(ステップS15)。端子間電圧が所定の閾値Tよりも大きい場合(ステップS15でYes)、処理はステップS14に戻る。一方、除湿素子14の除湿作用によって空室R1内の湿気の量が減り、端子間電圧が所定の閾値T以下となった場合(ステップS15でNo)、制御部53は、空室R1内の湿度が所定の閾値以下になったとみなして、電源部15における直流電圧の印加を休止させる(ステップS16)。ステップS16の後、処理は終了する。
以上の処理により、端子間電圧が所定の閾値Tよりも大きい間だけ、除湿素子14に直流電圧が印加され、空室R1内の湿気が外部に放出されることになる。つまり、制御部53は、空室R1内の湿度が所定の閾値よりも高くなった場合のみ、電源部15を制御して除湿素子14に直流電圧を印加させる処理を行う。これにより、必要な時間のみ直流電圧を印加させることができ、電源部15における消費電力を抑えることができる。
なお、図8に示す制御処理では、電気抵抗51の端子間電圧を空室R1内の湿度として検出していたが、これに限られない。電気抵抗51により電圧に変換せずに、除湿素子14に流れる電流そのものを空室R1内の湿度として検出するようにしてもよい。
また、図8に示す制御処理は、スピーカシステム5の使用を開始するタイミングで行われてもよいし、所定時間毎に行われてもよい。
また、電気抵抗51、電圧検出部52、および制御部53の構成は、上述したスピーカシステム1〜4に適用されてもよい。特に、スピーカシステム3および4に適用される場合、スピーカシステム3および4では、空室R1内の湿気の量が少ないので、その分、電源部15での消費電力も大幅に軽減される。
(第6の実施形態)
図9を参照して、本発明の第6の実施形態に係るスピーカシステム6の構造について説明する。図9は、スピーカシステム6の構造断面を示した図である。図9において、スピーカシステム6は、キャビネット10、スピーカユニット11、気体吸着体13、除湿素子14、電源部15、音響ポート50、制御部53、湿度センサー54、および湿度変換部55を備える。
スピーカシステム6は、上述したスピーカシステム5に対して、除湿素子14に流れる電流またはその電流を電圧に変換して湿度を検出するのではなく、湿度センサー54を用いて湿度を直接的に検出する点のみ異なる。構造的には、上述したスピーカシステム5に対して、電気抵抗51および電圧検出部52が、湿度センサー54および湿度変換部55に入れ代わった点のみ異なる。それ以外の構造についてはスピーカシステム5と同様であり、同じ符号を付して説明を省略する。
湿度センサー54は、空室R1内の湿度を検出し、検出した湿度に応じた電流の値を有する信号を湿度変換部55に出力する。湿度変換部55は、湿度センサー54から出力された信号の電流の値を湿度の単位(%)に変換する。制御部53は、湿度変換部55において単位変換された湿度に基づいて、電源部15における直流電圧の印加状態を制御する。
本実施形態における制御部53での制御処理は、図8に示した処理に対し、ステップS11、S12、S14、S15の処理のみ異なる。本実施形態では、ステップS11、S14において湿度センサー54が湿度を直接検出する。なお、湿度センサー54は、除湿素子14に流れる電流を検出するものではない。したがって、ステップS11の検出タイミングにおいて、制御部53は、電源部15に対して除湿素子14に直流電圧を印加させる必要はない。また本実施形態では、ステップS12、S15において、制御部53は、湿度センサー54で検出され、湿度変換部55で単位変換された湿度が所定の閾値よりも大きくなるか否かを判定する。ステップS11、S12、S14、S15以外の処理は、図8に示した制御処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。
以上のように、本実施形態では、湿度センサー54を備えることにより、除湿素子14に流れる電流から湿度を検出する場合と比べて、より正確に空室R1内の湿度を検出することができる。その結果、電源部15の制御をより正確に行うことができ、電源部15での消費電力をさらに少なくすることができる。
(第7の実施形態)
図10を参照して、本発明の第7の実施形態に係るスピーカシステム7の構造について説明する。図10は、スピーカシステム7の構造断面を示した図である。図10において、スピーカシステム7は、キャビネット10、スピーカユニット11、気体吸着体13、除湿素子14、電源部15、音響ポート50、電気抵抗51、電圧検出部52、制御部53、信号源56、および増幅部57を備える。
スピーカシステム7は、上述したスピーカシステム5に対して、除湿素子14に流れる電流またはその電流を電圧に変換して湿度を検出するのではなく、スピーカユニット11に流れる電流の周波数特性(以下、電流特性と称す)を用いて湿度を検出する点のみ異なる。構造的には、上述したスピーカシステム5に対して、信号源56および増幅部57をさらに備え、電気抵抗51が増幅部57とスピーカユニット11との間に設けられた点のみ異なる。それ以外の構造についてはスピーカシステム5と同様であり、同じ符号を付して説明を省略する。
電気抵抗51は、スピーカユニット11と直列に接続されている。具体的には、電気抵抗51の一方端がスピーカユニット11の入力端子のいずれか一方の端子と電気的に接続され、他方端が増幅部57と電気的に接続されている。スピーカユニット11の入力端子のいずれか他方の端子は、接続ケーブルによって増幅部57と電気的に直接接続されている。電気抵抗51の抵抗値は、スピーカユニット11の電気インピーダンスに対して十分小さな値であるとする。例えば、スピーカユニット11の電気インピーダンスが8Ωであるとき、電気抵抗51の値は0.5Ω以下とする。電気抵抗51の抵抗値を十分小さくすることで、スピーカユニット11に本来流れる電流を低下させずに電気抵抗51の端子間電圧を測定することができる。つまり、電気抵抗51の抵抗値を十分小さくすることで、スピーカユニット11の電流特性を、正確に電圧変換して検出することができる。
信号源56は、スピーカユニット11の電流特性を測定するための測定信号を発生させる。増幅器57は、信号源56から出力された測定信号を増幅して、スピーカユニット11へ出力する。電圧検出部52は、測定信号がスピーカユニット11に印可されるのと連動して、電気抵抗51の端子間電圧を検出することで、スピーカユニット11の電流特性を検出する。制御部53は、電圧検出部52において検出されたスピーカユニット11の電流特性に基づいて、電源部15における直流電圧の印加状態を制御する。
ここで、制御部53の制御処理について説明する前に、図11を参照して、空室R1内の湿度とスピーカユニット11の電流特性との関係について考える。図11は、スピーカユニット11の音圧周波数特性および電流特性を示した図である。なお、図11の測定では、キャビネット10の内部容積を1.3リッターとし、スピーカユニット11の口径を8cmとした。図11のグラフAは、気体吸着体13として粒径0.3mmの活性炭を60gを配置した場合の音圧周波数特性を示す。グラフBは、グラフAと同じ測定条件下における電流特性を示す。グラフCは、気体吸着体13が配置されていない場合の音圧周波数特性を示す。グラフDは、グラフCと同じ測定条件下における電流特性を示す。グラフBおよびDから、低域の電流特性には特徴的な山谷が生じていることがわかる。以下、グラフBを用いて特徴的な山谷について詳細に説明する。谷部Xは、音響ポート50の音響質量の影響を受けたスピーカユニット11の振動系の共振が発生する点である。山部Yは、空室R1の音響コンプライアンスと音響ポート50の音響質量とによる音響共振が発生する点である。谷部Zは、空室R1の音響コンプライアンスの影響を受けたスピーカユニット11の振動系の共振が発生する点である。
ここで、グラフBとグラフDとを比較すると、グラフBでは、空室R1の容積が気体吸着体13によって拡大されるため、空室R1の音響コンプライアンスが等価的に大きくなる。これにより、山部Yの周波数73.7Hzは、グラフDの山部Y1の周波数94.5Hzと比べて低下する。また、谷部Xは谷部X1と比べて周波数が低下しており、谷部Zも谷部Z1と比べて周波数が低下している。また、グラフAは、グラフCに対して低音域で音圧が拡大している。例えば周波数70Hzにおいて、グラフAの音圧はグラフCよりも約8dB高くなっている。ここで、外部の湿気が音響ポート50から空室R1に侵入し、気体吸着体13の容積拡大効果が低下した場合を考える。この場合、気体吸着体13が乾燥した状態の電流特性が図11のグラフBに相当すると仮定すると、気体吸着体13が吸水した状態の電流特性は、グラフDに相当することとなる。つまり、気体吸着体13が湿気を物理吸着するに従って、スピーカユニット11の電流特性は、グラフBからグラフDへ変化していくこととなる。そこで、電流特性における山部Y、谷部X、Zのいずれかの共振点の周波数の変化を検出すれば、気体吸着体13の容積拡大効果に影響を与える湿気の量、つまり、空室R1内の湿度を検出することができるようになる。例えば、山部Yの周波数が高くなれば、気体吸着体13が物理吸着する湿気の量が多いことを示し、空室R1内の湿度が上昇していることを示すことになる。
以上に構成されたスピーカシステム7について、制御部53の制御処理を図12を参照して説明する。図12は、スピーカシステム7に係る制御部53の制御処理を示すフローチャートである。なお、図12の初期状態として、除湿素子14に直流電圧が印加されていないものとする。図12において、信号源56からの測定信号が増幅部57を介してスピーカユニット11に入力され、電圧検出部52においてスピーカユニット11の電流特性が検出される(ステップS21)。制御部53は、ステップS21で検出された電流特性のうち、山部Yの周波数を特定する(ステップS22)。制御部53は、ステップS22で特定した山部Yの周波数が所定の閾値F(Fは周波数)よりも大きいか否かを判定する(ステップS23)。
山部Yの周波数が所定の閾値F以下となる場合(ステップS23でNo)、制御部53は、空室R1内の湿度が所定の閾値以下であるとみなして、処理を終了する。
一方、山部Yの周波数が所定の閾値Fよりも大きい場合(ステップS23でYes)、制御部53は、空室R1内の湿度が所定値よりも高いとみなして、電源部15における直流電圧の印加を開始させる(ステップS24)。これにより、空室R1内の湿気は、除湿素子14によって開口部10hからキャビネット10の外部に放出され始める。ステップS24の後、信号源56からの測定信号が増幅部57を介してスピーカユニット11に入力され、電圧検出部52においてスピーカユニット11の電流特性が検出される(ステップS25)。制御部53は、ステップS25で検出された電流特性のうち、山部Yの周波数を特定する(ステップS26)。制御部53は、ステップS26で特定した山部Yの周波数が所定の閾値Fよりも大きいか否かを判定する(ステップS27)。山部Yの周波数が所定の閾値Fよりも大きい場合(ステップS27でYes)、処理はステップS25に戻る。一方、除湿素子14の除湿作用によって空室R1内の湿気の量が減り、山部Yの周波数が所定の閾値F以下となった場合(ステップS27でNo)、制御部53は、空室R1内の湿度が所定の閾値以下になったとみなして、電源部15における直流電圧の印加を休止させる(ステップS28)。ステップS28の後、処理は終了する。
以上の処理により、山部Yの周波数が所定の閾値Fよりも大きい間だけ、除湿素子14に直流電圧が印加され、空室R1内の湿気が外部に放出されることになる。つまり、制御部53は、空室R1内の湿度が所定の閾値よりも高くなった場合のみ、電源部15を制御して除湿素子14に直流電圧を印加させる処理を行う。これにより、必要な時間のみ直流電圧を印加させることができ、電源部15における消費電力を抑えることができる。
なお、図12では、山部Yの周波数を用いていたが、谷部XまたはZのいずれかを用いてもよい。山部Y、谷部X、Zのうち、山部Yの周波数を用いるのが最も望ましい。谷部Xは、音響ポート50の音響質量の影響を受けたスピーカユニット11の振動系の共振が発生する点である。谷部Zは、空室R1の音響コンプライアンスの影響を受けたスピーカユニット11の振動系の共振が発生する点である。つまり、谷部XおよびZはともに、スピーカユニット11の振動系に関係のある共振点である。このため、谷部XおよびZの周波数は、スピーカユニット11の振動系の部材であるエッジやダンパーが長時間使用によって劣化したり、湿度の影響でバネ力が変化したりすることにより、変化する。あるいは、谷部XおよびZの周波数は、スピーカユニット11の振動板が湿気を吸収して当該振動板の重量が変化することにより、変化する。一方、山部Yは、空室R1の音響コンプライアンスと音響ポート50の音響質量とによる音響共振が発生する点である。つまり、山部Yは、スピーカユニット11の振動系には関係のない共振点である。このため、山部Yの周波数は、変化しにくい。なお、スピーカユニット11の振動系部材による谷部XおよびZの周波数変化が少ない場合、谷部XおよびZの周波数を用いるようにしてもよい。
また、本実施形態では、スピーカシステム7は音響ポート50を設けたバスレフ方式であったが、これに限られない。音響ポート50の代わりにパッシブラジエータを設けたバスレフ方式であってもよい。この場合、谷部Xは、パッシブラジエータの音響質量の影響を受けたスピーカユニット11の振動系の共振が発生する点となる。山部Yは、空室R1の音響コンプライアンスとパッシブラジエータの音響質量とによる音響共振が発生する点となる。
なお、上述した第5〜第7の実施形態に係る湿度を検出して電源部15を制御する処理は、上述したスピーカシステム1〜4に適用しても構わない。
(第8の実施形態)
上述したスピーカシステム1〜7は、電子機器である、例えば携帯電話などの携帯型情報処理装置に応用することができる。携帯型情報処理装置の他の例としては、例えば携帯ラジオ、携帯テレビ、HDDプレーヤ、半導体メモリープレーヤなどのポータブル機器がある。以下、図13および図14を参照して、携帯電話81に本発明のスピーカシステムを応用したものを第8の実施形態として説明する。図13は、携帯電話81の外観図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。図14は、図13(c)に示す線AAで携帯電話81を切断したときの断面図である。
携帯電話81は、折りたたみ式の携帯電話である。図13において、携帯電話81は、大略的に装置筐体811、ヒンジ部812、液晶画面813、およびアンテナ814を備える。液晶画面813は、装置筐体811に取り付けられている。図13(c)に示すように、装置筐体811の背面には、開口部811hおよび812hが形成されている。
スピーカシステムは、図14に示すように、キャビネット815、気体吸着体816、除湿素子817、電源部818、およびスピーカユニット819を備える。キャビネット815には、開口部815hが形成される。スピーカユニット819は、動電型スピーカであり、キャビネット815に形成された開口部815hに取り付けられる。気体吸着体816は、第1の実施形態の気体吸着体13と同じものであり、キャビネット815の内部に配置される。除湿素子817は、第1の実施形態の除湿素子14と同じものであり、開口部812hに取り付けられる。電源部818は、第1の実施形態の電源部15と同じものであり、除湿素子817と接続されている。なお、電源部818は、本来装置筐体811の内部に配置されるが、図14では説明のために、装置筐体811の外部に図示されている。
スピーカユニット819は、ヨーク820、マグネット821、プレート822、フレーム823、振動板824、ボイスコイル825、ガスケット826、第1の防塵ネット827、および第2の防塵ネット828を備える。ヨーク820は、フレーム823の下面中央に形成された開口部に固着され、フレーム823と一体化している。マグネット821は、ヨーク820の底部の上面に固着される。プレート822は、マグネット821の上面に固着される。振動板824の外周部は、フレーム823の外周部の上面に固着される。ヨーク820およびプレート822の間には、磁気ギャップが形成される。ボイスコイル825は、上記磁気ギャップ中に配置されるように、振動板824の下面に固着される。ガスケット826は、振動板824の外周部の上面に固着される。第1の防塵ネット827の外周部は、ガスケット826の上面に固着される。このようにガスケット826は、振動板824が振動したときに、振動板824が第1の防塵ネット827と接触しないようにするためのものである。第2の防塵ネット828は、フレーム823の下面に形成された音孔823hを被うように、フレーム823の下面に設けられる。
以上のように構成された携帯電話81について、その動作を説明する。スピーカユニット819は動電型スピーカであり、動電型スピーカの動作は周知である。よって、ここでは動電型スピーカの動作を簡略して説明する。磁気回路を構成するヨーク820、マグネット821、およびプレート822と、ボイスコイル825とが、スピーカユニット819の駆動力発生手段として機能する。例えば、携帯電話81がアンテナ814から受信信号を受け取ると、当該受信信号が信号処理部(図示なし)などで適宜処理され、スピーカユニット819に入力される。そして、例えば受信呼び出し用のメロディ信号がスピーカユニット819に印加されると、ボイスコイル825に駆動力が発生する。この駆動力によって振動板824が振動し、振動板824からメロディ音が放射される。振動板824の上面から放射したメロディ音は、第1の防塵ネット827を通過後、装置筐体811に形成された複数の開口部811hから装置外部へ放射される。一方、振動板824の下面からの音は、音孔823hおよび第2の防塵ネット828を通過後、空室R815に放射される。この振動板824の下面からの音によって、空室R815内の気圧が変化する。しかしながら、キャビネット815の内部には、気体吸着体816が配置されている。このため、空室R815内の気圧の変化は、気体吸着体816の物理吸着作用によって抑制され、その気圧の変化は抑制される。その結果、キャビネット815の内部の容積は等価的に拡大する。また、除湿素子817の電極間には電源部818により直流電圧が印加され、空室R815内の湿気は開口部812hからキャビネット815の外部に放出される。
以上のように、上述したスピーカシステム1〜7を携帯電話などの携帯型情報処理装置に応用することで、周囲の湿度に左右されることなく、容積拡大効果の低下を安定的に防ぐことが可能なスピーカシステムを備えた携帯型情報処理装置を提供することができる。
なお、図13および図14に示したスピーカシステムにおいて、スピーカシステム5〜7で説明した電源部の制御処理を行うための構成要素をさらに追加してもよい。これにより、通常は屋外で使用されて周囲の湿度が変化しやすい携帯型情報処理装置にとって、特に有益なスピーカシステムとなる。
また、本実施形態において、密閉方式のスピーカシステムを採用していたが、パッシブラジエータや音響ポートなどを用いたバスレフ方式のスピーカシステムを採用してもよい。
(第9の実施形態)
上述したスピーカシステム1〜7は、例えば自動車の車体内部に搭載するスピーカシステムに応用することができる。車体内部の一例として、例えば車両用ドアが挙げられる。以下、図15および図16を参照して、自動車のドアに搭載するスピーカシステムとして本発明のスピーカシステムを応用したものを第9の実施形態として説明する。図15は、車両用ドア83の外観図である。図16は、図15に示す線BBで車両用ドア83を切断したときの断面図である。
図15および図16において、車両用ドア83は、大略的に窓ガラス831およびドア本体832を備える。ドア本体832は、キャビネット833、スピーカユニット834、内壁835、インナーパネル836、アウターパネル837、音響管838、グリル839、気体吸着体840、および除湿素子841を備える。なお、電源部842は、車室内に配置されるものであるが、説明のために図16では電源部842をブロック化して図示している。
窓ガラス831は、上下に可動できるように、インナーパネル836とアウターパネル837との間に配置される。インナーパネル836は、内壁835とアウターパネル837との間に配置される。インナーパネル836にはスピーカユニット834と同程度の大きさの開口部が形成されており、スピーカユニット834は、当該開口部にはめ込むようにインナーパネル836に取り付けられる。スピーカユニット834は、例えば動電型スピーカである。スピーカユニット834の前面は、内壁835側を向いている。グリル839は、内壁835に形成された開口部に取り付けられる。音響管838の一方端は、スピーカユニット834の前面の外周部に取り付けられ、音響管838の他方端は、内壁835に形成された開口部の外周部に取り付けられる。これにより、スピーカユニット834の前面には、音響管838の内面とグリル839とよって空間が形成されることとなる。
キャビネット833は、一つの面が開口した箱形状を有している。キャビネット833は、インナーパネル836とアウターパネル837との間の空間に配置されており、スピーカユニット834を囲むようにインナーパネル836に取り付けられる。気体吸着体840は、第1の実施形態の気体吸着体13と同じものであり、空室R833内に配置される。除湿素子841は、第1の実施形態の除湿素子14と同じものであり、開口部833hに取り付けられる。電源部842は、第1の実施形態の電源部15と同じものであり、除湿素子841と接続されている。
以上のように構成された車両用ドア83に搭載されたスピーカシステムについて、その動作を説明する。車体内に配置されたCDプレーヤ等のオーディオ装置(図示なし)からの音楽信号がスピーカユニット834に印加されると、スピーカユニット834の前面および背面から音が放射される。このうち、スピーカユニット834の背面からの音は、空室R833に放射される。このスピーカユニット834の背面からの音によって、空室R833内の気圧が変化する。しかしながら、キャビネット833の内部には、気体吸着体840が配置されている。空室R833内の気圧の変化は、気体吸着体840の物理吸着作用によって抑制され、その気圧の変化は抑制される。その結果、キャビネット833の内部の容積は等価的に拡大する。また、除湿素子841の電極間には電源部842により直流電圧が印加され、空室R833内の湿気は開口部833hからキャビネット833の外部に放出される。
以上のように、上述したスピーカシステム1〜7を車体内部に用いることで、周囲の湿度に左右されることなく、容積拡大効果の低下を安定的に防ぐことが可能なスピーカシステムを備えた車両を提供することができる。
なお、本実施形態では、スピーカシステムを車両用ドア83に搭載する例を示したが、これに限られない。スピーカシステムは、フロントパネル、リアトレイ、および車体の天井部などに搭載されてもよい。
また、本実施形態において、スピーカシステム5〜7で説明した電源部の制御処理を行うための構成要素をさらに追加してもよい。これにより、周囲の湿度が変化しやすい車両にとって、特に有益なスピーカシステムとなる。
また、本実施形態において、密閉方式のスピーカシステムを採用していたが、パッシブラジエータや音響ポートなどを用いたバスレフ方式のスピーカシステムを採用してもよい。
(第10の実施形態)
上述したスピーカシステム1〜7は、電子機器である、例えば薄型テレビなどの映像機器に搭載するスピーカシステムに応用することができる。以下、図17および図18を参照して、薄型テレビに搭載するスピーカシステムとして本発明のスピーカシステムを応用したものを第10の実施形態として説明する。図17は、薄型テレビ85の正面図である。図18は、図17に示す線CCでスピーカシステム853を切断した断面図である。
図17において、薄型テレビ85は、液晶画面851、機器筐体852、2つのスピーカシステム853を備える。スピーカシステム853は、機器筐体852の内部に配置される。具体的には、スピーカシステム853は液晶画面851の下側に配置される。図18において、スピーカシステム853は、キャビネット854、スピーカユニット855、パッシブラジエータ856、気体吸着体857、除湿素子858、および電源部859を備える。スピーカユニット855は、例えば動電型スピーカであり、キャビネット854に取り付けられる。パッシブラジエータ856は、キャビネット854に取り付けられる。気体吸着体857は、第1の実施形態の気体吸着体13と同じものであり、キャビネット854の内部に配置される。除湿素子858は、第1の実施形態の除湿素子14と同じものであり、開口部854hに取り付けられる。電源部859は、第1の実施形態の電源部15と同じものであり、除湿素子858と接続されている。
以上のように構成された薄型テレビ85に搭載されたスピーカシステムについて、その動作を説明する。オーディオ回路(図示なし)からの音響信号がスピーカユニット855に印加されると、スピーカユニット855の前面および背面から音が放射される。このうち、スピーカユニット855の背面からの音は、空室R854に放射される。このスピーカユニット855の背面からの音によって、空室R854内の気圧が変化する。しかしながら、キャビネット854の内部には、気体吸着体857が配置されている。このため、空室R854内の気圧の変化は、気体吸着体857の物理吸着作用によって抑制され、その気圧の変化は抑制される。その結果、キャビネット854の内部の容積は等価的に拡大する。また、除湿素子858の電極間には電源部859により直流電圧が印加され、空室R854内の湿気は開口部854hからキャビネット854の外部に放出される。
以上のように、上述したスピーカシステム1〜7を映像機器に応用することで、周囲の湿度に左右されることなく、容積拡大効果の低下を安定的に防ぐことが可能なスピーカシステムを備えた映像機器を提供することができる。また、液晶やPDP(プラズマディスプレイ)等の薄型テレビでは、キャビネットの容積が薄型化やコンパクト化を阻害する要因となってきているので、本実施形態に係るスピーカシステムは特に有効なものとなる。
なお、図17および図18に示したスピーカシステムにおいて、スピーカシステム5〜7で説明した電源部の制御処理を行うための構成要素をさらに追加してもよい。これにより、設置場所で加湿器が使用される等により周囲の湿度が変化しやすい映像機器にとって、特に有益なスピーカシステムとなる。
なお、本実施形態では、スピーカシステム853を液晶画面851の下側に配置していたが、液晶画面851の左右両側に配置してもよい。
なお、上述した第1〜第10の実施形態において、スピーカユニットは動電型スピーカであるとしたが、圧電型スピーカ、静電型スピーカ、電磁型スピーカ等であってもよい。
また、上述した第1〜第10の実施形態では、気体吸着体を備えたスピーカシステムに除湿素子を採用した場合について説明した。気体吸着体を備えていないスピーカシステムに対して除湿素子を採用した場合であっても、スピーカユニットの振動系部材が吸水することによって発生する音質劣化を防ぐことができる。
また、上述した第1〜第10の実施形態において説明した気体吸着体、除湿素子、および電源部を組み合わせたものは、吸音や遮音を目的とした建築部材として利用することも可能である。
本発明に係るスピーカシステムは、周囲の湿度に左右されることなく、容積拡大効果の低下を安定的に防ぐことが可能なスピーカシステムであり、液晶テレビ、PDP、ステレオ装置、車載機器、携帯型情報処理装置等に適用される。
1〜7、853 スピーカシステム
10、815、833、854 キャビネット
11、819、834、855 スピーカユニット
12、32、41、856 パッシブラジエータ
121、321、411、824 振動板
122、322、412 エッジ
13、816、840、857 気体吸着体
14、817、841、858 除湿素子
15、818、859 電源部
21、21a 音響フィルター機構
211、40 カバー部
212、30、50 音響ポート
213 板状部材
214 スペーサ
31 仕切板
33 クッション部材
51 電気抵抗
52 電圧検出部
53 制御部
54 湿度センサー
55 湿度変換部
56 信号源
57 増幅部
81 携帯電話
811 装置筐体
812 ヒンジ部
813 液晶画面
814 アンテナ
820 ヨーク
821 マグネット
822 プレート
823 フレーム
825 ボイスコイル
826 ガスケット
827 第1の防塵ネット
828 第2の防塵ネット
83 車両用ドア
831 窓ガラス
832 ドア本体
835 内壁
836 インナーパネル
837 アウターパネル
838 音響管
839 グリル
85 薄型テレビ
851 液晶画面
852 機器筐体

Claims (24)

  1. キャビネットと、
    前記キャビネットに形成された開口部に取り付けられたスピーカユニットと、
    前記キャビネット内部に配置され、前記キャビネット内部の気体を物理吸着して前記キャビネット内部の容積を等価的に拡大させる気体吸着体と、
    前記キャビネットに形成された開口部に取り付けられ、直流電圧が印加されることによって前記キャビネット内部の湿気を外部に放出する除湿素子とを備える、スピーカシステム。
  2. 前記除湿素子に直流電圧を印加する電源部と、
    前記キャビネット内部の湿度を検出する湿度検出部と、
    前記湿度検出部において検出された湿度が所定の閾値よりも高い場合のみ、前記電源部を制御して前記除湿素子に直流電圧を印加させる制御部とをさらに備える、請求項1に記載のスピーカシステム。
  3. 前記湿度検出部は、前記除湿素子に流れる電流を検出し、
    前記制御部は、前記除湿素子に流れる電流が所定の閾値よりも大きい場合のみ、前記電源部を制御して前記除湿素子に直流電圧を印加させることを特徴とする、請求項2に記載のスピーカシステム。
  4. 前記湿度検出部は、
    前記除湿素子と直列に接続された電気抵抗と、
    前記電気抵抗の端子間電圧を検出することによって、電圧に変換された前記除湿素子に流れる電流を検出する電圧検出部とにより構成されることを特徴とする、請求項3に記載のスピーカシステム。
  5. 前記湿度検出部は、前記キャビネット内部に配置された湿度センサーにより構成されることを特徴とする、請求項2に記載のスピーカシステム。
  6. 前記湿度検出部は、前記スピーカユニットに流れる電流の周波数特性を検出し、
    前記制御部は、前記周波数特性に含まれる所定の共振点の周波数が所定の閾値よりも高い場合のみ、前記電源部を制御して前記除湿素子に直流電圧を印加させることを特徴とする、請求項2に記載のスピーカシステム。
  7. 前記湿度検出部は、
    前記スピーカユニットと直列に接続された電気抵抗と、
    前記電気抵抗の端子間電圧を検出することによって、電圧に変換された前記周波数特性を検出する電圧検出部とにより構成されることを特徴とする、請求項6に記載のスピーカシステム。
  8. 前記キャビネットに取り付けられ、前記キャビネットの内部と外部とを音響的に接続する音響ポートをさらに備え、
    前記所定の共振点は、前記音響ポートの音響質量と、前記キャビネット内部の空室の音響コンプライアンスとによる音響共振が発生する点であることを特徴とする、請求項6に記載のスピーカシステム。
  9. 前記キャビネットに形成された開口部に取り付けられたパッシブラジエータをさらに備え、
    前記所定の共振点は、前記パッシブラジエータの音響質量と、前記キャビネット内部の空室の音響コンプライアンスとによる音響共振が発生する点であることを特徴とする、請求項6に記載のスピーカシステム。
  10. 前記除湿素子を被うように前記キャビネットの内部に取り付けられ、前記スピーカユニットから前記キャビネット内部に放射された音のうち、所定のカットオフ周波数以下となる音のみ前記除湿素子に到達させる音響フィルター機構をさらに備える、請求項1に記載のスピーカシステム。
  11. 前記音響フィルター機構は、
    前記除湿素子を被うように前記キャビネットの内部に取り付けられたカバー部と、
    前記カバー部に形成された開口部に取り付けられた音響ポートとにより構成される、請求項10に記載のスピーカシステム。
  12. 前記音響フィルター機構は、前記キャビネット内部に配置され、かつ前記除湿素子に対して狭空隙を介して配置された板状部材により構成される、請求項10に記載のスピーカシステム。
  13. 前記所定のカットオフ周波数は、可聴帯域よりも低い周波数であることを特徴とする、請求項10に記載のスピーカシステム。
  14. 前記除湿素子の少なくとも一部に固着された、通気性を有するクッション部材をさらに備える、請求項1に記載のスピーカシステム。
  15. 前記クッション部材は、発泡ゴムにより構成される、請求項14に記載のスピーカシステム。
  16. 前記クッション部材は、板状または格子状に成形されることを特徴とする、請求項14に記載のスピーカシステム。
  17. 前記キャビネット内部の空室を、第1の空室と第2の空室とに仕切るように、前記キャビネット内部に配置された仕切板と、
    前記仕切板に形成された開口部に取り付けられたパッシブラジエータとをさらに備え、
    前記スピーカユニットは前記第1の空室に配置され、前記気体吸着体および前記除湿素子は前記第2の空室に配置される、請求項1に記載のスピーカシステム。
  18. 前記第1の空室と前記キャビネットの外部とを接続するように、前記キャビネットに取り付けられた音響ポートをさらに備える、請求項17に記載のスピーカシステム。
  19. 前記キャビネットに形成された開口部であって前記第1の空室と前記キャビネットの外部とを接続する開口部に取り付けられたパッシブラジエータをさらに備える、請求項17に記載のスピーカシステム。
  20. 前記スピーカユニットを被うように前記キャビネットの外面に取り付けられたカバー部と、
    前記カバー部に形成された開口部に取り付けられたパッシブラジエータとをさらに備える、請求項1に記載のスピーカシステム。
  21. 前記気体吸着体は、活性炭、ゼオライト、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO3)、マグネシア(MgO)、四三酸化鉄(Fe34)、モレキュラーシーブ、フラーレン、カーボンナノチューブのいずれか1つからなる多孔性材料で構成される、請求項1に記載のスピーカシステム。
  22. 請求項1から21のいずれか1項に記載のスピーカシステムと、
    内部に前記スピーカシステムを配置する車体とを備える、車両。
  23. 請求項1から21のいずれか1項に記載のスピーカシステムと、
    内部に前記スピーカシステムを配置する機器筐体とを備える、映像機器。
  24. 請求項1から21のいずれか1項に記載のスピーカシステムと、
    内部に前記スピーカシステムを配置する装置筐体とを備える、携帯型情報処理装置。
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