JPWO2008149559A1 - 脈波検出装置、機器制御装置および脈波検出方法 - Google Patents

脈波検出装置、機器制御装置および脈波検出方法 Download PDF

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Abstract

ユーザの脈波を示す脈波データを検出する脈波検出装置であって、ユーザの脈波を示す脈波データを時系列で検出する脈波検出部(1011)と、前記脈波検出部(1011)により検出された時系列の脈波データを時間微分することにより、時系列の速度脈波データを算出する脈波微分部(1012)と、第1の時間範囲を時間軸方向にずらしながら、前記第1の時間範囲に含まれる前記脈波微分部(1012)で算出された時系列の速度脈波データの最大値と最小値とを抽出することを繰り返す成分抽出部(1013)と、前記第1の時間範囲毎に、前記成分抽出部(1013)で抽出された最大値と最小値との比である成分比を算出する成分比算出部(1014)と、前記成分比算出部(1014)で算出された前記成分比が時間的に不安定な区間をノイズ区間と判定するノイズ区間判定部とを備える。

Description

本発明は、脈波に含まれるノイズの検出を行う脈波検出装置に関する。
近年、人の生体信号から人の状態を推定する技術について様々な研究団体が取り組んでいる。その成果として、一部の研究者により、人の状態と生体信号との間で相関性が見出され、生体信号による人の状態の評価手法が学会などで報告されている。しかしながら、この成果も、実際には、人の状態変化が確実に起こった区間における生体信号の変化を切り出して相関分析を行っているため、日常生活とは程遠い、実験室に限った成果と言えた。よって、生体信号に変化が起こった際の人の状態を推定する、という逆算的な推定技術は、未だ確立されるに至っていなかった。そこで、これら問題に対し、具体的な人の状態として運動時とストレス時における両者を区別する方法として、脈波(pulse wave)を実測して脈拍値と、脈波の高ピーク値と、脈波の高低ピーク値の差である脈圧値とを算出してストレス、眠気および疲労(筋肉疲労)の各状態を判別する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図1は、特許文献1に開示されている体調判別装置の構成を示すブロック図である。体調判別装置は、脈波計測部1301と、算出部1302と、判別部1303と、警報出力部1304とを含む。
脈波計測部1301は、血液循環によって生じる酸素担持されたヘモグロビンと酸素非担持されたヘモグロビンとの各流量の計測を行う。算出部1302は、脈波計測部1301により計測された脈波データから、脈拍値と血圧値と脈波の高低ピーク値の差である脈圧値との各データを算出する。判別部1303は、算出部1302により算出されたデータの変化を検出して体調状態を複数レベルに判別する。警報出力部1304は、判別部1303の判別に伴い、レベルに応じた警報を出力する。
このように、光学式や圧電式のセンサを用いて生体から脈波を検出し、脈波から人体の状態を把握する試みがなされている。しかし、脈波は体動などの影響を受け易いため、ノイズと脈波信号を識別する必要がある。従来、脈波に含まれているノイズを検出する方法として、検出した脈波を微分した速度脈波(velocity plethysmogram (略してVPG))のピーク値の分散(variance)から識別する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−61921号公報(第8頁、図2) 特許第3835073号公報
しかしながら、特許文献1記載の体調判別装置の構成では、脈波を用いてユーザの体調状態を判別しているが、脈波は温冷熱環境による影響も受けやすい生体信号であることを考えると、疲労(fatigue)、ストレスおよび眠気といった体調状態を判別できたとしても、その際の脈波の変化が本当にそれら体調による影響であるかどうかまでは断定できない。このため、温冷熱環境の影響も含まれた脈波に基づいて体調を判別してしまうことになり、誤った結果を出力する可能性が高いという課題がある。
また、脈波波形は、温冷感や体調の影響のみならず、体動の影響も大きく受ける。図2は、体動の影響を含む脈波波形を示しており、区間Aおよび区間Bにおいて、脈波波形が体動の影響を受けており、それ以外の区間では脈波波形は体動の影響を受けていない。このように体動の影響によって、脈波波形が大きく変化することがわかる。また、図3は、温冷感の変化の影響を含む脈波波形を示しており、区間Cにおいて、脈波波形が温冷感の変化の影響を受けており、それ以外の区間では脈波波形は温冷感の変化の影響を受けていない。このように温冷感の変化の影響によっても、脈波波形が大きく変化することがわかる。したがって、ノイズ検出の際には、脈波波形が体動の影響により変化しているのか、温冷感の変化の影響により変化しているのかを識別する必要がある。ここで、図4に、特許文献2に記載の従来の方法に従って、図2に示す脈波波形を1階微分した速度脈波(図5)のピーク値の分散値を求めたグラフを実線で示し、図3に示す脈波波形を1階微分した速度脈波(図6)のピーク値の分散値を求めたグラフを破線で示す。図4からも明らかなように、温冷感の影響を受けた区間Cの分散は、体動による影響を受けた区間Aの分散よりも小さくなっている場合もあるし、体動による影響を受けた区間Bよりも大きくなっている場合もある。このため、特許文献1に記載の従来の方法では、脈波の変化が体動の影響によるノイズであるのか温冷感の変化による脈波信号であるのかを識別できないという課題を有している。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、体動の影響によるノイズと温冷感の変化によって生じた脈波の変化とを識別することができる脈波検出装置を提供することを目的とする。
また、体動の影響によるノイズと温冷感の変化によって生じた脈波の変化とを識別した上で、脈波によりユーザの状態を推定して機器制御を行う際、脈波の変化がまず温冷熱環境の影響によるものかどうかを判定することにより、温冷熱環境の影響と体調の影響とを判別し、ユーザの状態を確実に改善するための機器制御を実現する、機器制御装置を提供することも目的とする。
本発明のある局面に係る脈波検出装置は、ユーザの脈波を示す脈波データを検出する脈波検出装置であって、ユーザの脈波を示す脈波データを時系列で検出する脈波検出部と、前記脈波検出部により検出された時系列の脈波データを時間微分することにより、時系列の速度脈波データを算出する脈波微分部と、第1の時間範囲を時間軸方向にずらしながら、前記第1の時間範囲に含まれる前記脈波微分部で算出された時系列の速度脈波データの最大値と最小値とを抽出することを繰り返す成分抽出部と、前記第1の時間範囲毎に、前記成分抽出部で抽出された最大値と最小値との比である成分比を算出する成分比算出部と、前記成分比算出部で算出された前記成分比が時間的に不安定な区間をノイズ区間と判定するノイズ区間判定部とを備える。
この構成によると、脈波を1階微分して得られる速度脈波から第1の時間範囲内における最大値と最小値を抽出してその比(成分比)を求め、成分比が時間的に不安定か否かを判断することにより、脈波にノイズが含まれているかが判定される。このため、体動の影響によるノイズと、温冷感の変化によって生じた脈波の変化とを識別することができる。
好ましくは、前記ノイズ区間判定部は、第2の時間範囲に含まれる前記成分比の分散値を算出する分散値算出部と、前記分散値算出部で算出された分散値が所定の範囲内に含まれるか否かを判定し、前記分散値が前記所定の範囲内に含まれていないと判定される場合に、前記第2の時間範囲内に前記脈波データのノイズが含まれていると判定する判定部とを含む。
この構成によると、上記成分比の分散値を用いて、脈波にノイズが含まれているかが判定される。このため、体動の影響によるノイズと、温冷感の変化によって生じた脈波の変化とを識別することができる。
さらに好ましくは、前記ノイズ区間判定部は、前記成分比算出部で算出された前記成分比が所定の範囲内に含まれるか否かを判定し、前記所定の範囲内に含まれていないと判定された成分比を算出した前記第1の時間範囲内に前記脈波データのノイズが含まれていると判定する判定部を含む。
上記成分比が所定の範囲内に含まれているか否かを判断することにより、脈波にノイズが含まれているかが判定される。このため、体動の影響によるノイズと、温冷感の変化によって生じた脈波の変化とを識別することができる。
本発明の他の局面に係る機器制御装置は、ユーザの脈波を示す脈波データに基づいて車載用の機器を制御するための機器制御装置であって、ユーザの脈波を示す脈波データを時系列で計測する生体信号計測部と、前記生体信号計測部により計測された時系列の脈波データから、ユーザの状態を評価するための時系列のパラメータ値を抽出するパラメータ抽出部と、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値を用いて、前記脈波データの変化の要因が、前記ユーザの体調の変化によるものであるのか、前記ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであるのかを判定する判定部と、前記判定部における判定結果に基づいて、車載用の機器を制御する制御部とを備え、前記生体信号計測部は、ユーザの脈波を示す脈波データを時系列で検出する脈波検出部と、脈波検出部により検出された時系列の脈波データを時間微分することにより、時系列の速度脈波データを算出する脈波微分部と、第1の時間範囲を時間軸方向にずらしながら、前記第1の時間範囲に含まれる前記脈波微分部で算出された時系列の速度脈波データの最大値と最小値とを抽出することを繰り返す成分抽出部と、前記第1の時間範囲毎に、前記成分抽出部で抽出された最大値と最小値との比である成分比を算出する成分比算出部と、前記成分比算出部で算出された前記成分比が時間的に不安定な区間をノイズ区間と判定するノイズ区間判定部と、前記脈波検出部で検出された時系列の脈波データのうち、前記ノイズ区間に含まれる脈波データを除去するノイズ区間除去部とを含む。
この構成によると、脈波を1階微分して得られる速度脈波から第1の時間範囲内における最大値と最小値を抽出してその比(成分比)を求め、成分比が時間的に不安定か否かを判断することにより、脈波にノイズが含まれているかが判定される。このため、体動の影響によるノイズと、温冷感の変化によって生じた脈波の変化とを識別することができる。
また、脈波データから抽出されたパラメータ値を用いることにより、脈波データの変化の要因が、ユーザの体調の変化によるものであるのか、ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであるのかを判定することができる。このため、判定結果に基づいて、車載用の機器を制御することができる。よって、脈波データによりユーザの状態を推定して機器制御を行う際、脈波データの変化が温冷熱環境の影響によるものか、体調の変化によるものかを判定することにより、温冷熱環境の影響と体調の影響とを判別し、ユーザの状態を確実に改善するための機器制御を実現することができる。
好ましくは、前記判定部は、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、当該パラメータ値の、あらかじめ定められた起点時刻において前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値からの変化量である起点変化量を算出するパラメータ変化量算出部と、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、前記起点時刻から当該パラメータ値の抽出時刻までの時間である変化時間を算出するパラメータ変化時間算出部と、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、前記パラメータ変化量算出部により算出された前記起点変化量が所定の起点変化量しきい値を超え、かつ前記パラメータ変化時間算出部により算出された前記変化時間が所定の変化時間しきい値を超えた場合には、前記生体信号の変化の要因が、前記ユーザの体調の変化によるものであると判定し、前記起点変化量が前記所定の起点変化量しきい値を超え、かつ前記変化時間が前記所定の変化時間しきい値以下の場合には、前記生体信号の変化の要因が、前記ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであると判定する変化要因判定部とを含む。
この構成によれば、脈波データが変化した際に、脈波データの変化量に加え、変化にかかる時間を考慮することで、脈波データが変化した要因を判定し、判定した要因に基づいて、車載用の機器を制御することができる。よって、脈波データによりユーザの状態を推定して機器制御を行う際、脈波データの変化が温冷熱環境の影響によるものか、体調の変化によるものかを判定することにより、温冷熱環境の影響と体調の影響とを判別し、ユーザの状態を確実に改善するための機器制御を実現することができる。
さらに好ましくは、前記判定部は、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、当該パラメータ値の、あらかじめ定められた起点時刻において前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値からの変化量である起点変化量を算出するパラメータ変化量算出部と、前記ユーザの周囲の環境温度を時系列で計測する環境温度計測部と、前記環境温度計測部により計測された環境温度の各々について、当該環境温度の、前記起点時刻において前記環境温度計測部により計測された環境温度からの変化量である温度起点変化量を算出する温度起点変化量算出部と、前記パラメータ変化量算出部により算出された前記起点変化量が所定の起点変化量しきい値を超え、かつ前記温度起点変化量算出部により算出された前記温度起点変化量が所定の温度起点変化量しきい値以下の場合には、前記生体信号の変化の要因が、前記ユーザの体調の変化によるものであると判定し、前記起点変化量が前記所定の起点変化量しきい値を超え、かつ前記温度起点変化量が前記所定の温度起点変化量しきい値を超えた場合には、前記生体信号の変化の要因が、前記ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであると判定する変化要因判定部とを含む。
この構成によれば、脈波データが変化した際に、脈波データの変化量に加え、環境温度の変化量を考慮することで、脈波データが変化した要因を判定し、判定した要因に基づいて、車載用の機器を制御することができる。よって、脈波データによりユーザの状態を推定して機器制御を行う際、脈波データの変化が温冷熱環境の影響によるものか、体調の変化によるものかを判定することにより、温冷熱環境の影響と体調の影響とを判別し、ユーザの状態を確実に改善するための機器制御を実現することができる。
さらに好ましくは、前記判定部は、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、当該パラメータ値の、あらかじめ定められた起点時刻において前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値からの変化量である起点変化量を算出するパラメータ変化量算出部と、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、前記起点時刻から当該パラメータ値の抽出時刻までの間に前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の積分値である起点変化量積分値を算出するパラメータ変化量積分部と、前記パラメータ変化量算出部により算出された前記起点変化量が所定の起点変化量しきい値を超え、かつ前記パラメータ変化量積分部により算出された前記起点変化量積分値が所定の積分値しきい値を超えた場合には、前記生体信号の変化の要因が、前記ユーザの体調の変化によるものであると判定し、前記起点変化量が前記所定の起点変化量しきい値を超え、かつ前記起点変化量積分値が前記所定の積分値しきい値以下の場合には、前記生体信号の変化の要因が、前記ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであると判定する変化要因判定部とを含む。
この構成によれば、脈波データが変化した際に、脈波データの変化量に加え、変化量の積分値を考慮することで、脈波データが変化した要因を判定し、判定した要因に基づいて、車載用の機器を制御することができる。よって、脈波データによりユーザの状態を推定して機器制御を行う際、脈波データの変化が温冷熱環境の影響によるものか、体調の変化によるものかを判定することにより、温冷熱環境の影響と体調の影響とを判別し、ユーザの状態を確実に改善するための機器制御を実現することができる。
さらに好ましくは、前記機器制御装置は、さらに、ユーザが運転している車両の状態に関する情報を取得する車両情報取得部を備え、前記判定部は、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、当該パラメータ値の、あらかじめ定められた起点時刻において前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値からの変化量である起点変化量を算出するパラメータ変化量算出部と、前記パラメータ変化量算出部により算出された前記起点変化量と、前記車両情報取得部により取得された前記車両の走行状態とから、前記脈波データの変化の要因が、前記ユーザの体調の変化によるものであるのか、前記ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであるのかを判定する変化要因判定部とを含む。
この構成によれば、脈波データが変化した際に、脈波データの変化量に加え、車両の状態を考慮することで、脈波データが変化した要因を判定し、判定した要因に基づいて、車載用の機器を制御することができる。よって、脈波データによりユーザの状態を推定して機器制御を行う際、脈波データの変化が温冷熱環境の影響によるものか、体調の変化によるものかを判定することにより、温冷熱環境の影響と体調の影響とを判別し、ユーザの状態を確実に改善するための機器制御を実現することができる。
さらに好ましくは、前記機器制御装置は、さらに、ユーザが運転している車両の状態に関する情報を取得する車両情報取得部を備え、前記判定部は、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、当該パラメータ値の、あらかじめ定められた起点時刻において前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値からの変化量である起点変化量を算出するパラメータ変化量算出部と、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、前記起点時刻から当該パラメータ値の抽出時刻までの時間である変化時間を算出するパラメータ変化時間算出部と、前記パラメータ変化量算出部により算出された前記起点変化量と、パラメータ変化時間算出部により算出された前記変化時間と、前記車両情報取得部により取得された前記車両の走行状態とから、前記脈波データの変化の要因が、前記ユーザの体調の変化によるものであるのか、前記ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであるのかを判定する変化要因判定部とを含む。
この構成によれば、脈波データが変化した際に、脈波データの変化量に加え、変化に係る時間と、車両の状態とを考慮することで、脈波データが変化した要因を判定し、判定した要因に基づいて、車載用の機器を制御することができる。よって、脈波データによりユーザの状態を推定して機器制御を行う際、脈波データの変化が温冷熱環境の影響によるものか、体調の変化によるものかを判定することにより、温冷熱環境の影響と体調の影響とを判別し、ユーザの状態を確実に改善するための機器制御を実現することができる。
なお、本発明は、このような特徴的な処理部を備える脈波検出装置として実現することができるだけでなく、脈波検出装置に含まれる特徴的な処理部をステップとする脈波検出方法として実現したり、脈波検出方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは言うまでもない。
本発明によると、体動の影響によるノイズと温冷感の変化によって生じた脈波の変化とを識別する脈波検出装置を提供することができる。
また、体動の影響によるノイズと温冷感の変化によって生じた脈波の変化とを識別した上で、脈波によりユーザの状態を推定して機器制御を行う際、脈波の変化がまず温冷熱環境の影響によるものかどうかを判定することにより、温冷熱環境の影響と体調の影響とを判別し、ユーザの状態を確実に改善するための機器制御を実現する、機器制御装置を提供することもできる。
図1は、従来の体調判別装置の構成を示すブロック図である。 図2は、体動の影響を含む脈波波形を示す図である。 図3は、温冷感の変化の影響を含む脈波波形を示す図である。 図4は、特許文献2に記載の従来の方法に従って、図2に示す脈波波形を1階微分した速度脈波のピーク値と、図3に示す脈波波形を1階微分した速度脈波のピーク値とのそれぞれの分散を求めたグラフを示す図である。 図5は、体動の影響を含む脈波の速度脈波波形を示す図である。 図6は、温冷感の変化の影響を含む脈波の速度脈波波形を示す図である。 図7は、本発明の実施の形態1における機器制御装置の構成を示すブロック図である。 図8は、生体信号計測部の詳細な構成を示すブロック図である。 図9は、図5に示す体動の影響を含む速度脈波データと、図6に示す温冷感の変化の影響を含む速度脈波データとから、それぞれ所定の時間範囲ごとに抽出した速度脈波の最大値と最小値の比(最小値/最大値)を示すグラフである。 図10は、図5に示す体動の影響を含む速度脈波データと図6に示す温冷感の変化の影響を含む速度脈波データとから、それぞれ所定の時間範囲ごとに抽出した速度脈波の最大値と最小値の比(最小値/最大値)の分散を示すグラフである。 図11は、本発明の実施の形態1における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。 図12は、本発明の実施の形態1における変化要因判定部が実行する処理のフローチャートである。 図13は、本発明の実施の形態1における変化要因判定部が保持する脈波振幅の変化要因を判定する際に用いるデータテーブルを示す図である。 図14は、環境温度を変化させた際の温冷感と疲労度の変化を示すグラフである。 図15は、温冷感の反応時間と疲労度の反応時間とを示す図である。 図16は、温冷感と疲労度とを区別するための起点変化時間のしきい値について説明するための図である。 図17は、生体信号計測部が実行する処理のフローチャートである。 図18は、速度脈波の時間的な変化を示す波形図である。 図19は、ノイズ区間の開始位置について説明するための図である。 図20は、ノイズ区間の終了位置について説明するための図である。 図21は、脈波データのノイズ除去について説明するための図である。図21(a)は、ノイズ除去前の加速度脈波の第1波であるa波の振幅値の時間変化を示すグラフであり、図21(b)は、ノイズ除去後の加速度脈波のa波の振幅値の時間変化を示すグラフである。 図22は、加速度脈波の波形の一例を示す図である。 図23は、本発明の実施の形態2における機器制御装置の構成を示すブロック図である。 図24は、本発明の実施の形態2における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。 図25は、本発明の実施の形態2における変化要因判定部が実行する処理のフローチャートである。 図26は、本発明の実施の形態2における変化要因判定部が保持する脈波振幅の変化要因を判定する際に用いるデータテーブルを示す図である。 図27は、温冷感と疲労度とを区別するための温度起点変化量のしきい値について説明するための図である。 図28は、本発明の実施の形態3における機器制御装置の構成を示すブロック図である。 図29は、本発明の実施の形態3における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。 図30は、本発明の実施の形態3における変化要因判定部が実行する処理のフローチャートである。 図31は、本発明の実施の形態3における変化要因判定部が保持する脈波振幅の変化要因を判定する際に用いるデータテーブルを示す図である。 図32は、本発明の実施の形態4における機器制御装置の構成を示すブロック図である。 図33は、本発明の実施の形態4における生体信号計測部の詳細な構成を示すブロック図である。 図34は、本発明の実施の形態4における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。 図35は、本発明の実施の形態4における変化要因判定部が実行する処理のフローチャートである。 図36は、本発明の実施の形態4における変化要因判定部が保持する脈波振幅の変化要因を判定する際に用いるデータテーブルを示す図である。 図37は、温冷感と疲労度とを区別するためのハンドル操作データ量のしきい値について説明するための図である。 図38は、本発明の実施の形態4における温冷感関連機器制御部が実行する処理のフローチャートである。 図39は、本発明の実施の形態4における疲労関連機器制御部が実行する処理のフローチャートである。 図40は、本発明の実施の形態5における機器制御装置の構成を示すブロック図である。 図41は、本発明の実施の形態5における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。 図42は、本発明の実施の形態5における変化要因判定部が実行する処理のフローチャートである。 図43は、生体信号計測部の他の構成を示すブロック図である。 図44は、本発明の実施の形態5における生体信号計測部が実行する処理のフローチャートである。
符号の説明
1 脈波センサ
101、1101、3101 生体信号計測部
102 パラメータ抽出部
103 パラメータ変化量算出部
104 パラメータ変化時間算出部
105、506、905、1105、1205 変化要因判定部
106、1116 状態推定部
107、1117 機器制御部
108 温冷感推定部
109 体調推定部
120、520、920、1017、1120、1220、3017 判定部
130、1130 制御部
504 環境温度計測部
505 温度起点変化量算出部
904 パラメータ変化量積分部
1011、1121 脈波検出部
1012 脈波微分部
1013 成分抽出部
1014 成分比算出部
1015 成分比保持部
1016 分散値算出部
1018 ノイズ区間除去部
1019 蓄積部
1109 疲労推定部
1111 統括制御部
1112 車両情報取得部
1113 疲労関連機器制御部
1114 温冷感関連機器制御部
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
図7は、本発明の実施の形態1における機器制御装置の構成を示すブロック図である。図7に示す機器制御装置は、例えば、公知のコンピュータから構成され、生体信号計測部101、パラメータ抽出部102、判定部120および制御部130を含む。これらの各処理部は、本実施の形態に従った機器制御プログラムがインストールされたコンピュータのCPUが当該プログラムを実行することにより実現される。
生体信号計測部101は、ここでは、公知のトランデューサー等により検出されたユーザの指尖脈波を所定のサンプリング周期でサンプリングして、脈波データを時系列的に取得する。パラメータ抽出部102は、脈波データから得られる脈波波形の振幅を、脈波を評価するパラメータ値として抽出して蓄積する。
判定部120は、パラメータ抽出部102で抽出されたパラメータ値を用いて、脈波データの変化の要因を判定する処理部であり、パラメータ変化量算出部103、パラメータ変化時間算出部104および変化要因判定部105を含む。
パラメータ変化量算出部103は、パラメータ抽出部102により抽出された脈波振幅の時系列データにおける、あらかじめ定められた起点時刻における値と現在時刻における値との差分を起点変化量として算出し、また前回の計測時刻における値と現在時刻における値との差分を前回変化量として算出し、変化要因判定部105へ出力する。
パラメータ変化時間算出部104は、パラメータ抽出部102により抽出された脈波振幅における、あらかじめ定められた起点時刻から現在時刻までの経過時間を起点変化時間として算出し、変化要因判定部105へ出力する。
変化要因判定部105は、パラメータ変化量算出部103により算出された起点変化量および前回変化量と、パラメータ変化時間算出部104により算出された起点変化時間とから、脈波振幅が変化した要因(たとえば、温冷感や体調の影響など)を判定し、判定した要因に基づいて、後述する状態推定部106に含まれる温冷感推定部108および体調推定部109の中から適切な推定部を選択し、選択した推定部へ状態を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。
制御部130は、変化要因判定部105における判定結果に基づいて、機器制御を行なう処理部であり、状態推定部106と、機器制御部107とを含む。
状態推定部106は、ここでは、脈波振幅の起点変化量からユーザの温冷感を推定する温冷感推定部108と、同じく脈波振幅の起点変化量からユーザの体調を推定する体調推定部109とから構成されるものとする。温冷感推定部108は、変化要因判定部105から出力された起点変化量に基づいてユーザの温冷感を推定し、推定結果を機器制御部107へ出力する。体調推定部109は、同じく変化要因判定部105から出力された起点変化量に基づいてユーザの体調を推定し、推定結果を機器制御部107へ出力する。
温冷感には、暑い、寒いという感覚以外にも、それらを自覚する以前の生体変化における兆候をも含む。
ここで、変化要因判定部105は温冷感を推定する際の情報として起点変化量を出力し、温冷感推定部108は起点変化量に基づいてユーザの温冷感を推定しているが、変化要因判定部105が温冷感を推定する際の情報として前回変化量を出力し、温冷感推定部108が前回変化量に基づいてユーザの温冷感を推定するものとしてもよい。
機器制御部107は、温冷感推定部108により推定された温冷感、または体調推定部109により推定された体調に基づいてユーザの温冷感または体調の推定結果をユーザへ報知する機器制御を行う、またはユーザの温冷感もしくは体調を改善するための機器制御を行う。
図8は、生体信号計測部101の詳細な構成を示すブロック図である。生体信号計測部101には、脈波センサ1が接続されているものとする。
脈波センサ1は、発光素子と受光素子を備える公知の透過型光学式センサであり、指尖部に装着して脈波を計測するものである。
生体信号計測部101は、脈波検出部1011と、脈波微分部1012と、成分抽出部1013と、成分比算出部1014と、成分比保持部1015と、分散値算出部1016と、判定部1017と、ノイズ区間除去部1018と、蓄積部1019とを含む。
脈波検出部1011は、脈波センサ1からの出力信号を脈波として検出する。脈波微分部1012は、脈波検出部1011において検出された脈波を1階微分して速度脈波を求める。成分抽出部1013は、脈波微分部1012で求められた速度脈波の所定の時間範囲内における最大値と最小値を抽出する。成分比算出部1014は、成分抽出部1013で抽出された速度脈波の最小値を最大値で除した成分比を算出する。
成分比保持部1015は、成分比算出部1014で算出された成分比を保持する。分散値算出部1016は成分比保持部1015で保持されている複数の成分比の分散値を算出する。分散値は、標本分散値のことをいい、ここでは、以下の式を用いて算出されるものとする。
Figure 2008149559
なお、無限桁が計算できる場合には、以下の式を代用して、分散値を算出してもよい。
Figure 2008149559
判定部1017は、分散値算出部1016で算出された複数の成分比の分散値から、脈波にノイズが含まれているか否かを判定する。
ノイズ区間除去部1018は、ノイズ区間の脈波を除去する。蓄積部1019は、ノイズ区間の脈波が除去された脈波のデータを蓄積する。
図9では、図5に示す体動の影響を含む速度脈波データ(区間Aおよび区間Bが体動の影響を受けた区間)から所定の時間範囲毎に抽出した速度脈波の最大値と最小値の比(最小値/最大値)のグラフを実線で示し、図6に示す温冷感の変化の影響を含む速度脈波データ(区間Cが温冷感の変化の影響を受けた区間)から所定の時間範囲ごとに抽出した速度脈波の最大値と最小値の比(最小値/最大値)のグラフを破線で示す。ここで、本発明者らは、図9に示すように、体動の影響を受けた区間Aおよび区間Bでは速度脈波の最大値と最小値の比が大きく変化し、温冷感の変化の影響を受けた区間Cでは速度脈波の最大値と最小値の比の変化が小さいということを見出した。したがって、速度脈波の最大値と最小値の比を用いることにより、体動の影響によるノイズと温冷感の変化によって生じた脈波の変化との識別が可能となる。
図10では、図5に示す体動の影響を含む速度脈波データ(区間Aおよび区間Bが体動の影響を受けた区間)から所定の時間範囲ごとに抽出した速度脈波の最大値と最小値の比(最小値/最大値)の分散値のグラフを実線で示し、図6に示す温冷感の変化の影響を含む速度脈波データ(区間Cが温冷感の変化の影響を受けた区間)から所定の時間範囲ごとに抽出した速度脈波の最大値と最小値の比(最小値/最大値)の分散値のグラフを破線で示す。ここで、本発明者らは、図10に示すように、体動の影響を受けた区間Aおよび区間Bでは速度脈波の最大値と最小値の比の分散が大きく変化し、温冷感の変化の影響を受けた区間Cでは速度脈波の最大値と最小値の比の分散の変化が小さいということを見出した。したがって、速度脈波の最大値と最小値の比の分散を用いることにより、体動の影響によるノイズと温冷感の変化によって生じた脈波の変化との識別が可能となる。
次に、実施の形態1に係る機器制御装置が実行する処理について説明する。
図11は、本発明の実施の形態1における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。
生体信号計測部101は脈波の時系列データを計測して蓄積する(S1)。この処理(S1)の詳細については後述する。
パラメータ抽出部102は、生体信号計測部101で計測した脈波の時系列データから一定時間ごとに脈波振幅を抽出して蓄積する(S2)。
パラメータ変化量算出部103は、パラメータ抽出部102により抽出された脈波振幅の時系列データにおける、あらかじめ定められた起点時刻における値と現在時刻における値の差分を起点変化量として算出する。また、パラメータ変化量算出部103は、前回の計測時刻における値と現在時刻における値の差分を前回変化量として算出する。パラメータ変化量算出部103は、算出した起点変化量と前回変化量を変化要因判定部105へ出力する(S3)。
一方、パラメータ変化時間算出部104は、パラメータ抽出部102により抽出された脈波振幅の時系列データにおける、あらかじめ定められた起点時刻から現在時刻までの経過時間を起点変化時間として算出し、起点変化時間を変化要因判定部105へ出力する(S4)。
変化要因判定部105は、パラメータ変化量算出部103から出力された起点変化量および前回変化量と、パラメータ変化時間算出部104から出力された起点変化時間とから、脈波振幅が変化した要因を判定する(S5)。変化の要因が温冷感の変化によるものであると判定した場合には(S5でYES)、変化要因判定部105は、温冷感推定部108へ温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。変化の要因が体調の変化によるものであると判定した場合には(S5でNO)、変化要因判定部105は、体調推定部109へ体調を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。判定処理(S5)の詳細については後述する。
温冷感推定部108は、変化要因判定部105から出力された起点変化量に基づいてユーザの温冷感を推定し、機器制御部107へ推定結果を出力する(S6)。つまり、温冷感推定部108は、起点変化量の符号に基づいてユーザの温冷感を推定する。例えば、温冷感推定部108は、起点変化量が正の場合には暑い方向へ変化したと推定し、負の場合には寒い方向に変化したと推定する。換言すれば、温冷感推定部108は、脈波波形の脈波振幅が増加した場合には暑い方向へ変化し、減少した場合には寒い方向に変化したと推定していることと等価である。なお、脈波振幅を用いる以外にも、脈波波高最大値、脈波波形を2階微分した加速度脈波(accelerated plethysmogram (略してAPG))波形の波形成分比、加速度脈波振幅またはパルスレート、脈波間隔を周波数解析することにより得られるパラメータの変化量に基づいて、温冷感を推定するようにしても良い。
ここで、脈波間隔を周波数解析することにより得られるパラメータを用いる場合は、低周波成分(たとえば0.04Hz〜0.15Hz)と高周波成分(たとえば0.15Hz〜0.4Hz)の比であるLF/HFを用いて、LF/HFが増加した場合には、温冷感が不快な方向に変化し、減少した場合には、快適な方向に変化したと推定してもよい。
体調推定部109は、変化要因判定部105から出力された起点変化量に基づいてユーザの体調を推定し、機器制御部107へ推定結果を出力する(S7)。一例として、体調推定部109が疲労度を推定する場合について説明する。例えば、体調推定部109は、起点変化量が正の場合には疲労度が減少方向に変化したと推定し、負の場合には疲労度が増加方向に変化したと推定する。換言すれば、体調推定部109は、脈波波形の脈波振幅が増加した場合には疲労度が減少方向に変化したと推定し、減少した場合には疲労度が増加方向に変化したと推定する。なお、脈波振幅を用いる以外にも、脈波波高最大値、脈波波形を2階微分した加速度脈波波形の波形成分比、加速度脈波振幅またはパルスレート、脈波間隔を周波数解析することにより得られるパラメータの変化量に基づいて、疲労度を推定するようにしても良い。
ここで、疲労度には、人が自覚している疲労感以外にも、人が自覚していない疲労感をも含む。
また、脈波間隔を周波数解析することにより得られるパラメータを用いる場合は、低周波成分(たとえば0.04Hz〜0.15Hz)と高周波成分(たとえば0.15Hz〜0.4Hz)の比であるLF/HFを用いて、LF/HFが増加した場合には、疲労度が増加方向に変化したと推定し、減少した場合には疲労度が減少方向に変化したと推定してもよい。
機器制御部107は、温冷感推定部108または体調推定部109から出力された推定結果に基づいて、所定の機器を制御する(S8)。例えば、ユーザへ推定結果を報知する機器制御を行なってもよい。また、推定結果である温冷感または体調を改善する機器制御を行ってもよい。
次に、変化要因判定部105における脈波振幅の変化要因の判定処理(図11のS5)の詳細について説明する。図12は、本発明の実施の形態1における変化要因判定部105が実行する処理のフローチャートである。また、図13は、変化要因判定部105が保持する脈波振幅の変化要因を判定する際に用いるデータテーブルを示す図である。以下、図12に示す処理を、図13に示すデータテーブルの内容を用いて説明する。
まず、変化要因判定部105は、パラメータ変化量算出部103から起点変化量と前回変化量を取得し、パラメータ変化時間算出部104から起点変化時間を取得する(S9)。変化要因判定部105は、起点変化量の絶対値があらかじめ定められた数値(0.1)より大きいか否かを判定する(S10)。起点変化量の絶対値が0.1より大きい場合は(S10でYES)、変化要因判定部105は、前回変化量の絶対値があらかじめ定められた数値(0.1)より小さいか否かを判定する(S11)。起点変化量の絶対値が0.1以下の場合は(S10でNO)、次に起点変化量、前回変化量および起点変化時間を取得するまで待機し、S9以降の処理を繰り返す。
前回変化量の絶対値が0.1より小さい場合は(S11でYES)、変化要因判定部105は、起点変化時間があらかじめ定められた値(10分)より大きいか否かを判定する(S13)。前回変化量の絶対値が0.1以上の場合は(S11でNO)、変化要因判定部105は、図13に示すように脈波振幅の変化した要因が温冷感の変化によるものと判定し、温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を、温冷感推定部108へ出力する(S12)。起点変化時間が10分より大きい場合は(S13でYES)、変化要因判定部105は、図13に示すように脈波振幅の変化した要因が体調の変化によるものと判定し、体調を推定する際の情報となる起点変化量を体調推定部109へ出力する(S14)。起点変化時間が10分以下の場合は(S13でNO)、変化要因判定部105は、脈波振幅の変化した要因が温冷感の変化によるものと判定し、温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を温冷感推定部108へ出力する(S12)。
次に、図13に示したデータテーブルにおいて起点変化時間のしきい値を10分とした根拠について説明する。
図14は、環境温度を変化させた際の温冷感と疲労度の変化を示すグラフである。横軸は時間を示し、縦軸は、温度と、温冷感および疲労度の度数とを示す。このグラフは、環境温度を約17℃から約32℃の範囲で変化させた際の、10人の被験者が感じる温冷感および疲労度の度数の平均値を示している。温冷感の度数は−3から+3までの範囲の値であり、+3が最も暑く感じるときの度数であり、−3が最も寒く感じるときの度数であり、暑く感じるほど度数が大きくなる。また、疲労度の度数は0から3までの範囲の値であり、0は全く疲労度がないときの度数であり、3が最も疲労を感じるときの度数であり、疲労度が強いほど度数が大きくなる。
環境温度は0分から24分までの間は一定であるが、24分から変化を開始し、51分の時点で最大となり、105分の時点で最小となる。温冷感について着目すると、24分時点と比較して変化が起こるのは約3分後である(ポイント71)。また、51分時点と比較して変化が起こるのは約3分後である(ポイント72)。さらに、105分時点と比較して変化が起こるのは約6分後である(ポイント73)。同様に、疲労度について着目すると、24分時点と比較して変化が起こるのは約12分後である(ポイント74)。また、51分時点と比較して変化が起こるのは約45分後である(ポイント75)。さらに、105分後と比較して変化が起こるのは約24分後である(ポイント76)。つまり、温冷感のほうが疲労度に比べて温度の変化に対して短時間で反応する。つまり、図15に示すように、温冷感は、温度の変化に対しておよそ12分以内で反応するのに対し、疲労度は温度の変化に対しておよそ12分以上たった後に反応する。
このため、図16に示すように起点変化時間のしきい値を6分から12分の間に設けるのが最も適切に温冷感と疲労度を区別することができる。このため、本実施の形態では、起点変化時間のしきい値を10分と定めている。
次に、生体信号計測部101による脈波の時系列データの計測および蓄積処理(図11のS1)の詳細について説明する。図17は、生体信号計測部101が実行する処理のフローチャートである。
脈波検出部1011は、脈波センサ1からの出力信号を脈波として検出する(S201)。脈波微分部1012は、脈波検出部1011で検出した脈波を1階微分して速度脈波を算出し、内部のメモリに保持する(S202)。
次に、成分抽出部1013は、脈波微分部1012で算出した速度脈波について最大値と最小値が抽出可能か否かを調べる(S203)。速度脈波の最大値と最小値が抽出できない場合は(S203でNO)、生体信号計測部101は、終了する条件を満たしている(指定時間経過や終了操作がある)かを調べ(S213)、終了する条件を満たしている場合は(S213でYES)、ここで処理を終了する。終了する条件を満たしていない場合は(S213でNO)、脈波検出部1011は、脈波の検出処理(S201)を継続する。一方、速度脈波の最大値と最小値が抽出可能である場合は(S203でYES)、成分抽出部1013は、所定の時間範囲における速度脈波の最大値と最小値を抽出する(S204)。
ここで、図18の速度脈波の時間的な変化を示す波形図を用いて、成分抽出部1013による最大値および最小値の抽出処理(S204)について説明する。図18の波形図において、横軸は時間を、縦軸は速度脈波の大きさをそれぞれ示している。
成分抽出部1013では、速度脈波の所定の時間範囲(図18でのT1)において最大の波高値(図18でのU(n))を速度脈波の最大値として抽出する。また、成分抽出部1013は、最大値を抽出したポイント(図18でのU(n))よりも時系列的に後ろにある範囲(図18でのT2)で最小の波高値(図18でのS(n))を速度脈波の最小値として抽出する。なお、所定の時間範囲(図18でのT1)は、例えば、1分間の脈拍数を60としたときの1拍分に相当する時間範囲に設定してもよいし、直前に算出した2つの最大値の位置の間隔(図18でのT3)へと動的に変更させるようにしてもよい。また、複数の最大値の位置の間隔の平均値を求め、その値へと動的に変更させるようにしてもよい。また、速度脈波の最大値と最小値が抽出可能か否かの判定処理(S203)は、所定の範囲(図18でのT1)に相当するデータ数分の速度脈波が算出されているか否かによって行う。
次に、成分比算出部1014は、成分抽出部1013で抽出された最小値を最大値で除することにより成分比を算出する(S205)。成分比保持部1015は、成分比算出部1014で算出した成分比を保持する(S206)。
次に、分散値算出部1016は、成分比保持部1015で保持する成分比について分散値が算出可能かを調べる(S207)。成分比の分散値が算出可能でない場合は(S207でNO)、生体信号計測部101は、終了する条件を満たしているか否かを調べる(S213)。終了する条件を満たしている場合は(S213でYES)、ここで処理を終了し、満たしていない場合は(S213でNO)、脈波検出部1011が、脈波の検出処理(S201)を継続する。
一方、成分比の分散値が算出可能である場合は(S207でYES)、分散値算出部1016が、成分比の分散値を示す指標として、成分比の分散値を算出する(S208)。ここで、i番目に算出した成分比をF(i)、分散値を求める際に用いる成分比Fの個数をk個とすると、n番目の分散値はF(n)からF(n+k)までの成分比を用いて算出し、n+1番目の分散値は計算に用いる成分比を1つずらして、F(n+1)からF(k+n+1)までの成分比を用いて算出する。なお、1つずらすのではなくk個ずらして分散値を算出するようにしてもかまわない。また、S207での算出可能か否かの判定は、分散値を計算するのに必要な数の成分比が成分比保持部1015に保持されているか否かによって行う。
次に、判定部1017は、分散値算出部1016で算出された分散値所定の分散値範囲内(例えば、0.00〜0.01)に属するか否かを判定する(S209)。ここで、分散値が所定の分散値範囲内に属する場合(S209でYES)、判定部1017は、検出した脈波にはノイズが含まれていないと判断して、ノイズ区間除去部1018が、ノイズ除去をすることなく、脈波を示すデータを蓄積部1019に出力する(S210)。
一方、分散値が所定の分散値範囲内に属さない場合は(S209でNO)、判定部1017は、検出した脈波にはノイズが含まれていると判断し、ノイズ区間除去部1018は、ノイズ区間の脈波を除去することにより、ノイズ除去が行われた後の脈波を示すデータを蓄積部1019に出力する(S211)。
蓄積部1019は、ノイズ区間除去部1018から出力された脈波データを蓄積する(S212)。
生体信号計測部101は、終了する条件を満たしているか否かを調べる(S213)。終了する条件を満たしている場合は(S213でYES)、ここで処理を終了し、満たしていない場合は(S213でNO)、脈波検出部1011が、脈波の検出処理(S201)を継続する。
次に、ノイズ区間除去部1018によるノイズ除去処理(S211)について説明する。図19は、ノイズ区間の開始位置について説明するための図であり、図20は、ノイズ区間の終了位置について説明するための図である。
図19および図20の各々は、速度脈波の波形を示すグラフであり、横軸が時間を示し、縦軸が速度脈波の値を示す。例えば、図19に示すように、分散値算出部1016は、時間的に連続する時間区間1001、1002および1003においてそれぞれ分散値を算出したとする。また、各時間区間においては、3つの時間的に連続する成分比から分散値を計算するものとする。このとき、時間区間1001および1002においては分散値が所定の分散値範囲内に収まっているものとし、時間区間1003において分散値が所定の分散値範囲に収まっていないものとする。この場合、ノイズ区間除去部1018は、時間区間1003に含まれる3つの成分比のうち、例えば、2つ目の成分比の位置(同図では、対応する速度脈波の位置を示している。)をノイズ区間の開始位置とする。
また、図20に示すように、分散値算出部1016は、時間的に連続する時間区間1004および1005においてそれぞれ分散値を算出したとする。また、各時間区間においては、3つの時間的に連続する成分比から分散値を計算するものとする。このとき、時間区間1004においては分散値が所定の分散値範囲内に収まっていないものとし、時間区間1005においては分散値が所定の分散値範囲内に収まっているものとする。また、時間区間1004よりも前の時間区間においては分散値が所定の範囲内に収まっていないものとする。この場合、ノイズ区間除去部1018は、時間区間1005に含まれる3つの成分比のうち、例えば、2つ目の成分比の位置(同図では、対応する速度脈波の位置を示している。)をノイズ区間の終了位置とする。
なお、ノイズ区間の開始位置および終了位置の決定方法はこれに限定されるものではなく、例えば、分散値が所定の分散値範囲に収まっていないと判断された時間区間の先頭の成分比の位置または3番目の成分比の位置をノイズ区間の開始位置とするものであってもよい。また、分散値が所定の分散値範囲に収まっていると判断された時間区間の先頭の成分比の位置または3番目の成分比の位置をノイズ区間の終了位置と判断するものであってもよい。さらに、分散値を計算するのに用いられる成分比の個数は3個に限定されるものではなく、それ以外の個数であってもよい。
図21は、脈波データのノイズ除去について説明するための図である。図21(a)は、ノイズ除去前の加速度脈波の第1波であるa波(後述)の振幅値の時間変化を示すグラフであり、図21(b)は、ノイズ除去後の加速度脈波のa波の振幅値の時間変化を示すグラフである。各グラフは、横軸が時間を示し、縦軸が加速度脈波のa波の振幅値を示している。
ここでは、自動車の運転者の脈波を計測しているものとする。図21(a)に示す区間1201〜1206において、それぞれ体動の原因となるハンドル操作が行なわれたものとする。同図には、ハンドル操作時の最高到達加速度(xy2軸合力)が示されており、例えば、区間1201における最高到達加速度は132mGである。このような体動がある場合に、a波の振幅値はばらつく。これに伴い、成分比もばらつく。したがって、図21(b)に示すように、区間1201、1202および1204〜1206にそれぞれ対応する区間1211、1212および1214〜1216においてノイズ除去が行われている。なお、区間1203におけるa波の振幅値の分散値(成分比の分散値)は、他の区間における分散値に比べて小さいため、区間1203に対応する区間1213はノイズ区間とはみなされず、ノイズ除去が行われていない。なお、図21に示す例では、加速度脈波のa波の振幅値の時間変化を示しているが、脈波データについても同位置においても同様にノイズ除去が行われる。
なお、図21が示すように、ノイズ区間の直後は血流の戻りにある程度の時間がかかることより、ノイズ区間の終了位置を数秒〜10秒程度後ろへずらしてノイズ除去を実行してもよい。
次に、加速度脈波のa波について説明する。図22は、加速度脈波の波形の一例を示す図である。加速度脈波は、a波、b波、c波、d波およびe波から構成される。a波の頂点Aは指尖容積脈波(plethysmogram(略してPTG))拡張期波の始まりと一致するので頂点Aから頂点Eまでの所要時間は心臓の収縮時間軸長さと一致するようになる。a波は、基線に対して上に凸となる陽性波であり、b波は、基線に対して下に凸となる陰性波であり、c波、d波およびe波はそれぞれ生理状態によって陽性波になったり陰性波になったり変化する要素波であり、ユーザの年齢と強い相関を有する。
以上説明したような方法に従い、パラメータ抽出部102においてノイズが除去されたパラメータ値が抽出される。パラメータ変化量算出部103は、ノイズが除去されたパラメータ値に基づいて、起点変化量および前回変化量を算出する。例えば、起点時刻と現在時刻におけるパラメータ値が求められている場合にのみ起点変化量を求め、前回の継続時刻におけるパラメータ値と現在時刻におけるパラメータ値とが求められている場合にのみ前回変化量を求めるようにしてもよい。また、起点時刻と現在時刻との間のパラメータ値の計測時刻において、所定の割合(例えば50%)以上のパラメータ値が求められている場合にのみ起点変化量を算出し、それ以外の場合には起点変化量を算出しないようにしてもよい。
以上説明したように実施の形態1に係る機器制御装置によれば、ユーザの脈波が変化した際に、脈波の変化量に加え、変化にかかる時間を考慮することで、脈波が変化した要因を判定することができる。つまり、脈波の変化の要因が温冷感変化によるものであるのか、または体調変化によるものであるのかを識別することができる。また、変化の要因に基づいて、ユーザの温冷感の推定または体調の推定を行うことができる。このため、ユーザの脈波を取得してその情報を機器制御へフィードバックするシステムにおいて、誤った状態推定結果に基づく機器制御をすることがなくなり、ユーザの状態を確実に提示したり、ユーザの状態を改善するための機器制御を行なったりすることができる。
また、本実施の形態においては、所定の時間範囲における速度脈波の最大値と最小値から成分比の分散値を算出し、その分散値が所定の分散値範囲に属するか否かの判定を行うことにより、体動の影響によるノイズと温冷感の変化によって生じた脈波の変化との識別を行うことができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る機器制御装置について説明する。実施の形態1の機器制御装置と同一の構成については、同一の参照符号を付す。その機能および名称も同一であるため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
図23は、本発明の実施の形態2における機器制御装置の構成を示すブロック図である。図23に示す機器制御装置は、例えば、公知のコンピュータから構成され、生体信号計測部101、パラメータ抽出部102、判定部520および制御部130を含む。これらの各処理部は、本実施の形態に従った機器制御プログラムがインストールされたコンピュータのCPUが当該プログラムを実行することにより実現される。
判定部520は、パラメータ抽出部102で抽出されたパラメータ値を用いて、脈波データの変化の要因を判定する処理部であり、パラメータ変化量算出部103、環境温度計測部504、温度起点変化量算出部505および変化要因判定部506を含む。
環境温度計測部504は、環境温度データを計測して蓄積する。温度起点変化量算出部505は、環境温度計測部504により計測された環境温度データにおける、あらかじめ定められた起点時刻における値と現在時刻における値との差分を温度起点変化量として算出し、変化要因判定部506へ出力する。
変化要因判定部506は、パラメータ変化量算出部103により算出された起点変化量と、温度起点変化量算出部505により算出された温度起点変化量とから、脈波振幅が変化した要因(たとえば、温冷感や体調の影響など)を判定し、判定した要因に基づいて、状態推定部106に含まれる温冷感推定部108および体調推定部109の中から適切な推定部を選択し、選択した推定部へ状態を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。
次に、実施の形態2に係る機器制御装置が実行する処理について説明する。
図24は、本発明の実施の形態2における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。
機器制御装置は、実施の形態1と同様にS1〜S3の処理を実行する。
一方、温度起点変化量算出部505は、環境温度計測部504により抽出された環境温度データにおける、あらかじめ定められた起点時刻における値と現在時刻における値の差分を温度起点変化量として算出し、変化要因判定部506へ出力する(S18)。
変化要因判定部506は、パラメータ変化量算出部103で算出された起点変化量と、温度起点変化量算出部505から出力された温度起点変化量とから、脈波振幅が変化した要因を判定する(S19)。変化の要因が温冷感の変化によるものであると判定した場合には(S19でYES)、変化要因判定部506は、温冷感推定部108へ温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。変化の要因が体調の変化によるものであると判定した場合には(S19でNO)、変化要因判定部506は、体調推定部109へ体調を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。判定処理(S19)の詳細については後述する。
その後、機器制御装置は、実施の形態1と同様にS6〜S8の処理を実行し、機器制御を行なう。
次に、変化要因判定部506における脈波振幅の変化要因の判定処理(図24のS19)の詳細について説明する。図25は、本発明の実施の形態2における変化要因判定部506が実行する処理のフローチャートである。また、図26は、変化要因判定部506が保持する脈波振幅の変化要因を判定する際に用いるデータテーブルを示す図である。以下、図25に示す処理を、図26に示すデータテーブルの内容を用いて説明する。
まず、変化要因判定部506は、パラメータ変化量算出部103から起点変化量を取得し、温度起点変化量算出部505から温度起点変化量を取得する(S23)。変化要因判定部506は、起点変化量の絶対値があらかじめ定められた数値(0.1)より大きいか否かを判定する(S24)。起点変化量の絶対値が0.1より大きい場合は(S24でYES)、変化要因判定部506は、温度起点変化量の絶対値があらかじめ定められた数値(3℃)より大きいか否かを判定する(S25)。起点変化量の絶対値が0.1以下の場合は(S24でNO)、次に起点変化量および温度起点変化量を取得するまで待機し、S23以降の処理を繰り返す。
温度起点変化量の絶対値が3℃より大きい場合は(S25でYES)、変化要因判定部506は、図26に示すように脈波振幅の変化した要因が温冷感の変化によるものと判定し、温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を温冷感推定部108へ出力する(S12)。温度起点変化量の絶対値が3℃以下の場合は(S25でNO)、変化要因判定部506は、図26に示すように脈波振幅の変化した要因が体調の変化によるものと判定し、体調を推定する際の情報となる起点変化量を体調推定部109へ出力する(S14)。
次に、図26に示したデータテーブルにおいて温度起点変化量のしきい値を3℃とした根拠について、図14に示したグラフを用いて説明する。
例えば、24分時点の温冷感と比較して、ポイント71において温冷感が初めて大きく変化している。24分時点の温度からポイント71の時刻における温度への変化量はおよそ0.5℃である。一方、24分時点の疲労度と比較して、ポイント74において疲労度が初めて大きく変化している。24分時点の温度からポイント74の時刻における温度への変化量はおよそ3.6℃である。つまり、温冷感のほうが疲労度に比べて温度の変化に対して敏感に反応し、その境界は0.5℃から3.6℃の間にあると考えられる。
このため、図27に示すように、温度起点変化量のしきい値を1℃から3℃の間に設けるのが最も適切に温冷感と疲労度を区別することができる。このため、本実施の形態では、温度起点変化量のしきい値を3℃と定めている。
以上説明したように実施の形態2に係る機器制御装置によれば、ユーザの脈波が変化した際に、脈波の変化量に加え、環境温度の変化量を考慮することで、脈波が変化した要因を判定することができる。つまり、脈波の変化の要因が温冷感変化によるものであるのか、または体調変化によるものであるのかを識別することができる。また、変化の要因に基づいて、ユーザの温冷感の推定または体調の推定を行うことができる。このため、ユーザの脈波を取得してその情報を機器制御へフィードバックするシステムにおいて、誤った状態推定結果に基づく機器制御をすることがなくなり、ユーザの状態を確実に提示したり、ユーザの状態を改善するための機器制御を行なったりすることができる。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3に係る機器制御装置について説明する。実施の形態1の機器制御装置と同一の構成については、同一の参照符号を付す。その機能および名称も同一であるため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
図28は、本発明の実施の形態3における機器制御装置の構成を示すブロック図である。図28に示す機器制御装置は、例えば、公知のコンピュータから構成され、生体信号計測部101、パラメータ抽出部102、判定部920および制御部130を含む。これらの各処理部は、本実施の形態に従った機器制御プログラムがインストールされたコンピュータのCPUが当該プログラムを実行することにより実現される。
判定部920は、パラメータ抽出部102で抽出されたパラメータ値を用いて、脈波データの変化の要因を判定する処理部であり、パラメータ変化量算出部103、パラメータ変化量積分部904および変化要因判定部905を含む。
パラメータ変化量積分部904は、パラメータ抽出部102により抽出された脈波振幅の時系列データにおける、あらかじめ定められた起点時刻から現在時刻までの変化量の積分値を起点変化量積分値として算出し、変化要因判定部905へ出力する。
変化要因判定部905は、パラメータ変化量算出部103により算出された起点変化量と、パラメータ変化量積分部904により算出された起点変化量積分値とから、脈波振幅が変化した要因(たとえば、温冷感や体調の影響など)を判定し、判定した要因に基づいて、状態推定部106に含まれる温冷感推定部108および体調推定部109の中から適切な推定部を選択し、選択した推定部へ状態を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。
次に、実施の形態3に係る機器制御装置が実行する処理について説明する。
図29は、本発明の実施の形態3における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。
機器制御装置は、実施の形態1と同様にS1〜S3の処理を実行する。
一方、パラメータ変化量積分部904は、パラメータ抽出部102により抽出された脈波振幅の時系列データにおける、あらかじめ定められた起点時刻から現在時刻までの変化量の積分値を起点変化量積分値として算出し、変化要因判定部905へ出力する(S31)。
変化要因判定部905は、パラメータ変化量算出部103から出力された起点変化量と、パラメータ変化量積分部904から出力された起点変化量積分値とから、脈波振幅が変化した要因を判定する(S32)。変化の要因が温冷感の変化によるものであると判定した場合には(S32でYES)、変化要因判定部905は、温冷感推定部108へ温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。変化の要因が体調の変化によるものであると判定した場合には(S32でNO)、変化要因判定部905は、体調推定部109へ体調を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。判定処理(S32)の詳細については後述する。
その後、機器制御装置は、実施の形態1と同様にS6〜S8の処理を実行し、機器制御を行なう。
次に、変化要因判定部905における脈波振幅の変化要因の判定処理(図29のS32)の詳細について説明する。図30は、本発明の実施の形態3における変化要因判定部905が実行する処理のフローチャートである。また、図31は、変化要因判定部905が保持する脈波振幅の変化要因を判定する際に用いるデータテーブルを示す図である。以下、図30に示す処理を、図31に示すデータテーブルの内容を用いて説明する。
まず、変化要因判定部905は、パラメータ変化量算出部103から起点変化量を取得し、パラメータ変化量積分部904から起点変化量積分値を取得する(S36)。変化要因判定部905は、起点変化量の絶対値があらかじめ定められた数値(0.1)より大きいか否かを判定する(S37)。起点変化量の絶対値が0.1より大きい場合は(S37でYES)、変化要因判定部905は、起点変化量積分値があらかじめ定められた数値(1)より大きいか否かを判定する(S38)。起点変化量の絶対値が0.1以下の場合は(S37でNO)、次に起点変化量および起点変化量積分値を取得するまで待機し、S36以降の処理を繰り返す。
起点変化量積分値が1より大きい場合は(S38でYES)、変化要因判定部905は、図31に示すように脈波振幅の変化した要因が体調の変化によるものと判定し、体調を推定する際の情報となる起点変化量を体調推定部109へ出力する(S14)。起点変化量積分値が1以下の場合は(S38でNO)、変化要因判定部905は、図31に示すように脈波振幅の変化した要因が温冷感の変化によるものと判定し、温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を温冷感推定部108へ出力する(S12)。
以上説明したように実施の形態3による機器制御装置によれば、ユーザの脈波が変化した際に、脈波の変化量に加え、変化量の積分値を考慮することで、脈波が変化した要因を判定することができる。つまり、脈波の変化の要因が温冷感変化によるものであるのか、または体調変化によるものであるのかを識別することができる。また、変化の要因に基づいて、ユーザの温冷感の推定または体調の推定を行うことができる。このため、ユーザの脈波を取得してその情報を機器制御へフィードバックするシステムにおいて、誤った状態推定結果に基づく機器制御をすることがなくなり、ユーザの状態を確実に提示したり、ユーザの状態を改善するための機器制御を行なったりすることができる。
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4に係る機器制御装置について説明する。実施の形態1の機器制御装置と同一の構成については、同一の参照符号を付す。その機能および名称も同一であるため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
実施の形態4に係る機器制御装置は、車載用の機器を制御するための装置である。
図32は、本発明の実施の形態4における機器制御装置の構成を示すブロック図である。図32に示す機器制御装置は、例えば、公知のコンピュータから構成され、統括制御部1111、車両情報取得部1112、生体信号計測部1101、パラメータ抽出部102、判定部1120および制御部1130を含む。これらの各処理部は、本実施の形態に従った機器制御プログラムがインストールされたコンピュータのCPUが当該プログラムを実行することにより実現される。
車両情報取得部1112は、車両の状態に関する情報を取得する。例えば、車両情報取得部1112は、車両が走行しているのか停止しているのかを示す情報、ハンドル操作加速度などのハンドル操作に関する情報、車両の走行スピード、渋滞情報などを取得する。
統括制御部1111は、車両情報取得部1112で取得された車両の状態に関する情報に基づいて、生体信号計測部1101に対して脈波データの取得の開始および終了を指示する。例えば、統括制御部1111は、車両のエンジンがかけられた時に脈波データの取得の開始を指示し、エンジンが切られたときに脈波データの取得の終了を指示するようにしてもよい。
生体信号計測部1101は、統括制御部1111によって処理の開始および終了が制御される以外は、実施の形態1に示した生体信号計測部101と同様である。つまり、運転者の指尖脈波の脈波データを時系列的に取得する。
判定部1120は、パラメータ抽出部102で抽出されたパラメータ値を用いて、脈波データの変化の要因を判定する処理部であり、パラメータ変化量算出部103と、変化要因判定部1105とを含む。
変化要因判定部1105は、パラメータ変化量算出部103により算出された起点変化量と、車両情報取得部1112で取得された車両の状態に関する情報とから、脈波振幅が変化した要因(たとえば、温冷感や体調の影響など)を判定し、判定した要因に基づいて、後述する状態推定部1116に含まれる温冷感推定部108および疲労推定部1109の中から適切な推定部を選択し、選択した推定部へ状態を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。
制御部1130は、変化要因判定部1105における判定結果に基づいて、機器制御を行なう処理部であり、状態推定部1116と、機器制御部1117とを含む。
状態推定部1116は、変化要因判定部1105より出力される脈波振幅の起点変化量から運転者の状態を推定する処理部であり、疲労推定部1109と、温冷感推定部108とを含む。疲労推定部1109は、変化要因判定部1105から出力された脈波振幅の起点変化量からユーザの疲労度を推定し、推定結果を制御部1130の後述する疲労関連機器制御部1113へ出力する。温冷感推定部108は、同じく変化要因判定部1105から出力された脈波振幅の起点変化量からユーザの温冷感を推定し、推定結果を制御部1130の後述する温冷感関連機器制御部1114へ出力する。
機器制御部1117は、疲労推定部1109および温冷感推定部108における推定結果に基づいて、車載用の機器の制御を行なう処理部であり、疲労関連機器制御部1113および温冷感関連機器制御部1114を含む。疲労関連機器制御部1113は、疲労推定部1109により推定された運転者の疲労度に基づいて、運転者の疲労度を改善するための機器制御を行なう。温冷感関連機器制御部1114は、温冷感推定部108により推定された運転者の温冷感に基づいて、運転者の温冷感を改善するための機器制御を行なう。
図33は、生体信号計測部1101の詳細な構成を示すブロック図である。生体信号計測部1101には、脈波センサ1が接続されているものとする。なお、脈波センサ1は、車両のハンドルに設けられており、ハンドルを握った状態の運転者の脈波を計測するものとする。
生体信号計測部1101は、図8に示した生体信号計測部101と同様の構成を有するが、脈波検出部1011の代わりに脈波検出部1121が設けられている点が異なる。脈波検出部1121は、統括制御部1111および脈波センサ1に接続されており、統括制御部1111から脈波データの取得の開始の指示がされてから終了の指示がされるまでの間、脈波センサ1からの出力信号を脈波として検出する。
次に、実施の形態4に係る機器制御装置が実行する処理について説明する。
図34は、本発明の実施の形態4における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。
統括制御部1111は、車両情報取得部1112により取得された車両の状態に関する情報に基づいて、脈波データを計測するか否かを判断する(S41)。例えば、統括制御部1111は、車両のエンジンがかけられたとの情報が車両情報取得部1112より取得された場合には、脈波データを計測すると判断し、エンジンが切られたとの情報が車両情報取得部1112より取得された場合には、脈波データを計測しないと判断する。脈波データを計測すると判断した場合には(S41でYES)、統括制御部1111は、生体信号計測部1101に対して、脈波データの取得の開始を指示する。脈波データを計測しないと判断した場合には(S41でNO)、統括制御部1111は、生体信号計測部1101に対して、脈波データの取得の終了を指示する。統括制御部1111が、生体信号計測部1101に対して脈波データの取得の終了を指示した場合には(S41でNO)、以降の処理を終了する。
統括制御部1111が、生体信号計測部1101に対して脈波データの取得の開始を指示した場合には(S41でYES)、当該指示を受け取った生体信号計測部1101は、運転者の脈波の時系列データを計測して蓄積する(S42)。この処理(S42)は、実施の形態1で説明した脈波の時系列データの計測および蓄積処理(S1)と同様である。このため、その詳細な説明は、ここでは繰り返さない。
パラメータ抽出部102は、生体信号計測部1101で計測した脈波の時系列データから一定時間ごとに脈波振幅を抽出して蓄積する(S2)。
パラメータ変化量算出部103は、パラメータ抽出部102により抽出された脈波振幅の時系列データにおける、あらかじめ定められた起点時刻における値と現在時刻における値の差分を起点変化量として算出する。また、パラメータ変化量算出部103は、前回の計測時刻における値と現在時刻における値の差分を前回変化量として算出する。パラメータ変化量算出部103は、算出した起点変化量と前回変化量を変化要因判定部1105へ出力する(S3)。
一方、車両情報取得部1112は、運転者のハンドル操作データを取得し、取得したハンドル操作データを変化要因判定部1105に出力する(S43)。つまり、車両情報取得部1112は、ハンドル操作データとして、あらかじめ定められた起点時刻から現在時刻までの間に、ハンドル操作加速度(xy2軸合力)が所定の値(例えば、120mG)を越えた時間的な割合を取得し、取得した割合を変化要因判定部1105に出力する。
変化要因判定部1105は、パラメータ変化量算出部103から出力された起点変化量と、車両情報取得部1112から出力されたハンドル操作データとから、脈波振幅が変化した要因を判定する(S44)。変化の要因が温冷感の変化によるものであると判定した場合には(S44でYES)、変化要因判定部1105は、温冷感推定部108へ温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。変化の要因が疲労度の変化によるものであると判定した場合には(S44でNO)、変化要因判定部1105は、疲労推定部1109へ疲労度を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。判定処理(S44)の詳細については後述する。
温冷感推定部108は、変化要因判定部1105から出力された起点変化量に基づいてユーザの温冷感を推定し、温冷感関連機器制御部1114へ推定結果を出力する(S6)。温冷感の推定の方法は、実施の形態1に示したものと同様であるため、その詳細な説明は、ここでは繰り返さない。
温冷感関連機器制御部1114は、温冷感推定部108から出力された温冷感の推定結果に基づいて、温冷感を改善する機器制御を行なう(S45)。
疲労推定部1109は、変化要因判定部1105から出力された起点変化量に基づいてユーザの疲労度を推定し、疲労関連機器制御部1113へ推定結果を出力する(S46)。疲労度の推定の方法は、実施の形態1に示したものと同様であるため、その詳細な説明は、ここでは繰り返さない。
疲労関連機器制御部1113は、疲労推定部1109から出力された疲労度の推定結果に基づいて、疲労度を改善する機器制御を行なう(S47)。
次に、変化要因判定部1105における脈波振幅の変化要因の判定処理(図34のS44)の詳細について説明する。図35は、本発明の実施の形態4における変化要因判定部1105が実行する処理のフローチャートである。また、図36は、変化要因判定部1105が保持する脈波振幅の変化要因を判定する際に用いるデータテーブルを示す図である。以下、図35に示す処理を、図36に示すデータテーブルの内容を用いて説明する。
変化要因判定部1105は、パラメータ変化量算出部103から起点変化量を取得する(S51)。また、変化要因判定部1105は、車両情報取得部1112からハンドル操作データを取得する(S52)。変化要因判定部1105は、起点変化量の絶対値があらかじめ定められた数値(0.1)より大きいか否かを判定する(S53)。起点変化量の絶対値が0.1以下の場合は(S53でNO)、次に起点変化量およびハンドル操作データを取得するまで待機し、S51およびS52以降の処理を繰り返す。
起点変化量の絶対値が0.1より大きい場合は(S53でYES)、変化要因判定部1105は、ハンドル操作データがあらかじめ定められた数値(15%)より大きいか否かを判定する(S54)。ハンドル操作データが数値15%よりも大きい場合には(S54でYES)、変化要因判定部1105は、図36に示すように脈波振幅の変化した要因が運転者の疲労度の変化によるものと判定し、疲労度を推定する際の情報となる起点変化量を、疲労推定部1109へ出力する(S55)。ハンドル操作データが数値15%以下の場合には(S54でNO)、変化要因判定部1105は、図36に示すように脈波振幅の変化した要因が運転者の温冷感の変化によるものと判定し、温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を、温冷感推定部108へ出力する(S56)。
なお、ハンドル操作データが15%を超えるような運転は、運転者にとって負担の大きい走行であり、運転者に対してかなりの負荷を与えるものと言える。よって運転者の疲労を引き起こすと考えられ、図37に示すようにハンドル操作データのしきい値を15%以上と定めることにより最も適切に温冷感と疲労度とを区別することができる。このため、本実施の形態ではハンドル操作データのしきい値を15%と定めている。
次に、温冷感関連機器制御部1114における機器制御処理(図34のS45)の詳細について説明する。図38は、温冷感関連機器制御部1114が実行する処理のフローチャートである。
温冷感関連機器制御部1114は、温冷感推定部108から温冷感の推定結果を取得する(S61)。温冷感関連機器制御部1114は、取得した温冷感の推定結果に対応する制御内容を決定する(S62)。例えば、温冷感が暑い方向に変化したと推定された場合には、エアコンなどの温冷熱出力機器の温度を下げたり、冷風や温風の気流出力機器の温度を下げたり、気流を強めたりする制御内容を決定する。また、温冷感が寒い方向に変化したと推定された場合には、温冷熱出力機器の温度を上げたり、気流出力機器の温度を上げたり、気流を弱めたりする制御内容を決定する。温冷感関連機器制御部1114は、決定された制御内容に従い、機器制御を行なう(S63)。
次に、疲労関連機器制御部1113における機器制御処理(図34ののS47)の詳細について説明する。図39は、疲労関連機器制御部1113が実行する処理のフローチャートである。
疲労関連機器制御部1113は、疲労推定部1109から疲労度の推定結果を取得する(S64)。疲労関連機器制御部1113は、取得した疲労度の推定結果に対応する制御内容を決定する(S65)。例えば、疲労度が増加方向に変化したと推定された場合には、マッサージ機器を動作させる制御内容を決定したり、酸素やマイナスイオンの出力機器を動作させる制御内容を決定したり、ナビゲーションシステムに最寄の森林への誘導をさせたりする制御内容を決定する。車両情報取得部1112において、車両が停止したとの情報が得られた場合に(S66でYES)、疲労関連機器制御部1113は、決定された制御内容に従い、機器制御を行なう(S67)。このように、車両走行中には機器制御を行なわず、車両停車中に機器制御を行なうようにすることにより、例えば、マッサージ機器を車両走行中に動作させることによる運転ミスや、ナビゲーションシステムによる目的地とは異なる地点への誘導などを回避することができ、運転者は安全に目的地まで運転を続けることが可能となる。
以上説明したように実施の形態4による機器制御装置によれば、ユーザの脈波が変化した際に、脈波の変化量に加え、ハンドル操作データを考慮することで、脈波が変化した要因を判定することができる。つまり、脈波の変化の要因が温冷感変化によるものであるのか、疲労度変化によるものであるのかを識別することができる。また、変化の要因に基づいて、ユーザの温冷感の推定または疲労度の推定を行うことができる。このため、ユーザの脈波を取得してその情報を機器制御へフィードバックするシステムにおいて、誤った状態推定結果に基づく機器制御をすることがなくなり、ユーザの状態を確実に提示したり、ユーザの状態を改善するための機器制御を行なったりすることができる。特に、ユーザが車両の運転を行っている状況において、適切に機器制御を行なうことができるため、ユーザはより快適かつ安全な運転を行うことができる。
(実施の形態5)
以下、本発明の実施の形態5に係る機器制御装置について説明する。実施の形態1および4の機器制御装置と同一の構成については、同一の参照符号を付す。その機能および名称も同一であるため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
実施の形態5に係る機器制御装置は、車載用の機器を制御するための装置である。
図40は、本発明の実施の形態5における機器制御装置の構成を示すブロック図である。図40に示す機器制御装置は、例えば、公知のコンピュータから構成され、統括制御部1111、車両情報取得部1112、生体信号計測部1101、パラメータ抽出部102、判定部1220および制御部1130を含む。これらの各処理部は、本実施の形態に従った機器制御プログラムがインストールされたコンピュータのCPUが当該プログラムを実行することにより実現される。実施の形態5に係る機器制御装置は、図32に示した実施の形態4に係る機器制御装置の構成において、判定部1120の代わりに判定部1220を用いたものである。それ以外の構成は、図32に示したものと同様である。
判定部1220は、パラメータ変化量算出部103と、パラメータ変化時間算出部104と、変化要因判定部1205とを含む。変化要因判定部1205は、パラメータ変化量算出部103により算出された起点変化量および前回変化量と、パラメータ変化時間算出部104により算出された起点変化時間と、車両情報取得部1112で取得された車両の状態に関する情報とから、脈波振幅が変化した要因(たとえば、温冷感や体調の影響など)を判定し、判定した要因に基づいて、状態推定部1116に含まれる温冷感推定部108および疲労推定部1109の中から適切な推定部を選択し、選択した推定部へ状態を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。
次に、実施の形態5に係る機器制御装置が実行する処理について説明する。
図41は、本発明の実施の形態5における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。
機器制御装置は、実施の形態4と同様のS41、S42、S2、S3およびS43の処理を実行する。一方、パラメータ変化時間算出部104は、パラメータ抽出部102により抽出された脈波振幅の時系列データにおける、あらかじめ定められた起点時刻から現在時刻までの経過時間を起点変化時間として算出し、起点変化時間を変化要因判定部1205へ出力する(S4)。
変化要因判定部1205は、パラメータ変化量算出部103から出力された起点変化量および前回変化量と、パラメータ変化時間算出部104から出力された起点変化時間と、車両情報取得部1112から出力されたハンドル操作データとから、脈波振幅が変化した要因を判定する(S71)。変化の要因が温冷感の変化によるものであると判定した場合には(S71でYES)、変化要因判定部1205は、温冷感推定部108へ温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。変化の要因が疲労度の変化によるものであると判定した場合には(S71でNO)、変化要因判定部1205は、疲労推定部1109へ疲労度を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。判定処理(S71)の詳細については後述する。
その後、機器制御装置は、実施の形態4と同様のS6およびS45〜S47の処理を実行する。
次に、変化要因判定部1205における脈波振幅の変化要因の判定処理(図41のS71)の詳細について説明する。図42は、本発明の実施の形態5における変化要因判定部1205が実行する処理のフローチャートである。なお、変化要因判定部1205は、図13に示したデータテーブルと、図36に示したデータテーブルとを用いて、脈波振幅の変化要因を判定する。以下、図42に示す処理を、図13および図36に示すデータテーブルの内容を用いて説明する。なお、この処理は、図12に示した実施の形態1に係る変化要因判定部105が実行する処理と、図35に示した実施の形態4に係る変化要因判定部1105が実行する処理とを組み合わせた処理である。
まず、変化要因判定部1205は、パラメータ変化量算出部103から起点変化量と前回変化量を取得し、パラメータ変化時間算出部104から起点変化時間を取得する(S81)。一方、変化要因判定部1205は、車両情報取得部1112からハンドル操作データを取得する(S52)。
変化要因判定部1205は、起点変化量の絶対値があらかじめ定められた数値(0.1)より大きいか否かを判定する(S82)。起点変化量の絶対値が0.1以下の場合は(S82でNO)、次に起点変化量、前回変化量および起点変化時間を取得するまで待機し、S81およびS52以降の処理を繰り返す。
起点変化量の絶対値が0.1より大きい場合は(S82でYES)、変化要因判定部1205は、前回変化量の絶対値があらかじめ定められた数値(0.1)より小さいか否かを判定する(S83)。
前回変化量の絶対値が0.1より小さい場合は(S83でYES)、変化要因判定部1205は、起点変化時間があらかじめ定められた値(10分)より大きいか否かを判定する(S84)。起点変化時間が10分より大きい場合は(S84でYES)、変化要因判定部1205は、図13に示すように脈波振幅の変化した要因が疲労度(体調)の変化によるものと判定し、疲労度を推定する際の情報となる起点変化量を疲労推定部1109へ出力する(S55)。起点変化時間が10分以下の場合は(S84でNO)、変化要因判定部1205は、脈波振幅の変化した要因が温冷感の変化によるものと判定し、温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を温冷感推定部108へ出力する(S56)。
前回変化量の絶対値が0.1以上の場合は(S83でNO)、変化要因判定部1205は、ハンドル操作データがあらかじめ定められた数値(15%)より大きいか否かを判定する(S54)。ハンドル操作データが数値15%よりも大きい場合には(S54でYES)、変化要因判定部1205は、図36に示すように脈波振幅の変化した要因が運転者の疲労度の変化によるものと判定し、疲労度を推定する際の情報となる起点変化量を、疲労推定部1109へ出力する(S55)。ハンドル操作データが数値15%以下の場合には(S54でNO)、変化要因判定部1205は、図36に示すように脈波振幅の変化した要因が運転者の温冷感の変化によるものと判定し、温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を、温冷感推定部108へ出力する(S56)。
以上説明したように実施の形態5による機器制御装置によれば、ユーザの脈波が変化した際に、脈波の変化量に加え、変化にかかる時間を考慮することで、脈波が変化した要因を判定することができる。さらに、実施の形態5による機器制御装置によれば、ユーザの脈波が変化した際に、脈波の変化量に加え、ハンドル操作データを考慮することで、脈波が変化した要因を判定することができる。つまり、脈波の変化の要因が温冷感変化によるものであるのか、疲労度変化によるものであるのかを識別することができる。また、変化の要因に基づいて、ユーザの温冷感の推定または疲労度の推定を行うことができる。このため、ユーザの脈波を取得してその情報を機器制御へフィードバックするシステムにおいて、誤った状態推定結果に基づく機器制御をすることがなくなり、ユーザの状態を確実に提示したり、ユーザの状態を改善するための機器制御を行なったりすることができる。特に、ユーザが車両の運転を行っている状況において、適切に機器制御を行なうことができるため、ユーザはより快適かつ安全な運転を行うことができる。
(変形例)
上述の実施の形態における生体信号計測部101では、成分比の分散値に基づいて、脈波データのノイズが含まれているか否かの判断を行ったが、成分比が所定の範囲に含まれるか否かに基づいて、脈波データにノイズが含まれているか否かの判断を行うようにしてもよい。つまり、図9に示したように、体動の影響を受けた区間Aおよび区間Bでは速度脈波の最大値と最小値の比(成分比)が大きく変化し、温冷感の変化の影響を受けた区間Cでは成分比の変化が小さい。このため、区間Cでは、成分比が所定の範囲に含まれることになる。
図43は、生体信号計測部の他の構成を示すブロック図である。生体信号計測部3101には、脈波センサ1が接続されているものとする。
生体信号計測部3101は、脈波検出部1011と、脈波微分部1012と、成分抽出部1013と、成分比算出部1014と、判定部3017と、ノイズ区間除去部1018と、蓄積部1019とを含む。生体信号計測部3101が図8に示した生体信号計測部101と異なる点は、成分比保持部1015および分散値算出部1016が設けられておらず、判定部1017の代わりに判定部3017が設けられている点である。このため、生体信号計測部101と共通する処理部については、その詳細な説明はここでは繰り返さない。判定部1017は、成分比算出部1014で算出された成分比の値から、脈波にノイズが含まれているか否かを判定する。
図44は、生体信号計測部3101が実行する処理のフローチャートである。図17に示した生体信号計測部101が実行する処理のフローチャートと同じ処理については、同じステップ番号を付し、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
生体信号計測部3101は、S201〜S205の処理を実行することにより、成分比を算出する。
判定部3017は、算出された成分比が所定の成分比範囲内(例えば、−0.1〜−0.4)に属するか否かを判定する(S306)。ここで、成分比が所定の成分比範囲内に属する場合(S306でYES)、判定部3017は、検出した脈波にはノイズが含まれていないと判断して、ノイズ区間除去部1018が、ノイズ除去をすることなく、脈波を示すデータを蓄積部1019に出力する(S210)。
一方、成分比が所定の成分比範囲内に属さない場合は(S306でNO)、判定部3017は、検出した脈波にはノイズが含まれていると判断し、ノイズ区間除去部1018は、ノイズ区間の脈波を除去することにより、ノイズ除去が行われた後の脈波を示すデータを蓄積部1019に出力する(S211)。
蓄積部1019は、ノイズ区間除去部1018から出力された脈波データを蓄積する(S212)。
生体信号計測部101は、終了する条件を満たしているか否かを調べる(S213)。終了する条件を満たしている場合は(S213でYES)、ここで処理を終了し、満たしていない場合は(S213でNO)、脈波検出部1011が、脈波の検出処理(S201)を継続する。
上述したように、本変形例においては、所定の時間範囲における速度脈波の最大値と最小値の比である成分比を算出し、その成分比が所定の成分比範囲に属するか否かの判定を行うことで、体動の影響によるノイズと温冷感の変化によって生じた脈波の変化との識別を行うことができる。
以上、本発明について実施の形態およびその変形例に基づいて説明を行ったが、本発明は、上述の実施の形態およびその変形例に限定されるものではない。
例えば、実施の形態1および5において、図13に示す変化要因判定部105で用いるデータテーブルにおける、起点変化量および前回変化量のしきい値0.1や、起点変化時間のしきい値10分については、これに限定されるものではなく、あらかじめ定められた所定の数値を用いてもよい。また、起点変化量および前回変化量のしきい値については、あらかじめ定められた所定の数値に代えて、ユーザの脈波振幅の時系列データにおける一定区間の平均値から計算される数値(たとえば、平均値の1割の値など)を用いてもよいものとする。
また、実施の形態2において、図26に示す変化要因判定部506で用いるデータテーブルにおける、起点変化量のしきい値0.1や、温度起点変化量のしきい値3℃については、これに限定されるものではなく、あらかじめ定められた所定の数値を用いてもよい。また、起点変化量のしきい値については、あらかじめ定められた所定の数値に代えて、ユーザの脈波振幅の時系列データにおける一定区間の平均値から計算される数値(たとえば、平均値の1割の値など)を用いてもよいものとする。
また、実施の形態3において、図31が示す変化要因判定部905で用いるデータテーブルにおける、起点変化量のしきい値0.1や、起点変化量積分値のしきい値1については、これに限定されるものではなく、あらかじめ定められた所定の数値を用いてもよい。また、起点変化量のしきい値については、あらかじめ定められた所定の数値に代えて、ユーザの脈波振幅の時系列データにおける一定区間の平均値から計算される数値(たとえば、平均値の1割の値など)を用いてもよいものとする。
また、実施の形態4および5において、図36が示す変化要因判定部1105で用いるデータテーブルにおける起点変化量のしきい値0.1や、ハンドル操作データのしきい値15%については、これに限定されるものではなく、あらかじめ定められた所定の数値を用いてもよい。また、起点変化量のしきい値については、あらかじめ定められた所定の数値に代えて、ユーザの脈波振幅の時系列データにおける一定区間の平均値から計算される数値(たとえば、平均値の1割の値など)を用いてもよいものとする。
また、上述の実施の形態において、パラメータ抽出部102は、脈波振幅をパラメータ値として抽出したが、心拍数や脈拍数、さらには、脈波波形を2階微分した加速度脈波の波形成分(a、b、c、dおよびe)や波形成分比(b/a、c/a、d/a、e/a)、脈波間隔を周波数解析した結果であるLF/HFやHF、さらには、脈波波形をカオス解析した結果である最大リアプノフ指数など、ユーザの温冷感や体調を推定する可能性のある生体信号をパラメータ値として抽出してもよい。なお、a、b、c、dおよびeは、図22に示したa波、b波、c波、d波およびe波の振幅値をそれぞれ示す。
また、機器制御部107または温冷感関連機器制御部1114により行われる機器制御として、ユーザの温冷感を表示装置に表示させたり、ユーザの温冷感の状態に応じて警報を出力したりしてもよい。また、機器制御部107または疲労関連機器制御部1113により行われる機器制御として、ユーザの体調または疲労度を表示装置に表示させたり、ユーザの体調または疲労度の状態に応じて警報を出力したりしてもよい。また、ユーザの温冷感や体調を改善させる機器制御として、冷房や暖房等の温冷熱刺激、冷風や温風等の気流刺激、マッサージ等の物理刺激、または酸素やマイナスイオン等の物質刺激等を与えるものとしてもよい。例えば、温冷感が暑い方向に変化したと推定された場合には、温冷熱刺激の温度を下げたり、気流刺激の気流を強めたりしてもよいし、温冷感が寒い方向に変化したと推定された場合には、温冷熱刺激の温度を上げたり、気流刺激の気流を弱めたりしてもよい。温冷感が不快方向に変化したと推定された場合には、現状の制御内容をキャンセルしたりしてもよいし、温冷感が快適方向に変化したと推定された場合には、現状の制御内容をその後も維持するようにしてもよい。また、ユーザの体調が疲労度が増える方向に変化したと推定された場合には、マッサージ等の物理刺激をユーザに与えたり、マイナスイオン等の物質刺激を与えたりしてもよい。
また、パラメータ抽出部102において脈波振幅を抽出する際は、脈波の1波形ごとに脈波振幅を抽出して都度出力するものとしたが、脈波の複数波形の脈波振幅における平均値を出力してもよいものとする。
また、パラメータ変化量算出部103、パラメータ変化時間算出部104およびパラメータ変化量積分部904で用いられた脈波振幅の時系列データにおける起点時刻、ならびに温度起点変化量算出部505で用いられた環境温度の時系列データにおける起点時刻を、あらかじめ定められた時刻としたが、たとえば、一定時間(たとえば1分など)ごとに現在時刻へ更新されるとしてもよいし、現在時刻より一定時間(たとえば10分など)前の時刻を起点時刻としてもよい。
また、実施の形態1〜3において、状態推定部106に、温冷感推定部108と体調推定部109とが含まれる構成としたが、体調推定部109で推定される体調をさらに詳細に分類し、体調推定部109が、疲労度推定部、ストレス推定部、眠気推定部などを含むものであってもよい。
また、上述の実施の形態の生体信号計測部101および1101では、成分比の分散値の代わりに、標準偏差値を用いてもかまわない。
また、上述の実施の形態の生体信号計測部101および1101は、分散値から脈波にノイズが含まれているか否かを判定するようにしたが、各生体信号計測部に、分散値を記憶する記憶装置と、2つの分散値の差分値を求める処理部とを設け、差分値が所定の範囲に属するか否かによって、ノイズの混入を判定するようにしてもよい。
また、上述の変形例の生体信号計測部3101は、成分比の値から脈波にノイズが含まれているか否かを判定するようにしたが、生体信号計測部に、成分比を保持する記憶装置と、2つの成分比の差分値を求める処理部とを設け、差分値が所定の範囲に属するか否かによって、ノイズの混入を判定するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態では脈波センサ1を透過型光学式センサとしたが、反射式のセンサでもよいし、圧電式のセンサであってもかまわない。また、脈波は指の付け根や手のひら部分で計測するようにしてもよい。
また、成分抽出部1013で最小値を抽出する範囲を、最大値を抽出したポイント(図18でのM1)よりも時系列的に後ろにある範囲(図18でのT2)としたが、全ての範囲(図18でのT1)で抽出するようにしてもよい。
また、成分比算出部1014で算出する成分比を、最小値を最大値で除した値としたが、最大値を最小値で除した値としてもよい。
また、ここでは、脈波にノイズが含まれている場合にその旨を報知するようにしてもよいし、脈波にノイズが含まれていない場合にも、脈波が検出できていることを知らせるために、音声や光等で報知したり、脈波波形を表示したりするようにしてもよい。
また、実施の形態4および5では、脈波センサ1は、車両のハンドルに設けられており、ハンドルを握った状態の運転者の脈波を計測するものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、ドライバや乗員が触れる可能性のあるシフトレバーやアームレストなどに脈波センサ1を設け、これらに触れたときの脈波を計測するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態では、体調推定部109または疲労推定部1109における推定結果に従い、所定の機器を制御しているが、単に体調または疲労度をレコーダに記録するものであってもよいし、体調または疲労度を、ネットワークを介してサーバに送信するものであってもよい。なお、サーバへの送信は、例えば、疲労度が所定のしきい値よりも大きくなった場合にのみ行われるようにしてもよい。
また、上述の実施の形態では、車載用途を中心とした機器制御について説明を行ったが、車載用途以外の機器制御であってもよい。例えば、温度変化が起こる環境で、機器操作をおこなうユーザの疲労度を測定するものとして、空調があるオフィスのパソコン機器や、調理場が併設された店舗内でのレジスター機器を操作するユーザの疲労度を測定し、測定結果に応じた機器制御を行なうようにしてもよい。
また、上述の実施の形態に示した各装置は、コンピュータから構成されるものとしたが、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、システムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)に代表される集積回路から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明にかかる脈波検出装置は、家庭や医療機関等における脈波の計測・検出装置等として有用である。また、脈波から人体の状態をモニタリングする等の用途にも応用できる。
本発明にかかる機器制御装置は、人の生体信号からその人の状態を推定する際、状態推定の材料となる生体信号の変化が何に起因するものなのかを識別し、人の状態を確実に推定して機器制御を実行することができる。このため、生体信号に基づいた車載用の機器を制御する機器制御装置等として有用である。
本発明は、脈波に含まれるノイズの検出を行う脈波検出装置に関する。
近年、人の生体信号から人の状態を推定する技術について様々な研究団体が取り組んでいる。その成果として、一部の研究者により、人の状態と生体信号との間で相関性が見出され、生体信号による人の状態の評価手法が学会などで報告されている。しかしながら、この成果も、実際には、人の状態変化が確実に起こった区間における生体信号の変化を切り出して相関分析を行っているため、日常生活とは程遠い、実験室に限った成果と言えた。よって、生体信号に変化が起こった際の人の状態を推定する、という逆算的な推定技術は、未だ確立されるに至っていなかった。そこで、これら問題に対し、具体的な人の状態として運動時とストレス時における両者を区別する方法として、脈波(pulse wave)を実測して脈拍値と、脈波の高ピーク値と、脈波の高低ピーク値の差である脈圧値とを算出してストレス、眠気および疲労(筋肉疲労)の各状態を判別する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図1は、特許文献1に開示されている体調判別装置の構成を示すブロック図である。体調判別装置は、脈波計測部1301と、算出部1302と、判別部1303と、警報出力部1304とを含む。
脈波計測部1301は、血液循環によって生じる酸素担持されたヘモグロビンと酸素非担持されたヘモグロビンとの各流量の計測を行う。算出部1302は、脈波計測部1301により計測された脈波データから、脈拍値と血圧値と脈波の高低ピーク値の差である脈圧値との各データを算出する。判別部1303は、算出部1302により算出されたデータの変化を検出して体調状態を複数レベルに判別する。警報出力部1304は、判別部1303の判別に伴い、レベルに応じた警報を出力する。
このように、光学式や圧電式のセンサを用いて生体から脈波を検出し、脈波から人体の状態を把握する試みがなされている。しかし、脈波は体動などの影響を受け易いため、ノイズと脈波信号を識別する必要がある。従来、脈波に含まれているノイズを検出する方法として、検出した脈波を微分した速度脈波(velocity plethysmogram (略してVPG))のピーク値の分散(variance)から識別する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−61921号公報(第8頁、図2) 特許第3835073号公報
しかしながら、特許文献1記載の体調判別装置の構成では、脈波を用いてユーザの体調状態を判別しているが、脈波は温冷熱環境による影響も受けやすい生体信号であることを考えると、疲労(fatigue)、ストレスおよび眠気といった体調状態を判別できたとしても、その際の脈波の変化が本当にそれら体調による影響であるかどうかまでは断定できない。このため、温冷熱環境の影響も含まれた脈波に基づいて体調を判別してしまうことになり、誤った結果を出力する可能性が高いという課題がある。
また、脈波波形は、温冷感や体調の影響のみならず、体動の影響も大きく受ける。図2は、体動の影響を含む脈波波形を示しており、区間Aおよび区間Bにおいて、脈波波形が体動の影響を受けており、それ以外の区間では脈波波形は体動の影響を受けていない。このように体動の影響によって、脈波波形が大きく変化することがわかる。また、図3は、温冷感の変化の影響を含む脈波波形を示しており、区間Cにおいて、脈波波形が温冷感の変化の影響を受けており、それ以外の区間では脈波波形は温冷感の変化の影響を受けていない。このように温冷感の変化の影響によっても、脈波波形が大きく変化することがわかる。したがって、ノイズ検出の際には、脈波波形が体動の影響により変化しているのか、温冷感の変化の影響により変化しているのかを識別する必要がある。ここで、図4に、特許文献2に記載の従来の方法に従って、図2に示す脈波波形を1階微分した速度脈波(図5)のピーク値の分散値を求めたグラフを実線で示し、図3に示す脈波波形を1階微分した速度脈波(図6)のピーク値の分散値を求めたグラフを破線で示す。図4からも明らかなように、温冷感の影響を受けた区間Cの分散は、体動による影響を受けた区間Aの分散よりも小さくなっている場合もあるし、体動による影響を受けた区間Bよりも大きくなっている場合もある。このため、特許文献1に記載の従来の方法では、脈波の変化が体動の影響によるノイズであるのか温冷感の変化による脈波信号であるのかを識別できないという課題を有している。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、体動の影響によるノイズと温冷感の変化によって生じた脈波の変化とを識別することができる脈波検出装置を提供することを目的とする。
また、体動の影響によるノイズと温冷感の変化によって生じた脈波の変化とを識別した上で、脈波によりユーザの状態を推定して機器制御を行う際、脈波の変化がまず温冷熱環境の影響によるものかどうかを判定することにより、温冷熱環境の影響と体調の影響とを判別し、ユーザの状態を確実に改善するための機器制御を実現する、機器制御装置を提供することも目的とする。
本発明のある局面に係る脈波検出装置は、ユーザの脈波を示す脈波データを検出する脈波検出装置であって、ユーザの脈波を示す脈波データを時系列で検出する脈波検出部と、前記脈波検出部により検出された時系列の脈波データを時間微分することにより、時系列の速度脈波データを算出する脈波微分部と、第1の時間範囲を時間軸方向にずらしながら、前記第1の時間範囲に含まれる前記脈波微分部で算出された時系列の速度脈波データの最大値と最小値とを抽出することを繰り返す成分抽出部と、前記第1の時間範囲毎に、前記成分抽出部で抽出された最大値と最小値との比である成分比を算出する成分比算出部と、前記成分比算出部で算出された前記成分比が時間的に不安定な区間をノイズ区間と判定するノイズ区間判定部とを備える。
この構成によると、脈波を1階微分して得られる速度脈波から第1の時間範囲内における最大値と最小値を抽出してその比(成分比)を求め、成分比が時間的に不安定か否かを判断することにより、脈波にノイズが含まれているかが判定される。このため、体動の影響によるノイズと、温冷感の変化によって生じた脈波の変化とを識別することができる。
好ましくは、前記ノイズ区間判定部は、第2の時間範囲に含まれる前記成分比の分散値を算出する分散値算出部と、前記分散値算出部で算出された分散値が所定の範囲内に含まれるか否かを判定し、前記分散値が前記所定の範囲内に含まれていないと判定される場合に、前記第2の時間範囲内に前記脈波データのノイズが含まれていると判定する判定部とを含む。
この構成によると、上記成分比の分散値を用いて、脈波にノイズが含まれているかが判定される。このため、体動の影響によるノイズと、温冷感の変化によって生じた脈波の変化とを識別することができる。
さらに好ましくは、前記ノイズ区間判定部は、前記成分比算出部で算出された前記成分比が所定の範囲内に含まれるか否かを判定し、前記所定の範囲内に含まれていないと判定された成分比を算出した前記第1の時間範囲内に前記脈波データのノイズが含まれていると判定する判定部を含む。
上記成分比が所定の範囲内に含まれているか否かを判断することにより、脈波にノイズが含まれているかが判定される。このため、体動の影響によるノイズと、温冷感の変化によって生じた脈波の変化とを識別することができる。
本発明の他の局面に係る機器制御装置は、ユーザの脈波を示す脈波データに基づいて車載用の機器を制御するための機器制御装置であって、ユーザの脈波を示す脈波データを時系列で計測する生体信号計測部と、前記生体信号計測部により計測された時系列の脈波データから、ユーザの状態を評価するための時系列のパラメータ値を抽出するパラメータ抽出部と、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値を用いて、前記脈波データの変化の要因が、前記ユーザの体調の変化によるものであるのか、前記ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであるのかを判定する判定部と、前記判定部における判定結果に基づいて、車載用の機器を制御する制御部とを備え、前記生体信号計測部は、ユーザの脈波を示す脈波データを時系列で検出する脈波検出部と、脈波検出部により検出された時系列の脈波データを時間微分することにより、時系列の速度脈波データを算出する脈波微分部と、第1の時間範囲を時間軸方向にずらしながら、前記第1の時間範囲に含まれる前記脈波微分部で算出された時系列の速度脈波データの最大値と最小値とを抽出することを繰り返す成分抽出部と、前記第1の時間範囲毎に、前記成分抽出部で抽出された最大値と最小値との比である成分比を算出する成分比算出部と、前記成分比算出部で算出された前記成分比が時間的に不安定な区間をノイズ区間と判定するノイズ区間判定部と、前記脈波検出部で検出された時系列の脈波データのうち、前記ノイズ区間に含まれる脈波データを除去するノイズ区間除去部とを含む。
この構成によると、脈波を1階微分して得られる速度脈波から第1の時間範囲内における最大値と最小値を抽出してその比(成分比)を求め、成分比が時間的に不安定か否かを判断することにより、脈波にノイズが含まれているかが判定される。このため、体動の影響によるノイズと、温冷感の変化によって生じた脈波の変化とを識別することができる。
また、脈波データから抽出されたパラメータ値を用いることにより、脈波データの変化の要因が、ユーザの体調の変化によるものであるのか、ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであるのかを判定することができる。このため、判定結果に基づいて、車載用の機器を制御することができる。よって、脈波データによりユーザの状態を推定して機器制御を行う際、脈波データの変化が温冷熱環境の影響によるものか、体調の変化によるものかを判定することにより、温冷熱環境の影響と体調の影響とを判別し、ユーザの状態を確実に改善するための機器制御を実現することができる。
好ましくは、前記判定部は、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、当該パラメータ値の、あらかじめ定められた起点時刻において前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値からの変化量である起点変化量を算出するパラメータ変化量算出部と、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、前記起点時刻から当該パラメータ値の抽出時刻までの時間である変化時間を算出するパラメータ変化時間算出部と、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、前記パラメータ変化量算出部により算出された前記起点変化量が所定の起点変化量しきい値を超え、かつ前記パラメータ変化時間算出部により算出された前記変化時間が所定の変化時間しきい値を超えた場合には、前記生体信号の変化の要因が、前記ユーザの体調の変化によるものであると判定し、前記起点変化量が前記所定の起点変化量しきい値を超え、かつ前記変化時間が前記所定の変化時間しきい値以下の場合には、前記生体信号の変化の要因が、前記ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであると判定する変化要因判定部とを含む。
この構成によれば、脈波データが変化した際に、脈波データの変化量に加え、変化にかかる時間を考慮することで、脈波データが変化した要因を判定し、判定した要因に基づいて、車載用の機器を制御することができる。よって、脈波データによりユーザの状態を推定して機器制御を行う際、脈波データの変化が温冷熱環境の影響によるものか、体調の変化によるものかを判定することにより、温冷熱環境の影響と体調の影響とを判別し、ユーザの状態を確実に改善するための機器制御を実現することができる。
さらに好ましくは、前記判定部は、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、当該パラメータ値の、あらかじめ定められた起点時刻において前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値からの変化量である起点変化量を算出するパラメータ変化量算出部と、前記ユーザの周囲の環境温度を時系列で計測する環境温度計測部と、前記環境温度計測部により計測された環境温度の各々について、当該環境温度の、前記起点時刻において前記環境温度計測部により計測された環境温度からの変化量である温度起点変化量を算出する温度起点変化量算出部と、前記パラメータ変化量算出部により算出された前記起点変化量が所定の起点変化量しきい値を超え、かつ前記温度起点変化量算出部により算出された前記温度起点変化量が所定の温度起点変化量しきい値以下の場合には、前記生体信号の変化の要因が、前記ユーザの体調の変化によるものであると判定し、前記起点変化量が前記所定の起点変化量しきい値を超え、かつ前記温度起点変化量が前記所定の温度起点変化量しきい値を超えた場合には、前記生体信号の変化の要因が、前記ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであると判定する変化要因判定部とを含む。
この構成によれば、脈波データが変化した際に、脈波データの変化量に加え、環境温度の変化量を考慮することで、脈波データが変化した要因を判定し、判定した要因に基づいて、車載用の機器を制御することができる。よって、脈波データによりユーザの状態を推定して機器制御を行う際、脈波データの変化が温冷熱環境の影響によるものか、体調の変化によるものかを判定することにより、温冷熱環境の影響と体調の影響とを判別し、ユーザの状態を確実に改善するための機器制御を実現することができる。
さらに好ましくは、前記判定部は、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、当該パラメータ値の、あらかじめ定められた起点時刻において前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値からの変化量である起点変化量を算出するパラメータ変化量算出部と、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、前記起点時刻から当該パラメータ値の抽出時刻までの間に前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の積分値である起点変化量積分値を算出するパラメータ変化量積分部と、前記パラメータ変化量算出部により算出された前記起点変化量が所定の起点変化量しきい値を超え、かつ前記パラメータ変化量積分部により算出された前記起点変化量積分値が所定の積分値しきい値を超えた場合には、前記生体信号の変化の要因が、前記ユーザの体調の変化によるものであると判定し、前記起点変化量が前記所定の起点変化量しきい値を超え、かつ前記起点変化量積分値が前記所定の積分値しきい値以下の場合には、前記生体信号の変化の要因が、前記ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであると判定する変化要因判定部とを含む。
この構成によれば、脈波データが変化した際に、脈波データの変化量に加え、変化量の積分値を考慮することで、脈波データが変化した要因を判定し、判定した要因に基づいて、車載用の機器を制御することができる。よって、脈波データによりユーザの状態を推定して機器制御を行う際、脈波データの変化が温冷熱環境の影響によるものか、体調の変化によるものかを判定することにより、温冷熱環境の影響と体調の影響とを判別し、ユーザの状態を確実に改善するための機器制御を実現することができる。
さらに好ましくは、前記機器制御装置は、さらに、ユーザが運転している車両の状態に関する情報を取得する車両情報取得部を備え、前記判定部は、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、当該パラメータ値の、あらかじめ定められた起点時刻において前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値からの変化量である起点変化量を算出するパラメータ変化量算出部と、前記パラメータ変化量算出部により算出された前記起点変化量と、前記車両情報取得部により取得された前記車両の走行状態とから、前記脈波データの変化の要因が、前記ユーザの体調の変化によるものであるのか、前記ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであるのかを判定する変化要因判定部とを含む。
この構成によれば、脈波データが変化した際に、脈波データの変化量に加え、車両の状態を考慮することで、脈波データが変化した要因を判定し、判定した要因に基づいて、車載用の機器を制御することができる。よって、脈波データによりユーザの状態を推定して機器制御を行う際、脈波データの変化が温冷熱環境の影響によるものか、体調の変化によるものかを判定することにより、温冷熱環境の影響と体調の影響とを判別し、ユーザの状態を確実に改善するための機器制御を実現することができる。
さらに好ましくは、前記機器制御装置は、さらに、ユーザが運転している車両の状態に関する情報を取得する車両情報取得部を備え、前記判定部は、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、当該パラメータ値の、あらかじめ定められた起点時刻において前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値からの変化量である起点変化量を算出するパラメータ変化量算出部と、前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、前記起点時刻から当該パラメータ値の抽出時刻までの時間である変化時間を算出するパラメータ変化時間算出部と、前記パラメータ変化量算出部により算出された前記起点変化量と、パラメータ変化時間算出部により算出された前記変化時間と、前記車両情報取得部により取得された前記車両の走行状態とから、前記脈波データの変化の要因が、前記ユーザの体調の変化によるものであるのか、前記ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであるのかを判定する変化要因判定部とを含む。
この構成によれば、脈波データが変化した際に、脈波データの変化量に加え、変化に係る時間と、車両の状態とを考慮することで、脈波データが変化した要因を判定し、判定した要因に基づいて、車載用の機器を制御することができる。よって、脈波データによりユーザの状態を推定して機器制御を行う際、脈波データの変化が温冷熱環境の影響によるものか、体調の変化によるものかを判定することにより、温冷熱環境の影響と体調の影響とを判別し、ユーザの状態を確実に改善するための機器制御を実現することができる。
なお、本発明は、このような特徴的な処理部を備える脈波検出装置として実現することができるだけでなく、脈波検出装置に含まれる特徴的な処理部をステップとする脈波検出方法として実現したり、脈波検出方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは言うまでもない。
本発明によると、体動の影響によるノイズと温冷感の変化によって生じた脈波の変化とを識別する脈波検出装置を提供することができる。
また、体動の影響によるノイズと温冷感の変化によって生じた脈波の変化とを識別した上で、脈波によりユーザの状態を推定して機器制御を行う際、脈波の変化がまず温冷熱環境の影響によるものかどうかを判定することにより、温冷熱環境の影響と体調の影響とを判別し、ユーザの状態を確実に改善するための機器制御を実現する、機器制御装置を提供することもできる。
図1は、従来の体調判別装置の構成を示すブロック図である。 図2は、体動の影響を含む脈波波形を示す図である。 図3は、温冷感の変化の影響を含む脈波波形を示す図である。 図4は、特許文献2に記載の従来の方法に従って、図2に示す脈波波形を1階微分した速度脈波のピーク値と、図3に示す脈波波形を1階微分した速度脈波のピーク値とのそれぞれの分散を求めたグラフを示す図である。 図5は、体動の影響を含む脈波の速度脈波波形を示す図である。 図6は、温冷感の変化の影響を含む脈波の速度脈波波形を示す図である。 図7は、本発明の実施の形態1における機器制御装置の構成を示すブロック図である。 図8は、生体信号計測部の詳細な構成を示すブロック図である。 図9は、図5に示す体動の影響を含む速度脈波データと、図6に示す温冷感の変化の影響を含む速度脈波データとから、それぞれ所定の時間範囲ごとに抽出した速度脈波の最大値と最小値の比(最小値/最大値)を示すグラフである。 図10は、図5に示す体動の影響を含む速度脈波データと図6に示す温冷感の変化の影響を含む速度脈波データとから、それぞれ所定の時間範囲ごとに抽出した速度脈波の最大値と最小値の比(最小値/最大値)の分散を示すグラフである。 図11は、本発明の実施の形態1における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。 図12は、本発明の実施の形態1における変化要因判定部が実行する処理のフローチャートである。 図13は、本発明の実施の形態1における変化要因判定部が保持する脈波振幅の変化要因を判定する際に用いるデータテーブルを示す図である。 図14は、環境温度を変化させた際の温冷感と疲労度の変化を示すグラフである。 図15は、温冷感の反応時間と疲労度の反応時間とを示す図である。 図16は、温冷感と疲労度とを区別するための起点変化時間のしきい値について説明するための図である。 図17は、生体信号計測部が実行する処理のフローチャートである。 図18は、速度脈波の時間的な変化を示す波形図である。 図19は、ノイズ区間の開始位置について説明するための図である。 図20は、ノイズ区間の終了位置について説明するための図である。 図21は、脈波データのノイズ除去について説明するための図である。図21(a)は、ノイズ除去前の加速度脈波の第1波であるa波の振幅値の時間変化を示すグラフであり、図21(b)は、ノイズ除去後の加速度脈波のa波の振幅値の時間変化を示すグラフである。 図22は、加速度脈波の波形の一例を示す図である。 図23は、本発明の実施の形態2における機器制御装置の構成を示すブロック図である。 図24は、本発明の実施の形態2における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。 図25は、本発明の実施の形態2における変化要因判定部が実行する処理のフローチャートである。 図26は、本発明の実施の形態2における変化要因判定部が保持する脈波振幅の変化要因を判定する際に用いるデータテーブルを示す図である。 図27は、温冷感と疲労度とを区別するための温度起点変化量のしきい値について説明するための図である。 図28は、本発明の実施の形態3における機器制御装置の構成を示すブロック図である。 図29は、本発明の実施の形態3における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。 図30は、本発明の実施の形態3における変化要因判定部が実行する処理のフローチャートである。 図31は、本発明の実施の形態3における変化要因判定部が保持する脈波振幅の変化要因を判定する際に用いるデータテーブルを示す図である。 図32は、本発明の実施の形態4における機器制御装置の構成を示すブロック図である。 図33は、本発明の実施の形態4における生体信号計測部の詳細な構成を示すブロック図である。 図34は、本発明の実施の形態4における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。 図35は、本発明の実施の形態4における変化要因判定部が実行する処理のフローチャートである。 図36は、本発明の実施の形態4における変化要因判定部が保持する脈波振幅の変化要因を判定する際に用いるデータテーブルを示す図である。 図37は、温冷感と疲労度とを区別するためのハンドル操作データ量のしきい値について説明するための図である。 図38は、本発明の実施の形態4における温冷感関連機器制御部が実行する処理のフローチャートである。 図39は、本発明の実施の形態4における疲労関連機器制御部が実行する処理のフローチャートである。 図40は、本発明の実施の形態5における機器制御装置の構成を示すブロック図である。 図41は、本発明の実施の形態5における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。 図42は、本発明の実施の形態5における変化要因判定部が実行する処理のフローチャートである。 図43は、生体信号計測部の他の構成を示すブロック図である。 図44は、本発明の実施の形態5における生体信号計測部が実行する処理のフローチャートである。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
図7は、本発明の実施の形態1における機器制御装置の構成を示すブロック図である。図7に示す機器制御装置は、例えば、公知のコンピュータから構成され、生体信号計測部101、パラメータ抽出部102、判定部120および制御部130を含む。これらの各処理部は、本実施の形態に従った機器制御プログラムがインストールされたコンピュータのCPUが当該プログラムを実行することにより実現される。
生体信号計測部101は、ここでは、公知のトランデューサー等により検出されたユーザの指尖脈波を所定のサンプリング周期でサンプリングして、脈波データを時系列的に取得する。パラメータ抽出部102は、脈波データから得られる脈波波形の振幅を、脈波を評価するパラメータ値として抽出して蓄積する。
判定部120は、パラメータ抽出部102で抽出されたパラメータ値を用いて、脈波データの変化の要因を判定する処理部であり、パラメータ変化量算出部103、パラメータ変化時間算出部104および変化要因判定部105を含む。
パラメータ変化量算出部103は、パラメータ抽出部102により抽出された脈波振幅の時系列データにおける、あらかじめ定められた起点時刻における値と現在時刻における値との差分を起点変化量として算出し、また前回の計測時刻における値と現在時刻における値との差分を前回変化量として算出し、変化要因判定部105へ出力する。
パラメータ変化時間算出部104は、パラメータ抽出部102により抽出された脈波振幅における、あらかじめ定められた起点時刻から現在時刻までの経過時間を起点変化時間として算出し、変化要因判定部105へ出力する。
変化要因判定部105は、パラメータ変化量算出部103により算出された起点変化量および前回変化量と、パラメータ変化時間算出部104により算出された起点変化時間とから、脈波振幅が変化した要因(たとえば、温冷感や体調の影響など)を判定し、判定した要因に基づいて、後述する状態推定部106に含まれる温冷感推定部108および体調推定部109の中から適切な推定部を選択し、選択した推定部へ状態を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。
制御部130は、変化要因判定部105における判定結果に基づいて、機器制御を行なう処理部であり、状態推定部106と、機器制御部107とを含む。
状態推定部106は、ここでは、脈波振幅の起点変化量からユーザの温冷感を推定する温冷感推定部108と、同じく脈波振幅の起点変化量からユーザの体調を推定する体調推定部109とから構成されるものとする。温冷感推定部108は、変化要因判定部105から出力された起点変化量に基づいてユーザの温冷感を推定し、推定結果を機器制御部107へ出力する。体調推定部109は、同じく変化要因判定部105から出力された起点変化量に基づいてユーザの体調を推定し、推定結果を機器制御部107へ出力する。
温冷感には、暑い、寒いという感覚以外にも、それらを自覚する以前の生体変化における兆候をも含む。
ここで、変化要因判定部105は温冷感を推定する際の情報として起点変化量を出力し、温冷感推定部108は起点変化量に基づいてユーザの温冷感を推定しているが、変化要因判定部105が温冷感を推定する際の情報として前回変化量を出力し、温冷感推定部108が前回変化量に基づいてユーザの温冷感を推定するものとしてもよい。
機器制御部107は、温冷感推定部108により推定された温冷感、または体調推定部109により推定された体調に基づいてユーザの温冷感または体調の推定結果をユーザへ報知する機器制御を行う、またはユーザの温冷感もしくは体調を改善するための機器制御を行う。
図8は、生体信号計測部101の詳細な構成を示すブロック図である。生体信号計測部101には、脈波センサ1が接続されているものとする。
脈波センサ1は、発光素子と受光素子を備える公知の透過型光学式センサであり、指尖部に装着して脈波を計測するものである。
生体信号計測部101は、脈波検出部1011と、脈波微分部1012と、成分抽出部1013と、成分比算出部1014と、成分比保持部1015と、分散値算出部1016と、判定部1017と、ノイズ区間除去部1018と、蓄積部1019とを含む。
脈波検出部1011は、脈波センサ1からの出力信号を脈波として検出する。脈波微分部1012は、脈波検出部1011において検出された脈波を1階微分して速度脈波を求める。成分抽出部1013は、脈波微分部1012で求められた速度脈波の所定の時間範囲内における最大値と最小値を抽出する。成分比算出部1014は、成分抽出部1013で抽出された速度脈波の最小値を最大値で除した成分比を算出する。
成分比保持部1015は、成分比算出部1014で算出された成分比を保持する。分散値算出部1016は成分比保持部1015で保持されている複数の成分比の分散値を算出する。分散値は、標本分散値のことをいい、ここでは、以下の式を用いて算出されるものとする。
Figure 2008149559
なお、無限桁が計算できる場合には、以下の式を代用して、分散値を算出してもよい。
Figure 2008149559
判定部1017は、分散値算出部1016で算出された複数の成分比の分散値から、脈波にノイズが含まれているか否かを判定する。
ノイズ区間除去部1018は、ノイズ区間の脈波を除去する。蓄積部1019は、ノイズ区間の脈波が除去された脈波のデータを蓄積する。
図9では、図5に示す体動の影響を含む速度脈波データ(区間Aおよび区間Bが体動の影響を受けた区間)から所定の時間範囲毎に抽出した速度脈波の最大値と最小値の比(最小値/最大値)のグラフを実線で示し、図6に示す温冷感の変化の影響を含む速度脈波データ(区間Cが温冷感の変化の影響を受けた区間)から所定の時間範囲ごとに抽出した速度脈波の最大値と最小値の比(最小値/最大値)のグラフを破線で示す。ここで、本発明者らは、図9に示すように、体動の影響を受けた区間Aおよび区間Bでは速度脈波の最大値と最小値の比が大きく変化し、温冷感の変化の影響を受けた区間Cでは速度脈波の最大値と最小値の比の変化が小さいということを見出した。したがって、速度脈波の最大値と最小値の比を用いることにより、体動の影響によるノイズと温冷感の変化によって生じた脈波の変化との識別が可能となる。
図10では、図5に示す体動の影響を含む速度脈波データ(区間Aおよび区間Bが体動の影響を受けた区間)から所定の時間範囲ごとに抽出した速度脈波の最大値と最小値の比(最小値/最大値)の分散値のグラフを実線で示し、図6に示す温冷感の変化の影響を含む速度脈波データ(区間Cが温冷感の変化の影響を受けた区間)から所定の時間範囲ごとに抽出した速度脈波の最大値と最小値の比(最小値/最大値)の分散値のグラフを破線で示す。ここで、本発明者らは、図10に示すように、体動の影響を受けた区間Aおよび区間Bでは速度脈波の最大値と最小値の比の分散が大きく変化し、温冷感の変化の影響を受けた区間Cでは速度脈波の最大値と最小値の比の分散の変化が小さいということを見出した。したがって、速度脈波の最大値と最小値の比の分散を用いることにより、体動の影響によるノイズと温冷感の変化によって生じた脈波の変化との識別が可能となる。
次に、実施の形態1に係る機器制御装置が実行する処理について説明する。
図11は、本発明の実施の形態1における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。
生体信号計測部101は脈波の時系列データを計測して蓄積する(S1)。この処理(S1)の詳細については後述する。
パラメータ抽出部102は、生体信号計測部101で計測した脈波の時系列データから一定時間ごとに脈波振幅を抽出して蓄積する(S2)。
パラメータ変化量算出部103は、パラメータ抽出部102により抽出された脈波振幅の時系列データにおける、あらかじめ定められた起点時刻における値と現在時刻における値の差分を起点変化量として算出する。また、パラメータ変化量算出部103は、前回の計測時刻における値と現在時刻における値の差分を前回変化量として算出する。パラメータ変化量算出部103は、算出した起点変化量と前回変化量を変化要因判定部105へ出力する(S3)。
一方、パラメータ変化時間算出部104は、パラメータ抽出部102により抽出された脈波振幅の時系列データにおける、あらかじめ定められた起点時刻から現在時刻までの経過時間を起点変化時間として算出し、起点変化時間を変化要因判定部105へ出力する(S4)。
変化要因判定部105は、パラメータ変化量算出部103から出力された起点変化量および前回変化量と、パラメータ変化時間算出部104から出力された起点変化時間とから、脈波振幅が変化した要因を判定する(S5)。変化の要因が温冷感の変化によるものであると判定した場合には(S5でYES)、変化要因判定部105は、温冷感推定部108へ温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。変化の要因が体調の変化によるものであると判定した場合には(S5でNO)、変化要因判定部105は、体調推定部109へ体調を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。判定処理(S5)の詳細については後述する。
温冷感推定部108は、変化要因判定部105から出力された起点変化量に基づいてユーザの温冷感を推定し、機器制御部107へ推定結果を出力する(S6)。つまり、温冷感推定部108は、起点変化量の符号に基づいてユーザの温冷感を推定する。例えば、温冷感推定部108は、起点変化量が正の場合には暑い方向へ変化したと推定し、負の場合には寒い方向に変化したと推定する。換言すれば、温冷感推定部108は、脈波波形の脈波振幅が増加した場合には暑い方向へ変化し、減少した場合には寒い方向に変化したと推定していることと等価である。なお、脈波振幅を用いる以外にも、脈波波高最大値、脈波波形を2階微分した加速度脈波(accelerated plethysmogram (略してAPG))波形の波形成分比、加速度脈波振幅またはパルスレート、脈波間隔を周波数解析することにより得られるパラメータの変化量に基づいて、温冷感を推定するようにしても良い。
ここで、脈波間隔を周波数解析することにより得られるパラメータを用いる場合は、低周波成分(たとえば0.04Hz〜0.15Hz)と高周波成分(たとえば0.15Hz〜0.4Hz)の比であるLF/HFを用いて、LF/HFが増加した場合には、温冷感が不快な方向に変化し、減少した場合には、快適な方向に変化したと推定してもよい。
体調推定部109は、変化要因判定部105から出力された起点変化量に基づいてユーザの体調を推定し、機器制御部107へ推定結果を出力する(S7)。一例として、体調推定部109が疲労度を推定する場合について説明する。例えば、体調推定部109は、起点変化量が正の場合には疲労度が減少方向に変化したと推定し、負の場合には疲労度が増加方向に変化したと推定する。換言すれば、体調推定部109は、脈波波形の脈波振幅が増加した場合には疲労度が減少方向に変化したと推定し、減少した場合には疲労度が増加方向に変化したと推定する。なお、脈波振幅を用いる以外にも、脈波波高最大値、脈波波形を2階微分した加速度脈波波形の波形成分比、加速度脈波振幅またはパルスレート、脈波間隔を周波数解析することにより得られるパラメータの変化量に基づいて、疲労度を推定するようにしても良い。
ここで、疲労度には、人が自覚している疲労感以外にも、人が自覚していない疲労感をも含む。
また、脈波間隔を周波数解析することにより得られるパラメータを用いる場合は、低周波成分(たとえば0.04Hz〜0.15Hz)と高周波成分(たとえば0.15Hz〜0.4Hz)の比であるLF/HFを用いて、LF/HFが増加した場合には、疲労度が増加方向に変化したと推定し、減少した場合には疲労度が減少方向に変化したと推定してもよい。
機器制御部107は、温冷感推定部108または体調推定部109から出力された推定結果に基づいて、所定の機器を制御する(S8)。例えば、ユーザへ推定結果を報知する機器制御を行なってもよい。また、推定結果である温冷感または体調を改善する機器制御を行ってもよい。
次に、変化要因判定部105における脈波振幅の変化要因の判定処理(図11のS5)の詳細について説明する。図12は、本発明の実施の形態1における変化要因判定部105が実行する処理のフローチャートである。また、図13は、変化要因判定部105が保持する脈波振幅の変化要因を判定する際に用いるデータテーブルを示す図である。以下、図12に示す処理を、図13に示すデータテーブルの内容を用いて説明する。
まず、変化要因判定部105は、パラメータ変化量算出部103から起点変化量と前回変化量を取得し、パラメータ変化時間算出部104から起点変化時間を取得する(S9)。変化要因判定部105は、起点変化量の絶対値があらかじめ定められた数値(0.1)より大きいか否かを判定する(S10)。起点変化量の絶対値が0.1より大きい場合は(S10でYES)、変化要因判定部105は、前回変化量の絶対値があらかじめ定められた数値(0.1)より小さいか否かを判定する(S11)。起点変化量の絶対値が0.1以下の場合は(S10でNO)、次に起点変化量、前回変化量および起点変化時間を取得するまで待機し、S9以降の処理を繰り返す。
前回変化量の絶対値が0.1より小さい場合は(S11でYES)、変化要因判定部105は、起点変化時間があらかじめ定められた値(10分)より大きいか否かを判定する(S13)。前回変化量の絶対値が0.1以上の場合は(S11でNO)、変化要因判定部105は、図13に示すように脈波振幅の変化した要因が温冷感の変化によるものと判定し、温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を、温冷感推定部108へ出力する(S12)。起点変化時間が10分より大きい場合は(S13でYES)、変化要因判定部105は、図13に示すように脈波振幅の変化した要因が体調の変化によるものと判定し、体調を推定する際の情報となる起点変化量を体調推定部109へ出力する(S14)。起点変化時間が10分以下の場合は(S13でNO)、変化要因判定部105は、脈波振幅の変化した要因が温冷感の変化によるものと判定し、温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を温冷感推定部108へ出力する(S12)。
次に、図13に示したデータテーブルにおいて起点変化時間のしきい値を10分とした根拠について説明する。
図14は、環境温度を変化させた際の温冷感と疲労度の変化を示すグラフである。横軸は時間を示し、縦軸は、温度と、温冷感および疲労度の度数とを示す。このグラフは、環境温度を約17℃から約32℃の範囲で変化させた際の、10人の被験者が感じる温冷感および疲労度の度数の平均値を示している。温冷感の度数は−3から+3までの範囲の値であり、+3が最も暑く感じるときの度数であり、−3が最も寒く感じるときの度数であり、暑く感じるほど度数が大きくなる。また、疲労度の度数は0から3までの範囲の値であり、0は全く疲労度がないときの度数であり、3が最も疲労を感じるときの度数であり、疲労度が強いほど度数が大きくなる。
環境温度は0分から24分までの間は一定であるが、24分から変化を開始し、51分の時点で最大となり、105分の時点で最小となる。温冷感について着目すると、24分時点と比較して変化が起こるのは約3分後である(ポイント71)。また、51分時点と比較して変化が起こるのは約3分後である(ポイント72)。さらに、105分時点と比較して変化が起こるのは約6分後である(ポイント73)。同様に、疲労度について着目すると、24分時点と比較して変化が起こるのは約12分後である(ポイント74)。また、51分時点と比較して変化が起こるのは約45分後である(ポイント75)。さらに、105分後と比較して変化が起こるのは約24分後である(ポイント76)。つまり、温冷感のほうが疲労度に比べて温度の変化に対して短時間で反応する。つまり、図15に示すように、温冷感は、温度の変化に対しておよそ12分以内で反応するのに対し、疲労度は温度の変化に対しておよそ12分以上たった後に反応する。
このため、図16に示すように起点変化時間のしきい値を6分から12分の間に設けるのが最も適切に温冷感と疲労度を区別することができる。このため、本実施の形態では、起点変化時間のしきい値を10分と定めている。
次に、生体信号計測部101による脈波の時系列データの計測および蓄積処理(図11のS1)の詳細について説明する。図17は、生体信号計測部101が実行する処理のフローチャートである。
脈波検出部1011は、脈波センサ1からの出力信号を脈波として検出する(S201)。脈波微分部1012は、脈波検出部1011で検出した脈波を1階微分して速度脈波を算出し、内部のメモリに保持する(S202)。
次に、成分抽出部1013は、脈波微分部1012で算出した速度脈波について最大値と最小値が抽出可能か否かを調べる(S203)。速度脈波の最大値と最小値が抽出できない場合は(S203でNO)、生体信号計測部101は、終了する条件を満たしている(指定時間経過や終了操作がある)かを調べ(S213)、終了する条件を満たしている場合は(S213でYES)、ここで処理を終了する。終了する条件を満たしていない場合は(S213でNO)、脈波検出部1011は、脈波の検出処理(S201)を継続する。一方、速度脈波の最大値と最小値が抽出可能である場合は(S203でYES)、成分抽出部1013は、所定の時間範囲における速度脈波の最大値と最小値を抽出する(S204)。
ここで、図18の速度脈波の時間的な変化を示す波形図を用いて、成分抽出部1013による最大値および最小値の抽出処理(S204)について説明する。図18の波形図において、横軸は時間を、縦軸は速度脈波の大きさをそれぞれ示している。
成分抽出部1013では、速度脈波の所定の時間範囲(図18でのT1)において最大の波高値(図18でのU(n))を速度脈波の最大値として抽出する。また、成分抽出部1013は、最大値を抽出したポイント(図18でのU(n))よりも時系列的に後ろにある範囲(図18でのT2)で最小の波高値(図18でのS(n))を速度脈波の最小値として抽出する。なお、所定の時間範囲(図18でのT1)は、例えば、1分間の脈拍数を60としたときの1拍分に相当する時間範囲に設定してもよいし、直前に算出した2つの最大値の位置の間隔(図18でのT3)へと動的に変更させるようにしてもよい。また、複数の最大値の位置の間隔の平均値を求め、その値へと動的に変更させるようにしてもよい。また、速度脈波の最大値と最小値が抽出可能か否かの判定処理(S203)は、所定の範囲(図18でのT1)に相当するデータ数分の速度脈波が算出されているか否かによって行う。
次に、成分比算出部1014は、成分抽出部1013で抽出された最小値を最大値で除することにより成分比を算出する(S205)。成分比保持部1015は、成分比算出部1014で算出した成分比を保持する(S206)。
次に、分散値算出部1016は、成分比保持部1015で保持する成分比について分散値が算出可能かを調べる(S207)。成分比の分散値が算出可能でない場合は(S207でNO)、生体信号計測部101は、終了する条件を満たしているか否かを調べる(S213)。終了する条件を満たしている場合は(S213でYES)、ここで処理を終了し、満たしていない場合は(S213でNO)、脈波検出部1011が、脈波の検出処理(S201)を継続する。
一方、成分比の分散値が算出可能である場合は(S207でYES)、分散値算出部1016が、成分比の分散値を示す指標として、成分比の分散値を算出する(S208)。ここで、i番目に算出した成分比をF(i)、分散値を求める際に用いる成分比Fの個数をk個とすると、n番目の分散値はF(n)からF(n+k)までの成分比を用いて算出し、n+1番目の分散値は計算に用いる成分比を1つずらして、F(n+1)からF(k+n+1)までの成分比を用いて算出する。なお、1つずらすのではなくk個ずらして分散値を算出するようにしてもかまわない。また、S207での算出可能か否かの判定は、分散値を計算するのに必要な数の成分比が成分比保持部1015に保持されているか否かによって行う。
次に、判定部1017は、分散値算出部1016で算出された分散値所定の分散値範囲内(例えば、0.00〜0.01)に属するか否かを判定する(S209)。ここで、分散値が所定の分散値範囲内に属する場合(S209でYES)、判定部1017は、検出した脈波にはノイズが含まれていないと判断して、ノイズ区間除去部1018が、ノイズ除去をすることなく、脈波を示すデータを蓄積部1019に出力する(S210)。
一方、分散値が所定の分散値範囲内に属さない場合は(S209でNO)、判定部1017は、検出した脈波にはノイズが含まれていると判断し、ノイズ区間除去部1018は、ノイズ区間の脈波を除去することにより、ノイズ除去が行われた後の脈波を示すデータを蓄積部1019に出力する(S211)。
蓄積部1019は、ノイズ区間除去部1018から出力された脈波データを蓄積する(S212)。
生体信号計測部101は、終了する条件を満たしているか否かを調べる(S213)。終了する条件を満たしている場合は(S213でYES)、ここで処理を終了し、満たしていない場合は(S213でNO)、脈波検出部1011が、脈波の検出処理(S201)を継続する。
次に、ノイズ区間除去部1018によるノイズ除去処理(S211)について説明する。図19は、ノイズ区間の開始位置について説明するための図であり、図20は、ノイズ区間の終了位置について説明するための図である。
図19および図20の各々は、速度脈波の波形を示すグラフであり、横軸が時間を示し、縦軸が速度脈波の値を示す。例えば、図19に示すように、分散値算出部1016は、時間的に連続する時間区間1001、1002および1003においてそれぞれ分散値を算出したとする。また、各時間区間においては、3つの時間的に連続する成分比から分散値を計算するものとする。このとき、時間区間1001および1002においては分散値が所定の分散値範囲内に収まっているものとし、時間区間1003において分散値が所定の分散値範囲に収まっていないものとする。この場合、ノイズ区間除去部1018は、時間区間1003に含まれる3つの成分比のうち、例えば、2つ目の成分比の位置(同図では、対応する速度脈波の位置を示している。)をノイズ区間の開始位置とする。
また、図20に示すように、分散値算出部1016は、時間的に連続する時間区間1004および1005においてそれぞれ分散値を算出したとする。また、各時間区間においては、3つの時間的に連続する成分比から分散値を計算するものとする。このとき、時間区間1004においては分散値が所定の分散値範囲内に収まっていないものとし、時間区間1005においては分散値が所定の分散値範囲内に収まっているものとする。また、時間区間1004よりも前の時間区間においては分散値が所定の範囲内に収まっていないものとする。この場合、ノイズ区間除去部1018は、時間区間1005に含まれる3つの成分比のうち、例えば、2つ目の成分比の位置(同図では、対応する速度脈波の位置を示している。)をノイズ区間の終了位置とする。
なお、ノイズ区間の開始位置および終了位置の決定方法はこれに限定されるものではなく、例えば、分散値が所定の分散値範囲に収まっていないと判断された時間区間の先頭の成分比の位置または3番目の成分比の位置をノイズ区間の開始位置とするものであってもよい。また、分散値が所定の分散値範囲に収まっていると判断された時間区間の先頭の成分比の位置または3番目の成分比の位置をノイズ区間の終了位置と判断するものであってもよい。さらに、分散値を計算するのに用いられる成分比の個数は3個に限定されるものではなく、それ以外の個数であってもよい。
図21は、脈波データのノイズ除去について説明するための図である。図21(a)は、ノイズ除去前の加速度脈波の第1波であるa波(後述)の振幅値の時間変化を示すグラフであり、図21(b)は、ノイズ除去後の加速度脈波のa波の振幅値の時間変化を示すグラフである。各グラフは、横軸が時間を示し、縦軸が加速度脈波のa波の振幅値を示している。
ここでは、自動車の運転者の脈波を計測しているものとする。図21(a)に示す区間1201〜1206において、それぞれ体動の原因となるハンドル操作が行なわれたものとする。同図には、ハンドル操作時の最高到達加速度(xy2軸合力)が示されており、例えば、区間1201における最高到達加速度は132mGである。このような体動がある場合に、a波の振幅値はばらつく。これに伴い、成分比もばらつく。したがって、図21(b)に示すように、区間1201、1202および1204〜1206にそれぞれ対応する区間1211、1212および1214〜1216においてノイズ除去が行われている。なお、区間1203におけるa波の振幅値の分散値(成分比の分散値)は、他の区間における分散値に比べて小さいため、区間1203に対応する区間1213はノイズ区間とはみなされず、ノイズ除去が行われていない。なお、図21に示す例では、加速度脈波のa波の振幅値の時間変化を示しているが、脈波データについても同位置においても同様にノイズ除去が行われる。
なお、図21が示すように、ノイズ区間の直後は血流の戻りにある程度の時間がかかることより、ノイズ区間の終了位置を数秒〜10秒程度後ろへずらしてノイズ除去を実行してもよい。
次に、加速度脈波のa波について説明する。図22は、加速度脈波の波形の一例を示す図である。加速度脈波は、a波、b波、c波、d波およびe波から構成される。a波の頂点Aは指尖容積脈波(plethysmogram(略してPTG))拡張期波の始まりと一致するので頂点Aから頂点Eまでの所要時間は心臓の収縮時間軸長さと一致するようになる。a波は、基線に対して上に凸となる陽性波であり、b波は、基線に対して下に凸となる陰性波であり、c波、d波およびe波はそれぞれ生理状態によって陽性波になったり陰性波になったり変化する要素波であり、ユーザの年齢と強い相関を有する。
以上説明したような方法に従い、パラメータ抽出部102においてノイズが除去されたパラメータ値が抽出される。パラメータ変化量算出部103は、ノイズが除去されたパラメータ値に基づいて、起点変化量および前回変化量を算出する。例えば、起点時刻と現在時刻におけるパラメータ値が求められている場合にのみ起点変化量を求め、前回の継続時刻におけるパラメータ値と現在時刻におけるパラメータ値とが求められている場合にのみ前回変化量を求めるようにしてもよい。また、起点時刻と現在時刻との間のパラメータ値の計測時刻において、所定の割合(例えば50%)以上のパラメータ値が求められている場合にのみ起点変化量を算出し、それ以外の場合には起点変化量を算出しないようにしてもよい。
以上説明したように実施の形態1に係る機器制御装置によれば、ユーザの脈波が変化した際に、脈波の変化量に加え、変化にかかる時間を考慮することで、脈波が変化した要因を判定することができる。つまり、脈波の変化の要因が温冷感変化によるものであるのか、または体調変化によるものであるのかを識別することができる。また、変化の要因に基づいて、ユーザの温冷感の推定または体調の推定を行うことができる。このため、ユーザの脈波を取得してその情報を機器制御へフィードバックするシステムにおいて、誤った状態推定結果に基づく機器制御をすることがなくなり、ユーザの状態を確実に提示したり、ユーザの状態を改善するための機器制御を行なったりすることができる。
また、本実施の形態においては、所定の時間範囲における速度脈波の最大値と最小値から成分比の分散値を算出し、その分散値が所定の分散値範囲に属するか否かの判定を行うことにより、体動の影響によるノイズと温冷感の変化によって生じた脈波の変化との識別を行うことができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る機器制御装置について説明する。実施の形態1の機器制御装置と同一の構成については、同一の参照符号を付す。その機能および名称も同一であるため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
図23は、本発明の実施の形態2における機器制御装置の構成を示すブロック図である。図23に示す機器制御装置は、例えば、公知のコンピュータから構成され、生体信号計測部101、パラメータ抽出部102、判定部520および制御部130を含む。これらの各処理部は、本実施の形態に従った機器制御プログラムがインストールされたコンピュータのCPUが当該プログラムを実行することにより実現される。
判定部520は、パラメータ抽出部102で抽出されたパラメータ値を用いて、脈波データの変化の要因を判定する処理部であり、パラメータ変化量算出部103、環境温度計測部504、温度起点変化量算出部505および変化要因判定部506を含む。
環境温度計測部504は、環境温度データを計測して蓄積する。温度起点変化量算出部505は、環境温度計測部504により計測された環境温度データにおける、あらかじめ定められた起点時刻における値と現在時刻における値との差分を温度起点変化量として算出し、変化要因判定部506へ出力する。
変化要因判定部506は、パラメータ変化量算出部103により算出された起点変化量と、温度起点変化量算出部505により算出された温度起点変化量とから、脈波振幅が変化した要因(たとえば、温冷感や体調の影響など)を判定し、判定した要因に基づいて、状態推定部106に含まれる温冷感推定部108および体調推定部109の中から適切な推定部を選択し、選択した推定部へ状態を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。
次に、実施の形態2に係る機器制御装置が実行する処理について説明する。
図24は、本発明の実施の形態2における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。
機器制御装置は、実施の形態1と同様にS1〜S3の処理を実行する。
一方、温度起点変化量算出部505は、環境温度計測部504により抽出された環境温度データにおける、あらかじめ定められた起点時刻における値と現在時刻における値の差分を温度起点変化量として算出し、変化要因判定部506へ出力する(S18)。
変化要因判定部506は、パラメータ変化量算出部103で算出された起点変化量と、温度起点変化量算出部505から出力された温度起点変化量とから、脈波振幅が変化した要因を判定する(S19)。変化の要因が温冷感の変化によるものであると判定した場合には(S19でYES)、変化要因判定部506は、温冷感推定部108へ温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。変化の要因が体調の変化によるものであると判定した場合には(S19でNO)、変化要因判定部506は、体調推定部109へ体調を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。判定処理(S19)の詳細については後述する。
その後、機器制御装置は、実施の形態1と同様にS6〜S8の処理を実行し、機器制御を行なう。
次に、変化要因判定部506における脈波振幅の変化要因の判定処理(図24のS19)の詳細について説明する。図25は、本発明の実施の形態2における変化要因判定部506が実行する処理のフローチャートである。また、図26は、変化要因判定部506が保持する脈波振幅の変化要因を判定する際に用いるデータテーブルを示す図である。以下、図25に示す処理を、図26に示すデータテーブルの内容を用いて説明する。
まず、変化要因判定部506は、パラメータ変化量算出部103から起点変化量を取得し、温度起点変化量算出部505から温度起点変化量を取得する(S23)。変化要因判定部506は、起点変化量の絶対値があらかじめ定められた数値(0.1)より大きいか否かを判定する(S24)。起点変化量の絶対値が0.1より大きい場合は(S24でYES)、変化要因判定部506は、温度起点変化量の絶対値があらかじめ定められた数値(3℃)より大きいか否かを判定する(S25)。起点変化量の絶対値が0.1以下の場合は(S24でNO)、次に起点変化量および温度起点変化量を取得するまで待機し、S23以降の処理を繰り返す。
温度起点変化量の絶対値が3℃より大きい場合は(S25でYES)、変化要因判定部506は、図26に示すように脈波振幅の変化した要因が温冷感の変化によるものと判定し、温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を温冷感推定部108へ出力する(S12)。温度起点変化量の絶対値が3℃以下の場合は(S25でNO)、変化要因判定部506は、図26に示すように脈波振幅の変化した要因が体調の変化によるものと判定し、体調を推定する際の情報となる起点変化量を体調推定部109へ出力する(S14)。
次に、図26に示したデータテーブルにおいて温度起点変化量のしきい値を3℃とした根拠について、図14に示したグラフを用いて説明する。
例えば、24分時点の温冷感と比較して、ポイント71において温冷感が初めて大きく変化している。24分時点の温度からポイント71の時刻における温度への変化量はおよそ0.5℃である。一方、24分時点の疲労度と比較して、ポイント74において疲労度が初めて大きく変化している。24分時点の温度からポイント74の時刻における温度への変化量はおよそ3.6℃である。つまり、温冷感のほうが疲労度に比べて温度の変化に対して敏感に反応し、その境界は0.5℃から3.6℃の間にあると考えられる。
このため、図27に示すように、温度起点変化量のしきい値を1℃から3℃の間に設けるのが最も適切に温冷感と疲労度を区別することができる。このため、本実施の形態では、温度起点変化量のしきい値を3℃と定めている。
以上説明したように実施の形態2に係る機器制御装置によれば、ユーザの脈波が変化した際に、脈波の変化量に加え、環境温度の変化量を考慮することで、脈波が変化した要因を判定することができる。つまり、脈波の変化の要因が温冷感変化によるものであるのか、または体調変化によるものであるのかを識別することができる。また、変化の要因に基づいて、ユーザの温冷感の推定または体調の推定を行うことができる。このため、ユーザの脈波を取得してその情報を機器制御へフィードバックするシステムにおいて、誤った状態推定結果に基づく機器制御をすることがなくなり、ユーザの状態を確実に提示したり、ユーザの状態を改善するための機器制御を行なったりすることができる。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3に係る機器制御装置について説明する。実施の形態1の機器制御装置と同一の構成については、同一の参照符号を付す。その機能および名称も同一であるため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
図28は、本発明の実施の形態3における機器制御装置の構成を示すブロック図である。図28に示す機器制御装置は、例えば、公知のコンピュータから構成され、生体信号計測部101、パラメータ抽出部102、判定部920および制御部130を含む。これらの各処理部は、本実施の形態に従った機器制御プログラムがインストールされたコンピュータのCPUが当該プログラムを実行することにより実現される。
判定部920は、パラメータ抽出部102で抽出されたパラメータ値を用いて、脈波データの変化の要因を判定する処理部であり、パラメータ変化量算出部103、パラメータ変化量積分部904および変化要因判定部905を含む。
パラメータ変化量積分部904は、パラメータ抽出部102により抽出された脈波振幅の時系列データにおける、あらかじめ定められた起点時刻から現在時刻までの変化量の積分値を起点変化量積分値として算出し、変化要因判定部905へ出力する。
変化要因判定部905は、パラメータ変化量算出部103により算出された起点変化量と、パラメータ変化量積分部904により算出された起点変化量積分値とから、脈波振幅が変化した要因(たとえば、温冷感や体調の影響など)を判定し、判定した要因に基づいて、状態推定部106に含まれる温冷感推定部108および体調推定部109の中から適切な推定部を選択し、選択した推定部へ状態を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。
次に、実施の形態3に係る機器制御装置が実行する処理について説明する。
図29は、本発明の実施の形態3における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。
機器制御装置は、実施の形態1と同様にS1〜S3の処理を実行する。
一方、パラメータ変化量積分部904は、パラメータ抽出部102により抽出された脈波振幅の時系列データにおける、あらかじめ定められた起点時刻から現在時刻までの変化量の積分値を起点変化量積分値として算出し、変化要因判定部905へ出力する(S31)。
変化要因判定部905は、パラメータ変化量算出部103から出力された起点変化量と、パラメータ変化量積分部904から出力された起点変化量積分値とから、脈波振幅が変化した要因を判定する(S32)。変化の要因が温冷感の変化によるものであると判定した場合には(S32でYES)、変化要因判定部905は、温冷感推定部108へ温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。変化の要因が体調の変化によるものであると判定した場合には(S32でNO)、変化要因判定部905は、体調推定部109へ体調を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。判定処理(S32)の詳細については後述する。
その後、機器制御装置は、実施の形態1と同様にS6〜S8の処理を実行し、機器制御を行なう。
次に、変化要因判定部905における脈波振幅の変化要因の判定処理(図29のS32)の詳細について説明する。図30は、本発明の実施の形態3における変化要因判定部905が実行する処理のフローチャートである。また、図31は、変化要因判定部905が保持する脈波振幅の変化要因を判定する際に用いるデータテーブルを示す図である。以下、図30に示す処理を、図31に示すデータテーブルの内容を用いて説明する。
まず、変化要因判定部905は、パラメータ変化量算出部103から起点変化量を取得し、パラメータ変化量積分部904から起点変化量積分値を取得する(S36)。変化要因判定部905は、起点変化量の絶対値があらかじめ定められた数値(0.1)より大きいか否かを判定する(S37)。起点変化量の絶対値が0.1より大きい場合は(S37でYES)、変化要因判定部905は、起点変化量積分値があらかじめ定められた数値(1)より大きいか否かを判定する(S38)。起点変化量の絶対値が0.1以下の場合は(S37でNO)、次に起点変化量および起点変化量積分値を取得するまで待機し、S36以降の処理を繰り返す。
起点変化量積分値が1より大きい場合は(S38でYES)、変化要因判定部905は、図31に示すように脈波振幅の変化した要因が体調の変化によるものと判定し、体調を推定する際の情報となる起点変化量を体調推定部109へ出力する(S14)。起点変化量積分値が1以下の場合は(S38でNO)、変化要因判定部905は、図31に示すように脈波振幅の変化した要因が温冷感の変化によるものと判定し、温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を温冷感推定部108へ出力する(S12)。
以上説明したように実施の形態3による機器制御装置によれば、ユーザの脈波が変化した際に、脈波の変化量に加え、変化量の積分値を考慮することで、脈波が変化した要因を判定することができる。つまり、脈波の変化の要因が温冷感変化によるものであるのか、または体調変化によるものであるのかを識別することができる。また、変化の要因に基づいて、ユーザの温冷感の推定または体調の推定を行うことができる。このため、ユーザの脈波を取得してその情報を機器制御へフィードバックするシステムにおいて、誤った状態推定結果に基づく機器制御をすることがなくなり、ユーザの状態を確実に提示したり、ユーザの状態を改善するための機器制御を行なったりすることができる。
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4に係る機器制御装置について説明する。実施の形態1の機器制御装置と同一の構成については、同一の参照符号を付す。その機能および名称も同一であるため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
実施の形態4に係る機器制御装置は、車載用の機器を制御するための装置である。
図32は、本発明の実施の形態4における機器制御装置の構成を示すブロック図である。図32に示す機器制御装置は、例えば、公知のコンピュータから構成され、統括制御部1111、車両情報取得部1112、生体信号計測部1101、パラメータ抽出部102、判定部1120および制御部1130を含む。これらの各処理部は、本実施の形態に従った機器制御プログラムがインストールされたコンピュータのCPUが当該プログラムを実行することにより実現される。
車両情報取得部1112は、車両の状態に関する情報を取得する。例えば、車両情報取得部1112は、車両が走行しているのか停止しているのかを示す情報、ハンドル操作加速度などのハンドル操作に関する情報、車両の走行スピード、渋滞情報などを取得する。
統括制御部1111は、車両情報取得部1112で取得された車両の状態に関する情報に基づいて、生体信号計測部1101に対して脈波データの取得の開始および終了を指示する。例えば、統括制御部1111は、車両のエンジンがかけられた時に脈波データの取得の開始を指示し、エンジンが切られたときに脈波データの取得の終了を指示するようにしてもよい。
生体信号計測部1101は、統括制御部1111によって処理の開始および終了が制御される以外は、実施の形態1に示した生体信号計測部101と同様である。つまり、運転者の指尖脈波の脈波データを時系列的に取得する。
判定部1120は、パラメータ抽出部102で抽出されたパラメータ値を用いて、脈波データの変化の要因を判定する処理部であり、パラメータ変化量算出部103と、変化要因判定部1105とを含む。
変化要因判定部1105は、パラメータ変化量算出部103により算出された起点変化量と、車両情報取得部1112で取得された車両の状態に関する情報とから、脈波振幅が変化した要因(たとえば、温冷感や体調の影響など)を判定し、判定した要因に基づいて、後述する状態推定部1116に含まれる温冷感推定部108および疲労推定部1109の中から適切な推定部を選択し、選択した推定部へ状態を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。
制御部1130は、変化要因判定部1105における判定結果に基づいて、機器制御を行なう処理部であり、状態推定部1116と、機器制御部1117とを含む。
状態推定部1116は、変化要因判定部1105より出力される脈波振幅の起点変化量から運転者の状態を推定する処理部であり、疲労推定部1109と、温冷感推定部108とを含む。疲労推定部1109は、変化要因判定部1105から出力された脈波振幅の起点変化量からユーザの疲労度を推定し、推定結果を制御部1130の後述する疲労関連機器制御部1113へ出力する。温冷感推定部108は、同じく変化要因判定部1105から出力された脈波振幅の起点変化量からユーザの温冷感を推定し、推定結果を制御部1130の後述する温冷感関連機器制御部1114へ出力する。
機器制御部1117は、疲労推定部1109および温冷感推定部108における推定結果に基づいて、車載用の機器の制御を行なう処理部であり、疲労関連機器制御部1113および温冷感関連機器制御部1114を含む。疲労関連機器制御部1113は、疲労推定部1109により推定された運転者の疲労度に基づいて、運転者の疲労度を改善するための機器制御を行なう。温冷感関連機器制御部1114は、温冷感推定部108により推定された運転者の温冷感に基づいて、運転者の温冷感を改善するための機器制御を行なう。
図33は、生体信号計測部1101の詳細な構成を示すブロック図である。生体信号計測部1101には、脈波センサ1が接続されているものとする。なお、脈波センサ1は、車両のハンドルに設けられており、ハンドルを握った状態の運転者の脈波を計測するものとする。
生体信号計測部1101は、図8に示した生体信号計測部101と同様の構成を有するが、脈波検出部1011の代わりに脈波検出部1121が設けられている点が異なる。脈波検出部1121は、統括制御部1111および脈波センサ1に接続されており、統括制御部1111から脈波データの取得の開始の指示がされてから終了の指示がされるまでの間、脈波センサ1からの出力信号を脈波として検出する。
次に、実施の形態4に係る機器制御装置が実行する処理について説明する。
図34は、本発明の実施の形態4における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。
統括制御部1111は、車両情報取得部1112により取得された車両の状態に関する情報に基づいて、脈波データを計測するか否かを判断する(S41)。例えば、統括制御部1111は、車両のエンジンがかけられたとの情報が車両情報取得部1112より取得された場合には、脈波データを計測すると判断し、エンジンが切られたとの情報が車両情報取得部1112より取得された場合には、脈波データを計測しないと判断する。脈波データを計測すると判断した場合には(S41でYES)、統括制御部1111は、生体信号計測部1101に対して、脈波データの取得の開始を指示する。脈波データを計測しないと判断した場合には(S41でNO)、統括制御部1111は、生体信号計測部1101に対して、脈波データの取得の終了を指示する。統括制御部1111が、生体信号計測部1101に対して脈波データの取得の終了を指示した場合には(S41でNO)、以降の処理を終了する。
統括制御部1111が、生体信号計測部1101に対して脈波データの取得の開始を指示した場合には(S41でYES)、当該指示を受け取った生体信号計測部1101は、運転者の脈波の時系列データを計測して蓄積する(S42)。この処理(S42)は、実施の形態1で説明した脈波の時系列データの計測および蓄積処理(S1)と同様である。このため、その詳細な説明は、ここでは繰り返さない。
パラメータ抽出部102は、生体信号計測部1101で計測した脈波の時系列データから一定時間ごとに脈波振幅を抽出して蓄積する(S2)。
パラメータ変化量算出部103は、パラメータ抽出部102により抽出された脈波振幅の時系列データにおける、あらかじめ定められた起点時刻における値と現在時刻における値の差分を起点変化量として算出する。また、パラメータ変化量算出部103は、前回の計測時刻における値と現在時刻における値の差分を前回変化量として算出する。パラメータ変化量算出部103は、算出した起点変化量と前回変化量を変化要因判定部1105へ出力する(S3)。
一方、車両情報取得部1112は、運転者のハンドル操作データを取得し、取得したハンドル操作データを変化要因判定部1105に出力する(S43)。つまり、車両情報取得部1112は、ハンドル操作データとして、あらかじめ定められた起点時刻から現在時刻までの間に、ハンドル操作加速度(xy2軸合力)が所定の値(例えば、120mG)を越えた時間的な割合を取得し、取得した割合を変化要因判定部1105に出力する。
変化要因判定部1105は、パラメータ変化量算出部103から出力された起点変化量と、車両情報取得部1112から出力されたハンドル操作データとから、脈波振幅が変化した要因を判定する(S44)。変化の要因が温冷感の変化によるものであると判定した場合には(S44でYES)、変化要因判定部1105は、温冷感推定部108へ温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。変化の要因が疲労度の変化によるものであると判定した場合には(S44でNO)、変化要因判定部1105は、疲労推定部1109へ疲労度を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。判定処理(S44)の詳細については後述する。
温冷感推定部108は、変化要因判定部1105から出力された起点変化量に基づいてユーザの温冷感を推定し、温冷感関連機器制御部1114へ推定結果を出力する(S6)。温冷感の推定の方法は、実施の形態1に示したものと同様であるため、その詳細な説明は、ここでは繰り返さない。
温冷感関連機器制御部1114は、温冷感推定部108から出力された温冷感の推定結果に基づいて、温冷感を改善する機器制御を行なう(S45)。
疲労推定部1109は、変化要因判定部1105から出力された起点変化量に基づいてユーザの疲労度を推定し、疲労関連機器制御部1113へ推定結果を出力する(S46)。疲労度の推定の方法は、実施の形態1に示したものと同様であるため、その詳細な説明は、ここでは繰り返さない。
疲労関連機器制御部1113は、疲労推定部1109から出力された疲労度の推定結果に基づいて、疲労度を改善する機器制御を行なう(S47)。
次に、変化要因判定部1105における脈波振幅の変化要因の判定処理(図34のS44)の詳細について説明する。図35は、本発明の実施の形態4における変化要因判定部1105が実行する処理のフローチャートである。また、図36は、変化要因判定部1105が保持する脈波振幅の変化要因を判定する際に用いるデータテーブルを示す図である。以下、図35に示す処理を、図36に示すデータテーブルの内容を用いて説明する。
変化要因判定部1105は、パラメータ変化量算出部103から起点変化量を取得する(S51)。また、変化要因判定部1105は、車両情報取得部1112からハンドル操作データを取得する(S52)。変化要因判定部1105は、起点変化量の絶対値があらかじめ定められた数値(0.1)より大きいか否かを判定する(S53)。起点変化量の絶対値が0.1以下の場合は(S53でNO)、次に起点変化量およびハンドル操作データを取得するまで待機し、S51およびS52以降の処理を繰り返す。
起点変化量の絶対値が0.1より大きい場合は(S53でYES)、変化要因判定部1105は、ハンドル操作データがあらかじめ定められた数値(15%)より大きいか否かを判定する(S54)。ハンドル操作データが数値15%よりも大きい場合には(S54でYES)、変化要因判定部1105は、図36に示すように脈波振幅の変化した要因が運転者の疲労度の変化によるものと判定し、疲労度を推定する際の情報となる起点変化量を、疲労推定部1109へ出力する(S55)。ハンドル操作データが数値15%以下の場合には(S54でNO)、変化要因判定部1105は、図36に示すように脈波振幅の変化した要因が運転者の温冷感の変化によるものと判定し、温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を、温冷感推定部108へ出力する(S56)。
なお、ハンドル操作データが15%を超えるような運転は、運転者にとって負担の大きい走行であり、運転者に対してかなりの負荷を与えるものと言える。よって運転者の疲労を引き起こすと考えられ、図37に示すようにハンドル操作データのしきい値を15%以上と定めることにより最も適切に温冷感と疲労度とを区別することができる。このため、本実施の形態ではハンドル操作データのしきい値を15%と定めている。
次に、温冷感関連機器制御部1114における機器制御処理(図34のS45)の詳細について説明する。図38は、温冷感関連機器制御部1114が実行する処理のフローチャートである。
温冷感関連機器制御部1114は、温冷感推定部108から温冷感の推定結果を取得する(S61)。温冷感関連機器制御部1114は、取得した温冷感の推定結果に対応する制御内容を決定する(S62)。例えば、温冷感が暑い方向に変化したと推定された場合には、エアコンなどの温冷熱出力機器の温度を下げたり、冷風や温風の気流出力機器の温度を下げたり、気流を強めたりする制御内容を決定する。また、温冷感が寒い方向に変化したと推定された場合には、温冷熱出力機器の温度を上げたり、気流出力機器の温度を上げたり、気流を弱めたりする制御内容を決定する。温冷感関連機器制御部1114は、決定された制御内容に従い、機器制御を行なう(S63)。
次に、疲労関連機器制御部1113における機器制御処理(図34ののS47)の詳細について説明する。図39は、疲労関連機器制御部1113が実行する処理のフローチャートである。
疲労関連機器制御部1113は、疲労推定部1109から疲労度の推定結果を取得する(S64)。疲労関連機器制御部1113は、取得した疲労度の推定結果に対応する制御内容を決定する(S65)。例えば、疲労度が増加方向に変化したと推定された場合には、マッサージ機器を動作させる制御内容を決定したり、酸素やマイナスイオンの出力機器を動作させる制御内容を決定したり、ナビゲーションシステムに最寄の森林への誘導をさせたりする制御内容を決定する。車両情報取得部1112において、車両が停止したとの情報が得られた場合に(S66でYES)、疲労関連機器制御部1113は、決定された制御内容に従い、機器制御を行なう(S67)。このように、車両走行中には機器制御を行なわず、車両停車中に機器制御を行なうようにすることにより、例えば、マッサージ機器を車両走行中に動作させることによる運転ミスや、ナビゲーションシステムによる目的地とは異なる地点への誘導などを回避することができ、運転者は安全に目的地まで運転を続けることが可能となる。
以上説明したように実施の形態4による機器制御装置によれば、ユーザの脈波が変化した際に、脈波の変化量に加え、ハンドル操作データを考慮することで、脈波が変化した要因を判定することができる。つまり、脈波の変化の要因が温冷感変化によるものであるのか、疲労度変化によるものであるのかを識別することができる。また、変化の要因に基づいて、ユーザの温冷感の推定または疲労度の推定を行うことができる。このため、ユーザの脈波を取得してその情報を機器制御へフィードバックするシステムにおいて、誤った状態推定結果に基づく機器制御をすることがなくなり、ユーザの状態を確実に提示したり、ユーザの状態を改善するための機器制御を行なったりすることができる。特に、ユーザが車両の運転を行っている状況において、適切に機器制御を行なうことができるため、ユーザはより快適かつ安全な運転を行うことができる。
(実施の形態5)
以下、本発明の実施の形態5に係る機器制御装置について説明する。実施の形態1および4の機器制御装置と同一の構成については、同一の参照符号を付す。その機能および名称も同一であるため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
実施の形態5に係る機器制御装置は、車載用の機器を制御するための装置である。
図40は、本発明の実施の形態5における機器制御装置の構成を示すブロック図である。図40に示す機器制御装置は、例えば、公知のコンピュータから構成され、統括制御部1111、車両情報取得部1112、生体信号計測部1101、パラメータ抽出部102、判定部1220および制御部1130を含む。これらの各処理部は、本実施の形態に従った機器制御プログラムがインストールされたコンピュータのCPUが当該プログラムを実行することにより実現される。実施の形態5に係る機器制御装置は、図32に示した実施の形態4に係る機器制御装置の構成において、判定部1120の代わりに判定部1220を用いたものである。それ以外の構成は、図32に示したものと同様である。
判定部1220は、パラメータ変化量算出部103と、パラメータ変化時間算出部104と、変化要因判定部1205とを含む。変化要因判定部1205は、パラメータ変化量算出部103により算出された起点変化量および前回変化量と、パラメータ変化時間算出部104により算出された起点変化時間と、車両情報取得部1112で取得された車両の状態に関する情報とから、脈波振幅が変化した要因(たとえば、温冷感や体調の影響など)を判定し、判定した要因に基づいて、状態推定部1116に含まれる温冷感推定部108および疲労推定部1109の中から適切な推定部を選択し、選択した推定部へ状態を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。
次に、実施の形態5に係る機器制御装置が実行する処理について説明する。
図41は、本発明の実施の形態5における機器制御装置が実行する処理のフローチャートである。
機器制御装置は、実施の形態4と同様のS41、S42、S2、S3およびS43の処理を実行する。一方、パラメータ変化時間算出部104は、パラメータ抽出部102により抽出された脈波振幅の時系列データにおける、あらかじめ定められた起点時刻から現在時刻までの経過時間を起点変化時間として算出し、起点変化時間を変化要因判定部1205へ出力する(S4)。
変化要因判定部1205は、パラメータ変化量算出部103から出力された起点変化量および前回変化量と、パラメータ変化時間算出部104から出力された起点変化時間と、車両情報取得部1112から出力されたハンドル操作データとから、脈波振幅が変化した要因を判定する(S71)。変化の要因が温冷感の変化によるものであると判定した場合には(S71でYES)、変化要因判定部1205は、温冷感推定部108へ温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。変化の要因が疲労度の変化によるものであると判定した場合には(S71でNO)、変化要因判定部1205は、疲労推定部1109へ疲労度を推定する際の情報となる起点変化量を出力する。判定処理(S71)の詳細については後述する。
その後、機器制御装置は、実施の形態4と同様のS6およびS45〜S47の処理を実行する。
次に、変化要因判定部1205における脈波振幅の変化要因の判定処理(図41のS71)の詳細について説明する。図42は、本発明の実施の形態5における変化要因判定部1205が実行する処理のフローチャートである。なお、変化要因判定部1205は、図13に示したデータテーブルと、図36に示したデータテーブルとを用いて、脈波振幅の変化要因を判定する。以下、図42に示す処理を、図13および図36に示すデータテーブルの内容を用いて説明する。なお、この処理は、図12に示した実施の形態1に係る変化要因判定部105が実行する処理と、図35に示した実施の形態4に係る変化要因判定部1105が実行する処理とを組み合わせた処理である。
まず、変化要因判定部1205は、パラメータ変化量算出部103から起点変化量と前回変化量を取得し、パラメータ変化時間算出部104から起点変化時間を取得する(S81)。一方、変化要因判定部1205は、車両情報取得部1112からハンドル操作データを取得する(S52)。
変化要因判定部1205は、起点変化量の絶対値があらかじめ定められた数値(0.1)より大きいか否かを判定する(S82)。起点変化量の絶対値が0.1以下の場合は(S82でNO)、次に起点変化量、前回変化量および起点変化時間を取得するまで待機し、S81およびS52以降の処理を繰り返す。
起点変化量の絶対値が0.1より大きい場合は(S82でYES)、変化要因判定部1205は、前回変化量の絶対値があらかじめ定められた数値(0.1)より小さいか否かを判定する(S83)。
前回変化量の絶対値が0.1より小さい場合は(S83でYES)、変化要因判定部1205は、起点変化時間があらかじめ定められた値(10分)より大きいか否かを判定する(S84)。起点変化時間が10分より大きい場合は(S84でYES)、変化要因判定部1205は、図13に示すように脈波振幅の変化した要因が疲労度(体調)の変化によるものと判定し、疲労度を推定する際の情報となる起点変化量を疲労推定部1109へ出力する(S55)。起点変化時間が10分以下の場合は(S84でNO)、変化要因判定部1205は、脈波振幅の変化した要因が温冷感の変化によるものと判定し、温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を温冷感推定部108へ出力する(S56)。
前回変化量の絶対値が0.1以上の場合は(S83でNO)、変化要因判定部1205は、ハンドル操作データがあらかじめ定められた数値(15%)より大きいか否かを判定する(S54)。ハンドル操作データが数値15%よりも大きい場合には(S54でYES)、変化要因判定部1205は、図36に示すように脈波振幅の変化した要因が運転者の疲労度の変化によるものと判定し、疲労度を推定する際の情報となる起点変化量を、疲労推定部1109へ出力する(S55)。ハンドル操作データが数値15%以下の場合には(S54でNO)、変化要因判定部1205は、図36に示すように脈波振幅の変化した要因が運転者の温冷感の変化によるものと判定し、温冷感を推定する際の情報となる起点変化量を、温冷感推定部108へ出力する(S56)。
以上説明したように実施の形態5による機器制御装置によれば、ユーザの脈波が変化した際に、脈波の変化量に加え、変化にかかる時間を考慮することで、脈波が変化した要因を判定することができる。さらに、実施の形態5による機器制御装置によれば、ユーザの脈波が変化した際に、脈波の変化量に加え、ハンドル操作データを考慮することで、脈波が変化した要因を判定することができる。つまり、脈波の変化の要因が温冷感変化によるものであるのか、疲労度変化によるものであるのかを識別することができる。また、変化の要因に基づいて、ユーザの温冷感の推定または疲労度の推定を行うことができる。このため、ユーザの脈波を取得してその情報を機器制御へフィードバックするシステムにおいて、誤った状態推定結果に基づく機器制御をすることがなくなり、ユーザの状態を確実に提示したり、ユーザの状態を改善するための機器制御を行なったりすることができる。特に、ユーザが車両の運転を行っている状況において、適切に機器制御を行なうことができるため、ユーザはより快適かつ安全な運転を行うことができる。
(変形例)
上述の実施の形態における生体信号計測部101では、成分比の分散値に基づいて、脈波データのノイズが含まれているか否かの判断を行ったが、成分比が所定の範囲に含まれるか否かに基づいて、脈波データにノイズが含まれているか否かの判断を行うようにしてもよい。つまり、図9に示したように、体動の影響を受けた区間Aおよび区間Bでは速度脈波の最大値と最小値の比(成分比)が大きく変化し、温冷感の変化の影響を受けた区間Cでは成分比の変化が小さい。このため、区間Cでは、成分比が所定の範囲に含まれることになる。
図43は、生体信号計測部の他の構成を示すブロック図である。生体信号計測部3101には、脈波センサ1が接続されているものとする。
生体信号計測部3101は、脈波検出部1011と、脈波微分部1012と、成分抽出部1013と、成分比算出部1014と、判定部3017と、ノイズ区間除去部1018と、蓄積部1019とを含む。生体信号計測部3101が図8に示した生体信号計測部101と異なる点は、成分比保持部1015および分散値算出部1016が設けられておらず、判定部1017の代わりに判定部3017が設けられている点である。このため、生体信号計測部101と共通する処理部については、その詳細な説明はここでは繰り返さない。判定部1017は、成分比算出部1014で算出された成分比の値から、脈波にノイズが含まれているか否かを判定する。
図44は、生体信号計測部3101が実行する処理のフローチャートである。図17に示した生体信号計測部101が実行する処理のフローチャートと同じ処理については、同じステップ番号を付し、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
生体信号計測部3101は、S201〜S205の処理を実行することにより、成分比を算出する。
判定部3017は、算出された成分比が所定の成分比範囲内(例えば、−0.1〜−0.4)に属するか否かを判定する(S306)。ここで、成分比が所定の成分比範囲内に属する場合(S306でYES)、判定部3017は、検出した脈波にはノイズが含まれていないと判断して、ノイズ区間除去部1018が、ノイズ除去をすることなく、脈波を示すデータを蓄積部1019に出力する(S210)。
一方、成分比が所定の成分比範囲内に属さない場合は(S306でNO)、判定部3017は、検出した脈波にはノイズが含まれていると判断し、ノイズ区間除去部1018は、ノイズ区間の脈波を除去することにより、ノイズ除去が行われた後の脈波を示すデータを蓄積部1019に出力する(S211)。
蓄積部1019は、ノイズ区間除去部1018から出力された脈波データを蓄積する(S212)。
生体信号計測部101は、終了する条件を満たしているか否かを調べる(S213)。終了する条件を満たしている場合は(S213でYES)、ここで処理を終了し、満たしていない場合は(S213でNO)、脈波検出部1011が、脈波の検出処理(S201)を継続する。
上述したように、本変形例においては、所定の時間範囲における速度脈波の最大値と最小値の比である成分比を算出し、その成分比が所定の成分比範囲に属するか否かの判定を行うことで、体動の影響によるノイズと温冷感の変化によって生じた脈波の変化との識別を行うことができる。
以上、本発明について実施の形態およびその変形例に基づいて説明を行ったが、本発明は、上述の実施の形態およびその変形例に限定されるものではない。
例えば、実施の形態1および5において、図13に示す変化要因判定部105で用いるデータテーブルにおける、起点変化量および前回変化量のしきい値0.1や、起点変化時間のしきい値10分については、これに限定されるものではなく、あらかじめ定められた所定の数値を用いてもよい。また、起点変化量および前回変化量のしきい値については、あらかじめ定められた所定の数値に代えて、ユーザの脈波振幅の時系列データにおける一定区間の平均値から計算される数値(たとえば、平均値の1割の値など)を用いてもよいものとする。
また、実施の形態2において、図26に示す変化要因判定部506で用いるデータテーブルにおける、起点変化量のしきい値0.1や、温度起点変化量のしきい値3℃については、これに限定されるものではなく、あらかじめ定められた所定の数値を用いてもよい。また、起点変化量のしきい値については、あらかじめ定められた所定の数値に代えて、ユーザの脈波振幅の時系列データにおける一定区間の平均値から計算される数値(たとえば、平均値の1割の値など)を用いてもよいものとする。
また、実施の形態3において、図31が示す変化要因判定部905で用いるデータテーブルにおける、起点変化量のしきい値0.1や、起点変化量積分値のしきい値1については、これに限定されるものではなく、あらかじめ定められた所定の数値を用いてもよい。また、起点変化量のしきい値については、あらかじめ定められた所定の数値に代えて、ユーザの脈波振幅の時系列データにおける一定区間の平均値から計算される数値(たとえば、平均値の1割の値など)を用いてもよいものとする。
また、実施の形態4および5において、図36が示す変化要因判定部1105で用いるデータテーブルにおける起点変化量のしきい値0.1や、ハンドル操作データのしきい値15%については、これに限定されるものではなく、あらかじめ定められた所定の数値を用いてもよい。また、起点変化量のしきい値については、あらかじめ定められた所定の数値に代えて、ユーザの脈波振幅の時系列データにおける一定区間の平均値から計算される数値(たとえば、平均値の1割の値など)を用いてもよいものとする。
また、上述の実施の形態において、パラメータ抽出部102は、脈波振幅をパラメータ値として抽出したが、心拍数や脈拍数、さらには、脈波波形を2階微分した加速度脈波の波形成分(a、b、c、dおよびe)や波形成分比(b/a、c/a、d/a、e/a)、脈波間隔を周波数解析した結果であるLF/HFやHF、さらには、脈波波形をカオス解析した結果である最大リアプノフ指数など、ユーザの温冷感や体調を推定する可能性のある生体信号をパラメータ値として抽出してもよい。なお、a、b、c、dおよびeは、図22に示したa波、b波、c波、d波およびe波の振幅値をそれぞれ示す。
また、機器制御部107または温冷感関連機器制御部1114により行われる機器制御として、ユーザの温冷感を表示装置に表示させたり、ユーザの温冷感の状態に応じて警報を出力したりしてもよい。また、機器制御部107または疲労関連機器制御部1113により行われる機器制御として、ユーザの体調または疲労度を表示装置に表示させたり、ユーザの体調または疲労度の状態に応じて警報を出力したりしてもよい。また、ユーザの温冷感や体調を改善させる機器制御として、冷房や暖房等の温冷熱刺激、冷風や温風等の気流刺激、マッサージ等の物理刺激、または酸素やマイナスイオン等の物質刺激等を与えるものとしてもよい。例えば、温冷感が暑い方向に変化したと推定された場合には、温冷熱刺激の温度を下げたり、気流刺激の気流を強めたりしてもよいし、温冷感が寒い方向に変化したと推定された場合には、温冷熱刺激の温度を上げたり、気流刺激の気流を弱めたりしてもよい。温冷感が不快方向に変化したと推定された場合には、現状の制御内容をキャンセルしたりしてもよいし、温冷感が快適方向に変化したと推定された場合には、現状の制御内容をその後も維持するようにしてもよい。また、ユーザの体調が疲労度が増える方向に変化したと推定された場合には、マッサージ等の物理刺激をユーザに与えたり、マイナスイオン等の物質刺激を与えたりしてもよい。
また、パラメータ抽出部102において脈波振幅を抽出する際は、脈波の1波形ごとに脈波振幅を抽出して都度出力するものとしたが、脈波の複数波形の脈波振幅における平均値を出力してもよいものとする。
また、パラメータ変化量算出部103、パラメータ変化時間算出部104およびパラメータ変化量積分部904で用いられた脈波振幅の時系列データにおける起点時刻、ならびに温度起点変化量算出部505で用いられた環境温度の時系列データにおける起点時刻を、あらかじめ定められた時刻としたが、たとえば、一定時間(たとえば1分など)ごとに現在時刻へ更新されるとしてもよいし、現在時刻より一定時間(たとえば10分など)前の時刻を起点時刻としてもよい。
また、実施の形態1〜3において、状態推定部106に、温冷感推定部108と体調推定部109とが含まれる構成としたが、体調推定部109で推定される体調をさらに詳細に分類し、体調推定部109が、疲労度推定部、ストレス推定部、眠気推定部などを含むものであってもよい。
また、上述の実施の形態の生体信号計測部101および1101では、成分比の分散値の代わりに、標準偏差値を用いてもかまわない。
また、上述の実施の形態の生体信号計測部101および1101は、分散値から脈波にノイズが含まれているか否かを判定するようにしたが、各生体信号計測部に、分散値を記憶する記憶装置と、2つの分散値の差分値を求める処理部とを設け、差分値が所定の範囲に属するか否かによって、ノイズの混入を判定するようにしてもよい。
また、上述の変形例の生体信号計測部3101は、成分比の値から脈波にノイズが含まれているか否かを判定するようにしたが、生体信号計測部に、成分比を保持する記憶装置と、2つの成分比の差分値を求める処理部とを設け、差分値が所定の範囲に属するか否かによって、ノイズの混入を判定するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態では脈波センサ1を透過型光学式センサとしたが、反射式のセンサでもよいし、圧電式のセンサであってもかまわない。また、脈波は指の付け根や手のひら部分で計測するようにしてもよい。
また、成分抽出部1013で最小値を抽出する範囲を、最大値を抽出したポイント(図18でのM1)よりも時系列的に後ろにある範囲(図18でのT2)としたが、全ての範囲(図18でのT1)で抽出するようにしてもよい。
また、成分比算出部1014で算出する成分比を、最小値を最大値で除した値としたが、最大値を最小値で除した値としてもよい。
また、ここでは、脈波にノイズが含まれている場合にその旨を報知するようにしてもよいし、脈波にノイズが含まれていない場合にも、脈波が検出できていることを知らせるために、音声や光等で報知したり、脈波波形を表示したりするようにしてもよい。
また、実施の形態4および5では、脈波センサ1は、車両のハンドルに設けられており、ハンドルを握った状態の運転者の脈波を計測するものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、ドライバや乗員が触れる可能性のあるシフトレバーやアームレストなどに脈波センサ1を設け、これらに触れたときの脈波を計測するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態では、体調推定部109または疲労推定部1109における推定結果に従い、所定の機器を制御しているが、単に体調または疲労度をレコーダに記録するものであってもよいし、体調または疲労度を、ネットワークを介してサーバに送信するものであってもよい。なお、サーバへの送信は、例えば、疲労度が所定のしきい値よりも大きくなった場合にのみ行われるようにしてもよい。
また、上述の実施の形態では、車載用途を中心とした機器制御について説明を行ったが、車載用途以外の機器制御であってもよい。例えば、温度変化が起こる環境で、機器操作をおこなうユーザの疲労度を測定するものとして、空調があるオフィスのパソコン機器や、調理場が併設された店舗内でのレジスター機器を操作するユーザの疲労度を測定し、測定結果に応じた機器制御を行なうようにしてもよい。
また、上述の実施の形態に示した各装置は、コンピュータから構成されるものとしたが、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、システムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)に代表される集積回路から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明にかかる脈波検出装置は、家庭や医療機関等における脈波の計測・検出装置等として有用である。また、脈波から人体の状態をモニタリングする等の用途にも応用できる。
本発明にかかる機器制御装置は、人の生体信号からその人の状態を推定する際、状態推定の材料となる生体信号の変化が何に起因するものなのかを識別し、人の状態を確実に推定して機器制御を実行することができる。このため、生体信号に基づいた車載用の機器を制御する機器制御装置等として有用である。
1 脈波センサ
101、1101、3101 生体信号計測部
102 パラメータ抽出部
103 パラメータ変化量算出部
104 パラメータ変化時間算出部
105、506、905、1105、1205 変化要因判定部
106、1116 状態推定部
107、1117 機器制御部
108 温冷感推定部
109 体調推定部
120、520、920、1017、1120、1220、3017 判定部
130、1130 制御部
504 環境温度計測部
505 温度起点変化量算出部
904 パラメータ変化量積分部
1011、1121 脈波検出部
1012 脈波微分部
1013 成分抽出部
1014 成分比算出部
1015 成分比保持部
1016 分散値算出部
1018 ノイズ区間除去部
1019 蓄積部
1109 疲労推定部
1111 統括制御部
1112 車両情報取得部
1113 疲労関連機器制御部
1114 温冷感関連機器制御部

Claims (15)

  1. ユーザの脈波を示す脈波データを検出する脈波検出装置であって、
    ユーザの脈波を示す脈波データを時系列で検出する脈波検出部と、
    前記脈波検出部により検出された時系列の脈波データを時間微分することにより、時系列の速度脈波データを算出する脈波微分部と、
    第1の時間範囲を時間軸方向にずらしながら、前記第1の時間範囲に含まれる前記脈波微分部で算出された時系列の速度脈波データの最大値と最小値とを抽出することを繰り返す成分抽出部と、
    前記第1の時間範囲毎に、前記成分抽出部で抽出された最大値と最小値との比である成分比を算出する成分比算出部と、
    前記成分比算出部で算出された前記成分比が時間的に不安定な区間をノイズ区間と判定するノイズ区間判定部と
    を備える脈波検出装置。
  2. 前記ノイズ区間判定部は、
    第2の時間範囲に含まれる前記成分比の分散値を算出する分散値算出部と、
    前記分散値算出部で算出された分散値が所定の範囲内に含まれるか否かを判定し、前記分散値が前記所定の範囲内に含まれていないと判定される場合に、前記第2の時間範囲内に前記脈波データのノイズが含まれていると判定する判定部とを含む
    請求項1記載の脈波検出装置。
  3. さらに、前記脈波検出部で検出された時系列の脈波データのうち、前記判定部で前記ノイズが含まれていると判定された前記第2の時間範囲内に含まれる脈波データを除去するノイズ区間除去部を備える
    請求項1記載の脈波検出装置。
  4. 前記分散値算出部は、前記第2の時間範囲を時間軸方向にずらしながら、各第2の時間範囲に含まれる前記成分比の分散値を算出し、
    前記判定部は、前記第2の時間範囲毎に、前記分散値算出部で算出された分散値が所定の範囲内に含まれるか否かを判定し、前記分散値が前記所定の範囲内に含まれていないと判定される場合に、当該第2の時間範囲内に前記脈波データのノイズが含まれていると判定し、
    前記ノイズ区間除去部は、前記脈波検出部で検出された時系列の脈波データのうち、前記判定部で前記ノイズが含まれていないと判断された前記第2の時間範囲の後に、前記判定部で前記ノイズが含まれていると判断された前記第2の時間範囲が続く場合に、前記判定部で前記ノイズが含まれていると判断された前記第2の時間範囲のうちの所定時間位置以降に含まれる脈波データを除去する
    請求項3記載の脈波検出装置。
  5. 前記ノイズ区間除去部は、さらに、脈波検出部で検出された時系列の脈波データのうち、前記判定部で前記ノイズが含まれていると判断された前記第2の時間範囲の後に、前記判定部で前記ノイズが含まれていないと判断された前記第2の時間範囲が続く場合に、前記判定部で前記ノイズが含まれていないと判断された前記第2の時間範囲のうちの所定時間位置以前に含まれる脈波データを除去する
    請求項4記載の脈波検出装置。
  6. 前記ノイズ区間判定部は、
    前記成分比算出部で算出された前記成分比が所定の範囲内に含まれるか否かを判定し、前記所定の範囲内に含まれていないと判定された成分比を算出した前記第1の時間範囲内に前記脈波データのノイズが含まれていると判定する判定部を含む
    請求項1記載の脈波検出装置。
  7. 前記成分抽出部は、第1の時間範囲を時間軸方向にずらしながら、前記第1の時間範囲に含まれる前記脈波微分部で算出された時系列の速度脈波データの最大値を抽出し、当該最大値が含まれる第1の時間範囲のうち、当該最大値に対応する時刻よりも遅い時間範囲に含まれる前記脈波微分部で算出された時系列の速度脈波データの最小値を抽出することを繰り返す
    請求項1記載の脈波検出装置。
  8. ユーザの脈波を示す脈波データに基づいて車載用の機器を制御するための機器制御装置であって、
    ユーザの脈波を示す脈波データを時系列で計測する生体信号計測部と、
    前記生体信号計測部により計測された時系列の脈波データから、ユーザの状態を評価するための時系列のパラメータ値を抽出するパラメータ抽出部と、
    前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値を用いて、前記脈波データの変化の要因が、前記ユーザの体調の変化によるものであるのか、前記ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであるのかを判定する判定部と、
    前記判定部における判定結果に基づいて、車載用の機器を制御する制御部とを備え、
    前記生体信号計測部は、
    ユーザの脈波を示す脈波データを時系列で検出する脈波検出部と、
    脈波検出部により検出された時系列の脈波データを時間微分することにより、時系列の速度脈波データを算出する脈波微分部と、
    第1の時間範囲を時間軸方向にずらしながら、前記第1の時間範囲に含まれる前記脈波微分部で算出された時系列の速度脈波データの最大値と最小値とを抽出することを繰り返す成分抽出部と、
    前記第1の時間範囲毎に、前記成分抽出部で抽出された最大値と最小値との比である成分比を算出する成分比算出部と、
    前記成分比算出部で算出された前記成分比が時間的に不安定な区間をノイズ区間と判定するノイズ区間判定部と、
    前記脈波検出部で検出された時系列の脈波データのうち、前記ノイズ区間に含まれる脈波データを除去するノイズ区間除去部とを含む
    機器制御装置。
  9. 前記判定部は、
    前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、当該パラメータ値の、あらかじめ定められた起点時刻において前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値からの変化量である起点変化量を算出するパラメータ変化量算出部と、
    前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、前記起点時刻から当該パラメータ値の抽出時刻までの時間である変化時間を算出するパラメータ変化時間算出部と、
    前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、前記パラメータ変化量算出部により算出された前記起点変化量が所定の起点変化量しきい値を超え、かつ前記パラメータ変化時間算出部により算出された前記変化時間が所定の変化時間しきい値を超えた場合には、前記生体信号の変化の要因が、前記ユーザの体調の変化によるものであると判定し、前記起点変化量が前記所定の起点変化量しきい値を超え、かつ前記変化時間が前記所定の変化時間しきい値以下の場合には、前記生体信号の変化の要因が、前記ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであると判定する変化要因判定部とを含む
    請求項8記載の機器制御装置。
  10. 前記判定部は、
    前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、当該パラメータ値の、あらかじめ定められた起点時刻において前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値からの変化量である起点変化量を算出するパラメータ変化量算出部と、
    前記ユーザの周囲の環境温度を時系列で計測する環境温度計測部と、
    前記環境温度計測部により計測された環境温度の各々について、当該環境温度の、前記起点時刻において前記環境温度計測部により計測された環境温度からの変化量である温度起点変化量を算出する温度起点変化量算出部と、
    前記パラメータ変化量算出部により算出された前記起点変化量が所定の起点変化量しきい値を超え、かつ前記温度起点変化量算出部により算出された前記温度起点変化量が所定の温度起点変化量しきい値以下の場合には、前記生体信号の変化の要因が、前記ユーザの体調の変化によるものであると判定し、前記起点変化量が前記所定の起点変化量しきい値を超え、かつ前記温度起点変化量が前記所定の温度起点変化量しきい値を超えた場合には、前記生体信号の変化の要因が、前記ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであると判定する変化要因判定部とを含む
    請求項8記載の機器制御装置。
  11. 前記判定部は、
    前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、当該パラメータ値の、あらかじめ定められた起点時刻において前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値からの変化量である起点変化量を算出するパラメータ変化量算出部と、
    前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、前記起点時刻から当該パラメータ値の抽出時刻までの間に前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の積分値である起点変化量積分値を算出するパラメータ変化量積分部と、
    前記パラメータ変化量算出部により算出された前記起点変化量が所定の起点変化量しきい値を超え、かつ前記パラメータ変化量積分部により算出された前記起点変化量積分値が所定の積分値しきい値を超えた場合には、前記生体信号の変化の要因が、前記ユーザの体調の変化によるものであると判定し、前記起点変化量が前記所定の起点変化量しきい値を超え、かつ前記起点変化量積分値が前記所定の積分値しきい値以下の場合には、前記生体信号の変化の要因が、前記ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであると判定する変化要因判定部とを含む
    請求項8記載の機器制御装置。
  12. 前記機器制御装置は、さらに、ユーザが運転している車両の状態に関する情報を取得する車両情報取得部を備え、
    前記判定部は、
    前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、当該パラメータ値の、あらかじめ定められた起点時刻において前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値からの変化量である起点変化量を算出するパラメータ変化量算出部と、
    前記パラメータ変化量算出部により算出された前記起点変化量と、前記車両情報取得部により取得された前記車両の走行状態とから、前記脈波データの変化の要因が、前記ユーザの体調の変化によるものであるのか、前記ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであるのかを判定する変化要因判定部とを含む
    請求項8記載の機器制御装置。
  13. 前記機器制御装置は、さらに、ユーザが運転している車両の状態に関する情報を取得する車両情報取得部を備え、
    前記判定部は、
    前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、当該パラメータ値の、あらかじめ定められた起点時刻において前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値からの変化量である起点変化量を算出するパラメータ変化量算出部と、
    前記パラメータ抽出部により抽出されたパラメータ値の各々について、前記起点時刻から当該パラメータ値の抽出時刻までの時間である変化時間を算出するパラメータ変化時間算出部と、
    前記パラメータ変化量算出部により算出された前記起点変化量と、パラメータ変化時間算出部により算出された前記変化時間と、前記車両情報取得部により取得された前記車両の走行状態とから、前記脈波データの変化の要因が、前記ユーザの体調の変化によるものであるのか、前記ユーザの周囲の環境温度の変化によるものであるのかを判定する変化要因判定部とを含む
    請求項8記載の機器制御装置。
  14. ユーザの脈波を示す脈波データを検出する脈波検出方法であって、
    ユーザの脈波を示す脈波データを時系列で検出する脈波検出ステップと、
    前記脈波検出ステップにより検出された時系列の脈波データを時間微分することにより、時系列の速度脈波データを算出する脈波微分ステップと、
    第1の時間範囲を時間軸方向にずらしながら、前記第1の時間範囲に含まれる前記脈波微分ステップで算出された時系列の速度脈波データの最大値と最小値とを抽出することを繰り返す成分抽出ステップと、
    前記第1の時間範囲毎に、前記成分抽出ステップで抽出された最大値と最小値との比である成分比を算出する成分比算出ステップと、
    前記成分比算出ステップで算出された前記成分比が時間的に不安定な区間をノイズ区間と判定するノイズ区間判定ステップと
    を含む脈波検出方法。
  15. ユーザの脈波を示す脈波データを検出する脈波検出プログラムであって、
    ユーザの脈波を示す脈波データを時系列で検出する脈波検出ステップと、
    前記脈波検出ステップにより検出された時系列の脈波データを時間微分することにより、時系列の速度脈波データを算出する脈波微分ステップと、
    第1の時間範囲を時間軸方向にずらしながら、前記第1の時間範囲に含まれる前記脈波微分ステップで算出された時系列の速度脈波データの最大値と最小値とを抽出することを繰り返す成分抽出ステップと、
    前記第1の時間範囲毎に、前記成分抽出ステップで抽出された最大値と最小値との比である成分比を算出する成分比算出ステップと、
    前記成分比算出ステップで算出された前記成分比が時間的に不安定な区間をノイズ区間と判定するノイズ区間判定ステップと
    をコンピュータに実行させる脈波検出プログラム。
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