明 細 書
環境制御装置、環境制御方法、環境制御プログラム及び環境制御システ ム
技術分野
[0001] 本発明は、生体の状態を生体情報に基づき推定して居住環境を制御する環境制 御装置、環境制御方法、環境制御プログラム及び環境制御システムに関するもので ある。
背景技術
[0002] 従来より、ユーザの居住環境を制御する際には、居住環境温度(以下、室温と記す )、居住環境湿度 (以下、湿度と記す)、居住環境外温度 (以下、外気温と記す)、日 射量等の環境物理量を検出して環境制御機器を制御していた。また、上記のような 環境物理量に基づく制御の他にも、ユーザの生体情報を取得して解析し、緊張状態 、リラックス状態、又は興奮状態等のユーザの状態を推定し、その推定結果に基づい て、環境制御機器を制御する手法が提案されている。
[0003] 例えば、特許文献 1では、ユーザの脈波の振幅によりユーザの心理状態、主に温 冷感 (温感)を推定する技術が提案されて 、る。図 16は特許文献 1に記載されて!ヽる 第 5図である。特許文献 1では、脈波振幅の絶対値(図 16中の Vp—p)と温冷感 (寒 V、 ·涼 、 ·やや涼 U、'無感 ·やや暖か!/、 ·暖カ 、'暑い)との相関を特性曲線 Lで表 現し、ある時点で取得したユーザの脈波振幅絶対値が Vpaならばユーザの温冷感は "暖かい"、 Vpbならば"涼しい"と推定し、その推定結果に基づいて空調機器の制御 を行う。
[0004] また、例えば、特許文献 2では、ベッド内に温度センサ及び湿度センサを付加して、 入床時のユーザの背中部の温度を計測することにより、ベッド内でのユーザの温冷 感を推定し、複数ユーザの温冷感の平均値により寝室の温度及び湿度の制御を行う ことが提案されている。
[0005] し力しながら、前記特許文献 1では、ユーザの脈波振幅の絶対値とユーザの温冷 感とを相関付けており、ユーザの脈波を取得してその振幅絶対値力 ユーザの温冷
感を推定しているが、脈波振幅には個人差によるバラツキがあるため、脈波振幅絶対 値が同じであればどのユーザも同じ温冷感であるわけではない。例えば、ユーザ Aと ユーザ Bの脈波振幅絶対値が同じ Vpcであってもユーザ Aの温冷感は"やや涼しい" 、ユーザ Bの温冷感は"やや暖かい"となる場合がある。すなわち前記特許文献 1で は、脈波振幅絶対値の個人差に対応ができていないので、ユーザ Aが"やや涼しい" と感じていても冷房を強めてユーザ Aを不快にしてしまう等の不具合を発生させてし まう場合があるという課題を有していた。また、特許文献 1では対象とするユーザが一 人の場合のみを想定しており、同一空間に複数のユーザが存在する場合の対処に ついては記載がない。
また、特許文献 2では、ユーザの背中部の温度とユーザの温冷感とを相関付けて おり、ベッド内の温度センサでユーザの背中部の温度を取得して、その温度からユー ザの温冷感(一 3 :寒い、 2 :涼しい、 1 :やや涼しい、 0 :どちらでもない、 1 :やや 暖かい、 2 :暖かい、 3 :暑い)を推定しているが、ユーザの背中部の温度にも個人差 によるバラツキがあるため、背中部の温度が同じであればどのユーザも同じ温冷感で あるわけではない。例えば、ユーザ Aとユーザ Bの背中部の温度が同じ温度であって もユーザ Aの温冷感は"やや涼しい(一 1) "、ユーザ Bの温冷感は"暑くも寒くもどちら でもない (0) "となる場合がある。すなわち、前記特許文献 2では、背中部の温度の個 人差に対応できていないので、ユーザ B力 '暑くも寒くもどちらでもない(0) "と感じて いても冷房を弱めてユーザ Bを不快にしてしまう等の不具合を発生させてしまう場合 がある。また、特許文献 2では対象とするユーザが複数の場合には、背中部の温度を もとに推定した複数ユーザのそれぞれの温冷感を平均して求めた平均温冷感を用い て、同一空間 (寝室)に複数のユーザが存在する場合の空調機器制御を行っている 。し力しながら、複数ユーザのそれぞれの温冷感が背中部の温度の個人差に対応で きずに推定されて ヽるので、その平均を用いても複数ユーザの温冷感を反映した適 切な空調機器制御が行えな 、と 、う課題を有して ヽた。
特許文献 1 :特許第 2833082号公報 (第 5— 6頁、第 5図)
特許文献 2:特開平 6 - 147593号公報 (第 2— 3頁、図 2)
発明の開示
[0007] 本発明は、前記従来の課題を解決するもので、同一空間に複数の生体が存在する 際に生体情報の個人差に対応した上で快適感を推定し、推定した快適感に基づき 刺激内容を適切に制御できる環境制御装置、環境制御方法、環境制御プログラム及 び環境制御システムを提供することを目的とする。
[0008] 本発明の一局面に係る環境制御装置は、刺激が与えられた複数の生体の生体情 報の時系列データを取得する生体情報取得部と、前記生体情報取得部によって取 得された前記時系列データを解析して、時間の経過とともに変化するパラメータを抽 出するパラメータ抽出部と、前記パラメータ抽出部によって抽出された前記パラメータ に基づいて、前記刺激に対する各生体の状態を推定する生体状態推定部と、前記 生体状態推定部によって推定された生体毎の推定結果を 1つに統合する統合処理 部と、前記統合処理部によって統合された推定結果に基づいて、複数の生体に与え る刺激内容を制御する刺激制御部とを備え、前記生体状態推定部は、前記パラメ一 タ抽出部によって抽出された前記パラメータに基づいて、前記刺激に対する生体の 快適感が、不快力 快適の方向へと変化していることを表す状態と、快適から不快の 方向へと変化していることを表す状態とのうちのいずれの状態であるかを生体毎に推 定する。
[0009] 本発明の他の局面に係る環境制御方法は、刺激が与えられた複数の生体の生体 情報の時系列データを取得する生体情報取得ステップと、前記生体情報取得ステツ プにおいて取得された前記時系列データを解析して、時間の経過とともに変化する ノ ラメータを抽出するパラメータ抽出ステップと、前記パラメータ抽出ステップにおい て抽出された前記パラメータに基づいて、前記刺激に対する各生体の状態を推定す る生体状態推定ステップと、前記生体状態推定ステップにお!、て推定された生体毎 の推定結果を 1つに統合する統合処理ステップと、前記統合処理ステップにおいて 統合された推定結果に基づ!/、て、複数の生体に与える刺激内容を制御する刺激制 御ステップとを含み、前記生体状態推定ステップは、前記パラメータ抽出ステップに おいて抽出された前記パラメータに基づいて、前記刺激に対する生体の快適感が、 不快力 快適の方向へと変化していることを表す状態と、快適力 不快の方向へと変 化して 、ることを表す状態とのうちの 、ずれの状態であるかを生体毎に推定する。
[0010] 本発明の他の局面に係る環境制御プログラムは、刺激が与えられた複数の生体の 生体情報の時系列データを取得する生体情報取得手段と、前記生体情報取得手段 によって取得された前記時系列データを解析して、時間の経過とともに変化するパラ メータを抽出するパラメータ抽出手段と、前記パラメータ抽出手段によって抽出され た前記パラメータに基づ 、て、前記刺激に対する各生体の状態を推定する生体状態 推定手段と、前記生体状態推定手段によって推定された生体毎の推定結果を 1つに 統合する統合処理手段と、前記統合処理手段によって統合された推定結果に基づ いて、複数の生体に与える刺激内容を制御する刺激制御手段としてコンピュータを 機能させ、前記生体状態推定手段は、前記パラメータ抽出手段によって抽出された 前記パラメータに基づいて、前記刺激に対する生体の快適感が、不快から快適の方 向へと変化していることを表す状態と、快適力 不快の方向へと変化していることを表 す状態とのうちのいずれの状態であるかを生体毎に推定する。
[0011] 本発明の他の局面に係る環境制御システムは、複数の生体に与える刺激を生成す る刺激生成部と、各生体の生体情報を測定する測定部と、前記測定部によって測定 された各生体の生体情報の時系列データを取得する生体情報取得部と、前記生体 情報取得部によって取得された前記時系列データを解析して、時間の経過とともに 変化するパラメータを抽出するパラメータ抽出部と、前記パラメータ抽出部によって抽 出された前記パラメータに基づいて、前記刺激生成部によって生成された刺激に対 する各生体の状態を推定する生体状態推定部と、前記生体状態推定部によって推 定された生体毎の推定結果を 1つに統合する統合処理部と、前記統合処理部によつ て統合された推定結果に基づいて前記刺激生成部を制御する刺激制御部とを備え 、前記生体状態推定部は、前記パラメータ抽出部によって抽出された前記パラメータ に基づいて、前記刺激生成部によって生成された刺激に対する生体の快適感が、不 快力 快適の方向へと変化していることを表す状態と、快適力 不快の方向へと変化 して 、ることを表す状態とのうちの 、ずれの状態であるかを生体毎に推定する。
[0012] これらの構成によれば、複数の生体に与える刺激が生成され、刺激が与えられた複 数の生体の生体情報の時系列データが取得される。続いて、取得された時系列デー タを解析して、時間の経過とともに変化するパラメータが抽出され、抽出されたパラメ
ータに基づいて、刺激に対する各生体の状態が推定される。そして、推定された生 体毎の推定結果が 1つに統合され、統合された推定結果に基づいて、複数の生体に 与える刺激内容が制御される。また、抽出されたパラメータに基づいて、刺激に対す る生体の快適感が、不快力 快適の方向へと変化していることを表す状態と、快適か ら不快の方向へと変化していることを表す状態とのうちのいずれの状態であるかが生 体毎に推定される。
[0013] したがって、同一空間に複数の生体が存在する際に、時間の経過とともに変化する ノ ラメータに基づいて各生体の状態が推定されるので、個人差のばらつきがある生 体情報パラメータの絶対値を用いることなぐ生体情報の個人差に対応した上で生体 の状態を推定し、推定した生体の状態に基づき刺激内容を適切に制御できる。 図面の簡単な説明
[0014] [図 1]本発明の実施の形態 1における環境制御システムの構成を示すブロック図であ る。
[図 2]図 1に示す環境制御システムによる環境制御処理の流れを示すフローチャート である。
[図 3]脈波の最大リアプノフ指数および脈波波高最大値とユーザの温冷感との相関を 表すグラフである。
[図 4]脈波波高最大値と温冷感との関係、および最大リアプノフ指数と温冷感との関 係をマトリクス状にまとめたテーブルを示す図である。
[図 5]本発明の実施の形態 1における温冷感推定部による温冷感推定処理の流れを 示すフローチャートである。
[図 6]実施の形態 1における複数人温冷感処理部での統合処理の流れを示すフロー チャートである。
[図 7]図 6に示す温冷感推定データの統合処理を説明するためのテーブルである。
[図 8]本発明の実施の形態 1における環境制御装置にユーザ位置検出部を設けた場 合の構成を示すブロック図である。
[図 9]本発明の実施の形態 2における環境制御システムの構成を示すブロック図であ る。
[図 10]本発明の実施の形態 2における状態継続時間計測部における状態継続時間 計測処理の流れを示すフローチャートである。
[図 11]実施の形態 2における複数人温冷感処理部での統合処理の流れを示すフロ 一チャートである。
[図 12]図 11に示す温冷感推定データの統合処理を説明するためのテーブルである [図 13]本発明の実施の形態 3における環境制御システムの構成を示すブロック図で ある。
[図 14]本発明の実施の形態 3における温冷感推定データ判断部及び状態変化パラ メータ記憶部における状態変化パラメータ記憶処理の流れを示すフローチャートであ る。
[図 15]本発明の実施の形態 3における複数人温冷感処理部での統合処理の流れを 示すフローチャートである。
[図 16]特許文献 1に記載されている第 5図である。
発明を実施するための最良の形態
[0015] 以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[0016] (実施の形態 1)
図 1は、本発明の実施の形態 1における環境制御システムの構成を示すブロック図 である。図 1において、環境制御システム 1は、環境制御装置 100、生体情報センサ 200a, 200b及び刺激生成部 300を備える。
[0017] 生体情報センサ 200a, 200bは、各生体の生体情報を測定する。具体的に、生体 情報センサ 200a, 200bは、脈波センサであり、発光素子により近赤外光をユーザの 指又は耳たぶの皮膚表面に照射し、受光素子により透過光又は反射光を受光し、受 光した光の変化を電気信号に変換することで血流量の変化を検出し、脈波を測定す る。刺激生成部 300は、複数のユーザに与える温冷熱刺激を生成する。なお、刺激 生成部 300は、例えば家庭用の空調機器で構成される。なお、温冷熱刺激とは、温 熱、冷熱又はそれら両方を与える刺激のことである。
[0018] 環境制御装置 100は、複数のユーザが存在する空間内の環境を制御する。環境 制御装置 100は、生体情報取得部 101a, 101b,パラメータ抽出部 102a, 102b,
温冷感推定部 103a, 103b,刺激制御部 104及び複数人温冷感処理部 105を備え て構成される。なお、環境制御装置 100は、例えば CPU、 ROM及び RAMなどから 構成され、 ROMに記憶されている環境制御プログラムを CPUが実行することにより、 生体情報取得部 101a, 101b,パラメータ抽出部 102a, 102b,温冷感推定部 103a , 103b,刺激制御部 104及び複数人温冷感処理部 105として機能する。また、環境 制御プログラムは、 CD— ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録さ れており、環境制御装置 100は、この記録媒体力 環境制御プログラムをインスト一 ルしてもよい。さらに、環境制御装置 100がネットワーク通信可能である場合、環境制 御装置 100は、サーバ等の他の機器力も環境制御プログラムをダウンロードしてもよ い。
[0019] 生体情報取得部 101a, 101bは、生体情報センサ 200a, 200bによって測定され た各ユーザの生体情報 (脈波)の時系列データを取得する。
[0020] パラメータ抽出部 102a, 102bは、脈波の時系列データを解析して脈波パラメータ を算出する。温冷感推定部 103a, 103bは、パラメータ抽出部 102a, 102bによって 抽出された脈波パラメータに基づいてユーザの温冷感を推定する。ここで、生体情報 センサ 200a、生体情報取得部 101a、パラメータ抽出部 102a及び温冷感推定部 10 3aはユーザ Aを対象として動作し、生体情報センサ 200b、生体情報取得部 101b、 ノ メータ抽出部 102b及び温冷感推定部 103bは、ユーザ Aと同一空間内に存在 するユーザ Bを対象として動作する。
[0021] 刺激制御部 104は、刺激生成部 300を制御する。複数人温冷感処理部 105は、温 冷感推定部 103a, 103bによって推定される複数のユーザ各々の推定結果を入力と して複数人の温冷感を統合処理した結果を出力する。刺激制御部 104は、複数人 温冷感処理部 105によって出力された複数のユーザの温冷感の推定結果に基づき 、ユーザに与える刺激内容や生成する環境状態を決定し、刺激生成部 300に出力 する。
[0022] なお、本実施の形態において、生体情報センサ 200a, 200bが生体情報測定部の 一例に相当し、刺激生成部 300が刺激生成部の一例に相当し、生体情報取得部 10 la, 101bが生体情報取得部の一例に相当し、パラメータ抽出部 102a, 102bがパラ
メータ抽出部の一例に相当し、温冷感推定部 103a, 103bが生体状態推定部の一 例に相当し、複数人温冷感処理部 105が統合処理部の一例に相当し、刺激制御部 104が刺激制御部の一例に相当する。
[0023] 次に、図 1に示す環境制御システムによる環境制御処理について説明する。図 2は 、図 1に示す環境制御システムによる環境制御処理の流れを示すフローチャートであ る。まず、生体情報センサ 200aはユーザ Aの脈波を測定し、生体情報取得部 101a はユーザ Aの脈波の時系列データを取得する(ステップ SI)。次いで、パラメータ抽 出部 102aは、生体情報取得部 101aにより取得した脈波の時系列データから一定時 間ごとに、脈波データにおける各脈拍 1拍分の中で波形のピーク値である脈波波高 最大値 hmaxを抽出して蓄積するとともに、一定時間ごとに脈波の時系列データを力 ォス解析することにより最大リアプノフ指数えを算出して蓄積する (ステップ S2)。
[0024] 次いで、温冷感推定部 103aは、パラメータ抽出部 102aにより抽出された脈波波高 最大値 hmaxの現在値とその直前の値である直前値とサンプリング周期とから脈波波 高最大値 hmaxの微分値 Δ hmaxを算出するとともに、算出された最大リアプノフ指 数 λの現在値とその直前の値である直前値とサンプリング周期とから最大リアプノフ 指数えの微分値 Δ λを算出する。そして、温冷感推定部 103aは、算出した脈波波 高最大値の微分値 Δ hmaxと最大リアプノフ指数の微分値 Δ λとに基づいてユーザ Αの温冷感を推定し、ユーザ Aの温冷感の推定結果を複数人温冷感処理部 105へ 出力する(ステップ S3)。なお、図 2に示すステップ S1からステップ S3までの処理は、 ユーザ Bを対象としても同様に行われ、温冷感推定部 103bはユーザ Bの温冷感を 推定して出力する。
[0025] ここで、図 2で示したステップ S3でのユーザの温冷感推定処理について説明する。
脈波の振幅絶対値には個人差によるばらつきがあることからユーザの温冷感推定に 脈波の振幅絶対値を用いると推定精度が低下してしまう。そこで、本発明者らは、脈 波振幅の変動に相当する脈波波高最大値の変動とユーザの温冷感の変動との相関 に加え、脈波のゆらぎ度をカオス解析により指数ィ匕した最大リアプノフ指数の変動と ユーザの温冷感の変動とに高い相関があることを見出した。そして、温冷熱刺激 (温 冷熱環境の変化)に関して、脈波波高最大値の変動と最大リアプノフ指数の変動と
力 ユーザの温冷感を推定することで、個人差に影響されな 、精度の高 、ユーザの 温冷感推定が実現可能であることを見出した。ここで、脈波波高最大値とは、脈波デ ータにおけるある所定時間内に取得された何拍分かの脈波波形でのピーク値のこと を指す。あるいは、脈波データにおける各脈拍 1拍分の中で波形のピーク値としても よいし、何拍かの各脈波波形のピーク値の平均値としてもよいし、脈波の振幅として ちょい。
[0026] 図 3は、本発明者らが被験者実験により見出した、脈波の最大リアプノフ指数およ び脈波波高最大値とユーザの温冷感との相関を表すグラフである。図 3に示すように 、最大リアプノフ指数と温冷感とには温冷感 0 (暑くも寒くもどちらでもない状態)付近 で最大リアプノフ指数が極値を持つ下に凸形状のグラフで表される相関関係にある。 また、脈波波高最大値と温冷感とには温冷感が寒 、(一 3)から暑 、( + 3)の方向に 変動するのに伴って脈波波高最大値が単調に増加する相関関係にある。
[0027] また、図 4は、図 3から見出した脈波波高最大値と温冷感との関係、および最大リア プノフ指数と温冷感との関係をマトリクス状にまとめたテーブルであり、温冷感推定部 103a, 103bがこのテーブルを予め保持している。図 4に示すように、脈波波高最大 値が増加し、かつ最大リアプノフ指数が減少した場合、ユーザの温冷感は、寒いとい う温冷感 ( 3)からどちらでもな 、と 、う温冷感 (0)の方向へと変化し、脈波波高最 大値が減少し、かつ最大リアプノフ指数が減少した場合、ユーザの温冷感は、暑いと いう温冷感( + 3)からどちらでもないという温冷感 (0)の方向へと変化する。また、脈 波波高最大値が増加し、かつ最大リアプノフ指数が増カロした場合、ユーザの温冷感 は、どちらでもな 、と 、う温冷感 (0)から署 、と 、う温冷感 ( + 3)の方向へと変化し、 脈波波高最大値が減少し、かつ最大リアプノフ指数が増カロした場合、ユーザの温冷 感は、どちらでもな 、と 、う温冷感 (0)から寒 、と 、う温冷感 ( 3)の方向へと変化す る。
[0028] すなわち、図 4に示すテーブルを用いて温冷感推定部 103a, 103bは、温冷熱環 境を構成する機器による制御が実行された後、脈波波高最大値が増加かつ最大リア プノフ指数が減少した場合、ユーザの温冷感は寒 、側から 0 (暑くも寒くもな 、;)方向 に変化したと推定し、脈波波高最大値が増加かつ最大リアプノフ指数が増カロした場
合、ユーザの温冷感は 0から暑い方向に変化したと推定する。また、温冷感推定部 1 03a, 103bは、脈波波高最大値が減少かつ最大リアプノフ指数が減少した場合、ュ 一ザの温冷感は暑いから 0方向に変化したと推定し、脈波波高最大値が減少かつ最 大リアプノフ指数が増加した場合、ユーザの温冷感は 0から寒 、方向に変化したと推 定する。
[0029] 図 5は、本発明の実施の形態 1における温冷感推定部 103a, 103bによる温冷感 推定処理の流れを示すフローチャートである。
[0030] まず、温冷感推定部 103a, 103bは、パラメータ抽出部 102a, 102bによって抽出 された脈波波高最大値 hmaxの現在値とその直前の値である直前値とサンプリング 周期とから脈波波高最大値 hmaxの微分値 A hmaxを算出する。また、温冷感推定 部 103a, 103bは、パラメータ抽出部 102a, 102bによって並行して算出された最大 リアプノフ指数 λの現在値とその直前の値である直前値とサンプリング周期とから最 大リアプノフ指数 λの微分値 Δ λを算出する (ステップ SI 1)。
[0031] ここで、温冷感推定部 103a, 103bは、まず脈波波高最大値 hmaxの微分値 A hm axにつ 、ての判定を行 、 (ステップ S 12)、続、て最大リアプノフ指数 λの微分値 Δ λの判定を行う(ステップ S 13及びステップ S 16)。脈波波高最大値の微分値 A hma Xが 0以上、すなわち脈波波高最大値が増加しており(ステップ S 12で YES)、かつ最 大リアプノフ指数の微分値 Δ λが 0以上、すなわち最大リアプノフ指数が増カロしてい る場合 (ステップ S 13で YES)、温冷感推定部 103a, 103bは、予め保持している図 4のテーブルデータを参照し、温冷感が暑くも寒くもない中立状態の 0から暑い状態 の方向へ変化していると推定する (ステップ S14)。次に、温冷感推定部 103a, 103 bは、推定結果である推定データを複数人温冷感処理部 105へ出力する (ステップ S 19)。
[0032] 脈波波高最大値の微分値 Δ hmaxが 0以上、すなわち脈波波高最大値が増加して おり(ステップ S12で YES)、かつ最大リアプノフ指数の微分値 Δ λが 0未満、すなわ ち最大リアプノフ指数が減少している場合 (ステップ S 13で NO)、温冷感推定部 103 a, 103bは、予め保持している図 4のテーブルデータに基づき、温冷感が寒い状態 力も 0の中立状態の方向へ変化していると推定する (ステップ S15)。次に、温冷感推
定部 103a, 103bは、推定結果である推定データを複数人温冷感処理部 105へ出 力する (ステップ S 19)。
[0033] 脈波波高最大値の微分値 A hmaxが 0未満、すなわち脈波波高最大値が減少して おり(ステップ S12で NO)、かつ最大リアプノフ指数の微分値 Δ λが 0以上、すなわ ち最大リアプノフ指数が増加している場合 (ステップ S16で YES)、温冷感推定部 10 3a, 103bは、予め保持している図 4のテーブルデータに基づき、温冷感が 0の中立 状態力も寒い状態の方向へ変化していると推定する (ステップ S17)。次に、温冷感 推定部 103a, 103bは、推定結果である推定データを複数人温冷感処理部 105へ 出力する (ステップ S19)。
[0034] 脈波波高最大値の微分値 A hmaxが 0未満、すなわち脈波波高最大値が減少して おり(ステップ S 12で NO)かつ、最大リアプノフ指数の微分値 Δ λが 0未満、すなわ ち最大リアプノフ指数が減少している場合 (ステップ S16で NO)、温冷感推定部 103 a, 103bは、温冷感が暑い状態力も 0の中立状態の方向へ変化していると推定する( ステップ S18)。次に、温冷感推定部 103a, 103bは、推定結果である推定データを 複数人温冷感処理部 105へ出力する (ステップ S19)。
[0035] 図 2に戻って、複数人温冷感処理部 105は、温冷感推定部 103aによって推定され たユーザ Aの推定データを受信するとともに、温冷感推定部 103bによって推定され たユーザ Bの推定データを受信し、 2つの推定データを 1つの推定データに統合処 理する (ステップ S4)。
[0036] ここで、複数人温冷感処理部 105での統合処理について説明する。図 6は、実施 の形態 1における複数人温冷感処理部 105での統合処理の流れを示すフローチヤ ートである。まず、複数人温冷感処理部 105は、温冷感推定部 103aからユーザ Aの 温冷感を推定した温冷感推定データを受信するとともに、温冷感推定部 103bからュ 一ザ Bの温冷感を推定した温冷感推定データを受信する (ステップ S31)。
[0037] 次に、複数人温冷感処理部 105は、温冷感が悪ィ匕しているユーザを優先するよう に、受信した複数の温冷感推定データを統合する。図 7は、図 6に示す温冷感推定 データの統合処理を説明するためのテーブルである。複数人温冷感処理部 105は、 温冷感推定部 103a, 103bによって推定されたユーザ A及びユーザ Bの温冷感推定
データの組み合わせに応じて温冷感が悪化 (0→寒方向に変化、あるいは 0→暑方 向に変化)して 、るユーザを優先するように温冷感推定データを統合処理する。すな わち、複数人温冷感処理部 105は、ユーザ A及びユーザ Bの温冷感推定データがと もに改善状態 (寒→0の方向に変化、ある 、は暑→0に方向に変化)であるか否かを 判断する (ステップ S32)。
[0038] ここで、温冷感推定部 103a, 103bがそれぞれ推定したユーザ A及びユーザ Bの 温冷感推定データがともに改善状態 (寒→0の方向に変化、ある 、は暑→0に方向に 変化)であると判断された場合 (ステップ S32で YES)、複数人温冷感処理部 105は 、温冷感推定データを寒→0に変化、暑→0方向に変化、あるいは寒 '暑→0方向に 変化として統合処理する (ステップ S33)。例えば、図 7に示すように、温冷感推定部 1 03aの推定データが"寒→0 "であり、温冷感推定部 103bの推定データが"寒→0 "で ある場合、複数人温冷感処理部 105は、推定データを"寒→0' 'とする。また、温冷感 推定部 103aの推定データが"寒→0 "であり、温冷感推定部 103bの推定データが" 暑→0 "である場合、複数人温冷感処理部 105は、推定データを"寒 '暑→0"とする。 次に、複数人温冷感処理部 105は、統合処理した温冷感推定データを刺激制御部 104へ出力する (ステップ S 37)。
[0039] ユーザ A及びユーザ Bの温冷感推定データがともに改善状態でな!、と判断された 場合 (ステップ S32で NO)、複数人温冷感処理部 105は、ユーザ A及びユーザ Bの 温冷感推定データが互いに逆方向の悪化状態 (一方が 0→寒方向に変化、他方が 0 →暑方向に変化)である力否かを判断する (ステップ S34)。ユーザ A及びユーザ Bの 温冷感推定データが互いに逆方向の悪化状態 (一方が 0→寒方向に変化、他方が 0 →暑方向に変化)であると判断された場合 (ステップ S34で YES)、複数人温冷感処 理部 105は、温冷感推定データを 0→寒'暑に変化として統合処理する (ステップ S3 5)。例えば、図 7に示すように、温冷感推定部 103aの推定データが" 0→寒 "であり、 温冷感推定部 103bの推定データが" 0→暑 "である場合、複数人温冷感処理部 105 は、推定データを" 0→寒'暑"とする。また、温冷感推定部 103aの推定データが" 0 →暑 "であり、温冷感推定部 103bの推定データが" 0→寒 "である場合、複数人温冷 感処理部 105は、推定データを" 0→寒'暑"とする。次に、複数人温冷感処理部 105
は、統合処理した温冷感推定データを刺激制御部 104へ出力する (ステップ S37)。
[0040] ユーザ A及びユーザ Bの温冷感推定データが互いに逆方向の悪化状態でな!、と 判断された場合、すなわちユーザ A及びユーザ Bの温冷感推定データのうちの一方 が改善状態 (寒→0方向に変化、あるいは暑→0方向に変化)であり、他方が悪化状 態 (0→寒方向に変化、あるいは 0→暑方向に変化)であると判断された場合 (ステツ プ S34で NO)、複数人温冷感処理部 105は、温冷感推定データを 0→寒に変化、あ るいは 0→暑方向に変化として統合処理する (ステップ S36)。例えば、図 7に示すよ うに、温冷感推定部 103aの推定データが"寒→0 "であり、温冷感推定部 103bの推 定データが" 0→暑 "である場合、複数人温冷感処理部 105は、推定データを" 0→暑 "とする。また、温冷感推定部 103aの推定データ力 '暑→0 "であり、温冷感推定部 1 03bの推定データが" 0→寒 "である場合、複数人温冷感処理部 105は、推定データ を" 0→寒 "とする。次に、複数人温冷感処理部 105は、統合処理した温冷感推定デ ータを刺激制御部 104へ出力する (ステップ S 37)。
[0041] 図 2に戻って、刺激制御部 104は、複数人温冷感処理部 105によって出力された 温冷感推定データに基づ 、て刺激生成部 300の制御内容を決定する (ステップ S5) 。統合処理された温冷感推定データが寒→0方向である場合、温冷感推定データが 暑→0方向である場合、あるいは温冷感推定データが寒 '暑→0方向である場合、す なわち温冷感が改善状態である場合、現状の刺激生成部 300の制御内容が適切で あり複数のユーザは現状のままでしばらくは温冷感が 0に近づくようになる。そのため 、刺激制御部 104は、温冷感が改善状態である場合、現状の制御内容を維持する。
[0042] 統合処理された温冷感推定データが 0→寒方向である場合、あるいは温冷感推定 データが 0→暑方向である場合、すなわち温冷感が悪化状態である場合、現状の刺 激生成部 300の制御内容のままではユーザの温冷感が悪ィ匕して行くことになる。そこ で、刺激制御部 104は、温冷感を改善するように現状の制御内容を変更する。刺激 制御部 104は、 0→寒方向である場合、冷房運転時には冷房能力を低下させるベく 制御内容を決定し、暖房運転時には暖房能力を向上させるベく制御内容を決定する 。また、刺激制御部 104は、 0→暑方向である場合、冷房運転時には冷房能力を向 上させるべく制御内容を決定し、暖房運転時には暖房能力を低下させるベく制御内
容を決定する。
[0043] また、統合処理された温冷感推定データが、 0→寒*暑方向である場合、すなわち 温冷感がどちらでもな 、と!/ヽぅ温冷感から寒!、と!/ヽぅ温冷感の方向に悪化して!/ヽるュ 一ザと、どちらでもな 、と 、う温冷感カも暑 、と 、う温冷感の方向に悪化して 、るユー ザとが混在している場合には、複数のユーザが存在している空間を均一な温冷熱環 境にして温冷感が寒 、と!/、う方向に悪ィ匕して 、るユーザと暑!、と!/、う方向に悪化して いるユーザとをともに満足させることは困難である。そこで、例えば図 8に示すように、 各ユーザの位置を検出し、検出した各ユーザの位置を刺激制御部 104に出力する ユーザ位置検出部 110a, 110bを新たに設ける。ユーザ位置検出部 110aは、刺激 生成部 300が設置されている空間内におけるユーザ Aの位置を検出し、検出したュ 一ザ Aの位置を刺激制御部 104へ出力する。また、ユーザ位置検出部 110bは、刺 激生成部 300が設置されている空間内におけるユーザ Bの位置を検出し、検出した ユーザ Bの位置を刺激制御部 104へ出力する。なお、ユーザ位置検出部 110a, 11 Obが位置検出部の一例に相当する。
[0044] 例えば、各ユーザは、ユーザを特定するための 情報を含む赤外光を出力する赤 外線タグを装着している。ユーザ位置検出部 110a, 110bは、赤外光に含まれる ID 情報に基づいてユーザを特定するとともに、刺激生成部 300が設置されている空間 内におけるユーザの位置を特定する。
[0045] そして、刺激制御部 104は、冷房運転時には温冷感が暑いという方向に悪化して いるユーザに向けて刺激生成部 300から冷風を吹出させるべく制御内容を決定する 。あるいは、刺激制御部 104は、暖房運転時には温冷感が寒いという方向に悪ィ匕し ているユーザに向けて刺激生成部 300から温風を吹出させるべく制御内容を決定す るなどの刺激制御を行う。このように、刺激制御部 104は、各ユーザの温冷感が改善 されるように、刺激生成部 300の風向及び風量をユーザ毎に変化させる。
[0046] なお、図 8では、ユーザ毎にユーザ位置検出部 110a, 110bを設けているが、本発 明は特にこれに限定されず、ユーザ位置検出部 110を 1つだけ設け、このユーザ位 置検出部 110が複数のユーザの位置を検出してもよい。また、本実施の形態では、 ユーザが 2人である場合の統合処理について説明している力 本発明はユーザが 3
人以上であっても適用可能である。
[0047] さらに、別のユーザ位置検出方法では、刺激生成部 300が設置されている空間内 の床面に圧力を検知するセンサ及び脈拍数を検知するセンサを設ける。そして、ュ 一ザ位置検出部 110は、刺激生成部 300が設置されている空間内において、圧力 が検知された位置を特定する。また、ユーザ位置検出部 110は、圧力が検知された 床面に設けられたセンサによりユーザの脈拍数を検知する。その後、ユーザ位置検 出部 110は、生体情報として取得されるユーザの脈拍数と、センサにより検知された 脈拍数とがー致する力否かを判断し、ユーザを特定する。
[0048] このように、複数のユーザに与える刺激が生成され、各ユーザの生体情報の時系 列データが取得される。続いて、取得された時系列データを解析して、時間の経過と ともに変化するパラメータが抽出され、抽出されたパラメータに基づいて、刺激に対 する各ユーザの状態が推定される。そして、推定されたユーザ毎の推定結果が 1つ に統合され、統合された推定結果に基づいて刺激生成部 300が制御される。また、 複数のユーザに与える温冷熱刺激が生成され、生体情報はユーザの脈波であり、抽 出されたパラメータに基づいて、温冷熱刺激に対するユーザの温冷感が、寒いという 温冷感からどちらでもないという温冷感の方向へと変化していることを表す第 1の状 態と、暑 、と 、う温冷感からどちらでもな 、と 、う温冷感の方向へと変化して 、ること を表す第 2の状態と、どちらでもな 、と 、う温冷感力 暑 、と 、う温冷感の方向へと変 化して 、ることを表す第 3の状態と、どちらでもな 、と 、う温冷感から寒 、と 、う温冷感 の方向へと変化して 、ることを表す第 4の状態とのうちの 、ずれの状態であるかがュ 一ザ毎に推定される。
[0049] したがって、同一空間に複数のユーザが存在する際に、時間の経過とともに変化す るパラメータに基づいて各ユーザの状態が推定されるので、個人差のばらつきがある 生体情報パラメータの絶対値を用いることなぐ生体情報の個人差に対応した上でュ 一ザの状態を推定し、推定したユーザの状態に基づき刺激生成部 300を適切に制 御できる。
[0050] また、寒いという温冷感からどちらでもないという温冷感を経て暑いという温冷感へ の変化に伴い値が増大する第 1のパラメータと、どちらでもないという温冷感の時に
極小値を有し、どちらでもな 、と 、う温冷感から寒!、と 、う温冷感への変化に伴!、値 が増加するとともにどちらでもな 、と 、う温冷感力 暑 、と 、う温冷感への変化に伴 い値が増加する第 2のパラメータとが抽出される。そして、抽出された第 1のパラメ一 タと第 2のパラメータとの組み合わせに基づ 、て、温冷熱刺激に対するユーザの温冷 感カ 寒 、と 、う温冷感からどちらでもな 、と 、う温冷感の方向へと変化して 、ること を表す第 1の状態と、暑いという温冷感からどちらでもないという温冷感の方向へと変 化して 、ることを表す第 2の状態と、どちらでもな 、と 、う温冷感力 暑 、と 、う温冷感 の方向へと変化して 、ることを表す第 3の状態と、どちらでもな 、と 、う温冷感から寒 V、と 、う温冷感の方向へと変化して 、ることを表す第 4の状態とのうちの 、ずれの状 態であるかがユーザ毎に推定される。
[0051] したがって、温冷熱刺激に対するユーザの温冷感が、寒いという温冷感からどちら でもな 、と 、う温冷感の方向へと変化して 、ることを表す第 1の状態と、暑 、と 、う温 冷感からどちらでもな 、と 、う温冷感の方向へと変化して 、ることを表す第 2の状態と 、どちらでもな 、と 、う温冷感力 暑 、と 、う温冷感の方向へと変化して 、ることを表 す第 3の状態と、どちらでもな 、と 、う温冷感から寒 、と 、う温冷感の方向へと変化し て 、ることを表す第 4の状態とのうちの 、ずれの状態であるかがユーザ毎に推定され るので、各ユーザの温冷感を推定することができ、推定したユーザの温冷感に基づき 刺激生成部 300を適切に制御できる。
[0052] さらに、脈波の時系列データを解析して脈波波高最大値と最大リアプノフ指数とが 抽出され、抽出された脈波波高最大値の時間変化 (微分値)と最大リアプノフ指数の 時間変化 (微分値)とが算出される。そして、脈波波高最大値が増加し、かつ最大リア プノフ指数が減少している場合、ユーザの温冷感が第 1の状態であると推定される。 また、脈波波高最大値が減少し、かつ最大リアプノフ指数が減少している場合、ユー ザの温冷感が第 2の状態であると推定される。さらに、脈波波高最大値が増加し、か つ最大リアプノフ指数が増カロして 、る場合、ユーザの温冷感が第 3の状態であると推 定される。さらにまた、脈波波高最大値が減少し、かつ最大リアプノフ指数が増加し ている場合、ユーザの温冷感が第 4の状態であると推定される。したがって、脈波波 高最大値の時間変化と最大リアプノフ指数の時間変化とに基づいて、各ユーザの温
冷感を正確に推定することができる。
[0053] さらにまた、温冷感が上記の第 3の状態及び第 4の状態のいずれか一方の状態、 すなわち、温冷感が悪ィ匕の方向に変化しているユーザの推定結果が優先して選択さ れるので、同一空間に複数のユーザが存在する場合であっても各ユーザの温冷感 に基づいて刺激生成部 300を適切に制御することができる。
[0054] なお、本実施の形態において、温冷感推定部 103a, 103bが脈波波高最大値の 微分値 Ahmaxと最大リアプノフ指数の微分値 Δ λとに基づいてユーザの温冷感を 推定しているが、これにこだわるものではなぐ脈波波高最大値の微分値 Ahmaxと 同様に、脈波を 2階微分した加速度脈波における波高最大値 (あるいは振幅)の微 分値、加速度脈波における波形成分比である bZaの微分値、 dZaの微分値、 e/a の微分値、脈拍数の微分値、カオス解析における軌道の乱雑性を示す軌道平行測 度 TPMの微分値を用いてもよぐまた、最大リアプノフ指数の微分値 Δ λと同様に、 脈波を 2階微分した加速度脈波における加速度脈波パラメータ cZaの微分値を用い てもよく、これらを基にユーザの温冷感を推定してもよい。
[0055] また、複数人温冷感処理部 105は、温冷感がどちらでもないという温冷感力 暑い t 、う温冷感の方向へと変化して 、る第 3の状態及びどちらでもな 、と 、う温冷感か ら寒 、と 、う温冷感の方向へと変化して 、る第 4の状態の 、ずれか一方の状態であ る生体の推定結果を優先して選択しているが、本発明は特にこれに限定されない。 複数人温冷感処理部 105は、複数の推定結果の中から、多数決の原理により、最も 多い推定結果を優先して選択してもよい。例えば、同一空間内に 10人のユーザが存 在し、そのうち 6人の温冷感推定データが全て 0→寒方向に変化しており、残りの 4人 の温冷感推定データが全て暑→0方向に変化している場合、複数人温冷感処理部 1 05は、温冷感推定データを 0→寒方向に変化しているとして統合処理する。なお、最 も多い推定結果が複数組存在する場合、複数人温冷感処理部 105は、いずれかの 推定結果をランダムに選択してもよ 、し、悪化状態にある推定結果を優先して選択し てもよい。
[0056] (実施の形態 2)
図 9は、本発明の実施の形態 2における環境制御システムの構成を示すブロック図
である。図 9において、図 1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略 する。
[0057] 図 9において、環境制御装置 100は、状態継続時間計測部 107a, 107bをさらに 備える。状態継続時間計測部 107a, 107bは、温冷感推定部 103a, 103bの推定結 果 (寒い側力も 0 (暑くも寒くもない)方向、暑い側から 0方向、 0から寒い方向、あるい は 0から暑い方向への変化)を入力として、同じ推定結果が継続している時間を計測 して複数人温冷感処理部 105に推定結果の状態継続時間を出力する。なお、本実 施の形態にぉ 、て、状態継続時間計測部 107a, 107bが状態継続時間計測部の一 例に相当する。
[0058] 図 10は、状態継続時間計測部 107aにおける状態継続時間計測処理の流れを示 すフローチャートである。なお、図 10に示す処理は、図 2におけるステップ S3の処理 とステップ S4の処理との間に行われる。まず、状態継続時間計測部 107aは、温冷感 推定部 103aで推定されたユーザ Aの温冷感推定結果を受信する (ステップ S51)。 次に、状態継続時間計測部 107aは、今回受信した温冷感推定結果と、前回受信し た温冷感推定結果と比較する (ステップ S52)。受信した温冷感推定結果に変化があ る場合 (ステップ S52で YES)、状態継続時間計測部 107aは、温冷感推定結果の状 態継続時間 TAをリセット (TA=0)する (ステップ S53)。なお、状態継続時間計測部 107aは、所定時間 ΔΤ毎に温冷感推定結果を温冷感推定部 103aから受信する。
[0059] 一方、受信した温冷感推定結果に変化がな!、場合 (ステップ S52で NO)、状態継 続時間計測部 107aは、温冷感推定結果の状態継続時間 TAを計測 (ΤΑ=ΤΑ+ Δ T、ただし ΔΤは前回の温冷感推定からの経過時間)する (ステップ S54)。次に、状 態継続時間計測部 107aは、状態継続時間 TAを複数人温冷感処理部 105に出力 する(ステップ S 55)。
[0060] 次に、状態継続時間計測部 107aは、次回の状態継続時間計測に備えて今回受 信した温冷感推定結果を記憶する (ステップ S 56)。図 10で示した処理は、ユーザ B を対象としても同様に行われ、状態継続時間計測部 107bは、ユーザ Bの温冷感が 継続している状態継続時間 TBを計測して出力する。
[0061] 次に、実施の形態 2における複数人温冷感処理部 105での統合処理について説
明する。図 11は、実施の形態 2における複数人温冷感処理部 105での統合処理の 流れを示すフローチャートである。まず、複数人温冷感処理部 105は、温冷感推定 部 103aからユーザ Aの温冷感を推定した温冷感推定データを受信するとともに、温 冷感推定部 103bからユーザ Bの温冷感を推定した温冷感推定データを受信する( ステップ S61)。
[0062] 次に、複数人温冷感処理部 105は、状態継続時間計測部 107aからユーザ Aの状 態継続時間 TAを受信するとともに、状態継続時間計測部 107bからユーザ Bの状態 継続時間 TBを受信する (ステップ S62)。その後、複数人温冷感処理部 105は、ュ 一ザ A及びユーザ Bのそれぞれの状態継続時間 TA及び状態継続時間 TBを比較し て、同じ温冷感状態が長時間継続して 、るユーザを優先するように温冷感推定デー タを統合処理する。
[0063] 図 12は、図 11に示す温冷感推定データの統合処理を説明するためのテーブルで ある。複数人温冷感処理部 105は、温冷感推定部 103a, 103bがそれぞれ推定した ユーザ A及びユーザ Bの温冷感推定データの組み合わせと、状態継続時間計測部 1 07a, 107bが計測したユーザ A及びユーザ Bのそれぞれの状態継続時間 TA及び 状態継続時間 TBとに応じて、同じ温冷感状態が長時間継続して ヽるユーザを優先 するように温冷感推定データを統合処理する。すなわち、複数人温冷感処理部 105 は、ユーザ A及びユーザ Bの温冷感推定データがともに改善状態 (寒→0の方向に 変化、あるいは暑→0に方向に変化)であるか否かを判断する (ステップ S63)。
[0064] ここで、温冷感推定部 103a, 103bがそれぞれ推定したユーザ A及びユーザ Bの 温冷感推定データがともに改善状態 (寒→0の方向に変化、ある 、は暑→0に方向に 変化)であると判断された場合 (ステップ S63で YES)、複数人温冷感処理部 105は 、温冷感推定データを寒→0に変化、暑→0方向に変化、あるいは寒 '暑→0方向に 変化として統合処理する (ステップ S64)。例えば、図 12に示すように、温冷感推定部 103aの推定データが"寒→0 "であり、温冷感推定部 103bの推定データが"寒→0" である場合、複数人温冷感処理部 105は、推定データを"寒→0' 'とする。また、温冷 感推定部 103aの推定データが"寒→0 "であり、温冷感推定部 103bの推定データが "暑→0 "である場合、複数人温冷感処理部 105は、推定データを"寒 '暑→0"とする
。次に、複数人温冷感処理部 105は、統合処理した温冷感推定データを刺激制御 部 104へ出力する (ステップ S68)。
[0065] 一方、温冷感推定部 103a, 103bがそれぞれ推定したユーザ A及びユーザ Bの温 冷感推定データがともに改善状態 (寒→0の方向に変化、ある 、は暑→0に方向に変 ィ匕)でな 、、すなわち!/、ずれか一方が改善状態でな 、と判断された場合 (ステップ S6 3で NO)、複数人温冷感処理部 105は、ユーザ Aの状態継続時間 TAとユーザ Bの 状態継続時間 TBとを比較する (ステップ S65)。ユーザ Aの状態継続時間 TAがユー ザ Bの状態継続時間 TB以上であると判断された場合 (ステップ S65で YES)、複数 人温冷感処理部 105は、ユーザ Aの温冷感推定データを優先して統合処理する (ス テツプ S66)。
[0066] 一方、ユーザ Aの状態継続時間 TAがユーザ Bの状態継続時間 TB未満であると判 断された場合 (ステップ S65で NO)、複数人温冷感処理部 105は、ユーザ Bの温冷 感推定データを優先して統合処理する (ステップ S67)。
[0067] 例えば、図 12に示すように、温冷感推定部 103aの推定データが"寒→0 "であり、 温冷感推定部 103bの推定データが" 0→暑 "である場合、複数人温冷感処理部 105 は、ユーザ Aの状態継続時間 TAとユーザ Bの状態継続時間 TBとを比較する。ここ で、ユーザ Aの状態継続時間 TAがユーザ Bの状態継続時間 TB以上であると判断さ れた場合、複数人温冷感処理部 105は、推定データを"寒→0' 'とする。一方、ユー ザ Aの状態継続時間 TAがユーザ Bの状態継続時間 TB未満であると判断された場 合、複数人温冷感処理部 105は、推定データを" 0→暑 "とする。次に、複数人温冷 感処理部 105は、統合処理した温冷感推定データを刺激制御部 104へ出力する (ス テツプ S68)。
[0068] 次に、刺激制御部 104は、複数人温冷感処理部 105から出力された統合処理され た温冷感推定データに基づ!/、て刺激生成部 300の制御内容を決定する。統合処理 された温冷感推定データが寒→0方向である場合、温冷感推定データが暑→0方向 である場合、あるいは温冷感推定データが寒 '暑→0方向である場合、すなわち温冷 感が改善状態である場合、現状の刺激生成部 300の制御内容が適切であり複数の ユーザは現状のままでしばらくは温冷感が 0に近づくようになる。そのため、刺激制御
部 104は、温冷感が改善状態である場合、現状の制御内容を維持する。
[0069] 統合処理された温冷感推定データが 0→寒方向である場合、あるいは温冷感推定 データが 0→暑方向である場合、すなわち温冷感が悪化状態である場合、現状の刺 激生成部 300の制御内容のままではユーザの温冷感が悪ィ匕して行くことになる。そこ で、刺激制御部 104は、温冷感が改善するように、現状の制御内容を変更する。す なわち、刺激制御部 104は、 0→寒方向である場合、冷房運転時には冷房能力を低 下させるべく制御内容を決定し、暖房運転時には暖房能力を向上させるベく制御内 容を決定する。また、刺激制御部 104は、 0→暑方向である場合、冷房運転時には 冷房能力を向上させるベく制御内容を決定し、暖房運転時には暖房能力を低下させ るべく制御内容を決定する。
[0070] また、統合処理された温冷感推定データが、 0→寒*暑方向である場合、すなわち 温冷感がどちらでもな 、と!/ヽぅ温冷感から寒!、と!/ヽぅ温冷感の方向に悪化して!/ヽるュ 一ザと、どちらでもな 、と 、う温冷感カも暑 、と 、う温冷感の方向に悪化して 、るユー ザとが混在している場合には、複数のユーザが存在している空間を均一な温冷熱環 境にして温冷感が寒 、と!/、う方向に悪ィ匕して 、るユーザと暑!、と!/、う方向に悪化して いるユーザとをともに満足させることは困難である。し力しながら、温冷感がより長時 間悪ィ匕状態にあるユーザの温冷感推定データを優先することにより、特定のユーザ が不快な状態に長時間曝されることを回避することができる。
[0071] このように、状態継続時間計測部 107a, 107bは、温冷感推定部 103a, 103bの推 定結果 (上記の第 1〜第 4の状態)のうちの同一の状態が継続している時間が計測さ れ、計測される状態継続時間が最も長 、ユーザの推定結果が優先して選択されるの で、同一空間に複数のユーザが存在する際にもそれぞれのユーザの温冷感に基づ いて居住環境を構成する空調機器などの刺激生成部 300を適切に制御することが でき、特定のユーザが不快な状態に長時間曝されることを回避することができる。
[0072] なお、本実施の形態においては、状態継続時間計測部 107a, 107bは、温冷感推 定部 103a, 103bの推定結果 (上記の第 1〜第 4の状態)のうちの同一の状態が継続 している時間を計測するものとしたが、上記の第 1の状態 (寒いという温冷感からどち らでもな 、と 、う温冷感の方向へと変ィ匕)ある ヽは第 4の状態(どちらでもな 、と 、う温
冷感カも寒いという温冷感の方向へと変ィ匕)が継続されている時間、あるいは上記の 第 2の状態 (暑 、と 、う温冷感からどちらでもな 、と 、う温冷感の方向へと変化)ある いは第 3の状態(どちらでもな 、と 、う温冷感力 暑 、と 、う温冷感の方向へと変化) が継続されて 、る時間を計測すれば、どちらでもな ヽと 、う温冷感から寒!、方向の状 態あるいはどちらでもないという温冷感力 暑い方向の状態に長時間曝され続けるこ とが回避されるちのである。
[0073] (実施の形態 3)
図 13は、本発明の実施の形態 3における環境制御システムの構成を示すブロック 図である。図 13において、図 1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を 省略する。
[0074] 図 13において、環境制御装置 100は、温冷感推定データ判断部 108a, 108b及 び状態変化パラメータ記憶部 109a, 109bをさらに備える。温冷感推定データ判断 部 108a, 108bは、温冷感推定部 103a, 103b力も受信したユーザの温冷感推定デ ータと、状態変化パラメータ記憶部 109a, 109bに記憶されている前回の温冷感推 定データとに基づ 、て、ユーザの温冷感が暑!、側→0→寒 、側又は寒!、側→0→暑 い側に変化したカゝ否かを判断する。
[0075] 状態変化パラメータ記憶部 109a, 109bには、温冷感推定部 103a, 103bの推定 結果 (寒い側力も 0 (暑くも寒くもない)方向、暑い側から 0方向、 0から寒い方向、ある いは 0から暑い方向への変ィ匕)と、パラメータ抽出部 102a, 102bが抽出した生体情 報のパラメータとが入力される。状態変化パラメータ記憶部 109aは、温冷感推定部 1 03aの推定結果が、寒い側→0→暑い側、あるいは暑い側→0→寒い側となったとき にパラメータ抽出部 102aによって抽出されたパラメータ PA0を記憶する。なお、本実 施の形態において、状態変化パラメータ記憶部 109a, 109bに記憶されるパラメータ は脈波波高最大値である。また、状態変化パラメータ記憶部 109bは、温冷感推定部 103bの推定結果力 寒い側→0→暑い側、あるいは暑い側→0→寒い側となったと きにパラメータ抽出部 102bによって抽出されたパラメータ PB0を記憶する。
[0076] 複数人温冷感処理部 105は、状態変化パラメータ記憶部 109aに記憶されたパラメ ータ PA0とパラメータ抽出部 102aの抽出した現在のパラメータ PAとの変化量の絶
対値 I PA-PAO Iと、状態変化パラメータ記憶部 109bに記憶されたパラメータ PB 0とパラメータ抽出部 102bの抽出した現在のパラメータ PBとの変化量の絶対値 I P B-PBO Iとを比較して絶対値が大きいユーザを優先するように複数人の温冷感を 統合処理して、その結果を刺激制御部 104に出力する。なお、本実施の形態におい て、状態変化パラメータ記憶部 109a, 109bがパラメータ記憶部の一例に相当する。
[0077] 図 14は、本発明の実施の形態 3における温冷感推定データ判断部 108a及び状態 変化パラメータ記憶部 109aにおける状態変化パラメータ記憶処理の流れを示すフロ 一チャートである。なお、図 14に示す処理は、図 2におけるステップ S3の処理とステ ップ S4の処理との間に行われる。まず、温冷感推定データ判断部 108aは、パラメ一 タ抽出部 102aから現在のユーザ Aの脈波パラメータ PAを受信する(ステップ S81)。 次に、温冷感推定データ判断部 108aは、温冷感推定部 103aからユーザ Aの温冷 感推定データを受信する (ステップ S82)。
[0078] 次に、温冷感推定データ判断部 108aは、温冷感推定部 103aから受信したユーザ Aの温冷感推定データと、状態変化パラメータ記憶部 109aに既に記憶されている前 回の温冷感推定データとに基づ 、て、ユーザ Aの温冷感が暑 、側→0→寒 、側に 変化した力否かを判断する (ステップ S83)。暑い側→0→寒い側に変化したと判断さ れた場合 (ステップ S83で YES)、温冷感推定データ判断部 108aは、今回受信した 脈波パラメータ PAを状態変化パラメータ PA0として状態変化パラメータ記憶部 109a に記憶する(ステップ S84)。
[0079] 一方、暑 、側→0→寒 、側と変化しな力つたと判断された場合 (ステップ S83で NO )、温冷感推定データ判断部 108aは、寒い側→0→暑い側に変化したか否かを判断 する (ステップ S85)。寒 、側→0→暑 、側に変化したと判断された場合 (ステップ S8 5で YES)、温冷感推定データ判断部 108aは、今回受信した脈波パラメータ PAを状 態変化パラメータ PA0として状態変化パラメータ記憶部 109aに記憶する (ステップ S 84)。寒 、側→0→暑 、側と変化しな力つたと判断された場合 (ステップ S85で NO) 、温冷感推定データ判断部 108aは、状態変化パラメータを更新せずに、ステップ S8 6の処理へ移行する。
[0080] その後、状態変化パラメータ記憶部 109aは、状態変化パラメータ PA0を複数人温
冷感処理部 105に出力する (ステップ S86)。次に、温冷感推定データ判断部 108a は、今回受信した温冷感推定データを状態変化パラメータ記憶部 109aに記憶する( ステップ S87)。なお、図 14で示した処理は、ユーザ Bを対象としても同様に行われ、 状態変化パラメータ記憶部 109bは、ユーザ Bの状態変化パラメータ PB0を記憶して 出力する。
[0081] 次に、実施の形態 3における複数人温冷感処理部 105での統合処理について説 明する。図 15は、本発明の実施の形態 3における複数人温冷感処理部 105での統 合処理の流れを示すフローチャートである。まず、複数人温冷感処理部 105は、パラ メータ抽出部 102a, 102bからユーザ A及びユーザ Bの現在の脈波パラメータ PA及 び PBを受信する (ステップ S91)。次に、複数人温冷感処理部 105は、温冷感推定 部 103a, 103bからユーザ A及びユーザ Bの温冷感推定データを受信する(ステップ
592)。次に、複数人温冷感処理部 105は、状態変化パラメータ記憶部 109a, 109b 力もユーザ A及びユーザ Bの状態変化パラメータ PA0及び PB0を受信する (ステップ
593)。
[0082] 次に、複数人温冷感処理部 105は、状態変化パラメータ記憶部 109aに記憶されて いる状態変化パラメータ PA0とパラメータ抽出部 102aによって抽出された現在の脈 波パラメータ PAとの変化量の絶対値 I PA-PAO Iと、状態変化パラメータ記憶部 109bに記憶されている状態変化パラメータ PB0とパラメータ抽出部 102bによって抽 出された現在の脈波パラメータ PBとの変化量の絶対値 I PB-PBO Iとを比較する (ステップ S94)。ここで、 I PA— PAO I力 S I PB-PBO |以上であると判断された 場合 (ステップ S94で YES)、複数人温冷感処理部 105は、ユーザ Aの温冷感推定 データを優先して統合処理する (ステップ S95)。
[0083] 一方、 I PA—PAO I力 S I PB-PBO |未満であると判断された場合 (ステップ S9 4で NO)、複数人温冷感処理部 105は、ユーザ Bの温冷感推定データを優先して統 合処理する (ステップ S96)。その後、複数人温冷感処理部 105は、統合処理した温 冷感推定データを刺激制御部 104に出力する (ステップ S97)。
[0084] このように、状態変化パラメータ記憶部 109a, 109bには、推定結果力 寒いという 温冷感からどちらでもな 、と 、う温冷感の方向へと変化し、さらにどちらでもな 、と 、う
温冷感カも暑いという温冷感の方向へと変化したときのパラメータがユーザ毎に記憶 されるとともに、推定結果が、暑いという温冷感からどちらでもないという温冷感の方 向へと変化し、さらにどちらでもな 、と 、う温冷感から寒!、と 、う温冷感の方向へと変 化したときのパラメータがユーザ毎に記憶される。そして、複数人温冷感処理部 105 によって、状態変化パラメータ記憶部 109a, 109bに記憶されているパラメータと、パ ラメータ抽出部 102a, 102bにより抽出された現在のパラメータとの変化量の絶対値 がユーザ毎に比較され、最も絶対値が大きいユーザの推定結果が優先して選択され る。
[0085] したがって、推定結果が、寒いという温冷感からどちらでもないという温冷感の方向 へと変化し、さらにどちらでもな 、と 、う温冷感力 暑 、と 、う温冷感の方向へと変化 したときのパラメータ、又は推定結果が、暑いという温冷感からどちらでもないという温 冷感の方向へと変化し、さらにどちらでもないという温冷感力 寒いという温冷感の方 向へと変化したときのパラメータ、すなわち、それぞれのユーザの温冷感がほぼ 0の 時のパラメータをそれぞれ基準値として記憶しておき、記憶したパラメータと現在のパ ラメータとの変化量の絶対値がユーザ毎に比較されるので、パラメータの個人差によ るばらつきの影響を抑制することができる。また、各ユーザの現在のパラメータと基準 値 (記憶されているパラメータ)との変化量の絶対値が大きい方が、温冷感が暑くも寒 くもない中立状態力 暑い又は寒い方向へ大きく変化していると推定することができ る。そのため、複数のユーザのうちのより寒く感じている、あるいはより暑く感じている ユーザの温冷感に基づ 、て刺激生成部を適切に制御することができ、特定のユーザ が不快な状態に曝されることを回避することができる。
[0086] なお、本実施の形態において、複数人温冷感処理部 105は、状態変化パラメータ 記憶部 109aに記憶されているパラメータ PAOとパラメータ抽出部 102aによって抽出 された現在のパラメータ PAとの変化量の絶対値 I PA-PAO Iと、状態変化パラメ ータ記憶部 109bに記憶されているパラメータ PBOとパラメータ抽出部 102bによって 抽出され現在のパラメータ PBとの変化量の絶対値 I PB-PBO Iとを比較するとし て説明したが、上記変化量の絶対値 I PA-PAO Iとパラメータ PAOの絶対値 I P AO Iとの比 I PA— PAO I / I PAO |と、上記変化量の絶対値 | PB-PBO |と
パラメータ PBOの絶対値 I PBO Iとの比 I PB— PBO | / | PBO |とを比較しても よい。この場合、脈波パラメータの個人差によるばらつきが大きい時にもより適切に複 数人の温冷感を統合処理できる。
[0087] また、上記説明における脈波パラメータを例えば脈波波高最大値とした場合には、 図 3に示すように、温冷感が寒 、側から暑!、側に変化するのに伴って脈波波高最大 値は増加するが、その増加の割合は寒 、側から暑 、側に変化するのに伴って減少 する傾向にある。そのため、例えば、温冷感推定部 103a, 103bによって推定された 温冷感推定結果が寒い側→0の時には I PA— PAO I及び I PB— PBO |、 0→暑 い側の時には I PA—PAO I及び I PB— PBO |に予め脈波パラメータの特性を考 慮して定められた補正係数 (例えば 1≤補正係数≤ 2)を乗じて比較してもよ!/、。
[0088] さらに、上記の各実施の形態では、ユーザ (人間)を対象にしている力 本発明は 特にこれに限定されず、脈波などの生体情報を取得可能な生体であればよぐ例え ば、動物などの人間以外の生物を対象にしてもよい。
[0089] さらにまた、上記の各実施の形態では、刺激生成部 300を家庭用の空調機器とし て説明しているが、本発明は特にこれに限定されず、刺激生成部 300は自動車用の 空調機器であってもよい。この場合、運転席、助手席及び後部座席等に座っている 複数のユーザの状態が推定され、推定されたユーザ毎の推定結果が 1つに統合され
、統合された推定結果に基づいて刺激生成部 300が制御される。ここで、統合された 推定結果が" 0→寒'暑"であり、運転席のユーザ Aの温冷感が" 0→寒 "であり、助手 席のユーザ Bの温冷感が" 0→暑 "である場合の制御について説明する。この場合、 冷房運転時には、ユーザ Aに向けて送られる風の風量を減少させ、ユーザ Bに向け て送られる風の風量を増大させる。また、暖房運転時には、ユーザ Aに向けて送られ る風の風量を増大させ、ユーザ Bに向けて送られる風の風量を減少させる。なお、自 動車の各席に専用の生体情報センサを設けることで、どのユーザがどの席に座って V、るかを容易に検出することができる。
[0090] また、上記の各実施の形態にお!、て、刺激生成部 300は、温冷熱刺激を生成する 空調機器であるとして説明しているが、本発明は特にこれに限定されず、刺激生成 部 300は、他の刺激を生成する機器であってもよい。
[0091] なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている
[0092] 本発明の一局面に係る環境制御装置は、刺激が与えられた複数の生体の生体情 報の時系列データを取得する生体情報取得部と、前記生体情報取得部によって取 得された前記時系列データを解析して、時間の経過とともに変化するパラメータを抽 出するパラメータ抽出部と、前記パラメータ抽出部によって抽出された前記パラメータ に基づいて、前記刺激に対する各生体の状態を推定する生体状態推定部と、前記 生体状態推定部によって推定された生体毎の推定結果を 1つに統合する統合処理 部と、前記統合処理部によって統合された推定結果に基づいて、複数の生体に与え る刺激内容を制御する刺激制御部とを備え、前記生体状態推定部は、前記パラメ一 タ抽出部によって抽出された前記パラメータに基づいて、前記刺激に対する生体の 快適感が、不快力 快適の方向へと変化していることを表す状態と、快適から不快の 方向へと変化していることを表す状態とのうちのいずれの状態であるかを生体毎に推 定する。
[0093] 本発明の他の局面に係る環境制御方法は、刺激が与えられた複数の生体の生体 情報の時系列データを取得する生体情報取得ステップと、前記生体情報取得ステツ プにおいて取得された前記時系列データを解析して、時間の経過とともに変化する ノ ラメータを抽出するパラメータ抽出ステップと、前記パラメータ抽出ステップにおい て抽出された前記パラメータに基づいて、前記刺激に対する各生体の状態を推定す る生体状態推定ステップと、前記生体状態推定ステップにお!、て推定された生体毎 の推定結果を 1つに統合する統合処理ステップと、前記統合処理ステップにおいて 統合された推定結果に基づ!/、て、複数の生体に与える刺激内容を制御する刺激制 御ステップとを含み、前記生体状態推定ステップは、前記パラメータ抽出ステップに おいて抽出された前記パラメータに基づいて、前記刺激に対する生体の快適感が、 不快力 快適の方向へと変化していることを表す状態と、快適力 不快の方向へと変 化して 、ることを表す状態とのうちの 、ずれの状態であるかを生体毎に推定する。
[0094] 本発明の他の局面に係る環境制御プログラムは、刺激が与えられた複数の生体の 生体情報の時系列データを取得する生体情報取得手段と、前記生体情報取得手段
によって取得された前記時系列データを解析して、時間の経過とともに変化するパラ メータを抽出するパラメータ抽出手段と、前記パラメータ抽出手段によって抽出され た前記パラメータに基づ 、て、前記刺激に対する各生体の状態を推定する生体状態 推定手段と、前記生体状態推定手段によって推定された生体毎の推定結果を 1つに 統合する統合処理手段と、前記統合処理手段によって統合された推定結果に基づ いて、複数の生体に与える刺激内容を制御する刺激制御手段としてコンピュータを 機能させ、前記生体状態推定手段は、前記パラメータ抽出手段によって抽出された 前記パラメータに基づいて、前記刺激に対する生体の快適感が、不快から快適の方 向へと変化していることを表す状態と、快適力 不快の方向へと変化していることを表 す状態とのうちのいずれの状態であるかを生体毎に推定する。
[0095] 本発明の他の局面に係る環境制御システムは、複数の生体に与える刺激を生成す る刺激生成部と、各生体の生体情報を測定する測定部と、前記測定部によって測定 された各生体の生体情報の時系列データを取得する生体情報取得部と、前記生体 情報取得部によって取得された前記時系列データを解析して、時間の経過とともに 変化するパラメータを抽出するパラメータ抽出部と、前記パラメータ抽出部によって抽 出された前記パラメータに基づいて、前記刺激生成部によって生成された刺激に対 する各生体の状態を推定する生体状態推定部と、前記生体状態推定部によって推 定された生体毎の推定結果を 1つに統合する統合処理部と、前記統合処理部によつ て統合された推定結果に基づいて前記刺激生成部を制御する刺激制御部とを備え 、前記生体状態推定部は、前記パラメータ抽出部によって抽出された前記パラメータ に基づいて、前記刺激生成部によって生成された刺激に対する生体の快適感が、不 快力 快適の方向へと変化していることを表す状態と、快適力 不快の方向へと変化 して 、ることを表す状態とのうちの 、ずれの状態であるかを生体毎に推定する。
[0096] これらの構成によれば、複数の生体に与える刺激が生成され、刺激が与えられた複 数の生体の生体情報の時系列データが取得される。続いて、取得された時系列デー タを解析して、時間の経過とともに変化するパラメータが抽出され、抽出されたパラメ ータに基づいて、刺激に対する各生体の状態が推定される。そして、推定された生 体毎の推定結果が 1つに統合され、統合された推定結果に基づいて、複数の生体に
与える刺激内容が制御される。また、抽出されたパラメータに基づいて、刺激に対す る生体の快適感が、不快力 快適の方向へと変化していることを表す状態と、快適か ら不快の方向へと変化していることを表す状態とのうちのいずれの状態であるかが生 体毎に推定される。
[0097] したがって、同一空間に複数の生体が存在する際に、時間の経過とともに変化する ノ ラメータに基づいて各生体の状態が推定されるので、個人差のばらつきがある生 体情報パラメータの絶対値を用いることなぐ生体情報の個人差に対応した上で生体 の状態を推定し、推定した生体の状態に基づき刺激内容を適切に制御できる。
[0098] また、上記の環境制御装置にお!/、て、前記刺激は、温冷熱刺激を含み、前記生体 状態推定部は、前記パラメータ抽出部によって抽出された前記パラメータに基づい て、前記温冷熱刺激に対する生体の温冷感が、寒いという温冷感からどちらでもない t 、う温冷感の方向へと変化して 、ることを表す第 1の状態と、暑 、と 、う温冷感から どちらでもないという温冷感の方向へと変化していることを表す第 2の状態と、どちら でもな 、と 、う温冷感力 暑 、と 、う温冷感の方向へと変化して 、ることを表す第 3の 状態と、どちらでもな 、と 、う温冷感から寒!、と!/、う温冷感の方向へと変化して 、るこ とを表す第 4の状態とのうちのいずれの状態である力を生体毎に推定することが好ま しい。
[0099] この構成によれば、複数の生体に与える温冷熱刺激が生成され、生体情報は生体 の脈波であり、抽出されたパラメータに基づいて、温冷熱刺激に対する生体の温冷 感カ 寒 、と 、う温冷感からどちらでもな 、と 、う温冷感の方向へと変化して 、ること を表す第 1の状態と、暑いという温冷感からどちらでもないという温冷感の方向へと変 化して 、ることを表す第 2の状態と、どちらでもな 、と 、う温冷感力 暑 、と 、う温冷感 の方向へと変化して 、ることを表す第 3の状態と、どちらでもな 、と 、う温冷感から寒 V、と 、う温冷感の方向へと変化して 、ることを表す第 4の状態とのうちの 、ずれの状 態であるかが生体毎に推定される。
[0100] したがって、同一空間に複数の生体が存在する際に、時間の経過とともに変化する ノ メータに基づいて、温冷熱刺激に対する各生体の状態が推定されるので、個人 差のばらつきがある生体情報パラメータの絶対値を用いることなぐ生体情報の個人
差に対応した上で生体の状態を推定し、推定した生体の状態に基づき刺激内容を 適切に制御できる。
[0101] また、上記の環境制御装置において、前記パラメータ抽出部は、寒いという温冷感 力 どちらでもな 、と 、う温冷感を経て暑 、と 、う温冷感への変化に伴 、値が増大す る第 1のパラメータと、どちらでもないという温冷感の時に極小値を有し、どちらでもな
V、と 、う温冷感から寒 、と 、う温冷感への変化に伴 、値が増加するとともにどちらで もな 、と 、う温冷感力 暑 、と 、う温冷感への変化に伴!、値が増加する第 2のパラメ 一タとを抽出し、前記生体状態推定部は、前記パラメータ抽出部によって抽出された 前記第 1のパラメータと前記第 2のパラメータとの組み合わせに基づいて、前記温冷 熱刺激に対する生体の温冷感が、前記第 1の状態、前記第 2の状態、前記第 3の状 態及び前記第 4の状態のうちのいずれの状態であるかを生体毎に推定することが好 ましい。
[0102] この構成によれば、寒いという温冷感からどちらでもないという温冷感を経て暑いと いう温冷感への変化に伴い値が増大する第 1のパラメータと、どちらでもないという温 冷感の時に極小値を有し、どちらでもな 、と!/、う温冷感から寒!、と!/、う温冷感への変 化に伴 、値が増加するとともにどちらでもな 、と 、う温冷感力 暑 、と 、う温冷感へ の変化に伴い値が増加する第 2のパラメータとが抽出される。そして、抽出された第 1 のパラメータと第 2のパラメータとの組み合わせに基づ 、て、温冷熱刺激に対する生 体の温冷感が、寒 、と!/、う温冷感からどちらでもな 、と!/、う温冷感の方向へと変化し て 、ることを表す第 1の状態と、暑 、と 、う温冷感からどちらでもな 、と 、う温冷感の 方向へと変化して 、ることを表す第 2の状態と、どちらでもな 、と 、う温冷感力 暑 、 t 、う温冷感の方向へと変化して 、ることを表す第 3の状態と、どちらでもな 、と 、う温 冷感力 寒 、と 、う温冷感の方向へと変化して 、ることを表す第 4の状態とのうちの
V、ずれの状態であるかが生体毎に推定される。
[0103] したがって、温冷熱刺激に対する生体の温冷感が、寒いという温冷感からどちらで もな 、と 、う温冷感の方向へと変化して 、ることを表す第 1の状態と、暑 、と 、う温冷 感からどちらでもな 、と 、う温冷感の方向へと変化して 、ることを表す第 2の状態と、 どちらでもな 、と 、う温冷感力 暑 、と 、う温冷感の方向へと変化して 、ることを表す
第 3の状態と、どちらでもな 、と 、う温冷感から寒 、と 、う温冷感の方向へと変化して いることを表す第 4の状態とのうちのいずれの状態であるかが生体毎に推定されるの で、各生体の温冷感を推定することができ、推定した生体の温冷感に基づき刺激内 容を適切に制御できる。
[0104] また、上記の環境制御装置において、前記第 1のパラメータは脈波波高最大値で あり、前記第 2のパラメータは最大リアプノフ指数であり、前記生体状態推定部は、前 記パラメータ抽出部によって抽出された脈波波高最大値の時間変化と最大リアプノ フ指数の時間変化とを算出し、前記脈波波高最大値が増加し、かつ最大リアプノフ 指数が減少している場合、生体の温冷感が前記第 1の状態であると推定し、前記脈 波波高最大値が減少し、かつ最大リアプノフ指数が減少している場合、生体の温冷 感が前記第 2の状態であると推定し、前記脈波波高最大値が増加し、かつ最大リア プノフ指数が増カロしている場合、生体の温冷感が前記第 3の状態であると推定し、前 記脈波波高最大値が減少し、かつ最大リアプノフ指数が増カロしている場合、生体の 温冷感が前記第 4の状態であると推定することが好ましい。
[0105] この構成によれば、脈波の時系列データを解析して脈波波高最大値と最大リアプノ フ指数とが抽出され、抽出された脈波波高最大値の時間変化と最大リアプノフ指数 の時間変化とが算出される。そして、脈波波高最大値が増加し、かつ最大リアプノフ 指数が減少している場合、生体の温冷感が第 1の状態であると推定される。また、脈 波波高最大値が減少し、かつ最大リアプノフ指数が減少している場合、生体の温冷 感が第 2の状態であると推定される。さらに、脈波波高最大値が増加し、かつ最大リ ァプノフ指数が増カロしている場合、生体の温冷感が第 3の状態であると推定される。 さらにまた、脈波波高最大値が減少し、かつ最大リアプノフ指数が増カロしている場合 、生体の温冷感が第 4の状態であると推定される。したがって、脈波波高最大値の時 間変化と最大リアプノフ指数の時間変化とに基づいて、各生体の温冷感を正確に推 定することができる。
[0106] また、上記の環境制御装置において、複数の生体の位置を検出する位置検出部を さらに備え、前記統合処理部は、前記生体状態推定部によって推定された推定結果 に前記第 3の状態と前記第 4の状態とが含まれる場合、両方の推定結果を選択し、前
記刺激制御部は、前記位置検出部によって検出された各生体の位置に基づ 、て、 前記推定結果が前記第 3の状態である生体の位置と、前記推定結果が前記第 4の 状態である生体の位置とを特定し、位置が特定された各生体に対して個別に刺激内 容を制御することが好まし 、。
[0107] この構成によれば、複数の生体の位置が検出され、推定結果に第 3の状態と第 4の 状態とが含まれる場合、両方の推定結果が選択される。そして、検出された各生体の 位置に基づいて、推定結果が第 3の状態である生体の位置と、推定結果が第 4の状 態である生体の位置とが特定され、位置が特定された各生体に対して個別に刺激内 容が制御される。
[0108] 第 3の状態は、生体の温冷感がどちらでもないという温冷感力 暑いという温冷感 の方向へと変化していることを表し、第 4の状態は、生体の温冷感がどちらでもないと V、う温冷感から寒 、と 、う温冷感の方向へと変化して!/、ることを表して!/、る。すなわち 、これらの状態は、温冷感がそれぞれ逆方向に向かって変化しており、これらの状態 が混在する場合、各生体が快適となるように制御するのは困難である。そこで、推定 結果が第 3の状態である生体の位置と、推定結果が第 4の状態である生体の位置と を特定し、位置が特定された各生体に対して個別に刺激内容を制御することにより、 温冷感がそれぞれ逆方向に向力つて変化している生体が複数存在する場合であつ ても、各生体の温冷感が快適になるように制御することができる。
[0109] また、上記の環境制御装置において、前記統合処理部は、温冷感が前記第 3の状 態及び前記第 4の状態のいずれか一方の状態である生体の推定結果を優先して選 択することが好ましい。
[0110] この構成によれば、温冷感が第 3の状態及び第 4の状態のいずれか一方の状態、 すなわち、温冷感が悪ィ匕の方向に変化している生体の推定結果が優先して選択さ れるので、同一空間に複数の生体が存在する場合であっても各生体の温冷感に基 づいて刺激内容を適切に制御することができる。
[0111] また、上記の環境制御装置において、前記生体状態推定部によって推定された前 記第 1〜第 4の状態のうちの同一の状態が «I続している時間を計測する状態 «I続時 間計測部をさらに備え、前記統合処理部は、前記状態継続時間計測部によって計
測される状態継続時間が最も長い生体の推定結果を優先して選択することが好まし い。
[0112] この構成によれば、上記の第 1〜第 4の状態のうちの同一の状態が «続している時 間が計測され、計測される状態継続時間が最も長 、生体の推定結果が優先して選 択されるので、特定の生体が不快な状態に長時間曝されることを回避することができ る。
[0113] また、上記の環境制御装置において、前記生体状態推定部によって推定された推 定結果が、寒いという温冷感からどちらでもないという温冷感の方向へと変化し、さら にどちらでもな 、と 、う温冷感カも暑 、と 、う温冷感の方向へと変化したときの前記 パラメータ抽出部によって抽出された前記パラメータを生体毎に記憶するとともに、前 記生体状態推定部によって推定された推定結果が、暑いという温冷感からどちらでも な!、と 、う温冷感の方向へと変化し、さらにどちらでもな 、と 、う温冷感から寒!、と!/、う 温冷感の方向へと変化したときの前記パラメータ抽出部によって抽出された前記パラ メータを生体毎に記憶するパラメータ記憶部をさらに備え、前記統合処理部は、前記 パラメータ記憶部に記憶されている前記パラメータと前記パラメータ抽出部によって 抽出された現在のパラメータとの変化量の絶対値を生体毎に比較し、最も絶対値が 大き 、生体の推定結果を優先して選択することが好ま 、。
[0114] この構成によれば、推定結果が、寒いという温冷感からどちらでもないという温冷感 の方向へと変化し、さらにどちらでもないという温冷感力 暑いという温冷感の方向へ と変化したときのパラメータが生体毎に記憶されるとともに、推定結果が、暑いという 温冷感からどちらでもな 、と 、う温冷感の方向へと変化し、さらにどちらでもな 、と 、う 温冷感力 寒いという温冷感の方向へと変化したときのパラメータが生体毎に記憶さ れる。そして、記憶されているパラメータと、抽出された現在のパラメータとの変化量 の絶対値が生体毎に比較され、最も絶対値が大きい生体の推定結果が優先して選 択される。
[0115] したがって、推定結果が、寒いという温冷感からどちらでもないという温冷感の方向 へと変化し、さらにどちらでもな 、と 、う温冷感力 暑 、と 、う温冷感の方向へと変化 したときのパラメータ、又は推定結果が、暑いという温冷感からどちらでもないという温
冷感の方向へと変化し、さらにどちらでもないという温冷感力 寒いという温冷感の方 向へと変化したときのパラメータ、すなわち、それぞれの生体の温冷感がほぼ 0 (どち らでもな 、と 、う温冷感)の時のパラメータをそれぞれ基準値として記憶しておき、記 憶したパラメータと現在のパラメータとの変化量の絶対値が生体毎に比較されるので 、ノ メータの個人差によるばらつきの影響を抑制することができる。また、各生体の 現在のパラメータと基準値 (記憶されて 、るパラメータ)との変化量の絶対値が大き!/ヽ 方が、温冷感が中立状態力 暑い又は寒い方向へ大きく変化していると推定すること ができる。そのため、複数の生体のうちのより寒く感じている、あるいはより暑く感じて いる生体の温冷感に基づいて刺激内容を適切に制御することができ、特定の生体が 不快な状態に曝されることを回避することができる。
産業上の利用可能性
本発明にかかる環境制御装置は、居住環境を構成する機器、特に温冷熱環境を 構成する空調機器等に有用である。