JP2010104508A - パーソナリティ類推方法とこの方法を利用した外部環境影響推定方法、及び環境制御システム - Google Patents

パーソナリティ類推方法とこの方法を利用した外部環境影響推定方法、及び環境制御システム Download PDF

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Abstract

【課題】外部環境変化を受けた対象者の生理応答指標とその対象者のパーソナリティとの関係を解明するための技術を提供すること、及び対象者のパーソナリティに応じて適切に外部環境を制御する技術を提供する。
【解決手段】対象者が存在する空間を支配している環境パラメータを検知する環境パラメータ取得手段2と、前記空間の環境に対する前記対象者の生理応答を示す複数の生理応答指標を検出する生理応答指標検出手段3と、検出された生理応答指標から前記対象者の個人特性であるパーソナリティを類推するパーソナリティ類推手段4と、類推されたパーソナリティに基づいて環境変化が記対象者に及ぼす影響度合いを推定して、その環境を改変する環境制御システム。
【選択図】図8

Description

本発明は、対象者の生理応答から対象者のパーソナリティを類推する方法、このパーソナリティ類推方法を利用した対象者に対する外部環境影響推定方法、及び類推されたパーソナリティに適した外部環境を作り出す環境制御システムに関する。
人体生理に影響を与える温熱、光、振動、視聴覚、その他の環境下の人間の生理特性を目的に応じた理想的な生理状態になるように温熱光環境システムや振動機器や視聴覚機器を制御する環境システム最適化装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この環境システム最適化装置は、人体生理に影響を与える感覚刺激を出力する環境システムと、この環境システムの出力を受けた人体の生理信号を計測する生理計測部と、制御すべき目安となる生理値を入力する理想生理値入力部と、生理計測部で得られた生理値と理想生理値入力部から得られた制御すべき目安となる生理値との違いを計算する誤差計算部と、この誤差計算部で得られた誤差値から環境システムの制御値を決定する最適化部とを備えている。この構成では、計測した人間の生理値と理想生理値との誤差に基づいて、人間の生理値を理想生理値に近づけるよう最適化部によって環境システムが調整される。この特許文献1による装置は、計測生理値間に基づいて理想生理値に近づけるような環境制御をする際に進化的計算方法を用いることを特徴としている。しかしながら、外部環境変化に敏感に応答する生理応答指標は各人で異なり、理想生理値状態を構成する生理応答指標は一義的に決定することができないことが多くの研究から明らかとなってきており、一般的な生理応答値を理想生理値とした場合では、対象者毎に合わせた適切な環境制御はできず、効果的な環境制御手段が提供できないという問題が生じる。
また、種々の場面において、生理反応を用いた快適性評価を行い、個人個人のその時々に応じて環境制御するパーソナル快適性制御システムも提案されている(例えば、特許文献2参照)。このパーソナル快適性制御システムは、計測した生理反応を処理して抽出された複数の評価パラメータから被測定者の状態を評価して推定した感覚量を状態評価値として出力する状態評価手段と、被測定者の申告値を入力する申告値入力手段と、制御方式決定手段と、環境制御のための制御信号を発生する制御信号発生手段とを備えている。制御方式決定手段は、状態評価値もしくは申告値と予め設定した感覚目標値との違いを感覚値誤差としてこれに基づき環境制御方式を決定し、さらに環境制御の前後での感覚値誤差の変化から環境制御方式を決定するアルゴリズムを適応的に変化させて個人に対応した環境制御方式を学習する機能を有する。つまり、このパーソナル快適性制御システムは、生理反応を計測して複数の評価パラメータを抽出して快適性やストレス度などの被測定者の状態を複数の感覚値として評価し、この状態評価値もしくは時々入力される主観評価である申告値と予め設定した快適度などの感覚目標値との違いを求め感覚値誤差としてこれに基づいて環境制御方式を決定し、さらに環境制御の前と後での感覚値誤差の変化から環境制御方式を決定するアルゴリズムを適応的に変化させて環境制御方式の学習を行う。従って、この技術は、被測定者の快適度などの状態を連続的に評価しながら個々人の特性にあった環境制御方式を用いてリアルタイムでパーソナルな快適空間の作り出すことを意図している。さらに、快適性やストレス度などの被測定者の状態を複数の感覚値として評価し、この評価結果に基づいて環境制御を行うことで各人に合わせた環境作りを行っているが、その際、外部環境変化に敏感に応答する生理応答指標がそれぞれ個性(パーソナリティ)をもった被測定者の間でどのような挙動を示すかという視点、及びそのようなタイプの異なる被測定者に外部環境変化がどのような影響を及ぼすのかという視点が抜けている。そのため、被測定者の個性別によって異なった影響を与える環境変化を考慮した環境制御を行うことは困難である。
さらに、生理指標を計測することなく、ストレスに関する質問に回答するだけで個々人のストレス負荷時の生理応答特性(ストレス生理反応タイプ)を推定する方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。この特許文献3では、まず従来技術としてストレス度の評価には、1)質問紙による方法、2)血液や尿などの生化学的分析法、3)脳波、筋電、皮膚温、血圧などの生理指標による方法が列挙されている。この特許文献3による方法の特徴は、ストレス負荷時における脳波、筋電等の生理指標データ測定およびストレス関連質問項目への回答を実施し、それぞれ、ストレス生理反応タイプ、ストレス項目反応タイプ、ストレス総合反応タイプに対応付け、ストレス負荷時に変動し易い生理指標を個々人毎に網羅的に取得し、複数指標の情報を活用したストレス生理反応パターンとしてカテゴリー化分類し、ストレス生理反応パターンによるカテゴリー化分類と、質問紙項目との対応付けにより、質問紙のみでストレス生理反応パターンを推定することである。また、被験者の属性情報(年齢、性別、生活習慣など)を補正項として入力可能である。この方法においても、外部環境変化に敏感に応答する生理応答指標がそれぞれ個性(パーソナリティ)をもった被測定者の間でどのような挙動を示すかという視点、及びそのようなタイプの異なる被測定者に外部環境変化がどのような影響を及ぼすのかという視点が抜けている。つまり、ストレス負荷時の同様なストレス生理反応タイプで被験者をカテゴリー化することは述べられているが、生理指標の応答挙動がなぜ異なるかの視点は導入されていない。すなわち、ここでの主眼は、同様なストレス生理反応タイプの対象者を単純にカテゴリー化することに置かれており、外部環境変化に対する影響受け易さの視点については殆ど述べられていない。
特開2006−338153号公報(段落番号0001−0012、図1) 特開平5−15598号公報(段落番号0001−0015、図1) 特開平2−330536号公報(1−4頁、図1−4)
上記実状に鑑み、本発明の目的は、外部環境変化を受けた対象者の生理応答指標とその対象者のパーソナリティとの関係を解明するための技術を提供すること、及び対象者のパーソナリティに応じて適切に外部環境を制御する技術を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係るパーソナリティ類推方法は、外部環境変化を受けた対象者の生理応答を示す複数の生理応答指標の計測値を入力し、入力された生理応答指標から前記対象者の個人特性であるパーソナリティを類推し、類推されたパーソナリティを出力する。
このパーソナリティ類推方法は、遺伝的背景、文化的背景から特徴付けられる個人特性であるパーソナリティと外部環境変化に敏感に応答する生理応答指標との関係について検討した結果、パーソナリティと生理応答指標との間に一定の相関があるとの本願発明者の知見に基づいている。つまり、外部環境変化から受ける影響度合いがパーソナリティに依存するという実験結果に基づいてパーソナリティ類型と生理応答指標間における一定の相関をテーブル化しておくことで、生理応答指標を計測して入力するだけで対象者が内在的に保有するパーソナリティを類推し、その類推結果を出力することが可能となる。さらには、このことは、パーソナリティに依存して外部環境変化からの影響度合いが異なる点を考慮した、パーソナリティ類別の外部環境制御技術の道を開くことになる。
本発明によるパーソナリティ類推方法で採用される、好適な生理応答指標としては、脳血流、心拍変動、脈拍数、血圧値、コルチゾール濃度、アミラーゼ活性、イムノグロブリンA濃度などが挙げられるが、実際にパーソナリティ類推に用いる際には、上記の指標のいずれかの組み合わせを採用するとよい。実験結果からは、コルチゾール濃度とアミラーゼ活性とイムノグロブリンA濃度とが好ましい1つの組み合わせであることが見出されている。コルチゾール濃度とアミラーゼ活性とイムノグロブリンA濃度は全て唾液中から取得できるので、それらの計測も容易である。
また、類推されるべき前記パーソナリティとして、少なくとも人の行動パターンを分類するタイプA行動パターン検査に基づくタイプAとタイプB及びSTAI(State-Trait Anxiety Inventory) 状態・特性不安検査における特性不安の高低によって分類されたパーソナリティが用いられることも好適である。不安測定のアンケート手法としてよく知られているSTAI状態・特性不安検査では、現在不安状況下にあるか(State Anxiety 状況不安)、性格的に不安になりやすいか(Trait Anxiety 特性不安)の両側面を評価するが、ここでは特性不安のみを採用している。また、人の行動パターンを分類するアンケート手法としてよく知られているタイプA行動パターン検査は、人の行動の特徴を「せっかちタイプ」と「のんびりタイプ」の二つに分け、前者を「タイプA」、後者を「タイプB」と名づけている。従って、この好適な実施形態では、タイプA行動パターン検査に基づく区分けを一軸とし、STAI状態・特性不安検査を他の一軸として、2つの面からパーソナリティを分類することができる。もちろん、本発明において、パーソナリティの分類手法は上述したものに限定されるわけでなく、種々の公知の分類手法を採用して分類分けしてもよい。
外部環境変化に対するパーソナリティ別の影響の受け易さを評価する場合、外部環境変化として対象者にストレスを感じさせるような環境変化を与えると評価がし易くなる。従って、本発明によるパーソナリティ類推方法において、前記外部環境変化として前記対象者に与えられるような構成が好適であるが、特に、類推された前記対象者の個人特性であるパーソナリティに基づいて決定されたストレス環境が前記外部環境変化として前記対象者に与えられるような構成が採用されると好都合である。これにより、前記対象者のパーソナリティの類推とその結果に基づいて調整される外部環境変化の付与を繰り返すことで類推結果を逐次収束させることも可能となる。
パーソナリティ類推技術を利用した外部環境影響推定方法において、上記目的を達成するため、本発明では、対象者が受けている外部環境を支配する環境パラメータを検知し、前記外部環境変化により前記対象者の生理応答を示す複数の生理応答指標の計測値を入力し、入力された生理応答指標から前記対象者の個人特性であるパーソナリティを類推し、類推されたパーソナリティに基づいて前記外部環境変化が前記対象者に及ぼす影響度合いを推定する。この外部環境影響推定方法では、類推されたパーソナリティに基づいて、外部環境、特に外部環境を支配する環境パラメータが対象者に及ぼす影響度合いを推定することができる。
パーソナリティ類推技術を利用した環境制御システムにおいて、上記目的を達成するため、本発明による環境制御システムは、対象者が存在する空間の環境を改変する環境改変出力手段と、前記空間を支配している環境パラメータを検知する環境パラメータ取得手段と、前記空間の環境に対する前記対象者の生理応答を示す複数の生理応答指標を検出する生理応答指標検出手段と、検出された生理応答指標から前記対象者の個人特性であるパーソナリティを類推するパーソナリティ類推手段と、類推されたパーソナリティに基づいて前記外部環境が前記対象者に及ぼす影響度合いを推定する外部環境影響推定手段と、推定された影響度合いに基づいて前記環境改変出力手段を制御する環境制御手段とからなる。この環境制御システムによれば、生理応答指標を計測するのみでパーソナリティを類推し、対象者のその時々の心身状態だけでなく、パーソナリティ(個人特性)に起因した応答挙動までも考慮して対象者が存在している空間の環境を制御することができる。
まず、本発明の基本となる、外部環境変化を受けた対象者の生理応答指標とその対象者のパーソナリティとの関係を明らかにするために実施された実験について説明する。この実験では、刺激因子に外部環境の違い(都市および森林空間)を設定し、設定した各空間において歩行、座観などの各種イベントを対象者に実施させ、その各イベント時に生理応答指標を計測した。計測に用いることができる生理応答指標としては、唾液中アミラーゼ活性、唾液中コルチゾール濃度、イムノグロブリンA(IgA)濃度、平均収縮期血圧値、平均拡張期血圧値、脈拍数、心拍変動などである。
2日間を実験期間とし、参加者を6名ずつ2つの群に分けて森林部と都市部において各イベントを被験者に実施させた。1日目と2日目の実験において、森林部と都市部の被験者をそれぞれ交代させて被験者群の標準化を行なった。心拍変動を除く生理応答指標の計測は1日6回行われ、1回目は森林部と都市部への移動前のホテル、2回目は歩行実験の前、3回目は歩行実験の後、4回目は座りながらの周囲観察(座観)実験の前、5回目は座観実験の後、6回目はホテルへ移動の後のホテルである。
パーソナリティの分類のために、タイプA行動パターン検査に基づくタイプAとタイプB及びSTAI(State-Trait Anxiety Inventory) 状態・特性不安検査における特性不安の高と低が用いられた。つまり、この実験の参加者は、図1の表で示すように、タイプA行動パターンが「タイプA」でSTAI特性不安が「高」である第1類、タイプA行動パターンが「タイプA」でSTAI特性不安が「中・低」である第2類、タイプA行動パターンが「タイプB」でSTAI特性不安が「高」である第3類、タイプA行動パターンが「タイプB」でSTAI特性不安が「高」である第3類、タイプA行動パターンが「タイプB」でSTAI特性不安が「中・低」である第4類の4つに分類された。
生理応答指標の計測値とパーソナリティとの特徴的な相関を示す実験結果の1つが図2に示されている。図2(a)は、実験参加者が都市部における歩行後の唾液中アミラーゼ活性(kU/l)の計測結果を第1類から第4類のパーソナリティ別に示したグラフである。このグラフから、唾液中アミラーゼ活性に関しては、第1類の者の値が最も低く、次に第3類の者が低く、その次に第2類の者が低く、そして第4類の者の値が最も高くなっている。つまり、都市部において歩行を行った直後の状態では、パーソナリティ別に唾液中アミラーゼ活性の値が特徴的に異なっている。図2(b)は、実験参加者が都市部における座観実験の前での唾液中アミラーゼ活性の計測結果を第1類から第4類のパーソナリティ別に示したグラフである。このグラフでは、第1類の者の値が最も低く、次に第2類、その次に第3類、そして第4類の者の値が最も高くなっている。つまり、都市部において歩行を行ったのちの状態では、唾液中アミラーゼ活性がパーソナリティ別で明確に異なっており、しかもその異なり方が歩行を行った直後の状態のものとも異なっていることが理解できる。
さらに、図3には、実験参加者が都市部における歩行後の唾液中イムノグロブリンA濃度(μg/ml)の計測結果を第1類から第4類のパーソナリティ別に示したグラフが示されている。このグラフからも、生理応答指標としてのイムノグロブリンA濃度に関して、パーソナリティ別に異なる計測結果が生じることが理解できる。つまり、都市部における歩行後の唾液中イムノグロブリンA濃度は、第1類の者から第4類の者までその順番で高くなっており、第1類の者と第2類の者と第3類の者との差は比較的わずかであるが、第4類の者は突出して高い計測値を示している。
与えられた外部環境変化に対して実験参加者がそのパーソナリティ別にどのような生理応答指標の変動を示すかをわかりやすくしているグラフが図4と図5である。図4は、森林空間において実験参加者に連続して与えられたイベント、つまりホテルでの滞在、歩行実験、座観実験、ホテルへの帰館といったイベントの前後における唾液中コルチゾール濃度(μg/dl)の上述したパーソナリティ別の計測結果を示している。これに対して図5は、都市空間において実験参加者に連続して与えられた同じイベントの前後における唾液中コルチゾール濃度のパーソナリティ別の計測結果を示している。この2つのグラフから、外部環境変化に基づく生理応答指標の変動はパーソナリティによって異なっていることが理解できる。このことから、外部環境変化がパーソナリティによってそれぞれ異なる生理応答指標の変動をもたらすこと、そしてその結果外部環境変化が対象者に及ぼした生理応答指標に関する影響度によってその対象者のパーソナリティを類推することが可能となる。例えば、外部環境変化がもたらすパーソナリティ別の各種生理応答指標の計測値を知識テーブル化ないしは、知識ベース化しておくと、外部環境変化の内容とこれによる対象者の各種生理応答指標の計測結果とを入力パラメータとして当該対象者のパーソナリティを導出することが可能となる。さらには、この導出されたパーソナリティに応じて、このパーソナリティを有する対象者が、現状の外部環境から次にどのような外部環境に変化させることにより満足度が得られるかどうかを推定することも可能となる。
そのような知識テーブル化を可能にするための学習データとしては、外部環境変化と複数の生理応答指標の計測値とパーソナリティとからなるデータセット群が好適である。図6と図7は、そのようなデータセット群を、図解して模式的に示している。図6は、都市空間での歩行後というイベント時における、唾液中アミラーゼ活性と唾液中コルチゾールと唾液中イムノグロブリンA(IgA)濃度を3軸として、第1類から第4類までのパーソナリティ別での計測結果を3次元表示したものである。図7は、都市空間での座観前というイベント時における、図6と同じ3つの生理応答指標を3軸として、第1類から第4類までのパーソナリティ別での計測結果を3次元表示したものである。このように、3次元以上の多次元空間で、つまり3つ以上の生理応答指標からなるデータセットで外部環境変化に対する生理応答をパーソナリティ別で示すと、パーソナリティの違いによって外部環境による生理応答指標の変動挙動が非常に異なることが理解できる。つまり、有効な3つ以上の生理応答指標を採用し、外部環境変化によるパーソナリティ別の生理応答を実験することで、対象者の生理応答指標検出結果からパーソナリティを類推するために用いられる多次元の類推閾空間領域を作成することが可能となる。
そのような本願発明者の知見に基づく環境制御システムの一例が、図8に模式的な機能ブロック図として示されている。この環境制御システムは、環境改変出力手段1と、環境パラメータ取得手段2と、生理応答指標検出手段3と、パーソナリティ類推手段4と、外部環境影響推定手段5と、環境制御手段6とを備えている。環境改変出力手段1は、環境制御の対象となる対象者が存在する空間の環境を改変する機器等の総称であり、例えば温調機器、照明機器、音響機器、イオン発生機器、匂い発生器などが挙げられる。環境パラメータ取得手段2は、前記空間における環境パラメータ、例えば、温度、湿度、照度、風速、音量などを検出するセンサの総称である。この環境パラメータ取得手段2からの検出信号を評価することで空間内の環境状態を把握することができる。生理応答指標検出手段3は、対象者が前記空間の環境に対して応答した生理応答指標を検出する機能を有するものであり、対象者の生理応答指標を検出するセンサの総称である。取り扱われる生理応答指標としては、脳血流、心拍変動、脈拍数、血圧値、コルチゾール濃度、アミラーゼ活性、イムノグロブリンA濃度などが挙げられるが、取り扱われる生理応答指標によって最適なセンサを選択することになる。この実施の形態では、全て唾液から検出可能なコルチゾール濃度、アミラーゼ活性、イムノグロブリンA濃度が採用されている。
パーソナリティ類推手段4は、生理応答指標検出手段3によって検出された生理応答指標から対象者の個人特性であるパーソナリティを類推する。その際、上述したような実験を通じて得られた、外部環境変化に対するパーソナリティ別の生理応答指標計測値のデータセット群に基づいて構築されたパーソナリティ分類テーブル40が利用される。このパーソナリティ分類テーブル40は、好ましくは知識ベースのような形態で構築され、対象者の生理応答指標の計測値と環境パラメータ取得手段2によって検出された環境パラメータとを検索条件として入力されることで、対象者のパーソナリティが引き出される。外部環境影響推定手段5は、検出された環境パラメータによって規定される環境が前記対象者に及ぼす影響度合いをパーソナリティ類推手段4によって類推されたパーソナリティに基づいて推定する。これは、分類されたパーソナリティ別で、各パーソナリティを有する対象者が、どのような環境を適正と感じるかどうかを予め設定しておくことで、現状の環境が対象者に与える影響をその対象者のパーソナリティ(個性)に合わせて推定することができる。環境制御手段6は、外部環境影響推定手段5によって推定された、外部環境が対象者に与える影響度合いに基づいて環境改変出力手段1を制御する。外部環境影響推定手段5は、パーソナリティ類推手段4によって類推されたパーソナリティに合わせて、この対象者が現状の環境変化に対してどのように感じるか、例えば、「適正で快適である」、「暑くて不快である」、「寒くて不快である」、「騒音がひどくて不快である」、といった影響度合いを推定して、対象者が存在する空間を対象者にとって適切な環境状態にするため、」環境改変出力手段1を構成している機器を制御する。
なお、この環境制御システムが適用される空間は、単独の対象者だけが存在している閉鎖空間でなくてもよい。例えば、自動車やバスの車内や飛行機の機内などにおいて各乗員(対象者)が占めている開放された占有空間であってもよい。この場合、環境改変出力手段1、環境パラメータ取得手段2、生理応答指標検出手段3は、占有空間毎に割り当てられる必要がある。
上述したパーソナリティ分類テーブル40を構築するためには、分類分けされた対象者に対して環境変化を与え、その対象者の生理応答を示す生理応答指標を計測する実験(学習)を行う必要がある。そのような実験(学習)を効率的に行うためには、図8において点線の矢印線によってこの環境制御システムに組み込み可能なことが示されている付与ストレス決定手段7が好適である。実験(学習)プロセスにおいて、この付与ストレス決定手段7によって適切に決定された環境変化を通じて、外部環境変化と複数の生理応答指標の計測値とパーソナリティとからなる有効なデータセット群を得ることができ、効果的なパーソナリティ分類テーブル40を構築することができる。その際、前記対象者のパーソナリティの類推とその結果に基づいて調整される外部環境変化の付与を繰り返す方法を採用すると、類推結果の逐次収束させることも可能となり、より信頼性の高いパーソナリティ分類テーブル40の構築が可能となる。
本発明の実施形態で用いられたパーソナリティ分類を説明する図 外部環境変化にともなうパーソナリティ別での生理応答指標(唾液中アミラーゼ活性)の計測値を示すグラフ図 外部環境変化にともなうパーソナリティ別での生理応答指標(唾液中イムノグロブリンA濃度)の計測値を示すグラフ図 森林空間での複数のイベント前後における唾液中コルチゾール濃度(μg/dl)のパーソナリティ別の計測結果を示すグラフ図 都市空間での複数のイベント前後における唾液中コルチゾール濃度(μg/dl)のパーソナリティ別の計測結果を示すグラフ図 都市空間での歩行後における複数の生理応答指標の計測値とパーソナリティとの関係を示す3次元グラフ図 都市空間での座観前における複数の生理応答指標の計測値とパーソナリティとの関係を示す3次元グラフ図 本発明による環境制御システムの一例を示す機能ブロック図
符号の説明
1:環境改変出力手段
2:環境パラメータ取得手段
3:生理応答指標検出手段
4:パーソナリティ類推手段
5:外部環境影響推定手段
6:環境制御手段
7:付与ストレス決定手段
40:パーソナリティ分類テーブル

Claims (6)

  1. 外部環境変化を受けた対象者の生理応答を示す複数の生理応答指標の計測値を入力し、入力された生理応答指標から前記対象者の個人特性であるパーソナリティを類推し、類推されたパーソナリティを出力するパーソナリティ類推方法。
  2. 前記生理応答指標として、脳血流、心拍変動、脈拍数、血圧値、コルチゾール濃度、アミラーゼ活性、イムノグロブリンA濃度のうちのいずれかまたはそれらの組み合わせが用いられる請求項1に記載のパーソナリティ類推方法。
  3. 類推されるべき前記パーソナリティとして、少なくとも人の行動パターンを分類するタイプA行動パターン検査に基づくタイプAとタイプB及びSTAI(State-Trait Anxiety Inventory) 状態・特性不安検査における特性不安の高低によって分類されたパーソナリティが用いられている請求項1または2に記載のパーソナリティ類推方法。
  4. 類推された前記対象者の個人特性であるパーソナリティに基づいて決定されたストレス環境が前記外部環境変化として前記対象者に与えられる請求項1から3のいずれか一項に記載のパーソナリティ類推方法。
  5. 対象者が受けている外部環境を支配する環境パラメータを検知し、前記外部環境変化により前記対象者の生理応答を示す複数の生理応答指標の計測値を入力し、入力された生理応答指標から前記対象者の個人特性であるパーソナリティを類推し、類推されたパーソナリティに基づいて前記外部環境が前記対象者に及ぼす影響度合いを推定する外部環境影響推定方法。
  6. 対象者が存在する空間の環境を改変する環境改変出力手段と、前記空間を支配している環境パラメータを検知する環境パラメータ取得手段と、前記空間の環境に対する前記対象者の生理応答を示す複数の生理応答指標を検出する生理応答指標検出手段と、検出された生理応答指標から前記対象者の個人特性であるパーソナリティを類推するパーソナリティ類推手段と、類推されたパーソナリティに基づいて前記外部環境が前記対象者に及ぼす影響度合いを推定する外部環境影響推定手段と、推定された影響度合いに基づいて前記環境改変出力手段を制御する環境制御手段とからなる環境制御システム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012239891A (ja) * 2011-05-13 2012-12-10 Fujitsu Ltd 環境に関するデータを使用したストレスの連続的なモニタリング
JP2019042391A (ja) * 2017-09-06 2019-03-22 花王株式会社 性格特性の検査方法
JP2019168887A (ja) * 2018-03-23 2019-10-03 日本ユニシス株式会社 嗅覚嗜好とパーソナリティとの関係性解析装置

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