JPH08128694A

JPH08128694A - 冷暖房機の温度制御装置

Info

Publication number: JPH08128694A
Application number: JP6292215A
Authority: JP
Inventors: Hirokazu Genno; 広和源野; Osamu Kanbara; 修神原; Kazuo Matsumoto; 和夫松本
Original assignee: Sanyo Electric Co Ltd
Current assignee: Sanyo Electric Co Ltd
Priority date: 1994-10-31
Filing date: 1994-10-31
Publication date: 1996-05-21

Abstract

(57)【要約】【目的】人体が実際に感じる温冷感に基づいて温度制
御が行なわれる冷暖房機の温度制御装置を提供する。【構成】温度制御装置は、腕部皮膚温を測定する温度
センサー３を具え、該温度センサー３による測定データ
が温冷感推定回路５へ供給される。温冷感推定回路５に
は、腕部皮膚温と温冷感推定値の関数関係が格納されて
おり、温度測定データに基づいて対応する温冷感推定値
が算出される。算出された温冷感推定値はエアコンディ
ショナー２へ送信され、該温冷感推定値に基づいて温度
制御が行なわれる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、エアコンディショナー
(以下、必要に応じてエアコンという)等の冷暖房機の制
御装置に関し、特に、人体が実際に感じる温冷感に基づ
いて冷暖房機の温度制御を行なう装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、人体から放射される赤外線を感知
して、人体の位置を認識し、その位置へ向けてエアコン
本体のエア吹出し方向を制御するエアコンディショナー
が提案されている(特公平6-63431)。斯種エアコンディ
ショナーによれば、人体に対して集中的に温風或いは冷
風を送ることが出来、効率的である。

【０００３】これに対し、温風或いは冷風の温度調節
は、一般にエアコン本体或いはリモートコントローラに
内蔵された温度センサーの温度検知に基づいて行なわれ
ており、室内の温度を目標値に近づけるものであって、
人体が実際に感じる温冷感を目標値に制御を行なうもの
ではない。従って、エア吹出し方向を人体位置に制御し
たとしても、必ずしも快適なエアコンディションは得ら
れない。

【０００４】そこで、エアコン本体に装備した赤外線温
度センサーによって人体の温度を検知し、該検知信号に
基づいてエアコン本体の温度制御を行なう方法が提案さ
れている。該方法では、衣服から露出している顔面や手
の皮膚温の平均的な値が測定され、該測定データに基づ
いて温度制御信号が作成される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、本発明者ら
の研究によれば、人体が実際に感じる温冷感は、平均的
な皮膚温との相関が低いことが判明しており、従来の方
法では、精度の高い快適制御は困難である。本発明の目
的は、人体が実際に感じる温冷感に基づいて温度制御が
行なわれる冷暖房機の温度制御装置を提供することであ
る。

【０００６】

【課題を解決する為の手段】本発明者らは、人体の特定
の部位の皮膚温と人体が実際に感じる温冷感との相関
を、各部位について実験的に調べた結果、人体の抹消部
(鼻や指部等)と体幹部(額や脇下等)の中間的な部位、例
えば腕部や頬部の皮膚温が温冷感との相関が高いことを
見出し、本発明の完成に至った。

【０００７】本発明に係る冷暖房機の温度制御装置は、
腕部皮膚温を測定する温度測定手段と、腕部皮膚温と温
冷感推定値との対応関係が格納されているメモリ手段
と、温度測定手段による温度測定データに基づいて前記
メモリ手段から対応する温冷感推定値を導出する演算処
理回路と、導出された温冷感推定値に基づいて温度制御
信号を作成する制御回路とを具えている。

【０００８】具体的な構成において、温度測定手段は、
手首部に装着されるべき腕バンド(11)の内面に温度セン
サー(３)を取り付けて構成され、腕バンド(11)は、少な
くとも温度センサー(３)の取付け部が通気性の良好な資
材によって形成されている。

【０００９】更に具体的な構成において、腕バンド(11)
には、温度測定データ及び／又は温冷感推定値を含む遠
隔操作信号Ｓを冷暖房機へ向けて送信するための送信手
段が装備され、冷暖房機には、発信回路からの遠隔操作
信号Ｓを受信するための受信手段が装備されている。

【００１０】

【作用】上記本発明に係る冷暖房機の温度制御装置にお
いては、予め、腕部皮膚温と温冷感推定値との対応関係
が実験的に調べられ、この関係が関数式或いはテーブル
としてメモリ手段に格納される。冷暖房機の温度制御に
おいては、温度測定手段から得られる腕部皮膚温の測定
データが演算処理回路へ供給され、これによってメモリ
手段からは腕部皮膚温に対応する温冷感推定値が導出さ
れる。この様にして導出された温冷感推定値は制御回路
へ送られて、快適な温冷感を得るための温冷感目標値と
の偏差が算出され、該偏差に応じて温度制御信号が作成
される。そして、該温度制御信号が冷暖房機本体に供給
されて、例えば圧縮機の回転数が制御され、エアコンデ
ィションの調整が行なわれる。

【００１１】温度測定手段の具体的構成においては、温
度センサー(３)はバンド(２)の通気性の良好な部分で覆
われているので、実質的に、腕部の皮膚には温度センサ
ー(３)のみが接触して温度測定が行なわれ、正確な測定
データが得られる。

【００１２】更に具体的な構成においては、温度測定デ
ータ及び／又は温冷感推定値を含む遠隔操作信号Ｓが冷
暖房機へ向けて送信される。温度測定データが遠隔操作
信号Ｓに含まれて送信される場合は、冷暖房機側に、メ
モリ手段及び演算処理回路が設けられて、温冷感推定値
が導出される。そして、該温冷感推定値に基づいて、温
度制御信号が作成される。又、温冷感推定値が遠隔操作
信号Ｓに含まれて送信される場合は、受信した温冷感推
定値に基づいて、直接に温度制御信号が作成される。

【００１３】

【発明の効果】本発明に係る冷暖房機の温度制御装置に
よれば、人体が実際に感じる温冷感に基づいて温度制御
が行なわれるので、快適な温度環境が実現される。

【００１４】

【実施例】先ず、本発明における温冷感推定方法の根拠
となった実験結果について説明する。人体に実際に感じ
る温冷感は、ＩＳＯ規格のＰＭＶ指標によると、環境温
度、湿度、風速、輻射、着衣量、及び活動量から推定出
来るとされている。そこで、実験は男女６名の被験者を
対象として、環境温度を１５、２０、２５、３０℃に変
化させ、各被験者の指部皮膚温、額部皮膚温、及び腕部
皮膚温を実測すると共に、各温度条件で被験者が実際に
感じた温冷感を−１００〜１００の範囲で自己申告させ
た。その他の条件は、湿度が約５０％、輻射制御なし、
風速が０〜０.１ｍ／ｓｅｃ、着衣量が約１.０ｃｌｏ
(冬服)、活動量が約１.０ｍｅｔ(静座)で一定とした。

【００１５】尚、人体に実際に感じる温冷感は、実際に
は精神的要因によっても大きく変動することが経験的に
知られているため、本実験においては、被験者に対し
て、ビデオ観賞、計算作業、ＴＶゲーム等による各種の
ストレスを与えて、データ収集を行なった。

【００１６】図４は、抹消部としての指部の皮膚温と温
冷感申告値の関係をグラフ化したものである。これらの
データの相関解析の結果、両者の相関係数ｒは０.７７
４と低く、指部皮膚温で温冷感を推定することは適切で
ないことが判明した。これは、被験者の受けたストレス
度が指部皮膚温に大きく影響するためと考えられる。

【００１７】一方、図５は、体幹部としての額部の皮膚
温と温冷感申告値の関係をグラフ化したものである。こ
の結果、両者の相関係数ｒは０.７９６と僅かに増大し
たが、相関が高いとは言えない。額部皮膚温の変化はむ
しろ各被験者の基礎体温の差によるものである。従っ
て、体幹部皮膚温で温冷感を推定することは適切でな
い。

【００１８】これに対し、図６は、抹消部と体幹部の中
間部位としての腕部について、その皮膚温と温冷感申告
値の関係をグラフ化したものである。相関解析の結果、
両者の相関係数ｒは０.８６６と大きな値を示し、腕部
皮膚温と温冷感の間の相関が高いことが判明した。従っ
て、腕部皮膚温に基づいて温冷感を推定することが適切
である。

【００１９】そこで本発明では、図６の結果から、下記
数１で表わされる腕部皮膚温Ｘ(℃)と温冷感推定値Ｙと
の関数式を導き、この関数式に基づいて、温冷感の推定
値を算出することとした。

【００２０】

【数１】Ｙ＝−６１２.５９＋１８.１９Ｘ

【００２１】次に、図１に示す如くリモートコントロー
ラ(１)によって遠隔操作可能なエアコンディショナー
(２)に本発明を実施した例について、具体的に説明す
る。図示の如く、リモートコントローラ(１)は、腕部の
皮膚温を測定するための温度センサー(３)と、該温度セ
ンサー(３)からの温度検出信号に基づいて温度測定デー
タを作成する測定回路(４)と、該測定回路(４)から得ら
れる温度測定データに基づいて温冷感推定値を算出する
温冷感推定回路(５)と、該回路によって算出された温冷
感推定値を表示するための表示器(６)と、算出された温
冷感推定値を他の必要な遠隔操作情報と共に遠隔操作信
号Ｓとしてエアコンディショナー(２)へ送信するめの送
信回路(７)とを具えている。

【００２２】一方、エアコンディショナー(２)は、リモ
ートコントローラ(１)から送信されてくる遠隔操作信号
Ｓを受信するための受信回路(８)と、受信された遠隔操
作信号Ｓに応じてエアコン本体(10)に対する制御信号を
作成する制御回路(９)とを具えている。

【００２３】温度センサー(３)は例えばサーミスタから
構成され、図２に示す如く腕(13)の手首部に巻いて装着
すべき腕バンド(11)の内面に取り付けられる。腕バンド
(11)は、温度センサー取付け部がガーゼの如き通気性の
良好な布地(12)から形成されており、温度センサー(３)
を腕(13)の皮膚に接触させた状態で固定する。又、腕バ
ンド(11)には前記の表示器(６)が固定されており、図３
に示す様に温冷感推定値や皮膚温がアナログ表示、或い
はデジタル表示される。

【００２４】上述の如く温度センサー(３)は通気性の良
好な布地(12)によって覆われているに過ぎないので、実
質的に温度センサー(３)は空気中で腕部皮膚とのみ接触
し、腕部皮膚温を高精度で測定することが出来るのであ
る。

【００２５】温冷感推定回路(５)には、上記数１で表わ
される腕部皮膚温Ｘ(℃)と温冷感推定値Ｙの間の関数式
が格納されている。温冷感推定回路(５)は、温度センサ
ー(３)から測定回路(４)を経て温度測定データが供給さ
れると、該温度測定データを関数式の腕部皮膚温Ｘに代
入し、温冷感推定値Ｙを算出する。

【００２６】この様にして算出された温冷感推定値は、
前述の如く表示器(６)に表示されると共に、送信回路
(７)から遠隔操作信号Ｓとしてエアコンディショナー
(２)へ送信される。この結果、エアコン本体(10)は、人
間が実際に感じる温冷感に基づいて、快適な温冷感が得
られる様に制御される。

【００２７】例えばインバータエアコンにおいて、冷房
時には、下記数２の如く温冷感推定値Ｙに定数ａを乗算
して圧縮機の回転数ｆ(＞０)が算出される。

【数２】ｆ＝ａ×Ｙ

【００２８】又、腕部皮膚温の測定と同時に、環境温度
(室温)の測定も行なって、両測定データの併用によっ
て、信頼性を高めることも可能である。この場合、例え
ば下記数３に基づいて圧縮機の回転数ｆを算出すること
が出来る。

【数３】ｆ＝ｂ×Ｙ＋ｃ×(Ｔ−Ｔp)

【００２９】ここで、ｂ及びｃは定数、Ｔは環境温度、
ＴpはＰＭＶ指標から求めた快適温度である。

【００３０】上記実施例の説明は、本発明を説明するた
めのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定
し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本
発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲
に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。

【００３１】例えば、腕時計に上述のリモートコントロ
ーラの機能を装備して、時計バンドに温度センサーを取
り付けると共に、時刻表示盤には時刻と温冷感の両方を
表示する構成も採用可能である。

【００３２】又、温度センサー(３)を具えた腕バンド(1
1)は複数人に装着することとして、これら複数の温度セ
ンサー(３)による温度測定データを単純平均し、或いは
適当な重み付けを伴う平均処理を施し、該平均値に基づ
いてエアコンディショナーを温度制御することも可能で
ある。

【００３３】又、リモートコントローラから送信されて
くる信号に基づいて、人体の位置を認識し、その位置へ
向けてエア吹出し方向を制御する方式との併用も可能で
ある。

【００３４】更に本発明は、エアコンディショナーに限
らず、冷房専用機、ファンヒータ、電気ごたつ等の各種
冷暖房機に広く実施できるのは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明をエアコンディショナーに実施した場合
の構成を示すブロック図である。

【図２】温度センサーを具えた腕バンドの斜視図であ
る。

【図３】表示器の平面図である。

【図４】指部皮膚温と温冷感申告値の関係を示すグラフ
である。

【図５】額部皮膚温と温冷感申告値の関係を示すグラフ
である。

【図６】腕部皮膚温と温冷感申告値の関係を示すグラフ
である。

【符号の説明】

(１) リモートコントローラ (２) エアコンディショナー (３) 温度センサー (５) 温冷感推定回路 (６) 表示器 (11) 腕バンド (13) 腕

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】人体が実際に感じる温冷感に基づいて冷
暖房機の温度制御を行なう装置であって、腕部皮膚温を
測定する温度測定手段と、腕部皮膚温と温冷感推定値と
の対応関係が格納されているメモリ手段と、温度測定手
段による温度測定データに基づいて前記メモリ手段から
対応する温冷感推定値を導出する演算処理回路と、導出
された温冷感推定値に基づいて温度制御信号を作成する
制御回路とを具えている冷暖房機の温度制御装置。
【請求項２】温度測定手段は、手首部に装着されるべ
き腕バンド(11)の内面に温度センサー(３)を取り付けて
構成され、腕バンド(11)は、少なくとも温度センサー
(３)の取付け部が通気性の良好な資材によって形成され
ている請求項１に記載の温度制御装置。
【請求項３】腕バンド(11)には、温度測定データ及び
／又は温冷感推定値を含む遠隔操作信号Ｓを冷暖房機へ
向けて送信するための送信手段が装備され、冷暖房機に
は、発信回路からの遠隔操作信号Ｓを受信するための受
信手段が装備されている請求項２に記載の温度制御装
置。