JP3835073B2 - 脈波計測装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人体の脈波を計測する脈波計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、血液中のヘモグロビンの光吸収特性を利用して人体の脈波を計測する光学式の脈波センサがある。この脈波センサは、発光素子から人体の指先等に向けて光を照射する発光素子と、人体からの反射光を検出する受光素子とを備え、血液の脈動によって生じる血流量の変化、即ち脈波を受光素子での受光量の変化として検出するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、光学式の脈波センサに限らず、脈波センサを人体に取り付けて使用する場合には、日常生活における体の動き(以下体動と言う)により脈波センサが振動して、脈波検出時にノイズとなる。特に、体動により肩や肘等の大きい関節が動いた場合は、血流量そのものが変化してノイズとなることがある。
また、光学式の脈波センサでは、太陽光や螢光燈の光等の外乱光を完全に遮断することが困難であるため、その外乱光の変化がノイズとなり、ノイズの乗った脈波が計測されてしまうという問題があった。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、計測された脈波データにノイズ成分が乗っているか否かを検出できる脈波計測装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の手段)
生体の脈波を計測し、その計測された脈波データにノイズ成分が混入しているか否かを判断するための脈波解析回路を備えた脈波計測装置であって、
脈波解析回路は、任意の一定時間連続して計測した脈波を微分して速度脈波を求めた後、一拍毎の脈に対する速度脈波の振幅のピーク値を算出し、その算出されたピーク値のばらつきに応じてノイズ成分の混入を判断する。
この構成によれば、速度脈波から振幅のピーク値を求めているため、ピーク値をより的確に算出できるので、そのピーク値のばらつきに応じてノイズ成分の混入を的確に判断することができる。
【0005】
(請求項2の手段)
請求項1に記載した脈波計測装置において、
脈波解析回路は、ピーク値のばらつきを示す指標を数値化し、その数値が既定値より大きい場合に、計測された脈波データにノイズ成分が含まれていると判断する。この場合、ばらつきを示す指標(数値)を既定値と比較することで、容易にノイズ成分が混入しているか否かを判断することができる。
【0006】
(請求項3の手段)
請求項2に記載した脈波計測装置において、
脈波解析回路は、ピーク値のばらつきを示す指標を統計処理によって数値化する。この場合、一般的な統計処理により、ピーク値のばらつきの分布を統計的に数値化することができる。
【0007】
(請求項4の手段)
請求項3に記載した脈波計測装置において、
脈波解析回路は、ピーク値のばらつきを示す指標を分散(統計処理の一例)から算出して数値化している。
【0008】
(請求項5の手段)
請求項3に記載した脈波計測装置において、
脈波解析回路は、ピーク値のばらつきを示す指標を標準偏差(統計処理の一例)から算出して数値化している。
【0009】
(請求項6の手段)
請求項3に記載した脈波計測装置において、
脈波解析回路は、ピーク値のばらつきを示す指標を算出されたピーク値の最大値と最小値との差(統計処理の一例)から算出して数値化している。
【0010】
(請求項7の手段)
生体の脈波を計測し、その計測された脈波データにノイズ成分が混入しているか否かを判断するための脈波解析回路を備えた脈波計測装置であって、
脈波解析回路は、任意の一定時間連続して計測した脈波を微分して速度脈波を求めた後、一拍毎の脈に対する速度脈波の振幅のピーク値を算出し、算出されたそれぞれのピーク値を規格化し、その規格化されたピーク値のばらつきに応じてノイズ成分の混入を判断する。
この構成によれば、算出されたピーク値を規格化することにより、使用する脈波計測装置の計測単位等が異なる場合でも、それぞれの脈波計測装置で算出されたピーク値を定常的に使用することができる。
【0011】
(請求項8の手段)
請求項7に記載した脈波計測装置において、
脈波解析回路は、算出されたそれぞれのピーク値を、その各ピーク値の平均値で規格化する。
【0012】
(請求項9の手段)
請求項7及び8に記載した脈波計測装置において、
脈波解析回路は、規格化されたピーク値のばらつきを示す指標を数値化し、その数値が既定値より大きい場合に、計測された脈波データにノイズ成分が含まれていると判断する。この場合、ばらつきを示す指標(数値)を既定値と比較することで、容易にノイズ成分が混入しているか否かを判断することができる。
【0013】
(請求項10の手段)
請求項9に記載した脈波計測装置において、
脈波解析回路は、規格化されたピーク値のばらつきを示す指標を統計処理によって数値化している。この場合、一般的な統計処理により、規格化されたピーク値のばらつきの分布を統計的に数値化することができる。
【0014】
(請求項11の手段)
請求項10に記載した脈波計測装置において、
脈波解析回路は、規格化されたピーク値のばらつきを示す指標を分散(統計処理の一例)から算出して数値化している。
【0015】
(請求項12の手段)
請求項10に記載した脈波計測装置において、
脈波解析回路は、規格化されたピーク値のばらつきを示す指標を標準偏差(統計処理の一例)から算出して数値化している。
【0016】
(請求項13の手段)
請求項10に記載した脈波計測装置において、
脈波解析回路は、規格化されたピーク値のばらつきを示す指標を算出されたピーク値の最大値と最小値との差(統計処理の一例)から算出して数値化している。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
本実施例の脈波計測装置は、人体の脈波を計測して医療診断や健康診断等に用いるもので、図4に示すように、人体の指1に取り付けて使用される脈波センサ2と、この脈波センサ2の検出結果に基づいて脈波を計測するデータ処理装置3とを備える。
なお、医療診断及び健康診断とは、例えば脈拍や脈拍間隔を解析して、不整脈や自律神経の異常を判断するものである。
【0018】
脈波センサ2では、図4に示すように、発光素子4と受光素子5を備える周知の反射型センサであり、発光素子4から指1に向かって光が照射されると、光の一部が指1の内部を通る毛細動脈1aに当たって毛細動脈1aを流れる血液中のヘモグロビンに吸収され、残りの光が毛細動脈1aで反射して散乱し、一部が受光素子5に入射する。この時、血液の脈動により、毛細動脈1aにあるヘモグロビンの量が波動的に変化するので、ヘモグロビンに吸収される光も波動的に変化する。その結果、毛細動脈1aで反射して受光素子5で検出される受光量が変化し、その受光量の変化を脈波情報(例えば電圧信号)としてデータ処理装置3に出力している。
【0019】
データ処理装置3は、本発明の脈波解析回路を構成するマイクロコンピュータを内蔵している。即ち、マイクロコンピュータには、脈波センサ2で検出された脈波情報にノイズ成分が乗っているか否かを検出するためのノイズ検出プログラムが組み込まれている。
以下に、ノイズ検出の処理手順を図1に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0020】
まず、脈波センサ2で検出された脈波情報に基づいて、一定時間(アプリケーションによるが例えば10秒)脈波を計測する(S10)。
続いて、計測した脈波を微分して速度脈波を求める(S20)。
更に、計測した一定時間内において、一拍毎の脈に対する速度脈波の振幅のピーク値を算出する(S30)。
ここで、速度脈波の振幅のピーク値の計測単位及び絶対値は、脈波計測装置に依存するので、算出した各ピーク値を各ピーク値の平均値で規格化する(S40)。
【0021】
続いて、規格化されたピーク値のばらつきを示す指標を数値化するために統計処理を行う(S50)。具体的には、例えば分散あるいは標準偏差によって算出された数値をばらつきの指標として用いる。
続いて、数値化されたピーク値のばらつき(指標)が既定値よりも小さいか否かを判定する(S60)。なお、既定値は、統計処理の方法(例えば分散、標準偏差等)に対応して、それぞれ異なる値が設定されることは言うまでもない。
【0022】
上記S60の判定結果がYESの場合、つまりピーク値のばらつきが既定値より小さい場合は、脈波センサ2で検出された脈波情報にノイズ成分が乗っていないものと判断し、医療診断あるいは健康診断に係わるプログラムを実行する(S70)。
一方、S60の判定結果がNOの場合、つまりピーク値のばらつきが既定値より大きい場合は、脈波センサ2で検出された脈波情報にノイズ成分が乗っているものと判断し、S10へ戻って再度計測を行う。
【0023】
ここで、図2に示すように、ノイズ成分が乗っていない正常な脈波での速度脈波のピーク値のばらつきを算出すると、標準偏差で0.057となる。一方、図3に示すように、ノイズ成分の乗った脈波での速度脈波のピーク値のばらつきを算出すると、標準偏差で0.321となる。従って、ピーク値のばらつきを標準偏差によって求めた場合、ばらつきを判定するための既定値を、例えば0.1〜0.15に設定することで、ノイズの乗った脈波を検出することができる。
【0024】
(本実施例の効果)
本実施例の脈波計測装置によれば、一拍毎の脈に対する速度脈波を求めることで脈波のピーク値を的確に検出でき、そのピーク値のばらつきを算出することにより、脈波センサ2で検出された脈波情報にノイズ成分が乗っているか否かを的確に判断することができる。その結果、ノイズ成分が乗った脈波データを正常な脈波データとして診断等に利用することを防止でき、誤診の発生を未然に防ぐことができる。
【0025】
また、計測された脈波データにノイズ成分が乗っていると判断された場合でも、図5に示すように、S80でノイズ除去処理(例えばデジタルフィルタ等)を行うことにより、ノイズ成分が乗った脈波なりの診断プログラム(S90)を適用することができる。
更に、本実施例のノイズ検出処理を連続的に繰り返し行うことにより、健康状態等を継続的にモニターすることができる。
【0026】
(変形例)
上記実施例では、速度脈波のピーク値を、各ピーク値の平均値で規格化する例を示したが、その他の手法によって規格化しても良い。なお、必ずしもピーク値を規格化する必要はなく、例えば使用する脈波計測装置が特定されていれば、ピーク値を規格化する処理(S40)を廃止しても良い。
【0027】
ピーク値のばらつきを数値化するための統計処理として、分散あるいは標準偏差を例に示したが、それ以外の統計処理として、例えばピーク値の最大値と最小値との差からピーク値のばらつきを数値化することもできる。
上記実施例で説明した脈波センサ2は、反射型であるが、指を挟んで発光素子4と受光素子5とを対向して配置する透過型の脈波センサ2でも良い。また、脈波センサ2は、指に取り付けるだけでなく、例えば耳たぶに装着するタイプでも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ノイズ検出の処理手順を示すフローチャートである。
【図2】正常な脈波と速度脈波を示す測定グラフである。
【図3】ノイズ成分が乗った脈波と速度脈波を示す測定グラフである。
【図4】指と脈波センサの断面図である。
【図5】ノイズ検出の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 脈波センサ
3 データ処理装置(脈波解析回路)

Claims (13)

  1. 生体の脈波を計測し、その計測された脈波データにノイズ成分が混入しているか否かを判断するための脈波解析回路を備えた脈波計測装置であって、
    前記脈波解析回路は、
    任意の一定時間連続して計測した脈波を微分して速度脈波を求めた後、
    一拍毎の脈に対する前記速度脈波の振幅のピーク値を算出し、
    その算出されたピーク値のばらつきに応じてノイズ成分の混入を判断することを特徴とする脈波計測装置。
  2. 請求項1に記載した脈波計測装置において、
    前記脈波解析回路は、前記ピーク値のばらつきを示す指標を数値化し、その数値が既定値より大きい場合に、計測された脈波データにノイズ成分が含まれていると判断することを特徴とする脈波計測装置。
  3. 請求項2に記載した脈波計測装置において、
    前記脈波解析回路は、前記ピーク値のばらつきを示す指標を統計処理によって数値化することを特徴とする脈波計測装置。
  4. 請求項3に記載した脈波計測装置において、
    前記脈波解析回路は、前記ピーク値のばらつきを示す指標を分散から算出することを特徴とする脈波計測装置。
  5. 請求項3に記載した脈波計測装置において、
    前記脈波解析回路は、前記ピーク値のばらつきを示す指標を標準偏差から算出することを特徴とする脈波計測装置。
  6. 請求項3に記載した脈波計測装置において、
    前記脈波解析回路は、前記ピーク値のばらつきを示す指標を算出された前記ピーク値の最大値と最小値との差から算出することを特徴とする脈波計測装置。
  7. 生体の脈波を計測し、その計測された脈波データにノイズ成分が混入しているか否かを判断するための脈波解析回路を備えた脈波計測装置であって、
    前記脈波解析回路は、
    任意の一定時間連続して計測した脈波を微分して速度脈波を求めた後、
    一拍毎の脈に対する前記速度脈波の振幅のピーク値を算出し、
    算出されたそれぞれのピーク値を規格化し、
    その規格化されたピーク値のばらつきに応じてノイズ成分の混入を判断することを特徴とする脈波計測装置。
  8. 請求項7に記載した脈波計測装置において、
    前記脈波解析回路は、前記算出されたそれぞれのピーク値を、その各ピーク値の平均値で規格化することを特徴とする脈波計測装置。
  9. 請求項7及び8に記載した脈波計測装置において、
    前記脈波解析回路は、前記規格化されたピーク値のばらつきを示す指標を数値化し、その数値が既定値より大きい場合に、計測された脈波データにノイズ成分が含まれていると判断することを特徴とする脈波計測装置。
  10. 請求項9に記載した脈波計測装置において、
    前記脈波解析回路は、前記規格化されたピーク値のばらつきを示す指標を統計処理によって数値化することを特徴とする脈波計測装置。
  11. 請求項10に記載した脈波計測装置において、
    前記脈波解析回路は、前記規格化されたピーク値のばらつきを示す指標を分散から算出することを特徴とする脈波計測装置。
  12. 請求項10に記載した脈波計測装置において、
    前記脈波解析回路は、前記規格化されたピーク値のばらつきを示す指標を標準偏差から算出することを特徴とする脈波計測装置。
  13. 請求項10に記載した脈波計測装置において、
    前記脈波解析回路は、前記規格化されたピーク値のばらつきを示す指標を算出された前記ピーク値の最大値と最小値との差から算出することを特徴とする脈波計測装置。
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