以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
以下説明する本開示の実施形態においては、携帯端末装置の一例として、スマートフォンのような携帯電話を想定して説明する。しかしながら、本開示の実施形態は、スマートフォンのような携帯電話に限定されるものではなく、例えばフィーチャーフォンタイプの携帯電話としてもよい。また、本開示の実施形態は、必ずしも携帯電話に限定されず、例えばタブレット端末、電子機器を遠隔操作するリモコン端末、デジタルカメラ、およびノートPCなど、各種の携帯端末装置とすることができる。要するに、本開示の実施形態は、生体情報を測定する機能を備える任意の携帯端末装置とすることができる。
図1は、一実施形態に係る携帯端末装置の概略構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、携帯端末装置1は、コントローラ10と、電源部11と、ジャイロセンサ12と、表示部14と、音声出力部16と、通信部17と、バイブレータ18と、記憶部20とを備えている。また、携帯端末装置1は、操作キー部22と、マイク24とを備えている。
コントローラ10は、携帯端末装置1の各機能ブロックをはじめとして、携帯端末装置1の全体を制御及び管理するプロセッサを含む。コントローラ10は、制御手順を規定したプログラム及び被検者の生体情報を測定するプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む。このようなプログラムは、例えば記憶部20等の記憶媒体に格納される。また、コントローラ10は、携帯端末装置1が有する各種機能を実現するための制御を行う。例えば、携帯端末装置1がスマートフォンの場合、コントローラ10は、通話又はデータ通信に関する機能、及び各アプリケーションプログラムの実行に関する機能を実現するための制御を行う。
電源部11は、バッテリーを含み、携帯端末装置1の各部に電源を供給する。携帯端末装置1は、動作時には、電源部11、又は外部の電源から、電力の供給を受ける。
ジャイロセンサ12は、携帯端末装置1の角速度を検出することにより、携帯端末装置1の変位をモーションファクタとして検出する。ジャイロセンサ12は、例えば振動したアームに作用するコリオリ力による構造体の変形から角速度を検出する3軸タイプの振動ジャイロセンサである。ここで、この構造体は、例えば水晶、又は圧電セラミックス等の圧電材料を素材としてもよい。また、ジャイロセンサ12は、構造体をシリコン等の素材として、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術で形成されてもよい。また、ジャイロセンサ12は、光学式ジャイロセンサなどのような、他の方式のジャイロセンサであってもよい。コントローラ10は、ジャイロセンサ12により取得された角速度を1回時間積分することにより、携帯端末装置1の向きを測定することができる。
ジャイロセンサ12は、例えば角速度センサである。ただし、ジャイロセンサ12は、角速度センサに限られない。ジャイロセンサ12は、モーションファクタである携帯端末装置1の角度変位を検出してもよい。ジャイロセンサ12は、セルフコントロールファクタとして処理されるモーションファクタを検知する。ジャイロセンサ12が検知したモーションファクタは、コントローラ10に送信される。
コントローラ10は、ジャイロセンサ12からモーションファクタを取得する。モーションファクタは、被検者の被検部位における脈動に基づく携帯端末装置1の変位を示す指標を含む。コントローラ10は、モーションファクタに基づいて、被検者の脈動を生成する。コントローラ10は、被検者の脈動に基づいて、生体情報を測定する。コントローラ10による生体情報の測定処理の詳細については、後述する。
表示部14は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELパネル(Organic Electro-Luminescence Panel)、又は無機ELパネル(Inorganic Electro-Luminescence panel)等の表示デバイスを備える。表示部14は、文字、画像、記号又は図形等を表示する。また、表示部14は、表示機能のみならず、タッチスクリーンの機能も含むタッチスクリーンディスプレイで構成してもよい。この場合、タッチスクリーンは、使用者の指又はスタイラスペン等の接触を検出する。タッチスクリーンは、複数の指、又はスタイラスペン等がタッチスクリーンに接触した位置を検出することができる。タッチスクリーンの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式(又は超音波方式)、赤外線方式、電磁誘導方式、及び荷重検出方式等の任意の方式でよい。静電容量方式では、指、又はスタイラスペン等の接触及び接近を検出することができる。
音声出力部16は、音を出力することで、使用者等に情報を報知する。音声出力部16は、任意のスピーカ等で構成することができる。音声出力部16は、コントローラ10から送信される音信号を音として出力する。使用者は、例えば携帯端末装置1を用いて通話している最中に、音声出力部16から通話相手の音声を聞くことができる。この場合、使用者は、音声出力部16を耳に当てるようにすることで、通話相手の音声を聞くことができる。また、スピーカフォンのような使用態様とする場合には、使用者は、音声出力部16を耳に当てていなくても、通話相手の音声を聞くことができる。
通信部17は、外部装置と有線通信又は無線通信を行うことにより、各種データの送受信を行う。通信部17は、携帯端末装置1の通話及び/又はデータ通信の機能を実現するために、基地局などと接続して通信を行うことができる。また、通信部17は、例えば携帯端末装置1が測定した生体情報の測定結果等を、外部装置に送信することができる。さらに、通信部17は、健康状態を管理するために被検者の生体情報を記憶する外部装置と通信を行うこともできる。
バイブレータ18は、振動などを発生することで、使用者等に情報を報知する。バイブレータ18は、携帯端末装置1の任意の部位に振動などを発生することにより、携帯端末装置1の使用者に対して触感を呈示する。バイブレータ18は、振動を発生するものであれば、例えば偏心モータ、圧電素子(ピエゾ素子)、又はリニアバイブレータのような任意の部材を採用することができる。
記憶部20は、アプリケーションプログラムをはじめとする各種プログラム及びデータを記憶する。記憶部20は、半導体記憶媒体、及び磁気記憶媒体等の任意の非一過的(non-transitory)な記憶媒体を含んでよい。記憶部20は、複数の種類の記憶媒体を含んでよい。記憶部20は、メモリカード、光ディスク、又は光磁気ディスク等の可搬の記憶媒体と、記憶媒体の読み取り装置との組み合わせを含んでよい。記憶部20は、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスを含んでよい。記憶部20は、各種情報及び携帯端末装置1を動作させるためのプログラム等を記憶するとともに、ワークメモリとしても機能する。記憶部20は、例えば、ジャイロセンサ12が検知したデータ、及び生体情報の測定結果などを記憶してもよい。
操作キー部22は、使用者の操作入力を検出する1つ以上の操作キーで構成される。操作キー部22は、例えば押しボタンスイッチまたはスライドスイッチなど、任意のキー又はボタンなどで構成することができる。また、全ての操作がタッチスクリーンディスプレイで行うことができる構成においては、操作キー部22は、必須の要素ではない。
マイク24は、音を検出して音声信号に変換する。マイク24は、音を検出するものであれば、任意のもので構成することができる。マイク24は、変換した音声信号をコントローラ10に送信する。コントローラ10は、受信した音声信号を、例えば通信部17から送信することができる。これにより、使用者は、例えば携帯端末装置1を用いて通話している最中、マイク24に入力した音声を通話相手に送信することができる。
本開示の一実施形態に係る携帯端末装置1は、図1に示した構成に限定されない。一実施形態に係る携帯端末装置1が生体情報を測定するために必須の構成要素は、コントローラ10及びジャイロセンサ12である。したがって、一実施形態に係る携帯端末装置1において、必要に応じて、適宜、必須の構成要素以外の他の構成要素を省略したり、その他の構成要素を追加してもよい。また、携帯端末装置1が生体情報を測定するために必須の構成要素は、コントローラ10及びジャイロセンサ12であるが、生体情報を測定しない時の携帯端末装置1は、ジャイロセンサ12を備えない(内蔵していない)構成とすることもできる。この場合、例えば、携帯端末装置1に装着可能なケース又はアタッチメントのような外部の部材が、ジャイロセンサ12を備えるようにしてもよい。
携帯端末装置1は、被検者の被検部位において生体情報を測定することができる。被検部位は、後述するように、例えば被検者(携帯端末装置1の使用者)の胴体であってよい。携帯端末装置1は、被検部位である胴体の変動に基づいて、被検者の生体情報を測定する。
携帯端末装置1が測定する生体情報は、例えば、血液成分、脈波、脈拍及び脈波伝搬速度の少なくともいずれかを含む。血液成分は、例えば糖代謝の状態及び脂質代謝の状態を含む。糖代謝の状態は、例えば血糖値を含む。脂質代謝の状態は、例えば脂質値を含む。脂質値は、中性脂肪、総コレステロール、HDL(High Density Lipoprotein)コレステロール及びLDL(Low Density Lipoprotein)コレステロール等を含む。携帯端末装置1は、例えば、被検者の脈波を生体情報として取得し、取得した脈波に基づいて、血液成分等の生体情報を測定する。
図2は、一実施形態に係る携帯端末装置1の外観を示す概略斜視図である。一実施形態に係る携帯端末装置1は、例えば図1に示すように、比較的小型の携帯電話などの携帯端末装置として構成することができる。しかしながら、携帯端末装置1は、携帯電話のような携帯端末装置に限定されない。例えば、携帯端末装置1は、他の任意の携帯可能な電子機器に組み込まれてもよい。
図2(A)は、携帯端末装置1の正面側を示す図である。図2(B)は、携帯端末装置1の裏面側を示す図、すなわち図2(A)に示した携帯端末装置1を裏返した状態を示す図である。
図2に示すように、携帯端末装置1は、外観形状が概略長方形状をなすハウジング30を備える。図2(A)に示すように、携帯端末装置1は、正面側に、表示部14と、音声出力部16と、操作キー部22と、マイク24とを有する。表示部14は、携帯端末装置1の測定処理に関する情報を表示することができる。このため、使用者などは、表示部14の表示を見るだけで、生体情報を測定しながら、その状況を確認することができる。また、使用者などは、表示部14の表示を見るだけで、生体情報を測定した結果も確認することができる。さらに、使用者などは、表示部14の表示を見るだけで、生体情報が正しく測定されているか否かも確認することができる。その他、表示部14には、例えば時刻などの情報を表示させてもよい。
携帯端末装置1が携帯電話として機能する際には、音声出力部16は、通話相手の音声を出力する。また、携帯端末装置1を用いて生体情報を測定する際は、音声出力部16は、携帯端末装置1が生体情報の測定を開始する際及び当該測定が完了した際などに音を出力して、測定が開始又は完了した旨を使用者に報知する。さらに、音声出力部16は、測定が継続している旨を使用者に報知するための音を出力してもよい。使用者などは、音声出力部16から出力される音声により、生体情報が正しく測定されているか否かを確認することができる。
操作キー部22は、図2(A)に示す例においては、操作キー22A,22B,22Cにより構成されている。操作キー部22は、このようなキーの個数及び配置に限定されるものではなく、携帯端末装置1の仕様などに応じて種々の個数及び配置を採用することができる。例えば、図2(A)に示す例においては、操作キー部22は、携帯端末装置1の正面側のみに配置されているが、携帯端末装置1本体の側面側又は裏面側に配置してもよい。携帯端末装置1において、操作キー部22は、生体情報の測定を開始するためのボタンのようなスイッチとしてもよい。
マイク24は、上述したように、主に携帯端末装置1が携帯電話として機能する際に、使用者などの音声を検出する。図2(A)に示す例においては、マイク24は、携帯端末装置1の正面側に1つのみ配置されているが、携帯端末装置1の仕様などに応じて種々の個数及び配置を採用することができる。
図2(B)に示すように、携帯端末装置1は、背面側に、当接部40と、支持部50とを有する。図2(B)に示す例においては、当接部40及び支持部50は、ハウジング30の背面とほぼ同一の平面を形成している。しかしながら、当接部40及び支持部50の少なくともいずれかは、ハウジング30の背面側から突出する部材としてもよい。図2(B)に示すように、当接部40及び支持部50は、ハウジング30の背面において、携帯端末装置1に対して固定されている。当接部40及び支持部50の少なくともいずれかは、例えば携帯端末装置1に対して着脱不可能に備えられていてもよい。当接部40及び支持部50の少なくともいずれかは、例えば携帯端末装置1に対して着脱可能に構成されていてもよい。
当接部40及び支持部50は、ハウジング30の背面側において、当該背面の短辺方向に沿って直線状に延在するように固定されている。ハウジング30の背面の短辺方向における、当接部40及び支持部50の長さは、例えばハウジング30の背面の短辺の長さよりも短くてよい。また、ハウジング30の背面の短辺方向における、当接部40と支持部50との長さの関係は、適宜定めることができる。例えば、ハウジング30背面の短辺方向における当接部40の長さは、ハウジング30背面の短辺方向における支持部50の長さよりも短くてもよく、又は長くてもよい。また、ハウジング30背面の短辺方向における当接部40の長さと、ハウジング30背面の短辺方向における支持部50の長さとは、同じでもよい。
当接部40は、携帯端末装置1により生体情報が測定される際に、被検部位に当接する。すなわち、当接部40は、生体情報の測定時に、例えば被検者の胴体又はその周辺に当接する。また、図2(B)に示すように、当接部40の裏側には、ジャイロセンサ12が取り付けられている。図2(B)に示す例においては、ジャイロセンサ12はハウジング30の内部に設置されているため、ジャイロセンサ12を破線で示してある。当接部40とジャイロセンサ12とは、別の部材として構成してもよいし、1つの同じ部材として構成してもよい。
支持部50は、携帯端末装置1により生体情報が測定される際に、当接部40とは異なる位置で被検者に当接する。支持部50は、例えば当接部40とは異なる位置で被検者の胴体に当接する。支持部50は、被検者に当接することにより、当接部40の被検部位に対する当接状態を支持する。なお、携帯端末装置1は、支持部50を複数備えていてもよい。複数の支持部50は、例えば、直線状に配置される。当接部40及び支持部50(並びにハウジング30)は、当接部40に当接する被検部位の変動が、適切にジャイロセンサ12に伝達するように構成する。当接部40及び支持部50による被検部位への当接態様の詳細については、後述する。
本開示の一実施形態に係る携帯端末装置1は、図2に示した構造に限定されない。上述のように、一実施形態に係る携帯端末装置1において、必要に応じて、適宜、必須の構成要素以外の他の構成要素を省略したり、その他の構成要素を追加してもよい。
例えば、後述のように、携帯端末装置1を使用者の胴体に固定するために、使用者のベルト又はウエストバンドなどに携帯端末装置1を装着可能にするケース若しくはホルダ又はアタッチメントなどを別途用意してもよい。図2に示した携帯端末装置1を用いて生体情報を測定する場合、被検者自らが手などを用いて、携帯端末装置1を被検者の胴体に固定する必要がある。これに対し、前述のケース若しくはホルダ又はアタッチメントなどを用いれば、生体情報を測定する際に、携帯端末装置1を被検者の胴体に固定することができる。したがって、この場合、被検者自らが手などを用いて、携帯端末装置1を被検者の胴体に固定する必要はない。このようなケース若しくはホルダ又はアタッチメントなどを用いて、使用者のベルト又はウエストバンドなどに携帯端末装置1を装着する態様については、さらに後述する。
次に、携帯端末装置1による生体情報の測定処理について説明する。携帯端末装置1は、携帯端末装置1に固定された当接部40が被検部位に当接した状態でモーションファクタを取得し、取得したモーションファクタに基づいて、生体情報を測定する。携帯端末装置1は、携帯端末装置1に固定された支持部50が被検部位とは異なる位置で被検者に当接した状態で、モーションファクタを取得してよい。
生体情報の測定にあたり、携帯端末装置1は、例えば被検者による入力操作に基づき、生体情報の測定処理が可能な状態になる。生体情報の測定処理が可能な状態とは、例えば生体情報を測定するためのアプリケーションが起動された状態等をいう。被検者は、生体情報の測定処理を可能な状態にして、携帯端末装置1によるモーションファクタの取得を開始させる。
次に、携帯端末装置1が使用者の生体情報を測定する原理について、さらに説明する。携帯端末装置1は、使用者の胴体の変動に基づいて、生体情報を測定する。図3は、人体内の構造を概略的に示す図である。図3は、人体の一部の内部構造を、概略的に示している。また、図3は、特に、人体内の心臓及び大動脈の一部を概略的に示している。
人体内の血液は、心臓から送出された後、血管を経て人体の各部に供給される。図3に示すように、人体内において、心臓から送出される血液の一部は、胸部大動脈を通過してから、腹部大動脈を通過する。心臓から胸部大動脈又は腹部大動脈に血液が送出されると、これらの血管が収縮などの変動をきたす。このような変動は、使用者の体内を伝わり、使用者の胴体をも変動させる。したがって、携帯端末装置1が使用者の胸部又は腹部を含む胴体に押し当てられた状態で、ジャイロセンサ12は、使用者の胴体の変動を検出することができる。このようにして、ジャイロセンサ12は、使用者の胴体の変動に起因するモーションファクタを検知する。
図4は、携帯端末装置1によるモーションファクタの取得態様の一例を示す図である。図4(A)は、携帯端末装置1がジャイロセンサ12を備える(例えば本体に内蔵する)例を示す図である。図4(B)は、携帯端末装置1の本体がジャイロセンサ12を内蔵せず、外部のケース又はアタッチメントのような部材がジャイロセンサ12を備える例を示す図である。
図4(A)及び図4(B)は、例えば人体のような生体において、大動脈を含む部位の断面を示してある。また、図4(A)及び図4(B)は、図2に示した携帯端末装置1のハウジング30の背面側を、生体の被検部位に当接させている状態を示している。したがって、図4(A)及び図4(B)に示すように、当接部40及び支持部50は、それぞれ生体表面(皮膚)の被検部位に当接している。ここで、生体表面の被検部位は、一実施形態においては、使用者の胴体とする。また、図4(A)及び図4(B)に示す大動脈とは、図3に示した胸部大動脈としてもよいし、腹部大動脈としてもよい。
被検者は、図4(A)及び図4(B)に示すように、携帯端末装置1を胴体に押し当てて、携帯端末装置1にモーションファクタを取得させる。図4(A)及び図4(B)に示すように、携帯端末装置1と使用者の胴体との接触状態において、当接部40が被検部位に当接する。また、図4(A)及び図4(B)に示すように、携帯端末装置1によるモーションファクタの取得状態において、支持部50は、当接部40とは異なる位置で被検者の胴体に当接する。
図4(A)及び図4(B)に示すように、携帯端末装置1を矢印Pの位置で矢印Pの方向に押し当てて胴体に当接させた場合、携帯端末装置1は、被検者の脈動に基づく血管の拡張及び収縮の動きに応じて変位する。携帯端末装置1は、胴体に当接する支持部50を支点として、図4(A)及び図4(B)において矢印Qで示すように、側面視において、矢印Pの方向に押し当てていない上端側が回転するように変位する。このような変位は、通常、部分的な回転運動の往復が反復する振動のような変位となる。携帯端末装置1が備えるジャイロセンサ12は、携帯端末装置1の変位を検出することにより、被検者の脈波を取得する。脈波とは、血液の流入によって生じる血管の容積時間変化を体表面から波形としてとらえたものである。
このように、一実施形態に係る携帯端末装置1において、ジャイロセンサ12は、使用者の胴体の変動に起因するモーションファクタを検知する。このジャイロセンサ12は、携帯端末装置1が使用者の胴体に押し当てられている状態で、使用者の胴体の変動に起因するモーションファクタを検知する。そして、コントローラ10は、このようにしてジャイロセンサ12によって検知されたモーションファクタに基づいて、使用者の生体情報の測定処理を行う。
ここで、使用者の胴体は、使用者の腹部又は胸部を含んでもよい。また、使用者の胴体の変動は、図4(A)及び図4(B)においては、使用者の血管の動きにより生じる変動の例を示したが、これに限定されない。使用者の胴体の変動は、使用者の血管の動きにより生じる変動のみならず、使用者の呼吸により生じる変動、及び使用者の体動により生じる変動の少なくともいずれかを含んでよい。また、使用者の血管は、使用者の大動脈を含んでよい。また、使用者の大動脈は、使用者の腹部大動脈及び胸部大動脈の少なくともいずれかを含んでよい。大動脈のような大型の血管においては、絶えず多量の血液が流れている。このため、携帯端末装置1においては、使用者の大動脈を計測の対象とすることにより、高い精度で安定して、生体情報の測定を行うことができる。
また、図4(B)に示すように、ジャイロセンサ12は、弾性部材19を介して使用者の胴体に押し当てられることで、使用者の胴体の変動に追従することが容易となる。そのため、携帯端末装置1は、高い精度で安定して、生体情報の測定を行うことができる。ここで、弾性部材19は、弾性力を生じる任意のものであればよく、例えば、バネ、ゴム、可撓性樹脂、油圧を利用したもの、空気圧を利用したもの、水圧を利用したものなどである。図4(B)に示す支持部50は、ジャイロセンサ12が設置された方のハウジングと、ジャイロセンサ12が設置されていない方のハウジングとを接続している。図4(B)に示すように、ジャイロセンサ12が設置された方のハウジングは、ジャイロセンサ12が設置されていない方のハウジングに対して、支持部50を軸として可動な機構を有している。
上述したように、図4(B)に示す携帯端末装置1は、本体にジャイロセンサ12を内蔵しない構成とすることができる。この場合、図4(B)に示すジャイロセンサ12および当接部40を備えるアタッチメントのような外部の部材が、支持部50を介して携帯端末装置1に装着されるようにしてもよい。このような構成においては、ジャイロセンサ12が検出する検出信号が、例えば支持部50を介するなどして、携帯端末装置1のコントローラ10に供給されるようにしてもよい。
携帯端末装置1は、ジャイロセンサ12を備えることにより、使用者は着衣のまま、衣服の上から生体情報を測定することができる。すなわち、携帯端末装置1によれば、使用者は、生体情報を測定する際に脱衣する必要はなくなる。また、携帯端末装置1によれば、使用者は、測定装置を肌に直に触れさせる必要もない。このため、携帯端末装置1によれば、生体情報の測定を手軽に行うことができる。
従来の加速度センサは、ノイズが大きいため、脈波センサとしての利用に適しているとは言い難い。特に、脈波及び呼吸のような、1Hz前後の低周波数の測定を目的とする場合、小型の端末のような装置に内蔵するような小型の加速度センサは一般的ではない。通常、このような目的には、大型の加速度センサが必要になる。
これに対し、携帯端末装置1においては、生体情報の測定にジャイロセンサ12を用いる。ジャイロセンサは、一般的に測定の際のノイズが少ない。ジャイロセンサは、常時振動しているため(振動型ジャイロセンサの場合)、構造上、ノイズを低減させることができる。また、一実施形態に係る携帯端末装置1においては、小型のハウジング30に内蔵可能なジャイロセンサ12を採用することができる。
次に、一実施形態に係る携帯端末装置1の使用態様を説明する。図5は、携帯端末装置1を用いて生体情報を測定する例を示す図である。図5においては、携帯端末装置1に内蔵されたジャイロセンサ12を、破線により示してある。
図5(A)は、図2に示したような携帯端末装置1を用いて生体情報を測定する例を示してある。図5(A)に示すように、携帯端末装置1を用いて生体情報を測定する場合、使用者自らが手などを用いて、携帯端末装置1の当接部40を被検部位に押し当てて、生体情報を測定することができる。
手などを用いて携帯端末装置1を押し当てる際、ジャイロセンサ12が血管の動きを良好に検出できるようにするため、図5(A)に示すように、ジャイロセンサ12の位置は押し当てないようにしてもよい。この場合、ジャイロセンサ12のない位置、すなわち、図2(A)に示した携帯端末装置1の下端の近傍を押し当てるようにしてもよい。図2(A)に示した携帯端末装置1の下端の近傍の裏側には、図2(B)に示した支持部50が存在する。
手などを用いて携帯端末装置1を押し当てる場合、使用者は、携帯端末装置1の当接部40が当接する被検部位を自在に変更することができる。例えば、携帯端末装置1をもう少し上半身側に移動させて、胸部大動脈の動きを検出し易くしてもよい。また、例えば、携帯端末装置1をもう少し下半身側に移動させて、腹部大動脈の動きを検出し易くしてもよい。このように、携帯端末装置1の使用者は、生体情報の測定が良好に行える被検部位の位置を探して、高い精度で生体情報の測定を行うことができる。
図5(B)は、上述したような、ベルト又はウエストバンドに携帯端末装置1を装着可能にするケース若しくはホルダ又はアタッチメントなどを用いた例を示している。図5(B)に示すように、使用者がベルト60又はウエストバンド62などを着用している場合、ケース若しくはホルダ又はアタッチメントなどを用いて、携帯端末装置1を、使用者のベルト60又はウエストバンド62などに装着することができる。このようなケース若しくはホルダ又はアタッチメントなどは、携帯端末装置1を使用者のベルト60又はウエストバンド62などに装着可能にする外部部材として、適宜構成することができる。
このようにすれば、生体情報を測定する際に、使用者自らが携帯端末装置1の当接部40を被検部位に押し当てる必要はなくなる。また、この場合、使用者は、ベルト60又はウエストバンド62が携帯端末装置1を押し当てる位置を調整することで、携帯端末装置1の当接部40が当接する被検部位を、ある程度変更することができる。したがって、携帯端末装置1の使用者は、生体情報の測定が良好に行える被検部位の位置を探して、高い精度で生体情報の測定を行うことができる。
このように、一実施形態において、携帯端末装置1の一部が使用者の胴体に押し当てられ、且つ、携帯端末装置1の一部以外の少なくとも一部が使用者の衣服のベルト60又はウエストバンド62に押し当てられてよい。このような状態で、ジャイロセンサ12は、モーションファクタを検知してよい。コントローラ10は、このようにして検出されたモーションファクタに基づいて、測定処理を行ってよい。
図5(C)は、図5(A)に示した携帯端末装置1の向きを上下反対にして用いた例を示してある。図5(C)に示す例においては、図5(A)及び図5(B)に示した例に比べて、腹部大動脈の動きを検出し易くなる。この場合、使用者は、生体情報を測定する際に、手などを用いるか、又は、ベルト60又はウエストバンド62を用いて、携帯端末装置1の当接部40を被検部位に押し当てる。
このように、一実施形態において、携帯端末装置1の一部が使用者の胴体の下腹部側に押し当てられ、且つ、携帯端末装置1の一部以外の少なくとも一部が下腹部側よりも使用者の胴体の頭部側に押し当てられてよい。このような状態で、ジャイロセンサ12は、モーションファクタを検知してよい。コントローラ10は、このようにして検知されたモーションファクタに基づいて、測定処理を行ってよい。
図6は、図5と同様に、携帯端末装置1を用いて生体情報を測定する他の例を示す図である。図6においても、携帯端末装置1に内蔵されたジャイロセンサ12を、破線により示してある。
図6(A)に示すように、携帯端末装置1を横方向にして生体情報を測定してもよい。図6(A)に示す状態において、手などを用いて携帯端末装置1を押し当てる際、ジャイロセンサ12が血管の動きを良好に検出できるようにするため、ジャイロセンサ12の位置は押し当てないようにしてもよい。この場合、ジャイロセンサ12のない位置、すなわち、支持部50の存在する側の携帯端末装置1の端部近傍を、手などを用いて押し当てるようにしてもよい。この場合、ジャイロセンサ12は、胴体の中心線Mに近くなるため、胸部大動脈又は腹部大動脈の動きを良好に検出することができる。
また、図6(B)に示すように、携帯端末装置1の向きを図6(A)に示した場合とは逆にしてもよい。この場合、ジャイロセンサ12は、胴体の側面すなわち脇腹の近傍に当接する。また、この場合、ジャイロセンサ12のない位置、すなわち、支持部50の存在する側の携帯端末装置1の端部近傍を、手などを用いて押し当てるようにしてもよい。
このように、一実施形態において、携帯端末装置1の一部が使用者の胴体の側面側に押し当てられ、且つ、携帯端末装置1の一部以外の少なくとも一部が使用者の胴体の側面側よりも胴体の中心M側に押し当てられてよい。このような状態で、ジャイロセンサ12は、モーションファクタを検知してよい。コントローラ10は、このようにして検知されたモーションファクタに基づいて、測定処理を行ってよい。
携帯端末装置1は、当接部40が被検部位に当接された状態において、脈波の測定処理を行う。図7は、携帯端末装置1による脈波の測定処理について説明するための模式図である。図8は、携帯端末装置1による脈波の測定処理の手順を示すフロー図である。図7において、横軸は時間を示し、縦軸は、ジャイロセンサ12である角速度センサの脈波に基づく出力(rad/秒)を模式的に示すものである。図7では、角速度センサの出力は、各脈波のピークのみを示している。
被検者は、時刻t0において、携帯端末装置1に対して脈波測定処理を開始するための所定の入力操作を行ったとする。すなわち、携帯端末装置1は、時刻t0において生体情報の測定処理が可能な状態となり、脈波の測定処理を開始したとする。被検者は、脈波測定処理を開始するための所定の入力操作を行った後、図5に示したように、当接部40を被検部位に当接させる。
携帯端末装置1では、コントローラ10が、脈波測定処理を開始すると、被検者の血管の脈動に応じたジャイロセンサ12の出力を検出する。測定開始直後の所定期間(図7における時刻t0から時刻t1まで)は、被検者が当接部40を被検部位に接触させる位置を調整させること等により、ジャイロセンサ12の出力が安定しない。この期間は脈波を正確に取得できない。そのため、携帯端末装置1は、この期間に測定された脈波を、例えば生体情報である血液成分の測定に使用しなくてもよい。携帯端末装置1は、例えば、この期間に測定された脈波を記憶部20に記憶しなくてもよい。
コントローラ10は、脈波測定処理の開始後、所定回数連続して安定した脈波を検出したか否かを判定する(図8のステップS101)。所定回数は、図7に示す例では4回であるが、これに限られない。また、安定した脈波は、例えば、各脈波のピーク出力のばらつき及び/又は各脈波のピーク同士の間隔のばらつきが、所定の誤差範囲内となる脈波をいう。ピーク同士の間隔における所定の誤差範囲は、例えば±150msecであるが、これに限られない。図7に示す例では、コントローラ10が、時刻t1から時刻t2まで、各脈波のピーク同士の間隔のばらつきが4回連続で±150msec以内となる脈波を検出した場合の例を示している。
コントローラ10は、脈波測定処理の開始後、所定回数連続して安定した脈波を検出したと判定した場合(図8のステップS101のYes)、脈波の取得を開始する(ステップS102)。すなわち、コントローラ10は、血液成分を測定するために使用する脈波を取得する。脈波取得開始時刻は、例えば図7では時刻t3である。コントローラ10は、このようにして取得した脈波を記憶部20に記憶してもよい。携帯端末装置1は、このように所定回数連続して安定した脈波を検出したと判定した場合に脈波の取得を開始するため、実際には被検者が携帯端末装置1を接触させていない場合等における、誤検出を防止しやすくなる。
コントローラ10は、脈波の取得を開始した後、脈波取得の終了条件が満たされると、脈波の取得を終了する。終了条件は、脈波の取得を開始した後、例えば所定時間が経過した場合であってもよい。終了条件は、例えば、所定の脈拍数分の脈波を取得した場合であってもよい。なお終了条件は、これに限られず他の条件が適宜設定されてもよい。図7に示す例では、コントローラ10は、時刻t3から所定時間(例えば8秒又は15秒)経過後の時刻t4において脈波の取得を終了する。これにより、図8に示すフローは終了する。
なお、コントローラ10は、脈波測定処理の開始後、所定回数連続して安定した脈波を検出していないと判定した場合(図8のステップS101のNo)、脈波測定処理を開始するための所定の入力操作を行ってから所定時間経過したか否かを判定する(ステップS103)。
脈波測定処理を開始するための所定の入力操作を行ってから所定時間(例えば30秒)経過していないとコントローラ10が判定した場合(ステップS103のNo)、図8に示すフローは、ステップS101に移行する。
一方、コントローラ10は、脈波測定処理を開始するための所定の入力操作を行ってから所定時間経過しても、安定した脈波を検出できない場合(ステップS103のYes)、自動的に測定処理を終了(タイムアウト)して、図8のフローを終了する。
図9は、携帯端末装置1を用いて被検部位(胴体)で取得された脈波の一例を示す図である。図9は、ジャイロセンサ12を脈動の検知手段として用いた場合のものである。図9は、ジャイロセンサ12である角速度センサで取得された角速度を積分したものである。図9において、横軸は時間、縦軸は角度を表す。取得された脈波は、例えば被検者の体動が原因のノイズを含む場合があるので、DC(Direct Current)成分を除去するフィルタによる補正を行い、脈動成分のみを抽出してもよい。
携帯端末装置1は、取得された脈波から、脈波に基づく指標を算出し、脈波に基づく指標を用いて、血液成分を測定する。取得された脈波から、脈波に基づく指標を算出する方法を、図9を用いて説明する。脈波の伝播は、心臓から押し出された血液による拍動が、動脈の壁、又は血液を伝わる現象である。心臓から押し出された血液による拍動は、前進波として手足の末梢まで届き、その一部は血管の分岐部、血管径の変化部等で反射され反射波として戻ってくる。脈波に基づく指標は、例えば、前進波の脈波伝播速度PWV(Pulse Wave Velocity)、脈波の反射波の大きさPR、脈波の前進波と反射波との時間差Δt、脈波の前進波と反射波との大きさの比で表されるAI(Augmentation Index)等である。
図9に示す脈波は、利用者のn回分の脈拍であり、nは1以上の整数である。脈波は、心臓からの血液の駆出により生じた前進波と、血管分岐、又は血管径の変化部から生じた反射波とが重なりあった合成波である。図9において、PFnは脈拍毎の前進波による脈波のピークの大きさ、PRnは脈拍毎の反射波による脈波のピークの大きさ、PSnは脈拍毎の脈波の最小値である。また、図9において、TPRは脈拍のピークの間隔である。
脈波に基づく指標とは、脈波から得られる情報を定量化したものを含む。例えば、脈波に基づく指標の一つであるPWVは、上腕と足首等、2点の被検部位で測定された脈波の伝播時間差と2点間の距離とに基づいて算出される。具体的には、PWVは、動脈の2点における脈波(例えば上腕と足首)を同期させて取得し、2点の距離の差(L)を2点の脈波の時間差(PTT)で除して算出される。例えば、脈波に基づく指標の一つである反射波の大きさPRは、反射波による脈波のピークの大きさPRnを算出してもよいし、n回分を平均化したPRaveを算出してもよい。例えば、脈波に基づく指標の一つである脈波の前進波と反射波との時間差Δtは、所定の脈拍における時間差Δtnを算出してもよいし、n回分の時間差を平均化したΔtaveを算出してもよい。例えば、脈波に基づく指標の一つであるAIは、反射波の大きさを前進波の大きさで除したものであり、AIn=(PRn−PSn)/(PFn−PSn)で表わされる。AInは脈拍毎のAIである。AIは、例えば、脈波の測定を数秒間行い、脈拍毎のAIn(n=1〜nの整数)の平均値AIaveを算出し、脈波に基づく指標としてもよい。
脈波伝播速度PWV、反射波の大きさPR、前進波と反射波との時間差Δt、及びAIは、血管壁の硬さに依存して変化するため、動脈硬化の状態の推定に用いることができる。例えば、血管壁が硬いと、脈波伝播速度PWVは大きくなる。例えば、血管壁が硬いと、反射波の大きさPRは大きくなる。例えば、血管壁が硬いと、前進波と反射波との時間差Δtは小さくなる。例えば、血管壁が硬いと、AIは大きくなる。さらに、携帯端末装置1は、これらの脈波に基づく指標を用いて、動脈硬化の状態を推定できると共に、血液の流動性(粘性)を推定することができる。特に、携帯端末装置1は、同一被検者の同一被検部位、及び動脈硬化の状態がほぼ変化しない期間(例えば数日間内)において取得された脈波に基づく指標の変化から、血液の流動性の変化を推定することができる。ここで血液の流動性とは、血液の流れやすさを示し、例えば、血液の流動性が低いと、脈波伝播速度PWVは小さくなる。例えば、血液の流動性が低いと、反射波の大きさPRは小さくなる。例えば、血液の流動性が低いと、前進波と反射波との時間差Δtは大きくなる。例えば、血液の流動性が低いと、AIは小さくなる。
一実施形態では、脈波に基づく指標の一例として、携帯端末装置1が、脈波伝播速度PWV、反射波の大きさPR、前進波と反射波との時間差Δt、及びAIを算出する例を示したが、脈波に基づく指標はこれに限ることはない。例えば、携帯端末装置1は、脈波に基づく指標として、後方収縮期血圧を用いてもよい。
図10は、算出されたAIの時間変動を示す図である。一実施形態では、脈波は、角速度センサを備えた携帯端末装置1を用いて約5秒間取得された。コントローラ10は、取得された脈波から脈拍毎のAIを算出し、さらにこれらの平均値AIaveを算出した。一実施形態では、携帯端末装置1は、食事前及び食事後の複数のタイミングで脈波を取得し、取得された脈波に基づく指標の一例としてAIの平均値(以降AIとする)を算出した。図10の横軸は、食事後の最初の測定時間を0として、時間の経過を示す。図10の縦軸は、その時間に取得された脈波から算出されたAIを示す。
携帯端末装置1は、食事前、食事直後、及び食事後30分毎に脈波を取得し、それぞれの脈波に基づいて複数のAIを算出した。食事前に取得された脈波から算出されたAIは約0.8であった。食事前に比較して、食事直後のAIは小さくなり、食事後約1時間でAIは最小の極値となった。食事後3時間で測定を終了するまで、AIは徐々に大きくなった。
携帯端末装置1は、算出されたAIの変化から、血液の流動性の変化を推定することができる。例えば血液中の赤血球、白血球、血小板が団子状に固まる、又は粘着力が大きくなると、血液の流動性は低くなる。例えば、血液中の血漿の含水率が小さくなると、血液の流動性は低くなる。これらの血液の流動性の変化は、例えば、後述する糖脂質状態、熱中症、脱水症、及び低体温等の被検者の健康状態によって変化する。被検者の健康状態が重篤化する前に、被検者は、一実施形態の携帯端末装置1を用いて、自らの血液の流動性の変化を知ることができる。図10に示す食事前後のAIの変化から、食事後に血液の流動性が低くなったこと、及び、食事後約1時間で最も血液の流動性は低くなったこと、及び、その後徐々に血液の流動性が高くなったことが推定できる。携帯端末装置1は、血液の流動性が低い状態と、血液の流動性が高い状態とを報知してもよい。例えば、携帯端末装置1は、血液の流動性が低い状態と血液の流動性が高い状態との判定を、被検者の実年齢におけるAIの平均値を基準にして行ってもよい。携帯端末装置1は、算出されたAIが平均値より大きければ血液の流動性が高い状態、算出されたAIが平均値より小さければ血液の流動性が低い状態と判定してもよい。携帯端末装置1は、例えば、血液の流動性が低い状態と血液の流動性が高い状態との判定を、食事前のAIを基準にして判定してもよい。携帯端末装置1は、食事後のAIを食事前のAIと比較して血液の流動性が低い状態の度合いを推定してもよい。携帯端末装置1は、例えば、食事前のAIすなわち空腹時のAIを、被検者の血管年齢(血管の硬さ)の指標として用いることができる。携帯端末装置1は、例えば、被検者の食事前のAIすなわち空腹時のAIを基準として、算出されたAIの変化量を算出すれば、被検者の血管年齢(血管の硬さ)による推定誤差を少なくすることができる。携帯端末装置1は、血液の流動性の変化をより精度よく推定することができる。
図11は、算出されたAIと血糖値の測定結果を示す図である。脈波の取得方法及びAIの算出方法は、図10に示した実施形態と同じである。図11の右側の縦軸は血中の血糖値を示し、左側の縦軸は算出されたAIを示す。図11の実線は、取得された脈波から算出されたAIを示し、点線は測定された血糖値を示す。血糖値は、脈波取得直後に測定された。血糖値は、テルモ社製の血糖測定器「メディセーフフィット」(登録商標)を用いて測定された。食事前の血糖値と比べて、食事直後の血糖値は約20mg/dl上昇している。食事後約1時間で血糖値は最大の極値となった。その後、測定を終了するまで、血糖値は徐々に小さくなり、食事後約3時間でほぼ食事前の血糖値と同じになった。
図11に示す通り、食前食後の血糖値は、脈波から算出されたAIと負の相関がある。血糖値が高くなると、血液中の糖により赤血球及び血小板が団子状に固まり、又は粘着力が強くなり、その結果血液の流動性は低くなることがある。血液の流動性が低くなると、脈波伝播速度PWVは小さくなることがある。脈波伝播速度PWVが小さくなると、前進波と反射波との時間差Δtは大きくなることがある。前進波と反射波との時間差Δtが大きくなると、前進波の大きさPFに対して反射波の大きさPRは小さくなることがある。前進波の大きさPFに対して反射波の大きさPRが小さくなると、AIは小さくなることがある。食事後数時間内(一実施形態では3時間)のAIは、血糖値と相関があることから、AIの変動により、被検者の血糖値の変動を推定することができる。また、あらかじめ被検者の血糖値を測定し、AIとの相関を取得しておけば、携帯端末装置1は、算出されたAIから被検者の血糖値を推定することができる。
食事後に最初に検出されるAIの最小極値であるAIPの発生時間に基づいて、携帯端末装置1は被検者の糖代謝の状態を推定できる。携帯端末装置1は、糖代謝の状態として、例えば血糖値を推定する。糖代謝の状態の推定例として、例えば食事後に最初に検出されるAIの最小極値AIPが所定時間以上(例えば食後約1.5時間以上)経ってから検出される場合、携帯端末装置1は、被検者が糖代謝異常(糖尿病患者)であると推定できる。
食事前のAIであるAIBと、食事後に最初に検出されるAIの最小極値であるAIPとの差(AIB−AIP)に基づいて、携帯端末装置1は被検者の糖代謝の状態を推定できる。糖代謝の状態の推定例として、例えば(AIB−AIP)が所定数値以上(例えば0.5以上)の場合、被検者は糖代謝異常(食後高血糖患者)であると推定できる。
図12は、算出されたAIと血糖値との関係を示す図である。算出されたAIと血糖値とは、血糖値の変動が大きい食事後1時間以内に取得されたものである。図12のデータは、同一被検者における異なる複数の食事後のデータを含む。図12に示す通り、算出されたAIと血糖値とは負の相関を示した。算出されたAIと血糖値との相関係数は0.9以上であった。例えば、図12に示すような算出されたAIと血糖値との相関を、あらかじめ被検者毎に取得しておけば、携帯端末装置1は、算出されたAIから被検者の血糖値を推定することもできる。
図13は、算出されたAIと中性脂肪値の測定結果を示す図である。脈波の取得方法及びAIの算出方法は、図10に示した実施形態と同じである。図13の右側の縦軸は血中の中性脂肪値を示し、左側の縦軸はAIを示す。図13の実線は、取得された脈波から算出されたAIを示し、点線は測定された中性脂肪値を示す。中性脂肪値は、脈波取得直後に測定した。中性脂肪値は、テクノメディカ社製の脂質測定装置「ポケットリピッド」を用いて測定された。食事前の中性脂肪値と比較して、食事後の中性脂肪値の最大極値は約30mg/dl上昇している。食事後約2時間後に中性脂肪は最大の極値となった。その後、測定を終了するまで、中性脂肪値は徐々に小さくなり、食事後約3.5時間でほぼ食事前の中性脂肪値と同じになった。
これに対し、算出されたAIの最小極値は、食事後約30分で第1の最小極値AIP1が検出され、食事後約2時間で第2の最小極値AIP2が検出された。食事後約30分で検出された第1の最小極値AIP1は、前述した食後の血糖値の影響によるものであると推定できる。食事後約2時間で検出された第2の最小極値AIP2は、食事後約2時間で検出された中性脂肪の最大極値とその発生時間がほぼ一致している。このことから、食事から所定時間以降に検出される第2の最小極値AIP2は中性脂肪の影響によるものであると推定できる。食前食後の中性脂肪値は、血糖値と同じように、脈波から算出されたAIと負の相関があることがわかった。特に食事から所定時間以降(一実施形態では約1.5時間以降)に検出されるAIの最小極値AIP2は、中性脂肪値と相関があることから、AIの変動により、被検者の中性脂肪値の変動を推定することができる。また、あらかじめ被検者の中性脂肪値を測定し、AIとの相関を取得しておけば、携帯端末装置1は、算出されたAIから被検者の中性脂肪値を推定することができる。
食事後所定時間以降に検出される第2の最小極値AIP2の発生時間に基づいて、携帯端末装置1は被検者の脂質代謝の状態を推定できる。携帯端末装置1は、脂質代謝の状態として、例えば脂質値を推定する。脂質代謝の状態の推定例として、例えば第2の最小極値AIP2が食事後所定時間以上(例えば4時間以上)経ってから検出される場合、携帯端末装置1は、被検者が脂質代謝異常(高脂血症患者)であると推定できる。
食事前のAIであるAIBと、食事後所定時間以降に検出される第2の最小極値AIP2との差(AIB−AIP2)に基づいて、携帯端末装置1は被検者の脂質代謝の状態を推定できる。脂質代謝異常の推定例として、例えば(AIB−AIP2)が0.5以上の場合、携帯端末装置1は、被検者が脂質代謝異常(食後高脂血症患者)であると推定できる。
また、図11乃至図13で示した測定結果から、一実施形態の携帯端末装置1は、食事後に最も早く検出される第1の最小極値AIP1及びその発生時間に基づいて、被検者の糖代謝の状態を推定することができる。さらに、一実施形態の携帯端末装置1は、第1の最小極値AIP1の後で所定時間以降に検出される第2の最小極値AIP2及びその発生時間に基づいて、被検者の脂質代謝の状態を推定することができる。
一実施形態では脂質代謝の推定例として中性脂肪の場合を説明したが、脂質代謝の推定は中性脂肪に限られない。携帯端末装置1が推定する脂質値は、例えば総コレステロール、HDLコレステロール及びLDLコレステロール等を含む。これらの脂質値は、上述の中性脂肪の場合と同じような傾向を示す。
図14は、AIに基づいて血液の流動性並びに糖代謝及び脂質代謝の状態を推定する手順を示すフロー図である。図14を用いて、一実施形態に係る携帯端末装置1による血液の流動性、並びに糖代謝及び脂質代謝の状態の推定の流れを説明する。
図14に示すように、携帯端末装置1は、初期設定として、被検者のAI基準値を取得する(ステップS201)。AI基準値は、被検者の年齢から推定される平均的なAIを用いてもよいし、事前に取得された被検者の空腹時のAIを用いてもよい。また、携帯端末装置1は、ステップS202〜S208において食前と判断されたAIをAI基準値としてもよいし、脈波測定直前に算出されたAIをAI基準値としてもよい。この場合、携帯端末装置1は、ステップS202〜S208より後にステップS201を実行する。
続いて、携帯端末装置1は、脈波を取得する(ステップS202)。例えば携帯端末装置1は、所定の測定時間(例えば、5秒間)に取得された脈波について、所定の振幅以上が得られたか否かを判定する。取得された脈波について、所定の振幅以上が得られたら、ステップS203に進む。所定の振幅以上が得られなかったら、ステップS202を繰り返す(これらのステップは図示せず)。ステップS202において、例えば携帯端末装置1は、所定の振幅以上の脈波を検出すると、自動で脈波を取得する。
携帯端末装置1は、ステップS202で取得された脈波から、脈波に基づく指標としてAIを算出し記憶部20に記憶する(ステップS203)。携帯端末装置1は、所定の脈拍数(例えば、3拍分)毎のAIn(n=1〜nの整数)から平均値AIaveを算出して、これをAIとしてもよい。あるいは、携帯端末装置1は、特定の脈拍におけるAIを算出してもよい。
AIは、例えば脈拍数PR、脈圧(PF−PS)、体温、被検部位の温度等によって補正されてもよい。脈拍とAI及び脈圧とAIは共に負の相関があり、温度とAIとは正の相関があることが知られている。補正を行う際には、例えばステップS203において、携帯端末装置1はAIに加え脈拍、脈圧を算出する。例えば、携帯端末装置1は、ジャイロセンサ12とともに温度センサを搭載し、ステップS202における脈波の取得の際に、被検部位の温度を取得してもよい。事前に作成された補正式に、取得された脈拍、脈圧、温度等を代入することにより、携帯端末装置1はAIを補正する。
続いて、携帯端末装置1は、ステップS201で取得されたAI基準値とステップS203で算出されたAIとを比較して、被検者の血液の流動性を推定する(ステップS204)。算出されたAIがAI基準値より大きい場合(YESの場合)、血液の流動性は高いと推定される。この場合、携帯端末装置1は例えば血液の流動性が高いことを報知する(ステップS205)。算出されたAIがAI基準値より大きくない場合(NOの場合)、血液の流動性は低いと推定される。この場合、携帯端末装置1は例えば血液の流動性が低いことを報知する(ステップS206)。
続いて、携帯端末装置1は、糖代謝及び脂質代謝の状態を推定するか否かを被検者に確認する(ステップS207)。ステップS207で糖代謝及び脂質代謝を推定しない場合(NOの場合)、携帯端末装置1は処理を終了する。ステップS207で糖代謝及び脂質代謝を推定する場合(YESの場合)、携帯端末装置1は、算出されたAIが食前、食後いずれかに取得されたものかを確認する(ステップS208)。食後ではない(食前)場合(NOの場合)、ステップS202に戻り、次の脈波を取得する。食後の場合(YESの場合)、携帯端末装置1は、算出されたAIに対応する脈波の取得時間を記憶する(ステップS209)。続いて脈波を取得する場合(ステップS210のNOの場合)、ステップS202に戻り、携帯端末装置1は次の脈波を取得する。脈波測定を終了する場合(ステップS210のYESの場合)ステップS211以降に進み、携帯端末装置1は被検者の糖代謝及び脂質代謝の状態の推定を行う。
続いて、携帯端末装置1は、ステップS204で算出された複数のAIから、最小極値とその時間を抽出する(ステップS211)。例えば、図13の実線で示すようなAIが算出された場合、携帯端末装置1は、食事後約30分の第1の最小極値AIP1、及び食事後約2時間の第2の最小極値AIP2を抽出する。
続いて、携帯端末装置1は、第1の最小極値AIP1とその時間から、被検者の糖代謝の状態を推定する(ステップS212)。さらに、携帯端末装置1は、第2の最小極値AIP2とその時間から、被検者の脂質代謝の状態を推定する(ステップS213)。被検者の糖代謝及び脂質代謝の状態の推定例は、前述の図13と同一であるので省略する。
続いて、携帯端末装置1は、ステップS212及びステップS213の推定結果を報知し(ステップS214)、図14に示す処理を終了する。音声出力部16は、例えば「糖代謝は正常です」、「糖代謝異常が疑われます」、「脂質代謝は正常です」、「脂質代謝異常が疑われます」等の報知を行う。また、音声出力部16は「病院で受診しましょう」、「食生活を見直しましょう」等のアドバイスを報知してもよい。そして、携帯端末装置1は、図14に示す処理を終了する。
このように、携帯端末装置1は、音を出力する音声出力部16を備えてもよい。また、上述のような音声出力部16から出力する音声の報知に代えて、又は当該音声の報知とともに、表示による報知を表示部14に表示してもよい。このように、携帯端末装置1は、コントローラ10が行う測定処理に関する情報を表示する表示部14を備えてもよい。また、音声出力部16は、ジャイロセンサ12がモーションファクタを検知していることを示す音を出力してもよい。これにより、携帯端末装置1において、ジャイロセンサ12が正しくモーションファクタを検知していることを、使用者が容易かつ確実に知ることができる。
以上のように、携帯端末装置1が測定する生体情報は、使用者の脈波、脈拍、呼吸、鼓動、脈波伝搬速度、及び血流量の少なくともいずれかに関する情報を含んでよい。
また、コントローラ10は、携帯端末装置1が測定する生体情報に基づいて、使用者の体調、眠気、眠り、覚醒状態、心理状態、身体状態、感情、心身状態、精神状態、自律神経、ストレス状態、意識状態、血液成分、睡眠状態、呼吸状態、及び血圧の少なくともいずれかに関する情報を推定してもよい。ここで、使用者の「身体状態」とは、例えば、熱中症、疲労度、高山病、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの症状の有無、これらの症状の程度、及び、これらの症状の兆候の有無などとすることができる。また、血液成分とは、中性脂肪、血糖値などとすることができる。
次に、一実施形態に係る携帯端末装置1の他の使用態様について説明する。
図15は、一実施形態に係る携帯端末装置1の他の使用態様を説明する図である。図15は、妊娠中の母体及び胎児を概略的に示している。上述した一実施形態に係る携帯端末装置1は、使用者本人の生体情報を測定することを想定して説明した。しかしながら、一実施形態に係る携帯端末装置1は、このような用途に限定されない。
図15に示すように、携帯端末装置1を腹部に押し当てることで、母体とともに胎児の生体情報を測定することもできる。一般的に、妊娠初期(例えば妊娠4〜11週頃)の胎児は、非常に小さいため、心音そのものを直接聴くことは非常に困難である。したがって、この時期には、胎児の心拍を確認するためには、エコー等を使用することが多い。しかしながら、一実施形態に係る携帯端末装置1によれば、ジャイロセンサ12を用いることにより、胎児の脈拍を検出する等、胎児の生体情報の測定を行うことができる。
図15に示すような使用態様においては、携帯端末装置1は、胎児の生体情報を、母体の生体情報と共に測定することになる。このため、携帯端末装置1が測定した生体情報から、胎児の生体情報のみを抽出して利用してもよい。このように、携帯端末装置1が測定する生体情報は、使用者の胎児の生体情報としてもよい。
図16は、本開示の一実施形態に係る生体情報測定システムの概略構成を示す模式図である。図16に示した一実施形態の生体情報測定システム100は、携帯端末装置110と、外部装置120と、通信ネットワークを含む。
生体情報測定システム100においては、携帯端末装置110は、使用者の胴体の変動に起因するモーションファクタを検知する。このため、携帯端末装置110は、ジャイロセンサ12を備えている。携帯端末装置110は、上述した携帯端末装置1と同様の構成のものとすることができる。そして、携帯端末装置110は(有線又は無線接続可能な)通信部を備え、検知したモーションファクタを、外部装置120に送信する。そして、生体情報測定システム100においては、外部装置120は、受信したモーションファクタに基づいて、生体情報の測定に係る各種の演算を行う。このため、外部装置120は、コントローラ10をはじめとする、各種の必要な機能部を備えている。図16においては、携帯端末装置110と外部装置120とは、無線通信により接続されることを想定しているが、生体情報測定システム100は、このような構成に限定されない。例えば、携帯端末装置110と外部装置120との間は、所定のケーブルなどで、有線により接続してもよい。
このように、生体情報測定システム100は、携帯端末装置110及び外部装置120を備えている。携帯端末装置110は、ジャイロセンサ12を備えている。ここで、ジャイロセンサ12は、携帯端末装置110が使用者の胴体に押し当てられている状態で、使用者の胴体の変動に起因するモーションファクタを検知する。また、外部装置120は、コントローラ10を備えている。なお、外部装置120は、人工知能機能、機械学習機能、ディープラーニング機能などを備え、携帯端末装置110から受信したモーションファクタに基づいて、統計的に得られるアルゴリズムにより生体情報の測定に係る各種の演算を行っても良い。
本開示を完全かつ明瞭に開示するためにいくつかの実施例に関し記載してきた。しかし、添付の請求項は、上記実施形態に限定されるべきものでなく、本明細書に示した基礎的事項の範囲内で当該技術分野の当業者が創作しうるすべての変形例及び代替可能な構成を具現化するように構成されるべきである。また、いくつかの実施形態に示した各要件は、自由に組み合わせが可能である。
例えば、本開示においては、携帯端末装置1及び生体情報測定システム100について説明した。しかしながら、本開示の実施形態は、ジャイロセンサ12を備える携帯端末装置1による生体情報測定方法として実施されてもよい。この場合、当該方法においては、携帯端末装置1が使用者の胴体に押し当てられている状態で、使用者の胴体の変動に起因するモーションファクタをジャイロセンサ12により検知する。ここで、ジャイロセンサ12は、セルフコントロールファクタとして処理されるモーションファクタを検知する。また、当該方法においては、このような状態で検知されたモーションファクタに基づいて、使用者の生体情報の測定処理を行う。
また、例えば、上記実施形態では、携帯端末装置1が当接部40と支持部50とを備えるとして説明したが、携帯端末装置1は、支持部50を備えなくてもよい。この場合、携帯端末装置1のハウジング30の背面の一部が被検部位とは異なる位置で被検者に当接することにより、当接部40の被検部位に対する当接状態が支持される。
上記実施形態では、当接部40が携帯端末装置1に固定される場合について説明したが、当接部40は、必ずしも携帯端末装置1に直接的に固定されていなくてもよい。当接部40は、携帯端末装置1に固定して用いられる保持具に固定されてもよい。