本出願は、日本国特許出願2016−248380号(2016年12月21日出願)の優先権を主張するものであり、当該出願の開示全体を、ここに参照のために取り込む。
車、電車、及び飛行機などの乗物の搭乗者、特に、運転者の生体情報を手軽に測定することは有益である。一実施形態によれば、乗物の搭乗者の生体情報を手軽に測定することができる。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態に係る乗物用装備は、自動車、電車、飛行機等の乗物に搭載される。そして、本実施形態に係る乗物用装備は、乗物の搭乗者の生体情報を測定する生体情報測定装置を備える。
図1は、一実施形態に係る乗物用装備が備える生体情報測定装置の概略構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、生体情報測定装置1は、コントローラ10と、電源部11と、ジャイロセンサ12と、表示部14と、音声出力部16と、通信部17と、バイブレータ18と、記憶部20とを備えている。
コントローラ10は、生体情報測定装置1の各機能ブロックをはじめとして、生体情報測定装置1の全体を制御及び管理するプロセッサを含む。コントローラ10は、制御手順を規定したプログラム及び被検者の生体情報を測定するプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む。このようなプログラムは、例えば記憶部20等の記憶媒体に格納される。
電源部11は、バッテリーを含み、生体情報測定装置1の各部に電源を供給する。生体情報測定装置1は、動作時には、電源部11、又は外部の電源から、電力の供給を受ける。また、電源部11は、電源ラインを介して外部から電力供給を受け、電源ラインを介して供給された電力を、生体情報測定装置1の各部に供給してもよい。
ジャイロセンサ12は、生体情報測定装置1の角速度を検出することにより、生体情報測定装置1の変位をモーションファクタとして検出する。ジャイロセンサ12は、例えば振動したアームに作用するコリオリ力による構造体の変形から角速度を検出する3軸タイプの振動ジャイロセンサである。ここで、この構造体は、例えば水晶、又は圧電セラミックス等の圧電材料を素材としてもよい。また、ジャイロセンサ12は、構造体をシリコン等の素材として、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術で形成されてもよい。また、ジャイロセンサ12は、光学式ジャイロセンサなどのような、他の方式のジャイロセンサであってもよい。コントローラ10は、ジャイロセンサ12により取得された角速度を1回時間積分することにより、生体情報測定装置1の向きを測定することができる。
ジャイロセンサ12は、例えば角速度センサである。ただし、ジャイロセンサ12は、角速度センサに限られない。ジャイロセンサ12は、モーションファクタである生体情報測定装置1の角度変位を検出してもよい。ジャイロセンサ12は、検知したモーションファクタをコントローラ10に送信する。
コントローラ10は、ジャイロセンサ12からモーションファクタを取得する。モーションファクタは、被検者の被検部位における脈動に基づく生体情報測定装置1の変位を示す指標を含む。コントローラ10は、モーションファクタに基づいて、被検者の脈動を生成する。コントローラ10は、被検者の脈動に基づいて、生体情報を測定する。コントローラ10による生体情報の測定処理の詳細については、後述する。
表示部14は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELパネル(Organic Electro-Luminescence Panel)、又は無機ELパネル(Inorganic Electro-Luminescence panel)等の表示デバイスを備える。表示部14は、文字、画像、記号又は図形等を表示する。また、表示部14は、表示機能のみならず、タッチスクリーンの機能も含むタッチスクリーンディスプレイで構成してもよい。この場合、タッチスクリーンは、使用者の指又はスタイラスペン等の接触を検出する。タッチスクリーンは、複数の指、又はスタイラスペン等がタッチスクリーンに接触した位置を検出することができる。タッチスクリーンの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式(又は超音波方式)、赤外線方式、電磁誘導方式、及び荷重検出方式等の任意の方式でよい。静電容量方式では、指、又はスタイラスペン等の接触及び接近を検出することができる。
音声出力部16は、音を出力することで、使用者等に情報を報知する。音声出力部16は、任意のスピーカ等で構成することができる。音声出力部16は、コントローラ10から送信される音信号を音として出力する。
通信部17は、外部装置と有線通信又は無線通信を行うことにより、各種データの送受信を行う。通信部17は、例えば生体情報測定装置1が測定した生体情報の測定結果等を、外部装置に送信することができる。また、通信部17は、健康状態を管理するために被検者(搭乗者)の生体情報を記憶する外部装置と通信を行うこともできる。
バイブレータ18は、振動などを発生することで、使用者等に情報を報知する。バイブレータ18は、生体情報測定装置1の任意の部位に振動などを発生することにより、生体情報測定装置1の使用者に対して触感を呈示する。バイブレータ18は、振動を発生するものであれば、例えば偏心モータ、圧電素子(ピエゾ素子)、又はリニアバイブレータのような任意の部材を採用することができる。
記憶部20は、アプリケーションプログラムをはじめとする各種プログラム及びデータを記憶する。記憶部20は、半導体記憶媒体、及び磁気記憶媒体等の任意の非一過的(non-transitory)な記憶媒体を含んでよい。記憶部20は、複数の種類の記憶媒体を含んでよい。記憶部20は、メモリカード、光ディスク、又は光磁気ディスク等の可搬の記憶媒体と、記憶媒体の読み取り装置との組み合わせを含んでよい。記憶部20は、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスを含んでよい。記憶部20は、各種情報及び生体情報測定装置1を動作させるためのプログラム等を記憶するとともに、ワークメモリとしても機能する。記憶部20は、例えば、ジャイロセンサ12が検知したデータ、及び生体情報の測定結果などを記憶してもよい。
本開示の一実施形態に係る生体情報測定装置1は、図1に示した構成に限定されない。一実施形態に係る生体情報測定装置1は、コントローラ10及びジャイロセンサ12を含む。したがって、一実施形態に係る生体情報測定装置1において、必要に応じて、適宜、コントローラ10及びジャイロセンサ12以外の他の構成要素を省略したり、その他の構成要素を追加してもよい。また、表示部14、音声出力部16及びバイブレータ18などは、生体情報測定装置1を備える乗物用装備が搭載される乗物に設けられていてもよい。
生体情報測定装置1は、乗物の搭乗者の肩から腰部分を固定するシートベルト、搭乗者が着座するシート、搭乗者の腕を支持するアームレストなどの乗物用装備に搭載される。生体情報測定装置1は、被検者である搭乗者の所定部位(被検部位)において生体情報を測定する。被検部位は、乗物用装備により搭乗者の生体情報を測定する際に、搭乗者に当接する部位である。
生体情報測定装置1が測定する生体情報は、例えば、血液成分、脈波、脈拍及び脈波伝搬速度の少なくともいずれかを含む。血液成分は、例えば糖代謝の状態及び脂質代謝の状態を含む。糖代謝の状態は、例えば血糖値を含む。脂質代謝の状態は、例えば脂質値を含む。脂質値は、中性脂肪、総コレステロール、HDL(High Density Lipoprotein)コレステロール及びLDL(Low Density Lipoprotein)コレステロール等を含む。生体情報測定装置1は、例えば、被検者の脈波を生体情報として取得し、取得した脈波に基づいて、血液成分等の生体情報を測定する。
次に、生体情報測定装置1による生体情報の測定処理について説明する。生体情報測定装置1は、被検者に当接する当接面に設けられた当接部が被検部位に当接した状態でモーションファクタを取得し、取得したモーションファクタに基づいて、生体情報を測定する。生体情報測定装置1は、当接面に設けられた支持部が被検部位とは異なる位置で被検者に当接した状態で、モーションファクタを取得してもよい。
生体情報の測定にあたり、生体情報測定装置1は、例えば、搭乗者のシートへの着座、シートベルトの装着、アームレストへの搭乗者の腕の載置などに基づき、生体情報の測定処理が可能な状態になる。生体情報の測定処理が可能な状態とは、例えば生体情報を測定するためのアプリケーションが起動された状態等をいう。
次に、生体情報測定装置1が被検者の生体情報を測定する原理について、さらに説明する。生体情報測定装置1は、被検者の被検部位の変動に基づいて、生体情報を測定する。図2は、人体内の構造を概略的に示す図である。図2は、人体の一部の内部構造を、概略的に示している。また、図2は、特に、人体内の心臓及び大動脈の一部を概略的に示している。
人体内の血液は、心臓から送出された後、血管を経て人体の各部に供給される。図2に示すように、人体内において、心臓から送出される血液の一部は、胸部大動脈を通過してから、腹部大動脈を通過する。心臓から胸部大動脈又は腹部大動脈に血液が送出されると、これらの血管が収縮などの変動をきたす。このような変動は、被検者の体内を伝わり、被検者の胸部、腹部、太腿部、手首などの所定部位を変動させる。したがって、生体情報測定装置1が被検者の所定部位に押し当てられた状態で、ジャイロセンサ12は、被検者の所定部位の変動を検出することができる。このようにして、ジャイロセンサ12は、被検者の所定部位の変動に起因するモーションファクタを検知する。
図3A及び図3Bは、生体情報測定装置1によるモーションファクタの取得態様の一例を示す図である。
図3A及び図3Bは、例えば人体のような生体において、大動脈を含む部位の断面を示してある。また、図3A及び図3Bは、生体情報測定装置1の当接面を、生体表面(皮膚)の被検部位に当接させている状態を示している。したがって、図3A及び図3Bに示すように、生体情報測定装置1の当接面に設けられた当接部40及び支持部50は、それぞれ生体表面(皮膚)の被検部位に当接している。ここで、生体表面の被検部位は、一実施形態においては、被検者の胴体とする。また、図3A及び図3Bに示す大動脈とは、図2に示した胸部大動脈としてもよいし、腹部大動脈としてもよい。また、図3A及び図3Bに示す大動脈とは、太腿動脈としてもよいし、橈骨動脈としてもよいし、尺骨動脈としてもよい。
図3A及び図3Bに示すように、生体情報測定装置1の当接部40が、被検者の所定部位に押し当てられる。当接部40の裏側にはジャイロセンサ12が設けられている。生体情報測定装置1は、ジャイロセンサ12により生体情報測定装置1の変位をモーションファクタとして取得する。図3A及び図3Bに示すように、生体情報測定装置1と被検者の所定部位との接触状態において、当接部40が被検部位に当接する。また、図3A及び図3Bに示すように、生体情報測定装置1によるモーションファクタの取得状態において、支持部50は、当接部40とは異なる位置で被検者に当接する。
図3A及び図3Bに示すように、生体情報測定装置1を矢印Pの位置で矢印Pの方向に押し当てて被検者に当接させた場合、生体情報測定装置1は、被検者の脈動に基づく血管の拡張及び収縮の動きに応じて変位する。生体情報測定装置1は、支持部50を支点として、図3A及び図3Bにおいて矢印Qで示すように、上端側が回転するように変位する。生体情報測定装置1が備えるジャイロセンサ12は、生体情報測定装置1の変位を検出することにより、被検者の脈波を取得する。脈波とは、血液の流入によって生じる血管の容積時間変化を体表面から波形としてとらえたものである。
このように、一実施形態に係る生体情報測定装置1において、ジャイロセンサ12は、被検者の所定部位(被検部位)の変動に起因するモーションファクタを検知する。ジャイロセンサ12は、生体情報測定装置1が被検者の所定部位に押し当てられている状態で、被検者の所定部位の変動に起因するモーションファクタを検知する。そして、コントローラ10は、ジャイロセンサ12によって検知されたモーションファクタに基づいて、被検者の生体情報の測定処理を行う。
ここで、被検部位としては、胸部、腹部、太腿部、手首などがある。また、被検部位の変動は、図3A及び図3Bにおいては、被検者の血管の動きにより生じる変動の例を示したが、これに限定されない。被検者の被検部位の変動は、被検者の血管の動きにより生じる変動のみならず、被検者の呼吸により生じる変動、及び被検者の体動により生じる変動の少なくともいずれかを含んでよい。また、被検者の血管は、被検者の大動脈を含んでよい。また、被検者の大動脈は、被検者の腹部大動脈、胸部大動脈、太腿動脈、橈骨動脈及び尺骨動脈の少なくともいずれかを含んでよい。大動脈のような大型の血管においては、絶えず多量の血液が流れている。このため、生体情報測定装置1は、被検者の大動脈を計測の対象とすることにより、高い精度で安定して、生体情報の測定を行うことができる。
また、図3Bに示すように、ジャイロセンサ12は、弾性部材19を介して被検者の被検部位に押し当てられることで、被検者の被検部位の変動に追従することが容易となる。そのため、生体情報測定装置1は、高い精度で安定して、生体情報の測定を行うことができる。ここで、弾性部材19は、弾性力を生じる任意のものであればよく、例えば、バネ、ゴム、可撓性樹脂、油圧を利用したもの、空気圧を利用したもの、水圧を利用したものなどである。図3Bに示す支持部50は、ジャイロセンサ12が設置された方のハウジングと、ジャイロセンサ12が設置されていない方のハウジングとを接続している。図3Bに示すように、ジャイロセンサ12が設置された方のハウジングは、ジャイロセンサ12が設置されていない方のハウジングに対して、支持部50を軸として可動な機構を有している。
生体情報測定装置1は、ジャイロセンサ12を備えることにより、被検者は着衣のまま、衣服の上から生体情報を測定することができる。すなわち、生体情報測定装置1によれば、被検者は、生体情報を測定する際に脱衣する必要はなくなる。また、生体情報測定装置1によれば、被検者は、測定装置を肌に直に触れさせる必要もない。このため、シートベルトなどの、乗物の搭乗者を固定する乗物用装備に生体情報測定装置1を設けることで、シートベルトの装着時に、生体情報の測定を手軽に行うことができる。また、シートなどの、乗物の搭乗者を支持等する乗物用装備に生体情報測定装置1を設けることで、搭乗者のシートへの着座時などに、生体情報の測定を手軽に行うことができる。また、アームレストなどの、乗物の搭乗者の一部を支持等する乗物用装備に生体情報測定装置1を設けることで、アームレストへの搭乗者の腕の載置時などに、生体情報の測定を手軽に行うことができる。
従来の加速度センサは、ノイズが大きいため、脈波センサとしての利用に適しているとは言い難い。特に、脈波及び呼吸のような、1Hz前後の低周波数の測定を目的とする場合、小型の端末のような装置に内蔵するような小型の加速度センサは一般的ではない。通常、このような目的には、比較的大型の加速度センサが必要になる。
これに対し、生体情報測定装置1においては、生体情報の測定にジャイロセンサ12を用いる。ジャイロセンサは、一般的に測定の際のノイズが少ない。ジャイロセンサは、常時振動しているため(振動型ジャイロセンサの場合)、構造上、ノイズを低減させることができる。また、一実施形態に係る生体情報測定装置1においては、小型のハウジングに内蔵可能なジャイロセンサ12を採用することができる。
生体情報測定装置1は、当接部40が被検部位に当接された状態において、脈波の測定処理を行う。図4は、生体情報測定装置1による脈波の測定処理について説明するための模式図である。図5は、生体情報測定装置1による脈波の測定処理の手順を示すフロー図である。図4において、横軸は時間を示し、縦軸は、ジャイロセンサ12である角速度センサの脈波に基づく出力(rad/秒)を模式的に示す。図4では、角速度センサの出力は、各脈波のピークのみを示している。
時刻t0において、生体情報測定装置1が脈波測定処理を開始するための所定のイベントが発生したとする。このようなイベントとしては、搭乗者のシートへの着座、シートベルの装着、アームレストへの搭乗者の腕の載置などがある。このようなイベントの発生により、生体情報測定装置1の当接部40が被検者である搭乗者の被検部位に当接される。生体情報測定装置1は、時刻t0において生体情報の測定処理が可能な状態となり、脈波の測定処理を開始したとする。
生体情報測定装置1では、コントローラ10が、脈波測定処理を開始すると、被検者の血管の脈動に応じたジャイロセンサ12の出力を検出する。測定開始直後の所定期間(図4における時刻t0から時刻t1まで)は、当接部40が被検部位に当接する位置の調整等により、ジャイロセンサ12の出力が安定しない。この期間は脈波を正確に取得できない。そのため、生体情報測定装置1は、この期間に測定された脈波を、例えば生体情報である血液成分の測定に使用しなくてもよい。生体情報測定装置1は、例えば、この期間に測定された脈波を記憶部20に記憶しなくてもよい。
コントローラ10は、脈波測定処理の開始後、所定回数連続して安定した脈波を検出したか否かを判定する(図5のステップS101)。所定回数は、図4に示す例では4回であるが、これに限られない。また、安定した脈波は、例えば、各脈波のピーク出力のばらつき及び/又は各脈波のピーク同士の間隔のばらつきが、所定の誤差範囲内となる脈波をいう。ピーク同士の間隔における所定の誤差範囲は、例えば±150msecであるが、これに限られない。図4に示す例では、コントローラ10が、時刻t1から時刻t2まで、各脈波のピーク同士の間隔のばらつきが4回連続で±150msec以内となる脈波を検出した場合の例を示している。
コントローラ10は、脈波測定処理の開始後、所定回数連続して安定した脈波を検出したと判定した場合(図5のステップS101のYes)、脈波の取得を開始する(ステップS102)。すなわち、コントローラ10は、血液成分を測定するために使用する脈波を取得する。脈波取得開始時刻は、例えば図4では時刻t3である。コントローラ10は、このようにして取得した脈波を記憶部20に記憶してもよい。生体情報測定装置1は、このように所定回数連続して安定した脈波を検出したと判定した場合に脈波の取得を開始するため、誤検出を防止しやすくなる。
コントローラ10は、脈波の取得を開始した後、脈波取得の終了条件が満たされると、脈波の取得を終了する。終了条件は、脈波の取得を開始した後、例えば所定時間が経過した場合であってもよい。終了条件は、例えば、所定の脈拍数分の脈波を取得した場合であってもよい。終了条件は、これに限られず他の条件が適宜設定されてもよい。図4に示す例では、コントローラ10は、時刻t3から所定時間(例えば8秒又は15秒)経過後の時刻t4において脈波の取得を終了する。これにより、図5に示すフローは終了する。
コントローラ10は、脈波測定処理の開始後、所定回数連続して安定した脈波を検出していないと判定した場合(図5のステップS101のNo)、脈波測定処理を開始するための所定のイベントが発生してから所定時間経過したか否かを判定する(ステップS103)。
脈波測定処理を開始するための所定のイベントが発生してから所定時間(例えば30秒)経過していないとコントローラ10が判定した場合(ステップS103のNo)、図5に示すフローは、ステップS101に移行する。
一方、コントローラ10は、脈波測定処理を開始するための所定のイベントが発生してから所定時間経過しても、安定した脈波を検出できない場合(ステップS103のYes)、自動的に測定処理を終了(タイムアウト)して、図5のフローを終了する。
図6は、生体情報測定装置1を用いて被検部位(胴体)で取得された脈波の一例を示す図である。具体的には、図6は、ジャイロセンサ12を脈動の検知手段として用いた場合の、脈波の一例を示す図である。図6は、ジャイロセンサ12である角速度センサで取得された角速度を積分したものである。図6において、横軸は時間、縦軸は角度を表す。取得された脈波は、例えば被検者の体動が原因のノイズを含む場合があるので、DC(Direct Current)成分を除去するフィルタによる補正を行い、脈動成分のみを抽出してもよい。
生体情報測定装置1は、取得された脈波から、脈波に基づく指標を算出し、脈波に基づく指標を用いて、血液成分を測定する。取得された脈波から、脈波に基づく指標を算出する方法を、図6を用いて説明する。脈波の伝播は、心臓から押し出された血液による拍動が、動脈の壁、又は血液を伝わる現象である。心臓から押し出された血液による拍動は、前進波として手足の末梢まで届き、その一部は血管の分岐部、血管径の変化部等で反射され反射波として戻ってくる。脈波に基づく指標は、例えば、前進波の脈波伝播速度PWV(Pulse Wave Velocity)、脈波の反射波の大きさPR、脈波の前進波と反射波との時間差Δt、脈波の前進波と反射波との大きさの比で表されるAI(Augmentation Index)等である。
図6に示す脈波は、利用者のn回分の脈拍であり、nは1以上の整数である。脈波は、心臓からの血液の駆出により生じた前進波と、血管分岐、又は血管径の変化部から生じた反射波とが重なりあった合成波である。図6において、PFnは脈拍毎の前進波による脈波のピークの大きさ、PRnは脈拍毎の反射波による脈波のピークの大きさ、PSnは脈拍毎の脈波の最小値である。また、図6において、TPRは脈拍のピークの間隔である。
脈波に基づく指標とは、脈波から得られる情報を定量化したものを含む。例えば、脈波に基づく指標の一つであるPWVは、上腕と足首等、2点の被検部位で測定された脈波の伝播時間差と2点間の距離とに基づいて算出される。具体的には、PWVは、動脈の2点における脈波(例えば上腕と足首)を同期させて取得し、2点の距離の差(L)を2点の脈波の時間差(PTT)で除して算出される。例えば、脈波に基づく指標の一つである反射波の大きさPRは、反射波による脈波のピークの大きさPRnを算出してもよいし、n回分を平均化したPRaveを算出してもよい。例えば、脈波に基づく指標の一つである脈波の前進波と反射波との時間差Δtは、所定の脈拍における時間差Δtnを算出してもよいし、n回分の時間差を平均化したΔtaveを算出してもよい。例えば、脈波に基づく指標の一つであるAIは、反射波の大きさを前進波の大きさで除したものであり、AIn=(PRn−PSn)/(PFn−PSn)で表わされる。AInは脈拍毎のAIである。AIは、例えば、脈波の測定を数秒間行い、脈拍毎のAIn(n=1〜nの整数)の平均値AIaveを算出し、脈波に基づく指標としてもよい。
脈波伝播速度PWV、反射波の大きさPR、前進波と反射波との時間差Δt、及びAIは、血管壁の硬さに依存して変化するため、動脈硬化の状態の推定に用いることができる。例えば、血管壁が硬いと、脈波伝播速度PWVは大きくなる。例えば、血管壁が硬いと、反射波の大きさPRは大きくなる。例えば、血管壁が硬いと、前進波と反射波との時間差Δtは小さくなる。例えば、血管壁が硬いと、AIは大きくなる。さらに、生体情報測定装置1は、これらの脈波に基づく指標を用いて、動脈硬化の状態を推定できると共に、血液の流動性(粘性)を推定することができる。特に、生体情報測定装置1は、同一被検者の同一被検部位、及び動脈硬化の状態がほぼ変化しない期間(例えば数日間内)において取得された脈波に基づく指標の変化から、血液の流動性の変化を推定することができる。ここで血液の流動性とは、血液の流れやすさを示し、例えば、血液の流動性が低いと、脈波伝播速度PWVは小さくなる。例えば、血液の流動性が低いと、反射波の大きさPRは小さくなる。例えば、血液の流動性が低いと、前進波と反射波との時間差Δtは大きくなる。例えば、血液の流動性が低いと、AIは小さくなる。
一実施形態では、脈波に基づく指標の一例として、生体情報測定装置1が、脈波伝播速度PWV、反射波の大きさPR、前進波と反射波との時間差Δt、及びAIを算出する例を示したが、脈波に基づく指標はこれに限ることはない。例えば、生体情報測定装置1は、脈波に基づく指標として、後方収縮期血圧を用いてもよい。
図7は、算出されたAIの時間変動を示す図である。一実施形態では、脈波は、角速度センサを備えた生体情報測定装置1を用いて約5秒間取得された。コントローラ10は、取得された脈波から脈拍毎のAIを算出し、さらにこれらの平均値AIaveを算出した。一実施形態では、生体情報測定装置1は、食事前及び食事後の複数のタイミングで脈波を取得し、取得された脈波に基づく指標の一例としてAIの平均値(以降AIとする)を算出した。図7の横軸は、食事後の最初の測定時間を0として、時間の経過を示す。図7の縦軸は、その時間に取得された脈波から算出されたAIを示す。
生体情報測定装置1は、食事前、食事直後、及び食事後30分毎に脈波を取得し、それぞれの脈波に基づいて複数のAIを算出した。食事前に取得された脈波から算出されたAIは約0.8であった。食事前に比較して、食事直後のAIは小さくなり、食事後約1時間でAIは最小の極値となった。食事後3時間で測定を終了するまで、AIは徐々に大きくなった。
生体情報測定装置1は、算出されたAIの変化から、血液の流動性の変化を推定することができる。例えば血液中の赤血球、白血球、血小板が団子状に固まる、又は粘着力が大きくなると、血液の流動性は低くなる。例えば、血液中の血漿の含水率が小さくなると、血液の流動性は低くなる。これらの血液の流動性の変化は、例えば、後述する糖脂質状態、熱中症、脱水症、及び低体温等の被検者の健康状態によって変化する。被検者の健康状態が重篤化する前に、被検者は、一実施形態の生体情報測定装置1を用いて、自らの血液の流動性の変化を知ることができる。図7に示す食事前後のAIの変化から、食事後に血液の流動性が低くなったこと、及び、食事後約1時間で最も血液の流動性は低くなったこと、及び、その後徐々に血液の流動性が高くなったことが推定できる。生体情報測定装置は、血液の流動性が低い状態と、血液の流動性が高い状態とを報知してもよい。例えば、生体情報測定装置1は、血液の流動性が低い状態と血液の流動性が高い状態との判定を、被検者の実年齢におけるAIの平均値を基準にして行ってもよい。生体情報測定装置1は、算出されたAIが平均値より大きければ血液の流動性が高い状態、算出されたAIが平均値より小さければ血液の流動性が低い状態と判定してもよい。生体情報測定装置1は、例えば、血液の流動性が低い状態と血液の流動性が高い状態との判定を、食事前のAIを基準にして判定してもよい。生体情報測定装置1は、食事後のAIを食事前のAIと比較して血液の流動性が低い状態の度合いを推定してもよい。生体情報測定装置1は、例えば、食事前のAIすなわち空腹時のAIを、被検者の血管年齢(血管の硬さ)の指標として用いることができる。生体情報測定装置1は、例えば、被検者の食事前のAIすなわち空腹時のAIを基準として、算出されたAIの変化量を算出すれば、被検者の血管年齢(血管の硬さ)による推定誤差を少なくすることができる。生体情報測定装置1は、血液の流動性の変化をより精度よく推定することができる。
図8は、算出されたAIと血糖値の測定結果を示す図である。脈波の取得方法及びAIの算出方法は、図7に示した実施形態と同じである。図8の右側の縦軸は血中の血糖値を示し、左側の縦軸は算出されたAIを示す。図8の実線は、取得された脈波から算出されたAIを示し、点線は測定された血糖値を示す。血糖値は、脈波取得直後に測定された。血糖値は、テルモ社製の血糖測定器「メディセーフフィット」(登録商標)を用いて測定された。食事前の血糖値と比べて、食事直後の血糖値は約20mg/dl上昇している。食事後約1時間で血糖値は最大の極値となった。その後、測定を終了するまで、血糖値は徐々に小さくなり、食事後約3時間でほぼ食事前の血糖値と同じになった。
図8に示す通り、食前食後の血糖値は、脈波から算出されたAIと負の相関がある。血糖値が高くなると、血液中の糖により赤血球及び血小板が団子状に固まり、又は粘着力が強くなり、その結果血液の流動性は低くなることがある。血液の流動性が低くなると、脈波伝播速度PWVは小さくなることがある。脈波伝播速度PWVが小さくなると、前進波と反射波との時間差Δtは大きくなることがある。前進波と反射波との時間差Δtが大きくなると、前進波の大きさPFに対して反射波の大きさPRは小さくなることがある。前進波の大きさPFに対して反射波の大きさPRが小さくなると、AIは小さくなることがある。食事後数時間内(一実施形態では3時間)のAIは、血糖値と相関があることから、AIの変動により、被検者の血糖値の変動を推定することができる。また、あらかじめ被検者の血糖値を測定し、AIとの相関を取得しておけば、生体情報測定装置1は、算出されたAIから被検者の血糖値を推定することができる。
食事後に最初に検出されるAIの最小極値であるAIPの発生時間に基づいて、生体情報測定装置1は被検者の糖代謝の状態を推定できる。生体情報測定装置1は、糖代謝の状態として、例えば血糖値を推定する。糖代謝の状態の推定例として、例えば食事後に最初に検出されるAIの最小極値AIPが所定時間以上(例えば食後約1.5時間以上)経ってから検出される場合、生体情報測定装置1は、被検者が糖代謝異常(糖尿病患者)であると推定できる。
食事前のAIであるAIBと、食事後に最初に検出されるAIの最小極値であるAIPとの差(AIB−AIP)に基づいて、生体情報測定装置1は被検者の糖代謝の状態を推定できる。糖代謝の状態の推定例として、例えば(AIB−AIP)が所定数値以上(例えば0.5以上)の場合、被検者は糖代謝異常(食後高血糖患者)であると推定できる。
図9は、算出されたAIと血糖値との関係を示す図である。算出されたAIと血糖値とは、血糖値の変動が大きい食事後1時間以内に取得されたものである。図9のデータは、同一被検者における異なる複数の食事後のデータを含む。図9に示す通り、算出されたAIと血糖値とは負の相関を示した。算出されたAIと血糖値との相関係数は0.9以上であった。例えば、図9に示すような算出されたAIと血糖値との相関を、あらかじめ被検者毎に取得しておけば、生体情報測定装置1は、算出されたAIから被検者の血糖値を推定することもできる。
図10は、算出されたAIと中性脂肪値の測定結果を示す図である。脈波の取得方法及びAIの算出方法は、図7に示した実施形態と同じである。図10の右側の縦軸は血中の中性脂肪値を示し、左側の縦軸はAIを示す。図10の実線は、取得された脈波から算出されたAIを示し、点線は測定された中性脂肪値を示す。中性脂肪値は、脈波取得直後に測定した。中性脂肪値は、テクノメディカ社製の脂質測定装置「ポケットリピッド」を用いて測定された。食事前の中性脂肪値と比較して、食事後の中性脂肪値の最大極値は約30mg/dl上昇している。食事後約2時間後に中性脂肪は最大の極値となった。その後、測定を終了するまで、中性脂肪値は徐々に小さくなり、食事後約3.5時間でほぼ食事前の中性脂肪値と同じになった。
これに対し、算出されたAIの最小極値は、食事後約30分で第1の最小極値AIP1が検出され、食事後約2時間で第2の最小極値AIP2が検出された。食事後約30分で検出された第1の最小極値AIP1は、前述した食後の血糖値の影響によるものであると推定できる。食事後約2時間で検出された第2の最小極値AIP2は、食事後約2時間で検出された中性脂肪の最大極値とその発生時間がほぼ一致している。このことから、食事から所定時間以降に検出される第2の最小極値AIP2は中性脂肪の影響によるものであると推定できる。食前食後の中性脂肪値は、血糖値と同じように、脈波から算出されたAIと負の相関があることがわかった。特に食事から所定時間以降(一実施形態では約1.5時間以降)に検出されるAIの最小極値AIP2は、中性脂肪値と相関があることから、AIの変動により、被検者の中性脂肪値の変動を推定することができる。また、あらかじめ被検者の中性脂肪値を測定し、AIとの相関を取得しておけば、生体情報測定装置1は、算出されたAIから被検者の中性脂肪値を推定することができる。
食事後所定時間以降に検出される第2の最小極値AIP2の発生時間に基づいて、生体情報測定装置1は被検者の脂質代謝の状態を推定できる。生体情報測定装置1は、脂質代謝の状態として、例えば脂質値を推定する。脂質代謝の状態の推定例として、例えば第2の最小極値AIP2が食事後所定時間以上(例えば4時間以上)経ってから検出される場合、生体情報測定装置1は、被検者が脂質代謝異常(高脂血症患者)であると推定できる。
食事前のAIであるAIBと、食事後所定時間以降に検出される第2の最小極値AIP2との差(AIB−AIP2)に基づいて、生体情報測定装置1は被検者の脂質代謝の状態を推定できる。脂質代謝異常の推定例として、例えば(AIB−AIP2)が0.5以上の場合、生体情報測定装置1は、被検者が脂質代謝異常(食後高脂血症患者)であると推定できる。
また、図8乃至図10で示した測定結果から、一実施形態の生体情報測定装置1は、食事後に最も早く検出される第1の最小極値AIP1及びその発生時間に基づいて、被検者の糖代謝の状態を推定することができる。さらに、一実施形態の生体情報測定装置1は、第1の最小極値AIP1の後で所定時間以降に検出される第2の最小極値AIP2及びその発生時間に基づいて、被検者の脂質代謝の状態を推定することができる。
一実施形態では脂質代謝の推定例として中性脂肪の場合を説明したが、脂質代謝の推定は中性脂肪に限られない。生体情報測定装置1が推定する脂質値は、例えば総コレステロール、HDLコレステロール及びLDLコレステロール等を含む。これらの脂質値は、上述の中性脂肪の場合と同じような傾向を示す。
図11は、AIに基づいて血液の流動性並びに糖代謝及び脂質代謝の状態を推定する手順を示すフロー図である。図11を用いて、一実施形態に係る生体情報測定装置1による血液の流動性、並びに糖代謝及び脂質代謝の状態の推定の流れを説明する。
図11に示すように、生体情報測定装置1は、初期設定として、被検者のAI基準値を取得する(ステップS201)。AI基準値は、被検者の年齢から推定される平均的なAIを用いてもよいし、事前に取得された被検者の空腹時のAIを用いてもよい。また、生体情報測定装置1は、ステップS202〜S208において食前と判断されたAIをAI基準値としてもよいし、脈波測定直前に算出されたAIをAI基準値としてもよい。この場合、生体情報測定装置1は、ステップS202〜S208より後にステップS201を実行する。
続いて、生体情報測定装置1は、脈波を取得する(ステップS202)。例えば生体情報測定装置1は、所定の測定時間(例えば、5秒間)に取得された脈波について、所定の振幅以上が得られたか否かを判定する。生体情報測定装置1は、取得された脈波について、所定の振幅以上が得られたら、ステップS203に進む。生体情報測定装置1は、所定の振幅以上が得られなかったら、ステップS202を繰り返す(これらのステップは図示せず)。ステップS202において、例えば生体情報測定装置1は、所定の振幅以上の脈波を検出すると、自動で脈波を取得する。
生体情報測定装置1は、ステップS202で取得された脈波から、脈波に基づく指標としてAIを算出し記憶部20に記憶する(ステップS203)。生体情報測定装置1は、所定の脈拍数(例えば、3拍分)毎のAIn(n=1〜nの整数)から平均値AIaveを算出して、これをAIとしてもよい。あるいは、生体情報測定装置1は、特定の脈拍におけるAIを算出してもよい。
AIは、例えば脈拍数PR、脈圧(PF−PS)、体温、被検部位の温度等によって補正されてもよい。脈拍とAI及び脈圧とAIは共に負の相関があり、温度とAIとは正の相関があることが知られている。補正を行う際には、例えばステップS203において、生体情報測定装置1はAIに加え脈拍、脈圧を算出する。例えば、生体情報測定装置1は、ジャイロセンサ12とともに温度センサを搭載し、ステップS202における脈波の取得の際に、被検部位の温度を取得してもよい。事前に作成された補正式に、取得された脈拍、脈圧、温度等を代入することにより、生体情報測定装置1はAIを補正する。
続いて、生体情報測定装置1は、ステップS201で取得されたAI基準値とステップS203で算出されたAIとを比較して、被検者の血液の流動性を推定する(ステップS204)。算出されたAIがAI基準値より大きい場合(YESの場合)、血液の流動性は高いと推定される。この場合、生体情報測定装置1は例えば血液の流動性が高いことを報知する(ステップS205)。算出されたAIがAI基準値より大きくない場合(NOの場合)、血液の流動性は低いと推定される。この場合、生体情報測定装置1は例えば血液の流動性が低いことを報知する(ステップS206)。
続いて、生体情報測定装置1は、糖代謝及び脂質代謝の状態を推定するか否かを被検者に確認する(ステップS207)。ステップS207で糖代謝及び脂質代謝を推定しない場合(NOの場合)、生体情報測定装置1は処理を終了する。ステップS207で糖代謝及び脂質代謝を推定する場合(YESの場合)、生体情報測定装置1は、算出されたAIが食前、食後いずれかに取得されたものかを確認する(ステップS208)。食後ではない(食前)場合(NOの場合)、ステップS202に戻り、生体情報測定装置1は、次の脈波を取得する。食後の場合(YESの場合)、生体情報測定装置1は、算出されたAIに対応する脈波の取得時間を記憶する(ステップS209)。続いて脈波を取得する場合(ステップS210のNOの場合)、ステップS202に戻り、生体情報測定装置1は次の脈波を取得する。脈波測定を終了する場合(ステップS210のYESの場合)ステップS211以降に進み、生体情報測定装置1は被検者の糖代謝及び脂質代謝の状態の推定を行う。
続いて、生体情報測定装置1は、ステップS204で算出された複数のAIから、最小極値とその時間を抽出する(ステップS211)。例えば、図10の実線で示すようなAIが算出された場合、生体情報測定装置1は、食事後約30分の第1の最小極値AIP1、及び食事後約2時間の第2の最小極値AIP2を抽出する。
続いて、生体情報測定装置1は、第1の最小極値AIP1とその時間から、被検者の糖代謝の状態を推定する(ステップS212)。さらに、生体情報測定装置1は、第2の最小極値AIP2とその時間から、被検者の脂質代謝の状態を推定する(ステップS213)。被検者の糖代謝及び脂質代謝の状態の推定例は、前述の図10と同一であるので省略する。
続いて、生体情報測定装置1は、ステップS212及びステップS213の推定結果を報知し(ステップS214)、図11に示す処理を終了する。
報知は、音声出力部16により行われる。音声出力部16は、例えば「糖代謝は正常です」、「糖代謝異常が疑われます」、「脂質代謝は正常です」、「脂質代謝異常が疑われます」等の報知を行う。また、音声出力部16は「病院で受診しましょう」、「食生活を見直しましょう」等のアドバイスを報知してもよい。そして、生体情報測定装置1は、図11に示す処理を終了する。音声による報知を行う音声出力部として、カーオーディオのような、乗物に予め備えつけられているオーディオシステムが用いられてもよい。この場合、生体情報測定装置1からの音声信号は、AUXケーブルを介して、オーディオシステムのAUX端子に入力されてもよい。また、FMトランスミッタまたはBluetooth(登録商標)などの任意の無線接続により、生体情報測定装置1からの音声信号がオーディオシステムに送信されてもよい。また、生体情報測定装置1からの音声を出力する専用の音声出力部が設けられてもよい。
上述のような音声による報知に代えて、又は当該音声による報知とともに、表示部14への表示により報知が行われてもよい。表示による報知を行う表示部として、車載テレビまたはカーナビゲーションシステムとして用いられるディスプレイが用いられてもよい。また、生体情報測定装置1からの報知を表示する専用の表示部が設けられてもよい。
また、生体情報測定装置1は、ジャイロセンサ12がモーションファクタを検知していることを示す音を音声出力部16に出力させてもよい。これにより、生体情報測定装置1において、ジャイロセンサ12が正しくモーションファクタを検知していることを、被検者が容易かつ明確に知ることができる。
以上のように、生体情報測定装置1が測定する生体情報は、被検者の脈波、脈拍、呼吸、鼓動、脈波伝搬速度、及び血流量の少なくともいずれかに関する情報を含んでよい。
また、コントローラ10は、生体情報測定装置1が測定する生体情報に基づいて、被検者の体調、眠気、眠り、覚醒状態、心理状態、身体状態、感情、心身状態、精神状態、自律神経、ストレス状態、意識状態、血液成分、睡眠状態、呼吸状態、及び血圧の少なくともいずれかに関する情報を推定してもよい。ここで、被検者の「身体状態」とは、例えば、熱中症、疲労度、高山病、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの症状の有無、これらの症状の程度、及び、これらの症状の兆候の有無などとすることができる。また、血液成分とは、中性脂肪、血糖値などとすることができる。
次に、本実施形態に係る生体情報測定装置1を備える乗物用装備の構成例について説明する。被検者である搭乗者の生体情報を測定する場合、ジャイロセンサ12の配置が重要であり、生体情報測定装置1の他の構成については、コントローラ10の制御に従い動作可能であれば、任意の箇所に配置可能である。そのため、以下では、ジャイロセンサ12の配置について、詳細に説明し、生体情報測定装置1の他の構成については記載を省略する。
図12は、生体情報測定装置1を備える乗物用装備の構成例を示す図である。図12においては、乗物用装備100が、搭乗者の肩から腰部分を固定する3点式のシートベルトである例を示している。
図12に示すように、シートベルトとしての乗物用装備100は、搭乗者の一方の肩から反対側の腰へと延びる肩ベルト101と、搭乗者の腰に掛けられる腰ベルト102とを備える。ジャイロセンサ12は、図3A,3Bに示すように、当接部40が被検者である搭乗者に当接するようにして、肩ベルト101及び腰ベルト102の少なくとも一方に設けられる。図12においては、肩ベルト101及び腰ベルト102の両方に、ジャイロセンサ12が設けられている例を示している。
肩ベルト101にジャイロセンサ12が設けられる場合、ジャイロセンサ12は、搭乗者の胸付近に位置するように設けてもよい。また、腰ベルト102にジャイロセンサ12が設けられる場合、ジャイロセンサ12は、搭乗者の腹部(へその上方)付近に位置するように設けてもよい。図12においては、腰ベルト102は、ジャイロセンサ12を固定するためのセンサ固定部103が設置される構成の一例を示す。この場合、センサ固定部103によりジャイロセンサ12が固定される。
図13は、図12に示すA−A’線に沿ったセンサ固定部103の断面図である。
図13に示すように、センサ固定部103は、腰ベルト102を保持する保持部103aと、保持部103aと連結され、ジャイロセンサ12を保持する保持部103bとを備える。
保持部103aは、腰ベルト102に沿って保持位置を調整可能に、腰ベルト102を保持する。保持部103bは、保持部103aと連結部を介して保持部103aと連結され、当接部40が例えば搭乗者の被検部位である腹部(被検者のへその上方)に当接するようにして、ジャイロセンサ12を保持する。
保持部103bは、連結部により、保持部103aに向かって閉じる向き(図13に示す矢印の向き)に付勢される。すなわち、保持部103bは、搭乗者に押し付けられる方向に付勢して設けられている。そのため、センサ固定部103が搭乗者に押し付けられると、保持部103bは図13に示す矢印とは逆の方向に押し広げられる。そのため、保持部103aと保持部103bとを連結する連結部の復元力により、当接部40が適度な圧力で搭乗者の被検部位に当接する。
図12においては、腰ベルト102にセンサ固定部103が設置される例を用いて説明したが、腰ベルト102とセンサ固定部103とが一体的に設けられていてもよい。また、ジャイロセンサ12がシートベルト100に脱着可能に配置されていてもよい。
図14は、ジャイロセンサ12がシートベルト100(腰ベルト102)に脱着可能に配置される場合の構成例を示す図である。
図14においては、腰ベルト102を保持(挟持)するクリップ状のセンサ固定部104によりジャイロセンサ12が保持される例を示している。
図15は、図14に示すA−A’線に沿ったセンサ固定部104の断面図である。センサ固定部104は、腰ベルト102を挟持するクリップ部104aと、ジャイロセンサ12を保持する保持部104bとを備える。
クリップ部104aは、ねじりバネ105により付勢され、回転軸106を中心に回動可能な一対の挟持片により腰ベルト102を挟持する。保持部104bは、クリップ部104aが腰ベルトを挟持した状態で、当接部40が例えば搭乗者の被検部位である腹部(被検者のへその上方)に当接するようにして、ジャイロセンサ12を保持する。
保持部104bは、連結部により、クリップ部104aに向かって閉じる向き(図15に示す矢印の向き)に付勢される。すなわち、保持部104bは、搭乗者に押し付けられる方向に付勢して設けられている。そのため、センサ固定部104が搭乗者に押し付けられると、保持部104bは図15に示す矢印とは逆の方向に押し広げられる。そのため、保持部104aと保持部104bとを連結する連結部の復元力により、当接部40が適度な圧力で搭乗者の被検部位に当接する。
図13及び図15においては、ジャイロセンサ12が乗物用装備100(センサ固定部103,104)の内部に設けられる例を示した(したがってジャイロセンサ12を破線で示した)が、これに限られるものではない。ジャイロセンサ12は、乗物用装備100の外部に、すなわち、乗物用装備100の表面から露出するように設けられていてもよい。特に、ジャイロセンサ12が被検者の被検部位に当接する部分(当接部、当接面)は、乗物用装備100の表面から露出するように設けてもよい。
図16は、生体情報測定装置1を備える乗物用装備の他の構成例を示す図である。図16においては、乗物用装備200が、着座した搭乗者を支持するシートである例を示している。
図16に示すように、搭乗者が着座するシートとしての乗物用装備200は、シートクッション部201と、シートバック部202と、ヘッドレスト部203とを備える。シートクッション部201は、着座した搭乗者の臀部から太腿部裏側部分を支持する着座部分である。シートバック部202は、着座した搭乗者の背中部分を支持する背もたれ部分である。ヘッドレスト部203は、着座した搭乗者の頭部を支持する。ジャイロセンサ12は、シートクッション部201、シートバック部202およびヘッドレスト部203の少なくともいずれかに設けられる。図16においては、シートクッション部201およびシートバック部202にジャイロセンサ12が設けられている例を示している。ヘッドレスト部203にジャイロセンサ12を設けない場合には、ヘッドレスト部203自体を設けない構成としてもよい。
ジャイロセンサ12がシートクッション部201に設けられる場合、ジャイロセンサ12は、着座した搭乗者の太腿部裏側部分に当接するように配置してもよい。太腿部には、太腿動脈が通っている。このため、シートクッション部201に設けられたジャイロセンサ12は、太腿動脈の変動に伴う太腿部裏側の変動からモーションファクタを検知することができる。
ジャイロセンサ12がシートバック部202に設けられる場合、ジャイロセンサ12は、着座した搭乗者の胸部大動脈、又は腹部大動脈に対応する背中部分に当接するように配置してもよい。この場合、シートバック部202に設けられたジャイロセンサ12は、胸部大動脈、又は腹部大動脈の変動に伴う背中部分の変動からモーションファクタを検知することができる。
図17は、図16に示すA−A’線に沿ったシートバック部202の断面図である。
ジャイロセンサ12は、当接部40が例えば着座した搭乗者の背中部分に当接するように設けられる。ここで、ジャイロセンサ12は、トーションバネ204により付勢され、回転軸205を中心に回動可能に設けられている。
図17においては、ジャイロセンサ12が乗物用装備200(シートバック部202)の内部に設けられる例を示したが、これに限られるものではない。ジャイロセンサ12は、乗物用装備200(シートクッション部201、シートバック部202及びヘッドレスト部203)の外部に、すなわち、乗物用装備200の表面から露出するように設けられていてもよい。
図18は、生体情報測定装置1を備える乗物用装備の別の構成例を示す図である。図18においては、乗物用装備300が、搭乗者の腕を支持するアームレストである例を示している。
図18に示すように、アームレストとしての乗物用装備300は、着座した搭乗者の腕を支持する。乗物用装備300には、搭乗者が乗物用装備300(アームレスト)に腕を載置した状態で、例えば搭乗者の手首部分に当接するようにセンサ部301が設けられる。手首部分には、橈骨動脈、及び尺骨動脈が通っている。センサ部301は、ジャイロセンサ12を備えており、橈骨動脈、及び尺骨動脈の変動に伴う手首部分の変動からモーションファクタを検知する。このモーションファクタは、例えば、搭乗者の血圧の検知に用いられる。
図19は、図18に示すアームレストに設けられたセンサ部301によりモーションファクタを取得するための構成例を示す図である。
アームレストである乗物用装備300から突出するように、乗物用装備300に固定された固定部302が設けられている。固定部302には、ねじりコイルばね303を介して支持部材304が連結されている。支持部材304は、ねじりコイルばね303により、回転軸305を中心に回動可能に固定部302に連結されている。乗物用装備300および固定部302に接するように、例えば搭乗者の手首を載置するための載置部306が設けられている。支持部材304は、一端部が載置部306から突出するように設けられている。そして、載置部306から突出する支持部材304の一端部の一面には、当接部40が設けられ、他面にはジャイロセンサ12が設けられている。載置部306は、アームレストである乗物用装備300と固定部302とが適切な角度で固定されるように接続する。
このような構成によれば、搭乗者が載置部306に手首部分を載置すると、載置部306から突出した当接部40が搭乗者の手首部分と当接する。ジャイロセンサ12は、当接部40と当接する搭乗者の手首部分の変動からモーションファクタを検出する。そして、コントローラ10は、ジャイロセンサ12により検出されたモーションファクタから、生体情報として、例えば、搭乗者の血圧を測定する。アームレストである乗物用装備300を用いた生体情報の測定は、例えば、搭乗者である運転者が乗物を運転していない状況(乗物の運転の開始前、又は乗物の停止中)に行われる。
このように、本実施形態に係る乗物用装備100〜300によれば、乗物の搭乗者が生体情報を測定するための特別な行為を行うことなく生体情報を測定することができる。本実施形態に係る乗物用装備100〜300によれば、シートへの着座、シートベルトの装着、アームレストへの腕の載置といった、乗物に搭乗中に一般的に行われる行為により、生体情報を測定することができる。そのため、手軽に生体情報を測定することができる。
乗物の搭乗者、特に、運転者の生体情報を測定することで、居眠り運転の防止及び運転者の体調管理など、安全性の向上を図ることができる。コントローラ10は、ジャイロセンサ12により検出されたモーションファクタに基づいて、生体情報として運転者の眠り及び眠気の少なくともいずれかを検知し、検知した生体情報に応じた制御を行う。
図20は、生体情報測定装置1による生体情報に応じた制御の動作例を示すフロー図である。図20においては、腰ベルト102にジャイロセンサ12が設けられているものとする。
まず、コントローラ10は、シートベルトが装着され、腰ベルト102に設けられたジャイロセンサ12が正常に搭乗者の腹部に装着されたかを確認する。コントローラ10は、例えば、腰ベルト102に設けられたジャイロセンサ12により検出されたモーションファクタから所定回数連続して安定した脈波を測定できているか否かに基づき、ジャイロセンサ12が正常に装着されたか否かを確認する(ステップS301)。
コントローラ10は、ジャイロセンサ12により検出されたモーションファクタに基づき、体動、脈拍、呼吸などの生体情報を測定する(ステップS302)。
コントローラ10は、生体情報を測定して所定時間が経過したか、または、所定数の生体情報のデータを取得したか否かを判定する(ステップS303)。
生体情報を測定して所定時間が経過していない、あるいは、所定数の生体情報のデータを取得していない場合には(図20のステップS303のNo)、コントローラ10は、ステップS302の処理に移行する。
生体情報を測定して所定時間が経過し、所定数の生体情報のデータを取得した場合には(図20のステップS303のYes)、コントローラ10は、取得した生体情報に基づき、被検者である搭乗者(運転者)の眠気、疲労、体調などを推定する(ステップS304)。
コントローラ10は、運転手の眠気、疲労、体調などの推定結果から運転者に異常が発生しているか否かを判定する(ステップS305)。眠気、疲労、体調などから、異常の発生(例えば、居眠り)を検出する方法としては種々の方法が知られているため、ここでは説明を省略する。
異常が発生していないと判定した場合には(図20のステップS305のNo)、コントローラ10は、ステップS302の処理に移行する。
異常が発生していると判定した場合には(図20のステップS305のYes)、コントローラ10は、運転者など搭乗者に異常の発生を通知する(ステップS306)。
その後、コントローラ10は、シートベルトの装着が解除されたことを確認すると(ステップS307)、処理を終了する。コントローラ10は、例えば、腰ベルト102に配置されたジャイロセンサ12からモーションファクタが得られなくなると、シートベルトの装着の解除を確認する。
異常が発生していると判定された場合の通知方法としては、種々の方法がある。
例えば、コントローラ10は、乗物にエアコンが搭載されている場合には、乗物内の温度を下げるような制御を行う。また、コントローラ10は、乗物に音声出力部が搭載されている場合には、警告音などを出力させる。
また、コントローラ10は、搭乗者への振動の付与が可能なバイブレータが乗物に搭載されている場合には、バイブレータに振動を発生させる。このようなバイブレータとしては、振動を発生するものであれば、例えば偏心モータ、圧電素子(ピエゾ素子)、又はリニアバイブレータのような任意の部材を採用することができる。
また、乗物(自動車)に自動操縦機能が搭載されている場合には、コントローラ10は、乗物を路肩に停止させるなどの制御を行ってもよい。
図21は、本開示の一実施形態に係る生体情報測定システムの概略構成を示す模式図である。図21に示した一実施形態の生体情報測定システム400は、乗物用装備410と、外部装置420と、通信ネットワークを含む。
生体情報測定システム400においては、乗物用装備410は、自動車、電車、飛行機などの乗物に搭載され、搭乗者を固定又は支持等するシートベルト、シート、アームレストなどの装備である。そして、乗物用装備410は、搭乗者の所定部位の変動に起因するモーションファクタを検知する。このため、乗物用装備410は、ジャイロセンサ12を備えている。そして、乗物用装備410は、(有線又は無線接続可能な)通信部を備え、検知したモーションファクタを、外部装置420に送信する。そして、生体情報測定システム400においては、外部装置420は、受信したモーションファクタに基づいて、生体情報の測定に係る各種の演算を行う。このため、外部装置420は、コントローラ(例えばCPUのようなプロセッサなど)をはじめとする、各種の必要な機能部を備えている。図21においては、乗物用装備410と外部装置420とは、無線通信により接続されることを想定しているが、生体情報測定システム400は、このような構成に限定されない。例えば、乗物用装備410と外部装置420との間は、所定のケーブルなどで、有線により接続してもよい。
このように、生体情報測定システム400は、乗物用装備410及び外部装置420を備えている。乗物用装備410は、ジャイロセンサ12を備えている。ここで、ジャイロセンサ12は、乗物用装備410が搭乗者の所定部位に当接している状態で、搭乗者の所定部位の変動に起因するモーションファクタを検知する。また、外部装置420は、上述のコントローラを備えている。外部装置420は、人工知能機能、機械学習機能、ディープラーニング機能などを備え、乗物用装備410から受信したモーションファクタに基づいて、統計的に得られるアルゴリズムにより生体情報の測定に係る各種の演算を行っても良い。
本開示を完全かつ明瞭にするためにいくつかの実施例に関し記載してきた。しかし、添付の請求項は、上記実施形態に限定されるべきものでなく、本明細書に示した基礎的事項の範囲内で当該技術分野の当業者が創作しうるすべての変形例及び代替可能な構成を具現化するように構成されるべきである。また、いくつかの実施形態に示した各要件は、自由に組み合わせが可能である。
例えば、本開示においては、生体情報測定装置1(コントローラ10およびジャイロセンサ12)を備える乗物用装備100〜300及び生体情報測定システム400について説明した。しかしながら、本開示の実施形態は、ジャイロセンサ12を備える生体情報測定装置1による生体情報測定方法として実施されてもよい。この場合、当該方法においては、生体情報測定装置1が被検者である搭乗者の所定部位に押し当てられている状態で、被検者の所定部位の変動に起因するモーションファクタをジャイロセンサ12により検知する。また、当該方法においては、このような状態で検知されたモーションファクタに基づいて、被検者の生体情報の測定処理を行う。また、本開示の実施形態は、生体情報測定装置1(コントローラ10およびジャイロセンサ12)を備える乗物用装備を搭載する乗物として実施されてもよい。
また、例えば、上記実施形態では、生体情報測定装置1が当接部40と支持部50とを備えるとして説明したが、生体情報測定装置1は、支持部50を備えなくてもよい。この場合、生体情報測定装置1の当接面の一部が被検部位とは異なる位置で被検者に当接することにより、当接部40の被検部位に対する当接状態が支持される。
上記実施形態では、当接部40が生体情報測定装置1に固定される場合について説明したが、当接部40は、必ずしも生体情報測定装置1に直接的に固定されていなくてもよい。当接部40は、生体情報測定装置1に固定して用いられる保持具に固定されてもよい。