以下、実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る監視装置100の構成例を示す斜視図である。監視装置100は、センサ保持部110と、報知部130と、装着部140とを備える。センサ保持部110は、第1センサ部120aと第2センサ部120bとを備える。第1センサ部120a及び第2センサ部120bは、それぞれセンサ部120ともいう。
装着部140は、監視装置100を被検者の体(腕、手首又は足首等)に装着するために用いられる。装着部140は、例えばゴム等の樹脂からなるバンドである。装着部140は、クリップ等の形態であってもよい。装着部140は、監視装置100を被検者の体に装着できる限りにおいて、種々の形態とされうる。
図2は、センサ保持部110の構成例を示す図である。図2においては、XY座標が定義されている。X軸は、正の方向を右方向として定義される。Y軸は、正の方向を上方向として定義される。図2に示されるように、センサ保持部110は、被検者の体に対向して第1開口部113aと第2開口部113bとを有する。第1開口部113aには、第1センサ部120aが配置される。第2開口部113bには、第2センサ部120bが配置される。
第1センサ部120a及び第2センサ部120bは、被検者の生体情報を測定するセンサとして機能する。第1センサ部120a及び第2センサ部120bは、被検者の被検部位に接触した状態で、被検者の生体情報を測定してもよい。本実施形態において、監視装置100は、センサ部120を2個備えるが、3個以上備えてもよい。図2に示されるように、第1センサ部120a及び第2センサ部120bは、図2のY軸方向に沿って所定間隔(ΔD)で配設される。第1センサ部120aは、第2センサ部120bよりもY軸の正方向に配設される。所定間隔は、例えば10〜30mmとされうる。第1センサ部120aと第2センサ部120bとの位置関係は、図2に示される例に限られない。
第1センサ部120aは、2個の発光部121a−1及び121a−2と受光部123aとを備える。発光部121a−1及び121a−2と受光部123aとは、X軸に沿って配置される。第2センサ部120bは、例えば、2個の発光部121b−1及び121b−2と受光部123bとを備える。発光部121b−1及び121b−2と受光部123bとは、X軸に沿って配置される。発光部121a−1、121a−2、121b−1、及び121b−2をそれぞれ、発光部121ともいう。受光部123a及び123bをそれぞれ、受光部123ともいう。1個のセンサ部120が備える発光部121の数は、2個に限られるものではない。1個のセンサ部120が備える受光部123の数も、1個に限られるものではない。1個のセンサ部120が備える発光部121又は受光部123の数が多いほど、センサ部120が測定する生体情報の精度が向上しうる。発光部121及び受光部123の配置は、図2に示される例に限られない。
発光部121は、例えば、LED(発光ダイオード:Light emitting diode)又はLD(レーザダイオード:Laser Diode)等の発光素子を備える。発光部121は、発光素子を1個備えてもよいし、2個以上備えてもよい。受光部123は、例えば、PD(フォトダイオード:Photodiode)又はPT(フォトトランジスタ:Phototransistor)等の受光素子を備える。受光部123は、受光素子を1個備えてもよいし、2個以上備えてもよい。
[機能ブロック]
図3は、図1の監視装置100の概略構成を示す機能ブロック図である。監視装置100は、第1センサ部120aと、第2センサ部120bと、報知部130と、制御部160と、電源部170と、記憶部180と、通信部190とを備える。本実施形態において、第1センサ部120a、第2センサ部120b、制御部160、電源部170、記憶部180及び通信部190は、それぞれセンサ保持部110又は報知部130の内部に含めて構成することができる。
制御部160は、監視装置100の各機能ブロックとそれぞれ接続される。制御部160は、監視装置100の各機能ブロック、及び監視装置100の全体を制御及び管理するプロセッサである。制御部160は、制御手順を規定したプログラム等を実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであってもよい。プログラムは、例えば記憶部180等の記憶媒体に格納される。
制御部160は、センサ部120が測定した被検者の生体情報を取得する。制御部160は、被検者の生体情報に基づいて、被検者の脈波伝播時間を算出することができる。制御部160は、算出された脈波伝播時間に基づいて、被検者の血圧を推定することができる。被検者の脈波伝播時間を算出する方法については後述する。
電源部170は、監視装置100全体に電力を供給する。電源部170は、例えばリチウムイオン電池ならびにその充電及び放電のための制御回路等を備える。電源部170は、外部電源から受電するための回路であってもよい。
記憶部180は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成されうる。記憶部180は、各種情報や監視装置100を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部180は、ワークメモリとしても機能する。記憶部180には、例えば第1センサ部120a及び第2センサ部120bから取得される生体情報が格納されてもよい。
通信部190は、有線又は無線の通信により、サーバ200(図8参照)等の外部装置(所定の装置)との間で各種データの送受信を行う。通信部190は、例えば、被検者の生体情報を格納するサーバ等の外部装置と通信を行い、監視装置100が測定した生体情報を、当該外部装置に送信する。
報知部130は、制御部160により算出された被検者の血圧の推定値又はアラーム等の情報を表示する。報知部130は、例えば液晶、有機EL(Electro-Luminescence)、無機EL又はLED(Light Emission Diode)等の表示デバイスを備えてもよい。報知部130は、制御部160から取得した制御情報に基づいて音声を発することにより、被検者又はその周囲の人に対してアラーム等の情報を報知してもよい。報知部130は、制御部160から取得した制御情報に基づいて振動を発生することにより、被検者に対してアラーム等の情報を報知してもよい。報知部130は、音声又は振動以外にも被検者又はその周囲の人が認識可能な任意の方法を用いることにより、被検者又はその周囲に対してアラーム等の情報を報知してもよい。
<センサ部の制御>
制御部160は、センサ部120に対して、発光部121に測定光を射出させるための制御情報を出力する。測定光を射出させるための制御情報は、例えばLED又はLDに電圧を印加するための信号である。制御部160は、センサ部120から、受光部123が受光した光に係る応答情報を取得する。受光した光に係る応答情報は、例えばPD又はPTが出力する電圧信号である。
監視装置100が被検者の体に装着されている場合、センサ部120の発光部121から射出される測定光は、被検者の被検部位に照射される。測定光は、被検部位で散乱される。被検部位で散乱された光(散乱光)は、受光部123に入射する。受光部123は、受光した散乱光に係る応答情報を出力する。制御部160は、受光部123から取得した応答情報を用いて、被検部位に係る生体情報を算出できる。
被検部位が動脈である場合、制御部160は、センサ部120から取得する応答情報を用いて、脈波を算出できる。脈波とは、血液の流入によって生じる血管の容積時間変化を体表面から波形としてとらえたものである。つまり本実施形態において、センサ部120は、受光部123による受光強度が変化することにより脈波を検出することができる。制御部160は、センサ部120を用いて、生体情報としての脈波を光学的に取得できる。
上述の構成においては、センサ部120が2つの発光部121及び1つの受光部123を有する場合について説明した。一方で、センサ部120が発光部121及び受光部123をそれぞれ1つずつ有する構成によっても測定を行うことができる。これらの構成を比較すると、2つの発光部121及び1つの受光部123を有する構成の方が、測定の精度が向上することがある。
発光部121は、例えば、緑色(波長:495〜570nm)、赤色(波長:620〜750nm)、近赤外(波長:750〜1600nm)のいずれかの光を発光する。長波長の光は短波長の光と比べて、体のより深い位置まで光が進入する。近赤外光の発光素子を用いて生体情報の測定が行われる場合、測定精度が向上することがある。
図4は、人間の右腕の動脈の概略図である。図4において、右手の掌が表になっている。右腕の動脈は、上腕動脈81から、尺骨動脈82及び橈骨動脈83を通り、掌弓動脈84に至る。監視装置100は、図4において破線で示されるように、被検者の手首に装着される。監視装置100の装着位置は、第1センサ部120a及び第2センサ部120bを尺骨動脈82又は橈骨動脈83に合わせるように調整される。
図4において、第1センサ部120a及び第2センサ部120bは共に、橈骨動脈83の上に合わせるように配置される。第1センサ部120a及び第2センサ部120bは、橈骨動脈83の脈波を所定距離だけ離れた位置で取得できる。所定距離は、第1センサ部120aと第2センサ部120bとの距離である。
第1センサ部120a及び第2センサ部120bは共に、尺骨動脈82の上に合わせるように配置されてもよい。この場合、第1センサ部120a及び第2センサ部120bは、尺骨動脈82の脈波を所定距離だけ離れた位置で取得できる。
<脈波伝播速度の測定>
本実施形態では、1本の動脈について、所定距離だけ離れた位置で脈波を取得することにより、脈波が伝播する速度を測定することができる。例えば、第1センサ部120a及び第2センサ部120bが橈骨動脈83の上に合わせるように配置される場合、制御部160は、橈骨動脈83の脈波伝播速度を算出できる。つまり制御部160は、第1センサ部120a及び第2センサ部120bから取得した応答情報に基づき算出される脈波を用いて、手首短距離間における脈波伝播速度(PWV(Pulse Wave Velocity)ともいう)を測定することができる。
図5は、制御部160がセンサ部120から取得した応答情報に基づき算出した脈波の一例である。監視装置100において、第1センサ部120a及び第2センサ部120bは、被検者の橈骨動脈83に合わせて配置されているものとする。
図5(A)は、橈骨動脈83上の第1被検部に接触する第1センサ部120aにおいて取得された脈波Aを示す。図5(B)は、橈骨動脈83上の第2被検部に接触する第2センサ部120bにおいて取得された脈波Bを示す。図5の横軸及び縦軸はそれぞれ、時刻及び脈波の大きさ(パワー)を示す。図5(A)及び(B)は、時間で同期されている。図5(A)には、脈波Aがピーク値となる時刻が一点鎖線で示されている。図5(B)には、脈波Bがピーク値となる時刻が一点鎖線で示されている。図5(B)には、さらに脈波Aがピーク値となる時刻も一点鎖線で示されている。図5(B)に示されている2本の一点鎖線それぞれに対応する時刻の差は、脈波が第1被検部から第2被検部まで伝播する時間である。脈波が第1被検部から第2被検部まで伝播する時間は、脈波伝播時間(PTT(Pulse Transit Time))ともいう。図5の例において、脈波伝播時間(PTT)はΔT(秒)である。
第1センサ部120aと第2センサ部120bとが配設される間隔は、図2に示されるようにΔD(m)である。つまり、第1被検部から第2被検部までの距離はΔD(m)である。この場合、橈骨動脈83における脈波伝播速度(m/秒)は以下の式(1)で算出される。
(PWV)=ΔD/ΔT (1)
以上、橈骨動脈83における脈波伝播速度について説明してきたが、尺骨動脈82における脈波伝播速度についても同様に算出される。また、制御部160は、脈波がボトム値となる時刻を基準に脈波伝播時間を算出してもよい。また、制御部160は、脈波がピーク値に向けて立ち上がる際の変曲点の時刻を基準に脈波伝播時間を算出してもよい。
[監視フロー]
<PTTによる監視フロー>
制御部160は、センサ部120から取得した被検者の脈波に基づき算出された脈波伝播時間又は脈波伝播速度を用いて、被検者の身体状態を判定することができる。図6は、脈波伝播時間に基づく疾患リスクの判定手順を示すフローチャートである。
まず制御部160は、第1センサ部120a及び第2センサ部120bからそれぞれ、被検者の第1被検部及び第2被検部における生体情報を取得する。制御部160は、第1被検部及び第2被検部における生体情報に基づいて、図5(A)及び(B)に示されるような脈波をそれぞれ算出する。制御部160は、第1被検部から第2被検部への脈波伝播時間(PTT)を測定する(ステップS11)。制御部160は、脈波伝播時間(PTT)を記憶部180に格納してもよい。
続いて制御部160は、被検者の脈波伝播時間(PTT)を解析する(ステップS12)。制御部160における解析は、脈波伝播時間(PTT)に基づくパラメータの変動を算出する。脈波伝播時間(PTT)に基づくパラメータとは、脈波伝播時間(PTT)を用いて算出、又は推定可能な被検者の生体情報である。脈波伝播時間(PTT)に基づくパラメータは、例えば、脈波伝播時間(PTT)、脈波伝播速度(PWV)及び血圧等を含む。制御部160における解析は、例えば脈波伝播時間の基準値からの変動率を算出する。基準値は、被検者の平常時の脈波伝播時間であってもよい。基準値は、被検者が監視装置100を装着した時点における脈波伝播時間であってもよい。
ステップS12において、制御部160は、脈波伝播時間(PTT)に基づくパラメータとして、脈波伝播時間から被検者の血圧を推定してもよい。制御部160は、被検者の脈波伝播時間と血圧との関係を用いて、被検者の血圧を推定してもよい。被検者の脈波伝播時間と血圧との関係は、予め決定されていてもよいし、制御部160によって逐次決定されてもよい。血圧の推定値は、収縮期血圧(最高血圧)であってもよいし、拡張期血圧(最低血圧)であってもよい。血圧の推定値は、平均血圧であってもよい。平均血圧は、最高血圧と最低血圧とを用いて、以下の式(2)で表される。
(平均血圧)=(最高血圧+最低血圧×2)/3 (2)
続いて制御部160は、PTTに基づくパラメータが所定の変動をしたか否かを判定する。本実施形態では、制御部160は、被検者の脈波伝播時間の変動率(PTT変動率)が所定範囲内であるか判定する(ステップS13)。所定範囲は、例えば基準値を中心に±25%の範囲とされる。所定範囲はこれに限られず、適宜定められうる。
ステップS13において、制御部160は、被検者の血圧の推定値が所定範囲内であるか判定してもよい。この場合の所定範囲は、例えば被検者の平常時の血圧を中心に±20mmHgの範囲とされてよい。この場合も、所定範囲は適宜定められうる。
PTT変動率が所定範囲内である場合(ステップS13:YES)、制御部160は、図6のフローチャートの処理を終了する。制御部160は、ステップS11に戻って脈波伝播時間による被検者の状態監視を継続してもよい。
PTT変動率が所定範囲内でない場合(ステップS13:NO)、制御部160は、PTTに基づくパラメータが所定の変動をしたと判定する。PTT変動率が所定範囲内でない場合、被検者の疾患リスクが高まっていると判定する。制御部160は、PTTに基づくパラメータが所定の変動をした旨を報知部130から報知し、被検者の疾患リスクが高まっている旨の注意喚起を行う(ステップS14)。制御部160は、PTTに基づくパラメータが所定の変動をした場合、被検者の疾患リスクに係る情報を報知してもよい。制御部160は、通信部190からサーバ200(図8参照)等の外部装置に対して、PTT変動率に係る情報又は注意喚起に係る情報を送信してもよい。制御部160は、その後、図6のフローチャートの処理を終了する。制御部160は、ステップS11に戻って脈波伝播時間による被検者の状態監視を継続してもよい。
疾患リスクは、例えば虚血性心疾患又は脳卒中等の重篤な疾患が発症しうる可能性である。制御部160は、被検者の疾患リスクが高まっている旨を、被検者だけでなく周囲に報知してもよい。このようにすることで、被検者が既に意識を失っている場合であっても、被検者の疾患に対応することができる。
制御部160は、被検者の疾患リスクが高まっていることを示す情報を、サーバ200(図8参照)等の外部装置に出力してもよい。このようにすることで、被検者のもとに人員を派遣する等の対応が可能になる。被検者が車両の運転中である場合には、当該車両をリモートで制御することも可能になる。
図6のフローチャートにおいて、制御部160は、脈波伝播時間に基づくパラメータとして、脈波伝播時間の代わりに脈波伝播速度を用いてもよい。制御部160は、脈波伝播時間に基づくパラメータとして、脈波伝播時間から推定される血圧を用いてもよい。制御部160は、脈波伝播時間に基づくパラメータとして、脈波伝播時間に基づく種々のパラメータ又はその変動を用いてもよい。
<脈波及びPTTによる監視フロー>
制御部160は、図6に示されるように、脈波伝播時間を用いて、被検者の身体状態を判定することができる。制御部160は、さらに脈波を用いて、被検者の身体状態を判定してもよい。図7は、脈波及び脈波伝播時間に基づく被検者の身体状態の判定手順を示すフローチャートである。
まず制御部160は、第1センサ部120aから、被検者の第1被検部における生体情報を取得する。制御部160は、第1被検部における生体情報に基づいて、図5(A)に示されるような脈波を算出して取得する(ステップS21)。制御部160は、第2センサ部120bから取得した生体情報に基づいて脈波を算出してもよい。
続いて制御部160は、脈波を解析する(ステップS22)。制御部160は、例えば脈波の立ち上がり間隔を算出する。制御部160は、算出した脈波の立ち上がり間隔を記憶部180に格納してもよい。制御部160は、被検者の脈波の立ち上がり間隔から、1分間の脈波の立ち上がり回数を脈拍数又は心拍数として算出してもよい。通常、脈拍数と心拍数とは同数値となるため、ここでは同様のものとし、以降の記載を心拍数に統一する。制御部160は、脈波の波形の特徴点を基準として脈波の立ち上がり間隔を算出してもよい。制御部160は、脈波の波形の特徴点として、脈波がピーク値に向けて立ち上がる際の変曲点を解析してもよい。この場合制御部160は、脈波の変曲点が現れる時間間隔を算出することができる。制御部160は、脈波の波形の特徴点として、脈波のピーク値又はボトム値を基準としてもよい。この場合制御部160は、脈波のピーク値又はボトム値が現れる時間間隔を算出することができる。
制御部160は、被検者の心拍数の変動率を算出してもよい。変動率を算出するための基準値は、例えば、被検者の平常時の心拍数としてもよいし、被検者が監視装置100を装着した時点における心拍数としてもよい。制御部160は、算出した心拍数の変動率を記憶部180に格納してもよい。
制御部160は、脈波の波高を算出してもよい。制御部160は、脈波の波形の特徴点を解析してもよい。制御部160は、脈波の波高又は波形の特徴点の解析結果を記憶部180に格納してもよい。
続いて制御部160は、被検者の身体状態の判定を行う。制御部160は、被検者の心拍数の低下率が眠気判定値以上となったか判定する(ステップS23)。眠気判定値は、被検者の眠気を判定する基準値である。眠気判定値は、例えば15%に設定されるがこれに限られない。眠気判定値は、適宜設定されうる値である。制御部160は、被検者の心拍数の低下率が眠気判定値以上となった場合、被検者の身体状態の判定として、被検者の眠気が増大していると判定する。
ステップS23において、制御部160は、脈波の周波数解析結果に基づいて被検者の眠気を判定してもよい。制御部160は、例えば脈波の所定の周波数帯の値が上昇した場合に、被検者の眠気が増大していると判定してもよい。
被検者の心拍数の低下率が眠気判定値以上となった場合(ステップS23:YES)、制御部160は、報知部130から被検者に対して眠気が発生している旨の注意喚起(第1の注意喚起)を行う(ステップS24)。制御部160は、その後、図7のフローチャートの処理を終了する。制御部160は、ステップS21に戻って被検者の状態監視を継続してもよい。
被検者の心拍数の低下率が眠気判定値以上となっていない場合(ステップS23:NO)、制御部160は、被検者の心拍数の上昇率が緊張判定値以上となったか判定する(ステップS25)。緊張判定値は、被検者の緊張度を判定する基準値である。緊張判定値は、例えば25%に設定されるがこれに限られない。緊張判定値は、適宜設定されうる値である。制御部160は、被検者の心拍数の上昇率が緊張判定値以上となった場合、被検者の身体状態の判定として、被検者の緊張度が増大していると判定する。
ステップS25において、制御部160は、被検者の心拍数が所定値以上となった場合に、被検者の緊張度が増大していると判定してもよい。所定値は、例えば100と設定されてもよい。
被検者の心拍数の上昇率が緊張判定値以上となっている場合(ステップS25:YES)、制御部160は、ステップS27に進む。ステップS27については後述する。
被検者の心拍数の上昇率が緊張判定値以上となっていない場合(ステップS25:NO)、制御部160は、被検者の身体状態の判定として、被検者の脈波の解析結果が不整脈判定条件を満たすか判定する(ステップS26)。不整脈判定条件は、例えば脈波の立ち上がり間隔のばらつきが所定値以上となる場合として設定される。不整脈判定条件は、脈波の波高が低下した場合として設定されてもよい。不整脈判定条件は、被検者の脈波の波形と基準波形との差異が所定値以上となった場合として設定されてもよい。
被検者の脈波解析結果が不整脈判定条件を満たす場合(ステップS26:YES)、制御部160は、被検者の身体状態の判定として、不整脈が発生しているものとしてステップS27に進む。ステップS27については後述する。被検者の脈波解析結果が不整脈判定条件を満たさない場合(ステップS26:NO)、制御部160は、図7のフローチャートの処理を終了する。制御部160は、ステップS21に戻って被検者の状態監視を継続してもよい。
ステップS25又はステップS26における被検者の身体状態の判定によりステップS27に進んだ場合、制御部160は、被検者の脈波伝播時間(PTT)を測定する(ステップS27)。脈波伝播時間の測定方法は、図6のステップS11と同様の方法である。
続いて制御部160は、被検者の脈波伝播時間(PTT)を解析する(ステップS28)。制御部160は、図6のステップS12と同様に、被検者の脈波伝播時間の変動率(PTT変動率)を算出する。
続いて制御部160は、図6のステップS13と同様に、PTT変動率が所定範囲内であるか判定する(ステップS29)。
PTT変動率が所定範囲内である場合(ステップS29:YES)、制御部160は、報知部130から被検者に対して緊張度が高まっている又は不整脈が発生している旨の注意喚起を行う(ステップS30)。制御部160は、ステップS25において被検者の心拍数の上昇率が緊張判定値以上となったことによりステップS27に進んだ場合、ステップS30において、報知部130から被検者に対して緊張度が高まっている旨の注意喚起(第2の注意喚起)を行う。制御部160は、ステップS26において被検者の脈波解析結果が不整脈判定条件を満たしたことによりステップS27に進んだ場合、ステップS30において、報知部130から被検者に対して不整脈が発生している旨の注意喚起(第3の注意喚起)を行う。制御部160は、その後、図7のフローチャートの処理を終了する。制御部160は、ステップS21又はステップS27に戻って被検者の状態監視を継続してもよい。
PTT変動率が所定範囲内でない場合(ステップS29:NO)、制御部160は、PTTに基づくパラメータが所定の変動をしたと判定する。PTT変動率が所定範囲内でない場合、制御部160は、被検者の疾患リスクが高まっていると判定する。制御部160は、図6のステップS14と同様に、PTTに基づくパラメータが所定の変動をした旨を報知部130から報知し、被検者の疾患リスクが高まっている旨の注意喚起(第3の注意喚起)を行う(ステップS31)。制御部160は、PTTに基づくパラメータが所定の変動をした場合、被検者の疾患リスクに係る情報を報知してもよい。制御部160は、通信部190からサーバ200(図8参照)等の外部装置に対して、PTT変動率に係る情報又は注意喚起に係る情報を送信してもよい。制御部160は、その後、図7のフローチャートの処理を終了する。制御部160は、ステップS21又はステップS27に戻って被検者の状態監視を継続してもよい。
制御部160は、被検者の身体状態に応じた第1から第3の注意喚起において、報知部130からの報知内容を変更してもよい。制御部160は、第1から第3の注意喚起において、例えば音声を変えて報知してもよい。制御部160は、第1から第3の注意喚起において、例えば音量の大きさを変えて報知してもよい。制御部160は、第1から第3の注意喚起において、例えば異なる情報を報知部130に表示してもよい。図7のフローチャートによれば、被検者の身体状態に応じた注意喚起が、より適切になされうる。
図7のフローチャートにおいて、制御部160は、ステップS23、ステップS25及びステップS26の順序を適宜入れ替えて実行してもよい。制御部160は、ステップS23、ステップS25及びステップS26において判定に用いられるパラメータ又は判定結果に係る情報を通信部190からサーバ200(図8参照)等の外部装置に対して送信してもよい。
図7のフローチャートにおいて、制御部160は、脈波伝播時間の代わりに、脈波伝播時間に基づくパラメータとして、脈波伝播速度を用いてもよい。制御部160は、脈波伝播時間に基づくパラメータとして、脈波伝播時間から推定される血圧を用いてもよい。制御部160は、脈波伝播時間に基づくパラメータとして、脈波伝播時間に基づく種々のパラメータ又はその変動を用いてもよい。
[監視装置の装着]
被検者は、例えば手首に装着した監視装置100を用いて測定を行う。監視装置100が取得する生体情報が脈波である場合、被検部位は尺骨動脈82又は橈骨動脈83である。監視装置100が被検者に装着される際、センサ部120の発光部121から射出される測定光が尺骨動脈82又は橈骨動脈83に照射されるようにセンサ部120の位置が調整される。
監視装置100は、センサ部120が例えば手首のような被検部位に接触した状態で、被検者に装着される。特に、センサ部120は、被検者が自ら装着時に調整することにより、尺骨動脈82又は橈骨動脈83に測定光が射出される位置で、手首に接触させることが好ましい。
監視装置100の装着状態において、センサ部120は、センサ保持部110又は装着部140が有する弾性力により、手首に密着した状態で被検者に装着される。センサ部120が手首に密着することにより、手首とセンサ部120との位置関係が変化しにくくなるため、センサ部120における測定精度を向上させることが可能である。
センサ部120は、センサ保持部110に対してそれぞれ独立して変位可能に支持されてもよい。このようにすることで、センサ部120は、被検部位である手首に対して密着しやすくなる。また、手首に対してセンサ保持部110がずれた場合に、センサ部120のそれぞれが変位することにより、センサ部120と手首との密着状態が維持されやすい。そのため、センサ部120と手首との位置関係が変化しにくく、センサ部120による生体情報の測定条件が変わりにくい。このようにすることで、生体情報の測定精度を向上可能である。
また、監視装置100の装着状態において、センサ部120は、所定の圧力未満の圧力で手首に接触するように構成する。所定の圧力は、監視装置100により測定する生体情報及び監視装置100の構成等に基づいて適宜決定されるものである。所定の圧力は、生体情報の測定結果に誤差を生じにくい圧力であることが好ましい。本実施形態において、監視装置100は、生体情報として脈波伝播速度を測定する。よって所定の圧力は、脈波伝播速度の測定結果に誤差を生じにくい圧力であることが好ましい。
本実施形態において、第1センサ部120a及び第2センサ部120bは、被検者の所定の血管の方向に所定間隔だけ離れた被検部位に接触する。第1センサ部120a及び第2センサ部120bは、図2に示されるY軸方向が被検者の所定の血管の方向に沿うようにして、所定間隔(ΔD)だけ離れた被検部位に接触してもよい。
本実施形態において、第1センサ部120a及び第2センサ部120bが接触する被検部位のうち、所定の血管に沿って被検者の心臓に近い被検部位におけるセンサ部120の接触圧力が所定の圧力未満とされてもよい。例えば、監視装置100を被検者の手首に装着した際に、図2に示されるY軸の正方向が被検者の上腕方向になり、Y軸の負方向が被検者の掌方向になるものとする。この場合、Y軸の正方向(被検者の上腕方向)にある被検部位は、Y軸の負方向(被検者の掌方向)にある被検部位よりも、所定の血管に沿って被検者の心臓までの距離が短くなる。したがってこの場合、Y軸の正方向(被検者の上腕方向)に接触する第1センサ部120aは、被検部位に対して所定の圧力未満の圧力で接触してもよい。
実施形態1に係る監視装置100は、所定の圧力未満の圧力で装着されるセンサ部120を用いて被検者の脈波伝播速度を測定する。つまり本実施形態において、被検者の脈波伝播速度は、所定の圧力をかけずに測定される。このようにすることで、被検者の身体に負担をかけることなく、被検者の脈波伝播速度が継続的に測定されうる。
実施形態1に係る監視装置100は、複数のセンサ部120を用いて被検者の脈波伝播速度を測定する。このようにすることで、降圧薬のような心筋収縮力の変化をもたらす薬を服用した場合でも、脈波伝播速度の測定値は、服薬の影響を受けることがない。
実施形態1に係る監視装置100は、例えば手首の尺骨動脈82又は橈骨動脈83等の短距離に配設された複数のセンサ部120を用いて被検者の脈波伝播速度を測定する。このようにすることで、センサ部120の構造をコンパクトにすることができる。本実施形態に係る監視装置100は、携帯性に優れる、又は日常的に装着可能になる等のメリットを有する。
(実施形態2)
実施形態2として、実施形態1に係る監視装置100がサーバ200(図8参照)等の所定の装置に接続される構成について説明する。図8は、本実施形態に係る監視システム10の概略構成例を示す図である。
監視システム10は、監視装置100とサーバ200とコントローラ300と情報端末400とを備える。サーバ200とコントローラ300と情報端末400とはそれぞれ、所定の装置を構成する。監視装置100は、図3に示される機能ブロック図と同様に、センサ部120と、制御部160と、記憶部180と、通信部190とを備える。サーバ200は、サーバ制御部260と、サーバ記憶部280と、サーバ通信部290とを備える。監視装置100の通信部190と、サーバ200のサーバ通信部290とは通信可能に接続される。通信部190とサーバ通信部290とは、ネットワーク500を介して接続されてもよい。通信部190は、無線LAN等の無線通信によりネットワーク500に接続されてもよい。
通信部190は、コントローラ300及び情報端末400に接続される。通信部190は、無線LAN等の無線通信によりコントローラ300及び情報端末400に接続されてもよい。通信部190は、有線の通信によりコントローラ300及び情報端末400に接続されてもよい。制御部160は、通信部190からコントローラ300又は情報端末400に対して、脈波伝播時間に基づくパラメータの変動に係る情報、被検者の身体状態に係る情報、又は被検者の身体状態に基づく注意喚起等に係る情報を送信してもよい。
サーバ通信部290は、コントローラ300及び情報端末400に接続される。サーバ通信部290は、ネットワーク500を介してコントローラ300及び情報端末400に接続されてもよい。コントローラ300及び情報端末400は、無線LAN等の無線通信によりネットワーク500に接続されてもよい。
コントローラ300は、監視装置100から被検者の身体状態に係る情報又は被検者の身体状態に基づく注意喚起等に係る情報を取得する。コントローラ300は、監視装置100から取得した情報を格納してもよい。コントローラ300は、監視装置100から取得した情報をサーバ200に送信してもよい。
情報端末400は、監視装置100から被検者の身体状態に係る情報又は被検者の身体状態に基づく注意喚起等に係る情報を取得する。情報端末400は、監視装置100から取得した情報を格納してもよい。情報端末400は、監視装置100から取得した情報をサーバ200に送信してもよい。情報端末400は、監視装置100から被検者の身体状態に基づく注意喚起を取得した場合、被検者又は周囲にいる人に対して、音声又は画像表示等により注意喚起の内容を報知してもよい。
監視システム10は、コントローラ300又は情報端末400のいずれか一方を備えていてもよい。監視システム10は、コントローラ300及び情報端末400を備えず、監視装置100の通信部190とサーバ200のサーバ通信部290とが、ネットワーク500を介して接続されていてもよい。その場合、監視装置100又はサーバ200の少なくとも一方は、報知部130(図示せず)を備えていてもよい。
実施形態2に係る監視システム10によれば、監視装置100による被検者の監視状況を記録することができる。監視装置100が車両の運転者によって装着される場合、監視システム10は、監視装置100によって取得される車両の運転者の身体状態を記録することができる。監視システム10又は監視装置100は、例えば車両の運転者の疾患リスクが高まったと判定された場合、報知部130又は情報端末400を用いて、運転者に対して、車両を安全な場所に停車させるように促すことができる。監視システム10又は監視装置100は、報知部130又は情報端末400を用いて、車両の同乗者に対して、運転者の様子を確認するように促してもよい。監視システム10は、サーバ200に対して運転者の状態を送信してもよい。サーバ200は、運転者の状態に応じて、車両に対する指示を出してもよい。
実施形態2に係る監視システム10によれば、被検者の身体状態の監視状況に応じて、被検者に対して種々の対応をとることが容易になる。被検者が車両の運転者である場合には、被検者が運転する車両に対しても種々の対応をとることが容易になる。
(実施形態3)
高血圧は、無症候性脳梗塞又は白質病変等を引き起こす危険因子であるといわれる。高血圧は、脳血管性認知症の要因であるといわれる。脳血管性認知症は、例えば、中年期から罹患している高血圧に起因して、老年期に発症することがある。中年期は、例えば40歳代、50歳代又は60歳代のことであってよい。老年期は、中年期よりも後の年代であり、例えば60歳代又は70歳代以降のことであってよい。認知症は、脳血管性認知症だけでなく、脳の委縮に起因するアルツハイマー、前頭側頭型認知症又はレビー小体型認知症等を含む。認知症の約70%が脳血管性認知症又は脳血管性認知症とアルツハイマーとの複合であるといわれることがある。高血圧の予防は、認知症の発症又は進行のリスクを低減させることがある。高血圧の予防は、適度な運動によって所定以上の活動量を保つことで実現されることがある。
脈波伝播速度が認知機能低下の予測因子として有力であるという報告例が医学界にある。例えば、脈波伝播速度とMMSE(Mini Mental State Examination)スコア変化との間に相関が認められるとする報告例がある。脈波伝播速度が速いことは、動脈硬化が進んでいることと相関がありうる。MMSEスコアの低下は、認知症の進行と相関がありうる。この報告例では、脈波伝播速度が速いほど、MMSEスコアが大きく低下するとされている。つまり、この報告例は、動脈硬化の進行によって認知症の進行が早まりうることを示唆している。
[装置構成例]
本実施形態に係る監視システム10は、図9に示されるように、活動量計600をさらに備えてよい。図9の監視システム10は、活動量計600を備える点においてのみ、図8の監視システム10と異なる。活動量計600は、活動量を測定するためのデバイスであってよい。活動量計600は、情報端末400に含まれてよい。活動量計600は、被検者が所持するスマートフォン等の端末の機能の一つとして実現されてよい。
本実施形態に係る監視装置100は、図10に示されるように、活動量測定部132をさらに備えてよい。図10の監視装置100は、活動量測定部132を備える点においてのみ、図3の監視装置100と異なる。
活動量計600又は活動量測定部132は、加速度センサ、角速度センサ、GPS(Global Positioning System)センサ又は気圧センサ等を備えてよい。活動量計600又は活動量測定部132は、種々のセンサを種々の組み合わせで備えてよい。
活動量計600又は活動量測定部132は、接触又は非接触で被検者に装着されることによって、被検者の活動量を測定しうる。活動量計600又は活動量測定部132は、例えば、歩数、移動距離、位置情報、移動経路、活動時間、心拍数又は消費カロリー等を測定してよい。活動量は、歩数等に限られず、他のパラメータを含んでよい。
活動量計600は、監視装置100の通信部190と直接通信して、測定した活動量を出力してよい。活動量計600は、ネットワーク500を介して監視装置100に対して、測定した活動量を出力してよい。活動量計600は、ネットワーク500を介してサーバ200に対して、測定した活動量を出力してよい。監視装置100は、活動量計600から、又は、サーバ200から被検者の活動量を取得してよい。監視装置100は、活動量測定部132によって被検者の活動量を取得してよい。監視装置100は、センサ部120によって測定される被検者の生体情報に基づいて、被検者の活動量を算出してよい。
[認知機能低下リスク判定]
監視装置100は、脈波伝播速度に基づいて、被検者の認知機能低下のリスクを判定してよい。監視装置100は、被検者に対して、認知機能低下のリスクを報知してよい。監視装置100は、脈波伝播速度の代わりに、脈波伝播時間を測定してよい。監視装置100は、脈波伝播時間に基づいて、被検者の認知機能低下のリスクを判定してよい。監視装置100は、脈波伝播速度又は脈波伝播時間に基づいて被検者の血圧を推定してよい。監視装置100は、血圧に基づいて、被検者の認知機能低下のリスクを判定してよい。認知機能低下は、認知症が発症すること、又は、認知症が進行することを含む。
監視装置100は、通信部190によって、位置情報を取得してよい。監視装置100が被検者の体に装着される場合、監視装置100は、被検者の位置情報を取得できる。例えば徘徊の症状が現れた被検者の行き先が分からない場合であっても、被検者は、位置情報によって容易に発見されうる。
監視装置100は、被検者が体の一部をセンサ部120に接触させるように構成されてよい。体の一部は、例えば、手首、指、上腕、頸、肘、膝又は足の甲等であってよいが、これらに限られない。センサ部120は、被検者がセンサ部120を意識せずに接触する物に設けられてよい。センサ部120は、例えば、椅子、マッサージチェア、足の温浴器、車両のシート、車椅子、寝具若しくは便座、又は、これらが備えるアームレスト若しくはフットレスト等に設けられてよい。
監視システム10は、被検者の脈波伝播速度と活動量とに基づいて、被検者に対して、活動量に関する報知をしてよい。被検者は、適度に運動して所定以上の活動量を保つことによって、認知症の発症又は進行のリスクを低減できることがある。
[被検者への報知フロー]
監視装置100は、図11及び図12に示されるフローチャートの処理によって、被検者に対して種々の報知を行いうる。
監視装置100の制御部160は、センサ部120から取得した生体情報に基づいて、脈波伝播時間(PTT)を測定する(ステップS41)。PTTの測定方法は、図6のステップS11と同様である。制御部160は、PTT測定値を記憶部180に格納してよい。制御部160は、PTT測定値をサーバ200に出力して、サーバ記憶部280に格納してよい。制御部160は、PTT測定値を情報端末400に出力してよい。
制御部160は、所定の期間のPTT測定値の平均処理を行う(ステップS42)。平均処理は、所定の期間のPTT測定値の平均値を算出する処理であってよい。平均処理は、PTT測定値の移動平均を算出する処理であってよい。所定の期間は、例えば、1日、1週間、1ヶ月又は1年等、種々の期間とされてよい。制御部160は、平均処理を情報端末400又はサーバ200のサーバ制御部260に実行させ、実行結果を取得してよい。
制御部160は、PTT測定値の平均処理の結果に基づいて、PTT測定値が大きくなる方向に変化しているか判定する(ステップS43)。制御部160は、例えば、所定の期間のPTT測定値の平均値が所定の期間以前のPTT測定値の平均値より大きい場合に、PTT測定値が大きくなる方向に変化していると判定してよい。制御部160は、例えば、PTT測定値の移動平均の変化に基づいて、PTT測定値の変化の方向を予測してよい。
制御部160は、PTT測定値が大きくなる方向に変化している場合(ステップS43:YES)、被検者の認知症の発症又は進行のリスクが低下していることを報知する(ステップS44)。制御部160は、報知部130によって被検者に報知してよい。制御部160は、情報端末400によって被検者に報知してよい。制御部160は、報知内容をサーバ200に出力して、サーバ200から情報端末400又は被検者が所持する端末に報知してよい。制御部160は、ステップS44の後、図11のフローチャートの処理を終了する。
制御部160は、PTT測定値が大きくなる方向に変化していない場合(ステップS43:NO)、被検者の活動量を取得する(図12のステップS45)。制御部160は、活動量計600から被検者の活動量を取得してよい。制御部160は、活動量測定部132によって、被検者の活動量を測定してよい。制御部160は、被検者の活動量を記憶部180に格納してよい。制御部160は、被検者の活動量をサーバ200に出力して、サーバ記憶部280に格納してよい。制御部160は、被検者の活動量を情報端末400に出力してよい。
制御部160は、被検者の活動量を積算する(ステップS46)。制御部160は、所定の期間の被検者の活動量を積算して累積値を算出してよい。所定の期間は、例えば、1日、1週間、1ヶ月、又は1年等、種々の期間とされてよい。制御部160は、活動量計600から活動量の累積値を取得してよい。制御部160は、情報端末400又はサーバ200のサーバ制御部260に累積値を算出させ、累積値を取得してよい。
制御部160は、活動量が減る方向に変化しているか判定する(ステップS47)。制御部160は、例えば、所定の期間の活動量の累積値が所定の期間以前の活動量の累積値より小さい場合に、活動量が減る方向に変化していると判定してよい。制御部160は、例えば、活動量の変化の傾向に基づいて、活動量の増減を予測してよい。
制御部160は、被検者の活動量が減る方向に変化している場合(ステップS47:YES)、被検者に対して活動量を増やすことを促す報知を行う(ステップS48)。制御部160は、被検者に対して、生活の改善に関するアドバイスを報知してよい。制御部160は、報知部130によって被検者に報知してよい。制御部160は、情報端末400によって被検者に報知してよい。制御部160は、報知内容をサーバ200に出力して、サーバ200から情報端末400又は被検者が所持する端末に報知してよい。制御部160は、ステップS48の後、図12のフローチャートの処理を終了する。
制御部160は、被検者の活動量が減る方向に変化していない場合(ステップS47:NO)、被検者に対して、活動量が適切である旨の報知、活動量の維持を促す報知、又は、より適切な活動量を示す報知を行う(ステップS49)。制御部160は、被検者に何も報知しないようにしてよい。制御部160は、報知部130によって被検者に報知してよい。制御部160は、情報端末400によって被検者に報知してよい。制御部160は、報知内容をサーバ200に出力して、サーバ200から情報端末400又は被検者が所持する端末に報知してよい。制御部160は、ステップS49の後、図12のフローチャートの処理を終了する。
制御部160は、図11のステップS43においてPTT測定値に基づく判定を行う代わりに、脈波伝播速度(PWV)に基づく判定をしてよい。この場合、PTT測定値が大きくなる方向と、PWV測定値が小さくなる方向とが対応づけられる。
制御部160は、図11のステップS43においてPTT測定値に基づく判定を行う代わりに、被検者の血圧の推定値に基づく判定をしてよい。この場合、PTT測定値が大きくなる方向と、血圧の推定値が低くなる方向とが対応づけられる。
図12のステップS45及びステップS46が実行される順序は、図11のステップS43の後に限られない。図12のステップS45及びステップS46は、図11のステップS41又はステップS42の前又は後に実行されてよい。図12のステップS45及びステップS46は、他の任意のタイミングで実行されてよい。
実施形態3に係る監視システム10及び監視装置100によれば、被検者の認知症の発症又は進行のリスクを予測して報知できる。報知を受けた被検者は、身体状態の悪化を防ぐ行動をとるきっかけが与えられうる。
本開示に係る構成は、以上説明してきた実施形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形又は変更が可能である。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
監視装置100は、第1センサ部120a及び第2センサ部120bの2つのセンサ部120を備える構成について説明してきた。本開示に係る構成において、センサ部120は2個に限定されず、2個以上の任意の数とされうる。この場合は、センサ部120の数に応じて、センサ保持部110の形状が適宜変更されることが望ましい。
センサ部120は、発光部121と受光部123とを備える構成について説明してきた。センサ部120は、光学式センサに限られない。センサ部120は、例えばジャイロセンサであってもよい。ジャイロセンサは、手首の尺骨動脈82又は橈骨動脈83に合わせて配置される。ジャイロセンサは、尺骨動脈82又は橈骨動脈83の脈動を加速度として検出することができる。ジャイロセンサにより検出される加速度データを用いて、脈波が検出されうる。センサ部120は、例えば圧電素子等を備える変位センサであってもよい。変位センサは、尺骨動脈82又は橈骨動脈83の脈動を変位として検出することができる。変位センサにより検出される変位データを用いて、脈波が検出されうる。
監視装置100は、被検者の手首に巻きつけた状態で使用されうると説明してきた。監視装置100の使用態様はこれに限られない。監視装置100は、被検部位の位置に応じて、例えば、足首等の手首以外の生体に装着された状態で使用されるものであってもよい。
監視装置100は、取得された脈波伝播速度から血圧を推定するものとして説明してきた。監視装置100は、脈波を高い精度で取得することができるので、脈波に基づいて生体情報を測定する装置であってもよい。監視装置100は、例えば、取得された脈波から血圧を測定するものであってもよい。監視装置100は、例えば、取得された脈波から脈拍を測定するものであってもよい。