JPWO2008139539A1 - バラシクロビルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
バラシクロビルの製造方法としては、アシクロビルとN−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−L−バリンとをN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下に溶媒中で縮合反応させ、得られたZ−バラシクロビル(2−[(2−アミノ−1,6−ジヒドロ−6−オキソ−9H−プリン−9−イル)メトキシ]エチル N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−L−バリネート)の保護基(Z基)を還元して脱離する方法が一般的である(特許文献1及び2参照)。
しかしながら、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドを用いる縮合反応においては、N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−L−バリンのラセミ化が避けられず、Z−バラシクロビルのD異性体である2−[(2−アミノ−1,6−ジヒドロ−6−オキソ−9H−プリン−9−イル)メトキシ]エチル N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−D−バリネートが、Z−バラシクロビル及びD体の合計量を100%とした場合に、通常数%程度生成するという問題がある。
また、Z基の除去はPd触媒等を用いる接触還元により行われるが、必ずしも操作が簡便とは言えない。
しかしながら、この方法においても、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドを使用することによるラセミ化の問題は解決されていない。
しかしながら、この方法においては、アシクロビルを誘導体化する必要があり工程が煩雑である。また、アシクロビル誘導体とN−保護バリンアルカリ金属塩とを高温にて縮合する必要があり、ラセミ化抑制の観点から光学活性体の製造として必ずしも適した方法とは言えない。
[1]式(2):
式(1):
で表されるN−保護バリンの有機アミン塩を、又は該N−保護バリンのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩を中和し、縮合剤存在下に縮合反応させることを特徴とする、式(3):
で表されるN−保護バラシクロビルの製造方法。
[2]上記[1]記載の製造方法に従って、式(3)で表されるN−保護バラシクロビルを得た後、該N−保護バラシクロビルを酸で脱保護することを特徴とする、式(4):
[3]上記[1]記載の製造方法に従って、式(3)で表されるN−保護バラシクロビルを得た後、該N−保護バラシクロビルを塩酸で脱保護することを特徴とする、式(5):
[4]縮合剤が、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドである、上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の方法。
[5]中和が酸又は強酸と弱塩基の塩によって行われる、上記[1]乃至[4]記載のいずれか一に記載の方法。
[6]中和が、塩基存在下に行われる、上記[1]乃至[5]記載のいずれか一に記載の方法。
[7]式(2):
式(1):
で表されるN−保護バリンの有機アミン塩とを、縮合剤存在下に縮合反応させることを特徴とする、式(3):
で表されるN−保護バラシクロビルの製造方法。
[8]上記[7]記載の製造方法に従って、式(3)で表されるN−保護バラシクロビルを得た後、該N−保護バラシクロビルを酸で脱保護することを特徴とする、式(4):
[9]上記[7]記載の製造方法に従って、式(3)で表されるN−保護バラシクロビルを得た後、該N−保護バラシクロビルを塩酸で脱保護することを特徴とする、式(5):
[10]縮合剤が、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドである、上記[7]乃至[9]のいずれか一に記載の方法。
[11]式(6):
[12]式(6):
[13]式(6):
[14]アミノ基が式(7):
で表される保護基で保護されたアミノ酸の有機アミン塩とアルコールとを縮合剤存在下に縮合反応させることを特徴とする、アミノ基が式(7)で表される保護基で保護されたアミノ酸エステル化合物の製造方法。
[15]上記[14]の製造方法に従って、アミノ基が式(7)で表される保護基で保護されたアミノ酸エステル化合物を得た後、該保護基を酸で脱保護することを特徴とする、アミノ酸エステル化合物の製造方法。
まず、本発明で用いられる用語の定義について説明する。
また、R5で表される有機基で例示される「アルキル基」についても、上記と同様の基が挙げられる。
また、R5で表される有機基で例示される「アリール基」についても、上記と同様の基が挙げられる。
また、R5で表される有機基で例示される「アリール基」についても、上記と同様の基が挙げられる。
また、R5で表される有機基で例示される「アラルキル基」は、例えば、炭素数7〜10のアラルキル基であり、具体例としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。
R2としては、水素原子が好ましい。
R3としては、メチル基、エチル基が好ましい。
本発明の製造方法において原料として使用されるN−保護バリン(1)のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又は有機アミン塩(以下、単に「N−保護バリン(1)の塩」と称する)は、公知の方法(例えば、Revue Roumaine de Chimie (1970), 15, 1375−1390に記載の方法等)に従って、L−バリンを保護することによって得られる。例えば、L−バリンを塩基存在下、β−ジケトン又はβ−ケトエステルと反応させる方法等が挙げられる。塩基の使用量は、L−バリン1当量に対して、好ましくは1〜5当量、より好ましくは1〜2当量である。β−ジケトン又はβ−ケトエステルの使用量は、L−バリン1当量に対して、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1〜5当量である。また、溶媒を使用する場合の使用量は、L−バリン1モルに対して、好ましくは0.1〜20L、より好ましくは0.2〜10Lである。
塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素塩等の無機塩基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基が挙げられる。特に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
本反応において、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を調製する場合は、溶媒中で行うのが好ましい。一方、有機アミン塩を調製する場合は、溶媒を使用しないのが好ましい。溶媒を使用する場合の溶媒としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジクロロメタン等のハロゲン系炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族系炭化水素類、及びこれらの任意の混合溶媒が挙げられる。特に、水、メタノール、エタノール、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
本反応で得られたN−保護バリン(1)の塩は、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の常法により精製することができるが、精製することなく次の反応に使用することもできる。
上述したように、N−保護バリン(1)は一般に塩の形態で得られる。アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の場合、反応を進行させるために中和が必要である。有機アミン塩の場合も中和を行ってよいが、通常その必要はなく、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩に比べ、より簡便に反応を行うことができる。
保護基の脱離を防ぐ観点から、中和は塩基存在下に行うのが好ましい。特に、後述の酸の添加や、強酸と弱塩基からなる塩の添加に先立って、有機塩基を加えてから中和を行うことが好ましい。この場合、前工程のN−保護バリン(1)の塩の製造において、本工程に必要な量の有機塩基をあらかじめ存在させておいてもよい。有機塩基としては、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基等が挙げられ、好ましくは、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンである。
中和に酸を用いる場合、当該酸の使用量は、N−保護バリン(1)の塩1当量に対して、好ましくは0.8〜1.2当量、より好ましくは0.9〜1.1当量である。有機塩基を加える場合、塩基の使用量は、N−保護バリン(1)の塩1当量に対して、好ましくは0.01〜1当量、より好ましくは0.02〜0.5当量である。溶媒の使用量は、N−保護バリン(1)の塩1モルに対して、好ましくは0.1〜20L、より好ましくは0.2〜10Lである。
中和に使用される当該塩としては、例えば、ピリミジン塩酸塩、トリエチルアミン塩酸塩、イミダゾール塩酸塩、ピリジニウムパラトルエンスルホン酸等が挙げられ、好ましくは、ピリミジン塩酸塩である。
溶媒としては、特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジクロロメタン等のハロゲン系炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族系炭化水素類、及びこれらの任意の混合溶媒等が挙げられる。
溶媒としては、ジクロロメタン等のハロゲン系炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;トルエン等の芳香族系炭化水素類;アセチルアセトン等のβ―ジケトン類、及びこれら任意の混合溶媒が挙げられる。特に、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、トルエンが好ましい。
溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;水;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族系炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類等、及びこれらの任意の混合溶媒が挙げられ、好ましくは、メタノール、エタノール、アセトン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、水である。
N−保護バラシクロビル(3)の脱保護に塩酸を使用するとN−保護バラシクロビル(3)から1工程で塩酸バラシクロビルが得られるので、好ましい。
カラム:Adsorbosphere 5μm、φ4.6mm×250mm(Alltech製)
移動相A:25mMギ酸アンモニウム、pH3.5
移動相B:アセトニトリル:50mM酢酸アンモニウム、pH5.5=1:1
グラジェント条件:(1)〜(3)の3段階
(1)100%移動相Aから90%移動相A+10%移動相B、30分(直線)
(2)90%移動相A+10%移動相Bから100%移動相B、5分(直線)
・ 100%移動相B、10分
検出:UV、254nm
流速:1.0ml/min
カラム温度:25℃
カラム:Crown Pak CR(+)(ダイセル製)
溶離液:過塩素酸水溶液(pH1.5)/メタノール=98/2(容量比)
検出:UV、254nm
流速:0.8ml/min
カラム温度:20℃
バラシクロビルは10.3分、バラシクロビルの光学異性体は7.3分に検出される。
カラム:Inertsil ODS−2、φ4.6mm×250mm(ジーエルサイエンス(株)製)
溶離液:アセトニトリル:水:60%過塩素酸=350:650:0.1(容量比)
波長 :210nm
流量 :0.8ml/min
カラム温度:25℃
カラム:Chiralcel OD−R、φ4.6mm×250mm(ダイセル化学工業(株)製)
溶離液:アセトニトリル:水=300:700(容量比)
波長 :254nm
流量 :0.5ml/min
カラム温度:25℃
で表される保護基で保護されたN−保護アミノ酸の塩のカルボキシル基と、アシクロビル(2)等のアルコール化合物のヒドロキシル基とを、縮合剤存在下に縮合反応させ、N−保護アミノ酸エステル化合物を製造する場合に、該N−保護アミノ酸がアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩であると、反応を進行させるために中和が必要となる。しかしながら、該N−保護アミノ酸が有機アミン塩の場合は、中和を行わなくとも、縮合反応が進行し、より簡便にエステル結合を形成させることができる。
縮合反応及び脱保護は上記記載の方法に準じて行うことができる。
R1は、アルキル基、アリール基又はアルコキシル基を示し、
R2は、水素原子又はアルキル基を示し、
R3は、アルキル基を示し、
R4は、アミノ酸側鎖を示し、
R5は、有機基を示す。)
L−バリン8.9g(76mmol)をメタノール44mlに懸濁させ、アセチルアセトン9.1g(91mmol)及び水酸化ナトリウム3.4g(83mmol)を加え、60℃で3時間攪拌し、L−バリンの消失をニンヒドリンにより確認した。
溶媒を留去し、トルエンを用いた共沸脱水を行い、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と称する)に溶媒置換を行った。得られたDMF溶液を10℃に冷却し、4−ジメチルアミノピリジン0.8g(6.3mmol)、続いてトリフルオロ酢酸8.7g(76mmol)を加えた。
この溶液を5℃に冷却し、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下、「DCC」と称する)のDMF溶液17.4g(60質量%溶液、DCC51mmol)、続いて9−[(2−ヒドロキシエトキシ)メチル]グアニン(アシクロビル)の2/3水和物(結晶粉砕品、平均粒度30μm)15g(63mmol)を加えた。さらに、DCCのDMF溶液17.4g(60質量%溶液、DCC51mmol)を20時間掛けて滴下し、6時間攪拌を継続した。
この溶液に水1.1gを加え40℃で4時間攪拌、25℃に冷却した後に析出したジシクロヘキシルウレアを濾過により除去した。
ジシクロヘキシルウレアを除去した濾過液に水、続いて35%塩酸を1.2倍モル(対アシクロビル)加えた。この溶液を分析すると2−[(2−アミノ−1,6−ジヒドロ−6−オキソ−9H−プリン−9−イル)メトキシ]エチル L−バリネート(バラシクロビル)が57mmol(収率90%、対アシクロビル)含まれていた。また、この溶液中に含まれているバラシクロビルのD体比率は0.3%(L体:D体=99.7:0.3)(ピーク面積比)であった。
L−バリン9.6g(82mmol)をメタノール48mlに懸濁させ、アセチルアセトン10g(99mmol)及び水酸化ナトリウム3.7g(86mmol)を加え、60℃で2.5時間攪拌した。
40℃に冷却後、溶媒を留去し、トルエンを用いた共沸脱水を行った。次に、DMFに溶媒置換を行った。得られたDMF溶液を10℃に冷却し、4−ジメチルアミノピリジン0.8g(6.3mmol)、続いてトリフルオロ酢酸9.7g(84mmol)を加えた。
この溶液を5℃に冷却し、60%DCCのDMF溶液17.5g(51mmol)、続いてアシクロビルの2/3水和物(結晶粉砕品、平均粒度30μm)15g(63mmol)を加えた。さらに、60%DCCのDMF溶液17.4g(51mmol)を20時間掛けて滴下し、8時間攪拌を継続した。
この溶液に水1.1gを加え40℃で4時間攪拌、25℃に冷却した後、析出したジシクロヘキシルウレアを濾過により除去した。
ジシクロヘキシルウレアを除去した濾過液を濃縮し、得られた残渣を水600mlの中に滴下し懸濁液とした。この懸濁液を20℃で30分攪拌後、濾過し固形物71.4gを得た。さらに、得られた固形物69.2gに水54mlを加え懸濁液とし、30℃で35%塩酸を11g(104mol)加えた。この溶液を減圧濃縮し、得られた濃縮液にアセトン128gを30℃で2時間かけ滴下した。5℃まで冷却し、濾過、40℃にて減圧乾燥することで、バラシクロビル塩酸塩を白色結晶として18.2g、HPLC純度98.1%、収率81%で得た。得られたバラシクロビルは、D体比率が0.1%(L体:D体=99.9:0.1)(ピーク面積比)、水分が4.8%であった。
L−バリン9.6g(82mmol)をメタノール48mlに懸濁させ、アセチルアセトン10g(99mmol)及び水酸化ナトリウム3.7g(86mmol)を加え、60℃で2時間攪拌した。
溶媒を留去し、トルエンを用いた共沸脱水を行い、DMFに溶媒置換を行った。DMF溶液を10℃に冷却し、4−ジメチルアミノピリジン0.8g(6.3mmol)、続いてトリフルオロ酢酸9.8g(84mmol)を加えた。
この溶液を5℃に冷却し、60%DCCのDMF溶液17.4g(51mmol)、続いてアシクロビルの2/3水和物(結晶粉砕品、平均粒度30μm)15g(63mmol)を加えた。さらに、60%DCCのDMF溶液17.4g(51mmol)を20時間掛けて滴下し、8時間攪拌を継続した。
この溶液に水1.1gを加え40℃で4時間攪拌、25℃に冷却した後、析出したジシクロヘキシルウレアを濾過により除去した。
ジシクロヘキシルウレアを除去した濾過液を濃縮し、得られた残渣を水600mlの中に滴下し懸濁液とした。この懸濁液を20℃で30分攪拌後、濾過し、濾過(固形)物を139g得た。
この濾過物10gに水とメタノールを加え、60℃に加熱し溶解した。溶解液をゆっくり10℃まで冷却し、析出した結晶を濾過し、60℃にて減圧乾燥することで、2−[(2−アミノ−1,6−ジヒドロ−6−オキソ−9H−プリン−9−イル)メトキシ]エチル N−(1−アセチルプロペン−2−イル)−L−バリネートを結晶として1.4g得た。一部を採取し、塩酸を作用させバラシクロビル塩酸塩に誘導することで、D体比率が0.1%(ピーク面積比)であることを確認した。
1H−NMR(400MHz,d−DMSO):δ=0.86(6H,m);1.8(3H,s);1.9(3H,s);2.0(1H,m);3.7(2H,m);4.1(1H,m);4.2(2H,m);5.0(1H,s);5.4(2H,s);6.5(1H,s);7.8(1H,s);10.6(1H,s):11.0(1H,d,J=9.3Hz)
ESI−MS m/z:407(M+H+)
L−バリン31.1g(266mmol)にアセチルアセトン29.3g(292mmol)及びトリエチルアミン40.7g(398mmol)を加え、45℃で41時間攪拌した。
その後、減圧下でアセチルアセトン及びトリエチルアミンを留去し、さらにDMFを加えて減圧することで脱水を行った。得られたDMF溶液に、4−ジメチルアミノピリジン1.8g(14.8mmol)を加えた。
この溶液を5℃に冷却し、60%DCCのDMF溶液40.6g(118mmol)、続いてアシクロビルの2/3水和物(結晶粉砕品、平均粒度30μm)35g(148mmol)を加えた。さらに、60%DCCのDMF溶液60.9g(177mmol)を20時間掛けて滴下し、2時間攪拌を継続した(アシクロビルの消費率は98%)。
この溶液に水2.7gを加え40℃で3時間攪拌し、25℃に冷却した後にDMFを加え、析出しているジシクロヘキシルウレアを分離により除去した。
ジシクロヘキシルウレアを除去した濾過液を濃縮し、得られた残渣に60℃で2−プロパノール160gを滴下し懸濁液とした。この懸濁液にさらに2−プロパノール231gを加え、10℃まで冷却し結晶を分離した。さらに、得られた結晶にDMF167gを加え70℃で溶解し、2−プロパノール167gを加えた。10℃まで冷却後、結晶を分離した。得られた結晶に水136g、アセトン136gを加え懸濁液とし、35%塩酸を12.8g(123mol)加え30℃で4時間撹拌した。この溶液を減圧濃縮し、得られた濃縮液にアセトン630gを50℃で滴下した。この懸濁液を1時間熟成後、結晶を分離し乾燥することで、バラシクロビル塩酸塩の粗結晶を32.9g得た。この粗結晶30.0gに80wt%のアセトン水を加え懸濁液とし、10℃で撹拌した。5℃に冷却し結晶を分離、乾燥することで、バラシクロビル塩酸塩を白色結晶として25.5g得た。
得られたバラシクロビル塩酸塩は、HPLC純度が99.4%、D体比率が0.1%以下(ピーク面積比)、水分が6.4%であった。
L−バリン53.3g(455mmol)にアセチルアセトン49.2g(492mmol)及びトリエチルアミン55.3g(546mmol)を加え、50℃で24時間攪拌した。
その後、減圧下でアセチルアセトン及びトリエチルアミンを留去し、さらにDMFを加えて減圧することで脱水を行った。得られたDMF溶液に、4−ジメチルアミノピリジン3.1g(25.3mmol)を加えた。
この溶液を5℃に冷却し、60%DCCのDMF溶液69.6g(202mmol)、続いてアシクロビルの2/3水和物(結晶粉砕品、平均粒度30μm)60g(253mmol)を加えた。さらに、60%DCCのDMF溶液104.4g(304mmol)を20時間掛けて滴下し、2時間攪拌を継続した(アシクロビルの消費率は98%)。
この溶液に水4.6gを加え40℃で3時間攪拌し、25℃に冷却した後、析出しているジシクロヘキシルウレアを分離により除去した。
ジシクロヘキシルウレアを除去した濾過液を濃縮し、得られた残渣に60℃でアセトン189gを加え、1時間撹拌後、さらにアセトン279gを滴下した。10℃まで冷却後、結晶を分離し、2−[(2−アミノ−1,6−ジヒドロ−6−オキソ−9H−プリン−9−イル)メトキシ]エチル N−(1−アセチルプロペン−2−イル)−L−バリネートを粗結晶として63.7g得た。得られた粗結晶20gに水32.4g、アセトン68.8gを加え懸濁液とし、さらに35%塩酸4.9gを加え、50℃にて1時間撹拌した。ろ過により不溶物を除去した後、アセトン141gを加え、50℃にて撹拌した。40℃に冷却後、結晶を分離、乾燥することでバラシクロビル塩酸塩を14.5g得た。
得られたバラシクロビル塩酸塩は、HPLC純度が99.2%、D体比率が0.2%(ピーク面積比)、水分が0.5%であった。
L−バリン54.2g(463mmol)にアセチルアセトン50.1g(500mmol)及びトリエチルアミン56.2g(55mmol)を加え、60℃で17時間攪拌した。
その後、減圧下でアセチルアセトン及びトリエチルアミンを留去し、さらにDMFを加えて減圧することで脱水を行った。得られたDMF溶液383gのうちの119gを次の工程に使用した。該DMF溶液119gに4−ジメチルアミノピリジン0.98g(8.0mmol)及びDMF55mlを加えた。
この溶液を5℃に冷却し、60%DCCのDMF溶液22.1g(64.1mmol)、続いてアシクロビルの2/3水和物(未粉砕品、平均粒度170μm)22g(80.1mmol)を加えた。さらに、60%DCCのDMF溶液33.1g(96.1mmol)を20時間掛けて滴下し、2時間攪拌を継続した(アシクロビルの消費率は99%)。
この溶液に水1.4gを加え40℃で3時間攪拌し、25℃に冷却した後、析出しているジシクロヘキシルウレアを分離により除去した。
ジシクロヘキシルウレアを除去した濾過液を濃縮し、得られた残渣に60℃でアセトン65gを加え、1時間撹拌後、さらにアセトン96gを滴下した。10℃まで冷却後、結晶を分離し、2−[(2−アミノ−1,6−ジヒドロ−6−オキソ−9H−プリン−9−イル)メトキシ]エチル N−(1−アセチルプロペン−2−イル)−L−バリネートを粗結晶として20.9g得た。得られた粗結晶10gに水17.8g、アセトン36.7gを加え懸濁液とし、さらに35%塩酸2.6gを加え、50℃にて1時間撹拌した。ろ過により不溶物を除去した後、アセトン75.2gを加え、50℃にて撹拌した。40℃に冷却後、結晶を分離、乾燥することでバラシクロビル塩酸塩を7.9g得た。
得られたバラシクロビル塩酸塩は、HPLC純度が98.9%、D体比率が0.1%以下(ピーク面積比)、水分が2.2%であった。
L−バリン40.0g(342mmol)にアセチルアセトン42.8g(369mmol)及びトリエチルアミン41.5g(410mmol)を加え、50℃で72時間攪拌した。
その後、減圧下でアセチルアセトン及びトリエチルアミンを留去し、さらにDMFを加えて減圧することで脱水を行った。得られたDMF溶液368gのうちの123gを次の工程に使用した。該DMF溶液123gに4−ジメチルアミノピリジン0.77g(6.3mmol)、DMF8mlを加えた。
L−バリン40.0g(342mmol)にアセチルアセトン42.8g(369mmol)及びトリエチルアミン41.5g(410mmol)を加え、50℃で72時間攪拌した。
その後、減圧下でアセチルアセトン及びトリエチルアミンを留去し、さらにDMFを加えて減圧することで脱水を行った。得られたDMF溶液368gのうちの123gを次の工程に使用した。該DMF溶液に123gに4−ジメチルアミノピリジン0.77g(6.3mmol)、DMF8mlを加えた。
この溶液を5℃に冷却し、アシクロビルの無水物14.2g(63.2mmol)を加え、60%DCCのDMF溶液17.4g(50.6mmol)を加えた。さらに、60%DCCのDMF溶液17.4g(50.6mmol)を21時間掛けて滴下し、4.5時間攪拌を継続した(アシクロビルの消費率は95%)。
この溶液に水1.1gを加え45℃で16時間攪拌し、析出しているジシクロヘキシルウレアを分離により除去した。
ジシクロヘキシルウレアを除去した濾過液を濃縮し、得られた残渣に60℃でアセトン62gを加え、1時間撹拌後、さらにアセトン100gを滴下した。10℃まで冷却後、結晶を分離し、2−[(2−アミノ−1,6−ジヒドロ−6−オキソ−9H−プリン−9−イル)メトキシ]エチル N−(1−アセチルプロペン−2−イル)−L−バリネートを粗結晶として22.2g得た。得られた粗結晶に塩酸を作用させバラシクロビル塩酸塩を誘導し、HPLCにて分析したところ、D体比率が0.1%(ピーク面積比)であった。
L−バリン26.7g(228mmol)にアセト酢酸メチル28.6g(246mmol)及びトリエチルアミン27.6g(273mmol)を加え、60℃で24時間攪拌した。
その後、減圧下でアセト酢酸メチル及びトリエチルアミンを留去し、さらにDMFを加えて減圧することで脱水を行った。得られたDMF溶液に、4−ジメチルアミノピリジン1.1g(8.8mmol)を加えた。
この溶液を5℃に冷却し、アシクロビルの2/3水和物(結晶粉砕品、平均粒度30μm)21g(88.5mmol)、続いて60%DCCのDMF溶液24.4g(70.8mmol)を加えた。さらに、60%DCCのDMF溶液36.5g(106mmol)を21時間掛けて滴下し、20時間攪拌を継続した(アシクロビルの消費率は89%)。
この溶液に水1.6gを加え45℃で3時間攪拌、25℃に冷却した後、析出しているジシクロヘキシルウレアを分離により除去した。
ジシクロヘキシルウレアを除去した濾過液を濃縮し、得られた残渣に60℃でアセトン70gを加え、1時間撹拌後、さらにアセトン139gを滴下した。10℃まで冷却後、結晶を分離し、2−[(2−アミノ−1,6−ジヒドロ−6−オキソ−9H−プリン−9−イル)メトキシ]エチル N−(1−メトキシカルボニルプロペン−2−イル)−L−バリネートを粗結晶として27.2g得た。得られた粗結晶に塩酸を加え、バラシクロビル塩酸塩に誘導後、HPLCにて分析したところ、D体比率が0.1%(ピーク面積比)であった。
50℃に冷却後、溶媒を留去し、トルエンを用いた共沸脱水を行った。次に、DMFに溶媒置換を行った。得られたDMF溶液に、4−ジメチルアミノピリジン0.8g(6.3mmol)を加えた。
この溶液を5℃に冷却し、60%DCCのDMF溶液17.4g(51mmol)、続いてアシクロビルの2/3水和物(結晶粉砕品、平均粒度30μm)15g(63mmol)を加えた。さらに、60%DCCのDMF溶液26.1g(76mmol)を18時間掛けて滴下し、3時間攪拌を継続した。
滴下終了後及び3時間撹拌後のアシクロビルの消費量をHPLCにて確認したところ、アシクロビルは全く消費されていなかった。
さらに4−ジメチルアミノピリジン1.6g(13mmol)、60%DCCのDMF溶液35.5g(103mmol)を加え6℃に冷却後、アシクロビルの2/3水和物(結晶粉砕品、平均粒度30μm)31g(129mmol)を加えた。さらに60%DCCのDMF溶液を18時間掛けて滴下し、6時間撹拌を継続した(アシクロビルの消費率は99%)。水2.3gを加え40℃で4時間撹拌後、析出しているジシクロヘキシルウレアを分離により除去した。
得られたBoc−バラシクロビルを含むろ過液に塩酸を作用させ、Boc基を脱保護することでバラシクロビル塩酸塩に誘導し、高速液体クロマトグラフィーによりD体比率を算出したところ、11.3%(L体:D体=88.7:11.3)(ピーク面積比)であった。
ビルを効率的に得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
[0007]
すなわち、本発明は、以下の内容を包含する。
[1]式(2):
[0008]
[化1]
[0009]
で表されるアシクロビルと、
式(1):
[0010]
[化2]
[0011]
(式中、R1はアルキル基、アリール基又はアルコキシル基を示し、R2は水素原子又はアルキル基を示し、R3はアルキル基を示す。)
で表されるN−保護バリンの有機アミン塩を、又は該N−保護バリンのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩を中和し、縮合剤存在下に縮合反応させることを特徴とする、式(3):
[0012]
[化3]
[0013]
(式中、各記号は前記と同義を示す。)
で表されるN−保護バラシクロビルの製造方法。
[2]上記[1]記載の製造方法に従って、式(3)で表されるN−保護バラシクロビルを得た後、該N−保護バラシクロビルを酸で脱保護することを特徴とする、式(4):
[0014]
[化4]
[0015]
で表されるバラシクロビル又はその塩の製造方法。
[3]上記[1]記載の製造方法に従って、式(3)で表されるN−保護バラシクロビルを得た後、該N−保護バラシクロビルを塩酸で脱保護することを特徴とする、式(5):
[0016]
[化5]
[0017]
で表される塩酸バラシクロビルの製造方法。
[4]縮合剤が、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドである、上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の方法。
[5]中和が酸又は強酸と弱塩基の塩によって行われる、上記[1]乃至[4]記載のいずれか一に記載の方法。
[6]中和が、塩基存在下に行われる、上記[1]乃至[5]記載のいずれか一に記載の方法。
[7]式(2):
[0018]
[化6]
[0019]
で表されるアシクロビルと、
式(1):
[0020]
[化7]
[0021]
(式中、R1はアルキル基、アリール基又はアルコキシル基を示し、R2は水素原子又はアルキル基を示し、R3はアルキル基を示す。)
で表されるN−保護バリンの有機アミン塩とを、縮合剤存在下に縮合反応させることを特徴とする、式(3):
[0022]
[化8]
[0023]
(式中、各記号は前記と同義を示す。)
で表されるN−保護バラシクロビルの製造方法。
[8]上記[7]記載の製造方法に従って、式(3)で表されるN−保護バラシクロビルを得た後、該N−保護バラシクロビルを酸で脱保護することを特徴とする、式(4):
[0024]
[化9]
[0025]
で表されるバラシクロビル又はその塩の製造方法。
[9]上記[7]記載の製造方法に従って、式(3)で表されるN−保護バラシクロビルを得た後、該N−保護バラシクロビルを塩酸で脱保護することを特徴とする、式(5):
[0026]
[化10]
[0027]
で表される塩酸バラシクロビルの製造方法。
[10]縮合剤が、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドである、上記[7]乃至[9]のいずれか一に記載の方法。
[11]式(6):
[0028]
[化11]
[0029]
で表されるN−保護バラシクロビルを酸で脱保護することを特徴とする、式(4):
[0030]
[化12]
[0031]
で表されるバラシクロビル又はその塩の製造方法。
[12]式(6):
[0032]
[化13]
[0033]
で表されるN−保護バラシクロビルを塩酸で脱保護することを特徴とする、式(5):
[0034]
[化14]
[0035]
で表される塩酸バラシクロビルの製造方法。
[13]式(6):
[0036]
[化15]
[0037]
で表されるN−保護バラシクロビル。
(式中の各記号は、上記と同義を示す。)
[0068]
N−保護バリン(1)の塩の中和は、酸または強酸と弱塩基からなる塩を用いて行うことができる。中和操作は特に制限はなく、例えば、N−保護バリン(1)の塩に、酸または強酸と弱塩基からなる塩を加えて中和し、フリーのN−保護バリン(1)とした後に、アシクロビル(2)と縮合反応する方法、N−保護バリン(1)の塩とアシクロビル(2)が存在する系中に、酸または強酸と弱塩基からなる塩を添加し、中和と縮合反応を同時に行う方法等が挙げられる。
保護基の脱離を防ぐ観点から、中和は塩基存在下に行うのが好ましい。特に、後述の酸の添加や、強酸と弱塩基からなる塩の添加に先立って、有機塩基を加えてから中和を行うことが好ましい。この場合、前工程のN−保護バリン(1)の塩の製造において、本工程に必要な量の有機塩基をあらかじめ存在させておいてもよい。有機塩基としては、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基等が挙げられ、好ましくは、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンである。
中和に酸を用いる場合、当該酸の使用量は、N−保護バリン(1)の塩1当量に対して、好ましくは0.8〜1.2当量、より好ましくは0.9〜1.1当量である。有機塩基を加える場合、塩基の使用量は、N−保護バリン(1)の塩1当量に対して、好ましくは0.01〜1当量、より好ましくは0.02〜0.5当量である。溶媒の使用量は、N−保護バリン(1)の塩1モルに対して、好ましくは0.1〜20L、より好ましくは0.2〜10Lである。
[0069]
中和に使用される酸としては、例えば、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類;塩化水素、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、炭酸等の鉱酸類等が挙げられ、好ましくは、トリフルオロ酢酸、塩化水素、塩酸である。
ィーなどの精製手段で除去することは困難であるが、本発明においては、縮合工程においてD体の比率を低減化することが可能であるため、D体の比率が低減化されたN−保護バラシクロビル(3)を得ることができる。
[0079]
N−保護バラシクロビル(3)を酸で脱保護することにより、バラシクロビル(4)又はその塩を得ることができる。
[0080]
工程2
[0081]
[化18]
(式中の各記号は、上記と同義を示す。)
[0082]
酸の使用量は、N−保護バラシクロビル(3)1当量に対して、好ましくは1〜5当量、より好ましくは1〜2当量である。溶媒の使用量は、N−保護バラシクロビル(3)1モルに対して、好ましくは0.1〜20L、より好ましくは0.2〜10Lである。
[0083]
酸としては、例えば、塩化水素、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等の鉱酸類;酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類等が挙げられ、好ましくは、塩化水素、塩酸である。
溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;水;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族系炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類等、及びこれらの任意の混合溶媒が挙げられ、好ましくは、メタノール、エタノール、アセトン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、水である。
[0084]
反応温度は、通常、−10〜80℃、好ましくは0〜50℃である。反応時間は反応温度等によって異なるが、通常、0.1〜10時間、好ましくは0.2〜5時間である。
[0085]
バラシクロビル(4)は薬理上許容される塩の形態としてもよい。塩としては酸付加塩が挙げられ、このような塩を与える酸としては、例えば、塩酸、リン酸、マレイン酸、フ
た。さらに、60%DCCのDMF溶液33.1g(96.1mmol)を20時間掛けて滴下し、2時間攪拌を継続した(アシクロビルの消費率は99%)。
この溶液に水1.4gを加え40℃で3時間攪拌し、25℃に冷却した後、析出しているジシクロヘキシルウレアを分離により除去した。
ジシクロヘキシルウレアを除去した濾過液を濃縮し、得られた残渣に60℃でアセトン65gを加え、1時間撹拌後、さらにアセトン96gを滴下した。10℃まで冷却後、結晶を分離し、2−[(2−アミノ−1,6−ジヒドロ−6−オキソ−9H−プリン−9−イル)メトキシ]エチル N−(1−アセチルプロペン−2−イル)−L−バリネートを粗結晶として20.9g得た。得られた粗結晶10gに水17.8g、アセトン36.7gを加え懸濁液とし、さらに35%塩酸2.6gを加え、50℃にて1時間撹拌した。ろ過により不溶物を除去した後、アセトン75.2gを加え、50℃にて撹拌した。40℃に冷却後、結晶を分離、乾燥することでバラシクロビル塩酸塩を7.9g得た。
得られたバラシクロビル塩酸塩は、HPLC純度が98.9%、D体比率が0.1%以下(ピーク面積比)、水分が2.2%であった。
実施例7
[0109]
N−保護アミンのトリエチルアミン塩を用いたバラシクロビル塩酸塩の調製(4)
L−バリン40.0g(342mmol)にアセチルアセトン42.8g(369mmol)及びトリエチルアミン41.5g(410mmol)を加え、50℃で72時間攪拌した。
その後、減圧下でアセチルアセトン及びトリエチルアミンを留去し、さらにDMFを加えて減圧することで脱水を行った。得られたDMF溶液368gのうちの123gを次の工程に使用した。該DMF溶液123gに4−ジメチルアミノピリジン0.77g(6.3mmol)、DMF8mlを加えた。
Claims (15)
- 縮合剤が、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
- 中和が酸又は強酸と弱塩基の塩によって行われる、請求項1乃至4記載のいずれか一項に記載の方法。
- 中和が、塩基存在下に行われる、請求項1乃至5記載のいずれか一項に記載の方法。
- 縮合剤が、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドである、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項14の製造方法に従って、アミノ基が式(7)で表される保護基で保護されたアミノ酸エステル化合物を得た後、該保護基を酸で脱保護することを特徴とする、アミノ酸エステル化合物の製造方法。
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