JPWO2008123286A1 - 電気二重層キャパシタ - Google Patents

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Abstract

本発明は、細孔分布において細孔直径1.0〜1.5nmの範囲に細孔容積の最大値を示すピークAの値が0.012〜0.05cm3/gの範囲にあり、かつ全細孔容積値の2〜32%の大きさである活性炭を用いて形成された電極と、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルとスルホランまたはその誘導体を含む非水溶媒と第4級オニウム塩を含む電解質からなる有機電解液とを有し、前記有機電解液の溶媒のスルホランの含有量が全溶媒に対して20〜40質量%であることを特徴とする電気二重層キャパシタ、その電気二重層キャパシタを用いた携帯機器及びICタグを提供する。本発明の電気二重層キャパシタは3.3V耐電圧下での長期信頼性と−20℃以下の超低温領域においても性能維持率に優れ、Pbフリー半田リフロー性にも優れている。

Description

関連出願の相互参照
本明細書には2007年3月26日に提出した日本国出願(特願2007−078988)の明細書、図面及び要約書に開示する内容を全て組み込まれる。
本発明は電気二重層キャパシタに関する。さらに詳しくいえば、電気二重層キャパシタの耐電圧を高くし、耐久性と低温特性を向上させる技術に関するものである。
電気二重層キャパシタは、活性炭から作られた1対の正極及び負極と電解質界面とで形成される電気二重層を電気エネルギーとして利用するものである。小型コイン形の電気二重層キャパシタは、高エネルギー密度でかつ軽量であり、環境負荷が少ないという特徴がある。そのために携帯電話、デジタルカメラなどの携帯機器のメモリーバックアップ電源として、急速に需要が増加している。特に、欧州、北南米、アジア、アフリカ、中近東などに広く普及しているデジタルGSM方式の携帯電話のメモリーバックアップ用には、環境対応の点から電気二重層キャパシタが広く採用されている。
また、リチウム二次電池が使用されている高機能携帯電話についても、カーボンと金属容器だけで構成される環境に優しい電気二重層キャパシタに代替していくことが切望されている。
電気二重層キャパシタのエネルギー密度は、使用電圧の二乗に比例するため耐電圧の高い電解液を使用してエネルギー密度を高めることが効果的である。
従来、キャパシタ用電解液としては、電気伝導率や静電容量の変化率の向上などに鑑みて、各種様々な溶媒または混合溶媒が提案されている。キャパシタ用電解液としての実用上の適合性については、低温特性、塩の溶解性(誘電率)、安全性、電解液分解性、沸点、コスト等の様々な物理特性に対する要件があり、これらの特性を満たすキャパシタ用電解液として、鎖状炭酸エステル及び環状炭酸エステルが広く使用されている。
これまで電気二重層キャパシタ用電解液としては、プロピレンカーボネート(以下、PCと略記することがある。)を溶媒として使用し、テトラフルオロホウ酸トリエチルメチルアンモニウム(以下、TEMA・BFと略記することがある。)に代表される第4級アンモニウム塩電解液(TEMA・BF・PC)が一般的に用いられてきた。
しかし、PCを溶媒に使用する電解液では、2.7V以上の電圧を印加した場合に、PCが還元反応で電気化学的に分解するため、使用電圧を上げてエネルギー密度を高めるには限界があった。
そこでPCなどの環状カーボーネートと凝固点温度が低く、かつ低粘性を有する溶媒である非対称鎖状カーボネ―トとの混合溶媒を用いた電気二重層キャパシタが提案されている。しかし、大電流で放電する用途での低温特性改善の効果は確認されているが、3V以上の耐電圧を印加すると、PCの分解により容量保持率が低下する問題があった(特許3791171号公報;特許文献1(US 5969936)参照)。
また、スルホラン(以下、SLと略記することがある。)、3−メチルスルホラン(以下、3MSLと略記することがある。)またはその誘導体は、耐酸化性に優れ、高い分解電圧を有する溶媒であるが、凝固点が高いことに起因し、2.7V以上の電圧以上での電気化学的安定性に優れ、該溶媒を使用した電解液は耐電圧3.3Vのコイン型電気二重層キャパシタ用に使用されている。しかし低温特性に関しては、低温領域における電気導電性の低下により充放電させると内部抵抗の増大により出力電圧の低下、スルホラン(SL)溶媒粘度が10.5mPa.s(30℃)、3−メチルスルホラン(3MSL)溶媒粘度が11.7mPa.s(30℃)であるため、低温下での粘度上昇による容量保持率が低下するなどの欠点があった(特開平7−74061号公報;特許文献2参照)
そこで、スルホランの欠点である低温特性を改善するため、スルホラン(SL)、3−メチルスルホラン(3MSL)またはその誘導体に、凝固点が低くて低温になっても粘度の上昇が少なく、電気化学的に安定な溶媒である非対称鎖状炭酸エステルを混合した溶媒を用いることが提案されている。しかし、3.3Vの高い使用電圧を可能としているものの低温領域における使用温度は0℃に止まり、欧州、北米、アジアなど寒冷地を含む地域に広く普及している携帯電話用メモリーバックアップ用途に要求されている低温特性(−20℃以下での駆動)には不十分である(特開平8―306591号公報;特許文献3(US 5754393)参照)。
なお、電解液の溶媒としてスルホラン(SL)とプロピレンカーボネート(PC)など環状炭酸エステルとの混合溶媒を用いた電気二重層キャパシタも提案されているが、3V以上の耐電圧を印加すると、PCの分解により容量保持率が低下する問題があった(特公平3−51284号公報;特許文献4参照)。
以上のことから、耐電圧が高く低温特性に優れ、すなわち3.3V耐電圧下での信頼性を確保し−20℃以下の超低温領域においても性能維持率に優れ、Pbフリー半田リフロー性も具備した超小型コイン型電気二重層キャパシタが切望されていた。
特許3791171号公報 特開平7−74061号公報 特開平8―306591号公報 特公平3−51284号公報
本発明の課題は、3.3V耐電圧下での長期信頼性と−20℃以下の超低温領域においても性能維持率に優れ、Pbフリー半田リフロー性にも優れた電気二重層キャパシタを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、下記構成の電気二重層キャパシタ、その電気二重層キャパシタを用いた携帯機器及びICタグを提供するものである。
1.細孔分布において細孔直径1.0〜1.5nmの範囲に細孔容積の最大値を示すピークAの値が0.012〜0.05cm/gの範囲にあり、かつ全細孔容積値の2〜32%の大きさである活性炭を用いて形成された電極と、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルとスルホランまたはその誘導体を含む非水溶媒と第4級オニウム塩を含む電解質からなる有機電解液とを有し、前記有機電解液の溶媒のスルホランまたはその誘導体の含有量が全溶媒に対して20〜40質量%であることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
2.前記有機電解液の溶媒が、スルホランまたはその誘導体を20〜40質量%、環状炭酸エステルを30〜60質量%、非対称鎖状炭酸エステルを5〜20質量%含むものである前記1に記載の電気二重層キャパシタ。
3.鎖状炭酸エステルが、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルイソプロピルカーボネート、2,2,2‐トリフルオロエチルメチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記1または2に記載の電気二重層キャパシタ。
4.環状炭酸エステルが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記1または2に記載の電気二重層キャパシタ。
5.前記電解質が、RまたはR(式中、R,R,R,Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、アリル基を表すか、R〜Rの任意の2個が結合してアルキレン基を表す。)で示される第4級オニウムカチオンとアニオンとからなる第4級アンモニウム塩または第4級ホスホニウム塩である前記1に記載の電気二重層キャパシタ。
6.前記アニオンが、BF 、PF 、またはClO である前記5に記載の電気二重層キャパシタ。
7.前記電解質が、6フッ化リン酸リチウム(LiPF)、4フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、6フッ化砒素リチウム(LiAsF)及びトリフロオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、及びエチルメチルイミダゾール(EMI)塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の塩である前記1に記載の電気二重層キャパシタ。
8.前記電解質が、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジメチルピロリジニウム、ジエチルピロリジニウム、エチルメチルピロリジニウム、スピロ−(1,1)−ピロリジニウム、N−メチル−N−スピロピロリジニウム、ジエチルピペリジニウム、及びスピロ−(1,1)−ピペリジニウムから選択される第4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の塩である前記5〜6のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ。
9.前記電解質が、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンニウム、トリエチルメチルアンモニウム、またはテトラエチルアンモニムからなる第4級アンモニウム塩である前記8に記載の電気二重層キャパシタ。
10.電極活物質を有するシートに集電材の金属板を積層し、セパレータを介し金属製の上蓋及び下蓋を押し重ね、これを電解液に浸してなるコイン型電気二重層キャパシタであって、下蓋缶容器外形寸法の直径に対する電極活物質層の直径の比率が0.53以上である前記1〜9のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ。
11.前記電極活物質層の厚みが0.3mm以上、電極密度が0.55g/cm以上0.80g/cm以下である前記10に記載の電気二重層キャパシタ。
12.前記1〜11のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタを使用した携帯機器。
13.前記1〜11のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタを使用したICタグ。
本発明によれば、細孔直径1.0〜1.5nmの範囲に細孔容積の最大値を示す細孔分布を有する易黒鉛化性アルカリ賦活活性炭を用いて形成された電極を使用し、かつ有機電解液に、環状炭酸エステル及び非対称鎖状炭酸エステルとスルホラン(SL)またはその誘導体を含む非水溶媒と第4級オニウム塩を含む電解質を使用することにより、耐電圧3.3Vでの溶媒分解を低減することが可能であり、−40℃超低温度での充放電時においても性能維持率に優れた電気二重層キャパシタが得られる。
さらに、低沸点溶媒である非対称鎖状炭酸エステルの含有量を、有機電解液の溶媒中5〜20質量%とした構成にすることにより、260℃Pbフリー半田リフロー性を確保しつつ、高耐電圧、低温特性の向上させることもできる。
本発明の電気二重層キャパシタにより耐電圧向上の効果が得られる理由は、次のように考えられる。すなわち、易黒鉛化性の炭素材を用いたアルカリ賦活活性炭では、水蒸気賦活活性炭に比ベ、BF の加水分解により多量の水素イオンが生成しやすく、これによりプロピレンカーボネート(PC)などの環状炭酸エステルが分解しやすくなっている。アルカリ賦活活性炭は、炭素表面残留水分と充電時に引き寄せられたBF が炭素表面を反応場として反応し、HF等の強酸を生成する。これにより、活性炭内が酸性化し、PCなどの環状炭酸エステルの酸化分解が顕著になると考えられる。
電解液の溶媒として環状炭酸エステルに鎖状炭酸エステルを添加することにより、電解液の分解が抑制される効果が得られる理由は、炭素表面に優先的に吸着し、HO+BF の反応場を制限するか、または、HO+BF が反応してHFの生成下においても、環状炭酸エステルよりも鎖状炭酸エステルの反応が優先され環状炭酸エステルの分解が抑えられることによるものと考えられる。
さらに、もともと耐電圧性の高い溶媒であるスルホラン(SL)またはその誘導体との3成分混合溶媒とすることにより、耐電圧3.3Vでの安定した信頼性の確保までが可能となったものと考えられる。
低温特性については、SLの欠点である低温特性を改善するため、凝固点が低くて低温になっても粘度の上昇が少なく電気化学的に安定な溶媒である鎖状炭酸エステルとPCなど環状炭酸エステルを混合した溶媒を用いることにより、ある程度の改善効果が得られることは自明である。しかるに本発明のアルカリ賦活活性炭、特に細孔直径1.0〜1.5nmの範囲に細孔容積の最大値を示す細孔分布を有する易黒鉛化性アルカリ賦活活性炭を使用することにより、−40℃超低温度での充放電時においても電解液の溶媒粘度上昇した状態においてもスムースに活性炭細孔内に電解質の電荷移動が可能であるので、低温の性能維持率に優れた電気二重層キャパシタが得られる。
以下、本発明を詳細に説明に説明する。
本発明の好ましい実施形態における電気二重層キャパシタは、細孔直径1.0〜1.5nmの範囲に細孔容積の最大値を示す細孔分布を有する易黒鉛化性アルカリ賦活活性炭を用いて形成された電極と、環状炭酸エステル及び非対称鎖状炭酸エステルとスルホランまたはその誘導体を含む非水溶媒と第4級オニウム塩を含む電解質を使用した有機電解液とを有している。以下、これら構成要素について詳細に説明する。
1.活性炭電極
本発明の好ましい実施態様における活性炭電極層は、平均粒径が2μm以上15μm以下の範囲にある活性炭と、バインダーとしてのフッ素含有高分子化合物と、導電助剤(カーボンブラックなど)とを含有する。
ここで、前記活性炭電極層は、厚さが0.3mm以上、電極密度が0.55g/cm以上0.8g/cm以下であることが好ましい。電極密度がこの範囲内にあると、電極と電解液との接触面積が広くなり、電解液の浸透性及び電解液の含浸性が良好となる。
前記活性炭電極層は、インピーダンス(周波数1KHzにおける)が20Ω以下であることが好ましい。インピータンスが低くなることによって、大電流での充電・放電ができ、大電流での充電容量・放電容量が大きくなる。
本発明の好ましい実施態様における活性炭は、細孔直径1〜1.5nmの範囲に細孔容積の最大値を示すピークAがあり、そのピークAの値が0.012〜0.05cm/gの範囲にありかつ全細孔容積値の2〜32%の大きさである。
前記活性炭の細孔分布は、窒素吸着等温線に基づいてBJH(Barrett−joyner−Halenda)法によって算出される。具体的には、活性炭を77.4K(窒素の沸点)に冷却した状態で窒素ガスを導入し容量法により窒素ガスの吸着量V〔cc/g〕を測定する。吸着平衡状態にあるときの窒素ガスの圧力(吸着平衡圧)P〔mmHg〕と窒素ガスの飽和蒸気圧P〔mmHg〕との比(相対圧力:P/P)を横軸に、吸着量を縦軸にとってプロットすることにより、窒素吸着等温線を得る。この窒素吸着等温線に基づいて、BJH法で細孔分布解析を行う。BJH法自体は公知の方法であり、例えば、J.Amer.Chem.Soc.,73,373(1951)に開示された方法に従って行うことができる。
本発明の好ましい実施態様における活性炭は、細孔容積の最大値を示すピークAが細孔直径1〜1.5nmの範囲に、好ましくは1.2〜1.4nmの範囲にある。ピークAの値は、0.012〜0.05cm/gの範囲に、好ましくは0.02〜0.05cm/gの範囲にある。この細孔直径の範囲にピークAがあると、電極層を厚くしても内部抵抗が高くなりにくい。また、本発明に用いる活性炭は、細孔直径1.5〜1.7nmの範囲に細孔容積のピークBがあること、細孔直径1.7〜2nmの範囲に細孔容積のピークCがあること、及び/または細孔直径2〜2.5nmの範囲に細孔容積のピークDがあることが好ましい。
本発明の好ましい実施態様における活性炭は、細孔直径1〜1.5nmの範囲にある細孔容積のピークAの値が全細孔容積値の2〜32%の大きさ、好ましくは20〜31%の大きさであることが好ましい。ピークAの値がこの範囲になることによって、電極層を厚くしても内部抵抗が高くなりにくい。
本発明の好ましい実施態様における活性炭は、BET比表面積が、好ましくは700〜2200m/g、特に好ましくは1000〜2100m/gである。BET比表面積が大きすぎると、電気二重層キャパシタの電極シートの電極密度が下がるため、キャパシタとして所望されている体積あたりの電気容量が低下する傾向になる。一方BET比表面積が小さすぎると、活性炭質量当たりの電気容量が低くなる傾向になる。
本発明の好ましい実施態様における活性炭の製造方法には、
(A)金属元素濃度で7000ppm以上の周期律表第4周期第2族〜11族のいずれかの元素または第5周期4族元素を含む化合物の存在下に、低軟化点ピッチを炭化処理して真密度1.44〜1.52g/cmの易黒鉛化性炭素化物を得、アルカリ金属化合物の存在下に、前記易黒鉛化性炭素化物を賦活処理し、次いで、この賦活された炭素化物を洗浄することを含むもの、及び
(B)低軟化点ピッチを炭化処理して真密度1.44〜1.52g/cmの易黒鉛化性炭素化物を得、該炭素化物に金属元素濃度で7000ppm以上の周期律表第4周期第2族〜11族のいずれかの元素または第5周期4族元素を含む化合物の存在下で混合して混合物を得、アルカリ金属化合物の存在下に、前記混合物を賦活処理し、次いで、この賦活された混合物を洗浄することを含むものがある。
本発明の好ましい実施態様における活性炭の製造方法に用いられるピッチは、低軟化点ピッチである。ピッチには、石油系ピッチ、石炭系ピッチなどがある。これらのうち、石炭系ピッチ、特に石炭系ピッチの有機溶媒可溶分が好ましく用いられる。本発明に用いられる低軟化点ピッチは特に限定されないが、軟化点が好ましくは100℃以下、さらに好ましくは60〜90℃のものである。
本発明の好ましい実施態様における活性炭の製造方法に用いられるアルカリ土類金属化合物は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素が含まれている単体または化合物であれば特に限定されず、無機化合物及び有機化合物のいずれも使用することができる。
アルカリ土類金属の無機化合物としては、酸化物、水酸化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、りん酸塩、炭酸塩、硫化物、硫酸塩及び硝酸塩を例示することができる。
アルカリ土類金属の有機化合物としては、アセチルアセトンやシクロペンタジエン等との有機金属錯体が挙げられる。
本発明において好ましく用いられるアルカリ土類金属化合物は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素の酸化物、炭酸塩または硫化物である。より具体的には、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫化カルシウム、フッ化ストロンチウム、または燐酸マグネシウムである。
アルカリ土類金属化合物は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。 原料にアルカリ土類金属化合物を添加した後、熱処理する方法としては、特に限定されず、ガス賦活(水蒸気、COなど)、薬品賦活(塩化亜鉛、燐酸、炭酸カルシウムなど)、アルカリ金属賦活(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)などの公知の方法が採用可能であるが、高容量化の観点からアルカリ金属賦活方法を採用することが好ましい。
本発明の好ましい実施態様においては、活性炭電極層に気相法炭素繊維を配合することにより一層の特性向上が可能である。
気相法炭素繊維を活性炭に配合する方法は特に制限されないが、気相法炭素繊維を混合賦活する方法によって気相法炭素繊維と活性炭とからなる炭素複合粉とすることが好ましい。この方法によって粒子同士の接触抵抗が低減されるとともに導電性及び電極強度が向上し、電圧印加時の電極膨張率が低減される効果も発現される。また、気相法炭素繊維を活性炭と混合する方法によって炭素複合粉とすることもできる。炭素複合粉にすることによって活性炭単独の場合に比べて熱伝導率が向上する。
活性炭に配合する気相法炭素繊維は、特に限定されないが、例えば内部に中空構造を有し、その比表面積が10〜50m/g、平均繊維径が50〜500nm、アスペクト比が5〜1000のものが採用可能である。気相法炭素繊維は、分岐状繊維、直鎖状またはそれらの混合物のいずれもが使用可能である。
気相法炭素繊維は、繊維長さが活性炭の平均粒子径の0.5〜2倍の範囲が好ましい。気相法炭素繊維の長さが0.5倍よりも短いと粒子同士の橋渡しができず導電性が不十分となるおそれがあり、長さが2倍を超えると活性炭粒子の隙間に気相法炭素繊維が入れず分極性電極の強度が低下するおそれがある。
気相法炭素繊維は同芯円状の配向構造を持っているため、ガス賦活(水蒸気、COなど)、薬品賦活(塩化亜鉛、燐酸、炭酸カルシウムなど)、アルカリ賦活(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)などにより、予め賦活されたものを使用することも可能である。この場合にはミクロ孔(2nm以下の細孔)容積が0.01〜0.4cm/g、BET比表面積が10〜500m/gになるように表面構造を制御したものが好ましい。ミクロ孔容積が多すぎると、電極内部でのイオン拡散抵抗が増大する傾向がある。
気相法炭素繊維の量は、活性炭に対して、好ましくは0.02〜20質量%、より好ましくは0.1〜20質量%、とくに好ましくは0.5〜10質量%である。0.02質量%未満だと、易黒鉛化性炭素化物と混合した複合粉の熱伝導率を増加させる効果が少なく、賦活時の均熱性が不十分になるために、均一な賦活が困難となり、体積あたりの静電容量(F/cm)が大きく品質安定性に優れた活性炭を工業的に製造できないおそれがある。20質量%を超えると電極密度が低くなり、体積あたりの電気容量(F/cm)が低下してしまうおそれがある。
気相法炭素繊維の良導電性、熱伝導を生かした放熱性の改善に加え、塊状の活性炭粒子に繊維状のものが混在することによる電極膨張クッション材としての役割が増強されるため、電圧印加持の電極膨張率が増加するのを抑えるのにも効果的である。
活性炭電極層に用いるカーボンブラックとしては電気化学素子の電極に用いられる導電助剤として知られる炭素材料を用いることができる。例えば、アセチレンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラックなどが挙げられる。カーボンブラックの量は、電極層100質量部に対して通常0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
活性炭電極層(電極活物質層)は、例えば、活性炭に導電助剤及び結合剤を加えて混練圧延する方法、活性炭に導電助剤、結合剤、必要に応じて溶媒を加えてスラリー状にして集電体に塗布する方法、活性炭に未炭化樹脂類を混合して焼結する方法等の方法で製造できる。
有機溶剤としては、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルメチルケトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類が採用可能であるが、沸点が200℃より高い有機溶媒を用いると、シート形成後100〜200℃で乾燥したときに有機溶媒がシート中に残存する傾向があるため、沸点200℃以下の有機溶剤を用いることが好ましく、エタノール、トルエンなどが好適である。
このシートを所定の形状に打ち抜き電極層とする。この電極層に集電材である金属板を積層し、セパレータを介し、金属板を外側にして2枚(上蓋及び下蓋として押して重ね、電解液に浸して電気二重層キャパシタとすることができる。このとき下蓋缶容器外形寸法の直径に対する電極活物質層の直径の比率を0.53以上とすることが好ましい。
2.有機電解液
本発明の好ましい実施態様における電気二重層キャパシタに用いる有機電解液は、電極として黒鉛質材のアルカリ賦活活性炭を用いる電気二重層キャパシタに使用される電解液であって、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルとスルホランまたはその誘導体を含む非水溶媒と第4級オニウム塩を含む電解質からなる有機電解液であることを特徴としている。また、本発明においては、溶媒がスルホランまたはその誘導体を20〜40質量%、環状炭酸エステルを30〜60質量%、非対称鎖状炭酸エステルを5〜20質量%含むものであることが好ましい。
(1)電解質
本発明における電解質(「支持塩」ともいうことがある。)としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に制限はない。具体的には、本発明における支持塩のカチオン成分としては、第4級アンモニウムイオン、第4級ホスホニウムイオン、第4級イミダゾリウムイオン、アルカリ金属イオンなどを挙げることができ、特に、支持塩としては第4級アンモニウム塩を含有するものが好ましい。
支持塩としては、公知の電解質を用いることができる。例えば、RまたはR(式中、R,R,R,Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、アリル基を表すか、R〜Rの任意の2個が結合してアルキレン基を表す。)で表される第4級オニウムカチオンと、BF 、PF 、ClO 等のアニオンとからなる第4級アンモニウム塩または第4級ホスホニウム塩;6フッ化リン酸リチウム(LiPF);4フッ化ホウ酸リチウム(LiBF);6フッ化砒素リチウム(LiAsF)及びトリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)からなる群から選ばれる少なくとも1種の塩が好ましく用いられる。
電解質の具体例としては、(CPBF、(CPBF、(CH)(CNBF、(CNBF、(CPPF、(CPCFSO、(CNPF、過塩素酸リチウム(LiClO)、6フッ化リン酸リチウム(LiPF)、6フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、4フッ化ホウ素リチウム(LiBF)、6フッ化砒素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CFSO]、チオシアン塩、アルミニウムフッ化塩、エチルメチルイミダゾール(EMI)などの1種以上の塩を用いることができる。
第4級アンモニウムの好適な例としては、以下のものが挙げられる。
(i)テトラアルキルアンモニウム、例えばテトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチル−n−プロピルアンモニウム、トリメチルイソプロピルアンモニウム、トリメチル−n−ブチルアンモニウム、トリメチルイソブチルアンモニウム、トリメチル−t−ブチルアンモニウム、トリメチル−n−ヘキシルアンモニウム、ジメチルジ−n−プロピルアンモニウム、ジメチルジイソプロピルアンモニウム、ジメチル−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、メチルトリ−n−プロピルアンモニウム、メチルトリイソプロピルアンモニウム、メチルジ−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、メチル−n−プロピルジイソプロピルアンモニウム、トリエチル−n−プロピルアンモニウム、トリエチルイソプロピルアンモニウム、トリエチル−n−ブチルアンモニウム、トリエチルイソブチルアンモニウム、トリエチル−t−ブチルアンモニウム、ジメチルジ−n−ブチルアンモニウム、ジメチルジイソブチルアンモニウム、ジメチルジ−t−ブチルアンモニウム、ジメチル−n−ブチルエチルアンモニウム、ジメチルイソブチルエチルアンモニウム、ジメチル−t−ブチルエチルアンモニウム、ジメチル−n−ブチルイソブチルアンモニウム、ジメチル−n−ブチル−t−ブチルアンモニウム、ジメチルイソブチル−t−ブチルアンモニウム、ジエチルジ−n−プロピルアンモニウム、ジエチルジイソプロピルアンモニウム、ジエチル−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、エチルトリ−n−プロピルアンモニウム、エチルトリイソプロピルアンモニウム、エチルジ−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、エチル−n−プロピルジイソプロピルアンモニウム、ジエチルメチル−n−プロピルアンモニウム、エチルジメチル−n−プロピルアンモニウム、エチルメチルジ−n−プロピルアンモニウム、ジエチルメチルイソプロピルアンモニウム、エチルジメチルイソプロピルアンモニウム、エチルメチルジイソプロピルアンモニウム、エチルメチル−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、テトラ−n−プロピルアンモニウム、テトライソプロピルアンモニウム、n−プロピルトリイソプロピルアンモニウム、ジ−n−プロピルジイソプロピルアンモニウム、トリ−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、トリメチルペンチルアンモニウム、トリメチルヘキシルアンモニウム、トリメチルヘプチルアンモニウム、トリメチルオクチルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、トリメチルノニルアンモニウム、トリメチルデシルアンモニウム、トリメチルウンデシルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、ジエチルメトキシエチルメチルアンモニウム等が挙げられる。
これらの中でも、互いに異なる2種類以上のアルキル基を有する第4級アンモニウムが好ましく、トリエチルメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウムが特に好ましい。
(ii)環状アンモニウム、例えば、ジメチルピロリジニウム、ジエチルピロリジニウム、エチルメチルピロリジニウム、スピロ−(1,1)−ピロリジニウム、N−メチル−N−スピロピロリジニウム、ジエチルピペリジニウム、スピロ−(1,1)−ピペリジニウム等が挙げられる。
本発明で用いる支持塩は高純度である必要があるため、必要により再結晶や溶媒抽出等により所望の純度にまで精製して使用される。また、本発明の有機電解液における支持塩の濃度は、電気二重層の形成に必要なイオン量を確保し、十分な電気伝導性が得られる範囲であることから、0.8〜2.0mol/Lが好ましい。塩濃度の下限は、好ましくは0.8mol/L、さらに好ましくは1.0mol/Lである。塩濃度の上限は2.0mol/L、好ましくは1.5mol/L、さらに好ましくは1.2mol/Lである。
(2)溶媒
本発明で使用する有機電解液は、溶媒として鎖状炭酸エステル及び環状炭酸エステルとスルホランまたはその誘導体を含有するものであり、具体的には以下に示すようなものを用いることができる。
環状炭酸エステルの好適な例としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、2,3−ジメチルエチレンカーボネート等が挙げられる。
また、鎖状炭酸エステルの好適な例としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルブチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、エチルイソプロピルカーボネート、ブチルプロピルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート等が挙げられる。
スルホランまたはその誘導体の好適な例としては、3−メチルスルホラン、2,4ジメチルスルホラン等の置換誘導体が挙げられる。
本発明における溶媒の好適な割合は、スルホランまたはその誘導体が20〜40質量%、環状炭酸エステルが30〜60質量%、鎖状炭酸エステルが5〜20質量%である。スルホランまたはその誘導体の含有量は、全溶媒に対して好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。スルホランまたはその誘導体の含有量が40質量%を超えると、低温特性の低下等の問題が生じる。一方、環状炭酸エステルの含有量は、全溶媒に対して好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。環状炭酸エステルの含有量が60質量%を超えると、耐電圧特性の低下などの問題が生じる。
鎖状炭酸エステルの含有量の下限には制限がないが、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以下である。鎖状炭酸エステルの含有量が5質量%未満であると、環状炭酸エステルの耐電圧の分解抑制効果が不十分となる。また、電解液は、実用上分離せずに混合、分散している状態が好ましい。
(4)添加剤
本発明で用いる有機電解液は添加剤を含有してもよい。本発明の電気二重層キャパシタの効果から考えて、添加剤はそれ自身に耐電圧性が必要で、さらに分解するに際しガス等を発生することなく、さらに特性としてキャパシタ特性に影響しないものが選択される。また、本発明の電気二重キャパシタにおいては、添加剤は2種類以上を混合したものであってもよい。さらに、本発明においては、炭素の表面に吸着する、フルオロベンゼン、シクロヘキサン等の添加剤を混合することにより、さらなる相乗効果が得られる。これらの添加剤は、本発明において安定な生成物を作り、鎖状炭酸エステル及び/または環状炭酸エステルの継続的な還元分解反応の進行を妨げるとともに、炭素表面上に優先的に吸着し、主溶媒である鎖状炭酸エステル及び環状炭酸エステル、スルホラン等の反応を妨げることにより耐電圧性の分解を低減する効果を与えることができる。
電解液中の添加剤の含有量は、添加物の性状や特性により決定されるが、実用的には10〜30質量%含まれることが電解液として良好である。含有量が10質量%以上であれば、明らかな効果が認められる。一方、含有量が30質量%を超えると、混合後の電解液の蒸気圧が大きくなり、キャパシタセル内部の圧力を増大させる懸念があり、また、炭酸エステルを主体とする電解液では、分離して、均一な電解液が作製できなくなる。さらには、低温においては、添加剤含有量が多くなると電解液中の塩の溶解度が低下するので、塩の析出、分離等の可能性があり、イオン伝導率の低下を生じる。なお、電解液は実用上分離せずに混合、分散している状態が好ましいが、必ずしも混合分散していなくとも耐電性の分解の効果は得られる。
また、これらの添加剤は、電解液に混合しなくとも、電極活性炭に気体状の有機物を吸着させて素子を作製してから電解液を含浸させる等の方法を用いても有効に利用できる。
これら非水溶媒中に存在する主な不純物としては、水分と、有機過酸化物(例えば、グリコール類、アルコール類、カルボン酸類の過酸化物)などが挙げられる。前記不純物は、電極の表面に絶縁性の被膜を形成し、電極の界面抵抗を増大させるものと考えられる。したがって、サイクル寿命や容量の低下に影響を与える恐れがある。また高温(60℃以上)貯蔵時の自己放電も増大する恐れがある。このようなことから、非水溶媒を含む電解液において、不純物はできるだけ低減させることが好ましい。具体的には、水分は50ppm以下、有機過酸化物は1000ppm以下であることが好ましい。
3.電気ニ重層キャパシタ・組立て雰囲気・用途など
本発明の好ましい実施態様における電気二重層キャパシタは、除湿雰囲気または不活性ガス雰囲気で組み立てることが望ましい。また、組み立てる部品も事前に乾燥しておくことが好ましい。ペレットやシート及びその他の部品の乾燥または脱水方法としては、一般に採用されている方法を利用することができる。特に、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び低湿風を単独あるいは組み合わせて用いることが好ましい。温度は80〜350℃の範囲が好ましく、特に100〜250℃の範囲が好ましい。含水量は、セル全体で2000ppm以下が好ましく、分極性電極や電解質ではそれぞれ50ppm以下にすることが充放電サイクル性向上の点で好ましい。
本発明の好ましい実施態様における電気二重層キャパシタは、各種電源システムに適用することができる。該電源システムは、自動車、鉄道などの車両用電源システム;船舶用電源システム;航空機用電源システム;携帯電話、携帯情報端末、携帯電子計算機などの携帯電子機器用電源システム;事務機器用電源システム;太陽電池発電システム、風力発電システムなどの発電システム用電源システム;などに適用することができる。
以下、実施例及び比較例によって、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
1.電気ニ重層キャパシタセルの作製
実施例1:3.8mmφ×1.1mmコイン形セルの作製
平均粒径4μmの活性炭(BET比表面積1890m/g、細孔分布において細孔直径1〜1.5nmの範囲に細孔容積の最大値を示すピークAの値が0.033cm/gの範囲にあり,かつ全細孔容積値の32%の大きさ。BJH法により測定した細孔容積分布を図1に示す。)85質量部にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)7質量部、カーボンブラック8質量部を添加し、加圧ニーダー(ニシヤマ(株)製)0.6MPaで混練し、ロール圧延成形機((株)大東製作所製)2ton/cmで加圧成形し厚さ350μm±10μmのシート状に圧延した。この時の電極密度は0.68g/cmであった。このシートを直径2.1mmφの円板にポンチで打抜き、200℃で15時間夜真空乾燥して分極性電極(活性炭電極層)とした。高純度アルゴンを循環させているグローブボックス内において、前記電極シートをアルミニウム製の上蓋、下蓋に導電性接着剤(バニーライトU.C.C:ゴム系バインダー)を用いて、100℃、20分乾燥させ接着した。上蓋、下蓋内の電極シートに上蓋、下蓋内の電極シートに1μlの電解液を注入した後、1分間減圧下に保持し電解液を含浸させた。
電解液にはPC/SL/EMC(プロピレンカーボネート/スルホラン/エチルメチルカーボネート)=50/35/15質量%の溶媒中に、電解質としてトリエチルメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート(TEMA)を1.5モル/リットル濃度で溶解した富山薬品工業(株)製の電解液を使用した。
なお、コインセル製作に使用したガスケットとしてビクトレックス(株)製450G(ポリエーテルエーテルケトン)を射出成形したもの、シール剤としてスリーボンド(株)製TB1171、セパレータとして日本板硝子(株)製TGP−010A(ガラス繊維)を電極上に載せた後、上蓋缶を載せてかしめて封口した。リフロー試験は、リフロー炉の温度プロファイルをプレヒート(150〜190℃)約3分、本加熱(195℃以上)約3分、ピーク温度(260℃)5〜10秒として、リフロー熱履歴2回を実施した。
充放電測定は北斗電工(株)製充放電試験装置HJ−101SM6を使用し、5mAで0〜3.3Vで充放電を行い、2回目の定電流放電によって得られた放電曲線から、電気二重層キャパシタの両極活性炭の質量あたりの静電容量(F/g)と体積あたりの静電容量(F/cm)を算出した。
実施例2:
実施例1の電気二重層キャパシタの作製工程において、電解液の溶媒をPC/SL/EMC(プロピレンカーボネート/スルホラン/エチルメチルカーボネート)=60/32/8質量%とした以外は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製した。
比較例1:
実施例1の電気二重層キャパシタの作製工程において、平均粒径7μmの活性炭(BET比表面積1790m/g、細孔分布において細孔直径1〜1.5nmの範囲に細孔容積の最大値を示すピークAが存在しない。BJH法により測定した細孔容積分布を図1に示す。)を使用した以外は実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製した。
実施例3:
実施例1の電気二重層キャパシタの作製工程において、PC/SL/EMC混合溶媒中に、最終濃度が1.5mol/Lとなるように、N−メチル−N−スピロピロリジニウム・テトラフルオロボレート(SBP)を溶解した有機電解液を用いた以外は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製した。
比較例2:
比較例1において、電解液としてSL/EMC=70/30質量%の混合溶媒を用いた他は同様にして電気二重層キャパシタを作製した。
比較例3:
比較例1において、電解液としてPC/EMC=80/20質量%の混合溶媒を用いた他は同様にして電気二重層キャパシタを作製した。
比較例4:
比較例1において、電解液としてPCのみを溶媒に用いたほかは同様にして電気二重層キャパシタを作製した。
2.評価
(1)性能変化
上記のようにして作製した実施例1〜3及び比較例1〜4の電気二重層キャパシタに対して、3.3Vの電圧を60℃にて10日間印加してエージングを行った後、10mAの定電流放電を行い、25℃にて特性(静電容量)を測定した。その時の初期容量に対する容量保持率を性能維持率とした。容量保持率が85%以上を◎、80〜85%を○、80%未満を×として評価した。
また、−40℃の冷凍恒温槽中にて0〜3.3Vの充放電を行い2回目の定電流放電によって得られた放電曲線から特性(静電容量)を測定した。その時の初期容量に対する容量保持率を性能維持率とした。容量保持率が85%以上を◎、80〜85%を○、70〜80%を△、70%未満を×として評価した。これらの結果を表1に示した。
Figure 2008123286
実施例1及び比較例1の活性炭の細孔容積分布を示す図である(太線;実施例1,細線;比較例1)。

Claims (13)

  1. 細孔分布において細孔直径1.0〜1.5nmの範囲に細孔容積の最大値を示すピークAの値が0.012〜0.05cm/gの範囲にあり、かつ全細孔容積値の2〜32%の大きさである活性炭を用いて形成された電極と、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルとスルホランまたはその誘導体を含む非水溶媒と第4級オニウム塩を含む電解質からなる有機電解液とを有し、前記有機電解液の溶媒のスルホランまたはその誘導体の含有量が全溶媒に対して20〜40質量%であることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
  2. 前記有機電解液の溶媒が、スルホランまたはその誘導体を20〜40質量%、環状炭酸エステルを30〜60質量%、非対称鎖状炭酸エステルを5〜20質量%含むものである請求項1に記載の電気二重層キャパシタ。
  3. 鎖状炭酸エステルが、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルイソプロピルカーボネート、2,2,2‐トリフルオロエチルメチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の電気二重層キャパシタ。
  4. 環状炭酸エステルが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の電気二重層キャパシタ。
  5. 前記電解質が、RまたはR(式中、R,R,R,Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、アリル基を表すか、R〜Rの任意の2個が結合してアルキレン基を表す。)で示される第4級オニウムカチオンとアニオンとからなる第4級アンモニウム塩または第4級ホスホニウム塩である請求項1に記載の電気二重層キャパシタ。
  6. 前記アニオンが、BF 、PF 、またはClO である請求項5に記載の電気二重層キャパシタ。
  7. 前記電解質が、6フッ化リン酸リチウム(LiPF)、4フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、6フッ化砒素リチウム(LiAsF)及びトリフロオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、及びエチルメチルイミダゾール(EMI)塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の塩である請求項1に記載の電気二重層キャパシタ。
  8. 前記電解質が、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジメチルピロリジニウム、ジエチルピロリジニウム、エチルメチルピロリジニウム、スピロ−(1,1)−ピロリジニウム、N−メチル−N−スピロピロリジニウム、ジエチルピペリジニウム、及びスピロ−(1,1)−ピペリジニウムから選択される第4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の塩である請求項5〜6のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ。
  9. 前記電解質が、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンニウム、トリエチルメチルアンモニウム、またはテトラエチルアンモニムからなる第4級アンモニウム塩である請求項8に記載の電気二重層キャパシタ。
  10. 電極活物質を有するシートに集電材の金属板を積層し、セパレータを介し金属製の上蓋及び下蓋を押し重ね、これを電解液に浸してなるコイン型電気二重層キャパシタであって、下蓋缶容器外形寸法の直径に対する電極活物質層の直径の比率が0.53以上である請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ。
  11. 前記電極活物質層の厚みが0.3mm以上、電極密度が0.55g/cm以上0.80g/cm以下である請求項10に記載の電気二重層キャパシタ。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタを使用した携帯機器。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタを使用したICタグ。
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