JPWO2008114738A1 - 鉛蓄電池および組電池 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、基板の表面に二酸化錫膜を形成した正極集電体を正極板に用いた鉛蓄電池では、高率放電時に正極集電体に当接した正極活物質(二酸化鉛)の細孔中の硫酸イオンが優先的に消費されるとともに、その放電反応により水が生成するため、正極活物質細孔中で電解液比重が急激に低下し、正極活物質に当接している正極集電体近傍の電位が著しく低下する。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明者らは、表面に二酸化錫層が形成された正極基板を備える鉛蓄電池の電解液として、特定の比重の電解液を用いると、高率放電時に正極集電体近傍の電位が、一時的に著しく低下するのを防止することができるという知見を得た。
すなわち、本発明は、正極板と電解液とを有する鉛蓄電池であって、前記正極板は、表面に二酸化錫層が形成された正極基板を備え、前記電解液は、満充電状態での20℃における比重が1.250〜1.500の範囲であることを特徴とする鉛蓄電池、及び、前記鉛蓄電池を複数接続した組電池であって、前記鉛蓄電池の前記正極端子が、隣接する鉛蓄電池の前記負極端子と当接するように直列接続されることを特徴とする組電池である。
本発明においては、表面に二酸化錫層が形成された正極基板を備える正極板を有する鉛蓄電池において、満充電状態での20℃における比重が1.250〜1.500の範囲の電解液を用いるから、正極集電体近傍の電位が高率放電時に一時的に著しく低下するのを防止することができる。したがって、本発明によれば、基板表面の二酸化錫層の溶解や正極板の劣化が防止されるので、長寿命の鉛蓄電池を提供することができる。
前記正極基板は、チタン製又はチタンを含む合金製であってもよい。
上記構成とすると、正極基板に含まれるチタンは、耐硫酸性に優れているので電池の寿命性能をより向上させることができる。また、チタン製またはチタン合金製の基板を用いると、ドライプロセスと比較して設備投資費の安価なウェットプロセスの1つである塗布熱分解法により二酸化錫層を形成することができ、コストの低減が図れるので好ましい。
上記構成とすると、負極基板の耐食性が優れており、長寿命の鉛蓄電池を提供することができるので好ましい。
また上記構成において、負極基板は、炭素材料を含む導電性フィルムとの接触抵抗の小さい銅、鉛、錫および亜鉛のいずれか、またはこれらを2種以上含む合金からなる基板であるから、内部抵抗の小さい、出力性能に優れた鉛蓄電池を得ることができ、好ましい。
上記構成とすれば軽量な鉛蓄電池とすることができるので、好ましい。
長寿命化を図った鉛蓄電池においては、チタンまたはチタン合金からなる正極の基板が用いられることが多い。組電池において、負極と正極の基板とが異種の金属である場合、隣り合う電池の正極と負極とを直列に接続する箇所に塩水などが浸入すると、異種金属間の接触に起因するガルバニック腐食が発生することがあるが、負極基板としてチタンまたはチタン合金を用いると、正極基板と同素材であるので、ガルバニック腐食を抑制することができ、好ましい。
この問題を解決するため鋭意検討した結果、負極基板と炭素材料を含む導電性樹脂フィルムとの間にアンチモンを含有する二酸化錫層が10nm以上の厚みで形成されている構成とすると、接触抵抗が大幅に低くなることを見出した。
本構成において、前記負極基板の前記二酸化錫層の厚みの平均が、10nm以上50μm以下である構成とすれば、内部抵抗を小さくすることができるとともにクラックを防止することができるので好ましい。
本構成において、前記負極基板の前記二酸化錫層は、アンチモンおよびフッ素を含有する構成とすれば、さらに内部抵抗を小さくすることができるので好ましい。
この態様では、一枚の基板の両面に正極活物質と負極活物質とが形成されてなるバイポーラ極板を用いるから、さらに内部抵抗を低減し、電池を軽量化し、省スペース化できるので好ましい。
前記バイポーラ基板は、チタン製又はチタンを含む合金製であり、かつ、前記バイポーラ基板の前記導電性樹脂フィルムが積層される面に形成された二酸化錫層は、厚みが10nm以上50μm以下であるとともにアンチモンを含有する構成であってもよい。
上記構成とすれば、バイポーラ基板に含まれるチタンは、耐硫酸性に優れているので、電池の寿命性能をより向上させることができるとともに、チタン製またはチタン合金製の基板を用いると設備投資額を低減することができるので好ましい。また、上記厚みのアンチモンを含有する二酸化錫層が基板表面に形成されていれば内部抵抗を小さくすることができるので好ましい。
上記構成とすれば、バイポーラ極板を有する鉛蓄電池において、基板が電池容器の一部を兼ねることで軽量化が図れ、かつ、水蒸気バリアー性が向上し、水蒸気透過によるドライアウト劣化に伴う内部抵抗の増加や出力性能の低下が抑制されるので、好ましい。
上記構成とすれば、内部抵抗をより小さくすることができるので好ましい。
上記構成とすれば、内部抵抗を小さくすることができるとともに、クラックを防止することができる。
上記構成とすると、さらに内部抵抗を小さくすることができるのでさらに好ましい。
上記構成とすると活物質強度が向上し、電池製造の際に取り扱い易くなるので好ましい。
(発明の効果)
11:排気口兼注液口
12:制御弁
14:電池容器
14A:容器本体(枠体)
15:セパレータ
20A:負極集電体
21:導電性樹脂フィルム
22:負極活物質
23:負極基板
31:正極集電体
32:正極活物質
33:正極基板
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態1の制御弁式鉛蓄電池10(以下、単に「鉛蓄電池10」ともいう)について説明する。 図1には、正極基板33の表面に導電性セラミックス保護膜を形成した正極集電体31を用いた制御弁式鉛蓄電池10(公称電圧:2V、20時間率定格容量:C=2Ah)の単電池の構造例を示す。
容器本体である枠体14Aには、外部に通じる排気口兼注液口11が形成され、この排気口兼注液口11にキャップ状の制御弁12が取り付けられている。
正極活物質32は、通常の鉛蓄電池の製造方法によって得られる活物質ペーストを鉛粉、水、希硫酸を練り合わせて作製し、化成・充電した二酸化鉛を主体とする板状の活物質であり、正極基板33の表面のうち、負極基板23側に配される面に当接して配置される。
本実施形態において、正極基板33は厚さ0.1mmのチタン製であり、正極基板33の表面のうち、正極活物質32との当接面には、二酸化錫層が形成されている。
なお、寿命性能の確保という観点から、正極活物質32を備える面に形成されている二酸化錫層の厚みの平均は50nm以上であるのが好ましい。
また、二酸化錫層には、アンチモンやフッ素が含まれていれば、内部抵抗を小さくすることができるので好ましい。特に、アンチモンとフッ素の双方が含まれていると顕著に内部抵抗を小さくすることができるので好ましい。アンチモンとフッ素の含有割合は、二酸化錫層の全質量に対して、アンチモンが1質量%〜10質量%、フッ素が0.1〜12%であるのが好ましい。
まず、有機錫化合物を有機溶媒に溶解して、必要に応じ、アンチモン元素を有する化合物やフッ素元素を有する化合物を所定量添加して原料液を作製する。
次に、正極基板33を原料液にディッピングする、原料液を基板33にスピンコーティングする、原料液をスプレーなどにより基板33に噴霧するなどした後に熱分解する方法により二酸化錫層を形成することができる。これらの製膜方法は一般に塗布熱分解法と呼ばれる。塗布熱分解法以外に、原料ターゲット(必要に応じアンチモン元素を含む化合物やフッ素元素を含む化合物を添加した二酸化錫粉末を薄板状に焼成して、銅製のパッキングプレートに貼りつけたもの)を、基板33にスパッタリングする方法により二酸化錫層を形成することもできる。
なお、原料液中の有機錫化合物としては、ジブチル錫ジアセテートやトリブトキシ錫などが挙げられ、製造効率の面から、ジブチル錫ジアセテートが好ましい。アンチモン元素を有する化合物としては、トリフェニルアンチモンや三塩化アンチモンが挙げられ、トリフェニルアンチモンが好適に用いられる。フッ素を含有する化合物としてはフッ化アンモニウムが好適に用いられる。
有機錫化合物を溶解する有機溶媒としては、エタノールやブタノールなどが挙げられ、入手が容易であることから、エタノールが好ましい。
なお、基板33をディッピングする方法で二酸化錫層を形成すると、一工程で基板33の両面に二酸化錫層が形成されるので、両面に二酸化錫層が形成された基板33を容易に得ることができ、好ましい。
負極活物質22は、通常の鉛蓄電池の製造方法によって得られる活物質ペーストを鉛粉、水、希硫酸、カーボン、硫酸バリウム、リグニンを練り合わせて作製し、化成・充電した海綿状金属鉛を主体とする板状の活物質であり、負極集電体20Aにおける鉛メッキを施した面に当接して配置される。
電解液の比重が1.250未満であると、高率放電時に正極集電体31近傍の電位が一時的に著しく低下するため、正極基板33表面の二酸化錫層の溶解や正極基板33の劣化が起こり短寿命となり、比重が1.500を超えると硫化水素が発生する危険性がある。
本実施形態によれば、電解液として満充電状態での20℃における比重が1.250〜1.500の範囲にあるものが用いられるから、高率放電時に正極集電体近傍の電位が一時的に著しく低下するのを防止することができ、かつ、正極基板33表面の二酸化錫層の溶解や正極基板33の劣化が防止され、長寿命の鉛蓄電池を提供することができる。
本発明の実施形態2の制御弁式鉛蓄電池10(以下、単に「鉛蓄電池10」ともいう)について説明する。実施形態1と共通する部分については、同じ記号を付し重複する記載は省略する。
本実施形態の鉛蓄電池10は図1に示す実施形態1の鉛蓄電池10と同様の構造を有しているが、負極基板23として導電性樹脂製の基板23を用いた点で実施形態1の鉛蓄電池10と相違している。
そして、上記炭素材料のうち、耐酸性と導電性に優れるという観点から、黒鉛粉、カーボンブラック、カーボンナノファイバーおよびカーボンナノチューブからなる群より選ばれる材料が好ましい。
これらの樹脂の中では、耐熱性、耐食性に優れるポリオレフィン(PO)系樹脂又はポリオレフィン系エラストマーが好ましい。
本実施形態によれば、導電性樹脂製の基板を用いるから、鉛蓄電池の軽量化を図ることができる。
以下、本発明の実施形態3の制御弁式鉛蓄電池10(以下、単に「鉛蓄電池10」ともいう)について、図3および図4を参照しながら説明する。実施形態1と共通する部分については、同じ記号を付し重複する記載は省略する。
本実施形態の鉛蓄電池10は、負極板20の構成が実施形態1の鉛蓄電池10と相違している。
本実施形態の鉛蓄電池10は、図3に示すように、側面を構成する枠体14Aと、上下の壁面を構成する2枚の基板23,33とからなる電池容器14を備える。枠体14Aには、外部に通じる排気口兼注液口11が形成され、この排気口兼注液口11の開口部にキャップ状の制御弁12が取り付けられている。そして、この制御弁12には、はずれないように、弁おさえ13が取り付けられている。
そして、上記炭素材料のうち、耐酸性と導電性に優れるという観点から、黒鉛粉、カーボンブラック、カーボンナノファイバー及び、カーボンナノチューブからなる群より選ばれる材料が好ましい。
また、負極基板23と正極基板33が電池容器14の一部を兼ねているので、軽量化が図れる上に、水蒸気バリアー性が向上し、水蒸気透過によるドライアウト劣化に伴う内部抵抗の増加や出力性能の低下が抑制される。
本発明の実施形態4の鉛蓄電池10について、図5を参照しながら説明する。実施形態3と共通する部分については同じ記号を付し、重複する記載は省略する。
本実施形態の電池では、チタンまたはチタン合金製の負極基板23を備え、負極基板23の表面と炭素材料を含む導電性樹脂フィルム21との間には、アンチモンを含有する二酸化錫層24が形成されている点で実施形態3とは相違する(図5を参照)。
二酸化錫層24にはアンチモンに加えてフッ素が含まれていれば、内部抵抗を小さくすることができるので特に好ましい。アンチモンとフッ素の含有割合は、二酸化錫層の錫元素の質量に対して、アンチモンが1質量%〜10質量%、フッ素が0.1質量%〜12質量%であるのが好ましい。
負極基板23の両面に二酸化錫層24が形成されている場合、導電性樹脂フィルム21とは反対側に形成されている二酸化錫層の厚みの平均は、内部抵抗を小さくするとともにクラックを防止するという観点から、10nm以上50μm以下であるのが好ましい。
また、導電性樹脂フィルム21とは反対側に形成されている二酸化錫層においても、アンチモンやフッ素が含まれていれば、内部抵抗を小さくすることができるので好ましい。特に、アンチモンとフッ素の双方が含まれていると顕著に内部抵抗を小さくすることができるので好ましい。
まず、有機錫化合物を有機溶媒に溶解して、アンチモン元素を有する化合物を所定量添加して原料液を作製する。なお、フッ素を含有する二酸化錫層を形成する場合には、フッ素元素を有する化合物を原料液の調製の際に添加する。
次に、負極基板23を塗布熱分解法により二酸化錫層24を形成することができる。塗布熱分解法以外に、スパッタリング法で二酸化錫層を形成することもできる。
有機錫化合物を溶解する有機溶媒としては、エタノールやブタノールなどが挙げられ、入手が容易であることから、エタノールが好ましい。
負極基板23の材料として、銅、鉛、錫および亜鉛などを用いると、炭素材料を含む導電性樹脂フィルム21との接触抵抗が小さく、低コストである点で好ましい。しかし、例えば、酸性雨や塩水の浸入の可能性の高い用途・場所に用いられる電池の負極基板23とする場合、銅、鉛、錫および亜鉛は、正極基板33材料(チタン合金)とは異種金属であることから、ガルバニック腐食が懸念される。
本発明の実施形態5の鉛蓄電池60について、図6および図7を参照しながら説明する。実施形態1〜4と共通する部分については同じ記号を付し、重複する記載は省略する。
本実施形態の鉛蓄電池60は、図6に示すように、バイポーラ極板61を備える点で実施形態1の鉛蓄電池10とは相違する。
本実施形態においては、3つの電池容器14を上下方向に重ねた状態で、端子を兼ねた導電性の圧迫部材41に挟み込んで、矢印Fの方向に圧迫した状態で保持し、金属製のボルトナット43を用いて固定している。
1番上側の枠体14Aと上から2番目の枠体14Aとの間にはバイポーラ基板62が配されており、このバイポーラ基板62が、1番上側に配される枠体14Aの下側の開口部分と、上から2番目に配される枠体の上側の開口部分の双方を封口している。
上から2番目の枠体14Aと上から3番目の枠体との間には、上記とは別のバイポーラ基板62が配されており、このバイポーラ基板62が、上から2番目の枠体14Aの下側の開口部分と、上から3番目に配される枠体14Aの上側の開口部分の双方を封口している。
本実施形態の鉛蓄電池60において、下側の圧迫部材41には負極基板23が当接して配され、この負極基板23の上には導電性フィルム21と負極活物質22が積層されている。
そして、負極基板23の負極活物質22には、セパレータ15を介して隣接するバイポーラ極板61Aの正極活物質32が積層されている。
バイポーラ極板61Aの負極活物質22には、セパレータ15を介して隣接するバイポーラ極板61Bの正極活物質32が積層されており、バイポーラ極板61Bの負極活物質22には、セパレータ15を介して隣接する正極板30の正極基板33に形成された正極活物質32が積層されている。
これらの基板23,33,62の二酸化錫層24の厚みの平均は、内部抵抗を小さくするとともにクラックを防止するという観点から、10nm以上50μm以下であるのが好ましい。二酸化錫層24の厚みの平均が10nm未満であると内部抵抗を小さくする効果を十分に発揮することができず、50μmを超えるとクラックが生じることがあるからである。なお、寿命性能の確保という観点から正極活物質32を備える面に形成されている二酸化錫層24の厚みの平均は50nm以上であるのが好ましい。
また、二酸化錫層24には、アンチモンやフッ素が含まれていれば、内部抵抗を小さくすることができるので好ましい。特に、アンチモンとフッ素の双方が含まれていると顕著に内部抵抗を小さくすることができるので好ましい。アンチモンとフッ素の含有割合は、二酸化錫層の錫元素の質量に対して、アンチモンが1質量%〜10質量%、フッ素が0.1質量%〜12質量%であるのが好ましい。
なお、チタン製のバイポーラ基板62や、チタン製の負極基板23を用いる場合には、接触抵抗を低減する観点から、基板52,23の表面のうち、炭素材料を含む導電性樹脂フィルム21が積層される面には、少なくともアンチモンを含有する二酸化錫層24が形成されていることが好ましい。
本実施形態によれば、正極基板33、負極基板23およびバイポーラ基板62の両面に二酸化錫層24が形成されているから、内部抵抗を小さくすることができる。
1.電解液の比重の検討
本発明者らは、種々の比重の電解液を有する鉛蓄電池を作製し、以下の方法により検討を行った。
組電池T1〜T7をそれぞれ、室温(25℃)において6A(3CA)の電流で端子電圧が6.0Vとなるまで放電し、0.5A/14.7V×4hの条件で充電する充放電サイクル寿命試験をおこない、放電持続時間が初期値の50%未満となった時点を寿命と判断した。この寿命に至った時点におけるサイクル数を表1および図8に示した。
組電池T1の劣化の原因は以下のように考えられる。満充電組電池T1においては、高率放電時に正極活物質細孔中の硫酸イオンが優先的に使用されるとともにその放電反応生成物として水が生成するため、正極集電体近傍の電位が著しく低下し、チタンからなる基板表面に形成した二酸化スズがその電位で還元されてSn2+イオンとなって溶解し、高率放電を繰り返しおこなうことにより正極板が劣化して短寿命となるのではないかと考えられる。
満充電組電池T2、T3、T4、T5、T6、T7においては、充放電を繰り返しおこなうことで正極活物質の軟化が生じたが、正極活物質の軟化が放電性能に与える影響よりも正極集電体と正極活物質とを高圧迫力(ゲージ圧で100〜400kPa)で保持する効果のほうが勝っていたため、充放電サイクル寿命性能に優れていたと考えられる。
電解液比重が1.300よりも高い電解液を有する電池R4、R5は、約300〜500サイクルで寿命となり、その寿命原因は正極活物質の軟化であった。
本発明者は、内部抵抗が小さく出力性能に優れた電池を得るために、負極基板の材質と導電性樹脂フィルムの材質に着眼して検討を行った。
(1)基板材料および導電性樹脂フィルムの抵抗値の測定
種々の材料から作製した基板と各種導電性樹脂フィルムとの接触抵抗を図10に示す装置を用いて測定した。
具体的には、表3に記載した各種試料を、測定用銅端子1の間に挟み、ロードセル5に150kgfの加重が加わるようプレスをかけた状態でミリオーム抵抗計6により抵抗値を測定し、結果を表4に示した。
さらに、炭素材料を含む導電性樹脂フィルム21の抵抗値は、従来の導電性樹脂A〜Cと比較すると1/3〜1/10程度であり、低かった。
そこで、上記の測定により得られた、炭素材料を含む導電性樹脂フィルムと種々の材質の基板とを重ねて測定した抵抗値から、種々の材質の基板単体の抵抗値と、炭素材料を含む導電性樹脂フィルム単体の抵抗値とを差し引いた値を接触抵抗値と定義して、表4に示した。
長寿命化を図った鉛蓄電池においては、チタン又はチタン合金からなる正極基板が用いられることが多いため、本発明の鉛蓄電池10を、組電池として用いる場合、負極板20が兼ね備える負極端子と、その被接触体となる、隣接する正極板30が兼ね備える正極端子との接触抵抗が高ければ組電池の抵抗が高くなるという問題がある。当該正極端子の表面の片方の面は、二酸化錫膜を形成する際の焼成工程の加熱により酸化チタン被膜で覆われている。
なお、表5には数種の合金製の基板を用いた場合の結果を示したが、主成分が等しければ、他の金属との合金であっても同様の結果が得られた。
上記表5に示すように、炭素材料を含む導電性樹脂フィルムと加熱したチタン板との接触抵抗は著しく大きかった。この結果から、負極板20の集電体に炭素材料を含む導電性樹脂フィルム21のみを用いた場合、隣接する正極板との接触抵抗が著しく高くなると予測される。
負極基板23にチタン(合金)製の基板23を用いた場合に、導電性樹脂フィルム21との接触抵抗を低減する方法を鋭意検討したところ、負極基板23表面と炭素材料を含む導電性樹脂フィルム21との間に、アンチモンを含有する二酸化錫層24が形成されていれば、顕著な接触抵抗低減効果が発現することを見出した。
接触抵抗を低減する効果を発現可能なアンチモンの含有量とアンチモンを含有する二酸化錫層24の膜厚を、以下の方法により検討した。
このことから、アンチモンの含有量は原料液中の錫元素に対して、5質量%の場合がより好適であると考えられる。
基板材料および導電性樹脂フィルムについて検討した結果、以下のことがわかった。
i)炭素材料を含む導電性樹脂フィルムは、単体では従来の導電性樹脂フィルムよりも抵抗が小さいことから、これを用いて、単電池とすると低抵抗とすることができる。
しかし、炭素材料を含む導電性樹脂フィルムを直接、負極板兼端子として、隣接するチタン(合金)製の正極板に押し当てて電気的な接合を得ようとすると(組電池とすると)、内部抵抗が著しく大きくなる。
したがって、本発明の鉛蓄電池10を組電池として用いる際には、炭素材料を含む導電性樹脂フィルムとの接触抵抗が小さい、銅、鉛、錫、亜鉛の金属板又はそれらの合金からなる負極基板23の片面に、炭素材料を含む導電性樹脂フィルム21を積層し、基板の面のうち当該導電性樹脂フィルム21が積層されていないほうの面を正極板30側に配すればよい。
(1)正極板30の作製
(1−1)二酸化錫層が片方の面に形成された正極基板を備える正極板30の作製
縦10cm×横10cm×厚み100μm のチタン製の正極基板33に、加熱した熱源の上で間歇的に有機錫溶液をスプレーして片側の表面に結晶性の高い二酸化錫膜を形成して正極集電体31とした。正極基板33の二酸化錫膜24側に二酸化鉛を主体とする縦7cm×横7cm×厚み1.6mmの正極活物質32を配して正極板30を作製した。なお、二酸化錫層24は以下に記載の方法により形成した。
この原料液を450℃前後に加熱されたチタン製の正極基板33に温度が低くなりすぎないようにし、所定の厚みとなるように間歇的に噴霧して、チタン基板33上で熱分解を行うことで、平均膜厚が100nmのアンチモンを含有する二酸化錫層24を形成した。
(1−1)で作製した正極基板33の、二酸化錫層24が形成されていない方の面に、(1−1)と同様の方法により、平均膜厚が20nmの二酸化錫層24を形成して正極集電体31とした。当該正極基板33の両面に形成された二酸化錫層24のうち、平均膜厚が100nmの二酸化錫層24側に二酸化鉛を主体とする縦7cm×横7cm×厚み1.6mmの正極活物質32を配して正極板30を作製した。
原料液に対して二酸化錫の量が2.5質量%となるようにジブチル錫ジアセテートをエタノールで溶解した溶液に、アンチモンの含有量が、原料液中の錫元素に対して、5質量%となるようにトリフェニルアンチモンを溶解し、フッ素の含有量が、原料液中の錫元素に対して、50質量%となるようにフッ化アンモニウムを水に溶解して、原料液に調合した。
この原料液を用いて、(1−1)と同様の方法によりチタン製の正極基板33の片方の面に平均膜厚が100nmのアンチモンとフッ素とを含有する二酸化錫層24を形成した。
当該正極基板33のもう一方の面にも同様の方法により平均膜厚が20nmのアンチモンとフッ素とを含有する二酸化錫層24を形成して正極集電体31とした。当該正極基板33の両面に形成された二酸化錫層24のうち、平均膜厚が100nmの二酸化錫層24側に二酸化鉛を主体とする縦7cm×横7cm×厚み1.6mmの正極活物質32を配して正極板30を作製した。
(2−1)実施形態3に示した負極板20の作製
縦10cm ×横10cm×厚み100μmの銅製の負極基板23を用い、基板23と同サイズのカーボンブラック(炭素材料)を含むポリプロピレン製の導電性樹脂フィルム21(膜厚:200μm)を負極基板23に重ねた。
炭素材料を含む導電性樹脂フィルム21と基板23とは、導電性を阻害しない程度に部分的に接着した。負極基板23の導電性樹脂フィルム21側には、海綿状鉛を主体とする縦7cm×横7cm×厚み1.3mmの負極活物質22を配して図4に示す負極板20を作製した。
(2−1)の銅製の負極基板23に代えて、チタン製の負極基板23を用い、基板23の片側の面に、アンチモンを含有する二酸化錫層24を形成し、当該二酸化錫層24を被覆するように炭素材料を含む導電性樹脂フィルム21を重ねた以外は(2−1)と同様にして、図5に示す負極板20を作製した。なお、二酸化錫層24は以下に記載の方法により形成した。
この原料液を450℃前後に加熱されたチタン製の基板23に温度が低くなりすぎないようにし、所定の厚みとなるように間歇的に噴霧して、チタン基板23上で熱分解を行うことで、平均膜厚が20nmのアンチモンを含有する二酸化錫層24を形成した。
(2−2)で作製した負極基板23の、二酸化錫層24が形成されていない方の面に、(2−2)と同様の方法により、平均膜厚が20nmの二酸化錫層24を形成した負極基板23を用いた以外は(2−2)と同様にして負極板20を作製した。
原料液に対して二酸化錫の量が2.5質量%となるようにジブチル錫ジアセテートをエタノールで溶解した溶液に、アンチモンの含有量が、原料液中の錫元素に対して、5質量%となるようにトリフェニルアンチモンを溶解し、フッ素の含有量が、原料液中の錫元素に対して、50質量%となるようにフッ化アンモニウムを水に溶解して原料液に調合した。
この原料液を用いて、(2−2)と同様の方法により、両面にそれぞれ平均膜厚が20nmのアンチモンとフッ素とを含有する二酸化錫層24を形成した負極基板23を用いた以外は(2−2)と同様にして負極板20を作製した。
(2−1)の負極基板23と炭素材料を含む導電性樹脂フィルム21に代えて、従来品の導電性樹脂フィルム[エラスティック導電性フィルム(鬼怒川ゴム株式会社製、商品名KZ−45)、膜厚200μm]のみを用いた以外は、(2−1)と同様にして比較品2の負極板を作成した。
(2−1)の負極基板23と炭素材料を含む導電性樹脂フィルム21に代えて、カーボンブラックを含むポリプロピレン製導電性樹脂フィルム21(膜厚200μm)のみを用いた以外は、(2−1)と同様にして実施形態2の負極板20を作成した。
希硫酸を主成分とする電解液を吸収保持させたガラスマットセパレータ15を用いて以下の方法により、鉛蓄電池10を作製した。
電解液としては、満充電状態での20℃における比重が、1.350のものを用いた。
まず(1)で作製した正極板30と(2)で作製した各負極板20とを、正極活物質32と負極活物質22とが対向するように、ガラスマットセパレータ15を挟持した状態で、電池容器14に入れた後、電池容器14の上下の開口部をそれぞれ封口した。
(1−1)の正極板30と(2−1)の負極板20を用いた制御弁式鉛蓄電池10を実施例1とし、(1−1)の正極板30と(2−2)の負極板20を用いた制御弁式鉛蓄電池10を実施例2とした。(1−2)の正極板30と(2−3)の負極板20を用いた制御弁式鉛蓄電池10を実施例3とし、(1−3)の正極板30と(2−4)の負極板20を用いた制御弁式鉛蓄電池10を実施例4とした。(1−1)の正極板30と、(2−5)〜(2−6)の負極板20のいずれかとを用いた制御弁式鉛蓄電池10をそれぞれ、比較例1、比較例2の制御弁式鉛蓄電池とした。
さらに、(1−1)の正極板30と(2−7)の負極板20を用いた制御弁式鉛蓄電池10を実施例5とし、(1−2)の正極板30と(2−7)の負極板20を用いた制御弁式鉛蓄電池10を実施例6とし、(1−3)の正極板30と(2−7)の負極板20を用いた制御弁式鉛蓄電池10を実施例7とした。
(3)で作製した実施例1〜7および比較例1、2の制御弁式鉛蓄電池10を1個ずつ、図11に示すように導電性の圧迫部材41に挟み込んで、矢印Fの方向に圧迫した状態で保持し、単電池を作製した。
圧迫部材41としては、厚み0.8mmの銅板もしくはステンレス板を用い、その外側に絶縁性の圧迫補助部材42を配して、制御弁式鉛蓄電池10を挟み込んで圧迫をおこない、金属製のボルトナット43を用いて固定した。
圧迫状態にある実施例1〜7および比較例1、2の単電池について、2.(1)の方法に従い、圧迫部材41間の抵抗を測定し、結果を表7に示した。
(3)で作製した実施例1〜7と比較例1、2の制御弁式鉛蓄電池10を用い、同じ種類の制御弁式鉛蓄電池10を3個、直列接続となるように積層し、(4)の単電池と同様に、圧迫部材41および圧迫補助部材42を用いて、図12に示すように、上下方向から挟み込んで、矢印Fの方向に圧迫した状態で保持し、組電池を作製した。圧迫部材41としては、銅板を用いた。
圧迫状態にある組電池について、2.(1)の方法に従い、圧迫部材41間の抵抗を測定し、結果を表8に示した。
実施例1および実施例2の制御弁式鉛蓄電池10を積層した組電池の内部抵抗は、比較例1の制御弁式鉛蓄電池を積層した組電池と同程度に低かった。
実施例3、実施例4、実施例6および実施例7の制御弁式鉛蓄電池10を積層した組電池の内部抵抗は、実施例1および実施例2の制御弁式鉛蓄電池を用いた組電池よりもさらに低かった。
この結果から、両面に二酸化錫層が形成されている基板23,33を有する鉛蓄電池では片面に二酸化錫層が形成されている基板23,33を有する鉛蓄電池よりも内部抵抗が低いということがわかった。これはチタン製の基板表面の抵抗の高い二酸化チタン層に錫もしくはアンチモンあるいはフッ素がドーパントとして作用し、二酸化チタン層のキャリア密度が高まったためと考えられる。
実施例4および実施例7の制御弁式鉛蓄電池10を積層した組電池の内部抵抗は、実施例3および実施例6の制御弁式鉛蓄電池10を積層した組電池よりもさらに低かった。
この結果から、アンチモンとフッ素の双方を含む二酸化錫層が形成されている基板23,33を有する鉛蓄電池ではアンチモンのみを含む二酸化錫層が形成されている基板23,33を有する鉛蓄電池よりも内部抵抗が低いということがわかった。これはアンチモンは二酸化錫層の錫と置換し、キャリアー密度を高めるが、さらにフッ素が酸素と置換することで、二酸化錫層のキャリアー密度がより高まったためであると考えられる。
実施例3、実施例4、実施例6および実施例7の鉛蓄電池10を用いて作製した組電池は実施例1および実施例2の鉛蓄電池10を用いて作製した組電池よりも出力性能に優れているということがわかった。
本発明によれば、軽量で、内部抵抗が小さく、出力性能に優れた鉛蓄電池10を提供することができる。さらに、使用用途や設置場所に応じて負極基板材料を選択することできる。
(1)バイポーラ極板61の作製
まず、縦10cm×横10cm×厚み100μm のチタン製のバイポーラ基板62の両面に、以下の方法により二酸化錫層24を形成した。
この原料液にチタン製の基板62をディッピングし、500℃で焼成を行い基板62の両面にそれぞれ膜厚が20nmのアンチモンを含有する二酸化錫層24を形成した。
基板62の一方の面に二酸化鉛を主体とする縦縦7cm×横7cm×厚み1.6mmの正極活物質32を配した。基板62の他方の面には、二酸化錫層24を被覆するカーボンブラックを含むポリプロピレン製の導電性樹脂フィルム21を重ね、さらに海綿状鉛を主体とする縦7cm×横7cm×厚み1.3mmの負極活物質22を配してバイポーラ極板61を作製した。
このバイポーラ基板62と、3.(1−1)で作製した正極板と、3.(2−2)で作製した負極板とを用い、満充電状態での20℃における比重が1.200、1.250、1.300、1.350、1.400、1.450、1.500の電解液を吸収保持させたガラスマットセパレータ15を用いて実施形態5の制御弁式鉛蓄電池(公称電圧:12V、20時間率定格容量:C=2Ah)を作製し、電池B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7とした。外部圧迫手段としては圧迫部材として厚み0.8mmの銅板を用い、その外側に絶縁性の圧迫補助部材を配して単電池6個を挟み込んで圧迫を行い金属製のボルトナットを用いて固定した。
これらの電池の圧迫度はゲージ圧で400kPaであった。
上記(2)で作製した実施形態5の形態の鉛蓄電池B4について、2.(1)の方法により圧迫部材41間の抵抗を測定したところ、46.5mΩという結果が得られた。
この電池の質量は実施例2の鉛蓄電池を3つ直列にした電池の質量を100とすると95という結果が得られた。
以上よりバイポーラ極板を使用した電池ではより内部抵抗を小さくすることができると共に、軽量化できるということがわかった。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。 (1)上記実施形態1では、単電池を6個組み合わせた例を示し、実施例では単電池を3個組み合わせた例を示したが、組電池として使用する場合の単電池の個数は2個以上であればよく、6個や3個に限定されない。
Claims (26)
- 正極板と電解液とを有する鉛蓄電池であって、
前記正極板は、表面に二酸化錫層が形成された正極基板を備え、
前記電解液は、満充電状態での20℃における比重が1.250〜1.500の範囲であることを特徴とする鉛蓄電池。 - 前記正極基板は、チタン製又はチタンを含む合金製であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の鉛蓄電池。
- 前記電解液を保持したセパレータと、前記セパレータを介して前記正極板に対向して配される負極板と、前記正極板と前記セパレータと前記負極板とを収容する電池容器とを有する鉛蓄電池であって、
前記正極板は、一方の面に正極活物質を備える正極基板を有し、
前記正極基板においては、前記二酸化錫層が少なくとも前記正極基板の前記正極活物質を備える面に形成されるとともに、前記正極活物質を備える面に形成された二酸化錫層には前記正極活物質が当接され、
前記負極板は、負極基板と、前記負極基板の一方の面側に負極活物質とを備え、
前記正極基板と前記負極基板は、前記正極活物質と前記セパレータと前記負極活物質とをこの順に重ねることにより、前記正極活物質および前記負極活物質よりも外側に配され、
前記電池容器は、前記正極活物質と前記セパレータと前記負極活物質とを包囲するとともに、前記正極基板と前記負極基板の配される部分が開口した形状をなす絶縁性の容器本体を備え、
前記正極基板と前記負極基板とは、前記電池容器の一部を兼ねていることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の鉛蓄電池。 - 前記負極基板は、鉛製または鉛メッキされた銅製であり、前記負極基板には前記負極活物質が当接されることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の鉛蓄電池。
- 前記負極板は、前記負極基板と前記負極活物質との間に炭素材料を含む導電性樹脂フィルムを備え、かつ前記負極基板は、銅、鉛、錫および亜鉛のいずれか、またはこれらを2種以上含む合金製であることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の鉛蓄電池。
- 前記負極基板は、炭素材料を含む導電性樹脂製の基板であることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の鉛蓄電池。
- 前記炭素材料を含む導電性樹脂製の基板の厚みの平均が、80μm以上1mm以下であることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の鉛蓄電池。
- 前記負極基板は、チタン製またはチタンを含む合金製であり、かつ、
前記負極板は、前記負極基板と、厚みの平均が10nm以上50μm以下であるとともにアンチモンを含有する二酸化錫層と、炭素材料を含む導電性樹脂フィルムと、前記負極活物質とが順に積層されてなることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の鉛蓄電池。 - 前記正極基板の前記二酸化錫層は、前記正極基板の両面に形成されていることを特徴とする請求の範囲第1項〜第8項のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
- 前記正極基板の前記二酸化錫層の厚みの平均が、10nm以上50μm以下であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第9項のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
- 前記正極基板の前記二酸化錫層は、アンチモンおよびフッ素を含有することを特徴とする請求の範囲第1項〜第10項のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
- 前記負極基板の両面には、二酸化錫層が形成されていることを特徴とする請求の範囲第8項〜第11項のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
- 前記負極基板の前記二酸化錫層の厚みの平均が、10nm以上50μm以下であることを特徴とする請求の範囲第8項〜第12項のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
- 前記負極基板の前記二酸化錫層はアンチモンおよびフッ素を含有することを特徴とする請求の範囲第8項〜第13項のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
- 前記鉛蓄電池は、前記正極活物質または前記負極活物質を保持するための、鉛製または鉛合金製の活物質保持体を備えることを特徴とする請求の範囲第3項〜第14項のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
- 前記正極基板が正極端子であるとともに、前記負極基板が負極端子であることを特徴とする請求の範囲第3項〜第15項のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
- 請求の範囲第16項に記載の鉛蓄電池を複数接続した組電池であって、
前記鉛蓄電池の前記正極端子が、隣接する鉛蓄電池の前記負極端子と当接するように直列接続されることを特徴とする組電池。 - 正極板と、負極板と、バイポーラ極板と、電解液と、前記電解液を保持するセパレータとを有する鉛蓄電池であって、
前記正極板は、正極基板と、前記正極基板の一方の面に正極活物質とを備え、
前記正極基板においては、少なくとも前記正極基板の前記正極活物質を備える面に二酸化錫層が形成されるとともに、前記正極活物質を備える面に形成された二酸化錫層には前記正極活物質が当接され、
前記負極板は、負極基板と、炭素材料を含む導電性フィルムと、負極活物質とをこの順に積層してなり、
前記バイポーラ極板は、正極活物質と、両面に二酸化錫層が形成されたバイポーラ基板と、炭素材料を含む導電性樹脂フィルムと、負極活物質とをこの順に積層してなり、
前記バイポーラ極板の負極活物質には、前記セパレータを介して隣接する極板の正極活物質が積層され、前記バイポーラ極板の正極活物質には、前記セパレータを介して隣接する極板の負極活物質が積層され、
前記電解液は、満充電状態での20℃における比重が1.250〜1.500の範囲であることを特徴とする鉛蓄電池。 - 前記バイポーラ基板は、チタン製又はチタンを含む合金製であり、かつ、
前記バイポーラ基板の前記導電性樹脂フィルムが積層される面に形成された二酸化錫層は、厚みの平均が10nm以上50μm以下であるとともにアンチモンを含有することを特徴とする請求の範囲第18項に記載の鉛蓄電池。 - 正極板、負極板およびバイポーラ極板から選ばれる一種の極板と、バイポーラ極板と、前記セパレータとを収納する電池容器を有する鉛蓄電池を複数積層してなり、
前記電池容器は、前記正極活物質と前記セパレータと前記負極活物質とを包囲するとともに、前記正極活物質を備える基板と前記負極活物質を備える基板の配される部分が開口した形状をなす絶縁性の容器本体を備え、
前記基板は前記電池容器の一部を兼ねていることを特徴とする請求の範囲第18項または第19項に記載の鉛蓄電池。 - 前記正極基板は、チタン製又はチタンを含む合金製であることを特徴とする請求の範囲第18項〜第20項のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
- 前記正極基板および前記負極基板から選ばれる1以上の基板には、基板の両面に二酸化錫層が形成されていることを特徴とする請求の範囲第18項〜第21項のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
- 前記正極基板および前記負極基板から選ばれる1以上の基板の前記二酸化錫層の厚みの平均は、10nm以上50μm以下であることを特徴とする請求の範囲第18項〜第22項のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
- 前記正極基板の二酸化錫層、前記負極基板の二酸化錫層、および前記バイポーラ基板の二酸化錫層から選ばれる1以上の二酸化錫層は、アンチモンおよびフッ素を含有することを特徴とする請求の範囲第18項〜第23項のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
- 前記鉛蓄電池は、前記正極活物質または前記負極活物質を保持するための、鉛製または鉛合金製の活物質保持体を備えることを特徴とする請求の範囲第18項〜第24項のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
- 前記正極基板が正極端子とされるとともに、前期負極基板が負極端子とされることを特徴とする請求の範囲第18項〜第25項のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
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