JPWO2008111222A1 - キャリッジアセンブリの組立方法および組立装置 - Google Patents

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Abstract

直径寸法がサスペンションのスペーサ孔の内径寸法以上のボールを、超音波振動させた棒状の押圧部材により押して、スペーサ孔に次々に通過させることで、スペーサ孔周縁部をかしめて、各サスペンションを各キャリッジアームの先端部に取り付けるかしめ工程において、ボールを押圧する押圧部材がスペーサ部のスペーサ孔の内周面等に衝突することを抑えることで、スペーサ部の変形によるサスペンションの基準角度からの傾きを極力なくすことの可能なキャリッジアセンブリの組立方法、およびそれに用いられる組立装置を提供する。ボール20がスペーサ孔12bの一つを通過した後、スペーサ孔12bよりボール20の通過方向後方に位置する間隙保持板36の貫通孔36aの内径を、スペーサ孔12bの内径よりも縮径させる。

Description

本発明は、磁気ディスク装置に用いられるキャリッジアームの先端部にサスペンションを取り付けるキャリッジアセンブリの組立方法、およびそれに用いられる組立装置に関する。
図7は、磁気ディスク装置に用いられているキャリッジアセンブリの外観図を示す。
同図で10が、キャリッジアームであり、磁気ディスク装置に設けられる複数の磁気ディスクの各面に対応して、複数が平行に並列して設けられている。各キャリッジアーム10の先端部には、嵌合孔10aが形成される。嵌合孔10aは、互いに中心軸線が一致するよう形成される。12が各キャリッジアーム10の先端に連結されるサスペンションである(図7においては、サスペンション12は一つのみを示し、残りは省略している)。各サスペンション12の先端部には磁気ヘッド14が搭載されている。磁気ヘッド14はキャリッジアーム10の側面に取り付けたフレキシブル基板16を介して制御部18に電気的に接続されている。19はキャリッジアーム10の基部に固定されたアクチュエータ軸である。キャリッジアーム10は、アクチュエータ軸19が軸線の回りで回動することにより記録媒体の面と平行な面内でシーク動作をなす。
キャリッジアセンブリは、アクチュエータ軸19に互いに平行に取り付けられた各々のキャリッジアーム10の先端部の両面に、サスペンション12をかしめて固定することによって形成されている。
キャリッジアーム10にサスペンション12を固定する従来方法が、特許文献1に開示されている。図8および図9は、特許文献1に開示された、キャリッジアーム10にサスペンション12を固定する方法を示す。
この方法では、まず、キャリッジアーム10の各先端部に形成された嵌合孔10aに、サスペンション12のスペーサ部12aに設けられたスペーサ孔12bを位置合わせして、各キャリッジアーム10の表裏にそれぞれサスペンション12を組み付ける。その後、スペーサ孔12bの内径寸法よりも直径が若干大径に形成された金属ボール20を、押圧部材としての加圧シャフト22で押圧してスペーサ孔12bに通過させる。金属ボール20は、図8に示すように、並列している各嵌合孔10aおよびそれに位置合わせされた各スペーサ孔12b内を、加圧シャフト22によって突くようにされて次々と通過して移動する。
金属ボール20はスペーサ孔12bよりも若干大径に形成されているから、スペーサ孔12bを通過させる際に、スペーサ孔12bの内周縁に形成されたかしめ部13を押し広げるように作用し、これによってキャリッジアーム10にサスペンション12のスペーサ部12aが食い付くようにかしめられて固定される。
このように、キャリッジアセンブリを組み立てる際に、金属ボール20を用いてスペーサ孔12bを押し広げるようにして、キャリッジアーム10にサスペンション12をかしめて固定しているから、スペーサ部12aに作用するかしめ時の応力でスペーサ部12aが変形し、サスペンション12が基準位置から変位するという問題が生じる。すなわち、キャリッジアーム10にサスペンション12をかしめ固定した際に、スペーサ部12aの平坦度が劣化しサスペンション12が基準角度から傾くことが起こり得る。サスペンション12の傾きは記録媒体の表面からの磁気ヘッド14の浮上量に影響を及ぼし、磁気ヘッド14の記録媒体の表面からの浮上量がばらつくことになる。
最近の磁気ディスク装置はきわめて高記録密度となってきており、これに伴って、磁気ヘッドの記録媒体の表面からの浮上量が抑えられるようになってきている。このため、磁気ヘッドの浮上量のばらつきが情報の読み書き特性に大きく影響を与えることとなり、所要の特性を得るために磁気ヘッドの浮上量のばらつきを抑えることが求められている。
特許文献1には、さらに、かしめ時に掛かる応力によるスペーサ部12aの変形を抑えることのできるキャリッジアセンブリの組立方法が記載されている。図10は、この変形を抑えることのできる組立方法として特許文献1に記載された、超音波ホーン32を用いたキャリッジアセンブリの組立方法の説明図である。
特許文献1記載のキャリッジアセンブリの組立方法は、超音波ホーン32を用いて、金属ボール20をスペーサ孔12bを通過させるようにしたことを特徴とする。金属ボール20は前述のキャリッジアセンブリの組立方法で使用している金属ボール20と同じものである。図10では、隣接するキャリッジアーム10の間に間隙保持板36を挿入し、キャリッジアーム10の両端面に与圧板37a、37bを当接して、キャリッジアーム10を両側から挟んで支持した状態で組み立てている状態を示す。
超音波ホーン32は軸線方向に超音波振動が作用するもので、金属ボール20は超音波ホーン32の作用により、かしめ固定時にスペーサ部12aに作用するダメージを軽減させることができ、サスペンション12がキャリッジアーム10に取り付けられる際の変形を防止して、より高精度にサスペンション12をキャリッジアーム10に固定することが可能となる。その理由としては、超音波ホーン32による超音波振動応力と、金属ボール20がかしめ部13を押し広げる静的応力が重畳的に作用することによって、変形抵抗を減少させることができ、高速繰り返し衝撃によって平均加工力が減少することによって、サスペンション12とキャリッジアーム10の固定部の変形を抑えて固定することができるものと考えられる。
特開2004−127491号公報(段落0003−0004,0015,0023−0024、第3,5,6図)
しかしながら、超音波振動を印加した棒状の超音波ホーン32(押圧部材)で金属ボール20を押圧する従来方法では、金属ボール20がスペーサ孔12bを通過した瞬間に、超音波ホーン32に掛かっていた応力が一気に解放されて、図11に示すように、超音波ホーン32が大きく曲がるように変形する。これにより、超音波ホーン32がスペーサ部12aのスペーサ孔12bの内周面等に衝突して、スペーサ部12aを変形させてしまう場合があるという課題がある。
このように、超音波ホーン32の衝突によってスペーサ部12aが変形すると、スペーサ部12aの平坦度が劣化して、サスペンション12の基準角度からの傾きが生じてしまう。
本発明は、上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、ボールを押圧する押圧部材がスペーサ部のスペーサ孔の内周面等に衝突することを抑えることで、スペーサ部の変形によるサスペンションの基準角度からの傾きを極力なくすことの可能なキャリッジアセンブリの組立方法、およびそれに用いられる組立装置を提供することにある。
本発明に係るキャリッジアセンブリの組立方法は、上記課題を解決するために、次の構成を備える。
すなわち、 磁気ディスク装置に用いられる並列した複数のキャリッジアームの各先端部に、互いに中心軸線が一致するよう形成された嵌合孔に、サスペンションのスペーサ部に設けられたスペーサ孔を位置合わせして、各キャリッジアームにそれぞれサスペンションを組み付ける組み付け工程と、隣接する前記キャリッジアーム間のそれぞれに、前記スペーサ孔に連通するよう貫通孔が形成された間隙保持板を挿入するとともに、キャリッジアームの並び方向からキャリッジアームをクランプして保持する保持工程と、直径寸法が前記スペーサ孔の内径寸法以上のボールを、超音波振動させた棒状の押圧部材により押して、各前記サスペンションのスペーサ孔に次々に通過させることで、各前記スペーサ部のスペーサ孔周縁部をかしめて、各サスペンションを各前記キャリッジアームの先端部に取り付けるかしめ工程とを含み、該かしめ工程では、前記ボールが前記スペーサ孔の一つを通過した後、該スペーサ孔よりボールの通過方向後方に位置する前記間隙保持板の前記貫通孔の内径を、スペーサ孔の内径よりも縮径させることを特徴とする。
これによれば、押圧部材は、変形した際、間隙保持板の貫通孔の内周面に衝突して、スペーサ孔の内周面には衝突しにくくなる。
また、磁気ディスク装置に用いられる並列した複数のキャリッジアームの各先端部に、互いに中心軸線が一致するよう形成された嵌合孔に、サスペンションのスペーサ部に設けられたスペーサ孔を位置合わせして、各キャリッジアームにそれぞれサスペンションを組み付ける組み付け工程と、隣接する前記キャリッジアーム間のそれぞれに、前記スペーサ孔に連通するよう貫通孔が形成された間隙保持板を挿入するとともに、キャリッジアームの並び方向からキャリッジアームをクランプして保持する保持工程と、直径寸法が前記スペーサ孔の内径寸法以上のボールを、超音波振動させた棒状の押圧部材により押して、各前記サスペンションのスペーサ孔に次々に通過させることで、各前記スペーサ部のスペーサ孔周縁部をかしめて、各サスペンションを各前記キャリッジアームの先端部に取り付けるかしめ工程とを含み、前記押圧部材には、前記超音波振動のノーダルポイントの位置に、他の部位よりも径が太く、前記貫通孔の内径よりも細径の太径部が形成されていることを特徴とする。
これによれば、押圧部材の太径部が間隙保持板の貫通孔の内周面に衝突することで、押圧部材の曲がり変形量が小さく抑えられるから、押圧部材はスペーサ孔の内周面に衝突しにくくなる。
さらに、前記太径部は、表面形状が球面状に形成されていることを特徴とする。
また、前記かしめ工程では、前記押圧部材の前記太径部が前記スペーサ孔内に進入するまでの間、太径部を揺れないように保持することを特徴とする。
これによれば、押圧部材の太径部がスペーサ孔内に進入するまでの間においても、太径部の揺れが抑えられて押圧部材の曲がり変形量が小さく抑えられるから、押圧部材はスペーサ孔の内周面に衝突しにくくなる。
また、磁気ディスク装置に用いられる並列した複数のキャリッジアームの各先端部に、互いに中心軸線が一致するよう形成された嵌合孔に、サスペンションのスペーサ部に設けられたスペーサ孔を位置合わせして、各キャリッジアームにそれぞれサスペンションを組み付ける組み付け工程と、隣接する前記キャリッジアーム間のそれぞれに、前記スペーサ孔に連通するよう貫通孔が形成された間隙保持板を挿入するとともに、キャリッジアームの並び方向からキャリッジアームをクランプして保持する保持工程と、直径寸法が前記スペーサ孔の内径寸法以上のボールを、超音波振動させた棒状の押圧部材により押して、各前記サスペンションのスペーサ孔に次々に通過させることで、各前記スペーサ部のスペーサ孔周縁部をかしめて、各サスペンションを各前記キャリッジアームの先端部に取り付けるかしめ工程とを含み、少なくとも、前記間隙保持板の前記貫通孔の内周面、および、前記押圧部材の前記スペーサ孔内に進入する部位は、互いに同極に磁化されていることを特徴とする。
これによれば、間隙保持板の貫通孔の内周面と、押圧部材とが磁力で反発しあうから、押圧部材の曲がり変形量が小さく抑えられて、押圧部材がスペーサ孔の内周面に衝突しにくくなる。
また、本発明に係るキャリッジアセンブリの組立装置は、上記課題を解決するために、次の構成を備える。
すなわち、請求項1記載のキャリッジアセンブリの組立方法に用いるキャリッジアセンブリの組立装置であって、前記組み付け工程で各前記キャリッジアームにそれぞれ前記サスペンションが組み付けられた状態で、隣接するキャリッジアーム間のそれぞれに挿入され、前記スペーサ孔に連通するよう貫通孔が形成された間隙保持板と、前記複数のキャリッジアームの並び方向からキャリッジアームをクランプして保持するキャリッジ保持手段と、各前記スペーサ部の前記スペーサ孔周縁部をかしめて、各前記サスペンションを各前記キャリッジアームの先端部に取り付けるために、直径寸法がスペーサ孔の内径寸法以上のボールを、各サスペンションのスペーサ孔に次々に通過させるよう、棒状の押圧部材で前記中心軸線方向に押圧する押圧手段と、前記押圧部材に超音波振動を印加する超音波振動印加手段と、前記ボールが前記スペーサ孔の一つを通過した後、該スペーサ孔よりボールの通過方向後方に位置する前記間隙保持板の前記貫通孔の内径を、スペーサ孔の内径よりも縮径させる貫通孔縮径手段とを備えることを特徴とする。
これによれば、押圧部材は、変形した際、間隙保持板の貫通孔の内周面に衝突して、スペーサ孔の内周面には衝突しにくくなる。
また、請求項2記載のキャリッジアセンブリの組立方法に用いるキャリッジアセンブリの組立装置であって、前記組み付け工程で各前記キャリッジアームにそれぞれ前記サスペンションが組み付けられた状態で、隣接するキャリッジアーム間のそれぞれに挿入され、前記スペーサ孔に連通するよう貫通孔が形成された間隙保持板と、前記複数のキャリッジアームの並び方向からキャリッジアームをクランプして保持するキャリッジ保持手段と、各前記スペーサ部の前記スペーサ孔周縁部をかしめて、各前記サスペンションを各前記キャリッジアームの先端部に取り付けるために、直径寸法がスペーサ孔の内径寸法以上のボールを、各サスペンションのスペーサ孔に次々に通過させるよう、棒状の押圧部材で前記中心軸線方向に押圧する押圧手段と、前記押圧部材に超音波振動を印加する超音波振動印加手段とを備え、前記押圧部材には、前記超音波振動のノーダルポイントの位置に、他の部位よりも径が太く、前記貫通孔の内径よりも細径の太径部が形成されていることを特徴とする。
これによれば、押圧部材の太径部が間隙保持板の貫通孔の内周面に衝突することで、押圧部材の曲がり変形量が小さく抑えられるから、押圧部材はスペーサ孔の内周面に衝突しにくくなる。
さらに、前記太径部は、表面形状が球面状に形成されていることを特徴とする。
また、前記押圧部材の前記太径部が前記スペーサ孔内に進入するまでの間、太径部を揺れないように保持する太径部保持手段を備えることを特徴とする。
これによれば、押圧部材の太径部がスペーサ孔内に進入するまでの間においても、太径部の揺れが抑えられて押圧部材の曲がり変形量が小さく抑えられるから、押圧部材はスペーサ孔の内周面に衝突しにくくなる。
また、請求項5記載のキャリッジアセンブリの組立方法に用いるキャリッジアセンブリの組立装置であって、前記組み付け工程で各前記キャリッジアームにそれぞれ前記サスペンションが組み付けられた状態で、隣接するキャリッジアーム間のそれぞれに挿入され、前記スペーサ孔に連通するよう貫通孔が形成された間隙保持板と、前記複数のキャリッジアームの並び方向からキャリッジアームをクランプして保持するキャリッジ保持手段と、各前記スペーサ部の前記スペーサ孔周縁部をかしめて、各前記サスペンションを各前記キャリッジアームの先端部に取り付けるために、直径寸法がスペーサ孔の内径寸法以上のボールを、各サスペンションのスペーサ孔に次々に通過させるよう、棒状の押圧部材で前記中心軸線方向に押圧する押圧手段と、前記押圧部材に超音波振動を印加する超音波振動印加手段とを備え、少なくとも、前記間隙保持板の前記貫通孔の内周面、および、前記押圧部材の前記スペーサ孔内に進入する部位は、互いに同極に磁化されていることを特徴とする。
これによれば、間隙保持板の貫通孔の内周面と、押圧部材とが磁力で反発しあうから、押圧部材の曲がり変形量が小さく抑えられて、押圧部材がスペーサ孔の内周面に衝突しにくくなる。
発明の効果
本発明に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置によれば、ボールを押圧する押圧部材がスペーサ部のスペーサ孔の内周面等に衝突することを抑えることで、スペーサ部の変形によるサスペンションの基準角度からの傾きを極力なくすことができる。
本発明の実施例1に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置を示す説明図である。 本発明の実施例1に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置の別の構成例を示す説明図である。 図3A及び図3Bは、本発明の実施例1に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置における、間隙保持板の構成を示す説明図である。 本発明の実施例2に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置を示す説明図である。 本発明の実施例2に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置を示す説明図である。 本発明の実施例3に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置を示す説明図である。 キャリッジアセンブリの外観図である。 金属ボール(ボール)をサスペンションのスペーサ孔に通してサスペンションをキャリッジアームにかしめて固定する作用を示す説明図である。 キャリッジアセンブリの組立方法を示す説明図である。 従来のキャリッジアセンブリの組立方法を示す説明図である。 曲がり変形した押圧部材(超音波ホーン)を示す説明図である。
本実施の形態に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置において組み立ての対象となるキャリッジアセンブリは、図7に示したキャリッジアセンブリであり、その構成については、従来の技術で説明したため、説明を省略する。
(実施例1)
図1および図2は、本実施例1に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置を示す説明図である。本実施例1に係るキャリッジアセンブリの組立装置は、キャリッジ保持手段としての与圧板37a,37bと、間隙保持板36と、金属ボール20を押圧する押圧手段38と、押圧部材40(後述)を介して金属ボール20に超音波振動を印加する超音波振動印加手段としての超音波発振装置42と、貫通孔縮径手段46とを備える。
キャリッジ保持手段としての与圧板37a,37bは、複数のキャリッジアーム10の各先端部に形成された嵌合孔10aに、サスペンション12のスペーサ孔12bを位置合わせして、各キャリッジアーム10にそれぞれサスペンション12を組み付け、隣接するキャリッジアーム10の間に間隙保持板36を挿入した状態で、キャリッジアーム10を両側からクランプして支持する。
各間隙保持板36には、前記のようにキャリッジアーム10の間に挿入された際に、嵌合孔10aおよびスペーサ孔12bに連通するように設けられた貫通孔36aが形成されている。
また、与圧板37a,37bには、キャリッジアーム10をクランプした際に嵌合孔10aおよびスペーサ孔12bに連通するよう設けられた開口部37c,37dがそれぞれ形成されている。
押圧手段38は、棒状(円柱状)の押圧部材40(超音波ホーン)と、押圧部材40を移動制御可能な駆動装置44とから成る。押圧部材40は、駆動装置44によってその軸線に沿って移動駆動され、与圧板37a,37bにクランプされた各キャリッジアーム10の各嵌合孔10a、および各嵌合孔10aに位置合わせされた各スペーサ孔12bに、その中心軸線に沿って進入および退出するよう設けられる。
超音波振動印加手段としての超音波発振装置42は、押圧部材40に連繋された超音波振動子を有し、その超音波振動子を超音波振動させることにより、押圧部材40に超音波振動を印加する。超音波発振装置42が印加する超音波振動の振動方向は、特に限定されるものではないが、押圧部材40の軸線方向である(いわゆる縦波である)。
貫通孔縮径手段46は、押圧部材40に掛かる荷重応力を検出するロードセルと、間隙保持板36の貫通孔36aの内径を、スペーサ孔12bの内径よりも縮径させる縮径機構を駆動制御する、コンピュータから成る制御部とを有する。なお、貫通孔36aの内径は、縮径させた状態であっても、押圧部材40の外径よりも大径となるよう構成される。
前記縮径機構は、例えば図3A,Bに示すように、間隙保持板36を、それぞれ半円状の切り欠き部を有する2枚の板で構成し、2枚の板を、各切り欠き部を対向させて配設することで、各切り欠き部を繋げて一つの貫通孔36aを形成するように設ける。そして、間隙保持板36をキャリッジアーム10の間に挿入する際には、2枚の板の間に若干の間隙を設けておき(図3A参照)、例えばソレノイドにより両者の間隔を縮める駆動制御を行うことで、貫通孔36aを縮径させる(図3B参照)機構とすればよい。
または、縮径機構は、間隙保持板36を圧電素子で構成して、圧電素子に電圧を印加した際の変形を利用して、貫通孔36aを縮径させる機構としてもよい。
次に、本実施例1に係るキャリッジアセンブリの組立装置を用いたキャリッジアセンブリの組立方法を説明する。
(組み付け工程)
まず、各キャリッジアーム10の各先端部に形成された嵌合孔10aのそれぞれに、サスペンション12を、スペーサ孔を位置合わせして重ね合わせて組み付ける。サスペンション12は、並列するキャリッジアーム10のうち両端のものを除いて、各キャリッジアーム10の表裏にそれぞれ組み付ける。
(保持工程)
続いて、このキャリッジアセンブリをキャリッジアセンブリの組立装置に保持する。すなわち、図1に示すように、隣接するキャリッジアーム10の間に間隙保持板36を挿入し、キャリッジアーム10の両端面に与圧板37a、37bを当接させて、キャリッジアーム10を、その並び方向の両側から挟んで保持した状態とする。
(かしめ工程)
この状態で、押圧手段38により、スペーサ孔12bに金属ボール20を通過させる。
すなわち、まず、金属ボール20を、並列するキャリッジアーム10のうちの最端のもの(本例では与圧板37a側)に取り付けられたサスペンション12のスペーサ孔12bに位置合わせして、スペーサ孔12bの片側に配する。続いて、駆動装置44により押圧部材40を移動制御して、押圧部材40の先端部を金属ボール20に当接させて、押圧部材40をスペーサ孔12bに挿入するよう移動させる。この際、超音波発振装置42を駆動して、押圧部材40に対し超音波振動を印加しつつ、金属ボール20を各スペーサ孔12bに次々に通過させる。
金属ボール20はスペーサ孔12bよりも若干大径に形成されているから、スペーサ孔12bを通過させる際に、スペーサ孔12bの内周縁に形成されたかしめ部13を押し広げるように作用し、これによってキャリッジアーム10にサスペンション12のスペーサ部12aが食い付くようにかしめられて固定される。
さて、本実施例1に係るキャリッジアセンブリの組み立て方法では、このかしめ工程の最中において、貫通孔縮径手段46が実行される。
貫通孔縮径手段46の制御部は、金属ボール20がスペーサ孔12bの一つを通過することで、押圧部材40に掛かる荷重応力が急激に下がったことを前記ロードセルにより検出したときに、前記縮径機構を駆動制御して、図2に示すように、その通過したスペーサ孔12bよりも金属ボール20の通過方向後方に位置する間隙保持板36の貫通孔36aの内径を縮径させる。
これによれば、押圧部材40は、曲がるように変形した際に、間隙保持板36の貫通孔36aの内周面に衝突して、スペーサ孔12bの内周面には衝突しにくくなる。
したがって、スペーサ部12aが押圧部材40の衝突によって変形することを抑えることができ、よって、スペーサ部12aの変形によってサスペンション12が基準角度から傾いてしまうことを抑えることができる。
(実施例2)
次に、本発明に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置の実施例2を、図4および図5を用いて説明する。なお、実施例2において、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施例2に係るキャリッジアセンブリの組立装置は、実施例1における貫通孔縮径手段46に替わる、押圧部材40の変形量を抑えるための機構を有する。その機構について説明する。
図4に示すように、実施例2に係るキャリッジアセンブリの組立装置の押圧部材40には、超音波発振装置42により印加される超音波振動のノーダルポイント(振幅がない箇所)の位置に、他の部位よりも径が太く、貫通孔36aの内径よりも細径の太径部40aが形成されている。太径部40aの表面形状は球面状に形成されている。
さらに、実施例2に係るキャリッジアセンブリの組立装置は、太径部40aがスペーサ孔12b内に進入するまでの間、太径部40aを揺れないように保持する太径部保持手段47を備える。太径部保持手段47は、押圧部材40の移動に合わせて移動可能に設けられる。
実施例2に係るキャリッジアセンブリの組立装置を用いたキャリッジアセンブリの組立方法の構成は、貫通孔縮径手段46に替えて太径部保持手段47を用いる点、および、太径部40aを利用する点を除いて、実施例1と同一である。以下、実施例1と異なる構成について説明する。
本実施例2においては、まず、図4に示すように、太径部保持手段47により、太径部40aを挟むようにして保持した状態で、かしめ工程を開始する。また、太径部保持手段47は、太径部40aがスペーサ孔12b内に進入するまでの間、押圧部材40の移動に合わせて移動して、太径部40aを保持し続ける。そして、太径部40aがスペーサ孔12bの直前まで達した際に、太径部保持手段47による保持を解除する。
なお、太径部保持手段47は、この構成に限定されず、例えば開口部内に太径部40aを挿入する構成としてもよい。この場合には、開口部の軸線方向の長さを、押圧部材40の移動距離以上に設定しておけば、太径部保持手段47を必ずしも押圧部材40の移動に合わせて移動させる必要はない。
太径部保持手段47による保持を解除した後は、図5に示すように、駆動装置44により押圧部材40を移動させて、各スペーサ孔12bを次々かしめる。
ここで、金属ボール20がスペーサ孔12bを抜けて、押圧部材40の荷重応力が急激に下がり、押圧部材40を曲がり変形させる力がはたらいた際、本実施例2の構成によれば、太径部40aが間隙保持板36の貫通孔36aの内周面に当たることで、押圧部材40がスペーサ孔12bの内周部に当たってスペーサ部12aを変形させてしまうことを防ぐことができる。
また、かしめ工程において、押圧部材40の太径部40aがスペーサ孔12b内に進入するまでの間においても、太径部保持手段47により、超音波振動のノーダルポイントの位置の太径部40aを保持するから、押圧部材40の曲がり変形量が小さく抑えられて、押圧部材40がスペーサ孔12bの内周面に衝突しにくくなり、スペーサ部12aを変形させてしまうことを防ぐことができる。
(実施例3)
次に、本発明に係るキャリッジアセンブリの組立方法および組立装置の実施例3を、図7を用いて説明する。なお、実施例3において、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施例3に係るキャリッジアセンブリの組立装置は、実施例1における貫通孔縮径手段46に替わる、押圧部材40の変形量を抑えるための構成として、少なくとも、間隙保持板36の貫通孔36aの内周面、および、押圧部材40のスペーサ孔12b内に進入する部位を、互いに同極に磁化する構成を採用している。
図7に示す構成において、間隙保持板36の貫通孔36aの内周面、および、押圧部材40が互いに同極に磁化(例えば両方ともN極に磁化)されていることにより、押圧部材40が間隙保持板36の内周面に対して反発して、金属ボール20がスペーサ孔12bを通過した際の押圧部材40の曲がり変形量を抑えることができる。したがって、押圧部材40がスペーサ孔12bの内周面に衝突しにくくなり、スペーサ部12aを変形させてしまうことを防ぐことができる。

Claims (10)

  1. 磁気ディスク装置に用いられる並列した複数のキャリッジアームの各先端部に、互いに中心軸線が一致するよう形成された嵌合孔に、サスペンションのスペーサ部に設けられたスペーサ孔を位置合わせして、各キャリッジアームにそれぞれサスペンションを組み付ける組み付け工程と、
    隣接する前記キャリッジアーム間のそれぞれに、前記スペーサ孔に連通するよう貫通孔が形成された間隙保持板を挿入するとともに、キャリッジアームの並び方向からキャリッジアームをクランプして保持する保持工程と、
    直径寸法が前記スペーサ孔の内径寸法以上のボールを、超音波振動させた棒状の押圧部材により押して、各前記サスペンションのスペーサ孔に次々に通過させることで、各前記スペーサ部のスペーサ孔周縁部をかしめて、各サスペンションを各前記キャリッジアームの先端部に取り付けるかしめ工程とを含み、
    該かしめ工程では、前記ボールが前記スペーサ孔の一つを通過した後、該スペーサ孔よりボールの通過方向後方に位置する前記間隙保持板の前記貫通孔の内径を、スペーサ孔の内径よりも縮径させることを特徴とするキャリッジアセンブリの組立方法。
  2. 磁気ディスク装置に用いられる並列した複数のキャリッジアームの各先端部に、互いに中心軸線が一致するよう形成された嵌合孔に、サスペンションのスペーサ部に設けられたスペーサ孔を位置合わせして、各キャリッジアームにそれぞれサスペンションを組み付ける組み付け工程と、
    隣接する前記キャリッジアーム間のそれぞれに、前記スペーサ孔に連通するよう貫通孔が形成された間隙保持板を挿入するとともに、キャリッジアームの並び方向からキャリッジアームをクランプして保持する保持工程と、
    直径寸法が前記スペーサ孔の内径寸法以上のボールを、超音波振動させた棒状の押圧部材により押して、各前記サスペンションのスペーサ孔に次々に通過させることで、各前記スペーサ部のスペーサ孔周縁部をかしめて、各サスペンションを各前記キャリッジアームの先端部に取り付けるかしめ工程とを含み、
    前記押圧部材には、前記超音波振動のノーダルポイントの位置に、他の部位よりも径が太く、前記貫通孔の内径よりも細径の太径部が形成されていることを特徴とするキャリッジアセンブリの組立方法。
  3. 前記太径部は、表面形状が球面状に形成されていることを特徴とする請求項2記載のキャリッジアセンブリの組立方法。
  4. 前記かしめ工程では、前記押圧部材の前記太径部が前記スペーサ孔内に進入するまでの間、太径部を揺れないように保持することを特徴とする請求項2記載のキャリッジアセンブリの組立方法。
  5. 磁気ディスク装置に用いられる並列した複数のキャリッジアームの各先端部に、互いに中心軸線が一致するよう形成された嵌合孔に、サスペンションのスペーサ部に設けられたスペーサ孔を位置合わせして、各キャリッジアームにそれぞれサスペンションを組み付ける組み付け工程と、
    隣接する前記キャリッジアーム間のそれぞれに、前記スペーサ孔に連通するよう貫通孔が形成された間隙保持板を挿入するとともに、キャリッジアームの並び方向からキャリッジアームをクランプして保持する保持工程と、
    直径寸法が前記スペーサ孔の内径寸法以上のボールを、超音波振動させた棒状の押圧部材により押して、各前記サスペンションのスペーサ孔に次々に通過させることで、各前記スペーサ部のスペーサ孔周縁部をかしめて、各サスペンションを各前記キャリッジアームの先端部に取り付けるかしめ工程とを含み、
    少なくとも、前記間隙保持板の前記貫通孔の内周面、および、前記押圧部材の前記スペーサ孔内に進入する部位は、互いに同極に磁化されていることを特徴とするキャリッジアセンブリの組立方法。
  6. 請求項1記載のキャリッジアセンブリの組立方法に用いるキャリッジアセンブリの組立装置であって、
    前記組み付け工程で各前記キャリッジアームにそれぞれ前記サスペンションが組み付けられた状態で、隣接するキャリッジアーム間のそれぞれに挿入され、前記スペーサ孔に連通するよう貫通孔が形成された間隙保持板と、
    前記複数のキャリッジアームの並び方向からキャリッジアームをクランプして保持するキャリッジ保持手段と、
    各前記スペーサ部の前記スペーサ孔周縁部をかしめて、各前記サスペンションを各前記キャリッジアームの先端部に取り付けるために、直径寸法がスペーサ孔の内径寸法以上のボールを、各サスペンションのスペーサ孔に次々に通過させるよう、棒状の押圧部材で前記中心軸線方向に押圧する押圧手段と、
    前記押圧部材に超音波振動を印加する超音波振動印加手段と、
    前記ボールが前記スペーサ孔の一つを通過した後、該スペーサ孔よりボールの通過方向後方に位置する前記間隙保持板の前記貫通孔の内径を、スペーサ孔の内径よりも縮径させる貫通孔縮径手段とを備えることを特徴とするキャリッジアセンブリの組立装置。
  7. 請求項2記載のキャリッジアセンブリの組立方法に用いるキャリッジアセンブリの組立装置であって、
    前記組み付け工程で各前記キャリッジアームにそれぞれ前記サスペンションが組み付けられた状態で、隣接するキャリッジアーム間のそれぞれに挿入され、前記スペーサ孔に連通するよう貫通孔が形成された間隙保持板と、
    前記複数のキャリッジアームの並び方向からキャリッジアームをクランプして保持するキャリッジ保持手段と、
    各前記スペーサ部の前記スペーサ孔周縁部をかしめて、各前記サスペンションを各前記キャリッジアームの先端部に取り付けるために、直径寸法がスペーサ孔の内径寸法以上のボールを、各サスペンションのスペーサ孔に次々に通過させるよう、棒状の押圧部材で前記中心軸線方向に押圧する押圧手段と、
    前記押圧部材に超音波振動を印加する超音波振動印加手段とを備え、
    前記押圧部材には、前記超音波振動のノーダルポイントの位置に、他の部位よりも径が太く、前記貫通孔の内径よりも細径の太径部が形成されていることを特徴とするキャリッジアセンブリの組立装置。
  8. 前記太径部は、表面形状が球面状に形成されていることを特徴とする請求項7記載のキャリッジアセンブリの組立装置。
  9. 前記押圧部材の前記太径部が前記スペーサ孔内に進入するまでの間、太径部を揺れないように保持する太径部保持手段を備えることを特徴とする請求項7記載のキャリッジアセンブリの組立装置。
  10. 請求項5記載のキャリッジアセンブリの組立方法に用いるキャリッジアセンブリの組立装置であって、
    前記組み付け工程で各前記キャリッジアームにそれぞれ前記サスペンションが組み付けられた状態で、隣接するキャリッジアーム間のそれぞれに挿入され、前記スペーサ孔に連通するよう貫通孔が形成された間隙保持板と、
    前記複数のキャリッジアームの並び方向からキャリッジアームをクランプして保持するキャリッジ保持手段と、
    各前記スペーサ部の前記スペーサ孔周縁部をかしめて、各前記サスペンションを各前記キャリッジアームの先端部に取り付けるために、直径寸法がスペーサ孔の内径寸法以上のボールを、各サスペンションのスペーサ孔に次々に通過させるよう、棒状の押圧部材で前記中心軸線方向に押圧する押圧手段と、
    前記押圧部材に超音波振動を印加する超音波振動印加手段とを備え、
    少なくとも、前記間隙保持板の前記貫通孔の内周面、および、前記押圧部材の前記スペーサ孔内に進入する部位は、互いに同極に磁化されていることを特徴とするキャリッジアセンブリの組立装置。
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