JPWO2008090654A1 - 2層フレキシブル基板とその製造方法及び該2層フレキシブル基板より得られたフレキシブルプリント配線基板 - Google Patents
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Abstract
Description
そして、このCCLを大別すると以下の2つの種類に分けられる。先ず1つ目が、絶縁フィルムと銅箔(導体層)を接着剤で貼り付けたCCL(通常「3層CCL」と呼ばれる)であり、もう1つ目は、絶縁フィルムと銅箔(導体層)とを接着剤を使わずに、キャスティング法、ラミネート法、メタライジング法等により直接、複合させたCCL(通常「2層CCL」と呼ばれる)である。
このため、近年の回路のファインパターン化、高密度実装化を受けて、高価ではあるが薄型化が可能な2層CCLの需要が拡大してきている。
そして上記第3の製造方法を、一般にメタライジング法と呼んでいる。
また、狭幅、狭ピッチの配線部を持ったフレキシブル配線基板を得る場合に、前記金属合金層のクロム量が多い場合に、メタライジング基板を塩化第二鉄や塩化第二銅等の溶液で化学エッチングを行い配線パターンを形成した後、硫酸や塩酸を含む溶液で後処理を行い、さらに過マンガン酸カリウムと水酸化カリウムと水酸化ナトリウムの混合液に浸漬処理を行うことにより金属合金層の溶け残りを除去する工程が用いられている。
そのため、パターン形成工程における液体レジスト塗布後の乾燥時に100〜150℃程度の熱が加えられ、かつ、形成されたパターンにIC等を実装する際のボンディングや半田付けにおいても250℃程度の熱が加えられることを考慮すると、従来のメタライジング法で製造された2層CCLでは、高温でのファインパターン形成・COF実装に適さず、耐熱性の向上が必要不可欠な問題となってきている。
また、配線パターンの高密度化の一方では高電圧で環境下で使用されることが多くなっており、プリント配線基板で絶縁信頼性が重要になってきている。この特性の指標として、恒温恒湿バイアス試験(HHBT試験とも記す場合がある)等が実施されている。
下地金属層としてNi−Cr合金層を設けた2層フレキシブル基板を用いて、たとえば、85℃−85%R.H.の恒温恒湿槽内で、電圧40VでのHHBTを行った場合、配線ピッチ30μmまでは所定の絶縁抵抗値に対し、1000時間以上の絶縁信頼性を確保できるのに対し、サブトラクティブ法で配線ピッチを30μm以下の狭ピッチに加工した場合には、絶縁信頼性を1000時間以上保持することができないというのが実状であった。
また、特許文献3には、アルカリ水溶液により表面処理した芳香族ポリアミドからなるシート状基材上に、スパッタリング法により金属薄膜を形成し、さらにその上に電解めっきを行うことにより得られた銅層のX線回折強度比が0.3≦I(200)/I(111)≦1.0の範囲内で良好なエッチング性を示すことが記載されている。
しかしながら、これらは表面改質の度合いによる高分子フィルム表面形状の違いに起因するものであり、フィルムの表面改質をすることなく基材上の金属薄膜のX線回折強度比をコントロールするといった報告例はない。
本発明の第8の発明は、第1の発明記載の2層フレキシブル基板を、前記フレキシブル基板を用い、エッチング法により所望の銅配線パターンが形成されたことを特徴とするフレキシブルプリント配線基板である。
本発明の第9の発明は、前記パターン形成された23μm以上のピッチの端子間に直流電圧40Vを印加し、85℃−85%R.H.の環境下で、恒温恒湿バイアス試験(HHBT試験)を行った場合、前記端子間抵抗が1000時間以上106Ω以上であることを特徴とするフレキシブルプリント配線基板である。
1)2層フレキシブル基板
本発明に係る2層フレキシブル基板は、絶縁体フィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに乾式めっき法により直接下地金属層を形成し、該下地金属層上に所望の層厚の銅導体層を形成する2層フレキシブル基板において、前記下地金属層は、窒素原子を0.5〜4.8原子%固溶したニッケル−クロムまたはニッケル−クロム−モリブデンを主として含有する結晶質であることを特徴としている。
上記構成を用いることにより、密着性が高く、高い耐熱性を有する銅導体層を形成した2層フレキシブル基板を得ることができる。
ここで、配向度指数K(200)、K(111)は、それぞれ、従来技術では絶縁体フィルムの表面改質等による表面粗さ等の変化の影響を受けることが知られていたわけであるが、本発明では表面改質を行っていない場合でも、下地金属層の成膜雰囲気によって配向度指数が異なっていることに着目し、本明細書においては、絶縁体フィルム表面上に形成された下地金属層について配向度指数を測定している。
尚、K(200)はX線回折(以下、XRDと記す場合がある)測定より得られたfcc構造の(200)面のピークから求めたWillsonの配向度指数、K(111)はfcc構造の(111)面から求めたWillsonの配向度指数を示している。
更に、通常ニッケル基の合金ターゲットの場合、ニッケルの割合が93%より大きいとスパッタリングターゲット自体が強磁性体となってしまい、マグネトロンスパッタリングで成膜する場合には、成膜スピードが低下してしまうため好ましくない。但し、本構成のターゲット組成では、ニッケル量は93%以下となるため、マグネトロンスパッタリング法を用いて成膜した場合でも良好な成膜レートを得ることができる。
このニッケル−クロム合金を主として含有する下地金属層の層厚は、15〜50nmであることが好ましい。ここで、該ニッケル−クロム合金に耐熱性や耐食性を向上する目的で、さらに遷移金属元素を目的特性に合わせて適宜添加することもできる。
先ず、クロムの割合が4〜22重量%であることは、熱劣化によって耐熱ピール強度が著しく低下することを防止するために必要である。そして、クロムの割合が4重量%よりも低下すると、耐熱ピール強度が熱劣化で著しく低下することを防止できなくなるため好ましくない。また、クロムの割合が22重量%よりも多くなると、エッチングが難しくなってくるので好ましくない。このため、クロムの場合、より好ましいのは、4〜15重量%であり、特に好ましいのは5〜12重量%である。
次に、モリブデンの割合は、5〜40重量%であることが、耐食性、絶縁信頼性の向上のために必要である。モリブデンの割合が5重量%よりも少ないと、添加効果が現れず、耐食性、絶縁信頼性の向上が見られないため好ましくない。また、モリブデンの割合が40重量%を超えると、耐熱ピール強度が極端に低下する傾向にあるため好ましくない。
更に、通常ニッケル基の合金ターゲットの場合、ニッケルの割合が93%より大きいとスパッタリングターゲット自体が強磁性体となってしまい、マグネトロンスパッタリングで成膜する場合には、成膜スピードが低下してしまうため好ましくない。但し、本構成のターゲット組成では、ニッケル量は93%以下となるため、マグネトロンスパッタリング法を用いて成膜した場合でも良好な成膜レートを得ることができる。
ところで、該ニッケル−クロム−モリブデン合金に耐熱性や耐食性を向上する目的で遷移金属元素を目的特性に合わせて適宜添加することが可能である。
また、該下地金属層には、該ニッケル−クロム−モリブデン合金以外に、ターゲット作製時に取り込まれるなどして含まれる1重量%以下の不可避不純物が存在していても良い。
このニッケル−クロム−モリブデンを主として含有している下地金属層の膜厚は、3〜50nmの範囲が好ましい。該膜厚が3nmよりも薄いと、配線加工を行う時のエッチング液が染み込み配線部が浮いてしまう等により配線ピール強度が著しく低下するなどの問題が発生するため、好ましくない。また、該膜厚が50nmよりも厚くなると、エッチングを行うことが難しくなるため、好ましくない。
そして、本発明は、上記製造方法で形成されることから、前記下地金属層は主として窒素がクロム近傍に存在している状態であり、X線光電子分光法(以下、XPSと記す場合がある)の状態分析により化学結合エネルギーが396.4〜396.8eV付近にCrNのピークが、および397.2〜397.4eV付近にCr2Nの位置にピークが存在することとなる。
ここで、単位格子体積は、XRD測定で得られたfcc構造の(111)面もしくは(200)面のピーク位置から面間隔を求め、単位格子体積を算出した。
また、上記絶縁体フィルムの厚さは、25〜75μmの範囲にあることが好適である。例えば、厚さが25μm未満であると薄すぎてハンドリング性が悪く、75μmを超えると折り曲げ性が低下するためである。
尚、ガラス繊維等の無機質材料はレーザー加工やケミカルエッチングの障害となるので、無機質材料を含有する基板は使用しないことが望ましい。
また、銅皮膜層を乾式めっき法で形成した後、更に該銅皮膜層の上に湿式めっき法で銅層を積層形成することもできる。
以下、本発明の2層フレキシブル基板の製造方法を詳述する。
本発明においては、上記したようにポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレン系フィルム、ポリフェニレンサルファイド系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルム、液晶ポリマー系フィルムから選ばれた少なくとも1種以上の樹脂フィルムである絶縁体フィルムの片面又は両面に、接着剤を介さずに直接下地金属層を形成し、該下地金属層上に所望の層厚の銅導体層を形成する。
そして、フィルムをセットしたスパッタリング装置内を真空排気後、窒素濃度が0.5〜10体積%の窒素とアルゴンの混合ガスを導入し、装置内を1.3Pa程度に保持し、さらに装置内の巻取巻出ロールに装着した絶縁体フィルムを、例えば、毎分3m程度の速さで搬送しながら、カソードに接続したスパッタリング用直流電源より電力を供給しスパッタリング放電を開始し、フィルム上にニッケル−クロムまたはニッケル−クロム−モリブデンを主として含有する下地金属層をフィルム上に形成する。
なお、この無電解銅めっき液によるめっき銅層の層厚は、基板面におけるピンホールによる欠陥修復が可能でかつ電気銅めっき液処理を施す際に、電気銅めっき液によって溶解されない程度の層厚であればよく、0.01〜1.0μmの範囲であることが好ましい。
このようにして下地金属層上に形成された銅皮膜層の層厚は下地金属層を含めて厚くとも12μm以下にする必要がある。
以下、本発明のフレキシブル配線基板について記述する。
本発明のフレキシブル配線基板は前記フレキシブル基板を用い、エッチング法により所望の銅配線パターンが形成されているフレキシブル配線基板である。
エッチング方法は、塩化第二鉄、塩化第二銅、過硫酸アンモニウムから選択された液により銅皮膜層をエッチング除去する1段目の工程と、塩酸と硫酸からなるエッチング液を用いて窒素原子が固溶したニッケル−クロムまたはニッケル−クロム−モリブデンを主成分とする下地金属層をエッチング除去する2段目の工程からなる。該フレキシブル基板の下地金属層は窒素が固溶しているため、塩化第二鉄、塩化第二銅、過硫酸アンモニウムなどのエッチング液では除去できないため塩酸と硫酸からなるエッチング液によるエッチングが必要である。
また前記フレキシブルプリント配線基板は、直流電圧40Vを、23μm以上のピッチの前記パターン形成された端子間に印加し、85℃−85%R.H.の環境下で、恒温恒湿バイアス試験(HHBT試験)を行った場合、1000時間以上前記端子間抵抗が106Ω以上であることを特徴とするフレキシブルプリント配線基板である。
[実施例]
また、耐熱性の指標としては、1mmのリードフィルムを形成したフィルム基材を、150℃のオーブンに168時間放置し、取り出した後室温になるまで放置した後ものと、さらに過酷な条件での耐熱性の指標として180℃のオーブンに240時間放置し、取り出した後室温になるまで放置した後のものとを、90°ピール強度を評価することで行った。
絶縁信頼性試験であるHHBT試験の測定は、JPCA−ET04に準拠し、サブトラクティブ法またはセミアディティブ法によって塩化第二鉄で銅皮膜層をエッチング除去し、塩酸を8〜12重量%、硫酸を13〜17重量%含有するエッチング液を用いて下地金属層のエッチング除去してパターン形成した試験片を用い、DC40Vを端子間に印加し、85℃85%RH環境下で、1000時間抵抗を観察する。端子間抵抗が106Ω以下となった時点で不良と判断し、1000時間経過後も106Ω以上であれば合格と判断した。
配向度指数比K(200)/K(111)は、XRD測定により得られた面心立方格子fcc構造の(111)面と(200)面の回折ピークからWillson配向度指数K(200)およびK(111)を算出することにより求めた。
また、単位格子体積の算出にはXRD測定で得られたfcc構造の(111)面もしくは(200)面のピークを用い、Kα1−Kα2分離処理を施し得られたKα1ピーク位置を用いた。得られたピーク位置から面間隔を求め、単位格子体積を算出した。
別途同条件で成膜した一部を透過型電子顕微鏡(TEM:日立製作所(株)製)を用いて層厚を測定したところ18nmであった。
また、X線光電子分光法(XPS:VG−Scientific製)を用いて下地金属層中の窒素量を測定したところ2原子%であった。また、化学結合エネルギーが396.4〜396.8eV付近および397.2〜397.4eV付近にピークが見られた。
上記NiCr膜を成膜したフィルム上に、さらにその上に第2層として、Cuターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用いて、スパッタリング法により銅皮膜層を100nmの厚さに形成し、電気めっきで8μmまで成膜した。
得られた2層フレキシブル基板の初期ピール強度は572N/m、150℃耐熱ピール強度は501N/m、180℃耐熱ピール強度は203N/mであった。
また、下地金属層の配向度指数比K(200)/K(111)は0.3、銅皮膜層の配向度指数比K(200)/K(111)は0.01であった。さらに下地金属層の単位格子体積は44.655×103nm3であった。
得られた導電性金属層である銅層の表面に、ドライフィルムをラミネートして感光性レジスト膜を形成後、露光・現像して、配線ピッチが28μm(ライン幅;14μm、スペース幅;14μm)、および、23μm(ライン幅:11μm、スペース幅:12μm)となるように櫛歯試験片を形成し、このパターンをマスキング材として、銅層を第二鉄溶液40°Be(ボーメ)を用いてエッチングし、さらに酸性エッチング液CH−1920(メック(株)製)に50℃、2分間浸漬した後、レジストを除去して試験片を作製した(サブトラクティブ法)。
また、回路エッチングを行った後に、錫めっき処理工程を設け、回路上に錫めっきを行った。錫めっきには、錫めっき液としてシプレー・ファーイースト(株)製のLT−34を用い、溶液温度75℃で約0.6μm相当をめっきし、該サンプルを150℃、1時間熱処理した。その後、絶縁信頼性試験を3サンプルについて行ったが、いずれも試験後の抵抗が106Ω以上であった。
別途同条件で成膜した一部を透過型電子顕微鏡(TEM:日立製作所(株)製)を用いて層厚を測定したところ18nmであった。また、X線光電子分光法(XPS:VG−Scientific製)を用いて下地金属層中の窒素量を測定したところ4原子%であった。また、化学結合エネルギーが396.4〜396.8eV付近および397.2〜397.4eV付近にピークが見られた。
上記NiCr膜を成膜したフィルム上に、さらにその上に第2層として、Cuターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用いて、スパッタリング法により銅皮膜層を100nmの厚さに形成し、電気めっきで8μmまで成膜した。
得られた2層フレキシブル基板の初期ピール強度は567N/m、150℃耐熱ピール強度は507N/m、180℃耐熱ピール強度は201N/mであった。また、下地金属層の配向度指数比K(200)/K(111)は10.9、銅皮膜層の配向度指数比K(200)/K(111)は2.08であった。さらに下地金属層の単位格子体積は45.783×103nm3であった。
得られた導電性金属層である銅層の表面に、ドライフィルムをラミネートして感光性レジスト膜を形成後、露光・現像して、配線ピッチが28μm(ライン幅;14μm、スペース幅;14μm)および、23μm(ライン幅:11μm、スペース幅:12μm)となるように櫛歯試験片を形成し、このパターンをマスキング材として、銅層を第二鉄溶液40°Be(ボーメ)を用いてエッチングし、さらに酸性エッチング液CH−1920(メック(株)製)に50℃、2分間浸漬した後、レジストを除去して試験片を作製した(サブトラクティブ法)。
また、回路エッチングを行った後に、錫めっき処理工程を設け、回路上に錫めっきを行った。錫めっきには、錫めっき液としてシプレー・ファーイースト(株)製のLT−34を用い、溶液温度75℃で約0.6μm相当をめっきし、該サンプルを150℃、1時間熱処理した。その後、絶縁信頼性試験を3サンプルについて行ったが、いずれも試験後の抵抗が106Ω以上であった。
別途同条件で成膜した一部を透過型電子顕微鏡(TEM:日立製作所(株)製)を用いて層厚を測定したところ18nmであった。また、X線光電子分光法(XPS:VG−Scientific製)を用いて下地金属層中の窒素量を測定したところ4.8原子%であった。また、化学結合エネルギーが396.4〜396.8eV付近および397.2〜397.4eV付近にピークが見られた。
上記NiCr膜を成膜したフィルム上に、さらにその上に第2層として、Cuターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用いて、スパッタリング法により銅皮膜層を100nmの厚さに形成し、電気めっきで8μmまで成膜した。
得られた2層フレキシブル基板の初期ピール強度は573N/m、150℃耐熱ピール強度は531N/m、180℃耐熱ピール強度は200N/mであった。また、下地金属層の配向度指数比K(200)/K(111)は20.1、銅皮膜層の配向度指数比K(200)/K(111)は5.86であった。さらに下地金属層の単位格子体積は46.415×103nm3であった。
得られた導電性金属層である銅層の表面に、ドライフィルムをラミネートして感光性レジスト膜を形成後、露光・現像して、配線ピッチが28μm(ライン幅;14μm、スペース幅;14μm)および、23μm(ライン幅:11μm、スペース幅:12μm)となるように櫛歯試験片を形成し、このパターンをマスキング材として、銅層を第二鉄溶液40°Be(ボーメ)を用いてエッチングし、さらに酸性エッチング液CH−1920(メック(株)製)に50℃、2分間浸漬した後、レジストを除去して試験片を作製した(サブトラクティブ法)。
また、回路エッチングを行った後に、錫めっき処理工程を設け、回路上に錫めっきを行った。錫めっきには、錫めっき液としてシプレー・ファーイースト(株)製のLT−34を用い、溶液温度75℃で約0.6μm相当をめっきし、該サンプルを150℃、1時間熱処理した。その後、絶縁信頼性試験を3サンプルについて行ったが、いずれも試験後の抵抗が106Ω以上であった。
(比較例1)
別途同条件で成膜した一部を透過型電子顕微鏡(TEM:日立製作所(株)製)を用いて層厚を測定したところ18nmであった。また、X線光電子分光法(XPS:VG−Scientific製)を用いて下地金属層中の窒素量を測定したところ0.1原子%未満であった。また、化学結合エネルギーが396.4〜396.8eV付近および397.2〜397.4eV付近にピークは見られなかった。
上記NiCr膜を成膜したフィルム上に、さらにその上に第2層として、Cuターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用いて、スパッタリング法により銅皮膜層を100nmの厚さに形成し、電気めっきで8μmまで成膜した。
得られた2層フレキシブル基板の初期ピール強度は584N/m、150℃耐熱ピール強度は425N/m、180℃耐熱ピール強度は127N/mであった。また、下地金属層の配向度指数比K(200)/K(111)は0、銅皮膜層の配向度指数比K(200)/K(111)は0であった。さらに下地金属層の単位格子体積は44.433×103nm3であった。
得られた導電性金属層である銅層の表面に、ドライフィルムをラミネートして感光性レジスト膜を形成後、露光・現像して、配線ピッチが28μm(ライン幅;14μm、スペース幅;14μm)および、23μm(ライン幅:11μm、スペース幅:12μm)となるように櫛歯試験片を形成し、このパターンをマスキング材として、銅層を第二鉄溶液40°Be(ボーメ)を用いてエッチングし、さらに酸性エッチング液CH−1920(メック(株)製)に50℃、2分間浸漬した後、レジストを除去して試験片を作製した(サブトラクティブ法)。
また、回路エッチングを行った後に、錫めっき処理工程を設け、回路上に錫めっきを行った。錫めっきには、錫めっき液としてシプレー・ファーイースト(株)製のLT−34を用い、溶液温度75℃で約0.6μm相当をめっきし、該サンプルを150℃、1時間熱処理した。その後、絶縁信頼性試験を3サンプルについて行ったが、いずれも試験後の抵抗が106Ω以下になりショート不良となった。
(比較例2)
別途同条件で成膜した一部を透過型電子顕微鏡(TEM:日立製作所(株)製)を用いて層厚を測定したところ18nmであった。また、X線光電子分光法(XPS:VG−Scientific製)を用いて下地金属層中の窒素量を測定したところ5原子%であった。また、化学結合エネルギーが396.4〜396.8eV付近および397.2〜397.4eV付近にピークが見られた。
上記NiCr膜を成膜したフィルム上に、さらにその上に第2層として、Cuターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用いて、スパッタリング法により銅皮膜層を100nmの厚さに形成し、電気めっきで8μmまで成膜した。
得られた2層フレキシブル基板の初期ピール強度は553N/m、150℃耐熱ピール強度は480N/m、180℃耐熱ピール強度は131N/mであった。また、下地金属層の配向度指数比K(200)/K(111)は22.3、銅皮膜層の配向度指数比K(200)/K(111)は8.45であった。さらに下地金属層の単位格子体積は46.897×103nm3であった。
得られた導電性金属層である銅層の表面に、ドライフィルムをラミネートして感光性レジスト膜を形成後、露光・現像して、配線ピッチが28μm(ライン幅;14μm、スペース幅;14μm)および、23μm(ライン幅:11μm、スペース幅:12μm)となるように櫛歯試験片を形成し、このパターンをマスキング材として、銅層を第二鉄溶液40°Be(ボーメ)を用いてエッチングし、さらに酸性エッチング液CH−1920(メック(株)製)に50℃、2分間浸漬した後、レジストを除去して試験片を作製した(サブトラクティブ法)。
また、回路エッチングを行った後に、錫めっき処理工程を設け、回路上に錫めっきを行った。錫めっきには、錫めっき液としてシプレー・ファーイースト(株)製のLT−34を用い、溶液温度75℃で約0.6μm相当をめっきし、該サンプルを150℃、1時間熱処理した。その後、絶縁信頼性試験を3サンプルについて行ったが、いずれも試験後の抵抗が106Ω以上であった。
実施例1〜3の2層フレキシブル基板においては、絶縁体フィルム上に乾式めっき法により直接形成された下地金属層が、該下地金属層を形成する際の雰囲気がアルゴンと窒素の混合ガス雰囲気下であって、窒素濃度が本発明の効果が現れる好適な範囲にあり、得られる前記下地金属層は、結晶質であり、窒素原子が金属層中に、本発明の効果が現れる好適な範囲で固溶しており、なおかつ該下地金属層が、fcc構造の(111)面と(200)面の配向度指数比で0.1≦K(200)/K(111)≦21.0となることを満たしており、150℃耐熱ピール強度、180℃耐熱ピール強度とも優れていることがわかる。
また、絶縁信頼性試験においても、23μm以上のピッチで、1000時間経過後も106Ω以上の端子間抵抗を保持しており、優れていることがわかる。
一方、比較例1〜2の2層フレキシブル基板においては、絶縁体フィルム上に乾式めっき法により直接形成された下地金属層が、比較例1では、該下地金属層を形成する際の雰囲気がアルゴンのみであり、下地金属層の(200)配向は発現しておらず、結果として、150℃耐熱ピール強度、180℃耐熱ピール強度とも実施例に比べて劣ることがわかる。
また、比較例2では、アルゴンと窒素の混合ガス雰囲気下ではあるが窒素濃度が本発明の好適な範囲を外れて多く混合されており、得られる前記下地金属層のfcc構造の(111)面と(200)面の配向度指数比は大きくなっているが、150℃耐熱ピール強度は実施例に対し若干劣り、180℃耐熱ピール強度は明らかに劣っていることがわかる。
Claims (16)
- 絶縁体フィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに乾式めっき法により直接下地金属層を形成し、該下地金属層上に所望の層厚の銅導体層を形成する2層フレキシブル基板において、
前記下地金属層は、窒素原子を0.5〜4.8原子%固溶したニッケル−クロムまたはニッケル−クロム−モリブデンを主として含有する結晶質であることを特徴とする2層フレキシブル基板。 - 前記下地金属層の結晶質は、fcc構造の(111)面と(200)面の配向度指数比が0.1≦K(200)/K(111)≦21.0の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の2層フレキシブル基板。
- 前記下地金属層は、主として窒素がクロム近傍に存在している状態であり、XPS状態分析で化学結合エネルギーが396.4〜396.8eVおよび397.2〜397.4eVの位置にピークが存在することを特徴とする請求項1記載の2層フレキシブル基板。
- 前記下地金属層の単位格子体積は、窒素が固溶していない状態と比較して100.0〜104.5%の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の2層フレキシブル基板。
- 前記銅導体層は、fcc構造の(111)面と(200)面の配向度指数比が0.01≦K(200)/K(111)≦7.0の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の2層フレキシブル基板。
- 前記絶縁体フィルムは、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレン系フィルム、ポリフィニレンサルファイド系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルム、液晶ポリマー系フィルムから選ばれた少なくとも1種以上の樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1記載の2層フレキシブル基板。
- 前記乾式めっき法は、真空蒸着法、スパッタリング法、またはイオンプレーティング法のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の2層フレキシブル基板。
- 前記フレキシブル基板を用い、エッチング法により所望の銅配線パターンが形成されたことを特徴とするフレキシブルプリント配線基板。
- 前記パターン形成された23μm以上のピッチの端子間に直流電圧40Vを印加し、85℃−85%R.H.の環境下で、恒温恒湿バイアス試験(HHBT試験)を行った場合、前記端子間抵抗が1000時間以上106Ω以上であることを特徴とする請求項8記載のフレキシブルプリント配線基板。
- 絶縁体フィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに乾式めっき法により直接下地金属層を形成し、該下地金属層上に所望の層厚の銅導体層を形成する2層フレキシブル基板の製造方法であって、
前記乾式めっき法による下地金属層の形成は、窒素濃度が0.5〜10体積%のアルゴンと窒素の混合ガス雰囲気下で行われることを特徴とする2層フレキシブル基板の製造方法。 - 得られた下地金属層は、窒素原子を0.5〜4.8原子%固溶したニッケル−クロムまたはニッケル−クロム−モリブデンを主として含有する結晶質であり、且つ該下地金属層の結晶質は、fcc構造の(111)面と(200)面の配向度指数比が0.1≦K(200)/K(111)≦21.0の範囲にあることを特徴とする請求項10記載の2層フレキシブル基板の製造方法。
- 前記下地金属層は、主として窒素がクロム近傍に存在している状態であり、XPS状態分析で化学結合エネルギーが396.4〜396.8eVおよび397.2〜397.4eVの位置にピークが存在することを特徴とする請求項10記載の2層フレキシブル基板の製造方法。
- 前記下地金属層の単位格子体積は、窒素が固溶していない状態と比較して100.0〜104.5%の範囲にあることを特徴とする請求項10記載の2層フレキシブル基板の製造方法。
- 前記銅導体層は、fcc構造の(111)面と(200)面の配向度指数比が0.01≦K(200)/K(111)≦7.0の範囲にあることを特徴とする請求項10記載の2層フレキシブル基板の製造方法。
- 前記絶縁体フィルムが、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレン系フィルム、ポリフィニレンサルファイド系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルム、液晶ポリマー系フィルムから選ばれた少なくとも1種以上の樹脂フィルムであることを特徴とする請求項10記載の2層フレキシブル基板の製造方法。
- 前記乾式めっき法は、真空蒸着法、スパッタリング法、またはイオンプレーティング法のいずれかであることを特徴とする請求項10記載の2層フレキシブル基板の製造方法。
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