JP2014241451A - 銅導電体層付き抵抗薄膜素子 - Google Patents
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Abstract
Description
この抵抗薄膜を用いた抵抗素子を内蔵するプリント基板では、受動部品の製造に利用するために、銅箔上に抵抗薄膜を形成した後、抵抗薄膜面を接着面として、接着剤を用いて樹脂フィルムに貼り付けた抵抗薄膜付き銅張り樹脂フィルム(銅張り抵抗フィルム)が市販されている。
ここで、サブトラクティブ法とは、抵抗薄膜付き銅張りフィルムの銅の表面にレジスト層を設け、そのレジスト層の上に所定の配線パターンを有するマスクを設け、その上から紫外線を照射して露光し、現像して銅と抵抗薄膜をエッチングするためのエッチングマスクを得、次いで露出している銅をエッチングして除去し、次いで残存するレジスト層を除去する。抵抗薄膜を露出させるには、同様の方法で銅をエッチング除去する。
さらに、耐環境特性の指標は、電子機器で一般的な85℃−85%RHの環境下における通電試験での抵抗値の変化率が、一定以内であることが要求されている。特に、銅箔付抵抗基板として、プリント配線板などと同様な微細配線に加工されて使用される用途では、プリント配線基板に必要とされる耐候性と同等の特性が要求される。
すなわち、抵抗薄膜素子の膜厚が薄ければ、所望の耐候性が得られないこととなる。例えば、耐候性評価の環境下(耐環境試験)、温度85℃、相対湿度85%RHの雰囲気下では、抵抗薄膜素子が水などで侵食されることがあり、抵抗薄膜素子全体で受ける浸食の割合が大きければ、抵抗値の変化率は高くなる。したがって、抵抗薄膜素子全体での侵食を受ける割合を低くするために、本発明の膜厚と抵抗値変化率の関係が必要となる。
なお、Cr含有率が13重量%〜14重量%の間で、耐候性は、急激に向上するので、係数αを定めることが困難である。
絶縁基材の少なくとも一方の面に、抵抗層を乾式めっき法で形成し、その抵抗層の表面に銅導電体層を形成して絶縁基板の表面に抵抗層と銅導電体層の積層構造を有する銅張積層基板を形成する。その銅張積層基板を、公知のサブトラクティブ法やセミアディティブ法で抵抗薄膜素子と銅配線のパターンを形成する。
この乾式めっき法には、スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法、真空蒸着法、CVD法等があり、いずれを用いても良い。工業的には、生産効率の高さからマグネトロンスパッタリング法が用いることが望ましい。例えば、スパッタリング法やマグネトロンスパッタリング法では、抵抗層の組成のスパッタリングターゲットを用いれば、ターゲットと略同じ組成の抵抗層を得ることが可能である。この抵抗層の膜厚を上述の通り抵抗層の種類に応じた係数αと耐環境試験における目標抵抗値変化率ΔRとの関係に留意して成膜する。
長尺な樹脂フィルムを用いると、公知のロールツーロールスパッタリング成膜装置や電解めっき装置を用いることができるので生産効率が向上する。もちろん、セラミック板、板ガラス、樹脂板のような基材であっても、枚葉式のスパッタリング装置や電解めっき装置を用いれば本発明の抵抗薄膜素子を製造することはできる。
サブトラクティブ法で用いることができるエッチング液は、塩化第二鉄等の公知のエッチング液を用いることができ、塩酸での後処理や、過マンガン酸塩を併用しても良い。また、抵抗層のみを残す場合等においては、アンモニア系などの銅のみを選択エッチングし、Ni−Cr合金層を溶かさない液等を用いることができる。
この場合、抵抗薄膜素子としたい箇所には銅の電解めっきを施さないことと、銅導電体層の膜厚を増した後に、銅のみをソフトエッチングして、抵抗薄膜素子の抵抗層を露出させることと、不要となる抵抗層のみをエッチング除去すればよい。
耐候性を測る耐環境試験は、40μm×30mm幅の配線を塩化第二鉄液を用いたエッチングで形成するサブトラクティブ法、あるいは、電気めっきによって形成するセミアディティブ法によって作製された試験片を用いて、抵抗測定を行った。
抵抗測定は、85℃−85%RHの恒温恒湿環境下で、端子間にDC3Vを印可しながら、250時間後の抵抗値変化率ΔRmを求めた。
抵抗層の膜厚は、目標抵抗値変化率ΔRを設定し、上記式(3)から、設定したΔRに対する抵抗層の目標膜厚を算出し、その目標膜厚よりも厚く成膜することとした。なお、比較例では目標膜厚よりも薄く成膜している。
そこで、厚み38μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、製品名「カプトン150EN」)を12cm×12cmの大きさに切り出し、フィルム上に抵抗層としてスパッタリング法を用いてNi−20wt%Cr合金を148nm成膜し、その上に導電層としてスパッタリング法で銅被膜層を150nmの厚みに形成した。さらに電気めっきにて、銅を8μmまで形成した。次いでサブトラクティブ法によって、40μm幅のリードとその両端に端子を形成した。両端の端子に銅線をつなぎ、サンプルを恒温恒湿槽に入れた状態で、両端の端子に3Vの電圧を印可して、その抵抗を測定した。
250時間後の抵抗値変化率ΔRm=0.17であった。
厚み38μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、製品名「カプトン150EN」)を12cm×12cmの大きさに切り出し、そのポリイミドフィルム上に抵抗層としてスパッタリング法でNi−20wt%Cr合金を740nm成膜し、その上に導電層としてスパッタリング法で銅被膜層を150nmの厚みに形成した。さらに電気めっきにて、銅を8μmの厚みまで形成した。次いでサブトラクティブ法によって、40μm幅のリードとその両端に端子を形成した。両端の端子に銅線をつなぎ、サンプルを恒温恒湿槽に入れた状態で、両端の端子に3Vの電圧を印可して、その抵抗を測定した。
250時間後の抵抗値変化率ΔRm=0.16であった。
厚み38μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、製品名「カプトン150EN」)を12cm×12cmの大きさに切り出し、フィルム上に抵抗層としてスパッタリング法でNi−14wt%Cr合金を60nm成膜し、その上に導電層としてスパッタリング法で銅被膜層を150nmの厚みに形成した。さらに電気めっきにて、銅を8μmの厚みまで形成した。次いでサブトラクティブ法によって、40μm幅のリードとその両端に端子を形成した。両端の端子に銅線をつなぎ、サンプルを恒温恒湿槽に入れた状態で、両端の端子に3Vの電圧を印可し抵抗を測定した。
250時間後の抵抗値変化率ΔRm=0.48であった。
厚み38μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、製品名「カプトン150EN」)を12cm×12cmの大きさに切り出し、フィルム上に抵抗層としてスパッタリング法でNi−20wt%Cr合金を298nm成膜し、その上に導電層としてスパッタリング法で銅被膜層を150nmの厚みに形成した。さらに電気めっきにて、銅を厚み8μmまで形成した。次いでサブトラクティブ法によって、40μm幅のリードとその両端に端子を形成した。両端の端子に銅線をつなぎ、サンプルを恒温恒湿槽に入れた状態で、両端の端子に3Vの電圧を印可し抵抗を測定した。
250時間後の抵抗値変化率ΔRm=0.08であった。
厚み38μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、製品名「カプトン150EN」)を12cm×12cmの大きさに切り出し、フィルム上に抵抗層としてスパッタリング法でNi−20wt%Cr合金を58nm成膜し、その上に導電層としてスパッタリング法で銅被膜層を150nmの厚みに形成した。さらに電気めっきにて、銅を厚み8μmまで形成した。次いでサブトラクティブ法によって、40μm幅のリードとその両端に端子を形成した。両端の端子に銅線をつなぎ、サンプルを恒温恒湿槽に入れた状態で、両端の端子に3Vの電圧を印可して、その抵抗を測定した。
250時間後の抵抗値変化率ΔRm=0.45であった。
厚み38μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、製品名「カプトン150EN」)を12cm×12cmの大きさに切り出し、フィルム上に抵抗層としてスパッタリング法でNi−20wt%Cr合金を750nm成膜し、その上に導電層としてスパッタリング法で銅被膜層を150nmの厚みに形成した。さらに電気めっきにて、銅を厚み8μmまで形成した。次いでサブトラクティブ法によって、40μm幅のリードとその両端に端子を形成した。両端の端子に銅線をつなぎ、サンプルを恒温恒湿槽に入れた状態で、両端の端子に3Vの電圧を印可して、その抵抗を測定した。
250時間後の抵抗値変化率ΔRm=0.19であった。
厚み38μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、製品名「カプトン150EN」)を12cm×12cmの大きさに切り出し、フィルム上に抵抗層としてスパッタリング法でNi−20wt%Cr合金を750nm成膜し、その上に導電層としてスパッタリング法で銅被膜層を150nmの厚みに形成した。さらに電気めっきにて、銅を厚み8μmまで形成した。次いでサブトラクティブ法によって、40μm幅のリードとその両端に端子を形成した。両端の端子に銅線をつなぎ、サンプルを恒温恒湿槽に入れた状態で、両端の端子に3Vの電圧を印可して、その抵抗を測定した。
250時間後の抵抗値変化率ΔRm=0.18であった。
Ni−7wt%Cr合金を用いた場合に、目標抵抗値変化率ΔRを0.2%とすると、必要な膜厚は725nmとなる。
厚み38μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、製品名「カプトン150EN」)を12cm×12cmの大きさに切り出し、フィルム上に抵抗層としてスパッタリング法でNi−7wt%Cr合金を700nm成膜し、その上に導電層としてスパッタリング法で銅被膜層を150nmの厚みに形成した。さらに電気めっきにて、銅を厚み8μmまで形成した。次いでサブトラクティブ法によって、40μm幅のリードとその両端に端子を形成した。両端の端子に銅線をつなぎ、サンプルを恒温恒湿槽に入れた状態で、両端の端子に3Vの電圧を印可して、その抵抗を測定した。
250時間後の抵抗値変化率ΔRm=0.22であった。
Ni−20wt%Cr合金を用いた場合に、目標抵抗変化率ΔRを0.2%とすると、必要な膜厚は145nmとなる。
厚み38μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、製品名「カプトン150EN」)を12cm×12cmの大きさに切り出し、フィルム上に抵抗層としてスパッタリング法でNi−20wt%Cr合金を100nm成膜し、その上に導電層としてスパッタリング法で銅被膜層を150nmの厚みに形成した。さらに電気めっきにて、銅を厚み8μmまで形成した。次いでサブトラクティブ法によって、40μm幅のリードとその両端に端子を形成した。両端の端子に銅線をつなぎ、サンプルを恒温恒湿槽に入れた状態で、両端に端子に3Vの電圧を印可して、その抵抗を測定した。
250時間後の抵抗の変化率ΔRm=0.24であった。
表1から明らかなように、設定した目標抵抗値変化率ΔRから求めた抵抗層の目標膜厚より厚く抵抗層を成膜された実施例では、作製した銅導電体層付き抵抗薄膜素子の実測した抵抗値変化率ΔRmは、目標抵抗値変化率ΔRより小さな変化率を示し、抵抗値変化率の要求を満足していた。一方、目標膜厚より薄く成膜した比較例では、実測した抵抗値変化率ΔRmは、目標抵抗値変化率ΔRより大きな変化率を示し、抵抗値変化率の要求を満たせなかった。
Claims (5)
- 前記絶縁基材が、樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の銅導電体層付き抵抗薄膜素子。
- 前記樹脂フィルムが、ポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項3に記載の銅導電体層付き抵抗薄膜素子。
- 前記絶縁基材と抵抗層の間に接着剤層を介さないことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の銅導電体層付き抵抗薄膜素子。
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