JP2009004588A - 銅被覆ポリイミド基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに直接、金属シード層を形成し、さらにその上にめっき法によって銅導体層を積層してなる銅被覆ポリイミド基板において、前記ポリイミドフィルムは、酢酸及びジメチルアセトアミドの含有量が、350℃の温度で20分間ヘリウムガス雰囲気下に加熱したときの酢酸及びジメチルアセトアミドの放出量で、それぞれ100mg/kg以下、及び5mg/kg以下であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
ところで、2層めっき基板では、接着剤層の特性による影響を受けずにポリイミドフィルムが本来有している高温安定性を発揮し、さらに種々の信頼性試験をクリアーするために、金属シード層の材質として、例えば、ニッケル、クロムまたはこれらの合金等が採用されている。ところが、銅被覆ポリイミド基板をエッチングにより配線加工した際に、これら金属シード層がポリイミドフィルム上に点状等に残留し、HHBT等の電気的信頼性を低下させるという問題点が指摘されている。したがって、銅被覆ポリイミド基板をエッチングにより配線加工した際に、ポリイミド上に金属シード層が残留することがなく、HHBT等の電気的信頼性を満足することが求められている。
電気絶縁性の向上した銅配線ポリイミドフィルムの製造する方法において、配線パターン部位上のエッチングレジスト層を(剥離により)除去して、ポリイミドを露出させ、露出させたポリイミド表面を、銅箔の表面処理に用いられたNi、Cr、Co、Zn、Sn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属及びこれらの金属を少なくとも1種含む合金を主に除去することができるエッチング液によって洗浄する。(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、上記のようなエッチング液による方法では、複雑なエッチング工程が増加するのみならず、銅被覆ポリイミド基板の電気絶縁性向上のための根本的な解決策が得られなかった。
なお、
前記ポリイミドフィルムは、酢酸及びジメチルアセトアミドの含有量が、350℃の温度で20分間ヘリウムガス雰囲気下に加熱したときの酢酸及びジメチルアセトアミドの放出量で、それぞれ100mg/kg以下、及び5mg/kg以下であることを特徴とする銅被覆ポリイミド基板が提供される。
一般に、金属シード層を形成するスパッタリング工程は、真空下に所定のターゲットを用いてスパッタリングし基板上に金属シード層を形成するものであり、この際に基板に使用する原材料であるポリイミドに含まれる残留ガス成分であるジメチルアセトアミド及び分解生成ガスである酢酸が多く含有されると、ポリイミドフィルムの表面上の一部に残留したままに金属シード層が形成されるものと思われる。このことは、ガスクロマトグラフにより、一般に市販のポリイミドフィルムを加熱すると、残留ガス成分であるジメチルアセトアミド及び分解生成ガスである酢酸が放出されることが認められ、また2層めっき基板をエッチング加工し、形成された配線部を引き剥がした際に、ポリイミドフィルム上に金属シード層が残留し、その残留部の表面を分析した結果、同じ成分が検出されたことにより確認された。
すなわち、金属シード層を被覆する前のポリイミドフィルムを真空中で加熱乾燥し、その残留ガス成分量を変動させたポリイミドフィルムを用いて、金属シード層が残留する頻度との関係を定量的に求めたところ、350℃で20分間ヘリウムガス雰囲気下に加熱した際に放出される酢酸量が100mg/kg以下、ならびにジメチルアセトアミド量が5mg/kg以下であるポリイミドフィルムの場合に、上記エッチングによる配線部を引き剥がした際に、ポリイミドフィルム上に金属シード層が残留することがないことが明らかとなった。ここで、上記条件により求めた酢酸量とジメチルアセトアミド量のいずれかが、この値を超えると、このポリイミドフィルム上に直接金属シード層を被覆して得られた銅被覆ポリイミド基板をエッチングにより配線加工した際に、ポリイミドフィルム上に金属シード層が残留することになる。
まず、本発明の銅被覆ポリイミド基板の構造について図を用いて説明する。図1は、本発明の銅被覆ポリイミド基板の概略断面図の一例を表す。図1において、銅被覆ポリイミド基板の断面は、ポリイミドフィルム1の表面上に、スパッタリング法により形成された金属シード層2と銅層3、及びめっき法による銅層4が順次積層された構造になっている。ここで、スパッタリング法により形成された銅層3とめっき法による銅層4により、銅導体層が形成される。
(1)酢酸及びジメチルアセトアミドの含有量の測定:ポリイミドフィルム10gをガスクロマト装置(日本分析工業製JHS型)で、350℃で20分間ヘリウムガス雰囲気下に加熱し、その際に放出される酢酸量、及びジメチルアセトアミド量を分析して求めた。
(2)HHBT絶縁信頼性の評価:任意のパターンを形成し、85℃、85%RHにて任意のバイアスを印可した状態に1000時間放置し、その絶縁抵抗値の変化挙動をモニタリングすることによって評価を行なった。
市販のカプトン150ENフィルム(東レデュポン社製)を、約1E−3Torrの真空下に150℃の温度で、30秒間フィルムを搬送させながら加熱処理することにより、350℃で20分間ヘリウムガス雰囲気下に加熱した際に放出される酢酸量が86mg/kg、及びジメチルアセトアミド量が4.6mg/kgである、酢酸及びジメチルアセトアミドの含有量が調整されたポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムに、スパッタ法で20質量%クロム含有のニッケル合金シード層を10nmの厚みで形成した後、続いて銅をスパッタし、さらに電気銅めっきを8μm施して、銅被覆ポリイミド基板を得た。
この銅被覆ポリイミド基板の銅めっき層をスクリーン印刷によりレジスト加工し、次いで塩化第二鉄からなるエッチング液を用いて1mm幅のパターンに加工した後、その銅配線を引き剥がし、そのポリイミド表面(1mm幅×40mm長さ)に残留する金属シード層の個数を顕微鏡でカウントした。その結果、シード層の残留は検出されなかった。その後、HHBT絶縁信頼性を評価したが、HHBT絶縁信頼性は実用範囲であることが確認された。
市販の35um厚みユーピレックスフィルム(宇部興産社製)を、約1E−3Torrの真空下に150℃の温度で、30秒間フィルムを搬送させながら加熱処理することにより、350℃で20分間ヘリウムガス雰囲気下に加熱した際に放出される酢酸量が10mg/kg、及びジメチルアセトアミド量が未検出である、酢酸及びジメチルアセトアミドの含有量が調整されたポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムに、スパッタ法で20質量%クロム含有のニッケル合金シード層を10nmの厚みで形成した後、続いて銅をスパッタし、さらに電気銅めっきを8μm施して、銅被覆ポリイミド基板を得た。
この銅被覆ポリイミド基板の銅めっき層をスクリーン印刷によりレジスト加工し、次いで塩化第二鉄からなるエッチング液を用いて1mm幅のパターンに加工した後、その銅配線を引き剥がし、そのポリイミド表面(1mm幅×40mm長さ)に残留する金属シード層の個数を顕微鏡でカウントした。その結果、シード層の残留は検出されなかった。その後、HHBT絶縁信頼性を評価したが、HHBT絶縁信頼性は実用範囲であることが確認された。
市販のカプトン150ENフィルム(東レデュポン社製)を、約1E−3Torrの真空下に100℃の温度で、30秒間フィルムを搬送させながら加熱処理することにより、350℃で20分間ヘリウムガス雰囲気下に加熱した際に放出される酢酸量が103mg/kg、及びジメチルアセトアミド量が5.1mg/kgである、酢酸及びジメチルアセトアミドの含有量が調整されたポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムに、スパッタ法で20質量%クロム含有のニッケル合金シード層を10nmの厚みで形成した後、続いて銅をスパッタし、さらに電気銅めっきを8μm施して、銅被覆ポリイミド基板を得た。
この銅被覆ポリイミド基板の銅めっき層をスクリーン印刷によりレジスト加工し、次いで塩化第二鉄からなるエッチング液を用いて1mm幅のパターンに加工した後、その銅配線を引き剥がし、そのポリイミド表面(1mm幅×40mm長さ)に残留する金属シード層の個数を顕微鏡でカウントした。その結果、シード層の残留は44個検出された。その後、HHBT絶縁信頼性を評価したが、HHBT絶縁信頼性は著しく劣化し、実用に供さないことが確認された。
2 金属シード層
3 スパッタリングによる銅層
4 めっき法による銅層
Claims (5)
- ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに直接、金属シード層を形成し、さらにその上にめっき法によって銅導体層を積層してなる銅被覆ポリイミド基板において、
前記ポリイミドフィルムは、酢酸及びジメチルアセトアミドの含有量が、350℃の温度で20分間ヘリウムガス雰囲気下に加熱したときの酢酸及びジメチルアセトアミドの放出量で、それぞれ100mg/kg以下、及び5mg/kg以下であることを特徴とする銅被覆ポリイミド基板。 - 前記酢酸及びジメチルアセトアミドの含有量は、ポリイミドフィルムを真空下に加熱処理することにより調整することを特徴とする請求項1に記載の銅被覆ポリイミド基板。
- 前記加熱温度は、150〜350℃であることを特徴とする請求項2に記載の銅被覆ポリイミド基板。
- 前記金属シード層は、ニッケル層、クロム層、或いはニッケルクロム合金層からなることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の銅被覆ポリイミド基板。
- 前記銅導体層は、スパッタリングにより形成された銅層とその上に電気銅めっき法、若しくは無電解銅めっき法、又は両者を併用した方法で厚付けされた銅層からなることを特徴とする請求項1〜4に記載の銅被覆ポリイミド基板。
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