JPWO2008081742A1 - 抵抗変化型素子、抵抗変化型記憶装置、および抵抗変化型装置 - Google Patents

抵抗変化型素子、抵抗変化型記憶装置、および抵抗変化型装置 Download PDF

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Abstract

第1電極(2)と、第2電極(4)と、第1電極(2)と第2電極(4)との間に配設され第1電極(2)と第2電極(4)とに電気的に接続された抵抗変化層(3)とを備え、抵抗変化層(3)が(NixFe1−x)Fe2O4の化学式で表されるスピネル構造を有する材料を含み、Xが0.35以上0.9以下であり、第1電極(2)と第2電極(4)との間に第1の電圧を有する第1電圧パルスを印加することで第1電極(2)と第2電極(4)との間の電気抵抗が低下し、第1電極(2)と第2電極(4)との間に第1の電圧と極性が異なる第2の電圧を有する第2電圧パルスを印加することで第1電極(2)と第2電極(4)との間の電気抵抗が上昇する性質を有する抵抗変化型素子(10)、抵抗変化型記憶装置、および抵抗変化型装置である。

Description


本発明は、抵抗変化型素子、抵抗変化型記憶装置、および抵抗変化型装置に関する。より詳しくは、印加される電圧パルスに応じて電気抵抗が変化する抵抗変化型素子、およびこれを利用した抵抗変化型記憶装置と抵抗変化型装置に関する。

電子機器におけるデジタル技術の進展に伴い、画像などのデータを保存するため、不揮発性抵抗変化型素子の大容量化、書き込み電力の低減、書き込み/読み出し時間の高速化、および長寿命化の要求が高まっている。こうした要求に対して、既存のフローティングゲートを用いたFLASHメモリの微細化には限界があると言われている。
上記要求に応えることのできる可能性のある第1の従来技術として、ペロブスカイト材料(例えば、Pr(1−x)CaMnO[PCMO]、LaSrMnO[LSMO]、GdBaCo[GBCO]など)を用いた不揮発性抵抗変化型素子が提案されている(特許文献1)。この技術は、ペロブスカイト材料に所定の極性の異なる(または同極性で電圧値の異なる)電圧パルス(継続時間の短い波状の電圧)を印加してその抵抗値を増大または減少させ、変化する抵抗値にデータを対応させることによってデータを記憶させるというものである。
また、第2の従来技術として、遷移金属酸化物(NiO、VO、ZnO、NbO、TiO、WO、またはCoO)の膜に上記電圧パルスを印加することにより、当該遷移金属酸化膜の抵抗値が変化することを利用した不揮発性抵抗変化型素子もある(特許文献2参照)。
また、第3の従来技術として、アモルファス酸化物(例えば、Ti、V、Fe、Co、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Ge、Siの中から選ばれる1つ以上の元素の酸化物)にAgまたはCuの電極を設けて電圧を印加することによって、電極材料であるAgまたはCuをイオン化して薄膜中に拡散させ、アモルファス酸化物の抵抗値を変化させた不揮発性抵抗変化型素子もある(特許文献3参照)。
第4の従来技術として、スピネル構造を有する材料層を電極で挟み、高抵抗化のための電気パルスの極性と低抵抗化の電気パルスの極性とが異なる(バイポーラ駆動される)ように構成された抵抗変化素子が提案されている(特許文献4、5)。
上述のような抵抗変化材料をメモリセルとして用い、さらに個々のメモリセル選択のためのトランジスタと組み合わせて構成することにより、不揮発性抵抗変化型素子の動作が実現される。
米国特許第6204139号明細書 特開2004−363604号公報 特開2004−342843号公報 特開2005−317787号公報 特開2006−080259号公報

しかしながら、前記第1の従来技術においては、動作の安定性や再現性が不十分であった。(Pr0.7Ca0.3MnO)のようなペロブスカイト構造を有する酸化物結晶では、その結晶化のために通常650℃〜850℃という高温を必要とするため、半導体製造プロセスに導入すると、他の材料が劣化するという問題もあった。
前記第2の従来技術および前記第4の従来技術においては、抵抗変化層が安定して所定の抵抗値を示すようにするために、製造(層形成)後に高い電圧を印可するフォーミングと呼ばれる動作が必要であった。各素子毎にフォーミングをするとなると、非常に多くの素子を有する抵抗変化型記憶装置などの製造に長い時間が必要となるという問題があった。さらに、前記第2の従来技術においては、低抵抗状態から高抵抗状態への変化(リセット)時にはミリ秒オーダーの長いパルス幅の電圧パルス印加が必要となるために、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度(記録速度)が非常に遅いという問題もあった。
前記第3の従来技術においては、抵抗変化層がアモルファス構造であるため、長期間使用すると、抵抗変化層が結晶化して、特性が変化する可能性があるという問題があった。
本発明は前記従来の問題を解決することを目的とするものである。すなわち本発明は、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型素子、抵抗変化型記憶装置、抵抗変化型装置を提供することを目的とする。

本発明者らは、抵抗変化型素子の抵抗変化層に用いられる材料を鋭意検討した。その結果、Feを主体とする抵抗変化材料を用いた場合に、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が向上できることが判明した。しかしながら、Feを用いるとフォーミングが必要となることも明らかとなった。
本発明者らは、Feを抵抗変化材料とした場合に、フォーミングを不要とする技術を鋭意検討した。その結果、FeにNiやZnを不純物として混合すると、抵抗値が上昇し、フォーミングが不要となることが判明した。さらに、NiやZnを混合した材料を用いた構成では、製造温度が低く(例えば300℃以下)、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く(100ns程度)、データの保持特性(リテンション)が長いということが判明した。
得られた結果から考察を加えた結果、NiやZn以外でも、Cu、Mn、Coなどでも同様の効果が得られることが類推された。

すなわち、本発明の抵抗変化型素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配設され前記第1電極と前記第2電極とに電気的に接続された抵抗変化層とを備え、前記抵抗変化層が(NiFe1−x)Feの化学式で表されるスピネル構造を有する材料を含み、Xが0.35以上0.9以下であり、前記第1電極と前記第2電極との間に第1の電圧を有する第1電圧パルスを印加することで前記第1電極と前記第2電極との間の電気抵抗が低下し、前記第1電極と前記第2電極との間に前記第1の電圧と極性が異なる第2の電圧を有する第2電圧パルスを印加することで前記第1電極と前記第2電極との間の電気抵抗が上昇する性質を有する。

かかる構成では、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型素子を提供できる。
また、上記抵抗変化型素子において、前記化学式で表される材料の抵抗率が0.5Ωcm以上100Ωcm以下であってもよい。
かかる構成では、抵抗率を所定の範囲に調整した結果、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型素子を提供できる。
また、上記抵抗変化型素子において、前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも何れか一方が、Ag、Au、Pt、Ru、RuO、Ir、IrO、TiO、TiN、TiAlN、Ta、TaNよりなる群から選ばれた一つあるいは複数の材料を用いて構成された電極である、請求項1に記載の抵抗変化型素子。
かかる構成では、所定の金属を電極として、抵抗変化型素子を形成できる。
また、上記抵抗変化型素子において、前記抵抗変化層の厚みが、10nm以上200nm以下である、請求項1に記載の抵抗変化型素子。
かかる構成では、パターンニングプロセスにおいてリソグラフィーを使用する場合に、加工し易くなり、抵抗変化型素子の抵抗値を変化させる電圧パルスの電圧値を低くすることが可能となる。また、電圧印加時のブレークダウン(絶縁破壊)をより確実に回避することが可能となる。
また、本発明の抵抗変化型記憶装置は、上記抵抗変化型素子と、電圧パルス印加装置とを備え、前記電圧パルス印加装置が、前記第1電極と前記第2電極との間に所定の電圧パルスを印加することにより、前記抵抗値の変化に対応して、1ビットデータまたは多値データを前記抵抗変化型素子に記憶する。
かかる構成では、電圧パルス印加装置から印加される電圧パルスによって抵抗変化型素子にデータが記録可能となる。よって、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型記憶装置を提供できる。
また、上記抵抗変化型記憶装置において、前記電圧パルス印加装置が、前記第1電極と前記第2電極との間に正極性の電圧パルスを印加することにより、前記抵抗変化型素子を低抵抗状態へと変化させ、前記電圧パルス印加装置が、前記第1電極と前記第2電極との間に負極性の電圧パルスを印加することにより、前記抵抗変化型素子を高抵抗状態へと変化させることにより、前記抵抗変化型素子の抵抗状態に対応させて1ビットデータを記憶してもよい。
かかる構成では、電圧パルス印加装置から印加される正極性および負極性の電圧パルスによって抵抗変化型素子にデータが記録可能となる。よって、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型記憶装置を提供できる。
また、上記抵抗変化型記憶装置において、第1方向に延びる複数のワード線と、前記ワード線に交差して第2方向に延びる複数のビット線と、前記複数のビット線に一対一で対応して前記第2方向に延びる複数のプレート線と、第1主端子と第2主端子と制御端子とを備え前記ワード線と前記ビット線との間の交差点に対応して設けられた複数のトランジスタと、第1電極と第2電極と前記第1電極と前記第2電極との間に配設され前記第1電極と前記第2電極とに電気的に接続された抵抗変化層とを備え前記トランジスタのそれぞれに一対一で対応する複数の抵抗変化型素子と、前記複数のワード線に接続して前記ワード線への電圧印加を制御するワード線駆動部と、前記複数のビット線と前記複数のプレート線とに接続して、前記ビット線および前記プレート線への電圧印加を制御するビット線/プレート線駆動部と、前記ワード線駆動部と前記ビット線/プレート線駆動部とを制御する制御部とを備え、前記トランジスタの第1主端子がそれぞれ対応する前記交差点を通る前記ビット線と電気的に接続され、前記トランジスタの第2主端子がそれぞれ対応する前記抵抗変化型素子の第1電極に電気的に接続され、前記抵抗変化型素子の第2電極がそれぞれ対応する前記交差点を通る前記プレート線と電気的に接続され、前記トランジスタの制御端子がそれぞれ対応する前記交差点を通る前記ワード線に電気的に接続され、前記抵抗変化層が(M’Fe1−x)Feの化学式で表されるスピネル構造を有する材料を含み、前記化学式中のM’はMn、Co、Ni、Cu、Znよりなる群から選ばれた一つあるいは複数の遷移金属であってもよい。
かかる構成では、上記抵抗変化型素子を各セルに含むメモリセルアレイを備えた抵抗変化型記憶装置が実現される。よって、高密度化され、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型記憶装置を提供できる。
また、上記抵抗変化型記憶装置において、前記ワード線駆動部は、前記制御部の制御に基づいて所定のデータを記憶する前記抵抗変化型素子に対応する前記トランジスタのゲートに接続されたいずれか一つのワード線に対し択一的に前記トランジスタのドレインおよびソース間の導通を図るための活性化電圧を印加するように構成されており、前記ビット線/プレート線駆動部は、前記制御部の制御に基づいて前記所定のデータを記憶する予定の前記抵抗変化型素子に対応する前記トランジスタに接続されたいずれか一つのビット線に対し択一的に第1電圧パルスを印加するとともに、前記ビット線に対応するプレート線に対し第2電圧パルスを印加するように構成されていてもよい。
かかる構成では、制御部の制御に基づいて印加される電圧パルスによって抵抗変化型素子にデータが記録可能となる。よって、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型記憶装置を提供できる。
また、上記抵抗変化型記憶装置において、前記ワード線駆動部は、前記制御部の制御に基づいて予め記憶された所定のデータを読み出す前記抵抗変化型素子に対応する前記トランジスタのゲートに接続されたいずれか一つのワード線に対し択一的に前記トランジスタのドレインおよびソース間の導通を図るための活性化電圧を印加するように構成されており、前記ビット線/プレート線駆動部は、前記制御部の制御に基づいて前記所定のデータを読み出す前記抵抗変化型素子に対応する前記トランジスタに接続されたいずれか一つのビット線に対し択一的に第1読出電圧を印加するとともに、前記ビット線に対応するプレート線に対し第2読出電圧を印加するように構成されていてもよい。
かかる構成では、制御部の制御に基づいて印加される電圧によって抵抗変化型素子に記録されたデータが読み出し可能となる。よって、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型記憶装置を提供できる。
本発明の抵抗変化型装置は、上記いずれかの抵抗変化型記憶装置と、所定のデータに基づいて演算を実行する論理回路と、を備え、前記論理回路は、書き込みモードと読み出しモードとを有し、前記書き込みモードでは前記抵抗変化型記憶装置に前記データを記憶させるように前記抵抗変化型記憶装置を制御し、前記読み出しモードでは前記抵抗変化型記憶装置に記憶された前記データを読み出すように前記抵抗変化型記憶装置を制御するように構成されている。
かかる構成では、論理回路を備えることにより、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型装置(Embedded-RAM)が実現される。
あるいは本発明の抵抗変化型装置は、上記いずれかの抵抗変化型記憶装置と、外部からの入力を受付ける入力装置と、前記入力装置に通信可能に接続されたプロセッサと、を備え、前記抵抗変化型記憶装置はプログラムを記憶可能に構成され、前記プロセッサは、プログラム実行モードとプログラム書き換えモードとを有し、前記プログラム書き換えモードでは前記抵抗変化型記憶装置に記憶されたプログラムを外部から入力装置を介して受け取ったプログラムに書き換え、前記プログラム実行モードでは前記抵抗変化型記憶装置に記憶されたプログラムを実行するように構成されている。
かかる構成では、入力装置とプロセッサとを備えることにより、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型装置(Reconfigurable-LSI)が実現される。
本発明の抵抗変化型素子へのデータ記録方法は、請求項1の抵抗変化型素子の第1電極と第2電極との間に極性の異なる2種類の電圧パルスを印加して前記抵抗変化型素子の抵抗状態を変化させ、前記抵抗状態の変化に基づいて前記抵抗変化型素子にデータを記録する。
かかる構成では、極性の異なる電圧パルスを用いて、上記抵抗変化型素子にデータを記録できる。よって、バイポーラ型の駆動により、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型素子を用いた記憶装置を実現できる。
あるいは本発明の抵抗変化型素子へのデータ記録方法は、抵抗変化型素子の第1電極と第2電極との間に複数種類の電圧パルスを印加して前記抵抗変化型素子の抵抗状態を変化させ、前記抵抗状態の変化に基づいて前記抵抗変化型素子にデータを記録し、前記複数種類の電圧パルスのうち少なくとも1種類は、他の電圧パルスと極性が異なっている。
かかる構成では、少なくとも一種類は極性の異なる電圧パルスを用いて、上記抵抗変化型素子にデータを記録できる。よって、バイポーラ型の駆動により、多値メモリ型であって、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型素子を用いた記憶装置を実現できる。

本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。

本発明は、上記のような構成を有し、以下のような効果を奏する。すなわち、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型素子、抵抗変化型記憶装置、抵抗変化型装置を提供することが可能となる。
図1は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子の構成の一例を示した模式図である。 図2は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子を動作させる回路の一例を示す図である。 図3は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子にデータを書き込む場合における動作を示す図である。 図4は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子にデータを書き込む際の抵抗値変化を示す図である。 図5は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子に書き込まれたデータを読み出す場合における動作を示す図である。 図6は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子において、読み出し時に回路を流れる電流と抵抗変化型素子の抵抗値との関係を示す図である。 図7は、実施例1の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。 図8は、実施例2の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。 図9は、実施例3の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。 図10は、実施例3で得られた抵抗変化型素子に対し、約2万回の低抵抗状態への書き込み動作(電圧パルス:+2V、100ns)と高抵抗状態への書き込み動作(電圧パルス:−2V、100ns)を繰り返した時の抵抗値変化を示す図である。 図11は、実施例5の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。 図12は、比較例1の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。 図13は、比較例2の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。 図14は、比較例3の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。 図15は、実施例6の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。 図16は、本発明の第2実施形態の抵抗変化型記憶装置の一構成例を示したブロック図である。 図17は、本発明の第3実施形態の半導体集積回路(Embedded-RAM)の一構成例を示したブロック図である。 図18は、本発明の第4実施形態の半導体集積回路(ReconfigurableLSI)の一構成例を示したブロック図である。 図19は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子を用いた周波数可変回路の構成を示したブロック図である。 図20は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子を用いたミキシング回路の構成を示したブロック図である。
符号の説明

1 基板
2 下部電極
3 抵抗変化層
4 上部電極
5 電極
10 抵抗変化型素子
11 第1端子
12 第2端子
200 抵抗変化型記憶装置
201 メモリアレイ
202 アドレスバッファ
203 制御部
204 行デコーダ
205 ワード線ドライバ
206 列デコーダ
207 ビット線/プレート線ドライバ
300 抵抗変化型装置
301 論理回路
400 抵抗変化型装置
401 プロセッサ
402 インターフェイス
W1、W2 ワード線
B1、B2 ビット線
P1、P2 プレート線
T211、T212、T221、T222 トランジスタ
MC211、MC212、MC221、MC222 メモリセル
SWa、SWb スイッチ
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。

(第1実施形態)
[構成]
図1は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子の構成の一例を示した模式図である。
図1に示すように、本実施形態の抵抗変化型素子10は、基板1と、基板1の上に形成された下部電極2(第1電極)と、下部電極2の上に形成された抵抗変化層3と、抵抗変化層3の上に形成された上部電極4(第2電極)と、を備える。下部電極2と上部電極4とは、それぞれ抵抗変化層3に電気的に接続されている。なお、上部電極4が第1電極、下部電極2が第2電極であってもよい。
基板1は、例えばシリコン基板により構成される。
下部電極2および上部電極4は、例えば、Ag(銀)、Au(金)、Pt(白金)、Ru(ルテニウム)、RuO(酸化ルテニウム)、Ir(イリジウム)、IrO(酸化イリジウム)、TiO(酸化チタン)、TiN(窒化チタン)、TiAlN(窒化チタンアルミニウム)、Ta(タンタル)、TaN(窒化タンタル)よりなる群から選ばれた一つあるいは複数の材料を用いて構成することができる。これらの材料は、300℃程度の温度でも安定であり、後述する抵抗変化層3の層形成時の条件にも適合する。
抵抗変化層3は、(M’Fe1−x)Feの化学式で表されるスピネル構造を有する材料よりなり、M’は、Mn(マンガン)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)よりなる群から選ばれた一つあるいは複数の遷移金属である。すなわち、抵抗変化層3の材料は、Fe(四酸化三鉄)を主成分として、所定の遷移金属を不純物として含む。なお、抵抗変化層3が複数の遷移金属(Fe以外)を含む場合、それぞれの遷移金属(Fe以外)が結晶中でFeのサイトに置換している比率(上記化学式を参照)の合計をXとする。
抵抗変化層3の抵抗率(体積抵抗率)は、0.5Ωcm以上100Ωcm以下であることが好ましい。M’がNiの場合には、X(不純物としてのNiの割合)が0.35以上0.9以下であることが好ましい。
抵抗変化層3の厚みは1μm以下であることが好ましい。かかる構成により、電圧パルス印加によって抵抗変化型素子の抵抗値を変化させることが充分に可能となる。
抵抗変化層3の厚みは200nm以下であることがさらに好ましい。かかる構成により、パターンニングプロセスにおいてリソグラフィーを使用する場合に、加工し易くなり、抵抗変化型素子の抵抗値を変化させる電圧パルスの電圧値を低くすることが可能となる。
抵抗変化層3の厚みは、少なくとも10nm以上であることが好ましい。かかる構成により、電圧印加時のブレークダウン(絶縁破壊)をより確実に回避することが可能となる。
なお、抵抗変化型素子の抵抗値を変化させる電圧パルスの電圧値を低くするという観点からは、抵抗変化層3の厚みは薄いほど好ましい。
[製造方法]
まず、基板1の上に、スパッタリングなどにより、下部電極2(厚さは例えば0.2μm)が形成される。M’FeのターゲットとFeのターゲットが用意され、スパッタリングによりそれぞれのターゲットを同時に放電させて、下部電極2の上に(M’Fe1−x)Feの化学式で表されるスピネル構造を有する抵抗変化層3が形成される。さらに抵抗変化層3の上に、スパッタリングなどにより上部電極4(厚さは例えば0.2μm)が形成され、抵抗変化型素子10が得られる。
下部電極2や上部電極4、抵抗変化層3の大きさや形状は、マスクとリソグラフィによって調整可能である。
抵抗変化層3の抵抗率(あるいはXの値)は、それぞれのターゲットへの印加電圧を調整することにより容易に調整されうる。基板温度は300℃とすることができる。
[動作]
図1に示すように、抵抗変化型素子10の使用時には、下部電極2と上部電極4とが、それぞれ電源5(電圧パルス印加装置)の異なる端子に電気的に接続される。電源5は、抵抗変化型素子10を駆動するための電源である。電源5は、下部電極2と上部電極4との間に所定の電圧および時間幅の電気パルス(電圧パルス)を印加可能に構成されている。以下、電圧パルスの電圧は下部電極2を基準にした上部電極4の電位で特定されるものとする。
電源5により該電気パルスが印加されると、抵抗変化層3の抵抗値(電気抵抗)は増加または減少する。以下、抵抗変化層3の抵抗値が高い所定の値にある場合を、抵抗変化型素子10が高抵抗状態にあるといい、抵抗変化層3の抵抗値が高抵抗状態よりも低い所定の値にある場合を、抵抗変化型素子10が低抵抗状態にあるという。
例えば、電圧が第1の閾値電圧(プラスの電圧)以上の(電圧の絶対値の大きな)電圧パルス(第1の電圧を有する第1電圧パルス)が印加された場合に抵抗変化層2の抵抗値が減少するが、第1の閾値電圧よりも小さな(絶対値の小さな)電圧パルスが印加されても、抵抗変化層2の抵抗値は変化しない。
一方、電圧が第2の閾値電圧(マイナスの電圧)以下の(電圧の絶対値の大きな)電圧パルス(第2の電圧を有する第2電圧パルス)が印加された場合に抵抗変化層2の抵抗値が増加する一方、第2の閾値電圧(マイナスの電圧)よりも大きな(絶対値の小さな)電圧パルスが印加されても、抵抗変化層2の抵抗値は変化しない。
このように、本実施形態の抵抗変化型素子は、バイポーラ型の駆動に用いることができる。本実施形態の抵抗変化型素子10では、例えば、電圧パルスの強さ(電圧)が±2V、パルス幅が100ns(高抵抗状態から低抵抗状態への書き込み時も、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み時も同じ)などとすることができる。
本実施形態においては、高抵抗状態を「0」に対応させ、低抵抗状態を「1」に対応させ、抵抗変化型素子10の初期状態は高抵抗状態(「0」)にあるものとする。なお、いずれの抵抗状態にいずれの値を割り当てるか、およびいずれの抵抗状態を初期状態とするかは任意である。
図2は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子を動作させる回路の一例を示す図である。ここでは、抵抗変化型素子10はメモリとして使用され、1ビットデータの処理(書き込みと読み出し)を行うものとする。図2の回路は、抵抗変化型素子10と、第1端子11と第2端子12とを備えている。抵抗変化型素子10の上部電極4は第1端子11に電気的に接続されており、下部電極2は第2端子12に電気的に接続されている。
図3は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子にデータを書き込む場合における動作を示す図である。図4は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子にデータを書き込む際の抵抗値変化を示す図である。図3に示すように、書き込み時には、第2端子12は接地(グランド:GND)され、第1端子11に電圧パルスが印加される。電圧パルスは、下部電極2および接地点を基準に特定される。
第1端子11に第1の閾値電圧(例えば+1V)以上のプラス(正極性)の書き込み用電圧パルス(以下、正極性パルス:第1電圧パルス)が印加されると、図4に示すように抵抗変化型素子10の抵抗値は、高抵抗状態のRbから低抵抗状態のRaへと減少する。一方、第1端子11に第2の閾値電圧(例えば−1V)以下のマイナス(負極性)の書き込み用電圧パルス(以下、負極性パルス:第2電圧パルス)が印加されると、図4に示すように抵抗変化型素子10の抵抗値は、低抵抗状態のRaから高抵抗状態のRbへと増加する。すなわち、図3の矢印の向きに電流が流れるように電圧パルスが印加されると抵抗変化型素子の抵抗値が減少する一方、該矢印に対して逆向きに電流が流れるように電圧パルスが印加されると抵抗変化型素子の抵抗値が増加する。
抵抗変化型素子10に、「1」を表す1ビットデータを書き込む(記録する)場合には、抵抗変化型素子10は低抵抗状態へと変化する(もともと低抵抗状態にあって変化しない場合を含む)。かかる動作を、「低抵抗状態への書き込み」と呼ぶ。低抵抗状態への書き込みにおいては、図3の第2端子12が接地され、第1端子11に書き込み用の正極性パルスが印加される。正極性パルスの電圧値は例えば+2V、パルス幅は例えば100nsとされる。かかる動作によれば、抵抗変化型素子10には正極性パルスが印加され、抵抗変化型素子10の抵抗値は低抵抗状態のRaとなる。すなわち、電圧パルス印加前の抵抗値がRbの場合にはRaへと変化し、電圧パルス印加前の抵抗値がRaの場合にはRaのまま変化しない。以上の方法により、抵抗変化型素子10の低抵抗状態への書き込みが行われる。
抵抗変化型素子10に、「0」を表す1ビットデータを書き込む(記録する)場合には、抵抗変化型素子10は高抵抗状態へと変化する(もともと高抵抗状態にあって変化しない場合を含む)。かかる動作を、「高抵抗状態への書き込み」と呼ぶ。高抵抗状態への書き込みにおいては、図3の第2端子12が接地され、第1端子11に書き込み用の負極性パルスが印加される。負極性パルスの電圧値は例えば−2V、パルス幅は例えば100nsとされる。かかる動作によれば、抵抗変化型素子10には負極性パルスが印加され、抵抗変化型素子10の抵抗値は高抵抗状態のRbとなる。すなわち、電圧パルス印加前の抵抗値がRbの場合にはRbのまま変化せず、電圧パルス印加前の抵抗値がRaの場合にはRbへと変化する。以上の方法により、抵抗変化型素子10の高抵抗状態への書き込みが行われる。
図5は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子に書き込まれたデータを読み出す場合における動作を示す図である。図6は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子において、読み出し時に回路を流れる電流と抵抗変化型素子の抵抗値との関係を示す図である。図5に示すように、書き込み時には、第2端子12は接地(グランド:GND)され、第1端子11に読出電圧が印加される。読出電圧は、下部電極2および接地点を基準に特定される。
第1端子11に第1の閾値電圧より小さいプラス(正極性)あるいは第2の閾値電圧より大きいマイナス(負極性)の読み出し用電圧が印加されると、抵抗変化型素子10の抵抗値に応じた電流が回路を流れる。すなわち、図6に示すように、抵抗変化型素子10の抵抗値が低抵抗状態のRaのときには出力される電流値がIaとなり、抵抗変化型素子10の抵抗値が高抵抗状態のRbのときには出力される電流値がIbとなる。
抵抗変化型素子10の抵抗状態を読み出す場合、図5の第2端子12が接地され、第1端子11に読出電圧が印加される。読出電圧は例えば+0.5Vに設定される。抵抗変化型素子10に読出電圧が印加されると、回路を流れる電流の大きさは、抵抗変化型素子の抵抗値に応じた電流値となる。第1端子11と第2端子12との間を流れる電流の電流値を検出することにより、抵抗変化型素子10の抵抗値が得られる。すなわち、電流値がIaであれば、抵抗変化型素子10の抵抗値が低抵抗状態のRaであるから、抵抗変化型素子10に書き込まれているデータが「1」であることが分かり、電流値がIbであれば、抵抗変化型素子10の抵抗値が高抵抗状態のRbであるから、抵抗変化型素子10に書き込まれているデータが「0」であることが分かる。以上の方法により、抵抗変化型素子10に書き込まれているデータの読み出しが行われる。
本実施形態の抵抗変化型素子10は、電源を切っても抵抗値が変化しない不揮発性を有する。
[効果]
本実施形態の抵抗変化型素子10では、パルス幅が100nsという短い電圧パルスで書き込み(高抵抗状態あるいは低抵抗状態への書き込み)が可能である。抵抗変化型素子10は、300℃程度という低温で製造可能であるために、従来の半導体製造プロセス(400℃〜500℃)との親和性も高い。さらに、フォーミングが不要であり、データの保持特性(リテンション)も十分長くなる。
すなわち、本実施形態の抵抗変化型素子10によれば、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、書込速度(特に高抵抗状態への書込速度)が速く、安定性に優れた抵抗変化型素子および抵抗変化型記憶装置を提供することが可能となる。
また、本実施形態の抵抗変化型素子10は、電圧パルス印加時に流れる電流の大きさが小さく、大容量の記憶装置を実現するために微細化した場合に、省電力を実現できる可能性が十分ある。
[変形例]
第1の閾値電圧、第2の閾値電圧、正極性パルスおよび負極性パルスの電圧およびパルス幅、読出電圧の値は、上述の値に限定されない。実際に製造される抵抗変化型素子に適合した値であれば、どのような値であってもよい。
下部電極2と抵抗変化層3との間および抵抗変化層3と上部電極4との間には、別の層が挟持されていてもよい。下部電極2と抵抗変化層3とが電気的に接続され、抵抗変化層3と上部電極4とが電気的に接続されていればよい。
上述の説明では、M’FeとFeのターゲット材料を同時放電させてスパッタリングを行い、スパッタリング時の各ターゲットの投入電力を調整することにより、(M’Fe1−X)Feの化学式のXの値を変化させる例を示した。しかし、抵抗変化層の成分を調整する方法はこれだけに限定されるものではない。例えば、M’FeとFeを所定の比率で混合したターゲットを用いてスパッタリングを行えば、(M’Fe1−X)Feの化学式のXの値を変化させることができる。
(実施例)
[実施例1]
シリコン基板の上に、0.2μmの厚さとなるように、Ptよりなる下部電極(大きさは20μm×20μm)がスパッタリングにより形成された。NiFeとFeのターゲットが用意され、スパッタリングによりそれぞれのターゲットが同時に放電させされ、マスクとリソグラフィを用いて、下部電極の上に(NiFe1−x)Feの化学式で表されるスピネル構造を有する抵抗変化層(大きさは10μm×10μm:面積100μm)が形成された。抵抗変化層を形成する時の基板温度は300℃とした。下部電極と抵抗変化層とが接する部分の大きさは2μm×2μm(面積4μm)とした。抵抗変化層の厚さは100nmとした。さらに、抵抗変化層の上に、0.2μmの厚さとなるように、マスクとリソグラフィを用いて、Ptよりなる上部電極(大きさは2μm×2μm)がスパッタリングにより形成され、抵抗変化型素子が得られた。上部電極と抵抗変化層とが接する部分の大きさは2μm×2μm(面積4μm)とした。
実施例1では、抵抗変化層を構成する(NiFe1−x)FeのXの値が0.35となるように、それぞれのターゲットに印加される電圧が調整された。Xの値は、RBS(ラザフォードバックスキャッタリング)法および蛍光X線分析法の2つを組み合わせて検証された。検証の結果、Xの値は0.35であった。抵抗率は、4端子4探針法で測定された。実施例1では、抵抗変化層の抵抗率は0.5Ωcmであった。
上記方法により得られた抵抗変化型素子が電源に接続され、2種類の電圧パルス(電圧が+2Vが−2V、パルス幅はいずれも100ns)が交互に印加された。電圧は、下部電極に対する上部電極の電位が高くなる電圧をプラスとした。
電圧パルスが印加されるたびに、抵抗変化型素子の抵抗値が測定された。測定時には、+0.5Vの電圧が 秒程度印加された。この程度の電圧では抵抗変化型素子の抵抗値は変化しなかった。印加された電圧(+0.5V)と流れる電流とから、抵抗変化型素子の抵抗値が計算された。
本実施例の抵抗変化型素子は、電源を切っても抵抗値が変化しない不揮発性を有することが確認された。また、電圧パルス印加時に流れる電流の大きさを測定すると、1mA以下であった。したがって、大容量の記憶装置を実現するために微細化した場合に、省電力を実現できる可能性が十分あることが分かった。
図7は、実施例1の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。図に示すように、1回目のパルス印加(正極性パルスの印加)により、高抵抗状態(約5600Ω)から低抵抗状態(約1800Ω)へと変化した。2回目のパルス印加(負極性パルスの印加)により、低抵抗状態から高抵抗状態へと復帰した。その後は、2種類の電圧パルス(正極性パルスと負極性パルス)の印加により、安定して低抵抗状態と高抵抗状態の間を周期的に遷移した。すなわち、実施例1で得られた抵抗変化型素子は1回目のパルス印加から良好のメモリ特性を有していた。よって、実施例1の抵抗変化型素子は、フォーミングが不要であって、各層を形成して得られた抵抗変化型素子をそのままの状態でメモリとして用いることができることが分かった。
実施例1の抵抗変化型素子が低抵抗状態にあるときに正極性パルスを印加しても、抵抗値は実質的に変化せず、低抵抗状態のままであった。一方、該抵抗変化型素子が高抵抗状態にあるときに負極性パルスを印加しても、抵抗値は実質的に変化せず、高抵抗状態のままであった。以上の結果から、実施例1の抵抗変化型素子は上書き可能であることが分かった。
[実施例2]
実施例2では、パラメータが違うことを除けば、実施例1と同様の方法で抵抗変化型素子が形成され、書き込みおよび読み出しが行われた。
すなわち、実施例2では抵抗変化層を構成する(NiFe1−x)FeのXの値が0.65となるように、それぞれのターゲットに印加される電圧が調整された。Xの値は、RBS(ラザフォードバックスキャッタリング)法および蛍光X線分析法の2つを組み合わせて検証された。検証の結果、Xの値は0.65であった。抵抗率は、4端子4探針法で測定された。実施例2における抵抗変化層の抵抗率は、10Ωcmであった。
本実施例の抵抗変化型素子は、電源を切っても抵抗値が変化しない不揮発性を有することが確認された。また、電圧パルス印加時に流れる電流の大きさを測定すると、1mA以下であった。したがって、大容量の記憶装置を実現するために微細化した場合に、省電力を実現できる可能性が十分あることが分かった。
図8は、実施例2の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。図に示すように、1回目のパルス印加(正極性パルスの印加)により、高抵抗状態(約30000Ω)から低抵抗状態(約5000Ω)へと変化した。2回目のパルス印加(負極性パルスの印加)により、低抵抗状態から高抵抗状態へと復帰した。その後は、2種類の電圧パルス(正極性パルスと負極性パルス)の印加により、安定して低抵抗状態と高抵抗状態の間を周期的に遷移した。すなわち、実施例2で得られた抵抗変化型素子は1回目のパルス印加から良好のメモリ特性を有していた。よって、実施例2の抵抗変化型素子は、フォーミングが不要であって、各層を形成して得られた抵抗変化型素子をそのままの状態でメモリとして用いることができることが分かった。
実施例2の抵抗変化型素子が低抵抗状態にあるときに正極性パルスを印加しても、抵抗値は実質的に変化せず、低抵抗状態のままであった。一方、該抵抗変化型素子が高抵抗状態にあるときに負極性パルスを印加しても、抵抗値は実質的に変化せず、高抵抗状態のままであった。以上の結果から、実施例1の抵抗変化型素子は上書き可能であることが分かった。
[実施例3]
実施例3では、パラメータが違うことを除けば、実施例1と同様の方法で抵抗変化型素子が形成され、書き込みおよび読み出しが行われた。
すなわち、実施例3では抵抗変化層を構成する(NiFe1−x)FeのXの値が0.90となるように、それぞれのターゲットに印加される電圧が調整された。Xの値は、RBS(ラザフォードバックスキャッタリング)法および蛍光X線分析法の2つを組み合わせて検証された。検証の結果、Xの値は0.90であった。抵抗率は、4端子4探針法で測定された。実施例3における抵抗変化層の抵抗率は、100Ωcmであった。
本実施例の抵抗変化型素子は、電源を切っても抵抗値が変化しない不揮発性を有することが確認された。また、電圧パルス印加時に流れる電流の大きさを測定すると、1mA以下であった。したがって、大容量の記憶装置を実現するために微細化した場合に、省電力を実現できる可能性が十分あることが分かった。
図9は、実施例3の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。図に示すように、1回目のパルス印加(正極性パルスの印加)により、高抵抗状態(約50000Ω)から低抵抗状態(約8500Ω)へと変化した。2回目のパルス印加(負極性パルスの印加)により、低抵抗状態から高抵抗状態へと復帰した。その後は、2種類の電圧パルス(正極性パルスと負極性パルス)の印加により、安定して低抵抗状態と高抵抗状態の間を周期的に遷移した。すなわち、実施例3で得られた抵抗変化型素子は1回目のパルス印加から良好のメモリ特性を有していた。よって、実施例3の抵抗変化型素子は、フォーミングが不要であって、各層を形成して得られた抵抗変化型素子をそのままの状態でメモリとして用いることができることが分かった。
実施例3の抵抗変化型素子が低抵抗状態にあるときに正極性パルスを印加しても、抵抗値は実質的に変化せず、低抵抗状態のままであった。一方、該抵抗変化型素子が高抵抗状態にあるときに負極性パルスを印加しても、抵抗値は実質的に変化せず、高抵抗状態のままであった。以上の結果から、実施例1の抵抗変化型素子は上書き可能であることが分かった。
[実施例4]
実施例4では、実施例3で得られたX=0.90の抵抗変化型素子を用いて、エンデュランス特性(動作の安定性)が検証された。
図10は、実施例3で得られた抵抗変化型素子に対し、約2万回だけ低抵抗状態への書き込み動作(電圧パルス:+2V、100ns)と高抵抗状態への書き込み動作(電圧パルス:−2V、100ns)を繰り返した時の抵抗値変化を示す図である。図に示すように、書き込みが2万回以上繰り返されても、抵抗変化型素子は、安定して低抵抗状態と高抵抗状態の間を周期的に遷移することが分かった。また、実験の開始(図9)から最後(図10)まで、低抵抗状態における抵抗値と高抵抗状態における抵抗値がほとんど変化していないことが分かった。よって、実施例3で得られた抵抗変化型素子は、良好なエンデュランス特性を示すことが分かった。
[実施例5]
シリコン基板の上に、0.2μmの厚さとなるように、Ptよりなる下部電極(大きさは20μm×20μm)がスパッタリングにより形成された。ZnFeとFeのターゲットが用意され、スパッタリングによりそれぞれのターゲットが同時に放電させされ、下部電極の上に(ZnFe1−x)Feの化学式で表されるスピネル構造を有する抵抗変化層(大きさは10μm×10μm)が形成された。抵抗変化層の厚さは100nmとした。さらに、抵抗変化層の上に、0.2μmの厚さとなるように、Ptよりなる上部電極(大きさは2μm×2μm)がスパッタリングにより形成され、抵抗変化型素子が得られた。
実施例5では、抵抗変化層を構成する(ZnFe1−x)FeのXの値が0.50となるように、それぞれのターゲットに印加される電圧が調整された。Xの値は、RBS(ラザフォードバックスキャッタリング)法および蛍光X線分析法の2つを組み合わせて検証された。検証の結果、Xの値は0.50であった。抵抗率は、4端子4探針法で測定された。実施例5における抵抗変化層の抵抗率は、3Ωcmであった。
上記方法により得られた抵抗変化型素子が電源に接続され、2種類の電圧パルス(電圧が+5Vが−5V、パルス幅はいずれも200ns)が交互に印加された。電圧は、下部電極に対する上部電極の電位が高くなる電圧をプラスとした。
電圧パルスが印加されるたびに、抵抗変化型素子の抵抗値が測定された。測定時には、+0.5Vの電圧が 秒程度印加された。この程度の電圧では抵抗変化型素子の抵抗値は変化しなかった。印加された電圧(+0.5V)と流れる電流とから、抵抗変化型素子の抵抗値が計算された。
本実施例の抵抗変化型素子は、電源を切っても抵抗値が変化しない不揮発性を有することが確認された。また、電圧パルス印加時に流れる電流の大きさを測定すると、1mA以下であった。したがって、大容量の記憶装置を実現するために微細化した場合に、省電力を実現できる可能性が十分あることが分かった。
図11は、実施例5の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。図に示すように、1回目のパルス印加(正極性パルスの印加)により、高抵抗状態(約4500Ω)から低抵抗状態(約2000Ω)へと変化した。2回目のパルス印加(負極性パルスの印加)により、低抵抗状態から高抵抗状態へと復帰した。その後は、2種類の電圧パルス(正極性パルスと負極性パルス)の印加により、安定して低抵抗状態と高抵抗状態の間を周期的に遷移した。すなわち、実施例5で得られた抵抗変化型素子は1回目のパルス印加から良好のメモリ特性を有していた。よって、実施例5の抵抗変化型素子は、フォーミングが不要であって、各層を形成して得られた抵抗変化型素子をそのままの状態でメモリとして用いることができることが分かった。
実施例5の抵抗変化型素子が低抵抗状態にあるときに正極性パルスを印加しても、抵抗値は実質的に変化せず、低抵抗状態のままであった。一方、該抵抗変化型素子が高抵抗状態にあるときに負極性パルスを印加しても、抵抗値は実質的に変化せず、高抵抗状態のままであった。以上の結果から、実施例1の抵抗変化型素子は上書き可能であることが分かった。
[比較例1]
比較例1では、パラメータが違うことを除けば、実施例1と同様の方法で抵抗変化型素子が形成され、書き込みおよび読み出しが行われた。
すなわち、比較例1では抵抗変化層を構成する(NiFe1−x)FeのXの値が0.30となるように、それぞれのターゲットに印加される電圧が調整された。Xの値は、RBS(ラザフォードバックスキャッタリング)法および蛍光X線分析法の2つを組み合わせて検証された。検証の結果、Xの値は0.30であった。抵抗率は、4端子4探針法で測定された。比較例1における抵抗変化層の抵抗率は、0.3Ωcmであった。
図12は、比較例1の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。図に示すように、X=0.30では、電圧パルスを印加しても抵抗値の変化はほとんどなく、メモリ特性を示さなかった。
[比較例2]
比較例2では、パラメータが違うことを除けば、実施例1と同様の方法で抵抗変化型素子が形成され、書き込みおよび読み出しが行われた。
すなわち、比較例2では抵抗変化層を構成する(NiFe1−x)FeのXの値が0.95となるように、それぞれのターゲットに印加される電圧が調整された。Xの値は、RBS(ラザフォードバックスキャッタリング)法および蛍光X線分析法の2つを組み合わせて検証された。検証の結果、Xの値は0.95であった。抵抗率は、4端子4探針法で測定された。比較例2における抵抗変化層の抵抗率は、150Ωcmであった。
図12は、比較例3の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。図に示すように、X=0.90では、電圧パルスを印加しても抵抗値の変化はほとんどなく、メモリ特性を示さなかった。
[比較例3]
シリコン基板の上に、0.2μmの厚さとなるように、Ptよりなる下部電極(大きさは20μm×20μm)がスパッタリングにより形成された。Feのターゲットが用意され、スパッタリングにより、下部電極の上にFeの化学式で表されるスピネル構造を有する抵抗変化層(大きさは10μm×10μm)が形成された。抵抗変化層の厚さは100nmとした。さらに、抵抗変化層の上に、0.2μmの厚さとなるように、Ptよりなる上部電極(大きさは2μm×2μm)がスパッタリングにより形成され、抵抗変化型素子が得られた。
抵抗率は、4端子4探針法で測定された。比較例3における抵抗変化層の抵抗率は、0.01Ωcmであった。
上記方法により得られた抵抗変化型素子が電源に接続され、2種類の電圧パルス(電圧が+3Vが−3V、パルス幅はいずれも100ns)が選択的に印加された。電圧は、下部電極に対する上部電極の電位が高くなる電圧をプラスとした。
電圧パルスが印加されるたびに、抵抗変化型素子の抵抗値が測定された。測定時には、+0.5Vの電圧が 秒程度印加された。この程度の電圧では抵抗変化型素子の抵抗値は変化しなかった。印加された電圧(+0.5V)と流れる電流とから、抵抗変化型素子の抵抗値が計算された。
図14は、比較例3の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。図に示すように、比較例3の抵抗変化型素子は、初期状態における抵抗値が低く、−3V、100μsのフォーミング電圧パルスを6回印加した後で始めて、メモリ特性が発揮されるようになった。すなわち、比較例3で得られた抵抗変化型素子はメモリ特性を発揮させるためにフォーミングが必要であることが分かった。
[実施例6]
実施例1ないし実施例5では、抵抗変化型素子が2つの抵抗状態を有する。かかる特定を使用して、それぞれの抵抗状態における抵抗値に数値を割り当ることにより、「1ビット」のデータを読み書き可能とした。しかし、3個以上の抵抗状態を設定し、書き込む値に応じて各抵抗状態へと抵抗変化型素子を遷移させることで、多値データ(3つ以上の値を取りうるデータ)を読み書き可能とすることが可能となる。
図15は、実施例6の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。本実施例では、抵抗変化層としてNi0.9Fe0.1Feの化学式で表されるスピネル構造を有する材料を抵抗変化層に用いて抵抗変化型素子を形成した(実施例3と同様)。この抵抗変化型素子に、+3V、100nsの正極性パルスを印加すると、図15に示すように、抵抗変化型素子の抵抗値が、約50000Ωから約8600Ωへと変化した。(抵抗率は、4端子4探針法で測定された。)続いて、−1V、100nsの負極性パルスを抵抗変化型素子に印加すると、図15に示すように、1回目の印加で15000Ωへ、2回目の印加で25000Ωへ、3回目の印加で40000Ωへ変化し、4回目の印加で約50000Ωへと復帰した。同様の処理を繰り返すことにより、再現性よく、5個の抵抗状態の間を遷移した。
以上の結果から、実施例6の抵抗変化型素子は多値メモリとして利用可能であることが分かった。なお、例えば負極性パルスの電圧やパルス幅を調整することで、1回のみの電圧パルス印加で、抵抗変化型素子を所望の抵抗値へと変化させることとしてもよい。この場合、正極性パルスの種類は1種類のみであるが、負極性パルスの種類は複数存在することになる。
[考察]
比較例3から、Feを抵抗変化層に用いた抵抗変化型素子にメモリ特性を発現させるためには、フォーミングと呼ばれる前処理が必要であることが分かる。比較例3のフォーミング処理では、−3V、100μsの電圧パルスを数回印加することで抵抗値が増加する。このことから、該フォーミング処理は、Feの一部をγ-Feあるいはα-Feの高抵抗相に変える(酸化する)過程と考えられる。
パルス抵抗変化を示しているのは、あくまでもFeであると考えられる。メモリ特性を発現させるためには抵抗の低いFeが抵抗の高い材料と混じりあい、全体として抵抗値が高くなる必要があると考えられる。
実施例1ないし5で判明したように、FeにNiやZnなどの添加元素を入れると抵抗値が増加する。実施例1ないし5でフォーミングが不要となったのは、NiやZnなどの遷移金属を添加することで抵抗値が増加したためと考えられる。NiやZn以外でも、Feと同じ構造を有し(スピネル構造のFeにおいて、結晶構造を維持したままFeのサイトを置換可能であり)、電気抵抗を上昇させる元素であれば、該元素をFeの代わりに部分的に存在させることでフォーミングが不要になることが類推される。かかる元素としては、Ni、Zn以外に、Cu、Mn、Coが挙げられる。
また、各実施例で得られた抵抗変化層はアモルファス構造ではなく多結晶構造を有する。よって、本実施例の抵抗変化型素子は、従来の抵抗変化型素子よりも長期間使用してもメモリとしての信頼性を維持できることが分かる。また、データが書き込まれた状態で長時間放置しても、抵抗値の変化が起こりにくく、データのリテンションが十分確保されることが分かる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態で述べた抵抗変化型素子の応用例として、当該抵抗変化型素子を組み込んだ抵抗変化型記憶装置200の構成および動作を説明する。
[抵抗変化型記憶装置200の構成]
図16は、本発明の第2実施形態の抵抗変化型記憶装置の一構成例を示したブロック図である。
抵抗変化型記憶装置200は、メモリアレイ201と、アドレスバッファ202と、制御部203(電圧パルス印加装置)と、行デコーダ204と、ワード線ドライバ205(ワード線駆動部)と、列デコーダ206と、ビット線/プレート線ドライバ207(ビット線/プレート線駆動部)とを備える。
メモリアレイ201には、図16に示すように、第1方向に延びる2本のワード線W1、W2と、ワード線W1、W2と交差して第2方向に延びる2本のビット線B1、B2と、ビット線B1、B2に一対一で対応して第2方向に延びる2本のプレート線P1、P2と、ワード線W1、W2とビット線B1、B2との間の各交差点に対応してマトリクス状に設けられた4個のトランジスタT211、T212、T221、T222と、トランジスタT211、T212、T221、T222に一対一で対応してマトリクス状に設けられた4個のメモリセルMC211、MC212、MC221、MC222と、がある。勿論、ここで述べた個数や本数に限られるものでなく、例えば、図16の抵抗変化型記憶装置200では、メモリアレイ201中に4つのメモリセルMC211、MC212、MC221、MC222を含む例が示されているが、5つ以上のメモリセルをマトリックス状に配列するよう、メモリアレイを構成しても良い。
なおメモリセルMC211、MC212、MC221、MC222の各々は、本発明の抵抗変化型素子を備えており、例えば第1実施形態の図2に示した抵抗変化型素子10からなる。
ここで、トランジスタT211およびメモリセルMC211は、ビット線B1とプレート線P1との間において、トランジスタT211のソース(第2主端子)とメモリセル211の第1端子11(図2参照)とが接続されるようにして直列に並んでいる。より詳しくは、トランジスタT211は、ビット線B1とメモリセルMC211との間で、ビット線B1とメモリセルMC211とに接続され、メモリセルMC211は、トランジスタT211とプレート線P1との間で、トランジスタT211とプレート線P1とに接続されている。なお、トランジスタT211のドレイン(第1主端子)はビット線B1に接続され、メモリセルMC211の第2端子12(図2参照)は、プレート線P1に接続されている。また、トランジスタT211のゲート(制御端子)がワード線W1に接続されている。なお、トランジスタT211のソースとドレインは、入れ替わっていてもよい。すなわち、ソース(第1主端子)がビット線B1に、ドレイン(第2主端子)がメモリセル211の第1端子11に接続されていてもよい。トランジスタは例えばMOS−FETでもよいが、制御端子と第1主端子、第2主端子を備えるスイッチング素子であればどのようなものでもよい。
なおここで、他の3個のトランジスタT212、T221、T222およびこれらのトランジスタT212、T221、T222と直列配置される3個のメモリセルMC212、MC211、MC222は、トランジスタT211とメモリセルMC211と同様の態様でビット線およびプレート線に接続される(図16参照)。
これにより、トランジスタT211、T212、T221、T222の各々のゲートに、ワード線W1またはワード線W2を介して所定の電圧(活性化電圧)が印加されると、トランジスタT211、T212、T221、T222のドレインとソースとの間が導通する。
アドレスバッファ202は、外部回路(不図示)からアドレス信号ADDRESSを受け取り、このアドレス信号ADDRESSに基づいて行アドレス信号ROWを行デコーダ204に出力するとともに、列アドレス信号COLUMNを列デコーダ206に出力する。アドレス信号ADDRESSは、メモリセルMC211、MC212、MC221、MC222のうちの選択されるメモリセルのアドレスを示す信号である。行アドレス信号ROWは、アドレス信号ADDRESSに示されたアドレスのうちの行のアドレスを示す信号であり、列アドレス信号COLUMNは、アドレス信号ADDRESSに示されたアドレスのうちの列のアドレスを示す信号である。
制御部203は、外部回路から受け取ったモード選択信号MODEに応じて、書き込みモード(Dinの値によって、低抵抗状態への書き込みモードまたは高抵抗状態への書き込みモードが択一的に選択される)または読み出しモードのうちのいずれか1つのモードを選択する。
制御部203は、書き込みモードでは、外部回路から受け取った入力データDinに応じて、「低抵抗状態への書き込み電圧パルス印加」または「高抵抗状態への書き込み電圧パルス印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。
制御部203は、読み出しモードでは、「読み出し(再生)電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。制御部203は、読み出しモードでは、更に、ビット線/プレート線ドライバ207から出力される信号IREADを受け取り、この信号IREADに応じたビット値を示す出力データDoutを外部回路へ出力する。なお、この信号IREADは、読み出しモード時にプレート線P1、P2を流れる電流の電流値を示す信号である。
行デコーダ204は、アドレスバッファ202から出力された行アドレス信号ROWを受け取り、この行アドレス信号ROWに応じて、2本のワード線W1、W2のうちのいずれか一方を選択する。ワード線ドライバ205は、行デコーダ204の出力信号に基づいて行デコーダ204によって選択されたワード線に活性化電圧を印加する。
列デコーダ206は、アドレスバッファ202から列アドレス信号COLUMNを受け取り、この列アドレス信号COLUMNに応じて、2本のビット線B1、B2のうちいずれか一方を選択するとともに、2本のプレート線P1、P2のうちのいずれか一方を選択する。
ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「低抵抗状態への書き込み電圧パルス印加」を指示する制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ206の出力信号に基づいて列デコーダ206によって選択されたビット線に低抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITELOW(第1電圧パルス)を印加するとともに、列デコーダ206によって選択されたプレート線を接地(第2電圧パルス)状態にする。
ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「高抵抗状態への書き込み電圧パルス印加」を指示する制御信号CONTを受けると、列デコーダ206の出力信号に基づいて列デコーダ206によって選択されたビット線に高抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITEHIGH(第1電圧パルス)を印加するとともに、列デコーダ206によって選択されたプレート線を接地(第2電圧パルス)状態にする。
ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「読み出し電圧印加」を指示する制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ206の出力信号に基づいて列デコーダ206によって選択されたビット線に読み出し電圧VREAD(第1読出電圧)を印加するとともに、列デコーダ206によって選択されたプレート線を接地(第2読出電圧)状態にする。その後、ビット線/プレート線ドライバ207は、そのプレート線を流れる電流の電流値を示す信号IREADを制御部203に出力する。
なおここで、低抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITELOWの電圧値は、例えば「+2V」に設定され、そのパルス幅が「100ns」に設定される。高抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITEHIGHの電圧値は、例えば「−2V」に設定され、そのパルス幅が「100ns」に設定される。読み出し電圧VREADの電圧値は、例えば「+0.5V」に設定される。
[抵抗変化型記憶装置200の動作]
次に、図16に示した抵抗変化型記憶装置200の動作例を説明する。
この抵抗変化型記憶装置200の動作には、メモリセルに「1」を書き込む低抵抗状態への書き込みモードと、メモリセルに「0」を書き込む高抵抗状態への書き込みモードと、メモリセルに書き込まれたデータを出力データDoutとして出力(再生)する読み出しモードとが存在する。以下、これらの各モードの動作を順番に述べる。
なお以下の説明の便宜上、メモリセルMC211、MC212、MC221、MC222は、高抵抗の状態に初期化されているものとし、アドレス信号ADDRESSは、メモリセルMC211のアドレスを示す信号であるとする。
[低抵抗状態への書き込みモード]
まず、抵抗変化型記憶装置200の低抵抗状態への書き込みモードの動作例を説明する。
制御部203は、外部回路から入力されるMODE信号が書き込みモードを示す場合に、外部回路から入力データDinを受け取る。そして、制御部203は、この入力データDinが「1」である場合には、「低抵抗状態への書き込み電圧パルス印加」を示す制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。
次に、ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「低抵抗状態への書き込み電圧パルス印加」を示す制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ206によって選択されたビット線B1に低抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITELOWを印加する。また、ビット線/プレート線ドライバ207は、列デコーダ206によって選択されたプレート線P1を接地状態にする。
なおこの場合、ワード線ドライバ205は、行デコーダ204によって選択されたワード線W1に活性化電圧を印加する。これにより、トランジスタT211のドレインおよびソース間が導通状態になっている。
電圧値を「+2V」およびパルス幅を「100ns」に設定させた低抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITELOW(正極性パルス)が、メモリセルMC211には印加され、これにより、メモリセルMC211の抵抗値は、高抵抗の状態から低抵抗の状態になる。一方、メモリセルMC221、MC222には正極性パルスが印加されず、メモリセルMC212と直列接続されたトランジスタT212のゲートには活性化電圧が印加されないので、これらのメモリセルMC212、MC221、MC222の抵抗状態は変化しない。
このようにして、メモリセルMC211の抵抗状態のみを、低抵抗状態へと変化させることができ、これにより、メモリセルMC211に、低抵抗状態に対応する「1」を示す1ビットデータが書き込まれる(1ビットデータを記憶できる)。
なおメモリセルMC211への書き込みが完了すると、アドレスバッファ202に新たなアドレス信号ADDRESSが入力されて、上述の抵抗変化型記憶装置200の低抵抗状態への書き込みモードの動作が、メモリセルMC211以外のメモリセルに対して繰り返される。
[高抵抗状態への書き込みモード]
次に、抵抗変化型記憶装置200の高抵抗状態への書き込みモードの動作例を説明する。
制御部203は、外部回路から入力されるMODE信号が書き込みモードを示す場合に、外部回路から入力データDinを受け取る。そして、制御部203は、この入力データDinが「0」である場合には、「高抵抗状態への書き込み電圧パルス印加」を示す制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。
次に、ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「高抵抗状態への書き込み電圧パルス印加」を示す制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ206によって選択されたビット線B1に高抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITEHIGHを印加する。また、ビット線/プレート線ドライバ207は、列デコーダ206によって選択されたプレート線P1を接地状態にする。
なおこの場合、ワード線ドライバ205は、行デコーダ204によって選択されたワード線W1に活性化電圧を印加する。これにより、トランジスタT211のドレインおよびソース間が導通状態になっている。
電圧値を「−2V」およびパルス幅を「100ns」に設定させた高抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITEHIGH(負極性パルス)が、メモリセルMC211には印加され、これにより、メモリセルMC211の抵抗値は、低抵抗の状態から高抵抗の状態になる。一方、メモリセルMC221、MC222には負極性パルスが印加されず、メモリセルMC212と直列接続されたトランジスタT212のゲートには活性化電圧が印加されないので、これらのメモリセルMC212、MC221、MC222の抵抗状態は変化しない。
このようにして、メモリセルMC211の抵抗状態のみを、高抵抗状態へと変化させることができ、これにより、メモリセルMC211に、高抵抗状態に対応する「0」を示す1ビットデータが書き込まれる(1ビットデータを記憶できる)。
なおメモリセルMC211への書き込みが完了すると、アドレスバッファ202に新たなアドレス信号ADDRESSが入力されて、上述の抵抗変化型記憶装置200の低抵抗状態への書き込みモードの動作が、メモリセルMC211以外のメモリセルに対して繰り返される。
[読み出しモード]
次に、抵抗変化型記憶装置200の読み出しモードの動作例を説明する。
制御部203は、外部回路から入力されるMODE信号が読み出しモードを示す場合に、「読み出し電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。
次に、ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「読み出し電圧印加」を示す制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ206によって選択されたビット線B1に読み出し電圧VREADを印加する。また、ビット線/プレート線ドライバ207は、列デコーダ206によって選択されたプレート線P1を接地状態にする。
なおこの場合、ワード線ドライバ205は、行デコーダ204によって選択されたワード線W1に活性化電圧を印加されている。これにより、トランジスタT211のドレインおよびソース間が導通状態になっている。
このため、電圧値を「+0.5V」に設定させた読み出し電圧VREADとしての測定電圧が、メモリセルMC211には印加され、これにより、メモリセルMC211の抵抗値に応じた電流値を示す電流がメモリセルMC211を通って、プレート線P1に流れ込む。
なおメモリセルMC221、MC222には測定電圧が印加されず、メモリセルMC212と直列接続されたトランジスタT212のゲートには活性化電圧が印加されないので、メモリセルMC212、MC221、MC222には上記電流が流れない。
次に、ビット線/プレート線ドライバ207は、プレート線P1を流れる電流の電流値を測定し、その測定値を示す信号IREADを制御部203に出力する。
次に、制御部203は、その信号IREADに示された電流値に応じた出力データDoutを外部に出力する。例えば、メモリセルMC211が低抵抗の状態のときに流れる電流の電流値であれば、制御部203は、「1」を示す出力データDoutを出力する。
このようにして、メモリセルMC211のみにメモリセルMC211の抵抗値の状態を反映させた電流を流せ、当該電流がプレート線P1に流出するので、メモリセルMC211から1ビットデータを読み出される(1ビットデータを再生できる)。
なお、メモリセルMC211からの読み出しが完了すると、アドレスバッファ202に新たなアドレス信号ADDRESSが入力されて、上述の抵抗変化型記憶装置200の読み出しモードの動作が、メモリセルMC211以外のメモリセルに対して繰り返される。
[効果]
以上に説明したように、第1実施形態で述べた抵抗変化型素子をメモリセルMC211、MC212、MC221、MC222としてメモリアレイ201に組み込み、このメモリアレイ201を用いて抵抗変化型記憶装置200を構成できる。このため、本実施形態の抵抗変化型記憶装置200は、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型記憶装置を提供することが可能となる。
なお、抵抗変化型素子を構成する抵抗変化層は、アモルファス構造ではなく多結晶構造を有する。したがって、この抵抗変化型記憶装置200は、従来の抵抗変化型記憶装置よりも長時間使用してもメモリアレイとしての信頼性を維持できる。
(第3実施形態)
本実施形態では、第2実施形態で述べた抵抗変化型記憶装置200の応用例として、当該抵抗変化型記憶装置200を組み込んだEmbedded-RAMである抵抗変化型装置300の構成および動作を説明する。
[抵抗変化型装置300の構成]
図17は、本発明の第3実施形態の抵抗変化型装置(Embedded-RAM)の一構成例を示したブロック図である。この抵抗変化型装置300は、第2実施形態(図17)で述べた抵抗変化型記憶装置200と、論理回路301とを備え、1つの半導体チップ上に形成される回路である。この抵抗変化型記憶装置200は、ここでは、データRAMとして使用されるが、抵抗変化型記憶装置200の構成は、第2実施形態で詳述したので、省略する。論理回路301は、所定の演算(例えば、音声データ・画像データの符号化/ 復号化)を行う回路であり、その演算の際に、抵抗変化型記憶装置200を利用する。すなわち、論理回路301は、抵抗変化型記憶装置200に対するアドレス信号ADDRESSおよびモード選択信号MODEを制御するよう構成され、これにより、抵抗変化型記憶装置200へのデータの書き込み/読み出しが実行される。
[抵抗変化型装置300の動作]
次に、図17に示した抵抗変化型装置300の動作を説明する。この抵抗変化型装置300の動作には、抵抗変化型記憶装置200に「1」データを書き込む低抵抗状態への書き込み処理と、抵抗変化型記憶装置200に「0」データを書き込む高抵抗状態への書き込み処理と、抵抗変化型記憶装置200に書き込んだデータを読み出す読み出し処理とが存在する。以下、これらの各処理における動作を順番に述べる。なお以下の動作においては、第2実施形態で説明した抵抗変化型記憶装置200の「低抵抗状態への書き込みモード」、「読み出しモード」および「高抵抗状態への書き込みモード」の各動作が利用されるが、ここでは、抵抗変化型記憶装置200の詳細な動作説明は省く。
[書込処理]
まず、抵抗変化型装置300による抵抗変化型記憶装置200への書込処理を説明する。
論理回路301は、抵抗変化型記憶装置200に所定のデータ(例えば、符号化動画像データ等)を書き込むために、抵抗変化型記憶装置200の「書き込みモード」を示すモード選択信号MODEを制御部203に出力する。
次に、論理回路301は、その所定のデータを書き込むメモリセルを選択するために、アドレス信号ADDRESSを抵抗変化型記憶装置200のアドレスバッファ202に順次出力する。これにより、抵抗変化型記憶装置200では、アドレス信号ADDRESSに応じたメモリセルが順次選択される。
次に、論理回路301は、その所定のデータを1ビットずつ、1ビットデータDinとして抵抗変化型記憶装置200の制御部203に出力する。
次に、抵抗変化型記憶装置200では、入力されるDinの値に応じて、第2実施形態で説明した低抵抗状態への書き込みモードあるいは高抵抗状態への書き込みモードと同様の動作が択一的に行われる。これにより、抵抗変化型記憶装置200にその所定のデータが1ビットずつ書き込まれる。
[読出処理]
次に、抵抗変化型装置300による抵抗変化型記憶装置200からの読出処理を説明する。
論理回路301は、抵抗変化型記憶装置200に書き込んだデータを読み出すために、抵抗変化型記憶装置200の「読み出しモード」を示すモード選択信号MODEを制御部203に出力する。
次に、論理回路301は、書き込まれたデータを読み出すメモリセルを選択するために、アドレス信号ADDRESSを抵抗変化型記憶装置200のアドレスバッファ202に順次出力する。これにより、抵抗変化型記憶装置200では、アドレス信号ADDRESSに応じたメモリセルが順次選択される。
次に、抵抗変化型記憶装置200では、第2実施形態で説明した読み出しモードと同様の動作が行われる。これにより、抵抗変化型記憶装置200に記憶されたデータが1ビットずつ、出力データDoutとして読み出される。
[効果]
以上に説明したように、第2実施形態で述べた抵抗変化型記憶装置200を用いて抵抗変化型装置300を構成できる。このため、本実施形態の抵抗変化型装置300は、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型記憶装置を提供することが可能となる。
そして、本実施形態の抵抗変化型装置300によれば、格段に動作速度が高まった抵抗変化型記憶装置200に大量のデータを高速に記憶させることができ好適である。
(第4実施形態)
本実施形態では、第2実施形態で述べた抵抗変化型記憶装置200の他の応用例として、抵抗変化型記憶装置200を組み込んだReconfigurable-LSIである抵抗変化型装置400の構成および動作を説明する。
[第2半導体集積回路の構成]
図18は、本発明の第4実施形態の抵抗変化型装置(Reconfigurable-LSI)の一構成例を示したブロック図である。
この抵抗変化型装置400は、第2実施形態(図16)で述べた抵抗変化型記憶装置200と、プロセッサ401と、インターフェイス402を備えてなり、これらが、1つの半導体チップ上に形成されている。抵抗変化型記憶装置200は、ここでは、プログラムROMとして使用され、プロセッサ401の動作に必要なプログラムを記憶するが、抵抗変化型記憶装置200の構成は、第2実施形態で詳述したので、省略する。プロセッサ401は、抵抗変化型記憶装置200に記憶されたプログラムに従って動作し、抵抗変化型記憶装置200およびインターフェイス402を制御する。なお、外部機器(不図示)から入力されたプログラムが、インターフェイス402を介して抵抗変化型記憶装置200に順次出力される。
[第2抵抗変化型装置400の動作]
次に、図18に示した半導体集積回路(Reconfigurable-LSI)400の動作を説明する。この抵抗変化型装置400による動作には、記憶されたプログラムに従って動作するプログラム実行処理(プログラム実行モード)と、抵抗変化型記憶装置200に記憶されたプログラムを別の新たなプログラムに書き換えるプログラム書き換え処理(プログラム書き換えモード)とが存在する。なお以下の動作においては、第2実施形態で説明した抵抗変化型記憶装置200の「低抵抗状態への書き込みモード」、「読み出しモード」および「高抵抗状態への書き込みモード」の各動作が利用されるが、ここでは、抵抗変化型記憶装置200の詳細な動作説明は省く。
[プログラム実行モード]
まず、抵抗変化型装置400のプログラム実行モードにおける動作を説明する。
プロセッサ401は、抵抗変化型記憶装置200に記憶されたプログラムを読み出すために、抵抗変化型記憶装置200の「読み出しモード」を示すモード選択信号MODEを制御部203に出力する。
次に、プロセッサ401は、その必要なプログラムが書き込まれたメモリセルを示すアドレス信号ADDRESSを抵抗変化型記憶装置200のアドレスバッファ202に順次出力する。これにより、抵抗変化型記憶装置200では、アドレス信号ADDRESSに応じたメモリセルが順次選択される。
次に、抵抗変化型記憶装置200では、第2実施形態で説明した読み出しモードと同様の動作が行われる。これにより、抵抗変化型記憶装置200に記憶されたプログラムが出力データDoutとして1ビットずつ、読み出される。
このようにして、プロセッサ401は、読み出したプログラムに従って所定の演算を行える。
[プログラム書き換えモード]
次に、抵抗変化型装置400のプログラム書き換えモードにおける動作を説明する。
プロセッサ401は、抵抗変化型記憶装置200に記憶されたプログラム(書換対象となるプログラム)を書き換えるために、抵抗変化型記憶装置200の「書き込みモード」を示すモード選択信号MODEを制御部203に出力する。
次に、プロセッサ401は、新たなプログラムを記憶すべきメモリセルの位置を示すアドレス信号ADDRESSを抵抗変化型記憶装置200のアドレスバッファ202に順次出力する。これにより、抵抗変化型記憶装置200では、アドレス信号ADDRESSに応じたメモリセルが順次選択される。
次に、プロセッサ401は、外部からインターフェイス402を介して1ビットずつ、抵抗変化型記憶装置200の制御部203に出力する。抵抗変化型記憶装置200では、プロセッサ401から入力されたデータの値に基づいて、第2実施形態で説明した低抵抗状態への書き込みモードあるいは高抵抗状態への書き込みモードと同様の動作が択一的に行われる。これにより、新たなプログラムが抵抗変化型記憶装置200に1ビットずつ記憶される。
このように、抵抗変化型記憶装置200は書き換え可能な不揮発性メモリであるため、記憶するプログラムの内容を書き換えた上で、電源を切ってもこれを保存することができる。つまり、プロセッサ401において実現される機能が容易に改変できる。また、複数のプログラムを抵抗変化型記憶装置200に記憶しておき、読み出すプログラムに応じてプロセッサ401で実現される機能を変更することも可能である。
[効果]
以上に説明したように、第2実施形態で述べた抵抗変化型記憶装置200を用いて抵抗変化型装置400を構成できる。このため、本実施形態の抵抗変化型装置400は、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型記憶装置を提供することが可能となる。
そして、本実施形態の抵抗変化型装置400によれば、格段に動作速度が高まった抵抗変化型記憶装置200に用いて1つのプロセッサ(LSI)で異なる機能が実現でき(いわゆるre-configurable)好適である。
(第2、第3、第4実施形態における変形例)
なお、上記第2、第3および第4実施形態の説明においては、低抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITELOWの電圧値(+2V)とパルス幅(100ns)、および、高抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITEHIGHの電圧値(−2V)とパルス幅(100ns)を例示したが、抵抗変化型素子の抵抗状態の変化させるために必要な電圧パルスの条件を満たせば他の電圧値やパルス幅を用いても良い。
また、上記第2、第3および第4実施形態では、第1実施形態で述べた抵抗変化型素子を「記憶素子」として利用する例を説明したが、利用の用途はこれに限定されない。例えば、第1実施形態で述べた抵抗変化型素子の他の利用形態として、第1実施形態で述べた抵抗変化型素子を、複数の信号の切り替えを決定するスイッチング素子、周波数の切り替えに用いられる抵抗変化型素子、複数の信号の混合比率を決定する抵抗変化型素子、または、コンデンサーとの組み合わせで時定数を決定する時定数変化素子として用いることができる。
上述の説明では、抵抗変化型素子が上書き可能である場合を想定して説明したが、上書きすると正常に動作しにくい場合などには、書き込み前に抵抗変化型素子の抵抗状態を読み出して書き込み用パルスを印加するか否かが選択されてもよいし、書き込み前に書き込み対象となるそれぞれの抵抗変化型素子の抵抗状態を初期状態に揃えた上で改めて必要な抵抗変化型素子に対して書き込みが行われてもよい。
(第5実施形態)
図19および図20は、第1実施形態で述べた抵抗変化型素子と同様に構成された抵抗変化型素子の他の用途例を示したブロック図である。図19は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子を用いた周波数可変回路の構成を示したブロック図である。図20は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子を用いたミキシング回路の構成を示したブロック図である。なお図14において、抵抗変化型素子10および、これに接続される電源5とスイッチSWa、SWb以外の素子の構成および動作の説明は省略する。図中VCOは、Voltage Controlled Oscillator(電圧[制御電圧]で発振周波数を制御する発振器)を示す。
図19および図20において、抵抗変化型素子10の抵抗値を変化させる場合、スイッチSWa、SWbを切り替えて抵抗変化型素子10と電源5とを電気的に接続する。次に、電源5によって所定の電圧パルスが抵抗変化型素子10に印加される。これにより、抵抗変化型素子10の抵抗値が変化する。そして、スイッチSWa、SWbを元の接続状態に戻せば、抵抗変化型素子10の抵抗値を容易に改変できる。このような抵抗変化型素子10を使用することにより、図19に示した周波数可変回路や、図20に示した2つの信号の混合比率を変えるミキシング回路を構成できる。
本実施形態においても、上述の同様の変形例が適用可能である。

上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。

本発明の抵抗変化型素子および抵抗変化型記憶装置は、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型素子、抵抗変化型記憶装置、抵抗変化型装置として有用である。
本発明は、抵抗変化型素子、抵抗変化型記憶装置、および抵抗変化型装置に関する。より詳しくは、印加される電圧パルスに応じて電気抵抗が変化する抵抗変化型素子、およびこれを利用した抵抗変化型記憶装置と抵抗変化型装置に関する。
電子機器におけるデジタル技術の進展に伴い、画像などのデータを保存するため、不揮発性抵抗変化型素子の大容量化、書き込み電力の低減、書き込み/読み出し時間の高速化、および長寿命化の要求が高まっている。こうした要求に対して、既存のフローティングゲートを用いたFLASHメモリの微細化には限界があると言われている。
上記要求に応えることのできる可能性のある第1の従来技術として、ペロブスカイト材料(例えば、Pr(1−x)CaMnO[PCMO]、LaSrMnO[LSMO]、GdBaCo[GBCO]など)を用いた不揮発性抵抗変化型素子が提案されている(特許文献1)。この技術は、ペロブスカイト材料に所定の極性の異なる(または同極性で電圧値の異なる)電圧パルス(継続時間の短い波状の電圧)を印加してその抵抗値を増大または減少させ、変化する抵抗値にデータを対応させることによってデータを記憶させるというものである。
また、第2の従来技術として、遷移金属酸化物(NiO、VO、ZnO、NbO、TiO、WO、またはCoO)の膜に上記電圧パルスを印加することにより、当該遷移金属酸化膜の抵抗値が変化することを利用した不揮発性抵抗変化型素子もある(特許文献2参照)。
また、第3の従来技術として、アモルファス酸化物(例えば、Ti、V、Fe、Co、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Ge、Siの中から選ばれる1つ以上の元素の酸化物)にAgまたはCuの電極を設けて電圧を印加することによって、電極材料であるAgまたはCuをイオン化して薄膜中に拡散させ、アモルファス酸化物の抵抗値を変化させた不揮発性抵抗変化型素子もある(特許文献3参照)。
第4の従来技術として、スピネル構造を有する材料層を電極で挟み、高抵抗化のための電気パルスの極性と低抵抗化の電気パルスの極性とが異なる(バイポーラ駆動される)ように構成された抵抗変化素子が提案されている(特許文献4、5)。
上述のような抵抗変化材料をメモリセルとして用い、さらに個々のメモリセル選択のためのトランジスタと組み合わせて構成することにより、不揮発性抵抗変化型素子の動作が実現される。
米国特許第6204139号明細書 特開2004−363604号公報 特開2004−342843号公報 特開2005−317787号公報 特開2006−080259号公報
しかしながら、前記第1の従来技術においては、動作の安定性や再現性が不十分であった。(Pr0.7Ca0.3MnO)のようなペロブスカイト構造を有する酸化物結晶では、その結晶化のために通常650℃〜850℃という高温を必要とするため、半導体製造プロセスに導入すると、他の材料が劣化するという問題もあった。
前記第2の従来技術および前記第4の従来技術においては、抵抗変化層が安定して所定の抵抗値を示すようにするために、製造(層形成)後に高い電圧を印可するフォーミングと呼ばれる動作が必要であった。各素子毎にフォーミングをするとなると、非常に多くの素子を有する抵抗変化型記憶装置などの製造に長い時間が必要となるという問題があった。さらに、前記第2の従来技術においては、低抵抗状態から高抵抗状態への変化(リセット)時にはミリ秒オーダーの長いパルス幅の電圧パルス印加が必要となるために、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度(記録速度)が非常に遅いという問題もあった。
前記第3の従来技術においては、抵抗変化層がアモルファス構造であるため、長期間使用すると、抵抗変化層が結晶化して、特性が変化する可能性があるという問題があった。
本発明は前記従来の問題を解決することを目的とするものである。すなわち本発明は、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型素子、抵抗変化型記憶装置、抵抗変化型装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、抵抗変化型素子の抵抗変化層に用いられる材料を鋭意検討した。その結果、Feを主体とする抵抗変化材料を用いた場合に、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が向上できることが判明した。しかしながら、Feを用いるとフォーミングが必要となることも明らかとなった。
本発明者らは、Feを抵抗変化材料とした場合に、フォーミングを不要とする技術を鋭意検討した。その結果、FeにNiやZnを不純物として混合すると、抵抗値が上昇し、フォーミングが不要となることが判明した。さらに、NiやZnを混合した材料を用いた構成では、製造温度が低く(例えば300℃以下)、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く(100ns程度)、データの保持特性(リテンション)が長いということが判明した。
得られた結果から考察を加えた結果、NiやZn以外でも、Cu、Mn、Coなどでも同様の効果が得られることが類推された。
すなわち、本発明の抵抗変化型素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配設され前記第1電極と前記第2電極とに電気的に接続された抵抗変化層とを備え、前記抵抗変化層が(NiFe1−x)Feの化学式で表されるスピネル構造を有する材料を含み、Xが0.35以上0.9以下であり、前記第1電極と前記第2電極との間に第1の電圧を有する第1電圧パルスを印加することで前記第1電極と前記第2電極との間の電気抵抗が低下し、前記第1電極と前記第2電極との間に前記第1の電圧と極性が異なる第2の電圧を有する第2電圧パルスを印加することで前記第1電極と前記第2電極との間の電気抵抗が上昇する性質を有する。
かかる構成では、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型素子を提供できる。
また、上記抵抗変化型素子において、前記化学式で表される材料の抵抗率が0.5Ωcm以上100Ωcm以下であってもよい。
かかる構成では、抵抗率を所定の範囲に調整した結果、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型素子を提供できる。
また、上記抵抗変化型素子において、前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも何れか一方が、Ag、Au、Pt、Ru、RuO、Ir、IrO、TiO、TiN、TiAlN、Ta、TaNよりなる群から選ばれた一つあるいは複数の材料を用いて構成された電極である、請求項1に記載の抵抗変化型素子。
かかる構成では、所定の金属を電極として、抵抗変化型素子を形成できる。
また、上記抵抗変化型素子において、前記抵抗変化層の厚みが、10nm以上200nm以下である、請求項1に記載の抵抗変化型素子。
かかる構成では、パターンニングプロセスにおいてリソグラフィーを使用する場合に、加工し易くなり、抵抗変化型素子の抵抗値を変化させる電圧パルスの電圧値を低くすることが可能となる。また、電圧印加時のブレークダウン(絶縁破壊)をより確実に回避することが可能となる。
また、本発明の抵抗変化型記憶装置は、上記抵抗変化型素子と、電圧パルス印加装置とを備え、前記電圧パルス印加装置が、前記第1電極と前記第2電極との間に所定の電圧パルスを印加することにより、前記抵抗値の変化に対応して、1ビットデータまたは多値データを前記抵抗変化型素子に記憶する。
かかる構成では、電圧パルス印加装置から印加される電圧パルスによって抵抗変化型素子にデータが記録可能となる。よって、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型記憶装置を提供できる。
また、上記抵抗変化型記憶装置において、前記電圧パルス印加装置が、前記第1電極と前記第2電極との間に正極性の電圧パルスを印加することにより、前記抵抗変化型素子を低抵抗状態へと変化させ、前記電圧パルス印加装置が、前記第1電極と前記第2電極との間に負極性の電圧パルスを印加することにより、前記抵抗変化型素子を高抵抗状態へと変化させることにより、前記抵抗変化型素子の抵抗状態に対応させて1ビットデータを記憶してもよい。
かかる構成では、電圧パルス印加装置から印加される正極性および負極性の電圧パルスによって抵抗変化型素子にデータが記録可能となる。よって、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型記憶装置を提供できる。
また、上記抵抗変化型記憶装置において、第1方向に延びる複数のワード線と、前記ワード線に交差して第2方向に延びる複数のビット線と、前記複数のビット線に一対一で対応して前記第2方向に延びる複数のプレート線と、第1主端子と第2主端子と制御端子とを備え前記ワード線と前記ビット線との間の交差点に対応して設けられた複数のトランジスタと、第1電極と第2電極と前記第1電極と前記第2電極との間に配設され前記第1電極と前記第2電極とに電気的に接続された抵抗変化層とを備え前記トランジスタのそれぞれに一対一で対応する複数の抵抗変化型素子と、前記複数のワード線に接続して前記ワード線への電圧印加を制御するワード線駆動部と、前記複数のビット線と前記複数のプレート線とに接続して、前記ビット線および前記プレート線への電圧印加を制御するビット線/プレート線駆動部と、前記ワード線駆動部と前記ビット線/プレート線駆動部とを制御する制御部とを備え、前記トランジスタの第1主端子がそれぞれ対応する前記交差点を通る前記ビット線と電気的に接続され、前記トランジスタの第2主端子がそれぞれ対応する前記抵抗変化型素子の第1電極に電気的に接続され、前記抵抗変化型素子の第2電極がそれぞれ対応する前記交差点を通る前記プレート線と電気的に接続され、前記トランジスタの制御端子がそれぞれ対応する前記交差点を通る前記ワード線に電気的に接続され、前記抵抗変化層が(M’Fe1−x)Feの化学式で表されるスピネル構造を有する材料を含み、前記化学式中のM’はMn、Co、Ni、Cu、Znよりなる群から選ばれた一つあるいは複数の遷移金属であってもよい。
かかる構成では、上記抵抗変化型素子を各セルに含むメモリセルアレイを備えた抵抗変化型記憶装置が実現される。よって、高密度化され、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型記憶装置を提供できる。
また、上記抵抗変化型記憶装置において、前記ワード線駆動部は、前記制御部の制御に基づいて所定のデータを記憶する前記抵抗変化型素子に対応する前記トランジスタのゲートに接続されたいずれか一つのワード線に対し択一的に前記トランジスタのドレインおよびソース間の導通を図るための活性化電圧を印加するように構成されており、前記ビット線/プレート線駆動部は、前記制御部の制御に基づいて前記所定のデータを記憶する予定の前記抵抗変化型素子に対応する前記トランジスタに接続されたいずれか一つのビット線に対し択一的に第1電圧パルスを印加するとともに、前記ビット線に対応するプレート線に対し第2電圧パルスを印加するように構成されていてもよい。
かかる構成では、制御部の制御に基づいて印加される電圧パルスによって抵抗変化型素子にデータが記録可能となる。よって、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型記憶装置を提供できる。
また、上記抵抗変化型記憶装置において、前記ワード線駆動部は、前記制御部の制御に基づいて予め記憶された所定のデータを読み出す前記抵抗変化型素子に対応する前記トランジスタのゲートに接続されたいずれか一つのワード線に対し択一的に前記トランジスタのドレインおよびソース間の導通を図るための活性化電圧を印加するように構成されており、前記ビット線/プレート線駆動部は、前記制御部の制御に基づいて前記所定のデータを読み出す前記抵抗変化型素子に対応する前記トランジスタに接続されたいずれか一つのビット線に対し択一的に第1読出電圧を印加するとともに、前記ビット線に対応するプレート線に対し第2読出電圧を印加するように構成されていてもよい。
かかる構成では、制御部の制御に基づいて印加される電圧によって抵抗変化型素子に記録されたデータが読み出し可能となる。よって、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型記憶装置を提供できる。
本発明の抵抗変化型装置は、上記いずれかの抵抗変化型記憶装置と、所定のデータに基づいて演算を実行する論理回路と、を備え、前記論理回路は、書き込みモードと読み出しモードとを有し、前記書き込みモードでは前記抵抗変化型記憶装置に前記データを記憶させるように前記抵抗変化型記憶装置を制御し、前記読み出しモードでは前記抵抗変化型記憶装置に記憶された前記データを読み出すように前記抵抗変化型記憶装置を制御するように構成されている。
かかる構成では、論理回路を備えることにより、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型装置(Embedded-RAM)が実現される。
あるいは本発明の抵抗変化型装置は、上記いずれかの抵抗変化型記憶装置と、外部からの入力を受付ける入力装置と、前記入力装置に通信可能に接続されたプロセッサと、を備え、前記抵抗変化型記憶装置はプログラムを記憶可能に構成され、前記プロセッサは、プログラム実行モードとプログラム書き換えモードとを有し、前記プログラム書き換えモードでは前記抵抗変化型記憶装置に記憶されたプログラムを外部から入力装置を介して受け取ったプログラムに書き換え、前記プログラム実行モードでは前記抵抗変化型記憶装置に記憶されたプログラムを実行するように構成されている。
かかる構成では、入力装置とプロセッサとを備えることにより、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型装置(Reconfigurable-LSI)が実現される。
本発明の抵抗変化型素子へのデータ記録方法は、請求項1の抵抗変化型素子の第1電極と第2電極との間に極性の異なる2種類の電圧パルスを印加して前記抵抗変化型素子の抵抗状態を変化させ、前記抵抗状態の変化に基づいて前記抵抗変化型素子にデータを記録する。
かかる構成では、極性の異なる電圧パルスを用いて、上記抵抗変化型素子にデータを記録できる。よって、バイポーラ型の駆動により、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型素子を用いた記憶装置を実現できる。
あるいは本発明の抵抗変化型素子へのデータ記録方法は、抵抗変化型素子の第1電極と第2電極との間に複数種類の電圧パルスを印加して前記抵抗変化型素子の抵抗状態を変化させ、前記抵抗状態の変化に基づいて前記抵抗変化型素子にデータを記録し、前記複数種類の電圧パルスのうち少なくとも1種類は、他の電圧パルスと極性が異なっている。
かかる構成では、少なくとも一種類は極性の異なる電圧パルスを用いて、上記抵抗変化型素子にデータを記録できる。よって、バイポーラ型の駆動により、多値メモリ型であって、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型素子を用いた記憶装置を実現できる。
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
本発明は、上記のような構成を有し、以下のような効果を奏する。すなわち、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型素子、抵抗変化型記憶装置、抵抗変化型装置を提供することが可能となる。
図1は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子の構成の一例を示した模式図である。 図2は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子を動作させる回路の一例を示す図である。 図3は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子にデータを書き込む場合における動作を示す図である。 図4は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子にデータを書き込む際の抵抗値変化を示す図である。 図5は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子に書き込まれたデータを読み出す場合における動作を示す図である。 図6は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子において、読み出し時に回路を流れる電流と抵抗変化型素子の抵抗値との関係を示す図である。 図7は、実施例1の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。 図8は、実施例2の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。 図9は、実施例3の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。 図10は、実施例3で得られた抵抗変化型素子に対し、約2万回の低抵抗状態への書き込み動作(電圧パルス:+2V、100ns)と高抵抗状態への書き込み動作(電圧パルス:−2V、100ns)を繰り返した時の抵抗値変化を示す図である。 図11は、実施例5の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。 図12は、比較例1の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。 図13は、比較例2の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。 図14は、比較例3の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。 図15は、実施例6の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。 図16は、本発明の第2実施形態の抵抗変化型記憶装置の一構成例を示したブロック図である。 図17は、本発明の第3実施形態の半導体集積回路(Embedded-RAM)の一構成例を示したブロック図である。 図18は、本発明の第4実施形態の半導体集積回路(ReconfigurableLSI)の一構成例を示したブロック図である。 図19は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子を用いた周波数可変回路の構成を示したブロック図である。 図20は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子を用いたミキシング回路の構成を示したブロック図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
[構成]
図1は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子の構成の一例を示した模式図である。
図1に示すように、本実施形態の抵抗変化型素子10は、基板1と、基板1の上に形成された下部電極2(第1電極)と、下部電極2の上に形成された抵抗変化層3と、抵抗変化層3の上に形成された上部電極4(第2電極)と、を備える。下部電極2と上部電極4とは、それぞれ抵抗変化層3に電気的に接続されている。なお、上部電極4が第1電極、下部電極2が第2電極であってもよい。
基板1は、例えばシリコン基板により構成される。
下部電極2および上部電極4は、例えば、Ag(銀)、Au(金)、Pt(白金)、Ru(ルテニウム)、RuO(酸化ルテニウム)、Ir(イリジウム)、IrO(酸化イリジウム)、TiO(酸化チタン)、TiN(窒化チタン)、TiAlN(窒化チタンアルミニウム)、Ta(タンタル)、TaN(窒化タンタル)よりなる群から選ばれた一つあるいは複数の材料を用いて構成することができる。これらの材料は、300℃程度の温度でも安定であり、後述する抵抗変化層3の層形成時の条件にも適合する。
抵抗変化層3は、(M’Fe1−x)Feの化学式で表されるスピネル構造を有する材料よりなり、M’は、Mn(マンガン)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)よりなる群から選ばれた一つあるいは複数の遷移金属である。すなわち、抵抗変化層3の材料は、Fe(四酸化三鉄)を主成分として、所定の遷移金属を不純物として含む。なお、抵抗変化層3が複数の遷移金属(Fe以外)を含む場合、それぞれの遷移金属(Fe以外)が結晶中でFeのサイトに置換している比率(上記化学式を参照)の合計をXとする。
抵抗変化層3の抵抗率(体積抵抗率)は、0.5Ωcm以上100Ωcm以下であることが好ましい。M’がNiの場合には、X(不純物としてのNiの割合)が0.35以上0.9以下であることが好ましい。
抵抗変化層3の厚みは1μm以下であることが好ましい。かかる構成により、電圧パルス印加によって抵抗変化型素子の抵抗値を変化させることが充分に可能となる。
抵抗変化層3の厚みは200nm以下であることがさらに好ましい。かかる構成により、パターンニングプロセスにおいてリソグラフィーを使用する場合に、加工し易くなり、抵抗変化型素子の抵抗値を変化させる電圧パルスの電圧値を低くすることが可能となる。
抵抗変化層3の厚みは、少なくとも10nm以上であることが好ましい。かかる構成により、電圧印加時のブレークダウン(絶縁破壊)をより確実に回避することが可能となる。
なお、抵抗変化型素子の抵抗値を変化させる電圧パルスの電圧値を低くするという観点からは、抵抗変化層3の厚みは薄いほど好ましい。
[製造方法]
まず、基板1の上に、スパッタリングなどにより、下部電極2(厚さは例えば0.2μm)が形成される。M’FeのターゲットとFeのターゲットが用意され、スパッタリングによりそれぞれのターゲットを同時に放電させて、下部電極2の上に(M’Fe1−x)Feの化学式で表されるスピネル構造を有する抵抗変化層3が形成される。さらに抵抗変化層3の上に、スパッタリングなどにより上部電極4(厚さは例えば0.2μm)が形成され、抵抗変化型素子10が得られる。
下部電極2や上部電極4、抵抗変化層3の大きさや形状は、マスクとリソグラフィによって調整可能である。
抵抗変化層3の抵抗率(あるいはXの値)は、それぞれのターゲットへの印加電圧を調整することにより容易に調整されうる。基板温度は300℃とすることができる。
[動作]
図1に示すように、抵抗変化型素子10の使用時には、下部電極2と上部電極4とが、それぞれ電源5(電圧パルス印加装置)の異なる端子に電気的に接続される。電源5は、抵抗変化型素子10を駆動するための電源である。電源5は、下部電極2と上部電極4との間に所定の電圧および時間幅の電気パルス(電圧パルス)を印加可能に構成されている。以下、電圧パルスの電圧は下部電極2を基準にした上部電極4の電位で特定されるものとする。
電源5により該電気パルスが印加されると、抵抗変化層3の抵抗値(電気抵抗)は増加または減少する。以下、抵抗変化層3の抵抗値が高い所定の値にある場合を、抵抗変化型素子10が高抵抗状態にあるといい、抵抗変化層3の抵抗値が高抵抗状態よりも低い所定の値にある場合を、抵抗変化型素子10が低抵抗状態にあるという。
例えば、電圧が第1の閾値電圧(プラスの電圧)以上の(電圧の絶対値の大きな)電圧パルス(第1の電圧を有する第1電圧パルス)が印加された場合に抵抗変化層2の抵抗値が減少するが、第1の閾値電圧よりも小さな(絶対値の小さな)電圧パルスが印加されても、抵抗変化層2の抵抗値は変化しない。
一方、電圧が第2の閾値電圧(マイナスの電圧)以下の(電圧の絶対値の大きな)電圧パルス(第2の電圧を有する第2電圧パルス)が印加された場合に抵抗変化層2の抵抗値が増加する一方、第2の閾値電圧(マイナスの電圧)よりも大きな(絶対値の小さな)電圧パルスが印加されても、抵抗変化層2の抵抗値は変化しない。
このように、本実施形態の抵抗変化型素子は、バイポーラ型の駆動に用いることができる。本実施形態の抵抗変化型素子10では、例えば、電圧パルスの強さ(電圧)が±2V、パルス幅が100ns(高抵抗状態から低抵抗状態への書き込み時も、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み時も同じ)などとすることができる。
本実施形態においては、高抵抗状態を「0」に対応させ、低抵抗状態を「1」に対応させ、抵抗変化型素子10の初期状態は高抵抗状態(「0」)にあるものとする。なお、いずれの抵抗状態にいずれの値を割り当てるか、およびいずれの抵抗状態を初期状態とするかは任意である。
図2は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子を動作させる回路の一例を示す図である。ここでは、抵抗変化型素子10はメモリとして使用され、1ビットデータの処理(書き込みと読み出し)を行うものとする。図2の回路は、抵抗変化型素子10と、第1端子11と第2端子12とを備えている。抵抗変化型素子10の上部電極4は第1端子11に電気的に接続されており、下部電極2は第2端子12に電気的に接続されている。
図3は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子にデータを書き込む場合における動作を示す図である。図4は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子にデータを書き込む際の抵抗値変化を示す図である。図3に示すように、書き込み時には、第2端子12は接地(グランド:GND)され、第1端子11に電圧パルスが印加される。電圧パルスは、下部電極2および接地点を基準に特定される。
第1端子11に第1の閾値電圧(例えば+1V)以上のプラス(正極性)の書き込み用電圧パルス(以下、正極性パルス:第1電圧パルス)が印加されると、図4に示すように抵抗変化型素子10の抵抗値は、高抵抗状態のRbから低抵抗状態のRaへと減少する。一方、第1端子11に第2の閾値電圧(例えば−1V)以下のマイナス(負極性)の書き込み用電圧パルス(以下、負極性パルス:第2電圧パルス)が印加されると、図4に示すように抵抗変化型素子10の抵抗値は、低抵抗状態のRaから高抵抗状態のRbへと増加する。すなわち、図3の矢印の向きに電流が流れるように電圧パルスが印加されると抵抗変化型素子の抵抗値が減少する一方、該矢印に対して逆向きに電流が流れるように電圧パルスが印加されると抵抗変化型素子の抵抗値が増加する。
抵抗変化型素子10に、「1」を表す1ビットデータを書き込む(記録する)場合には、抵抗変化型素子10は低抵抗状態へと変化する(もともと低抵抗状態にあって変化しない場合を含む)。かかる動作を、「低抵抗状態への書き込み」と呼ぶ。低抵抗状態への書き込みにおいては、図3の第2端子12が接地され、第1端子11に書き込み用の正極性パルスが印加される。正極性パルスの電圧値は例えば+2V、パルス幅は例えば100nsとされる。かかる動作によれば、抵抗変化型素子10には正極性パルスが印加され、抵抗変化型素子10の抵抗値は低抵抗状態のRaとなる。すなわち、電圧パルス印加前の抵抗値がRbの場合にはRaへと変化し、電圧パルス印加前の抵抗値がRaの場合にはRaのまま変化しない。以上の方法により、抵抗変化型素子10の低抵抗状態への書き込みが行われる。
抵抗変化型素子10に、「0」を表す1ビットデータを書き込む(記録する)場合には、抵抗変化型素子10は高抵抗状態へと変化する(もともと高抵抗状態にあって変化しない場合を含む)。かかる動作を、「高抵抗状態への書き込み」と呼ぶ。高抵抗状態への書き込みにおいては、図3の第2端子12が接地され、第1端子11に書き込み用の負極性パルスが印加される。負極性パルスの電圧値は例えば−2V、パルス幅は例えば100nsとされる。かかる動作によれば、抵抗変化型素子10には負極性パルスが印加され、抵抗変化型素子10の抵抗値は高抵抗状態のRbとなる。すなわち、電圧パルス印加前の抵抗値がRbの場合にはRbのまま変化せず、電圧パルス印加前の抵抗値がRaの場合にはRbへと変化する。以上の方法により、抵抗変化型素子10の高抵抗状態への書き込みが行われる。
図5は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子に書き込まれたデータを読み出す場合における動作を示す図である。図6は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子において、読み出し時に回路を流れる電流と抵抗変化型素子の抵抗値との関係を示す図である。図5に示すように、書き込み時には、第2端子12は接地(グランド:GND)され、第1端子11に読出電圧が印加される。読出電圧は、下部電極2および接地点を基準に特定される。
第1端子11に第1の閾値電圧より小さいプラス(正極性)あるいは第2の閾値電圧より大きいマイナス(負極性)の読み出し用電圧が印加されると、抵抗変化型素子10の抵抗値に応じた電流が回路を流れる。すなわち、図6に示すように、抵抗変化型素子10の抵抗値が低抵抗状態のRaのときには出力される電流値がIaとなり、抵抗変化型素子10の抵抗値が高抵抗状態のRbのときには出力される電流値がIbとなる。
抵抗変化型素子10の抵抗状態を読み出す場合、図5の第2端子12が接地され、第1端子11に読出電圧が印加される。読出電圧は例えば+0.5Vに設定される。抵抗変化型素子10に読出電圧が印加されると、回路を流れる電流の大きさは、抵抗変化型素子の抵抗値に応じた電流値となる。第1端子11と第2端子12との間を流れる電流の電流値を検出することにより、抵抗変化型素子10の抵抗値が得られる。すなわち、電流値がIaであれば、抵抗変化型素子10の抵抗値が低抵抗状態のRaであるから、抵抗変化型素子10に書き込まれているデータが「1」であることが分かり、電流値がIbであれば、抵抗変化型素子10の抵抗値が高抵抗状態のRbであるから、抵抗変化型素子10に書き込まれているデータが「0」であることが分かる。以上の方法により、抵抗変化型素子10に書き込まれているデータの読み出しが行われる。
本実施形態の抵抗変化型素子10は、電源を切っても抵抗値が変化しない不揮発性を有する。
[効果]
本実施形態の抵抗変化型素子10では、パルス幅が100nsという短い電圧パルスで書き込み(高抵抗状態あるいは低抵抗状態への書き込み)が可能である。抵抗変化型素子10は、300℃程度という低温で製造可能であるために、従来の半導体製造プロセス(400℃〜500℃)との親和性も高い。さらに、フォーミングが不要であり、データの保持特性(リテンション)も十分長くなる。
すなわち、本実施形態の抵抗変化型素子10によれば、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、書込速度(特に高抵抗状態への書込速度)が速く、安定性に優れた抵抗変化型素子および抵抗変化型記憶装置を提供することが可能となる。
また、本実施形態の抵抗変化型素子10は、電圧パルス印加時に流れる電流の大きさが小さく、大容量の記憶装置を実現するために微細化した場合に、省電力を実現できる可能性が十分ある。
[変形例]
第1の閾値電圧、第2の閾値電圧、正極性パルスおよび負極性パルスの電圧およびパルス幅、読出電圧の値は、上述の値に限定されない。実際に製造される抵抗変化型素子に適合した値であれば、どのような値であってもよい。
下部電極2と抵抗変化層3との間および抵抗変化層3と上部電極4との間には、別の層が挟持されていてもよい。下部電極2と抵抗変化層3とが電気的に接続され、抵抗変化層3と上部電極4とが電気的に接続されていればよい。
上述の説明では、M’FeとFeのターゲット材料を同時放電させてスパッタリングを行い、スパッタリング時の各ターゲットの投入電力を調整することにより、(M’Fe1−X)Feの化学式のXの値を変化させる例を示した。しかし、抵抗変化層の成分を調整する方法はこれだけに限定されるものではない。例えば、M’FeとFeを所定の比率で混合したターゲットを用いてスパッタリングを行えば、(M’Fe1−X)Feの化学式のXの値を変化させることができる。
(実施例)
[実施例1]
シリコン基板の上に、0.2μmの厚さとなるように、Ptよりなる下部電極(大きさは20μm×20μm)がスパッタリングにより形成された。NiFeとFeのターゲットが用意され、スパッタリングによりそれぞれのターゲットが同時に放電させされ、マスクとリソグラフィを用いて、下部電極の上に(NiFe1−x)Feの化学式で表されるスピネル構造を有する抵抗変化層(大きさは10μm×10μm:面積100μm)が形成された。抵抗変化層を形成する時の基板温度は300℃とした。下部電極と抵抗変化層とが接する部分の大きさは2μm×2μm(面積4μm)とした。抵抗変化層の厚さは100nmとした。さらに、抵抗変化層の上に、0.2μmの厚さとなるように、マスクとリソグラフィを用いて、Ptよりなる上部電極(大きさは2μm×2μm)がスパッタリングにより形成され、抵抗変化型素子が得られた。上部電極と抵抗変化層とが接する部分の大きさは2μm×2μm(面積4μm)とした。
実施例1では、抵抗変化層を構成する(NiFe1−x)FeのXの値が0.35となるように、それぞれのターゲットに印加される電圧が調整された。Xの値は、RBS(ラザフォードバックスキャッタリング)法および蛍光X線分析法の2つを組み合わせて検証された。検証の結果、Xの値は0.35であった。抵抗率は、4端子4探針法で測定された。実施例1では、抵抗変化層の抵抗率は0.5Ωcmであった。
上記方法により得られた抵抗変化型素子が電源に接続され、2種類の電圧パルス(電圧が+2Vが−2V、パルス幅はいずれも100ns)が交互に印加された。電圧は、下部電極に対する上部電極の電位が高くなる電圧をプラスとした。
電圧パルスが印加されるたびに、抵抗変化型素子の抵抗値が測定された。測定時には、+0.5Vの電圧が 秒程度印加された。この程度の電圧では抵抗変化型素子の抵抗値は変化しなかった。印加された電圧(+0.5V)と流れる電流とから、抵抗変化型素子の抵抗値が計算された。
本実施例の抵抗変化型素子は、電源を切っても抵抗値が変化しない不揮発性を有することが確認された。また、電圧パルス印加時に流れる電流の大きさを測定すると、1mA以下であった。したがって、大容量の記憶装置を実現するために微細化した場合に、省電力を実現できる可能性が十分あることが分かった。
図7は、実施例1の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。図に示すように、1回目のパルス印加(正極性パルスの印加)により、高抵抗状態(約5600Ω)から低抵抗状態(約1800Ω)へと変化した。2回目のパルス印加(負極性パルスの印加)により、低抵抗状態から高抵抗状態へと復帰した。その後は、2種類の電圧パルス(正極性パルスと負極性パルス)の印加により、安定して低抵抗状態と高抵抗状態の間を周期的に遷移した。すなわち、実施例1で得られた抵抗変化型素子は1回目のパルス印加から良好のメモリ特性を有していた。よって、実施例1の抵抗変化型素子は、フォーミングが不要であって、各層を形成して得られた抵抗変化型素子をそのままの状態でメモリとして用いることができることが分かった。
実施例1の抵抗変化型素子が低抵抗状態にあるときに正極性パルスを印加しても、抵抗値は実質的に変化せず、低抵抗状態のままであった。一方、該抵抗変化型素子が高抵抗状態にあるときに負極性パルスを印加しても、抵抗値は実質的に変化せず、高抵抗状態のままであった。以上の結果から、実施例1の抵抗変化型素子は上書き可能であることが分かった。
[実施例2]
実施例2では、パラメータが違うことを除けば、実施例1と同様の方法で抵抗変化型素子が形成され、書き込みおよび読み出しが行われた。
すなわち、実施例2では抵抗変化層を構成する(NiFe1−x)FeのXの値が0.65となるように、それぞれのターゲットに印加される電圧が調整された。Xの値は、RBS(ラザフォードバックスキャッタリング)法および蛍光X線分析法の2つを組み合わせて検証された。検証の結果、Xの値は0.65であった。抵抗率は、4端子4探針法で測定された。実施例2における抵抗変化層の抵抗率は、10Ωcmであった。
本実施例の抵抗変化型素子は、電源を切っても抵抗値が変化しない不揮発性を有することが確認された。また、電圧パルス印加時に流れる電流の大きさを測定すると、1mA以下であった。したがって、大容量の記憶装置を実現するために微細化した場合に、省電力を実現できる可能性が十分あることが分かった。
図8は、実施例2の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。図に示すように、1回目のパルス印加(正極性パルスの印加)により、高抵抗状態(約30000Ω)から低抵抗状態(約5000Ω)へと変化した。2回目のパルス印加(負極性パルスの印加)により、低抵抗状態から高抵抗状態へと復帰した。その後は、2種類の電圧パルス(正極性パルスと負極性パルス)の印加により、安定して低抵抗状態と高抵抗状態の間を周期的に遷移した。すなわち、実施例2で得られた抵抗変化型素子は1回目のパルス印加から良好のメモリ特性を有していた。よって、実施例2の抵抗変化型素子は、フォーミングが不要であって、各層を形成して得られた抵抗変化型素子をそのままの状態でメモリとして用いることができることが分かった。
実施例2の抵抗変化型素子が低抵抗状態にあるときに正極性パルスを印加しても、抵抗値は実質的に変化せず、低抵抗状態のままであった。一方、該抵抗変化型素子が高抵抗状態にあるときに負極性パルスを印加しても、抵抗値は実質的に変化せず、高抵抗状態のままであった。以上の結果から、実施例1の抵抗変化型素子は上書き可能であることが分かった。
[実施例3]
実施例3では、パラメータが違うことを除けば、実施例1と同様の方法で抵抗変化型素子が形成され、書き込みおよび読み出しが行われた。
すなわち、実施例3では抵抗変化層を構成する(NiFe1−x)FeのXの値が0.90となるように、それぞれのターゲットに印加される電圧が調整された。Xの値は、RBS(ラザフォードバックスキャッタリング)法および蛍光X線分析法の2つを組み合わせて検証された。検証の結果、Xの値は0.90であった。抵抗率は、4端子4探針法で測定された。実施例3における抵抗変化層の抵抗率は、100Ωcmであった。
本実施例の抵抗変化型素子は、電源を切っても抵抗値が変化しない不揮発性を有することが確認された。また、電圧パルス印加時に流れる電流の大きさを測定すると、1mA以下であった。したがって、大容量の記憶装置を実現するために微細化した場合に、省電力を実現できる可能性が十分あることが分かった。
図9は、実施例3の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。図に示すように、1回目のパルス印加(正極性パルスの印加)により、高抵抗状態(約50000Ω)から低抵抗状態(約8500Ω)へと変化した。2回目のパルス印加(負極性パルスの印加)により、低抵抗状態から高抵抗状態へと復帰した。その後は、2種類の電圧パルス(正極性パルスと負極性パルス)の印加により、安定して低抵抗状態と高抵抗状態の間を周期的に遷移した。すなわち、実施例3で得られた抵抗変化型素子は1回目のパルス印加から良好のメモリ特性を有していた。よって、実施例3の抵抗変化型素子は、フォーミングが不要であって、各層を形成して得られた抵抗変化型素子をそのままの状態でメモリとして用いることができることが分かった。
実施例3の抵抗変化型素子が低抵抗状態にあるときに正極性パルスを印加しても、抵抗値は実質的に変化せず、低抵抗状態のままであった。一方、該抵抗変化型素子が高抵抗状態にあるときに負極性パルスを印加しても、抵抗値は実質的に変化せず、高抵抗状態のままであった。以上の結果から、実施例1の抵抗変化型素子は上書き可能であることが分かった。
[実施例4]
実施例4では、実施例3で得られたX=0.90の抵抗変化型素子を用いて、エンデュランス特性(動作の安定性)が検証された。
図10は、実施例3で得られた抵抗変化型素子に対し、約2万回だけ低抵抗状態への書き込み動作(電圧パルス:+2V、100ns)と高抵抗状態への書き込み動作(電圧パルス:−2V、100ns)を繰り返した時の抵抗値変化を示す図である。図に示すように、書き込みが2万回以上繰り返されても、抵抗変化型素子は、安定して低抵抗状態と高抵抗状態の間を周期的に遷移することが分かった。また、実験の開始(図9)から最後(図10)まで、低抵抗状態における抵抗値と高抵抗状態における抵抗値がほとんど変化していないことが分かった。よって、実施例3で得られた抵抗変化型素子は、良好なエンデュランス特性を示すことが分かった。
[実施例5]
シリコン基板の上に、0.2μmの厚さとなるように、Ptよりなる下部電極(大きさは20μm×20μm)がスパッタリングにより形成された。ZnFeとFeのターゲットが用意され、スパッタリングによりそれぞれのターゲットが同時に放電させされ、下部電極の上に(ZnFe1−x)Feの化学式で表されるスピネル構造を有する抵抗変化層(大きさは10μm×10μm)が形成された。抵抗変化層の厚さは100nmとした。さらに、抵抗変化層の上に、0.2μmの厚さとなるように、Ptよりなる上部電極(大きさは2μm×2μm)がスパッタリングにより形成され、抵抗変化型素子が得られた。
実施例5では、抵抗変化層を構成する(ZnFe1−x)FeのXの値が0.50となるように、それぞれのターゲットに印加される電圧が調整された。Xの値は、RBS(ラザフォードバックスキャッタリング)法および蛍光X線分析法の2つを組み合わせて検証された。検証の結果、Xの値は0.50であった。抵抗率は、4端子4探針法で測定された。実施例5における抵抗変化層の抵抗率は、3Ωcmであった。
上記方法により得られた抵抗変化型素子が電源に接続され、2種類の電圧パルス(電圧が+5Vが−5V、パルス幅はいずれも200ns)が交互に印加された。電圧は、下部電極に対する上部電極の電位が高くなる電圧をプラスとした。
電圧パルスが印加されるたびに、抵抗変化型素子の抵抗値が測定された。測定時には、+0.5Vの電圧が 秒程度印加された。この程度の電圧では抵抗変化型素子の抵抗値は変化しなかった。印加された電圧(+0.5V)と流れる電流とから、抵抗変化型素子の抵抗値が計算された。
本実施例の抵抗変化型素子は、電源を切っても抵抗値が変化しない不揮発性を有することが確認された。また、電圧パルス印加時に流れる電流の大きさを測定すると、1mA以下であった。したがって、大容量の記憶装置を実現するために微細化した場合に、省電力を実現できる可能性が十分あることが分かった。
図11は、実施例5の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。図に示すように、1回目のパルス印加(正極性パルスの印加)により、高抵抗状態(約4500Ω)から低抵抗状態(約2000Ω)へと変化した。2回目のパルス印加(負極性パルスの印加)により、低抵抗状態から高抵抗状態へと復帰した。その後は、2種類の電圧パルス(正極性パルスと負極性パルス)の印加により、安定して低抵抗状態と高抵抗状態の間を周期的に遷移した。すなわち、実施例5で得られた抵抗変化型素子は1回目のパルス印加から良好のメモリ特性を有していた。よって、実施例5の抵抗変化型素子は、フォーミングが不要であって、各層を形成して得られた抵抗変化型素子をそのままの状態でメモリとして用いることができることが分かった。
実施例5の抵抗変化型素子が低抵抗状態にあるときに正極性パルスを印加しても、抵抗値は実質的に変化せず、低抵抗状態のままであった。一方、該抵抗変化型素子が高抵抗状態にあるときに負極性パルスを印加しても、抵抗値は実質的に変化せず、高抵抗状態のままであった。以上の結果から、実施例1の抵抗変化型素子は上書き可能であることが分かった。
[比較例1]
比較例1では、パラメータが違うことを除けば、実施例1と同様の方法で抵抗変化型素子が形成され、書き込みおよび読み出しが行われた。
すなわち、比較例1では抵抗変化層を構成する(NiFe1−x)FeのXの値が0.30となるように、それぞれのターゲットに印加される電圧が調整された。Xの値は、RBS(ラザフォードバックスキャッタリング)法および蛍光X線分析法の2つを組み合わせて検証された。検証の結果、Xの値は0.30であった。抵抗率は、4端子4探針法で測定された。比較例1における抵抗変化層の抵抗率は、0.3Ωcmであった。
図12は、比較例1の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。図に示すように、X=0.30では、電圧パルスを印加しても抵抗値の変化はほとんどなく、メモリ特性を示さなかった。
[比較例2]
比較例2では、パラメータが違うことを除けば、実施例1と同様の方法で抵抗変化型素子が形成され、書き込みおよび読み出しが行われた。
すなわち、比較例2では抵抗変化層を構成する(NiFe1−x)FeのXの値が0.95となるように、それぞれのターゲットに印加される電圧が調整された。Xの値は、RBS(ラザフォードバックスキャッタリング)法および蛍光X線分析法の2つを組み合わせて検証された。検証の結果、Xの値は0.95であった。抵抗率は、4端子4探針法で測定された。比較例2における抵抗変化層の抵抗率は、150Ωcmであった。
図12は、比較例3の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。図に示すように、X=0.90では、電圧パルスを印加しても抵抗値の変化はほとんどなく、メモリ特性を示さなかった。
[比較例3]
シリコン基板の上に、0.2μmの厚さとなるように、Ptよりなる下部電極(大きさは20μm×20μm)がスパッタリングにより形成された。Feのターゲットが用意され、スパッタリングにより、下部電極の上にFeの化学式で表されるスピネル構造を有する抵抗変化層(大きさは10μm×10μm)が形成された。抵抗変化層の厚さは100nmとした。さらに、抵抗変化層の上に、0.2μmの厚さとなるように、Ptよりなる上部電極(大きさは2μm×2μm)がスパッタリングにより形成され、抵抗変化型素子が得られた。
抵抗率は、4端子4探針法で測定された。比較例3における抵抗変化層の抵抗率は、0.01Ωcmであった。
上記方法により得られた抵抗変化型素子が電源に接続され、2種類の電圧パルス(電圧が+3Vが−3V、パルス幅はいずれも100ns)が選択的に印加された。電圧は、下部電極に対する上部電極の電位が高くなる電圧をプラスとした。
電圧パルスが印加されるたびに、抵抗変化型素子の抵抗値が測定された。測定時には、+0.5Vの電圧が 秒程度印加された。この程度の電圧では抵抗変化型素子の抵抗値は変化しなかった。印加された電圧(+0.5V)と流れる電流とから、抵抗変化型素子の抵抗値が計算された。
図14は、比較例3の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。図に示すように、比較例3の抵抗変化型素子は、初期状態における抵抗値が低く、−3V、100μsのフォーミング電圧パルスを6回印加した後で始めて、メモリ特性が発揮されるようになった。すなわち、比較例3で得られた抵抗変化型素子はメモリ特性を発揮させるためにフォーミングが必要であることが分かった。
[実施例6]
実施例1ないし実施例5では、抵抗変化型素子が2つの抵抗状態を有する。かかる特定を使用して、それぞれの抵抗状態における抵抗値に数値を割り当ることにより、「1ビット」のデータを読み書き可能とした。しかし、3個以上の抵抗状態を設定し、書き込む値に応じて各抵抗状態へと抵抗変化型素子を遷移させることで、多値データ(3つ以上の値を取りうるデータ)を読み書き可能とすることが可能となる。
図15は、実施例6の抵抗変化型素子に対して電圧パルスを印加したときの抵抗値変化を示す図である。本実施例では、抵抗変化層としてNi0.9Fe0.1Feの化学式で表されるスピネル構造を有する材料を抵抗変化層に用いて抵抗変化型素子を形成した(実施例3と同様)。この抵抗変化型素子に、+3V、100nsの正極性パルスを印加すると、図15に示すように、抵抗変化型素子の抵抗値が、約50000Ωから約8600Ωへと変化した。(抵抗率は、4端子4探針法で測定された。)続いて、−1V、100nsの負極性パルスを抵抗変化型素子に印加すると、図15に示すように、1回目の印加で15000Ωへ、2回目の印加で25000Ωへ、3回目の印加で40000Ωへ変化し、4回目の印加で約50000Ωへと復帰した。同様の処理を繰り返すことにより、再現性よく、5個の抵抗状態の間を遷移した。
以上の結果から、実施例6の抵抗変化型素子は多値メモリとして利用可能であることが分かった。なお、例えば負極性パルスの電圧やパルス幅を調整することで、1回のみの電圧パルス印加で、抵抗変化型素子を所望の抵抗値へと変化させることとしてもよい。この場合、正極性パルスの種類は1種類のみであるが、負極性パルスの種類は複数存在することになる。
[考察]
比較例3から、Feを抵抗変化層に用いた抵抗変化型素子にメモリ特性を発現させるためには、フォーミングと呼ばれる前処理が必要であることが分かる。比較例3のフォーミング処理では、−3V、100μsの電圧パルスを数回印加することで抵抗値が増加する。このことから、該フォーミング処理は、Feの一部をγ-Feあるいはα-Feの高抵抗相に変える(酸化する)過程と考えられる。
パルス抵抗変化を示しているのは、あくまでもFeであると考えられる。メモリ特性を発現させるためには抵抗の低いFeが抵抗の高い材料と混じりあい、全体として抵抗値が高くなる必要があると考えられる。
実施例1ないし5で判明したように、FeにNiやZnなどの添加元素を入れると抵抗値が増加する。実施例1ないし5でフォーミングが不要となったのは、NiやZnなどの遷移金属を添加することで抵抗値が増加したためと考えられる。NiやZn以外でも、Feと同じ構造を有し(スピネル構造のFeにおいて、結晶構造を維持したままFeのサイトを置換可能であり)、電気抵抗を上昇させる元素であれば、該元素をFeの代わりに部分的に存在させることでフォーミングが不要になることが類推される。かかる元素としては、Ni、Zn以外に、Cu、Mn、Coが挙げられる。
また、各実施例で得られた抵抗変化層はアモルファス構造ではなく多結晶構造を有する。よって、本実施例の抵抗変化型素子は、従来の抵抗変化型素子よりも長期間使用してもメモリとしての信頼性を維持できることが分かる。また、データが書き込まれた状態で長時間放置しても、抵抗値の変化が起こりにくく、データのリテンションが十分確保されることが分かる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態で述べた抵抗変化型素子の応用例として、当該抵抗変化型素子を組み込んだ抵抗変化型記憶装置200の構成および動作を説明する。
[抵抗変化型記憶装置200の構成]
図16は、本発明の第2実施形態の抵抗変化型記憶装置の一構成例を示したブロック図である。
抵抗変化型記憶装置200は、メモリアレイ201と、アドレスバッファ202と、制御部203(電圧パルス印加装置)と、行デコーダ204と、ワード線ドライバ205(ワード線駆動部)と、列デコーダ206と、ビット線/プレート線ドライバ207(ビット線/プレート線駆動部)とを備える。
メモリアレイ201には、図16に示すように、第1方向に延びる2本のワード線W1、W2と、ワード線W1、W2と交差して第2方向に延びる2本のビット線B1、B2と、ビット線B1、B2に一対一で対応して第2方向に延びる2本のプレート線P1、P2と、ワード線W1、W2とビット線B1、B2との間の各交差点に対応してマトリクス状に設けられた4個のトランジスタT211、T212、T221、T222と、トランジスタT211、T212、T221、T222に一対一で対応してマトリクス状に設けられた4個のメモリセルMC211、MC212、MC221、MC222と、がある。勿論、ここで述べた個数や本数に限られるものでなく、例えば、図16の抵抗変化型記憶装置200では、メモリアレイ201中に4つのメモリセルMC211、MC212、MC221、MC222を含む例が示されているが、5つ以上のメモリセルをマトリックス状に配列するよう、メモリアレイを構成しても良い。
なおメモリセルMC211、MC212、MC221、MC222の各々は、本発明の抵抗変化型素子を備えており、例えば第1実施形態の図2に示した抵抗変化型素子10からなる。
ここで、トランジスタT211およびメモリセルMC211は、ビット線B1とプレート線P1との間において、トランジスタT211のソース(第2主端子)とメモリセル211の第1端子11(図2参照)とが接続されるようにして直列に並んでいる。より詳しくは、トランジスタT211は、ビット線B1とメモリセルMC211との間で、ビット線B1とメモリセルMC211とに接続され、メモリセルMC211は、トランジスタT211とプレート線P1との間で、トランジスタT211とプレート線P1とに接続されている。なお、トランジスタT211のドレイン(第1主端子)はビット線B1に接続され、メモリセルMC211の第2端子12(図2参照)は、プレート線P1に接続されている。また、トランジスタT211のゲート(制御端子)がワード線W1に接続されている。なお、トランジスタT211のソースとドレインは、入れ替わっていてもよい。すなわち、ソース(第1主端子)がビット線B1に、ドレイン(第2主端子)がメモリセル211の第1端子11に接続されていてもよい。トランジスタは例えばMOS−FETでもよいが、制御端子と第1主端子、第2主端子を備えるスイッチング素子であればどのようなものでもよい。
なおここで、他の3個のトランジスタT212、T221、T222およびこれらのトランジスタT212、T221、T222と直列配置される3個のメモリセルMC212、MC211、MC222は、トランジスタT211とメモリセルMC211と同様の態様でビット線およびプレート線に接続される(図16参照)。
これにより、トランジスタT211、T212、T221、T222の各々のゲートに、ワード線W1またはワード線W2を介して所定の電圧(活性化電圧)が印加されると、トランジスタT211、T212、T221、T222のドレインとソースとの間が導通する。
アドレスバッファ202は、外部回路(不図示)からアドレス信号ADDRESSを受け取り、このアドレス信号ADDRESSに基づいて行アドレス信号ROWを行デコーダ204に出力するとともに、列アドレス信号COLUMNを列デコーダ206に出力する。アドレス信号ADDRESSは、メモリセルMC211、MC212、MC221、MC222のうちの選択されるメモリセルのアドレスを示す信号である。行アドレス信号ROWは、アドレス信号ADDRESSに示されたアドレスのうちの行のアドレスを示す信号であり、列アドレス信号COLUMNは、アドレス信号ADDRESSに示されたアドレスのうちの列のアドレスを示す信号である。
制御部203は、外部回路から受け取ったモード選択信号MODEに応じて、書き込みモード(Dinの値によって、低抵抗状態への書き込みモードまたは高抵抗状態への書き込みモードが択一的に選択される)または読み出しモードのうちのいずれか1つのモードを選択する。
制御部203は、書き込みモードでは、外部回路から受け取った入力データDinに応じて、「低抵抗状態への書き込み電圧パルス印加」または「高抵抗状態への書き込み電圧パルス印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。
制御部203は、読み出しモードでは、「読み出し(再生)電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。制御部203は、読み出しモードでは、更に、ビット線/プレート線ドライバ207から出力される信号IREADを受け取り、この信号IREADに応じたビット値を示す出力データDoutを外部回路へ出力する。なお、この信号IREADは、読み出しモード時にプレート線P1、P2を流れる電流の電流値を示す信号である。
行デコーダ204は、アドレスバッファ202から出力された行アドレス信号ROWを受け取り、この行アドレス信号ROWに応じて、2本のワード線W1、W2のうちのいずれか一方を選択する。ワード線ドライバ205は、行デコーダ204の出力信号に基づいて行デコーダ204によって選択されたワード線に活性化電圧を印加する。
列デコーダ206は、アドレスバッファ202から列アドレス信号COLUMNを受け取り、この列アドレス信号COLUMNに応じて、2本のビット線B1、B2のうちいずれか一方を選択するとともに、2本のプレート線P1、P2のうちのいずれか一方を選択する。
ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「低抵抗状態への書き込み電圧パルス印加」を指示する制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ206の出力信号に基づいて列デコーダ206によって選択されたビット線に低抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITELOW(第1電圧パルス)を印加するとともに、列デコーダ206によって選択されたプレート線を接地(第2電圧パルス)状態にする。
ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「高抵抗状態への書き込み電圧パルス印加」を指示する制御信号CONTを受けると、列デコーダ206の出力信号に基づいて列デコーダ206によって選択されたビット線に高抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITEHIGH(第1電圧パルス)を印加するとともに、列デコーダ206によって選択されたプレート線を接地(第2電圧パルス)状態にする。
ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「読み出し電圧印加」を指示する制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ206の出力信号に基づいて列デコーダ206によって選択されたビット線に読み出し電圧VREAD(第1読出電圧)を印加するとともに、列デコーダ206によって選択されたプレート線を接地(第2読出電圧)状態にする。その後、ビット線/プレート線ドライバ207は、そのプレート線を流れる電流の電流値を示す信号IREADを制御部203に出力する。
なおここで、低抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITELOWの電圧値は、例えば「+2V」に設定され、そのパルス幅が「100ns」に設定される。高抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITEHIGHの電圧値は、例えば「−2V」に設定され、そのパルス幅が「100ns」に設定される。読み出し電圧VREADの電圧値は、例えば「+0.5V」に設定される。
[抵抗変化型記憶装置200の動作]
次に、図16に示した抵抗変化型記憶装置200の動作例を説明する。
この抵抗変化型記憶装置200の動作には、メモリセルに「1」を書き込む低抵抗状態への書き込みモードと、メモリセルに「0」を書き込む高抵抗状態への書き込みモードと、メモリセルに書き込まれたデータを出力データDoutとして出力(再生)する読み出しモードとが存在する。以下、これらの各モードの動作を順番に述べる。
なお以下の説明の便宜上、メモリセルMC211、MC212、MC221、MC222は、高抵抗の状態に初期化されているものとし、アドレス信号ADDRESSは、メモリセルMC211のアドレスを示す信号であるとする。
[低抵抗状態への書き込みモード]
まず、抵抗変化型記憶装置200の低抵抗状態への書き込みモードの動作例を説明する。
制御部203は、外部回路から入力されるMODE信号が書き込みモードを示す場合に、外部回路から入力データDinを受け取る。そして、制御部203は、この入力データDinが「1」である場合には、「低抵抗状態への書き込み電圧パルス印加」を示す制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。
次に、ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「低抵抗状態への書き込み電圧パルス印加」を示す制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ206によって選択されたビット線B1に低抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITELOWを印加する。また、ビット線/プレート線ドライバ207は、列デコーダ206によって選択されたプレート線P1を接地状態にする。
なおこの場合、ワード線ドライバ205は、行デコーダ204によって選択されたワード線W1に活性化電圧を印加する。これにより、トランジスタT211のドレインおよびソース間が導通状態になっている。
電圧値を「+2V」およびパルス幅を「100ns」に設定させた低抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITELOW(正極性パルス)が、メモリセルMC211には印加され、これにより、メモリセルMC211の抵抗値は、高抵抗の状態から低抵抗の状態になる。一方、メモリセルMC221、MC222には正極性パルスが印加されず、メモリセルMC212と直列接続されたトランジスタT212のゲートには活性化電圧が印加されないので、これらのメモリセルMC212、MC221、MC222の抵抗状態は変化しない。
このようにして、メモリセルMC211の抵抗状態のみを、低抵抗状態へと変化させることができ、これにより、メモリセルMC211に、低抵抗状態に対応する「1」を示す1ビットデータが書き込まれる(1ビットデータを記憶できる)。
なおメモリセルMC211への書き込みが完了すると、アドレスバッファ202に新たなアドレス信号ADDRESSが入力されて、上述の抵抗変化型記憶装置200の低抵抗状態への書き込みモードの動作が、メモリセルMC211以外のメモリセルに対して繰り返される。
[高抵抗状態への書き込みモード]
次に、抵抗変化型記憶装置200の高抵抗状態への書き込みモードの動作例を説明する。
制御部203は、外部回路から入力されるMODE信号が書き込みモードを示す場合に、外部回路から入力データDinを受け取る。そして、制御部203は、この入力データDinが「0」である場合には、「高抵抗状態への書き込み電圧パルス印加」を示す制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。
次に、ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「高抵抗状態への書き込み電圧パルス印加」を示す制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ206によって選択されたビット線B1に高抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITEHIGHを印加する。また、ビット線/プレート線ドライバ207は、列デコーダ206によって選択されたプレート線P1を接地状態にする。
なおこの場合、ワード線ドライバ205は、行デコーダ204によって選択されたワード線W1に活性化電圧を印加する。これにより、トランジスタT211のドレインおよびソース間が導通状態になっている。
電圧値を「−2V」およびパルス幅を「100ns」に設定させた高抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITEHIGH(負極性パルス)が、メモリセルMC211には印加され、これにより、メモリセルMC211の抵抗値は、低抵抗の状態から高抵抗の状態になる。一方、メモリセルMC221、MC222には負極性パルスが印加されず、メモリセルMC212と直列接続されたトランジスタT212のゲートには活性化電圧が印加されないので、これらのメモリセルMC212、MC221、MC222の抵抗状態は変化しない。
このようにして、メモリセルMC211の抵抗状態のみを、高抵抗状態へと変化させることができ、これにより、メモリセルMC211に、高抵抗状態に対応する「0」を示す1ビットデータが書き込まれる(1ビットデータを記憶できる)。
なおメモリセルMC211への書き込みが完了すると、アドレスバッファ202に新たなアドレス信号ADDRESSが入力されて、上述の抵抗変化型記憶装置200の低抵抗状態への書き込みモードの動作が、メモリセルMC211以外のメモリセルに対して繰り返される。
[読み出しモード]
次に、抵抗変化型記憶装置200の読み出しモードの動作例を説明する。
制御部203は、外部回路から入力されるMODE信号が読み出しモードを示す場合に、「読み出し電圧印加」を指示する制御信号CONTをビット線/プレート線ドライバ207に出力する。
次に、ビット線/プレート線ドライバ207は、制御部203から「読み出し電圧印加」を示す制御信号CONTを受け取ると、列デコーダ206によって選択されたビット線B1に読み出し電圧VREADを印加する。また、ビット線/プレート線ドライバ207は、列デコーダ206によって選択されたプレート線P1を接地状態にする。
なおこの場合、ワード線ドライバ205は、行デコーダ204によって選択されたワード線W1に活性化電圧を印加されている。これにより、トランジスタT211のドレインおよびソース間が導通状態になっている。
このため、電圧値を「+0.5V」に設定させた読み出し電圧VREADとしての測定電圧が、メモリセルMC211には印加され、これにより、メモリセルMC211の抵抗値に応じた電流値を示す電流がメモリセルMC211を通って、プレート線P1に流れ込む。
なおメモリセルMC221、MC222には測定電圧が印加されず、メモリセルMC212と直列接続されたトランジスタT212のゲートには活性化電圧が印加されないので、メモリセルMC212、MC221、MC222には上記電流が流れない。
次に、ビット線/プレート線ドライバ207は、プレート線P1を流れる電流の電流値を測定し、その測定値を示す信号IREADを制御部203に出力する。
次に、制御部203は、その信号IREADに示された電流値に応じた出力データDoutを外部に出力する。例えば、メモリセルMC211が低抵抗の状態のときに流れる電流の電流値であれば、制御部203は、「1」を示す出力データDoutを出力する。
このようにして、メモリセルMC211のみにメモリセルMC211の抵抗値の状態を反映させた電流を流せ、当該電流がプレート線P1に流出するので、メモリセルMC211から1ビットデータを読み出される(1ビットデータを再生できる)。
なお、メモリセルMC211からの読み出しが完了すると、アドレスバッファ202に新たなアドレス信号ADDRESSが入力されて、上述の抵抗変化型記憶装置200の読み出しモードの動作が、メモリセルMC211以外のメモリセルに対して繰り返される。
[効果]
以上に説明したように、第1実施形態で述べた抵抗変化型素子をメモリセルMC211、MC212、MC221、MC222としてメモリアレイ201に組み込み、このメモリアレイ201を用いて抵抗変化型記憶装置200を構成できる。このため、本実施形態の抵抗変化型記憶装置200は、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型記憶装置を提供することが可能となる。
なお、抵抗変化型素子を構成する抵抗変化層は、アモルファス構造ではなく多結晶構造を有する。したがって、この抵抗変化型記憶装置200は、従来の抵抗変化型記憶装置よりも長時間使用してもメモリアレイとしての信頼性を維持できる。
(第3実施形態)
本実施形態では、第2実施形態で述べた抵抗変化型記憶装置200の応用例として、当該抵抗変化型記憶装置200を組み込んだEmbedded-RAMである抵抗変化型装置300の構成および動作を説明する。
[抵抗変化型装置300の構成]
図17は、本発明の第3実施形態の抵抗変化型装置(Embedded-RAM)の一構成例を示したブロック図である。この抵抗変化型装置300は、第2実施形態(図17)で述べた抵抗変化型記憶装置200と、論理回路301とを備え、1つの半導体チップ上に形成される回路である。この抵抗変化型記憶装置200は、ここでは、データRAMとして使用されるが、抵抗変化型記憶装置200の構成は、第2実施形態で詳述したので、省略する。論理回路301は、所定の演算(例えば、音声データ・画像データの符号化/ 復号化)を行う回路であり、その演算の際に、抵抗変化型記憶装置200を利用する。すなわち、論理回路301は、抵抗変化型記憶装置200に対するアドレス信号ADDRESSおよびモード選択信号MODEを制御するよう構成され、これにより、抵抗変化型記憶装置200へのデータの書き込み/読み出しが実行される。
[抵抗変化型装置300の動作]
次に、図17に示した抵抗変化型装置300の動作を説明する。この抵抗変化型装置300の動作には、抵抗変化型記憶装置200に「1」データを書き込む低抵抗状態への書き込み処理と、抵抗変化型記憶装置200に「0」データを書き込む高抵抗状態への書き込み処理と、抵抗変化型記憶装置200に書き込んだデータを読み出す読み出し処理とが存在する。以下、これらの各処理における動作を順番に述べる。なお以下の動作においては、第2実施形態で説明した抵抗変化型記憶装置200の「低抵抗状態への書き込みモード」、「読み出しモード」および「高抵抗状態への書き込みモード」の各動作が利用されるが、ここでは、抵抗変化型記憶装置200の詳細な動作説明は省く。
[書込処理]
まず、抵抗変化型装置300による抵抗変化型記憶装置200への書込処理を説明する。
論理回路301は、抵抗変化型記憶装置200に所定のデータ(例えば、符号化動画像データ等)を書き込むために、抵抗変化型記憶装置200の「書き込みモード」を示すモード選択信号MODEを制御部203に出力する。
次に、論理回路301は、その所定のデータを書き込むメモリセルを選択するために、アドレス信号ADDRESSを抵抗変化型記憶装置200のアドレスバッファ202に順次出力する。これにより、抵抗変化型記憶装置200では、アドレス信号ADDRESSに応じたメモリセルが順次選択される。
次に、論理回路301は、その所定のデータを1ビットずつ、1ビットデータDinとして抵抗変化型記憶装置200の制御部203に出力する。
次に、抵抗変化型記憶装置200では、入力されるDinの値に応じて、第2実施形態で説明した低抵抗状態への書き込みモードあるいは高抵抗状態への書き込みモードと同様の動作が択一的に行われる。これにより、抵抗変化型記憶装置200にその所定のデータが1ビットずつ書き込まれる。
[読出処理]
次に、抵抗変化型装置300による抵抗変化型記憶装置200からの読出処理を説明する。
論理回路301は、抵抗変化型記憶装置200に書き込んだデータを読み出すために、抵抗変化型記憶装置200の「読み出しモード」を示すモード選択信号MODEを制御部203に出力する。
次に、論理回路301は、書き込まれたデータを読み出すメモリセルを選択するために、アドレス信号ADDRESSを抵抗変化型記憶装置200のアドレスバッファ202に順次出力する。これにより、抵抗変化型記憶装置200では、アドレス信号ADDRESSに応じたメモリセルが順次選択される。
次に、抵抗変化型記憶装置200では、第2実施形態で説明した読み出しモードと同様の動作が行われる。これにより、抵抗変化型記憶装置200に記憶されたデータが1ビットずつ、出力データDoutとして読み出される。
[効果]
以上に説明したように、第2実施形態で述べた抵抗変化型記憶装置200を用いて抵抗変化型装置300を構成できる。このため、本実施形態の抵抗変化型装置300は、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型記憶装置を提供することが可能となる。
そして、本実施形態の抵抗変化型装置300によれば、格段に動作速度が高まった抵抗変化型記憶装置200に大量のデータを高速に記憶させることができ好適である。
(第4実施形態)
本実施形態では、第2実施形態で述べた抵抗変化型記憶装置200の他の応用例として、抵抗変化型記憶装置200を組み込んだReconfigurable-LSIである抵抗変化型装置400の構成および動作を説明する。
[第2半導体集積回路の構成]
図18は、本発明の第4実施形態の抵抗変化型装置(Reconfigurable-LSI)の一構成例を示したブロック図である。
この抵抗変化型装置400は、第2実施形態(図16)で述べた抵抗変化型記憶装置200と、プロセッサ401と、インターフェイス402を備えてなり、これらが、1つの半導体チップ上に形成されている。抵抗変化型記憶装置200は、ここでは、プログラムROMとして使用され、プロセッサ401の動作に必要なプログラムを記憶するが、抵抗変化型記憶装置200の構成は、第2実施形態で詳述したので、省略する。プロセッサ401は、抵抗変化型記憶装置200に記憶されたプログラムに従って動作し、抵抗変化型記憶装置200およびインターフェイス402を制御する。なお、外部機器(不図示)から入力されたプログラムが、インターフェイス402を介して抵抗変化型記憶装置200に順次出力される。
[第2抵抗変化型装置400の動作]
次に、図18に示した半導体集積回路(Reconfigurable-LSI)400の動作を説明する。この抵抗変化型装置400による動作には、記憶されたプログラムに従って動作するプログラム実行処理(プログラム実行モード)と、抵抗変化型記憶装置200に記憶されたプログラムを別の新たなプログラムに書き換えるプログラム書き換え処理(プログラム書き換えモード)とが存在する。なお以下の動作においては、第2実施形態で説明した抵抗変化型記憶装置200の「低抵抗状態への書き込みモード」、「読み出しモード」および「高抵抗状態への書き込みモード」の各動作が利用されるが、ここでは、抵抗変化型記憶装置200の詳細な動作説明は省く。
[プログラム実行モード]
まず、抵抗変化型装置400のプログラム実行モードにおける動作を説明する。
プロセッサ401は、抵抗変化型記憶装置200に記憶されたプログラムを読み出すために、抵抗変化型記憶装置200の「読み出しモード」を示すモード選択信号MODEを制御部203に出力する。
次に、プロセッサ401は、その必要なプログラムが書き込まれたメモリセルを示すアドレス信号ADDRESSを抵抗変化型記憶装置200のアドレスバッファ202に順次出力する。これにより、抵抗変化型記憶装置200では、アドレス信号ADDRESSに応じたメモリセルが順次選択される。
次に、抵抗変化型記憶装置200では、第2実施形態で説明した読み出しモードと同様の動作が行われる。これにより、抵抗変化型記憶装置200に記憶されたプログラムが出力データDoutとして1ビットずつ、読み出される。
このようにして、プロセッサ401は、読み出したプログラムに従って所定の演算を行える。
[プログラム書き換えモード]
次に、抵抗変化型装置400のプログラム書き換えモードにおける動作を説明する。
プロセッサ401は、抵抗変化型記憶装置200に記憶されたプログラム(書換対象となるプログラム)を書き換えるために、抵抗変化型記憶装置200の「書き込みモード」を示すモード選択信号MODEを制御部203に出力する。
次に、プロセッサ401は、新たなプログラムを記憶すべきメモリセルの位置を示すアドレス信号ADDRESSを抵抗変化型記憶装置200のアドレスバッファ202に順次出力する。これにより、抵抗変化型記憶装置200では、アドレス信号ADDRESSに応じたメモリセルが順次選択される。
次に、プロセッサ401は、外部からインターフェイス402を介して1ビットずつ、抵抗変化型記憶装置200の制御部203に出力する。抵抗変化型記憶装置200では、プロセッサ401から入力されたデータの値に基づいて、第2実施形態で説明した低抵抗状態への書き込みモードあるいは高抵抗状態への書き込みモードと同様の動作が択一的に行われる。これにより、新たなプログラムが抵抗変化型記憶装置200に1ビットずつ記憶される。
このように、抵抗変化型記憶装置200は書き換え可能な不揮発性メモリであるため、記憶するプログラムの内容を書き換えた上で、電源を切ってもこれを保存することができる。つまり、プロセッサ401において実現される機能が容易に改変できる。また、複数のプログラムを抵抗変化型記憶装置200に記憶しておき、読み出すプログラムに応じてプロセッサ401で実現される機能を変更することも可能である。
[効果]
以上に説明したように、第2実施形態で述べた抵抗変化型記憶装置200を用いて抵抗変化型装置400を構成できる。このため、本実施形態の抵抗変化型装置400は、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型記憶装置を提供することが可能となる。
そして、本実施形態の抵抗変化型装置400によれば、格段に動作速度が高まった抵抗変化型記憶装置200に用いて1つのプロセッサ(LSI)で異なる機能が実現でき(いわゆるre-configurable)好適である。
(第2、第3、第4実施形態における変形例)
なお、上記第2、第3および第4実施形態の説明においては、低抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITELOWの電圧値(+2V)とパルス幅(100ns)、および、高抵抗状態への書き込み電圧パルスVWRITEHIGHの電圧値(−2V)とパルス幅(100ns)を例示したが、抵抗変化型素子の抵抗状態の変化させるために必要な電圧パルスの条件を満たせば他の電圧値やパルス幅を用いても良い。
また、上記第2、第3および第4実施形態では、第1実施形態で述べた抵抗変化型素子を「記憶素子」として利用する例を説明したが、利用の用途はこれに限定されない。例えば、第1実施形態で述べた抵抗変化型素子の他の利用形態として、第1実施形態で述べた抵抗変化型素子を、複数の信号の切り替えを決定するスイッチング素子、周波数の切り替えに用いられる抵抗変化型素子、複数の信号の混合比率を決定する抵抗変化型素子、または、コンデンサーとの組み合わせで時定数を決定する時定数変化素子として用いることができる。
上述の説明では、抵抗変化型素子が上書き可能である場合を想定して説明したが、上書きすると正常に動作しにくい場合などには、書き込み前に抵抗変化型素子の抵抗状態を読み出して書き込み用パルスを印加するか否かが選択されてもよいし、書き込み前に書き込み対象となるそれぞれの抵抗変化型素子の抵抗状態を初期状態に揃えた上で改めて必要な抵抗変化型素子に対して書き込みが行われてもよい。
(第5実施形態)
図19および図20は、第1実施形態で述べた抵抗変化型素子と同様に構成された抵抗変化型素子の他の用途例を示したブロック図である。図19は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子を用いた周波数可変回路の構成を示したブロック図である。図20は、本発明の第1実施形態の抵抗変化型素子を用いたミキシング回路の構成を示したブロック図である。なお図14において、抵抗変化型素子10および、これに接続される電源5とスイッチSWa、SWb以外の素子の構成および動作の説明は省略する。図中VCOは、Voltage Controlled Oscillator(電圧[制御電圧]で発振周波数を制御する発振器)を示す。
図19および図20において、抵抗変化型素子10の抵抗値を変化させる場合、スイッチSWa、SWbを切り替えて抵抗変化型素子10と電源5とを電気的に接続する。次に、電源5によって所定の電圧パルスが抵抗変化型素子10に印加される。これにより、抵抗変化型素子10の抵抗値が変化する。そして、スイッチSWa、SWbを元の接続状態に戻せば、抵抗変化型素子10の抵抗値を容易に改変できる。このような抵抗変化型素子10を使用することにより、図19に示した周波数可変回路や、図20に示した2つの信号の混合比率を変えるミキシング回路を構成できる。
本実施形態においても、上述の同様の変形例が適用可能である。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明の抵抗変化型素子および抵抗変化型記憶装置は、製造温度が低く、フォーミングが不要であり、低抵抗状態から高抵抗状態への書き込み速度が速く、安定性に優れた抵抗変化型素子、抵抗変化型記憶装置、抵抗変化型装置として有用である。
1 基板
2 下部電極
3 抵抗変化層
4 上部電極
5 電極
10 抵抗変化型素子
11 第1端子
12 第2端子
200 抵抗変化型記憶装置
201 メモリアレイ
202 アドレスバッファ
203 制御部
204 行デコーダ
205 ワード線ドライバ
206 列デコーダ
207 ビット線/プレート線ドライバ
300 抵抗変化型装置
301 論理回路
400 抵抗変化型装置
401 プロセッサ
402 インターフェイス
W1、W2 ワード線
B1、B2 ビット線
P1、P2 プレート線
T211、T212、T221、T222 トランジスタ
MC211、MC212、MC221、MC222 メモリセル
SWa、SWb スイッチ

Claims (13)

  1. 第1電極と、
    第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に配設され前記第1電極と前記第2電極とに電気的に接続された抵抗変化層とを備え、
    前記抵抗変化層が(NiFe1−x)Feの化学式で表されるスピネル構造を有する材料を含み、

    Xが0.35以上0.9以下であり、
    前記第1電極と前記第2電極との間に第1の電圧を有する第1電圧パルスを印加することで前記第1電極と前記第2電極との間の電気抵抗が低下し、
    前記第1電極と前記第2電極との間に前記第1の電圧と極性が異なる第2の電圧を有する第2電圧パルスを印加することで前記第1電極と前記第2電極との間の電気抵抗が上昇する性質を有する、抵抗変化型素子。
  2. 前記化学式で表される材料の抵抗率が0.5Ωcm以上100Ωcm以下である、請求項1に記載の抵抗変化型素子。
  3. 前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも何れか一方が、Ag、Au、Pt、Ru、RuO、Ir、IrO、TiO、TiN、TiAlN、Ta、TaNよりなる群から選ばれた一つあるいは複数の材料を用いて構成された電極である、請求項1に記載の抵抗変化型素子。
  4. 前記抵抗変化層の厚みが、10nm以上200nm以下である、請求項1に記載の抵抗変化型素子。
  5. 請求項1に記載の抵抗変化型素子と、
    電圧パルス印加装置とを備え、
    前記電圧パルス印加装置が、前記第1電極と前記第2電極との間に所定の電圧パルスを印加することにより、前記抵抗値の変化に対応して、1ビットデータまたは多値データを前記抵抗変化型素子に記憶する、抵抗変化型記憶装置。
  6. 前記電圧パルス印加装置が、前記第1電極と前記第2電極との間に正極性の電圧パルスを印加することにより、前記抵抗変化型素子を低抵抗状態へと変化させ、
    前記電圧パルス印加装置が、前記第1電極と前記第2電極との間に負極性の電圧パルスを印加することにより、前記抵抗変化型素子を高抵抗状態へと変化させることにより、
    前記抵抗変化型素子の抵抗状態に対応させて1ビットデータを記憶する、請求項5に記載の抵抗変化型記憶装置。
  7. 第1方向に延びる複数のワード線と、
    前記ワード線に交差して第2方向に延びる複数のビット線と、
    前記複数のビット線に一対一で対応して前記第2方向に延びる複数のプレート線と、
    第1主端子と第2主端子と制御端子とを備え前記ワード線と前記ビット線との間の交差点に対応して設けられた複数のトランジスタと、
    第1電極と第2電極と前記第1電極と前記第2電極との間に配設され前記第1電極と前記第2電極とに電気的に接続された抵抗変化層とを備え前記トランジスタのそれぞれに一対一で対応する複数の抵抗変化型素子と、
    前記複数のワード線に接続して前記ワード線への電圧印加を制御するワード線駆動部と、
    前記複数のビット線と前記複数のプレート線とに接続して、前記ビット線および前記プレート線への電圧印加を制御するビット線/プレート線駆動部と、
    前記ワード線駆動部と前記ビット線/プレート線駆動部とを制御する制御部とを備え、
    前記トランジスタの第1主端子がそれぞれ対応する前記交差点を通る前記ビット線と電気的に接続され、
    前記トランジスタの第2主端子がそれぞれ対応する前記抵抗変化型素子の第1電極に電気的に接続され、
    前記抵抗変化型素子の第2電極がそれぞれ対応する前記交差点を通る前記プレート線と電気的に接続され、
    前記トランジスタの制御端子がそれぞれ対応する前記交差点を通る前記ワード線に電気的に接続され、
    前記抵抗変化層が(M’Fe1−x)Feの化学式で表されるスピネル構造を有する材料を含み、
    前記化学式中のM’はMn、Co、Ni、Cu、Znよりなる群から選ばれた一つあるいは複数の遷移金属である、抵抗変化型記憶装置。
  8. 前記ワード線駆動部は、前記制御部の制御に基づいて所定のデータを記憶する前記抵抗変化型素子に対応する前記トランジスタのゲートに接続されたいずれか一つのワード線に対し択一的に前記トランジスタのドレインおよびソース間の導通を図るための活性化電圧を印加するように構成されており、
    前記ビット線/プレート線駆動部は、前記制御部の制御に基づいて前記所定のデータを記憶する予定の前記抵抗変化型素子に対応する前記トランジスタに接続されたいずれか一つのビット線に対し択一的に第1電圧パルスを印加するとともに、前記ビット線に対応するプレート線に対し第2電圧パルスを印加するように構成されている、請求項7記載の抵抗変化型記憶装置。
  9. 前記ワード線駆動部は、前記制御部の制御に基づいて予め記憶された所定のデータを読み出す前記抵抗変化型素子に対応する前記トランジスタのゲートに接続されたいずれか一つのワード線に対し択一的に前記トランジスタのドレインおよびソース間の導通を図るための活性化電圧を印加するように構成されており、
    前記ビット線/プレート線駆動部は、前記制御部の制御に基づいて前記所定のデータを読み出す前記抵抗変化型素子に対応する前記トランジスタに接続されたいずれか一つのビット線に対し択一的に第1読出電圧を印加するとともに、前記ビット線に対応するプレート線に対し第2読出電圧を印加するように構成されている、請求項7記載の抵抗変化型記憶装置。
  10. 請求項7乃至9の何れかに記載の抵抗変化型記憶装置と、
    所定のデータに基づいて演算を実行する論理回路と、を備え、
    前記論理回路は、書き込みモードと読み出しモードとを有し、前記書き込みモードでは前記抵抗変化型記憶装置に前記データを記憶させるように前記抵抗変化型記憶装置を制御し、前記読み出しモードでは前記抵抗変化型記憶装置に記憶された前記データを読み出すように前記抵抗変化型記憶装置を制御するように構成されている、抵抗変化型装置。
  11. 請求項7乃至9の何れかに記載の抵抗変化型記憶装置と、
    外部からの入力を受付ける入力装置と、
    前記入力装置に通信可能に接続されたプロセッサと、を備え、
    前記抵抗変化型記憶装置はプログラムを記憶可能に構成され、
    前記プロセッサは、プログラム実行モードとプログラム書き換えモードとを有し、前記プログラム書き換えモードでは前記抵抗変化型記憶装置に記憶されたプログラムを外部から入力装置を介して受け取ったプログラムに書き換え、前記プログラム実行モードでは前記抵抗変化型記憶装置に記憶されたプログラムを実行するように構成されている、抵抗変化型装置。
  12. 請求項1の抵抗変化型素子の第1電極と第2電極との間に極性の異なる2種類の電圧パルスを印加して前記抵抗変化型素子の抵抗状態を変化させ、前記抵抗状態の変化に基づいて前記抵抗変化型素子にデータを記録する、抵抗変化型素子へのデータ記録方法。
  13. 請求項1の抵抗変化型素子の第1電極と第2電極との間に複数種類の電圧パルスを印加して前記抵抗変化型素子の抵抗状態を変化させ、前記抵抗状態の変化に基づいて前記抵抗変化型素子にデータを記録し、前記複数種類の電圧パルスのうち少なくとも1種類は、他の電圧パルスと極性が異なっている、抵抗変化型素子へのデータ記録方法。
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