本発明は、ナビゲーション装置に関する。
車両の現在位置を測定し、その現在位置を含む周辺地域の地図を表示するナビゲーション装置が知られている。ナビゲーション装置において、車両の現在位置を測定する方法としては、いわゆる自立航法と、GPSを用いたGPS航法とが知られている。自立航法は、主に車両に設けられたセンサを用いて速度や方位などの各種パラメータを取得し、それらの情報を用いて車両の現在位置を測定する。一方、GPS航法は、複数の人工衛星から送信される測位データを受信し、受信したデータを元に車両の現在位置を演算する。これら2つの航法はいずれも長所及び短所があるので、一般的には、各々の測定データを利用するいわゆるハイブリッド航法が利用されている。
また、マップマッチング機能を有するナビゲーション装置が知られている。マップマッチング処理とは、車両の現在位置が隣接する道路から外れた場合に、車両の現在位置を強制的に道路上に移動する処理を言う。マップマッチング処理の一例が特許文献1に記載されている。
車両が駐車場など、道路が存在しない場所(以下、「オフロードエリア」と呼ぶ。)に進入した場合には、ナビゲーション装置はマップマッチング処理を一時的に停止する。そして、車両がオフロードエリアから道路上に復帰すると、ナビゲーション装置はマップマッチング処理を再開する。即ち、車両がオフロードエリアから道路上へ復帰したことを検出すると、ナビゲーション装置は、そのときの車両の現在位置を利用してマップマッチング処理を行い、車両の現在位置を道路上に移動する。なお、車両がオフロードエリアから通常の道路に復帰したことを検出する手法が、特許文献2に記載されている。
しかし、車両が例えば立体駐車場などのオフロードエリアをある程度の距離を走行すると、自立航法に用いられるセンサ(以下、「自立センサ」と呼ぶ。)により得られる方位や距離に誤差が蓄積される。よって、その後車両が立体駐車場から出たときに、その時の自立航法による車両の現在位置を利用してマップマッチング処理を実行すると、車両の現在位置が実際の位置から大きくずれた位置に移動されてしまうという問題が生じる。
また、ナビゲーション装置が目的地までの経路案内を行っている状態で、上記のような誤った位置へのマップマッチング処理が実行されると、実際は車両が正しい経路を走行しているにも拘わらず、ナビゲーション装置は車両が案内経路から外れて走行していると認識し、オートリルートを行ってしまうという問題も発生する。なお、オートリルートとは、経路案内中に車両が案内経路をはずれて走行した場合に、自動的にその位置から目的地までの経路を計算し、案内経路を設定し直す動作をいう。
特開平7−311048号公報
特開2002−333334号公報
本発明が解決しようとする課題としては、上記のようなものが例として挙げられる。本発明は、オフロードエリアからの復帰時に正確なマップマッチングを行うことが可能なナビゲーション装置を提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、ナビゲーション装置であって、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段と、前記車両の相対位置を測定する相対位置測定手段と、前記相対位置測定手段の推定誤差を決定する誤差推定手段と、前記絶対位置及び前記相対位置に基づいて、前記車両の現在位置を測定する現在位置測定手段と、前記現在位置が道路上の位置から外れたときに、当該現在位置を隣接する道路上に移動するマップマッチング処理を実行するマップマッチング手段と、を備え、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアに進入するときに前記マップマッチング処理を停止するとともに、前記車両がオフロードエリアから復帰するときに前記マップマッチング処理を再開し、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアから復帰するときの前記推定誤差が所定の閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記推定誤差が前記所定の閾値以下の場合には前記相対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段、及び、前記車両の相対位置を測定する相対位置測定手段を備えるナビゲーション装置において実行されるマップマッチング方法であって、前記相対位置測定手段の推定誤差を決定する誤差推定工程と、前記絶対位置及び前記相対位置に基づいて、前記車両の現在位置を測定する現在位置測定工程と、前記現在位置が道路上の位置から外れたときに、当該現在位置を隣接する道路上に移動するマップマッチング処理を実行するマップマッチング工程と、を備え、前記マップマッチング工程は、前記車両がオフロードエリアに進入するときに前記マップマッチング処理を停止するとともに、前記車両がオフロードエリアから復帰するときに前記マップマッチング処理を再開し、前記マップマッチング工程は、前記車両がオフロードエリアから復帰するときの前記推定誤差が所定の閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記推定誤差が前記所定の閾値以下の場合には前記相対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段、前記車両の相対位置を測定する相対位置測定手段、及び、コンピュータを備えるナビゲーション装置において実行されるマップマッチングプログラムであって、前記相対位置測定手段の推定誤差を決定する誤差推定手段、前記絶対位置及び前記相対位置に基づいて、前記車両の現在位置を測定する現在位置測定手段、及び、前記現在位置が道路上の位置から外れたときに、当該現在位置を隣接する道路上に移動するマップマッチング処理を実行するマップマッチング手段、として前記コンピュータを機能させ、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアに進入するときに前記マップマッチング処理を停止するとともに、前記車両がオフロードエリアから復帰するときに前記マップマッチング処理を再開し、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアから復帰するときの前記推定誤差が所定の閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記推定誤差が前記所定の閾値以下の場合には前記相対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行することを特徴とする。
実施例に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
車両が立体駐車場を出入りしたときの現在位置の軌跡を示す。
マップマッチングに関連する構成を示す。
マップマッチング処理のフローチャートである。
自立センサの推定誤差との比較に用いる閾値のテーブルを示す。
マップマッチング処理の他のフローチャートである。
符号の説明
10 自立測位装置
18 GPS受信機
20 システムコントローラ
22 CPU
36 データ記憶ユニット
40 表示ユニット
60 入力装置
123 自立センサ誤差推定部
124 マップマッチング部
本発明の好適な実施形態では、ナビゲーション装置は、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段と、前記車両の相対位置を測定する相対位置測定手段と、前記相対位置測定手段の推定誤差を決定する誤差推定手段と、前記絶対位置及び前記相対位置に基づいて、前記車両の現在位置を測定する現在位置測定手段と、前記現在位置が道路上の位置から外れたときに、当該現在位置を隣接する道路上に移動するマップマッチング処理を実行するマップマッチング手段と、を備え、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアに進入するときに前記マップマッチング処理を停止するとともに、前記車両がオフロードエリアから復帰するときに前記マップマッチング処理を再開し、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアから復帰するときの前記推定誤差が所定の閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記推定誤差が前記所定の閾値以下の場合には前記相対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行する。
上記のナビゲーション装置は、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段と、相対位置を測定する相対位置測定手段とを備える。絶対位置取得手段は例えばGPS、VICSなどの路車間通信システムを含む。相対位置測定手段はジャイロセンサなどの自立センサを含む。また、自立センサなどの相対位置の推定誤差を決定する手段が設けられる。絶対位置と相対位置に基づいて車両の現在位置が測定され、その現在位置が道路上から外れたときに、現在位置を道路上に移動させるマップマッチング手段が設けられる。
車両が道路上からオフロードエリアに移動したときにはマップマッチング処理は一時停止され、車両がオフロードエリアから道路上に復帰したときには、マップマッチング処理が再開される。ここで、車両がオフロードエリアから復帰する際には、その時点における相対位置測定手段の推定誤差を所定の閾値と比較し、推定誤差が閾値より大きい場合には絶対位置を利用してマップマッチングを行う。また、推定誤差が閾値以下である場合には相対位置を利用してマップマッチングを行う。これにより、車両がオフロードエリアから復帰した時点において、自立センサなどによる相対位置と、GPSなどによる絶対位置のうち、精度の高い方を利用して、高精度のマップマッチングを行うことができる。
上記のナビゲーション装置の一態様では、前記マップマッチング手段は、前記現在位置が属する地域に応じて、前記閾値を変更する。GPSの測位精度は地域や周辺環境によって変動する。よって、自立センサの推定誤差の比較対象となる閾値を地域ごとに変更することにより、いずれの地域においても高精度なマップマッチングを行うことができる。
上記のナビゲーション装置の他の一態様は、地図データを記憶する地図データ記憶部を備え、前記マップマッチング手段は、前記地図データ毎に前記閾値を変更する。ナビゲーション装置が使用する地図データは、同一のエリアのものであっても、道路位置などの精度が異なる場合があり、地図データの精度が低いと、相対位置測定手段の誤差の影響をより受けやすくなる。よって、地図データ毎に閾値を変更することにより、地図データの精度のばらつきがマップマッチングの精度低下に与える影響を低減することができる。
上記のナビゲーション装置の他の一態様は、地図データを記憶する地図データ記憶部を備え、前記地図データは、駐車場について、前記推定誤差と相関を有する駐車場属性情報を含み、前記マップマッチング手段は、前記駐車場属性情報を参照して前記閾値を変更する。立体駐車場の場合には、その構造により自立センサなどの相対位置の誤差が発生しやすいか否かがある程度推定できる。よって、地図データに含まれる駐車場のデータについて、相対位置の推定誤差と相関を有する属性情報、例えば誤差が発生するレベルや駐車場の階数などを記憶しておく。マップマッチング手段は、この属性情報を参照し、閾値を補正してマップマッチングを行うことにより、より高精度のマップマッチングが可能となる。
上記のナビゲーション装置の他の一態様は、前記絶対位置取得手段が前記絶対位置を取得できる状態か否かを判定する判定手段を備え、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアから復帰する前であっても、前記絶対位置取得手段が前記絶対位置を取得でき、かつ、前記推定誤差が前記閾値よりも大きい第2の閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行する。
この態様では、車両がオフロードエリアから復帰する前であっても、相対位置の推定精度があまりにも大きくなった場合には、強制的にGPSなどの絶対位置を利用してマップマッチングを行う。これにより、精度の低い相対位置に基づいてマップマッチングが行われることを確実に防止することができる。
本発明の他の実施形態では、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段、及び、前記車両の相対位置を測定する相対位置測定手段を備えるナビゲーション装置において実行されるマップマッチング方法は、前記相対位置測定手段の推定誤差を決定する誤差推定工程と、前記絶対位置及び前記相対位置に基づいて、前記車両の現在位置を測定する現在位置測定工程と、前記現在位置が道路上の位置から外れたときに、当該現在位置を隣接する道路上に移動するマップマッチング処理を実行するマップマッチング工程と、を備え、前記マップマッチング工程は、前記車両がオフロードエリアに進入するときに前記マップマッチング処理を停止するとともに、前記車両がオフロードエリアから復帰するときに前記マップマッチング処理を再開し、前記マップマッチング工程は、前記車両がオフロードエリアから復帰するときの前記推定誤差が所定の閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記推定誤差が前記所定の閾値以下の場合には前記相対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行する。
この方法を、ナビゲーション装置において実行することにより、車両がオフロードエリアから復帰した時点において、自立センサなどによる相対位置とGPSなどによる絶対位置のうち精度の高い方を利用して高精度のマップマッチングを行うことができる。
本発明の他の実施形態では、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段、前記車両の相対位置を測定する相対位置測定手段、及び、コンピュータを備えるナビゲーション装置において実行されるマップマッチングプログラムは、前記相対位置測定手段の推定誤差を決定する誤差推定手段、前記絶対位置及び前記相対位置に基づいて、前記車両の現在位置を測定する現在位置測定手段、及び、前記現在位置が道路上の位置から外れたときに、当該現在位置を隣接する道路上に移動するマップマッチング処理を実行するマップマッチング手段、として前記コンピュータを機能させ、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアに進入するときに前記マップマッチング処理を停止するとともに、前記車両がオフロードエリアから復帰するときに前記マップマッチング処理を再開し、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアから復帰するときの前記推定誤差が所定の閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記推定誤差が前記所定の閾値以下の場合には前記相対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行する。このプログラムをナビゲーション装置のコンピュータ上で実行することにより、車両がオフロードエリアから復帰した時点において、自立センサなどによる相対位置とGPSなどによる絶対位置のうち精度の高い方を利用して高精度のマップマッチングを行うことができる。なお、このプログラムは、記憶媒体に記憶した状態で利用することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。なお、以下の説明は、本発明を車両に搭載されるナビゲーション装置に適用した例を示す。
[ナビゲーション装置]
図1に、本発明の実施例に係るナビゲーション装置100の構成を示す。図1に示すように、ナビゲーション装置100は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60を備える。
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU22、ROM23及びRAM24を含んでおり、ナビゲーション装置100全体の制御を行う。
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図データや施設データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶する。
通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、通信用インタフェース37を介して、VICS(Vehicle Information Communication System)センタから配信される渋滞や交通情報などの道路交通情報、その他の情報を受信する。
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データを、ディスプレイなどの表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD−ROMドライブ31又はDVD−ROM32、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
なお、CPU22は、予めROM23などに記憶されたプログラムを実行することにより、誤差推定手段、現在位置測定手段、マップマッチング手段及び判定手段として機能する。加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13は自立センサであり、相対位置測定手段として機能する。GPS受信機18は絶対位置取得手段として機能する。
[自立センサの誤差]
次に、オフロードエリアの走行による自立センサの誤差について説明する。通常、ナビゲーション装置は、自立センサによる車両の現在位置と、GPSによる車両の現在位置とを検出している。車両が走行すると、基本的に自立センサには誤差が発生する。ここでの誤差は、方位誤差及び距離誤差を含む。誤差が発生する原因は様々であるが、車両が走行した距離や旋回量から、誤差の量をある程度推定することができる。例えば、車両が旋回すると、その旋回量に対してx%の方位誤差が発生するとか、車両が所定距離走行すると、その走行距離に対してy%の距離誤差が発生する、ということが自立センサのスペック上既知となっている場合が多い。よって、ナビゲーション装置は、車両の走行中に自立センサの誤差を常に推定し累積しており、累積誤差が所定基準量を超えると、GPSによる現在位置を利用して自立センサの補正を行う。
一方、ナビゲーション装置はマップマッチング機能を有し、車両の現在位置が道路上から大きく外れたときには、車両の現在位置を道路上の位置に強制的に移動する。但し、車両が駐車場などのオフロードを走行する場合、ナビゲーション装置は、車両がオフロードエリアの走行を開始したときに一時的にマップマッチング処理を停止し、車両がオフロードエリアの走行を終了したときにマップマッチング処理を再開する。マップマッチング処理を再開するとき、ナビゲーション装置は基本的に自立センサによる車両の現在位置を利用して、マップマッチング処理を実行する。
従って、車両が立体駐車場などのGPS受信が不可能なオフロードエリアを走行した後にマップマッチング処理を実行すると、自車位置が誤った道路上に移動されることがある。詳しく説明すると、車両が立体駐車場などのGPS受信が不可能なオフロードエリアを走行すると、GPSデータを用いて自立センサを補正することができないため、車両が立体駐車場から道路上に出たときには自立センサは大きな累積誤差を含む状態となっている。この状態では、ナビゲーション装置は、自立センサによる車両の現在位置を利用してマップマッチングを実行するため、車両の現在位置は誤った道路上に移動される可能性が高くなる。
この様子を、図2を参照して説明する。図2(A)は、車両が立体駐車場に入った後、さらに駐車場を出て走行した場合の車両の実際の走行軌跡であり、図2(B)はGPSによる現在位置の軌跡、図2(C)は自立センサによる現在位置の軌跡である。
図2(A)に示すように、車両は実際に軌跡119に従って走行し、立体駐車場110内を複数回周回した後、道路に戻っている。図2(A)における現在位置117は実際の車両の位置を正しく示している。
図2(B)はGPSによる現在位置の軌跡である。立体駐車場110内ではGPS電波を受信することができないためGPSによる現在位置は不安定、もしくは測定不能であるが、その後車両が立体駐車場110を出ると、GPS電波の受信が可能となり、現在位置はほぼ道路に沿って移動している。よって、マーク116の位置でナビゲーション装置がマップマッチング処理を実行すると、現在位置117は正しい位置に移動されている。
図2(C)は自立センサによる現在位置の軌跡である。立体駐車場内ではGPS電波を受信することができず、自立センサの累積誤差が大きくなった状態で車両が道路に復帰する。よって、現在位置は道路を大きく外れていく。ナビゲーション装置はマーク112の位置でマップマッチングを実行し、その結果、現在位置はマーク113の位置に移動されている。これは、図2(A)においてマーク117で示す正しい位置と大きくずれている。
このように、立体駐車場など、GPS電波が受信できないオフロードエリアを車両が走行した後は、自立センサは比較的大きな累積誤差を含むため、オフロードエリアからの復帰後に自立センサによる現在位置を利用してマップマッチング処理を行うと、誤った位置に現在位置を移動させてしまう可能性がある。そこで、本発明では、オフロードエリアから復帰する際のマップマッチング処理においては、自立センサの誤差が小さい場合には自立センサによる現在位置を利用し、自立センサの誤差が大きい場合にはGPSによる現在位置を利用することとする。
[マップマッチング処理]
図3に、本発明のマップマッチング処理に関連する機能構成を示す。絶対位置取得部として機能するGPS受信機18は、GPSによる現在位置を示す現在位置データ131をマップマッチング部124へ供給する。また、相対位置測定部として機能する自立測位装置10は、自立センサによる現在位置を示す現在位置データ132をマップマッチング部124へ供給する。
自立センサ誤差推定部123は、自立センサに発生する誤差を推定し、推定誤差データ133をマップマッチング部124へ供給する。自立センサ誤差推定部123は、例えば前述のように、車両の走行距離や旋回量に基づいて、距離誤差や方位誤差を算出する。
マップマッチング部124は、図1に示すCPU22が予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。車両がオフロードから復帰する時のマップマッチング処理において、マップマッチング部124は、まず、自立センサ誤差推定部123から供給される推定誤差データ133に基づいて、推定誤差を予め用意した閾値Xと比較する。そして、推定誤差が閾値Xより大きい場合には、マップマッチング部124は、自立センサの累積誤差が大きいと判断し、GPSによる現在位置を利用してマップマッチング処理を実行する。一方、推定誤差が閾値X以下の場合には、マップマッチング部124は、自立センサの累積誤差が小さいと判断し、自立センサによる現在位置を利用してマップマッチング処理を実行する。これにより、マップマッチング部124は、自立センサの累積誤差が大きい場合に、誤ったマップマッチングを行うことを防止することができる。
図4は、車両がオフロードエリアから復帰するときのマップマッチング再開処理のフローチャートである。なお、車両がオフロードエリアの走行を開始したときには、ナビゲーション装置100はそれを検出し、マップマッチング処理を一時的に停止する。図4に示すマップマッチング再開処理は、そのようにマップマッチング処理が一時的に停止されている状態で実行されることになる。
まず、マップマッチング部124は、車両が引き続きオフロードエリアの走行中であるか否かを判定する(ステップS10)。この判定は、例えば車両の現在位置が道路から所定距離以上離れているか否かにより行うことができる。オフロードエリアの走行中でない場合、処理は終了する。オフロードエリアの走行中である場合、マップマッチング部124は、所定のマップマッチング再開条件が具備されたか否かを判定する(ステップS11)。ここで、マップマッチング再開条件は、車両が立体駐車場などのオフロードエリアから道路上に復帰したと判定する条件である。一例では、車両が所定距離以上直進したことを検出した場合に、マップマッチング部124は、車両がオフロードエリアから復帰したと判定することができる。他の例では、立体駐車場の出入り口の位置情報が地図データ中に含まれている場合には、車両が立体駐車場の出口を通過したことを検出した場合に、マップマッチング部124は、車両がオフロードエリアから道路上に復帰したと判定することができる。
こうして、車両がオフロードエリアから道路上に復帰し、マップマッチング再開条件が成立すると(ステップS11;Yes)、マップマッチング部124は、自立センサ誤差推定部123から得た自立センサの推定誤差が、閾値Xより大きいか否かを判定する(ステップS12)。推定誤差が閾値X以下の場合(ステップS12;No)、マップマッチング部124は、自立センサによる現在位置を用いてマップマッチングを行う(ステップS13)。即ち、マップマッチング部124は、自立センサによる現在位置から最も近い道路上に車両の現在位置を移動する。一方、推定誤差が閾値Xより大きい場合(ステップS12;Yes)、マップマッチング部124はGPSの現在位置を用いてマップマッチングを行う(ステップS14)。即ち、マップマッチング部124は、GPSの現在位置に最も近い道路上に車両の現在位置を移動する。こうしてマップマッチング再開処理は終了する。
このように、本発明では、オフロードエリアから復帰する際のマップマッチング処理において、自立センサの誤差が小さい場合には自立センサによる現在位置を利用し、自立センサの誤差が大きい場合にはGPSによる現在位置を利用する。よって、車両がオフロードエリアを走行している間に自立センサの誤差が蓄積してしまっている場合でも、オフロードエリアからの復帰後のマップマッチング処理を高精度で行うことができる。
また、これにより、ナビゲーション装置が目的地までの経路案内を行っている状態でにおいても、誤った位置へのマップマッチング処理により誤ったオートリルートが実行されてしまうという問題を防止することができる。
次に、自立センサの推定誤差と比較される閾値Xについて詳しく説明する。本発明では、オフロードエリアからの復帰時のマップマッチング処理において、自立センサによる現在位置と、GPSによる現在位置のうち、精度が高い方を利用してマップマッチングを行うことを特徴とする。この点、GPS電波が正しく受信されている状態におけるGPSの測位誤差は既知である。従って、ステップS12で使用される閾値Xは、GPSの測位誤差に相当する値に設定することが好ましい。即ち、自立センサの推定誤差がGPSの測位誤差よりも大きいと判断される場合にGPSの現在位置を用いてマップマッチングを行い、自立センサの推定誤差がGPSの測位誤差以下であると判断される場合に自立センサによる現在位置を用いてマップマッチングを行うことが好ましい。
この観点から、閾値XはGPSの測位精度に応じて変更することが望ましい。GPSの測位精度は地域によって変動することが知られている。例えば、一般的に都心部ではマルチパスなどの影響でGPSの測位精度が低いが、郊外ではGPSの測位精度が比較的高いことが知られている。また、実際の地域毎に電波状況などは異なるため、個々の地域ごとにGPSの測位精度は異なる。
よって、地域毎にGPSの測位精度に応じて閾値Xを変更することにより、GPSの測位精度の変動を吸収することができる。具体的には、マップマッチング部124は、図5に例示するような地域ごとの閾値テーブルを記憶しておき、現在位置が属する地域に応じてステップS12で使用する閾値Xを変更すればよい。この場合、図5のテーブルにおいては、GPS測位精度が高い地域ほどGPSによる現在位置が使用されやすいように、即ち、閾値Xが小さくなるように設定されることになる。
また、GPS受信機には、受信状態に応じて誤差指数を示す値を出力する機能を有するものがある。よって、そのような誤差指数としては、例えばPDOP(Position Dilution of Precision)が知られており、測位精度が良い場合はPDOPの値は3程度の小さい値となり、7以上の場合は測位精度が良くないと言われている。よって、PDOPなどの測位精度を示す指数に応じて閾値Xを変更してもよい。具体的な例では、PDOPが3未満である場合はGPSの測位精度が良いので、GPSによる現在位置が利用されやすくなるように閾値Xを小さくすることとしてもよい。
また、ナビゲーション装置100で使用する地図データ毎に閾値Xを変更してもよい。地図データは、バージョンその他によって、地図データ自体の精度、特に道路データの位置精度が異なっていることがある。よって、地図データ自体の精度が低いときほど自立センサの推定誤差がマップマッチング精度に与える悪影響が大きくなるので、GPSによる現在位置が利用されやすくなるように閾値Xを小さくする。地図データ自体の精度が高い場合は、自立センサの現在位置が利用されやすくなるように閾値Xを大きくする。なお、実際には、マップマッチング部124は、ナビゲーション装置100で使用している地図データのバージョンを参照して閾値Xを変更することができる。これにより、例えば、使用する地図データが新バージョンに更新されたときなどに、それに応じて閾値Xを適切に変更することができる。
さらに、立体駐車場の場合には、地図データ中に立体駐車場の属性データとして、自立センサの推定誤差と相関を有する属性情報を含めておき、その属性情報を用いて閾値Xを補正することが好ましい。ここで、属性情報は、例えば自立センサに誤差が発生するレベルとすることができる。即ち、ある駐車場は大きな誤差が発生するので誤差発生レベルが最大のレベル3、別の駐車場はあまり誤差が発生しないのでレベル1、という具合に誤差が発生するレベルを予め記憶しておくことができる。他の例では、立体駐車場の階数を属性情報とすることもできる。即ち、立体駐車場の階数が大きいほど、例えば駐車場の形状による誤差要因(道路がロール方向に傾いているなど)があるため、自立センサの誤差が見積もりよりも大きくなるので、閾値Xを小さくしてGPSの現在位置が利用されやすくなるようにする。
次に、自立センサの推定誤差について詳しく説明する。自立センサの推定誤差としては、具体的には、方位誤差(角度[deg])と距離誤差(距離[m])のいずれか一方、又は、両方を利用することができる。なお、オフロードエリアが立体駐車場などである場合には、車両のオフロードエリアの走行は旋回動作が多くなり、距離誤差よりも方位誤差が大きくなる傾向がある。一方、オフロードエリアが比較的広いエリアである場合には距離誤差が大きくなる場合もある。よって、オフロードエリアの種類に応じていずれか一方を使用するか、両方を使用するかを決定することとしてもよい。
次に、マップマッチング再開処理の他の例について説明する。図6に、本例のマップマッチング再開処理のフローチャートを示す。
本例のマップマッチング再開処理は、基本的に図4に示すマップマッチング処理と同様であるが、マップマッチング再開条件が具備されない場合であってもGPS測位が可能であり、かつ、自立センサの推定誤差があまりにも大きい場合には、強制的にGPSの現在位置を用いてマップマッチングを実行する点が異なる。
図6において、ステップS20〜S23及びS27は図4のステップS10〜S13及びS14とそれぞれ同様であるので説明を省略する。ステップS21において、マップマッチング再開条件が具備されていないと判定された場合(ステップS21;No)、マップマッチング部124はGPS測位が可能な状態か否かを判定する(ステップS25)。GPS測位が不可能な場合、処理はステップS21へ戻る。一方、GPS測位が可能な場合、マップマッチング部124は、自立センサの推定誤差が、ステップS22で使用される閾値Xよりも大きい閾値Yより大きいか否かを判定する(ステップS26)。ここで、閾値Yは、自立センサの推定誤差の許容最大値に相当する。よって、自立センサの推定誤差が閾値Yより大きい場合(ステップS26;Yes)、マップマッチング部124は強制的にGPSの現在位置を利用してマップマッチングを実行する(ステップS27)。
また、ステップS22において、自立センサの推定誤差が閾値Xより大きいと判断された場合、マップマッチング部124はGPS測位が可能な状態か否かを判定する(ステップS24)。そして、GPS測位が可能になると(ステップS24;Yes)、マップマッチング部124は強制的にGPSの現在位置を利用してマップマッチングを実行する(ステップS27)。
このように、本例では、自立センサの推定誤差があまりにも大きいと判断される場合には、強制的にGPSによる現在位置からマップマッチングを実行する。これにより、誤差の大きい自立センサの現在位置を用いて精度の低いマップマッチングを行うことを回避する。
なお、図6のフローチャートにおいては、GPS測位が可能になるまでステップS24が繰り返されることとしているが、所定時間経過後にGPS測位が可能とならない場合には、強制的にステップS23へ進み、自立センサによる推定位置を用いてマップマッチングを行うこととしてもよい。
[変形例]
上記の例では、絶対位置取得部としてGPSを利用しているが、例えばVICSなど、地理上の絶対位置を車両に提供することが可能な路車間通信システムが存在する場合には、そのシステムから得られる絶対位置情報を利用することとしてもよい。例えば、立体駐車場などのオフロードエリアから車両が道路へ復帰した位置の近傍にVICSのビーコンなどが存在する場合には、マップマッチング部124は、GPSの現在位置の代わりにビーコンから取得した絶対位置情報を利用してマップマッチングを実行することとしてもよい。
また、上記の実施例では、オフロードエリアの例として特に立体駐車場を挙げて説明しているが、本発明の適用はこれには限られない。例えば、GPS電波が受信できない森林エリアなどにおいても本発明は同様に効果を発揮する。
なお、車両がオフロードではなく通常の道路上を走行しているときであっても、ナビゲーション装置は常に自立センサの誤差を推定しており、その累積誤差が所定の基準値を超えた場合には、GPSの現在位置を利用して自立センサの補正を行う。よって、本発明によれば、このような自立センサの補正が行われずにある程度誤差が累積した状態で、さらにオフロードエリアの走行がなされた場合には、オフロードエリアの走行開始までに既に累積していた誤差と、オフロードエリアの走行時に発生した誤差の両方を、オフロードエリアの走行からの復帰時のマップマッチングにより同時に補正できることとなる。
また、上記の説明では、絶対位置取得部としてGPS又は路車間通信システムのいずれかを使用する場合を例示しているが、オフロードエリアの走行からの復帰時にGPSと路車間通信システムの両方から絶対位置情報を取得できる場合も考えられる。このような場合には、一般的により高精度である路車間通信システムからの絶対位置情報を優先してマップマッチング処理に使用することとしてもよい。
本発明は、車両などに代表される移動体のナビゲーション装置に利用することができる。
本発明は、ナビゲーション装置に関する。
車両の現在位置を測定し、その現在位置を含む周辺地域の地図を表示するナビゲーション装置が知られている。ナビゲーション装置において、車両の現在位置を測定する方法としては、いわゆる自立航法と、GPSを用いたGPS航法とが知られている。自立航法は、主に車両に設けられたセンサを用いて速度や方位などの各種パラメータを取得し、それらの情報を用いて車両の現在位置を測定する。一方、GPS航法は、複数の人工衛星から送信される測位データを受信し、受信したデータを元に車両の現在位置を演算する。これら2つの航法はいずれも長所及び短所があるので、一般的には、各々の測定データを利用するいわゆるハイブリッド航法が利用されている。
また、マップマッチング機能を有するナビゲーション装置が知られている。マップマッチング処理とは、車両の現在位置が隣接する道路から外れた場合に、車両の現在位置を強制的に道路上に移動する処理を言う。マップマッチング処理の一例が特許文献1に記載されている。
車両が駐車場など、道路が存在しない場所(以下、「オフロードエリア」と呼ぶ。)に進入した場合には、ナビゲーション装置はマップマッチング処理を一時的に停止する。そして、車両がオフロードエリアから道路上に復帰すると、ナビゲーション装置はマップマッチング処理を再開する。即ち、車両がオフロードエリアから道路上へ復帰したことを検出すると、ナビゲーション装置は、そのときの車両の現在位置を利用してマップマッチング処理を行い、車両の現在位置を道路上に移動する。なお、車両がオフロードエリアから通常の道路に復帰したことを検出する手法が、特許文献2に記載されている。
しかし、車両が例えば立体駐車場などのオフロードエリアをある程度の距離を走行すると、自立航法に用いられるセンサ(以下、「自立センサ」と呼ぶ。)により得られる方位や距離に誤差が蓄積される。よって、その後車両が立体駐車場から出たときに、その時の自立航法による車両の現在位置を利用してマップマッチング処理を実行すると、車両の現在位置が実際の位置から大きくずれた位置に移動されてしまうという問題が生じる。
また、ナビゲーション装置が目的地までの経路案内を行っている状態で、上記のような誤った位置へのマップマッチング処理が実行されると、実際は車両が正しい経路を走行しているにも拘わらず、ナビゲーション装置は車両が案内経路から外れて走行していると認識し、オートリルートを行ってしまうという問題も発生する。なお、オートリルートとは、経路案内中に車両が案内経路をはずれて走行した場合に、自動的にその位置から目的地までの経路を計算し、案内経路を設定し直す動作をいう。
特開平7−311048号公報
特開2002−333334号公報
本発明が解決しようとする課題としては、上記のようなものが例として挙げられる。本発明は、オフロードエリアからの復帰時に正確なマップマッチングを行うことが可能なナビゲーション装置を提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、ナビゲーション装置であって、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段と、前記車両の相対位置を測定する相対位置測定手段と、前記相対位置測定手段の推定誤差を決定する誤差推定手段と、前記絶対位置及び前記相対位置に基づいて、前記車両の現在位置を測定する現在位置測定手段と、前記現在位置が道路上の位置から外れたときに、当該現在位置を隣接する道路上に移動するマップマッチング処理を実行するマップマッチング手段と、を備え、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアに進入するときに前記マップマッチング処理を停止するとともに、前記車両がオフロードエリアから復帰するときに前記マップマッチング処理を再開し、所定のデータに応じて異なる閾値を設定し、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアから復帰するときの前記推定誤差が前記閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記推定誤差が前記閾値以下の場合には前記相対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、ナビゲーション装置であって、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段と、前記車両の相対位置を測定する相対位置測定手段と、前記相対位置測定手段の推定誤差を決定する誤差推定手段と、前記絶対位置及び前記相対位置に基づいて、前記車両の現在位置を測定する現在位置測定手段と、前記現在位置が道路上の位置から外れたときに、当該現在位置を隣接する道路上に移動するマップマッチング処理を実行するマップマッチング手段と、前記絶対位置取得手段が前記絶対位置を取得できる状態か否かを判定する判定手段と、を備え、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアに進入するときに前記マップマッチング処理を停止するとともに、前記車両がオフロードエリアから復帰するときに前記マップマッチング処理を再開し、前記車両がオフロードエリアから復帰するときの前記推定誤差が第1閾値より大きい場合には前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記推定誤差が前記第1の閾値以下の場合には前記相対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記車両がオフロードエリアから復帰する前であっても、前記絶対位置取得手段が前記絶対位置を取得でき、かつ、前記推定誤差が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段、及び、前記車両の相対位置を測定する相対位置測定手段を備えるナビゲーション装置において実行されるマップマッチング方法であって、前記相対位置測定手段の推定誤差を決定する誤差推定工程と、前記絶対位置及び前記相対位置に基づいて、前記車両の現在位置を測定する現在位置測定工程と、前記現在位置が道路上の位置から外れたときに、当該現在位置を隣接する道路上に移動するマップマッチング処理を実行するマップマッチング工程と、を備え、前記マップマッチング工程は、前記車両がオフロードエリアに進入するときに前記マップマッチング処理を停止するとともに、前記車両がオフロードエリアから復帰するときに前記マップマッチング処理を再開し、所定のデータに応じて異なる閾値を設定し、前記マップマッチング工程は、前記車両がオフロードエリアから復帰するときの前記推定誤差が前記閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記推定誤差が前記閾値以下の場合には前記相対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段、及び、前記車両の相対位置を測定する相対位置測定手段を備えるナビゲーション装置において実行されるマップマッチング方法であって、前記相対位置測定手段の推定誤差を決定する誤差推定工程と、前記絶対位置及び前記相対位置に基づいて、前記車両の現在位置を測定する現在位置測定工程と、前記現在位置が道路上の位置から外れたときに、当該現在位置を隣接する道路上に移動するマップマッチング処理を実行するマップマッチング工程と、前記絶対位置取得手段が前記絶対位置を取得できる状態か否かを判定する判定工程と、を備え、前記マップマッチング工程は、前記車両がオフロードエリアに進入するときに前記マップマッチング処理を停止するとともに、前記車両がオフロードエリアから復帰するときに前記マップマッチング処理を再開し、前記車両がオフロードエリアから復帰するときの前記推定誤差が第1閾値より大きい場合には前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記推定誤差が前記第1の閾値以下の場合には前記相対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記車両がオフロードエリアから復帰する前であっても、前記絶対位置取得手段が前記絶対位置を取得でき、かつ、前記推定誤差が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段、前記車両の相対位置を測定する相対位置測定手段、及び、コンピュータを備えるナビゲーション装置において実行されるマップマッチングプログラムであって、前記相対位置測定手段の推定誤差を決定する誤差推定手段、前記絶対位置及び前記相対位置に基づいて、前記車両の現在位置を測定する現在位置測定手段、及び、前記現在位置が道路上の位置から外れたときに、当該現在位置を隣接する道路上に移動するマップマッチング処理を実行するマップマッチング手段、として前記コンピュータを機能させ、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアに進入するときに前記マップマッチング処理を停止するとともに、前記車両がオフロードエリアから復帰するときに前記マップマッチング処理を再開し、所定のデータに応じて異なる閾値を設定し、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアから復帰するときの前記推定誤差が前記閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記推定誤差が前記閾値以下の場合には前記相対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段、前記車両の相対位置を測定する相対位置測定手段、及び、コンピュータを備えるナビゲーション装置において実行されるマップマッチングプログラムであって、前記相対位置測定手段の推定誤差を決定する誤差推定手段、前記絶対位置及び前記相対位置に基づいて、前記車両の現在位置を測定する現在位置測定手段、及び、前記現在位置が道路上の位置から外れたときに、当該現在位置を隣接する道路上に移動するマップマッチング処理を実行するマップマッチング手段、前記絶対位置取得手段が前記絶対位置を取得できる状態か否かを判定する判定手段、として前記コンピュータを機能させ、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアに進入するときに前記マップマッチング処理を停止するとともに、前記車両がオフロードエリアから復帰するときに前記マップマッチング処理を再開し、前記車両がオフロードエリアから復帰するときの前記推定誤差が第1閾値より大きい場合には前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記推定誤差が前記第1の閾値以下の場合には前記相対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記車両がオフロードエリアから復帰する前であっても、前記絶対位置取得手段が前記絶対位置を取得でき、かつ、前記推定誤差が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行することを特徴とする。
実施例に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
車両が立体駐車場を出入りしたときの現在位置の軌跡を示す。
マップマッチングに関連する構成を示す。
マップマッチング処理のフローチャートである。
自立センサの推定誤差との比較に用いる閾値のテーブルを示す。
マップマッチング処理の他のフローチャートである。
10 自立測位装置
18 GPS受信機
20 システムコントローラ
22 CPU
36 データ記憶ユニット
40 表示ユニット
60 入力装置
123 自立センサ誤差推定部
124 マップマッチング部
本発明の好適な実施形態では、ナビゲーション装置は、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段と、前記車両の相対位置を測定する相対位置測定手段と、前記相対位置測定手段の推定誤差を決定する誤差推定手段と、前記絶対位置及び前記相対位置に基づいて、前記車両の現在位置を測定する現在位置測定手段と、前記現在位置が道路上の位置から外れたときに、当該現在位置を隣接する道路上に移動するマップマッチング処理を実行するマップマッチング手段と、を備え、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアに進入するときに前記マップマッチング処理を停止するとともに、前記車両がオフロードエリアから復帰するときに前記マップマッチング処理を再開し、所定のデータに応じて異なる閾値を設定し、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアから復帰するときの前記推定誤差が前記閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記推定誤差が前記閾値以下の場合には前記相対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行する。
上記のナビゲーション装置は、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段と、相対位置を測定する相対位置測定手段とを備える。絶対位置取得手段は例えばGPS、VICSなどの路車間通信システムを含む。相対位置測定手段はジャイロセンサなどの自立センサを含む。また、自立センサなどの相対位置の推定誤差を決定する手段が設けられる。絶対位置と相対位置に基づいて車両の現在位置が測定され、その現在位置が道路上から外れたときに、現在位置を道路上に移動させるマップマッチング手段が設けられる。
車両が道路上からオフロードエリアに移動したときにはマップマッチング処理は一時停止され、車両がオフロードエリアから道路上に復帰したときには、マップマッチング処理が再開される。ここで、所定のデータに応じて異なる閾値を設定し、車両がオフロードエリアから復帰する際には、その時点における相対位置測定手段の推定誤差を閾値と比較し、推定誤差が閾値より大きい場合には絶対位置を利用してマップマッチングを行う。また、推定誤差が閾値以下である場合には相対位置を利用してマップマッチングを行う。これにより、車両がオフロードエリアから復帰した時点において、自立センサなどによる相対位置と、GPSなどによる絶対位置のうち、精度の高い方を利用して、高精度のマップマッチングを行うことができる。
上記のナビゲーション装置の一態様では、前記マップマッチング手段は、前記現在位置が属する地域に応じて、異なる前記閾値を設定する。GPSの測位精度は地域や周辺環境によって変動する。よって、自立センサの推定誤差の比較対象となる閾値を地域ごとに変更することにより、いずれの地域においても高精度なマップマッチングを行うことができる。
上記のナビゲーション装置の他の一態様は、地図データを記憶する地図データ記憶部を備え、前記マップマッチング手段は、前記地図データに応じて異なる前記閾値を設定する。ナビゲーション装置が使用する地図データは、同一のエリアのものであっても、道路位置などの精度が異なる場合があり、地図データの精度が低いと、相対位置測定手段の誤差の影響をより受けやすくなる。よって、地図データ毎に閾値を変更することにより、地図データの精度のばらつきがマップマッチングの精度低下に与える影響を低減することができる。
上記のナビゲーション装置の他の一態様は、地図データを記憶する地図データ記憶部を備え、前記地図データは、駐車場について、前記推定誤差と相関を有する駐車場属性情報を含み、前記マップマッチング手段は、前記駐車場属性情報に応じて異なる前記閾値を設定する。立体駐車場の場合には、その構造により自立センサなどの相対位置の誤差が発生しやすいか否かがある程度推定できる。よって、地図データに含まれる駐車場のデータについて、相対位置の推定誤差と相関を有する属性情報、例えば誤差が発生するレベルや駐車場の階数などを記憶しておく。マップマッチング手段は、この属性情報を参照し、閾値を補正してマップマッチングを行うことにより、より高精度のマップマッチングが可能となる。
本発明の他の実施形態では、ナビゲーション装置は、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段と、前記車両の相対位置を測定する相対位置測定手段と、前記相対位置測定手段の推定誤差を決定する誤差推定手段と、前記絶対位置及び前記相対位置に基づいて、前記車両の現在位置を測定する現在位置測定手段と、前記現在位置が道路上の位置から外れたときに、当該現在位置を隣接する道路上に移動するマップマッチング処理を実行するマップマッチング手段と、前記絶対位置取得手段が前記絶対位置を取得できる状態か否かを判定する判定手段と、を備え、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアに進入するときに前記マップマッチング処理を停止するとともに、前記車両がオフロードエリアから復帰するときに前記マップマッチング処理を再開し、前記車両がオフロードエリアから復帰するときの前記推定誤差が第1閾値より大きい場合には前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記推定誤差が前記第1の閾値以下の場合には前記相対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記車両がオフロードエリアから復帰する前であっても、前記絶対位置取得手段が前記絶対位置を取得でき、かつ、前記推定誤差が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行する。
このナビゲーション装置は、車両がオフロードエリアから復帰する前であっても、相対位置の推定精度があまりにも大きくなった場合には、強制的にGPSなどの絶対位置を利用してマップマッチングを行う。これにより、精度の低い相対位置に基づいてマップマッチングが行われることを確実に防止することができる。
本発明の他の実施形態では、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段、及び、前記車両の相対位置を測定する相対位置測定手段を備えるナビゲーション装置において実行されるマップマッチング方法は、前記相対位置測定手段の推定誤差を決定する誤差推定工程と、前記絶対位置及び前記相対位置に基づいて、前記車両の現在位置を測定する現在位置測定工程と、前記現在位置が道路上の位置から外れたときに、当該現在位置を隣接する道路上に移動するマップマッチング処理を実行するマップマッチング工程と、を備え、前記マップマッチング工程は、前記車両がオフロードエリアに進入するときに前記マップマッチング処理を停止するとともに、前記車両がオフロードエリアから復帰するときに前記マップマッチング処理を再開し、所定のデータに応じて異なる閾値を設定し、前記マップマッチング工程は、前記車両がオフロードエリアから復帰するときの前記推定誤差が前記閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記推定誤差が前記閾値以下の場合には前記相対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行する。
この方法を、ナビゲーション装置において実行することにより、車両がオフロードエリアから復帰した時点において、自立センサなどによる相対位置とGPSなどによる絶対位置のうち精度の高い方を利用して高精度のマップマッチングを行うことができる。
本発明の他の実施形態では、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段、及び、前記車両の相対位置を測定する相対位置測定手段を備えるナビゲーション装置において実行されるマップマッチング方法は、前記相対位置測定手段の推定誤差を決定する誤差推定工程と、前記絶対位置及び前記相対位置に基づいて、前記車両の現在位置を測定する現在位置測定工程と、前記現在位置が道路上の位置から外れたときに、当該現在位置を隣接する道路上に移動するマップマッチング処理を実行するマップマッチング工程と、前記絶対位置取得手段が前記絶対位置を取得できる状態か否かを判定する判定工程と、を備え、前記マップマッチング工程は、前記車両がオフロードエリアに進入するときに前記マップマッチング処理を停止するとともに、前記車両がオフロードエリアから復帰するときに前記マップマッチング処理を再開し、前記車両がオフロードエリアから復帰するときの前記推定誤差が第1閾値より大きい場合には前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記推定誤差が前記第1の閾値以下の場合には前記相対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記車両がオフロードエリアから復帰する前であっても、前記絶対位置取得手段が前記絶対位置を取得でき、かつ、前記推定誤差が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行する。
この方法を、ナビゲーション装置において実行することにより、車両がオフロードエリアから復帰する前であっても、相対位置の推定精度があまりにも大きくなった場合には、強制的にGPSなどの絶対位置を利用してマップマッチングを行うことができ、精度の低い相対位置に基づいてマップマッチングが行われることを確実に防止することができる。
本発明の他の実施形態では、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段、前記車両の相対位置を測定する相対位置測定手段、及び、コンピュータを備えるナビゲーション装置において実行されるマップマッチングプログラムは、前記相対位置測定手段の推定誤差を決定する誤差推定手段、前記絶対位置及び前記相対位置に基づいて、前記車両の現在位置を測定する現在位置測定手段、及び、前記現在位置が道路上の位置から外れたときに、当該現在位置を隣接する道路上に移動するマップマッチング処理を実行するマップマッチング手段、として前記コンピュータを機能させ、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアに進入するときに前記マップマッチング処理を停止するとともに、前記車両がオフロードエリアから復帰するときに前記マップマッチング処理を再開し、所定のデータに応じて異なる閾値を設定し、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアから復帰するときの前記推定誤差が前記閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記推定誤差が前記閾値以下の場合には前記相対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行する。このプログラムをナビゲーション装置のコンピュータ上で実行することにより、車両がオフロードエリアから復帰した時点において、自立センサなどによる相対位置とGPSなどによる絶対位置のうち精度の高い方を利用して高精度のマップマッチングを行うことができる。
本発明の他の実施形態では、車両の絶対位置を取得する絶対位置取得手段、前記車両の相対位置を測定する相対位置測定手段、及び、コンピュータを備えるナビゲーション装置において実行されるマップマッチングプログラムは、前記相対位置測定手段の推定誤差を決定する誤差推定手段、前記絶対位置及び前記相対位置に基づいて、前記車両の現在位置を測定する現在位置測定手段、及び、前記現在位置が道路上の位置から外れたときに、当該現在位置を隣接する道路上に移動するマップマッチング処理を実行するマップマッチング手段、前記絶対位置取得手段が前記絶対位置を取得できる状態か否かを判定する判定手段、として前記コンピュータを機能させ、前記マップマッチング手段は、前記車両がオフロードエリアに進入するときに前記マップマッチング処理を停止するとともに、前記車両がオフロードエリアから復帰するときに前記マップマッチング処理を再開し、前記車両がオフロードエリアから復帰するときの前記推定誤差が第1閾値より大きい場合には前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記推定誤差が前記第1の閾値以下の場合には前記相対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行し、前記車両がオフロードエリアから復帰する前であっても、前記絶対位置取得手段が前記絶対位置を取得でき、かつ、前記推定誤差が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値より大きい場合には、前記絶対位置を利用して前記マップマッチング処理を実行する。このプログラムをナビゲーション装置のコンピュータ上で実行することにより、車両がオフロードエリアから復帰する前であっても、相対位置の推定精度があまりにも大きくなった場合には、強制的にGPSなどの絶対位置を利用してマップマッチングを行うことができ、精度の低い相対位置に基づいてマップマッチングが行われることを確実に防止することができる。
なお、これらのプログラムは、記憶媒体に記憶した状態で利用することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。なお、以下の説明は、本発明を車両に搭載されるナビゲーション装置に適用した例を示す。
[ナビゲーション装置]
図1に、本発明の実施例に係るナビゲーション装置100の構成を示す。図1に示すように、ナビゲーション装置100は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60を備える。
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU22、ROM23及びRAM24を含んでおり、ナビゲーション装置100全体の制御を行う。
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図データや施設データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶する。
通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、通信用インタフェース37を介して、VICS(Vehicle Information Communication System)センタから配信される渋滞や交通情報などの道路交通情報、その他の情報を受信する。
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データを、ディスプレイなどの表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD−ROMドライブ31又はDVD−ROM32、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
なお、CPU22は、予めROM23などに記憶されたプログラムを実行することにより、誤差推定手段、現在位置測定手段、マップマッチング手段及び判定手段として機能する。加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13は自立センサであり、相対位置測定手段として機能する。GPS受信機18は絶対位置取得手段として機能する。
[自立センサの誤差]
次に、オフロードエリアの走行による自立センサの誤差について説明する。通常、ナビゲーション装置は、自立センサによる車両の現在位置と、GPSによる車両の現在位置とを検出している。車両が走行すると、基本的に自立センサには誤差が発生する。ここでの誤差は、方位誤差及び距離誤差を含む。誤差が発生する原因は様々であるが、車両が走行した距離や旋回量から、誤差の量をある程度推定することができる。例えば、車両が旋回すると、その旋回量に対してx%の方位誤差が発生するとか、車両が所定距離走行すると、その走行距離に対してy%の距離誤差が発生する、ということが自立センサのスペック上既知となっている場合が多い。よって、ナビゲーション装置は、車両の走行中に自立センサの誤差を常に推定し累積しており、累積誤差が所定基準量を超えると、GPSによる現在位置を利用して自立センサの補正を行う。
一方、ナビゲーション装置はマップマッチング機能を有し、車両の現在位置が道路上から大きく外れたときには、車両の現在位置を道路上の位置に強制的に移動する。但し、車両が駐車場などのオフロードを走行する場合、ナビゲーション装置は、車両がオフロードエリアの走行を開始したときに一時的にマップマッチング処理を停止し、車両がオフロードエリアの走行を終了したときにマップマッチング処理を再開する。マップマッチング処理を再開するとき、ナビゲーション装置は基本的に自立センサによる車両の現在位置を利用して、マップマッチング処理を実行する。
従って、車両が立体駐車場などのGPS受信が不可能なオフロードエリアを走行した後にマップマッチング処理を実行すると、自車位置が誤った道路上に移動されることがある。詳しく説明すると、車両が立体駐車場などのGPS受信が不可能なオフロードエリアを走行すると、GPSデータを用いて自立センサを補正することができないため、車両が立体駐車場から道路上に出たときには自立センサは大きな累積誤差を含む状態となっている。この状態では、ナビゲーション装置は、自立センサによる車両の現在位置を利用してマップマッチングを実行するため、車両の現在位置は誤った道路上に移動される可能性が高くなる。
この様子を、図2を参照して説明する。図2(A)は、車両が立体駐車場に入った後、さらに駐車場を出て走行した場合の車両の実際の走行軌跡であり、図2(B)はGPSによる現在位置の軌跡、図2(C)は自立センサによる現在位置の軌跡である。
図2(A)に示すように、車両は実際に軌跡119に従って走行し、立体駐車場110内を複数回周回した後、道路に戻っている。図2(A)における現在位置117は実際の車両の位置を正しく示している。
図2(B)はGPSによる現在位置の軌跡である。立体駐車場110内ではGPS電波を受信することができないためGPSによる現在位置は不安定、もしくは測定不能であるが、その後車両が立体駐車場110を出ると、GPS電波の受信が可能となり、現在位置はほぼ道路に沿って移動している。よって、マーク116の位置でナビゲーション装置がマップマッチング処理を実行すると、現在位置117は正しい位置に移動されている。
図2(C)は自立センサによる現在位置の軌跡である。立体駐車場内ではGPS電波を受信することができず、自立センサの累積誤差が大きくなった状態で車両が道路に復帰する。よって、現在位置は道路を大きく外れていく。ナビゲーション装置はマーク112の位置でマップマッチングを実行し、その結果、現在位置はマーク113の位置に移動されている。これは、図2(A)においてマーク117で示す正しい位置と大きくずれている。
このように、立体駐車場など、GPS電波が受信できないオフロードエリアを車両が走行した後は、自立センサは比較的大きな累積誤差を含むため、オフロードエリアからの復帰後に自立センサによる現在位置を利用してマップマッチング処理を行うと、誤った位置に現在位置を移動させてしまう可能性がある。そこで、本発明では、オフロードエリアから復帰する際のマップマッチング処理においては、自立センサの誤差が小さい場合には自立センサによる現在位置を利用し、自立センサの誤差が大きい場合にはGPSによる現在位置を利用することとする。
[マップマッチング処理]
図3に、本発明のマップマッチング処理に関連する機能構成を示す。絶対位置取得部として機能するGPS受信機18は、GPSによる現在位置を示す現在位置データ131をマップマッチング部124へ供給する。また、相対位置測定部として機能する自立測位装置10は、自立センサによる現在位置を示す現在位置データ132をマップマッチング部124へ供給する。
自立センサ誤差推定部123は、自立センサに発生する誤差を推定し、推定誤差データ133をマップマッチング部124へ供給する。自立センサ誤差推定部123は、例えば前述のように、車両の走行距離や旋回量に基づいて、距離誤差や方位誤差を算出する。
マップマッチング部124は、図1に示すCPU22が予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。車両がオフロードから復帰する時のマップマッチング処理において、マップマッチング部124は、まず、自立センサ誤差推定部123から供給される推定誤差データ133に基づいて、推定誤差を予め用意した閾値Xと比較する。そして、推定誤差が閾値Xより大きい場合には、マップマッチング部124は、自立センサの累積誤差が大きいと判断し、GPSによる現在位置を利用してマップマッチング処理を実行する。一方、推定誤差が閾値X以下の場合には、マップマッチング部124は、自立センサの累積誤差が小さいと判断し、自立センサによる現在位置を利用してマップマッチング処理を実行する。これにより、マップマッチング部124は、自立センサの累積誤差が大きい場合に、誤ったマップマッチングを行うことを防止することができる。
図4は、車両がオフロードエリアから復帰するときのマップマッチング再開処理のフローチャートである。なお、車両がオフロードエリアの走行を開始したときには、ナビゲーション装置100はそれを検出し、マップマッチング処理を一時的に停止する。図4に示すマップマッチング再開処理は、そのようにマップマッチング処理が一時的に停止されている状態で実行されることになる。
まず、マップマッチング部124は、車両が引き続きオフロードエリアの走行中であるか否かを判定する(ステップS10)。この判定は、例えば車両の現在位置が道路から所定距離以上離れているか否かにより行うことができる。オフロードエリアの走行中でない場合、処理は終了する。オフロードエリアの走行中である場合、マップマッチング部124は、所定のマップマッチング再開条件が具備されたか否かを判定する(ステップS11)。ここで、マップマッチング再開条件は、車両が立体駐車場などのオフロードエリアから道路上に復帰したと判定する条件である。一例では、車両が所定距離以上直進したことを検出した場合に、マップマッチング部124は、車両がオフロードエリアから復帰したと判定することができる。他の例では、立体駐車場の出入り口の位置情報が地図データ中に含まれている場合には、車両が立体駐車場の出口を通過したことを検出した場合に、マップマッチング部124は、車両がオフロードエリアから道路上に復帰したと判定することができる。
こうして、車両がオフロードエリアから道路上に復帰し、マップマッチング再開条件が成立すると(ステップS11;Yes)、マップマッチング部124は、自立センサ誤差推定部123から得た自立センサの推定誤差が、閾値Xより大きいか否かを判定する(ステップS12)。推定誤差が閾値X以下の場合(ステップS12;No)、マップマッチング部124は、自立センサによる現在位置を用いてマップマッチングを行う(ステップS13)。即ち、マップマッチング部124は、自立センサによる現在位置から最も近い道路上に車両の現在位置を移動する。一方、推定誤差が閾値Xより大きい場合(ステップS12;Yes)、マップマッチング部124はGPSの現在位置を用いてマップマッチングを行う(ステップS14)。即ち、マップマッチング部124は、GPSの現在位置に最も近い道路上に車両の現在位置を移動する。こうしてマップマッチング再開処理は終了する。
このように、本発明では、オフロードエリアから復帰する際のマップマッチング処理において、自立センサの誤差が小さい場合には自立センサによる現在位置を利用し、自立センサの誤差が大きい場合にはGPSによる現在位置を利用する。よって、車両がオフロードエリアを走行している間に自立センサの誤差が蓄積してしまっている場合でも、オフロードエリアからの復帰後のマップマッチング処理を高精度で行うことができる。
また、これにより、ナビゲーション装置が目的地までの経路案内を行っている状態においても、誤った位置へのマップマッチング処理により誤ったオートリルートが実行されてしまうという問題を防止することができる。
次に、自立センサの推定誤差と比較される閾値Xについて詳しく説明する。本発明では、オフロードエリアからの復帰時のマップマッチング処理において、自立センサによる現在位置と、GPSによる現在位置のうち、精度が高い方を利用してマップマッチングを行うことを特徴とする。この点、GPS電波が正しく受信されている状態におけるGPSの測位誤差は既知である。従って、ステップS12で使用される閾値Xは、GPSの測位誤差に相当する値に設定することが好ましい。即ち、自立センサの推定誤差がGPSの測位誤差よりも大きいと判断される場合にGPSの現在位置を用いてマップマッチングを行い、自立センサの推定誤差がGPSの測位誤差以下であると判断される場合に自立センサによる現在位置を用いてマップマッチングを行うことが好ましい。
この観点から、閾値XはGPSの測位精度に応じて変更することが望ましい。GPSの測位精度は地域によって変動することが知られている。例えば、一般的に都心部ではマルチパスなどの影響でGPSの測位精度が低いが、郊外ではGPSの測位精度が比較的高いことが知られている。また、実際の地域毎に電波状況などは異なるため、個々の地域ごとにGPSの測位精度は異なる。
よって、地域毎にGPSの測位精度に応じて閾値Xを変更することにより、GPSの測位精度の変動を吸収することができる。具体的には、マップマッチング部124は、図5に例示するような地域ごとの閾値テーブルを記憶しておき、現在位置が属する地域に応じてステップS12で使用する閾値Xを変更すればよい。この場合、図5のテーブルにおいては、GPS測位精度が高い地域ほどGPSによる現在位置が使用されやすいように、即ち、閾値Xが小さくなるように設定されることになる。
また、GPS受信機には、受信状態に応じて誤差指数を示す値を出力する機能を有するものがある。よって、そのような誤差指数としては、例えばPDOP(Position Dilution of Precision)が知られており、測位精度が良い場合はPDOPの値は3程度の小さい値となり、7以上の場合は測位精度が良くないと言われている。よって、PDOPなどの測位精度を示す指数に応じて閾値Xを変更してもよい。具体的な例では、PDOPが3未満である場合はGPSの測位精度が良いので、GPSによる現在位置が利用されやすくなるように閾値Xを小さくすることとしてもよい。
また、ナビゲーション装置100で使用する地図データ毎に閾値Xを変更してもよい。地図データは、バージョンその他によって、地図データ自体の精度、特に道路データの位置精度が異なっていることがある。よって、地図データ自体の精度が低いときほど自立センサの推定誤差がマップマッチング精度に与える悪影響が大きくなるので、GPSによる現在位置が利用されやすくなるように閾値Xを小さくする。地図データ自体の精度が高い場合は、自立センサの現在位置が利用されやすくなるように閾値Xを大きくする。なお、実際には、マップマッチング部124は、ナビゲーション装置100で使用している地図データのバージョンを参照して閾値Xを変更することができる。これにより、例えば、使用する地図データが新バージョンに更新されたときなどに、それに応じて閾値Xを適切に変更することができる。
さらに、立体駐車場の場合には、地図データ中に立体駐車場の属性データとして、自立センサの推定誤差と相関を有する属性情報を含めておき、その属性情報を用いて閾値Xを補正することが好ましい。ここで、属性情報は、例えば自立センサに誤差が発生するレベルとすることができる。即ち、ある駐車場は大きな誤差が発生するので誤差発生レベルが最大のレベル3、別の駐車場はあまり誤差が発生しないのでレベル1、という具合に誤差が発生するレベルを予め記憶しておくことができる。他の例では、立体駐車場の階数を属性情報とすることもできる。即ち、立体駐車場の階数が大きいほど、例えば駐車場の形状による誤差要因(道路がロール方向に傾いているなど)があるため、自立センサの誤差が見積もりよりも大きくなるので、閾値Xを小さくしてGPSの現在位置が利用されやすくなるようにする。
次に、自立センサの推定誤差について詳しく説明する。自立センサの推定誤差としては、具体的には、方位誤差(角度[deg])と距離誤差(距離[m])のいずれか一方、又は、両方を利用することができる。なお、オフロードエリアが立体駐車場などである場合には、車両のオフロードエリアの走行は旋回動作が多くなり、距離誤差よりも方位誤差が大きくなる傾向がある。一方、オフロードエリアが比較的広いエリアである場合には距離誤差が大きくなる場合もある。よって、オフロードエリアの種類に応じていずれか一方を使用するか、両方を使用するかを決定することとしてもよい。
次に、マップマッチング再開処理の他の例について説明する。図6に、本例のマップマッチング再開処理のフローチャートを示す。
本例のマップマッチング再開処理は、基本的に図4に示すマップマッチング処理と同様であるが、マップマッチング再開条件が具備されない場合であってもGPS測位が可能であり、かつ、自立センサの推定誤差があまりにも大きい場合には、強制的にGPSの現在位置を用いてマップマッチングを実行する点が異なる。
図6において、ステップS20〜S23及びS27は図4のステップS10〜S13及びS14とそれぞれ同様であるので説明を省略する。ステップS21において、マップマッチング再開条件が具備されていないと判定された場合(ステップS21;No)、マップマッチング部124はGPS測位が可能な状態か否かを判定する(ステップS25)。GPS測位が不可能な場合、処理はステップS21へ戻る。一方、GPS測位が可能な場合、マップマッチング部124は、自立センサの推定誤差が、ステップS22で使用される閾値Xよりも大きい閾値Yより大きいか否かを判定する(ステップS26)。ここで、閾値Yは、自立センサの推定誤差の許容最大値に相当する。よって、自立センサの推定誤差が閾値Yより大きい場合(ステップS26;Yes)、マップマッチング部124は強制的にGPSの現在位置を利用してマップマッチングを実行する(ステップS27)。
また、ステップS22において、自立センサの推定誤差が閾値Xより大きいと判断された場合、マップマッチング部124はGPS測位が可能な状態か否かを判定する(ステップS24)。そして、GPS測位が可能になると(ステップS24;Yes)、マップマッチング部124は強制的にGPSの現在位置を利用してマップマッチングを実行する(ステップS27)。
このように、本例では、自立センサの推定誤差があまりにも大きいと判断される場合には、強制的にGPSによる現在位置からマップマッチングを実行する。これにより、誤差の大きい自立センサの現在位置を用いて精度の低いマップマッチングを行うことを回避する。
なお、図6のフローチャートにおいては、GPS測位が可能になるまでステップS24が繰り返されることとしているが、所定時間経過後にGPS測位が可能とならない場合には、強制的にステップS23へ進み、自立センサによる推定位置を用いてマップマッチングを行うこととしてもよい。
[変形例]
上記の例では、絶対位置取得部としてGPSを利用しているが、例えばVICSなど、地理上の絶対位置を車両に提供することが可能な路車間通信システムが存在する場合には、そのシステムから得られる絶対位置情報を利用することとしてもよい。例えば、立体駐車場などのオフロードエリアから車両が道路へ復帰した位置の近傍にVICSのビーコンなどが存在する場合には、マップマッチング部124は、GPSの現在位置の代わりにビーコンから取得した絶対位置情報を利用してマップマッチングを実行することとしてもよい。
また、上記の実施例では、オフロードエリアの例として特に立体駐車場を挙げて説明しているが、本発明の適用はこれには限られない。例えば、GPS電波が受信できない森林エリアなどにおいても本発明は同様に効果を発揮する。
なお、車両がオフロードではなく通常の道路上を走行しているときであっても、ナビゲーション装置は常に自立センサの誤差を推定しており、その累積誤差が所定の基準値を超えた場合には、GPSの現在位置を利用して自立センサの補正を行う。よって、本発明によれば、このような自立センサの補正が行われずにある程度誤差が累積した状態で、さらにオフロードエリアの走行がなされた場合には、オフロードエリアの走行開始までに既に累積していた誤差と、オフロードエリアの走行時に発生した誤差の両方を、オフロードエリアの走行からの復帰時のマップマッチングにより同時に補正できることとなる。
また、上記の説明では、絶対位置取得部としてGPS又は路車間通信システムのいずれかを使用する場合を例示しているが、オフロードエリアの走行からの復帰時にGPSと路車間通信システムの両方から絶対位置情報を取得できる場合も考えられる。このような場合には、一般的により高精度である路車間通信システムからの絶対位置情報を優先してマップマッチング処理に使用することとしてもよい。
本発明は、車両などに代表される移動体のナビゲーション装置に利用することができる。