JPWO2008053942A1 - 咽喉用組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、発声改善効果、特に発声障害予防効果を有する咽喉用組成物を提供する。本発明の咽喉用組成物には、黒豆の水溶性固形分を4〜20重量%の割合で含み、粘度が50〜36,000mPa・sである液状咽喉用組成物、ならびに黒豆の水溶性固形分とカリウム含有物を、下式(I)の関係になるような割合で含有する咽喉用組成物が含まれる:[数1]
Description
本発明は、発声改善効果、特に発声障害予防効果を有する咽喉用組成物に関する。
「話す」という行為は、情報や意志、感情などを表現して、他人とのコミュニケーションをはかるだけでなく、耳で自らの声を聞くことで自身の健康のバロメーターともなり得るものである。滑らかな発声が妨げられると、日常生活において不都合が生じるだけでなく、心理面にも作用してストレスの原因ともなる。従って、「発声」、特に「滑らかな発声」を可能とすることは、生活の質(QOL:Quality of Life)向上の観点からも重要と考えられる。
一方、既存の咽喉頭領域における医薬品や機能性食品の効能は、咽喉部の抗菌、抗炎症、鎮咳及び去痰などの主として風邪の罹患時における諸症状の治療や予防を目的としたものであり、発声しやすくする(発声向上)、すなわちQOLという観点からは十分考慮されていないのが実情である。
黒豆の煮汁は、古くから声嗄れの抑制や鎮咳を目的として民間薬として使用されているように、黒豆には喉や声によいという効果があることが知られている(例えば、非特許文献1等参照)。このため、黒豆から抽出したエキスを、そのまま液体あるいはスプレードライ等の常法により粉末化し、それを食品素材として配合した食品が、声嗄れ抑制や鎮咳効果のある食品として提案されている(特許文献1〜2など参照)。
臨床と研究, 75, No.12, 2625 (1998) 特開2005−120061号公報
特開2005−239701号公報
臨床と研究, 75, No.12, 2625 (1998)
本発明は、食経験があって安全性の高い植物由来成分、具体的には黒豆由来成分を有効成分とし、優れた発声改善効果を有する咽喉用組成物を提供することを目的とする。また本発明は、黒豆に由来する苦味を抑制することによって、食品または嗜好品として日常的に経口摂取できるように調製した咽喉用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために日夜鋭意検討していたところ、黒豆を原料とし、当該黒豆の水溶性固形分を4重量%以上の割合で含み、しかも粘度付与剤を用いて粘度が50mPa・s以上となるように調整した液状組成物が、経口摂取した場合の咽喉への付着に優れ、優れた発声改善効果を発揮することを見出した。さらに、当該液状組成物の粘度を50〜36,000mPa・sの範囲に調整し、黒豆の水溶性固形分の割合を20重量%以下に抑えることにより、黒豆特有の苦味が抑制されることを見出し、かかる液状組成物が発声改善を目的として経口摂取するうえで、好適な組成物であることを確認した。本発明の液状咽喉用組成物はかかる知見に基づいて完成したものである。
(I)液状咽喉用組成物
すなわち、本発明は下記(I-1)〜(I-14)に掲げる、液状咽喉用組成物である。
(I-1)黒豆の水溶性固形分を4〜20重量%の割合で含む、粘度50〜36,000mPa・sの液状咽喉用組成物。
すなわち、本発明は下記(I-1)〜(I-14)に掲げる、液状咽喉用組成物である。
(I-1)黒豆の水溶性固形分を4〜20重量%の割合で含む、粘度50〜36,000mPa・sの液状咽喉用組成物。
(I-2)黒豆の溶媒抽出物を有効成分として含む(I-1)記載の液状咽喉用組成物。
(I-3)上記黒豆の溶媒抽出物が、黒豆の溶媒抽出物を酵素処理して得られるものである、(I-2)に記載する液状咽喉用組成物。
(I-4)上記酵素処理が、蛋白質分解活性を有する酵素および糖質分解活性を有する酵素からなる群から選択されるいずれか少なくとも一つの酵素を用いた処理である、(I-3)に記載する液状咽喉用組成物。
(I-5)上記酵素処理が、糖質分解活性を有する酵素を用いた処理である、(I-3)に記載する液状咽喉用組成物。
(I-6)さらに粘度付与剤を含む(I-1)乃至(I-5)のいずれかに記載する液状咽喉用組成物。
(I-7)粘度付与剤が、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、プルラン、キサンタンガム、グァーガム、タラガム、ラムザンガム、マンナン、イヌリンおよびポリデキストロースからなる増粘多糖類、ならびに糖蜜、蜂蜜、果糖ブドウ糖液糖、還元麦芽糖水飴、還元澱粉加水分解物および水飴からなる糖類からなる群から選択される少なくとも1つである(I-6)に記載する液状咽喉用組成物。
(I-8)pH5〜9の範囲にある、(I-1)乃至(I-7)のいずれかに記載する液状咽喉用組成物。
(I-9)黒豆の水溶性固形分を4〜20重量%の割合で含む、粘度50〜36,000mPa・sの液状組成物の、咽喉用組成物としての使用。
(I-10)黒豆の水溶性固形分を4〜20重量%の割合で含む、粘度50〜36,000mPa・sの液状組成物の、咽喉用組成物の調製のための使用。
(I-11)咽喉用組成物が、発声障害予防剤または発声障害改善剤である(I-9)または(I-10)に記載する使用。
(I-12)発声障害予防剤または発声障害改善剤として用いられる、(I-1)乃至(I-8)のいずれかに記載する液状咽喉用組成物。
(I-13) (I-1)乃至(I-8)のいずれかに記載する液状咽喉用組成物を、被験者に経口摂取させることからなる、発声障害予防または改善方法。
(I-14) (I-1)乃至(I-8)のいずれかに記載する液状咽喉用組成物を、発声前または発声途中の被験者に経口摂取させることからなる、発声障害予防方法。
また本発明者らは、黒豆の水溶性固形分が4重量%を満たない場合、または粘度が50mPa・sを満たない場合であっても、黒豆の水溶性固形分とカリウム含有物とを特定の割合で含む組成物を経口摂取することによって、優れた発声改善効果が得られることを見出した。当該組成物によれば、上記所定の粘度に制限されることなく、任意の粘度を有する液状物または半固形物に調製したり、またチュアブルまたはトローチなどといった任意の形態を有する固形物に調製することができ、種々の形態を有する経口組成物として提供することができることを確認した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の咽喉用組成物を提供するものである。
(II)咽喉用組成物
(II-1)黒豆の水溶性固形分とカリウム含有物を、下式(I)の関係になるような割合で含有する咽喉用組成物:
(II-1)黒豆の水溶性固形分とカリウム含有物を、下式(I)の関係になるような割合で含有する咽喉用組成物:
(II-2)黒豆の溶媒抽出物を有効成分として含む(II-1)記載の咽喉用組成物。
(II-3)上記黒豆の溶媒抽出物が、黒豆の溶媒抽出物を酵素処理して得られるものである(II-2)に記載する咽喉用組成物。
(II-4)上記酵素処理が、蛋白質分解活性を有する酵素および糖質分解活性を有する酵素からなる群から選択されるいずれか少なくとも一つの酵素を用いた処理である(II-3)に記載する咽喉用組成物。
(II-5)上記酵素処理が、糖質分解活性を有する酵素を用いた処理である(II-3)に記載する咽喉用組成物。
(II-6)組成物中の黒豆水溶性固形分濃度が0.5〜20重量%である(II-1)乃至(II-5)のいずれかに記載する咽喉用組成物。
(II-7)組成物中のカリウム含有物に由来するカリウムイオン濃度が0.01〜2重量%である、(II-1)乃至(II-6)のいずれかに記載する咽喉用組成物。
(II-8)口腔内でのpHが5〜9となる組成物である、(II-1)乃至(II-7)のいずれかに記載する咽喉用組成物。
(II-9)咽喉用組成物が、液状組成物または固形組成物のいずれかである(II-1)乃至(II-8)のいずれかに記載する咽喉用組成物。
(II-10)固形状の咽喉用組成物が、チュアブル錠、トローチ剤、または飴である、(II-9)に記載する咽喉用組成物。
(II-11)黒豆の水溶性固形分とカリウム含有物を、下式(I)の関係:
になるような割合で含有する組成物の、咽喉用組成物としての使用。
(II-12)黒豆の水溶性固形分とカリウム含有物を、下式(I)の関係:
になるような割合で含有する組成物の、咽喉用組成物の調製のための使用。
(II-13)咽喉用組成物が、発声障害予防剤または発声障害改善剤である(II-11)または(II-12)に記載する使用。
(II-14)発声障害予防剤または発声障害改善剤として用いられる、(II-1)乃至(II-10)のいずれかに記載する咽喉用組成物。
(II-15) (II-1)乃至(II-10)のいずれかに記載する咽喉用組成物を、被験者に経口摂取させることからなる、発声障害予防または改善方法。
(II-16) (II-1)乃至(II-10)のいずれかに記載する咽喉用組成物を、発声前または発声途中の被験者に経口摂取させることからなる、発声障害予防方法。
本発明の咽喉用組成物は、優れた発声改善作用、特に発声障害予防作用を有していることを特徴とする。本発明の液状咽喉用組成物は、経口摂取した場合の咽喉部への付着残存性に優れており、その結果、咽喉部に長く作用することができる。
このため、喉が嗄れやすい、喉が疲れやすい、または発声しにくい等といった喉の症状(発声障害)を改善する効果、またはそうした障害が発生するのを事前に予防する効果に優れている。特に、本発明の液状咽喉用組成物は、カラオケなどの歌唱行為、プレゼンテーション、演説、演劇、および講演など、声を発する前に、経口摂取することによって、上記の優れた発声改善効果を得ることができる。また本発明の液状咽喉用組成物は、食経験のある安全性の高い黒豆の成分を有効成分とし、しかも黒豆成分に由来する苦味が発現しないように工夫されているため、医薬品としてだけでなく、日常的に摂取される食品として有効に利用することができる。
また本発明の咽喉用組成物は、食経験のある安全性の高い黒豆の成分を有効成分とし、しかも粘度やその形状に制限されることなく、優れた発声改善効果を発揮するように工夫されているため、医薬品としてだけでなく、日常的に摂取される食品(例えば、飲料、シロップ、およびチュアブルやトローチや飴などのキャンディー類)として有効に利用することができる。
本発明でいう「発声改善作用」とは、会話などで日常的に用いられる話声や歌唱に用いられる歌声における発声を正常な状態(滑らかな発声)に維持する作用、あるいは発声を異常な状態から正常な状態に速やかに復帰させる作用を意味する。なお「発声を正常な状態に維持する」とは、換言すれば「正常発声から異常発声(発声障害)に至るのを予防する効果」(本発明において「発声障害予防効果」ともいう)を意味し、また「発声を異常な状態から正常な状態に速やかに復帰させる効果」とは、換言すれば「異常発声(発声障害)から正常発声に改善する効果」(本発明において「発声障害改善効果」ともいう)を意味する。本発明が対象とする咽喉用組成物は、好ましくは「発声障害予防効果」を有するものであり、より好ましくは「発声障害予防効果」と「発声障害改善効果」の両方を併せもっているものである。
(I)液状咽喉用組成物
本発明は、黒豆を原料として調製される液状咽喉用組成物である。当該液状咽喉用組成物は、黒豆の水溶性固形分を4〜20重量%の割合で含み、しかも粘度が50mPa・s以上、好ましくは50〜36,000mPa・sとなるように調整されてなることを特徴とする。
本発明は、黒豆を原料として調製される液状咽喉用組成物である。当該液状咽喉用組成物は、黒豆の水溶性固形分を4〜20重量%の割合で含み、しかも粘度が50mPa・s以上、好ましくは50〜36,000mPa・sとなるように調整されてなることを特徴とする。
ここで黒豆の水溶性固形分は、黒豆に由来する、水に溶ける成分の総称であり、一般に糖類をはじめとし、塩類、可溶性蛋白質、および酸など、水に溶解する物質の含有量の指標として用いられる。かかる水溶性固形分は、一般に糖用屈折計で求めることができる。
本発明の液状咽喉用組成物に含まれる黒豆の水溶性固形分は、前述するように4〜20重量%の割合で含むものであればよいが、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは6〜20重量%、さらに好ましくは6〜18重量%である。
本発明の液状咽喉用組成物は、黒豆の水溶性固形分が上記の割合になるように黒豆加工物を含有するものであるが、黒豆の水溶性固形分が上記割合である限りにおいて、配合する黒豆加工物の種類やその形態は特に制限されない。好ましくは黒豆の溶媒抽出物である。
なお、黒豆は、マメ科ダイズ種 Glycine max(L.) Merrillに属する短日性の一年生草木の黒い種子(子実)(黒大豆)である。黒豆には、例えば中生光黒、トカチクロ、いわいくろ、玉大黒、丹波黒、信濃黒、および雁喰などの品種があるが、黒豆であればどの品種の種子を用いてもよい。
黒豆の溶媒抽出物の調製に使用される抽出溶媒としては、水、極性有機溶媒またはこれらの混合液を挙げることができる。極性有機溶媒としては、アルコール、アセトン、酢酸エチル等が挙げられる。中でも人体への安全性と取扱性の観点から、抽出溶媒として、水、低級アルコール、またはこれらの混合液を挙げることができる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1〜4の低級アルコール、好ましくはエタノールを例示することができる。抽出溶媒として、好ましくは水、または含水アルコール(特に、含水エタノール)である。なお、溶媒として含水アルコール(特に、含水エタノール)を用いる場合、それに含まれるアルコール(エタノール)量は40容量%以下であることが好ましい。
なお、抽出溶媒は酸性に調整されていてもよい。酸性への調整は、塩酸、硫酸若しくはリン酸等の無機酸、またはクエン酸やリンゴ酸等の有機酸を用いてpH2〜5.5程度の範囲となるように行うことができる。
抽出方法としては、一般に用いられる方法を採用することができる。制限はされないが、例えば溶媒中に生または乾燥処理した黒豆(そのままの形状、若しくは粗末、細切物)を低温、常温、加温または煮沸条件下で浸漬する方法;低温、常温、加温または煮沸条件下で攪拌しながら抽出を行う方法;炭酸ガス等を用いた超臨界抽出法;またはパーコレーション法等を挙げることができる。好ましくは、乾燥処理した黒豆(そのままの形状、若しくは粗末、細切物)を溶媒中に、高温若しくは煮沸条件下で浸漬し、必要に応じて攪拌しながら、抽出する方法である(熱処理抽出法)。
得られた抽出物は、必要に応じて濾過、共沈、遠心分離、圧搾等の各種の固液分離手段によって溶媒に不要な固形物(残渣)を除去することができる。また、得られた抽出物は、さらに凍結乾燥や濃縮して粉末状、ペースト状の抽出エキス(濃縮抽出物)として調製することもできる。
なお、制限はされないものの、好ましくない臭いや味または/及び色を除去するために、上記で得られた黒豆抽出物に対して、さらに酵素処理または/及び分子量5000〜25000の分画処理を任意に組み合わせて行うこともできる。
ここで酵素処理に用いられる酵素としては、糖質または/および蛋白質を分解する作用を有する酵素を挙げることができる。具体的には、例えば、前者の糖質分解酵素として、クライスターゼY(大和化成製)、及びスミチームS(新日本化学工業製)などのアミラーゼ;セルラーゼA(天野エンザイム製)、及びセルロシンAC40(エイチビィアイ製)などのセルラーゼ;スクラーゼS(三共製)、及びスミチームX(新日本化学工業製)などのヘミセルラーゼ等の糖質分解活性を有する酵素を使用することができる。また、後者の蛋白質分解酵素としては、ニューラーゼA(天野エンザイム製)、及びプロテアーゼYP-SS(ヤクルト薬品工業製)などの酸性プロテアーゼ;スミチーム FP(新日本化学工業製)、及びエンチロンNBS(洛東化成工業製)などの中性プロテアーゼ;ノボザイムFM(ノボザイムズ製)やビオプラーゼSP-4FG(ナガセケムテックス製)などのアルカリ性プロテアーゼ等の蛋白質分解活性を有する酵素を使用することができる。
かかる糖質分解活性を有する酵素、及び蛋白質分解活性を有する酵素は、それぞれ1種単独で使用してもよく、また両者を組み合わせて使用することもできる。また使用する酵素は単一酵素でも良いが、各種の酵素を組み合わせて使用することもできる。好ましい酵素は糖質分解活性を有する酵素であり、特に上記セルラーゼ、アミラーゼ、ヘミセルラーゼ等の多糖を分解する活性を有する酵素が好適に使用できる。
酵素処理は、使用する各酵素に適した所定の条件で実施することができる。酵素処理を行う温度条件は、特に制限されないが、通常30〜80℃の範囲を用いることができる。好ましくは35〜60℃である。
分子量5000〜25000の分画処理としては、ゲル濾過方法、膜分離方法、または吸着処理方法などを挙げることができる。好ましくは膜分離方法である。ここで用いる膜分離方法は、黒豆の溶媒抽出物から、結果として分子量5000〜25000の画分が取得できる方法であれば特に制限されない。具体的には、設定分画分子量が、例えば約20000〜30000の範囲、好ましくは約22000〜28000の範囲、より好ましくは25000前後にある膜を用いて高分子化合物を分離除去する処理方法と、設定分画分子量が、例えば約1000〜8000の範囲、好ましくは約3000〜7000の範囲、より好ましくは5000前後にある膜を用いて低分子化合物を分離除去する処理方法とを組み合わせて行うことが好ましい。
前者の高分子化合物を分離除去する方法として、具体的には分画分子量が上記の範囲にあるNTU-3150膜, NTU-3250膜, NTU-3550膜, NTU-3800 UF膜(以上、日東電工製);Cefilt-UF(日本ガイシ製);AHP-2013膜, AHP-3013膜, AHP-1010膜(以上、旭化成製);等を利用した限外濾過(UF)膜処理を挙げることができる。また後者の低分子化合物を分離除去する方法として、具体的には分画分子量が上記の範囲にあるNTR-7250膜, NTR-7410膜, NTR-7430膜, NTR-7450膜(以上、日東電工製)、AIP-3013膜, ACP-3013膜, ACP-2013膜, AIP-2013膜, AIO-1010膜(以上、旭化成製)などの膜を利用した逆浸透(RO)膜処理、または限外濾過(UF)膜処理を挙げることができる。
かかる膜分離法に用いられる膜材料としては、天然、合成、半合成の別を問わず、例えばセルロース、セルロース・ジアセテート若しくはトリアセテート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアクリロニトリルなどを挙げることができる。なお、分画処理に使用される膜として、上記限外濾過膜、及び逆浸透膜の他、精密濾過(MF)膜等を用いることもできる。
上記酵素処理と分子量分画処理は、前述する黒豆抽出物またはその処理物に対して、単独または組み合わせて行うことができる。また両者を組み合わせて行う場合、酵素処理と分子量分画処理は、連続的または非連続的に任意に組み合わせて行うことができる。その組み合わせの順番は特に制限されず、酵素処理に次いで分子量分画処理の順、分子量分画処理に次いで酵素処理の順のいずれでもよいが、好ましくは前者の方法である。また、上記酵素処理及び分子量5000〜25000の分画処理に加えて、黒豆抽出物またはその処理物に対して、さらに、酸処理、抽出処理、吸着処理、イオン交換処理または膜処理等の通常精製に使用される処理を行うこともできる。これらの処理は、一種または任意に2種以上組み合わせて、黒豆抽出物またはその処理物に対して行うことができる。
斯くして得られる黒豆の溶媒抽出物は、必要に応じて水、エタノール等の食品用溶剤を用いて、黒豆の水溶性固形分が4〜20重量%、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは6〜20重量%、さらに好ましくは6〜18重量%の割合になるように調製されると同時に、後述するように好適には粘度付与剤を用いて、その粘度が50mPa・s以上、好ましくは50〜36,000mPa・sとなるように調整される。
ここで粘度は、20℃の条件下、BL型回転粘度計(粘度450mPa・sまでローターNo.1、粘度450〜2250mPa・sはローターNo.2、粘度2250〜9000mPa・sローターNo.3、粘度9000mPa・s以上はローターNo.4を使用)を用いて回転数12rpmで測定した場合に得られる粘度を意味する。なお、本明細書全体において、「粘度」とは、かかる条件で測定される粘度を意味する。
液状咽喉用組成物の粘度の調整は、通常、粘度付与剤を配合して行うことができる。また上記水やエタノール等の食品用溶剤を、粘度付与剤と組み合わせて用いることによって行ってもよい。
ここで粘度付与剤としては、黒豆の水溶性固形分を4〜20重量%の割合で含む液状組成物の粘度を50mPa・s以上、好ましくは50〜36,000mPa・sにすることができるものであればよく、特に制限されない。
例えば、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、プルラン、キサンタンガム、グァーガム、タラガム、ラムザンガム、マンナンなどのガム類;でんぷん(以上、これらを総称して「多糖類」ともいう);グルコース、フラクトース等の単糖類;スクロース、乳糖、トレハロース等の二単糖類;三糖以上からなるオリゴ糖類;イヌリンおよびポリデキストロースなどの多糖類;水飴;ソルビトール、マンニトール、マルチトール、エリスリトール、ラクチトール、キシリトール、グリセリン等の糖アルコール;糖蜜、蜂蜜、果糖ブドウ糖液糖、還元麦芽糖水飴、還元澱粉加水分解物、水飴などの糖類の混合物(以上、これらを総称して「糖類」ともいう)を挙げることができる。これらは1種を単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
好ましくは、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、プルラン、グァーガム、イヌリン、およびポリデキストロースなどの多糖類;ならびに糖蜜、蜂蜜、果糖ブドウ糖液糖、還元麦芽糖水飴、還元澱粉加水分解物および水飴などの糖類であり、より好ましくは糖類である。
なお、粘度は50〜36000mPa・sの範囲であれば特に制限されないが、好ましくは60〜10000mPa・s、より好ましくは90〜8000mPa・sである。
本発明の液状咽喉用組成物は、上記特性(黒豆の水溶性固形分の割合、粘度)を損なわない範囲で、香料、着色料、清涼化剤、抗酸化剤、甘味料または抗菌剤など他の成分を配合することもできる。またカリウム含有物を配合することもできる。後述するように、カリウム含有物の配合により液状咽喉用組成物の発声改善効果を増強することも可能である。当該カリウム含有物としては、カリウム塩を含有するものであれば、特に制限されない。一例を挙げれば、塩化カリウム、炭酸カリウム、リン酸2カリウム、リン酸3カリウム、グルコン酸カリウム、クエン酸3カリウム、グルタミン酸カリウム、および酒石酸水素カリウムなどの無機化合物;ならびにホエイソルト、海藻灰抽出物、そば柄灰抽出物、粗製海水塩化カリウム、塩水湖水塩化ナトシウムなどの組成物を挙げることができる。
また本発明の液状咽喉用組成物のpHは通常pH5〜9の範囲であり、好ましくはpH5〜8、より好ましくはpH5〜7.5である。実験例で示すように、pHが4.8以下、特に4.6以下になると、発声改善効果が低下する傾向がある。
斯くして得られる液状組成物は、次いで殺菌処理して咽喉用組成物として調製される(冷却時(20℃)の粘度;50〜36000mPa・s)。殺菌処理は、特に制限されないが、通常加熱殺菌を用いることができる。
加熱殺菌方法としては、含まれる成分により、またはpHにより大きく変動するが、例えば、62〜65℃で30分程度加熱する低温殺菌、72〜75℃で15秒程度殺菌するHTST殺菌、150℃程度で2〜3秒程度加熱するUHT殺菌、120℃程度で4分程度加熱するレトルト殺菌などが知られている。本発明の液状咽喉用組成物は、黒豆の有効成分の発声改善効果を損なわない加熱殺菌処理であれば特に制限されないが、通常80〜100℃で20〜60分程度の加熱殺菌、または115〜135℃で4〜30分のレトルトの殺菌処理を行うことが好ましい。
本発明の液状咽喉用組成物は、噴霧タイプ、滴下タイプ、または吐出タイプの咽喉用製剤(食品を含む)とすることができる。上記各タイプの製剤とするのに用いられる容器としては、ボトル、ポンプ、スプレー、チューブなどの各種の容器を用いることができる。
後述する実験例1に示すように、斯くして調製される本発明の液状組成物は、発声改善作用、特に発声障害予防作用を有している。従って、当該液状組成物はそのままの状態で咽喉用組成物として、また発声障害予防剤または発声改善剤として好適に使用することができる。
(II)咽喉用組成物
ここで本発明が対象とする咽喉用組成物は、前述する液状咽喉用組成物と同様に、黒豆を原料として調製され、加えてカリウム含有物を含有するものである。
ここで本発明が対象とする咽喉用組成物は、前述する液状咽喉用組成物と同様に、黒豆を原料として調製され、加えてカリウム含有物を含有するものである。
当該咽喉用組成物は、黒豆の水溶性固形分と、カリウム含有物とを、下式(I)の関係になるような割合で含むことを特徴とする:
当該組成物中に含まれる黒豆の水溶性固形分の割合としては、0.5重量%以上であり、当該組成物中に含まれるカリウム含有物に由来するカリウムイオン濃度に対して上記式を満たす割合であれば特に制限されない。好ましくは0.5〜18重量%、より好ましくは0.5〜12重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%を挙げることができる。
本発明の咽喉用組成物は、黒豆の水溶性固形分が上記の条件を満たす割合で黒豆加工物を含有するものである。前述する液状咽喉用組成物と同様、黒豆の水溶性固形分が上記割合である限りにおいて、配合する黒豆加工物の種類やその形態は特に制限されないが、好ましくは黒豆の溶媒抽出物である。黒豆の溶媒抽出物の調製方法は、前述する通りである。なお、前述するように、当該黒豆の溶媒抽出物は、好ましくない臭いや味または/及び色を除去するために、黒豆抽出物に対して、前述するように、酵素処理または/及び分子量5000〜25000の分画処理が任意に組み合わせて行なわれたものであってもよい。
さらに本発明の咽喉用組成物は、カリウム含有物を、当該カリウム含有物に由来するカリウムイオンの含有量が上記の条件を満たすような割合で、含有するものである。本発明の咽喉用組成物中に含まれるカリウム含有物の割合は、黒豆の水溶性固形分に対して上記式を満たす割合であれば特に制限されないが、カリウムイオン濃度に換算して、好ましくは0.01〜2重量%、より好ましくは0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.02〜0.6重量%を挙げることができる。
ここでカリウム含有物としては、カリウム塩を含有するものであれば、特に制限されない。一例を挙げれば、塩化カリウム、炭酸カリウム、リン酸2カリウム、リン酸3カリウム、グルコン酸カリウム、クエン酸3カリウム、グルタミン酸カリウム、および酒石酸水素カリウムなどの無機化合物;ならびにホエイソルト、海藻灰抽出物、そば柄灰抽出物、粗製海水塩化カリウム、塩水湖水塩化ナトシウムなどの組成物を挙げることができる。
本発明の咽喉用組成物は、上記特性(黒豆の水溶性固形分およびカリウム含有物に由来するカリウムイオンの含有量)を損なわない範囲で、香料、着色料、清涼化剤、抗酸化剤、甘味料または抗菌剤など他の成分を配合することもできる。
また本発明の咽喉用組成物は、摂食または服用後、口腔内で通常pH5〜9の範囲になるように調製されていることが好ましい。口腔内でのpHとして、好ましくはpH5〜8、より好ましくはpH5〜7.5である。実験例で示すように、口腔内でpHが4.8以下、特に4.6以下になると、発声改善効果が低下する傾向があるからである。かかるpH条件を満たすためには、本発明の咽喉用組成物は、pH5〜8、好ましくはpH5.5〜7.5の範囲になるように調整されていることが好ましい。
後述する実験例2に示すように、斯くして調製される本発明の組成物は、発声改善作用、特に発声障害予防作用を有している。従って、当該組成物はそのままの状態で咽喉用組成物として、また発声障害予防剤または発声改善剤として好適に使用することができる。
本発明の咽喉用組成物は、黒豆の水溶性固形分およびカリウム含有物を上記所定の割合で含むものであれば、その粘度や形状を特に制限するものではない。例えば、液状の組成物ならびに半固形または固形状の組成物に任意に調製することができる。
液状形態を有する咽喉用組成物は、水(精製水、イオン水など)およびエタノールなどの食品用溶剤を用いて調製することができ、また必要に応じて緩衝剤を用いてpHを上記範囲にとなるように調整することもできる。これらの液状組成物は、噴霧タイプ、滴下タイプ、または吐出タイプの咽喉用製剤(食品を含む)とすることができるほか、通常の飲料の形態に調製することもできる。上記各タイプの製剤とするのに用いられる容器としては、ボトル、ポンプ、スプレー、チューブなどの各種の容器を用いることができる。
半固形または固体形態を有する咽喉用組成物は、経口投与(または経口摂取)形態を有するものであれば特に制限されない。例えば、散剤、錠剤、顆粒剤、丸剤、トローチ、シロップ、チュアブル錠およびドライシロップ剤などの経口投与固体製剤とすることができる。また、飴、ゼリー、グミ、またガムの形態を有するものであってもよい。かかる剤型を有する固形状の組成物は、当業界の慣用法に従って調製することができる。
本発明の咽喉用組成物は、上記の経口投与形態に調製するため、またその安定化のために、薬学上経口投与に許容される各種の担体並びに添加剤を配合することもできる(例えば、局方または「医薬品添加物事典」(薬事日報社発行)などが参照できる。)。
経口投与(または経口摂取)用の担体または添加剤としては、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビトール、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン、結晶セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、タルクなどの賦形剤;デンプン、α−デンプン、寒天、ゼラチン、アラビアガム、デキストリン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、結晶セルロースなどの結合剤;炭酸カルシウム、クロスポピドン、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、無水ケイ酸などの滑沢剤;ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、及びプルロニックなどの懸濁化剤;白糖、タルク、沈降炭酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、カルナウバロウ、ヒドロキシプロピルメチルフタレートなどのコーティング剤;白糖、ブドウ糖、サッカリンナトリウム、ソルビトール、クエン酸、及びアスパルテームなどの矯味剤等を挙げることができる。また上記成分の他、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、通常医薬品または食品の添加物として許容される、安定剤、乳化剤、分散剤、流動化剤、緩衝剤、湿潤剤、界面活性剤、粘稠剤、防腐剤、pH調整剤、着色剤、溶剤、溶解補助剤などの任意成分を所望に応じて添加することもできる。
本発明の咽喉用組成物は、前述する固体、半固体または液体の経口用の形態に調製され、投与もしくは摂取することができる。その投与若しくは摂取方法およびその時期は、制限されないが、好ましくは歌唱や演説など、声を発する前、声を発した後またはその途中において、黒豆の水溶性固形分が1回あたり0.2〜0.4gとなる割合で投与(摂取)することが好ましい。
以下に、本発明の構成ならびに効果をより明確にするために、実験例および処方例を記載する。但し本発明は、これらの実験例等に何ら影響されるものではない。
参考例1 黒豆濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)の調製
水70Lにマメ科植物(黒大豆:Glycine max)の種子(黒豆)10kgを投入して、室温下に一夜放置し、続いて煮沸を2時間行った。斯くして得られた熱水抽出物を固液分離し、得られた抽出液に、濾過助剤及び珪藻土を配合して吸引濾過し、約55L(pH5.8)の濾液を得た。当該熱水抽出濾液55L(pH5.8)に、酵素・セルラーゼ(セルロシン AC40(エイチビィアイ製)、力価:4000units/g)を10g添加し、40〜55℃でゆっくり攪拌して処理を行い、酵素処理液を得た。次いでこの酵素処理液を、減圧下で濃縮して、黒豆の濃縮抽出物2.5kg(水溶性固形分70重量%)を得た。
水70Lにマメ科植物(黒大豆:Glycine max)の種子(黒豆)10kgを投入して、室温下に一夜放置し、続いて煮沸を2時間行った。斯くして得られた熱水抽出物を固液分離し、得られた抽出液に、濾過助剤及び珪藻土を配合して吸引濾過し、約55L(pH5.8)の濾液を得た。当該熱水抽出濾液55L(pH5.8)に、酵素・セルラーゼ(セルロシン AC40(エイチビィアイ製)、力価:4000units/g)を10g添加し、40〜55℃でゆっくり攪拌して処理を行い、酵素処理液を得た。次いでこの酵素処理液を、減圧下で濃縮して、黒豆の濃縮抽出物2.5kg(水溶性固形分70重量%)を得た。
実験例1 発声改善効果の評価(その1)
参考例1で調製した黒豆の濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)と粘度付与剤としてローカストビーンガムを用いて、後述するように、種々の水溶性固形分含量および粘度を有する液状組成物(被験試料1〜18)(表1参照)を調製した。これらの液状組成物を、日常持続発声を行うと声の障害を自覚する健常な成人男性6名(26〜56歳)(パネラー)に摂取してもらって、発声改善効果と苦味感を評価してもらった。
参考例1で調製した黒豆の濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)と粘度付与剤としてローカストビーンガムを用いて、後述するように、種々の水溶性固形分含量および粘度を有する液状組成物(被験試料1〜18)(表1参照)を調製した。これらの液状組成物を、日常持続発声を行うと声の障害を自覚する健常な成人男性6名(26〜56歳)(パネラー)に摂取してもらって、発声改善効果と苦味感を評価してもらった。
なお、各液状組成物(被験試料1〜18)の摂取は、調製した各液状組成物を、舌の奥の部分に載せて、これを一気に飲み込むことで行った。
<被験試料の調製>
(1)被験試料1〜5:
黒豆の濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)を水で希釈して、黒豆の水溶性固形分を各々3、6、12、18および24重量%(被験試料1〜5)の割合で含む液状組成物を調製した。次いでこれを90℃で20分間殺菌して、低粘度の液状組成物(粘度2〜8mPa・s)とした。なお、液状組成物の粘度は、BL型回転粘度計(東機産業(株)製)(粘度450mPa・sまではローターNO.1使用、粘度が450mPa・sより大きく2250mPa・sまではローターNO.2使用、粘度が2250mPa・sより大きく9000mPa・sまではローターNO.3使用、粘度が9000mPa・s以上はローターNO.4使用)を用いて、回転数12rpmで20℃にて測定した(以下、同じ)。
(1)被験試料1〜5:
黒豆の濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)を水で希釈して、黒豆の水溶性固形分を各々3、6、12、18および24重量%(被験試料1〜5)の割合で含む液状組成物を調製した。次いでこれを90℃で20分間殺菌して、低粘度の液状組成物(粘度2〜8mPa・s)とした。なお、液状組成物の粘度は、BL型回転粘度計(東機産業(株)製)(粘度450mPa・sまではローターNO.1使用、粘度が450mPa・sより大きく2250mPa・sまではローターNO.2使用、粘度が2250mPa・sより大きく9000mPa・sまではローターNO.3使用、粘度が9000mPa・s以上はローターNO.4使用)を用いて、回転数12rpmで20℃にて測定した(以下、同じ)。
(2)被験試料6〜10:
黒豆の濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)を1.5重量%のローカストビーンガム水溶液で希釈して、黒豆の水溶性固形分を各々3、6、12、18および24重量%(被験試料6〜10)の割合で含む液状組成物を調製した。次いでこれを90℃で20分間殺菌して、高粘度の液状組成物(粘度3150〜7450mPa・s)とした。
黒豆の濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)を1.5重量%のローカストビーンガム水溶液で希釈して、黒豆の水溶性固形分を各々3、6、12、18および24重量%(被験試料6〜10)の割合で含む液状組成物を調製した。次いでこれを90℃で20分間殺菌して、高粘度の液状組成物(粘度3150〜7450mPa・s)とした。
(3)被験試料11〜14:
黒豆の濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)を黒豆の水溶性固形分が12重量%(被験試料11〜14)となるように各種濃度のローカストビーンガム水溶液で希釈して、各種粘度の液状組成物を調製した。次いでこれを90℃で20分間殺菌して、低〜高粘度の液状組成物(粘度11.5〜557.5mPa・s)とした。
黒豆の濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)を黒豆の水溶性固形分が12重量%(被験試料11〜14)となるように各種濃度のローカストビーンガム水溶液で希釈して、各種粘度の液状組成物を調製した。次いでこれを90℃で20分間殺菌して、低〜高粘度の液状組成物(粘度11.5〜557.5mPa・s)とした。
(4)被験試料15〜18:
黒豆の濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)を黒豆の水溶性固形分が6重量%(被験試料15〜18)となるように各種濃度のローカストビーンガム水溶液で希釈して、各種粘度の液状組成物を調製した。次いでこれを90℃で20分間殺菌して、低〜高粘度の液状組成物(粘度9.5〜450mPa・s)とした。
黒豆の濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)を黒豆の水溶性固形分が6重量%(被験試料15〜18)となるように各種濃度のローカストビーンガム水溶液で希釈して、各種粘度の液状組成物を調製した。次いでこれを90℃で20分間殺菌して、低〜高粘度の液状組成物(粘度9.5〜450mPa・s)とした。
<試験方法>
上記で調製した被験試料1〜18の各々を上記パネラーに摂取してもらい、下記に説明する発声改善感評価試験および苦味感評価試験を行った。なお、摂取量は、黒豆抽出物が等量摂取できるように、黒豆の水溶性固形分が24重量%の液状組成物(被験試料5および10)は1g、黒豆の水溶性固形分が18重量%の液状組成物(被験試料4および9)は1.3g、黒豆の水溶性固形分が12重量%の液状組成物(被験試料3、8、11〜14)は2g、黒豆の水溶性固形分が6重量%の液状組成物(被験試料2、7および15〜18)は4g、黒豆の水溶性固形分が3重量%の液状組成物(被験試料1および6)は8gとした。
上記で調製した被験試料1〜18の各々を上記パネラーに摂取してもらい、下記に説明する発声改善感評価試験および苦味感評価試験を行った。なお、摂取量は、黒豆抽出物が等量摂取できるように、黒豆の水溶性固形分が24重量%の液状組成物(被験試料5および10)は1g、黒豆の水溶性固形分が18重量%の液状組成物(被験試料4および9)は1.3g、黒豆の水溶性固形分が12重量%の液状組成物(被験試料3、8、11〜14)は2g、黒豆の水溶性固形分が6重量%の液状組成物(被験試料2、7および15〜18)は4g、黒豆の水溶性固形分が3重量%の液状組成物(被験試料1および6)は8gとした。
(1)発声改善感評価試験
パネラーが自由意志で選んだ書籍を、f(フォルテ)の強さで30分間持続的に朗読させ、朗読前に黒豆抽出物から調製した液状組成物(被験試料)を摂取した時の発声改善感(自覚的聴覚印象)を、摂取しなかった場合と比較し、下記の5段階尺度で評価した。
4:改善されたと著しく感じる
3:改善されたとかなり感じる
2:改善されたと感じる
1:改善されたと少し感じる
0:改善されたとは感じない。
パネラーが自由意志で選んだ書籍を、f(フォルテ)の強さで30分間持続的に朗読させ、朗読前に黒豆抽出物から調製した液状組成物(被験試料)を摂取した時の発声改善感(自覚的聴覚印象)を、摂取しなかった場合と比較し、下記の5段階尺度で評価した。
4:改善されたと著しく感じる
3:改善されたとかなり感じる
2:改善されたと感じる
1:改善されたと少し感じる
0:改善されたとは感じない。
被験試料を摂取しないで、書籍を上記条件で朗読した場合は、のどが疲れ、のどが渇いて声がかれ、声が出にくくなる。またその症状が続く状態となる。本実験例において、発声改善感は、被験試料を摂取した場合における、のどの疲れ具合、のどの乾燥感、声のかすれ具合、声の出しやすさ、および発声後のその持続感の長さを、総合的に判断して評価した。総合的に改善される場合に、改善されたと判断される。
なお、評価は1日1回、午前中に行った。また、試料を摂取しなかったときの試験と試料を摂取したときの試験との間は1時間あけた。
(2)苦味感評価試験
上記発声改善感評価試験を行った際に、同時に試料を摂取したときに感じる苦味感を下記の4段階尺度で評価した。
3:苦味をかなり感じる
2:苦味を感じる
1:苦味を少し感じる
0:苦味を感じない。
上記発声改善感評価試験を行った際に、同時に試料を摂取したときに感じる苦味感を下記の4段階尺度で評価した。
3:苦味をかなり感じる
2:苦味を感じる
1:苦味を少し感じる
0:苦味を感じない。
<結果>
結果を表1に示す。
結果を表1に示す。
なお、発声改善感と苦味感はいずれも6名のパネラーの得点の合計である。発声改善感については得点数が高いほどその発声改善効果が高いこと、苦味感は得点数が低いほど苦味がないことを示している。
被験試料1〜5の低粘度の液状組成物(粘度2〜8mPa・s)は、黒豆の水溶性固形分が18重量%以下だと殆ど発声改善感がなく、24重量%と高濃度になると、優れた発声改善感を発揮したが、苦味が強く、経口摂取するうえで障害となった。
一方、被験試料6〜10のように粘度付与剤で粘度を付与した液状組成物(粘度3150〜7450mPa・s)は、黒豆の水溶性固形分が6〜18重量%と、黒豆の水溶性固形分がさほど多くなくても優れた発声改善感を発揮し、しかも苦味も殆どなく、経口摂取に障害は認められなかった。これは、液状組成物を増粘させることによって、咽喉部に付着し残存する時間が長くなったことによると思われる。しかし、その場合であっても、被験試料6のように黒豆の水溶性固形分が3重量%と低濃度の場合は発声改善感が全く得られなかった。また被験試料5と同様に、黒豆の水溶性固形分が24重量%と高濃度になると苦味が強く発現し、経口摂取するうえで障害となった。
また被験試料11〜14のように黒豆の水溶性固形分を12重量%に固定した場合、また被験試料15〜18のように黒豆の水溶性固形分を6重量%に固定した場合、いずれも粘度を50mPa・s以上、好ましくは60mPa・s以上に調整することにより、優れた発声改善感を発揮するようになる。これらのことから、発声改善感の発揮には本発明の液状組成物に含まれる黒豆の水溶性固形分の濃度と液状組成物の粘度が極めて重要であることが判明した。
処方例1〜13
実験例1の結果から、良好な発声改善作用を有し、しかも苦味もなくて経口摂取に障害のない液状組成物は、黒豆の水溶性固形分が4〜20重量%、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは6〜20重量%であり、液状組成物の粘度が50mPa・s以上、好ましくは60mPa・s以上のものと考えられる。
実験例1の結果から、良好な発声改善作用を有し、しかも苦味もなくて経口摂取に障害のない液状組成物は、黒豆の水溶性固形分が4〜20重量%、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは6〜20重量%であり、液状組成物の粘度が50mPa・s以上、好ましくは60mPa・s以上のものと考えられる。
そこで、表2および3に記載する処方に従って、かかる条件を満たす液状咽喉用組成物(黒豆シロップ)を調製し、実験例1に記載する発声改善感評価試験に従って、発声改善効果を評価した。結果を表2および3に併せて示す。なお、この表に示す発声改善効果は6名のパネラーの得点の合計である。
(1)処方例1の液状咽喉用組成物の調製
904.4gの水に、粘度付与剤としてローカストビーンガム(ビストップD-2050,三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)8.3gと甘味料(スクラロース)0.3g加えて、80℃で10分加熱攪拌して溶解後、参考例1で調製した黒豆濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)86gを加えて均一になるまで攪拌した。これに、香料1gを添加して121℃で20分間、オートクレーブ滅菌を行って粘度114mPa・sの液状咽喉用組成物を1kg調製した。
904.4gの水に、粘度付与剤としてローカストビーンガム(ビストップD-2050,三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)8.3gと甘味料(スクラロース)0.3g加えて、80℃で10分加熱攪拌して溶解後、参考例1で調製した黒豆濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)86gを加えて均一になるまで攪拌した。これに、香料1gを添加して121℃で20分間、オートクレーブ滅菌を行って粘度114mPa・sの液状咽喉用組成物を1kg調製した。
(2)処方例2〜4、6の液状咽喉用組成物の調製
処方例1と同様に、表2および表3に示した各成分を記載する割合で配合し、粘度付与剤としてタマリンドシードガムを用いた処方例2および3、粘度付与剤としてプルランを用いた処方例4、グァーガムを用いた処方6の液状咽喉用組成物を調製した。処方例2〜4、6の粘度は、各々121mPa・s、149mPa・s及び97mPa・s、453mPa・sであった。
処方例1と同様に、表2および表3に示した各成分を記載する割合で配合し、粘度付与剤としてタマリンドシードガムを用いた処方例2および3、粘度付与剤としてプルランを用いた処方例4、グァーガムを用いた処方6の液状咽喉用組成物を調製した。処方例2〜4、6の粘度は、各々121mPa・s、149mPa・s及び97mPa・s、453mPa・sであった。
(3)処方例5の液状咽喉用組成物の調製
913gの蜂蜜を60℃に加温、ゆっくり攪拌しながら黒豆濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)86gを加えて均一化させ、香料を1g添加した。これを、90℃で20分間加熱殺菌して,粘度4300mPa・sの液状咽喉用組成物を1kg調製した。
913gの蜂蜜を60℃に加温、ゆっくり攪拌しながら黒豆濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)86gを加えて均一化させ、香料を1g添加した。これを、90℃で20分間加熱殺菌して,粘度4300mPa・sの液状咽喉用組成物を1kg調製した。
(4)処方例7〜13の液状咽喉用組成物の調製
処方例5と同様にして、表3に示した各成分をその割合で配合し、90℃で20分間、オートクレーブ殺菌を行って、処方例7〜13各液状咽喉用組成物を調製した。
処方例5と同様にして、表3に示した各成分をその割合で配合し、90℃で20分間、オートクレーブ殺菌を行って、処方例7〜13各液状咽喉用組成物を調製した。
実験例2 発声改善効果の評価(その2)
参考例1で調製した黒豆の濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)とカリウム含有物として塩化カリウムを用いて、種々の水溶性固形分含量およびカリウムイオン濃度を有する液状組成物(被験試料19〜55)(表4〜7参照)を調製した。これらの各液状組成物を、実験例1と同様に、日常持続発声を行うと声の障害を自覚する健常な成人男性6名(26〜56歳)(パネラー)に摂取してもらって、発声改善効果を評価してもらった。なお、各液状組成物(被験試料19〜55)の摂取は、調製した各液状組成物を、舌の奥の部分に載せて、これを一気に飲み込むことで行った。
参考例1で調製した黒豆の濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)とカリウム含有物として塩化カリウムを用いて、種々の水溶性固形分含量およびカリウムイオン濃度を有する液状組成物(被験試料19〜55)(表4〜7参照)を調製した。これらの各液状組成物を、実験例1と同様に、日常持続発声を行うと声の障害を自覚する健常な成人男性6名(26〜56歳)(パネラー)に摂取してもらって、発声改善効果を評価してもらった。なお、各液状組成物(被験試料19〜55)の摂取は、調製した各液状組成物を、舌の奥の部分に載せて、これを一気に飲み込むことで行った。
<被験試料の調製>
黒豆の濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)を、水および/または蜂蜜を用いて、黒豆の水溶性固形分が各々0.25、0.5、1、2、4、8、16、24および70重量%の割合となるように、またカリウムイオンが0〜3.776重量%の割合となるように含む液状組成物(被験試料22〜55)を調製した。また黒豆の濃縮抽出物を含まない液状組成物(被験試料19〜21)も調製した。次いでこれらを90℃で20分間殺菌した。なお、液状組成物の粘度は、実験例1と同様に、BL型回転粘度計(東機産業(株)製)を用いて、回転数12rpmで20℃にて測定した。
黒豆の濃縮抽出物(水溶性固形分70重量%)を、水および/または蜂蜜を用いて、黒豆の水溶性固形分が各々0.25、0.5、1、2、4、8、16、24および70重量%の割合となるように、またカリウムイオンが0〜3.776重量%の割合となるように含む液状組成物(被験試料22〜55)を調製した。また黒豆の濃縮抽出物を含まない液状組成物(被験試料19〜21)も調製した。次いでこれらを90℃で20分間殺菌した。なお、液状組成物の粘度は、実験例1と同様に、BL型回転粘度計(東機産業(株)製)を用いて、回転数12rpmで20℃にて測定した。
<試験方法>
上記で調製した被験試料19〜55の各々を上記パネラーに摂取してもらい、実験例1と同様の方法で発声改善感評価試験を行った。なお、摂取量は、黒豆抽出物が等量摂取できるように、黒豆の水溶性固形分が0.25重量%の液状組成物(被験試料22および23)は4.0g、黒豆の水溶性固形分が0.5重量%の液状組成物(被験試料24〜30)は4.0g、黒豆の水溶性固形分が1重量%の液状組成物(被験試料31〜34)は4.0g、黒豆の水溶性固形分が2重量%の液状組成物(被験試料35〜39)は4.0g、黒豆の水溶性固形分が4重量%の液状組成物(被験試料40〜43)は4.0g、黒豆の水溶性固形分が8重量%の液状組成物(被験試料44〜47)は4.0g、黒豆の水溶性固形分が16重量%の液状組成物(被験試料48〜51)は4.0g、黒豆の水溶性固形分が24重量%の液状組成物(被験試料52〜53)は1.0g、および黒豆の水溶性固形分が70重量%の液状組成物(被験試料54〜55)は0.3gとした。
上記で調製した被験試料19〜55の各々を上記パネラーに摂取してもらい、実験例1と同様の方法で発声改善感評価試験を行った。なお、摂取量は、黒豆抽出物が等量摂取できるように、黒豆の水溶性固形分が0.25重量%の液状組成物(被験試料22および23)は4.0g、黒豆の水溶性固形分が0.5重量%の液状組成物(被験試料24〜30)は4.0g、黒豆の水溶性固形分が1重量%の液状組成物(被験試料31〜34)は4.0g、黒豆の水溶性固形分が2重量%の液状組成物(被験試料35〜39)は4.0g、黒豆の水溶性固形分が4重量%の液状組成物(被験試料40〜43)は4.0g、黒豆の水溶性固形分が8重量%の液状組成物(被験試料44〜47)は4.0g、黒豆の水溶性固形分が16重量%の液状組成物(被験試料48〜51)は4.0g、黒豆の水溶性固形分が24重量%の液状組成物(被験試料52〜53)は1.0g、および黒豆の水溶性固形分が70重量%の液状組成物(被験試料54〜55)は0.3gとした。
<結果>
結果を表4〜7に併せて示す。なお、発声改善感はいずれも6名のパネラーの得点の合計であり、発声改善感については得点数が高いほどその発声改善効果が高いことを示す。また、総合得点を基準として下記のように判断した:
+++:総合得点19〜24
++ :総合得点13〜18
+ :総合得点6〜12
− :総合得点0〜5。
結果を表4〜7に併せて示す。なお、発声改善感はいずれも6名のパネラーの得点の合計であり、発声改善感については得点数が高いほどその発声改善効果が高いことを示す。また、総合得点を基準として下記のように判断した:
+++:総合得点19〜24
++ :総合得点13〜18
+ :総合得点6〜12
− :総合得点0〜5。
これらの結果のうち、+の評価が得られた被験試料25、31、36、41、45および49における添加カリウムイオン濃度(重量%)と黒豆水溶性固形分(重量%)の関係を表8に、また各被験試料における当該関係を図1および2中で実線(−▲−)として示す。なお。図1は縦軸(黒豆水溶性固形分%)および横軸(添加カリウムイオン濃度%)の上限をそれぞれ20重量%および1重量%としたものであり、図2は縦軸および横軸の上限をそれぞれ70重量%および2重量%としたものである。
発声改善効果を示した被験試料における添加カリウムイオン濃度(X)(重量%)と黒豆水溶性固形分(Y)(重量%)との関係は、図1の実線から算出した式から、下記のようになった。
なお、図1および2には、被験試料25、31、36、41、45および49に加えて、被験試料19〜24、26〜30、32〜35、37〜40、42〜44、46〜48および50〜55についても、添加カリウムイオン濃度(重量%)と黒豆水溶性固形分(重量%)の関係を、下記の発声改善効果との関連性がわかるように記載した。
(図中の記号)
発声改善効果+++: ●
発声改善効果++ : ■
発声改善効果+ : ▲
発声改善効果− : ×。
発声改善効果+++: ●
発声改善効果++ : ■
発声改善効果+ : ▲
発声改善効果− : ×。
この結果から、添加カリウムイオン濃度と黒豆水溶性固形分が上記式を満たす被験試料に、発声改善効果があることが判明した。
処方例14〜17
実験例2の結果から、良好な発声改善作用を有する咽喉用組成物は、黒豆の水溶性固形分とカリウムイオン濃度が、上記式(I)を充足している。そこで、表9および10に記載する処方に従って、かかる条件を満たす液状の咽喉用組成物(黒豆シロップ)(処方例14と15)および固形状の咽喉用組成物(チュアブルタイプ:処方例16、トローチタイプ:処方例17)を調製し、実験例1に記載する発声改善感評価試験に従って、発声改善効果を評価した。結果を表9および10に併せて示す。
実験例2の結果から、良好な発声改善作用を有する咽喉用組成物は、黒豆の水溶性固形分とカリウムイオン濃度が、上記式(I)を充足している。そこで、表9および10に記載する処方に従って、かかる条件を満たす液状の咽喉用組成物(黒豆シロップ)(処方例14と15)および固形状の咽喉用組成物(チュアブルタイプ:処方例16、トローチタイプ:処方例17)を調製し、実験例1に記載する発声改善感評価試験に従って、発声改善効果を評価した。結果を表9および10に併せて示す。
(1)処方例14〜15(液状の咽喉用組成物)
黒豆抽出物(水溶性固形分70%)57.2kg、K3PO4 2.1kg、水939.7kgを配合し、80℃で加熱攪拌して溶解した後、香料1kgを添加し、121℃、20分間、オートクレーブ殺菌を行って粘度3mPa・s、pH7.64の処方例14の液状咽喉用組成物を1kg調製した。また、処方例14の液状咽喉用組成物(pH6)は、上記のK3PO4 に変えてKClを用いる以外は、処方例14の組成物と同様の方法にて調製した。
黒豆抽出物(水溶性固形分70%)57.2kg、K3PO4 2.1kg、水939.7kgを配合し、80℃で加熱攪拌して溶解した後、香料1kgを添加し、121℃、20分間、オートクレーブ殺菌を行って粘度3mPa・s、pH7.64の処方例14の液状咽喉用組成物を1kg調製した。また、処方例14の液状咽喉用組成物(pH6)は、上記のK3PO4 に変えてKClを用いる以外は、処方例14の組成物と同様の方法にて調製した。
(2)処方例16〜17(固形状の咽喉用組成物)
香料以外の原料を表10に記載する処方に従って混合し、流動層造粒機にて顆粒化した後、これに香料を加えて均一混合し、ロータリー打錠機(回転数20rpm)にて打錠した。斯くして硬度10kg/cm2のチュアブルタイプ(処方例16)、硬度19kg/cm2のトローチタイプ(処方例17)の2種類のタブレット(1粒0.9g)を得ることができた。
香料以外の原料を表10に記載する処方に従って混合し、流動層造粒機にて顆粒化した後、これに香料を加えて均一混合し、ロータリー打錠機(回転数20rpm)にて打錠した。斯くして硬度10kg/cm2のチュアブルタイプ(処方例16)、硬度19kg/cm2のトローチタイプ(処方例17)の2種類のタブレット(1粒0.9g)を得ることができた。
なお、黒豆エキスFDパウダーは、次のように調製した:
まず黒豆濃縮抽出物(水溶性固形分20%)を調製し、その140kgを0.8Torr以下で24時間凍結乾燥し、ブロック状に粉砕した。その後30meshの篩を通すことで、30.5kgの黒豆エキスFDパウダーを得た。
まず黒豆濃縮抽出物(水溶性固形分20%)を調製し、その140kgを0.8Torr以下で24時間凍結乾燥し、ブロック状に粉砕した。その後30meshの篩を通すことで、30.5kgの黒豆エキスFDパウダーを得た。
斯くして調製した2タイプのタブレットを、発声改善感評価試験に供したところ、チュアブル1粒(0.9g)は、唾液約1gで噛んで溶かすことができ、トローチ1粒(0.9g)は、唾液約5gで舐めて溶かすことができた。このときの口腔内でのpHは、それぞれpH6.62および7.10であった。
Claims (16)
- 黒豆の水溶性固形分を4〜20重量%の割合で含む、粘度50〜36,000mPa・sの液状咽喉用組成物。
- 黒豆の溶媒抽出物を有効成分として含む請求項1記載の液状咽喉用組成物。
- 上記黒豆の溶媒抽出物が、黒豆の溶媒抽出物を酵素処理して得られるものである、請求項2記載の液状咽喉用組成物。
- さらに粘度付与剤を含む請求項1または2に記載する液状咽喉用組成物。
- 粘度付与剤が、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、プルラン、キサンタンガム、グァーガム、タラガム、ラムザンガム、マンナン、イヌリン、およびポリデキストロースからなる多糖類、ならびに糖蜜、蜂蜜、果糖ブドウ糖液糖、還元麦芽糖水飴、還元澱粉加水分解物および水飴からなる糖類からなる群から選択される少なくとも1つである請求項4に記載する液状咽喉用組成物。
- pHが5〜9の範囲にある請求項1記載の液状咽喉用組成物。
- 黒豆の溶媒抽出物を有効成分として含む請求項7記載の咽喉用組成物。
- 組成物中の黒豆水溶性固形分濃度が0.5〜20重量%である、請求項7に記載する咽喉用組成物。
- 組成物中のカリウム含有物に由来するカリウムイオン濃度が0.01〜2重量%である、請求項7に記載する咽喉用組成物。
- 口腔内でのpHが5〜9となる組成物である、請求項7記載の咽喉用組成物。
- 咽喉用組成物が、液状組成物、半固形組成物または固形組成物のいずれかである請求項7に記載する咽喉用組成物。
- 固形状の咽喉用組成物が、チュアブル錠、トローチ剤、または飴である、請求項12に記載する咽喉用組成物。
- 請求項1乃至13のいずれかに記載する咽喉用組成物を被験者に経口摂取させることからなる、発声障害予防または改善方法。
- 請求項1乃至13のいずれかに記載する咽喉用組成物の、発声障害予防剤または発声障害改善剤の調製のための使用。
- 発声障害予防剤または発声障害改善剤として使用される、請求項1乃至13のいずれかに記載する咽喉用組成物。
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