JPWO2008053885A1 - ハトムギ加工品 - Google Patents
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Abstract
Description
(a) グルコースを1.2(mg/g)以上;及び
(b) アミノ態窒素(FAN)0.16(mg/g)以上;
を含有する、飲食品用ハトムギ加工品を提供する。
本発明はまた、以下の(a’)及び(b’):
(a’) グルコースを1.2〜14.6(mg/g)、好ましくは1.9〜6.3(mg/g);及び
(b’) アミノ態窒素(FAN)0.16〜0.49(mg/g)、好ましくは0.25〜0.49(mg/g);
の一方又は両方、好ましくは両方を含有する、飲食品用ハトムギ加工品を提供する。
本発明はまた、単糖、二糖及び/又はオリゴ糖の含有量が増加した、前記ハトムギ加工品を提供する。
本発明はまた、アミノ酸の含有量が増加した、前記ハトムギ加工品を提供する。
本発明はまた、ハトムギと比較した場合に、以下の(a”)及び(b”):
(a”) 単位重量あたりのグルコース含有量0.6〜14.0mg/gの増加;及び
(b”) 単位重量あたりのアミノ態窒素(FAN)含有量0.04〜0.37 mg/gの増加;
の一方又は両方、好ましくは両方を満たす、飲食品用ハトムギ加工品を提供する。
本発明はまた5-ヒドロキシメチルフルフラール(5HMF)の含有量が3.0mg/g以下、好ましくは2.2mg/g以下、より好ましくは1.2mg/g以下である、前記ハトムギ加工品を提供する。
本発明はまた、香味の改善された、特に、穀物臭及びコゲ臭が減少し、香ばしい香りが増加した、並びに/又はコクが増加し、苦味が減少した、前記ハトムギ加工品を提供する。本発明はまた、ハトムギが全粒ハトムギ、好ましくは全粒焙煎ハトムギである、前記ハトムギ加工品を提供する。
本発明はまた、前記ハトムギ加工品を、所望により粉砕し、溶媒で抽出して得たハトムギ加工品抽出液を含む、香味の改善された飲料を提供する。
本発明はまた、ハトムギを低酸素濃度下、高温高圧流体で、有効処理時間、処理することを含む、前記ハトムギ加工品の製造方法を提供する。
さらに本発明は、前記流体が、脱気した液体由来である、前記ハトムギ加工品の製造方法を提供する。
さらに本発明は、前記高温高圧流体が高温高圧水蒸気、好ましくは高温高圧飽和水蒸気である、前記ハトムギ加工品の製造方法を提供する。
さらに本発明は、前記高温高圧水蒸気が、150℃〜240℃、好ましくは150℃〜210℃、より好ましくは190℃〜200℃である、前記ハトムギ加工品の製造方法を提供する。
さらに本発明は、前記高温高圧水蒸気が、0.1〜3.0Mpa、好ましくは1.1〜1.5Mpaである、前記ハトムギ加工品の製造方法を提供する。
さらに本発明は、前記高温高圧流体の流量が、ハトムギ1kgあたり、0.1〜100kg/hrであり、前記有効処理時間が、約0.5分〜約30分、好ましくは約1分〜約15分である、前記ハトムギ加工品の製造方法を提供する。
本明細書中において、特記しない限り、用語「ハトムギ」は、ハトムギの種子を指す。本発明のハトムギ加工品において、「ハトムギ」とはイネ科キビ亜科の一年生草本(学名: Coix lachryma-jobi var. ma-yuen)の種子(果実が黒褐色に成熟する頃(一般に9〜10月頃)に収穫)であり、品種、産地、グレード等は特に限定されない。ハトムギの種子は茶褐色の殻(総苞)を有しており、これは、脱穀により除くことができ、また、該殻の内側の薄茶色の薄皮(護頴,内外頴)は、精白により除くことが出来るが、本発明のハトムギ加工品において、好ましいハトムギは未脱穀ハトムギである。
本明細書中において、「ハトムギ加工品」とは、上記ハトムギそのもの(即ち、ハトムギの種子)に、任意の処理であって、ハトムギ中の水分以外の成分の組成に質的、量的変化をもたらすような処理を施したものを指す。そのような処理としては、例えば、当業者に公知の手法である焙煎、発芽、脱穀、精白及び酵素処理等並びに、以下に詳しく説明するような高温高圧流体処理が挙げられ、これらの処理は、単独で又は2つ以上を組み合わせて若しくは粉砕、割砕及び乾燥処理等と組み合わせて、任意の順序で用いることが出来る。また、そのような処理は、特記しない限り、外部から任意の成分を添加するような処理ではない。ハトムギ加工品として、例えば:乾燥→焙煎→高温高圧流体処理を施したハトムギ加工品;高温高圧流体処理を施したハトムギ加工品;乾燥→焙煎→粉砕→高温高圧流体処理を施したハトムギ加工品;等が挙げられる。好ましくは、本発明のハトムギ加工品は、以下に詳しく説明するような高温高圧流体処理を含む処理を施したものである。
上記のハトムギ加工品を得るためのハトムギの処理方法の1つに、高温高圧流体処理がある。より詳しくは、高温高圧流体処理とは、ハトムギ等を低酸素濃度下、高温高圧流体で、有効処理時間、処理することを含む、処理方法である。
上記高温高圧流体処理において、処理中の溶融成分の系外への流出とそれに伴う回収ロス、品質の不均一化、装置への負荷、また、処理後の処理装置への該成分の強固な固着を回避するという観点からは、上記の処理に用いるハトムギは、脱穀、精白をしない、殻付きのものが好ましい。硬い殻の内部成分をより効率的に抽出させるために粉砕処理を事前に施すことが通常行われるが、上記理由により、上記の処理に用いるハトムギは、粉砕工程を経ない全粒ハトムギが好ましい。全粒ハトムギを用いれば、上記の処理後の原料の装置への固着がほとんどなく、ハトムギ加工品を回収しやすい。また、処理後に排出された流体中への、香ばしさ、甘み、コク等の好ましい香味等に寄与する成分の流出は抑えられ、一方で、刺激的で好ましくない香りや苦味等に寄与する成分をハトムギから除去することは可能になると考えられる。上記の処理に用いるハトムギは、生の状態、乾燥処理後の状態、これらを焙煎処理後の状態であることが出来る。得られるハトムギ加工品の香味に着目して、特に焙煎処理を施した焙煎ハトムギを用いることが出来る。
焙煎処理における焙煎機、焙煎方法、焙煎度は特に限定されない。一般的な焙煎機として、水平(横)ドラム型焙煎機等があり、焙煎方法は、加熱方法で分類すると、直火、熱風、遠赤外線、マイクロウェーブなどの方法がある。例えば、プロバット焙煎機MB-2CODR-APを用い、約200℃で約15分焙煎して焙煎ハトムギを得ることができる。穀物の焙煎度を定義する指標として、L値(明度)が一般的に用いられる。上記の処理方法において、例えば、L20(焙煎度高)〜L50(焙煎度低)、L30〜L35のL値の焙煎ハトムギを用いることができる。
上記の処理で用いられる流体としては、例えば液体、気体、超臨界流体、亜臨界流体などが挙げられる。
上記の処理における酸素濃度は、低酸素濃度であり、好ましくは0〜1μg/mLの酸素濃度である。本発明においては、公知手段を用いてかかる低酸素状態にすることができる。例えば、上記の処理に用いる流体として、脱気した(空気を除去した)液体を用いることにより前記低酸素状態にすることができるし、また、脱気した液体の代わりに、酸素を除去できる物質を予め添加した液体などを用いることもできる。また、上記処理前に、酸素濃度約0〜1μg/mLの気体で処理雰囲気内を置換することによっても、前記低酸素状態にすることができる。ここで、酸素濃度約0〜1μg/mLの気体としては、特に限定されないが、窒素などの不活性ガス、二酸化炭素または脱酸素した気体であることが好ましい。脱酸素した気体としては、脱気した液体を沸騰させて得られる気体などが挙げられる。上記処理中の酸素濃度は、公知の方法で測定することができ、例えば通常の溶存酸素計(DOメータ)によって測定することができる。
上記処理時の流体の温度は、ハトムギの香味品質の改善という本発明の目的が達せられる温度であれば特に限定されない。例えば、約100℃以上が好ましく、中でも150℃〜240℃が望ましい。処理温度が150℃未満であると香ばしさやコク・甘みの付与に寄与する成分の増大効果が少なく、また、240℃より高い場合、コゲ臭が強くなり、香味の設計によってはハトムギ加工品として好ましくなくなる場合がある。前記温度範囲のうち150℃〜210℃が好ましく、特に、190℃〜200℃の範囲とすることが望ましい。
また、上記の処理時の流体の圧力は、ハトムギの香味品質の改善という本発明の目的が達せられる圧力であれば特に限定されない。例えば、約0.1〜3.0MPaであることが好ましい。また、上記の処理においては、圧力が飽和水蒸気圧であることが好ましい。なお、本明細書で「圧力」というときは「ゲージ圧力」を意味する。従って、例えば「圧力0.1MPa」は絶対圧力に換算すると、大気圧に0.1MPaを加えた圧力となる。この範囲(約0.1〜3.0MPa)であれば、コゲ臭を抑えつつ、コクや甘みをハトムギ加工品に付与することができる。また、前記圧力は約0.35 MPa〜1.8 MPaがより好ましく、特に1.1 MPa〜1.5MPaの範囲が好ましい。
上記の処理における有効処理時間は、所望のハトムギ加工品を得ることを許容するような処理時間であり、例えば約1秒間〜60分間であり、好ましくは約0.5分間〜約30分間であり、より好ましくは1分間〜15分間である。処理時間が短すぎると、ハトムギ加工品に対する香味向上効果が少なく、また、処理時間が長すぎると、水熱反応が進みすぎてしまい、良好な香味品質が得られない。特に、以下の実施例における量程度のハトムギを処理する場合、処理温度が190℃〜200℃である場合には、処理時間は1分間〜15分間が好ましく、中でも、5分間〜7分間がより好ましい。さらに、処理に用いる高温高圧流体の温度との関係からは、温度が高い場合には短い処理時間が、温度が低い場合には長い有効処理時間となる傾向がある。
上記の処理においては、流体の通気処理及び非通気処理(バッチ処理)のいずれも用いることが出来る。通気処理とは、所定の圧力及び/又は温度の流体でハトムギを処理する際に、排気弁が常に開いた状態で処理を行うこと、或いは、排気弁が半連続的に開いた状態で処理を行うことを言う。より具体的には、流体入口配管及び流体出口配管を有する耐圧の圧力容器中にハトムギを配し、出口配管の弁を常に又は半連続的に開いた状態で、流体を入口配管から出口配管へ流し、圧力容器中のハトムギに連続的に接触させる。上記の通気処理における、高温高圧流体の処理流量は、所望のハトムギ加工品を得ることを許容するような処理流量であれば特に制限されない。処理流量は、原料の単位重量あたりに接触する流体の単位時間当たりの重量によって規定することが出来る。例えば、ハトムギ1kgあたり、0.1〜100kg/hrが好ましい。流体の通気処理の際の流体の流れ方向は特に限定されず、処理するハトムギに対して、上→下方向、下→上方向、外→内方向、内→外方向などとすることが可能である。また、流体の通気処理の際に排出された流体は、所望のハトムギ加工品を得られる限りにおいて、通気した流体を循環し再度通気処理に用いてもよい。排出された流体は、酸味成分や不快臭成分等を含有する。
上記の通気処理の際に排気弁を閉めて同様の処理を行えば、非通気処理(バッチ処理)となる。その他の非通気処理の例として、蒸煮釜(圧力釜)やオートクレーブを用いた処理が挙げられる。例えば、蒸煮では、一般的に、処理対象物を高温高圧流体処理する際に、所定の圧力(または温度)に到達すると、排気弁を閉じて、所定時間の保持を行う。
上記の高温高圧流体処理の際に使用する装置は、特に限定されず、上記の温度及び圧力に耐えられる構造のものであればいかなるものでも使用できる。例えば、前記装置としては、耐圧の反応容器と加熱装置が組み合わされている装置が挙げられる。かかる装置では、液体または気体が加熱装置で加熱され高温高圧状態の液体または気体となって反応容器に送られる。加熱装置は加熱できればいかなるものも使用できる。例えば電気、石油、石炭もしくはガスによる加熱、太陽熱による加熱、地熱による加熱等が挙げられるがこれらに限られない。また、前記装置は単なる耐熱耐圧パイプの類でもよい。反応容器またはパイプの素材は耐圧耐熱性であればよいが、金属等の成分が溶出したり、有毒物質が生成したり、好ましくない臭いが生ずるような材質でないことが好ましい。前記素材としては、無用の反応や腐食、劣化などを防ぐためステンレスなどの素材が好ましいがこれに限定されるものではない。
本発明のハトムギ加工品は、そのまま、又は粉砕して当業者に周知の技術を用いて飲料、菓子、飯類等の飲食品原料に用いることが出来るが、特に好ましい実施態様として、ハトムギ加工品を粉砕し、粉砕した該ハトムギ加工品を溶媒で抽出してハトムギ加工品抽出液を得て、該抽出液を飲料の原料とすることが出来る。
本発明の特に好ましい一態様として、本発明のハトムギ加工品を、飲料の中でも特にブレンド茶の原料の一つとして、所望により他のブレンド原料、液体茶エキスなどと共に用いることが出来る。ブレンド茶は常法により製造することができ、茶飲料製造工場で製造してもよい。或いは、ティーバッグや液体茶エキスなどを調製してもよい。
各種ハトムギを用いて高温高圧水蒸気処理を実施した。処理用ハトムギとして以下の2種を用いた: 1) ハトムギ(非焙煎品、三井物産株式会社、対照品1);2) 焙煎ハトムギ(伊藤忠商事、焙煎度:L35、対照品2)。1) については全粒品を、2) については全粒品又は粉砕品を用いた。粉砕品は、カッターミル(SKL-A250、TIGER製)を用いて、30gを5秒間粉砕する条件で得た。
得られた各種ハトムギ加工品及び対照品について、香りの官能評価を実施した。評価項目として、穀物臭、香ばしい香り、およびコゲ臭を評価した。6人のパネリストによって、感じない(1点)、弱く感じる(2点)、感じる(3点)、強く感じる(4点)、とても強く感じる(5点)の5段階で評価し、平均点によって、以下の表記とした:
コゲ臭および穀物臭:
◎=2点未満、○=2点以上3点未満、△=3点以上4点未満、×=4点以上
香ばしい香り:
◎=4点以上、○=3点以上4点未満、△=2点以上3点未満、×=2点未満。
結果を表1に示す。
従って、原料のハトムギの焙煎の有無や粉砕の有無に関わらず、高温高圧流体による処理を行うことで、焙煎では得られなかった香りの付与・改質が可能であることが分かった。
実施例1で得られた各種加工品を用いて飲料を調製した。各種加工品のうち、形状が全粒のものについてはカッターミル(SKL-A250、TIGER製)を用いて、30gを5秒間粉砕した。粉砕物についてはそのまま用いた。各粉砕品2gをとり、120mlの熱水で5分間抽出し、飲料を得た。
苦味、穀物臭およびコゲ臭:
◎=2点未満、○=2点以上3点未満、△=3点以上4点未満、×=4点以上。
コクおよび香ばしい香り:
◎=4点以上、○=3点以上4点未満、△=2点以上3点未満、×=2点未満。
結果を表2に示す。
従って、原料ハトムギの焙煎の有無や粉砕の有無に関わらず、高温高圧流体による処理を行うことで、得られた加工品を用いた飲料について焙煎では得られなかった香りや味の付与・改質が可能であることが分かった。
全粒の焙煎したハトムギを用いて、温度条件や処理時間が香味に与える影響を詳細に検討した。表3に記載した各条件で、実施例1に準じて各種加工品を製造し、加工品については実施例1に準じた方法で香りを、加工品を用いた飲料については実施例2に準じた方法で香り及び味を評価した。結果を表3に示す。
実施例3で得られた加工品のいくつかについて、コクや旨みに関与する成分の一つである単糖類の含有量を評価した。
実施例3で得られた各種ハトムギ加工品について遊離アミノ態窒素量(FAN)を測定した。試料をカッターミル(SKL-A250、TIGER製)を用いて、30gを5秒間粉砕した。各粉砕品5gをマイヤーにとり、沸騰水添加後90℃ウォーターバスにて15分間静置し、流水冷却後に遠心処理(3500rpm10min)し、ろ紙で濾過した液を調製した。
実施例3で得られた加工品のについて、コゲ臭の成分として知られている5-ヒドロキシメチルフルフラール(5HMF)の含有量を評価した。
Claims (6)
- 以下の(a)及び(b):
(a) グルコースを1.2(mg/g)以上;及び
(b) アミノ態窒素0.16(mg/g)以上;
を含有する、飲食品用ハトムギ加工品。 - 以下の(a’)及び(b’):
(a’) グルコースを1.2〜14.6(mg/g);及び
(b’) アミノ態窒素0.16〜0.49(mg/g);
の一方又は両方を含有する、飲食品用ハトムギ加工品。 - 5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量が3.0mg/g以下である、請求項1又は2に記載のハトムギ加工品。
- ハトムギが全粒ハトムギである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハトムギ加工品。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のハトムギ加工品を、所望により粉砕し、溶媒で抽出して得たハトムギ加工品抽出液を含む、香味の改善された飲料。
- ハトムギを低酸素濃度下、高温高圧流体で、有効処理時間、処理することを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハトムギ加工品の製造方法。
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