JPWO2008053885A1 - ハトムギ加工品 - Google Patents

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Abstract

香味の改善された新規ハトムギ加工品、その抽出液及び飲料を提供する。以下の(a)及び(b):(a) グルコースを1.2(mg/g)以上;及び(b) アミノ態窒素0.16(mg/g)以上;を含有する、飲食品用ハトムギ加工品、以下の(a’)及び(b’):(a’) グルコースを1.2〜14.6 (好ましくは1.9〜6.3)(mg/g);及び(b’) アミノ態窒素0.16〜0.49 (好ましくは0.25〜0.49)(mg/g);の一方又は両方を含有する、飲食品用ハトムギ加工品、その抽出液及び飲料を提供する。

Description

本発明は、新規ハトムギ加工品に関する。より詳しくは、本発明は、香味の改善されたハトムギ加工品に関する。更に本発明は、該ハトムギ加工品の抽出液を含む飲料に関する。
茶飲料を含む飲料や食品に新たな香味を与えるために、原料に特別な処理を施し、加工品とすることが試みられている。このうち、高温高圧流体の活用に基づくアプローチとして、特許文献1は、特にリグニンを含む植物等を特定条件下、高温高圧の液体等で処理し、バニリン含有組成物を得る方法を記載する。特許文献2は、ウロン酸及び/又はウロン酸誘導体を含有する糖化合物含有物を添加有機酸類の存在下で、湿式加圧下の加熱で処理することを記載し、ほうじ茶、タマネギ等を、湿式加圧のゲージ圧1kg/cm2(120℃)で4時間加熱する実施例を記載する。
茶飲料等の原料に用いられる原料の1つとして、ハトムギがある。ハトムギは、イネ科キビ亜科ジュズダマ属の一年生草本(学名: Coix lachryma-jobi var. ma-yuen)であり、ムギという名を有するが、分類上はトウモロコシに近縁の植物である。ハトムギの草本は1〜1.8mに達し、その種子はジュズダマに似て茶褐色の殻(総苞)を有し、ジュズダマより柔らかく縦縞があり、種子の内側に薄茶色の薄皮(護頴,内外頴)に包まれた子実(玄米に相当)がある。ハトムギは、漢方薬(利尿、鎮痛、消炎、滋養強壮、美肌、抗潰瘍、新陳代謝増加等)、ハトムギ茶等に利用され、近年、消費者の間に健康を志向した食品への関心が高まったこともあって、需要が増加している。
ハトムギを飲料等の原料として用いる際の課題として、製造上の課題と、香味品質上の課題が上げられる。前者について、ハトムギは堅い殻、かさ高な薄皮を有することが、食品原料としての利用面からは短所と言われてきた。後者について、ハトムギは不快臭や苦味があると言われ、特に精白より未精白の場合に不快臭が感じられるとも考えられており、このような香味品質上の課題を解決するための方策として、例えば、特許文献2は、ハトムギを発芽させた後に焙焼し、煎出することにより、特有の臭みが無くなり、甘みと適当な苦味と芳香を有し、飲料として好ましくなることを開示する。また、特許文献3は、脱穀したハトムギ又は精白ハトムギを、高圧下で加熱処理し、次いで急激に低圧下に放出して膨化させて不快臭が除去された膨化ハトムギを得ることを開示する。
しかし、これらの方法は、上記製造上の課題と香味品質上の課題を共に解決するには充分とは言えず、飲料等の原料として用いるのにより好ましいハトムギ加工品が求められていた。
WO 2004/039936 特開平11-151068 特公昭40-12391 特公昭55-19073
本発明は、ハトムギの未利用成分の有効活用に基づく香味品質の改善がなされ、香ばしさや甘み・コクを付与する成分に富んだ新規なハトムギ加工品を提供すること目的とする。また、本発明は、このようなハトムギ加工品の抽出液を用いて、コゲ臭・穀物臭や苦味が抑えられる一方で、香ばしさや甘み・コクに優れた飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ハトムギを、特定の条件下、高温高圧流体で処理することにより、ハトムギの未利用成分の有効活用に基づいて香味品質が改善され、穀物臭や苦味が抑えられ、かつ香ばしさや甘み・コクを付与する成分に富んだ、新規なハトムギ加工品を得られることを見出した。また、本発明者らは、このような加工品を飲食品の原料に用いることで、コクや香ばしさの優れた飲料などの飲食品が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の(a)及び(b):
(a) グルコースを1.2(mg/g)以上;及び
(b) アミノ態窒素(FAN)0.16(mg/g)以上;
を含有する、飲食品用ハトムギ加工品を提供する。
本発明はまた、以下の(a’)及び(b’):
(a’) グルコースを1.2〜14.6(mg/g)、好ましくは1.9〜6.3(mg/g);及び
(b’) アミノ態窒素(FAN)0.16〜0.49(mg/g)、好ましくは0.25〜0.49(mg/g);
の一方又は両方、好ましくは両方を含有する、飲食品用ハトムギ加工品を提供する。
本発明はまた、単糖、二糖及び/又はオリゴ糖の含有量が増加した、前記ハトムギ加工品を提供する。
本発明はまた、アミノ酸の含有量が増加した、前記ハトムギ加工品を提供する。
本発明はまた、ハトムギと比較した場合に、以下の(a”)及び(b”):
(a”) 単位重量あたりのグルコース含有量0.6〜14.0mg/gの増加;及び
(b”) 単位重量あたりのアミノ態窒素(FAN)含有量0.04〜0.37 mg/gの増加;
の一方又は両方、好ましくは両方を満たす、飲食品用ハトムギ加工品を提供する。
本発明はまた5-ヒドロキシメチルフルフラール(5HMF)の含有量が3.0mg/g以下、好ましくは2.2mg/g以下、より好ましくは1.2mg/g以下である、前記ハトムギ加工品を提供する。
本発明はまた、香味の改善された、特に、穀物臭及びコゲ臭が減少し、香ばしい香りが増加した、並びに/又はコクが増加し、苦味が減少した、前記ハトムギ加工品を提供する。本発明はまた、ハトムギが全粒ハトムギ、好ましくは全粒焙煎ハトムギである、前記ハトムギ加工品を提供する。
本発明はまた、前記ハトムギ加工品を、所望により粉砕し、溶媒で抽出して得たハトムギ加工品抽出液を含む、香味の改善された飲料を提供する。
本発明はまた、ハトムギを低酸素濃度下、高温高圧流体で、有効処理時間、処理することを含む、前記ハトムギ加工品の製造方法を提供する。
さらに本発明は、前記酸素濃度が、0〜1μg/mLである、前記ハトムギ加工品の製造方法を提供する。
さらに本発明は、前記流体が、脱気した液体由来である、前記ハトムギ加工品の製造方法を提供する。
さらに本発明は、前記高温高圧流体が高温高圧水蒸気、好ましくは高温高圧飽和水蒸気である、前記ハトムギ加工品の製造方法を提供する。
さらに本発明は、前記高温高圧水蒸気が、150℃〜240℃、好ましくは150℃〜210℃、より好ましくは190℃〜200℃である、前記ハトムギ加工品の製造方法を提供する。
さらに本発明は、前記高温高圧水蒸気が、0.1〜3.0Mpa、好ましくは1.1〜1.5Mpaである、前記ハトムギ加工品の製造方法を提供する。
さらに本発明は、前記高温高圧流体の流量が、ハトムギ1kgあたり、0.1〜100kg/hrであり、前記有効処理時間が、約0.5分〜約30分、好ましくは約1分〜約15分である、前記ハトムギ加工品の製造方法を提供する。
実施例4において、対照品4について多糖類分析を行った結果を示すチャートである。 実施例4において、加工品26について多糖類分析を行った結果を示すチャートである。
(ハトムギ)
本明細書中において、特記しない限り、用語「ハトムギ」は、ハトムギの種子を指す。本発明のハトムギ加工品において、「ハトムギ」とはイネ科キビ亜科の一年生草本(学名: Coix lachryma-jobi var. ma-yuen)の種子(果実が黒褐色に成熟する頃(一般に9〜10月頃)に収穫)であり、品種、産地、グレード等は特に限定されない。ハトムギの種子は茶褐色の殻(総苞)を有しており、これは、脱穀により除くことができ、また、該殻の内側の薄茶色の薄皮(護頴,内外頴)は、精白により除くことが出来るが、本発明のハトムギ加工品において、好ましいハトムギは未脱穀ハトムギである。
(ハトムギ加工品)
本明細書中において、「ハトムギ加工品」とは、上記ハトムギそのもの(即ち、ハトムギの種子)に、任意の処理であって、ハトムギ中の水分以外の成分の組成に質的、量的変化をもたらすような処理を施したものを指す。そのような処理としては、例えば、当業者に公知の手法である焙煎、発芽、脱穀、精白及び酵素処理等並びに、以下に詳しく説明するような高温高圧流体処理が挙げられ、これらの処理は、単独で又は2つ以上を組み合わせて若しくは粉砕、割砕及び乾燥処理等と組み合わせて、任意の順序で用いることが出来る。また、そのような処理は、特記しない限り、外部から任意の成分を添加するような処理ではない。ハトムギ加工品として、例えば:乾燥→焙煎→高温高圧流体処理を施したハトムギ加工品;高温高圧流体処理を施したハトムギ加工品;乾燥→焙煎→粉砕→高温高圧流体処理を施したハトムギ加工品;等が挙げられる。好ましくは、本発明のハトムギ加工品は、以下に詳しく説明するような高温高圧流体処理を含む処理を施したものである。
本発明は、このようなハトムギ加工品であって、所望の成分を含有する、香味品質の向上した新規な飲食品用ハトムギ加工品を提供する。
本明細書中、「グルコースを1.2〜14.6mg/g、好ましくは1.9〜6.3mg/g含有する」ハトムギ加工品か否かは、当業者に公知の手法を用いて、例えば、後述の実施例4に記載の方法を用いてグルコース含有量を測定して、判断することが出来る。
本明細書中、アミノ態窒素(FAN)を0.16〜0.49 mg/g、好ましくは0.25〜0.49mg/g含有する」ハトムギ加工品か否かは、当業者に公知の手法を用いて、例えば、後述の実施例5に記載の方法を用いてアミノ態窒素(FAN)含有量を測定して、判断することが出来る。
また、上記ハトムギ加工品のいずれかであって、更に単糖、二糖及び/又はオリゴ糖の含有量が増加したものは、本発明のハトムギ加工品の好ましい一態様である。「単糖、二糖及び/又はオリゴ糖の含有量が増加した」とは、上記の任意の処理(水分以外の成分の組成に質的、量的変化をもたらすような処理)を施す前と比較して、処理後のハトムギ加工品の、単糖、二糖及び/又はオリゴ糖の含有量が増加したという意味である。
ここで、上記単糖としては、グルコース、キシロース等が挙げられる。このうち、グルコースは蔗糖あるいは白糖とも呼ばれ、最も一般的な甘味料である。キシロースは、ペントースの一種であり、甘みのある還元糖であり、ハトムギそのものにおける含有量は非常に少ないか、当業者に一般的な測定方法において検出限界以下である。グルコースの含有量は、甘みが増加した好ましいハトムギ加工品の判断指標となり得るため、ハトムギ加工品のグルコース含有量が、例えば1.2(mg/g)以上であれば、呈味の面で好ましいであろう。また、上記の任意の処理を施す前と比較して、処理後のハトムギ加工品について、単位重量あたりのグルコース含有量0.6〜14.0mg/gの増加があれば、やはり呈味の面で好ましいであろう。
単糖2分子がグリコシド結合により1分子となったものを二糖といい、上記二糖としては、マルトース、等が挙げられる。単糖3分子〜10分子程度が結合したものをオリゴ糖といい、上記オリゴ糖としては、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース等が挙げられる。
ハトムギ加工品中の単糖、二糖及び/又はオリゴ糖含有量の増加は、ハトムギ中のデンプンを加水分解するような処理、例えば、以下により詳しく説明するような、高温高圧流体処理によって起こることが考えられ、こうしてデンプン含有量が減少し、単糖、二糖及び/又はオリゴ糖が増加したハトムギ加工品及びその抽出液には甘みが付与される。
単糖、二糖及び/又はオリゴ糖の含有量は、当業者に公知の手法を用いて測定することができ、例えば、後述の実施例4に記載の方法を用いて測定することができる。単糖、二糖及び/又はオリゴ糖の含有量並びに/或いは検出される単糖、二糖及び/又はオリゴ糖の種類が多ければ、ハトムギ加工品自体又はその抽出液に付与される甘み等が増加し、呈味の面で好ましいハトムギ加工品となると考えられる。
また、上記ハトムギ加工品のいずれかであって、更にアミノ酸の含有量が増加したものは、本発明のハトムギ加工品の好ましい一態様である。「アミノ酸の含有量が増加した」とは、上記の任意の処理を施す前と比較して、処理後のハトムギ加工品の、アミノ酸含有量が増加したという意味である。
ここで、上記アミノ酸は、分子内にアミノ基‐NHとカルボキシ基‐COOHとをもつ化合物のうち、特に天然に見出されるものを指す。例えば、アスパラギン酸、スレオニン、セリン、グルタミン酸、グリシン、アラニン、システィン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、リジン、ヒスチジン、プロリン、アルギニンなどが挙げられる。本発明のハトムギ加工品において、特にアミノ態窒素(FAN)の含有量を規定しているが、ここで、アミノ態窒素(FAN)とは、遊離α-アミノ酸の総量に該当する量であり、アミノ酸の量を反映する値である。アミノ態窒素(FAN)、アミノ酸の含有量は、コクが増加した好ましいハトムギ加工品の判断指標となり得るため、ハトムギ加工品のアミノ態窒素含有量が、例えば0.16(mg/g)以上であれば、呈味の面で好ましいであろう。また、上記の任意の処理を施す前と比較して、処理後のハトムギ加工品について、単位重量あたりアミノ態窒素含有量0.04〜0.37mg/gの増加があれば、やはり呈味の面で好ましいであろう。
また、上記ハトムギ加工品のいずれかであって、更に5-ヒドロキシメチルフルフラール(5HMF)の含有量が減少したものは、本発明のハトムギ加工品の好ましい一態様である。「5-ヒドロキシメチルフルフラール(5HMF)の含有量が減少した」とは、上記の任意の処理を施す前と比較して、処理後のハトムギ加工品の、5HMF含有量が減少したという意味である。
ここで、5HMFは、コゲ臭の成分として知られており、その含有量は、当業者に公知の手法を用いて測定することができ、例えば、後述の実施例6に記載の方法を用いて測定することができる。本発明のハトムギ加工品において、コゲ臭の問題が生じないという観点からは、5HMF含有量が3.0mg/g以下、好ましくは2.2mg/g以下、より好ましくは1.2mg/g以下であることが望ましい。
(高温高圧流体処理)
上記のハトムギ加工品を得るためのハトムギの処理方法の1つに、高温高圧流体処理がある。より詳しくは、高温高圧流体処理とは、ハトムギ等を低酸素濃度下、高温高圧流体で、有効処理時間、処理することを含む、処理方法である。
(高温高圧流体処理用ハトムギ)
上記高温高圧流体処理において、処理中の溶融成分の系外への流出とそれに伴う回収ロス、品質の不均一化、装置への負荷、また、処理後の処理装置への該成分の強固な固着を回避するという観点からは、上記の処理に用いるハトムギは、脱穀、精白をしない、殻付きのものが好ましい。硬い殻の内部成分をより効率的に抽出させるために粉砕処理を事前に施すことが通常行われるが、上記理由により、上記の処理に用いるハトムギは、粉砕工程を経ない全粒ハトムギが好ましい。全粒ハトムギを用いれば、上記の処理後の原料の装置への固着がほとんどなく、ハトムギ加工品を回収しやすい。また、処理後に排出された流体中への、香ばしさ、甘み、コク等の好ましい香味等に寄与する成分の流出は抑えられ、一方で、刺激的で好ましくない香りや苦味等に寄与する成分をハトムギから除去することは可能になると考えられる。上記の処理に用いるハトムギは、生の状態、乾燥処理後の状態、これらを焙煎処理後の状態であることが出来る。得られるハトムギ加工品の香味に着目して、特に焙煎処理を施した焙煎ハトムギを用いることが出来る。
(焙煎)
焙煎処理における焙煎機、焙煎方法、焙煎度は特に限定されない。一般的な焙煎機として、水平(横)ドラム型焙煎機等があり、焙煎方法は、加熱方法で分類すると、直火、熱風、遠赤外線、マイクロウェーブなどの方法がある。例えば、プロバット焙煎機MB-2CODR-APを用い、約200℃で約15分焙煎して焙煎ハトムギを得ることができる。穀物の焙煎度を定義する指標として、L値(明度)が一般的に用いられる。上記の処理方法において、例えば、L20(焙煎度高)〜L50(焙煎度低)、L30〜L35のL値の焙煎ハトムギを用いることができる。
(流体)
上記の処理で用いられる流体としては、例えば液体、気体、超臨界流体、亜臨界流体などが挙げられる。
液体としては、例えば、蒸留水、脱塩水、水道水、アルカリイオン水、海洋深層水、イオン交換水、脱酸素水あるいは水溶性の有機化合物(例えば、アルコール等)や無機塩類を含む水などが挙げられるが、これらに限定されない。
気体としては、上述の液体の蒸気(水蒸気、アルコール蒸気など)が挙げられる。上記の処理に用いられる水蒸気は、作業性、操作性の観点から、飽和水蒸気が好ましいが、これに限定されず、過熱水蒸気、過飽和水蒸気なども用いることができる。また、蒸気の発生装置は特に限定されず、蒸気ボイラー、和釜などを用いることができる。蒸気の水質は、純水から発生させた蒸気であるピュアスチームが好ましいが、食品の処理に使用可能な水質であればよく、特に限定されず、上述の液体の蒸気を、装置への負担を考慮した上で適宜用いることができる。また、処理後のハトムギ加工品の品質が許容される範囲であれば、気体は一部循環させて使用してもよい。
また、流体としては、上述の液体や気体の他に、超臨界流体または亜臨界流体等が含まれる。ある特定の圧力と温度(臨界点)を越えると、気体と液体の境界面が消失して両者が渾然一体となった流体の状態を維持する範囲が存在する。こうした流体を超臨界流体といい、気体と液体の中間の性質を持つ高密度の流体となる。亜臨界流体とは、臨界点よりも圧力および温度が低い状態の流体である。
(低酸素濃度)
上記の処理における酸素濃度は、低酸素濃度であり、好ましくは0〜1μg/mLの酸素濃度である。本発明においては、公知手段を用いてかかる低酸素状態にすることができる。例えば、上記の処理に用いる流体として、脱気した(空気を除去した)液体を用いることにより前記低酸素状態にすることができるし、また、脱気した液体の代わりに、酸素を除去できる物質を予め添加した液体などを用いることもできる。また、上記処理前に、酸素濃度約0〜1μg/mLの気体で処理雰囲気内を置換することによっても、前記低酸素状態にすることができる。ここで、酸素濃度約0〜1μg/mLの気体としては、特に限定されないが、窒素などの不活性ガス、二酸化炭素または脱酸素した気体であることが好ましい。脱酸素した気体としては、脱気した液体を沸騰させて得られる気体などが挙げられる。上記処理中の酸素濃度は、公知の方法で測定することができ、例えば通常の溶存酸素計(DOメータ)によって測定することができる。
(処理温度)
上記処理時の流体の温度は、ハトムギの香味品質の改善という本発明の目的が達せられる温度であれば特に限定されない。例えば、約100℃以上が好ましく、中でも150℃〜240℃が望ましい。処理温度が150℃未満であると香ばしさやコク・甘みの付与に寄与する成分の増大効果が少なく、また、240℃より高い場合、コゲ臭が強くなり、香味の設計によってはハトムギ加工品として好ましくなくなる場合がある。前記温度範囲のうち150℃〜210℃が好ましく、特に、190℃〜200℃の範囲とすることが望ましい。
(処理圧力)
また、上記の処理時の流体の圧力は、ハトムギの香味品質の改善という本発明の目的が達せられる圧力であれば特に限定されない。例えば、約0.1〜3.0MPaであることが好ましい。また、上記の処理においては、圧力が飽和水蒸気圧であることが好ましい。なお、本明細書で「圧力」というときは「ゲージ圧力」を意味する。従って、例えば「圧力0.1MPa」は絶対圧力に換算すると、大気圧に0.1MPaを加えた圧力となる。この範囲(約0.1〜3.0MPa)であれば、コゲ臭を抑えつつ、コクや甘みをハトムギ加工品に付与することができる。また、前記圧力は約0.35 MPa〜1.8 MPaがより好ましく、特に1.1 MPa〜1.5MPaの範囲が好ましい。
高温高圧水蒸気として飽和水蒸気を用いる場合、温度条件と圧力条件は、対応関係にあり、上記温度の範囲、150℃〜210℃に相当する、約0.35 MPa〜1.8 MPaであることが望ましい。
(有効処理時間)
上記の処理における有効処理時間は、所望のハトムギ加工品を得ることを許容するような処理時間であり、例えば約1秒間〜60分間であり、好ましくは約0.5分間〜約30分間であり、より好ましくは1分間〜15分間である。処理時間が短すぎると、ハトムギ加工品に対する香味向上効果が少なく、また、処理時間が長すぎると、水熱反応が進みすぎてしまい、良好な香味品質が得られない。特に、以下の実施例における量程度のハトムギを処理する場合、処理温度が190℃〜200℃である場合には、処理時間は1分間〜15分間が好ましく、中でも、5分間〜7分間がより好ましい。さらに、処理に用いる高温高圧流体の温度との関係からは、温度が高い場合には短い処理時間が、温度が低い場合には長い有効処理時間となる傾向がある。
(通気処理)
上記の処理においては、流体の通気処理及び非通気処理(バッチ処理)のいずれも用いることが出来る。通気処理とは、所定の圧力及び/又は温度の流体でハトムギを処理する際に、排気弁が常に開いた状態で処理を行うこと、或いは、排気弁が半連続的に開いた状態で処理を行うことを言う。より具体的には、流体入口配管及び流体出口配管を有する耐圧の圧力容器中にハトムギを配し、出口配管の弁を常に又は半連続的に開いた状態で、流体を入口配管から出口配管へ流し、圧力容器中のハトムギに連続的に接触させる。上記の通気処理における、高温高圧流体の処理流量は、所望のハトムギ加工品を得ることを許容するような処理流量であれば特に制限されない。処理流量は、原料の単位重量あたりに接触する流体の単位時間当たりの重量によって規定することが出来る。例えば、ハトムギ1kgあたり、0.1〜100kg/hrが好ましい。流体の通気処理の際の流体の流れ方向は特に限定されず、処理するハトムギに対して、上→下方向、下→上方向、外→内方向、内→外方向などとすることが可能である。また、流体の通気処理の際に排出された流体は、所望のハトムギ加工品を得られる限りにおいて、通気した流体を循環し再度通気処理に用いてもよい。排出された流体は、酸味成分や不快臭成分等を含有する。
(非通気処理)
上記の通気処理の際に排気弁を閉めて同様の処理を行えば、非通気処理(バッチ処理)となる。その他の非通気処理の例として、蒸煮釜(圧力釜)やオートクレーブを用いた処理が挙げられる。例えば、蒸煮では、一般的に、処理対象物を高温高圧流体処理する際に、所定の圧力(または温度)に到達すると、排気弁を閉じて、所定時間の保持を行う。
(処理装置)
上記の高温高圧流体処理の際に使用する装置は、特に限定されず、上記の温度及び圧力に耐えられる構造のものであればいかなるものでも使用できる。例えば、前記装置としては、耐圧の反応容器と加熱装置が組み合わされている装置が挙げられる。かかる装置では、液体または気体が加熱装置で加熱され高温高圧状態の液体または気体となって反応容器に送られる。加熱装置は加熱できればいかなるものも使用できる。例えば電気、石油、石炭もしくはガスによる加熱、太陽熱による加熱、地熱による加熱等が挙げられるがこれらに限られない。また、前記装置は単なる耐熱耐圧パイプの類でもよい。反応容器またはパイプの素材は耐圧耐熱性であればよいが、金属等の成分が溶出したり、有毒物質が生成したり、好ましくない臭いが生ずるような材質でないことが好ましい。前記素材としては、無用の反応や腐食、劣化などを防ぐためステンレスなどの素材が好ましいがこれに限定されるものではない。
なお、上述したような処理装置を用いた場合には、流体処理前に酸素濃度0〜1μg/mLの気体で処理装置の容器内を置換するのが好ましい。装置は、横型や縦型、バッチ式や連続式の装置を用いることができ、例えば、後述の実施例中で用いるような装置を用いることができる。
上記高温高圧水蒸気処理ののちに、さらに公知の処理を付加してもよい。例えば、乾燥処理を付加する場合、高温高圧水蒸気処理終了後、反応容器を脱気し、真空にして15〜30分程度保持し、真空乾燥を行うことが出来る。
香味の面で好ましいものとなった本発明のハトムギ加工品は、冷却、乾燥(真空乾燥、熱風乾燥など)を行った後、常法によって、サイロなどに保管することができる。
(ハトムギ加工品抽出液、飲料)
本発明のハトムギ加工品は、そのまま、又は粉砕して当業者に周知の技術を用いて飲料、菓子、飯類等の飲食品原料に用いることが出来るが、特に好ましい実施態様として、ハトムギ加工品を粉砕し、粉砕した該ハトムギ加工品を溶媒で抽出してハトムギ加工品抽出液を得て、該抽出液を飲料の原料とすることが出来る。
ハトムギ加工品抽出液を得る際のハトムギ加工品の粉砕の程度は、当業者であれば作業効率や所望の抽出液の濃度を基準に適宜容易に決定することができる。粉砕の程度が高すぎると、抽出液を得るために加工品粉砕物の濾過をする際、時間がかかり、好ましくない。粉砕の程度が低いと、抽出の程度が充分でない。例えば、後述の実施例2に記載のように、形状が全粒のものについてはカッターミル(SKL-A250、TIGER製)を用いて、30gを5秒間粉砕したものを、粉砕物についてはそのままのものを、ハトムギ加工品抽出液を得る際に用いることができる。
ハトムギ加工品抽出液を得る際の溶媒は、抽出に適する任意の溶媒であれば特に限定されないが、好ましくは水性溶媒であり、最も簡便には、水を用いることが出来る。水は、食品の処理に使用可能な水質であればよく、例えば、蒸留水、脱塩水、水道水、アルカリイオン水、海洋深層水、イオン交換水、脱酸素水あるいは水溶性の有機化合物(例えば、アルコール等)や無機塩類を含む水などを用いることが出来る。抽出の際、必要に応じて、重曹やビタミンC等、抽出効率を上げるために効果的な物質があれば、それらを添加しても良い。抽出液を得る際の、抽出温度、抽出時間等、抽出条件は、当業者であれば適宜設定でき、例えば実施例2に記載の条件を用いて抽出を行うことが出来る。
また、上記ハトムギ加工品抽出液は、ハトムギそのもの又は本発明のハトムギ加工品でないハトムギ加工品について同様の条件で抽出して得られた抽出液と比較して、香味が向上している、すなわち、不快臭が減少し、香ばしい香りが増加し、並びに/又はコクが増加し、苦味が減少している、という特徴を有する。このような特徴を有するか否かは、例えば後述の実施例2に記載のような官能試験によって判断することが出来る。または、香味に関与する特定の成分(例えば、上述のオリゴ糖等の糖類、アミノ酸等の呈味成分など)、不快臭、苦味に関与する特定の成分(例えば、上述の5-ヒドロキシメチルフルフラールなど)の含有量を測定することによっても判断することができる。
特に、上記ハトムギ加工品抽出液は、ハトムギそのもの又は本発明のハトムギ加工品でないハトムギ加工品について同様の条件で抽出して得られた抽出液と比較して、抽出液中の糖類、特に、10個程度の単糖が結合した糖(オリゴ糖)が増加するという特徴を有する。これは、ハトムギ中のデンプンが水熱反応によって加水分解したためと考えられ、このことによりハトムギ加工品抽出液及び該抽出液を用いた飲料に独特の香味が付与される。抽出液中の糖類は、当業者に公知の手法を用いて測定することができ、例えば、後述の実施例4に記載の方法を用いて測定することができる。
上記ハトムギ加工品抽出液を用いて、当業者に公知の手法を用いて飲料を製造することが出来る。該飲料は、飲料に通常用いられる添加剤を適宜含むことができ、例えば、水、アルコール類、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、乳化剤、酸味料、糖類、甘味料、酸味料、果汁・野菜エキス類、花蜜エキス類、茶エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を単独、あるいは組み合わせて含むことが出来る。
(ブレンド茶)
本発明の特に好ましい一態様として、本発明のハトムギ加工品を、飲料の中でも特にブレンド茶の原料の一つとして、所望により他のブレンド原料、液体茶エキスなどと共に用いることが出来る。ブレンド茶は常法により製造することができ、茶飲料製造工場で製造してもよい。或いは、ティーバッグや液体茶エキスなどを調製してもよい。
ここで、「ブレンド茶」とは、複数の茶葉や穀物を使用している主に無糖のお茶全般を指す(最新・ソフトドリンクス、光琳 平成15年9月30日発行)。すなわち、麦類のみを原料として用いたいわゆる「麦茶」においても、上記定義においては「ブレンド茶」に含まれる。「ブレンド茶」では複数の原料、特に穀物系の原料を中心にこれを「茶」を含む葉ものの原料と混合して使用することが一般的に行われる。そのことにより、単一種では表現できないさまざまな味を表現することが可能であり、また数種類の自然素材の成分を摂取できる。原料は大雑把に、植物原料とその他の原料(菌類など)に分けられ、植物の場合は穀物など種子を利用する場合(ハトムギ、オオムギ、玄米、大豆、とうもろこし等)、葉を使用する場合(茶、柿の葉、ビワの葉、クマザサ、アマチャヅル等)、その他の部位(茎、花びらなど)を使用する場合(コンブ、ベニバナ等)がある。一方、その他原料として使用されるものとしては、しいたけ、レイシ等が挙げられる。ブレンド茶の製造工程はPET容器においては「抽出」→「清澄・冷却」→「分離」→「殺菌・冷却」→「充填・密封」、金属容器においては「抽出」→「清澄・冷却」→「分離」→「充填・密封」→「殺菌・冷却」が一般的である(以上、最新・ソフトドリンクス、光琳 平成15年9月30日発行参照)。
本発明のハトムギ加工品をブレンド茶の製造に用いることにより、ハトムギについて知られる各種の薬効(利尿、鎮痛、消炎、滋養強壮、美肌、抗潰瘍、新陳代謝増加等)をブレンド茶に付与することが期待できるのみならず、不快臭・苦味が抑えられ、香ばしさ、甘み・コクの向上したブレンド茶を得ることができる。
以下、本発明について、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例中、ハトムギに高温高圧水蒸気処理を施したものを、便宜上「(ハトムギ)加工品」と呼ぶことがある。
実施例1 ハトムギ加工品の製造と香りの評価
各種ハトムギを用いて高温高圧水蒸気処理を実施した。処理用ハトムギとして以下の2種を用いた: 1) ハトムギ(非焙煎品、三井物産株式会社、対照品1);2) 焙煎ハトムギ(伊藤忠商事、焙煎度:L35、対照品2)。1) については全粒品を、2) については全粒品又は粉砕品を用いた。粉砕品は、カッターミル(SKL-A250、TIGER製)を用いて、30gを5秒間粉砕する条件で得た。
各原料について、高温湿熱処理試験装置(株式会社日阪製作所製:HTS-25/140-8039)、高圧蒸気ボイラー(三浦工業株式会社製:FH-100)を用いて、以下の手順で高温高圧水蒸気処理を行った。SUS316合金製12Lの内槽に、処理用ハトムギを4kg(全粒品の場合)または60g(粉砕品の場合)を入れ、SUS316合金製耐熱耐圧容器(30L)内にて密閉した。脱酸素装置(三浦工業株式会社製:DOR-1000P)により除酸素した水(酸素濃度0.3μg/ml)を用いて発生させた高温高圧飽和蒸気(2.7MPa、230℃)を約1秒間送り込むことにより容器内の空気を置換した。ついで、表1に示すように、150℃、0.35 Mpa〜210℃、1.8 MPaの各温度・圧力条件にて、処理時間を1分間〜5分間として、連続的に飽和水蒸気を通気させる方法で高温高圧水蒸気処理を行った。いずれも、脱気後、反応容器を真空にして15分間保持し、真空乾燥を行って、表1に記載の各種ハトムギ加工品を得た。
(加工品の香りの官能評価)
得られた各種ハトムギ加工品及び対照品について、香りの官能評価を実施した。評価項目として、穀物臭、香ばしい香り、およびコゲ臭を評価した。6人のパネリストによって、感じない(1点)、弱く感じる(2点)、感じる(3点)、強く感じる(4点)、とても強く感じる(5点)の5段階で評価し、平均点によって、以下の表記とした:
コゲ臭および穀物臭:
◎=2点未満、○=2点以上3点未満、△=3点以上4点未満、×=4点以上
香ばしい香り:
◎=4点以上、○=3点以上4点未満、△=2点以上3点未満、×=2点未満。
結果を表1に示す。
Figure 2008053885
官能評価の結果、高温高圧水蒸気処理を行わない非焙煎品や焙煎品(対照品1、対照品2)で認められていた穀物臭が、高温高圧水蒸気処理を行った加工品では軽減または消失していた。また、香ばしい香りについては、高温高圧水蒸気処理を行わない非焙煎品や焙煎品に比べて、高温高圧水蒸気処理を行った加工品ではいずれも強くなっていた。また、今回試験した条件の範囲では、コゲ臭に関する問題は生じなかった。
従って、原料のハトムギの焙煎の有無や粉砕の有無に関わらず、高温高圧流体による処理を行うことで、焙煎では得られなかった香りの付与・改質が可能であることが分かった。
実施例2 ハトムギ加工品を用いた飲料の香味評価
実施例1で得られた各種加工品を用いて飲料を調製した。各種加工品のうち、形状が全粒のものについてはカッターミル(SKL-A250、TIGER製)を用いて、30gを5秒間粉砕した。粉砕物についてはそのまま用いた。各粉砕品2gをとり、120mlの熱水で5分間抽出し、飲料を得た。
得られた飲料について抽出直後に官能評価を実施した。評価項目として、味(コク、苦味)および香り(穀物臭、香ばしい香り、コゲ臭)を評価した。6人のパネリストによって、感じない(1点)、弱く感じる(2点)、感じる(3点)、強く感じる(4点)、とても強く感じる(5点)の5段階で評価し、平均点によって、以下の表記とした:
苦味、穀物臭およびコゲ臭:
◎=2点未満、○=2点以上3点未満、△=3点以上4点未満、×=4点以上。
コクおよび香ばしい香り:
◎=4点以上、○=3点以上4点未満、△=2点以上3点未満、×=2点未満。
結果を表2に示す。
Figure 2008053885
官能評価の結果、高温高圧水蒸気処理を行わない非焙煎品や焙煎品(対照品1、対照品2)を用いた飲料で認められていた穀物臭が、高温高圧水蒸気処理を行った加工品を用いた飲料では軽減または消失していた。また、香ばしい香りやコクについては、高温高圧水蒸気処理を行わない非焙煎品や焙煎品を用いた飲料に比べて、高温高圧水蒸気処理を行った加工品を用いた飲料ではいずれも強くなっていた。また、今回試験した条件の範囲では、飲料のコゲ臭や苦味の問題は生じなかった。
従って、原料ハトムギの焙煎の有無や粉砕の有無に関わらず、高温高圧流体による処理を行うことで、得られた加工品を用いた飲料について焙煎では得られなかった香りや味の付与・改質が可能であることが分かった。
実施例3 ハトムギ加工品の製造と香りの評価
全粒の焙煎したハトムギを用いて、温度条件や処理時間が香味に与える影響を詳細に検討した。表3に記載した各条件で、実施例1に準じて各種加工品を製造し、加工品については実施例1に準じた方法で香りを、加工品を用いた飲料については実施例2に準じた方法で香り及び味を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2008053885
試験した温度範囲において、処理時間を調節することにより、加工品及び飲料について、穀物臭の軽減や良好な香りの増加といった影響が認められ、飲料について、味への良好な影響が認められた。中でも190℃〜200℃の温度範囲では、特に良好な香味の加工品や飲料が得られた。
以上より、150℃〜210℃の温度範囲において、高温高圧流体による処理時間を調節することにより、焙煎では得られなかった香りや味の付与・改質が可能であることや、香味の調節が可能であることが分かった。
実施例4 ハトムギ処理品中の糖類の評価
実施例3で得られた加工品のいくつかについて、コクや旨みに関与する成分の一つである単糖類の含有量を評価した。
試料をカッターミル(SKL-A250、TIGER製)を用いて、30gを5秒間粉砕した。各粉砕品10gを200mlマイヤーにとり、沸騰水100ml添加後90℃ウォーターバスにて15分間静置し、流水冷却後に遠心処理(3500rpm、10min)し、ろ紙で濾過後、液体クロマトグラフィーで分析した。詳細な分析条件は、表4に示す。また、5種類の糖類(キシロース、グルコース、マルトース、マルトトリオースおよびマルトテトラオース)について調べた結果を表5に示す。
Figure 2008053885
Figure 2008053885
対照品では認められないか、認められたとしても非常に低含量であった各糖類が、高温高圧流体で処理した加工品で新たに生成していた。中でも、単糖類であるキシロース(低カロリー甘味料)やグルコース(甘味料)は比較的低温域の処理温度(150℃)でも生成が認められた。また、二糖〜四糖類のマルトース、マルトトリオースおよびマルトテトラオースについては、高温域の処理温度(200℃)で生成が認められた。
また、代表的な甘味料であるグルコースについて、複数の加工品における含有量を評価した結果を表6に示す。
Figure 2008053885
対照品では認められないか、認められたとしても非常に低含量であったグルコースは高温高圧水蒸気処理した加工品に、1.2〜14.6(mg/g)程度含まれていることが分かった。
また対照品4(焙煎ハトムギ(全粒品))および加工品26(焙煎ハトムギ(全粒品)200℃、5分)について、多糖類分析を行った。上記5種類の糖類についての分析と同様に処理した試料について、表7に示す分析条件で定性分析を行った。
Figure 2008053885
結果を図1および図2に示す。加工品26には、対照品4とは異なり、検出時間30minごろにピークが発生することがわかった。このピークの存在から、加工品26中には、グルコース換算で10鎖程度のオリゴ糖が存在することが示唆された。
したがって、ハトムギを高温高圧流体で処理することで、各種糖類を生成し、コクを付与することができ、且つ処理条件を調整することで味のバランスを制御することが可能であることが分かった。
実施例5 ハトムギ加工品中のアミノ態窒素(FAN)の評価
実施例3で得られた各種ハトムギ加工品について遊離アミノ態窒素量(FAN)を測定した。試料をカッターミル(SKL-A250、TIGER製)を用いて、30gを5秒間粉砕した。各粉砕品5gをマイヤーにとり、沸騰水添加後90℃ウォーターバスにて15分間静置し、流水冷却後に遠心処理(3500rpm10min)し、ろ紙で濾過した液を調製した。
更に適度に希釈したのち、リン酸緩衝液とTNBS溶液を加え、所定時間、所定濃度で保持した後、反応停止液を加え、吸光度を測定した(分光光度計波長340nm)。この吸光度を既知濃度のグリシン標準水溶液から求められた検量線に照らし合わせて、サンプル中のFAN(α-アミノ態窒素濃度(ppm))を算出し、単位重量あたりの量を求めた。結果を表8に示す。
Figure 2008053885
ハトムギ中のFANは通常の焙煎操作では減少する。これは、メイラード反応など、アミノ酸の消失を伴う反応が進行するためと考えられる。しかしながら、高温高圧水蒸気処理ではアミノ酸は増加することが分かった。実施例2において茶飲料の味の評価が良かった加工品におけるFANは0.16〜0.49mg/gの範囲であった。FANは遊離α−アミノ酸の総量に該当する量であり、食品にコクや旨みを与えるアミノ酸の量を反映する値である。高温高圧流体による処理をすることで、焙煎操作では得られないアミノ酸が生成し、飲料のコクの付与に寄与することが分かった。
実施例6 ハトムギ処理品中の5-ヒドロキシメチルフルフラールの評価
実施例3で得られた加工品のについて、コゲ臭の成分として知られている5-ヒドロキシメチルフルフラール(5HMF)の含有量を評価した。
試料をカッターミル(SKL-A250、TIGER製)を用いて、30gを5秒間粉砕した。各粉砕品10gを200mlマイヤーにとり、沸騰水100ml添加後90℃ウォーターバスにて15分間静置し、流水冷却後に遠心処理(3500rpm、10min)し、ろ紙で濾過後、液体クロマトグラフィーで分析した。詳細な分析条件を表9に示す。結果を表10に示す。
Figure 2008053885
Figure 2008053885
高温領域で比較的長時間処理した試料で5HMFの含有量が増加した。この結果は実施例3のコゲ臭の評価と同傾向であった。両結果を合わせて考えると、5HMFの含有量は、だいたい3.0mg/g以下であることが好ましいと考えられ、高温高圧流体による処理を施す場合の処理条件の上限を考慮する指標になると考えられた。

Claims (6)

  1. 以下の(a)及び(b):
    (a) グルコースを1.2(mg/g)以上;及び
    (b) アミノ態窒素0.16(mg/g)以上;
    を含有する、飲食品用ハトムギ加工品。
  2. 以下の(a’)及び(b’):
    (a’) グルコースを1.2〜14.6(mg/g);及び
    (b’) アミノ態窒素0.16〜0.49(mg/g);
    の一方又は両方を含有する、飲食品用ハトムギ加工品。
  3. 5-ヒドロキシメチルフルフラールの含有量が3.0mg/g以下である、請求項1又は2に記載のハトムギ加工品。
  4. ハトムギが全粒ハトムギである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハトムギ加工品。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のハトムギ加工品を、所望により粉砕し、溶媒で抽出して得たハトムギ加工品抽出液を含む、香味の改善された飲料。
  6. ハトムギを低酸素濃度下、高温高圧流体で、有効処理時間、処理することを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハトムギ加工品の製造方法。
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