JPWO2008047547A1 - 新規化合物及びそれを含む組成物並びに重合性アミドの製造方法 - Google Patents

新規化合物及びそれを含む組成物並びに重合性アミドの製造方法 Download PDF

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Abstract

歯科用組成物に好適な重合性基、カルボキシル基及びリン酸基を有する下記一般式(1)で示される新規化合物(I)が提供される。また、カルボン酸とアミンの縮合反応を容易に進行させることができ、安全性が優れた重合性アミドの製造方法が提供される。[式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して水素原子、又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、(A)及び(B)は任意の構成単位であり、mは1〜3の整数であり、nは1〜3の整数であり、R4は、置換基を有してもよい炭素数1〜40の有機基であり、R5は、置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、R6及びR7は、それぞれ独立して水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基、又は金属原子である。]

Description

本発明は、重合性基、カルボキシル基及びリン酸基を有する化合物及びそれを含む組成物に関する。また、トリアジン系縮合剤を用いてカルボン酸とアミンを縮合反応させ、重合性アミドを製造する方法に関する。
歯の欠損部に修復物を充填又は被覆する際には、通常、歯科用接着剤が用いられる。歯科用接着剤としては、重合性基及びリン酸基を有する化合物を配合したものが知られている。
例えば、特開2006−76973号公報(特許文献1)には、2−メタクリロイルオキシエチルリン酸のようなメタクリロイル基及びリン酸基を有する酸性基含有ラジカル重合性単量体を配合した歯質接着用の光重合型接着剤が、エナメル質及び象牙質に対して高い歯質接着性能を有することが報告されている。しかしながら、必ずしも接着強度が十分であるというわけではなかった。
また、歯科材料・器械 Vol.17 No.2 120-125 (1998)(非特許文献1)には、分子内にメタクリロイル基を有し、メチレン鎖長の異なるアミノ酸誘導体であるN−メタクリロイル−ω−アミノ酸(以下「NMωA」と略記することがある)について記載されている。このNMωAをプライマーとして象牙質コラーゲンに作用させると、NMωAのメチレン鎖長が長くなるにつれて、NMωAと象牙質コラーゲンとの相互作用が増大するとともに、象牙質とコンポジットレジンとの接着強度が良好となるとされている。しかしながら、接着強度に関してさらなる材料の改良が望まれていた。
ここで、象牙質に対してこのような歯科用接着剤を作用させた場合には、象牙質表面を酸性成分で溶かす脱灰作用、モノマー成分が象牙質のコラーゲン層に浸透する浸透作用、及び浸透したモノマー成分が固まってコラーゲンとのハイブリッド層(以下、「樹脂含浸層」と呼ぶことがある)を形成する硬化作用を有することが重要である。
現在までに上記脱灰作用、上記浸透作用、及び上記硬化作用を順に適用する3液3ステップ型から、上記脱灰作用と上記浸透作用を統一した2液2ステップ型、さらに上記脱灰作用、上記浸透作用、及び上記硬化作用を全て集約した1液1ステップ型へと歯科用接着剤の使用態様を簡略化する検討が行われている。いずれの使用態様においても接着性に優れた歯科用接着剤として使用可能な化合物が求められている。
また、歯科用接着剤として使用可能な上記化合物を含め、アミド結合やエステル結合を有する化合物は機能的に重要である場合が多い。そのような化合物を合成する方法として、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下「DCC」と略すことがある)に代表されるカルボジイミド系の縮合剤を用いて、カルボン酸とアミンからアミド結合を有する化合物を製造する方法や、カルボン酸とアルコールからエステル結合を有する化合物を製造する方法等が報告されている。
例えば、特開2004−131468号公報(特許文献2)には、DCCを用いてカルボン酸とアルコールを脱水縮合してアクリル酸エステルホスホン酸を製造する方法が記載されている。
しかしながら、上記DCCに代表されるカルボジイミド系の縮合剤を用いた方法では以下のような問題があった。(1)反応系内に水が多量に存在する場合には、反応の進行が阻害される。(2)反応溶媒としてアルコールを用いた場合には、アルコールとカルボン酸が縮合するという副反応が生じる。(3)カルボン酸やアミンが遊離のヒドロキシ基を有する場合、その遊離のヒドロキシ基とカルボン酸が縮合するという副反応が起こる。(4)DCCはカルボン酸とアミンの双方と反応するため、通常、DCCとカルボン酸とを反応させてからアミンを添加するが、添加のタイミングによっては得られるアミド結合を有する化合物の収率が低下してしまう。(5)カルボジイミド系の縮合剤は皮膚かぶれ等を引き起こしやすく取り扱いには注意が必要である。
特開2006−76973号公報 特開2004−131468号公報 歯科材料・器械 Vol.17 No.2 120-125 (1998)
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、歯科用組成物に好適な重合性基、カルボキシル基及びリン酸基を有する新規化合物(I)を提供することを目的とするものである。また、カルボン酸とアミンの縮合反応を容易に進行させることができ、安全性が優れた重合性アミドの製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題は、下記一般式(1)で示される化合物(I)を提供することによって解決される。
Figure 2008047547
[式中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、シアノ基又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、(A)及び(B)は任意の構成単位であり、Aは、−CONH−、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−CHO−、−CHS−、−CO−、−CCONH−、−CNHCO−、−CCOO−、−COCO−及び−CONHCO−からなる群から選択される1種であり、Bは、−CONH−、−NHCO−、−COO−及び−OCO−からなる群から選択される1種であり、mは1〜3の整数であり、nは1〜3の整数であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜40の有機基であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基、又は金属原子である。]
このとき、R及びRが水素原子であり、Rが水素原子又はメチル基であることが好適であり、Aが、−CONH−又は−COO−であることが好適であり、Bが、−CONH−であることが好適である。Rが、−CH−Ph−、−CH(CH)−及び−CH−からなる群から選択される1種であることが好適である。また、化合物(I)を含む組成物であることが好適な実施態様である。化合物(I)と、前記化合物(I)以外の、前記化合物(I)と共重合可能な重合性単量体(II)を含むことが好適であり、前記重合性単量体(II)が(メタ)アクリレート化合物であることが好適である。重合開始剤(III)を含むことが好適であり、重合促進剤(IV)を含むことが好適である。フィラー(V)を含むことが好適であり、溶媒(VI)を含むことが好適であり、溶媒(VI)が水(VII)を含むことが好適である。
このような化合物(I)を含む組成物の好適な実施態様は歯科用組成物であり、特にプライマー、ボンディング材、セメント又はコンポジットレジンとして好適である。
また、化合物(I)の製造方法としては、下記一般式(2)で示されるカルボン酸(a1)と、下記一般式(3)で示されるアミン(b1)とを縮合反応させる方法が好適なものとして提供される。
Figure 2008047547
[式中、R、R、R、R、(A)、m及びnは、前記式(1)と同じである。]
Figure 2008047547
[式中、R、R及びRは、前記式(1)と同じである。]
このとき、カルボン酸(a1)が、(メタ)アクリル基を含むことが好適であり、前記縮合反応に用いる縮合剤が、トリアジン系縮合剤であることが好適である。
また、下記一般式(4)で示される酸ハライド(a2)と、下記一般式(3)で示されるアミン(b1)とを反応させて得る化合物(I)の製造方法を提供することが好適である。
Figure 2008047547
[式中、R、R、R、R、(A)、m及びnは、前記式(1)と同じであり、Xはハロゲン原子である。]
Figure 2008047547
[式中、R、R及びRは、前記式(1)と同じである。]
このとき、酸ハライド(a2)が、(メタ)アクリル基を含むことが好適であり、アミン(b1)が、アミノ酸のリン酸エステルであることが好適であり、アミン(b1)が、ホスホセリン、ホスホスレオニン及びホスホチロシンからなる群から選択される1種であることが好適である。
また、上記課題は、下記一般式(5)で示される化合物(VIII)を提供することによっても解決される。
Figure 2008047547
[式中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、シアノ基又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、(A)及び(B)は任意の構成単位であり、Aは、−CONH−、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−CHO−、−CHS−、−CO−、−CCONH−、−CNHCO−、−CCOO−、−COCO−及び−CONHCO−からなる群から選択される1種であり、Bは、−CONH−、−NHCO−、−COO−及び−OCO−からなる群から選択される1種であり、mは1〜3の整数であり、nは1〜3の整数であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜40の有機基であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。]
また、上記化合物(VIII)の製造方法としては、下記一般式(2)で示されるカルボン酸(a1)と、下記一般式(6)で示されるアミン(b2)とを縮合反応させる方法が好適なものとして提供される。
Figure 2008047547
[式中、R、R、R、R、(A)、m及びnは、前記式(5)と同じである。]
Figure 2008047547
[式中、Rは、前記式(5)と同じである。]
このとき、アミン(b2)が、アミノ酸であることが好適であり、アミン(b2)が、セリン、スレオニン及びチロシンからなる群から選択される1種であることが好適である。
また、上記課題は、カルボン酸とアミンを縮合反応させてアミド結合を形成させる重合性アミドの製造方法であって、前記カルボン酸及び前記アミンの少なくとも一方が重合性基を有し、かつ下記一般式(7)で示されるトリアジン系縮合剤(IX)を用いて縮合反応を行うことを特徴とする重合性アミドの製造方法を提供することによっても解決される。
Figure 2008047547
[式中、R12及びR13は、それぞれ独立してアルコキシ基又はアルキル基であり、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子、トリフラート、トシラート、メシラート又はクロロメタンスルホナートであり、R14、R15及びR16は互いに結合して環を形成していてもよい。]
このとき、下記一般式(2)で示されるカルボン酸(a1)と、下記一般式(9)で示されるアミン(b4)とを縮合反応させて、下記一般式(10)で示される重合性アミド(X)を得ることが好適である。
Figure 2008047547
[式中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、シアノ基又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、(A)は任意の構成単位であり、Aは、−CONH−、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−CHO−、−CHS−、−CO−、−CCONH−、−CNHCO−、−CCOO−、−COCO−及び−CONHCO−からなる群から選択される1種であり、mは1〜3の整数であり、nは1〜3の整数であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜40の有機基である。]
Figure 2008047547
[式中、R18は、置換基を有してもよい炭素数1〜200の有機基である。]
Figure 2008047547
[式中、R、R、R、R、R18、(A)、m及びnは、上記式(2)及び上記式(9)と同じである。]
また、前記カルボン酸(a1)が、(メタ)アクリロイル基を含むことが好適であり、前記アミン(b4)が、アミノ酸であることが好適であり、前記アミン(b4)が、アミノ酸のリン酸エステルであることが好適である。
さらに、下記一般式(11)で示されるカルボン酸(a3)と、下記一般式(12)で示されるアミン(b3)とを縮合反応させて、下記一般式(13)で示される重合性アミド(XI)を得ることが好適である。
Figure 2008047547
[式中、R19は、置換基を有してもよい炭素数1〜200の有機基である。]
Figure 2008047547
[式中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、シアノ基又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、(A)は任意の構成単位であり、Aは、−CONH−、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−CHO−、−CHS−、−CO−、−CCONH−、−CNHCO−、−CCOO−、−COCO−及び−CONHCO−からなる群から選択される1種であり、mは1〜3の整数であり、nは1〜3の整数であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜40の有機基である。]
Figure 2008047547
[式中、R、R、R、R、R19、(A)、m及びnは、上記式(11)及び上記式(12)と同じである。]
また、前記アミン(b3)が、(メタ)アクリロイル基を含むことが好適であり、前記カルボン酸(a3)が、アミノ酸であることが好適であり、前記カルボン酸(a3)が、アミノ酸のリン酸エステルであることが好適である。
さらに、前記トリアジン系縮合剤(IX)が下記一般式(8)で示されるものであることが好適である。
Figure 2008047547
[式中、R12、R13及びXは前記式(7)と同じであり、R17は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。]
また、縮合反応に用いる反応溶媒が水を含むことが好適であり、縮合反応に用いる反応溶媒が水及びアルコールの混合溶媒であることも好適である。
本発明の新規化合物(I)は、重合性基、カルボキシル基及びリン酸基を有するものである。本発明の化合物(I)を含む組成物を歯科用途に用いた場合には、良好な接着強度を示す。したがって、歯科用組成物として適しており、特にプライマー、ボンディング材、セメント及びコンポジットレジンとして適している。また、本発明の重合性アミドの製造方法によれば、カルボン酸とアミンの縮合反応を容易に進行させることができ、安全性が優れている。
本発明の化合物(I)は、重合性基、カルボキシル基及びリン酸基を有するものであり、それを含む組成物は歯科用組成物として有用である。
本発明の化合物(I)は、下記一般式(1)で示されるものであり、重合性基を有する。重合性基を有することによりラジカル重合が可能となるとともに、他の単量体との共重合が可能となる。重合性基の例としては、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル(チオ)エーテル基、アリル(チオ)エーテル基、ビニルエステル基、スチリル基等が挙げられる。これらの中でも、ラジカル重合が容易である観点から、(メタ)アクリル基、又は(メタ)アクリルアミド基が好ましい。また、本発明の化合物(I)は好ましくは歯科用組成物の成分として用いられるが、口腔内は湿潤な環境であるため、加水分解などにより重合性基が脱離するおそれがある。前記加水分解への耐性を考慮した場合は、重合性基として、(メタ)アクリルアミド基を用いることがより好ましい。さらに、脱離した重合性基の生体への刺激性を考慮した場合は、特に、メタクリル基又はメタクリルアミド基を用いることが好ましい。
Figure 2008047547
[式中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、シアノ基又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、(A)及び(B)は任意の構成単位であり、Aは、−CONH−、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−CHO−、−CHS−、−CO−、−CCONH−、−CNHCO−、−CCOO−、−COCO−及び−CONHCO−からなる群から選択される1種であり、Bは、−CONH−、−NHCO−、−COO−及び−OCO−からなる群から選択される1種であり、mは1〜3の整数であり、nは1〜3の整数であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜40の有機基であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基、又は金属原子である。]
上記一般式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、シアノ基又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基等が挙げられる。
ここで、本発明において、置換基を有してもよいアルキル基とは、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が置換基を有していてもよいものであり、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
本発明において、置換基を有してもよいアルケニル基とは、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が置換基を有していてもよいものであり、アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
本発明において、置換基を有してもよいアルキニル基とは、直鎖又は分岐鎖のアルキニル基が置換基を有していてもよいものであり、アルキニル基としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、1−エチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、1−メチル−2−ブチニル、4−ペンチニル、1−メチル−3−ブチニル、2−メチル−3−ブチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、1−エチル−2−ブチニル、3−ヘキシニル、1−メチル−2−ペンチニル、1−メチル−3−ペンチニル、4−メチル−1−ペンチニル、3−メチル−1−ペンチニル、5−ヘキシニル、1−エチル−3−ブチニル等が挙げられる。
本発明において、置換基を有してもよいアリール基とは、芳香族炭化水素基が置換基を有していてもよいものであり、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
本発明において、置換基を有してもよいアリールアルキル基とは、アリール基によって置換された直鎖又は分岐鎖のアルキル基が置換基を有していてもよいものであり、アリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、トリチル基、1−ナフチルメチル基、2−(1−ナフチル)エチル基、2−(2−ナフチル)エチル基、3−(2−ナフチル)プロピル基等が挙げられる。
本発明において、置換基を有してもよいアリールアルケニル基とは、アリール基によって置換された直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が置換基を有していてもよいものであり、アリールアルケニル基としては、例えば、スチリル基等が挙げられる。
本発明において、置換基を有してもよいアリールアルキニル基とは、アリール基によって置換された直鎖又は分岐鎖のアルキニル基が置換基を有していてもよいものであり、アリールアルキニル基としては、例えば、フェニルエチニル基等が挙げられる。
本発明において、置換基を有してもよいシクロアルキル基とは、環状のアルキル基が置換基を有していてもよいものであり、シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプタニル基、シクロオクタニル基、シクロノナニル基、シクロデカニル基、シクロウンデカニル基、シクロドデカニル基等が挙げられる。
上記一般式(1)において、R及びRが水素原子であることが好ましく、このことにより重合性に優れるという利点がある。また、上記一般式(1)において、Rが水素原子又はメチル基であることが好ましく、このことにより重合性に優れるという利点がある。特に、R及びRが水素原子であって、かつRがメチル基である場合は、上述の通り、本発明の化合物が加水分解等の作用を受け重合性基が脱離した場合においても、生体に対する刺激性が小さいという利点を有する。
ここで、R、R及びRの炭化水素基が有する置換基の数及び種類は特に限定されず、R、R及びRと、二重結合性の炭素との間に置換基を有する場合も含まれる。Rではこのような置換基がエステル結合であることが好ましい。Rの例としては、以下に示されるものが挙げられる。
Figure 2008047547
[式中、Rは置換基を有してもよいアルキル基であり、R、R10及びR11は、それぞれ独立して水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基である。]
上記エステル結合を有する炭化水素基において、Rは、R、R及びRの説明のところで例示されたアルキル基を採用することができる。Rがアルキル基である場合は、化合物の重合性の観点からは炭素数4以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。また、R、R10及びR11は、それぞれ独立して水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基であり、置換基を有してもよいアルキル基としては、R、R及びRの説明のところで例示されたものを採用することができる。R、R10及びR11がアルキル基である場合は、化合物の重合性の観点からは炭素数4以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基又はtert−ブチル基であることがより好ましい。
上記一般式(1)において、(A)は任意の構成単位である。Aは、−CONH−、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−CHO−、−CHS−、−CO−、−CCONH−、−CNHCO−、−CCOO−、−COCO−及び−CONHCO−からなる群から選択される1種であるが、ラジカル重合が容易である観点からは、Aは−CONH−又は−COO−であることが好ましい。また、本発明の化合物が、特に加水分解への耐性が要求される実施態様に用いられる場合は、Aは−CONH−又は−CHO−であることが好ましい。
上記一般式(1)において、(B)は任意の構成単位である。Bは、−CONH−、−NHCO−、−COO−及び−OCO−からなる群から選択される1種である。本発明の化合物が、特に加水分解への耐性が要求される実施態様に用いられる場合は、Bは−CONH−であることが好ましい。
上記一般式(1)において、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜40の有機基である。ここで、有機基とは、2〜6価の置換基である。前記有機基は、その構造中にエーテル結合、エステル結合、アミド結合、スルホニル結合、ウレタン結合、チオエーテル結合等の炭素−炭素結合以外の結合が含まれていてもよい。また、芳香環、2重結合、3重結合又は脂環式炭化水素基を含んでもよい。さらにはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基等の置換基を有していてもよい。このような有機基を具体的に例示すると、以下のようなものが挙げられる。ここで、式中のi、j、k、l、m、n、o、p、q、r、s及びtは正の整数である。
Figure 2008047547
Figure 2008047547
Figure 2008047547
本発明の化合物(I)のように酸性基及び重合性を含有し、かつ有機基をスペーサーとして有する化合物を接着剤として用いた場合に、接着力が発現する機構については必ずしも明らかではない。一般的に、酸性基が被着体と化学的に結合した後に、重合性基が(共)重合し、塗膜を形成することが接着性の発現のために必要であると考えられている。また、高い接着力を得るためには、酸性基及び重合性を含有する化合物が、被着体と結合する際に規則正しく配列し、被着面に対して高密度に作用することが重要であると考えられている。前記化合物を規則正しく配列させるためには、スペーサーとして用いられる前記有機基の選択が重要である。
かかる観点からは、有機基は直鎖の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、このような置換基としてはアルキレン基が例示される。接着性を向上させる観点からは、前記酸性基及び前記重合性基は、分子内においてある程度離れた位置にある方が好ましく、Rの炭素数の下限は、好ましくは4以上であり、より好ましくは6以上である。さらに、本発明の化合物(I)の好適な実施態様は歯科用組成物であり、かかる用途に用いる場合、口腔内は湿潤な環境であるため、Rの炭素数の下限は、さらに好ましくは7以上であり、特に好ましくは8以上である。Rの炭素数をかかる範囲に設定することで、化合物全体の疎水性が向上し、口腔内のような湿潤環境においても加水分解を受けにくくなり、高い接着力をより長期間維持できるようになる。
また、上述のように歯科用組成物を用いて歯質に接着する場合は、歯質表面を酸性成分で溶解させる脱灰工程が必要になるが、Rの炭素数を上述の範囲に設定することで、脱灰工程で生じた前記化合物(I)のカルシウム塩の水に対する溶解性が小さくなり、このことによりさらに接着性が向上するという利点がある。Rの炭素数の上限は特に限定されないが、炭素数がある程度以上になると、それ以上炭素数を増やしても接着性への改善効果は見られなくなる傾向がある。このため、原料の入手が容易である等の観点から、Rの炭素数の上限は30以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、18以下であることがさらに好ましく、16以下であることが特に好ましい。
上記一般式(1)において、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、上述に例示される置換基を採用することができる。上記一般式(1)において、Rが、−CH−Ph−、−CH(CH)−及び−CH−からなる群から選択される1種であることが好ましい。Rがこのような置換基から選択される1種であることにより、分子内におけるカルボキシル基及びリン酸基の配置が、カルシウムイオンとの相互作用に適した状態となり、接着性の向上に寄与する。かかる観点からは、Rが−CH(CH)−及び−CH−からなる群から選択される1種であることがより好ましく、−CH−からなることがさらに好ましい。Rはまた、本発明の化合物(I)は、ホスホセリン、ホスホスレオニン又はホスホチロシンのようなアミノ酸のリン酸エステルを原料の1つとして用いて製造されることが好ましく、ホスホセリンを用いた場合には、Rは−CH−であり、ホスホスレオニンを用いた場合には、Rは−CH(CH)−であり、ホスホチロシンを用いた場合には、Rは−CH−Ph−である。
上記一般式(1)において、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基、又は金属原子である。置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基としては、R、R及びRの説明のところで例示された置換基を採用することができる。また、金属原子としては、周期律表第1族又は第2族の金属原子であることが好ましく、具体的にはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。化合物(I)の酸性度の観点からは、R及びRは、水素原子、又は置換基を有してもよい炭素数1〜6の炭化水素基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
上記一般式(1)においてmは1〜3の整数であり、nは1〜3の整数である。上述のように、被着体に結合した化合物(I)を規則正しく配列させるためには、m=1であり、かつn=1であることが好ましい。m=1かつn=1の場合は、合成に要する工程が短くなり、コスト的に有利になるという点も優れている。一方、被着体と化学的に相互作用する作用点を増やしたい場合は、nは2又は3であることが好ましい。特に、被着体が金属又は陶材である場合に有効である。さらに、化合物(I)に架橋性を持たせることで、塗膜強度を向上させたい場合も、mは2又は3であることが好ましい。以上のように、実施態様によって適切なm及びnの値は異なり、実施態様に応じて任意に選択することができる。
本発明の化合物(I)の製造方法は特に限定されない。好適には、下記一般式(2)で示されるカルボン酸(a1)と、下記一般式(3)で示されるアミン(b1)とを縮合反応させることにより得ることができる。
Figure 2008047547
[式中、R、R、R、R、(A)、m及びnは、前記式(1)と同じである。]
Figure 2008047547
[式中、R、R及びRは、前記式(1)と同じである。]
上記一般式(2)で示されるカルボン酸(a1)は、重合性基を含む。重合性基としては特に限定されず、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル(チオ)エーテル基、アリル(チオ)エーテル基、ビニルエステル基、スチリル基等が挙げられるが、これらの中でも、ラジカル重合が容易である観点から、(メタ)アクリル基、又は(メタ)アクリルアミド基が好ましい。また、本発明の化合物(I)は好ましくは歯科用組成物の成分として用いられるが、口腔内は湿潤な環境であるため、加水分解などにより重合性基が脱離するおそれがある。前記加水分解への耐性を考慮した場合は、重合性基として、(メタ)アクリルアミド基を用いることがより好ましい。さらに、脱離した重合性基の生体への刺激性を考慮した場合は、特に、メタクリル基又はメタクリルアミド基を用いることが好ましい。
上記一般式(3)で示されるアミン(b1)は、アミノ酸のリン酸エステルであることが好ましい。アミノ酸のリン酸エステルとは、ヒドロキシ基を有するアミノ酸のヒドロキシ基にリン酸基が結合したものである。アミン(b1)がアミノ酸のリン酸エステルであることにより、アミン(b1)が有するアミノ基と上記カルボン酸(a1)のカルボキシル基が縮合反応して、得られる本発明の化合物(I)がカルボキシル基を有するとともに、リン酸基を有することとなる。
本発明の化合物(I)の製造方法において用いられるアミン(b1)が、ホスホセリン、ホスホスレオニン及びホスホチロシンからなる群から選択される1種であることが好ましい。アミノ酸は生体内に広く存在しており、ヒドロキシ基を有するアミノ酸は生体内でリン酸化され、アミノ酸のリン酸エステルの形で存在するケースが多く見られる。このため、本発明の化合物(I)が生体内に長期間適用された結果、加水分解などの作用で分解物が生成された場合であっても、アミン(b1)として上述のようなアミノ酸のリン酸エステルを用いることで、分解により元々生体内に含まれている物質が放出されることになる。したがって、安全性の観点から非常にメリットが大きい。上記一般式(3)において、Rが−CH−であり、R及びRが水素原子である場合がホスホセリンであり、上記一般式(3)において、Rが−CH(CH)−であり、R及びRが水素原子である場合がホスホスレオニンであり、上記一般式(3)において、Rが−CH−Ph−であり、R及びRが水素原子である場合がホスホチロシンである。
上記本発明の化合物(I)の製造方法において用いられる縮合剤は特に限定されないが、トリアジン系縮合剤であることが好ましい。トリアジン系縮合剤を用いることにより、縮合反応を温和な条件で行うことができるとともに、カルボジイミド系の縮合剤のように皮膚かぶれ等を引き起こさないため安全性が優れている。
このようなトリアジン系縮合剤としては、例えば、下記一般式(7)で示されるようなものが挙げられる。
Figure 2008047547
[式中、R12及びR13は、それぞれ独立してアルコキシ基又はアルキル基であり、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子、トリフラート、トシラート、メシラート又はクロロメタンスルホナートであり、R14、R15及びR16は互いに結合して環を形成していてもよい。]
上記一般式(7)において、トリアジン環に結合している置換基R12及びR13は、それぞれ独立してアルコキシ基又はアルキル基である。アルコキシ基としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜20のアルコキシ基が挙げられ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基基等が挙げられる。得られる縮合剤の反応性の観点からは、メトキシ基、エトシキ基又はイソプロポキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。アルキル基としては、R、R及びRの説明のところで例示されたアルキル基を採用することができ、得られる縮合剤の反応性の観点からはメチル基、エチル基又はtert−ブチル基が好ましい。これらの中でも、製造が容易であることと、縮合剤の反応性との兼ね合いから、置換基R12及びR13がメトキシ基であることが特に好ましい。
上記一般式(7)において、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、好適には炭素数1〜10の炭化水素基である。R14、R15及びR16は互いに結合して環を形成していてもよく、隣接する置換基同士が結合して環を形成してもよいし、離れた置換基同士が結合して環を形成してもよい。
上記一般式(7)において、Xは、ハロゲン原子、トリフラート、トシラート、メシラート又はクロロメタンスルホナートである。上記トリアジン系縮合剤は、Xが結合したトリアジン環と3級アミンが反応することにより得られるものであることが好ましい。このような反応によりXは脱離してトリアジン系縮合剤においてカウンターアニオンとして存在することになる。Xは脱離基として用いられる官能基であることが好ましく、ハロゲン原子又はトリフラートが好適に用いられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、縮合剤の反応性と保存安定性のバランスを考慮すると、塩素が好適に採用される。
上記一般式(7)で示されるトリアジン系縮合剤は、下記一般式(8)で示されるようにモルホリン環を有していることが好ましい。このことにより前記縮合剤の反応性が適切なものとなり、かつ、結晶性が向上して粉体として扱えるようになるため、精製や保存安定性及びハンドリング性などの点で大きなメリットが得られる。
Figure 2008047547
[式中、R12、R13、及びXは、前記式(7)と同じであり、R17は、置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。]
上記一般式(8)においてモルホリン環のNに結合しているR17は、置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、置換基を有してもよいアルキル基であることが好ましい。アルキル基としては、R、R及びRの説明のところで例示されたアルキル基を採用することができ、縮合剤の製造のし易さ及び得られた縮合剤の保存安定性の観点からは、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
本発明の化合物(I)の製造方法において、トリアジン系縮合剤の使用量は特に限定されないが、原料である一般式(2)で示されるカルボン酸(a1)1モルに対して、トリアジン系縮合剤を0.5〜2モル用いることが好ましい。トリアジン系縮合剤の使用量が0.5モル未満の場合、縮合反応が進行しにくくなり反応収率が低下するおそれがある。トリアジン系縮合剤の使用量は、カルボン酸(a1)1モルに対してより好適には0.6モル以上であり、さらに好ましくは0.7モル以上であり、特に好ましくは0.8モル以上である。一方、トリアジン系縮合剤の使用量が、カルボン酸(a1)1モルに対して2モルを超える場合、反応性が過剰となり、本発明の化合物(I)の分子内のカルボン酸に、さらにアミノ基含有化合物(具体的にはアミン(b1))が反応してしまうおそれがあり、その結果、反応収率が低下するおそれがある。かかる観点から、トリアジン系縮合剤の使用量はカルボン酸(a1)1モルに対してより好適には1.8モル以下であり、さらに好ましくは1.6モル以下であり、特に好ましくは1.4モル以下である。
本発明の化合物(I)の製造方法において、カルボン酸とアミンを反応させる方法は特に限定されないが、攪拌しながら反応させることが好ましい。その際、トリアジン系縮合剤、カルボン酸及びアミンを添加するタイミング等は特に限定されず、反応系に同時に添加して混合してもよいし、順次添加して混合してもよい。DCCのようなカルボジイミド系の縮合剤を用いた場合には、カルボン酸とアミンの双方と反応するため、最初にカルボン酸と縮合剤とを反応させてからアミンを添加する必要があり、このアミンを添加するタイミングによっては収率が低下する場合がある。これに対し、本発明で用いられるトリアジン系縮合剤は、カルボン酸とのみ選択的に反応し、アミンとは反応しないため、添加するタイミングを考慮しなくてよい利点があり、高収率で本発明の化合物(I)を得ることができる。上記トリアジン系縮合剤を添加する際には、カルボン酸及びアミンが反応溶媒に完全に溶解していることが好ましく、このことにより縮合反応が速やかに進行する。
本発明の製造方法では、上述のようにトリアジン系縮合剤を反応系中に添加してカルボン酸とアミンを反応させるような実施態様でもよいが、例えば、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン(CDMT)のようなトリアジン化合物と、ジメチルグリシンエチルエステル(DMGE)のような3級アミンを反応系中に添加し、反応系中でトリアジン系縮合剤を生じさせた後に、カルボン酸とアミンを反応させるような実施態様でもよい。上記トリアジン化合物に、上記3級アミンを添加することで縮合反応が速やかに進行する。
トリアジン系縮合剤を製造する際の上記トリアジン化合物の使用量は特に限定されないが、カルボン酸1モルに対してトリアジン化合物を0.5〜2モル用いることが好ましく、0.7〜1.5モル用いることがより好ましい。また、上記3級アミンの使用量は特に限定されないが、上記3級アミンは反応系中において触媒として機能し、必ずしもトリアジン化合物と等モルで配合する必要はない。このため、コスト的なメリットを考慮した場合、トリアジン化合物1モルに対して3級アミンを0.05〜0.5モル用いることが好ましく、0.1〜0.3モル用いることがより好ましい。
前記トリアジン系縮合剤を用いた本発明の化合物(I)を製造する際の反応温度は特に限定されず、用いられるカルボン酸やアミンの種類、及び反応溶媒によって適宜調整すればよい。上述のトリアジン系縮合剤を用いた場合は室温でも反応を円滑に進行させることができ、きわめて穏やかな条件で反応を行えるという利点がある。反応温度としては、通常、10〜60℃の温度が採用され、好適には15〜45℃である。
本発明の化合物(I)を製造する際の反応時間は特に限定されず、用いられるカルボン酸やアミンの種類、及び反応溶媒によって適宜調整すればよく、通常10分〜24時間であり、好適には20分〜16時間である。
前記トリアジン系縮合剤を用いた本発明の化合物(I)の製造方法では、中性条件下で反応させることが好ましい。酸性条件下では反応が進行しないおそれがあり、また、塩基性条件下では、得られる本発明の化合物(I)におけるアミド結合が加水分解されるおそれがある。したがって、前記トリアジン系縮合剤を用いた本発明の化合物(I)の製造方法では、反応系のpHは6.5〜8であることが好ましく、7〜8であることがより好ましく、7〜7.6であることが特に好ましい。
本発明の化合物(I)の製造方法で用いられる反応溶媒は特に限定されないが、上記トリアジン系縮合剤を用いる際には反応溶媒が水を含むことが好ましい。通常、エステル結合やアミド結合を形成するような縮合反応では、水は取り除く対象であり、水が存在すると反応効率が低下する場合が多い。これに対し、本発明の化合物(I)の製造方法では、反応効率が低下することなく反応が進行し、水以外の他の有機溶媒には難溶である化合物、例えば、リン酸基を有するアミノ酸等を用いてアミド化することができるとともに、環境保護の面でも優れている。
反応溶媒として用いられる有機溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルムのような含ハロゲン溶媒;ヘキサン、トルエンのような炭化水素系溶媒;酢酸エチルのようなエステル系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒;アセトニトリル;ジメチルホルムアミド(DMF);ジメチルスルホキシド(DMSO);メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒などが挙げられる。これらの中でも、前記トリアジン系縮合剤を安定的に存在させることができる観点から、エステル系溶媒、エーテル系溶媒及びアルコール系溶媒からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、特にアルコール系溶媒を用いることが好ましい。反応溶媒としてアルコールを用いた場合には、溶媒であるアルコールとカルボン酸とがエステルを形成する競合反応が起こるため、アルコールは水以上に利用が困難であることが知られている。本発明の化合物(I)の製造方法において、上記トリアジン系縮合剤を用いた際には、エステル形成と比較してアミド形成の選択性が非常に高いため、反応溶媒としてアルコールを用いることができる。アルコールを用いる場合、水と比較して様々な化合物が可溶であったり、沸点が低いので溶媒除去が容易であったり、安価である点等からDMFやDMSOのような比較的沸点の高い有機溶媒よりも有用である。
本発明の化合物(I)の製造方法で用いられるアルコールは特に限定されず、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、シクロプロパノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の脂肪族アルコール;フェノール、m−クレゾール、ベンジルアルコール等の芳香族アルコールを挙げることができ、これらのアルコールは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。反応溶媒として水及びアルコールの混合溶媒を用いる場合は、水との混和性の観点から、メタノール、エタノール、n−プロパノール及び2−プロパノールからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、原料化合物であるカルボン酸を溶解させやすく、沸点が低いため溶媒の除去が容易である観点からは、メタノールを用いることが特に好ましい。
本発明の化合物(I)の製造方法において、上記トリアジン系縮合剤を用いる際には、反応溶媒が水及びアルコールの混合溶媒であることが好ましい。基質の溶解性に応じて水とアルコールの混合比率を適宜調整して用いることができ、水とアルコールの混合比率(アルコール/水)は、9/1〜1/9であることが好ましく、8/2〜2/8であることがより好ましく、8/2〜5/5であることがさらに好ましい。
本発明の化合物(I)の製造方法は、一般式(8)で示されるトリアジン系縮合剤、一般式(2)で示されるカルボン酸及び一般式(3)で示されるアミンを用いて、m=1、n=1、Xが塩素原子である場合を例として反応式で示すと、以下に示されるように2段階で反応が進行する。すなわち、1段階目として、一般式(2a)で示されるカルボン酸が式(8a)で示されるトリアジン環に付加し、一般式(2b)で示されるエステル中間体が生成されるとともに、一般式(8b)で示されるモルホリン、及び塩酸が生成される。続いて、2段階目として、一般式(2b)で示されるエステル中間体に一般式(3)で示されるアミンが作用して、一般式(1a)で示される本発明の化合物(I)が得られるとともに、一般式(8c)で示されるヒドロキシトリアジンが生成される。このときの反応で生じた塩酸を中和するために中和剤等が添加されていてもよいが、1段階目で生じた一般式(8b)で示されるモルホリンによって塩酸が捕捉されるため、特に中和剤を添加する必要がなく反応が進行する。
Figure 2008047547
本発明の化合物(I)の製造方法としては、下記一般式(4)で示される酸ハライド(a2)と、下記一般式(3)で示されるアミン(b1)とを縮合反応させることにより得ることもできる。
Figure 2008047547
[式中、R、R、R、R、(A)、m及びnは、前記式(1)と同じであり、Xはハロゲン原子である。]
Figure 2008047547
[式中、R、R及びRは、前記式(1)と同じである。]
上記一般式(4)において、Xは、ハロゲン原子であり、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、酸ハライド(a2)の安定性及び調製の容易さの観点からは、塩素が好適に採用される。
上記一般式(4)で示される酸ハライド(a2)は、重合性基を含む。重合性基としては特に限定されず、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル(チオ)エーテル基、アリル(チオ)エーテル基、ビニルエステル基、スチリル基等が挙げられるが、これらの中でも、ラジカル重合が容易である観点から、(メタ)アクリル基、又は(メタ)アクリルアミド基が好ましい。また、本発明の化合物(I)は好ましくは歯科用組成物の成分として用いられるが、口腔内は湿潤な環境であるため、加水分解などにより重合性基が脱離するおそれがある。前記加水分解への耐性を考慮した場合は、重合性基として、(メタ)アクリルアミド基を用いることがより好ましい。さらに、脱離した重合性基の生体への刺激性を考慮した場合は、特に、メタクリル基又はメタクリルアミド基を用いることが好ましい。
上記一般式(4)で示される酸ハライド(a2)と、上記一般式(3)で示されるアミン(b1)とを反応させる方法は特に限定されないが、アルカリ存在下で反応させるショッテン−バウマン反応を採用することができる。この方法では、アミン(b1)が均一に溶解している反応系に対して水酸化ナトリウム等を加えて反応系のpHを塩基性にし、これに酸ハライド(a2)を滴下する。滴下後に反応液を酸性にすることにより沈殿が生じ、この沈殿物を精製することにより本発明の化合物(I)が得られるものである。この方法で反応させることにより、温和な条件下で本発明の化合物(I)を得ることができる。
上記酸ハライド(a2)と上記アミン(b1)の使用量は特に限定されないが、アミン(b1)1モルに対して酸ハライド(a2)を0.5〜3モル用いることが好ましく、0.6〜2モル用いることがより好ましい。上述の使用量は、上記酸ハライド(a2)と上記アミン(b1)のそれぞれの入手の容易さにも依存する。すなわち、上記酸ハライド(a2)の方が上記アミン(b1)と比較して入手が困難であれば、上記酸ハライド(a2)の使用量をアミン(b1)1モル以下とし、上記酸ハライド(a2)を総て反応させた方が経済的に有利である。上記アミン(b1)の方が入手が困難である場合は、その逆となる。
上記酸ハライド(a2)と上記アミン(b1)を反応させる際の反応温度は特に限定されない。好ましくは、上記アミン(b1)を含む溶液を攪拌しながら、上記酸ハライド(a2)を徐々に滴下する製造方法が採用される。前記酸ハライド(a2)はニートで滴下してもよいし、溶媒で希釈してから滴下してもよい。滴下の際の温度は特に限定されないが、好ましくは−10〜10℃であり、より好ましくは−5〜5℃である。滴下終了後、反応が完結するまで攪拌を行うが、その際の反応温度は通常、10〜60℃の温度が採用され、好適には15〜45℃である。
上記酸ハライド(a2)と上記アミン(b1)を反応させる際の反応時間は特に限定されず、通常、1〜6時間であり、好適には2〜4時間である。また、本反応においては反応系のpHの維持が重要であり、酸性条件下では前記アミン(b1)のアミノ基の反応性が低下するために、反応が進行しないおそれがある。一方、反応系の塩基性が強すぎる場合は、得られる本発明の化合物(I)におけるアミド結合が加水分解されるおそれがある。このため、本反応を実施する際には、反応系のpHは8〜9であることが好ましい。前記酸ハライド(a2)の滴下や反応の進行に伴って、系内のpHは小さくなり酸性側にシフトするため、pHメーター等を用いて系内のpHを観測しながら、塩基性の溶液を添加して適宜反応系のpHを調整することが好ましい。塩基性の溶液としては特に限定されないが、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの溶液が好適に用いられる。
本発明の化合物(I)は、重合性基、リン酸基及びカルボキシル基をそれぞれ少なくとも1つ有するものであるが、以下の一般式(5)で示される化合物(VIII)にリン酸基を導入することにより製造することができる。この化合物(VIII)は新規化合物である。
Figure 2008047547
[式中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、シアノ基又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、(A)及び(B)は任意の構成単位であり、Aは、−CONH−、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−CHO−、−CHS−、−CO−、−CCONH−、−CNHCO−、−CCOO−、−COCO−、−CONHCO−から選択される1種であり、Bは、−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−から選択される1種であり、mは1〜3の整数であり、nは1〜3の整数であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜40の有機基であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。]
上記一般式(5)で示される化合物(VIII)において、R、R、R、R、R、(A)、(B)、m及びnは、上記一般式(1)と同じであり、上記一般式(1)のところで説明したのと同様のものが採用される。上記一般式(5)で示される化合物(VIII)は、重合性基、ヒドロキシ基及びカルボキシル基をそれぞれ少なくとも1つ有するものである。化合物(VIII)が重合性基を有することにより、ラジカル重合が可能となるとともに、他の単量体との共重合が可能となる。重合性基の例としては、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル(チオ)エーテル基、アリル(チオ)エーテル基、ビニルエステル基、スチリル基等が挙げられるが、これらの中でも、ラジカル重合が容易である観点から、(メタ)アクリル基、又は(メタ)アクリルアミド基が好ましい。また、本発明の化合物(I)は好ましくは歯科用組成物の成分として用いられるが、口腔内は湿潤な環境であるため、加水分解などにより重合性基が脱離するおそれがある。前記加水分解への耐性を考慮した場合は、重合性基として、(メタ)アクリルアミド基を用いることがより好ましい。さらに、脱離した重合性基の生体への刺激性を考慮した場合は、特に、メタクリル基又はメタクリルアミド基を用いることが好ましい。また、化合物(VIII)がヒドロキシ基を有することにより、リン酸基と脱水縮合することで本発明の化合物(I)を得ることができる。また、化合物(VIII)がカルボキシル基を有することにより、得られた化合物(I)を歯科用組成物として用いた場合には、歯質を脱灰させることが可能であり、プライマー、ボンディング材等の接着剤等の用途に用いることができる。
上記一般式(5)で示される化合物(VIII)の製造方法は特に限定されないが、下記一般式(2)で示されるカルボン酸(a1)と、下記一般式(6)で示されるアミン(b2)とを縮合反応させることにより得ることができる。
Figure 2008047547
[式中、R、R、R、R、(A)、m及びnは、前記式(1)と同じである。]
Figure 2008047547
[式中、Rは、前記式(5)と同じである。]
上記一般式(2)で示されるカルボン酸(a1)においては、一般式(1)のところで説明したのと同様の重合性基が好適に採用される。上記一般式(6)で示されるアミン(b2)は、アミノ酸であることが好ましく、特に、ヒドロキシ基を有するアミノ酸であることが好ましい。アミン(b2)がアミノ酸であることにより、アミン(b2)のアミノ基とカルボン酸(a1)のカルボキシル基が縮合反応して得られる化合物(VIII)がカルボキシル基を有するとともに、ヒドロキシ基を有することとなる。
上記アミン(b2)は、セリン、スレオニン及びチロシンからなる群から選択される1種であることが好ましい。アミン(b2)がこのようなアミノ酸から選択されることにより、アミン(b1)としてアミノ酸のリン酸エステルを用いた場合と同様のメリットが得られる。上記一般式(6)において、Rが−CH−である場合がセリンであり、上記一般式(6)において、Rが−CH(CH)−である場合がスレオニンであり、上記一般式(6)において、Rが−CH−Ph−である場合がチロシンである。
上記一般式(5)で示される化合物(VIII)の製造方法は特に限定されず、上述にある本発明の化合物(I)の製造方法と同様の方法を採用することができる。このようにして得られた化合物(VIII)は、本発明の化合物(I)を得るための中間体として好適に用いられる。
上述のような方法で得られる本発明の化合物(I)は、単独で用いることもできるが、他の成分を混合して組成物として用いることが好ましい。組成物として用いる際には、本発明の化合物(I)と、前記化合物(I)以外の、前記化合物(I)と共重合可能な重合性単量体(II)を含むことが好ましい。このような共重合可能な重合性単量体(II)としては、特に限定されないが、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。(メタ)アクリレート化合物の具体例を以下に示す。
酸性基を持たない一官能性単量体(=重合性基を1個含む重合性単量体)の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。また、酸性基を持たず水酸基を含有する一官能性単量体(=水酸基を含有する重合性単量体)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシメチル−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。化合物の入手のしやすさや適度な親水性を有することから、これらの中でも2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート及びエリスリトールモノ(メタ)アクリレートがより好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。本発明の化合物(I)を含む組成物を、後述する「プライマー組成物」または「1液型1ステップ接着システムに用いられるボンディング材」として使用する場合は、上述の水酸基を含有する重合体を組成物中に配合することが特に好ましい。
また、分子内に1つのカルボキシル基あるいはその酸無水物基を有する一官能性単量体の例としては、例えば(メタ)アクリル酸、N−(メタ)アクリロイルグリシン、N−(メタ)アクリロイルアスパラギン酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレート、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸、O−(メタ)アクリロイルチロシン、N−(メタ)アクリロイルチロシン、N−(メタ)アクリロイルフェニルアラニン、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−o−アミノ安息香酸、p−ビニル安息香酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、N−(メタ)アクリロイル−4−アミノサリチル酸等及び上記ラジカル重合性単量体の酸無水物あるいは酸ハロゲン化物が挙げられる。
分子内に複数のカルボキシル基あるいはその酸無水物基を有する一官能性単量体としては、例えば11−(メタ)アクリロイルオキシウンデカン−1,1−ジカルボン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシデカン−1,1−ジカルボン酸、12−(メタ)アクリロイルオキシドデカン−1,1−ジカルボン酸、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサン−1,1−ジカルボン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−メタクリロイルオキシ−2’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピルサクシネート、4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメリテートアンハイドライド、4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリテート、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸無水物、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−2,3,6−トリカルボン酸無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルカルボニルプロピオノイル−1,8−ナフタル酸無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,8−トリカルボン酸無水物、9−(メタ)アクリロイルオキシノナン−1,1−ジカルボン酸、13−(メタ)アクリロイルオキシトリデカン−1,1−ジカルボン酸、11−(メタ)アクリルアミドウンデカン−1,1−ジカルボン酸などが挙げられる。
分子内にホスフィニルオキシ基又はホスホノオキシ基を有する一官能性単量体(一官能性ラジカル重合性酸性リン酸エステルと呼ぶことがある)の例としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンフォスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ブロモエチルハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリルアミドエチルジハイドロジェンフォスフェート等が挙げられる。
その他の酸性基を有する一官能性単量体として、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、10−スルホデシル(メタ)アクリレート等の分子内にスルホ基を有する一官能性単量体などが挙げられる。
二官能性単量体は、芳香族化合物系のものと、脂肪族化合物系のものとの大きく二つに分けられる。芳香族化合物系の二官能性単量体の例としては、2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン(通称「Bis−GMA」)、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン)、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ピロメリテートなどが挙げられる。これらの中でも2,2−ビス〔4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン(通称「Bis−GMA」)及び2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパンが好ましい。本発明の化合物(I)を含む組成物を、後述する「1液型1ステップ接着システムに用いられるボンディング材」として使用する場合は、上述の芳香族化合物系の二官能性単量体を組成物中に配合することが好ましく、特に2,2−ビス〔4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン(通称「Bis−GMA」)を配合することが好ましい。
脂肪族化合物系の二官能性単量体の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート(通称「UDMA」)、ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス(6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル)ハイドロジェンフォスフェート、ビス(10−(メタ)アクリロイルオキシデシル)ハイドロジェンフォスフェート及びビス{2−(メタ)アクリロイルオキシ−(1−ヒドロキシメチル)エチル}ハイドロジェンフォスフェート等が挙げられる。これらの中でも、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン及び2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート(通称「UDMA」)が好ましい。プライマー組成物等の親水性が要求される用途に用いる場合は、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート及び1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタンがさらに好ましく、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタンが特に好ましい。
三官能性以上の単量体の例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、N,N−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、及び1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタン等が挙げられる。
上記(メタ)アクリレート化合物は、単独で1種類のみ用いてもよく、複数種類を組み合わせて用いてもよい。また、(メタ)アクリレート化合物とともに、α−シアノアクリル酸、α−ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和有機酸のエステル類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、モノ−N−ビニル誘導体、スチレン誘導体等を必要に応じて併用してもよい。
前記化合物(I)と前記重合性単量体(II)の配合量比は特に限定されない。好ましい実施態様では、前記(I)及び前記(II)の合計を100重量部とした場合に、配合量比は前記(I)1〜99重量部及び前記(II)1〜99重量部である。前記配合量比は、前記(I)2〜90重量部及び前記(II)10〜98重量部であることがより好ましく、前記(I)3〜80重量部及び前記(II)20〜97重量部であることがさらに好ましい。
本発明に用いられる重合開始剤(III)としては、一般工業界で使用されている重合開始剤から選択して使用でき、中でも歯科用途に用いられている重合開始剤が好ましく用いられる。特に、光重合及び化学重合の重合開始剤を、単独又は2種以上適宜組み合わせて使用される。
本発明に用いられる重合開始剤(III)のうち光重合開始剤としては、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類、水溶性アシルホスフィンオキサイド類、チオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩、ケタール類、α−ジケトン類、クマリン類、アントラキノン類、ベンゾインアルキルエーテル化合物類、α−アミノケトン系化合物などが挙げられる。
本発明に用いられる光重合開始剤に含まれる(ビス)アシルホスフィンオキサイド類のうち、アシルフォスフィンオキサイド類としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネートなどが挙げられる。ビスアシルフォスフィンオキサイド類としては、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
本発明に用いられる光重合開始剤に含まれる水溶性アシルフォスフィンオキサイド類は、アシルフォスフィンオキサイド分子内にアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ピリジニウムイオン又はアンモニウムイオンを有することが好ましい。例えば、水溶性アシルフォスフィンオキサイド類は、ヨーロッパ特許No.0009348号又は特開昭57−197289号公報に開示されている方法により合成することができる。
上記水溶性アシルフォスフィンオキサイド類の具体例としては、モノメチルアセチルフォスフォネート・ナトリウム、モノメチル(1−オキソプロピル)フォスフォネート・ナトリウム、モノメチルベンゾイルフォスフォネート・ナトリウム、モノメチル(1−オキソブチル)フォスフォネート・ナトリウム、モノメチル(2−メチル−1−オキソプロピル)フォスフォネート・ナトリウム、アセチルフォスフォネート・ナトリウム、モノメチルアセチルフォスフォネート・ナトリウム、アセチルメチルフォスフォネート・ナトリウム、メチル4−(ヒドロキシメトキシフォスフィニル)−4−オキソブタノエート・ナトリウム塩、メチル−4−オキソーフォスフォノブタノエート・モノナトリウ厶塩、アセチルフェニールフォスフィネート・ナトリウム塩、(1−オキソプロピル)ペンチルフォスフィネート・ナトリウム、メチル−4−(ヒドロキシペンチルフォスフィニル)−4−オキソブタノエート・ナトリウム塩、アセチルペンチルフォスフィネート・ナトリウム、アセチルエチルフォスフィネート・ナトリウム、メチル(1,1−ジメチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム、(1,1−ジエトキシエチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム、(1,1−ジエトキシエチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム、メチル−4−(ヒドロキシメチルフォスフィニル)−4−オキソブタノエート・リチウム塩、4−(ヒドロキシメチルフォスフィニル)−4−オキソブタノイックアシッド・ジリチウム塩、メチル(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−チアゾリディン−2−イル)フォスフォナイト・ナトリウム塩、(2−メチルパーヒドロ−1,3−ディアジン−2−イル)フォスフォナイト・ナトリウム塩、アセチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジエトキシエチル)フォスフォナイト・ナトリウム塩、(1,1−ジエトキシエチル)メチルフォスフォナイト・ナトリウム塩、メチル(2−メチルオキサチオラン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2,4,5−トリメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1,1−プロポキシエチル)フォスフィネート・ナトリウム塩、(1−メトキシビニル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(1−エチルチオビニル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチルパーヒドロ−1,3−ジアジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチルパーヒドロ−1,3−チアジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−ジアゾリジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−チアゾリジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、(2,2−ジシアノ−1−メチルエチニル)フォスフィネート・ナトリウム塩、アセチルメチルフォスフィネートオキシム・ナトリウ厶塩、アセチルメチルフォスフィネート−O−ベンジルオキシム・ナトリウム塩、1−[(N−エトキシイミノ)エチル]メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−フェニルイミノエチル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−フェニルイヒドラゾンエチル)フォスフィネート・ナトリウム塩、[−(2,4−ジニトロフェニルヒドラゾノ)エチル]メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、アセチルメチルフォスフィネートセミカルバゾン・ナトリウム塩、(1−シアノ−1−ヒドロキシエチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(ジメトキシメチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、フォーミルメチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−オキソプロピル)フォスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルフォスフィネート・ドデシルグアニジン塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルフォスフィネート・イソプロピルアミン塩、アセチルメチルフォスフィネートチオセミカルバゾン・ナトリウム塩、1,3,5−トリブチル−4−メチルアミノ−1,2,4−トリアゾリウム(1,1−ジメトキシエチル)−メチルフォスフィネート、1−ブチル−4−ブチルアミノメチルアミノ−3,5−ジプロピル−1,2,4−トリアゾリウム(1,1−ジメトキシエチル)−メチルフォスフィネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドナトリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドカリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドのアンモニウム塩などが挙げられる。さらに、特開2000−159621号公報に記載されている化合物も挙げられる。
これら(ビス)アシルフォスフィンオキサイド類及び水溶性アシルフォスフィンオキサイド類の中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)アシルフォスフィンオキサイド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドナトリウム塩が特に好ましい。
本発明に用いられる光重合開始剤に含まれるチオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩としては、例えば、チオキサントン、2−クロルチオキサンセン−9−オン、2−ヒドロキシ−3−(9−オキシ−9H−チオキサンテン−4−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(1−メチル−9−オキシ−9H−チオキサンテン−4−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(1,3,4−トリメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライドなどが使用できる。
これらチオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩の中でも、特に好適なチオキサントン類は、2−クロルチオキサンセン−9−オンであり、特に好適なチオキサントン類の第4級アンモニウ厶塩は、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライドである。
本発明に用いられる光重合開始剤に含まれるケタール類の例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられる。
本発明に用いられる光重合開始剤に含まれるα−ジケトン類としては、例えば、ジアセチル、ジベンジル、カンファーキノン、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、9,10−フェナンスレンキノン、4,4‘−オキシベンジル、アセナフテンキノン等が挙げられる。この中でも、可視光域に極大吸収波長を有している観点から、カンファーキノンが特に好ましい。
本発明に用いられる光重合開始剤に含まれるクマリン化合物の例としては、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−チェノイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−6−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−8−メトキシクマリン、3−ベンゾイルクマリン、7−メトキシ−3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−8−メトキシクマリン、3,5−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、3−ベンゾイル−6−ブロモクマリン、3,3’−カルボニルビスクマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイルベンゾ[f]クマリン、3−カルボキシクマリン、3−カルボキシ−7−メトキシクマリン、3−エトキシカルボニル−6−メトキシクマリン、3−エトキシカルボニル−8−メトキシクマリン、3−アセチルベンゾ[f]クマリン、7−メトキシ−3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−8−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−6−ニトロクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、7−ジメチルアミノ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノ)クマリン、7−メトキシ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−(4−ニトロベンゾイル)ベンゾ[f]クマリン、3−(4−エトキシシンナモイル)−7−メトキシクマリン、3−(4−ジメチルアミノシンナモイル)クマリン、3−(4−ジフェニルアミノシンナモイル)クマリン、3−[(3−ジメチルベンゾチアゾール−2−イリデン)アセチル]クマリン、3−[(1−メチルナフト[1,2−d]チアゾール−2−イリデン)アセチル]クマリン、3,3’−カルボニルビス(6−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジメチルアミノクマリン)、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジブチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾイミダゾイル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジオクチルアミノ)クマリン、3−アセチル−7−(ジメチルアミノ)クマリン、3,3−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)、3,3’−カルボニル−7−ジエチルアミノクマリン−7’−ビス(ブトキシエチル)アミノクマリン、10−[3−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−オキソ−2−プロペニル]−2,3,6,7−1,1,7,7−テトラメチル1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン、10−(2−ベンゾチアゾイル)−2,3,6、7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン等の特開平9−3109号公報、特開平10−245525号公報に記載されている化合物が挙げられる。
上述のクマリン化合物の中でも、特に、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)及び3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)が好適である。
本発明に用いられる光重合開始剤に含まれるアントラキノン類の例としては、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノンなどが挙げられる。
本発明に用いられる光重合開始剤に含まれるベンゾインアルキルエーテル類の例としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
本発明に用いられる光重合開始剤に含まれるα−アミノケトン類の例としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
これらの光重合開始剤の中でも、(ビス)アシルフォスフィンオキサイド類及びその塩、α−ジケトン類、及びクマリン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これにより、可視及び近紫外領域での光硬化性に優れ、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、キセノンランプのいずれの光源を用いても十分な光硬化性を示す化合物(I)を含む接着性組成物が得られる。
本発明に用いられる重合開始剤(III)のうち化学重合開始剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。上記の化学重合開始剤に使用される有機過酸化物は特に限定されず、公知のものを使用することができる。代表的な有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
上記ケトンパーオキサイドとしては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド及びシクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。
上記ハイドロパーオキサイドとしては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド及びt−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
上記ジアシルパーオキサイドとしては、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド及びラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。ジアルキルパーオキサイドとしては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン等が挙げられる。
上記パーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン及び4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレリックアシッド−n−ブチルエステル等が挙げられる。
上記パーオキシエステルとしては、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,2,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタラート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート及びt−ブチルパーオキシマレリックアシッド等が挙げられる。
上記パーオキシジカーボネートとしては、ジ−3−メトキシパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート及びジアリルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
これらの有機過酸化物の中でも、安全性、保存安定性及びラジカル生成能力の総合的なバランスから、ジアシルパーオキサイドが好ましく用いられ、その中でもベンゾイルパーオキサイドが特に好ましく用いられる。
前記重合開始剤(III)の配合量は特に限定されない。得られる組成物の硬化性等の観点からは、前記化合物(I)と前記重合性単量体(II)の合計100重量部に対して、前記重合開始剤(III)が0.01〜15重量部配合されることが好ましく、0.03〜10重量部配合されることがより好ましい。
好ましい実施態様では、上述の重合開始剤(III)は重合促進剤(IV)と共に用いられる。本発明に用いられる重合促進剤(IV)としては、アミン類、スルフィン酸及びその塩、ボレート化合物、バルビツール酸誘導体、トリアジン化合物、銅化合物、スズ化合物、バナジウム化合物、ハロゲン化合物、アルデヒド類、チオール化合物などが挙げられる。
本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるアミン類は、脂肪族アミン及び芳香族アミンに分けられる。脂肪族アミンとしては、例えば、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン等の第1級脂肪族アミン;ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン等の第2級脂肪族アミン;N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の第3級脂肪族アミンなどが挙げられる。これらの中でも、組成物の硬化性及び保存安定性の観点から、第3級脂肪族アミンが好ましく、その中でもN−メチルジエタノールアミン及びトリエタノールアミンがより好ましく用いられる。
また、芳香族アミンとしては、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−イソプロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸メチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル等が挙げられる。これらの中でも、組成物に優れた硬化性を付与できる観点から、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル及び4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく用いられる。
本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるスルフィン酸及びその塩としては、例えば、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸カリウム、p−トルエンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−イソプロピルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−イソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−イソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−イソプロピルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−イソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウム等が挙げられ、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−イソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウムが特に好ましい。
本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるボレート化合物は、好ましくはアリールボレート化合物である。好適に使用されるアリールボレート化合物を具体的に例示すると、1分子中に1個のアリール基を有するボレート化合物として、トリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p−クロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−フロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、トリアルキル[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、トリアルキル(p−ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素及びトリアルキル(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基及びn−ドデシル基等からなる群から選択される少なくとも1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩及びブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。
また、1分子中に2個のアリール基を有するボレート化合物としては、ジアルキルジフェニルホウ素、ジアルキルジ(p−クロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−フロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、ジアルキルジ[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、ジアルキルジ(p−ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素及びジアルキルジ(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基及びn−ドデシル基等からなる群から選択される少なくとも1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩及びブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
さらに、1分子中に3個のアリール基を有するボレート化合物としては、モノアルキルトリフェニルホウ素、モノアルキルトリ(p−クロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−フロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、モノアルキルトリ[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、モノアルキルトリ(p−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素及びモノアルキルトリ(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基又はn−ドデシル基等から選択される1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
さらに1分子中に4個のアリール基を有するボレート化合物としては、テトラフェニルホウ素、テトラキス(p−クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−フロロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、テトラキス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス(p−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素、(p−フロロフェニル)トリフェニルホウ素、(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルトリフェニルホウ素、(p−ニトロフェニル)トリフェニルホウ素、(m−ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(p−ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(m−オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素及び(p−オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩及びブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
これらアリールボレート化合物の中でも、保存安定性の観点から、1分子中に3個又は4個のアリール基を有するボレート化合物を用いることがより好ましい。また、これらアリールボレート化合物は1種又は2種以上を混合して用いることも可能である。
本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるバビツール酸誘導体としては、バルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3−ジフェニルバルビツール酸、1,5−ジメチルバルビツール酸、5−ブチルバルビツール酸、5−エチルバルビツール酸、5−イソプロピルバルビツール酸、5−シクロヘキシルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−エチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−n−ブチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−イソブチルバルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−シクロペンチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−シクロヘキシルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−フェニルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−1−エチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸、5−メチルバルビツール酸、5−プロピルバルビツール酸、1,5−ジエチルバルビツール酸、1−エチル−5−メチルバルビツール酸、1−エチル−5−イソブチルバルビツール酸、1,3−ジエチル−5−ブチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−メチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−オクチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−ヘキシルバルビツール酸、5−ブチル−1−シクロヘキシルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸及びチオバルビツール酸類、ならびにこれらの塩(特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属類が好ましい)が挙げられ、これらバルビツール酸類の塩としては、例えば、5−ブチルバルビツル酸ナトリウム、1,3,5−トリメチルバルビツール酸ナトリウム及び1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸ナトリウム等が例示される。
特に好適なバルビツール酸誘導体としては、5−ブチルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸、及びこれらバルビツール酸類のナトリウム塩が挙げられる。
本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるトリアジン化合物としては、例えば、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,4−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(o−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−ブトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−エチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N,N−ジアリルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が例示される。
上記で例示したトリアジン化合物の中で特に好ましいものは、重合活性の点で2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジンであり、また保存安定性の点で、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、及び2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンである。上記トリアジン化合物は1種又は2種以上を混合して用いても構わない。
本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれる銅化合物としては、例えば、アセチルアセトン銅、酢酸第2銅、オレイン酸銅、塩化第2銅、臭化第2銅等が好適に用いられる。
本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるスズ化合物としては、例えば、ジ−n−ブチル錫ジマレート、ジ−n−オクチル錫ジマレート、ジ−n−オクチル錫ジラウレート、ジ−n−ブチル錫ジラウレートなどが挙げられる。特に好適なスズ化合物は、ジ−n−オクチル錫ジラウレート及びジ−n−ブチル錫ジラウレートである。
本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるバナジウム化合物は、好ましくはIV価及び/又はV価のバナジウム化合物類である。IV価及び/又はV価のバナジウム化合物類としては、例えば、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)、五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム(V)、メタバナジン酸アンモン(V)等の特開2003−96122号公報に記載されている化合物が挙げられる。
本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるハロゲン化合物としては、例えば、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロマイド等が好適に用いられる。
本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるアルデヒド類としては、例えば、テレフタルアルデヒドやベンズアルデヒド誘導体などが挙げられる。ベンズアルデヒド誘導体としては、ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−メチルオキシベンズアルデヒド、p−エチルオキシベンズアルデヒド、p−n−オクチルオキシベンズアルデヒドなどが挙げられる。これらの中でも、硬化性の観点から、p−n−オクチルオキシベンズアルデヒドが好ましく用いられる。
本発明に用いられる重合促進剤(IV)に含まれるチオール化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、チオ安息香酸等が挙げられる。
前記重合促進剤(IV)の配合量は特に限定されない。得られる組成物の硬化性等の観点からは、前記化合物(I)と前記重合性単量体(II)の合計100重量部に対して、前記重合促進剤(IV)が0.01〜15重量部配合されることが好ましい。
本発明の化合物(I)を含む組成物は、実施態様によっては、さらにフィラー(V)を配合することが好ましい。このようなフィラーは、通常、有機フィラー、無機フィラー及び有機−無機複合フィラーに大別される。有機フィラーとしては、例えばポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、架橋型ポリメタクリル酸メチル、架橋型ポリメタクリル酸エチル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられ、これらは単独又は2種以上の混合物として用いることができる。有機フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。得られる組成物のハンドリング性及び機械強度などの観点から、前記有機フィラーの平均粒子径は0.001〜50μmであることが好ましく、0.001〜10μmであることがより好ましい。
無機フィラーとしては、石英、シリカ、アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナ、ランタンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ガラスセラミック、アルミノシリケートガラス、バリウムボロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムボロアルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラス等が挙げられる。これらもまた、単独又は2種以上を混合して用いることができる。無機フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。得られる組成物のハンドリング性及び機械強度などの観点から、前記無機フィラーの平均粒子径は0.001〜50μmであることが好ましく、0.001〜10μmであることがより好ましい。
無機フィラーの形状としては、不定形フィラー及び球状フィラーが挙げられる。組成物の機械強度を向上させる観点からは、前記無機フィラーとして球状フィラーを用いることが好ましい。さらに、前記球状フィラーを用いた場合、本発明の化合物(I)を含む組成物を歯科用コンポジットレジンとして用いた場合に、表面滑沢性に優れたコンポジットレジンが得られるという利点もある。ここで球状フィラーとは、走査型電子顕微鏡(以下、SEMと略す)でフィラーの写真を撮り、その単位視野内に観察される粒子が丸みをおびており、その最大径に直交する方向の粒子径をその最大径で割った平均均斉度が0.6以上であるフィラーである。前記球状フィラーの平均粒子径は好ましくは0.1〜5μmである。平均粒子径が0.1μm未満の場合、組成物中の球状フィラーの充填率が低下し、機械的強度が低くなるおそれがある。一方、平均粒子径が5μmを超える場合、前記球状フィラーの表面積が低下し、高い機械的強度を有する硬化体が得られないおそれがある。
前記無機フィラーは、組成物の流動性を調整するため、必要に応じてシランカップリング剤等の公知の表面処理剤で予め表面処理してから用いてもよい。かかる表面処理剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本発明で用いられる有機−無機複合フィラーとは、上述の無機フィラーに重合性単量体を予め添加し、ペースト状にした後に重合させ、粉砕することにより得られるものである。前記有機−無機複合フィラーとしては、例えば、TMPTフィラー(トリメチロールプロパンメタクリレートとシリカフィラーを混和、重合させた後に粉砕したもの)などを用いることができる。前記有機−無機複合フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。得られる組成物のハンドリング性及び機械強度などの観点から、前記有機−無機複合フィラーの平均粒子径は0.001〜50μmであることが好ましく、0.001〜10μmであることがより好ましい。
前記フィラー(V)の配合量は特に限定されない。好ましい実施態様では、前記化合物(I)と前記重合性単量体(II)の合計100重量部に対して、前記フィラー(V)が0.1〜2000重量部配合される。フィラー(V)の好適な配合量は、用いられる実施態様によって大幅に異なるので、後述する本発明の化合物(I)の具体的な実施態様の説明と併せて、各実施態様に応じたフィラー(V)の好適な配合量を示すこととする。
本発明の化合物(I)を含む組成物は、その具体的な実施態様によっては、溶媒(VI)を含むことが好ましい。溶媒(VI)としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、トルエン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの中でも、生体に対する安全性と、揮発性に基づく除去の容易さの双方を勘案した場合、水、エタノール及びアセトンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく用いられる。中でも、本発明の化合物(I)を含む組成物は、水(VII)をさらに含むことが好ましい。水(VII)を含むことにより、本発明の化合物(I)を含む組成物を歯科用組成物として用いた場合には、歯質の脱灰作用を促進させることができるなどの利点がある。水(VII)としては、悪影響を及ぼすような不純物を含有していないことが好ましく、蒸留水又はイオン交換水が好ましい。上記水(VII)は単独で用いてもよいし、水(VII)と水(VII)以外の溶媒(VI)との混合溶媒として用いてもよい。前記溶媒(VI)の配合量は特に限定されず、実施態様によっては前記溶媒(VI)の配合を必要としないものもある。前記溶媒(VI)を用いる実施態様においては、前記化合物(I)と前記重合性単量体(II)の合計100重量部に対して、前記溶媒(VI)が1〜5000重量部配合される。前記溶媒(VI)の好適な配合量は、用いられる実施態様によって大幅に異なるので、後述する本発明の化合物(I)の具体的な実施態様の説明と併せて、各実施態様に応じた前記溶媒(VI)の好適な配合量を示すこととする。
この他、本発明の化合物(I)を含む組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で重合禁止剤、紫外線吸収剤、増粘剤、着色剤、抗菌剤、香料等を配合してもよい。
本発明の化合物(I)を含む組成物は、歯科用組成物として好適に用いられる。本発明の化合物(I)を含む歯科用組成物は、プライマー、ボンディング材、コンポジットレジン、セメント(レジンセメント、グラスアイオノマーセメント、レジン強化型グラスアイオノマーセメント)、小窩裂溝填塞材、義歯床用レジン等として用いることができ、中でも、本発明の化合物(I)を含む歯科用組成物は、プライマー、ボンディング材、コンポジットレジン、又はセメントとして好適に用いられる。以下、それぞれの実施態様について詳細に説明する。
上述の通り、歯の欠損部に修復物を充填又は被覆する際には、通常、歯科用接着剤が用いられる。典型的には、前記歯科用接着剤は象牙質に対して作用させられる。ここで、象牙質に対してこのような歯科用接着剤を作用させた場合には、象牙質表面を酸性成分で溶かす脱灰作用、モノマー成分が象牙質のコラーゲン層に浸透する浸透作用、及び浸透したモノマー成分が固まってコラーゲンとのハイブリッド層(以下、「樹脂含浸層」と呼ぶことがある)を形成する硬化作用を有することが重要である。これらの「脱灰」、「浸透」及び「硬化」の三工程を別々に行う接着システムは、通常、「3ステップ接着システム」と呼ばれている。基本的には、浸透工程に用いられる製品がプライマーであり、硬化工程に用いられる製品がボンディング材である。
近年では作業工程の簡素化のため、前記脱灰工程と前記浸透工程とを併せて一段階で行う製品が開発され、実用化されており、前記製品は「セルフエッチングプライマー」と呼ばれている。セルフエッチングプライマーとボンディング材とを用いた接着システムは、通常、「2ステップ接着システム」と呼ばれている。本発明の化合物(I)は、リン酸基を有するため高い酸性を示し、優れた脱灰能力を有する。また、リン酸基及びカルボキシル基を分子内に有するため、象牙質のコラーゲン層に対して高い浸透性を示す。このため、本発明の化合物(I)を含む組成物は、歯科用プライマーとして用いることが好ましく、歯科用セルフエッチングプライマーとして用いることが好ましい。実際に、後述する実施例における実施例1と、比較例1及び2との対比から明らかなように、本発明の化合物(I)を用いることにより、接着力が格段に向上しており、セルフエッチングプライマーとして優れた性能を示すことが明らかである。
本発明の化合物(I)を含むプライマーは、化合物(I)、重合性単量体(II)、重合開始剤(III)、重合促進剤(IV)及び溶媒(VI)を含む組成物であることが好ましい。各成分の配合量は、前記(I)及び前記(II)の合計を100重量部とした場合に、(I)5〜50重量部及び(II)50〜95重量部であることが好ましく、(I)10〜45重量部及び(II)55〜90重量部であることがより好ましく、(I)15〜45重量部及び(II)55〜85重量部であることがさらに好ましい。また、前記(I)及び前記(II)の合計100重量部に対して、(III)0.1〜5重量部、(IV)1〜30重量部及び(VI)20〜300重量部含むことが好ましく、(III)0.2〜4重量部、(IV)2〜25重量部及び(VI)30〜250重量部含むことがより好ましく、(III)0.3〜3重量部、(IV)3〜20重量部及び(VI)40〜200重量部含むことがさらに好ましい。
組成物の親水性を高め、象牙質のコラーゲン層への浸透性を向上させる観点からは、用いられる重合性単量体(II)としては、分子内に水酸基を有するものがより好ましい。用いられる前記(II)としては、水酸基を含有する重合性単量体(II−a)と重合性基を2個以上含む重合性単量体(II−b)との混合物であることがより好ましく、重合性基を2個以上含む重合性単量体(II−b)としては、脂肪族化合物系の二官能性単量体がより好ましい。各成分の配合量は(I)、(II−a)及び(II−b)の合計を100重量部とした場合に、(I)5〜50重量部、(II−a)35〜90重量部及び(II−b)5〜60重量部であることが好ましく、(I)10〜45重量部、(II−a)40〜83重量部及び(II−b)7〜50重量部であることがより好ましく、(I)15〜45重量部、(II−a)45〜75重量部及び(II−b)10〜40重量部であることがさらに好ましい。同様に、重合促進剤(IV)としてはアミン類が好ましく、溶媒(VI)が水(VII)を含むことが好ましい。溶媒(VI)中の水(VII)の含有量は、50重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましく、90重量%以上であることが特に好ましく、前記溶媒(VI)が実質的に水(VII)のみからなることが最も好ましい。
本発明の化合物(I)は、分子内にリン酸基及びカルボキシル基を有するため、歯質を構成するハイドロキシアパタイト中のカルシウムと強く相互作用する。このため、本発明の化合物(I)を含む組成物はボンディング材として好ましく用いられる。上述の「2ステップ接着システム」におけるボンディング材としては、前述の(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)を含む組成物であることが好ましい。各成分の配合量は、前記(I)及び前記(II)の合計を100重量部とした場合に、(I)1〜30重量部及び(II)70〜99重量部であることが好ましく、(I)2〜20重量部及び(II)80〜98重量部であることがより好ましく、(I)3〜15重量部及び(II)85〜97重量部であることがさらに好ましい。硬化物の機械強度を高める観点からは、用いられる前記(II)としては、重合性基を2個以上含む重合性単量体がより好ましい。また、前記(I)及び前記(II)の合計100重量部に対して、(III)0.1〜10重量部、(IV)0.1〜20重量部及び(V)1〜30重量部含むことが好ましく、(III)0.2〜8重量部、(IV)0.5〜15重量部及び(V)3〜20重量部含むことがより好ましく、(III)0.3〜6重量部、(IV)1〜10重量部及び(V)4〜15重量部含むことがさらに好ましい。
また、近年ではさらなる作業の簡素化が求められていることから、「脱灰」、「浸透」及び「硬化」の三工程を併せて一段階で実施する製品も開発されており、「1ステップ接着システム」と呼ばれている。かかる1ステップ接着システムに用いられるボンディング材としては、A液及びB液に分けられた2液を使用直前に混和して用いるボンディング材と、最初から1液の形で提供されている、いわゆる1液型1ステップ接着システムのボンディング材の二種類が代表的な製品である。この中でも、1液型の方がより工程が簡素化されるため、使用上のメリットは大きい。本発明の化合物(I)を含む組成物を前記1液型1ステップ接着システムのボンディング材として用いる場合、前記組成物は(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)を含む組成物であることが好ましい。各成分の配合量は、前記(I)及び前記(II)の合計を100重量部とした場合に、(I)1〜30重量部及び(II)70〜99重量部であることが好ましく、(I)5〜25重量部及び(II)75〜95重量部であることがより好ましく、(I)7〜20重量部及び(II)80〜93重量部であることがさらに好ましい。なお、1液型1ステップ接着システムでは、「浸透」及び「硬化」を一度に行うことから、用いられる前記(II)としては、水酸基を含有する重合性単量体(II−a)と重合性基を2個以上含む重合性単量体(II−b)との混合物であることがより好ましく、重合性基を2個以上含む重合性単量体(II−b)としては、芳香族化合物系の二官能性単量体がより好ましい。各成分の配合量は(I)、(II−a)及び(II−b)の合計を100重量部とした場合に、(I)1〜30重量部、(II−a)10〜89重量部及び(II−b)10〜89重量部であることが好ましく、(I)5〜25重量部、(II−a)15〜80重量部及び(II−b)15〜80重量部であることがより好ましく、(I)7〜20重量部、(II−a)20〜63重量部及び(II−b)20〜63重量部であることがさらに好ましい。また、前記(I)及び前記(II)の合計100重量部に対して、(III)0.5〜20重量部、(IV)0.1〜20重量部、(V)1〜40重量部及び(VI)5〜70重量部含むことが好ましく、(III)1〜17重量部、(IV)0.5〜15重量部、(V)3〜30重量部及び(VI)10〜65重量部含むことがより好ましく、(III)3〜15重量部、(IV)1〜10重量部、(V)5〜25重量部及び(VI)20〜60重量部含むことがさらに好ましい。
本発明の化合物(I)は、分子内にリン酸基及びカルボキシル基を有するため、歯質を構成するハイドロキシアパタイト中のカルシウムと強く相互作用する。このため、本発明の化合物(I)を含む組成物はコンポジットレジンとして好ましく用いられる。本発明の化合物(I)を含む組成物をコンポジットレジンとして用いる場合、前記組成物は(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)を含む組成物であることが好ましい。コンポジットレジンは通常、う蝕発生部位を切削し窩洞を形成した後に、前記窩洞に充填される形態で用いられる。その後、充填されたコンポジットレジンは、通常、光重合によって硬化させる。このため、前記(III)としては、光重合開始剤を用いることが好ましい。また、上述のように充填・硬化したコンポジットレジンは口腔内において咬合圧を受けるため、優れた機械強度を求められる。このため、前記組成物は、前記(I)及び前記(II)の合計100重量部に対して、フィラー(V)を200〜2000重量部含むことが好ましく、250〜1500重量部含むことがより好ましく、300〜1200重量部含むことがさらに好ましい。フィラー(V)の含有量が200重量部未満の場合、硬化物の機械強度が不充分となるおそれがある。一方、フィラー(V)の含有量が2000重量部を超える場合は、前記(I)及び前記(II)中にフィラー(V)を均一に分散させることが難しくなり、機械強度及びハンドリング性の面で不充分な組成物となるおそれがある。
また、本発明の化合物(I)を、その歯質との強い相互作用を活かし、歯科用セメントとして用いることも好適な実施態様の一つである。前記セメントとしては、レジンセメント、グラスアイオノマーセメント、レジン強化型グラスアイオノマーセメントなどが好適なものとして例示される。本発明の化合物(I)を含む組成物をレジンセメントとして用いる場合、前記組成物は(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)を含む組成物であることが好ましい。歯科用セメントは、例えば、インレーやクラウンと呼ばれる金属やセラミックス製の歯冠用修復材料を歯牙に固定する際の合着材として好ましく用いられる。したがって、咬合圧などに耐えるために優れた機械強度が求められる。かかる観点から、前記(II)としては、重合性基を2個以上含む重合性単量体がより好ましい。また、上述のような使用形態の場合、前記歯冠用修復材料の多くは光不透過性であるため、前記セメントを光重合により硬化させることは容易ではない。このため、前記(III)として化学重合開始剤を用いることが好ましい。そして、化学重合開始剤を用いて化合物(I)を重合させる際に、その反応性を高めるためには、前記(IV)としてアミン類及び/又はスルフィン酸及びその塩を用いることが好ましく、アミン類とスルフィン酸及びその塩とを同時に用いることがより好ましい。また、用いられるフィラー(V)としては特に限定されない。前記セメントにフッ素徐放性を付与したい場合は、前記フィラー(V)として、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス及びストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラスからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、フルオロアルミノシリケートガラス及び/又はバリウムフルオロアルミノシリケートガラスを用いることがより好ましい。一方、前記セメントにX線造影性を付与したい場合は、前記フィラー(V)として、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、バリウムボロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムボロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス及びバリウムフルオロアルミノシリケートガラスからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、バリウムガラス及び/又はバリウムフルオロアルミノシリケートガラスを用いることがより好ましい。
また、化学重合開始剤を用いる場合は、保存安定性の観点から、前記(III)と前記(IV)とを、それぞれ別々の容器に保存することが好ましい。すなわち、好ましい実施態様では、前記レジンセメントは2剤型の形態で用いられる。また、好適な実際態様では、フィラー(V)を配合する場合は、本発明の化合物(I)を含む組成物(液状)とフィラー(V)(粉末)とを混練してペースト化する。このため、より好ましい実施態様では、前記レジンセメントは2ペースト型の形態で用いられる。それぞれのペーストをペースト同士が隔離された状態で保存し、使用直前にその2つのペーストを混練し、化学重合を進行させて硬化させることが好ましい。また、本発明の化合物(I)は分子内にリン酸基を有し、強い酸性を示すため、前記(IV)としてアミン類及び/又はスルフィン酸及びその塩を用いた場合は、保存安定性の観点から、前記(I)と前記(IV)とは別々の容器に保存することが好ましい。上述の2つのペーストをそれぞれAペースト及びBペーストと称した場合、前記Aペーストが(I)、(II)、(III)及び(V)を含み、前記Bペーストが(II)、(IV)及び(V)を含む実施態様が特に好ましく用いられる。
本発明の化合物(I)を含む組成物を歯科用セメントとして用いる場合の各成分の配合量は特に限定されないが、前記(I)及び前記(II)の合計を100重量部とした場合に、(I)0.1〜30重量部及び(II)70〜99.9重量部であることが好ましく、(I)0.3〜20重量部及び(II)80〜99.7重量部であることがより好ましく、(I)0.5〜10重量部及び(II)90〜99.5重量部であることがさらに好ましい。また、前記(III)及び前記(V)の配合量としては、適切な硬化時間が得られることを考慮した場合、前記(I)及び前記(II)の合計100重量部に対して、(III)0.1〜10重量部及び(IV)0.1〜10重量部を含むことが好ましく、(III)0.3〜8重量部及び(IV)0.3〜8重量部を含むことがより好ましく、(III)0.5〜6重量部及び(IV)0.5〜6重量部を含むことがさらに好ましい。
さらに、前記(I)及び前記(II)の合計100重量部に対して、フィラー(V)を20〜1000重量部含むことが好ましく、40〜600重量部含むことがより好ましく、70〜400重量部含むことがさらに好ましい。フィラー(V)の含有量が20重量部未満の場合は、硬化物の機械強度が不充分となるおそれがある。一方、フィラー(V)の含有量が1000重量部を超える場合は、前記レジンセメントをその好適な実施態様である2ペースト型のセメントとして用いたときに、前記ペーストの流動性が不足し、充分な混和を行うことが困難となるため、硬化物の強度が低下するおそれがある。
また、本発明の化合物(I)を含む組成物は、グラスアイオノマーセメントとして用いることが好ましく、より好ましくはレジン強化型グラスアイオノマーセメントとして用いられる。グラスアイオノマーセメントは、典型的にはフルオロアルミノシリケートガラスのような無機フィラーと、ポリアクリル酸のようなポリアルケン酸とが酸−塩基反応によって反応、硬化し、かつ、前記ポリアクリル酸と歯質を構成するハイドロキシアパタイト中のカルシウムとが相互作用することにより、接着機能が発現すると考えられている。ここで、本発明の化合物(I)は上述の通りカルシウムと非常に強い相互作用を示すため、グラスアイオノマー用途に用いることが適していると考えられる。本発明の化合物(I)を含む組成物をグラスアイオノマーセメント、特に好ましくはレジン強化型グラスアイオノマーセメントとして用いる場合は、前記組成物が(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及びポリアルケン酸を含む組成物であることが好ましい。
前記ポリアルケン酸とは、不飽和モノカルボン酸あるいは不飽和ジカルボン酸の重合体である。前記ポリアルケン酸の具体的な例示としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−クロロアクリル酸、2−シアノアクリル酸、アコニチン酸、メサコン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、グルタコン酸、シトラコン酸、ウトラコン酸等の単独重合体、あるいはこれらの不飽和カルボン酸と共重合可能な単量体との共重合体を挙げることができる。共重合体の場合には、不飽和カルボン酸単位の割合は、全構造単位に対して50モル%以上であることが好ましい。共重合可能な単量体としてはエチレン性不飽和重合性単量体が好ましく、例えばスチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、アクリル酸塩類,塩化ビニル,塩化アリル,酢酸ビニル、1,1,6−トリメチルヘキサメチレンジメタクリレートエステルなどを挙げることができる。これらポリアルケン酸の中でも、アクリル酸又はマレイン酸の単独重合体又は共重合体が好ましい。これらのポリアルケン酸は、重量平均分子量が5,000未満の場合には、歯科用セメント組成物の硬化物の強度が低くなり、耐久性が劣る場合がある。一方、重量平均分子量が40,000を超える場合には、歯科用セメント組成物の練和時の稠度が硬くなり、操作性が低下する場合がある。したがって、好ましいポリアルケン酸の重量平均分子量は、5,000〜40,000である。
用いられるフィラー(V)としては、酸−塩基反応における硬化性及び組成物のフッ素徐放性の観点から、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス及びストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラスからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、フルオロアルミノシリケートガラス及び/又はバリウムフルオロアルミノシリケートガラスを用いることがより好ましい。
また、用いられる溶媒(VI)としては、酸−塩基反応を円滑に進行させる観点から、前記溶媒(VI)が水(VII)を含むことが好ましい。前記溶媒(VI)中の水(VII)の含有量は、50重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましく、90重量%以上であることが特に好ましく、前記溶媒(VI)が実質的に水(VII)のみからなることが最も好ましい。
本発明の化合物(I)を含む組成物をグラスアイオノマーセメント、特に好ましくはレジン強化型グラスアイオノマーセメントとして用いる場合の各成分の配合量は特に限定されないが、前記(I)及び前記(II)の合計を100重量部とした場合に、(I)1〜99重量部及び(II)1〜99重量部であることが好ましく、(I)3〜90重量部及び(II)10〜97重量部であることがより好ましい。また、前記(III)及び前記(V)の配合量としては、適切な硬化時間が得られることを考慮した場合、前記(I)及び前記(II)の合計100重量部に対して、(III)0.1〜10重量部及び(IV)0.1〜10重量部を含むことが好ましく、(III)0.3〜8重量部及び(IV)0.3〜8重量部を含むことがより好ましく、(III)0.5〜6重量部及び(IV)0.5〜6重量部を含むことがさらに好ましい。さらに、前記(I)及び前記(II)の合計100重量部に対して、フィラー(V)を10〜1000重量部含むことが好ましく、20〜600重量部含むことがより好ましく、25〜400重量部含むことがさらに好ましい。フィラー(V)の含有量が10重量部未満の場合は、硬化物の機械強度が不充分となるおそれがある。一方、フィラー(V)の含有量が1000重量部を超える場合は、組成物ペーストの流動性が低下して充分な混和を行うことが困難となるため、酸−塩基反応が円滑に進行しなくなる場合がある。その結果、硬化物の強度が低下するおそれがある。
また、前記(I)及び前記(II)の合計100重量部に対して、溶媒(VI)を10〜300重量部含むことが好ましく、20〜250重量部含むことがより好ましく、30〜200重量部含むことがさらに好ましい。溶媒(VI)をかかる範囲で含有することで、酸−塩基反応を円滑に進行させることができ、かつ、得られる硬化物の機械強度及び歯質への接着性が良好なものとなる。
前記(I)及び前記(II)の合計100重量部に対して、前記ポリアルケン酸を10〜300重量部含むことが好ましく、20〜250重量部含むことがより好ましく、30〜200重量部含むことがさらに好ましい。ポリアルケン酸をかかる範囲で含有することで、酸−塩基反応による硬化が円滑に進行し、かつ、得られる硬化物の口腔内での加水分解などによる崩壊を小さくすることができる。
上述の通り、グラスアイオノマーセメントでは酸−塩基反応の進行により硬化が起こるため、保存安定性の観点からは、フィラー(V)とポリアルケン酸とが別々の容器に包装され、使用直前に混和されて用いられることが好ましい。製品の形態としては、いわゆる粉−液型の製品形態も好ましく用いられるが、ハンドリング性を向上させる観点から、2種類のペーストを含むいわゆる2ペースト型グラスアイオノマーセメントの形態をとることがより好ましい。2ペースト型の製品形態の場合は、上述の2つのペーストをそれぞれAペースト及びBペーストと称した場合、前記Aペーストが(I)、(II)、(IV)、(V)、(VI)及びポリアルケン酸を含み、前記Bペーストが(II)、(III)及び(V)を含む実施態様が好ましい。また、前記Aペーストが(I)、(II)、(III)、(V)、(VI)及びポリアルケン酸を含み、前記Bペーストが(II)、(IV)及び(V)を含む実施態様も同様に好ましく用いられる。いずれの実施態様においても、前記Aペースト側にポリアルケン酸を含有するため、前記Bペーストに含まれるフィラー(V)として、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス及びストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラスからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、フルオロアルミノシリケートガラス及び/又はバリウムフルオロアルミノシリケートガラスを用いることがより好ましい。一方、前記Aペーストに含まれるフィラー(V)としては、ポリアルケン酸に対して反応性を示さないものを用いることが好ましく、石英が特に好ましく用いられる。
以上、本発明の化合物(I)及びそれを含む組成物、並びにカルボン酸とアミンとをトリアジン系縮合剤を用いて縮合反応させることによる化合物(I)の製造方法や、酸ハライドとアミンとを反応させることによる化合物(I)の製造方法について説明した。カルボン酸とアミンとをトリアジン系縮合剤を用いて縮合反応させる重合性アミドの製造方法は新規な製造方法であり、化合物(I)のみならず、他の重合性アミドを得るための製造方法としても有用である。
すなわち、本発明の製造方法は、カルボン酸とアミンを縮合反応させてアミド結合を形成させる重合性アミドの製造方法であって、前記カルボン酸及び前記アミンの少なくとも一方が重合性基を有し、かつトリアジン系縮合剤(IX)を用いて縮合反応を行うことを特徴とする重合性アミドの製造方法である。
本発明の製造方法では、カルボン酸とアミンの少なくとも一方が重合性基を有する。したがって、カルボン酸とアミンを縮合反応させて得られる重合性アミドも重合性基を有するものである。得られる重合性アミドが重合性基を有することにより重合が可能となるとともに、他の単量体との共重合が可能となる。重合性基の例としては、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル(チオ)エーテル基、アリル(チオ)エーテル基、ビニルエステル基、スチリル基等が挙げられる。これらの中でも、ラジカル重合が容易である観点から、(メタ)アクリル基、又は(メタ)アクリルアミド基が好ましい。
本発明の製造方法では、カルボン酸とアミンを縮合反応させてアミド結合を形成させる際にトリアジン系縮合剤(IX)を用いる。このことにより、縮合反応を温和な条件で行うことができるとともに、カルボジイミド系の縮合剤のように皮膚かぶれ等を引き起こさないため安全性が優れている。以下に、本発明の製造方法で用いられる下記一般式(7)で示されるトリアジン系縮合剤(IX)について説明する。
Figure 2008047547
[式中、R12及びR13は、それぞれ独立してアルコキシ基又はアルキル基であり、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子、トリフラート、トシラート、メシラート又はクロロメタンスルホナートであり、R14、R15及びR16は互いに結合して環を形成していてもよい。]
上記一般式(7)において、トリアジン環に結合している置換基R12及びR13は、それぞれ独立してアルコキシ基又はアルキル基である。アルコキシ基としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜20のアルコキシ基が挙げられ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基基等が挙げられる。得られる縮合剤の反応性の観点からは、メトキシ基、エトシキ基又はイソプロポキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
また、本発明において、アルキル基とは、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。得られる縮合剤の反応性の観点からはメチル基、エチル基又はtert−ブチル基が好ましい。これらの中でも、製造が容易であることと、縮合剤の反応性との兼ね合いから、置換基R12及びR13がメトキシ基であることが特に好ましい。
上記一般式(7)において、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、好適には炭素数1〜10の炭化水素基である。R14、R15及びR16は互いに結合して環を形成していてもよく、隣接する置換基同士が結合して環を形成してもよいし、離れた置換基同士が結合して環を形成してもよい。
上記一般式(7)において、Xは、ハロゲン原子、トリフラート、トシラート、メシラート又はクロロメタンスルホナートである。上記トリアジン系縮合剤は、Xが結合したトリアジン環と3級アミンが反応することにより得られるものであることが好ましい。このような反応によりXは脱離してトリアジン系縮合剤においてカウンターアニオンとして存在することになる。Xは脱離基として用いられる官能基であることが好ましく、ハロゲン原子又はトリフラートが好適に用いられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、縮合剤の反応性と保存安定性のバランスを考慮すると、塩素が好適に採用される。
本発明で用いられるトリアジン系縮合剤(IX)は、下記一般式(8)で示されるようにモルホリン環を有していることが好ましい。このことにより前記縮合剤の反応性が適切なものとなり、かつ、結晶性が向上して粉体として扱えるようになるため、精製や保存安定性及びハンドリング性などの点で大きなメリットが得られる。
Figure 2008047547
[式中、R12、R13及びXは前記式(7)と同じであり、R17は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。]
上記一般式(8)においてモルホリン環のNに結合しているR17は、置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、置換基を有してもよいアルキル基であることが好ましい。アルキル基としては、R12及びR13の説明のところで例示されたアルキル基を採用することができ、縮合剤の製造のし易さ及び得られた縮合剤の保存安定性の観点からは、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
本発明の好適な製造方法では、上述のトリアジン系縮合剤(IX)を用いることにより重合性基を有するカルボン酸とアミンを縮合反応させて重合性アミド(X)を得ることができる。重合性基を有するカルボン酸としては下記一般式(2)で示されるカルボン酸(a1)が好適に用いられる。
Figure 2008047547
[式中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、シアノ基又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、(A)は任意の構成単位であり、Aは、−CONH−、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−CHO−、−CHS−、−CO−、−CCONH−、−CNHCO−、−CCOO−、−COCO−及び−CONHCO−からなる群から選択される1種であり、mは1〜3の整数であり、nは1〜3の整数であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜40の有機基である。]
上記一般式(2)において、R、R及びRは、本発明の縮合反応を阻害しないものであれば特に限定されず、それぞれ独立して水素原子、シアノ基又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基を採用することができる。置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基等が挙げられる。
ここで、本発明において、置換基を有してもよいアルキル基とは、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が置換基を有していてもよいものであり、アルキル基としては、R12及びR13の説明のところで例示されたアルキル基を採用することができる。
本発明において、置換基を有してもよいアルケニル基とは、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が置換基を有していてもよいものであり、アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
本発明において、置換基を有してもよいアルキニル基とは、直鎖又は分岐鎖のアルキニル基が置換基を有していてもよいものであり、アルキニル基としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、1−エチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、1−メチル−2−ブチニル、4−ペンチニル、1−メチル−3−ブチニル、2−メチル−3−ブチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、1−エチル−2−ブチニル、3−ヘキシニル、1−メチル−2−ペンチニル、1−メチル−3−ペンチニル、4−メチル−1−ペンチニル、3−メチル−1−ペンチニル、5−ヘキシニル、1−エチル−3−ブチニル等が挙げられる。
本発明において、置換基を有してもよいアリール基とは、芳香族炭化水素基が置換基を有していてもよいものであり、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
本発明において、置換基を有してもよいアリールアルキル基とは、アリール基によって置換された直鎖又は分岐鎖のアルキル基が置換基を有していてもよいものであり、アリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、トリチル基、1−ナフチルメチル基、2−(1−ナフチル)エチル基、2−(2−ナフチル)エチル基、3−(2−ナフチル)プロピル基等が挙げられる。
本発明において、置換基を有してもよいアリールアルケニル基とは、アリール基によって置換された直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が置換基を有していてもよいものであり、アリールアルケニル基としては、例えば、スチリル基等が挙げられる。
本発明において、置換基を有してもよいアリールアルキニル基とは、アリール基によって置換された直鎖又は分岐鎖のアルキニル基が置換基を有していてもよいものであり、アリールアルキニル基としては、例えば、フェニルエチニル基等が挙げられる。
本発明において、置換基を有してもよいシクロアルキル基とは、環状のアルキル基が置換基を有していてもよいものであり、シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプタニル基、シクロオクタニル基、シクロノナニル基、シクロデカニル基、シクロウンデカニル基、シクロドデカニル基等が挙げられる。
上記一般式(2)において、R及びRが水素原子であることが好ましく、このことにより重合性に優れるという利点がある。また、上記一般式(2)において、Rが水素原子又はメチル基であることが好ましく、このことにより重合性に優れるという利点がある。特に、R及びRが水素原子であって、かつRがメチル基である場合は、本発明の製造方法により得られる化合物が加水分解等の作用を受け重合性基が脱離した場合においても、生体に対する刺激性が小さいという利点を有する。
ここで、R、R及びRの炭化水素基が有する置換基の数及び種類は特に限定されず、R、R及びRと、二重結合性の炭素との間に置換基を有する場合も含まれる。Rではこのような置換基がエステル結合であることが好ましい。Rの例としては、以下に示されるものが挙げられる。
Figure 2008047547
[式中、Rは置換基を有してもよいアルキル基であり、R、R10及びR11は、それぞれ独立して水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基である。]
上記エステル結合を有する炭化水素基において、Rは、R12及びR13の説明のところで例示されたアルキル基を採用することができる。Rがアルキル基である場合は、化合物の重合性の観点からは炭素数4以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。また、R、R10及びR11は、それぞれ独立して水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基であり、置換基を有してもよいアルキル基としては、R12及びR13の説明のところで例示されたものを採用することができる。R、R10及びR11がアルキル基である場合は、化合物の重合性の観点からは炭素数4以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基又はtert−ブチル基であることがより好ましい。
上記一般式(2)において、(A)は任意の構成単位である。Aは、−CONH−、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−CHO−、−CHS−、−CO−、−CCONH−、−CNHCO−、−CCOO−、−COCO−及び−CONHCO−からなる群から選択される1種であるが、ラジカル重合が容易である観点からは、Aは−CONH−又は−COO−であることが好ましい。また、本発明の製造方法により得られる化合物が、特に加水分解への耐性が要求される実施態様に用いられる場合は、Aは−CONH−又は−CHO−であることが好ましい。
上記一般式(2)において、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜40の有機基である。上記一般式(2)におけるRとしては、上記一般式(1)におけるRの説明のところで例示されたものと同様の有機基を用いることができる。
本発明の製造方法により得られる化合物が酸性基及び重合性を含有し、かつ有機基をスペーサーとして有するものである場合に、該化合物を接着剤として用いた際に接着力が発現する機構については必ずしも明らかではない。一般的に、酸性基が被着体と化学的に結合した後に、重合性基が(共)重合し、塗膜を形成することが接着性の発現のために必要であると考えられている。また、高い接着力を得るためには、酸性基及び重合性を含有する化合物が、被着体と結合する際に規則正しく配列し、被着面に対して高密度に作用することが重要であると考えられている。前記化合物を規則正しく配列させるためには、スペーサーとして用いられる前記有機基の選択が重要である。
かかる観点からは、有機基は直鎖の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、このような置換基としてはアルキレン基が例示される。接着性を向上させる観点からは、前記酸性基及び前記重合性基は、分子内においてある程度離れた位置にある方が好ましく、Rの炭素数の下限は、好ましくは4以上であり、より好ましくは6以上である。さらに、本発明の製造方法により得られる化合物を歯科用組成物の成分として用いる場合、口腔内は湿潤な環境であるため、Rの炭素数の下限は、さらに好ましくは7以上であり、特に好ましくは8以上である。Rの炭素数をかかる範囲に設定することで、化合物全体の疎水性が向上し、口腔内のような湿潤環境においても加水分解を受けにくくなり、高い接着力をより長期間維持できるようになる。
また、上述のように本発明の製造方法により得られる化合物を歯科用組成物の成分として用いて歯質に接着する場合は、歯質表面を酸性成分で溶解させる脱灰工程が必要になるが、Rの炭素数を上述の範囲に設定することで、脱灰工程で生じた前記化合物のカルシウム塩の水に対する溶解性が小さくなり、このことによりさらに接着性が向上するという利点がある。Rの炭素数の上限は特に限定されないが、炭素数がある程度以上になると、それ以上炭素数を増やしても接着性への改善効果は見られなくなる傾向がある。このため、原料の入手が容易である等の観点から、Rの炭素数の上限は30以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、18以下であることがさらに好ましく、16以下であることが特に好ましい。
上記一般式(2)において、mは1〜3の整数であり、nは1〜3の整数である。上述のように、被着体に結合した化合物を規則正しく配列させるためには、m=1であり、かつn=1であることが好ましい。m=1かつn=1の場合は、合成に要する工程が短くなり、コスト的に有利になるという点も優れている。一方、被着体と化学的に相互作用する作用点を増やしたい場合は、nは2又は3であることが好ましい。特に、被着体が金属又は陶材である場合に有効である。さらに、本発明の製造方法により得られる化合物に架橋性を持たせることで、塗膜強度を向上させたい場合も、mは2又は3であることが好ましい。以上のように、実施態様によって適切なm及びnの値は異なり、実施態様に応じて任意に選択することができる。
本発明の製造方法において、上記一般式(2)で示されるカルボン酸(a1)が(メタ)アクリル基又は(メタ)アクリルアミド基を含むことが好ましい。(メタ)アクリル基又は(メタ)アクリルアミド基を含むことにより、ラジカル重合が容易となる。また、本発明の製造方法により得られる化合物を歯科用組成物の成分として用いた場合には、口腔内は湿潤な環境であるため、加水分解などにより重合性基が脱離するおそれがある。前記加水分解への耐性を考慮した場合は、重合性基として、(メタ)アクリルアミド基を用いることがより好ましい。さらに、脱離した重合性基の生体への刺激性を考慮した場合は、特に、メタクリル基又はメタクリルアミド基を用いることが好ましい。
本発明の製造方法において、カルボン酸が、上記一般式(2)で示されるカルボン酸(a1)である場合には、縮合反応させる際に用いられるアミンは、下記一般式(9)で示されるアミン(b4)であることが好ましい。
Figure 2008047547
[式中、R18は、置換基を有してもよい炭素数1〜200の有機基である。]
上記一般式(9)で示されるアミン(b4)において、R18は置換基を有してもよい炭素数1〜200の有機基である。前記有機基は、その構造中にエーテル結合、エステル結合、アミド結合、スルホニル結合、ウレタン結合、チオエーテル結合等の炭素−炭素結合以外の結合が含まれていてもよい。また、芳香環、2重結合、3重結合、脂環式炭化水素基、又は複素環を含んでもよい。さらにはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基等の置換基を有していてもよい。例えば、キトサンのようなピラノース環が多数連結したアミンを基質として用いることができる。
本発明の製造方法において、上記一般式(9)で示されるアミン(b4)がアミノ酸であることが好ましく、特にヒドロキシ基を有するアミノ酸であることが好ましい。このようなアミノ酸としては、セリン、スレオニン及びチロシン等が挙げられる。
また、上記一般式(9)で示されるアミン(b4)がアミノ酸のリン酸エステルであることが好ましい。アミノ酸のリン酸エステルとしては、ヒドロキシ基を有するアミノ酸のヒドロキシ基にリン酸基が結合したものが好ましく、アミノ酸としては上述の各種アミノ酸を採用することができ、具体的には、ホスホセリン、ホスホスレオニン及びホスホチロシン等が挙げられる。また、上記一般式(9)で示されるアミン(b4)として、キトサンに代表されるようなアミノ基を有する多糖類を用いることもできる。
アミノ酸、アミノ酸のリン酸エステル及びアミノ基を有する多糖類は、自然界に広く存在している。特に、アミノ酸は生体内にも広く存在し、ヒドロキシ基を有するアミノ酸は生体内でリン酸化され、アミノ酸のリン酸エステルの形で存在するケースが多く見られる。したがって、上記アミン(b4)を用いて本発明の重合性アミドの製造方法により得られる化合物は、加水分解などの作用で分解物を生成することが起こった場合でも、分解により放出される物質の安全性が高いという利点がある。
上記一般式(2)で示されるカルボン酸(a1)と上記一般式(9)で示されるアミン(b4)とを上述のトリアジン系縮合剤(IX)を用いて縮合反応させることによって、下記一般式(10)で示される重合性アミド(X)が得られる。
Figure 2008047547
[式中、R、R、R、R、R18、(A)、m及びnは、上記式(2)及び上記式(9)と同じである。]
本発明の重合性アミドの製造方法は、一般式(8)で示されるトリアジン系縮合剤(IX)、一般式(2)で示されるカルボン酸及び一般式(9)で示されるアミンを用いて、m=1、n=1、Xが塩素原子である場合を例として反応式で示すと、以下に示されるように2段階で反応が進行する。すなわち、1段階目として、下記一般式(2a)で示されるカルボン酸が式(8a)で示されるトリアジン環に付加し、下記一般式(2b)で示されるエステル中間体が生成されるとともに、下記一般式(8b)で示されるモルホリン、及び塩酸が生成される。続いて、2段階目として、下記一般式(2b)で示されるエステル中間体に一般式(9)で示されるアミンが作用して、下記一般式(10a)で示される重合性アミドが得られるとともに、下記一般式(8c)で示されるヒドロキシトリアジンが生成される。このときの反応で生じた塩酸を中和するために中和剤等が添加されていてもよいが、1段階目で生じた下記一般式(8b)で示されるモルホリンによって塩酸が捕捉されるため、特に中和剤を添加する必要がなく反応が進行する。
Figure 2008047547
本発明の好適な製造方法では、上述のトリアジン系縮合剤(IX)を用いることによりカルボン酸と重合性基を有するアミンを縮合反応させて重合性アミド(XI)を得ることができる。重合性基を有するアミンとしては下記一般式(12)で示されるアミン(b3)が好適に用いられる。
Figure 2008047547
[式中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、シアノ基又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、(A)は任意の構成単位であり、Aは、−CONH−、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−CHO−、−CHS−、−CO−、−CCONH−、−CNHCO−、−CCOO−、−COCO−及び−CONHCO−からなる群から選択される1種であり、mは1〜3の整数であり、nは1〜3の整数であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜40の有機基である。]
上記一般式(12)で示されるアミン(b3)において、R、R、R、R、(A)、m及びnは、上記一般式(2)と同じであり、上記一般式(2)のところで説明したのと同様のものが採用される。
本発明の製造方法において、上記一般式(12)で示されるアミン(b3)が(メタ)アクリル基又は(メタ)アクリルアミド基を含むことが好ましい。(メタ)アクリル基又は(メタ)アクリルアミド基を含むことにより、ラジカル重合が容易となる。また、本発明の製造方法により得られる化合物を歯科用組成物の成分として用いた場合には、口腔内は湿潤な環境であるため、加水分解などにより重合性基が脱離するおそれがある。前記加水分解への耐性を考慮した場合は、重合性基として、(メタ)アクリルアミド基を用いることがより好ましい。さらに、脱離した重合性基の生体への刺激性を考慮した場合は、特に、メタクリル基又はメタクリルアミド基を用いることが好ましい。
本発明の製造方法において、アミンが、上記一般式(12)で示されるアミン(b3)である場合には、縮合反応させる際に用いられるカルボン酸は、下記一般式(11)で示されるカルボン酸(a3)であることが好ましい。
Figure 2008047547
[式中、R19は、置換基を有してもよい炭素数1〜200の有機基である。]
上記一般式(11)で示されるカルボン酸(a3)において、R19は置換基を有してもよい炭素数1〜200の有機基である。前記有機基は、その構造中にエーテル結合、エステル結合、アミド結合、スルホニル結合、ウレタン結合、チオエーテル結合等の炭素−炭素結合以外の結合が含まれていてもよい。また、芳香環、2重結合、3重結合、脂環式炭化水素基、又は複素環を含んでもよい。さらにはハロゲン原子、水酸基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基等の置換基を有していてもよい。
上記一般式(11)で示されるカルボン酸(a3)と上記一般式(12)で示されるアミン(b3)とをトリアジン系縮合剤(IX)を用いて縮合反応させることによって、下記一般式(13)で示される重合性アミド(XI)が得られる。
Figure 2008047547
[式中、R、R、R、R、R19、(A)、m及びnは、上記式(11)及び上記式(12)と同じである。]
本発明の重合性アミドの製造方法は、一般式(8)で示されるトリアジン系縮合剤(IX)、一般式(11)で示されるカルボン酸及び一般式(12)で示されるアミンを用いて、m=1、n=1、Xが塩素原子である場合を例として反応式で示すと、以下に示されるように2段階で反応が進行する。すなわち、1段階目として、一般式(11)で示されるカルボン酸が式(8a)で示されるトリアジン環に付加し、下記一般式(11a)で示されるエステル中間体が生成されるとともに、下記一般式(8b)で示されるモルホリン、及び塩酸が生成される。続いて、2段階目として、下記一般式(11a)で示されるエステル中間体に一般式(12a)で示されるアミンが作用して、下記一般式(8a)で示される重合性アミドが得られるとともに、下記一般式(8c)で示されるヒドロキシトリアジンが生成される。このときの反応で生じた塩酸を中和するために中和剤等が添加されていてもよいが、1段階目で生じた下記一般式(8b)で示されるモルホリンによって塩酸が捕捉されるため、特に中和剤を添加する必要がなく反応が進行する。
Figure 2008047547
本発明の製造方法において、トリアジン系縮合剤(IX)の使用量は特に限定されないが、カルボン酸1モルに対してトリアジン系縮合剤(IX)を0.5〜2モル用いることが好ましい。トリアジン系縮合剤(IX)の使用量が0.5モル未満の場合、縮合反応が進行しにくくなり反応収率が低下するおそれがある。トリアジン系縮合剤(IX)の使用量は、カルボン酸1モルに対してより好適には0.6モル以上であり、さらに好ましくは0.7モル以上であり、特に好ましくは0.8モル以上である。一方、トリアジン系縮合剤(IX)の使用量が、カルボン酸1モルに対して2モルを超える場合、反応性が過剰となり、得られる化合物の分子内のカルボン酸に、さらにアミノ基含有化合物が反応してしまうおそれがあり、その結果、反応収率が低下するおそれがある。かかる観点から、トリアジン系縮合剤(IX)の使用量はカルボン酸1モルに対してより好適には1.8モル以下であり、さらに好ましくは1.6モル以下であり、特に好ましくは1.4モル以下である。
本発明の製造方法において、カルボン酸とアミンを反応させる方法は特に限定されないが、攪拌しながら反応させることが好ましい。その際、トリアジン系縮合剤(IX)、カルボン酸及びアミンを添加するタイミング等は特に限定されず、反応系に同時に添加して混合してもよいし、順次添加して混合してもよい。DCCのようなカルボジイミド系の縮合剤を用いた場合には、カルボン酸とアミンの双方と反応するため、最初にカルボン酸と縮合剤とを反応させてからアミンを添加する必要があり、このアミンを添加するタイミングによっては収率が低下する場合がある。これに対し、本発明で用いられるトリアジン系縮合剤(IX)は、カルボン酸とのみ選択的に反応し、アミンとは反応しないため、添加するタイミングを考慮しなくてよい利点があり、高収率で重合性アミドを得ることができる。上記トリアジン系縮合剤(IX)を添加する際には、カルボン酸及びアミンが反応溶媒に完全に溶解していることが好ましく、このことにより縮合反応が速やかに進行する。
本発明の製造方法では、上述のようにトリアジン系縮合剤(IX)を反応系中に添加してカルボン酸とアミンを反応させるような実施態様でもよいが、例えば、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン(CDMT)のようなトリアジン化合物と、ジメチルグリシンエチルエステル(DMGE)のような3級アミンを反応系中に添加し、反応系中でトリアジン系縮合剤(IX)を生じさせた後に、カルボン酸とアミンを反応させるような実施態様でもよい。上記トリアジン化合物に、上記3級アミンを添加することで縮合反応が速やかに進行する。
トリアジン系縮合剤(IX)を製造する際の上記トリアジン化合物の使用量は特に限定されないが、カルボン酸1モルに対してトリアジン化合物を0.5〜2モル用いることが好ましく、0.7〜1.5モル用いることがより好ましい。また、上記3級アミンの使用量は特に限定されないが、上記3級アミンは反応系中において触媒として機能し、必ずしもトリアジン化合物と等モルで配合する必要はない。このため、コスト的なメリットを考慮した場合、トリアジン化合物1モルに対して3級アミンを0.05〜0.5モル用いることが好ましく、0.1〜0.3モル用いることがより好ましい。
本発明の製造方法において、カルボン酸とアミンを反応させる際の反応温度は特に限定されず、用いられるカルボン酸やアミンの種類、及び反応溶媒によって適宜調整すればよい。上述のトリアジン系縮合剤を用いた場合は室温でも反応を円滑に進行させることができ、きわめて穏やかな条件で反応を行えるという利点がある。反応温度としては、通常、10〜60℃の温度が採用され、好適には15〜45℃である。
本発明の製造方法において、カルボン酸とアミンを反応させる際の反応時間は特に限定されず、用いられるカルボン酸やアミンの種類、及び反応溶媒によって適宜調整すればよく、通常10分〜24時間であり、好適には20分〜16時間である。
本発明の製造方法では、中性条件下で反応させることが好ましい。酸性条件下では反応が進行しないおそれがあり、また、塩基性条件下では、得られる化合物におけるアミド結合が加水分解されるおそれがある。したがって、本発明の製造方法では、反応系のpHは6.5〜8であることが好ましく、7〜8であることがより好ましく、7〜7.6であることが特に好ましい。
本発明の製造方法で用いられる反応溶媒は特に限定されないが、反応溶媒が水を含むことが好ましい。通常、エステル結合やアミド結合を形成するような縮合反応では、水は取り除く対象であり、水が存在すると反応効率が低下する場合が多い。これに対し、本発明の製造方法では、反応効率が低下することなく反応が進行し、水以外の他の有機溶媒には難溶である化合物、例えば、ジカルボン酸等を用いてアミド化することができるとともに、環境保護の面でも優れている。
反応溶媒として用いられる有機溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルムのような含ハロゲン溶媒;ヘキサン、トルエンのような炭化水素系溶媒;酢酸エチルのようなエステル系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒;アセトニトリル;ジメチルホルムアミド(DMF);ジメチルスルホキシド(DMSO);メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒などが挙げられる。これらの中でも、トリアジン系縮合剤(IX)を安定的に存在させることができる観点から、エステル系溶媒、エーテル系溶媒及びアルコール系溶媒からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、特にアルコール系溶媒を用いることが好ましい。反応溶媒としてアルコールを用いた場合には、溶媒であるアルコールとカルボン酸とがエステルを形成する競合反応が起こるため、アルコールは水以上に利用が困難であることが知られている。本発明の製造方法において、トリアジン系縮合剤(IX)を用いた際には、エステル形成と比較してアミド形成の選択性が非常に高いため、反応溶媒としてアルコールを用いることができる。アルコールを用いる場合、水と比較して様々な化合物が可溶であったり、沸点が低いので溶媒除去が容易であったり、安価である点等からDMFやDMSOのような比較的沸点の高い有機溶媒よりも有用である。
本発明の製造方法で用いられるアルコールは特に限定されず、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、シクロプロパノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の脂肪族アルコール;フェノール、m−クレゾール、ベンジルアルコール等の芳香族アルコールを挙げることができ、これらのアルコールは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。反応溶媒として水及びアルコールの混合溶媒を用いる場合は、水との混和性の観点から、メタノール、エタノール、n−プロパノール及び2−プロパノールからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、カルボン酸を溶解させやすく、沸点が低いため溶媒の除去が容易である観点からは、メタノールを用いることが特に好ましい。
本発明の製造方法では、縮合反応に用いる反応溶媒が水及びアルコールの混合溶媒であることが好ましい。基質の溶解性に応じて水とアルコールの混合比率を適宜調整して用いることができ、水とアルコールの混合比率(アルコール/水)は、9/1〜1/9であることが好ましく、8/2〜2/8であることがより好ましく、8/2〜5/5であることがさらに好ましい。
本発明の製造方法により得られる重合性アミドは、歯科用組成物の原料として用いることができる。得られる重合性アミドが、リン酸基やカルボキシル基等を有する場合に特に好適に用いることができる。上記歯科用組成物としては、プライマー、ボンディング材、コンポジットレジン、セメント(レジンセメント、グラスアイオノマーセメント、レジン強化型グラスアイオノマーセメント)、小窩裂溝填塞材、義歯床用レジン等が挙げられる。中でも、本発明の製造方法で得られた重合性アミドが上記一般式(1)で示される化合物(I)である場合、上述で説明したように化合物(I)を含む歯科用組成物は、プライマー、ボンディング材、コンポジットレジン、又はセメントとして好適に用いられる。
また、本発明の製造方法により得られる重合性アミドは、骨セメント、建築用接着剤、陶磁器用接着剤、封止材、コーティング材など、歯科用途以外の用途にも有用である。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
[N−メタクリロイル−12−アミノドデカン酸の合成]
5000mLビーカーに水1700mLを加え、次いで水酸化ナトリウム11gを加えて攪拌し、前記水酸化ナトリウムを完全に溶解させた後、12−アミノドデカン酸(和光純薬工業株式会社製)26.9gを反応系に加え、30分間攪拌を行うことにより均一な溶液を得た。続いて、氷−食塩浴を用いて、反応系の内温を−5℃まで冷却した。前記冷却処理後、反応系を攪拌しながら、滴下ロートを用いて、メタクリロイルクロリド(和光純薬工業株式会社製)14.3gを15分間掛けて滴下した。滴下の際には、反応系の内温が0℃を超えないように冷却を行った。滴下終了後、浴を氷浴に移し変えて、反応系を0℃で1時間攪拌した。1時間攪拌後、濃度6mol/Lの塩酸水溶液を添加して、反応液のpHを3以下にした。前記の塩酸水溶液の添加に伴い、反応系中に白色の沈殿が生成した。当該溶液中に塩化ナトリウム600gを添加した後、酢酸エチル800mLを用いて3回抽出した。得られた酢酸エチル溶液を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、酢酸エチル層に硫酸マグネシウムを添加して脱水を行った。脱水後、ロータリーエバポレーターを用いて酢酸エチルを減圧留去することで、白色の粗結晶を得た。得られた粗結晶を用いて酢酸エチルから再結晶することで、N−メタクリロイル−12−アミノドデカン酸の白色結晶24gを得た(融点73−74℃)。本実施例の化学反応式を以下に示す。
Figure 2008047547
[重合性アミドである化合物(I)の合成]
1000mLビーカーに上述の方法により得られたN−メタクリロイル−12−アミノドデカン酸10gと、ホスホセリン(東京化成工業株式会社製)6.3gを加えた。続いて、メタノールと水の混合溶媒(メタノールと水の体積比(メタノール/水)=7/3)500mlを加え攪拌子を用いて混合した。上記溶液中にpHメーター(株式会社堀場製作所製「pHメーターF−55」)をセットし、2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液20mLを加えたところ、無色透明の均一な溶液となり、このときのpHは6.4であり、さらに、6mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液3.5mLを加えたところ、pHは7.4であった。続いて、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(国産化学株式会社製「DMT−MM」(含水率12%);以下「DMT−MM」と略すことがある)10.67gをスパーテルを用いて少しずつ添加し、室温化で16時間攪拌した。前記DMT−MMの添加量は、N−メタクリロイル−12−アミノドデカン酸1モルに対して0.96モルである。続いて、重合禁止剤としてメチルエーテルヒドロキノン(以下「MEHQ」と略すことがある)50mgを加えた後に、反応液を2000mLナスフラスコに移し、ロータリーエバポレータを用いてバス温度25℃で反応液中のメタノールを減圧留去した。減圧留去後の濃縮液を1000mL分液ロートへ移した後に水を200mL追加して水層の全量を約400mLとした。酢酸エチル100mLを分液ロートに添加して水層を3回洗浄した。1mol/Lの塩酸水溶液150mLを分液ロート中の水層に添加し、分液ロートを振盪することで白色の乳化液が得られた。このときの水層のpHは1.3であった。上記のようにして得られた水層約550mLを酢酸エチル400mLで5回抽出することにより目的化合物を含む有機層を得た(水層のpHを強酸性にすることで、目的化合物が有機層に抽出されるようになる)。得られた有機層にMEHQ50mgを添加した後、ロータリーエバポレータを用いて前記有機層をバス温度25℃で減圧濃縮した。濃縮終了後、白色油状物質がフラスコ底部に沈着した。前記油状物質にメタノール75mLを添加して溶解させた後、前記メタノール溶液を綿栓ろ過した。次いで、ろ液をロータリーエバポレータを用いて温度25℃で減圧濃縮することで、目的とする重合性アミドである本発明の化合物(I)を8.8g得た。本実施例の化学反応式を以下に示す。
Figure 2008047547
上記方法により得られた化合物(I)のH−NMRスペクトル(400MHz、CDOD)を測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)は、以下のとおりであった。
δ=1.31(s;14H)、1.53(t;2H)、1.62(t;2H)、1.93(s;3H)、2.27(m;2H)、3.21(t;2H)、4.11(m;1H)、4.23(m;1H)、4.57(t;1H)、5.34(s;1H)、5.65(s;1H)
また、上記方法により得られた化合物(I)の13C−NMRスペクトル(100MHz、CDOD)を測定したところ、化学シフトδ(ppm)は、以下のとおりであった。
δ=18.9、26.8、28.0、30.2、30.3、30.4、30.5、30.6、36.8、40.6、52.8、54.9、65.5、120.0、141.3、151.4、171.0、171.7、176.2
以下で用いる略記号は次のとおりである。
[酸性モノマー]
A−1:化合物(I)
A−2:N−メタクリロイル−12−アミノドデカン酸
A−3:2−メタクリロイルオキシエチルリン酸
[水溶性を有する重合性単量体]
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
[架橋性を有する重合性単量体]
BisGMA:ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート
#801:1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)エタン
NPG:ネオペンチルグリコールジメタクリレート
[光重合開始剤]
TMDPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
CQ:カンファーキノン
[アミン類]
アミン1:N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル
アミン2:トリエタノールアミン
[無機フィラー]
無機フィラー1:日本アエロジル製「R972」
無機フィラー2:日本アエロジル製「Ar380」
[2液型歯科用組成物の調製]
(実施例1)
下記の各成分を常温下で混合してプライマー組成物及びボンディング材組成物を調製し、牛歯エナメル質との接着強度及び牛歯象牙質との接着強度を測定した。
プライマー組成物:
A−1 15重量部
HEMA 40重量部
水 40重量部
#801 10重量部
エタノール 8重量部
TMDPO 0.5重量部
ボンディング材組成物:
BisGMA 40重量部
HEMA 40重量部
NPG 20重量部
TMDPO 3重量部
無機フィラー1 5.5重量部
無機フィラー2 1.5重量部
[牛歯エナメル質及び牛歯象牙質との接着評価方法]
ウシ下顎前歯の唇面を流水下にて#80シリコン・カーバイド紙(日本研紙株式会社製)で研磨して、エナメル質の平坦面を露出させたサンプル及び象牙質の平坦面を露出させたサンプルをそれぞれ得た。得られたそれぞれのサンプルを流水下にて#1000のシリコン・カーバイド紙(日本研紙株式会社製)でさらに研磨した。研磨終了後、表面の水をエアブローすることで乾燥した。乾燥後の平滑面に、直径3mmの丸穴を有する厚さ約150μmの粘着テープを貼着し、接着面積を規制した。
上記作製したプライマー組成物を上記の丸穴内に筆を用いて塗布し、20秒間放置した後、表面をエアブローすることで、塗布したプライマー組成物の流動性が無くなるまで乾燥した。次いで、上述のボンディング材組成物を、前記プライマーを塗布・乾燥した歯面に重ね塗りした。続いて、歯科用可視光線照射器「JETライト3000」(J.Morita USA製)にて20秒間光照射することにより、塗布したプライマー組成物及びボンディング材組成物を硬化させた。
得られたボンディング材組成物の硬化物の表面に歯科充填用コンポジットレジン(クラレメディカル株式会社製、商品名「クリアフィルAP−X」(登録商標))を塗布し、離型フィルム(ポリエステル)で被覆した。次いで、その離型フィルムの上にスライドガラスを載置して押しつけることで、前記コンポジットレジンの塗布面を平滑にした。続いて、前記離型フィルムを介して、前記コンポジットレジンに対して前記照射器「JETライト3000」を用いて20秒間光照射を行い、前記コンポジットレジンを硬化させた。
得られた歯科充填用コンポジットレジンの硬化物の表面に対して、市販の歯科用レジンセメント(クラレメディカル株式会社製、商品名「パナビア21」)を用いてステンレス製円柱棒(直径7mm、長さ2.5cm)の一方の端面(円形断面)を接着した。接着後、当該サンプルを30分間室温で静置した後、蒸留水に浸漬した。得られた蒸留水に浸漬したサンプルを、37℃に保持した恒温器内に24時間静置することで、接着試験供試サンプルを作製した。接着試験供試サンプルは全部で5個作製した。
[接着強度の測定]
上記の5個の接着試験供試サンプルの引張接着強度を、万能試験機(株式会社島津製作所製)にてクロスヘッドスピードを2mm/分に設定して測定し、平均値を引張接着強度とした。牛歯エナメル質との接着強度は25.0MPaであり、牛歯象牙質との接着強度は18.4MPaであった。得られた結果を表1にまとめて示す。
(比較例1)
実施例1において、酸性モノマーである「A−1」を15重量部用いる代わりに、「A−2」を15重量部用いた以外は実施例1と同様にしてプライマー組成物及びボンディング材組成物を調製し、牛歯エナメル質との接着強度及び牛歯象牙質との接着強度を測定した。得られた結果を表1にまとめて示す。
(比較例2)
実施例1において、酸性モノマーである「A−1」を15重量部用いる代わりに、「A−3」を15重量部用いた以外は実施例1と同様にしてプライマー組成物及びボンディング材組成物を調製し、牛歯エナメル質との接着強度及び牛歯象牙質との接着強度を測定した。得られた結果を表1にまとめて示す。
[1液型歯科用組成物の調製]
(実施例2)
下記の各成分を常温下で混合して1液型歯科用組成物である1液型ボンディング材組成物を調製し、牛歯象牙質との接着強度を測定した。
1液型ボンディング材組成物:
A−1 10重量部
BisGMA 30重量部
HEMA 30重量部
水 15重量部
エタノール 15重量部
TMDPO 5重量部
無機フィラー1 5重量部
[牛歯エナメル質及び牛歯象牙質との接着評価方法]
ウシ下顎前歯の唇面を流水下にて#80シリコン・カーバイド紙(日本研紙株式会社製)で研磨して、エナメル質の平坦面を露出させたサンプル及び象牙質の平坦面を露出させたサンプルを得た。得られたそれぞれのサンプルを流水下にて#1000のシリコン・カーバイド紙(日本研紙株式会社製)でさらに研磨した。研磨終了後、表面の水をエアブローすることで乾燥した。乾燥後の平滑面に、直径3mmの丸穴を有する厚さ約150μmの粘着テープを貼着し、接着面積を規制した。
上記作製した1液型ボンディング材組成物を上記の丸穴内に筆を用いて塗布し、20秒間放置した後、表面をエアブローすることで、塗布した1液型ボンディング材組成物の流動性が無くなるまで乾燥した。次いで、歯科用可視光線照射器「JETライト3000」(J.Morita USA製)にて20秒間光照射することにより、塗布した1液型ボンディング材組成物を硬化させた。
得られた1液型ボンディング材組成物の硬化物の表面に歯科充填用コンポジットレジン(クラレメディカル株式会社製、商品名「クリアフィルAP−X」(登録商標))を塗布し、離型フィルム(ポリエステル)で被覆した。次いで、その離型フィルムの上にスライドガラスを載置して押しつけることで、前記コンポジットレジンの塗布面を平滑にした。続いて、前記離型フィルムを介して、前記コンポジットレジンに対して前記照射器「JETライト3000」を用いて20秒間光照射を行い、前記コンポジットレジンを硬化させた。
得られた歯科充填用コンポジットレジンの硬化物の表面に対して、市販の歯科用レジンセメント(クラレメディカル株式会社製、商品名「パナビア21」)を用いてステンレス製円柱棒(直径7mm、長さ2.5cm)の一方の端面(円形断面)を接着した。接着後、当該サンプルを30分間室温で静置した後、蒸留水に浸漬した。得られた蒸留水に浸漬したサンプルを、37℃に保持した恒温器内に24時間静置することで、接着試験供試サンプルを作製した。接着試験供試サンプルは全部で5個作製した。
[接着強度の測定]
上記の5個の接着試験供試サンプルの引張接着強度を、万能試験機(株式会社島津製作所製)にてクロスヘッドスピードを2mm/分に設定して測定し、平均値を引張接着強度とした。牛歯エナメル質との接着強度は16.8MPaであり、牛歯象牙質との接着強度は20.7MPaであった。得られた結果を表2にまとめて示す。
(比較例3)
実施例2において、酸性モノマーである「A−1」を10重量部用いる代わりに、「A−2」を10重量部用いた以外は実施例2と同様にして1液型ボンディング材組成物を調製し、牛歯エナメル質との接着強度及び牛歯象牙質との接着強度を測定した。得られた結果を表2にまとめて示す。
(比較例4)
実施例2において、酸性モノマーである「A−1」を10重量部用いる代わりに、「A−3」を10重量部用いた以外は実施例2と同様にして1液型ボンディング材組成物を調製し、牛歯エナメル質との接着強度及び牛歯象牙質との接着強度を測定した。得られた結果を表2にまとめて示す。
Figure 2008047547
Figure 2008047547
(実施例3)
実施例2において、1液型ボンディング材組成物の組成を以下のように変更した以外は、実施例2と同様にして1液型ボンディング材組成物を調製し、牛歯エナメル質との接着強度及び牛歯象牙質との接着強度を測定した。牛歯エナメル質との接着強度は16.1MPaであり、牛歯象牙質との接着強度は21.4MPaであった。
1液型ボンディング材組成物:
A−1 10重量部
BisGMA 30重量部
HEMA 30重量部
水 15重量部
エタノール 15重量部
CQ 3重量部
アミン1 1重量部
アミン2 1.5重量部
無機フィラー1 5重量部
表1より、「A−1」である本発明の化合物(I)を酸性モノマーとして用いた実施例1では、コンポジットレジンとエナメル質との接着強度が25.0MPa、コンポジットレジンと象牙質との接着強度が18.4MPaと、接着性が良好であり、2液型歯科用接着剤として有用であることが分かる。これに対し、リン酸基を有しない「A−2」を酸性モノマーとして用いた比較例1、及びカルボキシル基を有しない「A−3」を酸性モノマーとして用いた比較例2では、コンポジットレジンとエナメル質との接着強度、及びコンポジットレジンと象牙質との接着強度がいずれも大きく劣った。
表2より、「A−1」である本発明の化合物(I)を酸性モノマーとして用いた実施例2では、コンポジットレジンとエナメル質との接着強度が16.8MPa、コンポジットレジンと象牙質との接着強度が20.7MPaと、接着性が良好であり、1液型歯科用組成物として有用であることが分かる。これに対し、リン酸基を有しない「A−2」を酸性モノマーとして用いた比較例1、及びカルボキシル基を有しない「A−3」を酸性モノマーとして用いた比較例2では、コンポジットレジンと象牙質との接着強度が大きく劣った。また、重合開始剤(III)単独ではなく、重合開始剤(III)及び重合促進剤(IV)を併用した実施例3においても良好な接着性を示しており、1液型歯科用組成物として有用であることが分かる。

Claims (41)

  1. 下記一般式(1)で示される化合物(I)。
    Figure 2008047547
    [式中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、シアノ基又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、(A)及び(B)は任意の構成単位であり、Aは、−CONH−、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−CHO−、−CHS−、−CO−、−CCONH−、−CNHCO−、−CCOO−、−COCO−及び−CONHCO−からなる群から選択される1種であり、Bは、−CONH−、−NHCO−、−COO−及び−OCO−からなる群から選択される1種であり、mは1〜3の整数であり、nは1〜3の整数であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜40の有機基であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基、又は金属原子である。]
  2. 及びRが水素原子であり、Rが水素原子又はメチル基である請求項1記載の化合物(I)。
  3. Aが、−CONH−又は−COO−である請求項1又は2記載の化合物(I)。
  4. Bが、−CONH−である請求項1〜3のいずれか記載の化合物(I)。
  5. が、−CH−Ph−、−CH(CH)−及び−CH−からなる群から選択される1種である請求項1〜4のいずれか記載の化合物(I)。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載の化合物(I)を含む組成物。
  7. 請求項1〜5のいずれか記載の化合物(I)と、前記化合物(I)以外の、前記化合物(I)と共重合可能な重合性単量体(II)を含む請求項6記載の組成物。
  8. 前記重合性単量体(II)が(メタ)アクリレート化合物である請求項7記載の組成物。
  9. 重合開始剤(III)を含む請求項6〜8のいずれか記載の組成物。
  10. 重合促進剤(IV)を含む請求項6〜9のいずれか記載の組成物。
  11. フィラー(V)を含む請求項6〜10のいずれか記載の組成物。
  12. 溶媒(VI)を含む請求項6〜11のいずれか記載の組成物。
  13. 溶媒(VI)が水(VII)を含む請求項12記載の組成物。
  14. 請求項6〜13のいずれか記載の組成物からなる歯科用組成物。
  15. 請求項14記載の歯科用組成物からなるプライマー。
  16. 請求項14記載の歯科用組成物からなるボンディング材。
  17. 請求項14記載の歯科用組成物からなるセメント。
  18. 請求項14記載の歯科用組成物からなるコンポジットレジン。
  19. 下記一般式(2)で示されるカルボン酸(a1)と、下記一般式(3)で示されるアミン(b1)とを縮合反応させることを特徴とする請求項4記載の化合物(I)の製造方法。
    Figure 2008047547
    [式中、R、R、R、R、(A)、m及びnは、前記式(1)と同じである。]
    Figure 2008047547
    [式中、R、R及びRは、前記式(1)と同じである。]
  20. 前記カルボン酸(a1)が、(メタ)アクリル基を含む請求項19記載の化合物(I)の製造方法。
  21. 前記縮合反応に用いる縮合剤が、トリアジン系縮合剤である請求項19又は20記載の化合物(I)の製造方法。
  22. 下記一般式(4)で示される酸ハライド(a2)と、下記一般式(3)で示されるアミン(b1)とを反応させて得る請求項4記載の化合物(I)の製造方法。
    Figure 2008047547
    [式中、R、R、R、R、(A)、m及びnは、前記式(1)と同じであり、Xはハロゲン原子である。]
    Figure 2008047547
    [式中、R、R及びRは、前記式(1)と同じである。]
  23. 前記酸ハライド(a2)が、(メタ)アクリル基を含む請求項22記載の化合物(I)の製造方法。
  24. 前記アミン(b1)が、アミノ酸のリン酸エステルである請求項19〜23のいずれか記載の化合物(I)の製造方法。
  25. 前記アミン(b1)が、ホスホセリン、ホスホスレオニン及びホスホチロシンからなる群から選択される1種である請求項24記載の化合物(I)の製造方法。
  26. 下記一般式(5)で示される化合物(VIII)。
    Figure 2008047547
    [式中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、シアノ基又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、(A)及び(B)は任意の構成単位であり、Aは、−CONH−、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−CHO−、−CHS−、−CO−、−CCONH−、−CNHCO−、−CCOO−、−COCO−及び−CONHCO−からなる群から選択される1種であり、Bは、−CONH−、−NHCO−、−COO−及び−OCO−からなる群から選択される1種であり、mは1〜3の整数であり、nは1〜3の整数であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜40の有機基であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。]
  27. 下記一般式(2)で示されるカルボン酸(a1)と、下記一般式(6)で示されるアミン(b2)とを縮合反応させることを特徴とする請求項26記載の化合物(VIII)の製造方法。
    Figure 2008047547
    [式中、R、R、R、R、(A)、m及びnは、前記式(5)と同じである。]
    Figure 2008047547
    [式中、Rは、前記式(5)と同じである。]
  28. 前記アミン(b2)が、アミノ酸である請求項26又は27記載の化合物(VIII)の製造方法。
  29. 前記アミン(b2)が、セリン、スレオニン及びチロシンからなる群から選択される1種である請求項28記載の化合物(VIII)の製造方法。
  30. カルボン酸とアミンを縮合反応させてアミド結合を形成させる重合性アミドの製造方法であって、前記カルボン酸及び前記アミンの少なくとも一方が重合性基を有し、かつ下記一般式(7)で示されるトリアジン系縮合剤(IX)を用いて縮合反応を行うことを特徴とする重合性アミドの製造方法。
    Figure 2008047547
    [式中、R12及びR13は、それぞれ独立してアルコキシ基又はアルキル基であり、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子、トリフラート、トシラート、メシラート又はクロロメタンスルホナートであり、R14、R15及びR16は互いに結合して環を形成していてもよい。]
  31. 下記一般式(2)で示されるカルボン酸(a1)と、下記一般式(9)で示されるアミン(b4)とを縮合反応させて、下記一般式(10)で示される重合性アミド(X)を得る請求項30記載の重合性アミドの製造方法。
    Figure 2008047547
    [式中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、シアノ基又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、(A)は任意の構成単位であり、Aは、−CONH−、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−CHO−、−CHS−、−CO−、−CCONH−、−CNHCO−、−CCOO−、−COCO−及び−CONHCO−からなる群から選択される1種であり、mは1〜3の整数であり、nは1〜3の整数であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜40の有機基である。]
    Figure 2008047547
    [式中、R18は、置換基を有してもよい炭素数1〜200の有機基である。]
    Figure 2008047547
    [式中、R、R、R、R、R18、(A)、m及びnは、上記式(2)及び上記式(9)と同じである。]
  32. 前記カルボン酸(a1)が、(メタ)アクリロイル基を含む請求項31記載の重合性アミドの製造方法。
  33. 前記アミン(b4)が、アミノ酸である請求項31記載の重合性アミドの製造方法。
  34. 前記アミン(b4)が、アミノ酸のリン酸エステルである請求項31記載の重合性アミドの製造方法。
  35. 下記一般式(11)で示されるカルボン酸(a3)と、下記一般式(12)で示されるアミン(b3)とを縮合反応させて、下記一般式(13)で示される重合性アミド(XI)を得る請求項30記載の重合性アミドの製造方法。
    Figure 2008047547
    [式中、R19は、置換基を有してもよい炭素数1〜200の有機基である。]
    Figure 2008047547
    [式中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、シアノ基又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、(A)は任意の構成単位であり、Aは、−CONH−、−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−CHO−、−CHS−、−CO−、−CCONH−、−CNHCO−、−CCOO−、−COCO−及び−CONHCO−からなる群から選択される1種であり、mは1〜3の整数であり、nは1〜3の整数であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜40の有機基である。]
    Figure 2008047547
    [式中、R、R、R、R、R19、(A)、m及びnは、上記式(11)及び上記式(12)と同じである。]
  36. 前記アミン(b3)が、(メタ)アクリロイル基を含む請求項35記載の重合性アミドの製造方法。
  37. 前記カルボン酸(a3)が、アミノ酸である請求項35記載の重合性アミドの製造方法。
  38. 前記カルボン酸(a3)が、アミノ酸のリン酸エステルである請求項35記載の重合性アミドの製造方法。
  39. 前記トリアジン系縮合剤(IX)が下記一般式(8)で示されるものである請求項30〜38のいずれか記載の重合性アミドの製造方法。
    Figure 2008047547
    [式中、R12、R13及びXは前記式(7)と同じであり、R17は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。]
  40. 縮合反応に用いる反応溶媒が水を含む請求項30〜39のいずれか記載の重合性アミドの製造方法。
  41. 縮合反応に用いる反応溶媒が水及びアルコールの混合溶媒である請求項40記載の重合性アミドの製造方法。
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