本発明は、信号送信装置に用いられる信号補正回路、上記信号補正回路を備えた信号補正装置、上記信号補正回路を用いた信号送信装置及び上記信号補正装置を用いた信号送信装置に関する。
近年、液晶テレビやプラズマテレビに代表されるフラットパネルディスプレイにおいて、VGA(Video Graphics Array)からXGA(eXtended Graphics Array)へと高画質となるに従い、画像情報を転送する信号速度は高速化が進んでいる。そこで、高速ディジタルデータ伝送の方式として、低振幅の差動伝送方式が用いられるようになった。この伝送方式は、1本の平衡ケーブル又はプリント基板上に形成された2本の配線パターンを介して、互いに逆相で振幅の等しい信号を伝送する方式である。特徴としては、低ノイズ、外来ノイズに対する強耐性、低電圧振幅、高速データ伝送などがあり、高速伝送の手法として、特にディスプレイの分野において導入が進んでいる。
しかしながら、信号送信装置からの伝送信号を、1対の伝送線からなる差動伝送路を介して信号受信装置に伝送する実際の差動伝送においては、信号送信装置を構成する差動ドライバアンプの特性のばらつきや、差動伝送路の対称性の崩れなどにより、信号受信装置に入力される信号間のクロスポイントがずれて、伝送信号を正確に伝送できなかった。
特許文献1記載の従来技術に係るパルス幅補正回路は、各差動伝送路毎に可変容量手段とバイアス電源とを接続しておき、バイアス電源の電圧を調整することにより可変容量手段の容量を変化させて差動信号伝送路の出力移相を調整し、差動信号間のクロスポイントを適正ポイントに設定する。
しかしながら、従来技術に係るパルス幅補正回路は以下の課題を有していた。従来技術に係るパルス幅補正回路は信号受信装置の近傍において1対の差動信号間のクロスポイントを調整するため、差動信号の非対称性などに起因する差動伝送路からの電磁波放射を抑制できなかった。また、バイアス電源の電圧設定のデータを管理する管理コンピュータを必要とするため、回路構成が大きくなるという課題があった。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、複数の伝送線間で発生する電磁波放射を抑制でき、従来技術に比較して回路構成が簡単である信号補正回路、上記信号補正回路を備えた信号補正装置、上記信号補正回路を用いた信号送信装置及び上記信号補正装置を用いた信号送信装置を提供することにある。
第1の発明に係る信号補正回路は、所定の周期を有するクロック信号に従って発生される伝送信号を伝送線路を介して送信する信号送信装置のための信号補正回路であって、上記クロック信号の第1のタイミングにおける伝送信号の信号レベルを記憶して出力する記憶手段と、上記クロック信号の第1のタイミングの次の第2のタイミングにおける伝送信号の信号レベルを検出し、上記検出した信号レベルと上記記憶手段からの信号レベルとの間の第1の信号レベル差を検出して、上記検出した第1の信号レベル差を示す第1の検出信号を発生して出力する第1の検出手段と、上記第1の検出信号に基づいて、上記第1の信号レベル差に応じた容量を上記伝送線路に付加することにより、上記伝送信号の立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように、上記伝送信号を遅延させる遅延手段とを備えたことを特徴とする。
上記信号補正回路において、上記第1の検出信号に基づいて、上記第1の信号レベル差と、上記伝送信号の各タイミング間の信号レベル差の最大値との間の第2の信号レベル差を検出して、上記検出した第2の信号レベル差を示す第2の検出信号を発生して出力する第2の検出手段をさらに備え、上記遅延手段は、上記第2の検出信号に基づいて、上記第2の信号レベル差に応じた容量を上記伝送線路に付加することにより、上記伝送信号の立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように、上記伝送信号を遅延させることを特徴とする。
第2の発明に係る信号補正装置は、所定の周期を有するクロック信号に従って発生される複数の伝送信号を複数の伝送線路を介してそれぞれ送信する信号送信装置のための信号補正装置であって、上記複数の伝送信号毎に設けられ、上記各第1の検出手段からの第1の検出信号を出力する上記の複数の信号補正回路と、上記各信号補正回路の第1の検出手段からの各第1の検出信号に基づいて、複数の第1の信号レベル差の最大値を検出して上記伝送信号の各タイミング間の信号レベル差の最大値として上記各信号補正回路の第2の検出手段に出力する最大値検出手段とを備えたことを特徴とする。
第3の発明に係る信号送信装置は、上記の信号補正回路と、上記伝送信号を発生して上記信号補正回路に出力する信号発生手段とを備えたことを特徴とする。
上記信号送信装置において、上記伝送線路は1対の伝送線にてなる差動伝送線路であり、上記伝送信号に基づいて1対の差動信号を発生して上記差動伝送線路に出力する差動ドライバ手段をさらに備え、上記遅延手段は上記容量を上記1対の伝送線のそれぞれに付加することを特徴とする。
第4の発明に係る信号送信装置は、上記の信号補正装置と、上記複数の伝送信号を発生して上記信号補正装置に出力する信号発生手段とを備えたことを特徴とする。
上記信号送信装置において、上記各伝送線路はそれぞれ1対の伝送線にてなる差動伝送線路であり、上記各伝送信号に基づいて1対の差動信号を発生して上記各差動伝送線路にそれぞれ出力する複数の差動ドライバ手段をさらに備え、上記各遅延手段は上記容量を上記1対の伝送線のそれぞれに付加することを特徴とする。
また、上記信号送信装置において、上記記憶手段は、上記1対の差動信号のうちいずれか一方の信号の信号レベルを上記伝送信号の信号レベルとして記憶し、上記第1の検出手段は、上記1対の差動信号のうちいずれか一方の信号の信号レベルを上記伝送信号の信号レベルとして検出することを特徴とする。ここで、上記各伝送線路は、上記1対の差動信号のうち正側の信号と、異なる伝送信号に基づいて発生された上記1対の差動信号のうち負側の信号とを多重化して伝送することを特徴とする。
本発明に係る信号補正回路とそれを用いた信号送信装置によれば、所定の周期を有するクロック信号に従って発生される伝送信号を伝送線路を介して送信する信号送信装置のための信号補正回路であって、上記クロック信号の第1のタイミングにおける伝送信号の信号レベルを記憶して出力する記憶手段と、上記クロック信号の第1のタイミングの次の第2のタイミングにおける伝送信号の信号レベルを検出し、上記検出した信号レベルと上記記憶手段からの信号レベルとの間の第1の信号レベル差を検出して、上記検出した第1の信号レベル差を示す第1の検出信号を発生して出力する第1の検出手段と、上記第1の検出信号に基づいて、上記第1の信号レベル差に応じた容量を上記伝送線路に付加することにより、上記伝送信号の立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように、上記伝送信号を遅延させる遅延手段とを備えたので、従来技術に比較して回路構成を簡単にでき、伝送信号の各立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように補償して伝送線路に出力できる。
また、本発明に係る信号補正回路とそれを用いた信号送信装置によれば、上記第1の検出信号に基づいて、上記第1の信号レベル差と、上記伝送信号の各タイミング間の信号レベル差の最大値との間の第2の信号レベル差を検出して、上記検出した第2の信号レベル差を示す第2の検出信号を発生して出力する第2の検出手段をさらに備え、上記遅延手段は、上記第2の検出信号に基づいて、上記第2の信号レベル差に応じた容量を上記伝送線路に付加することにより、上記伝送信号の立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように、上記伝送信号を遅延させるので、従来技術に比較して回路構成を簡単にでき、伝送信号の各立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように補償して伝送線路に出力できる。
さらに、本発明に係る信号補正装置とそれを用いた信号送信装置によれば、所定の周期を有するクロック信号に従って発生される複数の伝送信号を複数の伝送線路を介してそれぞれ送信する信号送信装置のための信号補正装置であって、上記複数の伝送信号毎に設けられ、上記各第1の検出手段からの第1の検出信号を出力する上記の複数の信号補正回路と、上記各信号補正回路の第1の検出手段からの各第1の検出信号に基づいて、複数の第1の信号レベル差の最大値を検出して上記伝送信号の各タイミング間の信号レベル差の最大値として上記各信号補正回路の第2の検出手段に出力する最大値検出手段とを備えたので、従来技術に比較して回路構成を簡単にでき、上記複数の伝送信号の各立ち上がり時間を各タイミング毎に実質の所定の範囲値に保持することができ、これにより、各伝送線路から放射されるノイズを互いに打ち消すことができるので、伝送線路間で発生するノイズの発生を抑制できる。
またさらに、上記信号送信装置において、上記伝送線路が1対の伝送線にてなる差動伝送線路であり、上記伝送信号に基づいて1対の差動信号を発生して上記差動伝送線路に出力する差動ドライバ手段をさらに備え、上記遅延手段は上記容量を上記1対の伝送線のそれぞれに付加するので、各伝送線を介して伝送される信号に同相で重畳した外部ノイズを信号受信装置においてキャンセルできる。
また、上記信号送信装置において、上記記憶手段は、上記1対の差動信号のうちいずれか一方の信号の信号レベルを上記伝送信号の信号レベルとして記憶し、上記第1の検出手段は、上記1対の差動信号のうちいずれか一方の信号の信号レベルを上記伝送信号の信号レベルとして検出するので、発生された差動信号を1対の伝送線からなる差動伝送線路を介して送信する場合においても適用することができる。
さらに、上記信号送信装置において、上記各伝送線路は、上記1対の差動信号のうち正側の信号と、異なる伝送信号に基づいて発生された上記1対の差動信号のうち負側の信号とを多重化して伝送するので、伝送線路の本数を低減できる。
本発明の第1の実施形態に係る信号送信装置200及び信号受信装置300の概略構成を示すブロック図である。
本発明の第1の実施形態の変形例に係る信号送信装置200及び信号受信装置300の概略構成を示すブロック図である。
本発明の第2の実施形態に係る信号送信装置200A及び信号受信装置300の概略構成を示すブロック図である。
本発明の第2の実施形態の変形例に係る信号送信装置200A及び信号受信装置300の概略構成を示すブロック図である。
符号の説明
1,2,3…伝送線路、
11,21,31…電圧メモリ、
12,13,22,23,32,33…電圧差検出器、
14,15,24,25,34,35…バイアス電圧源、
16,17,26,27,36,37…バラクタダイオード、
18,28,38…差動ドライバアンプ、
40…最大値検出器、
51〜53,61〜66,81〜86,87〜89…伝送線、
70,71,72…終端抵抗、
91〜93…差動アンプ、
100,100A…信号補正回路
101〜103…信号発生器、
111〜113…バッファ、
200,200A…信号送信装置、
300…信号受信装置、
T10,T20,T30…入力端子、
T11,T12,T21,T22,T31及びT32…出力端子、
T13,T14,T23,T24,T33及びT34…入力端子、
T15,T25,T35…出力端子。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態に係る信号送信装置200及び信号受信装置300の概略構成を示すブロック図である。
図1において、信号送信装置200は、信号発生器101乃至103と、バッファ111乃至113と、信号補正回路100とを備えて構成される。
信号発生器101は、所定の周期で周期的に繰り返すパルス形状を有するクロック信号CLの立ち上がりエッジの各タイミングにおいて、−1V,0V,又は1Vの電圧レベルを有する伝送信号S1を発生して、バッファ111及び入力端子T10を介して信号補正回路100に出力する。また、信号発生器102は、信号発生器101と同様に伝送信号S2を発生して、バッファ112及び入力端子T20を介して信号補正回路100に出力する。さらに、信号発生器103は、信号発生器101と同様に伝送信号S3を発生して、バッファ113及び入力端子T30を介して信号補正回路100に出力する。
信号補正回路100は、入力される各伝送信号S1乃至S3に基づいて発生される各差動信号に対して詳細後述する立ち上がり時間又は立ち下がり時間の補正を行い、伝送線81及び82にてなる平衡差動伝送路である伝送線路1、伝送線83及び84にてなる平衡差動伝送路である伝送線路2、並びに伝送線85及び86にてなる平衡差動伝送路である伝送線路3を介して信号受信装置300にそれぞれ差動で出力するための回路であって、入力端子T10,T20及びT30と、電圧メモリ11,21及び31と、電圧差検出器12,13,22,23,32及び33と、バイアス電圧源14,15,24,25,34及び35と、バラクタダイオード16,17,26,27,36及び37と、差動ドライバアンプ18,28及び38と、出力端子T11,T12,T21,T22,T31及びT32と、最大値検出器40と、伝送線51乃至53及び61乃至66とを備えて構成される。ここで、電圧メモリ11,21及び31と、電圧差検出器12,13,22,23,32及び33と、最大値検出器40とは、クロック信号CLに同期して動作する。
ここで、本実施形態に係る信号送信装置200は、信号補正回路100と、所定の周期を有するクロック信号CLに同期して伝送信号S1乃至S3を発生して上記信号補正回路100に出力する信号発生器101乃至103とを備えたことを特徴とする。また、信号補正回路100は、クロック信号CLの第1のタイミングにおける各伝送信号S1乃至S3の電圧レベルをそれぞれ記憶して出力する電圧メモリ11,21及び31と、クロック信号CLの第1のタイミングの次の第2のタイミングにおける各伝送信号S1乃至S3の電圧レベルをそれぞれ検出し、上記検出した電圧レベルと電圧メモリ11,22及び32からの電圧レベルとの間の第1の電圧レベル差をそれぞれ検出して、検出した第1の電圧レベル差を示す第1の電圧レベル差信号をそれぞれ発生して出力する電圧差検出器12,22及び32と、各電圧差検出器12,22及び32からの各第1の電圧レベル差信号に基づいて、3つの第1の電圧レベル差の最大値を検出して出力する最大値検出器40と、各第1の電圧レベル差信号に基づいて、各第1の電圧レベル差と、最大値検出器40からの最大値との間の第2の電圧レベル差をそれぞれ検出して、第2の電圧レベル差を示す第2の電圧レベル差信号をそれぞれ発生して出力する電圧差検出器13,23及び33と、電圧差検出器13からの第2の電圧レベル差信号に基づいて、第2の電圧レベル差に応じた容量を伝送路61に付加することにより、伝送信号S1の非反転信号の立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を実質的に所定の範囲値に保持するように、伝送信号S1の非反転信号を遅延させるバイアス電圧源14と、電圧差検出器13からの第2の電圧レベル差信号に基づいて、第2の電圧レベル差に応じた容量を伝送路62に付加することにより、伝送信号S1の反転信号の立ち下がり時間(又は立ち上がり時間)を実質的に所定の範囲値に保持するように、伝送信号S1の反転信号を遅延させるバイアス電圧源15と、バイアス電圧源14及び15と同様に動作するバイアス電圧源24,25,34及び35とを備えたことを特徴とする。
図1において、信号発生器101によって発生された伝送信号S1は、バッファ111、入力端子T10及び伝送線51を介して差動ドライバアンプ18に出力される。次いで、差動ドライバアンプ18は、入力される伝送信号S1の振幅に応じて所定の振幅を有する非反転信号及び反転信号にてなる1対の差動信号を発生して、非反転信号及び反転信号を伝送線61及び62にそれぞれ出力する。差動ドライバアンプ18からの非反転信号は、伝送線61において詳細後述するように各立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)の補正が行われた後で、出力端子T11を介して伝送線81に出力される。また、差動ドライバアンプ18からの反転信号は、伝送線62に出力され、伝送線62において詳細後述するように各立ち下がり時間(又は立ち上がり時間)の補正が行われた後で、出力端子T12を介して伝送線82に出力される。また、差動ドライバアンプ28は差動ドライバアンプ18と同様に、伝送信号S2に基づいて非反転信号及び反転信号を発生して、伝送線63及び64にそれぞれ出力する。さらに、差動ドライバアンプ38は差動ドライバアンプ18と同様に、伝送信号S3に基づいて非反転信号及び反転信号を発生して、伝送線65及び66にそれぞれ出力する。
電圧メモリ11は、クロック信号CLの立ち下がりエッジの各タイミングにおける伝送信号S1の電圧レベルを検出して記憶し、クロック信号CLの次の立ち上がりエッジの各タイミングにおいて、記憶した電圧レベルを示す信号を発生して電圧差検出器12に出力する。電圧差検出器12は、クロック信号CLの次の立ち下がりエッジの各タイミングにおける伝送信号S1の電圧レベルを検出し、検出した現在の電圧レベルと、電圧メモリ11からのクロック信号CLにおける現在よりも1つ前の各タイミングの電圧レベルとの間のレベル差(以下、第1の電圧レベル差という。)を検出し、検出した伝送信号S1の第1の電圧レベル差を示す第1の電圧レベル差信号を発生して最大値検出器40及び電圧差検出器13に出力する。
また、電圧メモリ21及び電圧差検出器22はそれぞれ、電圧メモリ11及び電圧差検出器12と同様に動作し、電圧差検出器22は、伝送信号S2の第1の電圧レベル差を示す第1の電圧レベル差信号を発生して、最大値検出器40及び電圧差検出器23に出力する。さらに、電圧メモリ31及び電圧差検出器32はそれぞれ、電圧メモリ11及び電圧差検出器12と同様に動作し、電圧差検出器32は、伝送信号S3の第1の電圧レベル差を示す第1の電圧レベル差信号を発生して、最大値検出器40及び電圧差検出器33に出力する。
最大値検出器40は、各電圧差検出器12,22及び32からの各第1の電圧レベル差信号に基づいて、各伝送信号S1乃至S3の第1の電圧レベル差の最大値(以下、最大電圧レベル差という。)を検出し、検出した最大電圧レベル差を示す最大電圧レベル差信号を各電圧差検出器13,23及び33に出力する。
電圧差検出器13は、電圧差検出器12からの第1の電圧レベル差信号と最大値検出器40からの最大電圧レベル差信号とに基づいて、クロック信号CLの立ち下がりエッジの各タイミングにおいて、伝送信号S1の第1の電圧レベル差と、最大電圧レベル差との間のレベル差(以下、第2の電圧レベル差という。)を検出し、検出した第2の電圧レベル差を示す信号をバイアス電圧源14及び15に出力する。これに応答してバイアス電圧源14は、伝送信号S1の第2の電圧レベル差が大きいほど絶対値が小さい逆バイアス電圧を発生してバラクタダイオード16に印加することにより、より大きな容量を伝送線61に付加し、差動ドライバアンプ18からの非反転信号の遅延時間すなわち立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を大きくする。これにより、差動ドライバアンプ18からの非反転信号の立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を、所定の範囲値に実質的に保持する。また、バイアス電圧源15は、電圧差検出器13からの信号に応答して、バイアス電圧源14が発生する逆バイアス電圧と実質的に等しい逆バイアス電圧を発生して、バラクタダイオード17に印加する。これにより、差動ドライバアンプ18からの反転信号の遅延時間すなわち立ち下がり時間(又は立ち上がり時間)を、所定の範囲値に実質的に保持する。ここで、差動ドライバアンプ18からの非反転信号の立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)は、バラクタダイオード16の容量及び出力端子T11における抵抗値との積によって決まるバラクタダイオード16の充電時間(又は放電時間)であり、差動ドライバアンプ18からの反転信号の立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)は、バラクタダイオード17の容量及び出力端子T12における抵抗値との積によって決まるバラクタダイオード17の充電時間(又は放電時間)である。
差動ドライバアンプ18から伝送線61に出力された非反転信号は、上述のように立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)が調整された後で、出力端子T11を介して伝送線81に出力され、差動ドライバアンプ18から伝送線62に出力された反転信号は、上述のように立ち下がり時間(又は立ち上がり時間)が調整された後で、出力端子T12を介して伝送線82に出力される。なお、伝送信号S1に基づいて発生される非反転信号及び反転信号の各立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)の調整は、クロック信号CLの1周期の時間期間内に行われる。
また、電圧差検出器23、バイアス電圧源24及び25、バラクタダイオード26及び27、及び、差動ドライバアンプ28はそれぞれ、電圧差検出器13、バイアス電圧源14及び15、バラクタダイオード16及び17、及び、差動ドライバアンプ18と同様に動作する。さらに、電圧差検出器33、バイアス電圧源34及び35、バラクタダイオード36及び37、及び、差動ドライバアンプ38はそれぞれ、電圧差検出器13、バイアス電圧源14及び15、バラクタダイオード16及び17、及び、差動ドライバアンプ18と同様に動作する。
図1において、信号受信装置300は、入力端子T13,T14,T23,T24,T33及びT34と、差動アンプ91乃至93と、出力端子T15,T25及びT35とを備えて構成される。差動アンプ91は、差動ドライバアンプ18が発生する非反転信号を伝送線61、出力端子T11、伝送線81、入力端子T13及び差動アンプ91の非反転入力端子を介して受信するとともに、差動ドライバアンプ18が発生する反転信号を伝送線62、出力端子T12、伝送線82、入力端子T14及び差動アンプ91の反転入力端子を介して受信し、受信した2つの信号から伝送信号S1を復元して出力端子T15に出力する。また、差動アンプ92は、差動アンプ91と同様に、受信した2つの信号から伝送信号S2を復元して出力端子T25に出力する。さらに、差動アンプ93は、差動アンプ91と同様に、受信した2つの信号から伝送信号S3を復元して出力端子T35に出力する。
次に、以上のように構成された信号補正回路100の動作を説明する。電圧メモリ11は、クロック信号CLの立ち下がりエッジのタイミングt1において、伝送信号S1の電圧レベルを検出して記憶し、クロック信号CLのタイミングt1の次の立ち上がりエッジのタイミングt2において、記憶した電圧レベルを示す信号を発生して電圧差検出器12に出力する。電圧差検出器12は、クロック信号CLのタイミングt2の次の立ち下がりエッジのタイミングt3において、伝送信号S1の電圧レベルを検出し、検出したタイミングt3での電圧レベルと電圧メモリ11からのタイミングt1での電圧レベルとのレベル差である第1の電圧レベル差を検出し、検出した伝送信号S1の第1の電圧レベル差を示す第1の電圧レベル差信号を発生して最大値検出器40及び電圧差検出器13に出力する。
また、電圧メモリ21は、タイミングt1において、伝送信号S2の電圧レベルを検出して記憶し、タイミングt2において、記憶した電圧レベルを示す信号を発生して電圧差検出器22に出力する。電圧差検出器22は、タイミングt3において、伝送信号S2の電圧レベルを検出し、検出したタイミングt3における電圧レベルと電圧メモリ21からのタイミングt1における電圧レベルとのレベル差である第1の電圧レベル差を検出し、検出した伝送信号S2の第1の電圧レベル差を示す第1の電圧レベル差信号を発生して最大値検出器40及び電圧差検出器23に出力する。
さらに、電圧メモリ31は、タイミングt1において、伝送信号S3の電圧レベルを検出して記憶し、タイミングt2において、記憶した電圧レベルを示す信号を発生して電圧差検出器32に出力する。電圧差検出器32は、タイミングt3において、伝送信号S3の電圧レベルを検出し、検出したタイミングt3における電圧レベルと電圧メモリ31からのタイミングt1における電圧レベルとのレベル差である第1の電圧レベル差を検出し、検出した伝送信号S3の第1の電圧レベル差を示す第1の電圧レベル差信号を発生して最大値検出器40及び電圧差検出器33に出力する。
次いで、最大値検出器40は、各電圧差検出器21,22及び32からの各第1の電圧レベル差信号に基づいて、各伝送信号S1乃至S3の第1の電圧レベル差の最大値である最大電圧レベル差を検出し、検出した最大電圧レベル差を示す最大電圧レベル差信号を各電圧差検出器13,23及び33に出力する。
次に、電圧差検出器13は、電圧差検出器12からの第1の電圧レベル差信号と最大値検出器40からの最大電圧レベル差信号に基づいて、第2の電圧レベル差を検出し、検出した第2の電圧レベル差を示す信号をバイアス電圧源14及び15に出力する。これに応答してバイアス電圧源14は、上述のように、第2の電圧レベル差に応じた容量を伝送線61に付加することにより、差動ドライバアンプ18からの非反転信号の立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を所定の範囲値に実質的に保持するように、当該非反転信号を遅延させる。また、バイアス電圧源15は、上述のように、第2の電圧レベル差に応じた容量を伝送線62に付加することにより、差動ドライバアンプ18からの反転信号の立ち下がり時間(又は立ち上がり時間)を所定の範囲値に実質的に保持するように、当該反転信号を遅延させる。
また、電圧差検出器23は、電圧差検出器22からの第1の電圧レベル差信号と最大値検出器40からの最大電圧レベル差信号に基づいて、第2の電圧レベル差を検出し、検出した第2の電圧レベル差を示す信号をバイアス電圧源24及び25に出力する。これに応答してバイアス電圧源24は、上述のように、第2の電圧レベル差に応じた容量を伝送線63に付加することにより、差動ドライバアンプ28からの非反転信号の立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を所定の範囲値に実質的に保持するように、当該非反転信号を遅延させる。また、バイアス電圧源25は、上述のように、第2の電圧レベル差に応じた容量を伝送線64に付加することにより、差動ドライバアンプ28からの反転信号の立ち下がり時間(又は立ち上がり時間)を所定の範囲値に実質的に保持するように、当該反転信号を遅延させる。
さらに、電圧差検出器33は、電圧差検出器32からの第1の電圧レベル差信号と最大値検出器40からの最大電圧レベル差信号に基づいて、第2の電圧レベル差を検出し、検出した第2の電圧レベル差を示す信号をバイアス電圧源34及び35に出力する。これに応答してバイアス電圧源34は、上述のように、第2の電圧レベル差に応じた容量を伝送線65に付加することにより、差動ドライバアンプ38からの非反転信号の立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を所定の範囲値に実質的に保持するように、当該非反転信号を遅延させる。また、バイアス電圧源35は、上述のように、第2の電圧レベル差に応じた容量を伝送線66に付加することにより、差動ドライバアンプ38からの反転信号の立ち下がり時間(又は立ち上がり時間)を所定の範囲値に実質的に保持するように、当該反転信号を遅延させる。
上記のように構成された信号補正回路100とそれを備えた信号送信装置200によれば、伝送信号S1乃至S3に基づいて発生されるすべての差動信号のタイミングt2における各立ち上がり時間及び立ち下がり時間を、実質的に所定の範囲値に保持するように補正した後に、伝送線路1乃至3に出力できるので、各伝送線から放射されるノイズが互いに打ち消し合い、伝送線路1乃至3において電磁波放射が発生しない。また、バラクタダイオード16,17,26,27,36及び37に印加する逆バイアス電圧を管理する管理コンピュータを必要としないので、従来技術に比較して回路構成が簡単である。さらに、信号送信装置200は、伝送信号S1乃至S3を伝送線路1乃至3を介して差動アンプ91乃至93に差動で出力するので、伝送線路1乃至3を構成する各伝送線81乃至86を介して伝送される信号に同相で重畳した外部ノイズを差動アンプ91乃至93においてキャンセルできる。
上記の実施形態において、バラクタダイオード16,17,26,27,36及び37に印加する各逆バイアス電圧を変化させることにより所定の容量を各伝送線61乃至66に付加したが、本発明はこれに限らず、例えば、バイアス電圧源とバラクタダイオードの各組み合わせに代えて、第2の電圧レベル差信号に応じて選択的に切り換えられて各伝送線に容量を付加する互いに異なる容量を有する複数の容量素子を設けてもよい。
また、上記の実施形態において、伝送信号S1乃至S3はそれぞれ、3つの異なる電圧レベルを有する信号であったが、本発明はこれに限らず、4つ以上の異なる電圧レベルを有する信号であってもよい。さらに、上記の実施形態において、伝送信号S1乃至S3の電圧レベルの変化幅は互いに等しかったが、本発明はこれに限らず、伝送信号S1乃至S3の電圧レベルの変化幅は互いに異なっていてもよい。
さらに、上記の実施形態において、差動ドライバアンプ18、28及び38からの非反転信号及び反転信号の各立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)の補正を行ったが、本発明はこれに限らず、各伝送信号S1乃至S3の各立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を補正してもよい。上記の実施形態において、信号送信装置200は各伝送信号S1乃至S3を各伝送線路1乃至3に差動で出力したが、本発明はこれに限らず、シングルエンドで出力してもよい。
またさらに、上記の実施形態において、電圧差検出器13,23及び33はそれぞれ、各伝送信号S1乃至S3に関する第1の電圧レベル差と、それらの最大値である最大電圧レベル差との間のレベル差を検出したが、本発明はこれに限らず、以下のように構成してもよい。すなわち、電圧差検出器13,23及び33はそれぞれ、各伝送信号S1乃至S3に関する第1の電圧レベル差と、すべての伝送信号S1乃至S3の各タイミング間の信号レベル差の最大値の理論値などの所定の電圧レベル差との間のレベル差を検出してもよい。これにより、最大値検出器40を設ける必要が無く、信号補正回路100からの各出力信号の各立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を、実質的に所定の範囲値に保持することができる。
さらに、信号補正回路100において、電圧差検出器13,23及び33と最大値検出器40とを設けず、以下のように構成してもよい。すなわち、バイアス電圧源14及び15において電圧差検出器12からの第1の電圧レベル差信号に基づいて、第1の電圧レベル差が小さいほど絶対値が小さい逆バイアス電圧をそれぞれ発生してバラクタダイオード16及び17に印加することにより、より大きな容量を伝送線61及び62に付加し、伝送線61及び62を伝送される信号により大きな遅延を与える。これにより、伝送線61及び62を伝送される信号の各立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を、実質的に所定の範囲値に保持することができる。さらに、バイアス電圧源24及び25において、電圧差検出器22からの第1の電圧レベル差信号に基づいて、バイアス電圧源14及び15と同様に逆バイアス電圧を発生して、バラクタダイオード26及び27に印加し、バイアス電圧源34及び35において、電圧差検出器32からの第1の電圧レベル差信号に基づいて、バイアス電圧源14及び15と同様に逆バイアス電圧を発生して、バラクタダイオード36及び37に印加することにより、全ての伝送線81乃至86を伝送される各信号の各立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を、実質的に所定の範囲値に保持することができる。
また、上記の実施形態において、信号送信装置200は3つの伝送信号S1乃至S3を発生して信号受信装置300に送信したが、本発明はこれに限らず、少なくとも1つの伝送信号を発生して信号受信装置300に送信してもよい。信号送信装置200が1つの伝送信号S1のみを発生して信号受信装置300に送信する場合、信号補正回路100を図1の電圧メモリ11と、電圧差検出器12と、電圧差検出器13と、バイアス電圧源14及び15と、バラクタダイオード16及び17と、差動ドライバアンプ18と、伝送線51,61及び62とから構成し、電圧差検出器13は、伝送信号S1に関する第1の電圧レベル差と、伝送信号S1の各タイミング間の信号レベル差の最大値の理論値との間のレベル差を検出して、当該検出したレベル差を示す信号を発生して、バイアス電圧源14及び15に出力してもよい。あるいは、信号補正回路100を図1の電圧メモリ11と、電圧差検出器12と、バイアス電圧源14及び15と、バラクタダイオード16及び17と、差動ドライバアンプ18と、伝送線51,61及び62とから構成し、バイアス電圧源14及び15はそれぞれ、電圧差検出器12からの第1の電圧レベル差信号に基づいて、第1の信号レベル差に応じた容量を伝送線61及び62に付加することにより、伝送信号S1の立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を実質的に所定の範囲値に保持するように、伝送信号S1を遅延させてもよい。これにより、伝送信号S1の各立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を実質的に所定の範囲値に保持するように補償できる。
さらに、上記実施形態において、電圧メモリ11,21及び31と、電圧差検出器12,22及び32とは、各伝送信号S1乃至S3の電圧レベルを検出したが、本発明はこれに限らず、各伝送信号S1乃至S3の信号レベルを検出してもよい。
第1の実施形態の変形例.
図2は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る信号送信装置200及び信号受信装置300の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、信号受信装置300は、それぞれ差動アンプ91,92,93の両端に接続され、それぞれ抵抗値R1,R2,R3を有する終端抵抗71,72,73をさらに備え、終端抵抗71,72,73に発生する終端電圧の極性を検出してもよい。
第2の実施形態.
図3は、本発明の第2の実施形態に係る信号送信装置200A及び信号受信装置300の概略構成を示すブロック図である。図3において、信号送信装置200Aは、図2に示した第1の実施形態の変形例に係る信号送信装置200と比較して、電圧メモリ11,21,31に代えて電圧メモリ11A,21A,31Aを備えた点、及び、電圧差検出器12,22,32に代えて電圧差検出器12A,22A,32Aを備えた点が異なる。それ以外の点については、第1の実施形態の変形例と同様であり、同一の符号を付した構成要素についての重複する説明は省略する。
差動ドライバアンプ18は、入力端子T10に入力される信号S1がビット「0」のとき、非反転出力端子から−1Vの電圧レベルを有する伝送信号S11を伝送線61に出力しかつ反転出力端子から1Vの電圧レベルを有する伝送信号S12を伝送線62に出力する。また、信号S1がビット「1」のとき、非反転出力端子から1Vの電圧レベルを有する伝送信号S11を伝送線61に出力しかつ反転出力端子から−1Vの電圧レベルを有する伝送信号S12を伝送線62に出力する。また、差動ドライバアンプ28は、差動ドライバアンプ18と同様に、入力端子T20に入力される信号S2のビット値に応じて、伝送信号S21及びS22を伝送線63及び伝送線64にそれぞれ出力する。また、差動ドライバアンプ38も、差動ドライバアンプ18と同様に。入力端子T30に入力される信号S3のビット値に応じて、伝送信号S31及びS32を伝送線65及び伝送線66にそれぞれ出力する。
電圧メモリ11A,21A,31Aは、それぞれクロック信号CLの立ち下がりエッジの各タイミングにおける伝送信号S11,S21,S31の電圧レベルを検出して記憶し、クロック信号CLの次の立ち上がりエッジの各タイミングにおいて、記憶した電圧レベルを示す信号を発生してそれぞれ電圧差検出器12A,22A,32Aに出力する。電圧差検出器12A,22A,32Aは、それぞれクロック信号CLの次の立ち下がりエッジの各タイミングにおける伝送信号S11,S21,S31の電圧レベルを検出し、検出した現在の電圧レベルと、各電圧メモリ11A,21A,31Aからのクロック信号CLにおける現在よりも1つ前の各タイミングの電圧レベルとの間のレベル差(以下、第1の電圧レベル差という。)を検出し、検出した各伝送信号S11,S21,S31の第1の電圧レベル差を示す第1の電圧レベル差信号を発生して出力する。
上記のように構成された信号補正回路100Aとそれを備えた信号送信装置200Aによれば、第1の実施形態に係る信号送信装置200と同様の効果を奏し、それぞれ入力端子T10,T20,T30から入力された信号S1,S2,S3に基づいて差動ドライバアンプ18,28,38によりそれぞれ1対の差動信号を発生して、発生された差動信号を1対の伝送線からなる差動伝送線路を介して送信する場合においても適用することができる。
第2の実施形態の変形例.
図4は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る信号送信装置200A及び信号受信装置300の概略構成を示すブロック図である。図4に示すように、信号補正回路100Aと信号受信回路300との間の信号伝送路を構成してもよい。
図4において、出力端子T11の出力信号S11と出力端子T32の出力信号S32を多重化して伝送線87を介して伝送する。また、出力端子T21の出力信号S21と出力端子T12の出力信号S12を多重化して伝送線88を介して伝送する。また、出力端子T31の出力信号S31と出力端子T22の出力信号S22を多重化して伝送線89を介して伝送する。
差動アンプ91は、差動ドライバアンプ18が発生する非反転信号を伝送線61、出力端子T11、伝送線87、入力端子T13及び差動アンプ91の非反転入力端子を介して受信するとともに、差動ドライバアンプ18が発生する反転信号を伝送線62、出力端子T12、伝送線88、入力端子T14及び差動アンプ91の反転入力端子を介して受信し、受信した2つの信号から伝送信号S1を復元して出力端子T15に出力する。差動アンプ92は、差動アンプ91と同様に、それぞれ伝送線88及び89を介して受信した2つの信号から伝送信号S2を復元して出力端子T25に出力する。差動アンプ93は、差動アンプ91と同様に、それぞれ伝送線89及び87を介して受信した2つの信号から伝送信号S3を復元して出力端子T35に出力する。
上記構成にすることで、第2の実施形態と同様の効果を奏するとともに、第2の実施形態と比較して伝送線路の本数を半分に減らすことができる。
以上詳述したように、本発明に係る信号補正回路とそれを用いた信号送信装置によれば、所定の周期を有するクロック信号に従って発生される伝送信号を伝送線路を介して送信する信号送信装置のための信号補正回路であって、上記クロック信号の第1のタイミングにおける伝送信号の信号レベルを記憶して出力する記憶手段と、上記クロック信号の第1のタイミングの次の第2のタイミングにおける伝送信号の信号レベルを検出し、上記検出した信号レベルと上記記憶手段からの信号レベルとの間の第1の信号レベル差を検出して、上記検出した第1の信号レベル差を示す第1の検出信号を発生して出力する第1の検出手段と、上記第1の検出信号に基づいて、上記第1の信号レベル差に応じた容量を上記伝送線路に付加することにより、上記伝送信号の立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように、上記伝送信号を遅延させる遅延手段とを備えたので、従来技術に比較して回路構成を簡単にでき、伝送信号の各立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように補償して伝送線路に出力できる。
また、本発明に係る信号補正回路とそれを用いた信号送信装置によれば、上記第1の検出信号に基づいて、上記第1の信号レベル差と、上記伝送信号の各タイミング間の信号レベル差の最大値との間の第2の信号レベル差を検出して、上記検出した第2の信号レベル差を示す第2の検出信号を発生して出力する第2の検出手段をさらに備え、上記遅延手段は、上記第2の検出信号に基づいて、上記第2の信号レベル差に応じた容量を上記伝送線路に付加することにより、上記伝送信号の立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように、上記伝送信号を遅延させるので、従来技術に比較して回路構成を簡単にでき、伝送信号の各立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように補償して伝送線路に出力できる。
さらに、本発明に係る信号補正装置とそれを用いた信号送信装置によれば、所定の周期を有するクロック信号に従って発生される複数の伝送信号を複数の伝送線路を介してそれぞれ送信する信号送信装置のための信号補正装置であって、上記複数の伝送信号毎に設けられ、上記各第1の検出手段からの第1の検出信号を出力する上記の複数の信号補正回路と、上記各信号補正回路の第1の検出手段からの各第1の検出信号に基づいて、複数の第1の信号レベル差の最大値を検出して上記伝送信号の各タイミング間の信号レベル差の最大値として上記各信号補正回路の第2の検出手段に出力する最大値検出手段とを備えたので、従来技術に比較して回路構成を簡単にでき、上記複数の伝送信号の各立ち上がり時間を各タイミング毎に実質の所定の範囲値に保持することができ、これにより、各伝送線路から放射されるノイズを互いに打ち消すことができるので、伝送線路間で発生するノイズの発生を抑制できる。
またさらに、上記信号送信装置において、上記伝送線路が1対の伝送線にてなる差動伝送線路であり、上記伝送信号に基づいて1対の差動信号を発生して上記差動伝送線路に出力する差動ドライバ手段をさらに備え、上記遅延手段は上記容量を上記1対の伝送線のそれぞれに付加するので、各伝送線を介して伝送される信号に同相で重畳した外部ノイズを信号受信装置においてキャンセルできる。
また、上記信号送信装置において、上記記憶手段は、上記1対の差動信号のうちいずれか一方の信号の信号レベルを上記伝送信号の信号レベルとして記憶し、上記第1の検出手段は、上記1対の差動信号のうちいずれか一方の信号の信号レベルを上記伝送信号の信号レベルとして検出するので、発生された差動信号を1対の伝送線からなる差動伝送線路を介して送信する場合においても適用することができる。
さらに、上記信号送信装置において、上記各伝送線路は、上記1対の差動信号のうち正側の信号と、異なる伝送信号に基づいて発生された上記1対の差動信号のうち負側の信号とを多重化して伝送するので、伝送線路の本数を低減できる。
本発明は、信号送信装置に用いられる信号補正回路、上記信号補正回路を備えた信号補正装置、上記信号補正回路を用いた信号送信装置及び上記信号補正装置を用いた信号送信装置に関する。
近年、液晶テレビやプラズマテレビに代表されるフラットパネルディスプレイにおいて、VGA(Video Graphics Array)からXGA(eXtended Graphics Array)へと高画質となるに従い、画像情報を転送する信号速度は高速化が進んでいる。そこで、高速ディジタルデータ伝送の方式として、低振幅の差動伝送方式が用いられるようになった。この伝送方式は、1本の平衡ケーブル又はプリント基板上に形成された2本の配線パターンを介して、互いに逆相で振幅の等しい信号を伝送する方式である。特徴としては、低ノイズ、外来ノイズに対する強耐性、低電圧振幅、高速データ伝送などがあり、高速伝送の手法として、特にディスプレイの分野において導入が進んでいる。
しかしながら、信号送信装置からの伝送信号を、1対の伝送線からなる差動伝送路を介して信号受信装置に伝送する実際の差動伝送においては、信号送信装置を構成する差動ドライバアンプの特性のばらつきや、差動伝送路の対称性の崩れなどにより、信号受信装置に入力される信号間のクロスポイントがずれて、伝送信号を正確に伝送できなかった。
特許文献1記載の従来技術に係るパルス幅補正回路は、各差動伝送路毎に可変容量手段とバイアス電源とを接続しておき、バイアス電源の電圧を調整することにより可変容量手段の容量を変化させて差動信号伝送路の出力移相を調整し、差動信号間のクロスポイントを適正ポイントに設定する。
しかしながら、従来技術に係るパルス幅補正回路は以下の課題を有していた。従来技術に係るパルス幅補正回路は信号受信装置の近傍において1対の差動信号間のクロスポイントを調整するため、差動信号の非対称性などに起因する差動伝送路からの電磁波放射を抑制できなかった。また、バイアス電源の電圧設定のデータを管理する管理コンピュータを必要とするため、回路構成が大きくなるという課題があった。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、複数の伝送線間で発生する電磁波放射を抑制でき、従来技術に比較して回路構成が簡単である信号補正回路、上記信号補正回路を備えた信号補正装置、上記信号補正回路を用いた信号送信装置及び上記信号補正装置を用いた信号送信装置を提供することにある。
第1の発明に係る信号補正回路は、所定の周期を有するクロック信号に従って発生される伝送信号を伝送線路を介して送信する信号送信装置のための信号補正回路であって、上記クロック信号の第1のタイミングにおける伝送信号の信号レベルを記憶して出力する記憶手段と、上記クロック信号の第1のタイミングの次の第2のタイミングにおける伝送信号の信号レベルを検出し、上記検出した信号レベルと上記記憶手段からの信号レベルとの間の第1の信号レベル差を検出して、上記検出した第1の信号レベル差を示す第1の検出信号を発生して出力する第1の検出手段と、上記第1の検出信号に基づいて、上記第1の信号レベル差に応じた容量を上記伝送線路に付加することにより、上記伝送信号の立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように、上記伝送信号を遅延させる遅延手段とを備えたことを特徴とする。
上記信号補正回路において、上記第1の検出信号に基づいて、上記第1の信号レベル差と、上記伝送信号の各タイミング間の信号レベル差の最大値との間の第2の信号レベル差を検出して、上記検出した第2の信号レベル差を示す第2の検出信号を発生して出力する第2の検出手段をさらに備え、上記遅延手段は、上記第2の検出信号に基づいて、上記第2の信号レベル差に応じた容量を上記伝送線路に付加することにより、上記伝送信号の立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように、上記伝送信号を遅延させることを特徴とする。
第2の発明に係る信号補正装置は、所定の周期を有するクロック信号に従って発生される複数の伝送信号を複数の伝送線路を介してそれぞれ送信する信号送信装置のための信号補正装置であって、上記複数の伝送信号毎に設けられ、上記各第1の検出手段からの第1の検出信号を出力する上記の複数の信号補正回路と、上記各信号補正回路の第1の検出手段からの各第1の検出信号に基づいて、複数の第1の信号レベル差の最大値を検出して上記伝送信号の各タイミング間の信号レベル差の最大値として上記各信号補正回路の第2の検出手段に出力する最大値検出手段とを備えたことを特徴とする。
第3の発明に係る信号送信装置は、上記の信号補正回路と、上記伝送信号を発生して上記信号補正回路に出力する信号発生手段とを備えたことを特徴とする。
上記信号送信装置において、上記伝送線路は1対の伝送線にてなる差動伝送線路であり、上記伝送信号に基づいて1対の差動信号を発生して上記差動伝送線路に出力する差動ドライバ手段をさらに備え、上記遅延手段は上記容量を上記1対の伝送線のそれぞれに付加することを特徴とする。
第4の発明に係る信号送信装置は、上記の信号補正装置と、上記複数の伝送信号を発生して上記信号補正装置に出力する信号発生手段とを備えたことを特徴とする。
上記信号送信装置において、上記各伝送線路はそれぞれ1対の伝送線にてなる差動伝送線路であり、上記各伝送信号に基づいて1対の差動信号を発生して上記各差動伝送線路にそれぞれ出力する複数の差動ドライバ手段をさらに備え、上記各遅延手段は上記容量を上記1対の伝送線のそれぞれに付加することを特徴とする。
また、上記信号送信装置において、上記記憶手段は、上記1対の差動信号のうちいずれか一方の信号の信号レベルを上記伝送信号の信号レベルとして記憶し、上記第1の検出手段は、上記1対の差動信号のうちいずれか一方の信号の信号レベルを上記伝送信号の信号レベルとして検出することを特徴とする。ここで、上記各伝送線路は、上記1対の差動信号のうち正側の信号と、異なる伝送信号に基づいて発生された上記1対の差動信号のうち負側の信号とを多重化して伝送することを特徴とする。
本発明に係る信号補正回路とそれを用いた信号送信装置によれば、所定の周期を有するクロック信号に従って発生される伝送信号を伝送線路を介して送信する信号送信装置のための信号補正回路であって、上記クロック信号の第1のタイミングにおける伝送信号の信号レベルを記憶して出力する記憶手段と、上記クロック信号の第1のタイミングの次の第2のタイミングにおける伝送信号の信号レベルを検出し、上記検出した信号レベルと上記記憶手段からの信号レベルとの間の第1の信号レベル差を検出して、上記検出した第1の信号レベル差を示す第1の検出信号を発生して出力する第1の検出手段と、上記第1の検出信号に基づいて、上記第1の信号レベル差に応じた容量を上記伝送線路に付加することにより、上記伝送信号の立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように、上記伝送信号を遅延させる遅延手段とを備えたので、従来技術に比較して回路構成を簡単にでき、伝送信号の各立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように補償して伝送線路に出力できる。
また、本発明に係る信号補正回路とそれを用いた信号送信装置によれば、上記第1の検出信号に基づいて、上記第1の信号レベル差と、上記伝送信号の各タイミング間の信号レベル差の最大値との間の第2の信号レベル差を検出して、上記検出した第2の信号レベル差を示す第2の検出信号を発生して出力する第2の検出手段をさらに備え、上記遅延手段は、上記第2の検出信号に基づいて、上記第2の信号レベル差に応じた容量を上記伝送線路に付加することにより、上記伝送信号の立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように、上記伝送信号を遅延させるので、従来技術に比較して回路構成を簡単にでき、伝送信号の各立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように補償して伝送線路に出力できる。
さらに、本発明に係る信号補正装置とそれを用いた信号送信装置によれば、所定の周期を有するクロック信号に従って発生される複数の伝送信号を複数の伝送線路を介してそれぞれ送信する信号送信装置のための信号補正装置であって、上記複数の伝送信号毎に設けられ、上記各第1の検出手段からの第1の検出信号を出力する上記の複数の信号補正回路と、上記各信号補正回路の第1の検出手段からの各第1の検出信号に基づいて、複数の第1の信号レベル差の最大値を検出して上記伝送信号の各タイミング間の信号レベル差の最大値として上記各信号補正回路の第2の検出手段に出力する最大値検出手段とを備えたので、従来技術に比較して回路構成を簡単にでき、上記複数の伝送信号の各立ち上がり時間を各タイミング毎に実質の所定の範囲値に保持することができ、これにより、各伝送線路から放射されるノイズを互いに打ち消すことができるので、伝送線路間で発生するノイズの発生を抑制できる。
またさらに、上記信号送信装置において、上記伝送線路が1対の伝送線にてなる差動伝送線路であり、上記伝送信号に基づいて1対の差動信号を発生して上記差動伝送線路に出力する差動ドライバ手段をさらに備え、上記遅延手段は上記容量を上記1対の伝送線のそれぞれに付加するので、各伝送線を介して伝送される信号に同相で重畳した外部ノイズを信号受信装置においてキャンセルできる。
また、上記信号送信装置において、上記記憶手段は、上記1対の差動信号のうちいずれか一方の信号の信号レベルを上記伝送信号の信号レベルとして記憶し、上記第1の検出手段は、上記1対の差動信号のうちいずれか一方の信号の信号レベルを上記伝送信号の信号レベルとして検出するので、発生された差動信号を1対の伝送線からなる差動伝送線路を介して送信する場合においても適用することができる。
さらに、上記信号送信装置において、上記各伝送線路は、上記1対の差動信号のうち正側の信号と、異なる伝送信号に基づいて発生された上記1対の差動信号のうち負側の信号とを多重化して伝送するので、伝送線路の本数を低減できる。
本発明の第1の実施形態に係る信号送信装置200及び信号受信装置300の概略構成を示すブロック図である。
本発明の第1の実施形態の変形例に係る信号送信装置200及び信号受信装置300の概略構成を示すブロック図である。
本発明の第2の実施形態に係る信号送信装置200A及び信号受信装置300の概略構成を示すブロック図である。
本発明の第2の実施形態の変形例に係る信号送信装置200A及び信号受信装置300の概略構成を示すブロック図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態に係る信号送信装置200及び信号受信装置300の概略構成を示すブロック図である。
図1において、信号送信装置200は、信号発生器101乃至103と、バッファ111乃至113と、信号補正回路100とを備えて構成される。
信号発生器101は、所定の周期で周期的に繰り返すパルス形状を有するクロック信号CLの立ち上がりエッジの各タイミングにおいて、−1V,0V,又は1Vの電圧レベルを有する伝送信号S1を発生して、バッファ111及び入力端子T10を介して信号補正回路100に出力する。また、信号発生器102は、信号発生器101と同様に伝送信号S2を発生して、バッファ112及び入力端子T20を介して信号補正回路100に出力する。さらに、信号発生器103は、信号発生器101と同様に伝送信号S3を発生して、バッファ113及び入力端子T30を介して信号補正回路100に出力する。
信号補正回路100は、入力される各伝送信号S1乃至S3に基づいて発生される各差動信号に対して詳細後述する立ち上がり時間又は立ち下がり時間の補正を行い、伝送線81及び82にてなる平衡差動伝送路である伝送線路1、伝送線83及び84にてなる平衡差動伝送路である伝送線路2、並びに伝送線85及び86にてなる平衡差動伝送路である伝送線路3を介して信号受信装置300にそれぞれ差動で出力するための回路であって、入力端子T10,T20及びT30と、電圧メモリ11,21及び31と、電圧差検出器12,13,22,23,32及び33と、バイアス電圧源14,15,24,25,34及び35と、バラクタダイオード16,17,26,27,36及び37と、差動ドライバアンプ18,28及び38と、出力端子T11,T12,T21,T22,T31及びT32と、最大値検出器40と、伝送線51乃至53及び61乃至66とを備えて構成される。ここで、電圧メモリ11,21及び31と、電圧差検出器12,13,22,23,32及び33と、最大値検出器40とは、クロック信号CLに同期して動作する。
ここで、本実施形態に係る信号送信装置200は、信号補正回路100と、所定の周期を有するクロック信号CLに同期して伝送信号S1乃至S3を発生して上記信号補正回路100に出力する信号発生器101乃至103とを備えたことを特徴とする。また、信号補正回路100は、クロック信号CLの第1のタイミングにおける各伝送信号S1乃至S3の電圧レベルをそれぞれ記憶して出力する電圧メモリ11,21及び31と、クロック信号CLの第1のタイミングの次の第2のタイミングにおける各伝送信号S1乃至S3の電圧レベルをそれぞれ検出し、上記検出した電圧レベルと電圧メモリ11,21及び31からの電圧レベルとの間の第1の電圧レベル差をそれぞれ検出して、検出した第1の電圧レベル差を示す第1の電圧レベル差信号をそれぞれ発生して出力する電圧差検出器12,22及び32と、各電圧差検出器12,22及び32からの各第1の電圧レベル差信号に基づいて、3つの第1の電圧レベル差の最大値を検出して出力する最大値検出器40と、各第1の電圧レベル差信号に基づいて、各第1の電圧レベル差と、最大値検出器40からの最大値との間の第2の電圧レベル差をそれぞれ検出して、第2の電圧レベル差を示す第2の電圧レベル差信号をそれぞれ発生して出力する電圧差検出器13,23及び33と、電圧差検出器13からの第2の電圧レベル差信号に基づいて、第2の電圧レベル差に応じた容量を伝送路61に付加することにより、伝送信号S1の非反転信号の立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を実質的に所定の範囲値に保持するように、伝送信号S1の非反転信号を遅延させるバイアス電圧源14と、電圧差検出器13からの第2の電圧レベル差信号に基づいて、第2の電圧レベル差に応じた容量を伝送路62に付加することにより、伝送信号S1の反転信号の立ち下がり時間(又は立ち上がり時間)を実質的に所定の範囲値に保持するように、伝送信号S1の反転信号を遅延させるバイアス電圧源15と、バイアス電圧源14及び15と同様に動作するバイアス電圧源24,25,34及び35とを備えたことを特徴とする。
図1において、信号発生器101によって発生された伝送信号S1は、バッファ111、入力端子T10及び伝送線51を介して差動ドライバアンプ18に出力される。次いで、差動ドライバアンプ18は、入力される伝送信号S1の振幅に応じて所定の振幅を有する非反転信号及び反転信号にてなる1対の差動信号を発生して、非反転信号及び反転信号を伝送線61及び62にそれぞれ出力する。差動ドライバアンプ18からの非反転信号は、伝送線61において詳細後述するように各立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)の補正が行われた後で、出力端子T11を介して伝送線81に出力される。また、差動ドライバアンプ18からの反転信号は、伝送線62に出力され、伝送線62において詳細後述するように各立ち下がり時間(又は立ち上がり時間)の補正が行われた後で、出力端子T12を介して伝送線82に出力される。また、差動ドライバアンプ28は差動ドライバアンプ18と同様に、伝送信号S2に基づいて非反転信号及び反転信号を発生して、伝送線63及び64にそれぞれ出力する。さらに、差動ドライバアンプ38は差動ドライバアンプ18と同様に、伝送信号S3に基づいて非反転信号及び反転信号を発生して、伝送線65及び66にそれぞれ出力する。
電圧メモリ11は、クロック信号CLの立ち下がりエッジの各タイミングにおける伝送信号S1の電圧レベルを検出して記憶し、クロック信号CLの次の立ち上がりエッジの各タイミングにおいて、記憶した電圧レベルを示す信号を発生して電圧差検出器12に出力する。電圧差検出器12は、クロック信号CLの次の立ち下がりエッジの各タイミングにおける伝送信号S1の電圧レベルを検出し、検出した現在の電圧レベルと、電圧メモリ11からのクロック信号CLにおける現在よりも1つ前の各タイミングの電圧レベルとの間のレベル差(以下、第1の電圧レベル差という。)を検出し、検出した伝送信号S1の第1の電圧レベル差を示す第1の電圧レベル差信号を発生して最大値検出器40及び電圧差検出器13に出力する。
また、電圧メモリ21及び電圧差検出器22はそれぞれ、電圧メモリ11及び電圧差検出器12と同様に動作し、電圧差検出器22は、伝送信号S2の第1の電圧レベル差を示す第1の電圧レベル差信号を発生して、最大値検出器40及び電圧差検出器23に出力する。さらに、電圧メモリ31及び電圧差検出器32はそれぞれ、電圧メモリ11及び電圧差検出器12と同様に動作し、電圧差検出器32は、伝送信号S3の第1の電圧レベル差を示す第1の電圧レベル差信号を発生して、最大値検出器40及び電圧差検出器33に出力する。
最大値検出器40は、各電圧差検出器12,22及び32からの各第1の電圧レベル差信号に基づいて、各伝送信号S1乃至S3の第1の電圧レベル差の最大値(以下、最大電圧レベル差という。)を検出し、検出した最大電圧レベル差を示す最大電圧レベル差信号を各電圧差検出器13,23及び33に出力する。
電圧差検出器13は、電圧差検出器12からの第1の電圧レベル差信号と最大値検出器40からの最大電圧レベル差信号とに基づいて、クロック信号CLの立ち下がりエッジの各タイミングにおいて、伝送信号S1の第1の電圧レベル差と、最大電圧レベル差との間のレベル差(以下、第2の電圧レベル差という。)を検出し、検出した第2の電圧レベル差を示す信号をバイアス電圧源14及び15に出力する。これに応答してバイアス電圧源14は、伝送信号S1の第2の電圧レベル差が大きいほど絶対値が小さい逆バイアス電圧を発生してバラクタダイオード16に印加することにより、より大きな容量を伝送線61に付加し、差動ドライバアンプ18からの非反転信号の遅延時間すなわち立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を大きくする。これにより、差動ドライバアンプ18からの非反転信号の立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を、所定の範囲値に実質的に保持する。また、バイアス電圧源15は、電圧差検出器13からの信号に応答して、バイアス電圧源14が発生する逆バイアス電圧と実質的に等しい逆バイアス電圧を発生して、バラクタダイオード17に印加する。これにより、差動ドライバアンプ18からの反転信号の遅延時間すなわち立ち下がり時間(又は立ち上がり時間)を、所定の範囲値に実質的に保持する。ここで、差動ドライバアンプ18からの非反転信号の立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)は、バラクタダイオード16の容量及び出力端子T11における抵抗値との積によって決まるバラクタダイオード16の充電時間(又は放電時間)であり、差動ドライバアンプ18からの反転信号の立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)は、バラクタダイオード17の容量及び出力端子T12における抵抗値との積によって決まるバラクタダイオード17の充電時間(又は放電時間)である。
差動ドライバアンプ18から伝送線61に出力された非反転信号は、上述のように立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)が調整された後で、出力端子T11を介して伝送線81に出力され、差動ドライバアンプ18から伝送線62に出力された反転信号は、上述のように立ち下がり時間(又は立ち上がり時間)が調整された後で、出力端子T12を介して伝送線82に出力される。なお、伝送信号S1に基づいて発生される非反転信号及び反転信号の各立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)の調整は、クロック信号CLの1周期の時間期間内に行われる。
また、電圧差検出器23、バイアス電圧源24及び25、バラクタダイオード26及び27、及び、差動ドライバアンプ28はそれぞれ、電圧差検出器13、バイアス電圧源14及び15、バラクタダイオード16及び17、及び、差動ドライバアンプ18と同様に動作する。さらに、電圧差検出器33、バイアス電圧源34及び35、バラクタダイオード36及び37、及び、差動ドライバアンプ38はそれぞれ、電圧差検出器13、バイアス電圧源14及び15、バラクタダイオード16及び17、及び、差動ドライバアンプ18と同様に動作する。
図1において、信号受信装置300は、入力端子T13,T14,T23,T24,T33及びT34と、差動アンプ91乃至93と、出力端子T15,T25及びT35とを備えて構成される。差動アンプ91は、差動ドライバアンプ18が発生する非反転信号を伝送線61、出力端子T11、伝送線81、入力端子T13及び差動アンプ91の非反転入力端子を介して受信するとともに、差動ドライバアンプ18が発生する反転信号を伝送線62、出力端子T12、伝送線82、入力端子T14及び差動アンプ91の反転入力端子を介して受信し、受信した2つの信号から伝送信号S1を復元して出力端子T15に出力する。また、差動アンプ92は、差動アンプ91と同様に、受信した2つの信号から伝送信号S2を復元して出力端子T25に出力する。さらに、差動アンプ93は、差動アンプ91と同様に、受信した2つの信号から伝送信号S3を復元して出力端子T35に出力する。
次に、以上のように構成された信号補正回路100の動作を説明する。電圧メモリ11は、クロック信号CLの立ち下がりエッジのタイミングt1において、伝送信号S1の電圧レベルを検出して記憶し、クロック信号CLのタイミングt1の次の立ち上がりエッジのタイミングt2において、記憶した電圧レベルを示す信号を発生して電圧差検出器12に出力する。電圧差検出器12は、クロック信号CLのタイミングt2の次の立ち下がりエッジのタイミングt3において、伝送信号S1の電圧レベルを検出し、検出したタイミングt3での電圧レベルと電圧メモリ11からのタイミングt1での電圧レベルとのレベル差である第1の電圧レベル差を検出し、検出した伝送信号S1の第1の電圧レベル差を示す第1の電圧レベル差信号を発生して最大値検出器40及び電圧差検出器13に出力する。
また、電圧メモリ21は、タイミングt1において、伝送信号S2の電圧レベルを検出して記憶し、タイミングt2において、記憶した電圧レベルを示す信号を発生して電圧差検出器22に出力する。電圧差検出器22は、タイミングt3において、伝送信号S2の電圧レベルを検出し、検出したタイミングt3における電圧レベルと電圧メモリ21からのタイミングt1における電圧レベルとのレベル差である第1の電圧レベル差を検出し、検出した伝送信号S2の第1の電圧レベル差を示す第1の電圧レベル差信号を発生して最大値検出器40及び電圧差検出器23に出力する。
さらに、電圧メモリ31は、タイミングt1において、伝送信号S3の電圧レベルを検出して記憶し、タイミングt2において、記憶した電圧レベルを示す信号を発生して電圧差検出器32に出力する。電圧差検出器32は、タイミングt3において、伝送信号S3の電圧レベルを検出し、検出したタイミングt3における電圧レベルと電圧メモリ31からのタイミングt1における電圧レベルとのレベル差である第1の電圧レベル差を検出し、検出した伝送信号S3の第1の電圧レベル差を示す第1の電圧レベル差信号を発生して最大値検出器40及び電圧差検出器33に出力する。
次いで、最大値検出器40は、各電圧差検出器21,22及び32からの各第1の電圧レベル差信号に基づいて、各伝送信号S1乃至S3の第1の電圧レベル差の最大値である最大電圧レベル差を検出し、検出した最大電圧レベル差を示す最大電圧レベル差信号を各電圧差検出器13,23及び33に出力する。
次に、電圧差検出器13は、電圧差検出器12からの第1の電圧レベル差信号と最大値検出器40からの最大電圧レベル差信号に基づいて、第2の電圧レベル差を検出し、検出した第2の電圧レベル差を示す信号をバイアス電圧源14及び15に出力する。これに応答してバイアス電圧源14は、上述のように、第2の電圧レベル差に応じた容量を伝送線61に付加することにより、差動ドライバアンプ18からの非反転信号の立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を所定の範囲値に実質的に保持するように、当該非反転信号を遅延させる。また、バイアス電圧源15は、上述のように、第2の電圧レベル差に応じた容量を伝送線62に付加することにより、差動ドライバアンプ18からの反転信号の立ち下がり時間(又は立ち上がり時間)を所定の範囲値に実質的に保持するように、当該反転信号を遅延させる。
また、電圧差検出器23は、電圧差検出器22からの第1の電圧レベル差信号と最大値検出器40からの最大電圧レベル差信号に基づいて、第2の電圧レベル差を検出し、検出した第2の電圧レベル差を示す信号をバイアス電圧源24及び25に出力する。これに応答してバイアス電圧源24は、上述のように、第2の電圧レベル差に応じた容量を伝送線63に付加することにより、差動ドライバアンプ28からの非反転信号の立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を所定の範囲値に実質的に保持するように、当該非反転信号を遅延させる。また、バイアス電圧源25は、上述のように、第2の電圧レベル差に応じた容量を伝送線64に付加することにより、差動ドライバアンプ28からの反転信号の立ち下がり時間(又は立ち上がり時間)を所定の範囲値に実質的に保持するように、当該反転信号を遅延させる。
さらに、電圧差検出器33は、電圧差検出器32からの第1の電圧レベル差信号と最大値検出器40からの最大電圧レベル差信号に基づいて、第2の電圧レベル差を検出し、検出した第2の電圧レベル差を示す信号をバイアス電圧源34及び35に出力する。これに応答してバイアス電圧源34は、上述のように、第2の電圧レベル差に応じた容量を伝送線65に付加することにより、差動ドライバアンプ38からの非反転信号の立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を所定の範囲値に実質的に保持するように、当該非反転信号を遅延させる。また、バイアス電圧源35は、上述のように、第2の電圧レベル差に応じた容量を伝送線66に付加することにより、差動ドライバアンプ38からの反転信号の立ち下がり時間(又は立ち上がり時間)を所定の範囲値に実質的に保持するように、当該反転信号を遅延させる。
上記のように構成された信号補正回路100とそれを備えた信号送信装置200によれば、伝送信号S1乃至S3に基づいて発生されるすべての差動信号のタイミングt2における各立ち上がり時間及び立ち下がり時間を、実質的に所定の範囲値に保持するように補正した後に、伝送線路1乃至3に出力できるので、各伝送線から放射されるノイズが互いに打ち消し合い、伝送線路1乃至3において電磁波放射が発生しない。また、バラクタダイオード16,17,26,27,36及び37に印加する逆バイアス電圧を管理する管理コンピュータを必要としないので、従来技術に比較して回路構成が簡単である。さらに、信号送信装置200は、伝送信号S1乃至S3を伝送線路1乃至3を介して差動アンプ91乃至93に差動で出力するので、伝送線路1乃至3を構成する各伝送線81乃至86を介して伝送される信号に同相で重畳した外部ノイズを差動アンプ91乃至93においてキャンセルできる。
上記の実施形態において、バラクタダイオード16,17,26,27,36及び37に印加する各逆バイアス電圧を変化させることにより所定の容量を各伝送線61乃至66に付加したが、本発明はこれに限らず、例えば、バイアス電圧源とバラクタダイオードの各組み合わせに代えて、第2の電圧レベル差信号に応じて選択的に切り換えられて各伝送線に容量を付加する互いに異なる容量を有する複数の容量素子を設けてもよい。
また、上記の実施形態において、伝送信号S1乃至S3はそれぞれ、3つの異なる電圧レベルを有する信号であったが、本発明はこれに限らず、4つ以上の異なる電圧レベルを有する信号であってもよい。さらに、上記の実施形態において、伝送信号S1乃至S3の電圧レベルの変化幅は互いに等しかったが、本発明はこれに限らず、伝送信号S1乃至S3の電圧レベルの変化幅は互いに異なっていてもよい。
さらに、上記の実施形態において、差動ドライバアンプ18、28及び38からの非反転信号及び反転信号の各立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)の補正を行ったが、本発明はこれに限らず、各伝送信号S1乃至S3の各立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を補正してもよい。上記の実施形態において、信号送信装置200は各伝送信号S1乃至S3を各伝送線路1乃至3に差動で出力したが、本発明はこれに限らず、シングルエンドで出力してもよい。
またさらに、上記の実施形態において、電圧差検出器13,23及び33はそれぞれ、各伝送信号S1乃至S3に関する第1の電圧レベル差と、それらの最大値である最大電圧レベル差との間のレベル差を検出したが、本発明はこれに限らず、以下のように構成してもよい。すなわち、電圧差検出器13,23及び33はそれぞれ、各伝送信号S1乃至S3に関する第1の電圧レベル差と、すべての伝送信号S1乃至S3の各タイミング間の信号レベル差の最大値の理論値などの所定の電圧レベル差との間のレベル差を検出してもよい。これにより、最大値検出器40を設ける必要が無く、信号補正回路100からの各出力信号の各立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を、実質的に所定の範囲値に保持することができる。
さらに、信号補正回路100において、電圧差検出器13,23及び33と最大値検出器40とを設けず、以下のように構成してもよい。すなわち、バイアス電圧源14及び15において電圧差検出器12からの第1の電圧レベル差信号に基づいて、第1の電圧レベル差が小さいほど絶対値が小さい逆バイアス電圧をそれぞれ発生してバラクタダイオード16及び17に印加することにより、より大きな容量を伝送線61及び62に付加し、伝送線61及び62を伝送される信号により大きな遅延を与える。これにより、伝送線61及び62を伝送される信号の各立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を、実質的に所定の範囲値に保持することができる。さらに、バイアス電圧源24及び25において、電圧差検出器22からの第1の電圧レベル差信号に基づいて、バイアス電圧源14及び15と同様に逆バイアス電圧を発生して、バラクタダイオード26及び27に印加し、バイアス電圧源34及び35において、電圧差検出器32からの第1の電圧レベル差信号に基づいて、バイアス電圧源14及び15と同様に逆バイアス電圧を発生して、バラクタダイオード36及び37に印加することにより、全ての伝送線81乃至86を伝送される各信号の各立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を、実質的に所定の範囲値に保持することができる。
また、上記の実施形態において、信号送信装置200は3つの伝送信号S1乃至S3を発生して信号受信装置300に送信したが、本発明はこれに限らず、少なくとも1つの伝送信号を発生して信号受信装置300に送信してもよい。信号送信装置200が1つの伝送信号S1のみを発生して信号受信装置300に送信する場合、信号補正回路100を図1の電圧メモリ11と、電圧差検出器12と、電圧差検出器13と、バイアス電圧源14及び15と、バラクタダイオード16及び17と、差動ドライバアンプ18と、伝送線51,61及び62とから構成し、電圧差検出器13は、伝送信号S1に関する第1の電圧レベル差と、伝送信号S1の各タイミング間の信号レベル差の最大値の理論値との間のレベル差を検出して、当該検出したレベル差を示す信号を発生して、バイアス電圧源14及び15に出力してもよい。あるいは、信号補正回路100を図1の電圧メモリ11と、電圧差検出器12と、バイアス電圧源14及び15と、バラクタダイオード16及び17と、差動ドライバアンプ18と、伝送線51,61及び62とから構成し、バイアス電圧源14及び15はそれぞれ、電圧差検出器12からの第1の電圧レベル差信号に基づいて、第1の信号レベル差に応じた容量を伝送線61及び62に付加することにより、伝送信号S1の立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を実質的に所定の範囲値に保持するように、伝送信号S1を遅延させてもよい。これにより、伝送信号S1の各立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)を実質的に所定の範囲値に保持するように補償できる。
さらに、上記実施形態において、電圧メモリ11,21及び31と、電圧差検出器12,22及び32とは、各伝送信号S1乃至S3の電圧レベルを検出したが、本発明はこれに限らず、各伝送信号S1乃至S3の信号レベルを検出してもよい。
第1の実施形態の変形例.
図2は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る信号送信装置200及び信号受信装置300の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、信号受信装置300は、それぞれ差動アンプ91,92,93の両端に接続され、それぞれ抵抗値R1,R2,R3を有する終端抵抗71,72,73をさらに備え、終端抵抗71,72,73に発生する終端電圧の極性を検出してもよい。
第2の実施形態.
図3は、本発明の第2の実施形態に係る信号送信装置200A及び信号受信装置300の概略構成を示すブロック図である。図3において、信号送信装置200Aは、図2に示した第1の実施形態の変形例に係る信号送信装置200と比較して、電圧メモリ11,21,31に代えて電圧メモリ11A,21A,31Aを備えた点、及び、電圧差検出器12,22,32に代えて電圧差検出器12A,22A,32Aを備えた点が異なる。それ以外の点については、第1の実施形態の変形例と同様であり、同一の符号を付した構成要素についての重複する説明は省略する。
差動ドライバアンプ18は、入力端子T10に入力される信号S1がビット「0」のとき、非反転出力端子から−1Vの電圧レベルを有する伝送信号S11を伝送線61に出力しかつ反転出力端子から1Vの電圧レベルを有する伝送信号S12を伝送線62に出力する。また、信号S1がビット「1」のとき、非反転出力端子から1Vの電圧レベルを有する伝送信号S11を伝送線61に出力しかつ反転出力端子から−1Vの電圧レベルを有する伝送信号S12を伝送線62に出力する。また、差動ドライバアンプ28は、差動ドライバアンプ18と同様に、入力端子T20に入力される信号S2のビット値に応じて、伝送信号S21及びS22を伝送線63及び伝送線64にそれぞれ出力する。また、差動ドライバアンプ38も、差動ドライバアンプ18と同様に。入力端子T30に入力される信号S3のビット値に応じて、伝送信号S31及びS32を伝送線65及び伝送線66にそれぞれ出力する。
電圧メモリ11A,21A,31Aは、それぞれクロック信号CLの立ち下がりエッジの各タイミングにおける伝送信号S11,S21,S31の電圧レベルを検出して記憶し、クロック信号CLの次の立ち上がりエッジの各タイミングにおいて、記憶した電圧レベルを示す信号を発生してそれぞれ電圧差検出器12A,22A,32Aに出力する。電圧差検出器12A,22A,32Aは、それぞれクロック信号CLの次の立ち下がりエッジの各タイミングにおける伝送信号S11,S21,S31の電圧レベルを検出し、検出した現在の電圧レベルと、各電圧メモリ11A,21A,31Aからのクロック信号CLにおける現在よりも1つ前の各タイミングの電圧レベルとの間のレベル差(以下、第1の電圧レベル差という。)を検出し、検出した各伝送信号S11,S21,S31の第1の電圧レベル差を示す第1の電圧レベル差信号を発生して出力する。
上記のように構成された信号補正回路100Aとそれを備えた信号送信装置200Aによれば、第1の実施形態に係る信号送信装置200と同様の効果を奏し、それぞれ入力端子T10,T20,T30から入力された信号S1,S2,S3に基づいて差動ドライバアンプ18,28,38によりそれぞれ1対の差動信号を発生して、発生された差動信号を1対の伝送線からなる差動伝送線路を介して送信する場合においても適用することができる。
第2の実施形態の変形例.
図4は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る信号送信装置200A及び信号受信装置300の概略構成を示すブロック図である。図4に示すように、信号補正回路100Aと信号受信回路300との間の信号伝送路を構成してもよい。
図4において、出力端子T11の出力信号S11と出力端子T32の出力信号S32を多重化して伝送線87を介して伝送する。また、出力端子T21の出力信号S21と出力端子T12の出力信号S12を多重化して伝送線88を介して伝送する。また、出力端子T31の出力信号S31と出力端子T22の出力信号S22を多重化して伝送線89を介して伝送する。
差動アンプ91は、差動ドライバアンプ18が発生する非反転信号を伝送線61、出力端子T11、伝送線87、入力端子T13及び差動アンプ91の非反転入力端子を介して受信するとともに、差動ドライバアンプ18が発生する反転信号を伝送線62、出力端子T12、伝送線88、入力端子T14及び差動アンプ91の反転入力端子を介して受信し、受信した2つの信号から伝送信号S1を復元して出力端子T15に出力する。差動アンプ92は、差動アンプ91と同様に、それぞれ伝送線88及び89を介して受信した2つの信号から伝送信号S2を復元して出力端子T25に出力する。差動アンプ93は、差動アンプ91と同様に、それぞれ伝送線89及び87を介して受信した2つの信号から伝送信号S3を復元して出力端子T35に出力する。
上記構成にすることで、第2の実施形態と同様の効果を奏するとともに、第2の実施形態と比較して伝送線路の本数を半分に減らすことができる。
以上詳述したように、本発明に係る信号補正回路とそれを用いた信号送信装置によれば、所定の周期を有するクロック信号に従って発生される伝送信号を伝送線路を介して送信する信号送信装置のための信号補正回路であって、上記クロック信号の第1のタイミングにおける伝送信号の信号レベルを記憶して出力する記憶手段と、上記クロック信号の第1のタイミングの次の第2のタイミングにおける伝送信号の信号レベルを検出し、上記検出した信号レベルと上記記憶手段からの信号レベルとの間の第1の信号レベル差を検出して、上記検出した第1の信号レベル差を示す第1の検出信号を発生して出力する第1の検出手段と、上記第1の検出信号に基づいて、上記第1の信号レベル差に応じた容量を上記伝送線路に付加することにより、上記伝送信号の立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように、上記伝送信号を遅延させる遅延手段とを備えたので、従来技術に比較して回路構成を簡単にでき、伝送信号の各立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように補償して伝送線路に出力できる。
また、本発明に係る信号補正回路とそれを用いた信号送信装置によれば、上記第1の検出信号に基づいて、上記第1の信号レベル差と、上記伝送信号の各タイミング間の信号レベル差の最大値との間の第2の信号レベル差を検出して、上記検出した第2の信号レベル差を示す第2の検出信号を発生して出力する第2の検出手段をさらに備え、上記遅延手段は、上記第2の検出信号に基づいて、上記第2の信号レベル差に応じた容量を上記伝送線路に付加することにより、上記伝送信号の立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように、上記伝送信号を遅延させるので、従来技術に比較して回路構成を簡単にでき、伝送信号の各立ち上がり時間を実質的に所定の範囲値に保持するように補償して伝送線路に出力できる。
さらに、本発明に係る信号補正装置とそれを用いた信号送信装置によれば、所定の周期を有するクロック信号に従って発生される複数の伝送信号を複数の伝送線路を介してそれぞれ送信する信号送信装置のための信号補正装置であって、上記複数の伝送信号毎に設けられ、上記各第1の検出手段からの第1の検出信号を出力する上記の複数の信号補正回路と、上記各信号補正回路の第1の検出手段からの各第1の検出信号に基づいて、複数の第1の信号レベル差の最大値を検出して上記伝送信号の各タイミング間の信号レベル差の最大値として上記各信号補正回路の第2の検出手段に出力する最大値検出手段とを備えたので、従来技術に比較して回路構成を簡単にでき、上記複数の伝送信号の各立ち上がり時間を各タイミング毎に実質の所定の範囲値に保持することができ、これにより、各伝送線路から放射されるノイズを互いに打ち消すことができるので、伝送線路間で発生するノイズの発生を抑制できる。
またさらに、上記信号送信装置において、上記伝送線路が1対の伝送線にてなる差動伝送線路であり、上記伝送信号に基づいて1対の差動信号を発生して上記差動伝送線路に出力する差動ドライバ手段をさらに備え、上記遅延手段は上記容量を上記1対の伝送線のそれぞれに付加するので、各伝送線を介して伝送される信号に同相で重畳した外部ノイズを信号受信装置においてキャンセルできる。
また、上記信号送信装置において、上記記憶手段は、上記1対の差動信号のうちいずれか一方の信号の信号レベルを上記伝送信号の信号レベルとして記憶し、上記第1の検出手段は、上記1対の差動信号のうちいずれか一方の信号の信号レベルを上記伝送信号の信号レベルとして検出するので、発生された差動信号を1対の伝送線からなる差動伝送線路を介して送信する場合においても適用することができる。
さらに、上記信号送信装置において、上記各伝送線路は、上記1対の差動信号のうち正側の信号と、異なる伝送信号に基づいて発生された上記1対の差動信号のうち負側の信号とを多重化して伝送するので、伝送線路の本数を低減できる。
1,2,3…伝送線路、
11,21,31…電圧メモリ、
12,13,22,23,32,33…電圧差検出器、
14,15,24,25,34,35…バイアス電圧源、
16,17,26,27,36,37…バラクタダイオード、
18,28,38…差動ドライバアンプ、
40…最大値検出器、
51〜53,61〜66,81〜86,87〜89…伝送線、
70,71,72…終端抵抗、
91〜93…差動アンプ、
100,100A…信号補正回路
101〜103…信号発生器、
111〜113…バッファ、
200,200A…信号送信装置、
300…信号受信装置、
T10,T20,T30…入力端子、
T11,T12,T21,T22,T31及びT32…出力端子、
T13,T14,T23,T24,T33及びT34…入力端子、
T15,T25,T35…出力端子。