JPWO2008035418A1 - 冷媒漏洩検知機能を有した冷凍空調システム、冷凍空調装置および冷媒漏洩検知方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、圧縮機停止時に、室内機熱交換器のヘッダーに取り付けた温度センサによる冷媒温度が所定速度を超えて低下したときに、冷媒漏洩と判断する方法もある(例えば特許文献2参照)。この判定方法では、判定時には圧縮機を停止させる必要があるため、その間は空調運転できない。
また、室内に取り付けた冷媒センサにより判定する方法もあるが、冷媒ガス検知センサ自体が特殊なため高価であり、漏洩した冷媒の空気中での濃度がある程度ないと漏洩を検出できない(例えば特許文献3参照)。
また、圧縮機運転中に電磁弁を閉止し、そのときの圧縮機駆動電流減少率を基準値と比較することによって判定する方法もあるが、冷媒漏洩を検出できるのは電磁弁〜圧縮機流入間のみで、圧縮機吐出〜電磁弁間の漏洩は検出できず、また、判定時には圧縮機を停止するため、その間は空調運転できない。(例えば特許文献4参照)。
また従来の方法(特許文献2)では、例えば冷媒にR410Aを用いて、判定時の回路内圧力を2.0MPaとすれば、1分間に0.02MPa以下の圧力低下率のような少量の漏洩を検出できないという問題があった。
また従来の方法(特許文献3)でも、瞬間的な1時点の検出値、或いは、特許文献4のように1分間という短時間で起きた駆動電流の減少率1回のデータであるため、長時間をかけて少しずつ冷媒が漏洩する、いわゆるスローリークを検出することはできなかった。 加えて、冷媒漏洩を検知するためには、これまでの方法では装置の運転に支障があった。
また、従来は、性能低下や圧縮機の破損防止の観点からの冷媒量判定であり、冷媒の充填量にかかわらず固定の閾値で冷媒が減ったことを検出していたため、冷媒を充填した初期の状態において冷媒が過充填された場合には、冷媒量の検知までに時間がかかり、検知までの間に漏洩される冷媒量が多く、環境への影響が大きくなるという問題もあった。
本発明の冷凍空調システムは、圧縮機、室外熱交換器および絞り装置を有する室外機と、室内熱交換器および絞り装置を有する1台ないしは複数の室内機とを、連絡配管で接続して冷凍サイクルを構成している冷凍空調システムにおいて、冷凍サイクルの過去の冷媒量に係る過去データと、過去の時点から冷凍サイクルの停止および起動を複数回実施後の冷媒量に係る新規データと、に基づいて冷凍サイクルの冷媒漏洩を判定する判定手段を、備えたものである。
また、本発明の冷凍空調装置は、冷凍サイクルの過去の冷媒量に係る過去データと、過去の時点から前記冷凍サイクルの停止および起動を複数回実施後の冷媒量に係る新規データと、に基づいて冷凍サイクルの冷媒漏洩を判定する判定手段を備えたものである。
また、本発明の冷媒漏洩検知方法は、圧縮機、室外熱交換器および絞り装置を有する室外機と、室内熱交換器および絞り装置を有する1台ないしは複数の室内機とを、連絡配管で接続して冷凍サイクルを構成している冷凍空調装置の冷媒漏洩検知方法であって、冷媒封入後の経過時間を判定するステップと、室内機を構成する室内熱交換器の全数が冷房または暖房運転しているかを判定するステップと、室内熱交換器の全数が冷房運転または暖房運転していると判定された場合に、冷凍サイクルの冷媒量に係る履歴データに基づいて冷凍サイクルからの冷媒漏洩を判定するステップとを、備えたものである。
図1は本発明の実施の形態1に係る冷凍空調装置の冷媒回路構成を表す図、図2は図1の装置による冷媒漏洩検知動作を示すフローチャートである。
圧縮機1の吐出側には冷媒温度を検出する吐出温度センサ11と、配管内圧力を測定する吐出圧力センサ12が、圧縮機1の吸入側には、吸入側冷媒の温度を検出する吸入温度センサ18と、配管内圧力を測定する吸入圧力センサ19が設置されている。また、室外機の周囲空気温度を検出する室外温度センサ13、室外熱交換器3の冷媒出口(冷房時)温度を検出する温度センサ14が設けられている。
室内熱交換器9a、9bの冷媒の出入口には温度センサ15a、15b、17a、17bが設けられており、室内の周囲空気温度は、室内機吸込み温度センサ16a、16bによって検出される。
各温度センサは、冷媒配管に接するかあるいは挿入するように設けられ、その部位での冷媒温度を検出できるようになっている。また、各絞り装置は、圧力調整弁などから構成されている。
冷房運転では、圧縮機1から吐出した高温高圧のガス冷媒は、四方弁2を経由して室外熱交換器3へ至り凝縮される(このとき室外熱交換器3は凝縮器として作用する)。このときの凝縮温度は圧縮機1の吐出側に取り付けた圧力センサ12の圧力の飽和温度として求めることができる。また、室外熱交換器3出口での冷媒の過冷却度は、凝縮温度と温度センサ14の差によって求められる。凝縮された冷媒は開度全開の室外機の絞り装置5、液冷媒配管6を経由し、室内機の絞り装置7a、7bによって減圧され、二相状態になる。絞り装置7a、7bを出た冷媒は室内熱交換器9a、9bで蒸発する(このとき室内熱交換器9a、9bは蒸発器として作用する)。その後、冷媒はガス冷媒配管10、四方弁2を経由して圧縮機1へ戻る。室外熱交換器3出口での冷媒の過熱度は、温度センサ17aと15aの差、または、17bと15bの差によって求められる。
新規に配管を敷設し室内機及び室外機を設置する場合、また建物に敷設された既設配管を再利用して古い室内機及び室外機を新しい室内機及び室外機にリプレースする場合、冷媒を追加充填した場合など、設置工事やメンテナンスで意図的に冷媒量を変更した場合には、演算判定部108はそのときの冷媒量(もしくは運転状況データ)を封入した冷媒の初期値として予め記憶しておく。即ち、冷凍空調装置据付直後の試運転時等には、演算判定部108は冷媒量判定を実施し、そのときの結果(後述するAL%値、気温など)を演算部102で演算などを行って記憶しておく。初期値の判定は、通常運転時に行うこともできるが、試運転時は、ユーザーの使用状況に左右されずに設置業者が条件を設定できるため、冷媒量の判定に適した条件を作りやすい。
また、冷暖漏洩検知の判定実行中は、その旨を示す「冷媒漏洩検知運転実行中」あるいは「冷媒量判定運転実行中」などの表示を、室内機のリモコンや表示器に表示させるのが好ましい。これにより、空調機の利用者やメンテナンス業者が、空調機の運転状態を把握し易くなるからである。
冷房もしくは暖房運転中に、圧縮機1の前回冷媒漏洩判定を実施してからの時間(積算運転時間)が所定時間(例えば、100時間)を経過しているか否かを判断し(ステップS1)、経過していれば次ステップへ進み、経過していなければ通常の空調運転に戻る。
積算運転時間の測定は、制御部103(積算手段)が圧縮機1に対して運転命令(指令周波数を出力)を出している時間を例えば1時間経過するごとにメモリに積算時間として記憶することにより実行する。また、運転命令の出ている時間の代わりに圧縮機の配線に電流センサを設け、この電流センサが圧縮機の駆動用配線に電流が流れている時間を検出し、制御部103が積算時間を計算するようにすることもできる。
ここで、例えば春および秋の中間期(年2回)に漏洩検知を実施すれば、外気温度が近い条件で判定できる。これにより、空調機が運転している際の冷媒の圧力や温度が、判定のタイミングごとにほぼ一定となり、冷媒配管各部の冷媒の密度が判定のタイミングでほぼ一定となるため、冷媒の密度の違いにより発生する誤差を少なくし、精度よい判定を行うことが可能となる。
なお、外気温度差が所定範囲内とならない場合に、外気温度差に対応して冷媒漏洩判定の判定パラメータ(例えば、後述のAL%等)の補正値を決めておき、制御部103が、その判定パラメータを補正して冷媒漏洩判定を行うこともできる。補正値は外気温度差に対応して予め測定により求められメモリ等に記憶されるか、または、制御部103が外気温度差や外気温の関数として演算で求めることにより決められる。この補正による冷媒量漏洩検知は、所定時間待っても外気温度が所定範囲内に入らない場合に、実施するようにしてもよいし、待たずに実施するようにしてもよい。
AL%=-Ln(1-SC/dTc)×dTc×Cpr/△hcon (1)
利用して、演算部102で演算処理を行った後、比較部105がその結果を履歴データとして記録された過去の演算結果AL%と比較し、比較結果に基づいて判定部106が冷媒漏洩判定を行う。AL%は凝縮器全容積の液相容積割合であり、凝縮器の冷媒過冷却度を外気温度、圧縮機の吐出エンタルピ、冷媒の低圧液比熱で補正した指標である。
ここで、SCは凝縮器出口での冷媒の過冷却度、dTcは外気温度と凝縮温度の差、Cprは冷媒の定圧液比熱、△hconは凝縮器入口と凝縮器出口のエンタルピ差である。なお、凝縮器が複数ある場合は、それぞれの凝縮器でのAL%を算出し、容量に応じて加重平均計算した次の式(2)の演算結果を基に冷媒漏洩を判定する。
さらに、この実施の形態の冷凍空調装置では、冷房または暖房の空調運転をしながら、冷媒漏洩検知が可能となっている。
また、演算判定部108は、冷凍空調装置が試運転されたときに冷媒の初期値を判定するが、冷媒量が変化しないうちに、すなわち充填後の初期段階で判定するようにすれば、通常運転時に判定することもできる。また、冷媒量が変化しないうちであればどのようなタイミングで判定を行っても構わない。例えば、圧縮機の積算時間が10時間以内の通常運転時であって測定条件(上述の全室内機運転や冷凍サイクルの安定性等の条件)が揃ったときに、判定することもできる。
図3は本発明の実施の形態2に係る冷凍空調装置の冷媒回路構成を表す図、図4は図3の冷凍空調装置に特有の動作を示す、図2のフローチャートに追加される部分を示したチャートである。
図3に示すように、この冷凍空調装置は圧縮機吸入側にアキュムレータ20を備えている点で図1の冷凍空調装置と相違している。また、アキュムレータ20の出口には冷媒温度を測定するための温度センサ21が設置されている。
アキュムレータ20に液冷媒が滞留している場合、蒸発器入口の絞り装置によって十分に過熱された冷媒ガスがアキュムレータ20に流れ込むと、アキュムレータ20の液冷媒によって冷却され、アキュムレータ20の出口温度は入口温度よりも低くなる。これより、アキュムレータ20の入口温度>アキュムレータ20の出口温度の場合は、アキュムレータ20に液冷媒が滞留していると判断して(図4のステップS4')、冷媒漏洩判定を実施しない。これに対して、アキュムレータ20の入口温度<アキュムレータ20の出口温度となれば、アキュムレータ20に液冷媒が滞留していないと判断して(図4のステップS4')、冷媒漏洩判定を実施する(図4のステップS5)。図4に示したステップS4、ステップS5は、図2のそれらに対応している。
ここでは液溜めを利用した冷媒量の判定、およびそれを利用した冷媒漏洩検知について説明する。図5は本発明の実施の形態3に係る冷凍空調装置の冷媒回路構成を表す図である。図5において、実施の形態2の図3と同様の構成要素については同一の符号を付しており、以下では図3との相違点を中心に説明する。
図5の冷凍空調装置は、室外機の絞り装置5と液冷媒配管6との間に接続された冷媒液を貯留する液溜め28と、液溜め28と直列に接続されて冷媒の過冷却を取る冷媒熱交換器30とを備えている。また、冷媒熱交換器30の一端は、過冷却用バイパス絞り装置26を介して、冷媒熱交換器30と液冷媒配管6との間の冷媒配管に接続し、他端をアキュムレータ20の入口配管と接続している。液溜め28の上部には冷媒量判定用絞り装置25a、25bを介してアキュムレータ20の入口などの低圧部に接続されるバイパス配管が接続されている。バイパス配管は液溜め28の液面を検知するためのもので、ここでは2本のバイパス配管が、液溜め28の内部において上下に所定の高さの差をつけて配置されている。液溜め28から取り出される液面検知用のバイパス配管は2本に限定されるものではなく、判定したいレベルに応じてその本数を適宜増減させてもよい。
なお、図5の中で、符号27a、27bはバイパス配管に設けられた液面検知用温度センサ、31は冷媒熱交換器30と液冷媒配管6との間に設けられた過冷却検知用温度センサ、32はバイパス回路に備えられたバイパス回路用温度センサを示している。
また、符号33a、33bは液溜め28の液面を検知する際に使用する冷媒加熱手段であり、この冷媒加熱手段は電気ヒータなどの外部熱源を利用してもよく、また、ホットガスなど冷媒回路上の高温部と接触させる加熱機構を採用してもよい。
この例では、2本のバイパス配管を利用して、液溜め28の液面レベルを2段階に検知する例を示しているが、この液面レベルの検知は、1段階だけでもよく、また3段階以上でもよい。
冷凍空調装置の施工あるいはリプレースの完了後、ステップS1で、冷凍空調装置の試運転を行う。ここでは、制御部103が外気温度、室温または空調負荷に応じて、冷房もしくは暖房の運転を判断し室内機および室外機の各機器に制御信号を送信し、試運転モードで冷凍空調装置を起動し、運転を制御する。この判断は、予め決められた判断基準により自動で実施しても、冷凍空調装置を操作する作業者が手動で実施してもどちらでもよい。ただし、室内機が複数存在するマルチタイプの冷凍空調装置では、停止した室内熱交換器内部の状態が液封状態になったり、ガスの状態になったりすることで冷媒の判定時に液溜め28に溜まる液冷媒の量が変化するため、室内熱交換器内部の状態を一定にする観点から、複数の室内機(室内熱交換器)は全数運転させる。
続いて制御部103は、試運転の状態を記憶部104に記憶する。このとき記憶する内容としては、各液面検知用温度センサ27a、27bの検知温度(液溜め28の液面レベル)、冷房または暖房の運転モード、冷媒の高圧、冷媒の低圧、圧縮機の吐出温度、凝縮器出口過冷却度、蒸発器出口蒸発温度などの運転状態を記憶する。このように、液溜め28の液面レベルに加えて、凝縮器出口の冷媒の過冷却度などにより微妙な冷媒の充填量差を把握できるようにするのが好ましい。その後、ステップS3で、制御部103は通常の空調運転制御を開始する。なお、通常運転においては、制御部103は液面検知用温度センサ27a、27bを閉状態に制御する。
これらステップS4〜7の後、冷凍空調装置の運転状態がステップS2で記憶した外気温度、運転モード、室内機の運転状態とほぼ同一となった場合に、ステップS8で演算判定部108は冷媒漏洩の判定を行い、ステップS9にて冷媒量の適量、不適量を基に冷媒漏洩の有無が判断される。なお、ステップS8の判定は、具体的には、冷媒量判定用絞り装置25a、25bを開き、液面検知用温度センサ27a、27bの検知温度が試運転時に記憶した温度よりも所定値以上高いことを確認した場合には、液溜め28の液面が下がり冷媒漏洩があったと判断する。その場合には、ステップS10に進み、冷媒漏洩があったとして報知部107からリモコンや表示器などに表示し、ステップS11で装置の運転を停止する。
なお、ステップS4〜7でネガティブな判断がなされた場合は、再び冷媒量判定用絞り装置25a、25bを閉め、通常の空調運転に戻る。また、ステップS9で冷媒量が適正範囲内であると判断された場合は、圧縮機1の運転積算時間をリセットした後(ステップS9')、通常の空調運転へ移行する。
次に、複数の冷凍空調装置を集中的に制御する集中コントローラと遠隔管理装置とを用いた冷凍空調システムの実施の形態について説明する。
図8は、上述の実施の形態1〜3の冷凍空調装置を統合的に管理する空調システムの構成図である。
室内機110及び室外機100を有する冷凍空調装置は、建物内に敷設された通信回線121を介して集中コントローラ120に接続されている。集中コントローラ120は、典型的には制御対象となる冷凍空調装置と同じ建物内に設けられ、1又は複数の冷凍空調装置を制御する制御装置である。集中コントローラ120は、室内機110や室外機100の起動や停止、設定温度制御、風量や風向制御、さらには冷凍空調装置の運転状況を監視し異常を検知するなど複数の制御を行う。
室内機100及び室外機110は、定期または不定期で以下のような運転状況データを送信する。
(1)各温度センサ11、13、14、15a、15b、16a、16b、17a、17bの検知温度情報、すなわち、冷媒温度、室内/室外温度等、
(2)各圧力センサ12、19の検出圧力情報、
(3)制御部103の各種制御パラメータ(例えば、圧縮機の駆動周波数、ユーザにより室内機に直接設定された設定温度、風量、運転モード、ファン回転数、圧縮機運転時間、圧縮機発停回数等)。
なお、集中コントローラ120はこれら全ての情報を収集する必要はなく、冷凍空調装置の種類や特性、ユーザの要望に応じた制御等に基づいて適宜取捨選択し、必要な情報を設定する。
次に、制御部103は運転安定性の判定を行う(ステップS22)。なお、安定性の判定は、図2のステップS2と同様の方法により行う。制御部103は、冷凍サイクルが安定するまで駆動を続け、安定性が確認できた後に冷媒量の判定を行う(ステップS25)。冷媒量の判定は、冷凍空調装置の演算部102または制御部103が上述実施の形態1〜3と同様の方法により実施するが、冷媒量を実質的に特定できる方法であればどのような方法を用いても構わない。
続いて制御部103は、判定された冷媒量を判定時刻とともに、履歴データとして記憶部104に記録する(ステップS26)。なお、履歴データは、初期データ1つのみでも、冷媒量の判定の度に追加して複数のデータを時系列で記録したものでも構わない。ただし、冷媒漏洩の総量を判定する上で、冷媒充填時の初期データは重要である。
なお、上述の冷媒量の初期判定と記録は、試運転時に限定されるものでなく、冷媒充填後、スローリークによって冷媒量があまり変わらない期間の通常運転時に実施しても構わない。
冷凍空調装置は、その後、ユーザによる電源オン/オフ操作、集中コントローラ120、或いは、遠隔監視装置130の起動/停止指令に従って起動と停止を繰り返すが、この間、制御部103は定期または不定期で記憶部104に記憶された時刻からの経過時間を監視している(ステップS27)。そして、所定の時間(例えば、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年等)が経過したと判断したとき、冷凍空調装置は、冷媒漏洩判定を行う。この所定の時間は、冷凍サイクルが起動と停止を繰り返した後であって、単位時間あたりの冷媒の漏洩量が非常に少ないスローリークをも検出できるように、十分長い時間を設定する。 具体的には、制御部103が室外機100及び全室内機110に対して起動信号を送信し、これらの機器を起動する(ステップS21a)。全室内機110を運転させるのは上述のとおり冷媒量の測定精度を上げるためだが、ユーザが予期しないときに室内機110を駆動することを避けたい場合には、冷媒量の判定時期をずらすこともできる。例えば、所定時間経過後に制御部103が全室内機110が運転しているかを、自己の制御データ若しくは各室内機110からの運転信号に基づき判断し、全室内機110が駆動するまで冷媒量の判定を延期する。そして、全室内機110が起動したことを確認後に次のステップに移行するようにしてもよい。
次に、冷凍空調装置の演算判定部108は、記憶部104に記憶されている冷媒充填時の冷媒量のデータ(即ち、過去の冷媒量に係る過去データ)と現在の冷媒量のデータ(即ち、前記過去の時点から冷凍サイクルの停止および起動を1回または複数回実施後の冷媒量に係る新規データ)とを比較し、両者の差が所定範囲内にあるかを判定する(ステップS29)。この差が所定範囲内にないとき、演算判定部108は冷媒漏洩があったと判断する。そして報知部107がこの判定結果を受け取って、集中コントローラ120及び遠隔監視装置130に判定結果を送信する(ステップS30)。なお、冷媒漏洩が無かった場合にも、判定結果を送信することにより集中コントローラ120および遠隔監視装置130が、判定結果を認識できるようにするとよい。送信するデータは、判定を行った時刻、判定結果、冷媒量の履歴データ、現在の冷媒量のデータ等である。
実施の形態4は冷凍空調装置自身で冷媒漏洩検知を実施したが、次に集中コントローラ120で冷媒漏洩検知を行う実施の形態を説明する。この実施の形態では、集中コントローラ120で冷媒漏洩を検知するため、冷凍空調装置自身にスローリークを検出できる検出機能が無い場合であっても冷媒漏洩を検出することができるという利点がある。
この実施の形態では、図10に示すように、集中コントローラ120に制御部103と演算判定部108が設けられている。ここで、冷凍空調装置の運転制御を行う制御部は冷凍空調装置にあるが、冷媒漏洩判定を制御する制御部103と演算判定部108は集中コントローラ120に設けられる。この制御部103は冷媒漏洩の判定タイミングや通信回線121を介した冷凍空調装置の制御を行い、また、演算判定部108は、冷媒量の判定、冷媒漏洩判定を実行する。なお、図10では遠隔監視装置130にも、制御部103と演算判定部108が設けられているが、これらは後述の実施の形態のように、遠隔監視装置130で冷媒漏洩判定を行う場合に使用されるもので、必須のものではない。
図11はこの実施の形態5の冷凍空調システムの動作を説明するシーケンス図である。図11において、図9と同一の符号は同一または相当の処理を示しており、以下、図9の処理と異なる部分を中心に説明する。
この後、冷凍空調装置の制御部103は、冷凍サイクルが安定した否かを判定する(ステップS22)。なお、冷凍サイクルが安定したかどうかは、上述の実施の形態1または2で説明したように冷凍空調装置自身が行ってもよいし、集中コントローラ120が冷凍空調装置から事前に運転状況データを1回または複数回受け取って(ステップS23)、同様のアルゴリズムで判定するようにしてもよい(ステップS22)。
そして、集中コントローラ120または冷凍空調装置で冷凍サイクルの運転が安定していると判定された後、集中コントローラ120は冷凍空調装置から運転状況データを受信し、冷媒量を判定する(ステップS24)。判定された冷媒量は、メモリに記録される(ステップS26)。そして、集中コントローラ120は、過去の冷媒量に関するデータと現在の冷媒量に関するデータの差に基づき、冷媒漏洩を判定し(ステップS29)、遠隔監視装置130に送信する(ステップS30)。
次に、集中コントローラ120で冷媒量を測定し、遠隔監視装置130で冷媒漏洩を判定する実施の形態を説明する。この実施の形態の冷凍空調システムによれば、定期的に冷媒漏洩検知を行う場合に、現地の集中コントローラ120の設定によらずに、安定して冷媒漏洩検知を行うことができるという利点がある。
図12は、この実施の形態5の冷凍空調システムの動作を説明するシーケンス図である。図12において、図11と同一の符号は同一または相当の処理を示しており、以下、図11の処理と異なる部分を中心に説明する。
遠隔監視装置130は、集中コントローラ120から冷媒を充填したことを示すデータ(このデータの送信はオプション)とともに、冷媒量にかかるデータ、時刻データを受信するとこれらのデータを記憶し(ステップS26)、経過時間の計時を開始する。そして、所定時間が経過すると、遠隔監視装置130は冷媒量の送信を要求する冷媒量送信要求を集中コントローラ120に送信する(ステップS28)。ただし、この要求は必須ではなく、定期的に集中コントローラ120が送ってくる冷媒量に係るデータに基づいて、遠隔監視装置130が冷媒漏洩を判定しても構わない。
冷凍空調装置から運転状況データを受け取ると、集中コントローラ120は冷媒量判定(ステップS24)を行い、冷媒量に係るデータ(新規データ)を遠隔監視装置130に送信する(ステップS25)。
遠隔監視装置130は、演算判定部108の比較部105が受信した過去の冷媒量に係るデータと新規の冷媒量に係るデータを比較し、判定部106が冷媒漏洩を判定する(ステップS29)。この判定後、遠隔監視装置130は判定結果を集中コントローラ12に送信する(ステップS30)。
この実施の形態7は、遠隔監視装置130で冷媒量の判定および冷媒漏洩判定を行う実施の形態である。遠隔監視装置130で冷媒量を判定するため、冷媒量判定の機能を持たない集中コントローラ120であっても、冷媒漏洩判定を行うことができるという特徴がある。
図13は、この実施の形態5の冷凍空調システムの動作を説明するシーケンス図である。図13において、図12と同一の符号は同一または相当の処理を示しており、以下、図12の処理と異なる部分を中心に説明する。
この実施の形態において、冷媒漏洩判定を制御する制御部103と判定を行う演算判定部108は遠隔監視装置130に設けられている。
Claims (16)
- 圧縮機、室外熱交換器および絞り装置を有する室外機と、室内熱交換器および絞り装置を有する1台ないしは複数の室内機とを、連絡配管で接続して冷凍サイクルを構成している冷凍空調システムにおいて、
前記冷凍サイクルの過去の冷媒量に係る過去データと、前記過去の時点から前記冷凍サイクルの停止および起動を複数回実施後の冷媒量に係る新規データと、に基づいて前記冷凍サイクルの冷媒漏洩を判定する判定手段を、備えたことを特徴とする冷凍空調システム。 - 前記判定手段は、前記冷凍サイクルに前記冷媒を封入後の初期の運転状況データを前記過去データとし、前記冷凍サイクルの停止および起動を複数回実施後の運転状況データを前記新規データとして比較することを特徴とする請求項1に記載の冷凍空調システム。
- 前記圧縮機の稼働時間を積算する積算手段を備え、前記判定手段は前記積算手段の積算時間が所定時間経過したときに、前記冷媒漏洩の判定を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍空調システム。
- 計時手段を備え、前記判定手段は前記計時手段が定められた日時を計時したときに前記冷媒漏洩の判定を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍空調システム。
- 前記判定手段は外気温度が冷媒漏洩の判定において比較対象となるデータの採取時の外気温度に対して所定範囲内であり、かつ前記データ採取時から所定時間経過したときに前記冷媒漏洩の判定を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍空調システム。
- 冷凍サイクル上の物理量の変化を検知する検知手段を備え、前記判定手段は前記検知手段により検出された変化値が所定範囲内にあるときに前記冷媒漏洩の判定を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の冷凍空調システム。
- 前記判定手段は前記室内機を構成している室内熱交換器の全数が冷房運転もしくは暖房運転しているときに、冷媒漏洩の判定を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の冷凍空調システム。
- 凝縮器出口での冷媒の過冷却度、外気温度と凝縮温度との差、冷媒の定圧液比熱、および凝縮器入口と凝縮器出口のエンタルピ差に起因する凝縮器の液相面積比率に基づいて、冷媒漏洩の判定を行うことを特徴とする請求項7記載の冷凍空調システム。
- 凝縮器出口での冷媒の過冷却度もしくは過冷却度と相関があるパラメータに基づいて、前記冷媒漏洩の判定を行うことを特徴とする請求項8項記載の冷凍空調システム。
- 圧縮機の吸入側にアキュムレータを配置しているものにおいて、前記判定手段は、前記アキュムレータ内に液冷媒が滞留していないことを判断して、前記冷媒漏洩の判定を行うことを特徴とする請求項8または9記載の冷凍空調システム。
- 前記冷媒漏洩の判定中には、その旨の表示を室内機のリモコンおよび/または表示装置に表示させることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の冷凍空調システム。
- 前記冷媒漏洩の判定結果を外部に知らせる報知手段を有し、冷媒漏洩と判定された場合は、その旨の表示を室内機のリモコンおよび/または表示装置に表示させることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の冷凍空調システム。
- 前記室内機の絞り装置と前記連絡配管との流路間に冷媒を貯留する液溜めを配置しているものにおいて、前記液溜めの液面レベルを比較することにより、前記冷媒漏洩の判定を行うようにしていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の冷凍空調システム。
- 前記判定手段は、複数の冷凍空調装置を制御する集中コントローラ、または、複数の前記集中コントローラと通信回線を介して接続され前記冷凍空調装置を遠隔監視する遠隔監視装置に設けられたことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の冷凍空調システム。
- 圧縮機、室外熱交換器および絞り装置を有する室外機と、室内熱交換器および絞り装置を有する1台ないしは複数の室内機とを、配管で接続して冷凍サイクルを構成している冷凍空調装置において、
前記冷凍サイクルの過去の冷媒量に係る過去データと、前記過去の時点から前記冷凍サイクルの停止および起動を1回または複数回実施後の冷媒量に係る新規データと、に基づいて前記冷凍サイクルの冷媒漏洩を判定する判定手段
を、備えたことを特徴とする冷凍空調装置。 - 圧縮機、室外熱交換器および絞り装置を有する室外機と、室内熱交換器および絞り装置を有する1台ないしは複数の室内機とを、連絡配管で接続して冷凍サイクルを構成している冷凍空調装置の冷媒漏洩検知方法であって、
冷媒封入後の経過時間を判定するステップと、
前記室内機を構成する室内熱交換器の全数が冷房または暖房運転しているかを判定するステップと、
前記室内熱交換器の全数が冷房運転または暖房運転していると判定された場合に、前記冷凍サイクルの冷媒量に係る履歴データに基づいて前記冷凍サイクルからの冷媒漏洩を判定するステップと、
を備えることを特徴とする冷媒漏洩検知方法。
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