JPWO2008029649A1 - ガラス製造方法 - Google Patents

ガラス製造方法

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Abstract

突沸を生じさせないで減圧脱泡を行うガラス製造方法、泡層の肥大化に由来するガラス製品中の気泡の残存を生じさせずに、減圧脱泡を行うガラス製造方法、溶融ガラス中の特定の成分(ホウ素等)の揮散を抑制して減圧脱泡を行うガラス製造方法を提供する。減圧脱泡槽により溶融ガラスを減圧脱泡する工程において、減圧脱泡槽の雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下とするガラス製造方法。

Description

本発明は、減圧脱泡する工程を具備するガラス製造方法、減圧脱泡槽内の上部空間の水蒸気濃度を調整する方法、及び減圧脱泡装置に関する。
従来より、成形されたガラス製品の品質を向上させるために、溶解炉で原料を溶解した溶融ガラスを成形装置で成形する前に、溶融ガラス内に発生した気泡を除去する清澄工程が利用されている。
この清澄工程では、減圧雰囲気内に溶融ガラスを導入し、この減圧雰囲気下、連続的に流れる溶融ガラス流内の気泡を大きく成長させて溶融ガラス内に含まれる気泡を浮上させ、破泡させて除去し、その後減圧雰囲気から排出する減圧脱泡方法が知られている。
そして、このような減圧脱泡方法において、好適な減圧脱泡条件を達成するために、減圧脱泡槽内の圧力や温度を規定した方法が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
特開2000−128422号公報 国際公開第02/098810号パンフレット
しかし、例えば上記のような好適な減圧脱泡条件で減圧脱泡を行っても、減圧脱泡処理中に、通常10mm以下程度で溶融ガラス表面に存在する泡層が、10mm〜数百mmへ肥大化し、いわゆる突沸が生じる場合があった。突沸とは、通常時間とともに消滅するガラス表面に達した泡が、破泡せずに層を成すことによって長時間安定的に存在し、溶融ガラス界面(溶融ガラス表面)の上昇を招く現象である。その結果、減圧脱泡後の溶融ガラスに泡が残存してしまう問題を生じる。
また、突沸は生じなくても、泡層が肥大化した結果、ガラス製品に気泡が残存して欠陥を生じさせる場合があった。
また、例えば上記のような好適な減圧脱泡条件で減圧脱泡を行っても、溶融ガラス中の特定の成分(ホウ素等)が揮散し、ガラス組成が変化してしまう結果、製造したガラス素板の平坦度が悪化する場合があった。
本発明の目的は、突沸をほとんど生じさせないで減圧脱泡を行うガラス製造方法を提供することにある。
また、泡層の肥大化に由来するガラス製品中の気泡の残存がほとんど生じない、減圧脱泡を行うガラス製造方法を提供することにある。
また、溶融ガラス中の特定の成分(ホウ素等)の揮散を抑制して、減圧脱泡を行うガラス製造方法を提供することにある。
更に、このような減圧脱泡するために好ましく適用することができる減圧脱泡槽の雰囲気ガスの水蒸気濃度を調整する方法、及びそのような減圧脱泡をすることができる溶融ガラスの減圧脱泡装置を提供することにある。
本発明者は、減圧脱泡槽内の溶融ガラス表面の泡層が肥大化する現象、いわゆる突沸が生じたりして欠陥を生じさせる場合の減圧脱泡処理条件について詳細に検討した。そして、減圧脱泡槽内の雰囲気ガスの水蒸気濃度が特定値を超えた場合に、泡層が肥大化してガラス製品中に気泡が多く残存することを見出した。また、前記水蒸気濃度がこの特定値よりも更に高い別の特定値を超えた場合に、泡層が更に肥大化し突沸することでガラス製品中に気泡が一層多く残存することを見出した。そして、それら特定値以下の減圧脱泡条件で減圧脱泡を行うガラス製造方法、そのような条件で減圧脱泡することができる溶融ガラスの減圧脱泡装置、及びそのような装置の減圧脱泡槽内の雰囲気ガスの水蒸気濃度を調整する方法が上記の課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
本発明は次の(1)〜(8)を提供する。
(1)減圧脱泡槽の雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下として、溶融ガラスを減圧脱泡する工程を具備する、ガラス製造方法。
(2)前記減圧脱泡槽の雰囲気ガスへ低水分ガスを導入することにより、前記雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下とする、上記(1)に記載のガラス製造方法。
(3)前記雰囲気ガスの水蒸気濃度を30mol%以下とする、上記(1)又は(2)に記載のガラス製造方法。
(4)前記低水分ガスの酸素濃度(体積%)が空気中の酸素濃度(体積%)よりも低い、上記(2)又は(3)に記載のガラス製造方法。
(5)前記低水分ガスの酸素濃度(体積%)が15体積%以下である、上記(4)に記載のガラス製造方法。
(6)溶融ガラスを減圧脱泡するための減圧脱泡槽の雰囲気ガスの水蒸気濃度を測定し、その水蒸気濃度の測定結果に基いて、前記減圧脱泡槽の前記雰囲気ガスへ低水分ガスを導入することにより、前記減圧脱泡槽の前記雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下に調整するガラス製造方法。
(7)減圧吸引される減圧ハウジングと、この減圧ハウジング内に設けられ、溶融ガラスの減圧脱泡を行う減圧脱泡槽と、この減圧脱泡槽に連通して設けられ、減圧脱泡前の溶融ガラスを前記減圧脱泡槽に導入する導入手段と、前記減圧脱泡槽に連通して設けられ、減圧脱泡後の溶融ガラスを前記減圧脱泡槽から導出する導出手段とを有する溶融ガラスの減圧脱泡装置であって、前記減圧脱泡槽の雰囲気ガスの水蒸気濃度を測定する水蒸気濃度測定手段と、前記減圧脱泡槽の内部の上部空間へ低水分ガスを導入する低水分ガス導入手段とを更に有する溶融ガラスの減圧脱泡装置。
(8)前記減圧脱泡装置に、前記雰囲気ガスの水蒸気濃度を所望の値となるように制御できる水蒸気濃度制御手段と、前記制御手段からの信号により低水分ガスの導入量を制御するガス量制御手段をさらに有する上記(7)に記載の減圧脱泡装置。
(9)前記低水分ガス導入手段が、減圧脱泡槽の上流側に設けられている上記(7)又は(8)に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
本発明のガラス製造方法は、減圧脱泡槽内の雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下として溶融ガラスを減圧脱泡する工程を具備し、これにより、突沸を生じさせないで溶融ガラスの減圧脱泡を行うことができるという効果を奏する。そして、ガラス製品に突沸に起因する気泡が残存することにより発生する欠陥を生じさせないという効果を奏する。また、このような本発明のガラス製造方法は突沸を防ぐことができるので、ガラス製造を安定して継続することができる。
この「安定製造」というのは、昼夜を問わず運転が行われるガラス製造装置にとっては、品質管理において非常に重要な要素である。一度品質が悪化すると、修理や調整のために設備を停止させる必要があるからである。また、突沸した溶融ガラスが減圧脱泡槽の壁や天井へ付着物が付着するのを抑制することができるので、その落下によるガラス製品の欠陥形成を抑制し、品質向上を図ることができる。
また、このような本発明のガラス製造方法は、特定の成分(ホウ素等)の揮散を助長する雰囲気中水分を低減させるので、溶融ガラス中の特定の成分(ホウ素等)の揮散を抑制することができるという効果を奏する。そして、ガラス素板を製造した場合に、その平坦度の悪化を抑制することができる。特に液晶用のガラスなどのディスプレィ用のガラスは、その特性の要求から組成の規格が厳格に規定されている一方、ホウ素は非常に揮散がしやすいことから、ホウ素の含有量を厳格に調整する必要がある。よって、本発明のガラス製造方法によれば、規格範囲内の組成と平坦度とを有するガラスを効率的に製造することが可能である。
また、本発明のガラス製造方法は、前記水蒸気濃度が30mol%以下であることが好ましい。これにより、上記のように突沸を生じさせないことに加えて、泡層の肥大化が抑制されて、ガラス製品に多くの欠陥を生じることを抑制する(具体的にはガラス製品の単位質量当り、0.5個/kg以下の気泡)という効果を奏する。
また、本発明の減圧脱泡装置は、このような本発明のガラス製造方法を行うことに好適な減圧脱泡装置を提供できる。
図1は、本発明の減圧脱泡装置の一構成例を示す図である。 図2は、本発明の減圧脱泡装置等を示す図である。 図3は、本発明の実施例1の結果を示す図である。 図4は、本発明の実施例3の結果を示す図である。
符号の説明
1 減圧脱泡装置
3 雰囲気ガス
3´ 排出された雰囲気ガス
5 上部空間
6 開口
7 低水分ガス
8 開口
9 開口
10 減圧脱泡装置
11 減圧ハウジング
12 減圧脱泡槽
13 上昇管
14 下降管
15 断熱材
20 溶解槽
22 上流ピット
24 下流ピット
28 ポンプ
30 水蒸気濃度測定手段
40 低水分ガス導入手段
41 低水分ガス発生装置
42 流量制御弁
44 流量計
G 溶解ガラス
本発明のガラス製造方法について説明する。
本発明のガラス製造方法は、減圧脱泡槽の雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下として溶融ガラスを減圧脱泡する工程(以下、「本発明の減圧脱泡工程」ともいう。)を具備する。そして、前工程として原料溶融工程を具備することが好ましく、後工程として成形工程を具備することが好ましい。これら原料溶融工程及び成形工程は特に限定されず、例えば従来公知の工程であってよい。これらの工程以外に他の工程を具備してもよい。
なお、本発明において「雰囲気ガス」とは、減圧脱泡槽の内部の、溶融ガラスの上部の空間(上部空間)を満たす雰囲気ガスを意味する。
本発明のガラス製造方法において本発明の減圧脱泡工程は、内部が減圧状態にされた減圧脱泡槽内に溶融ガラスを流すことによって、この溶融ガラス中の気泡を脱泡する工程であって、前記減圧脱泡槽内の雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下として減圧脱泡する工程であれば、特に限定されない。
例えば、減圧脱泡装置における減圧脱泡槽の雰囲気ガスの水蒸気濃度を測定し、水蒸気濃度の測定結果に基いて、前記上部空間へ後述する低水分ガスを導入することによって、この減圧脱泡装置の減圧脱泡槽の内部の前記雰囲気ガスの水蒸気濃度を調整する方法(以下、「本発明の水分調整方法」ともいう。)を適用して、その雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下に調整して、本発明の減圧脱泡工程を行うことができる。前記低水分ガスは、連続的に導入しても間欠的に導入してもよい。
このような本発明の水分調整方法を適用した本発明の減圧脱泡工程は、例えば本発明の減圧脱泡装置を用いて行うことができる。
本発明の減圧脱泡装置について説明する。
本発明の減圧脱泡装置は、溶融ガラスを減圧脱泡する減圧脱泡装置であって、減圧状態にした内部に溶融ガラスを流して、この溶融ガラス中の気泡を脱泡する減圧脱泡槽と、前記減圧脱泡槽内の雰囲気ガスの水蒸気濃度を測定する水蒸気濃度測定手段と、前記上部空間へ低水分気体を導入する低水分ガス導入手段とを有し、前記雰囲気ガスの水蒸気濃度を低減して、前記溶融ガラスを減圧脱泡することができる減圧脱泡装置であり、例えば、図1に示す減圧脱泡装置である。
図1について説明する。図1は、本発明の減圧脱泡装置の一構成例である減圧脱泡装置1を示す図であり、本発明の減圧脱泡装置が有する減圧脱泡槽12と、水蒸気濃度測定手段30と、低水分ガス導入手段40とを示している。
初めにこの減圧脱泡槽12について、図2を用いて説明する。図2は、減圧脱泡槽12を含む本発明の減圧脱泡装置10(水蒸気濃度測定手段及び低水分ガス導入手段は記載せず)を例示する図(断面図)である。
図2に示す減圧脱泡装置10において、円筒形状をした減圧脱泡槽12は、その長軸が水平方向に配向するように減圧ハウジング11内に収納配置されている。減圧脱泡槽12の一端の下面には垂直方向に配向する上昇管13が、他端の下面には下降管14が取り付けられている。上昇管13及び下降管14は、その一部が減圧ハウジング11内に位置している。
そして減圧脱泡槽12の上面には複数の開口があり、少なくとも1つの開口6を通じて、減圧ハウジング11の外部から減圧脱泡槽12の内部の上部空間5へ低水分ガス7を導入することができる。また、減圧ハウジング11に形成された開口8はポンプ等の減圧手段(図2には示していない。図1にポンプ28として示す。)に繋がれており、上部空間5を満たす雰囲気ガス3を減圧ハウジング11の外へ排出し(排出されたものを雰囲気ガス3´と示す。)、減圧脱泡槽12の内部を減圧することができる。なお、開口6及び開口8の箇所は、図2で開口6及び開口8で示した箇所に限定されないが、開口6は減圧脱泡槽12の上流側、開口8はその下流側にそれぞれ設けるのが好ましい。低水分ガス導入手段の一部を構成する開口6を減圧脱泡槽12の上流側に設けることにより、開口6から減圧脱泡槽12の内部の上部空間5へ導入された低水分ガス7を、減圧脱泡槽12の上流側から開口8が設けられている下流側に向かって流動させ、減圧脱泡槽12の内部の上部空間5を均一な低水蒸気濃度の雰囲気ガスにすることができる。
また、減圧脱泡槽12の内部には、雰囲気ガス3の圧力(P)及び温度(T)が測定できる例えば公知の圧力計及び温度計が設置されている(図示せず)。
また、図2に示すように、上昇管13は減圧脱泡槽12と連通しており、溶解槽20からの溶融ガラスGを減圧脱泡槽12に導入する導入手段である。このため、上昇管13の下端部は、上流ピット22の開口端に嵌入され、この上流ピット22内の溶融ガラスGに浸漬されている。
下降管14は、減圧脱泡槽12に連通しており、減圧脱泡後の溶融ガラスGを減圧脱泡槽12から下降させて後工程の処理槽(図示せず)に導出する導出手段である。このため、下降管14の下端部は、下流ピット24の開口端に嵌入され、この下流ピット24内の溶融ガラスGに浸漬されている。
減圧ハウジング11内において、減圧脱泡槽12、上昇管13及び下降管14の周囲には、これらを断熱被覆する断熱用レンガ等の断熱材15が配設されている。
図2に示す減圧脱泡装置10において、減圧脱泡槽12、上昇管13及び下降管14は、溶融ガラスGの導管であるため、耐熱性及び溶融ガラスに対する耐食性に優れた材料を用いて作製されている。一例を挙げると、白金又は白金合金製の中空管である。白金合金の具体例としては、白金−金合金、白金−ロジウム合金が挙げられる。また、他の一例を挙げると、セラミックス系の非金属無機材料製、すなわち、緻密質耐火物製の中空管である。緻密質耐火物の具体例としては、例えば、アルミナ系電鋳耐火物、ジルコニア系電鋳耐火物、アルミナ−ジルコニア−シリカ系電鋳耐火物等の電鋳耐火物、並びに緻密質アルミナ系耐火物、緻密質ジルコニア−シリカ系耐火物及び緻密質アルミナ−ジルコニア−シリカ系耐火物等の緻密質焼成耐火物が挙げられる。
このような減圧脱泡装置10の各構成要素の寸法は、必要に応じて適宜選択することができる。減圧脱泡槽12の寸法は、減圧脱泡槽12が白金製若しく白金合金製、又は緻密質耐火物製であるかによらず、使用する減圧脱泡装置に応じて適宜選択することができる。図2に示す減圧脱泡槽12の場合、その寸法の具体例は以下の通りである。
水平方向における長さ:1〜20m
内径:0.2〜3m(断面円形)
減圧脱泡槽12が白金製若しくは白金合金製である場合、肉厚は4mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.2mmである。
減圧ハウジング11は、金属製、例えばステンレス製であり、減圧脱泡槽を収容可能な形状及び寸法を有している。
上昇管13及び下降管14は、白金製若しくは白金合金製、又は緻密質耐火物製であるかによらず、使用する減圧脱泡装置に応じて適宜選択することができる。例えば、上昇管13及び下降管14の寸法は以下のように構成することができる。
内径:0.05〜0.8m、より好ましくは0.1〜0.6m
長さ:0.2〜6m、より好ましくは0.4〜4m
上昇管13及び下降管14が白金製若しくは白金合金製である場合、肉厚は0.4〜5mmであることが好ましく、より好ましくは0.8〜4mmである。
本発明の減圧脱泡装置が有する減圧脱泡槽は、例えばこのような構成を具備する減圧脱泡槽12である。
次に、本発明の減圧脱泡装置が有する水蒸気濃度測定手段30について説明する。
図1において水蒸気濃度測定手段30は、減圧脱泡槽12の下流側と配管等で繋がっており、更にその下流側に減圧手段であるポンプ28が繋がれている。このポンプ28により、減圧脱泡槽12から排出された雰囲気ガス3´を水蒸気濃度測定手段30へ送ることができる。ポンプ28から排出された雰囲気ガス3´は、必要な場合は浄化処理等して大気へ放散する。
水蒸気濃度測定手段30は、市販の露点計であってもよいし、減圧脱泡槽12から排出された雰囲気ガス3´の圧力、温度、およびガス流量などを測定する測定手段であってもよい。各々の測定手段は例えば従来公知の圧力計、温度計、およびガス流量計を用いることができる。水蒸気濃度は、雰囲気ガス全体の中に含まれる水蒸気の量を表した値である。
そして、雰囲気ガス3´の水蒸気濃度(C)[mol%]は、市販の露点計を用いて測定してもよいし、代わりに雰囲気ガス3´中に含まれる水を析出させ、その量(W)[g]を測ることで概算することもできる。例えば、減圧脱泡層12から排出された雰囲気ガス3´のガス流量をFout[m/h]、ガス流出時間をtout[h]とし、さらに水蒸気濃度測定手段30において計測する雰囲気ガス3´の圧力及び温度を、P[Pa]及びT[K]としたとき、雰囲気ガス3´中の水蒸気濃度(C)[mol%]は次の式(1)で表される。
式(1)で算出される水蒸気濃度を60mol%以下とすることで、突沸を生じさせないで溶融ガラスの減圧脱泡を行うことができ、ガラス製品に突沸に起因する気泡が残存することにより発生する欠陥を生じさせないという効果を奏する。
Figure 2008029649
各々の単位は、次の通りである。
C:mol%、W:g、T:K、P:Pa、Fout:m/h、tout:h、R(気体定数):J・K/mol
次に、本発明の減圧脱泡装置が有する低水分ガス導入手段40について説明する。
図1において低水分ガス導入手段40は、減圧脱泡槽12の上流側と配管等で繋がっている。そして、この配管等を通じ、低水分ガス導入手段40から低水分ガス7を導入することができる。
低水分ガス導入手段40は、例えば図1に示すように、低水分ガス発生装置41と減圧脱泡槽12とが配管等で繋がれており、低水分ガス発生装置41で発生させた低水分ガス7を減圧脱泡槽12の上部空間5へ導入することができる。そして、低水分ガス発生装置41から減圧脱泡槽12までの間に、流量制御弁42及び流量計44がこの順に備えられており、これらで低水分ガス7の導入量を調整することができる。
なお、流量制御弁42及び流量計44の配置は逆であってもよい。
ここで、低水分ガス導入手段40は、低水分ガス7を減圧脱泡槽12の上部空間5へ積極的に導入するための導入手段(例えば、高圧ファン等)を有してもよい。この場合、上部空間5へ低水分ガス7を効率よく導入することができるので好ましい。
また、低水分ガス7として大気を用いる場合であれば、上記の低水分ガス発生装置41は必要ない。例えば上部空間5へ繋がる配管等の一端が流量制御弁42の開閉により大気に開放しており、大気がこの配管を通じて減圧となっている上部空間5へ導入できればよい。
また、大気以外の例えば不活性ガス等を低水分ガス7として用いる場合は、上記の水蒸気濃度測定手段30が、上部空間5から排出される雰囲気ガス3´のガス成分を測定することができるガス成分測定計を有していることが好ましい。
なお、本発明において低水分ガスとは、上部空間5における雰囲気ガス3よりも水分(水蒸気濃度)が低い気体を意味する。低水分ガスとしては、大気、乾燥空気、NやArのような不活性ガス等が挙げられ、1種類のみならず、複数種類であってもよい。低水分ガスの水蒸気濃度は0〜20mol%であることが好ましく、0〜5mol%であることがより好ましく、0〜1mol%であることが更に好ましい。なお、低水分ガスの水蒸気濃度は、市販の露天計などを用いて測定することが可能である。
本発明の減圧脱泡装置は、例えばこのような減圧脱泡槽12と水蒸気濃度測定手段30と低水分ガス導入手段40とを有する減圧脱泡装置1である。
このような本発明の減圧脱泡装置において、水蒸気濃度測定手段により上部空間における雰囲気ガスの水蒸気濃度を測定し、所望の水蒸気濃度よりも高くなった場合は、低水分ガス導入手段により低水分ガスを導入するといった調整を適宜繰り返すことで、上部空間における雰囲気ガスの水蒸気濃度を所望の濃度に調整することができる。
例えば上記の式(1)で求められる水蒸気濃度(C)と、目標とする水蒸気濃度(C)とは次の式(2)の関係があるので、低水分ガスの上部空間への導入量(Fin)及び導入時間(tin)、雰囲気ガスの上部空間からの排出量(FOUT)及び排出時間(tOUT)、並びに低水分ガスの水蒸気濃度(S)[mol%]を調整することで、水蒸気濃度を目標とする値とすることができる。
Figure 2008029649
各々の記号の意味、及び単位は次の通りである。
:[mol%]、V(上部空間の容積):[m]、Vin:[m]、Vout:[m]
ここで、Vinは流量計44で測定される導入量(Fin[m/h])と導入時間(tin[h])とから求められる導入ガス体積(Fin×tin)[m]の上部空間の温度及び圧力での換算量である。同様に、Voutは水蒸気濃度測定手段30に含まれる流量計で測定される排出量(Fout[m/h])と排出時間(tout[h])とから求められる排出ガス体積(Fout×tout)[m]の上部空間の温度及び圧力での換算量である。
また、上部空間での圧力を一定に保つ場合は、Vin=Voutとする必要がある。
例えば、体積(V)=1mの上部空間の水蒸気濃度(C)=20mol%を、目標となる水蒸気濃度(C)=10mol%に低減するためには、Vin=Voutの時、低水分ガスの導入量(Vin)=0.53mとなる。
したがって、上部空間の温度(T)=1673K、圧力(P)=25kPaのとき、流量計44の位置における導入ガスの温度(T)=298K、圧力(P)=101kPaでは、導入ガス体積(Fin×tin)は、0.023[m]となる。
実際には、溶融ガラスおよび装置構成材等からの水分の蒸発、又はリークガスによる水蒸気濃度の変化が起こるため、絶えず調整を図る必要がある。
なお、ガラス製品の製造中は、定常的にこの水蒸気濃度を監視し、制御することが好ましい。具体的には、前記減圧脱泡装置に、前記雰囲気ガスの水蒸気濃度を所望の値となるように制御できる水蒸気濃度制御手段を有することが好ましく、前記制御手段からの信号により低水分ガスの導入量を制御するガス量制御手段をさらに有することが好ましい。
例えば、T、P、FOUT、tOUT、W、S、FIN及びtINを定常的に測定し、これらのデータをコンピュータに集め、このコンピュータによって上部空間の水蒸気濃度が所望の値となるように制御できるような水蒸気濃度制御手段を、本発明の減圧脱泡装置が有することが好ましい。また、このコンピュータによって流量制御弁42の開閉が制御できるようにし、更に流量計44のデータがこのコンピュータにフィードバックされるガス量制御手段を、本発明の減圧脱泡装置が有することが好ましい。さらに、生産性能を一定に保つために、所望の圧力に制御しながら流量を調整することが望ましい。
本発明のガラス製造方法は、このような本発明の減圧脱泡装置を用いて行うことが好ましいが、他の方法を適用してもよい。例えば、本発明の減圧脱泡装置のように減圧脱泡槽内の上部空間に気体を導入する必要は必ずしもなく、減圧脱泡槽内と減圧ハウジング内の雰囲気が繋がっている場合には、減圧ハウジング内の気体の水蒸気濃度を低減すればよい。
本発明のガラス製造方法において、減圧脱泡処理条件は通常の範囲であれば特に限定されない。通常の減圧処理条件とは、減圧脱泡槽の内部の上部空間における雰囲気ガスの圧力(P)を38〜460mmHg(51〜613hPa)とし、温度(T)を1100℃〜1500℃、特に1250℃〜1450℃として減圧脱泡処理を行う処理条件をいう。
本発明のガラス製造方法が具備する本発明の減圧脱泡工程では、減圧脱泡槽の内部の雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下とする。すると、いわゆる突沸を生じさせないで溶融ガラス中の気泡の脱泡を、減圧条件下で行うことができる。
また、この水蒸気濃度が低いほど泡層が薄くなる傾向があるので、減圧脱泡槽の内部の雰囲気ガスの水蒸気濃度は50mol%以下であることが好ましく、40mol%以下であることがより好ましい。そして、水蒸気濃度が30mol%以下であると、泡層が更に薄くなる傾向があるので好ましい。また、ガラス組成によっては、1つ1つの気泡が収縮又は破泡する場合があり、これにより泡層は更に薄くなるので好ましい。更に、ガラス製品に欠陥とみなされる程度の大きさの気泡が残存し難くなるので好ましい。この水蒸気濃度が更に低ければ、ガラス製品に欠陥が生じる確率が更に低くなるので、25mol%以下であることがより好ましく、20mol%以下であることがより好ましく、15mol%以下であることがより好ましく、10mol%以下であることがより好ましく、5mol%以下であることが更に好ましい。
また、本発明者は、上記に加えて、このような気泡の収縮は、特定の組成の溶融ガラスについて、特に顕著に発現する現象であることを見出した。
具体的には、溶融ガラスがボロシリケートガラスの場合、水蒸気濃度が30mol%以下であると、気泡が顕著に収縮する傾向がある。したがって、本発明のガラス製造方法、本発明の減圧脱泡装置及び本発明の水分調整方法は、ボロシリケートガラスを製造する場合により好ましく用いることができる。
ここでいうボロシリケートガラスは例えば次のような組成である。
組成の範囲:SiO:55〜74、Al:10〜20、B:5〜12、Al/B:1.5〜3、MgO:0〜5、CaO:0〜5、SrO:0〜12、BaO:0〜12、SrO+BaO:6〜12(単位は質量%)。
従来においては好ましい減圧脱泡槽内の圧力、温度条件が提示されていたが、水蒸気濃度について検討した例はなかった。本発明者は、従来において提示されていた減圧脱泡条件で脱泡を行っても、突沸したり、泡層が肥大化する原因について鋭意検討し、従来において着目されていなかった水蒸気濃度に着目することで、このような問題を解決できることを見出した。
また、本発明者は、水蒸気濃度を60mol%以下とすることで、溶融ガラス中の特定の成分(ホウ素等)の揮散を抑制することができるという効果を奏することをも見出した。ホウ素等の成分の揮発を抑制することにより、ホウ素等の組成変動を防止できるとともに、組成変動に起因する平坦度の悪化を抑制することができる。
また、揮発のしやすい成分、例えば、Cl、F、Sなどの揮散を抑制することもできるため、これらの成分の組成変動を防止できるとともに、組成変動に起因する平坦度の悪化を抑制することができる。
これらのCl、F、Sなどの成分は、水分の揮発に大きく影響を受けていると考えられる。例えば、FはHFとして、SはHSOとして揮散すると考えられる。よって、減圧脱泡槽内の水分濃度をある一定量以下とすることで、水分の揮発に伴って揮散する上記成分の変動を抑えることができると考えられる。
また、ガラスの特性は、その用途によって非常に細かい規格が存在し、その規格に適合するように非常に詳細にわたりガラスの組成が決められている。例えば、ホウ素の含有量についても当然規格が存在するが、従来の方法では、ホウ素が揮散するためより多くのホウ素を原料として用いる必要があった。また、従来では、ホウ素の揮散する量は条件によってまちまちであり、場合によっては、ホウ素の含有量の規格を外れる可能性があった。本発明においては、このような問題点が解消されており、有用である。
この点からも、本発明のガラス製造方法、本発明の減圧脱泡装置及び本発明の水分調整方法は、通常のガラスは言うに及ばず、特にボロシリケートガラスを製造する場合に好ましく用いることができるといえる。
また、本発明において、減圧脱泡槽の内部の上部空間へ導入する低水分ガスは、酸素濃度が空気中の酸素濃度よりも低いガスであることが好ましい。この酸素濃度は、15体積%以下であることが好ましく、10体積%以下であることがより好ましく、5体積%以下であることが更に好ましい。また、前記低水分ガスは、酸素を含まない気体、例えばNガス、Arガス、CO等であることが好ましい。
前記上部空間へ導入する前記低水分ガスの酸素濃度がこのような値であると、上記のような泡層の薄層化に加え、減圧脱泡槽の材質として白金又は白金合金を用いている場合に、その白金の酸化を抑制し、減圧脱泡槽の寿命を延ばし、更に、ガラス製品において、この白金由来の欠陥の生成を抑制することができるので好ましい。
上記のように、本発明のガラス製造方法は、本発明の減圧脱泡工程を具備し、前工程及び後工程として原料溶融工程及び成形工程を具備することが好ましい。この原料溶融工程は、例えば従来公知のものでよく、例えばガラスの種類に応じて約1400℃以上に加熱することによって原料を溶融する工程である。用いる原材料も製造するガラスに適合させる原材料であれば特に限定されず、例えば硅砂、ホウ酸、石灰石等の従来公知のものを最終ガラス製品の組成に合わせて調合した原材料を用いることができる。この原材料は、所望の清澄剤を含んでもよい。また、この成形工程は、例えば従来公知のものでよく、例えばフロート成形工程、ロールアウト成形工程、フュージョン成形工程等が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
<実施例1>
減圧脱泡を実施する雰囲気を再現するために、ガラス原料が入った白金製のるつぼを真空減圧容器内に配置した。るつぼを加熱してガラスを溶融させて、溶融ガラスの温度を1420℃とした。その後、真空減圧容器内の絶対圧力を26.7kPaとした。
ここで、用いたガラス原料の組成は次の通りである。
SiO:59.4%、Al:17.6%、B:7.9%、MgO:3.2%、CaO:3.7%、SrO:7.9%、BaO:0.1%
なお、実施例1〜3は、図1における減圧脱泡槽12の代わりに、溶融ガラスが入った白金製のるつぼを用いて実験を行ったが、このるつぼの実験の結果は、図1における減圧脱泡槽12の結果と同等とみなすことが可能である。
次いで、所望の水蒸気濃度に調整した大気を上記真空減圧容器内へ導入し、真空減圧容器内の雰囲気の水蒸気濃度(mol%)を様々な値に変化させ調整した。各々の水蒸気濃度の場合について、溶融ガラス中の気泡を真空減圧装置に設けた覗き窓からCCDカメラを用いて撮影した。そして、30分経過後、るつぼ内で溶融ガラスを急冷し固化させ、固化後のサンプル中に存在する気泡(直径100μm以上のものをカウント)の数を測定して気泡密度(個/kg)を求めた。ここで、溶融ガラスの質量は5.0kgであり、減圧前のガラス中の気泡の数は、各々の水蒸気濃度の場合でほぼ同じ値であった。
結果を図3に示す。
図3から、真空減圧容器内の雰囲気の水蒸気濃度が高いほど、気泡が残存することを確認できる。図3において、横軸は雰囲気の水蒸気(水分)濃度を表し、縦軸は気泡の数をLogでとった値を表している。
なお、水蒸気濃度が60mol%超の場合は、CCDカメラで観察している際に溶融ガラス界面が急激に上昇し、いわゆる突沸現象が生じた。
<実施例2>
次に、上記の実施例1と同様の装置を用い、真空減圧容器内の雰囲気の水蒸気濃度を70mol%、47mol%、31mol%、3mol%として泡層の厚さを測定した。更に、実施例1では大気であった低水分ガスをN、CO、Arとして、真空減圧容器内の雰囲気の水蒸気濃度を各々1mol%未満として、同様の試験を行った。ガラス組成は実施例1と同じである。
結果を第1表に示す。
Figure 2008029649
このように、水蒸気濃度が70mol%であると泡層の厚さは20mm以上となり、いわゆる突沸することが確認できた。また、水蒸気濃度が、3〜47mol%であると、1〜2mm程度の厚さの泡層が形成されたものの、突沸は確認されなかった。更に、雰囲気がN、CO又はAr(水蒸気濃度が1mol%未満)であると、泡層は生じなかった。上記の結果から、水蒸気濃度は60mol%以下である必要がある。また、泡層の厚さは15mm以下程度であることが好ましい。
<実施例3>
実施例2と同様の試験において、各種の雰囲気ごとに泡層内における気泡の収縮速度を測定した。ここで、溶融ガラスは実施例1と同じボロシリケートガラスを用いた。
結果を図4に示す。なお、図4において泡径は規格化した値を示している。規格化とは、溶融ガラス内部の気泡が上昇し泡層へ到達した時の気泡径に対する各時間における気泡の径の比である。したがって、気泡が泡層へ到達した時が経過時間0sであり、その時の泡径が1.0である。
図4から、水蒸気濃度が31mol%の大気の場合に対して、水蒸気濃度が3mol%の大気、及び水蒸気濃度が1mol%以下のN、CO又はArの場合は、気泡の収縮速度が速くなった。
この結果から、雰囲気中の水蒸気濃度が低いほうが泡が収縮しやすい、つまり泡が消失しやすく好ましいことが判明した。
<実施例4>
次に、減圧脱泡処理により泡が溶融ガラス表面に浮上しその後破泡・消滅する様子を、各種の雰囲気水蒸気濃度(1mol%,9mol%,13mol%,19mol%,22mol%,35mol%,70mol%)及びガラス組成(ソーダライムガラス:組成A、組成B、組成C)ごとに測定した。ここでは泡の様子の観察が可能となるように、50ccの透明石英ガラスビーカーを容器として用い、約50gのガラスを溶解したときの泡層の厚さを測定した。また溶融ガラス表面に浮上した泡の数(B個)及び溶融ガラス表面に達して破泡・消滅した泡の数(B個)をCCDカメラで観察してカウントし、破泡率の値(B/B%)を算出した。泡層の厚さ(mm)及び破泡率(%)下記表2に示す。
なお、いずれのサンプルの場合も溶融ガラスの温度を1200℃に加熱した。容器内の絶対圧力は、組成Aの場合18.7kPa、組成Bの場合10.3kPa、組成Cの場合14.4kPaとした。また、組成A、組成B、組成Cにおける各成分の含有率は下記表3に示すとおりとした。表3における%は質量%を示す。
Figure 2008029649
Figure 2008029649
表2から、容器内の雰囲気の水蒸気濃度が高いほど破泡率が低く、気泡が残存することを確認できる。具体的には、雰囲気の水蒸気濃度が60mol%を超えると泡層が20mm以上の厚さとなるが、60mol%以下であると泡層が薄くなることが確認できる。なお、水蒸気濃度が60mol%超の場合は、CCDカメラで観察している際に溶融ガラス界面が急激に上昇し、いわゆる突沸現象が生じた。また、容器内の雰囲気の水蒸気濃度が15mol%未満の場合、破泡率が高くなり、好ましいことが分かった。すなわち、容器内の雰囲気の水蒸気濃度が60mol%以下であると突沸現象を防止でき泡層を薄くすることができるとともに、前記水蒸気濃度をさらに低くすると破泡率が高くなり泡が消滅することが判明した。
本発明は、溶融ガラスの減圧脱泡装置及び減圧脱泡工程を具備するガラス製造方法に適用でき、特に泡の少ない高品質のディスプレイ用ガラスの製造に好適である。

なお、2006年8月30日に出願された日本特許出願2006−233441号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (9)

  1. 減圧脱泡槽の雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下として、溶融ガラスを減圧脱泡する工程を具備する、ガラス製造方法。
  2. 前記減圧脱泡槽の雰囲気ガスへ低水分ガスを導入することにより、前記雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下とする、請求項1に記載のガラス製造方法。
  3. 前記雰囲気ガスの水蒸気濃度を30mol%以下とする、請求項1又は2に記載のガラス製造方法。
  4. 前記低水分ガスの酸素濃度(体積%)が空気中の酸素濃度(体積%)よりも低い、請求項2又は3に記載のガラス製造方法。
  5. 前記低水分ガスの酸素濃度(体積%)が15体積%以下である、請求項4に記載のガラス製造方法。
  6. 溶融ガラスを減圧脱泡するための減圧脱泡槽の雰囲気ガスの水蒸気濃度を測定し、その水蒸気濃度の測定結果に基いて、前記減圧脱泡槽の前記雰囲気ガスへ低水分ガスを導入することにより、前記減圧脱泡槽の前記雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下に調整するガラス製造方法。
  7. 減圧吸引される減圧ハウジングと、この減圧ハウジング内に設けられ、溶融ガラスの減圧脱泡を行う減圧脱泡槽と、この減圧脱泡槽に連通して設けられ、減圧脱泡前の溶融ガラスを前記減圧脱泡槽に導入する導入手段と、前記減圧脱泡槽に連通して設けられ、減圧脱泡後の溶融ガラスを前記減圧脱泡槽から導出する導出手段とを有する溶融ガラスの減圧脱泡装置であって、
    前記減圧脱泡槽の雰囲気ガスの水蒸気濃度を測定する水蒸気濃度測定手段と、
    前記減圧脱泡槽の内部の上部空間へ低水分ガスを導入する低水分ガス導入手段と
    を更に有する溶融ガラスの減圧脱泡装置。
  8. 前記減圧脱泡装置に、前記雰囲気ガスの水蒸気濃度を所望の値となるように制御できる水蒸気濃度制御手段と、前記制御手段からの信号により低水分ガスの導入量を制御するガス量制御手段をさらに有する請求項7に記載の減圧脱泡装置。
  9. 前記低水分ガス導入手段が、減圧脱泡槽の上流側に設けられている請求項7又は8に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
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