JP5975022B2 - 溶融ガラスの減圧脱泡方法、溶融ガラスの減圧脱泡装置、溶融ガラスの製造方法、溶融ガラスの製造装置、ガラス製品の製造方法、およびガラス製品の製造装置 - Google Patents

溶融ガラスの減圧脱泡方法、溶融ガラスの減圧脱泡装置、溶融ガラスの製造方法、溶融ガラスの製造装置、ガラス製品の製造方法、およびガラス製品の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、溶融ガラスの減圧脱泡方法、溶融ガラスの減圧脱泡装置、溶融ガラスの製造方法、溶融ガラスの製造装置、ガラス製品の製造方法、およびガラス製品の製造装置に関する。
従来、ガラス製品の品質向上のため、溶融槽でガラス原料を溶融した溶融ガラスを成形装置で成形する前に、溶融ガラス内に発生した気泡を除去する清澄工程が行われている。
この清澄工程では、ボウ硝(NaSO)等の清澄剤を原料内に予め調合し、原料を溶融して得られた溶融ガラスを所定温度に一定時間貯留、維持することで、清澄剤によって溶融ガラス内の気泡を成長させ浮上させて除去する方法が知られている。また、内部を所定の減圧度に保持した減圧脱泡槽内に溶融ガラスを通過させることにより、溶融ガラス内に含まれる気泡を比較的短時間に成長させ、大きく成長した気泡の浮力を利用して気泡を溶融ガラスの表面に浮上させ、溶融ガラスの表面で気泡を破泡させることで、溶融ガラスから気泡を除去する減圧脱泡方法が知られている。
溶融ガラスから効率よく気泡を除去するためには、上記した二つの方法を組み合わせて実施すること、すなわち、清澄剤が添加された溶融ガラスを用いて減圧脱泡方法を実施することが好ましい。
溶融ガラス中の気泡を効果的かつ確実に除去するには、溶融ガラス中で気泡を大きく成長させ、かつ溶融ガラス表面まで浮上させて破泡するプロセスが必要であり、このようなプロセスを確実かつ効果的に行うためには、減圧脱泡槽内の減圧度を適切な範囲に保つことが求められる。
溶融ガラスから気泡を効果的に除去するためには、溶融ガラス中に溶存するガス成分が泡内に入り込むことで、気泡が連続的に成長する必要がある。このように気泡が連続成長する現象を引き起こすためには、ある閾値圧力以下の圧力まで減圧する必要がある。減圧脱泡工程において気泡の成長に大きく寄与するガス成分は、溶融ガラス中の水分から生じるHOガスと、溶融ガラス中に溶存するSOの分解により生じるSOガスである。そこで、本出願人は先に、ガラス中の水分濃度(β−OH値)、SO濃度、および溶融ガラスの温度から導き出される泡成長開始圧よりも減圧脱泡槽内の圧力を低くすることで、効果的に溶融ガラス内の気泡を除去できることを開示している(特許文献1参照)。
溶解後や清澄後の溶融ガラスにおいて、構造物である白金やレンガと溶融ガラスとの界面でも気泡が発生することが知られている(特許文献2参照)。特許文献2には、溶融ガラス中のSOの含有割合を所定範囲に規定することによってこの気泡の発生を抑制できることが開示されている。
国際公開第2007/111079号パンフレット 日本特開2006−265001号公報
減圧脱泡の効果を向上させるためには、減圧脱泡槽内の圧力をできるだけ低くして、気泡を大きく成長させて浮上速度を増大すればよいと考えられる。しかしながら、減圧脱泡槽内の圧力をできるだけ低くしても、ガラス製品中の気泡を満足に除去できない場合があった。
また、特許文献2には、気泡についての記載はあるものの減圧脱泡工程との関係については何の記載もない。
以上のような背景から本発明は、溶融ガラスの減圧脱泡の効果に優れた減圧脱泡方法および減圧脱泡装置の提供を目的とする。
本発明は、上述の減圧脱泡方法を用いる溶融ガラスの製造方法、およびガラス製品の製造方法、ならびに、上述の減圧脱泡装置を用いる溶融ガラスの製造装置、およびガラス製品の製造装置の提供を目的とする。
本発明者らは、鋭意研究した結果、減圧脱泡槽内の圧力を極端に低くすると、従来想定していた溶融ガラス中の気泡は除去できるものの、減圧脱泡槽の炉材と溶融ガラスとの界面で別の気泡が発生することを見出した。以下では、このような減圧脱泡槽で発生する気泡をリボイル泡と、この現象をリボイルと、呼ぶ。なお、一般的に使われているリボイルとリボイル泡は、その発生原因や発生場所、具体的には溶融ガラスの体積中からか、溶融ガラスと炉材との界面からか等も特定されているわけではないが、ここでは前述のように減圧脱泡槽内での泡に限定した狭義の意味で使用する。
また、本発明者らは、減圧をするにも関わらずガラス製品中に気泡が残留する原因が長い間不明であったが、このリボイル泡が減圧脱泡槽の下流域で発生すると、溶融ガラスが減圧に曝される時間が短く減圧脱泡効果が少ないので、このリボイル泡が溶融ガラスとともに減圧脱泡槽から排出され、気泡を含んだ溶融ガラスとなり、ガラス製品中に気泡として残留してしまうことを見出した。
さらに、本発明者らは、上記知見に基づいて、溶融ガラス中の気泡を効果的に除去しつつ、リボイルによる新たな気泡の発生を抑止できる減圧脱泡方法について検討を行った。
その結果、リボイル泡の発生を抑制する要因が、単に溶融ガラス中に含まれるSOの割合ではなく、溶融ガラスに含まれるSOが減圧雰囲気下で分解して生じるSOガスの過飽和度であることを見出すことによって以下の発明をした。
すなわち、本発明は、ケイ酸塩ガラスとなるガラス原料を溶融し、内部が減圧状態に保持された減圧脱泡槽のガラス流路に溶融ガラスを流すことにより、溶融ガラスを減圧脱泡する方法であって、前記減圧脱泡槽の少なくともガラス流路の下流側の底部において、下記式(1)を満たす条件で減圧脱泡を実施する溶融ガラスの減圧脱泡方法を提供する。
SS=pSO/Pabs<2.0 (1)
上記式(1)中、SSは溶融ガラス中のSOの過飽和度、pSOは溶融ガラス中のSOの分圧(Pa)、Pabsは減圧脱泡槽のガラス流路底部の圧力(Pa)である。
本発明の溶融ガラスの減圧脱泡方法において、前記ケイ酸塩ガラスが、SiO≧50mol%、(アルカリ成分酸化物+アルカリ土類成分酸化物)≧10mol%の組成であることが好ましい。アルカリ成分酸化物とは、LiO、NaO、およびKOを表す。アルカリ土類成分酸化物とは、MgO、CaO、BaO、およびSrOを表す。
本発明の溶融ガラスの減圧脱泡方法において、前記減圧脱泡槽のガラス流路の水平方向の全長Lに対して、前記ガラス流路の下流端からL/2の範囲において、前記式(1)を満たす条件で減圧脱泡を実施することが好ましい。
本発明の溶融ガラスの減圧脱泡方法において、前記ケイ酸塩ガラスとなるガラス原料は、S(硫黄)元素を含む清澄剤を含有することが好ましい。
また、本発明は、真空吸引されて内部が減圧される減圧ハウジングと、この減圧ハウジング内に設けられ、ケイ酸塩ガラスとなるガラス原料を溶融した溶融ガラスの減圧脱泡を行うための減圧脱泡槽と、該減圧脱泡槽に溶融ガラスを供給するための供給機構と、脱泡後の溶融ガラスを次工程に送るための送出機構とを具備してなる減圧脱泡装置であって、前記減圧脱泡槽内のガラス流路の下流側を流れる溶融ガラスの深さDe(m)が、下記式(2)を満たす溶融ガラスの減圧脱泡装置を提供する。
pSO/(PG+ρgDe)<2.0 (2)
上記式(2)中、pSO2は溶融ガラス中のSOの分圧(Pa)、PGは減圧脱泡槽の雰囲気圧力(Pa)、ρは溶融ガラスの比重(kg/m)、gは重力加速度(m/s)である。
本発明の溶融ガラスの減圧脱泡装置において、前記減圧脱泡槽のガラス流路の水平方向の全長Lに対して、前記ガラス流路の下流端からL/2の範囲において、前記式(2)を満たすように前記深さDeが設定されていることが好ましい。
本発明の溶融ガラスの減圧脱泡装置において、前記ガラス流路の下流側に傾斜部が形成されており、この傾斜部が前記ガラス流路の上流側から下流側へと溶融ガラスの深さが徐々に深くなるように設定されてもよい。
本発明の溶融ガラスの減圧脱泡装置において、前記供給機構が前記減圧脱泡槽の上流側の下方に設けられた上昇管であり、前記送出機構が前記減圧脱泡槽の下流側の下方に設けられた下降管であることが好ましい。
本発明は、上記溶融ガラスの減圧脱泡方法により溶融ガラスを脱泡処理する工程と、前記脱泡処理する工程の前にガラス原料を溶融する溶融工程とを含む溶融ガラスの製造方法を提供する。
また、本発明は、上記溶融ガラスの製造方法による溶融ガラスの製造工程と、前記溶融ガラスの製造工程よりも下流側で溶融ガラスを成形する成形工程と、成形後のガラスを徐冷する徐冷工程と、を含むガラス製品の製造方法を提供する。
さらに、本発明は、上記減圧脱泡装置と、該減圧脱泡装置よりも上流側に設けられたガラス原料を溶融して溶融ガラスを製造する溶融手段と、を備えた溶融ガラスの製造装置を提供する。
さらにまた、本発明は、上記溶融ガラスの製造装置と、該溶融ガラスの製造装置よりも下流側に設けられた溶融ガラスを成形する成形手段と、成形後のガラスを徐冷する徐冷手段と、を備えたガラス製品の製造装置を提供する。
本発明の溶融ガラスの減圧脱泡方法では、前記式(1)を満たす条件で減圧脱泡を実施することにより、過減圧により減圧脱泡槽の底部付近にリボイルが発生することを抑制できる。そのため、リボイル泡が溶融ガラス中に残存せず、製造される溶融ガラスおよびガラス製品の品質を向上させることができる。
また、本発明の溶融ガラスの減圧脱泡方法では、清澄剤であるSOを含んでいても、このSOの分解により発生するSOによるリボイル泡の発生を抑制できる。したがって、SO添加による清澄効果を維持したまま、リボイル泡の発生を抑制して、効果的に減圧脱泡することができる。
本発明の溶融ガラスの減圧脱泡装置は、前記式(2)を満たす構成とすることにより、リボイルが発生することを抑制できる。
また、本発明の溶融ガラスの減圧脱泡装置において、減圧脱泡槽内のガラス流路の少なくとも下流側を流れる溶融ガラスが、前記式(2)を満たす深さに設定することにより、下流域でリボイル泡が発生してガラス製品に気泡が混入することを抑制できる。なお、この場合、上流側のガラス流路の深さが前記式(2)を満たす下流側よりも浅くなっても、上流側で発生したリボイル泡は、下流側に到達するまでの間に浮上して破泡するため、リボイル泡がガラス製品に混入することがない。
本発明の溶融ガラスの製造方法は、上述の減圧脱泡方法を用いることにより、優れた減圧脱泡の効果を実現できる。
また、本発明のガラス製品の製造方法は、上述の溶融ガラスの製造方法を用いることにより、高品質のガラス製品を提供できる。
さらに、本発明の溶融ガラスの製造装置およびガラス製品の製造装置は、上述の減圧脱泡装置を用いることにより、高品質の溶融ガラスおよびガラス製品を提供できる。
本発明に係る減圧脱泡装置の第1実施形態を模式的に示す断面図である。 各種ケイ酸塩ガラスの溶融ガラス中のpOと、SおよびFeの溶存形態との関係を示す図である。 本発明に係る減圧脱泡装置の第2実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明に係る減圧脱泡装置の第3実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明に係る減圧脱泡装置の第4実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明に係る溶融ガラスの製造方法の工程の一例を示すフロー図である。 本発明に係るガラス製品の製造方法の工程の一例を示すフロー図である。 実施例1の各溶融ガラスの、SO過飽和度SSとリボイル頻度との関係をプロットしたグラフである。 実施例2の各溶融ガラスの、HO過飽和度SHとリボイル頻度との関係をプロットしたグラフである。
以下、本発明に係る溶融ガラスの減圧脱泡方法および減圧脱泡装置の一実施形態について説明するが、本発明は以下に説明する実施形態に制限されるものではない。
図1は本発明の減圧脱泡方法に用いる溶融ガラスの減圧脱泡装置の第1実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示す減圧脱泡装置100は、溶融槽1から供給される溶融ガラスGを減圧脱泡して、後工程の成形装置200に連続的に供給するプロセスに用いられる装置である。
本実施形態の減圧脱泡装置100は、使用時にその内部を減圧状態に保持できる金属製、たとえば、ステンレス鋼製の減圧ハウジング2を有している。減圧ハウジング2の内部には減圧脱泡槽3がその長軸を水平方向に向けるように収容配置されている。この減圧脱泡槽3は、底壁3aと周壁3bと天井壁3cとからなる横長の箱型状の槽とされている。減圧脱泡槽3は、内部の気圧が大気圧未満に設定されており、供給された溶融ガラスG中の泡を浮上および破泡させる。減圧脱泡槽3の一端側の下面には垂直方向に配向する供給機構としての上昇管5が導入口3dを介し接続され、他端側の下面には垂直方向に配向する送出機構としての下降管6が導出口3eを介し接続されている。上昇管5と下降管6は減圧ハウジング2の底部側に形成された導入口2aまたは導出口2bを介しそれぞれ外部に連通できるように配置されている。
減圧ハウジング2の内部側において減圧脱泡槽3、上昇管5および下降管6の周囲には、これらを断熱被覆する断熱用レンガなどの断熱材4が配設されている。
前記構造の減圧脱泡装置100において、減圧脱泡槽3、上昇管5および下降管6は耐熱性および溶融ガラスに対する耐食性に優れた材料であるセラミックス系の非金属無機材料製、または白金若しくは白金合金製、もしくはこられの組み合わせの中空管からなる構造とされる。減圧脱泡槽3がセラミックス系の非金属無機材料である場合、減圧脱泡槽3は外形が矩形断面を有する例えば耐火レンガ製であり、溶融ガラスの流路をなす内部形状は矩形断面を有することが好ましい。減圧脱泡槽3が白金製あるいは白金合金製である場合、減圧脱泡槽3における溶融ガラスの流路をなす内部断面形状が円形または楕円形を有することが好ましい。
減圧脱泡槽3、上昇管5および下降管6の材質としては、白金もしくは白金合金の他に、これらに金属酸化物を分散させてなる強化白金製が挙げられる。分散される金属酸化物として、Al、またはZrO若しくはYに代表される、長周期表における3族、4族若しくは13族の金属酸化物が挙げられる。また、セラミックス系の非金属無機材料としては、緻密質耐火物が挙げられる。あるいは、緻密質耐火物に白金または白金合金を内張したものであってもよい。
なお、減圧脱泡装置100において、200トン/日以上の処理能力、あるいは500トン/日以上の処理能力を達成するような大型の装置の場合、電鋳レンガのような耐火レンガにより減圧脱泡槽3が構成されていることが好ましい。
上昇管5は、溶融槽1からの溶融ガラスGを減圧脱泡槽3に導入する。このため、上昇管5の下端5aは、溶融槽1と導管11を介し接続された上流ピット12の開口端から嵌入され、上流ピット12内の溶融ガラスGに浸漬されている。
また、下降管6は、減圧脱泡後の溶融ガラスGを次の処理槽(図示略)に導出する。このため、下降管6の下端6aは、下流ピット13の開口端に嵌入され、下流ピット13内の溶融ガラスGに浸漬されている。また、下流ピット13の下流側に成型装置200が接続されている。本実施形態の減圧脱泡装置100においては、上昇管5が、減圧脱泡槽に溶融ガラスを供給するための供給機構を構成し、下降管6が、減圧脱泡槽にて脱泡された後の溶融ガラスを次工程に送るための溶融ガラスの送出機構を構成する。なお、本明細書において、ガラス流路3Rとは、減圧脱泡槽3で溶融ガラスGの流路をなす部分を指す。図1に示す減圧脱泡装置100の場合、ガラス流路3Rとは、上昇管5から減圧脱泡槽3に入った溶融ガラスGが下降管6に出て行くまでの間に流れる領域全体を示す。よって、ガラス流路3Rの全長とは、減圧脱泡槽3の内部空間の全長に等しい。
また、本明細書において、「上流」および「下流」と表記した場合、減圧脱泡装置100のガラス流路3Rを流動する溶融ガラスGの流動方向における上流および下流を意味する。
本発明の減圧脱泡方法では、溶融槽1から供給される溶融ガラスGを、所定の減圧度に減圧された減圧脱泡槽3内のガラス流路3Rを通過させて減圧脱泡を行う。溶融ガラスGは、減圧脱泡槽3に連続的に供給され、減圧脱泡槽3から連続的に排出されることが好ましい。
本発明の減圧脱泡方法で用いる溶融ガラスGは、ケイ酸塩ガラスとなるガラス原料を溶融したものである。本発明の溶融ガラスの減圧脱泡方法において、ケイ酸塩ガラスは、実用に耐えうる化学耐久性を得る理由で、SiOは、50mol%以上が好ましく、化学耐久性をいっそう向上させる理由で、60mol%以上がより好ましく、化学耐久性をさらに向上させる理由で、65mol%以上がさらに好ましい。
また、アルカリ成分酸化物とアルカリ土類成分酸化物との合計量(本明細書において、この合計量を(アルカリ成分酸化物+アルカリ土類成分酸化物)と表記する。)は、10mol%以上が溶融ガラスの分相を抑制する理由で、好ましく、15mol%以上が溶融ガラスの粘度を下げて各工程における作業温度を下げる理由で、より好ましく、20mol%以上が溶融ガラスの粘度を一層下げて各工程における作業温度を下げる理由で、さらに好ましい。ここで、アルカリ成分酸化物とは、LiO、NaO、およびKOを表す。また、アルカリ土類成分酸化物とは、MgO、CaO、BaO、およびSrOを表す。上記したケイ酸塩ガラスにおいては、アルカリ成分酸化物とアルカリ土類成分酸化物とを、それぞれ含有する必要がある。すなわち、LiO、NaO、およびKOからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ成分酸化物と、MgO、CaO、BaO、およびSrOからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類成分酸化物とを、その合計量で10mol%以上含有する。後述のごとく、用途に応じた所望の特性を得るために上記以外の酸化物を含むことができる。
本発明は、建築用ガラス、自動車用ガラスとして、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO:65〜75%、Al:0〜3%、CaO:5〜15%、MgO:0〜15%、NaO:10〜20%、KO:0〜3%、LiO:0〜5%、Fe:0〜3%、TiO:0〜5%、CeO:0〜3%、BaO:0〜5%、SrO:0〜5%、B:0〜5%、ZnO:0〜5%、ZrO:0〜5%、SnO:0〜3%、Se:0〜0.1%、CoO:0〜0.1%、Cr:0〜0.1%の組成のガラスでも適用できる。
本発明は、ディスプレイ用ガラスとしては、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO:50〜72%、Al:0〜15%、MgO+CaO+SrO+BaO:4〜30%、NaO:010%、KO:1〜20%、LiO:0〜5%、NaO+KO+LiO:6〜30%、ZrO:0〜20%の組成のガラスにも適用できる。
本発明は、ハードディスク用ガラスとしては、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO:50〜72%、B:0〜20%、Al:0〜25%、MgO+CaO+SrO+BaO:0〜30%、NaO:0〜20%、KO:0〜20%、LiO:0〜20%、NaO+KO+LiO:6〜30%、ZrO:0〜20%、Y、0〜20%、La:0〜20%、ZnO:0〜20%の組成のガラスでも適用できる。
本発明では、化学強化を施した薄板用ガラスとしては、酸化物基準の重量百分率表示で、SiO:50〜75%、Al:0〜20%、MgO+CaO+SrO+BaO:4〜30%、NaO:0〜20%、KO:0〜15%、LiO:0〜20%、NaO+KO+LiO:6〜30%、ZrO:0〜20%の組成のガラスでも適用できる。
上記ガラスは、すべて添加材としてAs、Sb、MnO、NiO、V、CuOなどを5%以下で含有してもよい。
上記ガラスは、Fe:0〜10%、TiO:0〜10%、CeO:0〜10%、CoO:0〜10%、Cr:0〜10%、Se:0〜1%などの着色剤が含有されていてもよい。さらに好適には、Fe:0〜5%、TiO:0〜5%、CeO:0〜3%、CoO:0〜1%、Cr:0〜1%、Se:0〜1%などの着色剤の含有量である。
本発明が適用されるケイ酸塩ガラスとなるガラス原料は、S(硫黄)元素を含む清澄剤を含有することが好ましい。この清澄剤のS成分は、SO換算表記で、0.01〜0.5%まで含有させることができる。SOの添加が0.5%超であると、溶融槽1での泡層が過剰となるおそれがある。また、SOの添加が0.01%未満であると、清澄効果が不十分になるおそれがある。
本発明者らは、溶融ガラス中の気泡を効果的に除去しつつ、リボイルによる新たな気泡の発生を抑止できる減圧脱泡方法について検討を行った。その結果、減圧脱泡槽の下流域で見られる浮上気泡は、減圧脱泡槽内での溶融ガラスと炉材との界面で発生している、前記した狭義のリボイル泡であることを見出した。また、減圧脱泡槽下流域における浮上気泡個数は、温度、減圧度のみならず溶融ガラス中のSO濃度が影響することから、リボイルの起源は、溶融ガラスに含まれるSOが過減圧下で分解して生じるSOガスであることを見出した。なお、リボイルの起源としては、溶融ガラス中の水分から生じるHOガスも疑われた。しかしながら、後述するように溶融ガラス中の水分とリボイル泡の発生頻度には相関が見られなかった。
溶融ガラスに含まれるSOの大部分は、通常は、原料バッチにS(硫黄)元素を含む清澄剤として添加するボウ硝(NaSO)によるものであるが、他の原料に不純物として含まれる硫黄成分、溶解槽の加熱に用いる重油燃焼雰囲気に含まれる硫黄成分もまたその供給源である。そのため、原料バッチにボウ硝を添加しないことにより溶融ガラス中のSO濃度を低下させてリボイルの発生を防ぐという考え方もある。ただし、減圧脱泡工程において清澄剤として働くSOの濃度が不十分であると十分な脱泡効果が得られない場合がある。また、酸化剤としても作用するボウ硝を添加しないと溶融ガラスが還元性になり、溶融ガラス中のSO溶解度が下がってしまう。その結果、ボウ硝以外から供される溶融ガラス中のSOが分解しやすくなり、SOガスのリボイルが起こりやすくなってしまうおそれがある。
そこで、本発明者らは、減圧脱泡槽に供される溶融ガラスGが清澄作用を得るために十分な濃度のSOを含んでいる場合でも、SOの分解により生じるSOガスの分圧が溶融ガラスG中に溶存できる圧力よりも低ければ、SOガスによるリボイルが起こらないことを見出し、リボイルの発生を効果的に防ぐ本発明に至った。
溶融ガラスG中のS(硫黄)の溶存状態は、溶融ガラスGの酸化性または還元性、すなわち溶存する酸素分子の活量に相当するpOに応じて変化することが知られている。pOが高い酸化性素地中では、S成分は、SO 2−(硫酸イオン)として存在し、pOが低い還元性素地中ではS2−(硫化物イオン)として存在する。図2は、様々なケイ酸塩ガラスの1300℃における溶融ガラス中のpOの値と、それらの溶融ガラス中に溶存するFe及びSの化学種をまとめたものである。図2より、S2−イオンは、pO<10−4.5kPaと強還元性のアンバーガラスにおいて存在し、pO>10−4kPaの弱還元性あるいは酸化性の溶融ガラス中ではSO 2−イオンとして存在することがわかる。後述の実施例に示す如く、本発明の減圧脱泡方法で用いる溶融ガラスGの1300℃でのpOは、図2の斜線で示す領域10−4〜10−0.5kPaであり、溶融ガラスG中でのS存在状態はSO 2−イオンである。溶融ガラスGに対するSO 2−の溶解度は、低温ほど大きく、pOが高く酸化性であるほど大きい。
溶融ガラスG中でのSO 2−イオンの分解反応は次式で表わされる。
Figure 0005975022
式(3)、式(4)から、溶融ガラスG中に溶解できるSO 2−濃度は、溶融ガラスG中のpSO、pO、酸素イオン活量aO2−、及びK(平衡定数)により決まる。pOが高い酸化性のガラス素地ほどSO 2−溶解度は大きなものとなる。aO2−は、ガラス母組成により決定するガラスの塩基性(Basicity)に対応している 。例えば、塩基性の強いKやNaイオンを多く含むガラス組成ほど、ガラス構造中のaO2−は大きくなり、SO 2−溶解度は大きくなる。なお、本発明では溶融ガラスG中のSO 2−イオンを、酸化物であるSOとして記載する。その結果、式(3)、式(4)は次式のように表記することができる。
Figure 0005975022
式(6)中、K’はaO2−の影響を内包した擬平衡定数、pSOは溶融ガラスG中のSOの分圧(Pa)、pOは溶融ガラスG中のOの分圧(Pa)、[SO]は溶融ガラスG中のSOの濃度(wt%)である。後述の実施例において示すように、減圧脱泡槽の一般的な温度である1200〜1300℃における溶融ガラスG中のpOは10−0.5kPa未満であり、減圧脱泡槽3内の絶対圧よりも十分に小さい。一方、この温度域におけるpSOは10kPaよりも大きく、絶対圧よりも大きくなる場合がある。そこで、pSOに着目すると、式(6)は次式のように変形できる。
Figure 0005975022
減圧脱泡槽3の溶融ガラスG中のSO濃度、pO、及びK’がわかれば、pSOを求めることができる。減圧脱泡槽3内を通過する前後での溶融ガラスG中のSO濃度変化は無視できるほど小さいことから、[SO]は減圧脱泡後の溶融ガラスGを冷却した板状サンプルの蛍光X線分析により知ることができる。溶融ガラスG中のpOの測定は、ジルコニア電解質を用いた市販の溶融ガラス用酸素センサを用いて行うことができる。減圧脱泡槽3中の溶融ガラスGのpOを直接測ることが望ましいが、減圧脱泡後の溶融ガラスGを冷却した板状サンプルを実験炉によって大気圧下で再溶解した溶融ガラスのpO測定で代用できる。この大気圧下での再溶融の際に、SO→SO+1/2Oの連続発泡が起こる温度まで昇温してはならない。擬平衡定数K’は、pSOとpOが既知の雰囲気と平衡するSO濃度の測定により求めることができる。擬平衡定数K’の求め方については、後述する。
溶融ガラスG中のpSOが減圧脱泡槽3中の絶対圧よりも大きい場合、SOガスによるリボイルが発生すると考えられる。リボイル発生条件をわかりやすくするために、SO過飽和度SSを定義する。SO過飽和度SSとは、溶融ガラスG中のSOが分解して生じるSOガスの分圧pSOと減圧脱泡槽3中の絶対圧Pabsの比として、次式のように定義される。
Figure 0005975022
SO過飽和度SSが1よりも大きい場合に、理論上はSOによるリボイルが起こりえる。また、本発明においては、減圧脱泡槽3と溶融ガラスGとの界面であるガラス流路3Rの底部の圧力Pを式(8)中の絶対圧Pabs(P=Pabs)として表すことができる。さらに、後述の実施例に示す如く、溶融ガラスG中のSO過飽和度SS、SOの分圧pSO(Pa)、減圧脱泡槽3のガラス流路の底部の圧力Pabs(Pa)が、次式を満たす条件で減圧脱泡を行うことにより、リボイルの発生を防ぐことができる。
Figure 0005975022
図8は、後述の実施例において、種々のケイ酸塩ガラスを減圧脱泡した場合の溶融ガラスG中のSOのSO過飽和度SS(表2の右から2番目の列)とリボイル頻度(表2の右の列)との関係を示したグラフである。図8に示すように、過飽和度SSを2.0未満(X=2.0、すなわち式(1)に対応)とすることにより、少なくともリボイル頻度が10個/cm/h以下に抑えられる。また、過飽和度SSを1.5未満(X=1.5)とすることにより、少なくともリボイル頻度が2個/cm/h以下に抑えられる。さらに、SSを1.0未満(X=1.0)とすることにより、原理的にも実現象としてもリボイル泡が発生しない。
また、式(9)(および式(1))で表されるような条件で減圧脱泡を行うためには、減圧脱泡装置100の減圧脱泡槽3のガラス流路3Rを流れる溶融ガラスGの深さDe(m)が、下記式(2)を満たすように設定すればよい。
Figure 0005975022
式(2)中、pSOは溶融ガラス中のSOの分圧(Pa)、Pは減圧脱泡槽の雰囲気圧力(Pa)、ρは溶融ガラスの比重(kg/m)、gは重力加速度(m/s)である。
式(2)を満たすように減圧脱泡装置100の減圧脱泡槽3内の溶融ガラスGの深さDeを設定することにより、リボイルの発生を抑制できる。また、溶融ガラスGの減圧脱泡と、リボイルの抑制を効果的に行うためには、式(2)を満たすガラス流路3Rの底部(すなわち、ガラス流路3Rが底壁3aと接する側のガラス流路の下部領域)の圧力Pabsに設定することに加えて、本出願人が先に国際公開WO2007/111079号パンフレットにて開示しているように、ガラスの種類によって選択される泡成長開始圧よりも低い圧力の雰囲気下で減圧脱泡を行うことが好ましい。
以下、前述した溶融ガラス中の水分とリボイル泡の発生頻度には相関が見られなかった点について説明する。本発明の減圧脱泡方法に用いられる溶融ガラスGは、水分を含有していてもよい。ここでいう溶融ガラスGが含有する水分は、Si−OHで表わされる水酸基のことである。溶融ガラスG中の水分は、原料中の水酸基、原料に吸着した水分、およびガラスを溶解する雰囲気中に含まれる水蒸気などに由来する。溶融ガラスG中の水分は、減圧脱泡工程においてHOガスを発生させることで泡を大きくし、泡の浮上速度を増大して脱泡しやすくさせるガラスの清澄成分として働く。
本発明者らは、溶融ガラスG中のHO過飽和度とリボイル泡の発生頻度との関係について検討を行った。HO過飽和度SHは、ガラス中の水分から生じるHOガスの分圧pHOと減圧脱泡槽3中の絶対圧Pabsの比として、次式のように定義される。
Figure 0005975022
図9は、後述の実施例2で詳述する溶融ガラスG中のHO過飽和度に対してリボイル頻度をプロットしたグラフである。図9より明らかなように、溶融ガラスG中のHO過飽和度SHとリボイル泡の発生頻度には相関がみられなかった。
本発明の減圧脱泡方法においてリボイルを抑止しつつ減圧脱泡を行うためには、式(1)または式(2)を満たす条件で、減圧脱泡槽3内のガラス流路3Rに溶融ガラスGを流動させればよい。減圧脱泡を実施する際、減圧ハウジング2内の空気は、外部から真空ポンプ等の真空減圧手段(図示略)によって排気される。これにより、減圧ハウジング2内に収容された減圧脱泡槽3内の空気が排気され、減圧脱泡槽3の内部が減圧される。
減圧脱泡槽3内のガラス流路3Rを流動する溶融ガラスGの平均温度は、1050〜1350℃であることが好ましい。上記で規定したガラス組成の場合、温度が1050〜1350℃における溶融ガラスGの粘度は20〜650Pa・sとなる。溶融ガラスGの粘度が上記の範囲であれば、減圧脱泡槽3内における溶融ガラスGの流動が顕著に遅くなることがなく、また、減圧脱泡槽3の継ぎ目部分から溶融ガラスGが漏出するおそれがない。
本発明の減圧脱泡装置100の各構成要素の寸法は、必要に応じて適宜選択することができる。減圧脱泡槽3の寸法は、減圧脱泡槽3が白金製もしくは白金合金製、または緻密質耐火物製であるかによらず、使用する減圧脱泡装置に応じて適宜選択することができる。図1に示す減圧脱泡槽3の場合、その寸法は具体的には以下の通りである。
水平方向における長さ:1〜20m
内径:0.2〜3m
減圧脱泡槽3が白金製もしくは白金合金製である場合、肉厚は0.5〜4mmであることが好ましい。
減圧ハウジング2は、金属製、たとえばステンレス製であり、減圧脱泡槽3を収容可能な形状および寸法を有している。
上昇管5および下降管6は、白金製もしくは白金合金製、または緻密質耐火物製であるかによらず、使用する減圧脱泡装置に応じて適宜選択することができる。たとえば、上昇管5および下降管6の寸法は以下の通りである。
内径:0.05〜0.8m
長さ:0.2〜6m
上昇管および下降管が白金製もしくは白金合金製である場合、肉厚は0.4〜5mmであることが好ましい。
本発明の減圧脱泡装置は、図1に示す減圧脱泡装置100に限定されず、適宜変更可能である。以下、本発明の減圧脱泡装置の他の実施形態について説明する。以下の実施形態において、前述した減圧脱泡装置100と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
図3は、本発明の減圧脱泡装置の第2実施形態を模式的に示す断面図である。図3に示す減圧脱泡装置100Bは、減圧脱泡槽3Bにおけるガラス流路3Rがその下流側において深く設定されている点で、前記した減圧脱泡装置100とは異なっている。
本実施形態の減圧脱泡装置100Bの減圧脱泡槽3Bは、ガラス流路3Rの下流側を流れる溶融ガラスGの深さDeが、前記式(2)を満たすようにするために、ガラス流路3Rの上流側に位置する減圧脱泡槽3Bの底壁3aよりも、ガラス流路3Rの下流側に位置する減圧脱泡槽3Bの底壁3a(減圧脱泡槽の底部)を一段低めるように形成されている。なお、図3に示す例では、底壁3aと底壁3aの境界となる段差部3Dは、上昇管5と下降管6の中間位置より若干下降管6に近い位置に形成されているが、これは一例であって、段差部3Dの形成位置はガラス流路3Rの下流側のいずれかの位置であればよい。このような構成の減圧脱泡装置100Bを用いることにより、ガラス流路3Rの下流側の底部3Rの圧力Pabsが、前記式(1)を満たす条件で減圧脱泡を行うことができ、リボイルの発生を抑制できる。
図3に示す減圧脱泡装置100Bでは、ガラス流路3Rの上流側の深さhは、下流側の深さDeよりも浅く設定されている。上流側のガラス流路3Rの底部3Jの圧力は、溶融ガラスGの深さが浅い分だけ、下流側のガラス流路3Rの底部3Rの圧力Pabsよりも低くなる(すなわち、減圧度は高くなる)。そのため、上流側のガラス流路3Rを流れる溶融ガラスGにおいては、リボイルが発生する可能性がある。しかし、本実施形態の減圧脱泡装置100Bでは、仮に、深さhの溶融ガラスGにおいてリボイルが起こったとしても、下流側へと溶融ガラスGが流動するまでの間に、リボイル泡が溶融ガラスG表層に到達し、気泡が破泡することによってガスが抜け、脱泡することができる。すなわち、減圧脱泡槽3Bの上流側においては、リボイル発生を抑えるよりはむしろリボイル泡を含めすべての泡径を積極的に大きくする領域であると言える。
他方、ガラス流路3Rの下流側でリボイル泡が発生すると、リボイル泡が脱泡されることなく下降管6より流出する可能性が高くなり、製造される溶融ガラスおよびガラス製品に気泡が残存してしまう可能性がある。しかし、本実施形態の減圧脱泡装置100Bでは、減圧脱泡槽3Bのガラス流路3Rの下流側において、式(2)を満たすように溶融ガラスの深さが設定されていることにより、ガラス流路3Rの下流側におけるリボイルの発生を抑制できる。そのため、本実施形態の減圧脱泡装置100Bによれば、製造される溶融ガラスおよびガラス製品に気泡が残存することを効果的に抑制できる。
減圧脱泡槽3Bにおいて、溶融ガラスGの深さDeが式(2)を満たす領域は、ガラス流路3Rの下流端とされる下降管6に最も近い周壁3bの内面端から上昇管5に向かう方向に沿う距離lに設定される。この距離lは、減圧脱泡槽3Bのガラス流路3Rの水平方向の全長L(すなわち、減圧脱泡槽3Bの全長)としたとき、L/2となることが好ましい。このような距離lに設定することにより、深さhである上流側の溶融ガラスGでリボイル泡が発生しても下流側に到達する前に、上流側で発生したリボイル泡を脱泡することができる。また、下流側において式(2)を満たしているので、下流側においてリボイル泡が発生することを効果的に抑制できる。リボイル発生領域が減圧脱泡槽3Bの下流側の底部に集中している場合には、なるべく上流側で溶融ガラスG中の気泡を除去する方がよいので、距離lはL/2よりも小さくてもよく、リボイル発生領域に応じて適宜決定すればよい。
本実施形態の減圧脱泡装置100Bの各構成要素の寸法は、適宜選択することができ、たとえば、前記した減圧脱泡装置100と同様に設定できる。
溶融ガラスGの上流側の深さhと、下流側の深さDeとの差は、適宜調整可能である。たとえば、深さDeを、深さhよりも1m程度深く設定することができる。
図4は、本発明の減圧脱泡装置の第3実施形態を模式的に示す断面図である。
図4に示す減圧脱泡装置100Cは、減圧脱泡槽3Cのガラス流路3Rの下流側に傾斜部3Kが形成されており、この傾斜部3Kにおいては、ガラス流路3Rの上流側から下流側へと溶融ガラスGの深さが徐に深くなるように設定されている点で、前記した減圧脱泡装置100とは異なっている。
本実施形態の減圧脱泡装置100Cの減圧脱泡槽3Cは、前記第2実施形態の減圧脱泡装置100Bと同様に、ガラス流路3Rの下流側を流れる溶融ガラスGの深さDeが、式(2)を満たすようにするために、ガラス流路3Rの上流側に位置する減圧脱泡槽3Cの底壁3aよりも、ガラス流路3Rの下流側に位置する減圧脱泡槽3Cの底壁3aを一段低めるように形成されている。なお、図4に示す例では、底壁3aと底壁3aの境界となる傾斜部3Kは、上昇管5と下降管6の中間位置より若干下降管6に近い位置に形成されているが、これは一例であって、傾斜部3Kの形成位置はガラス流路3Rの下流側のいずれかの位置であればよい。このような構成の減圧脱泡装置100Cを用いることにより、ガラス流路3Rの下流側の底部3Rの圧力Pabsが、前記式(1)を満たす条件で減圧脱泡を行うことができ、リボイルの発生を抑制できる。
図4に示す減圧脱泡装置100Cでは、ガラス流路3Rの下流端から距離lの範囲において、溶融ガラスGの深さDeが、前記式(2)を満たすように設定されている。これにより、深さhの上流側の溶融ガラスGにおいてリボイルが起こったとしても、下流側へと流動するまでの間に、リボイル泡が溶融ガラスG表層に到達し、破泡することによりガスが抜け、脱泡することができる。また、ガラス流路3Rの下流側において前記式(2)を満たしているため、ガラス流路3Rの下流側におけるリボイルの発生を抑制できる。そのため、本実施形態の減圧脱泡装置100Cによれば、製造される溶融ガラスおよびガラス製品に気泡が残存することを効果的に抑制できる。
傾斜部3Kは、上流側の深さhのガラス流路3Rの底部3Jと、下流側の深さDeのガラス流路3Rの底部3Rとの間に連続的に形成されている。傾斜部3Kが形成された領域を流れる溶融ガラスGの深さは、上流側から下流側に向かって、深さhから深さDeまで徐々に深くなっている。そのため、傾斜部3Kを流れる溶融ガラスGの流速は、ガラス流路3Rの深さの増加に伴い、徐々に減少する。このように、ガラス流路3Rの下流側において、溶融ガラスGの流れを減速させることにより、溶融ガラスG中の気泡の上昇速度を、溶融ガラスGの流速に対して相対的に向上させることができ、減圧脱泡の効果をより高めることができる。
減圧脱泡槽3Cにおいて、溶融ガラスGの深さDeが式(2)を満たす領域は、ガラス流路3Rの下流端とされる下降管6に最も近い周壁3bの内面端から上昇管5に向かう方向に沿う距離lに設定される。距離lは、前記した減圧脱泡装置100Bの距離lと同様の範囲に設定することが好ましい。このような距離lに設定することにより、深さhである上流側の溶融ガラスGでリボイル泡が発生しても下流側に到達する前に、上流側で発生したリボイル泡を脱泡することができる。また、ガラス流路3Rの下流側で式(2)を満たしているので、下流側においてリボイル泡が発生することを効果的に抑制できる。
本実施形態の減圧脱泡装置100Cの各構成要素の寸法は、適宜選択することができ、たとえば、前記した減圧脱泡装置100と同様に設定できる。
溶融ガラスGの上流側の深さhと、下流側の深さDeとの差は、適宜調整可能である。たとえば、深さDeを、深さhよりも1m程度深く設定することができる。
また、傾斜部3Kの水平方向に対する傾斜角度および水平方向長さは、減圧脱泡装置の寸法に合わせて、適宜調整可能である。なお、図4に示す減圧脱泡装置100Cでは、1つの平滑面を有する傾斜部3Kを例示した。本発明の減圧脱泡装置は、下降管6の上端付近の溶融ガラスの滞留を抑制できる限り、これに限定されない。たとえば、傾斜部3Kが、階段状に形成されていてもよいし、上に凸の湾曲形状でもよく、下に凸の湾曲形状であってもよい。
図5は、本発明の減圧脱泡装置の第4実施形態を模式的に示す断面図である。
図5に示す減圧脱泡装置100Dは、減圧脱泡槽3Dがガラス流路3Rの下流側において深く設定されている点では前記した減圧脱泡装置100Bと同様であるが、減圧脱泡槽3Dの下流側に接続された下降管6Dに連続する部分の形状が漏斗状に形成され、その内側のガラス流路6Rの形状が前記した減圧脱泡装置100Bとは異なっている。
本実施形態の減圧脱泡装置100Dは、減圧脱泡槽3Dの底壁3aに接続する下降管6Dの境界部に漏斗状の接続壁6aが形成されており、この接続壁6a上の溶融ガラスGの深さDeが、式(2)を満たすように設定されている。このような構成の減圧脱泡装置100Dを用いることにより、ガラス流路3Rの下流側、すなわち、接続壁6aの上方に位置する溶融ガラスGの最下部(底部)3Rの圧力Pabsが式(1)を満たす条件で減圧脱泡を行うことができ、リボイルの発生を抑制できる。
図5に示す減圧脱泡装置100Dでは、ガラス流路3Rの下流端から距離lの範囲において、溶融ガラスGの深さDeが式(2)を満たすように設定されている。これにより、深さhの上流側の溶融ガラスGにおいてリボイルが起こったとしても、下流側へと流動するまでの間に、リボイル泡が溶融ガラスG表層に到達し、破泡することによりガスが抜け、脱泡することができる。また、ガラス流路3Rの下流側で式(2)を満たしているので、ガラス流路3Rの下流側におけるリボイルの発生自体を抑制できる。そのため、本実施形態の減圧脱泡装置100Dによれば、製造される溶融ガラスおよびガラス製品に気泡が残存することを効果的に抑制できる。
また、本実施形態の減圧脱泡装置100Dでは、接続壁6aにより形成されるガラス流路6Rが下窄まり状に形成されている。これにより、減圧脱泡槽3Dの下流側および接続壁6a付近を流れる溶融ガラスGの流速を減速させることができ、溶融ガラスG中の気泡の上昇速度を、溶融ガラスGの流速に対して相対的により早くすることができ、減圧脱泡の効果をより高めることができる。
減圧脱泡槽3Dにおいて、溶融ガラスGの深さDeが式(2)を満たす領域は、ガラス流路3Rの下流端とされる下降管6Dに最も近い周壁3bの内面端から上昇管5に向かう方向に沿う距離lに設定される。距離lは、前記した減圧脱泡装置100Bの距離lと同様の範囲に設定することが好ましい。このような距離lに設定することにより、深さhである上流側の溶融ガラスGでリボイル泡が発生しても下流側に到達する前に、上流側で発生したリボイル泡を脱泡することができる。また、ガラス流路3Rの下流側において式(2)を満たしているので、下流側においてリボイル泡が発生することを効果的に抑制できる。すなわち、下流側のDeよりも深い領域の圧力は、底部3Rの圧力Pabsよりも高くなるため(すなわち、減圧度は低くなるため)、これよりも下流においてリボイルは発生しない。
本実施形態の減圧脱泡装置100Dの各構成要素の寸法は、適宜選択することができ、たとえば、前記した減圧脱泡装置100と同様に設定できる。
溶融ガラスGの上流側の深さhと、下流側の深さDeとの差は、適宜調整可能である。たとえば、深さDeを、深さhよりも1m程度深く設定することができる。
また、下降管6D上方にて下窄まり状のガラス流路6Rを形成する接続壁6aは、上流側の傾斜部6Kおよび下流側の傾斜部6Kにより形成されている。傾斜部6Kおよび6Kの水平方向に対する傾斜角度および水平方向長さなどの寸法は、適宜調整可能である。なお、図5に示す減圧脱泡装置100Dにおいては、上流側の傾斜部6Kの水平長さが下流側の傾斜部6Kの水平長さよりも長くなる例を示している。この例は、傾斜部6Kの水平方向に対する傾斜角度が、傾斜部6Kの水平方向に対する傾斜角度よりも小さい例であるが、本発明の減圧脱泡装置はこれに限定されない。傾斜部6Kおよび傾斜部6Kの傾斜角度および寸法は、同一でも異なっていてもよく、適宜変更可能である。
本発明に係る溶融ガラスの製造装置は、前述した減圧脱泡装置100(または100B〜100Dのいずれか)と、この減圧脱泡装置100よりも上流側に設けられたガラス原料を溶融して溶融ガラスを製造する溶融手段と、を備える装置である。なお、溶融手段については、公知技術の範囲である。たとえば、溶融手段は、所望の組成になるように調整したガラス原料を溶融槽に投入し、ガラスの種類に応じた所定の温度、たとえば、建築用や車両用等のケイ酸塩ガラスの場合、約1400〜1600℃に加熱してガラス原料を溶融して溶融ガラスを得る。
本発明に係るガラス製品の製造装置は、前述した溶融ガラスの製造装置と、該溶融ガラスの製造装置よりも下流側に設けられた溶融ガラスを成形する成形手段(成形装置)200と、成形後のガラスを徐冷する徐冷手段と、を備える装置である。なお、成形手段、徐冷手段については、公知技術の範囲である。たとえば、成形手段としては、フロート法、フュージョン法またはダウンドロー法などによる成形装置が挙げられる。
前記の中でもフロート法のためのフロートバスを用いた成形手段が薄板ガラスから厚板ガラスまでの広範囲の厚さの高品質な板ガラスを大量に製造できる理由から好ましい。たとえば、徐冷手段としては、成形後のガラスの温度を徐々に下げるための機構を備えた徐冷炉が一般的に用いられる。徐々に温度を下げる機構は、燃焼ガスまたは電気ヒータにより、その出力が制御された熱量を、炉内の必要位置に供給して成形後のガラスを徐冷する。これによって、成形後のガラスに内在する残留応力を無くすることができる。
次に、本発明の溶融ガラスの製造方法について説明する。図6は、本発明の溶融ガラスの製造方法の一実施形態のフロー図である。
本発明の溶融ガラスの製造方法は、前述の本発明の溶融ガラスの減圧脱泡方法を用いることを特徴とする。一例として、前述の減圧脱泡装置100の前段の溶融手段により溶融ガラスを溶融して溶融ガラスを製造する溶融工程S1と、前述の溶融ガラスの減圧脱泡方法により溶融ガラスを脱泡処理する脱泡工程S2と、溶融ガラスG3を得る溶融ガラスの製造方法である。
本発明の溶融ガラスの製造方法は、前述した溶融ガラスの減圧脱泡方法を利用することの他は、公知技術の範囲である。また、本発明のガラス製品の製造方法で利用する装置については、前述の通りである。
次に、本発明のガラス製品の製造方法について説明する。図7は、本発明のガラス製品の製造方法の一実施形態のフロー図である。
本発明のガラス製品の製造方法は、前述の溶融ガラスの製造方法を用いることを特徴とする。本発明のガラス製品の製造方法は、前述の溶融ガラスの製造方法による溶融ガラスの製造工程K1と、前述の溶融ガラスの製造工程K1よりも下流側で溶融ガラスを成形する成形工程K2と、その後工程において溶融ガラスを徐冷する徐冷工程K3とによりガラス製品G5を得る。図7に示すように、さらに必要に応じて、徐冷後のガラスを切断する切断工程および/またはその他の後工程K4を有してもよい。
本発明のガラス製品の製造方法は、前述した溶融ガラスの製造方法を利用することの他は、公知技術の範囲である。また、本発明のガラス製品の製造方法で利用する装置については、前述の通りである。図7では、本発明のガラス製品の製造方法の構成要素である溶融工程、および成形工程ならびに徐冷工程に加えて、さらに必要に応じて用いる切断工程、その他の後工程も示している。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
減圧脱泡を実施する雰囲気を再現するために、表1および表2に記載のガラスを白金製のるつぼで溶解し、白金製の通路を介して、溶融ガラスをアルミナ系電鋳耐火物のるつぼ(AGCセラミックス株式会社製、製品名称「MB−G」:Alが95〜96質量%、Naが3質量%、SiO、CaO微量含有)に移し替え、この溶融ガラスの入ったアルミナ系電鋳耐火物のるつぼを溶解減圧真空容器に配置した。表1のガラスの各成分の欄は重量%表示であり、欄内のカッコ内の数値はmol%表示である。ここでは、アルミナ系電鋳耐火物のるつぼを含む雰囲気を加熱してガラスをさらに溶解させて、溶融ガラスの温度を表2に示す温度とした。その後、真空減圧容器内の底部の溶融ガラスの絶対圧力を表2に示す圧力Pabs(kPa)として、減圧脱泡処理を行なった。この状態で溶融ガラス中から浮上してくる気泡を、アルミナ系電鋳耐火物のるつぼの上部に設けた覗き窓からCCDカメラを用いて撮影し、直径0.5mm以上の気泡の数を測定して、溶融ガラスのリボイル頻度(個/cm/h)を求めた。なお、試験にあたっては、アルミナ系電鋳耐火物のるつぼでの溶融において減圧度を維持した。また、泡の観察は、溶融開始から3日経過してから行った。これは、試験初期においては、炉材から試験条件によらない泡が発生することがわかっているためである。
結果を表2に示す。なお、表2のガラスタイプの欄に示された、A1〜A8は、いずれも表1のガラスAであり、B1〜B6は、いずれも表1のガラスBであり、C1〜C6は、いずれも表1のガラスCであり、また、D1〜D6は、いずれも表1のガラスDである。また、図8に、各溶融ガラスのSO過飽和度SSとリボイル頻度の関係を示す。
なお、表2中の各特性値は以下の手法で測定した。
SO濃度[SO]の測定は、溶融ガラスを冷却した板状サンプルを粉砕し、蛍光X線分析装置を用いて行った。溶融ガラス中のpOの評価は、溶融ガラスを冷却した板状サンプルを実験炉で再溶解して測定した。測定に用いた実験炉は、pO測定装置Rapidox(Heraeus Electro−Nite社製)であった。測定手順は以下の通りである。板状サンプル700gを専用の焼結石英製の坩堝に収め、1400℃で再溶融する。1300℃まで降温し、ジルコニア固体電解質を用いた酸素センサプローブ(参照物質Ni/NiO)を素地に挿入し、1250℃、1200℃と温度を下げながら順次計測していった。なお、測定電極周囲にわずかに起こる電解現象の影響をキャンセルするために、るつぼを4rpmで回転させた。
溶融ガラス中のpSOは、前記した式(7)より算出した。ここで、擬平衡定数K’は、以下の方法により求めた式(11)を用いて算出される値を用いた。擬平衡定数K’は、各温度においての既知のpSO、pOと平衡させたSO濃度を測定することにより、温度の関数として厳密に評価することができる。擬平衡定数K’の評価にあたっては、前記した本発明の減圧脱泡方法に用いられる溶融ガラスを模擬した、SiO:71.5質量%、Al:1.5質量%、NaO:13.5質量%、KO:0.5質量%、MgO:4.5質量%、CaO:8.5質量%で示されるモデル組成のガラスを用いた。このガラスを石英ガラス製試験管に収め、所定温度Tに保持された電気炉に収めて再溶融し、溶融ガラス中に差し込んだ石英ガラス製チューブを通して、所定のSO分圧(=pSO bub)及びO分圧(=pO bub)となるよう調整したSO、O、Ar混合ガスをバブリングする。一定時間のバブリングを終えたら直ちに石英ガラス製チューブを抜き去り、石英ガラス製試験管を電気炉より取り出し流水を用いて急冷し、ガラス片を得る。この際に、硫酸塩が遊離物(ゴール、gall)として浮遊していないことを確認しなければならない。もし溶融ガラス上に硫酸塩の遊離物の存在がみられる場合には、バブリングする混合ガスのAr分圧を高めて、pSO bub及びpO bubを低下させなければならない。こうして得られたガラス片を粉砕し、蛍光X線分析装置を用いてガラス片中のSO濃度を測定する。各所定温度にて、バブリング時間の異なるガラス片を調製し、バブリング時間に対してガラス片中のSO濃度が一定もしくは最大となるSO濃度を読み取る。このSO濃度を、その温度Tにおいて、pSO bubとpO bubと平衡した溶融ガラス中SO濃度[SO]eq bubとみなし、次式より擬平衡定数K’を決定した。
Figure 0005975022
本発明者らは、温度Tが1250〜1500℃の範囲で上記実験を実施し、任意の温度T(K)における擬平衡定数K’を次式のように決定した。
Figure 0005975022
Figure 0005975022
Figure 0005975022
表2および図8の結果より、SO過飽和度SSであるpSO/Pabsが2.0以上の場合、リボイル頻度が10個/cm/hを越えており、リボイル頻度が高く、本発明の効果を奏しない場合があることがわかる。なお、SSがほぼ1においてリボイル頻度が0個/cm/hとなる結果となっていることは、本実験結果の有効性を裏付けるものである。
(実施例2)
減圧脱泡を実施する雰囲気を再現するために、表1および表2に記載した水分濃度の異なるガラスを前述の装置に入れ、減圧脱泡処理の実験を行った。るつぼを加熱してガラスを溶融させて、アルミナ系電鋳耐火物のるつぼ内の溶融ガラスの温度を表3に示す温度とした。るつぼ底部の溶融ガラスの絶対圧力Pabsを表3に示す値にして、真空減圧装置に設けた覗き窓からCCDカメラを用いて溶融ガラス中の気泡を撮影し、直径0.5mm以上の気泡の数を測定して、リボイル頻度(個/cm/h)を求めた。その結果を、表3および図9に示す。なお、表3のガラスタイプの欄に示された、A1〜A8は、いずれも表1のガラスAである。
なお、表3中の各特性値は以下の手法で測定した。溶融ガラスに含まれる水分濃度の指標であるβ−OH(1/mm)の測定には、溶融ガラスを急冷固化したガラス片を、両面に鏡面研磨を施した厚さt(mm)の平行平板に加工したものを利用した。β−OHは、この平行平板の赤外吸収スペクトルを測定し、4000cm−1における透過率T4000と、3500cm−1近傍の透過率の極小値T3500とを読み取り、次式に代入することで得られる。
Figure 0005975022
溶融ガラス中のHO分圧であるpHO(Pa)は、次式により求めることができる。
Figure 0005975022
は、文献(High Temperature Glass Melt Property Database for Process Modeling, Edited by T. P. Seward III and T. Vascott, Wiley-American Ceramic Society)に記載されている一般的なソーダライムガラスの水分溶解度データをもとに決定した値で、1300℃において2.70×10、1200℃において2.66×10を用いた。
図9は、溶融ガラス中のHO過飽和度SHとリボイル頻度とをプロットしたグラフである。前述したように、この結果から、溶融ガラス中のHO過飽和度SHとリボイル泡の発生頻度との間には、SO過飽和度SSとリボイル頻度との間のような相関がないことが確認された。
Figure 0005975022
(実施例3)
実施例1において、減圧脱泡処理を実施する際に、溶融ガラスを入れたアルミナ系電鋳耐火物のるつぼを白金製のるつぼに変えて、表1のガラス組成Bについて同様の試験を行った。その結果を表4に示す。この結果から、溶融ガラスを入れたるつぼが白金製の場合には、アルミナ系電鋳耐火物の場合よりもリボイル泡が出にくいことがわかった。また、溶融ガラスを入れるるつぼが白金製の場合には、SO過飽和度SSを4.3程度にしておけば、泡品質のよい溶融ガラスを製造できることがわかる。
なお、表4のガラスタイプの欄に示された、B7、B8は、いずれも表1のガラスBである。
Figure 0005975022
本発明の溶融ガラスの減圧脱泡方法、溶融ガラスの減圧脱泡装置、溶融ガラスの製造方法、溶融ガラスの製造装置、ガラス製品の製造方法、およびガラス製品の製造装置は、建築用、車両用、光学用、医療用、その他幅広いガラス製品の製造に利用できる。
なお、2011年4月12日に出願された日本特許出願2011−088174号の明細書、特許請求の範囲、図面および要約書の全内容をここに引用し、本発明の開示として取り入れるものである。
1…溶融槽、2…減圧ハウジング、3、3B、3C、3D…減圧脱泡槽、3R、3R、3R、3R…ガラス流路、4…断熱材、5…上昇管(供給機構)、6、6D…下降管(送出機構)、6a…接続壁、11…導管、12…上流ピット、13…下流ピット、100、100B、100C、100D…減圧脱泡装置、200…成形装置、G…溶融ガラス。

Claims (12)

  1. ケイ酸塩ガラスとなるガラス原料を溶融し、内部が減圧状態に保持された減圧脱泡槽内の流路に溶融ガラスを流すことにより、溶融ガラスを減圧脱泡する方法であって、
    前記減圧脱泡槽の少なくともガラス流路の下流側の底部において、下記式(1)を満たす条件で溶融ガラスの減圧脱泡を実施する溶融ガラスの減圧脱泡方法。
    SS=pSO/Pabs<2.0 (1)
    なお、上記式(1)中、SSは溶融ガラス中のSOの過飽和度、pSOは溶融ガラス中のSOの分圧(Pa)、Pabsは減圧脱泡槽のガラス流路底部の圧力(Pa)である。
  2. 前記ケイ酸塩ガラスが、SiO≧50mol%、(アルカリ成分酸化物+アルカリ土類成分酸化物)≧10mol%の組成である請求項1に記載の溶融ガラスの減圧脱泡方法。
  3. 前記減圧脱泡槽のガラス流路の水平方向の全長Lに対して、前記ガラス流路の下流端からL/2の範囲において、前記式(1)を満たす条件で減圧脱泡を実施する請求項1または2に記載の溶融ガラスの減圧脱泡方法。
  4. 前記ケイ酸塩ガラスとなるガラス原料は、S(硫黄)元素を含む清澄剤を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶融ガラスの減圧脱泡方法。
  5. 真空吸引されて内部が減圧される減圧ハウジングと、この減圧ハウジング内に設けられ、ケイ酸塩ガラスとなるガラス原料を溶融した溶融ガラスの減圧脱泡を行うための減圧脱泡槽と、該減圧脱泡槽に溶融ガラスを供給するための供給機構と、脱泡後の溶融ガラスを次工程に送るための送出機構とを具備してなる減圧脱泡装置であって、
    前記減圧脱泡槽内のガラス流路の下流側を流れる溶融ガラスの深さDe(m)が、下記式(2)を満たす溶融ガラスの減圧脱泡装置。
    pSO/(PG+ρgDe)<2.0 (2)
    なお、上記式(2)中、pSOは溶融ガラス中のSOの分圧(Pa)、PGは減圧脱泡槽の雰囲気圧力(Pa)、ρは溶融ガラスの比重(kg/m)、gは重力加速度(m/s)である。
  6. 前記減圧脱泡槽のガラス流路の水平方向の全長Lに対して、前記ガラス流路の下流端からL/2の範囲において、前記式(2)を満たすように前記深さDeが設定されている請求項5に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
  7. 前記ガラス流路の下流側に傾斜部が形成されており、この傾斜部が前記ガラス流路の上流側から下流側へと溶融ガラスの深さが徐々に深くなるように設定されてなる請求項5または請求項6に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
  8. 前記供給機構が前記減圧脱泡槽の上流側の下方に設けられた上昇管であり、前記送出機構が前記減圧脱泡槽の下流側の下方に設けられた下降管である請求項5〜のいずれか一項に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
  9. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶融ガラスの減圧脱泡方法により溶融ガラスを脱泡処理する工程と、前記脱泡処理する工程の前にガラス原料を溶融する溶融工程とを含む溶融ガラスの製造方法。
  10. 請求項に記載の溶融ガラスの製造方法による溶融ガラスの製造工程と、前記溶融ガラスの製造工程よりも下流側で溶融ガラスを成形する成形工程と、成形後のガラスを徐冷する徐冷工程と、を含むガラス製品の製造方法。
  11. 請求項5〜のいずれか一項に記載の減圧脱泡装置と、該減圧脱泡装置よりも上流側に設けられたガラス原料を溶融して溶融ガラスを製造する溶融手段と、を備えた溶融ガラスの製造装置。
  12. 請求項11に記載の溶融ガラスの製造装置と、該溶融ガラスの製造装置よりも下流側に設けられた溶融ガラスを成形する成形手段と、成形後のガラスを徐冷する徐冷手段と、を備えたガラス製品の製造装置。
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