JP5387678B2 - 溶融ガラス製造方法および減圧脱泡装置、ならびにガラス製品の製造方法 - Google Patents

溶融ガラス製造方法および減圧脱泡装置、ならびにガラス製品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶融ガラスを減圧脱泡槽において減圧脱泡する工程を具備する溶融ガラス製造方法、および減圧脱泡装置、ならびにガラス物品の製造方法に関する。
従来より、成形されたガラス製品の品質を向上させるために、溶融炉で原料を溶融した溶融ガラスを成形装置で成形する前に、溶融ガラス内に発生した気泡を除去する清澄工程が利用されている。
この清澄工程では、減圧雰囲気内に溶融ガラスを導入し、この減圧雰囲気下、連続的に流れる溶融ガラス流内の気泡を大きく成長させて溶融ガラス内に含まれる気泡を浮上させ、溶融ガラス表面で気泡を破泡させて除去し、その後減圧雰囲気から排出する減圧脱泡方法が知られている。
このような清澄工程において、溶融ガラス表面で泡層の肥大化が発生すると、減圧脱泡効果が低下し、清澄工程実施後の溶融ガラスに気泡が残存するおそれがある。ここで減圧脱泡効果とは、上述した作用により、溶融ガラス内に含まれる気泡を浮上させ、溶融ガラス表面で気泡を破泡させて除去する効果を言う。
清澄工程実施後の溶融ガラス中の気泡は除去することが難しく、製造されるガラス製品の残存して欠陥を生じさせるおそれがある。なお、溶融ガラス表面での泡層の肥大化とは、減圧脱泡実施中に、通常10mm以下程度で溶融ガラス表面に存在する泡層が、10mm〜数百mmへ肥大化する現象を言う。
泡層の肥大化がさらに進行すると、いわゆる突沸が生じる場合もある。突沸とは、通常時間とともに消滅するガラス表面に達した泡が、破泡せずに層を成すことによって長時間安定的に存在し、溶融ガラス界面の上昇を招く現象である。突沸が生じた場合も、減圧脱泡効果が低下し、清澄工程実施後の溶融ガラスに気泡が残存するおそれがあるので問題である。
本願出願人らは、溶融ガラス表面での泡層の肥大化、もしくは、突沸による減圧脱泡効果の低下を防止することができる溶融ガラス製造方法、および、溶融ガラスの減圧脱泡装置を特許文献1、2に提案している。
特許文献1に記載の溶融ガラス製造方法は、減圧脱泡槽内の雰囲気ガスへ低水分ガスを導入することにより、水蒸気濃度を60mol%以下として溶融ガラスを減圧脱泡する工程を具備する。これにより、溶融ガラス表面での泡層の肥大化や突沸、および、それらによる減圧脱泡効果の低下を防止する。
突沸の防止により、突沸した溶融ガラスが減圧脱泡槽の壁や天井へ付着物が付着するのを防止できるので、その落下によるガラス製品の欠陥形成を防止し、品質向上を図ることができる。
また、特定の成分(ホウ素等)の揮散を助長する雰囲気中水分を低減させるので、溶融ガラス中の特定の成分(ホウ素等)の揮散を抑制することができるという効果を奏する。そして、ガラス製品としてガラス素板を製造する場合に、その平坦度の悪化を抑制することができる。
特許文献1に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置は、減圧脱泡槽内の上部空間へ低水分ガスを導入する低水分ガス導入手段を有している。
一方、特許文献2に記載の溶融ガラス製造方法では、減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上方にガス流を形成して、溶融ガラスからのガス成分の滞留を解消することで、泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡効果の低下を防止する。
また、溶融ガラスからのガス成分の滞留を解消することで、泡層の肥大化以外の原因による減圧脱泡効果の低下も防止される。
特許文献2に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置は、減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上方にガス流を形成するため、減圧脱泡槽内の上部空間へガスを導入するガス導入手段、および、該上部空間からガスを導出するガス導出手段よりなるガス流形成手段を有している。
国際公開第2008−029649号パンフレット 国際公開第2008−093580号パンフレット
ガラス製品の用途によっては、泡品質、すなわち、ガラス製品中に存在する泡欠陥の数に対する要求がきわめて厳しいものも存在する。このようなガラス製品の具体例としては、フラットパネルディスプレイ(FPD)用のガラス基板、光学用ガラスなどが挙げられる。
このような泡品質に対する要求がきわめて厳しいガラス製品を製造するため、ガラス表面の泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡効果の低下をさらに防止することが求められる。
上記した従来技術の問題点を解決するため、本発明は、減圧脱泡効果に優れた溶融ガラス製造方法、より具体的には、泡層の肥大化による減圧脱泡効果の低下が防止された溶融ガラス製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、本発明の溶融ガラス製造方法に好適な減圧脱泡装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、泡品質の高い、すなわち泡欠点の極めて少ないガラス製品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特許文献1,2に記載の溶融ガラス製造方法では、減圧脱泡槽内を流通する溶融ガラスの上方にガスを供給することが、また減圧脱泡効果を有効に発揮させることが難しい場合がありうることを見出した。
すなわち、特許文献1,2に記載の溶融ガラス製造方法では、減圧脱泡槽内を流通する溶融ガラスの上方に供給されるガスは、減圧脱泡槽の雰囲気ガスや、溶融ガラス表面からの輻射熱によって暖められるが、その温度は減圧脱泡槽内を流通する溶融ガラスの表面温度よりはるかに低く、通常は室温程度である。このような低温のガスが供給されることにより、減圧脱泡槽内を流通する溶融ガラス表面の温度が局所的に低下する。溶融ガラス表面での破泡速度は該溶融ガラス表面の温度に依存するので、溶融ガラスの表面温度が低下すると該表面での破泡速度が低下し、該表面温度が低下した部位については減圧脱泡効果が低下するおそれがある。
低温のガスの供給による溶融ガラスの表面温度の低下、および、それによる減圧脱泡効果の低下は局所的なものではあるが、FPD用のガラス基板のような泡品質に対する要求が厳しいガラス製品においては問題となりうる。
本発明は、上記した本発明者らの知見に基づいてなされたものであり、溶融ガラスを減圧脱泡槽において減圧脱泡する工程を具備する溶融ガラス製造方法であって、前記減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に、ガスを500℃以上の温度に加熱して供給する溶融ガラス製造方法を提供する。
また、本発明は、減圧吸引される減圧ハウジングと、前記減圧ハウジング内に設けられ、溶融ガラスの減圧脱泡を行う減圧脱泡槽と、前記減圧脱泡槽に連通して設けられ、減圧脱泡前の溶融ガラスを前記減圧脱泡槽に導入する導入手段と、前記減圧脱泡槽に連通して設けられ、減圧脱泡後の溶融ガラスを前記減圧脱泡槽から導出する導出手段とを有する溶融ガラスの減圧脱泡装置であって、
前記減圧脱泡槽内部の上部空間へガスを導入するガス導入手段、および、前記上部空間へ導入されるガスを加熱する加熱手段を更に有することを特徴とする溶融ガラスの減圧脱泡装置を提供する。
また、本発明の溶融ガラスの減圧脱泡装置は、前記ガス導入手段が中空管からなり、前記加熱手段が前記中空管の前記減圧ハウジング内を通る管路に沿って設けられる。
また、本発明の溶融ガラスの減圧脱泡装置は、前記加熱手段が、前記中空管の管路の内部に設けられる。
また、本発明の溶融ガラスの減圧脱泡装置は、前記減圧脱泡槽の雰囲気ガスの水蒸気濃度を測定する水蒸気濃度測定手段をさらに有する。
また、本発明の溶融ガラスの減圧脱泡装置は、前記ガス導入手段が、減圧脱泡槽内部の溶融ガラス上に上部空間を形成している、減圧脱泡槽の天井部または側面に設けられている。
さらに、本発明は、前記溶融ガラスの減圧脱泡装置による減圧脱泡工程と、該減圧脱泡工程の前工程及び後工程として原料溶融工程及び成形工程と、を具備するガラス製品の製造方法を提供する。
本発明の溶融ガラス製造方法では、減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に500℃以上に加熱したガスを供給するため、ガスの供給による溶融ガラス表面温度の低下、および、それに減圧脱泡効果の低下を生じることなしに、泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡の効果の低下を防止することができる。
また、本発明の溶融ガラス製造方法では、ガスの供給による溶融ガラス表面温度の低下、および、それに減圧脱泡効果の低下が防止されているので、減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に供給するガスの供給量を増やすことができる。これにより、泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡効果の低下を防止する効果をさらに向上させることができる。
本発明の溶融ガラス製造方法およびガラス製品の製造方法は、上記の効果により、泡品質にきわめて優れた溶融ガラスおよびガラス製品を得ることができるため、FPD用のガラス基板、光学用ガラス等の製造方法として好適である。
図1は、本発明の減圧脱泡装置の一構成例を示す断面図である。 図2は、図1に示す減圧脱泡槽12を流通する溶融ガラスGの上方に形成されるガス流の流通方向を示した図である。
以下、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明の減圧脱泡装置の一構成例を示す断面図である。図1に示す減圧脱泡装置10において、円筒形状をした減圧脱泡槽12は、その長軸が水平方向に配向するように減圧ハウジング11内に収納配置されている。減圧脱泡槽12の上流側の下面には垂直方向に配向する上昇管13が、下流側の下面には下降管14が取り付けられている。なお、減圧脱泡槽12の上流側および下流側とは、減圧脱泡槽12を流通する、すなわち減圧脱泡槽12内を横方向に流れる、溶融ガラスGの流動方向における上流側および下流側を意味する。上昇管13及び下降管14は、その一部が減圧ハウジング11内に位置している。
図1に示すように、上昇管13は減圧脱泡槽12と連通しており、溶融槽200からの溶融ガラスGを減圧脱泡槽12に導入する導入手段である。このため、上昇管13の下端部は、上流ピット220の開口端に嵌入され、この上流ピット220内の溶融ガラスGに浸漬されている。
下降管14は、減圧脱泡槽12に連通しており、減圧脱泡後の溶融ガラスGを減圧脱泡槽12から下降させて後工程の処理槽(図示せず)に導出する導出手段である。このため、下降管14の下端部は、下流ピット240の開口端に嵌入され、この下流ピット240内の溶融ガラスGに浸漬されている。
減圧ハウジング11内において、減圧脱泡槽12、上昇管13及び下降管14の周囲には、これらを断熱被覆する断熱用レンガ等の断熱材18が配設されている。
図1に示す減圧脱泡装置10において、減圧脱泡槽12、上昇管13及び下降管14は、溶融ガラスGの導管であるため、耐熱性及び溶融ガラスに対する耐食性に優れた材料を用いて作製されている。一例を挙げると、白金又は白金合金製の中空管である。白金合金の具体例としては、白金−金合金、白金−ロジウム合金が挙げられる。また、他の一例を挙げると、セラミックス系の非金属無機材料製、すなわち、緻密質耐火物製の中空管である。緻密質耐火物の具体例としては、例えば、アルミナ系電鋳耐火物、ジルコニア系電鋳耐火物、アルミナ−ジルコニア−シリカ系電鋳耐火物等の電鋳耐火物、並びに緻密質アルミナ系耐火物、緻密質ジルコニア−シリカ系耐火物及び緻密質アルミナ−ジルコニア−シリカ系耐火物等の緻密質焼成耐火物が挙げられる。減圧脱泡槽12を収容し、上昇管13及び下降管14の一部を収容する減圧ハウジング11は、金属製、例えばステンレス製である。
図1に示す本発明の減圧脱泡装置10において、減圧脱泡槽12の天井部の上流側および下流側には、減圧脱泡槽12内部をモニタするための窓15,16が設けられている。窓15,16は、白金製若しくは白金合金製、又は緻密質耐火物製の中空管であり、一端は減圧脱泡槽12の天井部の上流側および下流側に連通しており、他端は減圧ハウジング11の壁面を貫通して減圧ハウジング11の外部に位置している。
減圧脱泡槽12の上流側に設けられた窓15には、白金製若しくは白金合金製、またはアルミナ、ジルコニア等を含有するセラミック製の中空管17が挿入されている。該中空管17は、減圧脱泡槽12内部の上部空間へガス100を導入するガス導入手段である。
なお、減圧脱泡槽12内部の上部空間とは、減圧脱泡槽12を流通する溶融ガラスG上方の空間部分を指す。減圧脱泡槽12内において、中空管17の先端は溶融ガラスGの上方に位置している。
なお、例えば、減圧脱泡槽12の下流側に設けられた窓16は、ポンプ等の減圧手段(不図示)につながれており、前記上部空間の雰囲気ガスを減圧ハウジング11の外部に排出して、減圧脱泡槽12内部を減圧することができる。
図示していないが、中空管17の内部には、減圧脱泡槽12内部の上部空間へ導入されるガス100を加熱するための加熱手段(例えば、ヒータ)が設けられている。なお、加熱手段としてヒータを用いる場合、その発熱方式は特に限定されず、電熱体を通電発熱する方式など各種発熱方式を用いることができる。
本発明の減圧脱泡装置は、減圧脱泡槽内部の上部空間へガスを導入するガス導入手段、および、該上部空間へ導入されるガスを加熱する加熱手段を有することにより、減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に加熱したガスを供給することができる。
なお、ガス導入手段から導入するガスの種類、および、加熱後のガスの温度については、後述する本発明の溶融ガラス製造方法に関する説明に記載する。
本発明の減圧脱泡装置におけるガス導入手段は、減圧脱泡槽内部の上部空間へガスを導入することができる限り、図1に示した態様に限定されない。
例えば、図1に示す減圧脱泡装置10では、先端が下方に向いた直管形状の中空管17が示されているが、これに限定されず、中空管の形状は適宜選択してよい。例えば、減圧脱泡槽12内部の上部空間へ導入されるガス100を下流方向に誘導するため、先端が下流方向に湾曲した中空管を用いてもよい。また、ガス導入手段は、減圧脱泡槽の上方ではなく、側面に設けてもよい。
また、図1に示す減圧脱泡装置10では、上流側に設けられた窓15に中空管17が挿入されているが、下流側に設けられた窓16にガス導入手段である中空管17を挿入してもよい。また、中空管17を使用することなしに、窓15または窓16自体をガス導入手段として用いてもよい。
但し、減圧脱泡槽12を流通する溶融ガラスGの上部空間に加熱したガスを供給する点を考慮すると、窓15または窓16に挿入した中空管17をガス導入手段として使用することが、加熱したガスが溶融ガラスGの上部空間に供給する前に冷えることがないので好ましい。また、後述する減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に加熱したガスを導入することによる溶融ガラス表面の泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡効果の低下を防止する作用のうち、減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上方にガス流を形成させることによる作用を発揮させる場合も、窓15または窓16に挿入した中空管17をガス導入手段として使用することが好ましい。
また、溶融ガラス表面の泡層の肥大化は減圧脱泡槽の上流側で起こりやすい点を考慮すると、減圧脱泡槽12の上流側に設けられた窓15、あるいは、該窓15に挿入された中空管17をガス導入手段として使用することが好ましい。
また、上記では、減圧脱泡槽12内部をモニタする目的で、減圧脱泡槽12の天井部に設けた窓15,16、若しくは該窓15,16に挿入した中空管17をガス導入手段として使用するとしているが、これらの部位以外にガス導入手段を設けてもよい。
例えば、減圧脱泡槽の天井以外の部位、例えば、減圧脱泡槽の上流側端面、下流側端面、あるいは、側面に窓15,16に類似の中空管構造を設けて、該中空管構造をガス導入手段として用いてもよい。
また、図1に示す減圧脱泡装置10では、減圧脱泡槽12天井部の上流側および下流側に減圧脱泡槽12内部をモニタするための窓15,16が設けられているが、減圧脱泡槽12の天井部のうち、上流側、下流側以外の部位(例えば、中間部)に減圧脱泡槽12内部をモニタするための窓を設けてもよく、該窓、若しくは、該窓に挿入した中空管をガス導入手段として用いてもよい。
また、図1に示す減圧脱泡装置10では、1つのガス導入手段が設けられているが、本発明の減圧脱泡装置におけるガス導入手段の数は特に限定されず、複数であってもよい。
例えば、図1に示す減圧脱泡装置10において、上流側の窓15に挿入した中空管17に加えて、下流側の窓16にも中空管を挿入してガス導入手段として使用してもよい。
また、ガス導入手段には、ガス導入量を制御する機構(例えば、ガス流量制御弁)や、必要に応じてガス導入を停止し、その後、ガス導入を再開するための弁機構(例えば、電磁弁)が設けられていてもよい。
本発明の減圧脱泡装置における加熱手段は、ガス導入手段により減圧脱泡槽内部の上部空間へ導入されるガスを加熱することができる限り、上記した態様に限定されない。
例えば、上記では、ガス導入手段である中空管17の内部にガス100を加熱するための加熱手段が設けられていると記載されているが、該中空管17の外周に加熱手段を設けてもよい。この場合、例えば、中空管17の外周に加熱手段としてヒータを巻きつければよい。
また、加熱手段は、減圧ハウジン11中の中空管11の管路に沿って設けることが好ましい。この場合、減圧脱泡槽に導入される直前のガスの温度が低下することがない。さらに、加熱手段は、ガス導入手段である中空管17の管路の内部に設けることがより好ましい。この場合、ガスをより効率的に加熱できる。なお、上記の加熱手段を中空管の管路に沿って設けるとは、減圧ハウジン11内の管路全域にわたって連続して設ける場合、管路全域にわたって一定間隔を有して設ける場合、又は減圧脱泡槽に入る直前の領域に設ける場合を含む。
また、上述したように、中空管17を使用することなしに、窓15または窓16自体をガス導入手段として用いる場合、該窓15または窓16に加熱手段を設けてもよい。
また、窓15,16、若しくは窓15,16に挿入された中空管17に加熱手段を設けるのではなく、窓15,16、若しくは窓15,16に挿入された中空管17に供給される前のガスを予め加熱するための加熱手段を設けてもよい。このような加熱手段の設置の具体例としては、ボンベ等のガス供給源への加熱手段の設置や、ガス中空管17よりも上流側のガス供給配管への加熱手段の設置が挙げられる。
本発明の減圧脱泡装置は、上記の構成要素に加えて、後述する減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に加熱したガスを導入することによる溶融ガラス表面の泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡効果の低下を防止する作用を発揮するうえで好適な他の構成要素を有していてもよい。
例えば、減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上方にガス流を形成することによって、溶融ガラス表面の泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡効果の低下を防止する作用を発揮するためには、減圧脱泡槽12内部の上部空間へガス100を導入するガス導入手段に加えて、該上部空間からガスを導出するガス導出手段が必要となる。詳しくは後述するが、図1に示す減圧脱泡装置10の場合、下流側の窓16をガス導出手段として使用することができる。
また、溶融ガラスGの表面(液面)近くにガス流を形成するため、減圧脱泡槽12の天井部の内側にガス流を下方に誘導するための邪魔板19を設けてもよい。
また、減圧脱泡槽の雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下とすることによって、溶融ガラス表面の泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡効果の低下を防止する作用を発揮する場合、該雰囲気ガスの水蒸気濃度を測定するための水蒸気濃度測定手段が設けられていることが好ましく、ガス導入手段は水蒸気濃度測定手段で測定された水蒸気濃度に応じて、ガス導入量を制御できることが好ましい。
水蒸気濃度測定手段としては、市販の露点計を用いることもできるし、特許文献1に記載されているような、減圧脱泡槽から排出された雰囲気ガス中に含まれる水を析出させ、その量を測ることで雰囲気ガスの水蒸気濃度を概算するものも用いることができる。
本発明の減圧脱泡装置において、減圧脱泡槽内の上部空間を減圧するためには、例えば減圧ハウジング内に収容、設置された減圧脱泡槽の天井部に槽開口部を設け、該槽開口部に対応した減圧ハウジングの天井部に吸引開口部を設け、当該吸引開口部に減圧脱泡槽内を減圧にする真空ポンプを接続し、当該真空ポンプの運転により、溶融ガラスの減圧脱泡が行なわれる。
また、前述したように、減圧脱泡槽12の上流側の窓15側にガス導入手段を設けられた場合には、その下流側に設けられた窓16側に、真空ポンプ等の減圧手段を接続し、減圧脱泡槽の上部空間の雰囲気ガスを減圧ハウジング11の外部に排出して、減圧脱泡槽12の内部を減圧する方法を採用してもよい。あるいはまた、減圧脱泡槽12の下流側の窓16側にガス導入手段を設けられた場合には、その上流側に設けられた窓15側に、真空ポンプ等の減圧手段を接続し、減圧脱泡槽の上部空間の雰囲気ガスを減圧ハウジング11の外部に排出して、減圧脱泡槽12内部を減圧する方法を採用してもよい。
減圧脱泡槽内を減圧する方法、構造は、減圧脱泡装置の構造に応じて、適宜最適な方法、構造を採用することができる。
本発明の減圧脱泡装置10の各構成要素の寸法は、必要に応じて適宜選択することができる。減圧脱泡槽12の寸法は、減圧脱泡槽12が白金製若しくは白金合金製、又は緻密質耐火物製であるかによらず、使用する減圧脱泡装置や、減圧脱泡槽12の形状に応じて適宜選択することができる。図1に示すような円筒形状の減圧脱泡槽12の場合、その寸法の一例は以下の通りである。
・水平方向における長さ:1〜20m
・内径:0.2〜3m(断面円形)
減圧脱泡槽12が白金製若しくは白金合金製である場合、肉厚は4mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.2mmである。
減圧脱泡槽は、断面円形の円筒形状のものに限定されず、断面形状が楕円形や半円形状の略円筒形状のものや、断面が矩形の筒形状のものであってもよい。
上昇管13及び下降管14の寸法は、白金製若しくは白金合金製、又は緻密質耐火物製であるかによらず、使用する減圧脱泡装置に応じて適宜選択することができる。例えば、図1に示す減圧脱泡装置10の場合、上昇管13及び下降管14の寸法の一例は以下の通りである。
・内径:0.05〜0.8m、より好ましくは0.1〜0.6m
・長さ:0.2〜6m、より好ましくは0.4〜4m
上昇管13及び下降管14が白金製若しくは白金合金製である場合、肉厚は0.4〜5mmであることが好ましく、より好ましくは0.8〜4mmである。
次に、本発明の溶融ガラス製造方法について説明する。
本発明の溶融ガラス製造方法は、溶融ガラスを減圧脱泡槽において減圧脱泡する工程を具備し、減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に、溶融ガラス表面の泡層の肥大化防止のためのガスを500℃以上の温度に加熱して供給する。
ここで、減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に供給するガスは、水素(H)、窒素(N)、酸素(O)、空気、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、炭化水素ガス、炭化フッ素ガスおよびアンモニア(NH)からなる群から選択される少なくとも1つのガスが好ましく、窒素、空気、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトンおよびキセノンからなる群から選択される少なくとも1つのガスがより好ましく、窒素、空気、二酸化炭素およびアルゴンからなる群から選択される少なくとも1つのガスがさらに好ましい。
なお、溶融ガラスの上部空間に供給するガスとして、上記の群から選択されるガスを用いることが好ましいのは、後述する溶融ガラス表面の泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡効果の低下を防止する作用を発揮するうえで、好ましいからである。より具体的には、減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上方にガス流を形成することによって、溶融ガラス表面の泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡効果の低下を防止する作用を発揮するうえで、好ましいからである。若しくは、減圧脱泡槽の雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下とすることによって、溶融ガラス表面の泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡効果の低下を防止する作用を発揮するうえで好ましいからであり、かつ、溶融ガラスや製造されるガラス製品、およびガラス製造設備、特に減圧脱泡装置に悪影響を及ぼさないからである。
なお、上記の群から選択される少なくとも1つのガスと記載していることからも明らかなように、上記の群のいずれか1種のガスを溶融ガラスの上部空間に供給してもよく、2種以上の混合ガスを溶融ガラスの上部空間に供給してもよい。
なお、減圧脱泡槽の構成材料が白金または白金合金の場合、減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に供給するガスとして空気を使用する場合には、酸素濃度が空気中の酸素濃度よりも低いガスであることが好ましい。空気中の酸素濃度よりも酸素濃度が低いガスを用いることにより、減圧脱泡槽の構成材料である白金の酸化を抑制し、減圧脱泡槽の寿命を延ばし、更に、ガラス製品において、この白金由来の欠陥の生成を抑制することができるので好ましい。
上記の効果を得るためには、ガス中の酸素濃度は、15体積%以下であることがより好ましく、10体積%以下であることがより好ましく、5体積%以下であることがより好ましい。
また、溶融ガラスの上部空間に供給するガスの流量が5ノルマルリットル/分以上であることが、泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡効果の低下を防止する効果をさらに向上させることができることから好ましい。
減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に、上記の群から選択される少なくとも1つのガスを500℃以上の温度に加熱して供給するには、図1を用いて説明した本発明の減圧脱泡装置を用いればよい。
本発明の溶融ガラス製造方法は、500℃以上の温度に加熱されたガスを、減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に供給するため、ガスの供給による溶融ガラス表面の温度の低下が大幅に減少し、溶融ガラス表面の温度の低下による減圧脱泡効果の低下も大幅に減少する。
しかも、ガスの供給による溶融ガラス表面温度の低下、および、それに減圧脱泡効果の低下が防止されているので、減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に供給するガスの供給量を増やすことができる。これにより、後述する泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡効果の低下を防止する効果をさらに向上させることができる。
上記の効果の観点から、減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に、550℃以上に加熱されたガスを供給することが好ましく、600℃以上に加熱されたガスを供給することがより好ましい。
本発明の溶融ガラス製造方法において、減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に500℃以上の温度に加熱したガスを導入することによる溶融ガラス表面の泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡効果の低下を防止する作用は、以下に述べる2つの作用に大別される。本発明の溶融ガラス製造方法は、これらの作用のうち、いずれか一方を発揮するものであってもよく、両方を発揮するものであってもよい。
第1の作用は、減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上方にガス流を形成して、溶融ガラスからのガス成分の滞留を解消することによる、溶融ガラス表面の泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡効果の低下の防止である。
上述したように、減圧脱泡方法は、溶融ガラスを減圧雰囲気下に置くことにより、該溶融ガラス内に含まれる気泡を浮上させ、溶融ガラス表面で気泡を破泡させて除去するものであるが、溶融ガラス表面で気泡が破泡することによって発生したガス成分(以下、「溶融ガラスからのガス成分」という。)が、減圧脱泡槽内を流通する溶融ガラスの上方に滞留すると、溶融ガラス上方の雰囲気(減圧脱泡槽内部の上部空間)で溶融ガラスからのガス成分の分圧が高くなるので、溶融ガラス表面に浮上した気泡が破泡しにくくなり、減圧脱泡効果が低下する。
なお、溶融ガラスからのガス成分は、ガラス組成によっても異なるが、例えば、HCl、HSO、ホウ酸化合物、HF等が挙げられる。
図2に示すように、減圧脱泡槽12を流通する溶融ガラスGの上部空間に、ガス導入手段である中空管17からガス100を供給すると、該溶融ガラスGの上方に、減圧脱泡槽12の上流側から下流側へと流通するガス流gが形成される。溶融ガラスからのガス成分はガス流gによって運ばれ、ガス導出手段として機能する窓16から外部に放出される。この結果、溶融ガラスからのガス成分の滞留が解消される。溶融ガラスからのガス成分の滞留が解消されることにより、溶融ガラス表面の泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡効果の低下が防止される。
なお、図2では、ガス流gの流通方向と、溶融ガラスGの流通方向(すなわち矢印で示した溶融ガラスの流れ方向)と、が同一方向であるが、ガス流の形成により溶融ガラスからのガス成分の滞留を解消することができる限り、ガス流gの流通方向はこれに限定されない。
例えば、ガス流gの流通方向と、溶融ガラスGの流通方向と、が反対方向であってもよい。この場合、下流側の窓16に設置されたガス導入手段からガス100が供給され、減圧脱泡槽12の下流側から上流側へと流通するガス流が形成される。なお、この場合、上流側の窓15がガス導出手段として機能する。
また、図2に示す減圧脱泡槽12は、溶融ガラスGの流通方向に長い縦長な形状であるが、減圧脱泡槽には、溶融ガラスGの流通方向の長さが短い、幅広形状のものもある。このような減圧脱泡槽の場合、減圧脱泡槽の幅方向、すなわち、溶融ガラスGの流通方向に対して垂直方向のガス流を形成してもよい。
また、図2では、減圧脱泡槽12の長手方向全体にわたって、溶融ガラスGの流通方向と同一方向のガス流gが形成されているが、複数のガス流を溶融ガラスGの上方に形成してもよい。複数のガス流は溶融ガラスGの流通方向と同一であってもよく、または反対方向であってもよい。また、複数のガス流は互いに流通方向が同一であってもよく、反対方向であってもよい。
なお、溶融ガラスGの流通方向に対して垂直方向のガス流を形成する場合や、複数のガス流を溶融ガラスGの上方に形成する場合は、形成されるガス流の流通方向を考慮して、ガス導入手段およびガス導出手段を配置する。
但し、溶融ガラス表面の泡層の肥大化は減圧脱泡槽の上流側で起こりやすい点を考慮すると、図2に示すように、上流側の窓15に挿入された中空管17からガス100を供給して、溶融ガラスGの流通方向と同一方向のガス流gを形成することが好ましい。
第2の作用は、減圧脱泡槽の雰囲気ガスに低水分とされた前述の溶融ガラス表面の泡層の肥大化防止のためのガス(低水分ガス)を導入して、該雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下とすることによる、溶融ガラス表面の泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡効果の低下の防止である。
特許文献1にも記載されているように、減圧脱泡槽の雰囲気ガスの水蒸気濃度が特定値を超えた場合、溶融ガラス表面の泡層の肥大化が起こり、その特定値よりも更に高い別の特定値を超えた場合に、泡層の肥大化がさらに進行して突沸が起こるが、減圧脱泡槽の雰囲気ガスに低水分ガスを導入して、該雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下とすることにより、溶融ガラス表面の泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡効果の低下を防止することができる。そして、当然のことではあるが、溶融ガラス表面の泡層の肥大化が防止されることにより、突沸、および、それによる減圧脱泡効果の低下を防止することができる。
ここで、低水分ガスとは、減圧脱泡槽の雰囲気ガスよりも水蒸気濃度が低いガスを指す。低水分ガスの水蒸気濃度は、60mol%以下であることが好ましく、50mol%以下であることがより好ましく、40mol%以下であることがより好ましく、30mol%以下であることがより好ましく、25mol%以下であることがより好ましく、20mol%以下であることがより好ましく、15mol%以下であることがより好ましく、10mol%以下であることがさらに好ましく、5mol%以下であることが特に好ましい。
なお、減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に供給するガスはいずれも低水分ガスとして供給することができる。
また、減圧脱泡槽の雰囲気ガスの水蒸気濃度が低いほど溶融ガラス表面の泡層が薄くなる傾向があるので、該雰囲気ガスの水蒸気濃度は50mol%以下であることが好ましく、40mol%以下であることがより好ましい。そして、水蒸気濃度が30mol%以下であると、泡層が更に薄くなる傾向があるので好ましい。
また、該雰囲気ガスの水蒸気濃度が低いと、ガラス組成によっては、1つ1つの気泡が収縮又は破泡する場合があり、これにより泡層は更に薄くなるので好ましい。具体的には、溶融ガラスがボロシリケートガラスの場合、水蒸気濃度が30mol%以下であると、気泡が顕著に収縮する傾向がある。なお、ここでいうボロシリケートガラスは、例えば酸化物換算で次のような組成である。
組成の範囲:SiO:50〜66、Al:10.5〜22、B:0〜12、MgO:0〜8、CaO:0〜14.5、SrO:0〜24、BaO:0〜13.5、MgO+CaO+SrO+BaO:9〜29.5(単位は質量%)。
更に、該雰囲気ガスの水蒸気濃度が低いと、減圧脱泡を経て製造されるガラス製品に欠陥とみなされる程度の大きさの気泡が残存し難くなるので好ましい。該雰囲気ガスの水蒸気濃度が更に低くなると、減圧脱泡を経て製造されるガラス製品に欠陥が生じる確率が更に低くなるので、25mol%以下であることがより好ましく、20mol%以下であることがより好ましく、15mol%以下であることがより好ましく、10mol%以下であることがより好ましく、5mol%以下であることが更に好ましい。
また、該雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下とすることで、溶融ガラス中の特定の成分(ホウ素等)の揮散を抑制することができる。ホウ素等の成分の揮発を抑制することにより、ホウ素等の組成変動を防止できるとともに、組成変動に起因する平坦度の悪化を抑制することができる。
また、揮発のしやすい他の成分、例えば、Cl、F、Sなどの揮散を抑制することもできるため、これらの成分の組成変動を防止できるとともに、組成変動に起因する平坦度の悪化を抑制することができる。
これらCl、F、Sなどの成分の揮散は、雰囲気中の水分に大きく影響を受けていると考えられる。例えば、FはHFとして、SはHSOとして揮散すると考えられる。よって、該雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下とすることで、上記成分の揮発、および、それに伴う上記成分の組成変動を抑えることができると考えられる。
従来の方法では、溶融ガラスからホウ素が揮散するため、より多くのホウ素を原料として用いる必要があった。しかも、ホウ素の揮散する量は条件によってまちまちであり、微視的にガラスの組成の変動が生じるという問題もあった。
本発明の溶融ガラス製造方法では、溶融ガラスからのホウ素の揮散を抑制し、これらの問題点を解消することができる。
この点からも、本発明の溶融ガラス製造方法は、通常のガラスは言うに及ばず、特にボロシリケートガラスを製造する場合に好ましく用いることができるといえる。
本発明の溶融ガラス製造方法において、上記した第1または第2の作用を発揮することができる限り、減圧脱泡槽12を流通する溶融ガラスGの上部空間に常時ガス100を供給し続けることは必ずしも必要ではない。
第1の作用の場合、溶融ガラスからのガス成分の滞留を解消できる限り、減圧脱泡の実施中、定期的にガス流を形成してもよく、例えば、1時間毎に1〜30秒程度ガス流を形成してもよい。そのため、定期的に減圧脱泡槽12を流通する溶融ガラスGの上部空間にガス100を供給することも可能である。
また、第2の作用の場合、減圧脱泡の実施中、減圧脱泡槽12の雰囲気ガスの水蒸気濃度のモニタリングを行い、該雰囲気ガスの水蒸気濃度が60mol%超となるおそれがある場合に、減圧脱泡槽12を流通する溶融ガラスGの上部空間に低水分ガスとして、ガス100を供給することも可能である。
本発明の溶融ガラス製造方法において、減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に、前記記載の減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に供給するガスの群から選択される少なくとも1つのガスを500℃以上の温度に加熱して供給する点以外は、従来の溶融ガラス製造方法と同様に実施することができる。例えば、減圧脱泡の実施時、減圧脱泡槽12は、内部が1100℃〜1600℃、特に1150℃〜1450℃の温度範囲になるように加熱されていることが好ましい。また、減圧脱泡槽12内部は、絶対圧で38〜460mmHg(51〜613hPa)に減圧されていることが好ましく、より好ましくは、60〜350mmHg(80〜467hPa)に減圧されていることが好ましい。また、減圧脱泡槽12を流通する溶融ガラスGの流量が1〜2000トン/日であることが生産性の点から好ましい。
本発明のガラス製品の製造方法は、前記減圧脱泡工程を具備し、前工程及び後工程として原料溶融工程及び成形工程を具備する。この原料溶融工程は、例えば従来公知のものでよく、例えばガラスの種類に応じて約1400℃以上に加熱することによって原料を溶融する工程である。用いる原材料も製造するガラスに適合させる原材料であれば特に限定されず、例えば硅砂、ホウ酸、石灰石等の従来公知のものを最終ガラス製品の組成に合わせて調合した原材料を用いることができ、所望の清澄剤を含んでもよい。また、この成形工程は、例えば従来公知のものでよく、例えばフロート成形工程、ロールアウト成形工程、フュージョン成形工程等が挙げられる。
本発明によって製造される溶融ガラスおよびガラス製品は、加熱溶融法により製造されるガラスである限り、組成的には制約されない。したがって、無アルカリガラスであってもよいし、ソーダライムガラスに代表されるソーダライムシリカ系ガラスやアルカリホウケイ酸ガラスのようなアルカリガラスであってもよい。本発明は、特に無アルカリガラス、さらには液晶基板用無アルカリガラスの製造に適している。
なお、本発明によれば、泡品質にきわめて優れた、すなわち泡欠点の極めて少ないガラス製品を得ることができるため、FPD用のガラス基板、光学用ガラス等の製造方法として好適である。
本発明の溶融ガラス製造方法によれば、ガスの供給による溶融ガラス表面温度の低下、および、それに減圧脱泡効果の低下を生じることなしに、泡層の肥大化、および、それによる減圧脱泡の効果の低下を防止することができるので、泡品質にきわめて優れた溶融ガラスおよびガラス製品を得ることができ、FPD用のガラス基板、光学用ガラス等の製造方法として好適である。
なお、2009年7月16日に出願された日本特許出願2009−167512号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の開示として取り入れるものである。
10:減圧脱泡装置
11:減圧ハウジング
12:減圧脱泡槽
13:上昇管
14:下降管
15,16:窓
17:中空管(ガス導入手段)
18:断熱材
19:邪魔板
100:ガス
200:溶融槽
220:上流ピット
240:下流ピット
G:溶融ガラス
g:ガス流

Claims (11)

  1. 溶融ガラスを減圧脱泡槽において減圧脱泡する工程を具備する溶融ガラス製造方法であって、前記減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に、ガスを500℃以上の温度に加熱して供給することを特徴とする溶融ガラス製造方法。
  2. 前記減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に供給するガスが、水素(H)、窒素(N)、酸素(O)、空気、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、炭化水素系ガス、炭化フッ素系ガスおよびアンモニア(NH)からなる群から選択される少なくとも1つのガスである請求項1に記載の溶融ガラス製造方法。
  3. 前記減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に供給するガスが、酸素濃度が15体積%以下の空気である請求項1または2に記載の溶融ガラス製造方法。
  4. 前記減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に前記ガスを供給することにより、前記減圧脱泡槽の雰囲気ガスの水蒸気濃度を60mol%以下とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶融ガラス製造方法。
  5. 前記減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上部空間に前記ガスを供給することにより、前記減圧脱泡槽を流通する溶融ガラスの上方に、前記溶融ガラスの流通方向のガス流、前記溶融ガラスの流通方向とは反対方向のガス流、および、溶融ガラスの流通方向に対して垂直方向のガス流からなる群から選択される少なくとも1つのガス流を形成する請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶融ガラス製造方法。
  6. 減圧吸引される減圧ハウジングと、前記減圧ハウジング内に設けられ、溶融ガラスの減圧脱泡を行う減圧脱泡槽と、前記減圧脱泡槽に連通して設けられ、減圧脱泡前の溶融ガラスを前記減圧脱泡槽に導入する導入手段と、前記減圧脱泡槽に連通して設けられ、減圧脱泡後の溶融ガラスを前記減圧脱泡槽から導出する導出手段とを有する溶融ガラスの減圧脱泡装置であって、
    前記減圧脱泡槽内部の上部空間へガスを導入するガス導入手段、および、前記上部空間へ導入されるガスを加熱する加熱手段を更に有することを特徴とする溶融ガラスの減圧脱泡装置。
  7. 前記ガス導入手段が中空管からなり、前記加熱手段が前記中空管の前記減圧ハウジング内を通る管路に沿って設けられる請求項6に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
  8. 前記加熱手段が、前記中空管の管路の内部に設けられる請求項7に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
  9. 前記減圧脱泡槽の雰囲気ガスの水蒸気濃度を測定する水蒸気濃度測定手段をさらに有する請求項6〜8のいずれか1項に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
  10. 前記ガス導入手段が、減圧脱泡槽内部の溶融ガラス上に上部空間を形成している、減圧脱泡槽の天井部または側面に設けられている請求項6〜9のいずれか1項に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
  11. 請求項6〜10のいずれか1項に記載される溶融ガラスの減圧脱泡装置による減圧脱泡工程と、該減圧脱泡工程の前工程及び後工程として原料溶融工程及び成形工程と、を具備するガラス製品の製造方法。
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