JP5700046B2 - 溶融ガラスの減圧脱泡装置、溶融ガラスの減圧脱泡方法、ガラス製品の製造装置およびガラス製品の製造方法 - Google Patents
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Description
前記減圧脱泡装置は、内部が所定の減圧度に保持された減圧脱泡槽内に溶融ガラスを通過させることにより、溶融ガラス内に含まれる気泡を比較的短時間に成長させ、大きく成長した気泡の浮力を利用して気泡を溶融ガラスの表面に浮上させ、溶融ガラスの表面で気泡を破泡させることで、効率良く溶融ガラスから気泡を除去する装置である。
本発明は、上述の減圧脱泡装置を用いる溶融ガラスの減圧脱泡方法、ガラス製品の製造装置およびガラス製品の製造方法の提供を目的とする。
すなわち、本発明は、内部の気圧が大気圧未満に設定され、供給された溶融ガラス中の泡を浮上および破泡させる減圧脱泡槽を具備する溶融ガラスの減圧脱泡装置であって、少なくとも2つの接続通路により前記減圧脱泡槽の溶融ガラス収容部より上の空間と接続される中空構造の雰囲気制御部と、前記雰囲気制御部に形成された減圧用の排気口と、が設けられており、前記減圧脱泡槽から前記雰囲気制御部へと溶融ガラスから発生したガスが流れる流入側接続通路の出口側の開口部周囲に、前記ガスの流れを整える整流部材が設けられてなる溶融ガラスの減圧脱泡装置を提供する。
本発明の減圧脱泡装置において、前記整流部材が、前記流入側接続通路の出口側の開口部の少なくとも半周を覆って該開口部と前記雰囲気制御部の外周部との間を仕切る整流壁部を備えてなることが好ましい。
本発明の減圧脱泡装置において、前記整流部材の前記整流壁部内面に、前記減圧脱泡槽から前記流入側接続通路の出口側の開口部を介して前記雰囲気制御部へと流れるガスの流れを前記雰囲気制御部から減圧脱泡槽に通じる流出側接続通路側に誘導する案内面が形成されてなることが好ましい。
本発明の減圧脱泡装置において、前記整流部材の前記整流壁部が、前記流入側接続通路の出口側の開口部の全周を囲むように形成されてなることが好ましい。
本発明の減圧脱泡装置において、前記整流部材の形状が管状であることが好ましい。
本発明の減圧脱泡装置において、前記流入側接続通路の出口側の開口部が形成された位置における前記雰囲気制御部の室内の高さをHとし、前記整流部材高さの最大値をhとしたとき、1/4≦h/H≦3/4の関係を満たすことが好ましい。
本発明の減圧脱泡装置において、前記減圧脱泡槽の溶融ガラス収容部より上の空間内、前記少なくとも2つの接続通路の内部、または前記雰囲気制御部の内部のいずれかにガス供給手段が設けられてなることが好ましい。
本発明の減圧脱泡装置において、前記減圧脱泡槽と前記雰囲気制御部を囲い真空吸引されて内部が減圧される減圧ハウジングと、この減圧ハウジング内に設けられ、溶融ガラスの減圧脱泡を行うための減圧脱泡槽と、該減圧脱泡槽に溶融ガラスを供給するための供給機構と、脱泡後の溶融ガラスを次工程に送るための送出機構とを具備してなることが好ましい。
さらに、本発明は、上記した減圧脱泡装置と、該減圧脱泡装置よりも上流側に設けられたガラス原料を溶融して溶融ガラスを製造する溶融手段と、前記減圧脱泡装置よりも下流側に設けられた溶融ガラスを成形する成形手段と、成形後のガラスを徐冷する徐冷手段とを備えたガラス製品の製造装置を提供する。
さらにまた、本発明は、上記した減圧脱泡装置により溶融ガラスを脱泡処理する工程と、前記減圧脱泡装置よりも上流側でガラス原料を溶融して溶融ガラス製造する溶融工程と、前記減圧脱泡装置よりも下流側で溶融ガラスを成形する成形工程と、成形後のガラスを徐冷する徐冷工程とを含むガラス製品の製造方法を提供する。本発明のガラス製品の製造方法は、上記した減圧脱泡装置により前記減圧脱泡槽から前記雰囲気制御部へと溶融ガラスから発生したガスが流れる流入側接続通路の出口側の開口部周囲に設けた前記整流部材によって前記ガスの流れを整えて溶融ガラスを脱泡処理する工程と、前記減圧脱泡装置よりも上流側でガラス原料を溶融して溶融ガラスを製造する溶融工程と、前記減圧脱泡装置よりも下流側で溶融ガラスを成形する成形工程と、成形後のガラスを徐冷する徐冷工程とを含むことが好ましい。
本発明の減圧脱泡方法は、上述の減圧脱泡装置を用いることにより、優れた減圧脱泡の効果を実現できる。
また、上述の減圧脱泡装置を用いるガラス製品の製造装置と製造方法であるならば、高品質のガラス製品を提供できる。
図1は本発明に係る溶融ガラスの減圧脱泡装置の一例構造を模式的に示す縦断面図である。図1に示す減圧脱泡装置100は、溶融槽1から供給される溶融ガラスGを減圧脱泡して、後工程の成形装置200に連続的に供給するプロセスに用いられる装置である。
上昇管5および下降管6が白金製または白金合金製の中空管である場合、上昇管5または下降管6における溶融ガラスの流路をなす内部断面形状が円形または楕円形を有することが好ましい。
なお、減圧脱泡装置100において、200トン/日以上の処理能力、あるいは500トン/日以上の処理能力に達成するような大型の装置の場合、電鋳レンガのような耐火レンガにより減圧脱泡槽3が構成されていることが好ましい。
なお、上昇管5および下降管6が白金製または白金合金製の中空管である場合、延長用の外管8、9を別途設けることなく、図1において外管8、9と記載されている部分まで上昇管5と下降管6が一体的に延長された構造とされていても良い。このような構造とする場合、以下本願明細書における外管8、9に関する説明は、白金製または白金合金製の上昇管および下降管に関する記載として読み替えて適用できる。
また、下降管6は減圧脱泡槽3の他側底部に連通され、減圧脱泡後の溶融ガラスGを次の処理槽(図示略)に導出する。このため、下降管6に取り付けられた外管9の下端(下流端)9aは、下流ピット13の開口端に嵌入され、下流ピット13内の溶融ガラスGに浸漬されている。また、下流ピット13の下流側に成型装置200が接続されている。以上説明の減圧脱泡装置100においては、上昇管5が溶融ガラスの供給機構を構成し、下降管6が溶融ガラスの送出機構を構成する。
なお、本明細書において、「上流」および「下流」といった場合、減圧脱泡装置100を流通する溶融ガラスGの流動方向における上流および下流を意味する。
ここで、雰囲気制御部16は、減圧脱泡槽3内の溶融ガラスGの上部空間と該雰囲気制御部16の内部空間とを流れるガス流Fの経路をなすため、接続通路14、15は、減圧脱泡槽3内の溶融ガラスGの液面よりも上方で減圧脱泡槽3と接続する必要がある。このため、図1に示すように、雰囲気制御部16を減圧脱泡槽3の上方に配置することは好ましい態様である。ただし、接続通路14、15が減圧脱泡槽3内の溶融ガラスGの液面よりも上方で減圧脱泡槽3と接続されるのであれば、雰囲気制御部16を減圧脱泡槽3の側方に配置してもよい。
また、減圧脱泡槽3に流入するガス流Fの温度が低いと、減圧脱泡槽3内の溶融ガラスGに悪影響を及ぼすおそれがあるため、雰囲気制御部16、および接続通路14、15は、加熱機構を有することが好ましい。但し、雰囲気制御部16、および、接続通路14、15の全てに加熱機構を設けることは必ずしも必要ではなく、少なくとも、減圧脱泡槽3にガス流Fが流入する側の接続管(図1の場合、接続通路14の周囲)に加熱機構を設ければ、減圧脱泡槽3に温度が低いガス流Fが流入して、減圧脱泡槽3内の溶融ガラスGに悪影響を及ぼすおそれを解消することができる。
本実施形態の減圧脱泡装置100は、減圧脱泡槽3内の溶融ガラスGの上部空間と雰囲気制御部16とを流れるガス流Fを整流することにより、溶融ガラスGからのガス成分の滞留が解消されるため、減圧脱泡の効果に優れている。
また、溶融ガラスGからのガス成分が滞留すると、過減圧による泡層の肥大化が起こり、減圧脱泡の効果が大幅に低下してしまうが、本実施形態の減圧脱泡装置100では、溶融ガラスGからのガス成分が滞留することなく、ガス流Fによって運ばれ、排気口17から外部に放出されるため、減圧脱泡槽3の減圧度を従来よりも高くしても過減圧による泡層の肥大化がより抑制できるようになる。したがって、減圧脱泡槽3の減圧度を従来よりも高くすることができ(すなわち、減圧脱泡槽3の絶対圧を従来よりも低くすることができ)、減圧脱泡の効果をより高めることができる。
上記を満足するガスとしては、大気、乾燥空気、N2やArのような不活性ガス、CO2等の低分子ガスが挙げられる。これらのガスは単独で使用してもよく、2種以上の混合ガスとして使用してもよい。
減圧脱泡槽3内の溶融ガラスG上方の雰囲気の水蒸気濃度は、60mol%以下に低減されることが好ましい。該雰囲気の水蒸気濃度を60mol%以下とすることにより、減圧脱泡槽3内の溶融ガラス表面の泡層が肥大化して突沸が生じることを防止でき、減圧脱泡の効果をさらに向上させることができる。
以下、整流部材20について詳細に説明する。なお、以下の説明において、ガス流Fが雰囲気制御部16へと流入する側の接続通路15を「流入側接続通路15」と称し、ガス流Fが雰囲気制御部16より流出する接続通路14を「流出側接続通路14」と称することがある。また、流入側接続通路15を形成する接続管15Aを「流入側接続管15A」と称し、流出側接続通路14を形成する接続管14Aを「流出側接続管14A」と称することがある。
整流部材20は、図10に示すような渦気流S2が上昇気流S1の流れを阻害することを抑制するために設けられるものであり、開口部18と雰囲気制御部16の外周部の空間19とを区切る整流壁部21を備える。
図2(a)に示す整流部材20において、雰囲気制御部16の外周部の空間19と開口部18とを仕切る整流壁部21は、空間19で生じた渦気流S2が開口部18へと流入することを抑制する。そのため、流入側接続通路15を流れる上昇気流S1が、開口部18付近で該渦気流S2とぶつかり合い、上昇気流S1の流れが阻害されることを防ぐことができる。
この結果より明らかなように、本実施形態の減圧脱泡装置100は、雰囲気制御部16の流入側接続通路15の出口側の開口部18周囲に整流部材20を設ける構成とすることにより、減圧脱泡槽3内の溶融ガラスGの上部空間と雰囲気制御部16とを流れるガス流Fの流速が安定化され、溶融ガラスGからのガス成分の滞留を安定して解消でき、減圧脱泡性能のバラつきを抑制して、減圧脱泡の効果を向上させることができる。
整流部材20の整流壁部21の内面22は、ガス流Fの流れを誘導する(すなわち、ガス流Fの流路をなす)案内面として機能する。案内面は、図2(a)に示す整流部材20のように、導出部24が開口部18の上方に形成され、ガス流Fを開口部18から鉛直方向上方に誘導するように形成されていてもよいし、後述の図4に示す実施形態のように、導出部24が雰囲気制御部16の流出側接続通路14側を向くように形成され、ガス流Fが雰囲気制御部16内を流入側接続通路15側から流出側接続通路14側へと流れるように誘導してもよい。整流部材20の整流壁部21の内面22である案内面が、ガス流Fを空間19側へと誘導しないように設定されていれば、図1に示すような減圧脱泡槽3内の溶融ガラスGの上部空間と雰囲気制御部16とを循環するガス流Fが形成される。
整流部材20の寸法は、使用する減圧脱泡装置に応じて適宜選択することができる。本発明の減圧脱泡装置の各構成要素の寸法は、必要に応じて適宜選択することができる。以下に各構成要素の寸法の一例を示す。なお、以下に示す整流部材20の寸法は、後述する第2〜第11の実施形態の整流部材20B〜20Lにも適用できる。
本発明の減圧脱泡装置の減圧脱泡槽の寸法は、減圧脱泡槽が白金製もしくは白金合金製、または緻密質耐火物製であるかによらず、使用する減圧脱泡装置や、減圧脱泡槽の形状に応じて適宜選択することができる。図1に示すような減圧脱泡槽3が円筒形状である場合、その寸法の一例は以下の通りである。
・水平方向における長さ:1〜20m
・内径:0.2〜3m(断面円形)
減圧脱泡槽3が白金製もしくは白金合金製である場合、肉厚は4mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.2mmである。
減圧脱泡槽3は、断面円形の円筒形状のものに限定されず、断面形状が楕円形や半円形状の略円形状のものや、断面が矩形の筒形状のものであってもよい。
上昇管5および下降管6は、白金製もしくは白金合金製、または緻密質耐火性であるかによらず、使用する減圧脱泡装置に応じて適宜選択することができる。たとえば、図1に示す減圧脱泡装置100の場合、上昇管5および下降管6の寸法の一例は以下の通り。
・内径:0.05〜0.8m、より好ましくは0.1〜0.6m
・長さ:0.2〜6m、より好ましくは0.4〜4m
上昇管5および下降管6が白金製もしくは白金合金製である場合、肉厚は0.4〜5mmであることが好ましく、より好ましくは0.8〜4mmである。
雰囲気制御部16の寸法は、使用する減圧脱泡装置、特に減圧脱泡槽3に応じて適宜選択することができるが、その一例は以下の通りである。
・内径:0.1〜3m、より好ましくは0.1〜2m
・長さ:0.8〜22m、より好ましくは1〜20m
・開口部18の形成位置における室内高さH:0.1〜3m、より好ましくは0.1〜2m
雰囲気制御部16の肉厚は、構成材料によっても異なるが、ステンレス鋼製である場合、0.5〜2mmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5mmである。
流出側接続管14A、流入側接続管15Aの寸法は、使用する減圧脱泡装置、特に減圧脱泡槽3に応じて適宜選択することができるが、その一例は以下の通りである。
・内径:0.05〜0.5m、より好ましくは0.05〜0.3m
・長さ:0.1〜1m、より好ましくは0.1〜0.8m
流出側接続管14Aおよび流入側接続管15Aの肉厚は、構成材料によっても異なるが、ステンレス鋼製である場合、0.5〜2mmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5mmである。
開口部18(流入側接続通路15Aの内周面)と雰囲気制御部16の外周部側壁16a内面との距離D1は、流入側接続管15Aの肉厚によっても異なるが、0.05〜2mであることが好ましく、より好ましくは0.05〜1mである。
整流部材20の寸法は、雰囲気制御部16の寸法、流入側接続管15Aの内径や設置位置(すなわち、開口部18の寸法や形成位置)などにより異なるが、整流部材20の高さhは、前述のように、雰囲気制御部16の開口部18の形成位置における室内高さHとの関係が、1/4≦h/H≦3/4を満たすことが好ましく、1/3≦h/H≦2/3を満たすことがより好ましい。具体的には、たとえば、整流部材20の高さhは0.03〜2mであることが好ましく、より好ましくは0.05〜1mである。
整流部材20の肉厚は、構成材料によっても異なるが、1〜50mmが好ましく、より好ましくは2〜30mmである。
整流部材20の導入部23、導出部24およびその内部空間の寸法は、流入側接続管15Aおよび開口部18の寸法などにより異なるが、開口部18からのガス流Fの流れを妨げないように、整流部材20の導入部23、導出部24および内部空間の寸法を、開口部18の寸法よりも大きくなるように設定することが好ましい。一例として、図2(a)に示す筒状(管状)の整流部材20の場合、整流部材20の内径を開口部18の寸法よりも0〜50%大きく設定することが好ましく、具体的には、整流部材20の内径を開口部18の寸法よりも0〜0.5m大きく設定することが好ましく、0〜0.2m大きく設定することがより好ましい。
たとえば、図3(a)に示す整流部材20Eのように、開口部18のうち空間19とは反対側に位置する部分の一部を除くように開口部18を囲んで整流壁部21Eが設けられていてもよい。図3(a)に示す整流部材20Eは、横断面形状がC形状であるが、このC形状をなす整流壁部21Eが空間19と開口部18とを仕切っているため、空間19からの渦気流が、流入側接続通路15より開口部18を介して流動する上昇気流を阻害することを抑制できる。したがって、前記した整流部材20を設けた場合と同様に、本発明の減圧脱泡装置に図3(a)に示す整流部材20Eを適用することにより、ガス流の流れを安定化させて、溶融ガラスGからのガス成分の滞留を安定して解消でき、減圧脱泡性能のバラつきを抑制して、減圧脱泡の効果を向上させることができる。
また、本発明の減圧脱泡装置は、上記以外の構造を有していてもよい。たとえば、溶融ガラスGの表面(液面)近くにガス流Fを形成するため、減圧脱泡槽3の天井部の内側にガス流Fを下方に誘導するための邪魔板を設けてもよい。
減圧脱泡装置100にあっては、減圧脱泡槽3の内部を大気圧未満の所定の減圧状態に保持した状態で、減圧脱泡槽3に溶融ガラスGを供給する。たとえば、減圧脱泡槽3は、その内部を51〜613hPa(38〜460mmHg)に減圧されている。減圧脱泡槽3の内部は、80〜338hPa(60〜253mmHg)に減圧されていることがより好ましい。
本実施形態の減圧脱泡装置100を用いて減圧脱泡するガラスGは、加熱溶融法により製造されるガラスである限り、組成的には制約されない。従って、ソーダライムガラスに代表されるソーダライムシリカ系ガラスやアルカリホウケイ酸ガラスのようなアルカリガラスであっても良い。
プラズマディスプレイ用の基板に使用される混合アルカリ系ガラスの場合には、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO2:50〜75%、Al2O3:0〜15%、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO:6〜24%、Na2O+K2O:6〜24%、という組成を有することが好ましい。
本発明のガラス製品の製造方法は、前述の減圧脱泡装置100を用いることを特徴とする。本発明のガラス製品の製造方法は、一例として、前述の減圧脱泡装置100の前段の溶融手段により溶融ガラスを溶融して溶融ガラスを製造する溶融工程K1と、前述の減圧脱泡装置100により溶融ガラスの減圧脱泡を行う脱泡工程K2と、前述の減圧脱泡装置100よりも下流側で溶融ガラスを成形する成形工程K3と、その後工程において溶融ガラスを徐冷する徐冷工程K4と、徐冷後のガラスを切断する切断工程K5と、ガラス製品K6を得るガラス製品の製造方法である。
・減圧脱泡槽3:全長L1=10m、高さd1=1m(断面半円形状)、溶融ガラスGの上部空間の高さd3=0.5m
・雰囲気制御部16:全長L2=11m、高さH=2m(円筒形状)
・接続管14A、15A:全長0.8m、内径0.3m(円筒形状)
接続管14Aは、減圧脱泡槽3の上流側端部から0.1m、および雰囲気制御部16の上流側端部から0.6mの位置とした。接続管15Aは、減圧脱泡槽3の下流側端部から0.1mの位置とし、開口部18は雰囲気制御部16の下流側端部の内壁からの距離D1を0.6mとした。
・排気口17:内径0.05m。雰囲気制御部16の長手方向中央の天井部に設けた。
気流解析には、非反応化学種の輸送モデル、標準k−εモデル、標準壁関数を採用した。入口拡散、拡散エネルギー、および減圧脱泡槽3内での溶融ガラスGの動きについては考慮せず、その他の設定パラメータはデフォルト値を使用した。気流解析の流体物性は、FLUENTデータベース内のN2および揮散H2Oからなる混合物の値(下記)を用いた。
・熱伝導率:0.0454[W/m・K]
・質量拡散係数:2.88×10−5[m2/s]
・密度:ρ=pMw/RT(非圧縮性理想気体方程式)
・比熱:cp=ΣiYjcp,i(化学種による比熱の質量分率平均式)[J/kg・K]
減圧脱泡槽3内の溶融ガラスGからは、SO3、O2、B2O3、H2O等、複数のガスが揮散すると考えられるが、本解析では便宜上H2Oのみが溶融ガラスGの表面から垂直上向きに体積流量14.55NL/minで揮散すると仮定した。
図6および図2(a)に示すように、接続通路(流入側接続通路)15の開口部18の周囲に、肉厚1.0mm、内径0.3m、高さhを1m(円筒形状)とした整流部材20を、自重により設置した。
(比較例)
整流部材を設置しないこと以外は、実施例と同じ条件でシミュレーション解析をした。
なお、2010年7月30日に出願された日本特許出願2010−172230号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の開示として取り入れるものである。
Claims (15)
- 内部の気圧が大気圧未満に設定され、供給された溶融ガラス中の泡を浮上および破泡させる減圧脱泡槽を具備する溶融ガラスの減圧脱泡装置であって、
少なくとも2つの接続通路により前記減圧脱泡槽の溶融ガラス収容部より上の空間と接続される中空構造の雰囲気制御部と、前記雰囲気制御部に形成された減圧用の排気口と、が設けられており、
前記減圧脱泡槽から前記雰囲気制御部へと溶融ガラスから発生したガスが流れる流入側接続通路の出口側の開口部周囲に、前記ガスの流れを整える整流部材が設けられてなる溶融ガラスの減圧脱泡装置。 - 前記流入側接続通路が、前記雰囲気制御部の外周部より内側において、減圧脱泡槽の溶融ガラス収容部の上部空間と前記雰囲気制御部との間で接続されてなる請求項1に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
- 前記整流部材が、前記流入側接続通路の出口側の開口部の少なくとも半周を覆って該開口部と前記雰囲気制御部の外周部との間を仕切る整流壁部を備えてなる請求項1または2に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
- 前記整流部材の前記整流壁部内面に、前記減圧脱泡槽から前記流入側接続通路の出口側の開口部を介して前記雰囲気制御部へと流れるガスの流れを前記雰囲気制御部から減圧脱泡槽に通じる流出側接続通路側に誘導する案内面が形成されてなる請求項3に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
- 前記整流部材の前記整流壁部が、前記流入側接続通路の出口側の開口部の全周を囲むように形成されてなる請求項3または4に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
- 前記整流部材が、前記流入側接続通路の出口側の開口部からのガスを該整流部材内部に導入する導入部と、該開口部から該整流部材内部に導入されたガスを前記雰囲気制御部へと導出する導出部とを備えてなる請求項1〜5のいずれか一項に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
- 前記整流部材の形状が管状である請求項1〜6のいずれか一項に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
- 前記流入側接続通路の出口側の開口部が形成された位置における前記雰囲気制御部の室内の高さをHとし、前記整流部材高さの最大値をhとしたとき、1/4≦h/H≦3/4の関係を満たす請求項1〜7のいずれか一項に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
- 前記減圧脱泡槽の溶融ガラス収容部より上の空間内、前記少なくとも2つの接続通路の内部、または前記雰囲気制御部の内部のいずれかにガス供給手段が設けられてなる請求項1〜8のいずれか一項に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
- 前記減圧脱泡槽と前記雰囲気制御部を囲い真空吸引されて内部が減圧される減圧ハウジングと、この減圧ハウジング内に設けられ、溶融ガラスの減圧脱泡を行うための減圧脱泡槽と、該減圧脱泡槽に溶融ガラスを供給するための供給機構と、脱泡後の溶融ガラスを次工程に送るための送出機構とを具備してなる請求項1〜9のいずれか一項に記載の溶融ガラスの減圧脱泡装置。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の減圧脱泡装置を用いた溶融ガラスの減圧脱泡方法。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の減圧脱泡装置を用いて、前記減圧脱泡槽から前記雰囲気制御部へと溶融ガラスから発生したガスが流れる流入側接続通路の出口側の開口部周囲に設けた前記整流部材によって前記ガスの流れを整えて溶融ガラスを脱泡処理する溶融ガラスの減圧脱泡方法。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の減圧脱泡装置と、該減圧脱泡装置よりも上流側に設けられたガラス原料を溶融して溶融ガラスを製造する溶融手段と、前記減圧脱泡装置よりも下流側に設けられた溶融ガラスを成形する成形手段と、成形後のガラスを徐冷する徐冷手段とを備えたガラス製品の製造装置。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の減圧脱泡装置により溶融ガラスを脱泡処理する工程と、前記減圧脱泡装置よりも上流側でガラス原料を溶融して溶融ガラスを製造する溶融工程と、前記減圧脱泡装置よりも下流側で溶融ガラスを成形する成形工程と、成形後のガラスを徐冷する徐冷工程とを含むガラス製品の製造方法。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の減圧脱泡装置により前記減圧脱泡槽から前記雰囲気制御部へと溶融ガラスから発生したガスが流れる流入側接続通路の出口側の開口部周囲に設けた前記整流部材によって前記ガスの流れを整えて溶融ガラスを脱泡処理する工程と、前記減圧脱泡装置よりも上流側でガラス原料を溶融して溶融ガラスを製造する溶融工程と、前記減圧脱泡装置よりも下流側で溶融ガラスを成形する成形工程と、成形後のガラスを徐冷する徐冷工程とを含むガラス製品の製造方法。
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