JPWO2008013260A1 - 生体標本及びその作製方法 - Google Patents

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Abstract

長期間保存した場合でも蛍光色素からの蛍光が消失することがなく、さらにより安価に作製可能な生体標本及びその作製方法並びにその観察方法を提供する。蛍光色素により標識された組織又は細胞が支持基材上に固定されている生体標本である。蛍光色素が、少なくとも有機EL色素から成る発色部を有し、該有機EL色素が、共役系を有し、1種以上のヘテロ原子、セレン原子又はボロン原子を含むアゾール誘導体又はイミダゾール誘導体である。

Description

本発明は、生体の組織又は細胞からなり、病理診断のために顕微鏡観察に用いられる生体標本及びその作製方法並びにその観察方法に関する。
光学顕微鏡やレーザ走査顕微鏡等による生体標本の観察は、病理診断において重要な検査方法である。光学顕微鏡観察用の生体標本は、通常、検体からの組織又は細胞の採取、固定、脱水、置換、包埋、薄切り、染色の手順により作製されている。固定は、組織又は細胞を生きている状態の構造と物性とそのまま維持させる目的で行うものであり、固定剤としてホルムアルデヒドやグルタールアルデヒド等を用いる。脱水は、脱水剤としてアルコールやアセトン等を用い組織内の水分を脱水剤で置換する。置換では、包埋に先立って脱水剤に親和性の高い置換剤を用いて組織内を置換する。包埋はパラフィン等の包埋剤を組織内に滲透させた後、包埋剤を硬化させることにより行う。包埋された組織は、ミクロトームにより2〜10μm程度に薄切りされ、得られた薄切片は、スライドガラス上に固定され、必要に応じて包埋剤を除去した後、対比染色される。そして封入剤を用いカバーガラスをかけて封入して生体標本としている。
病理診断は、生体標本の形態観察のみならず、免疫組織染色法やin-situ hybridization法により標的物質を可視化する解析方法によっても行われている(例えば、特許文献1)。免疫組織染色法は、組織上の特定の抗原を、その抗原を特異的に認識する抗体によって検出する方法であり、特定の抗原を認識させる抗体を組織と反応させ、反応した抗体の有無から抗原の存在を判断するが、組織と反応させる抗体を蛍光色素で標識し、組織上の抗原の分布を解析する方法である。抗原に対する特異的抗体である一次抗体に蛍光色素を直接結合させて可視化する直接法と、一次抗体に対する抗体である二次抗体を用いて可視化する間接法が含まれる。また、in-situ hybridization法は、目標遺伝子とハイブリダイズするオルゴヌクレオチドプローブやDNAプローブを用いて、組織又は細胞中に目標遺伝子が存在するか否かを判別する方法である。プローブにも蛍光色素を用いている。
特開2003−130866号公報
しかしながら、従来の蛍光色素で標識した生体標本は、時間とともに褪色するため永久標本とすることができない。そのため、一旦、標識された生体標本は、顕微鏡観察後に廃棄され、再度観察の必要が生じた場合、検体から新たに生体標本を再度作製する必要があり、標本作製に要する時間とコストが増加するという問題がある。特に標識に用いる蛍光色素は高価であるため、標本作製のコストは大きく増加する。
また、蛍光波長の異なる複数の蛍光色素を用いる多重標識は、マルチカラーイメージングにより細胞や組織の特定が容易になるのみならず、細胞間あるいは組織間の相互作用についての情報も得られることから、関心が高まっている。しかし、波長の異なる複数の励起光(例えばレーザー光)を同時に用いると、レーザー波長の違いにより焦点位置がずれる等の技術的困難がある。そのため、励起光源については、複数の励起光源を用いて順次複数の蛍光色素を励起させたり、単一の励起光源を用いる場合であっても複数の励起フィルターを用い複数の励起波長を調整して順次複数の蛍光色素を励起させたりしている。一方、観察側では、励起光により発光した蛍光色素の固有波長を選択的にとらえるために、励起光やバックグラウンドノイズを除去する吸収フィルターのみならず、複数の蛍光波長を分離する分離用のフィルターが必要であり、複数のフィルターが必要である。このため、観察用の顕微鏡装置に多数の光源あるいは励起波長調整用の複数のフィルター、そして蛍光検出側の複数のフィルターを設けざるを得ず、装置の高コスト化や観察に長時間を要すること、そして操作が煩雑である等の問題があった。
そこで、本発明は、長期間保存した場合でも蛍光色素からの蛍光が消失することがない永久標本であって、より安価に作製可能な生体標本及びその作製方法、そして多重標識された生体標本のより簡便な観察方法を提供することを目的とした。
上記の課題を解決するため、本発明の生体標本は、蛍光色素により標識された組織又は細胞が支持基材上に固定されている生体標本であって、上記蛍光色素が、少なくとも有機EL色素から成る発色部を有し、該有機EL色素が、共役系を有し、1種以上のヘテロ原子、セレン原子又はボロン原子を含むアゾール誘導体又はイミダゾール誘導体であることを特徴とする。
本発明の生体標本は、好ましくは組織又は細胞が包埋剤により包埋されて上記支持基材上に固定されているものを含む。
また、包埋剤には、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びメタクリル樹脂からなる群から選択された1種の包埋樹脂を用いることができる。
また、蛍光色素には、上記アゾール誘導体に、以下の一般式(1)、(2)又は(3)のいずれか1種で示される化合物を用いることができる。
Figure 2008013260
ここで、式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基、複素環基、ヘテロ原子を環内に含む芳香族基を有してもよい芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基又はヘテロ原子を環内に含む芳香族基を示し、Xは置換基を有していてもよい窒素原子又は硫黄原子又は酸素原子又はセレン原子、ボロン原子を示し、R'は芳香環を含んでも良いアルキル基又はアルケニル基からなる脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基、An-は、ハロゲン化物イオン、CF3SO3 -、BF4 -又はPF6 -を示す。
また、上記のR2とR3に、チオフェン誘導体、フラン誘導体、ピロール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ピラゾール誘導体及びピリジン誘導体からなる群から選択された1種を用いることができる。
また、上記のR2とR3に、スルホニル基を有するアリール基を用いることができる。
また、上記イミダゾール誘導体に、以下の一般式(4)、(5)、(6)、(7)又は(8)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2008013260
ここで、式中、R1、R2、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基、複素環基、ヘテロ原子を環内に含む芳香族基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基又はヘテロ原子を環内に含む芳香族基を示し、R1、 R2、R3、R4、R5は同じでも異なっていても良く、R'、R''は芳香環を含んでも良いアルキル基又はアルケニル基からなる脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基、An-は、ハロゲン化物イオン、CF3SO3 -、BF4 -又はPF6 -を示す。
また、上記のR2とR3に、チオフェン誘導体、フラン誘導体、ピロール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ピラゾール誘導体及びピリジン誘導体からなる群から選択された1種を用いることができる。
また、上記のR2とR3に、スルホニル基を有するアリール基を用いることもできる。
また、上記イミダゾール誘導体に、以下の一般式で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2008013260
ここで、式中、R1、 R4、 R5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基又は複素環基を有してもよい芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基又は複素環基を示し、R1、R4、R5は同じでも異なっていても良い。
また、本発明の生体標本に用いる蛍光色素は、結合部に、カルボン酸基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、ハロゲン化アルキル基、トリアジン基、カルボジイミド基そして活性エステル化したカルボニル基から選択されたいずれか1種の反応性基を用いることができる。
また、本発明の生体標本に用いる蛍光色素は、発色部と結合部とを連結するスペーサー部を有することが好ましい。
スペーサー部には、-CH2-、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-(Rはアルキル基)、-(CH2-CH2-O)n-(nは1〜10の整数)、-CH=CH-、-C≡C-、-Ar-及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択される官能基を少なくとも1種含むものを用いることができる。
ここで、上記スペーサー部には、以下の一般式(I)で表されるものを用いることができる。
-(CHR')p-X-(CHR")q- (I)
式中、Xは直接結合又は、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-、-CH=CH-、-C≡C-、-Ar-及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択され少なくとも1種の官能基を表し、R'とR"はそれぞれ独立に、水素原子、あるいは芳香環を含んでも良いアルキル基又はアルケニル基等の脂肪族炭化水素基、あるいは芳香族炭化水素基であって、必要によりスルホニル基、ヒドロキシル基、4級アミン基及びカルボキシル基からなる群から選択されたいずれか1種の荷電基により置換されたものを表し、Arはアリール基を表し、pとqはそれぞれ独立に0から20の整数を表し、p+q≧1である。
また、スペーサー部に、アミノ酸又は2〜20個のアミノ酸からなるペプチドリンカーを用いることができる。
また、スペーサー部にアミノ酸を用い、そのアミノ酸に天然アミノ酸又は合成アミノ酸を用いることができる。
また、アミノ酸に、システイン酸、2-アミノ-3-スルホサルファニルプロパン酸、2-アミノ-3-スルホキシプロパン酸、チロシン、スレオニン及びセリンからなる群から選択された1種を用いることができる。
また、スペーサー部にペプチドリンカーを用い、そのペプチドリンカーに、スルホニル基、ヒドロキシル基、4級アミン基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1種の荷電基を有するものを用いることもできる。
また、ペプチドリンカーに、システイン酸、2-アミノ-3-スルホサルファニルプロパン酸、2-アミノ-3-スルホキシプロパン酸、チロシン、スレオニン及びセリンからなる群から選択された少なくとも1種のアミノ酸を含むものを用いることもできる。
また、上記アゾール誘導体に、以下の一般式(9)、(10)又は(11)のいずれか1種で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2008013260
ここで、式中、(9)及び(11)ではR1は、そして(10)ではR1とR4の一方は、一般式L-Mで示され、Mは、置換基を有しても良いピリジニウム基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アミノ基、ピペリジニウム基、ピペラジニウム基、イミダゾリウム基、チアゾリウム基、オキサゾリウム基、キノリウム基、ベンゾイミダゾリウム基、ベンゾチアゾリウム基又はベンゾオキサゾリウム基である窒素カチオン含有基を示し、Lは、直接結合あるいは、-(CH2)n-(nは1〜4の整数)、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-(Rはアルキル基)、-Ar-(Arは芳香族炭化水素基)及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択された1種以上の官能基からなり、Mと発色部とを連結するリンカー、(10)のR1とR4の残部、そしてR2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてアルキル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基又は複素環基を有してもよい芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基又は複素環基を示し、Xは置換基を有していてもよい炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子又はボロン原子を示し、R'は芳香環を含んでも良いアルキル基からなる脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基、An-は、ハロゲン化物イオン、CF3SO3 -、BF4 -又はPF6 -を示す。
また、上記のR2とR3に、それぞれ独立に、チオフェン誘導体、フラン誘導体、ピロール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チジアゾール誘導体、ピラゾール誘導体、ピリジン誘導体及びキノリン誘導体からなる群から選択された1種を用いることもできる。
また、上記のR2とR3に、スルホニル基を有するアリール基を用いることもできる。
また、上記のリンカーLに、-(CH2)n-(nは1〜4の整数)を用いることもできる。
また、上記イミダゾール誘導体に、以下の一般式(12)、(13)、(14)、(15)又は(16)のいずれか1種で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2008013260
ここで、式中、(12)、(14)及び(15)のR1とR4の一方、そして(13)及び(16)のR1、R4及びR5のいずれか一つは、一般式L-Mで示され、Mは、置換基を有しても良いピリジニウム基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アミノ基、ピペリジニウム基、ピペラジニウム基、イミダゾリウム基、チアゾリウム基、オキサゾリウム基、キノリウム基、ベンゾイミダゾリウム基、ベンゾチアゾリウム基又はベンゾオキサゾリウム基である窒素カチオン含有基を示し、Lは、直接結合あるいは、-(CH2)n-(nは1〜4の整数)、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-(Rはアルキル基)、-Ar-(Arは芳香族炭化水素基)及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択された1種以上の官能基からなり、Mと発色部とを連結するリンカー、(12)、(14)及び(15)のR1とR4の残部、(13)及び(16)のR1、R4及びR5の残部、そしてR2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてアルキル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基又は複素環基を有してもよい芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基又は複素環基を示し、R'、R"は芳香環を含んでも良いアルキル基からなる脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基、An-は、ハロゲン化物イオン、CF3SO3 -、BF4 -又はPF6 -を示す。
また、上記のR2とR3に、それぞれ独立に、チオフェン誘導体、フラン誘導体、ピロール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ピラゾール誘導体、ピリジン誘導体及びキノリン誘導体からなる群から選択された1種を用いることもできる。
また、上記のR2とR3に、スルホニル基を有するアリール基を用いることもできる。
また、上記のリンカーLに、-(CH2)n-(nは1〜4の整数)を用いることもできる。
本発明の生体標本は、例えば、以下の方法で作製することができる。すなわち、本発明の生体標本の作製方法は、蛍光色素により標識された組織又は細胞が支持基材上に固定されている生体標本の作製方法であって、検体から採取した組織又は細胞を包埋剤により包埋して包埋体となし、該包埋体を薄切りして切片となし、該切片を支持基材上に固定し、該切片を、有機EL色素から成る発色部と、生体分子を結合する結合部と、発色部と結合部とを連結するスペーサー部とを有し、上記有機EL色素が、共役系を有し、1種以上のヘテロ原子、セレン原子又はボロン原子を含むアゾール誘導体又はイミダゾール誘導体である蛍光色素で標識することを特徴とする。
また、上記切片を蛍光色素で標識するに先立って、包埋剤を除去することもできる。
また、上記包埋体を作製するに際し、脱水溶剤にエーテルアルコール類又はグルシジルエーテル類を用いることができる。
本発明の生体標本は、例えば、以下の方法で観察することができる。
すなわち、複数の蛍光色素により標識された組織又は細胞が支持基材上に固定されている生体標本に励起光を照射し、生体標本からの蛍光を観察する生体標本の観察方法であって、上記蛍光色素に、少なくとも有機EL色素から成る発色部を有し、該有機EL色素が、共役系を有し、1種以上のヘテロ原子、セレン原子又はボロン原子を含むアゾール誘導体又はイミダゾール誘導体である蛍光色素を用い、該蛍光色素に1種の励起光を照射して同時励起させ、発生した蛍光を、該励起光を吸収する1種のフィルターのみを透過させて生体標本からの複数の蛍光を観察することを特徴とする。
なお、本発明の生体標本の観察に用いる顕微鏡観察とは、蛍光観察可能な顕微鏡を用いて行う観察を意味し、具体的には、蛍光顕微鏡、レーザ走査顕微鏡、共焦点レーザ顕微鏡等を用いて行う観察が含まれる。
本発明は、長期間保存しても蛍光色素からの蛍光が消失することがない永久標本を提供することができる。保存期間中であれば何度でも観察可能であるため、信頼性の高い病理診断を行うことができる。例えば、従来の蛍光色素を用いた生体標本では、1週間程度で褪色するのに対し、本発明の生体標本は、冷蔵保存可能である限り半永久的に保存することが可能となる。また、本発明の生体標本は、蛍光色素として、Cy3やCy5に比べ安価な有機EL色素を含む蛍光色素を用いているので、より安価に生体標本を作製することができる。さらに、有機EL色素は固体状態(固体及び半固体を含む)で高い量子収率を有しているので、実質的に乾燥状態である生体標本でも高い蛍光強度を与えるため、さらに信頼性の高い病理診断が可能となる。
また、本発明の生体標本は、組織又は細胞を包埋剤で包埋した態様も含むが、包埋剤に樹脂を用いる場合、その樹脂の自家蛍光により、蛍光色素の蛍光が不明確あるいは確認できないという問題があった。それに対し、本発明の生体標本は、包埋樹脂の自家蛍光に妨害されることなく、蛍光色素の蛍光を明確に確認することができるという効果を有するため、さらに信頼性の高い病理診断が可能となる。
また、本発明の観察方法によれば、多重標識した生体標本に1種の励起光を照射して同時励起させ、発生した蛍光を、該励起光を吸収する1種のフィルターのみを透過させることにより、複数の蛍光を同時に観察することが可能となる。これにより、短時間での観察が可能となり、かつ複数の励起光源と複数の蛍光分離のために複数のフィルターを設ける必要がないので、観察に用いる顕微鏡装置をより簡単な構成とすることが可能となり、顕微鏡装置の低コスト化も可能となる。
実施例1におけるマウスの肝臓の蛍光実体顕微鏡写真であり、上段はGFPを用いた標識例を示し、下段は本発明に用いた蛍光色素による標識例を示す。 実施例2におけるマウスのリンパ節の蛍光顕微鏡写真である。 実施例3における包埋樹脂の自家蛍光の影響を示す蛍光実体顕微鏡写真であり、上段は従来の蛍光色素を用いた例であり、下段は本発明に用いた蛍光色素を用いた例である。 実施例4の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 実施例5の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 実施例5の結果を示す別の蛍光顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、蛍光色素により標識された組織又は細胞が支持基材上に固定されている生体標本であって、上記蛍光色素が、少なくとも有機EL色素から成る発色部を有し、上記有機EL色素が、共役系を有し、1種以上のヘテロ原子、セレン原子又はボロン原子を含むアゾール誘導体又はイミダゾール誘導体であることを特徴とする。
本発明の生体標本が対象とする組織又は細胞には、ヒトを含む哺乳動物から採取した生体試料及び実験動物から採取した生体試料を用いることができる。組織としては、例えば、脳、肺、胃、肝臓、腎臓、膀胱、脾臓、小腸や大腸等の組織、皮膚組織、神経組織、血管組織、筋肉組織そして軟骨組織等を挙げることができる。また、細胞としては、それらの組織を構成する細胞(例えば、脳細胞、肝細胞、上皮細胞、内皮細胞、神経細胞、筋肉細胞、軟骨細胞等)、血球系細胞、体腔液中の細胞等を挙げることができる。
本発明の生体標本に用いる蛍光色素は、免疫組織染色を含む染色に使用でき、特定の生体分子と結合させて、あるいは組織や細胞に取り込ませることによって使用する。ここで、蛍光色素が結合する生体分子は、組織や細胞に存在する分子種を意味し、生体の構造を構築するためのもの、エネルギーの生産・変換に関与するもの、そして生体情報をつかさどるものが含まれる。具体的には、核酸、タンパク質、糖類、脂質、ぺプチド類、ヌクレオチド、代謝中間体や代謝酵素系、ホルモン、そして神経伝達物質等が含まれる。
また、蛍光色素を構成する有機EL色素は、一対の陽極と陰極との間に固体状態で挟持され、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子とが再結合する際のエネルギーにより発光可能な色素であれば特に限定されない。例えば、テトラフェニルブタジエンやペリレン等の多環芳香族化合物、シクロペンタジエン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、アクリドン誘導体、キナクドリン誘導体、スチルベン誘導体、フェノチアジン誘導体、ピラジノピリジン誘導体、アゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体そしてテトラフェニルチオフェン誘導体等を用いることができる。さらに、分子内にカルボン酸基を有し、又はカルボン酸基を導入可能な色素であることが好ましい。以下に述べるように、生体分子と結合するための反応性基の導入を容易に行うことができるからである。
生体分子と結合させる場合、蛍光色素は、結合部として生体分子(以下、標的分子という)を結合する反応性基を有しており、その反応性基には、生体分子との間に共有結合又はイオン結合を形成する置換基あるいは求核試薬又は求電子試薬を用いることができる。
生体分子との間に共有結合を形成する場合、反応性基は、標的分子のアミノ基、イミノ基、チオール基又はヒドロキシル基と反応可能な官能基が好ましい。有機EL色素と標的分子との間の共有結合としては、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、エステル結合、又はグアニジン結合を形成させることが好ましい。その官能基には、例えば、イソチオシアネート基、イソシアネート基、エポキシ基、ハロゲン化スルホニル基、塩化アシル基、ハロゲン化アルキル基、グリオキザル基、アルデヒド基、トリアジン基、カルボジイミド基、マレイミド基そして活性エステル化したカルボニル基等を用いることができる。好ましくは、イソチオシアネート基、イソシアネート基、エポキシ基、ハロゲン化アルキル基、トリアジン基、カルボジイミド基そして活性エステル化したカルボニル基から選択されたいずれか1種を用いることが好ましい。より好ましくは、イソチオシアネート基、イソシアネート基、エポキシ基、ハロゲン化アルキル基、トリアジン基、カルボジイミド基そして活性エステル化したカルボニル基から選択されたいずれか1種を用いることが好ましい。標的分子のアミノ基とアミド結合を形成することができ、また標的分子内のイミノ基に直接結合する事ができるからである。さらに好ましくはトリアジン基、カルボジイミド基又は活性エステル化したカルボニル基である。また、これらの有機EL色素がカルボン酸基を有する場合、カルボジイミド誘導体、トリアジン誘導体の存在下で、標的分子中に存在するアミノ基およびイミノ基を直接修飾する事も可能である。さらに、置換基を有しても良いトリアジン基、置換基を有しても良いカルボジイミド基を有する有機EL色素は、DNA塩基中のグアニン、チミンのイミノ基と直接反応するため、PCR法による色素の導入を行う必要が無く、ミスマッチ検出(二本鎖を形成していない塩基の検出)が可能であり、SNP(1塩基多型)解析の試薬として用いることが可能である。
また、標的分子との間にイオン結合を形成する反応性基には、アニオン性基、例えばスルホニル基やカルボキシル基を用いることができる。これらのアニオン性基は、生体分子のカチオン性基、例えばアミノ基とイオン結合する。
なお、標的分子がDNAの場合にはオリゴDNA末端に修飾されたアミノ残基と、タンパク質の場合にはアミノ残基と、ペプチド類の場合にはポリペプチドのアミノ基と、例えばポリリシン誘導体のアミノ残基と、そして糖類の場合には多糖類誘導体骨格内のアミノ基と反応性基を結合させることができる。
また、蛍光色素を生体分子と結合させることなく、組織や細胞内に取り込ませて用いる場合、蛍光色素は上記の反応性基を有する必要はないが、水への溶解性を向上させるため、親水基を有することが好ましい。この親水基には、アルキルエステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、アミノ基、四級アミノ基、リン酸基、シアノ基又はスルホニル基等を用いることができる。
また、蛍光色素は、発色部と結合部を連結するスペーサー部を有していても良い。スペーサー部は、発色部と反応性基とを連結する構成部分であって、共有結合又は原子鎖を含む部分であり、-CH2-、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-(Rはアルキル基)、-(CH2-CH2-O)n-(nは1から10の整数)、-CH=CH-、-C≡C-、-Ar-及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択される官能基を1種以上含むものを用いることができる。すなわち、スペーサー部は、上記の群から選択された1種の官能基のみで構成しても良く、2種以上の官能基を含む構成とすることもできる。また、選択した一の官能基を2個以上含む構成とすることもできる。
例えば、1種の官能基のみで構成する場合、-CONH-、-COO-、-CH2-O-R- 等が好ましい。また、2種以上の官能基で構成する場合、以下の態様とすることができる。
(1)2種の官能基で構成する場合
-CONH-COO-、-CH2-O-、-CH2-NR- 等が好ましい。
(2)3種以上の官能基で構成する場合
(i)以下の一般式(I)で表されるものを用いることができる。
-(CHR')p-X-(CHR")q- (I)
式中、Xは直接結合又は、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-、-CH=CH-、-C≡C-、-Ar-及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択された少なくとも1種の官能基を用いることができ、好ましくは-COO-、-CONH-、-O-、-CH=CH-、-C≡C-又は-Ar-、より好ましくは-COO-、-CONH-、-O-又は-Ar-を用いることができる。また、R'とR"はそれぞれ独立に、水素原子、あるいは芳香環を含んでも良いアルキル基又はアルケニル基等の脂肪族炭化水素基、あるいは芳香族炭化水素基であって、必要によりスルホニル基、ヒドロキシル基、4級アミン基及びカルボキシル基からなる群から選択されたいずれか1種の荷電基により置換されたものを用いることができる。また、Arはアリール基、好ましくは、フェニレン基又はナフチレンで基あり、必要に応じてスルホニル基で置換されたものを用いることができる。pとqはそれぞれ独立に0から20の整数、好ましくは0から10の整数、より好ましくは0から5の整数であり、p+q≧1である。
スペーサー部の具体例を挙げると、-(CH2)p-CONH-(CH2)q-、-(CH2)p-COO-(CH2)q-、
-(CH2)p-CH(-R'-SO3H)-(CH2)q-、-(CH2)p-CH(-R'-N+H3)-(CH2)q-、-(CH2)p-CH(-R'-COOH)-(CH2)q-、-(CH2)p-CH(-R'-OH)-(CH2)q-、-(CH2)p-(O-CH-)n-(CH2)q-、-(CH2)p-CONH(-R'-SO3H)-(CH2)q-、-(CH2)p-CONH(-R'-SO3H)-(CH2)q-、-(CH2)p-CONH(-R'-N+H3)-(CH2)q-、-(CH2)p-CONH(-R'-OH)-(CH2)q-、-(CH2)p-CONH(-R'-COOH)-(CH2)q-、-(CH2)p-COO-R'(-SO3H)-(CH2)q-、-(CH2)p-COO-R'(-OH)-(CH2)q-、-(CH2)p-COO-R'(-N+H3)-(CH2)q-、-(CH2)p-COO-R'(-COOH)-(CH2)q-、-(CH2)p-Ar-(CH2)q-、-(CH2)p-(Ar-COO)-(CH2)q-、-(CH2)p-(Ar-SO3H)-(CH2)q-、-(CH2)p-(Ar-N+H3)-(CH2)q-、-(CH2)p-(Ar-OH)-(CH2)q-、-(CH2)p-(Ar-COOH)-(CH2)q-、-(CH2)p-C≡C-(CH2)q-、-(CH2)p-C=C-(CH2)q-、-(CH2)p-NR-(CH2)q-、-(CH2)p-O-(CH2)q-、-(CH2)p-S-(CH2)q-、-(CH2)p-HN-C(=NH)-NH- (CH2)q-、-(CH2)p-CO-Ar-NR-(CH2)q-等を挙げることができる。より好ましくは、-(CH2)p-CONH-(CH2)q-、-(CH2)p-COO-(CH2)q-、
である。
(ii)また、以下の一般式(II)で表されるものを用いることもできる。
-Y-(CHR3)r-Z- (II)
ここで、Y及びZは、それぞれ独立に、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-、-CH=CH-、-C≡C-、-Ar-及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択された1種の官能基であり、好ましくは、-CONH-と-COO-、-COO-と-COO-、-COO-と-NR- 等の組み合わせである。また、R3は、水素原子、あるいは芳香環を含んでも良いアルキル基又はアルケニル基等の脂肪族炭化水素基、あるいは芳香族炭化水素基であって、必要によりスルホニル基、ヒドロキシル基、4級アミン基及びカルボキシル基からなる群から選択されたいずれか1種の荷電基により置換されたものを用いることができる。また、Arはアリール基、好ましくは、フェニレン基又はナフチレンで基あり、必要に応じてスルホニル基で置換されたものを用いることができる。rは0から20の整数、好ましくは0から10の整数、より好ましくは0から5の整数である。このスペーサー部の具体例を挙げると、-CONH-(CH2)r-COO-、-CONH-CH(-R3-OH)-COO-、-CONH-CH(-R3-COOH)-COO-、-CONH-CH(R3-SO3H)-COO-、-COO-(CH2)r-COO- 等を挙げることができる。
また、スペーサー部に、アミノ酸又は2〜20のアミノ酸から成るペプチドリンカーを用いることもできる。アミノ酸には天然又は合成のアミノ酸を用いることができる。ここで、天然アミノ酸には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、ホモセリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、アルギニン、システイン、システイン酸、2-アミノ-3-スルホサルファニルプロパン酸、2-アミノ-3-スルホキシプロパン酸、シスチン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、プロリン及び4-ヒドロキシプロリン等が含まれる。
合成アミノ酸には、上記天然アミノ酸のD体や、分子内に少なくともアミノ基とカルボキシル基とを有する修飾アミノ酸が含まれる。修飾アミノ酸は、一般式:H-N(R1)-(R2-CO)-OHで表すことができる。ここで、R1とR2は、それぞれ独立に、エステル、エーテル、チオエステル、チオエーテル、アミド、カルバミド又はチオカルバミドを介して又は介さずに、スルホニル基、ヒドロキシル基、4級アミン基、及びカルボキシル基からなる群から選択されたいずれか1種の荷電基により置換された炭化水素基又は芳香族基又はヘテロ環基を表す。さらに炭化水素基又は芳香族基又はヘテロ環基は、それぞれ、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアルコキシ基の少なくとも1種で置換されていても良い。
また、スペーサー部に用いるより好ましいアミノ酸は、スルホニル基を有するアミノ酸である、システイン酸、2-アミノ-3-スルホサルファニルプロパン酸、2-アミノ-3-スルホキシプロパン酸、そしてヒドロキシル基を有するチロシン、スレオニン、セリン、ホモセリンからなる群から選択されたいずれか1種である。蛍光色素の水溶性を向上させることができるからである。さらに好ましくは、システイン酸、セリン又はホモセリンである。
ペプチドリンカーとしては、それぞれ、-C(-R1)-CONH-C(-R2)-、-C(-R1)-CONH-C(-R2)-CONH-C(-R3)-、-C(-R1)-CONH-C(-R2)-CONH-C(-R3)-CONH-C(-R4)-で表されるジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドを用いることが好ましい。ここで、R1、R2、R3、R4は、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、アルコール基、インドール基、ヒドロキシフェニル基、ベンジル基、グアニジン基、チオエーテル基、アルキルチオール基、イミダゾール基又はアルキルアミン基等の置換基を表す。これらペプチドは、ホモ又はヘテロペプチドであって良い。具体例を挙げると、Ala-Ser、Glu-Ala、Glu-Ala-Leu、Gly-Pro、Gly-Pro-Asn、Ile-Val、Ile-Val-Met等を用いることができる。
また、ペプチドリンカーの一部を必要によりスルホニル基、ヒドロキシル基、4級アミン基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1種の荷電基を有するものを用いることができる。例えば、これらのいずれか1個の荷電基を有するアミノ酸を1種以上含むペプチドリンカーを用いることができる。これにより、蛍光色素の水溶性を向上させることができる。例えば、スルホニル基を有するシステイン酸、2-アミノ-3-スルホサルファニルプロパン酸、2-アミノ-3-スルホキシプロパン酸、ヒドロキシル基を有するチロシン、スレオニン、セリン、ホモセリンを含む群から選択された少なくとも1種のアミノ酸を含むペプチドリンカーを用いることができる。
スペーサー部の長さ及びその構造を変えることにより、発色部と生体分子の標識部位との間の距離を変えて生体分子と蛍光色素との間の立体障害を抑制することが可能である。すなわち、複雑な構造をとる、タンパク質、ペプチド、DNA等の生体分子の立体構造に合わせて、立体障害を抑制するように蛍光色素の構造設計をすることができるので、標識率を向上させることが可能となる。あるいは、スペーサー部に、剛直性を与える官能基、例えば、-CH=CH-、-C≡C-、-Ar-及び-CO-Ar-NR-を導入することで、特定の標識部位、例えば深部にある標識部位に対する立体障害を大きくすることもできる。これにより、立体障害の少ない標識部位、例えば浅部のみを選択的に標識する一方、立体障害の少ない別の蛍光色素で深部の標識部位を標識することにより、深部と浅部の標識部位を識別することも可能となる。
蛍光色素に反応性基を導入する場合、例えば、スキーム1に示す反応を用いることができる。反応式(I)は、反応性基に活性エステル化したカルボニル基を用い、反応性基と結合するスペーサー部の官能基に-COO-を用いた例を示している。活性エステル化したカルボニル基には、N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルやマレイミドエステルを用いることができる。N−ヒドロキシ−スクシンイミドを用い、縮合剤としてDCCを用いることによりN−ヒドロキシ−スクシンイミドエステル体を経由してアミド結合により有機EL色素と標的分子が結合する。
また、反応式(II)は、活性エステル化したカルボニル基にトリアジン誘導体を用い、反応性基と結合するスペーサー部の官能基に-COO-を用いた例を示している。
また、反応式(III)は、反応性基にカルボジイミド基を用い、反応性基と結合するスペーサー部の官能基に-COO-を用いた例を示している。カルボジイミド基には、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)や1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリノエチル)カルボジイミド等のカルボジイミド試薬を用いることができる。カルボジイミド体を経由してアミド結合により有機EL色素と標的分子を結合させることができる。
また、反応式(IV)は、スペーサー部に予めカルボジイミド基、トリアジン基を導入した例、すなわち、反応性基と結合するスペーサー部の官能基が反応性基を兼ねる例を示している。これにより、蛍光色素に別途、反応性基を導入しなくても、標的分子内のアミノ基、イミノ基に対して蛍光色素を直接結合させる事ができる。
Figure 2008013260
蛍光色素に用いる好ましい有機EL色素は、共役系を有する5員環化合物を含む化合物であって、その5員環化合物が1種以上のヘテロ原子、セレン原子又はボロン原子を含むものを挙げることができる。さらに、詳しくは共役系を有する5員環化合物から成る単環化合物と、その5員環化合物と共役系を有する6員環化合物から成る縮合多環化合物を挙げることができる。固体状態であっても、量子収率が大きく、強い蛍光を示すからである。5員環化合物には、アゾール誘導体あるいはイミダゾール誘導体が好ましい。さらに、アゾール誘導体あるいはイミダゾール誘導体は1以上の4級アンモニウム基を有することが好ましい。水溶性を向上させことができるからである。
以下に、縮合多環化合物の具体例について説明する。
(モノアゾール誘導体1)
Figure 2008013260
ここで、R1、R2、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基、複素環基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基を示し、R1、R2、R3、R4、R5は同じでも異なっていても良い。上記のアルキル基は、好ましくは炭素数1から6の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。また、上記のアルケニル基は、好ましくはビニル基、アリル基、クロチル基、チグリル基又はプレニル基である。また、上記のアルキニル基は、好ましくはエチニル基又はプロパルギル基である。また、上記のアルコキシ基は、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチロキシ基又はフェノキシ基である。また、上記アルキルエステル基はメチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、イソプロピルエステル基、ブチルエステル基又はイソブチルエステル基である。また、上記の芳香族炭化水素基は単環又は多環を含み、好ましくはフェニル基、トリル基、キシリル基又はナフチル基であり、より好ましくはフェニル基である。また、上記の複素環基は、好ましくはピロール基、フラン基、チオフェン基、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、ピラゾール基、ピリジン基又はキノリン基であり、より好ましくはフラン基、イミダゾール基又はチオフェン基である。また、上記の炭化水素基は、好ましくは炭素数1から6の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。
また、R'は芳香環を含んでも良いアルキル基又はアルケニル基等の脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基を示す。ここで、アルキル基、アルケニル基芳香族炭化水素基には、上記と同様のものを用いることができる。
また、An-は、Cl-、Br-、I-等のハロゲン化物イオン、CF3SO3 -、BF4 -又はPF6 -を示す。なお、以下の一般式においても、特に断らない限り同様である。
(モノアゾール誘導体2)
Figure 2008013260
ここで、式中、R8、R9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基、複素環基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基を示し、R8、R9は同じでも異なっていても良い。上記のアルキル基は、好ましくは炭素数1から6の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。また、上記のアルケニル基は、好ましくはビニル基、アリル基、クロチル基、チグリル基又はプレニル基である。また、上記のアルキニル基は、好ましくはエチニル基又はプロパルギル基である。また、上記のアルコキシ基は、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチロキシ基又はフェノキシ基である。また、上記アルキルエステル基はメチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、イソプロピルエステル基、ブチルエステル基又はイソブチルエステル基である。また、上記の芳香族炭化水素基は単環又は多環を含み、好ましくはフェニル基、トリル基、キシリル基又はナフチル基であり、より好ましくはフェニル基である。また、上記の複素環基は、好ましくはピロール基、フラン基、チオフェン基、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、ピラゾール基、ピリジン基又はキノリン基であり、より好ましくはフラン基、イミダゾール基又はチオフェン基である。また、上記の炭化水素基は、好ましくは炭素数1から6の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。
なお、以下の一般式においても、特に断らない限り同様である。また、nは1以上の整数、好ましくは1〜5であり、以下の一般式中でも同様である。
(ジアゾール誘導体1)
Figure 2008013260
(ジアゾール誘導体2)
Figure 2008013260
(ジアゾール誘導体3)
Figure 2008013260
ここで、式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基、複素環基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基を示し、R1、R2、R3、R4、R6、R7は同じでも異なっていてもよい。R2、R3は、置換基を有しても良い芳香族炭化水素基、好ましくはフェニル基を用いることができ、その置換基には炭素数1から4のアルキル基やアルコキシ基、又は臭素原子を用いることが好ましい。さらに、アルキル基にはメチル基、アルコキシ基にはメトキシ基を用いることが好ましい。また、Xは、置換基を有しても良い窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子又はボロン原子であり、特に断らない限り以下の一般式中でも同様である。
(ジアゾール誘導体4)
Figure 2008013260
(ジアゾール誘導体5)
Figure 2008013260
ここで、N→Oは、窒素原子が酸素原子に配位結合している状態を示す。
(ジアゾール誘導体6)
Figure 2008013260
(ジアゾール誘導体7)
Figure 2008013260
(ジアゾール誘導体8)
Figure 2008013260
Figure 2008013260
ここで、式中、R10、R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基、複素環基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基を示し、R10、 R11は同じでも異なっていてもよい。上記のアルキル基は、好ましくは炭素数1から6の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。また、上記のアルケニル基は、好ましくはビニル基、アリル基、クロチル基、チグリル基又はプレニル基である。また、上記のアルキニル基は、好ましくはエチニル基又はプロパルギル基である。また、上記のアルコキシ基は、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチロキシ基又はフェノキシ基である。また、上記アルキルエステル基はメチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、イソプロピルエステル基、ブチルエステル基又はイソブチルエステル基である。また、上記の芳香族炭化水素基は単環又は多環を含み、好ましくはフェニル基、トリル基、キシリル基又はナフチル基であり、より好ましくはフェニル基である。また、上記の複素環基は、好ましくはピロール基、フラン基、チオフェン基、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、ピラゾール基、ピリジン基又はキノリン基であり、より好ましくはフラン基、イミダゾール基又はチオフェン基である。また、上記の炭化水素基は、好ましくは炭素数1から6の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。また、R12は、置換基を有してもよいオレフィン基又はパラフィン基であり、nは1から3の整数、好ましくは1である。なお、以下の一般式においても、特に断らない限り同様である。
(ジアゾール誘導体9)
Figure 2008013260
Figure 2008013260
(トリアゾール誘導体1)
Figure 2008013260
(トリアゾール誘導体2)
Figure 2008013260
5員環化合物として、チオフェン基を含む以下の誘導体を用いることもできる。
(チオフェン誘導体1)
Figure 2008013260
(チオフェン誘導体2)
Figure 2008013260
(チオフェン誘導体3)
また、チオフェン誘導体の場合、非縮合系の化合物であり、以下の一般式で示される2,3,4,5-テトラフェニルチオフェン誘導体を用いることもできる。
Figure 2008013260
ここで、式中、R13,R14,R15は、それぞれ独立に、水素原子あるいは直鎖、分岐又は環状の炭素数1から6のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、好ましくはフェニル基、トリル基、キシリル基又はナフチル基を表し、あるいは置換又は未置換のアラルキル基、好ましくはベンジル基又はフェネチル基を表し、Ar1およびAr2は置換又は未置換のアリール基、好ましくはフェニル基、トリル基、キシリル基又はナフチル基を表し、さらに、Ar1とAr2は結合している窒素原子と共に含窒素複素環を形成してもよい。また、Y1およびY2は水素原子、ハロゲン原子、あるいは直鎖、分岐又は環状の炭素数1から6のアルキル基、あるいは直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチロキシ基又はフェノキシ基、あるいは置換又は未置換のアリール基、好ましくはフェニル基、トリル基、キシリル基又はナフチル基、あるいは置換又は未置換のアラルキル基、好ましくはベンジル基又はフェネチル基、あるいは置換又は未置換のアミノ基を表す。
(チオフェン誘導体4)
また、以下の一般式で示される2,3,4,5-テトラフェニルチオフェン誘導体を用いることもできる。
Figure 2008013260
ここで、式中、Ar1〜Ar6はそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基、好ましくはフェニル基、トリル基、キシリル基又はナフチル基を表し、さらに、Ar1とAr2、Ar3とAr4およびAr5とAr6は結合している窒素原子と共に含窒素複素環を形成していても良い。
また、5員環化合物にイミダゾールを用い、以下の一般式で示すイミダゾール誘導体を用いることもできる。ここで、イミダゾール誘導体を構成するイミダゾール基は4級アンモニウム基を有することが好ましい。水溶性を向上させることができるからである。さらに、ピリジノ基を含む場合、より水溶性を向上させるために、ピリジノ基も4級アンモニウム基を有していても良い。なお、以下の一般式中、R''は芳香環を含んでも良いアルキル基又はアルケニル基等の脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基を示す。
(イミダゾール誘導体1)
Figure 2008013260
(イミダゾール誘導体2)
Figure 2008013260
(イミダゾール誘導体3)
Figure 2008013260
(イミダゾール誘導体4)
Figure 2008013260
Figure 2008013260
ここで、イミダゾール骨格は中央のベンゼン環R8, R9, R10, R11 の任意の位置に複数ユニットが結合していても良い。また、R12は、置換基を有してもよいオレフィン基又はパラフィン基であり、nは1から3の整数、好ましくは1である。
(カルバゾール誘導体)
また、以下の一般式で示されるカルバゾール誘導体を用いることもできる。
Figure 2008013260
また、共役系を有する5員環化合物であって、1種以上のヘテロ原子、セレン原子又はボロン原子を含む単環化合物を用いることもできる。特に限定されないが、例えば、以下の一般式で表されるイミダゾール誘導体を用いることができる。
Figure 2008013260
ここで、式中、R1、 R4、 R5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基又は複素環基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基を示し、R1、R4、Rは同じでも異なっていてもよい。上記のアルキル基は、好ましくは炭素数1から6の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。また、上記のアルケニル基は、好ましくはビニル基、アリル基、クロチル基、チグリル基又はプレニル基である。また、上記のアルキニル基は、好ましくはエチニル基又はプロパルギル基である。また、上記のアルコキシ基は、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチロキシ基又はフェノキシ基である。また、上記アルキルエステル基はメチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、イソプロピルエステル基、ブチルエステル基又はイソブチルエステル基である。また、上記の芳香族炭化水素基は単環又は多環を含み、好ましくはビフェニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基又はナフチル基であり、より好ましくはビフェニル基、フェニル基である。また、上記の複素環基は、好ましくはピロール基、フラン基、チオフェン基、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、ピラゾール基、ピリジン基又はキノリン基であり、より好ましくはフラン基、イミダゾール基又はチオフェン基である。また、上記の炭化水素基は、好ましくは炭素数1から6の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。
本発明の蛍光色素に用いる有機EL色素には、以上、説明した縮合多環化合物及び単環化合物であれば特に限定されないが、以下の一般式で表されるジアゾール誘導体又はイミダゾール誘導体を好適に用いることができる。
Figure 2008013260
Figure 2008013260
さらに、上記のジアゾール誘導体及びイミダゾール誘導体の中で、ジアゾロピリジン誘導体又はイミダゾロピリジン誘導体を好適に用いることができる。
本発明の特に好ましい蛍光色素は、上記のジアゾロピリジン誘導体又はイミダゾロピリジン誘導体を発色部に含むものであり、以下の一般式で表すことができる。
Figure 2008013260
Figure 2008013260
-(CHR')p-X-(CHR")q-は前述のスペーサー部を表す。また、Zは前述の反応性基を表す。ここで、上記のR2とR3に、置換基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基を用いることが好ましい。Cy3に対応する緑色蛍光色素を得ることができる。芳香族炭化水素基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基又はナフチル基、より好ましくはフェニル基又はトリル基である。さらに、置換基としてはスルホニウム基が好ましい。水溶性を高めることができるからである。
あるいは、上記のR2とR3に、置換基を有しても良いチオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、ピラゾール基及びピリジン基からなる群から選択された1種、より好ましくはチオフェン基、イミダゾール基又はフラン基を用いることもできる。Cy5に対応する赤色蛍光色素を得ることができる。
蛍光色素は、反応性基とスペーサー部の組み合わせにより種々の方法により合成することができる。例えば、反応性基に活性エステル化したカルボニル基を用いる場合、予めジアゾロピリジン誘導体又はイミダゾロピリジン誘導体の活性エステル体を合成しておき、この活性エステル体にスペーサー用化合物(例えば、グリシン、アラニン、4−アミノブタン酸、システイン酸、セリン等のアミノ酸)を反応させてカルボン酸体を得、このカルボン酸体を、N−ヒドロキシ−スクシンイミドと反応させることにより、スペーサーを導入した活性エステル体を得ることができる。例えば、スペーサー用化合物にグリシンを用いた場合、-CONH-と-(CH2)-を有するスペーサー部を得ることができる。また、β-アラニンを用いた場合、-CONH-と-(CH2)2-を有するスペーサー部を得ることができる。また、4-アミノブタン酸を用いた場合、-CONH-と-(CH2)3-を有するスペーサー部を得ることができる。また、システイン酸を用いた場合、-CONH-と-SO3 -を有するスペーサー部を得ることができる。また、セリンを用いた場合、-CONH-と-OHを有するスペーサー部を得ることができる。システイン酸とセリンを用いることにより、スペーサー部にそれぞれ、スルホニウム基と水酸基を導入することができ、蛍光色素の水溶性を向上させることができる。
また、本発明の別の態様として、窒素カチオン含有基を有するアゾール誘導体又はイミダゾール誘導体を用いることもできる。そのアゾール誘導体として、以下の一般式(9)、(10)又は(11)で表されるものを用いることもできる。
Figure 2008013260
ここで、(9)及び(11)ではR1は、そして(10)ではR1とR4の一方は、一般式L-Mで示され、Mは、ピリジニウム基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アミノ基、ピペリジニウム基、ピペラジニウム基、イミダゾリウム基、チアゾリウム基、オキサゾリウム基、キノリウム基、ベンゾイミダゾリウム基、ベンゾチアゾリウム基又はベンゾオキサゾリウム基である窒素カチオン含有基を示し、Lは、直接結合あるいは、-(CH2)n-(nは1〜4の整数)、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-(Rはアルキル基)、-Ar-(Arは芳香族炭化水素基)及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択された1種以上の官能基からなり、Mと発色部とを連結するリンカーを示す。リンカーを用いることが好ましい。リンカーは、発色部と標識対象である生体分子との間の立体障害を緩和させ、結合部と生体分子の標識部位との結合を容易にするので、より高い標識率を与えることが可能だからである。
また、(10)のR1とR4の残部及びR2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてアルキル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基又は複素環基を有してもよい芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基又は複素環基を示す。上記のアルキル基は、例えば炭素数1から6の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。また、上記のアルコキシ基は、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチロキシ基又はフェノキシ基である。また、上記のアルキルエステル基は、炭素数1から6の直鎖状又は分岐状のアルキルエステルである。また、上記の芳香族炭化水素基は単環又は多環を含むアリール基、具体的にはフェニル基、トリル基、キシリル基又はナフチル基であり、より好ましくはフェニル基である。また、上記の複素環基は、例えばピロール基、フラン基、チオフェン基、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、ピラゾール基、ピリジン基又はキノリン基であり、より好ましくはフラン基、イミダゾール基又はチオフェン基である。また、上記の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1から6の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。好ましくは、R2、R3が、それぞれ独立に、チオフェン誘導体、フラン誘導体、ピロール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ピラゾール誘導体、ピリジン誘導体及びキノリン誘導体からなる群から選択された1種である。あるいは、好ましくは、R2、R3が、スルホニル基を有するアリール基である。
また、Xは置換基を有していてもよい炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子又はボロン原子を示す。
また、R'は芳香環を含んでも良いアルキル基からなる脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基を示す。ここで、その脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基には、上記と同様のものを用いることができる。
また、An-は、Cl-、Br-、I-等のハロゲン化物イオン、CF3SO3 -、BF4 -又はPF6 -を示す。
窒素カチオン含有基を有するアゾール誘導体として、ジアゾール誘導体の例を示したが、以下の一般式で表されるトリアゾール誘導体を用いることもできる。トリアゾール誘導体を用いても、ジアゾール誘導体の場合と同様の効果を得ることができる。
Figure 2008013260
ここで、(17)及び(19)ではR1は、そして(18)ではR1とR7の一方は、一般式L-Mで示され、Mは、ピリジニウム基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アミノ基、ピペリジニウム基、ピペラジニウム基、イミダゾリウム基、チアゾリウム基、オキサゾリウム基、キノリウム基、ベンゾイミダゾリウム基、ベンゾチアゾリウム基又はベンゾオキサゾリウム基である窒素カチオン含有基を示し、Lは、直接結合あるいは、-(CH2)n-(nは1〜4の整数)、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-(Rはアルキル基)、-Ar-(Arは芳香族炭化水素基)及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択された1種以上の官能基からなり、Mと発色部とを連結するリンカーを示す。リンカーを用いることが好ましい。
また、(18)のR1とR7の残部及びR2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてアルキル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基又は複素環基を有してもよい芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基又は複素環基を示す。上記のアルキル基は、例えば炭素数1から6の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。また、上記のアルコキシ基は、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチロキシ基又はフェノキシ基である。また、上記のアルキルエステル基は、炭素数1から6の直鎖状又は分岐状のアルキルエステルである。また、上記の芳香族炭化水素基は単環又は多環を含むアリール基、具体的にはフェニル基、トリル基、キシリル基又はナフチル基であり、より好ましくはフェニル基である。また、上記の複素環基は、例えばピロール基、フラン基、チオフェン基、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、ピラゾール基、ピリジン基又はキノリン基であり、より好ましくはフラン基、イミダゾール基又はチオフェン基である。また、上記の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1から6の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。好ましくは、R2、R3が、それぞれ独立に、チオフェン誘導体、フラン誘導体、ピロール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ピラゾール誘導体、ピリジン誘導体及びキノリン誘導体からなる群から選択された1種である。あるいは、好ましくは、R2、R3が、直接または炭素鎖を挟んでスルホニル基を有するアリール基である。
また、R'は芳香環を含んでも良いアルキル基からなる脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基を示す。ここで、その脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基には、上記と同様のものを用いることができる。
また、An-は、Cl-、Br-、I-等のハロゲン化物イオン、CF3SO3 -、BF4 -又はPF6 -を示す。
また、窒素カチオン含有基を有するイミダゾール誘導体は、以下の一般式で示すことができる。
Figure 2008013260
ここで、(12)、(14)及び(15)のR1とR4の一方、そして(13)及び(16)のR1、R4及びR5のいずれか一つは、一般式L-Mで示され、Mは、ピリジニウム基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アミノ基、ピペリジニウム基、ピペラジニウム基、イミダゾリウム基、チアゾリウム基、オキサゾリウム基、キノリウム基、ベンゾイミダゾリウム基、ベンゾチアゾリウム基又はベンゾオキサゾリウム基である窒素カチオン含有基を示し、Lは、直接結合あるいは、-(CH2)n-(nは1〜4の整数)、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-(Rはアルキル基)、-Ar-(Arは芳香族炭化水素基)及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択された1種以上の官能基からなり、Mと発色部とを連結するリンカーを示す。リンカーを用いることが好ましい。
また、(12)、(14)及び(15)のR1とR4の残部、(13)及び(16)のR1、R4及びR5の残部、そしてR2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてアルキル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基又は複素環基を有してもよい芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基又は複素環基を示す。上記のアルキル基は、例えば炭素数1から6の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。また、上記のアルコキシ基は、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチロキシ基又はフェノキシ基である。また、上記のアルキルエステル基は、炭素数1から6の直鎖状又は分岐状のアルキルエステルである。また、上記の芳香族炭化水素基は単環又は多環を含むアリール基、具体的にはフェニル基、トリル基、キシリル基又はナフチル基であり、より好ましくはフェニル基である。また、上記の複素環基は、例えばピロール基、フラン基、チオフェン基、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、ピラゾール基、ピリジン基又はキノリン基であり、より好ましくはフラン基、イミダゾール基又はチオフェン基である。また、上記の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1から6の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。好ましくは、R2、R3が、それぞれ独立に、チオフェン誘導体、フラン誘導体、ピロール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チジアゾール誘導体、ピラゾール誘導体、ピリジン誘導体及びキノリン誘導体からなる群から選択された1種である。あるいは、好ましくは、R2、R3が、スルホニル基を有するアリール基である。
また、R'、R"は芳香環を含んでも良いアルキル基からなる脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基を示す。ここで、その脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基には、上記と同様のものを用いることができる。
また、An-は、Cl-、Br-、I-等のハロゲン化物イオン、CF3SO3 -、BF4 -又はPF6 -を示す。
上記の窒素カチオン含有基を有するアゾール誘導体及びイミダゾール誘導体のいずれにおいても、リンカーは、-(CH2)n-(nは1〜4の整数)、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-(Rはアルキル基)、-Ar-(Arは芳香族炭化水素基)及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択された1種の官能基のみで構成しても良く、あるいは2種以上の官能基を含む構成とすることもできる。また、選択した一の官能基を2個以上含む構成とすることもできる。
例えば、1種の官能基のみで構成する場合、-CONH-、-O-、-COO-又は-(CH2)n-、より好ましくは、-COO-又は-(CH2)n-、さらに好ましくは、-(CH2)n-である。ここで、-(CH2)n-のnは1もしくは2が好ましい。
また、2種以上の官能基で構成する場合、以下の態様とすることができる。
(1)2種の官能基で構成する場合
-CONH-COO-、-CH2-O-又は-CH2-NR- が好ましい。
(2)3種以上の官能基で構成する場合
(i)以下の一般式(I)で表されるものを用いることができる。
-(CHR')p-X-(CHR")q- (I)
式中、Xは直接結合又は、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-、-Ar-及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択された少なくとも1種の官能基を用いることができ、好ましくは-COO-、-CONH-、-O-又は-Ar-、より好ましくは-COO-、-CONH-、-O-又は-Ar-を用いることができる。また、R'とR"はそれぞれ独立に、水素原子、あるいは芳香環を含んでも良いアルキル基から成る脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基であって、必要によりスルホニル基、ヒドロキシル基、4級アミノ基及びカルボキシル基からなる群から選択されたいずれか1種の荷電基により置換されたものを用いることができる。また、Arはアリール基、好ましくは、フェニレン基又はナフチレンで基あり、必要に応じてスルホニル基で置換されたものを用いることができる。pとqはそれぞれ独立に0から20の整数、好ましくは0から10の整数、より好ましくは0から5の整数であり、p+q≧1である。
リンカーの具体例を挙げると、-(CH2)p-CONH-(CH2)q-、-(CH2)p-COO-(CH2)q-、
-(CH2)p-CH(-R'-SO3H)-(CH2)q-、-(CH2)p-CH(-R'-N+H3)-(CH2)q-、-(CH2)p-CH(-R'-COOH)-(CH2)q-、-(CH2)p-CH(-R'-OH)-(CH2)q-、-(CH2)p-(O-CH-)n-(CH2)q-、-(CH2)p-CONH(-R'-SO3H)-(CH2)q-、-(CH2)p-CONH(-R'-SO3H)-(CH2)q-、-(CH2)p-CONH(-R'-N+H3)-(CH2)q-、-(CH2)p-CONH(-R'-OH)-(CH2)q-、-(CH2)p-CONH(-R'-COOH)-(CH2)q-、-(CH2)p-COO-R'(-SO3H)-(CH2)q-、-(CH2)p-COO-R'(-OH)-(CH2)q-、-(CH2)p-COO-R'(-N+H3)-(CH2)q-、-(CH2)p-COO-R'(-COOH)-(CH2)q-、-(CH2)p-Ar-(CH2)q-、-(CH2)p-(Ar-COO)-(CH2)q-、-(CH2)p-(Ar-SO3H)-(CH2)q-、-(CH2)p-(Ar-N+H3)-(CH2)q-、-(CH2)p-(Ar-OH)-(CH2)q-、-(CH2)p-(Ar-COOH)-(CH2)q-、-(CH2)p-NR-(CH2)q-、-(CH2)p-O-(CH2)q-、-(CH2)p-S-(CH2)q-、-(CH2)p-HN-C(=NH)-NH- (CH2)q-、-(CH2)p-CO-Ar-NR-(CH2)q-等を挙げることができる。より好ましくは、-(CH2)p-CONH-(CH2)q-又は-(CH2)p-COO-(CH2)q-である。
(ii)また、以下の一般式(II)で表されるものを用いることもできる。
-Y-(CHR3)r-Z- (II)
ここで、Y及びZは、それぞれ独立に、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-、-Ar-及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択された1種の官能基であり、好ましくは、YとZがそれぞれ、-CONH-と-COO-、-COO-と-COO-、-COO-と-NR- の組み合わせ、より好ましくは-COO-と-COO-、-COO-と-NR- の組み合わせである。また、R3は、水素原子、あるいは芳香環を含んでも良いアルキル基から成る脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基であって、必要によりスルホニル基、ヒドロキシル基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アミノ基及びカルボキシル基からなる群から選択されたいずれか1種の荷電基により置換されたものを用いることができる。また、Arはアリール基、好ましくは、フェニレン基又はナフチレン基であり、必要に応じてスルホニル基で置換されたものを用いることができる。rは0から20の整数、好ましくは0から10の整数、より好ましくは0から5の整数である。このスペーサー部の具体例を挙げると、-CONH-(CH2)r-COO-、-CONH-CH(-R3-OH)-COO-、-CONH-CH(-R3-COOH)-COO-、-CONH-CH(R3-SO3H)-COO-、-COO-(CH2)r-COO- 等を挙げることができる。
また、リンカーにペプチドリンカーを用いることもできる。ペプチドリンカーとしては、それぞれ、-C(-R1)-CONH-C(-R2)-、-C(-R1)-CONH-C(-R2)-CONH-C(-R3)-、-C(-R1)-CONH-C(-R2)-CONH-C(-R3)-CONH-C(-R4)-で表されるジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドを用いることが好ましい。ここで、R1、R2、R3、R4は、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、アルコール基、インドール基、ヒドロキシフェニル基、ベンジル基、グアニジン基、チオエーテル基、アルキルチオール基、イミダゾール基又はアルキルアミノ基等の置換基を表す。これらペプチドは、ホモ又はヘテロペプチドであって良い。具体例を挙げると、Ala-Ser、Glu-Ala、Glu-Ala-Leu、Gly-Pro、Gly-Pro-Asn、Ile-Val、Ile-Val-Met等を用いることができる。
本発明の窒素カチオン含有基を有する蛍光色素は、その高い水溶性により、生体分子に対する標識率を向上させることができ、高感度の生体分子の検出が可能となる。これにより使用する標識色素の量を大幅に低減できることから、標的分子の検出費用を大幅にコストダウンすることも可能となる。
また、窒素カチオン含有基に結合部を設けることができる。その結合部には、生体分子と結合して共有結合やイオン結合を形成する反応性基を用いることができる。
その共有結合として、例えばアミド結合、イミド結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、エステル結合、又はグアニジン結合を形成する場合、反応性基には、生体分子のアミノ基、イミノ基、チオール基、カルボキシル基又はヒドロキシル基と反応可能な官能基が好ましい。その官能基には、例えば、イソチオシアネート基、イソシアネート基、エポキシ基、ハロゲン化スルホニル基、塩化アシル基、ハロゲン化アルキル基、グリオキザル基、アルデヒド基、トリアジン基、カルボジイミド基、マレイミド基そして活性エステル化したカルボニル基等を用いることができる。好ましくは、イソチオシアネート基、イソシアネート基、エポキシ基、ハロゲン化アルキル基、トリアジン基、カルボジイミド基そして活性エステル化したカルボニル基から選択されたいずれか1種を用いることが好ましい。より好ましくは、イソチオシアネート基、イソシアネート基、エポキシ基、ハロゲン化アルキル基、トリアジン基、カルボジイミド基そして活性エステル化したカルボニル基から選択されたいずれか1種を用いることが好ましい。さらに好ましくはトリアジン基、カルボジイミド基又は活性エステル化したカルボニル基である。これら反応性基と反応する窒素カチオン含有基の官能基としては、例えばカルボキシル基を用いることができる。例えば、活性エステル化したカルボニル基には、N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルやマレイミドエステルを用いることができる。N−ヒドロキシ−スクシンイミドを用い、縮合剤としてDCCを用いることによりN−ヒドロキシ−スクシンイミドエステル体を経由してアミド結合により蛍光色素と生体分子が結合する。また、カルボジイミド基には、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)や1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリノエチル)カルボジイミド等のカルボジイミド試薬を用いることができる。カルボジイミド体を経由してアミド結合により蛍光色素と生体分子とを結合させることができる。
また、イオン結合を形成する反応性基には、アニオン性基やカチオン性基を用いることができる。アニオン性基としては、例えばスルホニル基やカルボキシル基を用いることができる。これらのアニオン性基は、生体分子のカチオン性基、例えばアミノ基とイオン結合する。また、カチオン性基としては、4級アンモニウム基やピリジニウム基等の窒素カチオン含有基を用いることができる。これらカチオン性基は、生体分子のアニオン性基、例えばカルボキシル基とイオン結合する。なお、本発明においては、発色部に結合した窒素カチオン含有基が反応性基としてのカチオン性基を兼ねることができる。
窒素カチオン含有基を有するアゾール誘導体及びイミダゾール誘導体において、リンカーと窒素カチオン含有性基の組合せは特に限定されないが、リンカーには-(CH2)n-(nは1〜4の整数)を用い、窒素カチオン含有性基には、ピリジニウム基、ピペリジニウム基、ピペラジニウム基又は4級アミノ基を用いることが好ましい。
本発明の生体標本の作製方法は、特に限定されず、従来、顕微鏡観察用に用いられているいずれの作製方法も用いることができ、例えば、検体の薄切片を用いる包埋法や凍結法を挙げることができる。また、実体観察のため、検体片自身を支持基材上に固定する方法も含まれる。
包埋法に用いる包埋剤には、パラフィン、セロイジン、カーボワックス、ゼラチン、アルブミン、アガロース、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂等を用いることができる。
また、生体標本に用いる支持基材には、ガラス製支持基材、樹脂製支持基材、半導体製支持基材、そして金属製支持基材を用いることができる。ガラス製支持基材には、スライドガラスを用いることができる、また、樹脂製支持基材には、透明又は半透明な樹脂を用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等からなる支持体を挙げることができる。また、半導体製支持基材には、シリコンウェハー、金属製支持基材には、銅、金、ニッケル、モリブデン等からなるグリッドメッシュを挙げることができる。光学顕微鏡観察には、ガラス製支持基材又は樹脂製支持基材を用いることができるが、スライドガラスが好ましい。また、電子顕微鏡観察には、樹脂製支持基材半導体製支持基材、そして金属製支持基材のいずれも用いることができる。
包埋剤にパラフィンを用いる場合、例えば、以下の方法により生体標本を作製することができる。すなわち、検体からの組織又は細胞の採取、固定、脱水、置換、包埋、薄切り、染色の手順により作製する。
検体からの採取は、固定液の滲透を良くするために、薄くかつ小さく、例えば、厚さ1mm、大きさ1mm3程度に細切りして行う。固定は、組織や細胞を生体に近い状態に保存するために行うもので、ホルムアルデヒドやグルタールアルデヒド等の還元剤を用いて行う。次に、組織中の水分を除くために脱水剤にエタノールやアセトン等を用いて脱水する。次に、パラフィンで包埋するに先立って、パラフィンと脱水剤との親和性を有する置換剤、例えばキシレンを用い、組織内を置換する。次に、パラフィンを組織内に滲透させて固めてパラフィン包埋体を作製する。そのパラフィン包埋体をミクロトームにより薄切りして厚さ2〜10μm程度の切片とする。その切片をスライドガラス上に載せ、温水に浸け切片のしわをとって支持基材上に固定する。次に、脱パラフィン処理を行って、切片からパラフィンを除去する。次に、蛍光色素を用いて切片を標識する。さらに、マイアーヘマトキシリン液等を用い対比染色を行う。その後、脱水剤による脱水、キシレン等による透徹を行い、非水溶性封入剤を滴下しカバーガラスを載せて封入し、顕微鏡観察に供する。これにより、生体標本の一の態様として、蛍光色素により標識された組織又は細胞からなる薄切片がスライドガラスからなる支持基材上に固定された状態で、封入剤とともに封入部材であるカバーガラスにより封入された生体標本を作製することができる。この生体標本は、顕微鏡観察後は、凍結保存する。
一方、包埋剤に樹脂を用いる場合、パラフィンに代えて樹脂を用いる以外は、上記の作製方法と同様にして行うことができる。なお、レーザ走査顕微鏡や共焦点レーザ顕微鏡を用いて立体観察を行う場合には、包埋樹脂を除去しない状態の生体標本を用いることもできる。この場合、生体標本の別の態様として、蛍光色素により標識された組織又は細胞が包埋剤により包埋されてなる薄切片がスライドガラスからなる支持基材上に固定された状態で、封入剤とともに封入部材であるカバーガラスにより封入された生体標本を用いることができる。
また、脱水剤には、エーテルアルコール類又はグルシジルエーテル類を用いることが好ましい。従来は、アセトン、メタノールそしてエタノール等を用いていたが、これらの溶媒を用いると蛍光色素が溶解して観察が困難となったり、乾燥する場合に切片がゆがんだり収縮する問題があった。しかし、エーテルアルコール類又はグルシジルエーテル類を用いることにより、蛍光色素が溶解することもなく、かつ乾燥時に切片が収縮することも防止できる。エーテルアルコール類には、ブトキシプロパノール、ブトキシエタノール、プオポキシプロパノール、プロポキシエタノール、エトキシプロパノール、エトキシエタノール、メトキシプロパノール、メトキシエタノール、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。特に限定されないが、好ましくはメトキシプロパノール又はエトキシプロパノールである。グルシジルエーテル類には、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、グリシジルアセテート、グリシジルプロピオネート、グリシジル2-エチルヘキサノエート、グリシジルネオデカノエート等を挙げることができるが、ブチルグリシジルエーテル、グリシジルアセテート、グリシジルプロピオネートが好ましい。
また、凍結法は、例えば、以下の方法により作製することができる。すなわち、必要に応じて水溶性封入剤であるOCTコンパウンドを用いて組織を凍結させ、クライオスタットで薄切りして切片を得る。ついでスライドガラスに融解付着させて乾燥させる。次いで、蛍光色素で標識する。さらに、対比染色を行った後、脱水、キシレン等による透徹を行い、非水溶性封入剤を滴下しカバーガラスを載せて封入し、顕微鏡観察に供する。
また、本発明の生体標本は蛍光色素を用いて多重標識をすることもできる。蛍光の観察には複数の励起光源を用いる必要はなく、単一の光源を用い、フィルターを用いて1種の励起波長に調整する。ここで、励起波長には、単一波長のみならず所定幅を有する励起波長が含まれる。一方、検出側には励起光やバックグラウンドノイズを除去する1種のフィルターを設けるのみで良い。本発明では、検出側に複数のフィルターを設けなくても、複数の蛍光の観察が可能である。
さらに、本発明の生体標本は、従来の生体標本にはない新たな効果を有する。すなわち、包埋樹脂を含んだ状態で蛍光観察を行うと、包埋樹脂の自家蛍光により、蛍光色素の蛍光が不明確となり、あるいは確認できないという問題があった。それに対し、少なくとも有機EL色素から成る発色部を有し、該有機EL色素が、共役系を有し、1種以上のヘテロ原子、セレン原子又はボロン原子を含むアゾール誘導体又はイミダゾール誘導体からなる蛍光色素を用いることにより、包埋樹脂の自家蛍光が存在する場合であっても、その自家蛍光に妨害されることなく蛍光色素の蛍光を明確に確認することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例により限定されるものではない。
合成例1.
有機EL色素として、1, 2, 5,-オキサジアゾロ-[3, 4-c]ピリジン誘導体を用いた。
合成例1は、スペーサー部を有しない蛍光色素の例を示し、合成例2から6はスペーサー部を導入した蛍光色素の例を示す。以下に、スペーサー部を導入したオキサジアゾロ-[3, 4-c]ピリジンの活性エステル体の反応例(スキーム2と3)を示す。
Figure 2008013260
次いで、スペーサー部を有しないオキサジアゾロピリジン活性エステル体(6)をDMF中、アラニンと反応させ、スペーサー部を導入したカルボン酸体(7)を合成した。その後、カルボン酸体(7)をジオキサン中、N−ヒドロキシスクシンイミドと反応させ、スペーサー部を導入したオキサジアゾロピリジン活性エステル体(8)を合成した。以下に反応例を示す。
Figure 2008013260
各ステップとも反応は穏やかに進行し、カルボン酸体(7)を経由して目的とする活性エステル体(8)を高収率で得た。
(合成手順)
(1)ジケトン誘導体(2)の合成
500mL三口フラスコに4-メトキシアセトフェノン(1)37.5 g (0.25 mol)、亜硝酸ナトリウム0.15 gを酢酸100 mLに溶解した。水浴中、HNO3 100 mLを酢酸100 mLに溶解したものを2時間かけて滴下した。その後、室温で2日間撹拌した。反応混合物を500mLの水にゆっくりと入れ、沈殿を生成させた。沈殿物は濾過し、クロロホルムに溶解した。クロロホルム相を飽和重曹水で洗浄し、10% NaCl 水溶液で2回洗浄した。MgSO4で脱水した後、減圧下、クロロホルムを留去し、オキサジアゾール-N-オキサイド(2)を34.5 g (収率78%)で得た。
(2)ジケトン誘導体(3)の合成
500mL三口フラスコにオキサジアゾール-N-オキサイド(2)17.7 g (0.05 mol)をアセトニトリル400 mLに溶解した。それにZn 12.0 g、AcOH 7 mL、Ac2O 20mLを添加した。水浴中で反応温度が30℃を超えないように冷却した。12時間撹拌して反応終点とした。反応混合物を濾過し、不溶分を除去した。アセトニトリルを減圧下留去して残渣を得た。残渣をクロロホルムで再結晶し、オキサジアゾール-N-オキサイド(3)を10.2 g (収率60%)で得た。
(3)オキサジアゾロピリジンエチルエステル(4)の合成
500mL三口フラスコでオキサジアゾール-N-オキサイド(3)15.6 g (0.046 mol)をブタノール300 mLに溶解した。そこへグリシンエチルエステル塩酸塩 32.0 g (0.23 mol)を添加した。24時間加熱還流を行った。ブタノールを減圧下留去し、残渣を得た。残渣を200mLのクロロホルムに溶解し、10% HCl、飽和NaHCO3、10%NaClで洗浄した。MgSO4で乾燥し、溶媒を留去した。得られた残渣をクロロホルムで再結晶し、オキサジアゾロピリジンエチルエステル(4)を13.0 g (収率 70%)で得た。
(4)オキサジアゾロピリジンエチルエステル(4)の加水分解
500mL三口フラスコでオキサジアゾロピリジンエチルエステル(4)3.0 g (0.007 mol)を200 mLのエタノールに溶解した。そこへKOH 0.62 g (0.01 mol)を添加した。5時間加熱環流を行った後、反応混合物を200 mLの水へ添加した。この水溶液に濃塩酸を滴下してpH 1に調整したところ沈殿が生じた。沈殿物を濾過し、クロロホルムに溶解した。クロロホルム相を10% NaHCO3水溶液、水で洗浄した。クロロホルムを留去して残渣を得た。残渣を水-エタノール (1:1)で再結晶し、2.1 g (収率 81%)のオキサジアゾロピリジンカルボン酸(5)を得た。
(5)活性エステル体(6)の合成
50 mL 三口フラスコでオキサジアゾロピリジンカルボン酸(5)1.0 g (0.0026 mol)とN-ヒドロキシスクシンイミド0.30 g (0.0026 mol)をDMF 20mLに溶解した。これにN, N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド 0.54 g (0.0026 mol)を30分かけて滴下した。滴下後、室温で30時間撹拌した。減圧下、DMFを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)で単離精製し、オキサジアゾロピリジン活性エステル体(6)を0.76 g (収率62%)得た。
合成例2.
スペーサー部にアラニンを用いた例を示す。以下に、合成例1と異なる部分のみの合成手順を示す。
(1)カルボン酸体(7)の合成
50 mL 三口フラスコでオキサジアゾロピリジン活性エステル体(6) 100 mg (0.21 mmol)とアラニン18.8 mg (0.21 mmol)をDMF 20mLに溶解した。その後、室温で12時間撹拌した。反応終了後、減圧下、DMFを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール=7:3)で単離精製し、カルボン酸体(7)を83 mg (収率88%)得た。
(2)活性エステル体(8)の合成
次いで、50 mL 三口フラスコでオキサジアゾロピリジンカルボン酸体(7)70 mg (0.16 mmol)とN-ヒドロキシスクシンイミド18.0 mg (0.16 mmol)をDMF 20mLに溶解した。これにDMF 5 mLに溶解したN, N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド 32.2 mg (0.16 mmol)を30分かけて滴下した。滴下後、室温で30時間撹拌した。減圧下、DMFを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)で単離精製し、活性エステル体(8)を75.8 mg (収率89%)得た。
合成例3.
有機EL色素としてイミダゾロピリジンエチルエステル誘導体を用いた。以下に、スペーサー部を導入したイミダゾロピリジンエチルエステルの活性エステル体の反応例(スキーム4と5)を示す。
Figure 2008013260
次いで、合成例1の場合と同様に、イミダゾロピリジン活性エステル体(3)をアラニンと反応させ、スペーサー部を導入したカルボン酸体(4)を合成し、そのカルボン酸体(4)をジオキサン中、N−ヒドロキシスクシンイミドと反応させ、スペーサー部を導入したイミダゾロピリジン活性エステル体(5)を合成した。以下に反応例を示す。
Figure 2008013260
(1)イミダゾロピリジンエチルエステル(1)の加水分解
500mL三口フラスコでエステル体(1)0.5 g (1.5 mmol)を50 mLのエタノールに溶解した。そこへKOH 0.12 g (2.1 mol)を添加した。5時間加熱環流を行った後、反応混合物を50 mLの水へ添加した。この水溶液に濃塩酸を滴下してpH 1に調整したところ沈殿が生じた。沈殿物を濾過し、クロロホルムに溶解した。クロロホルム相を10% NaHCO3水溶液、水で洗浄した。クロロホルムを留去して残渣を得た。残渣を水で再結晶し、0.3 g (収率 63%)のカルボン酸体(2) を得た。
(2)活性エステル体(3)の合成
50 mL 三口フラスコでカルボン酸誘導体(2)0.2 g (0.6 mmol)とN-ヒドロキシスクシンイミド0.07 g (0.6 mmol)をDMF 10mLに溶解した。これにN, N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド 0.12 g (0.6 mmol)を30分かけて滴下した。滴下後、室温で30時間撹拌した。減圧下、DMFを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)で単離精製し、活性エステル体(3)を0.14 g (収率55%)得た。
(3)カルボン酸体(4)の合成
50 mL 三口フラスコでイミダゾロピリジン活性エステル体(3) 80 mg (0.19 mmol)とアラニン17.3 mg (0.19 mmol)をDMF 20mLに溶解した。その後、室温で10時間撹拌した。反応終了後、減圧下、DMFを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール=7:3)で単離精製し、カルボン酸体(4)を 58 mg (収率 78%)得た。
(4)活性エステル体(5)の合成
次いで、50 mL 三口フラスコでイミダゾロピリジンカルボン酸体(4)54 mg (0.14 mmol)とN-ヒドロキシスクシンイミド16.1 mg (0.14 mmol)をDMF 20mLに溶解した。これにDMF 5 mLに溶解したN, N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド 28.8 mg (0.14 mmol)を30分かけて滴下した。滴下後、室温で30時間撹拌した。減圧下、DMFを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)で単離精製し、活性エステル体(5)を62.2 mg (収率 92%)得た。
合成例4.
有機EL色素として合成例1で用いたオキサジアゾロピリジン誘導体を用い、スペーサー部にシステイン酸を用いた。オキサジアゾロピリジン活性エステル体(6)をシステイン酸と反応させ、スペーサー部を導入したカルボン酸体(9)を合成した。その後、カルボン酸体(9)をジオキサン中、N-ヒドロキシスクシンイミドと反応させ、スペーサー部を導入したオキサジアゾロピリジン活性エステル体(10)を合成した。以下に反応例を示す。
Figure 2008013260
以下に、合成例1と異なる部分のみの合成手順を示す。
(1)カルボン酸体(9)の合成
50 mL 三口フラスコでオキサジアゾロピリジン活性エステル体(6) 100 mg (0.21 mmol)とシステイン酸 39 mg (0.23 mmol)をDMF 20mLに溶解した。その後、室温で12時間撹拌した。反応終了後、減圧下、DMFを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール=7:3)で単離精製し、カルボン酸体(9)を98 mg (収率88%)得た。
(2)活性エステル体(10)の合成
次いで、50 mL 三口フラスコでオキサジアゾロピリジンカルボン酸体(9) 80 mg (0.15 mmol)とN-ヒドロキシスクシンイミド 19 mg (0.17 mmol)をDMF 20mLに溶解した。これにDMF 5 mLに溶解したN, N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド 35 mg (0.17 mmol)を30分かけて滴下した。滴下後、室温で30時間撹拌した。減圧下、DMFを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)で単離精製し、活性エステル体(10)を73 mg (収率 78%)得た。
合成例5.
有機EL色素として合成例1で用いたオキサジアゾロピリジン誘導体を用い、スペーサー部にセリンを用いた。オキサジアゾロピリジン活性エステル体(6)をセリンと反応させ、スペーサー部を導入したカルボン酸体(11)を合成した。その後、カルボン酸体(11)をジオキサン中、N-ヒドロキシスクシンイミドと反応させ、スペーサー部を導入したオキサジアゾロピリジン活性エステル体(12)を合成した。以下に反応例を示す。
Figure 2008013260
以下に、合成例1と異なる部分のみの合成手順を示す。
(1)カルボン酸体(11)の合成
50 mL 三口フラスコでオキサジアゾロピリジン活性エステル体(6) 100 mg (0.21 mmol)とセリン26 mg (0.25 mmol)をDMF 20mLに溶解した。その後、室温で12時間撹拌した。反応終了後、減圧下、DMFを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール=7:3)で単離精製し、カルボン酸体(12)を 79 mg (収率 81%)得た。
(2)活性エステル体(12)の合成
次いで、50 mL 三口フラスコでオキサジアゾロピリジンカルボン酸体(11) 70 mg (0.15mmol)とN-ヒドロキシスクシンイミド 19 mg (0.17 mmol)をDMF 20mLに溶解した。これにDMF 5 mLに溶解したN, N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド 35 mg (0.17 mmol)を30分かけて滴下した。滴下後、室温で30時間撹拌した。減圧下、DMFを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)で単離精製し、活性エステル体(12)を 61 mg (収率 72%)得た。
合成例6.
有機EL色素として合成例1で用いたオキサジアゾロピリジン誘導体を用い、スペーサー部にペプチドリンカーとしてアラニルセリン(Ala-Ser)を用いた。オキサジアゾロピリジン活性エステル体(6)をアラニルセリンと反応させ、スペーサー部を導入したカルボン酸体(13)を合成した。その後、カルボン酸体(13)をジオキサン中、N-ヒドロキシスクシンイミドと反応させ、スペーサー部を導入したオキサジアゾロピリジン活性エステル体(14)を合成した。以下に反応例を示す。
Figure 2008013260
以下に、合成例1と異なる部分のみの合成手順を示す。
(1)カルボン酸体(13)の合成
50 mL 三口フラスコでオキサジアゾロピリジン活性エステル体(6) 100 mg (0.21 mmol)とアラニルセリン 45 mg (0.25 mmol)をDMF 20mLに溶解した。その後、室温で10時間撹拌した。反応終了後、減圧下、DMFを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール=6:4)で単離精製し、カルボン酸体(13)を72 mg (収率64%)得た。
(2)活性エステル体(14)の合成
次いで、50 mL 三口フラスコでオキサジアゾロピリジンカルボン酸体(13) 60 mg (0.11 mmol)とN-ヒドロキシスクシンイミド 14 mg (0.12 mmol)をDMF 15mLに溶解した。これにDMF 5 mLに溶解したN, N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド 25 mg (0.12 mmol)を30分かけて滴下した。滴下後、室温で15時間撹拌した。減圧下、DMFを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:2)で単離精製し、活性エステル体(14)を60 mg (収率 86%)得た。
合成例7.
以下に、窒素カチオン含有基として活性エステルと結合した3-エチルエステルピリジニウム基を用いた場合の反応例を示す。
オキサジアゾロピリジンエチルエステル体(4)をNaBH4存在下、還元反応を行い、ヒドロキシメチル体(15)を得、これと塩化チオニルを反応させチアジアゾロピリジンクロロメチル体(16)を得、これに3-エチルエステルピリジン活性エステル体(17)を反応させて窒素カチオン体(18)を合成した。
Figure 2008013260
以下に、合成手順を示す。
(1)クロロメチル体(16)の合成
50 mL 三口フラスコでピリジンヒドロキシメチル体(15) 100 mg (0.35 mmol)をSOCl2 20 mLに溶解した。その後、60℃で10時間撹拌した。反応終了後、減圧下、SOCl2を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−ヘキサン=8:2)で単離精製し、クロロメチル体(16)を72 mg (収率62%)得た。
(2)窒素カチオン体(18)の合成
チアジアゾロピリジンクロロメチル体(16) (100 mg、0.3 mmol)と3-エチルエステルピリジン活性エステル体(17) (0.9 mmol, 206 mg)とをToluene 5mlに溶解させ、一晩加熱還流を行った。反応終了後、吸引濾過を行い、濾物を真空乾燥させ、窒素カチオン体(18)を得た。反応は定量的である。
1H-NMR (CDCl3): 9.33 (s, 1H), 9.07 (d, 1H), 8.35-8.51 (m, 4H), 7.50-7.67 (m, 8H), 6.46 (s, 2H), 3.32 (t, 2H), 3.10 (t, 2H), 2.80 (s, 4H).
実施例1.
(蛍光実体顕微鏡による観察)
(1)生体標本の作製
マウスから摘出した肝臓に、蛍光色素として合成例1で合成した活性エステル体(6)の粉末を振りまき、スライドガラス上に固定して生体標本とした。
比較として、GFPで標識された肝臓を用いた。すなわち、全身が緑色に光る岡部マウスの骨髄から幹細胞を取り出し、RI照射によって自らの骨髄細胞が機能しなくなったマウスに移植した。移植されたマウスでは、GFP陽性の骨髄細胞が全身で分化し、各臓器でGFPを持った細胞が発現した。
(2)観察結果
作製した生体標本に紫外線の励起光を照射し、蛍光実体顕微鏡下(ニコン製)で観察した。さらに、この生体標本を2週間冷蔵保存した後、再度蛍光実体顕微鏡下で観察した。図1に標本作製直後と2週間経過後の観察像を示す。GFPが発現している肝臓の場合、2週間経過後蛍光を確認できなかった。一方、本発明の生体標本では、蛍光が全く褪色せず観察が可能であった。
なお、蛍光色素に活性エステル体(5)、活性エステル体(8)、活性エステル体(10)、 活性エステル体(12)、そして活性エステル体(14)を用いて観察したが、活性エステル体(6)の場合と同様に2週間経過後でも蛍光が全く褪色せず観察が可能であった。
実施例2.
(蛍光顕微鏡による薄切片の観察)
(1)生体標本の作製
マウスに蛍光色素として活性エステル体(6)を溶解したDMSO溶液0.5 mLを筋肉注射し、3日間放置後、灌流固定前にそのDMSO溶液0.9 mLを血管より注入した。その後、摘出したリンパ節をグルタール+パラフォルム灌流固定し、エトキシプロパノールで脱水し、減圧乾燥し、テクノビット包埋し、ミクロトームにより薄切りして切片を得た。その切片をスライドガラスに固定後、封入剤を用いカバーガラスで封入して生体標本を得た。なお、脱水、乾燥後に切片の収縮は認められなかった。
(2)観察結果
作製した生体標本に紫外線の励起光を照射し、蛍光顕微鏡下(オリンパス製)で観察した。さらに、この生体標本を1週間冷蔵保存した後、再度蛍光実体顕微鏡下で観察した。
図1に標本作製直後の観察像を示す。図中の矢印で示した箇所では、蛍光色素による高輝度のオレンジの蛍光が認められた。蛍光色素を取り込んだマクロファージが集積されたものと考えられる。1週間冷蔵保存した後も、蛍光色素による高輝度のオレンジの蛍光が認められた。また、比較として脱水剤にアセトンを用いて切片を作製したが、脱水、乾燥により切片が収縮した。
実施例3.
(包埋樹脂の自家蛍光の影響)
(1)試料の作製方法
スライドグラス上に蛍光色素として合成例1で合成した活性エステル体(6)の粉末を置き、その蛍光色素をエポン包埋して試料とした。比較のため、テキサスレッドとエポン樹脂を用いた試料も作製した。
(2)観察結果
試料に所定波長域の可視光を照射し、蛍光実体顕微鏡で観察した。図3の上段は、(従来の蛍光色素)を用いた例を示し、下段は活性エステル体(6)を用いた例を示す。図3の下段の右端に示すように、340-380nmの紫外光を照射し、425nmのフィルターを用いて蛍光を観察した場合、エポンの自家蛍光に阻害されることなく、蛍光色素が有するオレンジ色の色調を確認することができた。
実施例4.
(多重標識標本観察の検討)
(1)試料
蛍光色素に、活性エステル体(6)(オレンジ)と、その誘導体2種(グリーン及びイエロー)を用い、それぞれDMSO溶液を調製した。これら3種の蛍光色素には、励起波長/フィルター波長が、515-560nm/580nm、490-577nm/528-633nm、340-380nm/425nmの条件で蛍光を観察した。
ここで、用いた3種の蛍光色素は、グリーンは励起波長が383nmで蛍光波長が520nm、イエローは励起波長が415nmで蛍光波長が535nm、オレンジは励起波長が460nmで蛍光波長が594nmである。
(2)結果
図4はその結果を示す蛍光顕微鏡写真である。図中、上段がオレンジ、中段がグリーン、そして下段がイエローの蛍光色素である。これにより、1種の励起波長を用い、かつ検出側に1種のフィルターを用いることにより、3種の蛍光を同時観察することができた。これにより、標本を多重標識した場合であっても、1種の励起波長を用い、かつ検出側に1種のフィルターを用いることにより、3種の蛍光を同時観察することができると可能と考えられる。
実施例5.
1.0 mgのストレプトアビジンを0.2 M Sodium bicarbonate buffer (pH8.3) 400 μlで溶解し、ストレプトアビジン溶液を調製した。調製したストレプトアビジン溶液に窒素カチオン体(18)のDMSO溶液 200 μlを加え、室温で1時間攪拌した。その後、反応相をSephadex series G-25で濾過し、標識されたストレプトアビジンを得た。
ラット脊髄の組織片を4% paraformaldehyde/0.1 M Phosphate Buffer(pH7.2〜7.4)で還流固定後、3時間かけて浸漬固定を行った。20%スクロース含有0.1 M Phosphate Bufferで洗浄し、10μm凍結切片を作製した。0.1 M Phosphate Buffer(pH7.2〜7.4)で洗浄した後、PBSTBF(0.8% fish gelatin, 1% 牛血清アルブミン, 0.2%Triton X-100含有0.1M PBS)でブロッキングした。次に、抗グリア線維性酸性蛋白Glial fibrillary acidic protein (GFAP)マウスモノクローナル抗体をのせ、4℃で14時間反応させ、0.1 M Phosphate Bufferで洗浄した。ビオチン標識抗マウス抗体/PBSTBFをのせ、室温で 90分反応した。その後、0.1 M Phosphate Bufferで洗浄した。次に、窒素カチオン体(18)標識ストレプトアビジン(1: 200〜800)/PBSTBFをのせ、室温で90分反応した。その後、0.1 M Phosphate Buffer(pH7.2〜7.4)で洗浄した。その後、グリセリン:PBS(3:1)で封入し、蛍光顕微鏡を用いて観察した。
(結果)
結果を図5に示す。ビオチン標識抗マウス抗体と窒素カチオン体標識ストレプトアビジンを反応させたラット脊髄の組織片では青色蛍光が検出された。また、2週間経過後でも、蛍光が全く褪色せず観察が可能であった。また、7ヶ月経過後の結果を図6に示す。7ヶ月経過後でも、蛍光が全く褪色せず観察が可能であった。
以上、説明したように、本発明によれば、従来に比べ長期間保存可能な生体標本を安価に作製することが可能である。また、高い蛍光強度を与えるため識別が容易であり、信頼性の高い病理診断が可能となる。

Claims (16)

  1. 蛍光色素により標識された組織又は細胞が支持基材上に固定されている生体標本であって、
    上記蛍光色素が、少なくとも有機EL色素から成る発色部を有し、該有機EL色素が、共役系を有し、1種以上のヘテロ原子、セレン原子又はボロン原子を含むアゾール誘導体又はイミダゾール誘導体である生体標本。
  2. 上記アゾール誘導体が、以下の一般式(1)、(2)又は(3)のいずれか1種である請求項1記載の生体標本。
    Figure 2008013260
    (式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基又は複素環基を有してもよい芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基を示し、Xは置換基を有していてもよい窒素原子又は硫黄原子又は酸素原子又はセレン原子、ボロン原子を示し、R'は芳香環を含んでも良いアルキル基又はアルケニル基からなる脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基、An-は、ハロゲン化物イオン、CF3SO3 -、BF4 -又はPF6 -を示す。)
  3. 上記イミダゾール誘導体が、以下の一般式(4)、(5)、(6)、(7)又は(8)で示される請求項1記載の生体標本。
    Figure 2008013260
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基又は複素環基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基を示し、R1、 R2、R3、R4、R5は同じでも異なっていても良く、R'、R''は芳香環を含んでも良いアルキル基又はアルケニル基からなる脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基、An-は、ハロゲン化物イオン、CF3SO3 -、BF4 -又はPF6 -を示す。)
  4. 上記イミダゾール誘導体が、以下の一般式で示される請求項1記載の生体標本。
    Figure 2008013260
    (式中、R1、 R4、 R5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基又は複素環基を有してもよい芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基又は複素環基を示し、R1、R4、R5は同じでも異なっていても良い。)
  5. 上記蛍光色素が生体分子を結合する結合部を有し、該結合部が、カルボン酸基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、ハロゲン化アルキル基、トリアジン基、カルボジイミド基そして活性エステル化したカルボニル基から選択されたいずれか1種の反応性基を有する請求項1記載の生体標本。
  6. 上記蛍光色素が、発色部と結合部とを連結するスペーサー部を有する請求項5記載の生体標本。
  7. 上記スペーサー部が、-CH2-、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-(Rはアルキル基)、-(CH2-CH2-O)n-(nは1〜10の整数)、-CH=CH-、-C≡C-、-Ar-及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択される官能基を少なくとも1種含む請求項6記載の生体標本。
  8. 上記スペーサー部が、以下の一般式(I)で表される請求項7記載の生体標本。
    -(CHR')p-X-(CHR")q- (I)
    (式中、Xは直接結合又は、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-、-CH=CH-、-C≡C-、-Ar-及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択された少なくとも1種の官能基を表し、R'とR"はそれぞれ独立に、水素原子、あるいは芳香環を含んでも良いアルキル基又はアルケニル基等の脂肪族炭化水素基、あるいは芳香族炭化水素基であって、必要によりスルホニル基、ヒドロキシル基、4級アミン基及びカルボキシル基からなる群から選択されたいずれか1種の荷電基により置換されたものを表し、Arはアリール基を表し、pとqはそれぞれ独立に0から20の整数を表し、p+q≧1である。)
  9. 上記アゾール誘導体が、以下の一般式(9)、(10)又は(11)のいずれか1種で示される請求項1記載の生体標本。
    Figure 2008013260
    (式中、(9)及び(11)ではR1は、そして(10)ではR1とR4の一方は、一般式L-Mで示され、Mは、置換基を有しても良いピリジニウム基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アミノ基、ピペリジニウム基、ピペラジニウム基、イミダゾリウム基、チアゾリウム基、オキサゾリウム基、キノリウム基、ベンゾイミダゾリウム基、ベンゾチアゾリウム基又はベンゾオキサゾリウム基である窒素カチオン含有基を示し、Lは、直接結合あるいは、-(CH2)n-(nは1〜4の整数)、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-(Rはアルキル基)、-Ar-(Arは芳香族炭化水素基)及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択された1種以上の官能基からなり、Mと発色部とを連結するリンカー、(10)のR1とR4の残部、そしてR2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてアルキル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基又は複素環基を有してもよい芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基又は複素環基を示し、Xは置換基を有していてもよい炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子又はボロン原子を示し、R'は芳香環を含んでも良いアルキル基からなる脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基、An-は、ハロゲン化物イオン、CF3SO3 -、BF4 -又はPF6 -を示す。)
  10. 上記のリンカーLが、-(CH2)n-(nは1〜4の整数)である請求項9記載の生体標本。
  11. 上記イミダゾール誘導体が、以下の一般式(12)、(13)、(14)、(15)又は(16)のいずれか1種で示される請求項1記載の生体標本。
    Figure 2008013260
    (式中、(12)、(14)及び(15)のR1とR4の一方、そして(13)及び(16)のR1、R4及びR5のいずれか一つは、一般式L-Mで示され、Mは、置換基を有しても良いピリジニウム基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アミノ基、ピペリジニウム基、ピペラジニウム基、イミダゾリウム基、チアゾリウム基、オキサゾリウム基、キノリウム基、ベンゾイミダゾリウム基、ベンゾチアゾリウム基又はベンゾオキサゾリウム基である窒素カチオン含有基を示し、Lは、直接結合あるいは、-(CH2)n-(nは1〜4の整数)、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-(Rはアルキル基)、-Ar-(Arは芳香族炭化水素基)及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択された1種以上の官能基からなり、Mと発色部とを連結するリンカー、(12)、(14)及び(15)のR1とR4の残部、(13)及び(16)のR1、R4及びR5の残部、そしてR2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてアルキル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基又は複素環基を有してもよい芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基又は複素環基を示し、R'、R"は芳香環を含んでも良いアルキル基からなる脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基、An-は、ハロゲン化物イオン、CF3SO3 -、BF4 -又はPF6 -を示す。)
  12. 上記のリンカーLが、-(CH2)n-(nは1〜4の整数)である請求項11記載の生体標本。
  13. 蛍光色素により標識された組織又は細胞が支持基材上に固定されている生体標本の作製方法であって、
    検体から採取した組織又は細胞を包埋剤により包埋して包埋体となし、
    該包埋体を薄切りして切片となし、
    該切片を支持基材上に固定し、
    該切片を、少なくとも有機EL色素から成る発色部を有し、該有機EL色素が、共役系を有し、1種以上のヘテロ原子、セレン原子又はボロン原子を含むアゾール誘導体又はイミダゾール誘導体である上記蛍光色素で標識する、生体標本の作製方法。
  14. 上記切片を上記蛍光色素で標識するに先立って、上記包埋剤を除去する請求項13記載の作製方法。
  15. 上記包埋体を作製するに際し、脱水溶剤にエーテルアルコール類又はグルシジルエーテル類を用いる請求項13記載の作製方法。
  16. 複数の蛍光色素により標識された組織又は細胞が支持基材上に固定されている生体標本に励起光を照射し、生体標本からの蛍光を観察する生体標本の観察方法であって、上記蛍光色素に、少なくとも有機EL色素から成る発色部を有し、該有機EL色素が、共役系を有し、1種以上のヘテロ原子、セレン原子又はボロン原子を含むアゾール誘導体又はイミダゾール誘導体である蛍光色素を用い、該蛍光色素に1種の励起光を照射して同時励起させ、発生した蛍光を、該励起光を吸収する1種のフィルターのみを透過させて生体標本からの複数の蛍光を観察する生体標本の観察方法。
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