JP2006180835A - 遺伝子検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高感度の検出が可能で、操作の簡便な遺伝子検出方法を提供すること。
【解決手段】 有機EL色素から成る発色部を有する蛍光インターカレータを二本鎖DNAに結合させる。次いで、遊離状態で観測される第1の蛍光波長より短波長であって、二本鎖DNAに結合した状態で観測される第2の蛍光波長に基づく蛍光を計測する。
【選択図】図3

Description

本発明は、遺伝子検出方法に関し、さらに詳しくは蛍光インターカレータを用いて二本鎖DNAを検出する遺伝子検出方法に関する。
近年、ヒトゲノムの全容が明らかにされ、遺伝子治療、遺伝子診断などを目的としたポストゲノム研究が盛んに行われている。例えば、DNA解析は、それを用いて難治ガンなどの早期発見を行うこともできる。DNA解析手法として、サザンハイブリダイゼーション法等のハイブリダイゼーション法が用いられている。例えば、DNAマイクロアレイ基板上に固定されたプローブDNAと、蛍光色素等で標識されたサンプルDNAとをハイブリダイズさせて二本鎖を形成させ、サンプルDNAの検出を行っている。
しかしながら、上記のハイブリダイゼーション法では、検体から取り出したDNAを制限酵素でフラグメント化した後、電気泳動等によりサイズにより分画し、次いでサンプルDNAを一本鎖に変成するという煩雑な操作が必要である。これに対し、一本鎖DNAを予め標識せず、インターカレータにより二本鎖DNAを直接標識する分析方法が提案されている(例えば、特許文献1)。この方法によれば、サンプルDNAを予め標識する必要が無く簡便であり、また二本鎖を形成する際の形成速度の低下がなく分析時間を短縮することができ、さらに変異の発生を防止することができる。
インターカレータには、そのもの自体が検出可能なシグナルを形成できる物質、あるいはその側鎖に標識物質を結合したものが用いられる。標識物質として、フルオレセイン、ローダミン、Cy5、Cy3、テキサスレッド、ルテニウム錯体等に代表される蛍光色素が用いられており、水溶液中もしくは湿潤状態では蛍光発光を確認できる。これら蛍光色素は、蛍光色素のみの状態(二本鎖DNAに結合していない遊離状態)でもわずかな蛍光を示すが、二本鎖DNAに結合するとその蛍光の強度が増大するため、結合に伴う蛍光強度の変化から二本鎖DNAの検出が可能となる。
特開2002−125700号公報
しかしながら、蛍光インターカレータの蛍光強度の変化を測定する従来の検出方法は、蛍光強度の増大幅に再現性がなく、また蛍光強度が弱く遊離状態との差異が小さい場合、二本鎖DNAの高感度の検出が困難であるという問題がある。また、DNAマイクロアレイ基板を用いて測定を行う場合、マイクロアレイ基板上の試料が乾燥することにより、インターカレータに結合している蛍光色素の蛍光が消光するという問題もある。特に、mlからμlといった微量試料の場合、試料が乾燥しやすいため、非常に大きな問題となる。また、蛍光色素によっては温度安定性が低く、測定に時間を要すれば、定量性に問題が生じる事も考えられる。
そこで、本発明は、上記の課題を解決し、高感度の検出が可能で操作の簡便な遺伝子検出方法を提供することを目的とした。
上記課題を解決するため、本発明者は、有機EL色素から成る発色部を有する蛍光インターカレータを用いる二本鎖DNAの検出方法について鋭意検討した結果、二本鎖DNAとの結合に伴い蛍光インターカレータの蛍光波長が変化することを見出した。これにより、従来の蛍光強度の変化に基づく検出方法と異なる全く新しい検出方法が可能なことを見出して本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の検出方法は、有機EL色素から成る発色部を有する蛍光インターカレータを二本鎖DNAに結合させ、遊離状態で観測される第1の蛍光波長より短波長であって、二本鎖DNAに結合した状態で観測される第2の蛍光波長に基づく蛍光を計測して二本鎖DNAを検出することを特徴とするものである。
フルオレセイン等を用いる従来の蛍光インターカレータは、二本鎖DNAと結合した場合でも、その蛍光波長は結合していない遊離状態の場合の蛍光波長と同じであり、また蛍光強度の増大幅に再現性がない。そのため、結合状態での蛍光強度が弱く、遊離状態での蛍光強度との差がわずかである場合には、二本鎖DNAの検出は困難である。本発明によれば、結合状態における蛍光強度が弱い場合であっても、遊離状態で観測される第1の蛍光波長より短波長であって、二本鎖DNAに結合した状態で観測される第2の蛍光波長の蛍光を測定する、例えば、第2の蛍光波長値やその蛍光強度を測定すれば良いので、従来の検出方法に比べより高感度の検出が可能となる。また、熟練していない検査員でも容易に判別することが可能となる。また、二本鎖DNAを段階的に添加すると、二本鎖DNAとの結合量の増加ともに、第2の蛍光波長は短波長にシフトするので、第1の蛍光波長からのシフト値と二本鎖DNA量との関係から二本鎖DNAを定量することもできる。
本発明の検出方法において、二本鎖DNAとの結合量の増加とともに蛍光波長が短波長にシフトするのは、以下の理由が考えられる。
本発明者の知見によれば、フルオレセイン等の従来の蛍光色素を用いるインターカレータを用いても、蛍光波長のシフトは全く観測されなかった。これに対し、有機EL色素を発色部に含むインターカレータを用いると、蛍光波長がより短波長にシフトし、蛍光強度が増加した。また、吸収波長がより長波長にシフトし、その強度は低下した。このことから、有機EL色素を発色部に用いると、二本鎖DNAとインターカレータが結合することにより、有機EL色素は近接した二本鎖DNAとの相互作用によりエネルギーが流出し易くなることによると考えられる。なお、本発明者は、有機EL色素は単独では、二本鎖DNAの存在の有無に関係なくその蛍光波長がシフトせず、二本鎖DNAとは相互作用しないことを確認している。すなわち、蛍光波長が短波長にシフトする現象は、有機EL色素を発色部に含むインターカレータに特徴的な現象である。
また、本発明の検出方法は、試料が乾燥しても消光することがないので、乾燥状態でも高感度の検出が可能となる。例えば、溶液中で蛍光インターカレータと二本鎖DNAとを反応させ、その溶液をDANマイクロアレイ基板に点着させて、イメージスキャナなどで画像化して検出することもできる。また、マイクロアレイ基板上でも二本鎖インターカレータとして用いることが可能であり、基板上でサンプルDNAとプローブDNAの通常通りのハイブリダイゼーションを行った後、蛍光インターカレータを作用させイメージスキャナなどで画像化することもできる。また、本発明に用いる蛍光インターカレータは最近開発されたドライアッセイにも用いることが可能であり、使用方法を選ばない試薬である。また、熱に対して安定であり、常温での長期保存に耐えることができるので、取り扱いが容易である。
また、本発明の検出方法は、二本鎖DNAと蛍光インターカレータとを溶液中で反応させ、該溶液からの第2の蛍光波長を計測するものであり、例えば、溶液の蛍光スペクトルを測定することにより、二本鎖DNAの検出を行うことができる。
また、二本鎖DNAと蛍光インターカレータとを溶液中で反応させ、該溶液を測定基板に点着し、該測定基板からの第2の蛍光波長を計測することもできる。例えば、イメージスキャナ等を用い第2の蛍光波長に基づく画像から二本鎖DNAを検出することもできる。
また、上記有機EL色素には、共役系を有する5員環化合物を含む化合物であって、その5員環化合物は1種以上のヘテロ原子、セレン原子又はボロン原子を含むものを用いることができる。あるいは、その5員環化合物と共役系を有する6員環化合物とから成る縮合多環化合物を用いることもできる。さらに、その5員環化合物には、アゾール誘導体又はイミダゾール誘導体を用いることができる。
また、上記結合部には、単環又は多環芳香族基を用いることができる。例えば、アントラセン基、フェナントレン基、ピレン基、フルオレン基、ビフェニレン基、ナフタレンジイミド基、ナフタレンイミド基、そしてフェニルジイミド基から成る群から選択されたいずれか1種の基を用いることができる。
また、インターカレータには、結合部の両側に連結部を介して結合された発色部を有する縫い込み型インターカレータを用いることができる。
本発明の検出方法は、以下のような効果を有する。
すなわち、遊離状態で観測される第1の蛍光波長より短波長であって、二本鎖DNAに結合した状態で観測される第2の蛍光波長値及びその蛍光強度を測定することにより、従来に比べ、より高感度の検出が可能となる。また、二本鎖DNAとの結合量の増加に伴い第2の蛍光波長はより短波長にシフトするので、蛍光インターカレータに段階的に二本鎖DNAを添加し、第1の蛍光波長からの蛍光波長のシフト値から二本鎖DNAを定量することもできる。また、試料が乾燥状態でも蛍光を発することができるので、二本鎖DNAの検出を簡便に行うことができる。更に、本発明に用いる蛍光色素は、Cy3やCy5、Alexa色素よりも熱安定性が高く、退光性も観測されないので、取り扱いは容易で、さらにCy3やCy5に比べ安価であるので、より低コストで遺伝子の検出を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の検出方法は、有機EL色素から成る発色部を有する蛍光インターカレータを二本鎖DNAに結合させ、遊離状態で観測される第1の蛍光波長より短波長であって、二本鎖DNAに結合した状態で観測される第2の蛍光波長に基づく蛍光を計測する。
本発明においては、蛍光インターカレータの蛍光波長は、二本鎖DNAとの結合量の増加とともに、遊離状態の蛍光波長からより短波長に徐々にシフトし、それ以上蛍光波長がシフトせず、かつ蛍光強度も増加しない飽和状態に至る。従って、遊離状態から飽和状態に至る間の中間状態の蛍光波長値及びその蛍光強度を用いて、試料中の二本鎖DNAの存在の有無の確認そしてその定量を行うことができる。また、蛍光インターカレータに二本鎖DNAを段階的に添加し、添加した二本鎖DNA量と遊離状態の蛍光波長からのシフト値との関係から、二本鎖DNAを定量することもできる。
本発明に用いる蛍光インターカレータは、有機EL色素から成る発色部を有しており、溶液中であっても、固体中であっても蛍光を発することができる。ここで、遊離状態で観測される第1の蛍光波長とは、溶液中あるいは固体中で、蛍光インターカレータが単独で存在する場合に観測される蛍光波長をいう。一方、二本鎖DNAに結合した状態で観測される第2の蛍光波長とは、二本鎖DNAにインターカレートした蛍光インターカレータに基づく蛍光波長であり、第1の蛍光波長よりも短波長である。ここで、第2の蛍光波長の第1の蛍光波長からのシフト値は、二本鎖DNAにインターカレートした蛍光インターカレータの種類に依存し、少なくとも2nm以上である。
また、本発明の対象とする試料は、二本鎖DNAを含むものであれば特に限定されない。例えば、血液、白血球、血清等の組織細胞を対象とする場合には、試料の細胞を破壊して二本鎖DNAを単離することが好ましい。
本発明の検出方法は、溶液状態の試料であっても、固体状態の試料であっても適用が可能である。
溶液状態の試料の場合、例えば、所定濃度の蛍光インターカレータを溶解させた溶液に、二本鎖DNAを含む試料溶液を添加し、蛍光分光光度計等を用い、溶液の蛍光スペクトルを測定し、第2の蛍光波長の有無及びその蛍光強度もしくは蛍光波長のシフト値から試料濃度を検出する。あるいは、第2の蛍光波長が予めわかっている場合には、測定波長を第2の蛍光波長に固定し、蛍光強度から試料濃度を検出することもできる。また、二本鎖DNAを含む試料溶液に蛍光インターカレータを溶解させた溶液を添加する方法を用いることもできる。
また、固体状態の試料の場合、例えば、以下の方法を用いることができる。二本鎖DNAと蛍光インターカレータとを溶液状態で反応させ、次いでその溶液を測定基板、例えばDNAマイクロアレイ上にスポットして点着し、そのDNAマイクロアレイをイメージスキャナ等を用いて画像化して試料濃度を検出する。あるいは、DNAマイクロアレイ上に予め蛍光インターカレータを固定し、次いでその測定基板に二本鎖DNAを含む試料溶液を点着させることもできる。あるいは、プローブ核酸をDNAマイクロアレイ上に固定し、次いで標的核酸をDNAマイクロアレイ上にスポットしてハイブリダイズさせるが、蛍光インターカレータを標的核酸と一緒にあるいは標的核酸をスポットした後、DNAマイクロアレイ上にスポットすることにより二本鎖DNAと反応させる方法を用いることもできる。
また、本発明に用いる蛍光インターカレータは、二本鎖DNAと結合する結合部と、有機EL色素から成り連結部を介して結合部と結合する少なくとも1つの発色部とからなるが、以下の一般式(1)〜(3)で表されるものが含まれる。
(1) (D1−L1)−I
(2) (D1−L1)−I−L2
(3) (D1−L1)−I−(L2−D2
ここで、D1と D2 は発色基から成る発色部、L1 とL2 は連結部、そしてIは結合部を表す。また(3)は、結合部の両側に連結部を介して発色部が結合した、いわゆる縫い込み型のインターカレータを表す。一般に、インターカレータと二本鎖DNAと結合反応は、インターカレータの挿入と脱離に規定される平衡関係にある。したがって、インターカレータが脱離しやすいと、蛍光強度は低下する。しかし、縫い込み型インターカレータは、一方の発色部が二本鎖DNAの塩基対間を通り抜け、他方の発色部が二本鎖DNAからの脱離を抑制するストッパーとしての役割を果たすため、高い蛍光強度が期待できる。また、分子内に2つの発色部を有しているので、発色部が1つの場合に比べ2倍の蛍光強度を期待できるという利点も有する。
結合部は、二本鎖DNAの塩基対と塩基対との間に介入することにより、二本鎖DNAと結合するインターカレート基であり、ヘテロ原子を含んでもよい単環又は多環芳香族基を用いることができる。好ましくは多環芳香族基、さらに好ましくは平面性の大きい縮合芳香族基を用いることができる。具体例を挙げれば、アントラセン基、フェナントレン基、ピレン基、フルオレン基、ビフェニレン基、ナフタレンジイミド基、ナフタレンイミド基、そしてフェニルジイミド基から成る群から選択されたいずれか1種、さらに好ましくはアントラセン基、フェナントレン基、ピレン基又はナフタレンジイミド基を用いることができる。なお、ナフタレンジイミド基には、1,8,4,5-ナフタレンジイミドと2,3,6,7-ナフタレンジイミドが含まれる。
連結基には、一般式A-R-A (2)で表される化合物を用いることができる。ここで、Aは上記インターカレート基と結合する第1結合基、Aは上記発色基と結合する第2結合基、そしてRは第1結合基と第2結合基を連結するスペーサ基である。
具体例として、スペーサ基にはアルキレン基又は主鎖にヘテロ原子を含むアルキレン基を用いることが好ましい。アルキレン基には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基を用いることが好ましい。また、主鎖にヘテロ原子を含むアルキレン基としては、エチレンオキサイド基を用い、繰り返し数を1から5とすることが好ましい。
また、第1結合基にはヘテロ原子、好ましくは酸素原子、窒素原子を用いることができる。また、第2結合基には置換又は未置換のアルキル基、エーテル基、チオエーテル基、置換又は未置換のイミノ基、アミド基、そしてエステル基からなる群から選択されたいずれか1種を用いることが好ましい。
ここで、連結基の役割について説明する。
連結基は、第1結合基と第2結合基とにより、発色基とインターカレート基との連結を確保する。さらに、スペーサ基の存在は、発色基とインターカレート基との物理的距離を確保して、発色基とインターカレート基の分子骨格の選択の自由度を確保する一方、発色基とインターカレート基とのスタッキングを抑制して発色基の発光波長の変化あるいは発光強度の低下を防止する。また、第1結合基に窒素原子などのヘテロ原子を用いると、分子全体をより剛直な構造とすることができるので、スタッキングをさらに抑制することができる。また、酸素原子などを導入することで柔軟な分子構造となり、スタッキング強度をコントロールすることが可能である。なお、アルケン、アルキンなどの不飽和基を介して結合部と連結基とを連結しても良く、あるいは連結基を用いず、アルケン、アルキンなどの不飽和基を介して直接、結合部と発色部とを連結することもできる。第2の蛍光波長値あるいは蛍光波長のシフト値を用いて二本鎖DNAを検出する場合には、蛍光インターカレータと二本鎖DNAが結合する際のスタッキング解消による蛍光強度の増大は必要としないからである。
また、本発明においては、結合部が連結部を兼ねることができ、その例としてはペプチド化合物を挙げることができる。ここで、ペプチド化合物を構成するアミノ酸は、リジン、アルギニン、ヒスチジン、オルニチン、より好ましくはリジンであり、より強く二本鎖DNAに結合することができる。ペプチド化合物は、さらにアクリジンを含むことが好ましい。より強く二本鎖DNAに結合することができるからである。なお、以下、ペプチド化合物を含むインターカレータをペプチドインターカレータという。
本発明に用いる有機EL色素は、一対の陽極と陰極との間に固体状態で挟持され、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子とが再結合する際のエネルギーにより発光可能な色素であれば特に限定されない。例えば、テトラフェニルブタジエンやペリレン等の多環芳香族化合物、シクロペンタジエン誘導体、オキサジアゾール誘導体、クマリン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、アクリドン誘導体、キナクドリン誘導体、スチルベン誘導体、フェノチアジン誘導体、ピラジノピリジン誘導体、アゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体そしてチオフェン誘導体等を用いることができる。
上記有機EL色素の具体例としては、多環芳香族化合物として、ルブレン、アントラセン、テトラセン、ピレン、ペリレン、クリセン、デカサイクレン、コロネン、テトラフェニルブタジエン、テトラフェニルシクロブタジエン、ペンタフェニルシクロブタジエンを挙げることができる。シクロペンタジエン誘導体としては、1,2,3,4−テトラフェニル−1,3−シクロペンタジエン、1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1,3−シクロペンタジエンを挙げることができる。オキサジアゾール誘導体としては、2−(4’−t−ブチルフェニル)−5−(4’−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサジアゾールを挙げることができる。クマリン誘導体としては、クマリン1,クマリン6,クマリン7,クマリン30を挙げることができる。ジスチリルピラジン誘導体としては、2,5−ビス−(2−(4−ビフェニル)エテニル)ピラジン、2,5−ビス−(4−エチルステリル)ピラジン、2,9−ビス−(4−メトキシステリル)ピラジンを挙げることができる。アクリドン誘導体としてはアクリドンおよびその誘導体を挙げることができる。キナクドリン誘導体としてはキナクドリンおよびその誘導体を挙げることができる。スチルベン誘導体としては、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニルを挙げることができる。アゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、チオフェン誘導体は明細書中に一般式で記載したもの使用することができる。
本発明の検出方法に用いる好ましい有機EL色素は、共役系を有する5員環化合物を含む化合物であって、その5員環化合物が1種以上のヘテロ原子、セレン原子又はボロン原子を含むものを挙げることができる。さらに、詳しくは共役系を有する5員環化合物から成る単環化合物と、その5員環化合物と共役系を有する6員環化合物から成る縮合多環化合物を挙げることができる。固体状態であっても、量子収率が大きく、強い蛍光を示すからである。5員環化合物には、アゾール誘導体あるいはイミダゾール誘導体が好ましい。さらに、アゾール誘導体あるいはイミダゾール誘導体は1以上の4級アンモニウム基を有することが好ましい。水溶性を向上させことができるからである。
以下に、縮合多環化合物の具体例について説明する。
(モノアゾール誘導体1)
Figure 2006180835
ここで、式中、R1、 R2、 R3、 R4、 R6、 R7は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、あるいはスルホニル基などの置換基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基又はヘテロ原子を環内に含む芳香族基を示す。R1、 R2、 R3、 R4、 R6、 R7は同じでも異なっていてもよい。R'は芳香環を含んでも良いアルキル基又はアルケニル基等の脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基、An-は、Cl-、Br-、I-等のハロゲン化物イオン、CF3SO3 -、BF4 -、PF6 -を示す。なお、以下の一般式においても、特に断らない限り同様である。
(モノアゾール誘導体2)
Figure 2006180835
ここで、式中、R8、R9は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基などの置換基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基又はヘテロ原子を環内に含む芳香族基を示す。R8、R9は同じでも異なっていてもよい。なお、以下の一般式においても、特に断らない限り同様である。また、nは1以上の整数、好ましくは1〜5であり、以下の一般式中でも同様である。
(ジアゾール誘導体1)
Figure 2006180835
(ジアゾール誘導体2)
Figure 2006180835
(ジアゾール誘導体3)
Figure 2006180835
ここで、式中、R1、 R2、 R3、 R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、あるいはスルホニル基などの置換基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基又はヘテロ原子を環内に含む芳香族基を示す。R1、 R2、 R3、 R4、 R6、 R7は同じでも異なっていてもよい。R2、 R3は、置換基を有しても良い芳香族炭化水素基を用いることが好ましい。また、Xは、置換基を有しても良い窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子又はボロン原子であり、特に断らない限り以下の一般式中でも同様である。
(ジアゾール誘導体4)
Figure 2006180835
(ジアゾール誘導体5)
Figure 2006180835
ここで、N→Oは、窒素原子が酸素原子に配位結合している状態を示す。
(ジアゾール誘導体6)
Figure 2006180835
(ジアゾール誘導体7)
Figure 2006180835
(ジアゾール誘導体8)
Figure 2006180835
Figure 2006180835
ここで、式中、R10、R11は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、あるいはスルホニル基などの置換基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基又はヘテロ原子を環内に含む芳香族基を示す。R10、R11は同じでも異なっていてもよい。また、R12は、置換基を有してもよいオレフィン基又はパラフィン基であり、nは1から3の整数、好ましくは1である。なお、以下の一般式においても、特に断らない限り同様である。
(ジアゾール誘導体9)
Figure 2006180835
Figure 2006180835
上記のジアゾール誘導体ではあれば特に限定されないが、以下の一般式で表されるオキサジアゾロピリジン誘導体を好適に用いることができる。
Figure 2006180835
オキサゾロピリジン誘導体は、そのカルボン酸誘導体を合成後、例えば、以下のスキーム2に示す反応により、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を縮合剤として用い、N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルを含む活性エステル体へ誘導したものを用いることができる。
Figure 2006180835
Scheme 1
(トリアゾール誘導体1)
Figure 2006180835
(トリアゾール誘導体2)
Figure 2006180835
(トリアゾール誘導体3)
Figure 2006180835
(トリアゾール誘導体4)
Figure 2006180835
5員環化合物として、チオフェン基を含む以下の誘導体を用いることもできる。
(チオフェン誘導体1)
Figure 2006180835
(チオフェン誘導体2)
Figure 2006180835
(チオフェン誘導体3)
また、チオフェン誘導体の場合、非縮合系の化合物であり、以下の一般式で示される2,3,4,5-テトラフェニルチオフェン誘導体を用いることもできる。
Figure 2006180835
ここで、式中、R12,R13,R14はそれぞれ独立に、水素原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、置換または未置換のアリール基、あるいは置換または未置換のアラルキル基を表し、Ar1およびAr2は置換または未置換のアリール基を表し、さらに、Ar1とAr2は結合している窒素原子と共に含窒素複素環を形成してもよい。また、Y1およびY2は水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアラルキル基、あるいは置換または未置換のアミノ基を表す。
(チオフェン誘導体4)
また、以下の一般式で示される2,3,4,5-テトラフェニルチオフェン誘導体を用いることもできる。
Figure 2006180835
ここで、式中、Ar1〜Ar6はそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基を表し、さらに、Ar1とAr2、Ar3とAr4およびAr5とAr6は結合している窒素原子と共に含窒素複素環を形成していても良い。
また、5員環化合物にイミダゾールを用い、以下の一般式で示すイミダゾール誘導体を用いることもできる。
(イミダゾール誘導体1)
Figure 2006180835
(イミダゾール誘導体2)
Figure 2006180835
ここで、R''は芳香環を含んでも良いアルキル基又はアルケニル基等の脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基である。
(イミダゾール誘導体3)
Figure 2006180835
(イミダゾール誘導体5)
Figure 2006180835
Figure 2006180835
ここで、イミダゾール骨格は中央のベンゼン環R8, R9, R10, R11 の任意の位置に複数ユニットが結合していても良い。また、R12は、置換基を有してもよいオレフィン基又はパラフィン基であり、nは1から3の整数、好ましくは1である。
(カルバゾール誘導体)
また、以下の一般式で示されるカルバゾール誘導体を用いることもできる。
Figure 2006180835
また、共役系を有する5員環化合物であって、1種以上のヘテロ原子、セレン原子又はボロン原子を含む単環化合物を用いることもできる。特に限定されないが、例えば、以下の一般式で表されるアゾール誘導体を用いることができる。
Figure 2006180835
ここで、式中、R1、 R4、 R5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、あるいはスルホニル基などの置換基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基又はヘテロ原子を環内に含む芳香族基を示す。R1、 R4、 Rは同じでも異なっていてもよい。
本発明の検出方法は、溶液、固体あるいは半固体状態の二本鎖DNAの蛍光を測定する検出方法であれば、あらゆる検出方法に適用することができる。例えば、DNAマイクロアレイを用いる遺伝子解析に用いる場合、以下の手順で行うことができる。
基板に固定するプローブ核酸には、遺伝子の発現を調べる場合、cDNA等をcDNAのライブラリー、ゲノムのライブラリー又は全ゲノムをテンプレートとしてPCR法により増幅して調製したものを用いることができる。また、遺伝子の変異等を調べる場合、標準となる既知の配列をもとにして、変異等に対応する種々のオリゴヌクレオチドを合成したものを用いることができる。
プローブ核酸の基板上への固定は、核酸の種類や基板の種類に応じて適当な方法を選択することができる。例えば、DNAの荷電を利用し、ポリリシン等の陽イオンで表面処理した基板に静電結合させる方法を用いることもできる。
先ず、標的核酸を基板上にスポットし、基板上でハイブリダイゼーションを行う。ハイブリダイゼーションは、室温〜70℃、そして2〜48時間の範囲で行うことが好ましい。ハイブリダイゼーションにより、プローブ核酸と相補的な塩基配列を有する標的核酸が選択的にプローブ核酸と結合し二本鎖を形成する。次に、任意の濃度に調製したインターカレータをこの基板上に流し込む。その後、基板を洗浄し余分なインターカレータを除き室温で乾燥する。
次いで、乾燥した基板の表面の蛍光強度を蛍光レーザスキャナ法により測定する。蛍光強度により、遺伝子発現のレベルをモニタリングすることができる。
以下、実施例を用いてさらに詳細に本発明について説明する。
合成例1.
ナフタレンジイミド系インターカレータの合成例を示す。
(1)ナフタレンジイミド四級塩3の合成
ナフタレンジイミド四級塩3は、以下のスキーム2に従い合成した。
Figure 2006180835
Scheme 2
すなわち、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物1 4.6 g (17.3 mmoL)、2 12.0 g (39.9 mmoL)を300 mL三口フラスコで無水THF 150 mLに溶解した。その後加熱還流し23時間撹拌した。冷却後、30 mLのクロロホルムを加え濾過した。濾液にメタノール200 mLを加えると沈殿物が析出するのでこれを濾過した。濾液を濃縮し、残渣をメタノールに溶解し水で沈殿させた。沈殿物を乾燥し、3を4.82 g、収率34%で得た。
(2)発色基6の合成
発色基6は、以下のスキーム3に従い合成した。
Figure 2006180835
Scheme 3
50 mL 三口フラスコでオキサジアゾロピリジンカルボン酸4 1.0 g (0.0026 moL)とN-ヒドロキシスクシンイミド5 0.30 g (0.0026 moL)をDMF 20mLに溶解した。これにN, N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド 0.54 g (0.0026 moL)を30分かけて滴下した。滴下後、室温で30時間撹拌した。減圧下、DMFを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)で単離精製し、オキサジアゾロピリジン活性エステル体 6を0.76 g 、収率62%で得た。
(3)ナフタレンジイミド系インターカレータの合成
ナフタレンジイミド系インターカレータ7は、以下のスキーム4に従い合成した。
Figure 2006180835
Scheme 4
すなわち、30 mLの三口フラスコで3 0.16 g (0.26 mmoL)、発色基6 0.22 g (0.57 mmoL)をDMF 15 mLに溶解した。これにトリエチルアミン79 μL (2.2 eq.)を添加し、室温で3時間撹拌した。その後、DMFを減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム:メタノール=10 : 2)にて単離し、7を180 mg、収率51%で得た。
合成例2.
アントラセン系インターカレータの合成例を示す。アントラセン誘導体9は、低温下、NaHを用いて対応するアミノアルコールをアルコラートへと誘導し、そこへ9,10-ビスクロロアントラセン8を投入することにより合成した。反応で生成したNaClを濾別した後、DMFを減圧下留去し残渣をクロロホルムに溶解した。そこへ水を添加し、TFA酸性条件下で目的化合物の抽出を行った。その後、水を濃縮し有機溶媒を用いた再沈法により目的化合物を得た。次に、アントラセン誘導体9とオキサジアゾロピリジン活性エステル体 6との縮合反応により連結の片末端及び両末端を置換したインターカレータ10a及び10bを合成した (Scheme 5)。
Figure 2006180835
Scheme 5
合成例3.
ペプチドインターカレータの合成例を示す。
1.Ac-Lys(EL)-Lys-Lys-Lys(Acr)-Lys-Lys-Lys(Acr)-Lys-Lys-NH2の合成
(1)Ac-Lys(Mtt)-(Lys(Boc))2-Lys(Acr)-(Lys(Boc))2-Lys(Acr)-(Lys(Boc))2-Resinの合成
(実験操作)
リアクションベッセルにFmoc-NH-SAL Resin 0.15g(0.61mmol/g)を入れ、カートリッジ3, 6にFmoc-Lys(Acr)-OHを0.26gずつ、カートリッジ1,2,4,5,7,8にFmoc-Lys(Boc)-OHを0.18gずつ、カートリッジ9にFmoc-Lys(Mtt)-OHを0.23g入れた。後は、Applied Biosystems社の431A peptide synthesizerを用いて合成を行った。Methodは、standard Fmoc法で行い、N末端はアセチル化した。黄色固体のペプチドレジンが得られ、収量は0.30gであった。
(2)Ac-Lys(Mtt)-(Lys(Boc))2-Lys(Acr)-(Lys(Boc))2-Lys(Acr)-(Lys(Boc))2-ResinのMtt基の脱保護、ELの修飾及びレジンからの切り出し、及び側鎖の脱保護
(実験操作)
i)Mtt基の脱保護
スクリュー管に1で合成したペプチドレジン0.30g入れ、これに過剰のジクロロメタン(DCM)を加えて30分かけて膨潤させた後、過剰のDCMを窒素ガスで除いた。その後、DCM:TFA:TIPS(トリイソプロピルシラン)=94:1:5の混合溶液4mlを加えて2分攪拌し、窒素ガスで溶媒を除いた。この操作を5回繰り返した後、吸引濾過しDCM、トリエチルアミン、DCMで洗浄後、減圧乾燥させた。
ii)メトキシ型有機EL色素の修飾
減圧乾燥させたペプチドレジンにNMP 6mlを加えて30分間攪拌して膨潤させ、トリエチルアミン 0.15mlを加えて攪拌した。さらに、オキサジアゾール活性エステル6を0.2g加えて室温で24時間攪拌した。その後吸引濾過し、NMP、DCMで洗浄して減圧乾燥させた。
iii)レジンからの切り出し及び側鎖の脱保護
減圧乾燥させたペプチドレジンにm-クレゾール 0.08ml、チオアニソール 0.48ml、TFA 3.44mlを加えて室温で1時間半撹拌した。その後、吸引濾過しTFAで洗浄した。TFAを減圧留去した後、氷浴中でエーテル15ml加えた。超音波処理後、しばらく放置し、上澄み液を取り除いた。次に、氷浴中で酢酸エチル15mlを加えて、超音波処理後、しばらく放置した。その後、吸引濾過しエーテルで洗浄後、減圧乾燥させた。
黄橙色固体が得られ、収量は0.29gであった。図1に生成物の精製前後のHPLCスペクトルを示す。R.T.=12.5min付近のピークのサンプルについてTOF-Mass測定を行ったところEL色素とペプチドの複合体(EL-Peptide)の分子量:2055.30に対応するピークが2057.33に観測され、目的物の生成を確認した。(Matrix:α-CHCA;図2)
合成例4.
比較のため、従来の蛍光色素フルオレセインを有するインターカレータも合成した。具体的には、合成例2で合成したアントラセン誘導体9の一端を(チオウレア結合)によりフルオレセインで置換して合成した。
実施例1.
(検出方法)
合成したナフタレンジイミド系インターカレータ10bをDMSOに溶解し、1mMの溶液を調製した。3 mLの蛍光測定用セルに10 mMピペラジングリシルグリシン300 μL、超純水1696μLを入れた。そこへインターカレータ2 の1 mM DMSOストック溶液4μLを添加して全容量を2000μLとした(試薬濃度は2μM)。そこへ32 mM のctDNAを2μL添加して蛍光測定を行った(ctDNA濃度は32μM)。更に4μL、2μLを添加し、同様に測定した(ctDNA濃度は、それぞれ96μM、128μM)。
(結果)
ctDNAを添加した後、蛍光スペクトルを測定すると、水溶液中、インターカレータ2のみの蛍光波長543nmに対して蛍光波長が521nmへと移動し、22 nmのブルーシフトが観測され、水溶液の色がオレンジ色から黄緑色へ変化した。また、高濃度(約30 mM)のctDNAを添加すると、淡黄色の沈殿が生じ、その沈殿は自然光で発光した。このことからも、固体状態のctDNAを検出可能であることがわかった。
実施例2.
(検出方法)
合成したアントラセン系インターカレータ10bをDMSOに溶解し、1mMの溶液を調製した。3 mLの蛍光測定用セルに10 mMピペラジングリシルグリシン300 μL、超純水1696μLを入れた。そこへインターカレータ2 の1mM DMSOストック溶液4μLを添加して全容量を2000μLとした(試薬濃度は2μM)。そこへ32 mM のctDNAを2μL添加した(ctDNA濃度は32μM)。
(結果)
ctDNAを添加後、水溶液の色がオレンジ色から黄緑色へ変化した。
実施例3.
(検出方法)
合成したペプチドインターカレータをDMSOに溶解し、1mMの溶液を調製した。3 mLの蛍光測定用セルに10 mMピペラジングリシルグリシン300 μL、超純水1696μLを入れた。そこへペプチドインターカレータ の1 mM DMSOストック溶液4μLを添加して全容量を2000μLとした(試薬濃度は2μM)。そこへ32 mM のctDNAを2μL添加した(ctDNA濃度は32μM)。
(結果)
ctDNAを添加後、水溶液の色がオレンジ色から黄緑色へ変化した。
比較例1.
(検出方法)
合成したフルオレセイン系インターカレータをDMSOに溶解し、1mMの溶液を調製した。3 mLの蛍光測定用セルに10 mMピペラジングリシルグリシン300 μL、超純水1696μLを入れた。そこへインターカレータ2 の1 mM DMSOストック溶液4μLを添加して全容量を2000μLとした(試薬濃度は2μM)。そこへ32 mM のctDNAを2μL添加した(ctDNA濃度は32μM)。
(結果)
ctDNAを添加しても、水溶液の色は淡い黄緑のままで変化しなかった。蛍光スペクトルでも波長の変化は見られなかった。
実施例4.
(検出方法)
合成したナフタレンジイミド系インターカレータ7をDMSOに溶解し、1mMの溶液を調製した。次いで、5mLのサンプル管に超純水995μLを計量し、そこへナフタレンジイミド系インターカレータ7を1μL加えた。次に、二本鎖DNAとして32 mM ct DNAを4μL添加して、十分に攪拌した。調製したサンプル溶液を、マイクロアレイヤーにてガラス基板上に1 nL(色素の相対濃度 1 pmol)ずつスポットした。乾燥させた後、蛍光スキャナーにて観測を行った。ここで、検出機器には、BIO-RAD モレキュラーイメージャー FX Proを用いた。レーザの波長は488 nm、スキャン間隔は50nmである。
(結果)
二本鎖DNAに結合した7は、乾燥状態でも発光し、インターカレータのみの場合の黄色から、黄緑色へと変化した。
実施例5.
(検出方法)
合成したアントラセン系インターカレータ10bをDMSOに溶解し、1mMの溶液を調製した。次いで、5mLのサンプル管に超純水995μLを計量し、そこへアントラセン系インターカレータ10b を1μL加えた。次に、二本鎖DNAとして32 mM ctDNAを4μL添加して、十分に攪拌した。調製したサンプル溶液を、マイクロアレイヤーにてガラス基板上に1 nL(色素の相対濃度 1 pmol)ずつスポットした。乾燥させた後、実施例3と同様の条件で蛍光スキャナーにて観測を行った。
(結果)
二本鎖DNAに結合した10bは、乾燥状態でも発光し、インターカレータのみの場合の黄色に近いオレンジ色から、黄緑色へと変化した。
実施例6.
(検出方法)
合成したペプチドインターカレータをDMSOに溶解し、1mMの溶液を調製した。次いで、5mLのサンプル管に超純水995μLを計量し、そこへペプチドインターカレータ を1μL加えた。次に、二本鎖DNAとして32 mM ctDNAを4μL添加して、十分に攪拌した。調製したサンプル溶液を、マイクロアレイヤーにてガラス基板上に1 nL(色素の相対濃度 1 pmol)ずつスポットした。乾燥させた後、実施例3と同様の条件で蛍光スキャナーにて観測を行った。
(結果)
二本鎖DNAに結合したペプチドインターカレータは、乾燥状態でも発光し、インターカレータのみの場合の黄色に近いオレンジ色から、黄緑色へと変化した。
比較例2.
合成したフルオレセイン系インターカレータについて実施例3と同様の方法により蛍光測定を試みたが、乾燥状態で消光を生じ、観測は不可能であった。
標識されたペプチドの精製前(a)及び精製後(b)のHPLCスペクトルである。 標識されたペプチドのTOF Massスペクトルの一例である。 本発明の実施例1における、標識された二本鎖DNAの蛍光スペクトルの一例であり、A、B、C、DはctDNA濃度がそれぞれ、0μM、32μM、96μM、128μMの場合を示す。

Claims (8)

  1. 有機EL色素から成る発色部を有する蛍光インターカレータを二本鎖DNAに結合させ、
    遊離状態で観測される第1の蛍光波長より短波長であって、二本鎖DNAに結合した状態で観測される第2の蛍光波長に基づく蛍光を計測して二本鎖DNAを検出する遺伝子検出方法。
  2. 上記二本鎖DNAと蛍光インターカレータとを溶液中で反応させ、該溶液からの第2の蛍光波長を計測する請求項1記載の遺伝子検出方法。
  3. 上記二本鎖DNAと蛍光インターカレータとを溶液中で反応させ、該溶液を測定基板に点着し、該測定基板からの第2の蛍光波長に基づく蛍光画像を計測する請求項1記載の遺伝子検出方法。
  4. 上記有機EL色素は、共役系を有する5員環化合物を含む化合物であって、該5員環化合物は1種以上のヘテロ原子、セレン原子又はボロン原子を含む請求項1から3のいずれか一つに記載の遺伝子検出方法。
  5. 上記有機EL色素は、上記5員環化合物と共役系を有する6員環化合物とから成る縮合多環化合物である請求項4記載の遺伝子検出方法。
  6. 上記5員環化合物は、アゾール誘導体又はイミダゾール誘導体である請求項4又は5に記載の遺伝子検出方法。
  7. 上記結合部は、単環又は多環芳香族基から成る請求項1から6のいずれか一つに記載の遺伝子検出方法。
  8. 上記結合部は、アントラセン基、フェナントレン基、ピレン基、フルオレン基、ビフェニレン基、ナフタレンジイミド基、ナフタレンイミド基、そしてフェニルジイミド基から成る群から選択されたいずれか1種である請求項7記載の遺伝子検出方法。

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